(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】無線基地局及びユーザ装置
(51)【国際特許分類】
H04W 28/06 20090101AFI20231109BHJP
H04W 48/18 20090101ALI20231109BHJP
H04W 72/0457 20230101ALI20231109BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20231109BHJP
H04W 8/22 20090101ALI20231109BHJP
【FI】
H04W28/06
H04W48/18 111
H04W72/0457 110
H04W92/20
H04W8/22
(21)【出願番号】P 2021508653
(86)(22)【出願日】2019-03-28
(86)【国際出願番号】 JP2019013837
(87)【国際公開番号】W WO2020194731
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100169797
【氏名又は名称】橋本 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】内野 徹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 健次
【審査官】青木 健
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-532373(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049928(WO,A1)
【文献】CATT,UE capability coordination,3GPP TSG-RAN WG2♯85 R2-140176,2014年02月10日
【文献】NSN, Nokia Corporation,MeNB-initiated procedures for dual connectivity,3GPP TSG-RAN WG2♯86 R2-142307,2014年05月19日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局であって、
ユーザ装置が設定できるヘッダ圧縮セッションの最大数
よりも少なくなるように、前記ユーザ装置がデュアルコネクティビティを実行する前記無線基地局及び他の無線基地局がそれぞれ設定できるヘッダ圧縮セッションの割り当て数を決定する制御部と、
前記割り当て数を示す割り当て情報を前記他の無線基地局に送信する送信部と
を備え、
前記デュアルコネクティビティは、EN-DCである無線基地局。
【請求項2】
前記制御部は、前記最大数に基づいて、前記無線基地局に割り当てられる前記割り当て数、及び前記他の無線基地局に割り当てられる前記割り当て数を決定する請求項1に記載の無線基地局。
【請求項3】
前記制御部は、前記最大数と、前記無線基地局が前記ユーザ装置と設定しているヘッダ圧縮セッションの設定数とに基づいて、前記他の無線基地局に割り当てられる前記割り当て数を決定する請求項1に記載の無線基地局。
【請求項4】
第1無線基地局と第2無線基地局とを含む無線通信システムであって、
前記第1無線基地局は、
ユーザ装置が設定できるヘッダ圧縮セッションの最大数
よりも少なくなるように、前記ユーザ装置がデュアルコネクティビティを実行する前記第1無線基地局及び前記第2無線基地局がそれぞれ設定できるヘッダ圧縮セッションの割り当て数を決定する制御部と、
前記割り当て数を示す割り当て情報を前記第2無線基地局に送信する送信部と
を備え、
前記第2無線基地局は、前記割り当て情報を受信する受信部を備え、
前記デュアルコネクティビティは、EN-DCである無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュアルコネクティビティを実行する無線基地局及びユーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3rd Generation Partnership Project(3GPP)は、Long Term Evolution(LTE)を仕様化し、LTEのさらなる高速化を目的としてLTE-Advanced(以下、LTE-Advancedを含めてLTEという)を仕様化している。また、3GPPでは、さらに、5G New Radio(NR)、或いはNext Generation(NG)などと呼ばれるLTEの後継システムの仕様が検討されている。
【0003】
NRでは、LTEと同様に、同一のパケットストリーム内のヘッダが特定のパターンで変化(或いは変化しない)ことを利用してヘッダ(IP/UDP/RTPヘッダ)を圧縮するRObust Header Compression(ROHC, RFC3095)が採用されている。
【0004】
ROHCに従ったヘッダ圧縮・解凍処理に用いることができるメモリ領域は、ユーザ装置(User Equipment, UE)及びネットワーク(無線基地局など)の実装によって異なる。UEは、同時に設定できるヘッダ圧縮セッション(ROHCセッションと呼ばれてもよい)の最大数をUEの能力(capability)としてネットワークに通知する。具体的には、UEは、maxNumberROHC-ContextSessionsをネットワークに通知する(非特許文献1参照)。
【0005】
UE及びネットワークは、当該ヘッダ圧縮・解凍処理に用いられるメモリ領域の数がUEの能力及びネットワークの能力を超過しないように、maxCIDと呼ばれる最大値を設定する(非特許文献2参照)。
【0006】
また、3GPPでは、UEが、用いられる無線アクセス技術(RAT)が異なる複数のノード(無線基地局)、具体的には、マスターノード(MN)及びセカンダリーノード(SN)に同時に接続するデュアルコネクティビティ(Multi-Radio Dual Connectivity (MR-DC))が規定されている(非特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】3GPP TS 38.306 V15.4.0, 3rd Generation Partnership Project;Technical Specification Group Radio Access Network; NR; User Equipment (UE) radio access capabilities (Release 15)、3GPP、2018年12月
