(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】電装部品を含む転送部材
(51)【国際特許分類】
H05K 1/18 20060101AFI20231109BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20231109BHJP
H05K 3/32 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H05K1/18 S
H05K3/46 Q
H05K3/46 G
H05K3/32 B
(21)【出願番号】P 2021515183
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(86)【国際出願番号】 GB2019000137
(87)【国際公開番号】W WO2020058660
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-09
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521007702
【氏名又は名称】コンダクティブ トランスファーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CONDUCTIVE TRANSFERS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100145883
【氏名又は名称】新池 義明
(72)【発明者】
【氏名】ブルック, ポール ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】バンゲイ, レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】キャッチポール, マーク ジョン
(72)【発明者】
【氏名】レビット, メルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】サトクリフ, スチーブン ポール
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-502792(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0117895(US,A1)
【文献】特開2017-152687(JP,A)
【文献】特開2017-143257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/18
H05K 3/46
H05K 3/32
H05K 3/34
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の非導電層及び第2の非導電層、該第2の非導電層が第1の複数の開口部を含む;
前記第1の非導電層と前記第2の非導電層の間の第1の導電層;
表面又は物品に
導電性転写部材を転写することを可能にするための接着剤層、該接着剤層が前記第1の複数の開口部と一致する第2の複数の開口部を含む;
前記第1の複数の開口部及び前記第2の複数の開口部によって前記第1の導電層と電気的に接触している結合材料;そして
前記第1の導電層及び前記結合材料と電気的に通信する少なくとも1つの電装部品;
を含み、
前記第1の導電層が、前記少なくとも1つの電装部品に電力源を供給する電力トレース及び前記少なくとも1つの電装部品に電気信号を供給するデータトレースを含み、
前記少なくとも1つの電装部品がカプセル化材料によってカプセル化されている、導電性転写部材
【請求項2】
前記少なくとも1つの電装部品が感知装置を含み、
温度;熱流;光;音;触覚;生物医学データ;生理学的データ;環境条件;電磁波
のいずれかを測定するように構成されている、請求項
1記載の導電性転写部材。
【請求項3】
第3の非導電層及び第2の導電層を更に含み、
前記第2の導電層が前記第1の導電層と電気接続を形成し、前記第3の非導電層が前記電気接続を提供する電気経路を含む、
請求項1
又は請求項2記載の導電性転写部材。
【請求項4】
第1の非導電層を印刷し;
前記第1の非導電層上に第1の導電層を印刷し、前記第1の導電層が電力トレース及びデータトレースを含み;
前記第1の導電層上に第2の非導電層を印刷し、前記第1の導電層が前記第1の非導電層と前記第2の非導電層の間に配置され、前記第2の非導電層が第1の複数の開口部を含み;
