(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】癌の併用電気化学療法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/32 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
A61N1/32
(21)【出願番号】P 2021562797
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 US2020028512
(87)【国際公開番号】W WO2020219339
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2021-11-17
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、ブライアン エル.
(72)【発明者】
【氏名】スタイン、ベンジャミン キース
(72)【発明者】
【氏名】マイレ、キース アール.
(72)【発明者】
【氏名】バルツェウスキ、ロン エイ.
(72)【発明者】
【氏名】カラム、アレクサンドラ
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-510606(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0008708(US,A1)
【文献】特表2018-511362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
癌性腫瘍を治療するための医療機器であって
、
癌細胞集団を含む前記癌性腫瘍の部位又はその近くに、1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路
と、
前記電界発生回路と通信する制御回路構成部品であって、前記制御回路構成部品は、前記電界発生回路から、前記癌性腫瘍の前記部位又はその近くへの前記1つ以上の電界の届きを制御するように構成されて
いる、前記制御回路構成部品と、
1本以上のリード線であって、該1本以上のリード線の各々は、前記電界発生回路と電気通信する1つ以上の電極と、前記1本以上のリード線の長さ部分に沿って位置決めされる1つ以上の光エミッターと、を備えている、前記1本以上のリード線と、を備え、
前記制御回路構成部品は、前記電界発生回路に、100kHz~300kHzの範囲内から選択された周波数で、身体組織内にある癌性腫瘍の前記部位に1つ以上の電界を発生させるようにし、前記1つ以上の電界は、有糸分裂を遅延させ且つ前記癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的である、制御回路構成部品を含み、
前記1つ以上の電界は、3V/cm~5V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度を備える、医療機器。
【請求項2】
前記1つ以上の光エミッターは、前記癌性腫瘍の前記部位へ光エネルギーを伝達するように構成されている、請求項
1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記1つ以上の光エミッターは、350nm~950nmの間の範囲から選択される最大発光波長を有する、請求項
1に記載の医療機器。
【請求項4】
1つ以上の薬物送達カテーテルをさらに備え、該薬物送達カテーテルは、1種以上の化学療法薬を送るように構成されている、請求項1に記載の医療機器。
【請求項5】
前記1種以上の化学療法薬は、光学的に活性化される化学療法薬である、請求項
4に記載の医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、全指定国に対する出願人としてボストン・サイエンティフィック・サイムド(Boston Scientific Scimed,Inc.)(米国企業)、並びに全指定国の発明人としてブライアン・L.シュミット(Brian L.Schmidt)(米国民)、ベンジャミン・キース・ステイン(Benjamin Keith Stein)(米国民)、キース・R.メイル(Keith R.Maile)(米国民)、ロン・A.バルチェウスキ(Ron A.Balczewski)(米国民)及びアレクサンドラ・カラム(Aleksandra Kharam)(米国民)の名義で2020年4月16日にPCT国際特許出願として出願されている。本出願は、2019年4月22日出願の米国仮特許出願第62/837,130号明細書の優先権を主張し、その内容全体を参照することにより本明細書に援用する。
【0002】
本明細書の実施形態は、電気及び/又は化学療法モダリティの1つ以上を使用して、癌性腫瘍を治療するための方法、機器、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
アメリカ癌協会(American Cancer Society)によれば、癌は、毎年、米国における死因の25%近くを占める。癌性腫瘍に関する現行の標準治療は、手術、放射線療法、及び化学療法などの一次治療を含み得る。さらなる二次治療は、放射性シード(radioactive seeding)、凍結療法、ホルモン又は生物学的療法、アブレーションなどを含み得る。一次治療と二次治療の併用も、1つの特定の療法がそれだけでは有効ではない場合、患者に有益とし得る。
【0004】
癌性腫瘍は、体のいずれかの部分の1つの正常細胞が変異し、その後、過剰に且つあまりにも速く成長し且つ増殖し始める場合、形成し得る。癌性腫瘍は、細胞分裂中に起こる細胞DNA又はRNAの遺伝子変異、電離若しくは非電離放射線などの外的刺激、発がん性物質への曝露の結果、又は遺伝性の遺伝子突然変異の結果とし得る。病因に関わらず、多くの癌性腫瘍は、抑制がきかない急速な細胞分裂によって生じる。
【0005】
活発に分裂する体細胞は全て、多くの型の癌細胞を含め、細胞周期を通して細胞分裂する。活発に分裂する細胞は、細胞周期の2つの主要な期を経過する:間期及びM期。細胞周期の最長期である間期中に、個々の細胞は、倍の大きさになり始め、且つ細胞分裂に備えてそのDNAを複製する。間期は、3つの別々の期に以下の順序で分けられ得る:ギャップ期1、すなわちG1期;合成期、すなわちS期;及びギャップ期2、すなわちG2期。G1期では、染色体を除く細胞内容物の全てが、写しを作られ(duplicated)、且つ細胞の大きさが倍になり始める。S期中に、DNA合成により染色体を複製して、細胞内の各染色体に対し2本の姉妹染色分体を形成する。G2期中に、細胞は成長し続け、且つM期のために細胞及び染色体を準備する。
【0006】
M期中に、細胞は、間期を出て、有糸分裂又は核分裂のプロセスを開始し、これは、姉妹染色分体の分離を含む。M期は、細胞質分裂(cytokinesis、cytoplasmic division)で終了する。有糸分裂は、4つの基本的な期を含む:前期、中期、後期、及び終期。前期中、染色体凝縮が開始し、且つ核を取り囲む核膜(nuclear membrane)は消失する。前期中に、有糸分裂紡錘体の形成も始まる。有糸分裂紡錘体は、微小管及び中心体の自己組織化双極アレイを含む。微小管は、一般的に、高極性αチューブリンタンパク質及びβチューブリンタンパク質の重合から形成されている。中心体は、同様にタンパク質ベースの細胞小器官であり、2つの中心体が、この期において分裂細胞の両極に移動する。微小管の負に帯電した端部が中心体に取り付く。微小管の正に帯電した端部が、分裂細胞の赤道面の方へ向かって放射状に広がり、そこで、それらは、最終的に、各姉妹染色分体のキネトコアに取り付く。中期は、全染色体が分裂細胞の赤道面に整列され且つ有糸分裂紡錘体に結合され得ることによって、定義され得る。その後、後期中に、同数の姉妹染色分体が、細胞の両極の方へ引かれる。ひとたび全染色体が分離されたら、終期のプロセスが開始し、ここでは、細胞膜は、2つの新しく形成される姉妹細胞間に分裂溝を形成し始め、ひとたび細胞が細胞質分裂と呼ばれるプロセスにおいて物理的に互いに分離すると、細胞分裂が完了することになる。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様では、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための方法が含まれる。方法は、癌性腫瘍の部位又はその近くに1つ以上の電界を印加することを含み得、癌性腫瘍は癌細胞集団を含み得る。1つ以上の印加電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期(mitotic synchronization)を引き起こすのに効果的である。方法は、癌細胞集団内で有糸分裂を進めることができるようにするために、1つ以上の電界を除去することを含み得る。方法は、1つ以上の電界が除去された後、対象者に化学療法薬を投与することを含み得る。
【0008】
第2の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、1分~24時間の期間の範囲内から選択された期間にわたって、1つ以上の電界を印加することを含む。
【0009】
第3の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、方法は、1つ以上の電界に反応して、癌細胞集団うちの少なくとも5%が有糸分裂で同期するとき、対象者に化学療法薬を投与することを含み得る。
【0010】
第4の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、1つ以上の電界は、100kHz~300kHzの範囲内から選択された周波数で、癌性腫瘍に印加される。
【0011】
第5の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、1つ以上の電界は、3V/cm~5V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度を含む。
【0012】
第6の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、化学療法薬は、治療有効量で対象者に投与される。
第7の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、対象者に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位又はその近くで、対象者の体外に1つ以上の電界を印加することを含む。
【0013】
第8の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位又はその近くで、少なくとも部分的に対象者の体内に1つ以上の電界を印加することを含む。
【0014】
第9の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位又はその近くで、少なくとも部分的に対象者の体外に、1つ以上の電界を印加することを含む。
【0015】
第10の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、医療機器は、さらに、電界発生回路と電気通信する1本以上のリード線を含む。
【0016】
第11の態様では、癌性腫瘍を治療するための方法が含まれる。方法は、癌性腫瘍のある対象者の体内に、1つ以上の植え込み可能な電極を植え込むことを含み得る。方法は、対象者の体の外面に1つ以上の外部電極を配置することを含み得る。方法は、予め定められたスケジュールに従って、少なくとも一対の電極間に、10kHz~1MHzの範囲内の周波数を有する電界を発生させることを含み得る。方法は、1つ以上の電界を除去すること;及び1つ以上の電界が除去された後、癌性腫瘍の部位又はその近くに化学療法薬を投与することを含み得る。
【0017】
第12の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、1つ以上の印加電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的である。
【0018】
第13の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、1つ以上の電界を除去することは、癌細胞集団内で有糸分裂を進めることができるようにする。
【0019】
第14の態様では、癌性腫瘍を治療するための医療機器が含まれる。医療機器は、癌性腫瘍の部位又はその近くに1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路を含み得、癌性腫瘍は癌細胞集団を含み得る。医療機器は、電界発生回路と通信する制御回路構成部品を含み得、制御回路構成部品は、電界発生回路から、癌性腫瘍の部位又はその近くへの1つ以上の電界の届きを制御するように構成され得る。制御回路構成部品は、電界発生回路に、10kHz~1MHzの範囲内から選択された周波数で、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に1つ以上の電界を発生させるようにし得、1つ以上の電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的である。
【0020】
第15の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、医療機器は、さらに、電界発生回路と電気通信する1本以上のリード線を含み得る。
【0021】
第16の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、医療機器は、さらに:1種以上の化学療法薬を送るための薬物送達カテーテル;光活性化光エネルギーを伝達するための1つ以上の光エミッターを含み得る光リード;癌性腫瘍から生検標本を得るための生体検査装置;及び老廃物や体液を洗い流すための灌注カテーテのうちの1つ以上を含み得る。
【0022】
第17の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、化学療法薬は有糸分裂阻害薬を含む。
第18の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、化学療法薬は、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、2-メトキシエストラジオール、パツピロン(patupilone)、トラスツズマブエムタンシン(trastuzumab emtansine)、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1種を含む。
【0023】
第19の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、化学療法薬は、光学的に活性化される化学療法薬を含む。
第20の態様では、前述若しくは以下の態様のうちの1つ以上に加えて、又はいくつかの態様の代替例において、化学療法薬はナノ粒子を含む。
第21の態様は、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための方法であって:
癌細胞集団を含む前記癌性腫瘍の部位又はその近くに1つ以上の電界を印加することであって;
前記1つ以上の印加電界は、有糸分裂を遅延させ且つ前記癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的であること;
前記癌細胞集団内で有糸分裂を進めることができるようにするために、前記1つ以上の電界を除去すること;及び
前記1つ以上の電界が除去された後、前記対象者に化学療法薬を投与すること
を含む。
第22の態様では、第21の態様において、前記癌性腫瘍に前記1つ以上の電界を印加することは、1分~24時間の期間の範囲内から選択された期間にわたって、前記1つ以上の電界を印加することを含む。
第23の態様では、第21または第22の態様において、さらに、前記1つ以上の電界に反応して、前記癌細胞集団のうちの少なくとも5%が有糸分裂で同期するとき、前記対象者に前記化学療法薬を投与することを含む。
第24の態様では、第21~第23の態様のいずれか1つにおいて、前記1つ以上の電界は、100kHz~300kHzの範囲内から選択された周波数で、前記癌性腫瘍に印加される。
第25の態様では、第21~第24の態様のいずれか1つにおいて、前記1つ以上の電界は、3V/cm~5V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度を含む。
第26の態様では、第21~第25の態様のいずれか1つにおいて、前記化学療法薬は、治療有効量で前記対象者に投与される。
第27の態様では、第21~第26の態様において、前記対象者に前記1つ以上の電界を印加することは、前記癌性腫瘍の前記部位又はその近くで、前記対象者の体外に、前記1つ以上の電界を印加することを含む。
第28の態様では、第21~第27の態様のいずれか1つにおいて、前記癌性腫瘍に前記1つ以上の電界を印加することは、前記癌性腫瘍の前記部位又はその近くで、少なくとも部分的に前記対象者の体内に、前記1つ以上の電界を印加することを含む。
第29の態様では、第21~第28の態様のいずれか1つにおいて、前記癌性腫瘍に前記1つ以上の電界を印加することは、前記癌性腫瘍の前記部位又はその近くで、少なくとも部分的に前記対象者の体外に、前記1つ以上の電界を印加することを含む。
第30の態様では、第21~第29の態様のいずれか1つにおいて、医療機器は、さらに、電界発生回路と電気通信する1本以上のリード線を含む。
第31の態様は、癌性腫瘍を治療するための方法であって:
前記癌性腫瘍のある対象者の体内に、1つ以上の植え込み可能な電極を植え込むこと;
