(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】加圧気体を動力とする薬剤の輸送と再懸濁の装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20231109BHJP
【FI】
A61J1/20 314B
(21)【出願番号】P 2022025630
(22)【出願日】2022-02-22
(62)【分割の表示】P 2019203208の分割
【原出願日】2016-03-24
【審査請求日】2022-02-22
(32)【優先日】2015-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515298235
【氏名又は名称】イネイブル インジェクションズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】ドゥンキ-ジャコブス,アダム
(72)【発明者】
【氏名】フーベン,マイケル,ディー
(72)【発明者】
【氏名】フドレストン,マシュー,ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヌコルス,リチャード,ピー
(72)【発明者】
【氏名】パルマー,ジョエッタ,レニー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファンチック,デイヴィッド
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-527933(JP,A)
【文献】特表2013-500773(JP,A)
【文献】特表2010-528810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を含むバイアルから注射装置への液体の移送方法であって、
液体を含むバイアルを、気体ルーメンと液体ルーメンとを含むバイアル受容ステーションに挿入することと、
挿入された前記バイアルを第1の位置から第2の位置に動かすこととを含み、
前記気体ルーメンと前記液体ルーメンは、挿入された前記バイアルが前記第2の位置に動かされたときに挿入された前記バイアルの内部と流体連通になり、
挿入された前記バイアルは、前記第2の位置に動かされたときにアクチュエータの部材と連動するよう係合され、それによって貫通ピンおよび/または予め充填された加圧容器が貫通位置に動かされ、前記貫通位置は、気体が前記気体ルーメンを通って流れるように、前記貫通ピンが加圧気体の供給源の封止を貫通する位置であり、
加圧された気体を
、前記気体ルーメンを通して、挿入され動かされた前記バイアルに導入することと;
液体を
挿入され動かされた前記バイアルから前記
加圧気体からの圧力下で流すことと;
前記
液体を
、前記液体ルーメンを通して、挿入され動かされた前記バイアルから注射装置に前記加圧された気体の力の下で流すことを含む
、方法。
【請求項2】
前記
液体を前記バイアルから流す後であって前記
液体を前記注射装置の中に流す前に薬剤を前記
液体と組み合わせる工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組み合わせる工程は、前記
液体を前記バイアルから前記気体の圧力下で薬剤を含む第2のバイアルに流すことを含み、前記
液体を前記注射装置の中に流すことは組み合わされた前記
液体と前記薬剤を前記第2のバイアルから前記加圧された気体の力の下で前記注射装置の中に流すことを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記
液体は希釈剤である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記
液体は第1の液体薬剤であり、前記第2のバイアル中の前記薬剤は第2の液体薬剤である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のバイアル中の前記薬剤は凍結乾燥されており、前記希釈剤は前記薬剤を再構成する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記注射装置は拡張可能な貯留部を含み、前記
液体は前記加圧された気体の圧力下で拡張可能な貯留部の中に流される、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
拡張可能な前記貯留部は弾性の袋を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記貯留部は、前記
液体または組み合わされ
た希釈剤
と薬剤を排出するように偏向されている、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記加圧された気体は予め充填された圧力容器から流れる、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記圧力容器は貫通可能な封止部を含み、方法は前記封止部を貫通することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記加圧された気体は実質的に病原体を含まない、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記気体がバイアルに入る前に前記気体をろ過することを含む、請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記圧力容器は10ml以下の容積を有する、気体が充填されたカートリッジである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記カートリッジは約1ml以下の容積を有する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記圧力容器は当初、気体を約500psig以上の圧力で含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記加圧された気体は不活性気体である、請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記気体は窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、および、キセノンからなる群から選択される、請求項1から請求項17までのいずれか1項に気体の方法。
【請求項19】
巻きこまれた気体が拡張可能な前記貯留部に入る前に前記
液体から除去することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項20】
前記加圧された気体は、約1ml以下の容積を有し、約900psig以上の圧力を有するプレフィルドカートリッジから流される、請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2015年3月26日に出願された米国仮出願番号第62/138,762号に優先権と利益を主張する。
【0002】
本願の主題は、一般的に、バイアル内の液体または再構成されていない剤形の薬剤の移送および/または混合のための装置と方法に関する。
【背景技術】
【0003】
患者への注射を目的とする薬、生物製剤、ワクチン、抗生物質その他の医薬材料(「薬剤」)は、一般的に、密封したバイアルで提供され、薬剤は注射の前にそこから引き出され、注射装置へ移されなければならない。薬剤が液剤の場合もあれば、他の場合には、凍結乾燥製剤のような乾燥製剤または粉末製剤であり、バイアルから引き出す前に、液体希釈剤を用いて再構成または再懸濁されなければならない。この明細書では、「再懸濁」とは再構成と希釈を含む包括的な観念で用いられる。
【0004】
バイアルで提供される薬剤の移送および/または再懸濁のための装置は、大きく発展してきたし、薬剤を患者に注射する注射装置も同様である。これらの例は、ここに全体が参照として組み込まれる、2014年12月24日にPCT公開番号WO2014204894として公開された、バイアル移送と注射器具と方法と題するPCT国際出願番号PCT/US2014/042627に記載されている。移送と混合または再懸濁装置と注射装置の様々な実施形態がそこに詳細に開示されている。そこに示されている移送と再懸濁の装置は、バイアルまたは複数のバイアルと注射装置との間における薬剤および/または希釈剤および/または再懸濁された薬剤の移送のために、ばね付勢ピストンとシリンダを使用している。これらの装置はよく動作するが、さらなる費用および/または大きさの削減および/または簡略化が望まれ続けている。
【発明の概要】
【0005】
本主題の1つの局面に従えば、源からの加圧気体がバイアルに含まれる薬剤を移送、混合および/または再構成するために用いられる。加圧気体源は、例えば、限定ではないが予め充填された(プレフィルド)加圧気体カートリッジまたはシリンダのような圧力容器であり得る。より具体的には、1つの局面においては、流体を含むバイアルから注射装置への流体の移送方法が提供される。本方法は、加圧気体を圧力容器からバイアル内に導入し、流体を気体の加圧下でバイアルから流すこと、そして、流体を加圧気体の力の下でバイアルから注射装置内に流すことを含み得る。