前記第1の導電層が前記第1の非導電層と前記第2の非導電層の間に配置され、前記第2の非導電層が第1の複数の開口部を含むように、前記第1の導電層上に第2の非導電層を印刷し;
前記第1の導電層及び前記第1及び第2の非導電層上に接着剤層を印刷し、表面又は物品に
導電性転写部材を転写することを可能にし、該接着剤層が前記第1の複数の開口部と一致する第2の複数の開口部を含み;
前記第1の複数の開口部及び前記第2の複数の開口部によって
結合材料が前記第1の導電層と電気的に接続するように、前記第1の導電層に
前記結合材料を適用し;
少なくとも1つの電
装部品を前記結合材料と接触させることによって
前記少なくとも1つの電
装部品を取り付け;そして
カプセル化材料を適用することによって、前記少なくとも1つの電装部品をカプセル化する;
ステップを含む、導電性転写部材を製造する方法。
【請求項5】
はんだペーストを溶融して前記少なくとも1つの電装部品を前記導電性転写部材に固定するように、オーブン内で前記導電性転写部材を硬化させる:
ステップを更に含む、請求項4記載の導電性転写部材を製造する方法。
【請求項6】
前記印刷ステップが、
スクリーン印刷;グラビア印刷;インクジェット印刷;レーザ印刷;平版印刷
のいずれかを更に含む、請求項
4又は請求項5記載の導電性転写部材を製造する方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの電
装部品を取り付ける前記ステップの前に、前記第1の導電層を電気的に試験する、
ステップを更に含む、請求項4ないし6のいずれか1項記載の導電性転写部材を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年9月19日提出の英国特許出願番号GB1815292.6に基づく優先権を主張するものであり、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
[発明の背景]
本発明は、導電性転写部材及び導電性転写部材を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人によって特許公開GB2555592に開示されているような導電性転写部材は、薄くて、軽量で、洗浄可能な伸縮性のある導電性要素を可撓性アイテム、例えば衣類などの着用体、に組み込むことができる手段を提供する。
プリント回路基板(PCB)は、また、電子部品を含む複雑な機能を提供することができ、そして、そのような機能を提供するために電子機器で利用される表面実装技術によって適切な回路を提供するものとして当該技術分野で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機能性を有する電子部品を着用体に組み込むことには従来から問題があるが、これは、薄くて、軽量で、洗浄できる又は伸縮性を有することが必要でない取り外し可能なコンポーネントを提供することによって、通常、解決できる。衣類などの着用体にこのような装置を組み込むと、煩雑になったり、機能が失われたりするおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[発明の簡単な要約]
本発明の第1の観点によれば、第1の非導電層及び第2の非導電層、該第2の非導電層が第1の複数の開口部を含む;前記第1の非導電層と前記第2の非導電層の間の第1の導電層;表面又は物品に導電性転写部材を転写することを可能にするための接着剤層、該接着剤層が前記第1の複数の開口部と一致する第2の複数の開口部を含む;前記第1の複数の開口部及び前記第2の複数の開口部によって前記第1の導電層と電気的に接触している結合材料;そして、前記第1の導電層及び前記結合材料と電気的に通信する少なくとも1つの電装部品;を含み、前記第1の導電層が、前記少なくとも1つの電装部品に電力源を供給する電力トレース及び前記少なくとも1つの電装部品に電気信号を供給するデータトレースを含み、前記少なくとも1つの電装部品がカプセル化材料によってカプセル化されている、導電性転写部材が提供される。
【0006】