前記対象者の前記体の外面に1つ以上の外部電極を配置すること;
予め定められたスケジュールに従って、少なくとも一対の電極間に、10kHz~1MHzの範囲内の周波数を有する電界を発生させること;及び
前記1つ以上の電界を除去すること;及び
前記1つ以上の電界が除去された後、前記癌性腫瘍の部位又はその近くに化学療法薬を投与すること
を含む。
第32の態様では、第31の態様において、前記1つ以上の印加電界は、有糸分裂を遅延させ且つ前記癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的である。
第33の態様では、第31又は第32の態様において、前記1つ以上の電界を除去することは、前記癌細胞集団内で有糸分裂を進めることができるようにする。
【0024】
この概要は、本出願の教示の一部の要旨であり、且つ本主題の排他的又は包括的な扱いを意図するものではない。さらなる詳細は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲において見出される。他の態様は、以下の詳細な説明を読んで理解し、且つその一部をなす図面を見れば、当業者には明らかであり、それらはそれぞれ、限定ととられるべきではない。本明細書の範囲は、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的な等価物によって定義される。
【0025】
態様は、以下の図面と併せて、より完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本明細書の様々な実施形態による例示的な細胞周期の概略図である。
【
図2】本明細書の様々な実施形態による健康な真核細胞におけるM期の概略図である。
【
図3】本明細書の様々な実施形態による癌性真核細胞におけるM期の概略図である。
【
図4】本明細書の様々な実施形態による活発に分裂する細胞の百分率対時間の概略的なプロットである。
【
図5】本明細書の様々な実施形態による方法の概略図である。
【
図6】本明細書の様々な実施形態による方法の概略図である。
【
図7】本明細書の様々な実施形態による方法の概略図である。
【
図8】本明細書の様々な実施形態による方法の概略図である。
【
図9】本明細書の様々な実施形態による方法の概略図である。
【
図10】本明細書の様々な実施形態による方法の概略図である。
【
図11】本明細書の様々な実施形態による医療機器の概略図である。
【
図12】本明細書の様々な実施形態による医療機器の概略図である。
【
図13】本明細書の様々な実施形態による医療機器の概略図である。
【
図14】本明細書の様々な実施形態による医療機器の概略図である。
【
図15】本明細書の様々な実施形態による医療機器の概略断面図である。
【
図16】本明細書の様々な実施形態による医療機器の構成要素の概略図である。
【
図17】本明細書の様々な実施形態による例示的な電界のプロットである。
【
図18】本明細書の様々な実施形態による例示的な電界のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施形態は、様々な修正例及び代替形態の影響を受けやすいが、その詳細は、例として図面に示されており、且つ詳細に説明される。しかしながら、本明細書の範囲は、説明の特定の実施形態に限定されないことが理解されるべきである。それどころか、本明細書の趣旨及び範囲内にある修正例、等価物、及び代替例を網羅することを意図する。
【0028】
上述の通り、多くの癌性腫瘍は、抑制がきかない急速な細胞分裂によって生じ得る。癌性腫瘍を治療するためのいくつかの伝統的な一次治療は、手術、放射線療法、及び化学療法を含み得る。しかしながら、多くの一次治療は、数例を挙げると倦怠感、脱毛、免疫抑制、及び長い術後回復時間などの望ましくない副作用を伴う。
【0029】
理論に縛られることを意図としないが、交番電界は、細胞分裂に関わる主要タンパク質;特にチューブリン及びセプチン(septin)の双極子配列と干渉し合うことによって、癌性腫瘍内の有糸分裂を中断し得ると考えられている。微小管紡錘糸を形成するチューブリンタンパク質の重合が中断され得るため、染色体分離に必要な紡錘糸の形成を防げる。これにより、有糸分裂の中期段階における細胞分裂を停止し得る。場合によっては、交番電界は、既に成長している紡錘糸の重合を停止し得、細胞がそれだけ長く生き残る場合には、後期中の不完全な紡錘体及び同じでない(unequal)染色体分離に至る。いずれの場合も、微小管の不完全な重合によって引き起こされる、後期中の微小管紡錘体の形成及び同じでない染色体分離を停止することは、アポトーシス(すなわち、プログラムされた細胞死)を生じ得る。いくつかの実施形態では、交番電界は、2つの娘細胞が分離されるときに収縮する力を発生させることを担当する収縮環の形成に関わるタンパク質に干渉することによって、有糸分裂を中断し得ることがさらに認識される。収縮環の形成に関わる様々なタンパク質は、限定されるものではないが、F-アクチン、ミオシン-2、アニリン(anillin)、1種以上のセプチン、Rho、プロフィリン、コフィリン、及び雄生殖細胞Ras関連C3ボツリヌス毒素基質GTPアーゼ活性化タンパク質(MgcRacGAP)を含み得る。
【0030】
交番電界は、癌細胞を含め、細胞集団内の有糸分裂を同期させ得るとも考えられている。癌細胞集団を同期させることは、同期する有糸分裂活性細胞集団を標的にするのにより有効である化学療法薬によって、癌細胞集団をより短い期間内で1種以上の化学療法薬に対して高度の感受性を示すようにさせ得ると考えられている。
【0031】
さらに、いくつかの実施形態では、光学的に活性化される化学療法薬が、電気刺激療法と併用して投与され得る。いくつかの実施形態では、電気刺激療法と併用してナノ粒子が投与され得る。
【0032】
ここで
図1を参照すると、例示的な真核細胞周期100の概略図が、本明細書の実施形態に従って示されている。真核細胞周期は、2つの主要な期、例えば間期102及びM期104に分けられ得る。間期は、3つの重要な(key)期、例えばG1期106(すなわち、ギャップ期1);S期108(すなわち、合成期);及びG2期110(すなわち、ギャップ期2)を含む。G1期106中、細胞は、染色体を除いて、その細胞内容物全ての写しを作るプロセスを開始することによって、それ自体が二つになるのに備える。S期108中、細胞は、細胞の各染色体に対して2本の姉妹染色分体を形成するためのDNA複製のプロセスによって新しいDNAを合成する。G2期110中、細胞は、その成長を続け、且つM期での細胞によって必要とされるタンパク質を合成する。
【0033】
細胞周期100のM期は、2つの重要な期:有糸分裂112及び細胞質分裂114からなる。有糸分裂112は核分裂のプロセスであり、及び細胞質分裂114は細胞質分裂のプロセスである。ここで
図2を参照すると、例示的な真核細胞周期におけるM期104の概略図が、本明細書の実施形態に従って示されている。健康な例示的な細胞200では、有糸分裂は、前期202の過程で開始し、ここで、染色体204が凝縮し始めて、一対の同一の姉妹染色分体を形成し(姉妹染色分体215については下記で説明する)、核を取り囲む核膜(nuclear envelope)206が消失し、及び紡錘糸208を含む紡錘体が形成され始める。前期202には中期210が続き、ここで、染色体204は、分裂細胞の赤道面に並び、且つ各染色体のキネトコアで紡錘糸208によって結合される。その後、染色体204は、各姉妹染色分体215を各中心体214の方へ及び分裂細胞の両極側へ引く紡錘糸208の作用によって、後期212の間に分離される。終期216中、核膜218が分裂細胞の両極で各組の染色体204の周りに再形成され、及び分裂溝220が分裂細胞の2つの半体間に形成され始める。細胞周期における最終段階は、細胞質分裂114の段階であり、2つの遺伝学的に同一の娘細胞222を形成し、これにより、細胞周期から出得るか、又は後続の細胞周期過程224に再び入り得る。
【0034】
多くの癌細胞は、極めて代謝的に活性に富み、且つ細胞分裂に関連する分裂速度が速い。本明細書で説明する癌性腫瘍を治療するための方法及び医療機器は、急速に分裂する癌細胞における有糸分裂を標的とし得る。いずれの特定の理論にも縛られないが、化学療法薬の利用及び/又は行われる抗有糸分裂療法は、いくつかの方法で癌細胞内での有糸分裂の期を変更させ得る。
【0035】
ここで
図3を参照すると、化学療法薬及び/又は行われた抗有糸分裂療法によって中断された例示的な癌細胞301におけるM期300の概略図が、本明細書の実施形態に従って示されている。癌細胞301内の有糸分裂は、
図2に示すような健康な例示的な細胞200と同様に開始する。癌細胞301内の有糸分裂の過程は前期302で始まり、ここで、癌細胞301の染色体304が凝縮し始め、核を取り囲む核膜306が消失し、及び紡錘糸308を含む紡錘体が形成され始める。癌細胞301に投与される有糸分裂阻害薬及び/又は行われる抗有糸分裂療法は、紡錘糸308の形成を不安定にして、中期310中に、全ての染色体が紡錘糸308によって結合されるわけではないようにし得る。いくつかの実施形態では、化学療法薬は有糸分裂阻害薬である。
【0036】
不安定にされた紡錘糸の結果は、有糸分裂停止、又は有糸分裂の遅延を含み得、これは、細胞死(すなわちアポトーシス)又は有糸分裂スリッページ(mitotic slippage)311に至り得る。分裂癌細胞はまた、異常細胞分裂による有糸分裂を進め得る。有糸分裂が異常細胞分裂をし続け、及び染色体304が均等に分離できない場合、姉妹染色分体315及び/又は写しを作られた染色体304は、中心体314の方へ分裂細胞の両極へと引かれ、且つ後期312中に不規則に分散される。その後、細胞は終期316へ進み得、ここで、核膜318が、分裂細胞の両極で各組の染色体304の周りに再形成し得、及び分裂溝320が、細胞の2つの半体間に形成し得る。癌細胞301の細胞周期における最終段階は、細胞質分裂114の段階であり、第1の遺伝学的に異なる娘細胞322及び第2の遺伝学的に異なる娘細胞324を形成する。いくつかの実施形態では、遺伝学的に異なる娘細胞は、アポトーシスで死滅し得るか、それに続く細胞周期の間期に再び入って死滅し得るか、又は有糸分裂326に再び入り得る。
【0037】
所与の細胞集団は、所与のどんな時点でも活発に分裂している細胞の基準百分率を含み得る。ここで
図4を参照すると、活発に分裂する細胞の百分率対時間の例示的なグラフ400が、本明細書の様々な実施形態に従って示されている。プロット402は、時間に応じた、癌性腫瘍の癌細胞集団において活発に分裂する細胞の平均基準百分率を示す。プロット404は、癌性腫瘍を治療するための方法を受けている癌性腫瘍の例示的な癌細胞集団において活発に分裂する細胞の百分率を示す。癌細胞集団は、時間406中、活発に分裂する細胞の基準百分率を示す。電界が癌細胞集団に印加されると408、活発に分裂している細胞の百分率の状態は終わり、且つ時間410中に低下する。いずれの特定の理論にも縛られないが、印加電界は、所与の細胞集団内での有糸分裂を遅延させ且つ所与の細胞集団の少なくとも一部内での有糸分裂同期を引き起こすのに効果的とし得ると考えられている。いくつかの実施形態では、印加電界は、健康な細胞集団内での有糸分裂を遅延させ且つ健康な細胞集団の少なくとも一部内での有糸分裂同期を引き起こすのに効果的とし得る。いくつかの実施形態では、印加電界は、癌細胞集団内での有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の少なくとも一部内での有糸分裂同期を引き起こすのに効果的とし得る。
【0038】
予め決められた時間後、印加電界は除去される412。電界の解放によって、癌細胞集団の細胞が、活発に分裂し始め、且つ同期して有糸分裂を進め続けることができるようにする。電界が解放された412後、化学療法薬が癌細胞集団に投与され得る414。電界の解放412と化学療法薬の投与414との間の時間は、下記で説明するように、変動し得る。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、電界が解放される前に、癌細胞集団に投与され得ることに留意すべきである。
【0039】
いずれの特定の理論にも縛られないが、癌細胞集団内の細胞が有糸分裂同期の状態にあるとき、化学療法薬の投与が、癌性腫瘍に存在する生存癌細胞数を効果的に減少させ得るか又は破壊し得ると考えられている。電界の解放は、細胞が有糸分裂を進めることができるようにするが、最終的には、電界の印加及び/又は化学療法薬の投与によって、時間414中に、活発に分裂する細胞の数を減少させ得る。最終的に、電界及び化学療法薬の併用治療は、時間416中に、癌性腫瘍中の生存細胞数を効果的に減少させ得る。
【0040】
癌性腫瘍を治療するための例示的な方法は、癌性腫瘍の部位又はその近くへの1つ以上の電界の印加、それに続く化学療法薬の投与を含み得る。ここで
図5を参照すると、対象者の体内にある癌性腫瘍502を治療するための例示的な方法500の概略的なフロー図が、本明細書の様々な実施形態に従って示されている。方法500は、癌性腫瘍502の部位又はその近くに1つ以上の電界を印加すること506を含み得る。癌性腫瘍502は癌細胞集団504を含み得る。1つ以上の印加電界は、癌細胞集団504における有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団内の細胞の少なくとも一部の有糸分裂同期を引き起こすのに効果的とし得る508。方法500は、癌細胞集団内で有糸分裂が進むことができるようにするために、1つ以上の電界を除去すること510を含み得る。方法500は、1つ以上の電界が除去された後、癌性腫瘍の部位又はその近くに化学療法薬を投与すること512を含み得る。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、体外にある静脈ポートを通して、又は全身血管系内に植え込まれる、植え込み可能な導管を有する植え込み可能な機器、例えば胸腔(pectoral space)内に植え込まれる機器を経由して、全身に送られ得る。化学療法薬の投与は、癌細胞集団内での有糸分裂の中断を引き起こし514、且つ最終的に癌細胞集団内での細胞死に至り得る516。いくつかの実施形態では、方法500は、癌性腫瘍の部位又はその近くで経皮的アクセスポートに挿入することを含み得る。
【0041】
本明細書の方法は、癌性腫瘍を治療するための、1つ以上の植え込み可能な電極の使用を含み得る。ここで
図6を参照すると、癌性腫瘍を治療するための方法600が、本明細書の様々な方法に従って示されている。方法600は、癌性腫瘍のある対象者の体内に、1つ以上の植え込み可能な電極を植え込むこと602を含む。方法600は、対象者の体の外面に1つ以上の外部電極を配置すること604を含む。方法は、予め定められたスケジュールに従って、少なくとも一対の電極間に、10kHz~1MHzの範囲内の周波数を有する電界を発生させること606を含む。方法600は、1つ以上の電界を除去すること608を含む。方法は、1つ以上の電界が除去された後、癌性腫瘍の部位に若しくはその近くに、又は全身的に、化学療法薬を投与すること610を含む。いくつかの実施形態では、方法600の1つ以上の印加電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的である。いくつかの実施形態では、方法600において1つ以上の電界を除去することは、癌細胞集団内で有糸分裂を進めることができるようにする。
【0042】
所与の細胞集団内での有糸分裂の遅延を最適にするために、及びより高い割合の所与の細胞集団内で有糸分裂同期を引き起こすために、1つ以上の電界の印加を複数回行うことは、
図7及び
図8を参照して説明するように、化学療法薬の投与よりも先に行われ得る。ここで
図7を参照すると、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための方法700が、本明細書の様々な実施形態によって示されている。方法700は、癌性腫瘍の部位又はその近くに、第1の電界強度を有する第1の電界を印加すること702を含み得、ここで、癌性腫瘍は癌細胞集団を含む。第1の電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的とし得る。方法700は、癌細胞集団内で有糸分裂を進めることができるようにするために、第1の電界を除去すること704を含み得る。方法700は、第1の電界が除去された後、癌性腫瘍の部位又はその近くに化学療法薬を投与すること706を含み得る。
【0043】
ここで
図8を参照すると、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための方法800が、本明細書の様々な実施形態によって示されている。方法800は、癌性腫瘍の部位又はその近くに第1の電界強度を有する第1の電界を印加すること802を含み得、ここで、癌性腫瘍は癌細胞集団を含む。第1の電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的とし得る。方法800は、癌細胞集団内で有糸分裂を進めることができるようにするために、第1の電界を除去すること804を含み得る。方法800は、第1の電界を除去した後及び化学療法薬を投与する前に、癌性腫瘍の部位又はその近くに、第2の電界強度を有する第2の電界を印加すること806を含み得る。第2の電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的とし得る。方法800は、第1の電界が除去された後、癌性腫瘍の部位又はその近くに、化学療法薬を投与すること808を含み得る。いくつかの実施形態では、方法800は、癌性腫瘍の部位又はその近くに、第3の電界強度を有する第3の電界を印加することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法800は、癌性腫瘍の部位又はその近くに、第4の電界強度を有する第4の電界を印加することを含み得る。他の実施形態では、方法800は、癌性腫瘍の部位又はその近くに、第5、第6、第7、第8、第9、又は第10の電界を印加することを含み得る。さらに他の実施形態では、方法800は、癌性腫瘍の部位又はその近くに、第11以降の電界を印加することを含み得る。
