(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】意思決定支援システム及びサーバ
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20231109BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20231109BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q50/08
(21)【出願番号】P 2022030575
(22)【出願日】2022-03-01
【審査請求日】2022-05-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2021年3月2日 ウェブサイト「https://www.kensetsunews.com/web-kan/535125」における公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000156204
【氏名又は名称】株式会社淺沼組
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100222612
【氏名又は名称】山本 飛翔
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】田村 泰史
【審査官】塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-093067(JP,A)
【文献】特開2006-221478(JP,A)
【文献】特開2007-122350(JP,A)
【文献】特開2021-022070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産現場に係る作業員の意思決定支援システムであって、
第1の作業員に関連付けられた工事記録データを格納したデータベースであって、前記工事記録データには、前記第1の作業員が行った工事の属性に関連する工事属性評価データと、前記工事を行った前記第1の作業員の特性を示す作業員特性評価データとが関連付けられている、データベースと、
ユーザである第2の作業員が関わる工事の属性に関連する工事属性評価データ及び前記第2の作業員の特性を示す作業員特性評価データと、前記第1の作業員の前記工事属性評価データ及び前記第1の作業員の前記作業員特性評価データと、に基づいて、前記第2の作業員に提示する前記工事記録データを決定するサーバと、
を備え、
前記サーバは、
前記第1の作業員の前記工事属性評価データと前記第2の作業員が関わる前記工事の前記工事属性評価データとの類似度に関連する工事ベーススコアを算出する工事ベーススコア算出部と、
前記第1の作業員の前記作業員特性評価データと前記第2の作業員の前記作業員特性評価データとの類似度に関連する作業員ベーススコアを算出する作業員ベーススコア算出部と、
前記工事ベーススコアと前記作業員ベーススコアとに基づいて、前記第2の作業員に提示する前記工事記録データを決定するデータ決定部と、
を有
し、
前記工事ベーススコア算出部は、前記データベース内の前記工事記録データに対応する前記第1の作業員の前記工事属性評価データに基づく第1工事属性ベクトルと、前記第2の作業員の前記工事属性評価データに基づく第2工事属性ベクトルとの内積を、前記第1の作業員及び前記第2の作業員の前記工事属性評価データの類似度としてそれぞれ算出し、
前記作業員ベーススコア算出部は、前記データベース内の前記工事記録データに対応する前記第1の作業員の前記作業員特性評価データに基づく第1特性ベクトルと、前記第2の作業員の前記作業員特性評価データに基づく第2特性ベクトルとの内積を、前記第1の作業員及び前記第2の作業員の前記作業員特性評価データの類似度としてそれぞれ算出し、
前記データ決定部は、前記データベースに格納された前記工事記録データのうち、前記工事ベーススコアと前記作業員ベーススコアとに基づくスコアが高い所定数の前記工事記録データを、前記第2の作業員に提示する前記工事記録データとして決定し、
前記作業員特性評価データは、バイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストについての評価データを含み、
前記作業員ベーススコア算出部は、前記第2の作業員のバイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストについての評価データに基づいて、前記第1特性ベクトル及び前記第2特性ベクトルを生成し、前記第1特性ベクトルと前記第2特性ベクトルとの内積を算出する、
意思決定支援システム。
【請求項2】
前記工事属性評価データは、予め設定された工事分類、業務分類及び工種分類と、工事に関連するキーワードを含む文字情報であり、
前記工事ベーススコア算出部は、前記工事分類、前記業務分類、前記工種分類、前記キーワードの文字情報をそれぞれベクトルに変換し、当該ベクトルの平均を算出することにより前記第1工事属性ベクトル及び前記第2工事属性ベクトルを生成し、前記第1工事属性ベクトル及び前記第2工事属性ベクトルの内積を算出する、
請求項
1に記載の意思決定支援システム。
【請求項3】
ネットワークを介して前記サーバと接続され、前記第2の作業員が用いる端末装置を更に備え、
前記端末装置は、
前記第2の作業員が関わる前記工事の前記工事属性評価データ及び前記第2の作業員の前記作業員特性評価データに関する入力を受け付ける入力装置と、