本発明の第2の観点によれば、第1の非導電層を印刷し;前記第1の非導電層上に第1の導電層を印刷し、前記第1の導電層が電力トレース及びデータトレースを含み;前記第1の導電層上に第2の非導電層を印刷し、前記第1の導電層が前記第1の非導電層と前記第2の非導電層の間に配置され、前記第2の非導電層が第1の複数の開口部を含み;前記第1の導電層が前記第1の非導電層と前記第2の非導電層の間に配置され、前記第2の非導電層が第1の複数の開口部を含むように、前記第1の導電層上に第2の非導電層を印刷し;前記第1の導電層及び前記第1及び第2の非導電層上に接着剤層を印刷し、表面又は物品に導電性転写部材を転写することを可能にし、該接着剤層が前記第1の複数の開口部と一致する第2の複数の開口部を含み;前記第1の複数の開口部及び前記第2の複数の開口部によって結合材料が前記第1の導電層と電気的に接続するように、前記第1の導電層に結合材料を適用し;少なくとも1つの電装部品を前記結合材料と接触させることによって前記少なくとも1つの電装部品を取り付け;そしてカプセル化材料を適用することによって、前記少なくとも1つの電装部品をカプセル化する;ステップを含む、導電性転写部材を製造する方法が提供される。
【0007】
一実施形態では、少なくとも1つの電装部品が配置された後に結合材料を硬化させる更なるステップが実行される。接合材料は、任意の適切な導電性接着剤又ははんだペーストであり得る。はんだペーストを使用するとき、はんだペーストを溶融し、次いで冷却して固化させるために、導電性転写部材をリフロー炉で硬化させる。
各層の印刷ステップは、基板又は転写フィルム上に層を印刷することを含み、完了後、導電性転写部材は、典型的には、熱及び/又は圧力の適用によって適切な表面又は物品に転写又は適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、着用体内に組み込まれた本発明による導電性転写部材を示し;
【
図2】
図2は、導電性転写部材を製造する方法を示し;
【
図3】
図3は、本発明の導電性転写部材の第1の非導電層を示し;
【
図4】
図4は、本発明の導電性転写部材の導電層を示し;
【
図5】
図5は、本発明の導電性転写部材の第2の非導電層を示し;
【
図6】
図6は、本発明の導電性転写部材の接着剤層を示し;
【
図7】
図7は、照明装置の形態の例示的な電装部品の概略図を示し;
【
図8】
図8は、導電性転写部材の概略断面図を示し;
【
図9】
図9は、複数の導電層を有する代替の導電性転写部材の概略断面図を示し;
【
図10】
図10は、表面又は物品に導電性転写部材を適用するプロセスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、例としてのみ説明する。詳細な実施形態は、発明者が知る最良の形態を示し、特許請求した発明をサポートする。ただし、これらは単なる例示であり、特許請求の範囲を解釈又は制限するために使用するべきでない。その目的は、当該技術分野の当業者に教示を与えることである。
【0010】
[発明の詳細な説明]
(
図1)
本発明による導電性転写部材は、着用体内に組み込まれるように構成されている。
図1は、本発明による導電性転写部材が組み込まれた着用体の例を示し、説明する。
この例では、着用体101は、高視認性ジャケットなどのジャケットとして説明され、導電性転写部材の導電層と電気的に通信する電装部品を有する導電性転写部材を含む。
【0011】
導電性転写部材が着用体101に組み込まれているので、着用体101は従来のジャケットと機能的に同じように見える。しかしながら、着用体101は、この場合、複数の照光装置、例えば、発光ダイオード(LED)である複数の電装部品102及び103を含む。複数の電装部品102及び103のぞれぞれは、本発明に従ってジャケット101に組み込まれた導電性転写部材と関連付けられている。導電性転写部材は、着用体内に組み込まれ、導電性転写部材、したがって各電装部品に電力及び適切な信号を供給するように構成されている駆動制御装置104と電気的に通信している。駆動制御装置104は、外部から見えるというよりもむしろジャケット101の内部に隠されているであろうことが理解できる。
【0012】
着用体101は、ジャケット以外の任意の適切な着用体、例えば、ショーツ、ベスト、帽子又は他の着用体であり得ることが理解できる。更に、本明細書で説明する導電性転写部材は、他の任意の適切な物品又は機器に組み込まれてもよいことが理解できる。例えば、本明細書で説明する導電性転写部材は、導電性転写部材を含むいくつかの構成要素を含むより大きな電子機器の一部を形成することができる。
【0013】
図1の代替の実施形態としては、電装部品は、必要なパラメータを測定するように構成された感知装置を含む。例えば、感知装置は、温度、熱流、光、音、触覚、生物医学データ、生理学的データ、環境条件又は電磁波を測定するように構成され得る。一実施形態では、環境条件を測定するように構成された感知装置は、ユーザに警告するために、一酸化炭素などの汚染物質又はガスを測定することを含む。更なる実施形態では、電装部品は、刺激を与えるように構成され、例えば医療目的で着用者に刺激を与えるように着用体内に組み込まれている。