【0006】
さらなる局面においては、2以上のバイアルが使用され得、第1のバイアルからの流体が第2のバイアルの内容物と組合せ、または、混合するために第2のバイアルに流され、組み合わされた流体が注射装置内または1以上の追加のバイアル内と注射装置内に流され得る。凍結乾燥製剤を再構成するために、第1のバイアルは液体希釈剤を含み得、第2のバイアルは薬剤を含み得る。液体薬剤を希釈するために、第1または第2のバイアルは希釈剤を含み得、他方のバイアルは液体薬剤を含み得る。薬物の混合物または「カクテル」を提供するために、それぞれのバイアルは液体薬剤を含み得る。他の変形や組み合わせがあり得、さらなるバイアルが使用され得る。共通の特徴は、バイアルからバイアルおよび注射装置内に流体を動かすためのエネルギーまたは力を提供するための、予め充填された加圧気体シリンダまたはカートリッジからのような加圧気体の使用である。
【0007】
注射装置は、拡張可能な貯留部と、組み合わせられた希釈剤と薬剤または組み合わせられた液体薬剤のような、加圧気体の圧力下で拡張可能な貯留部内に流れ入る結果として生じた流体とを含み得る。貯留部が液体または組み合わされた希釈剤と薬剤で充填されるとき、圧力は任意で貯留部の拡張を引き起こし得、実質的に、医療従事者または患者自身によるその後の使用のために注射装置を充填する。
【0008】
本開示の別の局面においては、流体を含むバイアルから、薬剤貯留部を含む注射装置への流体の移送のための薬剤移送装置が開示される。器具は、限定ではないが予め充填された加圧気体カートリッジまたはシリンダのような圧力容器のような加圧気体源と、少なくとも1つのバイアル受容ステーションと、薬剤注射装置受容ステーションとを含む。気体流路は気体源とバイアル受容ステーションとの間で連通可能であり、流体流路はバイアル受容ステーションと薬物注射装置受容ステーションとの間で連通可能である。
【0009】
薬剤移送器具は、1以上のバイアル受容ステーションを有し得、例えば、第1のバイアル受容ステーションと第2のバイアル受容ステーションまたはそれ以上を含み得る。気体流路は加圧気体源と、希釈剤または液体薬剤のような液体を含むバイアルを受容する第1のバイアル受容ステーションとの間で連通可能である。第2の他のバイアル受容ステーションは、希釈剤によって再構成されるべき凍結乾燥薬、希釈剤によって希釈または別の液体薬剤と混合されるべき液体薬剤やこれらの変形のような、適切な内容物を含むバイアルを受容するように構成され得る。流体流路は1つのバイアル受容ステーションから別のものまで、希釈剤、薬剤または組み合わせの所望の流体流を許すように、連通可能である。流体流路はまた、バイアルと注射装置受容ステーションとの間で連通可能であり、そのため再構成された凍結乾燥薬、希釈された薬剤または液体薬剤混合物に関わらず、結果として得られる流体が注射装置内に流れ得る。バイアル間と注射装置受容ステーションへの流体の移送のための動力エネルギーまたは動力は、加圧気体源からの加圧気体である。
【0010】
薬剤移送器具はまた、装置受容ステーションに取り外し可能に固定された注射装置を含み得る。注射装置は、加圧気体の力からの流体の圧力下で拡張可能な貯蔵部を含み得る。
【0011】
本開示の別の局面に従えば、隔壁によって封止される開放端部を有するバイアルの(微小凝集体のような)薬剤内容物の再懸濁のための別の再懸濁装置が開示される。この再懸濁装置は、希釈剤ポート、気体ポート、通気ポート、バイアル受容ステーションを含むハウジングを備える。それはまた、バイアルがバイアル受容ステーションに受容される時に、バイアルの隔壁に穴を開けるためにバイアル受容ステーションから延びる第1のスパイクルーメンと第2のスパイクルーメンとを含む。ハウジング内の気体流路は気体流入ポートと第1のスパイクルーメンとの間を連通し、希釈剤流路は希釈剤ポートと第1のスパイクルーメンとの間を連通し、通気流路は通気ポートと第2のスパイクルーメンとの間を連通する。疎水性フィルタは、通気流路を通過する気体をろ過し、通気流路から液体が漏れだすことを実質的に防ぐために、通気流路に協同的に関連付けられている。
【0012】
この局面に関連して、バイアルの薬剤内容物の再懸濁方法も提供される。本方法は、希釈剤をバイアルに導入すること、希釈剤と薬剤のかき混ぜを引き起こすためにバイアル内の希釈剤の高さよりも下で気体を圧力下でバイアルに注入すること、バイアルから気体を排出すること、そして、医薬内容物が実質的に再懸濁するまで注入と排気を継続することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本主題の上述の局面と他の多くの局面は、添付の図面に示される、以下の排他的でない例の説明に開示されている。
図1~12は、2014年12月24日にPCT公開番号WO2014204894として公開された、バイアル輸送と注射器具と方法と題するPCT国際出願番号PCT/US2014/042627からの例示的な図であり、背景技術と一般的な開示の目的のために含まれている。
【
図1】本主題を具体的に表す、単一のバイアルホルダー、移送器具と注射装置システムを含む単一バイアルシステムの斜視図である。
【
図2】本主題を具体的に表す、二連のバイアルホルダー、移送器具と注射装置システムを含む二連バイアルシステムの斜視図である。
【
図3】取り外し可能な頂部を含む単一のバイアルホルダーの斜視図、取り外し可能な頂部を含む単一バイアルホルダーの断面図、そして、取り外し可能な頂部とバイアルキャップが取り外された単一バイアルホルダーの斜視図である。
【
図4】取り外し可能な頂部が含まれた斜視図と、取り外し可能な頂部とバイアルキャップが取り外された状態の二連バイアルホルダの断面図である。
【
図5】バイアルの隔壁に対するバイアルアクセス部材の位置を示すバイアルホルダーの領域における
図2の断面図である。
【
図6】アクセス部材がバイアルの隔壁を貫いたことを示すバイアルホルダーの領域における
図1の断面図である。
【
図7】バイアルホルダーと注射装置受容領域を示す
図1に示される移送器具の斜視図である。
【
図8】折りたたみ可能なバイアルアクセス部材遮蔽材を有するバイアルの隔壁を突き通しているバイアルアクセス部材を示す
図5の拡大図である。
【
図9】第1のバイアル、第2のバイアル、第1と第2の可変圧力室を有する移送器具と流体流路を含む注射装置を有する
図2のバイアル移送システムの模式図である。
【
図10】射出前の位置における
図2の断面図である。
【
図11】薬剤バイアル、第1の可変圧力室を有する移送器具と流体流路を含む注射装置を有する
図1における単一バイアル移送システムの模式図である。
【
図13】本主題に従った、加圧気体を動力とする、バイアルから注射装置への薬剤移送の方法のフローチャートである。
【
図14】本主題に従ったバイアルから注射装置への加圧気体の薬剤移送の方法の流れ図である。
【
図15】本主題の1つの局面を具体化する単一バイアル移送装置の斜視図である。
【
図16】内部をよりよく示すためにハウジングの一部を取り除いた
図15の装置の斜視図である。
【
図18】本主題の1つの局面を具体化する別の単一バイアル移送装置の部分断面斜視図である。
【
図19】
図18の装置の別の操作位置における部分断面斜視図である。
【
図20】本主題に従った、加圧気体を動力とする、2つのバイアルからの内容物の移送と混合と、注射装置への移送の方法のフローチャートである。
【
図21】本主題に従った、2つのバイアルからの内容物の加圧気体の移送と混合と注射装置への移送の方法の流れ図である。
【
図22】本主題の1つの局面を具体化する二連バイアル移送装置の斜視図である。
【
図23】内部をよりよく示すためにハウジングの一部を取り除いた
図22の装置の斜視図である。
【
図25】注射のための薬剤の再懸濁に有用な別のシステム/装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1~12は、背景技術と一般的な開示の目的で提供される。そこに示される様々な機能的な特徴は、本主題と組み合わせて具体化され得る。
図1と
図2に示すように、より詳細には以下に記載されるように、使い捨ての一回使用の単一バイアル移送と注射システム1が
図1に示され、単一バイアルホルダー2、移送器具3と注射装置7を備え得る。使い捨ての一回使用の二連バイアルの混合、移送と注射システム4は
図2に示され、二連バイアルホルダー5、移送器具6と注射装置7を備え得る。先に言及したように、それぞれの局面は別個の有用性を有し、別々におよび/または組み合わせて、または下位の組合せで特許請求され得る。
【0015】
図3と
図4に示すように、単一のバイアルホルダー2は、側壁9、端壁10と開口または視認窓11を含むハウジング8を含む。あるいは、バイアル12の内容物の視覚化を考慮に入れるために、バイアルホルダー2の材料は、透明である場合がある。