前記入力を前記ネットワークを介して前記サーバに送信する通信装置と、
前記通信装置を介して前記データ決定部により決定された前記工事記録データを提示する表示装置と、
を備えた、
請求項1
又は2に記載の意思決定支援システム。
【請求項4】
前記第1の作業員は、熟練作業員であり、
前記第2の作業員は、前記熟練作業員よりも実年齢が若い、又は、前記熟練作業員よりも前記生産現場の経験年数が少ない作業員である、
請求項1~
3の何れか1項に記載の意思決定支援システム。
【請求項5】
生産現場に係る作業員の意思決定を支援するサーバであって、
データベースに格納された工事記録データに関連付けられた第1の作業員が行った工事の属性に関連する工事属性評価データと、第2の作業員が関わる工事の属性に関連する工事属性評価データとの類似度に関連する工事ベーススコアを算出する工事ベーススコア算出部と、
前記第1の作業員の特性を示す作業員特性評価データと、前記第2の作業員の特性を示す作業員特性評価データとの類似度に関連する作業員ベーススコアを算出する作業員ベーススコア算出部と、
前記工事ベーススコアと前記作業員ベーススコアとに基づいて、前記第2の作業員に提示する前記工事記録データを決定するデータ決定部と、
を有
し、
前記工事ベーススコア算出部は、前記データベース内の前記工事記録データに対応する前記第1の作業員の前記工事属性評価データに基づく第1工事属性ベクトルと、前記第2の作業員の前記工事属性評価データに基づく第2工事属性ベクトルとの内積を、前記第1の作業員及び前記第2の作業員の前記工事属性評価データの類似度としてそれぞれ算出し、
前記作業員ベーススコア算出部は、前記データベース内の前記工事記録データに対応する前記第1の作業員の前記作業員特性評価データに基づく第1特性ベクトルと、前記第2の作業員の前記作業員特性評価データに基づく第2特性ベクトルとの内積を、前記第1の作業員及び前記第2の作業員の前記作業員特性評価データの類似度としてそれぞれ算出し、
前記データ決定部は、前記データベースに格納された前記工事記録データのうち、前記工事ベーススコアと前記作業員ベーススコアとに基づくスコアが高い所定数の前記工事記録データを、前記第2の作業員に提示する前記工事記録データとして決定し、
前記作業員特性評価データは、バイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストについての評価データを含み、
前記作業員ベーススコア算出部は、前記第2の作業員のバイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストについての評価データに基づいて、前記第1特性ベクトル及び前記第2特性ベクトルを生成し、前記第1特性ベクトルと前記第2特性ベクトルとの内積を算出する、
サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産現場における作業員の意思決定を支援する意思決定支援システム及びサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場などの生産現場における生産は、品質、原価、納期、安全を管理の指標として運営されており、これらの指標のうちの納期の設定のため、工事のフロー(工程)が計画される。しかし、作業環境、規制条件、社会情勢などにより、工事工程計画と実施とが乖離する場合があり、その乖離解消のためには、作業員の技能、勘、コツなどの経験知が必要とされることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、生産年齢人口の減少に伴い、作業員の経験知の継承が難しくなってきている。この傾向が続くと、作業員の経験知を活かした生産現場での意思決定が難しくなってしまう。この問題は、施工中の変化の対応だけでなく、計画、実施、検査などの生産現場のあらゆる過程で起き得るものである。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、生産現場における作業員の意思決定を支援することのできる意思決定支援システム及びサーバを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様としての意思決定支援システムは、生産現場に係る作業員の意思決定支援システムであって、第1の作業員に関連付けられた工事記録データを格納したデータベースであって、前記工事記録データには、前記第1の作業員が行った工事の属性に関連する工事属性評価データと、前記工事を行った前記第1の作業員の特性を示す作業員特性評価データとが関連付けられている、データベースと、ユーザである第2の作業員が関わる工事の属性に関連する工事属性評価データ及び前記第2の作業員の特性を示す作業員特性評価データと、前記第1の作業員の前記工事属性評価データ及び前記第1の作業員の前記作業員特性評価データと、に基づいて、前記第2の作業員に提示する前記工事記録データを決定するサーバと、を備え、前記サーバは、前記第1の作業員の前記工事属性評価データと前記第2の作業員が関わる前記工事の前記工事属性評価データとの類似度に関連する工事ベーススコアを算出する工事ベーススコア算出部と、前記第1の作業員の前記作業員特性評価データと前記第2の作業員の前記作業員特性評価データとの類似度に関連する作業員ベーススコアを算出する作業員ベーススコア算出部と、前記工事ベーススコアと前記作業員ベーススコアとに基づいて、前記第2の作業員に提示する前記工事記録データを決定するデータ決定部