【0044】
第2以降の電界強度を有する第2以降の電界を印加する方法は、連続的な電界の印加と印加との間で予め決められた時間待機することを含み得る。例として、方法800は、第1の電界を除去した後、第2の電界を印加する前に、予め決められた時間待機することを含み得る。同様に、第3の電界強度を有する第3の電界の印加では、第3の電界の印加は、第2の電界の除去後、第3の電界を印加する前、予め決められた時間待機することによって、遅延され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、第2以降の電界強度を有する第2以降の電界を印加することは、先の電界の印加直後に第2以降の電界を印加することを含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、第2の電界強度は第1の電界強度を下回る。いくつかの実施形態では、第2の電界強度は第1の電界強度を上回る。他の実施形態では、第2の電界強度は第1の電界強度と同じである。いくつかの実施形態では、その独自の電界強度を有する追加的な電界の連続的な各印加は、先の又は連続的な電界を下回る、上回る、又はそれと同じ電界強度を有する追加的な電界を含み得る。
【0046】
本明細書の方法において1つ以上の電界を印加することは、時間的に制御され得る。ここで
図9を参照すると、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための方法900が、本明細書の実施形態に従って示されている。方法900は、予め定められたスケジュールに従って、癌性腫瘍の部位又はその近くに1つ以上の電界を印加すること902を含み得る。癌性腫瘍は癌細胞集団を含む。予め定められたスケジュールは、少なくとも6時間の定められた期間にわたって、電界の、強さ及び周波数の少なくとも一方が変化するようにし得る。方法900の1つ以上の印加電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的とし得る。いくつかの実施形態では、方法900は、癌細胞集団内で有糸分裂を進めることができるようにするために、1つ以上の電界を除去すること904を含み得る。他の実施形態では、方法900は、1つ以上の電界が除去された後、癌性腫瘍の部位又はその近くに、化学療法薬を投与すること906を含み得る。いくつかの実施形態では、方法900は、さらに、対象者から休止コマンドを受信することを含み得、休止コマンドは、電界の印加の中止を引き起こす。
【0047】
1つ以上の電界の印加の時間的制御は、予め定められたスケジュールでの、1つ以上の電界の、強さ及び周波数の少なくとも一方の時間的変化を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界の印加の時間的制御は、予め定められたスケジュールでの、1つ以上の電界の、周波数の初期の強さと比べた強さ及び周波数の少なくとも一方の時間的変化を含み得る。いくつかの実施形態では、予め定められたスケジュールは、1つ以上の予め決められた下降期間を含み、1つ以上の印加電界は、少なくとも4時間で、強さ又は周波数が少なくとも50%だけ低下される。いくつかの実施形態では、予め定められたスケジュールは、1つ以上の予め決められた下降期間を含み、1つ以上の印加電界は、少なくとも4時間で、少なくとも75%だけ、強さ又は周波数が低下される。いくつかの実施形態では、予め定められたスケジュールは、1つ以上の予め決められた下降期間を含み、1つ以上の印加電界は、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%若しくは100%以上だけ、又は上述のいずれか間の範囲内に入る量とし得るだけ、強さ又は周波数が低下される。
【0048】
本明細書の様々な方法は、癌性腫瘍を治療する過程において、対象者及び/又は医療提供者(care provider)からコマンドを受信することを含み得る。ここで
図10を参照すると、癌性腫瘍を治療するための方法1000が、本明細書の実施形態に従って示されている。方法1000は、癌性腫瘍のある対象者の体内に、1つ以上の植え込み可能な電極を植え込むこと1002を含み得る。方法1000は、対象者の体の外面に1つ以上の外部電極を配置すること1004を含み得る。方法1000は、予め定められたスケジュールに従って、少なくとも一対の電極間に、10kHz~1MHzの範囲内の周波数を有する電界を発生させること1006を含み得る。方法1000は、対象者及び/又は医療提供者から、電界の発生を中止させる休止コマンドを受信すること1008を含み得る。いくつかの実施形態では、方法1000は、予め定められたスケジュールに従って、対象者及び/又は医療提供者からの休止コマンドを受信後、ある期間が経過した後、少なくとも一対の電極間での電界の発生を再開始することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法1000は、対象者及び/又は医療提供者からオンコマンドを受信することを含み得、オンコマンドは、電界の発生を再確立する。他の実施形態では、方法1000の予め定められたスケジュールは、本明細書の他の箇所で説明したような、電界の強さ及び周波数の少なくとも一方の時間的変化を含み得る。いくつかの実施形態では、方法1000は、1つ以上の電界が休止されていた期間後に、癌性腫瘍の部位又はその近くに化学療法薬を投与することを含み得る。
【0049】
様々なコマンドが、本明細書の様々な方法による癌性腫瘍の治療の過程において、対象者及び/又は医療提供者から受信され得る。いくつかの実施形態では、対象者及び/又は医療提供者から受信したコマンドは、休止コマンドを含み得る。休止コマンドは、対象者及び/又は医療提供者から受信されて、対象者が、めまい、吐き気、倦怠感、浮遊感(light headedness)、頭痛、又は限局性の痛みを含む1種以上の副作用を経験しているとき、第1の電界の印加を休止し得る。対象者及び/又は医療提供者から受信した休止コマンドは、オフコマンド、設定時間のオフ(off-for-a-set-time)コマンド、オフボタンが押されたコマンド、又はオフ状態リマインダーコマンドのうちの少なくとも1つを含み得る。オフコマンドは、電界の発生を一時中断し得る。設定時間のオフコマンドは、予め決められた期間、電界の発生を一時中断し得る。例として、設定時間のオフコマンドは、少なくとも1時間、電界の発生を一時中断し得る。いくつかの実施形態では、設定時間のオフコマンドは、少なくとも6時間、電界の発生を一時中断し得る。いくつかの実施形態では、設定時間のオフコマンドは、少なくとも10時間、電界の発生を一時中断し得る。いくつかの実施形態では、設定時間のオフコマンドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、若しくは12時間以上、又は、上述のいずれか間の範囲内に入る量とし得るだけ、電界の発生を一時中断し得る。
【0050】
本明細書で説明する様々な方法では、1つ以上の電界を印加することは、様々な電界強度で少なくとも電界を印加することを含み得る。例として、1つ以上の電界は、0.25V/cm~500V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度で、癌性腫瘍に印加され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界は、1V/cm~10V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度で、癌性腫瘍に印加され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界は、1V/cm~5V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度で、癌性腫瘍に印加され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界は、3V/cm~5V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度で、癌性腫瘍に印加され得る。いくつかの実施形態では、電界強度は、0.25V/cm、0.50V/cm、0.75V/cm、1.00V/cm、1.25V/cm、1.50V/cm、1.75V/cm、2.00V/cm、2.25V/cm、2.50V/cm、2.75V/cm、3.00V/cm、3.25V/cm、3.50V/cm、3.75V/cm、4.00V/cm、4.25V/cm、4.50V/cm、4.75V/cm、5.00V/cm、5.25V/cm、5.50V/cm、5.75V/cm、6.00V/cm、6.25V/cm、6.50V/cm、6.75V/cm、7.00V/cm、7.25V/cm、7.50V/cm、7.75V/cm、8.00V/cm、8.25V/cm、8.50V/cm、8.75V/cm、9.00V/cm、9.25V/cm、9.50V/cm、9.75V/cm、10V/cm、20V/cm、30V/cm、40V/cm、50V/cm、60V/cm、70V/cm、80V/cm、90V/cm、100V/cm、150V/cm、200V/cm、250V/cm、300V/cm、350V/cm、400V/cm、450V/cm、若しくは500V/cm以上とし得るか、又は上述のいずれか間の範囲内に入る量とし得る。
【0051】
本明細書で説明する様々な方法では、1つ以上の電界を印加することは、様々な周波数で少なくとも電界を印加することを含み得る。1つ以上の電界は、10キロヘルツ(kHz)~1メガヘルツ(MHz)の範囲から選択される周波数で癌性腫瘍に印加され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界は、100kHz~500kHzの範囲から選択される周波数で癌性腫瘍に印加され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界は、100kHz~300kHzの範囲から選択される周波数で、癌性腫瘍に印加され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の印加電界の周波数は、10kHz、20kHz、30kHz、40kHz、50kHz、60kHz、70kHz、80kHz、90kHz、100kHz、125kHz、150kHz、175kHz、200kHz、225kHz、250kHz、275kHz、300kHz、325kHz、350kHz、375kHz、400kHz、425kHz、450kHz、475kHz、500kHz、525kHz、550kHz、575kHz、600kHz、625kHz、650kHz、675kHz、700kHz、725kHz、750kHz、775kHz、800kHz、825kHz、850kHz、875kHz、900kHz、925kHz、950kHz、975kHz、若しくは1MHz以上とし得るか、又は上述のいずれか間の範囲内に入る量とし得る。
【0052】
本明細書の様々な実施形態では、電界が解放され(停止され)得、その後、化学療法薬が投与され得る。様々な実施形態では、電界の解放と化学療法薬の投与との間の時間は、約0、5、10、15、20、25、30、40、50、60、90、120又は180分とし得るか、又は上述のいずれか間の範囲内に入る量とし得る。
【0053】
本明細書で説明する様々な方法では、1つ以上の電界を印加することは、様々な予め決められた期間、少なくとも電界を印加することを含み得る。1つ以上の電界は、1分~24時間の予め決められた期間の範囲内から選択された予め決められた期間にわたって、癌性腫瘍の部位又はその近くに印加され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界は、1、10、20、30、40、若しくは50分、又は1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.5、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、20.0、20.5、21.0、21.5、22.0、22.5、23.0、23.5、24.0、若しくは48時間以上、又は上述のいずれか間の範囲内に入る量とし得る予め決められた期間にわたって、癌性腫瘍の部位又はその近くに印加され得る。
【0054】
本明細書で説明する様々な方法では、化学療法薬を投与することは、集団のうちの少なくとも一定の割合が有糸分裂で同期するときに、化学療法薬を投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、癌性腫瘍に化学療法薬を投与することは、1つ以上の電界に反応して、癌細胞集団のうちの少なくとも5%が有糸分裂で同期するときに、化学療法薬を投与することを含む。いくつかの実施形態では、癌性腫瘍に化学療法薬を投与することは、1つ以上の電界に反応して、癌細胞集団のうちの少なくとも25%が有糸分裂で同期するときに、化学療法薬を投与することを含む。いくつかの実施形態では、癌性腫瘍に化学療法薬を投与することは、1つ以上の電界に反応して、癌細胞集団のうちの少なくとも50%が有糸分裂で同期するときに、化学療法薬を投与することを含む。いくつかの実施形態では、癌性腫瘍に化学療法薬を投与することは、1つ以上の電界に反応して、癌細胞集団のうちの少なくとも75%が有糸分裂で同期するときに、化学療法薬を投与することを含む。いくつかの実施形態では、遅延有糸分裂及び有糸分裂同期の状態にある細胞の割合は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、若しくは95%以上とし得るか、又は上述のいずれか間の範囲内に入る量とし得る。
【0055】
本明細書で説明する様々な方法では、化学療法薬を投与することは、様々な予め決められた期間、化学療法薬を投与することを含み得る。化学療法薬は、1分未満~600分の予め決められた期間の範囲内から選択された予め決められた期間にわたって、癌性腫瘍の部位又はその近くに投与され得る。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、1秒、5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、若しくは60秒、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、120分、180分、240分、300分、360分、420分、480分、540分、若しくは600分以上とし得るか、又は上述のいずれか間の範囲内に入る量とし得る予め決められた期間にわたって、癌性腫瘍の部位又はその近くに投与され得る。化学療法薬はまた、癌性腫瘍から離れた部位で、全身的に投与され得ることが認識される。
【0056】
いくつかの実施形態では、化学療法薬は、電界の除去後、12時間の期間内で対象者に投与される。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、電界の除去後、6時間の期間内で対象者に投与される。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、電界の除去後、3時間の期間内で対象者に投与される。いくつかの実施形態では、化学療法薬は、電界の除去後、1時間の期間内で対象者に投与される。化学療法薬の投与について、下記でより詳細に説明する。
【0057】
本明細書で説明する様々な方法では、癌性腫瘍の部位又はその近くに1つ以上の電界を印加することは、対象者の体外又は体内に1つ以上の電界を印加することを含み得る。いくつかの実施形態では、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位又はその近くで、完全に対象者の体外に1つ以上の電界を印加することを含み得る。いくつかの実施形態では、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位又はその近くで、完全に対象者の体内に1つ以上の電界を印加することを含み得る。いくつかの実施形態では、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位又はその近くで、少なくとも部分的に対象者の体外に1つ以上の電界を印加することを含み得る。いくつかの実施形態では、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位又はその近くで、少なくとも部分的に対象者の体内に1つ以上の電界を印加することを含み得る。他の実施形態では、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位又はその近くで、対象者の部分的に体内及び部分的に体外に1つ以上の電界を印加することを含み得る。対象者の体外に電界を印加することは、対象者の体内に電界を及ぼさせ得ることが認識される。
【0058】
本明細書の様々な方法は、様々な医療機器を使用して、癌性腫瘍のある対象者で実施され得る。ここで
図11及び
図12を参照すると、癌性腫瘍1110がある対象者1101の概略図が、本明細書の実施形態に従って示されている。
図11では、対象者1101は、医療機器1100が、対象者1101の体内の、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に又はその近くに、完全に植え込まれている。例えば四肢、胴部上方、腹部、頭部などの領域を含め、様々な植え込み部位が使用され得る。