【文献】3GPP TS 38.331 V15.4.0, 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; NR; Radio Resource Control (RRC) protocol specification (Release 15)、3GPP、2018年12月
【文献】3GPP TS 37.340 V15.4.0, 3rd Generation Partnership Project; Technical Specification Group Radio Access Network; Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA) and NR; Multi-connectivity; Stage 2 (Release 15)、3GPP、2018年12月
【発明の概要】
【0008】
MR-DCの場合、MN及びSN(無線基地局)は、他方のノードの設定状態を認識せずに、UEとの通信に必要な設定内容を独自に決定する。したがって、MN及びSNが、それぞれ独自にmaxCIDに基づいてヘッダ圧縮セッション、具体的には、ROHCセッションを設定すると、UE全体としては、maxNumberROHC-ContextSessionsを超過する数のROHCセッションの設定が要求される可能性がある。
【0009】
しかしながら、このようなROHCセッションの設定の要求は、UEの能力を超過するため、UEは、当該ROHCセッションを設定することができない。
【0010】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、所定のデュアルコネクティビティ(MR-DC)が実行される場合でも、より確実にヘッダ圧縮セッションを設定し得る無線基地局及びユーザ装置の提供を目的とする。
【0011】
本発明の一態様は、無線基地局(eNB100A)であって、ユーザ装置(UE200)が設定できるヘッダ圧縮セッションの最大数(maxNumberROHC-ContextSessions)に基づいて、前記ユーザ装置がデュアルコネクティビティを実行する前記無線基地局及び他の無線基地局(gNB100B)がそれぞれ設定できるヘッダ圧縮セッションの割り当て数(maxCID)を決定する制御部(制御部130)と、前記割り当て数を示す割り当て情報を前記他の無線基地局に送信する送信部(送信部110)とを備える。
【0012】
本発明の一態様は、ユーザ装置(UE200)であって、前記ユーザ装置が設定できるヘッダ圧縮セッションの最大数(maxNumberROHC-ContextSessions)に基づいて、前記ユーザ装置がデュアルコネクティビティを実行する無線基地局(eNB100A)及び他の無線基地局(gNB100B)とそれぞれ設定できるヘッダ圧縮セッションの割り当て数(maxCID)を決定する制御部(制御部230)と、前記割り当て数を示す割り当て情報を少なくとも前記無線基地局及び前記他の無線基地局の何れかに送信する送信部(送信部210)とを備える。
【0013】
本発明の一態様は、ユーザ装置(UE200)であって、前記ユーザ装置がデュアルコネクティビティを実行する無線基地局及び他の無線基地局の何れかからヘッダ圧縮セッションの設定要求を受信する受信部(受信部220)と、前記ユーザ装置が設定できるヘッダ圧縮セッションの最大数を超過するヘッダ圧縮セッションが設定されている場合でも、前記設定要求を受け付ける制御部(制御部230)とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、無線通信システム10の全体概略構成図である。
【
図2】
図2は、eNB100Aの機能ブロック構成図である。
【
図3】
図3は、UE200の機能ブロック構成図である。
【
図4A】
図4Aは、従来のROHCセッションの割り当て数(maxCID)の決定例を示す図である。
【
図4B】
図4Bは、本実施形態に係るROHCセッションの割り当て数(maxCID)の決定例を示す図である。
【
図5】
図5は、eNB100AによるROHCセッションの割り当て数の決定動作フロー(その1)を示す図である。
【
図6】
図6は、eNB100AによるROHCセッションの割り当て数の決定動作フロー(その2)を示す図である。
【
図7】
図7は、UE200によるROHCセッションの割り当て数の決定動作フローを示す図である。
【
図8】
図8は、UE200が能力以上のROHCセッションの設定要求を受信した場合における動作フローを示す図である。
【
図9】
図9は、eNB100A、gNB100B及びUE200のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0016】
(1)無線通信システムの全体概略構成
図1は、本実施形態に係る無線通信システム10の全体概略構成図である。無線通信システム10は、Long Term Evolution(LTE)及び5G New Radio(NR)に従った無線通信システムである。なお、LTEは4Gと呼ばれてもよいし、NRは、5Gと呼ばれてもよい。
【0017】
無線通信システム10は、Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network 20(以下、E-UTRAN20)、及びNext Generation-Radio Access Network 30(以下、NG RAN30)を含む。また、無線通信システム10は、ユーザ装置200(以下、UE200)を含む。
【0018】
E-UTRAN20は、LTEに従った無線基地局であるeNB100Aを含む。NG RAN30は、5G(NR)に従った無線基地局であるgNB100Bを含む。なお、E-UTRAN20及びNG RAN30(eNB100AまたはgNB100Bでもよい)は、単にネットワークと呼ばれてもよい。
【0019】
eNB100A、gNB100B及びUE200は、複数のコンポーネントキャリア(CC)を用いるキャリアアグリゲーション(CA)、及び複数のNG-RAN NodeとUEとの間においてコンポーネントキャリアを同時送信するデュアルコネクティビティ(DC)などに対応することができる。
【0020】