図4に示すように、各々の領域13でバイアル12を確実に保持するために少なくとも1つまたは2つ以上のバイアル収容空洞(ステーションまたはゾーンとも呼ばれる)13または領域を規定するようにハウジング8は形成される。例えば1~30mlまでの異なるサイズの標準的な注射可能なバイアル12を受容するために、バイアルホルダー5の空洞13は大きさを設定される場合がある。バイアル12は同じサイズまたは異なるサイズであり得、いかなる望ましい注射可能薬物14でも収容され得る。
【0016】
非限定的な例として、
図4に図示される二連バイアルホルダー5において、バイアルは粉末、凍結乾燥、または液体の薬15のバイアルと、液体または希釈剤16のバイアルを含み得る。例えば、それぞれのバイアルは液体薬剤を含み得、また、1つのバイアルが希釈剤を含み他方のバイアルが濃縮された液体薬剤を含む変形や代替があり得る。バイアルホルダー5は、例えば製薬製造社によって予め包装され組み立てられたバイアルをその中に有するか、または、バイアルはエンドユーザーまたは薬剤師や看護師のような医学の専門家によってバイアルホルダー5に挿入され得る。特定の空洞13に特定のバイアルを組み立みことだけを許すために、バイアルホルダー5には、適切な模様および/または特徴がある場合がある。例えば、粉末剤バイアル15は、バイアルホルダー5の特定の空洞13に、希釈剤バイアル16はバイアルホルダー5の別の空洞13に挿入され得る。バイアルホルダー5の開口または視認窓11は、バイアルの内容物14の直接可視化を可能にする。
【0017】
図3と
図4に示すように、更なる選択肢として、バイアルホルダー5は個々のバイアルホルダー2の集合体であり得、それぞれは単一のバイアル12を有する。例えば、必要であれば、注射可能な薬剤の製造者は、バイアル12を、必要があれば注射時に別のバイアル12のバイアルホルダー2と結合され得る、独立したバイアルホルダー2内に予め組み立てる場合がある。例えば、製薬製造者は、バイアルホルダー2内にある凍結乾燥された薬剤15と、別個のバイアルホルダー2内にある滅菌水や食塩水のような希釈剤16とを提供する場合がある。使用者または医学専門家は、必要に応じて、
図2に示す移送器具6に結合するために個々のバイアルホルダー2を結合させてバイアルホルダーアセンブリ5を形成することができる。
【0018】
図3に戻り、バイアルホルダー2は、通常、輸送と貯蔵の間、バイアル18の端部を覆って保護する取り外し可能なカバー17を含み得る。典型的で標準的な商業的なバイアル12は、バイアルの内容物14にアクセスするためにバイアルの首部に位置する突き刺すことのできる隔壁19を含み、それは取り外し可能なバイアルキャップまたは閉鎖20によって覆われる。取り外し可能なカバー17はバイアルキャップ20と係合するように構成され得、カバーの取り外しは同時にバイアルキャップ20を取り外し、使用者によって必要であると考えられ得る隔壁19の消毒的な塗布の後に内容物14にアクセスするためにバイアル隔壁19を露出させる。バイアルキャップ20がカバー17で取り外された後、バイアルホルダー2はその中のバイアル12を収容する場合があり、バイアルホルダー2の移送器具3への挿入の前に使用者によって汚染される機会を減らすために、
図1に示すように、突き刺すことのできる隔壁19はバイアルホルダー2内にはめ込まれている。このシステムは、単一バイアルホルダー2と二連バイアルホルダー5のいずれにも適用できる。
【0019】
図3に示すように、バイアルホルダー2は、一旦バイアル12がバイアルホルダー2に挿入されたらバイアル12が取り除かれることを防ぐために、連結装置27を含み得る。これは、取扱いの間、バイアル12が抜けたり、不注意に取り除かれるのを防ぐのに役立つ。
【0020】
図5に示すように、バイアルホルダー5は、装置製造者によって、バイアルキャップを取り外した状態で、バイアル15,16がバイアルホルダー5に入った状態で移送器具6に組み付けられる場合がある。露出されたバイアル隔壁19は、起動の前にバイアルアクセス部材21,52に隣接して保持される。使用者がバイアルキャップを取り外して、バイアルのふた19を拭いて、システム4の使用の前にバイアルホルダー5を移送器具6に組み付ける必要を除くことによって、この構成は、便宜を提供する。
【0021】
図6に示すように、バイアルホルダー2は、移送器具3とは別に包装される場合がある。この場合、使用者は取り外し可能なカバー17でバイアルキャップを取り外して、バイアルの頂部19を(必要に応じて)拭いて、移送器具3にバイアルホルダー2を組み入れる。
図6に示すように、バイアルホルダー2は、バイアルホルダー2が使用者によって起動された後、移送器具3から不注意に引き抜かれるのを防ぐために、移送器具3と相互作用するロックアウト機能22を含み得る。
【0022】
図5に示すように、バイアルホルダー5は好ましくは、バイアル15,16を垂直位置でさかさまに構成するように、移送器具6に組み付けられる。これは、バイアルの中のどんな液体23でもバイアルホルダー5の挿入の後、バイアルアクセス部材21,52と直接連通されることを許す。これはまた、空気24をバイアルのこの配置における頂部に移送する。バイアルキャップの除去の後、そして、バイアルホルダー5の挿入の前に隔壁19を汚されていないままでいさせるために、露出されたバイアル隔壁19は、
図4で示すように不注意な接触を妨げるために、バイアルホルダー5にはめ込まれている場合がある。この構成は、単一バイアルホルダーと二連バイアルホルダー構成に適用できる。
【0023】
図6に示すように、バイアルホルダー2は好ましくは、オン/オフスイッチのように動作させるために、すなわち、照明スイッチのように開放と閉鎖の2つの状態だけを有するように、挿入機能25とともに移送器具3内において機械的に構成される。このことは、使用者が、バイアルホルダー2を移送器具2内に半分押し込んで、バイアルアクセス部材21が隔壁19を突き破らないことを防ぎ得、バイアル12の内容物14と移送器具3との連通を許容し得る。さらに、バイアルホルダー2は、バイアルホルダー2が挿入後に移送器具3から取り除かれることを防ぐために、移送器具3内でバイアルホルダー2が完全に挿入された後にバイアルホルダー2を閉鎖位置にロックするために結合装置26と結びつけられる場合がある。
【0024】
図7に示すように、移送器具3は外側ハウジング28を備え、バイアルホルダードッキング領域または第1の受容ステーション29と、(取り外し可能な注射装置のために)注射装置ドッキングステーションまたは第2の受容ステーション30を規定する。図示された構造では、バイアルホルダードッキングステーション29と注射装置ドッキングステーション30は、移送器具ハウジング28の反対側にある。
【0025】
図7に示すように、移送器具3は、システムの包装31と一体化される外側ハウジング28を備える場合がある。外側の包装31は基本的に、移送器具の外側ハウジング28の底と側壁を形成し得る。注射装置の除去までのシステムの使用におけるすべての操作工程は、この包装31内で起きる。これは費用を削減し得、使用者の使いやすさを向上させ得る。さらに、全ての移送器具3を包装31に取り込むことで、使用者が包装31から移送器具3を取り出すことを要求される場合に発生し得る使用者の誤りを除去することができる。包装31は、システムを含むプラスチック・タブまたはトレイを含み得る。さらにまた、包装31は、全システムを収納する輸送カートン32の範囲内にすべてを含み得る。
【0026】
図7に示すように、移送器具3は、拡張されたバイアルアクセス部材または穿孔部材21を含み得るバイアルホルダードッキング領域29を備える。このアクセス部材または穿孔部材21は、とがっている、または、鈍いカニューレまたは針として構成され得る。
図8に示すように、バイアル12が取り付けられたバイアルホルダー5は、バイアルドッキングステーション29に挿入されて、バイアルアクセス部材21がバイアル隔壁19を突き刺し、バイアル12の内容物12へのアクセスを許していることが示されている。バイアルアクセス部材21は、起動の前にバイアルアクセス部材21と流体流路の無菌性を維持するために、折りたたみ可能なシール33を含める場合がある。折りたたみ可能なシール33はバイアル12の外側に取り付けられて、バイアルアクセス部材21に対して起動前に無菌性を維持するためにシールし得る。
【0027】
図8に示すように、移送器具3のバイアルアクセス部材21は、移送器具3の内部流体流路35と連通するための多内腔管34を備え得る。バイアルアクセス部材21は、好ましくは、空気または流体がバイアル12に入るのを許容する1つの入口管36と、空気または流体がバイアル12から出るのを許す1本の出口管37を備える。これらの入口管36と出口管37は、別々であり得、区別され得、移送器具3において異なる流体流路に通じ得る。バイアル12は垂直方向において上下逆の位置にあるので、バイアルアクセス部材21の内腔の開口38は、入口管開口36が出口管開口37より上にあるように、指向され得る。この方位は、上部入口管36通した加圧空気または液体の導入と、下部の出力管37を通したバイアル内容物14の排出を許す。さらに、出口開口37は、バイアル12の全内容物14を出口ポート37に入れてバイアル12から取り出すために、バイアル12の底の近傍で隔壁19に隣接して位置し得る。