図12では、対象者1101は、医療機器1200が、対象者1101の体内の、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に又はその近くに、少なくとも部分的に植え込まれている。いくつかの実施形態では、医療機器は、完全に対象者の体外にあるとし得る。いくつかの実施形態では、医療機器は、部分的に対象者の体外にあるとし得る。いくつかの実施形態では、医療機器は、部分的に植え込まれ、且つ部分的に対象者の体外にあるとし得る。他の実施形態では、部分的に植え込まれている医療機器は、体内に配置された構成要素と体外に配置された構成要素との間の経皮的な接続を含み得る。部分的に植え込まれた医療機器は、医療機器の部分的に外部にある部分と、無線接続によって無線通信し得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、医療機器の一部分は、完全に植え込まれ得、及び医療機器の一部分は、完全に外部にあるとし得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の電極又はリードは、体内に完全に植え込まれ得るが、電界を発生させる医療機器の部分、例えば電界発生器は、完全に体外にあるとし得る。本明細書で説明するいくつかの実施形態では、説明する電界発生器は、パルス発生器と同じ構成要素の多くを含み得、且つパルス発生器と同じ機能の多くを果たすように構成され得ることが認識される。医療機器の一部分が完全に植え込まれており、及び医療機器の一部分が完全に外部にある実施形態では、完全に外部にある医療機器の部分は、完全に内部にある医療機器の部分と無線通信し得る。しかしながら、他の実施形態では、有線接続が使用され得る。
【0060】
医療機器1100は、ハウジング1102と、ハウジング1102に結合されたヘッダー1104とを含み得、及び医療機器1200は、ハウジング1102を含み得る。様々な材料が使用され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、ハウジング1102は、例えば金属、セラミック、ポリマー、複合材などの材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、ハウジング1102、又はその1つ以上の部分は、チタンで形成され得る。ヘッダー1104は、様々な材料で形成され得るが、いくつかの実施形態では、ヘッダー1104は、エポキシ材料などの半透明のポリマーで形成され得る。いくつかの実施形態では、ヘッダー1104は中空とし得る。他の実施形態では、ヘッダー1104は、構成要素及び/又はエポキシや別の材料などの構造材料でいっぱいにされて、非中空となるようにし得る。
【0061】
医療機器1100又は1200の一部分が部分的に外部にあるいくつかの実施形態では、ヘッダー1104及びハウジング1102は、耐久性のあるポリマー材料製の保護用ケーシングによって取り囲まれ得る。医療機器1100又は1200の一部分が部分的に外部にある他の実施形態では、ヘッダー1104及びハウジング1102は、ポリマー材料、金属材料、及び/又はガラス材料の組み合わせで作製された保護用ケーシングによって取り囲まれ得る。
【0062】
ヘッダー1104は、1本以上のリード1106に結合され得る。ヘッダー1104は、1本以上のリード1106の基端部の固定を行い且つ1本以上のリード1106をハウジング1102内にある1つ以上の構成要素に電気的に結合する働きをし得る。1本以上のリード1106は、リード線1106の長さ部分に沿って配置された1つ以上の電極1108を含み得る。いくつかの実施形態では、電極1108は、電界発生電極を含み得、及び他の実施形態では、電極1108は電界検知電極を含み得る。いくつかの実施形態では、リード1106は、電界発生電極及び電界検知電極の双方を含み得る。他の実施形態では、リード1106は、電界検知及び電界発生の双方である、任意の数の電極を含み得る。本明細書の医療機器の多くの実施形態は、リードによって機能するように設計されているが、電界を発生させる、リードなし医療機器も本明細書では考えられることが認識される。いくつかの実施形態では、電極1108は、リード1106の最先端部にあるチップ電極とし得る。
【0063】
ここで
図13を参照すると、医療機器1300の概略図が、本明細書の実施形態に従って示されている。医療機器1300は、ハウジング1102及びヘッダー1104、並びに1本以上のリード1106を含み得る。リード1106は、1つ以上の電極、例えばリード1106の長さ部分に沿って配置された電極1304、1306、1308、又は1310を含み得る。いくつかの実施形態では、電極1304、1306、1308、又は1310は、電界発生電極を含み得、及び他の実施形態では、電極1304、1306、1308、又は1310は、電界検知電極を含み得る。いくつかの実施形態では、リード1106は、電界発生電極及び電界検知電極の双方を含み得る。
【0064】
リード1106の基端部は、ヘッダー1104内に配置される。リード線1106の先端部は、癌性腫瘍1110を取り囲んで、電極1304、1306、1308、又は1310を癌性腫瘍1110の近くにさせ得る。いくつかの実施形態では、リード1106は脈管構造内に位置決めされて、電極1304、1306、1308、又は1310が、癌性腫瘍1110に隣接するか又はその内部に位置決めされるようにし得る。しかしながら、リード1106は、癌性腫瘍1110内又はその周囲の様々な箇所に配置され得ることが認識される。いくつかの実施形態では、リード1106は、癌性腫瘍1110を直接通過し得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、リード1106は、腫瘍に対する電極の正確な場所の決定に使用するために、リードの長さ部分に沿って1つ以上の追跡マーカ1316又は1318を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の追跡マーカは、リード上に配置された1つ以上の電極のすぐ先端側に又はすぐ基端側に配置され得る。いくつかの実施形態では、追跡マーカは磁性材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、追跡マーカはX線撮影材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、追跡マーカは蛍光撮影材料(fluorographic material)から形成され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、リード1106は、癌性腫瘍の部位に光エネルギーを伝達するための1つ以上の光エミッター1320を含み得る。光エミッターは、リード1106の長さ部分に沿って又はリード1106の最先端チップに、位置決めされ得る。本明細書のいくつかの実施形態では、化学療法薬は、光学的に活性化される化学療法薬を含み得、これについて、下記でより詳細に説明する。いくつかの実施形態では、リード1106は、癌性腫瘍の部位へ光エネルギーを伝達するために、1本以上の光ファイバーを含み得る。光エミッターは、限定されるものではないが、発光ダイオード(LED)又はレーザダイオードを含み得る。いくつかの実施形態では、リード1106は、癌性腫瘍の部位へ光エネルギーを伝達するために、1本以上の光ファイバーを含み得る。本明細書で使用される光学的に活性化される化学療法薬を活性化させるのに好適な光エミッターは、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、若しくは850nm以上とし得るか、又は上述のいずれか間の範囲内に入る量とし得る最大発光波長を有するものを含み得る。本明細書で使用するのに好適な光エミッターは、最大発光波長の長短両側で最大発光波長±10nmを含むものを含み得ることが認識される。本明細書で使用するのに好適な光エミッターは、最大発光波長の長短両側で最大発光波長±20nmを含むものを含み得ることが認識される。
【0067】
複数の電界ベクトルが、電界を作り出すためにリード1106に沿って配置された電極1304、1306、1308、又は1310の様々な組み合わせ間に、生成され得ることが認識される。例えば、1つ以上の電界ベクトルは、電極1304と1308との間に生成され得る。同様に、1つ以上の電界ベクトルは、電極1304と1310との間に生成され得る。1つ以上の電界ベクトルは、電極1304、1306、1308、又は1310の任意の組み合わせ間に、生成され得ることも認識される。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界ベクトルは、電極1304、1306、1308、又は1310と医療機器のハウジング1102との任意の組み合わせ間に生成され得る。1本以上の単極又は多極リードは、本明細書の実施形態に従って使用され得ることが認識される。いくつかの実施形態では、単極リードと多極リードの組み合わせが使用され得る。他の実施形態では、円形リード、クランプリード(clamp lead)、カフリード(cuff lead)、パドルリード(paddle lead)、又はパッチリードが使用され得る。
【0068】
ここで
図14を参照すると、医療機器1400の概略図が、本明細書の実施形態に従って示されている。医療機器1400は、対象者の体の内側1450に内部部分、及び対象者の体の外側1452に外部部分を含み得る。医療機器1400の内部部分は、内部リード線1401を含み得、並びに外部部分は、ハウジング1102及び外部リード線1402を含み得る。医療機器1400はまた、1本以上のリード又はカテーテルを受け入れるのに好適な、癌性腫瘍の部位にある又はその近くにある対象者の体の外面1418に広がる経皮的アクセスポート1416を含み得る。例として、経皮的アクセスポート1416は、内部リード線1401、1種以上の化学療法薬を送達するための薬物送達カテーテル、光エネルギーを伝達するための1つ以上の光エミッターを含む光リード、癌性腫瘍から生検標本を得るための生体検査装置、又は癌性腫瘍の部位から老廃物や体液を洗い流すための灌注カテーテルのうちの少なくとも1つを受け入れるように構成され得る。
【0069】
内部リード線1401は、1つ以上の電極、例えば内部リード線1106の長さ部分に沿って配置された電極1404、1406、又は1408を含み得る。外部リード線1402は、外部リード線1402の長さ部分に沿って配置された電極1410、1412、又は1414を含み得る。いくつかの実施形態では、電極1404、1406、1408、1410、1412、又は1414は、電界発生電極を含み得、及び他の実施形態では、電極1404、1406、1408、1410、1412、又は1414は、電界検知電極を含み得る。いくつかの実施形態では、内部リード線1401又は外部リード線1402は、電界発生電極及び電界検知電極の双方を含み得る。
【0070】
内部リード線1401又は外部リード線1402の基端部は、ハウジング1102内に配置される。内部リード線1401の先端部は、癌性腫瘍1110を取り囲んで、電極1404、1406、又は1408が、癌性腫瘍1110の近くになるようにし得る。外部リード線1402は、癌性腫瘍の部位の近くの対象者の体の外面に配置され得、電極1410、1412、及び1414が、内部リード線1106上の電極1404、1406、及び1408と電気通信するようにする。いくつかの実施形態では、内部リード線1401は脈管構造内に位置決めされ得、電極1404、1406、又は1408が、癌性腫瘍1110に隣接されて又はその内部に位置決めされるようにする。しかしながら、内部リード線1401は、癌性腫瘍1110内又はその周囲の様々な箇所に配置され得ることが認識される。いくつかの実施形態では、内部リード線1401は、癌性腫瘍1110を直接通過し得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、内部リード線1401は、腫瘍に対する電極の正確な場所の決定に使用するために、内部リード線1401の長さ部分に沿って1つ以上の追跡マーカ1316を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の追跡マーカは、内部リード線1401に配置された1つ以上の電極のすぐ先端側に又はすぐ基端側に配置され得る。いくつかの実施形態では、追跡マーカは磁性材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、追跡マーカはX線撮影材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、追跡マーカは蛍光撮影材料(fluorographic material)から形成され得る。
【0072】
複数の電界ベクトルが、内部リード線1401及び外部リード線1402に沿って配置された電極1404、1406、1408、1410、1412、又は1414の様々な組み合わせ間に生成され、電界を生じ得ることが認識される。例えば、1つ以上の電界ベクトルは、電極1404と1410との間に生成され得る。同様に、1つ以上の電界ベクトルは、電極1406と1412との間に生成され得る。1つ以上の電界ベクトルは、電極1404、1406、1408、1410、1412、又は1414のいずれかの組み合わせ間に生成され得ることも認識される。いくつかの実施形態では、1つ以上の電界ベクトルは、電極1404、1406、1408、1410、1412、又は1414と医療機器1400のハウジング1102とのいずれかの組み合わせの間で生成され得る。1本以上の単極又は多極リードは、本明細書の実施形態に従って使用され得ることが認識される。いくつかの実施形態では、単極リードと多極リードの組み合わせが使用され得る。他の実施形態では、円形リード、クランプリード、カフリード、パドルリード、又はパッチリードが、使用され得る。
【0073】
ここで
図15を参照すると、
図11の例示的な医療機器1100の概略的な断面図が、本明細書の様々な実施形態に従って示されている。医療機器1100の特徴は、本明細書で説明した医療機器のいずれかに含まれ得ることが認識される。ハウジング1102は、内部体積部1502を画成し得、この内部体積部は、中空とし得、且ついくつかの実施形態では、医療機器1100の外部の区域1504から密封されている。他の実施形態では、ハウジング1102は、構成要素及び/又は構造材料でいっぱいにされて、非中空となるようにされ得る。医療機器1100は、ハウジング1102内に配置される様々な構成要素1508、1510、1512、1514、1516、及び1518を含み得る制御回路構成部品1506を含み得る。いくつかの実施形態では、これらの構成要素は統合されることができ、及び他の実施形態では、これらの構成要素は別個とし得る。さらに他の実施形態では、統合された構成要素及び別個の構成要素の双方の組み合わせもあるとし得る。医療機器1100はまた、アンテナ1524を含み得、一方向又は双方向の無線データ通信を可能にする。いくつかの実施形態では、医療機器1100の構成要素は、それに通信式に結合されるか又は取り付けられる誘導エネルギー受信コイル(図示せず)を含み得、再充電回路構成部品による医療機器の経皮的な再充電を容易にする。
【0074】
制御回路構成部品1506の様々な構成要素1508、1510、1512、1514、1516、及び1518は、限定されるものではないが、特に、マイクロプロセッサー、メモリ回路(ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又はリードオンリーメモリ(ROM)など)、レコーダ回路構成部品、コントローラ回路、テレメトリー回路、電力供給回路(バッテリーなど)、タイミング回路、及び特定用途向け集積回路(ASIC)、再充電回路を含み得る。制御回路構成部品1506は、1つ以上の電界を生み出すために電流を発生させるように構成され得る電界発生回路1520と通信し得る。電界発生回路1520は、制御回路構成部品1506と統合され得るか、又は制御回路構成部品1506とは別個の構成要素とし得る。制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520からの電流の送りを制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、電界発生回路1520は、体外にある医療機器の部分に存在し得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、10kHz~1MHz内の範囲から選択される1つ以上の周波数を使用して、電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、100kHz~500kHz内の範囲から選択される1つ以上の周波数で電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、100kHz~300kHz内の範囲から選択される1つ以上の周波数で電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、1MHzを上回る1つ以上の周波数を使用して電界が周期的に届くように指示するように構成され得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、電界は、癌細胞における細胞の有糸分裂を中断するのに有効とし得る。電界は、2つ以上のベクトルに沿って癌性腫瘍の部位に届き得る。いくつかの例では、電界は、リード電極のうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つのベクトルに沿って、届き得る。いくつかの実施形態では、2つのベクトル間に空間的多様性のある少なくとも2つのベクトルが使用され得る。それらベクトルは、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80又は90度の角度だけ、空間的に離れ得る(例えば、それらベクトルは、互いに対して角度をなして配置され得る)。