本実施形態では、eNB100Aがマスターノード(MN)を構成し、gNB100Bがセカンダリーノード(SN)を構成するMulti-Radio Dual Connectivity(MR-DC)、具体的には、E-UTRA-NR Dual Connectivity(EN-DC)を実行する。本実施形態において、eNB100Aは、無線基地局を構成し、gNB100Bは、他の無線基地局を構成する。
【0021】
具体的には、UE200は、eNB100Aを経由して設定されるベアラB11、ベアラB12、及びgNB100Bを経由して設定されるベアラB21を用いて通信を実行する。なお、ベアラB11, B12及びB21は、Data Radio Bearer(DRB)であってもよいし、Signalling Radio Bearer(SRB)であってもよい。
【0022】
また、本実施形態では、UE200は、インターネット・プロトコル(IP)、ユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)及びリアルタイム・トランスポート・プロトコル(RTP)をサポートし、IP/UDP/RTPヘッダが付加されたパケットを送受信する。
【0023】
さらに、eNB100A、gNB100B及びUE200は、パケット・データ・コンバージェンス・プロトコル・レイヤ(PDCP)を備え、IP/UDP/RTPヘッダ部分を圧縮及び解凍するRObust Header Compression(ROHC)に従った処理を実行する。
【0024】
(2)無線通信システムの機能ブロック構成
次に、無線通信システム10の機能ブロック構成について説明する。具体的には、eNB100A及びUE200の機能ブロック構成について説明する。
【0025】
なお、eNB100A(またはgNB100B)は、UE200によってROHCセッションの割り当て数が決定される場合、以下説明するROHCセッションの割り当て数の決定に関する一部の機能を実装しなくても構わない。
【0026】
同様に、UE200は、eNB100A(またはgNB100B)によってROHCセッションの割り当て数が決定される場合、以下説明するROHCセッションの割り当て数の決定に関する一部の機能を実装していなくても構わない。
【0027】
つまり、ROHCセッションの割り当て数の決定機能は、eNB100A(またはgNB100B)或いはUE200の何れかに実装されていればよい。但し、eNB100A(gNB100B)及びUE200両方への実装を妨げるものではない。
【0028】
(2.1)eNB100A
図2は、eNB100Aの機能ブロック構成図である。
図2に示すように、eNB100Aは、送信部110、受信部120及び制御部130を備える。なお、gNB100Bも、通信方式が異なる点を除き、eNB100Aと概ね同様の構成を有する。
【0029】
送信部110は、LTEに従った下りリンク信号(DL信号)を送信する。また、送信部110は、所定のメッセージ形式に従って、或いはノード間インタフェースを介してgNB100Bにメッセージを送信する。
【0030】
具体的には、送信部110は、X2/Xnインタフェースを介したgNB100Bとの通信、及びノード間メッセージのgNB100Bとの送受信を実行できる。特に、本実施形態では、送信部110は、eNB100AまたはgNB100Bが設定できるヘッダ圧縮セッション、具体的には、ROHCセッションの割り当て数を示す割り当て情報をgNB100Bに送信する。
【0031】
受信部120は、LTEに従ったUL信号を受信する。特に、本実施形態では、受信部120は、UE200によって決定されたROHCセッションの割り当て数を受信できる。
【0032】
また、受信部120は、X2/Xnインタフェースを介して、gNB100Bから送信されたノード間メッセージを受信する。
【0033】
送信部110及び受信部120は、UE200向けのプロトコルスタックとして、物理レイヤ(PHY)、媒体アクセス制御レイヤ(MAC)、無線リンク制御レイヤ(RLC)、パケット・データ・コンバージェンス・プロトコル・レイヤ(PDCP)及び無線リソース制御レイヤ(RRC)などを有している。
【0034】
送信部110及び受信部120は、PDCPレイヤにおいて、ROHCに従ったIP/UDP/RTPヘッダの圧縮・解凍処理を実行する。当該圧縮・解凍処理が実行されるPDCPエンティティ間(eNB100A~UE200間)では、上述したROHCセッションが設定される。当該PDCPエンティティは、設定されたROHCセッションのコンテキスト(IPフローに含まれるIP/UDP/RTPヘッダの変化パターンを含む)を共有する。
【0035】
制御部130は、送信部110によって送信されるUL信号、及び受信部120によって受信されるDL信号に関する制御を実行する。
【0036】
また、本実施形態では、制御部130は、ROHCセッションの割り当て数に関する制御を実行する。具体的には、制御部130は、eNB100AまたはgNB100Bがそれぞれ設定できるROHCセッションの割り当て数を決定する。
【0037】
より具体的には、eNB100Aは、UE200が設定できるROHCセッションの最大数に基づいて、eNB100AまたはgNB100Bに割り当てられるROHCセッションの割り当て数を決定する。
【0038】
ROHCセッションの最大数とは、例えば、3GPP TS 38.306において規定されるmaxNumberROHC-ContextSessionsを用いることができる。maxNumberROHC-ContextSessionsは、次のように規定されている。
【0039】
Defines the maximum number of header compression context sessions supported by the UE, excluding context sessions that leave all headers uncompressed.
maxNumberROHC-ContextSessionsは、UE200の能力(capability)の一種として、UE200からネットワークに通知される。
【0040】
また、ROHCセッションの割り当て数とは、例えば、3GPP TS 38.331において規定されるmaxCIDを用いることができる。maxCIDは、次のように規定されている。
【0041】
Indicates the value of the MAX_CID parameter as specified in TS 38.323 [5].