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様としてのサーバは、生産現場に係る作業員の意思決定を支援するサーバであって、データベースに格納された工事記録データに関連付けられた第1の作業員が行った工事の属性に関連する工事属性評価データと、第2の作業員が関わる工事の属性に関連する工事属性評価データとの類似度に関連する工事ベーススコアを算出する工事ベーススコア算出部と、前記第1の作業員の特性を示す作業員特性評価データと、前記第2の作業員の特性を示す作業員特性評価データとの類似度に関連する作業員ベーススコアを算出する作業員ベーススコア算出部と、前記工事ベーススコアと前記作業員ベーススコアとに基づいて、前記第2の作業員に提示する前記工事記録データを決定するデータ決定部と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、生産現場における作業員の意思決定を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る意思決定支援システムの全体構成図である。
【
図3】データベースに格納される工事記録データと関連付けられた評価データを示す図である。
【
図4】工事分類、業務分類、工種分類の各項目を示す表である。
【
図5】作業員特性評価データの項目を示す表である。
【
図8】左側の曲線は遅れS字曲線を示し、右側の曲線は
図6のバイオリズムを示す図である。
【
図10】工事フェーズ選択画面の一例を示す図である。
【
図11】嗜好テストのための画像選択画面の一例を示す図である。
【
図12】工事記録データの提示画面の一例を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る意思決定支援システムの動作フローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る意思決定支援システムの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本明細書においては、説明の便宜上、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成についての重複説明を省略する場合がある。
【0011】
[1.構成]
[1-1.概要]
本実施形態の意思決定支援システムは、生産現場に係る作業員の意思決定を支援するシステムである。意思決定支援システムは、生産現場において作業員が関わる工事に類似する工事の熟練作業員による工事記録データであって、当該作業員と特性が類似する熟練作業員が行った工事の工事記録データを作業員に提供する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る意思決定支援システムの構成図の一例である。
図1に示すように、意思決定支援システム1は、データベース2、サーバ3、及び端末装置4を備える。
【0013】
データベース2は、サーバ3と直接又はネットワークNを介して接続され、各種情報、データが予め記憶され及び追加的に記憶することが可能な記憶装置である。データベース2には、熟練作業員(以下、「第1の作業員」ともいう。)が行った工事の工事記録データが格納されている。工事記録データは、工事の計画、実施、検査を含む工事の開始から完了まであらゆる過程のデータを含むことができる。工事記録データは、第1の作業員の技能、勘、コツなどの経験知が形式知として含まれたデータである。工事記録データは、例えば、文書データ、表計算データ、図面データ、画像データ、音声データ、映像データを含むことができる。各データには、工事案件IDと当該工事を行った第1の作業員のIDとが関連付けられている。
【0014】
サーバ3は、データベース2に格納された工事記録データのうち、意思決定支援システム1のユーザである第2の作業員に提示する工事記録データを特定する処理装置である。サーバ3は、第2の作業員が関わる工事に類似する工事の熟練作業員による工事記録データであって、当該作業員と特性が類似する熟練作業員が行った工事の工事記録データを特定する。サーバ3は、ネットワークNと接続され、端末装置4と通信する。サーバ3は、特定した工事記録データを端末装置4に送信する。
【0015】
端末装置4は、第2の作業員が用いる端末であり、ネットワークNを介してサーバ3と接続されている。端末装置4には、サーバ3で特定された工事記録データ及び/又は当該データに関する情報が提示される。
【0016】
第1の作業員は、熟練作業員を含むことができ、例えば、実年齢40歳以上、経験年数15年以上の作業員とすることができる。第2の作業員は、生産現場に係る作業員であり、意思決定支援システム1のユーザである。第2の作業員は、例えば、第1の作業員よりも実年齢が若い、又は、第1の作業員よりも生産現場の経験年数が少ない作業員とすることができる。
【0017】
図2は、サーバのハードウェア構成を示す図である。サーバ3は、プロセッサ10a、記憶装置10b、入力装置10c、出力装置10d、及び通信装置10eを備える。各構成10a~10eはバス10fによって接続される。なお、バス10fと各構成10a~10eとの間には必要に応じてインタフェースが介在していても良い。サーバ3は、デスクトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、ノートパソコンなどのコンピュータを含み構成することができ、1つの物理的な装置で構成される必要はなく、複数の物理的な装置から構成されても良い。