【0014】
更に、電装部品又は複数の電装部品は、導電性転写部材の導電層から電力源及び/又は電気信号を受領することができる任意の適切な部品であり得ることが理解できる。適切な電装部品及び用途には、以下のいずれかが含まれるが、これらに限定されない:シングルボードコンピュータ(SBC);プリント回路基板(PCB);フレキシ回路;システムオンチップ(SOC);揮発性メモリ;ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM);不揮発性メモリ;フラッシュメモリ;マイクロプロセッサ;マルチプロセッサ;マイクロ制御装置;並列プロセッサ;デジタルシグナルプロセッサ(DSP);グラフィックスプロセッシングユニット(GPU);表示装置制御装置;ニューラルプロセッサ;音声認識制御装置;キーフレーズ認識チップ;加速装置;無線周波数集積回路(RFIC);モデム;モバイルRFIC;移動体通信無線周波数(RF)フロントエンドSOC;マイクロ波集積回路(IC);ワイヤレス対応IC;無線LAN IC;Bluetooth(登録商標)SOC;低電力ワイドエリアネットワーク(LPWAN)SoC;Zigbee(登録商標)SOC;遠距離(LORA)SOC;Sigfox(登録商標)SOC;モノのインターネット(IOT)通信SOC;増幅器;電力増幅器;
【0015】
タッチセンサ;タッチ制御装置;触覚装置;スイッチ;ボタンスイッチ;スライドスイッチ;電力管理IC;デジタルアナログ変換器(DAC);アナログデジタル変換器(ADC);バッテリ管理IC;ワイヤレス充電IC;LED;マイクロLED;オーディオコーデック;スピーカ;マイクロフォン;表示装置;無機LED表示装置;有機LED表示装置;液晶表示装置(LCD);電気泳動表示装置;マイクロLED表示装置;光センサ;電気筋肉刺激(EMS)IC;経皮的電気神経刺激(TENS)IC;ガスセンサ;ガス検知器;空気粒子センサ;温度センサ;熱流束センサ;近接センサ;超音波送信機;超音波センサ;超音波通信IC;無線周波数識別(RFID);近距離無線通信(NFC);生理学的センサ;薬剤払出装置;医療用アクチュエータ;医療用センサ;汗センサ;汗分析IC;光学式心拍センサ;血圧センサ;呼吸数センサ;ヒータ;冷却装置;ペルチェ熱電冷却装置;熱電対列;ボロメータ;赤外線センサ;赤外線送信機;シリアル通信IC;SPI IC;I2C IC;電池;一次電池;二次電池;リチウムイオン電池;リチウムポリマー電池;変換器;太陽電池パネル;ポリマー電極、例えば、スイスIDUNテクノロジーズから入手可能;圧力センサ;ポリフッ化ビニリデン(PVDF)圧力センサ;圧電センサ;圧電発電装置;血液分析装置;皮膚抵抗測定装置。
【0016】
本発明による電装部品は、上記の例にかかわらず、印刷部品でもよい。例として、抵抗器、コンデンサ、トランジスタ、ペルチエ冷却器を含む冷却要素、触覚、圧力、光、熱流束又は温度を決定するセンサを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、導電性転写部材は、印刷された電装部品と物理的な電装部品の両方の組み合わせを含み得る。
【0017】
(
図2)
図2は、
図1で説明した用途に適した導電性転写部材を製造する方法を図式的に示す。
ステップ201で、従来のインクスクリーン印刷プロセスを使用して第1の非導電層を印刷し、
図3に関して説明するような適切なパターンを作成する。実施形態では、基板又は転写フィルム上に、直接、第1の非導電層を印刷する。続いてステップ202で、ステップ203に向けて、第1の非導電層が硬化及び乾燥される。
【0018】
ステップ203で第1の非導電層上に第1の導電層を印刷する。この導電層は、
図4に関して更に説明するが、電力トレース及びデータトレースを含む。
続いて、ステップ204で導電層を硬化する。ステップ205で、第1の導電層が第1の非導電層と第2の非導電層の間に配置されるように、第1の導電層上に第2の非導電層を印刷する。
図5に関して更に説明するように、開口部が、少なくとも1つの電装部品と一致するように、第2の非導電層に含まれ得る。ステップ206で加熱及び/又は乾燥によって第2の非導電層を硬化する。
【0019】