【0028】
図9と
図10に示すように、移送器具6は、使用者による手順の開始の後、好ましくは自動的に、バイアル15,16内に含まれる注射可能薬物14を(必要に応じて)移送、混合および/または再構成し、混合物を注射装置7へ移すために必要なステップの全てを実行するように構成される。移送器具6は、希釈剤を希釈剤バイアル16から注射可能な粉末剤バイアル15内に向け、注射可能な薬剤14を移送器具6を通して注射装置7に向けるように、(例えば電池で駆動される)電気的な、または(例えばばねが装備される)機械的に駆動されるポンプのような推進システムまたは複数の推進システムを好ましくは含むように構成される。
【0029】
図9と
図10に示すように、移送器具6はまた、注射可能な薬剤14の移送、再構成、混合、希釈または他の手順と、それをバイアルホルダー5内のバイアル15,16から注射装置7へ移送することを実行することを要求される場合に内部流体流路35の列を含み得る。流体流路35は、可撓性または剛性のパイプまたは管を含み得る。これらの流体流路35は、バイアル15,16から移送器具6を通って注射装置7の中まで薬を向かわせるための逆止弁、フィルタ、流れ絞りまたは他の手段40も含み得る。
【0030】
図9と
図10に示すように、移送器具6は、内部に可動ばね式ピストンを備えて直接内部の流体流路35に通じている容積可変の圧力室またはシリンダーを含み得る。これらの室は、流体の移送および/または混合の動力とするために加圧気体源を使用する概要と詳細において説明される実施形態において要求されないであろう。
図9,10の実施形態では、容積可変室の室ごとの容積は、室の直径とピストンの位置によって定義され得る。移送器具6内の第1の圧力室41は、好ましくは、1~30ミリリットルの範囲内で製造者によって当初の容積を設定され得る。第1の圧力室41の当初の内容物は、好ましくは空気45を含み得る。容積が製造者によって定められて設定された第1の圧力室41において、ピストン43は圧縮ばね44で動かされ得る。ばね式ピストン43は、第1の圧力室41で1~50psiの静的気圧を発生するために十分な大きさと構成であり得る。空気45の体積は、動作中、室41の直径とピストン43のストローク位置に依存する。この圧力はピストン43によって変位する空気45の相対的な体積とばね44によって及ぼされる力に依存する。換言すれば、ばね44によって及ぼされる力と室41内のピストン43の面積の積が室41内の静圧力を決定する。密着高さまたはストロークの開始においてばね44によって及ぼされる力は、移動の最後にばね44によって及ぼされる力よりもずっと大きい場合がある。ばね44は、空気が圧力室41から排出される速度とそして移送器具6内の流体の移送の速度を制御するために、適切な大きさであり得る。第1の圧力室41は、好ましくは、第1の圧力室41から空気45の全てを放出するように構成される。あるいは、圧力室41の出力通路35の流れ絞り55は、空気45が圧力室41から噴出される速度を制御するのに用いられ得る。
【0031】
図9と
図10に示すように、第2の圧力室42の容積は、製造者によって設定され得る。あるいは、第2の圧力室42のための満たされる容積は、服用量選択部または容積制御部48を用いて使用時に使用者によって0.5~30ミリリットルの範囲に設定され得る。第2の圧力室42のばね式ピストン46は、第2の圧力室42で1~200psiの圧力を発生するために十分な大きさと構成であり得る。服用選択部または容積制御部48は使用者に、満たされる室42の容積を設定することによって注射装置7で射出されるのに定められた投薬量を選ばせる。服用量選択部48は、いかなる適切な構成でもあり得る。服用量選択部48は、圧力室42内で動かせる圧力プランジャー・アセンブリ室93に直接結合する場合がある。一旦ピストンが満容積設定と一致している位置に達するならば、圧力プランジャー・アセンブリ93の範囲内のトリガー49は第2の圧力室42でピストン46を開放する。望ましい注射投薬量に等しい満容積を定めるために、圧力室プランジャー・アセンブリ93の位置を決める服用量選択部48を動かすことによって、使用者は第2の圧力室42における望ましい投薬位置を選ぶ。あるいは、圧力プランジャー・アセンブリ93の位置は送達服用量と一致している製品ですでに設定されており使用者は服用量を調整をすることなく装置を操作する場合がある。
【0032】
図9と
図10に示すように、混合と移送を提供する二連バイアルシステム4のための移送器具6は、第1のバイアル16と第2のバイアル15を有するバイアルホルダー5、第1の容積可変の圧力室41、第2の容積可変の服用圧室42、流体流路35、空気を第1の圧力室41から第1のバイアル16に向けて、第1のバイアル16の内容物23を第2のバイアル15内に、結果として得られる第2のバイアル15内の混合物14を第2の圧力室42の中に向け、その後注射装置7に向けるための逆止弁40を含む。
【0033】
図8に示すように、使用者によるバイアルホルダー5の移送器具6への完全な挿入と、それに続くバイアルアクセス部材21の隔壁19を通してバイアル室12内への導入は、
図10に示すように、圧力室トリガー50の開放を許す。
【0034】
図9と
図10に示すように、トリガー50の解放は、第1の圧力室ばね44を解放し、第1の圧力室41内で第1の圧力室ピストン43を前進させ、第1の圧力室41内の空気45が、移送器具6の内部通路35を通って、第1のバイアルアクセス部材21の入口管36を通って第1のバイアル16に入るように強制する。より多くの空気45が第1の圧力室41から、そして、入口管36による第1のバイアル16に強制されて、空気45はバイアルホルダー5内にその垂直配置のために第1のバイアル16の頂部まで上がる。第1のバイアル16の増加している気圧は、バイアル16の中の流体23が第1のバイアルアクセス部材21の出口管37によって、そして、第2のバイアルアクセス部材52の入口管51によって噴出される原因になる。第1のバイアル16から第2のバイアル15に入る流体23は、液体または粉末薬剤を含む第2のバイアル15の内容物54と混合し、第2のバイアルアクセス部材52の出口管53を通って第2の圧力室42内に出る。同様に、再構成の構造でも、第1の圧力室41の送給プランジャー43は、第2のバイアル15に第1のバイアル16を通して、第1の流体23と空気45の混合物を押し流し続ける。第2のバイアル15の頂部の増加している気圧は、第2のバイアル15の底の再構成された、または他の混合物14が第2の圧力室42へ外に放出される原因になる。第2のバイアル15の内容物14が第2の圧力室42へ外に放出される前に、第1のバイアル16の内容物23の全てを第2のバイアル15に入らせるために、「ポップオフ」または逆止弁40または他のタイプの弁が第2のバイアルアクセス部材52の出口管53に存在する場合がある。第1の圧力室41から実質的に全部の空気45を押しているプランジャー43と一致している圧力まで、弁は開かない。これは、混合物14が第2のバイアル15を出て第2の圧力室42に入る前に第2のバイアル15の内容物54が第1のバイアル16の内容物23を完全に混ぜ合わせることを確実とする。あるいは、流れ絞り55が、移送を延ばして、混合時間を増やすために、流体流路35で使われる場合がある。
【0035】
図9と
図10に示すように、注射可能な薬14は混合、希釈および/または再構成の後第2のバイアル15から第2の圧力室42に流れ、使用者または製造者によって服用量指標48を用いて選択された望ましい投薬量に一致する、ピストン46に許される限度まで室42を充填する。第2の圧力室42の望ましい体積が達成された時、第2の圧力室トリガー49はばね47を解放し、ピストン46を進めるよう強制し、選択された量の注射可能な薬剤14を加圧下で注射装置7内に放出する。服用量選択部48で示される服用量の較正と使用者によって受け取られる実際の服用量は、移送器具6の内部の経路35での流体の損失を考慮に入れることを要求され得る。注射装置7は、現在充填され、移送から装置6を取り外す準備ができている。
【0036】
図11と
図12に示すように、混合を実行せずに1つのバイアル15から注射装置7へ流体14を移送するだけである、単一バイアルシステム1内の別の移送器具3が提供される。この別の移送器具3は、単一のバイアル15を有するバイアルホルダー2、容積可変の圧力室56、流体流路35と、内容物14をバイアル15から注射装置7に向けるための逆止弁40を含む。バイアルアクセス部材21の入口管36は、空気58をバイアル1に入らせるために、環境57に排出される。バイアルアクセス部材21の出口管37は、圧力室56に接続されている。
【0037】
図11と