The total value of MAX_CIDs across all bearers for the UE should be less than or equal to the value of maxNumberROHC-ContextSessions parameter as indicated by the UE. The network configures the same value for maxCID in both rohc and uplinkOnlyROHC.
つまり、maxCIDは、ROHCセッション(コンテキストセッション)を識別する識別番号の最大値を示す。maxCIDは、ROHCに従ったヘッダ圧縮・解凍処理に用いるメモリ領域(ROHCセッションの数と対応する)がeNB100A、gNB100B及びUE200の能力を超過しないような値に設定される。
【0042】
このように、制御部130は、UE200と対応するmaxNumberROHC-ContextSessionsに基づいて、UE200がデュアルコネクティビティ(MR-DC)を実行するeNB100A及びgNB100Bがそれぞれ設定できるROHCセッションの割り当て数を決定できる。なお、ROHCセッションの割り当て数を決定する動作例については、後述する。
【0043】
ROHCセッションの割り当て数(maxCID)は、ネットワークからUE200に通知されるが、本実施形態では、後述するように、UE200が、eNB100A及びgNB100Bにそれぞれ割り当てられるROHCセッションの割り当て数を決定し、決定した当該割り当て数をネットワーク(eNB100A及びgNB100B)に通知することもできる。
【0044】
また、制御部130は、maxNumberROHC-ContextSessionsに基づいて、eNB100Aに割り当てられる割り当て数、及びgNB100Bに割り当てられる割り当て数を決定できる。例えば、制御部130は、maxNumberROHC-ContextSessionsが「4」である場合、eNB100Aに割り当てられる割り当て数、及びgNB100Bに割り当てられる割り当て数をそれぞれ「2」と決定できる。なお、当該割り当て数は、「2」以下でも構わない。
【0045】
また、当該割り当て数をmaxCIDを用いて指定する場合、上述したように、maxCIDは、設定されるROHCセッションを識別する識別番号の最大値を示し、当該識別番号は、「0」から始まるため、eNB100Aに割り当てられるmaxCID、及びgNB100Bに割り当てられるmaxCIDは、それぞれ「1」となる。
【0046】
さらに、制御部130は、maxNumberROHC-ContextSessionsと、eNB100AがUE200と設定しているROHCセッションの設定数とに基づいて、gNB100Bに割り当てられるROHCセッションの割り当て数を決定してもよい。
【0047】
例えば、制御部130は、maxNumberROHC-ContextSessionsが「4」であり、UE200と1つのROHCセッションを設定している場合、gNB100Bに割り当てられるROHCセッションの割り当て数を「3」と決定してもよい。なお、当該割り当て数は、「3」以下でも構わない。
【0048】
また、制御部130は、UE200によってROHCセッションの割り当て数が決定される場合、UE200から送信される当該割り当て数に基づいて、ROHCセッションを設定できる。
【0049】
(2.2)UE200
図3は、UE200の機能ブロック構成図である。
図3に示すように、UE200は、送信部210、受信部220及び制御部230を備える。
【0050】
送信部210は、LTEまたはNRに従った上りリンク信号(UL信号)を送信する。特に、本実施形態では、送信部210は、ROHCセッションの割り当て数を示す割り当て情報をネットワークに送信する。
【0051】
具体的には、送信部210は、ROHCセッションの割り当て数(maxCID)を示す割り当て情報を少なくともeNB100A及びgNB100Bの何れかに送信できる。当該割り当て情報は、UE200の能力(capability)としてネットワークに通知されてもよい。
【0052】
受信部220は、LTEまたはNRに従った下りリンク信号(DL信号)を受信する。特に、本実施形態では、eNB100A(またはgNB100B)において、上述したROHCセッションの割り当て数が決定される場合、受信部220は、当該割り当て数をネットワークから受信する。
【0053】
送信部210及び受信部220は、ネットワーク向けのプロトコルスタックとして、物理レイヤ(PHY)、媒体アクセス制御レイヤ(MAC)、無線リンク制御レイヤ(RLC)、パケット・データ・コンバージェンス・プロトコル・レイヤ(PDCP)などを有している。なお、
図3には示されていないが、送信部210及び受信部220は、当該プロトコルスタックとして、無線リソース制御レイヤ(RRC)も有している。
【0054】
また、送信部210及び受信部220は、上述したように、音声パケットなどのショートパケットの処理するため、インターネット・プロトコル(IP)、ユーザ・データグラム・プロトコル(UDP)及びリアルタイム・トランスポート・プロトコル(RTP)をサポートする。
【0055】
制御部230は、送信部210によって送信されるUL信号、及び受信部220によって受信されるDL信号に関する制御を実行する。
【0056】
また、本実施形態では、制御部230は、ROHCセッションの割り当て数に関する制御を実行する。具体的には、制御部230は、UE200が設定できるROHCセッションの最大数(maxNumberROHC-ContextSessions)に基づいて、UE200がデュアルコネクティビティ(MR-DC)を実行するeNB100A及びgNB100Bとそれぞれ設定できるROHCセッションの割り当て数を決定する。
【0057】
より具体的には、制御部230は、上述したeNB100Aの制御部130と同様に、eNB100A及びgNB100Bとそれぞれ設定できるROHCセッションの割り当て数(maxCID)を決定できる。
【0058】
また、本実施形態では、制御部230は、ネットワークからの要求に応じて当該割り当て数を決定してもよい。つまり、制御部230は、ネットワークからの要求がない場合、当該割り当て数を決定しなくても構わない。
【0059】
(3)無線通信システムの動作
次に、無線通信システム10の動作について説明する。具体的には、UE200及びネットワーク(eNB100A, gNB100B)によるROHCセッションの割り当て数(maxCID)の決定例、eNB100Aによる当該割り当て数の決定動作、及びUE200による当該割り当て数の決定動作について説明する。
【0060】
(3.1)ROHCセッションの割り当て数(maxCID)の決定例
図4Aは、従来のROHCセッションの割り当て数(maxCID)の決定例を示す。
図4Bは、本実施形態に係るROHCセッションの割り当て数(maxCID)の決定例を示す。具体的には、
図4Bは、eNB100A(MN)及びgNB100B(SN)とのMR-DC(EN-DC)実行時におけるROHCセッションの割り当て数(maxCID)の決定例を示す。
【0061】
図4A及び
図4Bに示すように、UE200及びネットワーク(NW)は、maxCIDによって示される識別番号(例えば、UE200では、「メモリ領域#3」)以下のメモリ領域のみ利用、つまり、4つのメモリ領域(ROHCセッション)以下のみ利用する。
【0062】
図4Bに示すように、UE200が、eNB100A(MN)及びgNB100B(SN)との間においてデュアルコネクティビティを実行する場合、MN及びSNを経由して設定されるROHCセッション数が、UE200のmaxNumberROHC-ContextSessions(ここでは「4」)を超過しないように設定される必要がある。