【0018】
プロセッサ10aは、サーバ3全体の動作を制御する。プロセッサ10aは、例えばCPU、MPU等の電子回路である。プロセッサ10aは、記憶装置10bに格納されているプログラム、データを読み込んで実行することにより、様々な処理を実行する。プロセッサ10aは、複数のプロセッサから構成されていても良い。
【0019】
記憶装置10bは、揮発性メモリであるRAM10b-1及び不揮発性メモリであるROM10b-2を含む。記憶装置10bは、外部メモリ10b-3を含んでも良い。RAM10b-10は、プロセッサ10aのメインメモリ及び/又は作業領域として機能する。プロセッサ10aは、処理の実行に際して必要なプログラム等をROM10b-2や外部メモリ10b-3からRAM10b-1にロードして、ロードしたプログラムを実行することで各種動作を実現する。ROM10b-2、外部メモリ10b-3は、プロセッサ10aの制御プログラムであるBIOSやOS、コンピュータが実行する機能を実現するために必要な各種プログラムやデータ、テーブル等が記憶されている。外部メモリ10b-3は、例えば、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD-RAM、USBメモリ、SSD等を含むことができる。
【0020】
入力装置10cは、ユーザ等からの操作指示、入力を受け付ける。入力装置10cは、例えば、入力ボタン、キーボード、マウス、タッチパネル、タッチパッド、ワイヤレスリモコン、マイクロフォン、カメラなどのユーザインタフェースである。なお、タッチパネルは、入力装置10cとしても出力装置10dとしても機能する。
【0021】
出力装置10dは、プロセッサ10aで処理されたデータや、記憶装置10bに記憶される及び/又は記憶されたデータを出力する。出力装置10dとしては、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイなどの表示装置、音を発するスピーカなどの音響装置、プリンタなどの印刷装置を含むことができる。
【0022】
通信装置10eは、ネットワークを介して又は直接、外部機器と接続及び通信するインタフェースである。通信装置10eは、例えば、シリアルインタフェース、LANインタフェース等のインタフェースとすることができる。
【0023】
サーバ3の各部は、ROM10b-2や外部メモリ10b-3に記憶された各種プログラムが、各構成10a~10fを資源として使用することで実現される。
【0024】
端末装置4は、サーバ3と同様のハードウェア構成、すなわち、プロセッサ10a、記憶装置10b、入力装置10c、出力装置10d、及び通信装置10eを備えることができる。端末装置4は、ノートパソコン、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等の携帯端末などのコンピュータとすることができる。
【0025】
[1-2.詳細構成]
図3は、データベースに格納される工事記録データと関連付けられた評価データを示す図である。データベース2に格納される工事記録データには、工事記録ID、工事件名、第1の作業員のID、第1の作業員が行った工事に関する作業日時、作業位置、評価データが関連付けられている。作業日時は、年、月、日、時、分を含むことができる。作業位置は、例えば、作業現場の緯度、経度、住所を含むことができる。
【0026】
評価データは、工事記録データのメタデータ、付帯データであり、インデックス、メタ情報、付帯情報と称しても良い。この評価データは、工事属性評価データと、作業員特性評価データとを含む。
【0027】
工事属性評価データは、第1の作業員が行った工事の属性に関する評価データである。工事属性評価データは、第1の作業員が行った工事に関するカテゴリ、キーワードについての評価データを含む。
【0028】
工事に関するカテゴリの評価データは、工事分類、業務分類、工種分類を含む。
図4は、工事分類、業務分類、工種分類の各項目を示す表である。
図4に示すように、各分類には、予め複数の項目が設定されている。例えば、工事分類は、河川、道路、砂防・地滑り、上水・工業用水、下水道などの項目を含むことができる。業務分類は、設計・積算、計画・施工、保全・保守、環境・災害、教育・安全、その他の項目を含むことができる。工種分類は、トンネル、橋梁、構造物、土工、舗装、仮設などの項目を含むことができる。工事に関するカテゴリの評価データは、第1の作業員により各分類からそれぞれ選択された工事に係る項目を示す文字情報である。1つの例では、第1の作業員が河川に架かる橋の保全、保守工事を行った場合、第1の作業員により、工事分類として「河川」が選択され、業務分類として「保全・保守」が選択され、工種分類として「橋梁」が選択された場合、工事に関するカテゴリの評価データは、「河川」、「保全・保守」、「橋梁」を含む文字情報である。
【0029】
キーワードの評価データは、第1の作業員が行った工事に関するキーワードを含む。このキーワードは、予め設定された複数のキーワードから第1の作業員が選択したキーワードである。キーワードは、例えば、媒体名、マニュアル名、専門用語とすることができる。キーワードの評価データは、当該キーワードを示す文字情報を含む。工事分類、業務分類、工種分類の項目、キーワードは、適宜追加することができる。
【0030】
作業員特性評価データは、工事を行った第1の作業員の特性を示す評価データである。作業員特性評価データは、バイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストについての評価データを含む。