ステップ207で、導電層及び非導電層上に接着剤層を印刷し、上述のように、導電性転写部材を表面又は着用体などの物品に転写することができるようにする。接着剤層はまた、少なくとも1つの電装部品と一致するように、第2の非導電層への対応する開口部を含み得る。接着剤層は、必要に応じて追加の硬化ステップによって、その適用後に硬化させることができる。
ステップ201から207によって導電性転写部材が製造されると、ステップ208で第1の導電層に結合材料を適用する。結合材料が第1の導電層と電気的に接触するように結合材料を適用する。これは、本明細書で説明するように、第2の非導電層と接着剤層の適切な開口部によって達成することができる。ステップ209で、少なくとも1つの電装部品を結合材料と接触させることによって、少なくとも1つの電装部品が導電性転写部材に取り付けられる。
【0020】
一実施形態では、結合材料は、樹脂及び銀などの金属材料を含む導電性接着剤を含む。代替の組成として他の適切な導電性接着剤も利用できることが理解できる。代替の実施形態では、結合材料は、はんだペーストを含む。金属合金を含む適切なはんだペーストは、英国ウィラルのクオリテックによって低温はんだペーストとして供給されている。
結合材料は、導電層に任意の適切な方法で適用することができる。ある量の導電性接着剤を導電層に手で置くことが可能である。しかしながら、電装部品の正確な配置を確実にするために、結合材料を分配するためにピック・アンド・プレイス機械を利用することもできる。実施形態のピック・アンド・プレイス機械は、結合材料を含む注射器を備えており、導電層上の特定の位置に所定量の結合材料を分配するように構成されている。
【0021】
別の方法として、ステンシルを使って結合材料を印刷することを含むステンシル印刷の方法を利用することができる。プリンタには接着剤が必要な場所に開口部を提供する金属ステンシルが付属されている。プリンタは結合材料が充 ク≠ウれたステンシルを通過するので、結合材料がステンシルを介して導電層の必要な位置に押し出される。これは、たとえば、複数の異なる部品に複数の結合材料の適用ポイントを必要とする、より複雑な回路に特に適している。
【0022】
適用されると、結合材料は次に硬化される。接合材料としてはんだペーストを利用する例では、リフロー炉として知られるオーブンに転写部材を入れる。はんだペースト中の金属が溶けて、冷却時に固化する前に電装部品を所定の位置で固定する。導電性接着剤の例では、導電性転写部材をオーブンに入れて硬化させることもできる。
更なる実施形態では、はんだペーストと導電性接着剤の組み合わせを利用することができる。例示的な実施形態では、はんだペーストはステンシル印刷され、導電性接着剤はピック・アンド・プレイス機械によって分配され得る。
【0023】
電装部品は、代替手段によって導電性転写部材に取り付けられ得る。一実施形態では、少なくとも1つの電装部品を取り付けるステップは、電装部品を配置するためにピック・アンド・プレイス機械を利用することを含む。このタイプのピック・アンド・プレイス機械は、通常はテープのリールで供給される複数の部品を有することによって機能し、これらは、導電性転写部材の特定の部分に部品を配置するようにプログラムされた可動ヘッドによってリールから除去される。いくつかの実施形態では、複数の可動ヘッドを提供して、より複雑な電気的に機能する導電性転写部材を製造することができる。
ピック・アンド・プレースマシンは、ビジョンシステムを使用してピック・アンド・プレースマシンが光学的に位置合わせできる基板又は転写フィルムにマーカが印刷されるようにすることで、印刷層と適切に位置合わせをすることができる。これにより、電装部品の正確な配置が可能になり、再現性もあるため、その結果として大量生産に適している。
【0024】
代替の実施形態では、少なくとも1つの電装部品を取り付けるステップは、スタンプ転写印刷として知られている方法を含む。電装部品は原料上に提供され、エラストマーの転写スタンプは、複数の部品を選択し、それらを導電性転写部材上に配置するように構成されている。転送スタンプはクリーニングされ、プロセスを繰り返すことができるようにリセットされる。
結合材料を適用し、少なくとも1つの電装部品を取り付ける前に、印刷された導電層を電気的に試験してそれらの機能を確認するための更なるステップを含むことができる。このプロセスは、回路、個々の電装部品及びシステム全体を試験するために、電装部品を配置した後に実行することもできる。
【0025】