【0077】
所望の電界強度は、2つの電極間に電流を流すことによって、達成され得る。電界が届く特定の電流及び電圧は、治療される組織の部位において所望の電界強度を達成するように、変化し得、且つ調整され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、1mAmp~1000mAmpの範囲の電流を使用して、癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、20mAmp~500mAmpの範囲の電流を使用して、癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、30mAmp~300mAmpの範囲の電流を使用して、癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、1mAmp、2mAmp、3mAmp、4mAmp、5mAmp、6mAmp、7mAmp、8mAmp、9mAmp、10mAmp、15mAmp、20mAmp、25mAmp、30mAmp、35mAmp、40mAmp、45mAmp、50mAmp、60mAmp、70mAmp、80mAmp、90mAmp、100mAmp、125mAmp、150mAmp、175mAmp、200mAmp、225mAmp、250mAmp、275mAmp、300mAmp、325mAmp、350mAmp、375mAmp、400mAmp、425mAmp、450mAmp、475mAmp、500mAmp、525mAmp、550mAmp、575mAmp、600mAmp、625mAmp、650mAmp、675mAmp、700mAmp、725mAmp、750mAmp、775mAmp、800mAmp、825mAmp、850mAmp、875mAmp、900mAmp、925mAmp、950mAmp、975mAmp、又は1000mAmpを含む電流を使用して、電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。制御回路構成部品は、電界発生回路1520に、ある範囲内に入る電流で電界が届くように発生するように指示するように構成され得、上述の電流のいずれかは、その範囲の下限値がその範囲の上限値を下回る値であることを条件に、その範囲の下限値又は上限値の機能を果たし得ることが認識される。
【0079】
いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、1Vrms~50Vrmsの範囲の電圧を使用して、癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、5Vrms~30Vrmsの範囲の電圧を使用して、癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、10Vrms~20Vrmsの範囲の電圧を使用して、癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、1Vrms、2Vrms、3Vrms、4Vrms、5Vrms、6Vrms、7Vrms、8Vrms、9Vrms、10Vrms、15Vrms、20Vrms、25Vrms、30Vrms、35Vrms、40Vrms、45Vrms、又は50Vrmsを含む1つ以上の電圧を使用して、電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。制御回路構成部品は、電界発生回路1520に、ある範囲内に入る電圧を使用して電界が届くように発生するように指示するように構成され得、上述の電圧のいずれかは、その範囲の下限値がその範囲の上限値を下回る値であることを条件に、その範囲の下限値又は上限値の機能を果たし得ることが認識される。
【0081】
いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、10kHz、20kHz、30kHz、40kHz、50kHz、60kHz、70kHz、80kHz、90kHz、100kHz、125kHz、150kHz、175kHz、200kHz、225kHz、250kHz、275kHz、300kHz、325kHz、350kHz、375kHz、400kHz、425kHz、450kHz、475kHz、500kHz、525kHz、550kHz、575kHz、600kHz、625kHz、650kHz、675kHz、700kHz、725kHz、750kHz、775kHz、800kHz、825kHz、850kHz、875kHz、900kHz、925kHz、950kHz、975kHz、1MHzを含む1つ以上の周波数を使用して、電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。電界発生回路1520は、ある範囲内に入る周波数を使用して、電界が届くように発生させ得、上述の周波数のいずれかは、上限値が下限値を上回ることを条件に、その範囲の上限値又は下限値の機能を果たし得ることが認識される。
【0082】
いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、0.25V/cm~1000V/cmの範囲から選択された1つ以上の印加電界強度を生み出すように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、3V/cm超の1つ以上の印加電界強度を生み出すように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、1V/cm~10V/cmの範囲から選択された1つ以上の印加電界強度を生み出すように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、3V/cm~5V/cmの範囲から選択された1つ以上の印加電界強度を生み出すように指示するように構成され得る。
【0083】
他の実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、0.25V/cm、0.5V/cm、0.75V/cm、1.0V/cm、2.0V/cm、3.0V/cm、5.0V/cm、6.0V/cm、7.0V/cm、8.0V/cm、9.0V/cm、10.0V/cm、20.0V/cm、30.0V/cm、40.0V/cm、50.0V/cm、60.0V/cm、70.0V/cm、80.0V/cm、90.0V/cm、100.0V/cm、125.0V/cm、150.0V/cm、175.0V/cm、200.0V/cm、225.0V/cm、250.0V/cm、275.0V/cm、300.0V/cm、325.0V/cm、350.0V/cm、375.0V/cm、400.0V/cm、425.0V/cm、450.0V/cm、475.0V/cm、500.0V/cm、600.0V/cm、700.0V/cm、800.0V/cm、900.0V/cm、1000.0V/cmを含む1つ以上の印加電界強度を生み出すように指示するように構成され得る。電界発生回路1520は、治療部位に、ある範囲内に入る電界強度を有する電界を発生させ得、上述の電界強度のいずれかは、上限値が下限値を上回ることを条件に、その範囲の上限値又は下限値としての機能を果たし得ことが認識される。
【0084】
いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、リード1106によって、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。他の実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、医療機器1100のハウジング1102によって、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。他の実施形態では、制御回路構成部品1506は、電界発生回路1520に、リード1106と医療機器1100のハウジング1102との間に電界が届くように発生するように指示するように構成され得る。いくつかの実施形態では、1本以上のリード1106は、電界発生回路1520と電気通信し得る。いくつかの実施形態では、1本以上のリード1106は、リード1106の長さ部分に沿って配置された1つ以上の電極1108を含み得、電極は、電界発生回路1520と電気通信し得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、医療機器1100内の様々な構成要素は、検知した電界に対応する信号を生成するように構成された電界検知回路1522を含み得る。電界検知回路1522は、制御回路構成部品1506と一体化され得るか、又は制御回路構成部品1506とは別個とし得る。
【0086】
検知電極は、医療機器のハウジング上に若しくはそれに隣接して、ハウジングに接続された1本以上のリード上に、腫瘍の近くに若しくはその内部に植え込まれた別個の機器上に、又はこれらの箇所のいずれかの組み合わせで、配置され得る。いくつかの実施形態では、電界検知回路1522は、第1の検知電極1532及び第2の検知電極1534を含み得る。他の実施形態では、ハウジング1102自体が、電界検知回路1522用の検知電極の機能を果たし得る。電極1532及び1534は、電界検知回路1522と通信し得る。電界検知回路1522は、第1の電極1532と第2の電極1534との間の電位差(電圧)を測定し得る。いくつかの実施形態では、電界検知回路1522は、第1の電極1532又は第2の電極1534と、1本以上のリード1106の長さ部分に沿って配置された電極との間の電位差(電圧)を測定し得る。いくつかの実施形態では、電界検知回路は、検知した電界を測定し且つ電界強度をV/cmで記録するように構成され得る。
【0087】
電界検知回路1522は、さらに、第1の電極1532又は第2の電極1534と、ハウジング1102自体との間の電位差を測定し得ることが認識される。他の実施形態では、医療機器は、電界検知電極又は電界発生電極とし得る第3の電極1536を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の検知電極が、リード1106に沿って配置され得、且つ電界を検知するための追加的な箇所の機能を果たし得る。多くの組み合わせが、本明細書の実施形態に従って、1本以上のリード1106の長さ部分に沿って配置された電極とハウジング1102との間の電位差を測定するために想像され得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、1本以上のリード1106は、電界発生回路1520と電気通信し得る。1本以上のリード1106は、
図11に示すように、1つ以上の電極1108を含み得る。いくつかの実施形態では、様々な導電体、例えば導電体1526及び1528が、ヘッダー1104からフィードスルー構造1530を通って、医療機器1100の内部体積部1502内へ通過し得る。そのようなものとして、導電体1526及び1528は、1本以上のリード1106と、ハウジング1102の内部体積部1502内に配置された制御回路構成部品1506との間に電気通信を提供する働きをし得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、レコーダ回路構成部品は、電界検知回路1522によって生じたデータを記録し且つそれに関するタイムスタンプを記録するように構成され得る。いくつかの実施形態では、制御回路構成部品1506は、様々な機能を実行するように配線で接続され得るが、他の実施形態では、制御回路構成部品1506は、マイクロプロセッサー又は他の外部計算装置で実行する命令を実装するように指示され得る。テレメトリー回路はまた、外部計算装置、例えばプログラマー、家庭用ユニット(home-based unit)、及び/又は携帯機(mobile unit)(例えば携帯電話、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータなど)と通信するように提供され得る。
【0090】
本明細書で説明した医療機器の様々な実施形態の要素は、
図16に示されている。しかしながら、いくつかの実施形態は、
図16に示すものを越えて追加的な要素を含み得ることが認識される。さらに、いくつかの実施形態は、
図16に示すいくつかの要素がなくてもよい。本明細書で実装されるような医療機器は、1つ以上の検知チャンネルによって情報を集め得、且つ1つ以上の電界発生チャンネルによって情報を出力し得る。マイクロプロセッサー1602は、双方向データバスによってメモリ1604と通信し得る。マイクロプロセッサー1602は、電力供給回路1620と電気通信し得る。メモリ1604は、プログラム記憶用のリードオンリーメモリ(ROM)又はランダムアクセスメモリ(RAM)、及びデータ記憶用のRAMを含み得る。マイクロプロセッサー1602はまた、外部機器、例えばプログラマー、家庭用ユニット及び/又は携帯機(例えば携帯電話、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータなど)と通信するためにテレメトリーインターフェース1618に接続され得るか、又はセルラー若しくは他のデータ通信ネットワークによって容易にされ得るように、クラウド若しくは別の通信ネットワークに直接接続され得る。いくつかの実施形態では、医療機器は、通信式に結合されるか又はそれに取り付けられる誘導エネルギー受信コイルインターフェース(図示せず)を含み、医療機器の経皮的な再充電を容易にし得る。
【0091】
医療機器は、1つ以上の電界検知電極1608、及びマイクロプロセッサー1602のポートと通信し得る1つ以上の電界センサーチャンネルインターフェース1606を含み得る。医療機器はまた、1つ以上の電界発生電極1612、及び1つ以上の電界発生チャンネルインターフェース1610、及びマイクロプロセッサー1602のポートと通信し得る1つ以上の電界発生回路1609を含み得る。医療機器はまた、1つ以上の他のセンサー1616、例えば生理的センサー、呼吸センサー、又は化学センサー、及びマイクロプロセッサー1602のポートと通信し得る1つ以上の他のセンサーチャンネルインターフェース1614を含み得る。チャンネルインターフェース1606、1610、及び1614は、様々な構成要素、例えば信号入力をデジタル化するためのアナログデジタル変換器、センスアンプ、制御回路構成部品によって書き込まれ得るレジスターを含み得、センスアンプ、ソースドライバ、変調器、復調器、マルチプレクサーなどのためのゲイン及び閾値を調整する。
【0092】
いくつかの実施形態では、生理的センサーは、体温、血流、血圧などを監視するセンサーを含み得る。いくつかの実施形態では、呼吸センサーは、呼吸数、呼吸頂点の振幅(respiration peak amplitude)などを監視するセンサーを含み得る。いくつかの実施形態では、化学センサーは、センサーの周りの治療部位に存在する分析物、限定されるものではないが、例えば血中尿素窒素、クレアチニン、フィブリン、フィブリノゲン、免疫グロブリン、デオキシリボ核酸、リボ核酸、カリウム、ナトリウム、塩化物、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ヒドロニウム、リン酸水素、重炭酸塩などを含む分析物の量を測定し得る。しかしながら、任意の他の分析物も本明細書では考えられる。例示的な化学/分析物センサーは、共同所有されたケーン(Kane)らへの米国特許第7,809,441号明細書に開示されており、その全体を参照することにより本明細書に援用する。
【0093】
他のセンサー1616を、
図16に医療機器の一部として示すが、いくつかの実施形態では、他のセンサーの1つ以上は、医療機器とは物理的に別個とし得ることが分かる。様々な実施形態では、他のセンサーの1つ以上は、テレメトリーインターフェース1618を介して医療機器に通信式に結合された別の植え込まれた医療機器内にあるとし得る。さらに他の実施形態では、他のセンサーの1つ以上は、体外にあり、且つテレメトリーインターフェース1618を介して医療機器に結合され得る。いくつかの実施形態では、他のセンサーは、薬物送達センサー、生体検査装置センサー、光センサー、又は潅注センサーを含み得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書の医療機器は、癌性腫瘍の部位又はその近くに1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路を含み得る。本明細書の医療機器は、電界発生回路と通信する制御回路構成部品を含み得、制御回路構成部品は、電界発生回路から、癌性腫瘍の部位又はその近くへの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている。制御回路構成部品は、電界発生回路に、10kHz~1MHzの範囲内から選択された周波数で、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に1つ以上の電界を発生させるようにし得、1つ以上の電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的である。いくつかの実施形態では、医療機器は、さらに、電界発生回路と電気通信する1本以上のリード線を含み得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書の医療機器は、癌性腫瘍を治療するための医療機器システムを含む。医療機器ハウジングは、癌性腫瘍の部位又はその近くに1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路を含み得、癌性腫瘍は癌細胞集団を含む。医療機器システムは、電界発生回路と通信する制御回路構成部品を含み得、制御回路構成部品は、電界発生回路から、癌性腫瘍の部位又はその近くへの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている。医療機器システムは、癌性腫瘍の部位又はその近くに1種以上の化学療法薬を投与するための薬物送達カテーテルを含み得る。医療機器システムの制御回路構成部品は、電界発生回路に、10kHz~1MHzの範囲内から選択された周波数で、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に1つ以上の電界を発生させるようにし、1つ以上の電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的である。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書の医療機器は、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための医療機器を含み得る。医療機器は、癌性腫瘍の部位又はその近くに1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路を含み得、癌性腫瘍は癌細胞集団を含む。医療機器は、電界発生回路と通信する制御回路構成部品を含み得る。医療機器の制御回路構成部品は、少なくとも6時間の定められた期間にわたって、電界の、強さ及び周波数の少なくとも一方が変化するようにする予め定められたスケジュールに従って、電界発生回路から、癌性腫瘍の部位又はその近くへの1つ以上の電界の届きを制御する。