【0031】
図5は、作業員特性評価データの項目を示す表である。
図5に示すように、バイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストは、予め複数の項目がそれぞれ設定されており、評価データは、例えば、該当項目が1、非該当項目が0となるデータである。
【0032】
バイオリズムは、「身体」、「感情」、「知性」の3つの側面が各々予め設定されたsinカーブ(三角関数)で表され、各々の側面が、「活動期」、「転換期」、「休息期」の3つの期間に区分され、各期間は、カーブの上昇傾向にある場合を「状態+」、カーブの下降傾向にある場合を「状態-」として更に区分される。
図6は、バイオリズムを示すグラフを示し、バイオリズムの3つの側面を1つのsinカーブに反映させた図である。
図6のグラフは、横軸が時間、縦軸が「身体」、「感情」、「知性」の側面についての作業員の調子を表すグラフである。
【0033】
換言すれば、
図5に示すように、バイオリズムには、「身体」、「感情」、「知性」の3側面、「活動期」、「転換期」、「休息期」の3期間、「状態+」、「状態-」の2状態から、各側面で6項目、合計18項目が予め設定されている。バイオリズムは、3側面のsinカーブが予め設定されていることから、ある時点が決まると、各側面の期間及び状態を定めることができる。
図6に示す例では、「身体」の側面は、「活動期」、「状態+」に定まる。「感情」の側面は、「活動期」、「状態-」に定まる。「知性」の側面は、「転換期」、「状態-」に定まる。したがって、ある時点が決まると、バイオリズムの18項目の何れが該当するかを決定することができる。
【0034】
バイオリズムの評価データは、作業員のバイオリズムの評価データであり、ここでは、第1の作業員の工事時点におけるバイオリズムの評価データである。この評価データは、バイオリズムの該当項目を1、非該当項目を0とした場合、18個の0又は1のデータ列である。1つの例では、工事時点における第1の作業員のバイオリズムが、「身体」の側面が「活動期」、「状態+」であり、「感情」の側面が「活動期」、「状態-」であり、「知性」の側面が「転換期」、「状態-」であるとすると、評価データは、
図5に示す項目順で、1、0、0、0、0、0、0、1、0、0、0、0、0、0、0、1、0、0となる。
【0035】
スキルフェーズは、作業員のスキル度を示す。
図5に示すように、スキルフェーズには、「未習熟」、「習熟」、「熟達」、「熟練」の4つの項目が予め設定されている。例えば、該当項目を1、非該当項目を0とすることができる。スキルフェーズの評価データは、4つの0又は1のデータ列である。スキルフェーズの評価データは、第1の作業員のスキルフェーズの評価データであり、ここでは、第1の作業員の工事時点におけるバイオリズムの評価データである。1つの例では、第1の作業員を熟練作業員とすると、そのスキル度は「熟練」であるから、0、0、0、1のデータ列である。
【0036】
工事フェーズは、工事の進捗段階を示す。
図5に示すように、工事フェーズには、「準備期」、「成長期」、「加速期」、「成熟期」の4つの項目が予め設定されている。例えば、該当項目を1、非該当項目を0とすることができる。工事フェーズの評価データは、4つの0又は1のデータ列である。工事フェーズの評価データは、第1の作業員が工事時点において工事のフェーズを評価した結果である。1つの例では、第1の作業員が工事時点の工事のフェーズを「成長期」と評価した場合、評価データは、0、1、0、0のデータ列である。
【0037】
嗜好テストは、作業員の嗜好を推定するテストである。
図5に示すように、嗜好テストには、「設計/積算」、「計画/施工」、「保全/保守」、「環境/災害」、「教育/安全」、「その他」の6つの項目が予め設定されている。これらの項目は、上記カテゴリにおける業務分類と同じである。嗜好テストは、業務分類の各項目の特徴を示す画像から作業員の嗜好に合う1つの画像を作業員に選択させるものである。嗜好テストの評価データは、選択された項目を1、選択されなかった項目を0とした場合、6つの0又は1のデータ列である。嗜好テストの評価データは、第1の作業員が6つの項目の画像から選択した結果のデータ列である。1つの例では、第1の作業員が「設計/積算」の画像を選択した場合、評価データは、1、0、0、0、0、0のデータ列である。
【0038】
図7は、サーバ3の機能ブロック図の一例である。サーバ3は、ユーザである第2の作業員が関わる工事の属性に関連する工事属性評価データ及び第2の作業員の特性を示す作業員特性評価データと、第1の作業員の工事属性評価データ及び第1の作業員の作業員特性評価データとに基づいて、第2の作業員に提示する工事記録データを決定する処理装置である。具体的には、サーバ3は、工事ベーススコア算出部31、作業員ベーススコア算出部32、データ決定部33、表示制御部34、工事属性評価データ生成部35、作業員特性評価データ生成部36を備える。
【0039】
工事ベーススコア算出部31は、第1の作業員の工事属性評価データと第2の作業員が関わる工事の工事属性評価データとの類似度に関連する工事ベーススコアを算出する。第2の作業員が関わる工事の工事属性評価データの詳細は後述するが、当該評価データは、後述の工事属性評価データ生成部35により生成されても良いし、システム1の外部から取得したものであっても良い。この評価データは、第1の作業員の工事属性評価データとは、作業員、工事の対象、工事時点等が異なる可能性があり、工事属性評価データである点で共通する。