【0063】
そこで、本実施形態では、当該maxNumberROHC-ContextSessionsに基づいて、当該maxNumberROHC-ContextSessionsを超過しないように、MN及びSNにおいて設定できるROHCセッション、換言すると、利用できるメモリ領域が割り当てられる。
【0064】
図4Bに示す決定例では、MN及びSNにそれぞれ2つのメモリ領域が割り当てられている。これにより、ROHCセッションの割り当て数(maxCID)の和(2+2)は、maxNumberROHC-ContextSessions(4)を超過しない。
【0065】
なお、
図4A及び
図4Bに示す決定例では、1つのベアラ(DRB)が設定されていることを前提としているが、実際には、maxNumberROHC-ContextSessionsは、UE単位のROHCセッションの最大数であるため、ROHCが利用可能となっているDRBが複数設定されている場合には、maxNumberROHC-ContextSessionsを超過しないように各DRBのmaxCIDを設定する必要がある。
【0066】
つまり、ROHCに用いられるメモリ領域は、ベアラ間で共有されるため、3GPP TS38.331などでは、全てのベアラのmaxCIDの値を考慮して、maxNumberROHC-ContextSessionsを超えないように各ベアラのmaxCIDを設定する必要があることが規定されている。
【0067】
なお、ROHCが適用される典型的な種類のパケットとしては、音声パケットが挙げられる。音声パケットは、以下のような構成となっている。
【0068】
・IPヘッダ(IPv4/IPv6): 20 / 40 Byte
・UDPヘッダ: 8 Byte
・RTPヘッダ: 12 Byte
・ペイロード: 32 Byte
ROHCを適用することによって、IP/UDP/RTPヘッダを最小3byteまで圧縮することができる。
【0069】
(3.2)eNB100AによるROHCセッションの割り当て数の決定動作
次に、eNB100AがROHCセッションの割り当て数を決定する場合における動作フローについて説明する。eNB100Aは、ROHCセッションの割り当て数の決定に関して、gNB100Bとのコーディネーションを実行する。
【0070】
(3.2.1)動作例1
図5は、eNB100AによるROHCセッションの割り当て数の決定動作フロー(その1)を示す。
【0071】
図5に示すように、eNB100A(MN)は、自ノードを含む各ノード(MN及びSN)が用いることができるROHCセッション数を決定する(S10)。
【0072】
具体的には、eNB100Aは、UE200のmaxNumberROHC-ContextSessionsに基づいて、MN及びSNがそれぞれ設定できるROHCセッションの割り当て数(maxCID)を決定する。より具体的には、eNB100Aは、maxNumberROHC-ContextSessionsに基づくROHCセッションの最大数(例えば「4」)を、MN及びSN(それぞれ「2」)に振り分ける。
【0073】
eNB100Aは、決定した当該割り当て数を他方のノード(gNB100B)に通知する(S20)。具体的には、eNB100Aは、次のような方法によって、決定した当該割り当て数をgNB100Bに明示的または暗示的に通知できる。
【0074】
・決定主体ノード(eNB100A)が、決定主体ノードに割り当てられた割り当て数をgNB100Bに通知する
・決定主体ノード(eNB100A)が、他方のノード(gNB100B)に割り当てられた割り当て数をgNB100Bに通知する
なお、ベアラ単位の割り当て数が通知されてもよいし、ベアラが複数設定される場合には、決定主体ノード(eNB100A)に設定されている割り当て数(maxCID)の和が通知されてもよい。
【0075】
さらに、他方のノード(gNB100B)は、当該割り当て数が通知されない場合、当該他方のノードが設定できるROHCセッションの数を予め規定されている所定の値と見なしてもよい。例えば、最小値(0)、デフォルト値(15)、或いはmaxNumberROHC-ContextSessionsを所定値(ノード数など)で除した値を用い得る。
【0076】
(3.2.2)動作例2
図6は、eNB100AによるROHCセッションの割り当て数の決定動作フロー(その2)を示す。
【0077】
図6に示すように、eNB100A(MN)は、UE200とROHCセッションを設定する(S110)。具体的には、eNB100Aは、UE200またはネットワークからのROHCセッションの設定要求に基づいて、1つまたは複数のROHCセッションをUE200と設定する。
【0078】
eNB100Aは、UE200と設定したROHCセッション数に対応する値を他方のノード(gNB100B)に通知する(S120)。具体的には、eNB100Aは、UE200のmaxNumberROHC-ContextSessionsと、eNB100AがUE200と設定しているROHCセッション数の設定数とに基づいて、gNB100Bに割り当てられる割り当て数を決定する。
【0079】
なお、gNB100Bに割り当てられるROHCセッションの割り当て数は、動作例1と同様の通知方法を用い得る。
【0080】
また、何れかのノード(例えば、MN)は、他方のノード(SN)に対して、希望する割り当て数を要求してもよい。当該要求を受信したノード(MN)は、希望する割り当て数を許容できる場合、許容できる旨応答し、許容できない場合、許容可能な割り当て数を他方のノードに通知してもよい。
【0081】
さらに、他方のノード(SN)は、希望した割り当て数の要求に対する返信をMNから受信できない場合、希望した割り当て数がMNに受け入れられたと見なしてもよい。
【0082】
なお、上述したように、eNB100AとgNB100Bとは、X2/Xnインタフェースを介した通信、及びノード間メッセージの送受信の何れかによって、上述した情報を交換し得る。
【0083】
また、上述した動作例1,2では、eNB100Aが主体であったが、gNB100Bが主体となってもよい。この場合、gNB100Bは、MN(つまり、NE-DC)であってもよいし、SNであってもよい。
【0084】
さらに、eNB100AとgNB100Bとは、上述した割り当て数の決定処理に対応できることを示す能力情報を予め交換してもよい。
【0085】
(3.3)UE200によるROHCセッションの割り当て数の決定動作
次に、UE200がROHCセッションの割り当て数を決定する場合における動作フローについて説明する。UE200は、UE200のmaxNumberROHC-ContextSessionsに基づいて、eNB100A及びgNB100BへのROHCセッションの割り当て数を決定する(動作例1)。また、UE200は、UE200のmaxNumberROHC-ContextSessionsを超過するROHCセッションの割り当て数がネットワークから通知された場合でも、当該割り当て数を受け入れる(動作例2)。
【0086】
(3.3.1)動作例1
図7は、UE200によるROHCセッションの割り当て数の決定動作フローを示す。
図7に示すように、UE200は、各ノード、具体的には、eNB100A(MN)及びgNB100B(SN)が用いることができるROHCセッション数を決定する(S210)。
【0087】
ROHCセッション数を決定方法は、上述したeNB100AによるROHCセッションの割り当て数の決定動作例1と同様である。具体的には、UE200は、UE200のmaxNumberROHC-ContextSessionsの値を、それぞれの無線アクセス技術(RAT)間、換言すると、それぞれのセルグループに振り分ける。