【0097】
本明細書の医療機器は、癌性腫瘍のある対象者の体内に配置するように構成された1つ以上の植え込み可能な電極を含む、癌性腫瘍を治療するための医療機器を含み得る。医療機器は、対象者の体の外面に配置されるように構成された1つ以上の外部電極を含み得る。医療機器は、予め定められたスケジュールに従って、少なくとも一対の電極間に、10kHz~1MHzの範囲内の周波数を有する電界を発生させるように構成された電界発生回路を含み得る。医療機器は、対象者から、電界の発生を中止させる休止コマンドを受信するように構成された制御回路構成部品を含み得る。
化学療法薬
1種以上の化学療法薬は、本明細書で説明する方法及び機器と一緒に使用するのに好適とし得る。いくつかの実施形態では、本明細書で使用するのに好適な治療薬は、有糸分裂阻害薬を含み得る。有糸分裂阻害薬は、有糸分裂中に存在する微小管(すなわち紡錘糸)に作用する有糸分裂阻害薬を含み得る。好適な有糸分裂阻害薬は、微小管安定化特性を有するもの又は微小管不安定化特性を有するものを含み得る。いずれの特定の理論にも縛られたくはないが、微小管安定化特性を有するもの又は微小管不安定化特性を有するものを含む有糸分裂阻害薬は、微小管構造を構成するαチューブリン又はβチューブリンタンパク質のいずれかの様々な領域に作用すると考えられている。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書の有糸分裂阻害薬は、収縮環に作用する有糸分裂阻害薬を含み得、収縮環は、限定されるものではないが、F-アクチン、ミオシン-2、アニリン、1種以上のセプチン、Rho、プロフィリン、コフィリン、及び雄生殖細胞Ras関連C3ボツリヌス毒素基質GTPアーゼ活性化タンパク質(MgcRacGAP)を含み得る。他の実施形態では、有糸分裂阻害薬は、核酸、例えばDNA及びRNAに作用する有糸分裂阻害薬を含み得る。好適な有糸分裂阻害薬は、収縮環安定化特性を有するもの又は収縮環不安定化特性を有するものを含み得る。いずれの特定の理論にも縛られたくはないが、収縮環安定化特性を有するもの又は収縮環不安定化特性を有するものを含む有糸分裂阻害薬は、本明細書で説明するように、収縮環を形成するタンパク質の様々な領域に作用すると考えられている。
【0099】
本明細書で使用するのに好適な化学療法薬は、限定されるものではないが、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、2-メトキシエストラジオール、パツピロン、トラスツズマブエムタンシン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1種を含む。いくつかの実施形態では、本明細書の化学療法薬は、治療半減期が24時間未満のものを含む。いくつかの実施形態では、本明細書の化学療法薬は、治療半減期が48時間未満のものを含む。いくつかの実施形態では、本明細書の化学療法薬は、治療半減期が60時間未満のものを含む。
【0100】
本明細書の化学療法薬は、治療有効量で癌性腫瘍の部位又はその近くに投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書の化学療法薬は、治療有効量で、癌性腫瘍の部位から離れて、体循環に投与され得る。化学療法薬は、対象者の体のどこかの体循環静脈系と流体連通している経皮的アクセスポートを通して投与され得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、化学療法薬の治療有効量は、電界の除去後、6時間の期間内で対象者に送られる高濃度の投薬量を含み、高濃度の投薬量は、24時間の期間にわたって送られる従来の非高濃度の投薬量に相当する。いくつかの実施形態では、化学療法薬の高濃度の投薬量は、1又は2時間以内で対象者に送られ得、いくつかの実施形態では、化学療法薬の高濃度の投薬量は、1又は2時間未満で対象者に送られ得、続いて、化学療法薬の希釈した投薬量が、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間以上を含み得る予め決められた期間、投与され、ここで、高濃度の投薬量は、24時間の期間~72時間の期間の範囲内で送られる従来の非高濃度の投薬量に相当する。
【0102】
本明細書の化学療法薬は、光学的に活性化される化学療法薬を含み得る。光学的に活性化される化学療法薬は、限定されるものではないが、光活性化白金化合物(photoactivated platinum compound)又は光活性化フォトスタチン化合物(photoactivated photostatin compound)を含み得る。いくつかの実施形態では、光活性化フォトスタチン化合物は、光によって活性化されるコンブレタスタチン(combretastatin)A-4、並びにそれらの類似体及び誘導体を含む。いくつかの実施形態では、光学的に活性化される化学療法薬は、350nm~850nmの範囲内の、本明細書で説明する様々なリードに存在する光エミッターによって発光される可視光によって、光学的に活性化され得る。いくつかの実施形態では、光学的に活性化される化学療法薬は、450nm~650nmの範囲内の可視光によって光学的に活性化され得る。本明細書の光学的に活性化される化学療法薬は、350nm、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、若しくは850nm以上とし得るか、又は上述のいずれか間の範囲内に入る量とし得る波長によって、光学的に活性化されるものを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書の光学的に活性化される化学療法薬は、350nm~850nmの範囲内の可視光によって光学的に不活性化され得る。いくつかの実施形態では、本明細書の光学的に活性化される化学療法薬が、350nm~850nmの範囲内の可視光によって光学的に不活性化される場合、複数回のサイクルで、350nm~850nmの範囲内の可視光によって、さらに活性化され得る。
【0103】
好適な光学的に活性化される化学療法薬は、限定されるものではないが、光活性化白金化合物又は光活性化フォトスタチン化合物を含む。いくつかの実施形態では、光活性化フォトスタチン化合物は、光によって活性化されるコンブレタスタチンA-4、並びにそれらの類似体及び誘導体を含む。
【0104】
本明細書の方法は、癌細胞集団を含む癌性腫瘍の部位又はその近くに1つ以上の電界を印加することを含む、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための方法を含み得る。方法は、1つ以上の電界を除去すること、及び1つ以上の電界が除去された後、癌性腫瘍の部位又はその近くに、光学的に活性化される化学療法薬を投与することを含み得る。方法は、癌性腫瘍の部位又はその近くに光活性化光エネルギーを伝達することによって、光学的に活性化される化学療法薬に照射することを含み得る。いくつかの実施形態では、光学的に活性化される化学療法薬は、癌性腫瘍の部位又はその近くに放出するために、光学的に活性化される化学療法薬の治療有効量で投与される。いくつかの実施形態では、治療有効量は、電界の除去後、6時間の期間内で対象者に送られる高濃度の投薬量を含み、高濃度の投薬量は、24時間の期間にわたって送られる従来の非高濃度の投薬量に相当する。
【0105】
本明細書の医療機器は、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療することを含み得、癌性腫瘍の部位又はその近くに1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路を含み、癌性腫瘍は癌細胞集団を含む。医療機器は、電界発生回路と通信する制御回路構成部品を含み得、制御回路構成部品は、電界発生回路から、癌性腫瘍の部位又はその近くへの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている。医療機器は、癌性腫瘍の部位又はその近くに、光学的に活性化される化学療法薬を投与するように構成されたカテーテルを含み得る。医療機器は、癌性腫瘍の部位又はその近くに光活性化光エネルギーを伝達することによって、光学的に活性化される化学療法薬に照射するように構成された1つ以上の光エミッターを含み得る。
【0106】
本明細書の化学療法薬は、ナノ粒子を含み得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、ポリマー、例えば生分解性ポリマーから作製される。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、癌性腫瘍の部位又はその近くに放出するために、有効量の化学療法薬を含み得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、2-メトキシエストラジオール、パツピロン、トラスツズマブエムタンシン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1種を含む。ナノ粒子は、癌性腫瘍の部位又はその近くに放出されて、治療有効量の光学的に活性の化学療法薬を送り得る。いくつかの実施形態では、治療有効量は、電界の除去後、6時間の期間内で対象者に送られる高濃度の投薬量を含み、高濃度の投薬量は、24時間の期間にわたって送られる従来の非高濃度の投薬量に相当する。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、本明細書の他の箇所で説明したような、有効量の光学的に活性化される化学療法薬を含み得る。
【0107】
本明細書の方法は、癌細胞集団を含む癌性腫瘍の部位又はその近くに1つ以上の電界を印加することを含む、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための方法を含み得る。方法は、癌性腫瘍の部位又はその近くに、化学療法薬を含むナノ粒子を投与することを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、癌性腫瘍の部位又はその近くにナノ粒子を投与する前に、1つ以上の電界を除去することを含み得る。
【0108】
本明細書の医療機器は、癌細胞集団を含む癌性腫瘍の部位又はその近くに、1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路を含む、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための医療機器を含み得る。医療機器は、電界発生回路と通信する制御回路構成部品を含み得、制御回路構成部品は、電界発生回路から、癌性腫瘍の部位又はその近くへの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている。医療機器は、癌性腫瘍の部位又はその近くにナノ粒子を投与するように構成されたカテーテルを含み得る。
追加的な薬剤及びモダリティ
1種以上の追加的な薬剤及びモダリティは、本明細書で説明する方法及び機器と一緒に使用するのに好適とし得る。例として、免疫剤は、交番電界療法と組み合わせられ得る。好適な免疫剤は、限定されるものではないが、免疫刺激剤及び免疫抑制剤を含み得る。いくつかの実施形態では、免疫刺激薬は、免疫系を刺激する1種以上の薬剤を含み得る。他の実施形態では、免疫抑制薬は、免疫系を抑制する1種以上の薬剤を含み得る。いくつかの実施形態では、免疫刺激剤と免疫抑制剤の組み合わせが使用され得る。他の実施形態では、及び免疫刺激剤及び/又は免疫抑制剤が、所与の治療法の最中に、化学療法薬と併用され得る。
【0109】
例示的な免疫刺激剤は、細菌ワクチン、ウイルス性ワクチン、治療ワクチン、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、男性及び女性ホルモン、成長ホルモン、ビタミンDなどを含み得る。いくつかの実施形態では、免疫刺激剤は特異性とし得るが、他の実施形態では、免疫刺激剤は非特異性とし得る。例示的な免疫抑制剤は、カルシニューリン阻害薬(calcineurin inhibitor)、インターロイキン阻害薬、TNFα阻害薬、抗体、グルココルチコイド、細胞増殖抑制剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、例えばヌクレオチド類似体、タンパク質合成阻害薬、拒絶反応抑制剤(anti-rejection agent)などを含み得る。
【0110】
1種以上の追加的なモダリティ又は薬剤はまた、本明細書で説明する方法及び機器と一緒に使用するのに好適とし得る。例として、交番電界療法と併せた放射線療法の使用も、本明細書において考えられる。いくつかの実施形態では、標的とする薬物療法、免疫療法、又はホルモン療法は、本明細書で説明する交番電界療法と併用され得る。
印加電界
本明細書の方法を使用して癌性腫瘍に印加された電界は、様々なモダリティを使用して印加され得る。例示的な治療パラメータセットは、以下の概念を実施するものを含み得る:ある範囲の周波数の掃引;1つ以上の周波数の同時スタッキング;1つ以上の周波数の逐次ステッピング;届くための1つ以上の電界の空間的又は時間的な発生;ある範囲の電界強度の掃引;有効回転電界の印加;電圧制御モード又は電流制御モードの変調;1つ以上のデューティサイクルの実施;パルス幅変調;電気波形形状及び/又はパルスシーケンスの操作;並びに高周波又は高電界強度パルスの時折の使用。
【0111】
治療パラメータセットは、医療機器に、自律的に動作するようにプログラムされ得るか、又は外部計算装置、例えばプログラマー、家庭用ユニット、及び/又は携帯機(例えば携帯電話、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータなど)を使用して、対象者若しくは臨床医によってクエリーが行われ且つ操作され得る。他の実施形態では、治療パラメータセットは、外部計算装置から医療機器に無線通信され得る。本明細書の治療パラメータセットのいずれかにおいて使用するのに好適な周波数及び/又は電界強度は、電界発生回路に関して説明される。いくつかの実施形態では、1つ以上の治療パラメータセットは、同時に実行され得る。他の実施形態では、1つ以上の治療パラメータセットは、交互に実行され得る。
【0112】
例として、電界は、ある範囲の周波数を掃引することによって、癌性腫瘍の部位に印加され得る。ここで
図17を参照すると、例示的なプロット1702は交番電界を示し、ここで、周波数は、時間と共に増加する。同様に、
図18は、プログラムされた治療法パラメータの最中の、例示的なプロット1802における時間に応じた周波数の変化を示す。いくつかの実施形態では、周波数掃引は、最小周波数から最大周波数までを掃引することを含み得る。いくつかの実施形態では、周波数掃引は、最大周波数から下がって最小周波数までを掃引することを含み得る。他の実施形態では、最小周波数から上がって最大周波数まで掃引すること、及び最大周波数から下がって最小周波数掃引することは、電界発生回路から電界が届く持続時間にわたって所望の回数繰り返され得る。
【0113】
周波数掃引の最中に治療が進行するので、集団内の細胞のサイズ及び数が治療法に反応して変化するため、より多くの細胞を標的にできるように、周波数範囲を交互にすることが望ましいとし得る。例えば、いくつかの実施形態では、周波数掃引は、約100kHz~300kHzの範囲を網羅する第1の周波数掃引と、約200kHz~500kHzの範囲を網羅する第2の周波数とを交互にすることを含み得る。上述の通り第1及び第2の周波数範囲を掃引することは、治療法の過程において無制限に実行され得ることが認識される。いくつかの実施形態では、第2の周波数(範囲)は、第1の周波数掃引(範囲)よりも高い周波数とし得る。いくつかの実施形態では、第1の周波数掃引(範囲)は、第2の周波数(範囲)よりも高い周波数とし得る。
【0114】
第1及び第2の周波数範囲のための周波数範囲は、各範囲の下限が各範囲の上限を下回る値であることを条件に、電界発生回路1609に関して上記に列挙した特定の周波数を含む任意の範囲とし得る。ときには、第1及び第2の周波数掃引の周波数範囲がある程度重なっていることが有益とし得る。