【0040】
具体的には、工事ベーススコア算出部31は、ベクトル生成部311、312を有する。ベクトル生成部311は、第1の作業員の工事属性評価データに基づいて第1工事属性ベクトルを生成する。1つの例では、第1の作業員の工事属性評価データをベクトル変換して得られたものが第1工事属性ベクトルである。具体的には、工事属性評価データは、カテゴリ(工事分類、業務分類、工種分類)、キーワードの4つの文字情報であり、ベクトル生成部311は、第1の作業員の工事属性評価データに含まれる、工事分類、業務分類、工種分類、キーワードのワードをそれぞれベクトルに変換する。この変換は、公知の埋め込み表現(分散表現)の技術を用いることができる。そして、ベクトル生成部311は、得られた4つのベクトルの平均を算出し、この平均ベクトルを第1工事属性ベクトルとする。ベクトル生成部311は、データベース2に格納された全ての工事案件に対して第1工事属性ベクトルを生成する。すなわち、工事案件ID毎に工事属性評価データが付帯するので工事案件IDの数分、第1工事属性ベクトルが生成される。
【0041】
ベクトル生成部312は、第2の作業員の工事属性評価データに基づいて第2工事属性ベクトルを生成する。1つの例では、第2の作業員の工事属性評価データをベクトル変換して得られたものが第2工事属性ベクトルである。具体的には、工事属性評価データは、カテゴリ(工事分類、業務分類、工種分類)、キーワードの4つの文字情報であり、ベクトル生成部312は、第2の作業員の工事属性評価データに含まれる、工事分類、業務分類、工種分類、キーワードのワードをそれぞれベクトルに変換する。この変換は、公知の埋め込み表現(分散表現)の技術を用いることができる。そして、ベクトル生成部312は、得られた4つのベクトルの平均を算出し、この平均ベクトルを第2工事属性ベクトルとする。
【0042】
工事ベーススコア算出部31は、第1工事属性ベクトルと第2工事属性ベクトルとの内積を算出する。工事ベーススコア算出部31は、この内積を第1の作業員及び第2の作業員の工事属性評価データの類似度とすることができ、また、当該内積に基づいて当該類似度を算出するようにしても良い。工事ベーススコア算出部31は、得られた類似度に基づいて工事ベーススコアを算出する。1つの例では、類似度=工事ベーススコアとすることができるが、これに限定されない。内積の算出は、データベース2内の工事案件ID毎に行われる。すなわち、工事ベーススコア算出部31は、データベース2内の工事案件ID毎に、第2の作業員の工事属性評価データとの類似度を算出する。なお、内積の値が大きいほど類似度が高いと判定することができる。
【0043】
作業員ベーススコア算出部32は、第1の作業員の作業員特性評価データと第2の作業員の作業員特性評価データとの類似度に関連する作業員ベーススコアを算出する。第2の作業員の作業員特性評価データの詳細は後述するが、当該評価データは、後述の作業員特性評価データ生成部36により生成されても良いし、システム1の外部から取得したものであっても良い。この評価データは、第1の作業員の作業員特性評価データとは、作業員の対象が異なり、作業員特性評価データである点で共通する。
【0044】
具体的には、作業員ベーススコア算出部32は、ベクトル生成部321、322を有する。ベクトル生成部321は、第1の作業員の作業員特性評価データに基づいて第1特性ベクトルを生成する。1つの例では、第1の作業員の作業員特性評価データをベクトル変換して得られたものが第1特性ベクトルである。具体的には、バイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストの作業員特性評価データは、各々が0又は1のデータ列であり、ベクトル生成部321は、これらを1つにまとめて第1特性ベクトルを生成する。より具体的には、バイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストの作業員特性評価データは、18個、4個、6個、6個の0又は1のデータ列であるから、ベクトル生成部321が生成する第1特性ベクトルは、0又は1の成分を34個有する34次元(=18+4+6+6)のベクトルである。ベクトル生成部321は、第1特性ベクトルの生成の際、バイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストのデータ列に対して重み付けを加味しても良い。この重み付けは、バイオリズム:スキルフェーズ:工事フェーズ:嗜好テスト=3.0:1.0:2.0:3.0とすることができるが、これに限定されず、システム1の利用実績により適宜設定可能である。
【0045】
ベクトル生成部321は、データベース2に格納された全ての工事案件に対して第1特性ベクトルを生成する。すなわち、工事案件IDで特定される工事記録データ毎に作業員特性評価データが付帯するので工事案件IDの数分、第1特性ベクトルが生成される。
【0046】