導電性転写部材全体を従来の洗浄方法に従って洗浄することができるように、機械的保護と強度を提供し、また、少なくとも1つの電装部品を保護するために、ステップ210で、少なくとも1つの電装部品は、カプセル化材料を適用してカプセル化される。カプセル化材料には、樹脂ベースの材料が含まれる。これは、上述のように結合材料の分配と同様の方法で分配シリンジを利用することによって、あるいはスクリーン印刷又はステンシル印刷によって実施することができる。
【0026】
代替の実施形態では、カプセル化は、電気回路にコーティングを噴霧するために従来から使用されているコンフォーマルコーティング機を利用することによって達成することができる。カプセル化材料は、案件用途に必要な特性を備えた任意の従来のコンフォーマルコーティング材料であり得る。例えば、そのようなコーティングは、熱を分散させるか、又は電装部品に直接加熱するために、特定の熱伝導特性を含み得る。カプセル化材料の適用に続いて、カプセル化材料の更なる硬化ステップを実施することができることを理解されたい。
各印刷プロセスにおいて、任意の従来の印刷プロセスによって印刷され得ることが理解できる。したがって、スクリーン印刷に加えて、印刷ステップのいずれか1つは、グラビア印刷、インクジェット印刷、レーザ印刷、平版印刷又は任意の他の適切な方法を含み得る。
【0027】
(
図3)
次に、導電性転写部材の印刷層に関する更なる詳細を、出願の
図3から6に関して説明する。
図3は、
図1に示した例に沿った第1の非導電層の例示パターンを示す。第1の非導電層301は、通常転写フィルムの形である基板上に直接印刷される。非導電層301は、水性印刷インク、紫外線硬化印刷インク、シリコーンインク、溶剤系インク、ラテックス印刷インク又はその他の適切な印刷インクを含む適切な印刷インクを含む。
第1の非導電層301は、開口部302を備えた固体層を示し、これは、導電性転写が完了すると、外部電気接続を行うことができるように導電層への適切なアクセスを提供する。
【0028】
(
図4)
図4は、
図3に対応する導電層の例示的パターンを提示する。導電層401は、
図2で説明したように第1の非導電層301上に印刷される。
導電層401は金属材料を含む導電性インクを含む。実施形態では導電性インクは銀を含む。
実施形態では、導電層401は、3つの分離されたトレースを含む。トレース402及び403は、電装部品に電力源を供給することができるように電力トレースとして構成されている。更にトレース404は、電装部品に電気信号を供給するデータトレースを含む。各トレース402、403及び404は、
図1に示した駆動制御装置104で終了する接続ポイント405につながる。したがって、駆動制御装置104は、接続ポイント405とデータトレース404への電気信号を介して電力トレース402及び403のそれぞれに電力源を供給することができる。
【0029】
実施形態では、ゼロボルト(0V)の電圧が電力トレース402に供給され、5ボルト(5V)の電圧が電力トレース403に供給され、アースされる。データトレース404は、各電力トレースの中央に配置され、電装部品が取り付けられるポイントで電力トレースに電気的に接続して、各電装部品に電圧を供給することができるようにする。実施形態では、導電層401は、各取付ポイント406で9つの電装部品を受け入れるように構成されている。
実施形態では、9つの電装部品は、
図7に関して更に説明するように、照光装置を備えている。実施形態では、照光装置は、稼働中にデータトレース404から電気信号を受信するように構成されたLEDである。
【0030】
実施形態では、導電層401はアンテナを含み、少なくとも1つの電装部品の1又は複数へ接続するように構成されている。更なる実施形態では、導電層401は、タッチ制御装置に接続可能なタッチセンサとして印刷される。これらの例は網羅的ではなく、導電層を任意の適切な方法で利用して電気回路を提供することができることを理解されたい。
【0031】
(
図5)
図5は、導電性転写部材の第2の非導電層の対応する例示的パターンを更に示す。第2の非導電層501は、水性印刷インク、紫外線硬化印刷インク、シリコーンインク、溶剤系インク、ラテックス印刷インク又はその他の適切な印刷インクを含む適切な印刷インクを含む。第2の非導電層501の印刷インクは、第1の非導電層301の印刷インクと実質的に類似していると予想される。
実施形態では、非導電層501は、電装部品がプロセスで取り付けられている取付ポイント406に対応する複数の開口部502を備える。したがって、このようにして、電装部品は、非導電層501によって印刷されず、非導電層501を通って突出する。
【0032】
(
図6)