【0088】
なお、振り分け方法は、単純に二分してもよいし、各RATでサポートされているDRBの数に比例してもよい。
【0089】
UE200は、決定した当該割り当て数をeNB100A(MN)及びgNB100B(SN)に通知する(S220)。
【0090】
具体的には、UE200は、決定した当該割り当て数を、各RATにおけるUE200の能力として通知してもよい。なお、UE200は、何れか一方のノードのみに当該割り当て数を通知し、当該割り当て数を受信したノードが、他方のノードに対応する値を通知してもよい。
【0091】
また、UE200は、ネットワークからの要求に応じて当該割り当て数を決定してもよい。つまり、UE200は、ネットワークから当該割り当て数の決定を要求された場合のみ、上述した決定動作を実行してもよい。
【0092】
(3.3.2)動作例2
図8は、UE200が能力以上のROHCセッションの設定要求を受信した場合における動作フローを示す。
【0093】
図8に示すように、UE200は、eNB100A(MN)またはgNB100B(SN)とのROHCセッションの設定要求を受信する(S310)。
【0094】
UE200は、当該設定要求に基づいてROHCセッションを設定すると、UE200の能力を超過するか否かを判定する(S320)。
【0095】
具体的には、UE200は、maxCIDがmaxNumberROHC-ContextSessionsを超過するか否かを判定する。
【0096】
UE200は、maxCIDがmaxNumberROHC-ContextSessionsを超過する場合でも、当該設定要求を許容する(S330)。
【0097】
UE200は、当該設定要求を許容したことによって、UE200の能力を超過したことをネットワークに通知する(S340)。
【0098】
なお、UE200は、UE200の能力を超過したことを通知してもよいし、超過したROHCセッション数を通知してもよい。さらに、UE200は、対象となるベアラの情報(例えば、DRB-ID)を通知してもよい。
【0099】
また、UE200は、UE200の能力を超過したROHCセッションと対応するコンテキストIDを有するPDCP-PDUを受信した場合、当該PDU(パケット)を破棄してもよい。
【0100】
さらに、UE200は、上述した割り当て数の決定動作、及び能力以上のROHCセッションの設定要求を受信した場合における動作に対応できることを示す能力情報(例えば、1ビットの情報)を予めネットワークに通知してもよい。
【0101】
UE200は、maxCIDがmaxNumberROHC-ContextSessionsを超過する場合、通常の動作フローでは、reconfiguration failureとして再接続が実行され、セカンダリセルグループに含まれるセルにおける無線リンク障害(S-RLF)となっていたが、本動作例によれば、このような状態となることを回避できる。
【0102】
(4)作用・効果
上述した実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。具体的には、eNB100Aは、UE200が設定できるROHCセッションの最大数に基づいて、eNB100AまたはgNB100Bに割り当てられるROHCセッションの割り当て数を決定し、当該割り当て数を示す割り当て情報をgNB100Bに送信する。
【0103】
同様に、UE200は、UE200が設定できるROHCセッションの最大数に基づいて、eNB100AまたはgNB100Bに割り当てられるROHCセッションの割り当て数を決定し、当該割り当て数を示す割り当て情報を少なくともeNB100A及びgNB100Bの何れかに送信する。
【0104】
このため、UE200がデュアルコネクティビティ、具体的には、MR-DCを実行する場合でも、eNB100A及びgNB100Bは、UE200が設定できるROHCセッションの最大数(maxNumberROHC-ContextSessions)を超過しないように、決定された当該割り当て数に基づいてROHCセッションを設定できる。
【0105】
これにより、MR-DCが実行される場合でも、eNB100A、gNB100B及びUE200は、より確実にROHCセッションを設定し得る。
【0106】
本実施形態では、eNB100Aは、UE200のmaxNumberROHC-ContextSessionsに基づいて、eNB100Aに割り当てられる割り当て数、及びgNB100Bに割り当てられる割り当て数を決定できる。このため、UE200の能力を超過することを回避しつつ、各ノードに割り当てられるROHCセッション数を効率的に決定し得る。
【0107】
本実施形態では、eNB100Aは、UE200のmaxNumberROHC-ContextSessionsと、eNB100AがUE200と設定しているROHCセッションの設定数とに基づいて、gNB100Bに割り当てられるROHCセッションの割り当て数を決定できる。このため、一定数のROHCセッションが既に設定されている場合でも、UE200の能力を超過することを回避しつつ、各ノードに割り当てられるROHCセッション数を効率的に決定し得る。
【0108】
本実施形態では、UE200は、ネットワークからの要求に応じてROHCセッションの割り当て数を決定できる。このため、ネットワークは、対応リリースが異なる複数種類のUEが混在する場合でも、ROHCセッションの割り当て数の決定動作に対応しているUE200に対して、当該動作を指示できるとともに、当該動作に対応していない旧いリリースのUEに対するバックワードコンパチビリティーも確保し得る。
【0109】
(5)その他の実施形態
以上、実施例に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
【0110】
例えば、上述した実施形態では、eNB100A(MN)がROHCセッションの割り当て数を決定していたが、MNに代えて、gNB100B(SN)がROHCセッションの割り当て数を決定してもよい。
【0111】
上述した実施形態では、ROHCセッションの割り当て数として、maxCIDが用いられていたが、必ずしもmaxCIDが用いなくても構わない。例えば、上述したように、maxCIDは、、設定されるROHCセッションを識別する識別番号の最大値を示しているが、ROHCセッションの割り当て数を直接的に示す新規のパラメータが用いられてもよい。
【0112】
上述した実施形態では、ROHCが適用されるアプリケーションとして、音声パケットが挙げられていたが、ペイロードに対するヘッダの比率が大きくなるショートパケット、例えば、Industrial IoT(IIoT)向けのパケットが対象となってもよい。
【0113】
また、上述した実施形態の説明に用いたブロック構成図(
図2,3)は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的または論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的または論理的に分離した2つ以上の装置を直接的または間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置または上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0114】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。例えば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。何れも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0115】