ベクトル生成部322は、第2の作業員の作業員特性評価データに基づいて第2特性ベクトルを生成する。1つの例では、第2の作業員の作業員特性評価データをベクトル変換して得られたものが第2特性ベクトルである。具体的には、バイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストの作業員特性評価データは、各々が0又は1のデータ列であり、ベクトル生成部322は、これらを1つにまとめて第2特性ベクトルを生成する。より具体的には、バイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストの作業員特性評価データは、18個、4個、6個、6個の0又は1のデータ列であるから、ベクトル生成部322が生成する第2特性ベクトルは、0又は1の成分を34個有する34次元(=18+4+6+6)のベクトルである。ベクトル生成部322は、第1特性ベクトルの生成の際、バイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストのデータ列に対して重み付けを加味しても良い。この重み付けは、バイオリズム:スキルフェーズ:工事フェーズ:嗜好テスト=3.0:1.0:2.0:3.0とすることができるが、これに限定されず、システム1の利用実績により適宜設定可能である。
【0047】
作業員ベーススコア算出部32は、第1特性ベクトルと第2特性ベクトルとの内積を算出する。作業員ベーススコア算出部32は、この内積を第1の作業員及び第2の作業員の作業員特性評価データの類似度とすることができ、また、当該内積を用いて当該類似度を算出するようにしても良い。作業員ベーススコア算出部32は、得られた類似度に基づいて作業員ベーススコアを算出する。1つの例では、類似度=作業員ベーススコアとすることができるが、これに限定されない。内積の算出は、データベース2内の工事案件ID毎に行われる。すなわち、作業員ベーススコア算出部32は、データベース2内の工事案件ID毎に、第2の作業員の作業員特性評価データとの類似度を算出する。なお、内積の値が大きいほど類似度が高いと判定することができる。
【0048】
データ決定部33は、工事ベーススコアと作業員ベーススコアとに基づいて、第2の作業員に提示する工事記録データを決定する。具体的には、データ決定部33は、工事ベーススコアと作業員ベーススコアとに基づくスコアをデータベース2内の工事案件ID毎に算出し、当該スコアが高い所定数の工事記録データを、第2の作業員に提示する工事記録データとして決定する。スコアの算出方法としては、1つの例では、スコア=工事ベーススコア+作業員ベーススコアとしても良いし、別の例では、αを重み付け係数として、スコア=α×工事ベーススコア+(1-α)×作業員ベーススコアとしても良い。αは0<α<1を満たす実数であり、サーバ3の記憶装置10bに予め記憶させておき、スコアの算出時に読み出すようにしても良い。提示する工事記録データの数は、所定数としているが、例えば、3とすることができ、これ以外にも、5、10などデータベース2内の工事案件ID数未満の任意の数とすることができる。
【0049】
表示制御部34は、工事記録データの提示画面G1を端末装置4に表示させる。
図12は、工事記録データの提示画面の一例を示す図である。表示制御部34は、データ決定部33により決定された、工事記録データをデータベース2から取得して、提示画面G1内のマップM上の、当該工事記録データの作業場所に対応する位置に工事記録のアイコンIを表示する。このアイコンIを第2の作業員が選択することにより、工事記録データが閲覧可能となる。また、
図12に示すように、表示制御部34は、提示する工事記録データのリンクを提示領域R1に表示しても良い。このリンクの選択により、工事記録データが閲覧可能となる。これらの工事記録データの表示態様は一例であり、工事記録データが閲覧可能であれば適宜設計変更可能である。表示制御部34は、第2の作業員により閲覧回数が上位の工事記録データのリンクを提示領域R2に表示しても良い。
【0050】
工事属性評価データ生成部35は、第2の作業員の入力に基づき、第2の作業員が関わる工事の工事属性評価データを生成する。この工事属性評価データは、第2の作業員が関わる工事の属性に関する評価データであり、第2の作業員が関わる工事に関するカテゴリ、キーワードについての評価データを含む。当該カテゴリ、キーワードは、第1の作業員が行った工事の工事属性評価データと同様であり、工事分類、業務分類、工種分類の下に予め設定された項目(
図4参照)から特定された文字情報、及び、予め設定された複数のキーワードから第2の作業員により選択された1つのキーワード(文字情報)である。
【0051】
サーバ3の記憶装置10bには、第2の作業員ID(ユーザID)と、第2の作業員の所属組織と、カテゴリ内の各分類下の項目のワードとが関連付けられた第1テーブルが予め記憶されている。工事属性評価データ生成部35は、第2の作業員IDの入力を受けて、当該第1テーブルを参照し、対応するカテゴリ項目のワード(文字情報)を特定し、当該ワードをカテゴリの評価データとする。1つの例では、第2の作業員の所属組織が河川に架かる橋の保全、保守を行う組織である場合、工事属性評価データ生成部35は、「河川」、「保全・保守」、「橋梁」を含む文字情報を特定し、これらの文字情報を評価データとする。
【0052】
サーバ3の記憶装置10bには、予め設定された複数のキーワードが記憶されており、当該複数のキーワードを、端末装置4を介して第2の作業員に提示し、第2の作業員が関わる工事に関連する1又は複数のキーワードを選択させる。工事属性評価データ生成部35は、この選択されたキーワードの入力を受け、当該キーワードをキーワードの評価データとする。
【0053】
工事属性評価データ生成部35により得られた工事属性評価データは、工事ベーススコア算出部31において用いることができる。
【0054】
作業員特性評価データ生成部36は、第2の作業員の入力に基づき、第2の作業員の作業員特性評価データを生成する。第2の作業員の作業員特性評価データは、第1の作業員の作業員特性評価データと同様に、バイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストについての評価データを含む。