図12に示すように、使用者による移送器具3へのバイアルホルダー2の完全な挿入は、バイアル15の内容物14にアクセスさせるために、バイアル15の隔壁19を通してバイアルアクセス部材21を導入させる。これも圧力室トリガー59の解放を誘発する。圧力解放トリガー59は、引き込みばね61に接続された圧力室56内でプランジャー60を解放する。引き込みばね61はプランジャー60が流体14をバイアル15から引き込み納め、圧力室56を充填するように強制する。室56によって引き込まれる流体14の特定の量は、プランジャー60の引き込みを制限することによって、製造者によって設定され得る。さらに、室56は、プランジャー60を最大移動距離まで引き込むことによって、全ての流体14をバイアル15から引き込むように構成され得る。一旦プランジャー60が圧力室56の中で設定ポジションに着くと、それは、液体14を圧力室56から出て注射装置7内に強制するように投与ばね63を解放する投与トリガー62と相互作用する。逆止弁40は、流体14がバイアル15に戻るのを防ぐために使用され得る。
【0038】
加圧気体を動力とする移送および/または混合
図13~24に示される本主題に従えば、移送および/または混合と再懸濁は、予め充填された圧力シリンダまたはカートリッジの形態であり得る圧力容器のような加圧気体源によって推進される。これは、上述の移動可能なばね付勢のピストンを有する可変体積の圧力室またはシリンダの除去を許容し、移送と混合/再懸濁器具の費用と大きさの潜在的な低減を与える。
【0039】
ここで
図13に向かうと、このフローチャートは単一バイアル流体移送方法の概観を与え、移送を推進するための加圧気体源の使用におけるいくつかの例示的な工程を概略的に図示する。過程または方法を実行するための構造と、構造のより具体的な局面は後述される。
【0040】
図13のすべての工程は、すべての実施形態において要求されるわけではない。フローチャートに反映されているように、液体薬剤を含むバイアルは、バイアルの隔壁に穴を開け、内容物に接近するためのスパイクを有し得る移送装置のバイアル受容ステーション内に挿入される。スパイクは2つのルーメンを有し得、1つは気体を入れるためのものであり、他方は薬剤を流出するためのものであり、または2つの別個のスパイクが使用され得る。
【0041】
様々な異なる構成であり得る気体トリガー機構を発動することによって、使用者によって本方法は開始される。後述するように、トリガー機構はバイアルのバイアル受容ステーションへの挿入と同時に、またはその後に、発動され得る。例えば、挿入は、予め充填された圧力シリンダまたはカートリッジに関連付けられた封止ダイアフラムまたはキャップを穿孔または貫通ピンに通過させるようにばね力を解放し得る。あるいは、バイアルを受容ステーションに挿入する時の使用者自身の力が、予め充填された気体シリンダと穿孔ピンを共に加圧気体に近づけるために用いられ得る。これらは2,3の非限定的な例に過ぎない。
【0042】
予め充填された加圧気体カートリッジまたはシリンダは、500psig以上、例えば900psig以上、そして2,000~3,000psig以上まででさえあるような、非常に高圧下で気体を含み得る。したがって、加圧気体がバイアルに入る前に気体流量および/または気体圧力を制御するために、加圧気体を圧力シリンダまたはカートリッジから小さなオリフィスのような流れ絞り、および/または圧力レギュレータを通すように向けることが望まれ得る。
【0043】
加圧気体はバイアル内に向けられ、気体の圧力は液体薬剤をバイアルから注射装置内に押し進める。いつバイアルの内容物が完全に注射装置に移送されたかを示すフィードバック機構が備えられ得、通気孔は周囲の空気に余剰の気体を排出し得る。予め充填されたシリンダの容積は、5ml以下または2ml以下のように小さいので、空気中に排出された気体は相対的に些細なものであり、使用者によって気づかれることさえない場合がある。
【0044】
注射装置への移送が完了した後、注射装置は移送装置から除去され得、先に特定したPCT公開WO2014/204894において以前に説明された方法で使用され得る。
【0045】
図14は、予め充填された加圧気体シリンダまたはカートリッジ100の形態の圧力容器と、流れ絞りおよび/または圧力レギュレータ101と、液体薬剤バイアル102と、注射装置103とを含む単一バイアル移送システムの概略図である。気体シリンダは、商業的に入手可能ないかなる適切なシリンダでもあり得、または、特注のシリンダであり得る。例えば、様々な潜在的なシリンダがアメリカ合衆国ニュージャージー州サウス・プレインフィールドのLeland Gas Technologiesから入手可能であり、ここは、高圧気体を充填した使い捨ての1~1000ccの容量のシリンダを製造している。シリンダは、2000~3000psig以上までの適切な圧力に充填され得る。相対的に小さな容量の使い捨てシリンダが本主題に適切であろうと理解される。例えば、シリンダは、900psigから2000~3000psig以上までのような、500psig以上に加圧される、10ml以下、より好ましくは、1~2mlのような5ml以下の容積を有し得る。
【0046】
気体は、排他的ではないが例えば不活性ガスのような、いかなる適切な気体でもあり得る。気体は薬剤と接触することになるので、病原体のないもの、すなわち、活性な病原体を含まないものが好ましい。窒素またはアルゴンは適切な気体であり得る。例えば貫通または穿孔ピンによってシリンダから解放されると、気体はシリンダから、流れ絞りおよび/または圧力レギュレータ101を通って、適切な流路を通ってバイアル102に流れる。
【0047】
流れ絞りおよび/または圧力レギュレータ101は、いかなる適切な構成でもあり得、好ましくは小さく、使い捨てである。典型的な流れ絞りは、シリンダからの気体の流量を制限するための小さなオリフィスを有するダイアフラムであり得る。望まれれば、圧力レギュレータもまた組み合わせて、または、絞りとは別個に、含まれ得る。絞り/レギュレータから、流路104が気体をバイアル102に案内する。
【0048】
バイアル102は、ゴム、シリコーンまたは他の材料の穿孔可能なダイアフラムまたは隔壁106によって封止される、一端が開放された、通常はガラスの剛性の容器部105を有する標準的な薬のバイアルであり得る。本過程は好ましくは、気体がバイアルの閉塞端に流れて実質的にすべての薬剤を加圧気体の力の下でバイアルから押し出すように、逆鉛直位置のバイアルで実行される。
【0049】
バイアルから、流路107は気体の圧力下の薬剤を注射装置103のような適切な容器に向ける。注射装置は、例えば薬剤の圧力下で拡張する受容部のような、薬剤を受容するための拡張可能な貯留部のような薬剤受容部を有する。使用者の注射装置の作動と同時に薬剤を放出するために受容部は偏向され得る。図示された実施形態では、注射装置103は、当初は空で、シリンダ100から気体の圧力下で薬剤が中に流れ込んだ薬剤が充填されると膨張する、弾性の拡張可能な袋を有する。袋の弾性の性質は、上述の以前のPCT出願において説明したように、後に使用者によって作動される時に、薬剤を患者に放出するために袋を偏向させる。
【0050】
図15は、上に概略を説明したように、液体薬剤のバイアル102から注射装置103への移送の効果をもたらすために可能性のある1つの移送装置108の全体を図示する。図示された移送装置は、バイアル102が挿入されて示されるバイアル受容ステーション110を含む剛性のプラスチックのハウジング109と、注射装置103が適所にある注射装置受容ステーション111とを有する。ハウジング109は流体流路と、バイアルから注射装置への薬剤の移送の効果をもたらすための様々な操作可能な機構とを含む。
【0051】
これは、
図15と類似であるが内部の特定のものを見るためにハウジング109の上部が除去された
図16においてよりよく示され得る。流路は、プラスチックチューブのようないかなる適切な構成でもあり得るが、
図16において視認されない。
図16においてハウジングの上部を取り除かれているので、穿孔ピン112によって気体が開放される前に気体シリンダまたはカートリッジ100が充填前または射出前位置にあることが見られ得る。充填前位置では、シリンダは、全体が部材113として示される圧縮されたばねと、気体シリンダが穿孔ピンに向かう動きを妨げる旋回可能または滑り可能なラッチまたはレバー114との間に位置する。バイアル受容ステーションへのバイアル102の挿入は、同時に、1以上の接近スパイク(
図16に見られない)にバイアル隔壁106を通させ、ラッチ114を押す。ラッチ114が押されると、圧縮されたコイルばねの力の下で穿孔ピン112に対する動きのために加圧気体シリンダ100を解放する。これは、ピンに、圧力シリンダ上の貫通領域または封止キャップを穿孔させ、圧縮された気体をシリンダからピンを通って流させる。ピン112に対してシリンダ100を押すばね113を用いて説明したが、代わりに、ピンはシリンダに向かって動いてもよい。また、コイルばね以外の他の型の力生成装置も用いられ得る。
【0052】
図17は、圧力シリンダ100、圧縮ばね113とラッチ114のそれぞれの部分をよりよく図示するためにバイアル102と注射装置103が取り除かれたハウジング109の下部の上面図である。図示された位置は、穿孔ピン112による加圧気体シリンダの貫通に先立って、ラッチがシリンダの動きを防いでいる位置である。