さらに、上述したeNB100A、gNB100B及びUE200(当該装置)は、本開示の無線通信方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図9は、当該装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図9に示すように、当該装置は、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0116】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。当該装置のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つまたは複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0117】
当該装置の各機能ブロック(
図2,3参照)は、当該コンピュータ装置の何れかのハードウェア要素、または当該ハードウェア要素の組み合わせによって実現される。
【0118】
また、当該装置における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0119】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU)によって構成されてもよい。
【0120】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。さらに、上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行されてもよいし、2つ以上のプロセッサ1001により同時または逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0121】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、Read Only Memory(ROM)、Erasable Programmable ROM(EPROM)、Electrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)、Random Access Memory(RAM)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施形態に係る方法を実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0122】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、Compact Disc ROM(CD-ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記録媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0123】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0124】
通信装置1004は、例えば周波数分割複信(Frequency Division Duplex:FDD)及び時分割複信(Time Division Duplex:TDD)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。
【0125】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0126】
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0127】
さらに、当該装置は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor: DSP)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、Programmable Logic Device(PLD)、Field Programmable Gate Array(FPGA)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部または全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0128】
また、情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、Downlink Control Information(DCI)、Uplink Control Information(UCI)、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング、Medium Access Control(MAC)シグナリング、報知情報(Master Information Block(MIB)、System Information Block(SIB))、その他の信号またはこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0129】
本開示において説明した各態様/実施形態は、Long Term Evolution(LTE)、LTE-Advanced(LTE-A)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4th generation mobile communication system(4G)、5th generation mobile communication system(5G)、Future Radio Access(FRA)、New Radio(NR)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、Ultra Mobile Broadband(UMB)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、Ultra-WideBand(UWB)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせなど)適用されてもよい。
【0130】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0131】
本開示において基地局によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局を有する1つまたは複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局及び基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MMEまたはS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)の少なくとも1つによって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MME及びS-GW)であってもよい。
【0132】
情報、信号(情報等)は、上位レイヤ(または下位レイヤ)から下位レイヤ(または上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0133】
入出力された情報は、特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報は削除されてもよい。入力された情報は他の装置へ送信されてもよい。