リード及び電極
本明細書で説明するリードは、いくつかの技術を使用して、体内の、癌性腫瘍の部位に又はその近くに配置され得る。1本以上のリードの配置は、皮下腔までトンネルのように進む経血管的な配置(transvascular placement)、及び/又は外科的な配置などの技術を使用することを含み得る。いくつかの実施形態では、1本以上のリードの配置は、1つ以上の自然の身体開口部を経由する配置を含み得る。リードは、癌性腫瘍に隣接して又はその内部に配置され得る。いくつかの実施形態では、複数のリードは、癌性腫瘍の近くで又はそこから離れて使用され得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、本明細書で説明する1本以上のリードは、皮下腔に配置され得る。皮下腔に配置されたリード上の電極は、主近接場発生電極として又は非近接場発生電極として使用され得る。いくつかの実施形態では、皮下腔に配置されたリード上の電極は、医療機器のハウジングと併せて、主近接場発生電極として、又は非近接場発生電極として、使用され得る。同様に、1本以上のリードは、癌性腫瘍の部位に又はその近くにある電極と併せて、又は医療機器のハウジングと併せて、非近接場発生電極としての機能を果たすために、経血管的に(transvascularly)配置され得る。
【0116】
本明細書で説明するリード及び電極は、追加的な機能的及び構造的な特徴を含み得る。いくつかの実施形態では、リードは、限定されるものではないが、MRI(磁気共鳴画像法)、X線画像化、脳深部刺激技術、及び/又は放射線療法を含む、撮像技術及び治療技術に適合するものを含み得る。いくつかの実施形態では、リードは、導電性材料製の1本以上の導体芯線を含み得る。導体芯線は、金属及び/又は他の導電性材料を含む導電性材料から形成され得る。金属は、限定されるものではないが、パラジウム、白金、銀、金、銅、アルミニウム、様々な合金、例えばステンレス鋼、MP35N(登録商標)などのニッケルーコバルト合金などを含み得る。いくつかの実施形態では、導体芯線は、限定されるものではないが、バイファイラーコイル、トライファイラーコイル、及びクワッドファイラーコイル(quadfilar coil)を含む、マルチファイラーコイル(multifilar coil)とし得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、電極は、本明細書で説明されるように、1本以上のリードの長さ部分に沿って配置され得る。本明細書で説明する電極に使用するのに好適な材料は、パラジウムなどの金属を含み得、磁界中でのカップリング及びアーチファクト発生を最小限にする。いくつかの実施形態では、電極は、他の金属及び/又は他の導電性材料から作製され得る。金属は、限定されるものではないが、パラジウム、白金、白金-イリジウム合金などの白金合金、金、銅、タンタル、チタン、ステンレス鋼を含む様々な合金などを含み得る。いくつかの実施形態では、電極は、電極の可撓性を損なうことなく、表面積の増加という付加価値をもたらし得る巻きコイルの形態にあるとし得る。いくつかの実施形態では、植え込み可能な機器ハウジングは、電極の機能を果たし得る。
【0118】
本明細書で説明するリードはまた、リードの長さ部分に沿って配置された1つ以上の電極を含み得る。リードは、リードの長さ部分に沿って配置された2つ以上の電極を含み得る。いくつかの実施形態では、電極は、リードの先端部に見られるチップ電極とし得る。他の実施形態では、電極は、リードのチップにおいてではなくリードに沿って見られるリング電極とし得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、電極はコイル電極とし得る。いくつかの実施形態では、リング又はチップ電極は、腫瘍又は癌組織内に又はそれに隣接して位置決めされ得、及びコイル電極は、腫瘍又は癌組織から離れて位置決めされて、発生した電界に空間的多様性をもたらすのを支援し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の電極は、長さ方向の軸(例えば、基端から先端への軸)に沿って、約0.5、1、1.5、2、3、4、5、7.5、10、15、20、30、40、50、75、100mm以上の長さを有し得る。いくつかの実施形態では、電極の1つ以上は、ある範囲内に入る長さを有し得、上述の距離のいずれかは、上限値が下限値を上回ることを条件に、その範囲の上限値又は下限値としての機能を果たし得る。
【0120】
リードは、単極、双極、又は多極とし得る。いくつかの実施形態では、単極リードは、1つの電極と医療機器のハウジングとの間に電界を発生させるリードを含み得る。いくつかの実施形態では、双極リードは、リードに沿って配置された2つの電極間に、又は両電極と医療機器のハウジングとの間に、電界を発生させ得るリードを含み得る。いくつかの実施形態では、多極リードは、リードに沿って配置された3つ以上の電極間に、3つ以上の電極と医療機器のハウジングとの間に、又は電極と医療機器のハウジングの形態の任意の数の組み合わせで、電界を発生させ得るリードを含み得る。
【0121】
本明細書のリードは、リードの長さ部分に沿って1つ以上の光エミッターを含み得る。本明細書で使用するのに好適な光エミッターは、約350nm~950nmの可視スペクトル内のどこかの波長の光を発するものを含み得る。好適な光エミッターは、発光ダイオード又はレーザダイオードを含み得る。好適なLEDは、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムリン(GaP)、ガリウムヒ素リン(GaAsP)、炭化ケイ素(SiC)又は窒化ガリウムインジウム(GaInN)のうちの1つ以上から作製され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で使用するのに好適なLEDは、一色のみ発することができるLED、すなわち単色LED;二色発することができるLED、すなわち二色LED;三色発することができるLED、又は三色LED;又は四色以上発することができるLEDを含み得る。LEDは、本明細書で説明した医療機器のハウジング内にある制御回路構成部品と電気通信し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のレーザダイオードは、本明細書のリードに沿って含まれ得、及びレーザダイオードは、リード内に配置され且つレーザ源からレーザダイオードへ光を伝送するために使用される1本以上の光ファイバーと光通信し得る。
【0122】
ここで使用するのに好適な電極は、導電性ポリマー、例えばカーボン充填シリコーン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフラン(polyfuran)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリパラフェニレンなどで作製され得る。他の実施形態では、電極は絶縁され得る。いくつかの実施形態では、電極を囲む絶縁材は、気泡の並置を防止するが、依然として電流フローを可能にする微孔性絶縁体を含み得る。微孔性絶縁体は、限定されるものではないが、ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリエチレン-コ-テトラフルオロエテン(ETFE)、ポリウレタン、シリコーン、パリレンポリマーなどのポリ(p-キシリレン)ポリマー、PEBAX(登録商標)などのポリエーテルブロックアミド、ナイロン、又はそれらの誘導体を含む、本明細書で説明するいくつかの絶縁材から作製され得る。いくつかの実施形態では、電極は、限定されるものではないが、ヒドロゲル、又はフラクタルコーティング、例えば酸化イリジウム、酸化チタン、五酸化タンタル、他の金属酸化物、ポリ(p-キシリレン)ポリマー、例えばパリレンなどを含む様々な材料でコーティングされ得る。
【0123】
いくつかのリードの固定(lead fixation)技術及び形態は、本明細書の実施形態に従って使用され得る。リードの固定技術のいくつかの非限定的な例は、生体適合性グルー固定、かぎ爪固定、へリックスコイル固定、脈管系内でのリードの受動的なセンタリング、局所的な脈管系内でのタイン固定、局所的な脈管系内でのらせん形バイアス固定、圧縮固定、縫合スリーブ(suture sleeve)固定などを含み得る。いくつかの例では、本明細書で供されるリードは、癌性腫瘍の部位を取り囲むか又はそれに隣接する脈管系内に配置され得る。他の実施形態では、本明細書で供されるリードは、癌性腫瘍の部位に又はその内部に又はそれを取り囲んで、外科的に配置され得る。
【0124】
本明細書で使用するのに好適なリードはまた、リードの長手方向全長に、又は長手方向の選択された長さ部分に延びる1つ以上の開口ルーメンを含み得る。いくつかの実施形態では、開口ルーメンは、疾患の進行及び/又は退縮を監視するために、周期的に癌性腫瘍部位から生検標本を得るのに好適な統合生体検査装置を含み得る。開口ルーメンを有するリードはまた、単回ボーラスで又は定量ポンプによって周期的に、ステロイドや化学療法薬剤などの1種以上の薬物を腫瘍の部位へ送り得る統合薬物送達ルーメンを含むように構成され得る。リードは、癌性腫瘍の部位に又はその近くに薬物送達用の出口を提供するために、リードの長さ部分に沿って配置された1つ以上のポータルを含み得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、リードの一部分又はリード全体は、薬物溶出コーティングを含み得る。いくつかの実施形態では、薬物溶出コーティングは、ステロイドなどの抗炎症剤を含み得る。いくつかの実施形態では、ステロイドはデキサメタゾンとし得る。他の実施形態では、薬物溶出コーティングは、化学療法薬剤を含み得る。いくつかの実施形態では、化学療法薬剤は、限定されるものではないが、パクリタキセル、ドセタキセルなどを含む、タキサン又はそれらの誘導体を含み得る。他の実施形態では、薬物溶出コーティングは、追加的な種類の化学療法薬剤、限定されるものではないが、例えばアルキル化剤、植物性アルカロイド、例えばビンカアルカロイド、細胞毒性抗生物質(cytotoxic antibiotics)、トポイソメラーゼ阻害薬などを放出するように構成され得る。いくつかの実施形態では、薬物溶出コーティングは、コーティングから薬物を徐放式で放出するように構成され得る。
【0126】
本明細書のリードは、いくつかの形状又は形態を採用し得る。いくつかの実施形態では、リードは線形にでき、及び他の実施形態では、リードは円形にできる。円形リードは、完全な閉ループとしても、又は半閉ループとしてもよい。いくつかの実施形態では、リードは、限定されるものではないが、U字形状、S字形状、らせん形、半円、卵形などを含む多くの形態にリードを形作ることができる曲げることができる芯線を含み得る。
【0127】
さらに他の例では、本明細書で使用するのに好適なリードは、臨床医が癌性腫瘍の部位に又はその近くに正確に配置するのを支援し得る蛍光定量マーカ又は磁気マーカを含み得る。リードはまた、癌性腫瘍の若しくはその近くでのpHの変化を検出できる統合pHセンサー、又は対象の化学分析物の濃度を分析するための好適な他の化学センサーを含み得る。
電界発生器
本明細書で供される医療機器は、癌性腫瘍の治療の過程中に使用される、治療及び診断技術に特に好適な電界発生器を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書で使用するのに好適な電界発生器は、癌性腫瘍の主な治療として処方されることが多い放射線療法の治療の悪影響に対して抵抗性のある構成要素を作製するために、放射線硬化によって処理されたものを含み得る。電界発生器は、上記で
図3及び
図5を参照して説明したものなどの構成要素を含み得る。
【0128】
本明細書で供される電界発生器は、上述の通り、任意の数の治療パラメータセットがプログラムされ得る。電界発生器は、植え込み前にプログラムされ得るか、又は臨床医によって、外部計算装置、例えばプログラマー、家庭用ユニット、及び/又は携帯機(例えば携帯電話、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータなど)を使用して、プログラムされ得る。いくつかの実施形態では、治療法パラメータは、テレメトリー回路によって電界発生器へ送られ得る。いくつかの実施形態では、電界発生器は、受信コイルと通信式に結合された再充電回路を含み、医療機器の経皮的な再充電を容易にし得る。いくつかの実施形態では、電界発生器は、受信コイルと外部充電機器との間で無線通信し得る。
さらなる実施形態
ある実施形態では、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための方法が含まれ、方法は、癌細胞集団を含み得る癌性腫瘍の部位又はその近くに1つ以上の電界を印加することであって;1つ以上の印加電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的であること;癌細胞集団内で有糸分裂を進めることができるようにするために、1つ以上の電界を除去すること;及び1つ以上の電界が除去された後、対象者に化学療法薬を投与することを含む。
【0129】
ある実施形態では、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、1分~24時間の期間の範囲内から選択された期間にわたって、1つ以上の電界を印加することを含む。
ある実施形態では、方法は、さらに、1つ以上の電界に反応して、癌細胞集団のうちの少なくとも5%が有糸分裂で同期するとき、対象者に化学療法薬を投与することを含み得る。
【0130】
ある実施形態では、方法は、さらに、1つ以上の電界に反応して、癌細胞集団のうちの少なくとも25%が有糸分裂で同期するとき、対象者に化学療法薬を投与することを含み得る。
【0131】
ある実施形態では、方法は、さらに、1つ以上の電界に反応して、癌細胞集団のうちの少なくとも50%が有糸分裂で同期するとき、対象者に化学療法薬を投与することを含み得る。
【0132】
ある実施形態では、方法は、さらに、1つ以上の電界に反応して、癌細胞集団のうちの少なくとも75%が有糸分裂で同期するとき、対象者に化学療法薬を投与することを含み得る。
【0133】
ある実施形態では、1つ以上の電界は、10kHz~1MHzの範囲内から選択された周波数で癌性腫瘍に印加される。
ある実施形態では、1つ以上の電界は、100kHz~500kHzの範囲内から選択された周波数で癌性腫瘍に印加される。
【0134】
ある実施形態では、1つ以上の電界は、100kHz~300kHzの範囲内から選択された周波数で癌性腫瘍に印加される。
ある実施形態では、1つ以上の電界は、0.25V/cm~1000V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度を含む。
【0135】
ある実施形態では、1つ以上の電界は、1V/cm~10V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度を含む。
ある実施形態では、1つ以上の電界は、3V/cm~5V/cmの電界強度の範囲から選択される電界強度を含む。
【0136】
ある実施形態では、化学療法薬は、治療有効量で対象者に投与される。
ある実施形態では、治療有効量は、電界の除去後、6時間の期間内で対象者に送られる高濃度の投薬量を含み、高濃度の投薬量は、24時間の期間にわたって送られる従来の非高濃度の投薬量に相当する。
【0137】
ある実施形態では、化学療法薬は、治療半減期が48時間未満の薬剤を含む。
ある実施形態では、化学療法薬は有糸分裂阻害薬を含む。
ある実施形態では、化学療法薬は、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、2-メトキシエストラジオール、パツピロン、トラスツズマブエムタンシン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1種を含む。
【0138】
ある実施形態では、化学療法薬は、光学的に活性化される化学療法薬を含む。
ある実施形態では、光学的に活性化される化学療法薬は、光活性化白金化合物又は光活性化フォトスタチン化合物を含む。
【0139】
ある実施形態では、光活性化フォトスタチン化合物は、光によって活性化されるコンブレタスタチンA-4、並びにそれらの類似体及び誘導体を含む。
ある実施形態では、光学的に活性化される化学療法薬は、350nm~850nmの範囲内の可視光によって光学的に活性化され得る。
【0140】
ある実施形態では、光学的に活性化される化学療法薬は、350nm~850nmの範囲内の可視光によって光学的に不活性化され得る。
ある実施形態では、化学療法薬はナノ粒子を含む。
【0141】
ある実施形態では、ナノ粒子は、癌性腫瘍の部位又はその近くに放出するために、有効量の化学療法薬を含む。
ある実施形態では、方法は、さらに、癌性腫瘍の部位にある又はその近くにある経皮的アクセスポートに挿入することを含み得る。
【0142】
ある実施形態では、経皮的アクセスポートは、1本以上のリードを受け入れるように構成されている。
ある実施形態では、1本以上のリードは:1種以上の化学療法薬を送るための開口ルーメンを有する薬物送達カテーテル;光活性化光エネルギーを伝達するための1つ以上の光エミッターを含み得る光リード;癌性腫瘍から生検標本を得るための生体検査装置;及び老廃物や体液を洗い流すための灌注カテーテルを含む。
【0143】
ある実施形態では、対象者に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位又はその近くで、対象者の体外に1つ以上の電界を印加することを含む。