【0053】
図18は、圧力シリンダ100の貫通を引き起こすためにバイアル102の挿入の異なる配列を有する1つの可能性のある代替の移送装置を示す。移送装置115は、バイアル102と注射装置103とがそれぞれのステーション内に示される、バイアル受容ステーション117と注射装置受容ステーション118とを有するハウジング116を含む。この実施形態では、バイアル102は、一方の端部120にねじ山があり、放射状の外側フランジ121を含む外殻またはジャケット119を有する。移送装置のバイアル受容ステーション117は、バイアルジャケット119のねじ山のある端部を受容するために内側にねじ山がある。バイアルジャケット119の挿入と回転は、アクセススパイク122にバイアルの隔壁106を通させる。続くバイアルジャケットの回転は、加圧気体シリンダ100の閉塞端部に対して位置する押圧部材123に対して放射状のフランジ121を係合させる。バイアルジャケットのさらなる回転によって、
図19に最もよく見られるように、押圧部材123がシリンダを穿孔ピン124に対して押し、シリンダの封止キャップを穿孔させて気体をシリンダから図示しない流体通過路を通して、アクセススパイク122(または別個のアクセススパイク)を通って、液体薬剤をバイアルから注射装置103内に推進するために、バイアル102内に流させる。移送装置受容ステーションとバイアルジャケットとのねじ山の結合は、バイアルの貫通に機械的な利点を与え、強さまたは巧みさに制限のある患者にとって、有益である場合がある。
【0054】
図18,19に示されるように、単一のアクセススパイク122がある。この状況では、スパイクは典型的には2つのルーメンまたは流路を含むであろう。1つのルーメンは気体が入るためのものであり得、他方は液体薬剤の流出のためであり得る。バイアルが逆さにされると、流出ルーメンは隔壁の内側表面近く、または、最も低い実践的な位置で開き得るため、それは薬剤の表面の下方であって、価値ある薬剤の実質的にすべてをバイアルから排出するための位置にある。気体流入ルーメンは、スパイク140の末端部の近くにおいてバイアル内に開き得、流出ルーメンから相当の距離、離されているため、実質的にすべての薬剤は気体が抜け出す前にバイアルから流れる。気体ルーメンは、液体の移送を強め、気体が液体中に巻き込まれる危険性を低減するために(バイアルが逆にされた時の)薬剤の高さよりも上方で開放するように構成され得る。あるいは、特にバイアルが受容ステーションに押し入れられる場合には、気体の流入と液体の流出ルーメンは別個のスパイク内に含まれ得る。
図18,19のねじ山のある場合には、通常、2つのルーメンを有する単一のスパイクが使用されるであろう。
【0055】
ここで
図20に進む。
図20は
図13に似たフローチャートであるが、この場合、二連バイアルの流体移送方法と、加圧気体源を、例えば、希釈剤バイアルからの希釈剤のような内容物を薬剤バイアルに移送して、組み合わされた希釈剤と薬剤を薬剤バイアルから注射装置に移送する動力として用いる方法のいくつかの例示的な工程を概観を与える。あるいは、先に述べたように、加圧気体源は、第1の液体薬剤バイアルから第2の液体薬剤バイアルへの薬剤と、組み合わされた薬剤の第2のバイアルから注射装置への移送を推進するために使用され得る。または、バイアルの1つは希釈剤を含み得、他方のバイアルは濃縮された液体薬剤を含み得る。他の変形もまた用いられ得る。
【0056】
図20の全ての工程が全ての実施形態において要求されるわけではない。フローチャートに反映されているように、薬剤を含むバイアルと、希釈剤を含むバイアルは、バイアルの隔壁に穴を開け、それぞれのバイアルの内容物にアクセスする別個のスパイクを有する移送装置のバイアル受容ステーションに挿入される。それぞれのスパイクは2つのルーメンを有し得、1つは気体を入れるためのものであり、もう1つは希釈剤または薬剤の流出のためであり、または、2つの別個のスパイクがそれぞれのバイアルに使用され得る。
【0057】
単一バイアルの過程のように、様々な構成であり得る気体トリガー機構を作動させることによって、使用者によって方法が開始される。説明したように、トリガー機構はバイアルのバイアル受容ステーションの挿入の時またはその後に作動され得る。上述の単一バイアルシステムと同様、バイアルの挿入は、貫通ピンまたは圧力シリンダ、または、両方を動かすことによって、予め充填された圧力シリンダまたはカートリッジに関連づけられた封止ダイアフラムまたはキャップを通して穿孔または貫通ピンを押すばね力を解放する。あるいは、バイアルを受容ステーションに挿入するときの使用者自身の力が、予め充填された気体シリンダと穿孔ピンをともに加圧気体にアクセスさせるために使用され得る。これらは非限定的な2,3の例に過ぎない。
【0058】
二連バイアルシステムにおいて用いられる加圧気体シリンダは、単一バイアルのシステムよりも、より大きな容積および/またはより高い圧力のものであることを必要とし得るが、予め充填された加圧気体カートリッジまたはシリンダ、気体自身、流れ絞りおよび/または圧力レギュレータは、
図13と関連して一般的に上に説明されている。
【0059】
二連バイアルシステムでは、加圧気体は典型的にはまず、液体薬剤または希釈剤を含むバイアルのような第1のバイアル内に向けられ、気体の圧力は、液体薬剤または希釈剤を第1のバイアルから第2のバイアルまたは薬剤バイアルに推進する。導入において留意されたように、薬剤は粉末または凍結乾燥の剤型であり得、希釈剤の注射は薬剤を再懸濁または再構成することを要求される。どちらのバイアルも液体薬剤または希釈剤と液体薬剤とを含み得る。加圧気体の力は、再懸濁された薬剤のような、結果として得られる流体をも第2または薬剤バイアルから注射装置へ押す。薬剤バイアルの内容物が完全に注射装置に移送した時を示すためのフィードバック機構が備えられ得、通気孔は余剰の気体を周囲の雰囲気に排出する。予め充填されたシリンダの容積は小さいので、雰囲気中に排出される気体は相対的に些小であり、使用者にさえ気付かれないであろう。上で留意されたように、それぞれのバイアルは、注射装置中に押された2つの薬剤、例えば薬の混合物または「カクテル」の液体薬剤を含み得る。
【0060】
注射装置への移送が完了した後、注射装置は移送装置から取り外され得、上で特定した公開されたPCT出願で先に説明した方法で使用される。
【0061】
非限定的な図示の目的のために、
図21は、予め充填された圧力気体シリンダまたはカートリッジ200の形態の圧力容器と、流れ絞りおよび/または圧力レギュレータ201と、液体希釈剤バイアル202Dと、薬剤バイアル202Mと、注射装置203とを含む、加圧気体を動力とする二連バイアルの再懸濁と移送システムの概略図である。(それぞれのバイアル202Dと202Mもまた液体薬剤を含み得る。)気体シリンダは、単一バイアルのシステムに関連して先に説明したように、商業的に入手可能ないかなる適切なシリンダまたは特注のシリンダでもあり得る。
【0062】
単一バイアルのシステムと同様に、気体は、排他的でなく、好ましくは病原体のない、すなわち、活性な病原体を含まない不活性気体のような、いかなる適切な気体でもあり得る。穿孔ピンによる貫通などによって解放されると、気体は、シリンダから、適切な流路を通って適切な流れ絞りおよび/または圧力レギュレータ201を通って希釈剤バイアル202Dに向かわせられる。
【0063】
流れ絞りおよび/または圧力レギュレータ201は、いかなる適切な設計でもあり得、好ましくは小さくて使い捨てである。典型的な流れ絞りは、シリンダからの気体の流量を制限するための小さなオリフィスを有するダイアフラムである。望まれるならば、圧力レギュレータもまた、絞りと組み合わせて、または別個に含まれ得る。絞り/レギュレータから、流路204は気体を希釈剤バイアル202Dに案内する。
【0064】
希釈剤(または第1の液体薬剤)バイアル202Dと薬剤(または第2の液体薬剤)バイアル202Mは、ゴム、シリコーンまたは他の材料の穿孔可能なダイアフラムまたは隔壁206によって封止される、一端が開放された、通常はガラスの剛性の容器部205を有する標準的な薬のバイアルであり得る。本過程は好ましくは、気体が薬剤バイアルから出る前に、気体がバイアルの閉塞端に流れて実質的にすべての希釈剤および/または薬剤を加圧気体の力の下でバイアルから押し出すように、逆鉛直位置のバイアルで実行される。
【0065】
希釈剤(または第1の液体薬剤)バイアル202Dから、気体の圧力下、流路207Dが希釈剤(または液体薬剤)を薬剤バイアル202Mの中に向かわせ、そこで凍結乾燥の形態の乾燥状態ならば薬剤が再懸濁、または、濃縮された液体の形態の場合には薬剤が希釈される(または、濃縮されていない液体の形態であれば、単純に薬剤と組合せまたは混合される)。薬剤バイアル202Mから、組み合わせられた薬剤と希釈剤または希釈されたまたは混同された液体薬剤は、気体の圧力下、流路207Mを通って、上述の以前のPCT出願において開示されているように、注射装置203のような適切な容器へ流れる。上で指摘したように、注射装置は薬剤を受容するために、弾性の袋のような、拡張可能な貯留部を有し得る。