【0134】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0135】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0136】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0137】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(Digital Subscriber Line:DSL)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0138】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術の何れかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、またはこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0139】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一のまたは類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
【0140】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0141】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0142】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるため、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0143】
本開示においては、「基地局(Base Station:BS)」、「無線基地局」、「固定局(fixed station)」、「NodeB」、「eNodeB(eNB)」、「gNodeB(gNB)」、「アクセスポイント(access point)」、「送信ポイント(transmission point)」、「受信ポイント(reception point)、「送受信ポイント(transmission/reception point)」、「セル」、「セクタ」、「セルグループ」、「キャリア」、「コンポーネントキャリア」などの用語は、互換的に使用され得る。基地局は、マクロセル、スモールセル、フェムトセル、ピコセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
【0144】
基地局は、1つまたは複数(例えば、3つ)のセル(セクタとも呼ばれる)を収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局(Remote Radio Head:RRH)によって通信サービスを提供することもできる。
【0145】
「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、及び基地局サブシステムの少なくとも一方のカバレッジエリアの一部または全体を指す。
【0146】
本開示においては、「移動局(Mobile Station:MS)」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(User Equipment:UE)」、「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
【0147】
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0148】
基地局及び移動局の少なくとも一方は、送信装置、受信装置、通信装置などと呼ばれてもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、移動体に搭載されたデバイス、移動体自体などであってもよい。当該移動体は、乗り物(例えば、車、飛行機など)であってもよいし、無人で動く移動体(例えば、ドローン、自動運転車など)であってもよいし、ロボット(有人型または無人型)であってもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、必ずしも通信動作時に移動しない装置も含む。例えば、基地局及び移動局の少なくとも一方は、センサなどのInternet of Things(IoT)機器であってもよい。
【0149】
また、本開示における基地局は、移動局(ユーザ端末、以下同)として読み替えてもよい。例えば、基地局及び移動局間の通信を、複数の移動局間の通信(例えば、Device-to-Device(D2D)、Vehicle-to-Everything(V2X)などと呼ばれてもよい)に置き換えた構成について、本開示の各態様/実施形態を適用してもよい。この場合、基地局が有する機能を移動局が有する構成としてもよい。また、「上り」及び「下り」などの文言は、端末間通信に対応する文言(例えば、「サイド(side)」)で読み替えられてもよい。例えば、上りチャネル、下りチャネルなどは、サイドチャネルで読み替えられてもよい。
【0150】
同様に、本開示における移動局は、基地局として読み替えてもよい。この場合、移動局が有する機能を基地局が有する構成としてもよい。
【0151】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、またはこれらのあらゆる変形は、2またはそれ以上の要素間の直接的または間接的なあらゆる接続または結合を意味し、互いに「接続」または「結合」された2つの要素間に1またはそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合または接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1またはそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」または「結合」されると考えることができる。
【0152】
参照信号は、Reference Signal(RS)と略称することもでき、適用される標準によってパイロット(Pilot)と呼ばれてもよい。
【0153】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0154】
本開示において使用する「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0155】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0156】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0157】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【0158】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0159】
10 無線通信システム
20 E-UTRAN
30 NG RAN
100A eNB
100B gNB
110 送信部
120 受信部
130 制御部
200 UE
210 送信部
220 受信部
230 制御部
B11, B12, B21 ベアラ
1001 プロセッサ
1002 メモリ
1003 ストレージ
1004 通信装置
1005 入力装置
1006 出力装置
1007 バス