図6は、接着剤層601に対応するパターンを示す。接着剤層601は、そのパターンに関して、第2の非導電層501と実質的に類似している。したがって、同様の方法で、複数の開口部602が接着剤層に含まれているので、電装部品が接着剤層によって隠されたり覆われたりしない。
接着剤層601は、
図1で説明した着用体などの任意の適切な表面又は物品に導電性転写部材を接着するのに適している。接着剤層601は、水性接着剤、溶剤ベースの接着剤、印刷可能な接着剤、粉末接着剤又は任意の表面又は物品への導電性転写部材を接着することができる他の適切な接着剤を含む。
【0033】
図3から
図6に関して説明した任意の1又はすべての層は、一実施形態では、導電性転写部材が一度製造されると伸縮性であることを可能にする伸縮性インクを含むことが理解できる。更に、導電層401は、必要に応じて伸縮性を高めるために正弦波状に印刷することができる。
【0034】
(
図7)
図7は、本発明に従って使用するのに適した電装部品を示す。照明装置701の概略図を示す。実施形態では、照光装置701は、中国の東莞オプスコ・オプトエレクトロニクス株式会社から入手可能なものなどである集積LEDチップを含む。
照明装置701は、複数のLED及び制御装置を含むハウジング702を備える。実施形態では、ハウジングは、それぞれ異なる色、赤、緑及び青の3つのLEDを備える。照明装置701は、電気接続用の4つの電極を含む。1つの電極は、制御装置及びLEDに電力703を供給する。更なる電極は、接地704である。残りの2つの電極は、制御信号入力705を受信し、制御信号出力706を供給するように構成されている。
【0035】
導電層401に接続されると、電力トレース403は電力703へ接続され、電力トレース402はアース704へ接続される。データトレース404は、データトレースに沿って進む電気信号を供給し、オフ又はオンとしてのLEDの性質又はそれらの出力強度などの稼働構成の表示を提供する。実施形態では、電気信号は、変調波形として供給される。各LEDは、信号から8ビット(8b)のデータを受信するように構成されており、照光装置毎に24ビット(24b)を受信する。したがって、各照明装置の制御装置は、受信するデータの量を制御して、必要に応じてLEDが確実に点灯するようにする。
したがって、導電層401に取り付けられると、使用中、電気信号は、次の24ビット(24b)次の照明装置、406Bに供給される前に、データトレースから24ビット(24b)を受信する第1の照光装置、例えば406A、に送られる。
したがって、導電層401に取り付けられると、使用中、電気信号は、第1の照光装置、例えば406A、に送られる。それは、次の24ビット(24b)が次の照明装置、406Bに供給される前に、データトレースから24ビット(24b)を受信する。
【0036】
(
図8)
図8は、本発明による導電性転写部材801の概略断面図を示す。この図は、概略的な目的のためだけであり、原寸に比例していないことを理解されたい。
導電性転写部材801は、本明細書で上述したプロセスに従って非導電層及び導電層が印刷される基板802を含む。実施形態では、基板802はポリエステルフィルムである。代替の実施形態では、基板802は、紙フィルム、コート紙又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む。
【0037】
導電性転写部材801は、第1の非導電層803、第2の非導電層804、及び第1の非導電層803と第2の非導電層804の間の第1の導電層805を更に含む。図示した断面図から、導電性転写部材801は、複数の電装部品806、この特定の断面を横切って3つ、を含むことが分かる。上述のように、導電層805は、必要に応じて各電装部品に電力及び電気信号を供給するために電力トレース及びデータトレースを備える。したがって、各電装部品は、導電層805と電気的に通信する。
【0038】
実施形態では、導電性転写部材801は、破片、汚れ、流体又は湿気などから各電装部品を保護するカプセル化材料807を更に含む。カプセル化材料807の各部分は、各電装部品をカプセル化するように構成されている。導電性転写部材801は、導電性転写部材801を表面又は物品に取り付けるために利用される接着剤層808を更に含む。
ここに示した実施形態は、
図1で説明した用途に適していることが理解できる。しかし、代替の実施形態では、代替の電装部品の方向性を説明するために、導電性転写部材の層を反転できることが更に理解できる。これは、導電性転写部材全体を別の基板に転写し、紫外線に反応する別の接着剤を利用することによって達成することができる。