【0066】
図22は、バイアル202Dから薬剤バイアル202Mと薬剤バイアル202Mから注射装置203の中への液体希釈剤または薬剤の移送に効果をもたらすための1つの可能性のある移送装置を全体として208で図示する。図示された移送装置は、バイアル202Dと202Mが挿入されている状態で示されている二連バイアル受容ステーション210と、注射装置203が適所にある状態で示されている注射装置受容ステーション211と、剛性のプラスチックのハウジング209を有する。ハウジングは、流体流路と、希釈剤または薬剤と、結果として得られる薬剤のバイアルから注射装置への移送の効果をもたらすための操作可能な機構とを含む。
【0067】
これは
図22と類似であるが内部の特定のものを見るためにハウジング209の上部が除去された
図23においてよりよく示され得る。流路は、プラスチックチューブのようないかなる適切な構成でもあり得るが、
図23において視認されない。
図23においてハウジングの上部を取り除かれているので、穿孔ピン212によって気体が解放される前に気体シリンダまたはカートリッジ200が適所にあることが見られ得る。この位置では、シリンダは、全体が部材213として示される圧縮されたばねと、通常、気体シリンダが穿孔ピンに向かう動きを妨げる旋回可能または滑り可能なラッチまたはレバー214との間に位置する。
【0068】
バイアルの組202Dと202Mのバイアル受容ステーション210への挿入は、同時に、1以上のスパイク(
図23には見られない)を、それぞれのバイアル隔壁を通して押し、ラッチ214を押す。ラッチ214が押されると、ラッチは非ブロック位置に向かって動き、圧縮されたコイルばね213の力の下、穿孔ピン212に対して動くように加圧気体シリンダ200を解放し、ピンが圧力シリンダの貫通領域または封止キャップを穿孔することを引き起こし、圧縮されたガスをシリンダから流出させる。シリンダをスパイクに対して押すばねを用いて説明したが、あるいは、スパイクがシリンダに対して動くこともあり得、コイルばね以外の他の型の力生成装置も使用され得る。望まれれば、スパイクとシリンダの両方が、同じまたは異なる力生成装置によって互いに向かって動くこともあり得る。
【0069】
図24は、圧力シリンダ200、圧縮ばね213とラッチ214のそれぞれの部分をよりよく図示するためにバイアル202Dと202Mと注射装置203が取り除かれたハウジング214の下部の上面図である。図示された位置は、穿孔ピン212による加圧気体シリンダの貫通に先立って、ラッチがシリンダの動きを防いでいる位置である。
【0070】
図25は、バイアル231のような容器内に貯蔵された乾燥または微小凝集体材料の再懸濁のためのシステム230の断面図である。
図25に示されるシステムの要素は例示のみであり、この説明を読んだ後に明らかであるように変形され得る。図示された実施形態では、システムは、バイアル受容ステーション233を有する全体として232で示されるハウジングと、希釈剤受容ポート234と、気体接続ポート235と、通気ポート226とを含む。
【0071】
図示されるバイアル受容ステーション233は、バイアル231の隔壁に侵入するための2つの穿孔スパイク227,228を有する。スパイク227は、鉛直に逆向きにされたバイアルの底部近くで、バイアル隔壁から間隔をあけて開くように実質的にバイアルの内部に延びる。スパイク228はより短く、隔壁の内側表面の近くでバイアルの中で開く。それぞれのスパイクはルーメンを有する。スパイク227のルーメンは、ハウジング232内の管または他の流路を介して、通気ポート226と連通する。スパイク228のルーメンは、スパイクと、三方切替弁230の1つのポートとの間に延びる流路229と連通する。流路231は三方切替弁の別のポートと希釈剤ポート234との間に延び、流路232は三方切替弁の第3のポートと気体ポート235との間に延びる。あるいは、二連のルーメンを有する単一の穿孔スパイクが使用されることもあり得る。
【0072】
図示されたシステムでは、シリンジ233は希釈剤ポート234に取り付けられている。シリンジは微小凝集体のバイアル中の再懸濁のための希釈剤の源と、後にバイアルから懸濁液を引き出す手段とを提供し得る。さらに、フィルタ234が通気ポート226に取り付けられている。フィルタはいかなる適切な形態でもあり得、好ましくは、後述するように、液体が環境に漏出することを防ぐために疎水性である。
【0073】
操作において、微小凝集体の形態のような薬剤のような乾燥材料を含むバイアル231が、まずバイアル受容ステーション233に取り付けられる。希釈剤を含むシリンジ233が希釈剤ポート234に取り付けられ、加圧気体源(図示されない)が気体ポート235に取り付けられる。三方切替弁は、希釈剤を流路231からスパイク228に通じる流路229に流すように設定される。希釈剤はシリンジからバイアルの中に注入される。その後バルブ230が回転され、気体は気体ポート235から通路229を通ってスパイク228に流れる。スパイク228はバイアル内で、希釈剤の高さよりも下で開き、バイアルに入る気泡発生気体が希釈剤と微小凝集体材料との撹拌を引き起こす。気体は、逆向きにされたバイアルの底部に向かって上昇し、スパイク227のルーメンを通って出る。気体が液体を伴う場合には、通気流路内の疎水フィルタ234が、液体が漏出するのを防ぎ、気体を排出させ続ける。
【0074】
バイアルへの気体の導入は、気体が入ることによる撹拌によって微小凝集体が実質的に全て希釈剤に懸濁されるまで、選択された期間の間、続く。その後、三方切替弁が、希釈剤流路231と流路229が連通する位置に回転され、懸濁された微小凝集体をバイアルから引き出すためにシリンジ233が回収される。フィルタ234は、バイアル中に排出される置換空気を許容し、スパイク228の位置は実質的にすべての微小凝集体がバイアルから引き出されることを許容する。このシステムで、手動の再懸濁がされる時に起こり得る不確実性と変化のしやすさに対する懸念なく、微小凝集体は確実に、予測された通りに、再懸濁されることができる。
【0075】
追加の局面と変形例
以上と添付の請求項を制限することなく、この記載の主題の一般的な、そしてより具体的な局面と変形が以下に示される。
【0076】
局面1は、加圧気体をバイアルに導入すること;流体を気体からの圧力下でバイアルから流すこと;流体をバイアルから注射装置に加圧気体の力の下で流すことを含む、流体を含むバイアルから注射装置への流体の移送方法である。
【0077】
局面2は、局面1の方法において、流体が希釈剤であり、加圧気体が希釈剤を含むバイアルに流され、希釈剤は希釈剤を含むバイアルから薬剤を含むバイアルに流され、組み合わされた希釈剤と薬剤が加圧気体からの圧力下で薬剤を含むバイアルから注射装置に流される方法である。
【0078】
局面3は局面1の方法において、バイアルは、第1の液体薬剤を含む第1のバイアルであり、第1の薬剤は第1のバイアルから第2の液体薬剤を含む第2のバイアルに流され、混合された第1と第2の薬剤は加圧気体の力の下で第2のバイアルから注射装置に流される方法である。
【0079】
局面4は、局面1,2または3の方法において、注射装置は拡張可能な貯留部を含み、流体または組み合わされた希釈剤と薬剤または混合された第1と第2の薬剤は、加圧気体からの圧力下で拡張可能な貯留部内に流される方法である。
【0080】
局面5は局面3の方法において、拡張可能な貯留部は弾性の袋を備える方法である。
【0081】
局面6は局面3または4の方法において、貯留部は流体または組み合わされた希釈剤と薬剤または混合された第1と第2の薬剤を排出するように偏向されている方法である。
【0082】
局面7は、局面1~6のいずれかの方法において、加圧気体は予め充填された圧力容器から流れる方法である。
【0083】
局面8は、局面7の方法において、容器は貫通可能な封止部を含み、方法は封止部を貫通することを含む方法である。
【0084】
局面9は局面1~8のいずれかの方法において、加圧気体は実質的に病原体を含まない方法である。
【0085】
局面10は局面1~9のいずれかの方法において、気体がバイアルに入る前に気体をろ過することを含む方法である。
【0086】
局面11は局面7~10のいずれかの方法において、圧力容器は10ml以下の容積を有する気体が充填されたカートリッジである方法である。
【0087】
局面12は局面11の方法において、カートリッジは約1ml以下の容積を有する方法である。
【0088】
局面13は局面7~12のいずれかの方法において、圧力容器は当初、気体を約500psig以上の圧力で含む方法である。
【0089】
局面14は局面1~13のいずれかの方法において、加圧気体は不活性気体である方法である。
【0090】
局面15は局面1~14のいずれかの方法において、気体は窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、および、キセノンからなる群から選択される方法である。