ある実施形態では、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位又はその近くで、少なくとも部分的に対象者の体内に1つ以上の電界を印加することを含む。
【0144】
ある実施形態では、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位又はその近くで、少なくとも部分的に対象者の体外に1つ以上の電界を印加することを含む。
ある実施形態では、癌性腫瘍に1つ以上の電界を印加することは、癌性腫瘍の部位又はその近くに、対象者の体内にある1つ以上の植え込み可能な電極によって、1つ以上の電界を印加することを含む。
【0145】
ある実施形態では、1つ以上の電界を発生させている医療機器は:電界発生回路;及び電界発生回路と通信する制御回路構成部品を含み得、制御回路構成部品は、電界発生回路から、癌性腫瘍の部位又はその近くへの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている。
【0146】
ある実施形態では、医療機器は、さらに、電界発生回路と電気通信する1本以上のリード線を含む。
ある実施形態では、医療機器は、完全に対象者の体内に植え込まれるように構成されている。
【0147】
ある実施形態では、医療機器は、完全に対象者の体外にあるように構成されている。
ある実施形態では、医療機器は、部分的に対象者の体内に植え込まれるように構成されている。
【0148】
ある実施形態では、医療機器は、部分的に対象者の体外にあるように構成されている。
ある実施形態では、癌性腫瘍を治療するための方法が含まれており、方法は、癌性腫瘍のある対象者の体内に、1つ以上の植え込み可能な電極を植え込むこと;対象者の体の外面に1つ以上の外部電極を配置すること;予め定められたスケジュールに従って、少なくとも一対の電極間に、10kHz~1MHzの範囲内の周波数を有する電界を発生させること;及び1つ以上の電界を除去すること;及び1つ以上の電界が除去された後、癌性腫瘍の部位又はその近くに化学療法薬を投与することを含む。
【0149】
ある実施形態では、1つ以上の印加電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的である。
ある実施形態では、1つ以上の電界を除去することは、癌細胞集団内で有糸分裂を進めることができるようにする。
【0150】
ある実施形態では、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための方法が含まれ、方法は、癌細胞集団を含み得癌性腫瘍の部位又はその近くに、第1の電界強度を有する第1の電界を印加することであって;第1の電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的であること;癌細胞集団内で有糸分裂を進めることができるようにするために、第1の電界を除去すること;及び第1の電界が除去された後、癌性腫瘍の部位又はその近くに化学療法薬を投与することを含む。
【0151】
ある実施形態では、方法は、さらに、第1の電界を除去した後、及び化学療法薬を投与する前に、癌性腫瘍の部位又はその近くに、第2の電界強度を有する第2の電界を印加することを含み得、第2の電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的である。
【0152】
ある実施形態では、方法は、さらに、第1の電界を除去した後、第2の電界を印加する前に、予め決められた時間待機することを含み得る。
ある実施形態では、第2の電界強度は第1の電界強度を下回る。
【0153】
ある実施形態では、第2の電界強度は第1の電界強度を上回る。
ある実施形態では、第2の電界強度は第1の電界強度と同じである。
ある実施形態では、方法は、さらに、対象者が、めまい、吐き気、倦怠感、浮遊感、頭痛、又は限局性の痛みを含み得る1種以上の副作用を経験しているとき、第1の電界の印加を休止するように、対象者から休止コマンドを受信することを含み得る。
【0154】
ある実施形態では、方法は、さらに、対象者からオンコマンドを受信することを含み得、オンコマンドは、第1の電界の発生を再確立する。
ある実施形態では、癌性腫瘍を治療するための医療機器であって、癌細胞集団を含み得る癌性腫瘍の部位又はその近くに、1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路;電界発生回路と通信する制御回路構成部品であって、電界発生回路から、癌性腫瘍の部位又はその近くへの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている制御回路構成部品を有する、医療機器が含まれ;制御回路構成部品は、電界発生回路に、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に、10kHz~1MHzの範囲内から選択された周波数で1つ以上の電界を発生させるようにし、1つ以上の電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的である。
【0155】
ある実施形態では、医療機器は、電界発生回路と電気通信する1本以上のリード線を含み得る。
ある実施形態では、医療機器は:1種以上の化学療法薬を送るための薬物送達カテーテル;光活性化光エネルギーを伝達するための1つ以上の光エミッターを含み得る光リード;癌性腫瘍から生検標本を得るための生体検査装置;及び老廃物や体液を洗い流すための灌注カテーテルのうちの1つ以上を含み得る。
【0156】
ある実施形態では、医療機器は、完全に対象者の体内に植え込まれるように構成されている。
ある実施形態では、医療機器は、部分的に対象者の体内に植え込まれるように構成されている。
【0157】
ある実施形態では、医療機器は、完全に対象者の体外にあるように構成されている。
ある実施形態では、医療機器ハウジングを有する、癌性腫瘍を治療するための医療機器システムが含まれ、医療機器ハウジングには、癌細胞集団を含み得る癌性腫瘍の部位又はその近くに、1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路;電界発生回路と通信する制御回路構成部品であって、電界発生回路から、癌性腫瘍の部位又はその近くへの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている制御回路構成部品;癌性腫瘍の部位又はその近くに、1種以上の化学療法薬を投与するための薬物送達カテーテルが含まれ;及び制御回路構成部品は、電界発生回路に、身体組織内にある癌性腫瘍の部位に、10kHz~1MHzの範囲内から選択された周波数で1つ以上の電界を発生させるようにする。
【0158】
ある実施形態では、医療機器は:1種以上の化学療法薬を送るための薬物送達カテーテル;光エネルギーを伝達するための1つ以上の光エミッターを含み得る光リード;癌性腫瘍から生検標本を得るための生体検査装置;及び癌性腫瘍の部位を洗い流すための灌注カテーテルのうちの少なくとも1つを受け入れるように構成された送達ポートを含み得る。
【0159】
ある実施形態では、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための方法が含まれ、方法は、予め定められたスケジュールに従って、癌性腫瘍の部位又はその近くに、1つ以上の電界を印加することを含み、癌性腫瘍は癌細胞集団を含み得;予め定められたスケジュールによって、少なくとも6時間の定められた期間にわたって、電界の、強さ及び周波数の少なくとも一方が変化するようにする。
【0160】
ある実施形態では、1つ以上の印加電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的である。
ある実施形態では、方法は、さらに、癌細胞集団内で有糸分裂を進めることができるようにするために、1つ以上の電界を除去することを含み得る。
【0161】
ある実施形態では、方法は、さらに、1つ以上の電界が除去された後、癌性腫瘍の部位又はその近くに化学療法薬を投与することを含み得る。
ある実施形態では、方法は、さらに、対象者から休止コマンドを受信することを含み得、休止コマンドによって、電界の印加を中止させる。
【0162】
ある実施形態では、予め定められたスケジュールは、1つ以上の電界の、強さ及び周波数の少なくとも一方の時間的変化を含む。
ある実施形態では、予め定められたスケジュールは、1つ以上の予め決められた下降期間を含み、1つ以上の印加電界は、少なくとも4時間で、少なくとも50%だけ強さ又は周波数が低下される。
【0163】
ある実施形態では、予め定められたスケジュールは、1つ以上の予め決められた下降期間を含み、1つ以上の印加電界は、少なくとも4時間で、少なくとも75%だけ強さ又は周波数が低下される。
【0164】
ある実施形態では、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための方法が含まれ、方法は、予め定められたスケジュールに従って、癌細胞集団を含み得る癌性腫瘍の部位又はその近くに、1つ以上の電界を印加することであって;1つ以上の印加電界は、有糸分裂を遅延させ且つ癌細胞集団の一部内で有糸分裂同期を引き起こすのに効果的であること;癌細胞集団内で有糸分裂を進めることができるようにするために、1つ以上の電界を除去することを含む。
【0165】
ある実施形態では、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための医療機器が含まれ、医療機器は、癌細胞集団を含み得る癌性腫瘍の部位又はその近くに、1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路;電界発生回路と通信する制御回路構成部品を有し;制御回路構成部品は、少なくとも6時間の定められた期間にわたって、電界の、強さ及び周波数の少なくとも一方が変化するようにする予め定められたスケジュールに従って、電界発生回路から、癌性腫瘍の部位又はその近くへの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている。
【0166】
ある実施形態では、癌性腫瘍を治療するための方法が含まれ、方法は、癌性腫瘍のある対象者の体内に、1つ以上の植え込み可能な電極を植え込むこと;対象者の体の外面に1つ以上の外部電極を配置すること;予め定められたスケジュールに従って、少なくとも一対の電極間に、10kHz~1MHzの範囲内の周波数を有する電界を発生させること;及び対象者から、電界の発生を中止させる休止コマンドを受信することを含む。
【0167】
ある実施形態では、方法は、さらに、対象者から休止コマンドを受信後、ある期間が経過した後、予め定められたスケジュールに従って少なくとも一対の電極間の電界の発生を再開始することを含み得る。
【0168】
ある実施形態では、予め定められたスケジュールは、電界の強さ及び周波数の少なくとも一方の時間的変化を含む。
ある実施形態では、患者から受信した休止コマンドは、オフコマンド、設定時間のオフコマンド、オフボタンが押されたコマンド、又はオフ状態リマインダーコマンドのうちの少なくとも1つを含む。
【0169】
ある実施形態では、方法は、対象者からオンコマンドを受信することを含み得、オンコマンドは、電界の発生を再確立する。
ある実施形態では、癌性腫瘍を治療するための医療機器が含まれ、医療機器は、癌性腫瘍のある対象者の体内に配置するように構成された1つ以上の植え込み可能な電極;対象者の体の外面に配置されるように構成された1つ以上の外部電極;予め定められたスケジュールに従って、少なくとも一対の電極間に、10kHz~1MHzの範囲内の周波数を有する電界を発生させるように構成された電界発生回路;及び対象者から、電界の発生を中止させる休止コマンドを受信するように構成された制御回路構成部品を有する。
【0170】
ある実施形態では、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための方法が含まれ、方法は、癌細胞集団を含み得る癌性腫瘍の部位又はその近くに1つ以上の電界を印加すること;1つ以上の電界を除去すること;1つ以上の電界が除去された後、癌性腫瘍の部位又はその近くに、光学的に活性化される化学療法薬を投与すること;及び癌性腫瘍の部位又はその近くに光活性化光エネルギーを伝達することによって、光学的に活性化される化学療法薬に照射することを含む。
【0171】
ある実施形態では、光学的に活性化される化学療法薬は、癌性腫瘍の部位又はその近くに放出するために、治療有効量の光学的に活性化される化学療法薬を含む。
ある実施形態では、治療有効量は、電界の除去後、6時間の期間内で対象者に送られる高濃度の投薬量を含み、高濃度の投薬量は、24時間の期間にわたって送られる従来の非高濃度の投薬量に相当する。
【0172】
ある実施形態では、光学的に活性化される化学療法薬は、光活性化白金化合物又は光活性化フォトスタチン化合物を含む。
ある実施形態では、光活性化フォトスタチン化合物は、光によって活性化されるコンブレタスタチンA-4、並びにそれらの類似体及び誘導体を含む。
【0173】
ある実施形態では、光学的に活性化される化学療法薬は、350nm~850nmの範囲内の可視光によって光学的に活性化され得る。
ある実施形態では、光学的に活性化される化学療法薬は、450nm~650nmの範囲内の可視光によって光学的に不活性化され得る。
【0174】
ある実施形態では、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための医療機器が含まれ、医療機器は、癌細胞集団を含み得る癌性腫瘍の部位又はその近くに、1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路;電界発生回路と通信する制御回路構成部品であって、電界発生回路から、癌性腫瘍の部位又はその近くへの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている制御回路構成部品;癌性腫瘍の部位又はその近くに、光学的に活性化される化学療法薬を投与するように構成されたカテーテル;及び癌性腫瘍の部位又はその近くに光活性化光エネルギーを伝達することによって、光学的に活性化される化学療法薬に照射するように構成された1つ以上の光エミッターを有する。
【0175】
ある実施形態では、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための方法が含まれ、方法は、癌細胞集団を含み得る癌性腫瘍の部位又はその近くに、1つ以上の電界を印加すること;及び癌性腫瘍の部位又はその近くに、化学療法薬を含み得るナノ粒子を投与することを含む。
【0176】
ある実施形態では、方法は、さらに、癌性腫瘍の部位又はその近くにナノ粒子を投与する前に、1つ以上の電界を除去することを含み得る。
ある実施形態では、ナノ粒子は、癌性腫瘍の部位又はその近くに放出するために、治療有効量の化学療法薬を含む。
【0177】
ある実施形態では、治療有効量は、電界の除去後、6時間の期間内で対象者に送られる高濃度の投薬量を含み、高濃度の投薬量は、24時間の期間にわたって送られる従来の非高濃度の投薬量に相当する。
【0178】
ある実施形態では、化学療法薬は、ビンデシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドセタキセル、2-メトキシエストラジオール、パツピロン、トラスツズマブエムタンシン、及びそれらの誘導体のうちの少なくとも1種を含む。
【0179】
ある実施形態では、ナノ粒子は生分解性ポリマーを含む。
ある実施形態では、対象者の体内にある癌性腫瘍を治療するための医療機器が含まれ、医療機器は、癌細胞集団を含み得る癌性腫瘍の部位又はその近くに、1つ以上の電界を発生させるように構成された電界発生回路;電界発生回路と通信する制御回路構成部品であって、電界発生回路から、癌性腫瘍の部位又はその近くへの1つ以上の電界の届きを制御するように構成されている制御回路構成部品;及び癌性腫瘍の部位又はその近くにナノ粒子を投与するように構成されたカテーテルを有する。
【0180】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、内容的に明白に他の意味を指示する場合を除いて、単数形「ある(a)」、「ある(an)」、及び「その(the)」は、複数形を含むことに留意すべきである。それゆえ、例えば、「ある化合物」を含む組成物への言及は、2種以上の化合物の混合物を含む。内容的に明白に他の意味を指示する場合を除いて、用語「又は」は、一般的に、「及び/又は」を含む意味で用いられることにも留意すべきである。
【0181】
本明細書及び添付の特許請求の範囲では、語句「構成される」は、特定のタスクを実行する又は特定の形態を採用するように構築又は構成されるシステム、装置、又は他の構造を説明することにも留意すべきである。語句「構成される」は、例えば、配置され且つ構成される、構築され且つ配置される、構築され、製造され、且つ配置されるなどの、他の同様の語句と同じ意味で使用され得る。
【0182】
本明細書における全ての刊行物及び特許出願は、本発明が関係する当業者の水準を示すものである。全ての刊行物及び特許出願は、それぞれ個別の刊行物又は特許出願が参照することにより具体的且つ個別に示されたのと同程度に、参照することにより本明細書に援用する。
【0183】
本明細書で説明した実施形態は、徹底的であることも、又は本発明を、以下の詳細な説明に開示した正確な形態に限定することも意図していない。むしろ、実施形態は、当業者が原理及び実施を認識し且つ理解するように、選択され且つ説明されている。そのようなものとして、態様は、様々な特定の好ましい実施形態及び技術を参照して説明した。しかしながら、本明細書の趣旨及び範囲内に留まりながら、多くの変形及び修正がなされ得ることを理解されるべきである。