【0039】
(
図9)
図9は、本発明による代替の実施形態における導電性転写部材901の概略断面図を示す。この図は、概略的な目的のためだけであり、原寸に比例していないことを理解されたい。
導電性転写部材901は、導電性転写部材801の基板802と実質的に同様である基板902を含む。したがって、基板902は、適切なポリエステルフィルム、紙フィルム、コート紙又は熱可塑性ポリウレタン(TPU)であり得る。
導電性転写部材901は、第1の非導電層903、第2の非導電層904及び第3の非導電層905を更に含む。導電性転写部材901は、第1の非導電層903と第3の非導電層の間に配置された第1の導電層906と、第2の非導電層904と第3の非導電層905の間に配置された第2の導電層907をも含む。
【0040】
第2の導電層907は第1の導電層906と電気接続を形成する。第3の非導電層905は、電気接続を提供するために電気経路又はビアを含む。そして、実施形態では、電気経路が第3の非導電層に2つの開口908を含む。したがって、第3の非導電層905が印刷されるとき、開口部908が存在し、印刷されたパターンが破壊されるように印刷される。したがって、ここで説明したプロセスに従って導電層907が刷り重ねられると、導電層907の導電性インクが開口部908内に印刷され、それによって電気経路及び接続が形成される。
【0041】
導電性転写部材901は複数の電装部品909も含み、この特定の断面を横切って3つ示す。
本発明によれば、各電装部品は、導電層906及び907の少なくとも1つと電気的に通信しており、導電層の少なくとも1つは、必要に応じて電装部品と通信するために電力トレース及びデータトレースを供給する。
図9の例では2つの導電層を示したが、他の任意の数の導電層、及び導電層と非導電層の組み合わせを利用して、より複雑な電気装置を製造し得ることが理解できる。これは、機能性が向上した複数の同様の層を含み得るが、
図9の導電性経路と同様のビアを含めるためにかなりの後処理を必要とする従来のPCBに代わる、より安価で簡単な代替手段を提供する。特に、導電性転写部材に関するこのプロセスは、プロセスに実質的な追加をすることなく容易に含めることができる。
【0042】
(
図10)
ここで説明した導電性転写部材の製造に続いて、導電性転写部材は、
図1に関して説明した着用体などの物品の表面に適用することができる。
図10は、物品の表面に導電性転写部材を適用するプロセスを示す。
ステップ1001で導電性転写部材を得る。ステップ1002で導電性転写部材を適用できる表面上の適切な位置にこれを配置する。
転写部材を所定の位置に配置後、ステップ1003で、熱、圧力又は熱と圧力の組み合わせを導電性転写部材と表面の両方に加える。
【0043】
実施形態では、熱及び圧力は、ヒートプレスによって加えられる。従来のヒートプレスは、通常、プレスが影響を受ける剛性表面を備えている。これは、従来の機械上の電装部品に損傷を与える可能性があるという問題を提示する。一実施形態では、空気充填パッドがプレスの下に補給されるので、電装部品が空気充填パッドに衝突したときにそれらが損傷することがない。代替の実施形態では、ヒートプレスには、少なくとも1つの電装部品と整列するステンシルが与えられるので、ヒートプレスから力が加えられたときに、電装部品は力を受けないが、残りの導電性転写部材は受ける。これは、必要に応じて電装部品を熱から保護する機能も果たす。
【0044】
接着すると、導電性転写部材を含む物品は、導電性転写部材が取り付けられた状態で熱及び/又は圧力を加えるために機械から取り外すことができる。
次に、ステップ1004で非導電性及び導電性インクが印刷された基板を導電性転写部材から取り除くと、物品が導電性転写部材及び電装部品をその中に保持することができる。
【0045】
表面又は物品に転写部材を適用する前に、電装部品及び導電性転写部材を適切に試験して、それらが効果的に機能していることを確認することができることを理解されたい。これにより、完全に機能する導電性転写部材を第三者に供給して、必要に応じて物品に独自に適用することができる。しかしながら、適用後の導電性転写部材の機能性を保証するために、適用段階の後に更なる試験を行うこともできることも更に理解されたい。
したがって、本発明は、表面を有する任意の適切な物品に適用することができ一体型電装部品を備えた機能を有する物品内の導電性回路を提供する機能を高めた転写部材を可能にする。導電性転写部材は、従来の洗浄又は洗浄プロセスに耐え得る耐久性も保持する。