【0091】
局面16は局面4~16のいずれかの方法において、巻きこまれた気体が拡張可能な貯留部に入る前にそれを流体から除去することを含む方法である。
【0092】
局面17は、局面1~16のいずれかの方法において、加圧気体は約1ml以下の容積を有し約900psig以上の圧力を有する予め充填されたカートリッジから流される方法である。
【0093】
局面18は、局面1~17のいずれかの方法において、気体の流量および/または圧力を制御することを含む方法である。
【0094】
局面19は、加圧気体源と、少なくとも1つのバイアル受容ステーションと、薬剤注射装置受容ステーションと、気体源とバイアル受容ステーションとの間で連通する気体流路と、バイアル受容ステーションと薬剤注射装置受容ステーションとの間で連通する流体流路とを備える、流体を含むバイアルから注射装置に流体を移送するための薬剤移送装置である。
【0095】
局面20は、局面19の薬剤移送装置において、移送装置は、少なくとも第1のバイアル受容ステーションと第2のバイアル受容ステーションとを含み、気体流路は加圧気体源と第1のバイアル受容ステーションとの間で連通し、流体流路は第1のバイアル受容ステーションと第2のバイアル受容ステーションとの間と、第2のバイアル受容ステーションと注射装置との間で連通している薬剤移送装置である。
【0096】
局面21は、局面19または20の薬剤移送装置において、加圧気体源は予め充填された圧力容器を備える薬剤移送装置である。
【0097】
局面22は、局面21の薬剤移送装置において、容器は貫通可能な封止部を含み、装置は封止部を貫通するための貫通ピンを含む薬剤移送装置である。
【0098】
局面23は局面21の薬剤移送装置において、貫通ピンおよび/または圧力容器を貫通前位置と貫通位置との間で動かすための駆動装置を含む薬剤移送装置である。
【0099】
局面24は、局面22の薬剤移送装置において、駆動装置は、貫通ピンおよび/または圧力容器を貫通位置に向かって動かすように偏向された貯蔵されたエネルギー源を備える薬剤移送装置である。
【0100】
局面25は、局面23の薬剤移送装置において、貯蔵されたエネルギー装置はばねを備える薬剤移送装置である。
【0101】
局面26は、局面21の薬剤移送装置において、貫通ピンは、周囲の環境への加圧気体の漏出を制限するために圧力容器に接触するための封止部を含む薬剤移送装置である。
【0102】
局面27は、局面19~26のいずれか薬剤移送装置において、加圧気体は実質的に病原体を含まない薬剤移送装置である。
【0103】
局面28は、局面19~27のいずれかの薬剤移送装置において、気体流路は気体がバイアルに入る前に気体をろ過するためのフィルタを含む薬剤移送装置である。
【0104】
局面29は、局面19~28のいずれかの薬剤移送装置において、10ml以下の容積を有するプレフィルド気体カートリッジである薬剤移送装置である。
【0105】
局面30は、局面19~29の薬剤移送装置において、カートリッジは約1ml以下の容積を有する薬剤移送装置である。
【0106】
局面31は、局面19~30の薬剤移送装置において、加圧気体源は当初、約500psig以上の圧力で気体を含む薬剤移送装置である。
【0107】
局面32は、局面19~31のいずれかの薬剤移送装置において、気体は不活性気体である薬剤移送装置である。
【0108】
局面33は、局面19~31のいずれか薬剤移送装置において、気体は、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、および、キセノンからなる群から選ばれる薬剤移送装置である。
【0109】
局面34は、局面19~32のいずれかの薬剤移送装置において、流体流路は、巻きこまれた気体を流体が注射装置に入る前に流体から除去するための気体トラップを含む薬剤移送装置である。
【0110】
局面35は、局面19~32のいずれかの薬剤移送装置において、加圧気体源は、約1ml以下の容積と約900psig以上の圧力を有する、予め充填されたカートリッジである薬剤移送装置である。
【0111】
局面36は、局面19~35のいずれかの薬剤移送装置において、加圧気体源からの気体の流量および/または圧力を制御するための流体レギュレータおよび/または圧力レギュレータを含む薬剤移送装置である。
【0112】
局面37は、局面19~36のいずれかの薬剤移送装置において、注射装置受容ステーションに受容される薬剤注射装置を含む薬剤移送装置である。
【0113】
局面38は、局面37の薬剤移送装置において、注射装置は、加圧気体の力の下での流体または組み合わされた希釈剤と薬剤または混合された薬剤の流れの圧力下で拡張可能な貯留部を含む薬剤移送装置である。
【0114】
局面39は、局面38の薬剤移送装置において、拡張可能な貯留部は弾性の袋を備える薬剤移送装置である。
【0115】
局面40は、局面38または39の薬剤移送装置において、拡張可能な貯留部は、流体または組み合わされた希釈剤と薬剤または混合された薬剤を排出するために偏向されている薬剤移送装置である。
【0116】
局面41は、隔壁によって封止される1つの開口端を有する型のバイアルの薬剤内容物を再懸濁するための再懸濁装置であって、希釈剤ポートと、気体ポートと、通気ポートと、バイアル受容ステーションと、バイアルがバイアル受容ステーションに受容される時にバイアル隔壁を穿孔するためにバイアル受容ステーションから延びる第1のスパイクルーメンと第2のスパイクルーメンと、気体流入ポートと第1のスパイクルーメンとの間で連通している気体流路と、希釈剤ポートと第1のスパイクルーメンとの間で連通している希釈剤流路と、通気ポートと第2のスパイクルーメンとの間で連通している通気流路と、通気流路を通過する気体をろ過して通気流路から液体が漏れるのを実質的に防ぐために通気流路に協働的に関連付けられている疎水性フィルタとを含むハウジングを備える再懸濁装置である。
【0117】
局面42は、局面41の再懸濁装置において、それぞれ第1のスパイクルーメンと気体ポートの間と第1のスパイクルーメンと希釈剤ポートとの間に、第1のスパイクルーメンの上流に気体流路と希釈剤流路との間の流れ接合部と、気体および/または希釈剤の流れを制御するために流れ接合部に関連付けられた弁とを備える再懸濁装置である。
【0118】
局面43は、局面41または42の再懸濁装置において、第1のスパイクルーメンと第2のスパイクルーメンは単一の穿孔スパイク内に規定されている再懸濁装置である。
【0119】
局面44は、局面41の再懸濁装置において、第1のスパイクルーメンは第1の穿孔スパイク内に規定され、第2のスパイクルーメンは別個の第2の穿孔スパイク内に規定されている再懸濁装置である。
【0120】
局面45は、局面41~44のいずれかの再懸濁装置において、第2のスパイクルーメンは第1のスパイクルーメンより、受容ステーションに受容されたバイアル中にさらに延びるようにより長い再懸濁装置である。
【0121】
局面46は、局面41~45のいずれかの再懸濁装置において、第1のスパイクルーメンは再懸濁の間希釈剤の高さよりも下になるようにバイアル内で開くように構成され、第2のスパイクルーメンは再懸濁の間希釈剤の高さよりも上になる位置においてバイアルの中に開くように構成されている再懸濁装置である。
【0122】
局面47は、局面41~46のいずれかの再懸濁装置において、第1のスパイクルーメンは隔壁の近くの位置においてバイアル中で開くように構成され、第2のスパイクルーメンはバイアル隔壁から実質的に離間した位置でバイアル中で開くように構成されている再懸濁装置である。
【0123】
局面48は、バイアルの薬剤内容物を再懸濁する方法であって、バイアルに希釈剤を導入し、圧力下で気体をバイアルの中に、希釈剤を撹拌させるためにバイアルの中の希釈剤の高さよりも下に注入し、バイアルから気体を排出し、薬剤内容物が実質的に再懸濁されるまで注入と排出を継続することを含む方法である。
【0124】
局面49は、局面48の再懸濁方法において、気体の排出に伴う液体の漏出を実質的に防ぐことを含む再懸濁方法である。
【0125】
局面50は、局面48または49の再懸濁方法において、気体の排出は、バイアルからの液体の漏出を実質的に防ぐために疎水フィルタを通過させられる再懸濁方法である。
【0126】
局面51は、局面48~50の方法において、気体は希釈剤の高さよりも上の高さにおいてバイアルから排出される方法である。
【0127】
局面52は、局面48~51のいずれかの方法において、バイアルの薬剤内容物は実質的に乾燥状態である方法である。
【0128】
局面53は、局面48~52の方法において、バイアルの薬剤内容物は凍結乾燥材料を含む方法である。
【0129】
局面54は、局面48~53のいずれかの方法において、気体は実質的に病原体を含まない方法である。
【0130】
本主題は図示された例と様々な局面と変形例を参考にして説明されているが、これは説明の目的のためのみであり、限定の目的ではない。本主題は他の環境にも適用され得、また、詳細はここでの開示から逸脱することなく変形され得ると理解される。