【0055】
作業員特性評価データ生成部36は、システム利用日における第2の作業員の3つの側面、期間、状態を特定し、特定した側面、期間、状態に基づいて、第2の作業員のバイオリズムの評価データを生成する。バイオリズムの評価データは、
図5等を用いて上記で説明したように、例えば、バイオリズムの該当項目を1、非該当項目を0とした場合、18個の0又は1のデータ列である。この評価データの例は、上記と同じであるので省略する。
【0056】
バイオリズムの評価データの生成方法について説明する。サーバ3の記憶装置10bには、第2の作業員IDと、第2の作業員の生年月日、登録時の年齢、登録時の経験年数とが関連付けられた第2テーブルが予め記憶され、生年月日毎に「身体」、「感情」、「知性」の3つの側面についてのsinカーブ(三角関数)(
図6)が予め記憶されている。
【0057】
作業員特性評価データ生成部36は、システム1の利用時(例えば、システム1へのログイン時)に取得した第2の作業員IDとシステム1の利用日と上記第2テーブルとにより、当該第2の作業員の生年月日を特定し、さらに、各側面についてのsinカーブから各側面の期間、状態を特定する。sinカーブは周期関数であるからその横軸tは日付と対応する。生年月日の特定により、生年月日と関連付けられたsinカーブが特定され、システム1の利用日により各側面の期間、状態が特定される。
【0058】
本実施形態では、各sinカーブの次の区間(i)0≦t<0.115、(ii)0.115≦t<0.39、(iii)0.39≦t<0.615、(iv)0.615≦t<0.89、(v)0.89≦t<1は、それぞれ(i)「転換期」、(ii)「活動期」、(iii)「転換期」、(iv)「休息期」、(v)「転換期」である。バイオリズムの区間をこのように区切ったのは、
図8の左側に示す工事の進捗度を表す遅れS字曲線G(式(1)、式(1)中のa、b>0)の中で特異的なポイントがあり、当該ポイントで工事の遅延等の問題が発生するということが本発明者の研究により発見されており、当該ポイントをバイオリズムの期間を区切るためのポイントとしたためである。
【0059】
【0060】
図8に示すように、遅れS字曲線は、所謂成長曲線(生産関数とも称される)の1つであり、例えば、横軸が時間、縦軸が工事進捗度を示す曲線である。工事進捗度は、あらゆる工程で検査が行われることから、検査回数とすることができる。この曲線は、横軸の区間における23%、50%、78%のポイントを特異的なポイント(以下、「管理ポイント」)として有し、工事進捗度とバイオリズムは相関性があることから、管理ポイントをsinカーブの期間の領域を決定する区間を区切るための指標として用いたものである。すなわち、
図8に示すように、バイオリズムのsinカーブの半周期と遅れS字曲線の1周期とが対応している。このsinカーブの区間は、活動期、転換期、休息期の区間を決めることと同義であり、したがって、バイオリズムの評価データ、ひいては特性ベクトルに影響する。つまり、特性ベクトルは、sinカーブの区間に依存する。なお、遅れS字曲線は、管理ポイントを境界として、準備期A、成長期B、加速期C、成熟期Dの4つに区分される。準備期Aは、初期の緩やかな数値の上昇期であり、成長期Bは、上昇比率がほぼ一定値となる期間である。加速期Cは、再び現れる緩やかな数値の上昇期であり、成熟期Dは、最終的にある値に収束する収束期である。
【0061】
作業員特性評価データ生成部36は、第2の作業員の入力に基づき、システム利用日における当該第2の作業員のスキルフェーズを特定し、特定したスキルフェーズに基づいて、第2の作業員のスキルフェーズについての評価データを生成する。スキルフェーズの評価データは、
図5等を用いて上記で説明したように、例えば、スキルフェーズの該当項目を1、非該当項目を0とした場合、4個の0又は1のデータ列である。1つの例では、第2の作業員のスキルフェーズが「未習熟」であると特定された場合、評価データは、1、0、0、0のデータ列である。
【0062】
スキルフェーズの評価データの生成方法について説明する。まず、作業員特性評価データ生成部36は、第2の作業員によるシステム1の利用日と当該第2の作業員IDと上記テーブルとにより、当該第2の作業員の実年齢(すなわち、システム1の利用日における第2の作業員の年齢)、利用日における第2の作業員の経験年数を特定する。より詳細には、作業員特性評価データ生成部36は、第2の作業員IDから第2の作業員のシステム登録時の年齢、経験年数を特定し、利用日と当該登録時との差分を登録時の年齢、経験年数に加算し、利用日における第2の作業員の実年齢、経験年数を特定する。なお、第2の作業員に離職期間がある場合には、上記差分から離職期間を差し引いて経験年数を特定することができる。
【0063】
次に、作業員特性評価データ生成部36は、特定された実年齢と、次の実年齢スキル値算出式(式(2))とに基づいて、実年齢スキル値S1を算出する。
【0064】
〔数2〕
S1=a1×x3+b1×x2+c1×x+d1…(2)
a1=-4.00×10-9、b1=4.00×10-5、c1=1.73×10-2、d1=-0.2599、x:年齢
【0065】
また、作業員特性評価データ生成部36は、特定された経験年数と、次の経験年数スキル値算出式(式(3))とに基づいて、経験年数スキル値S2を算出する。
【0066】
〔数3〕
S2=a2×x3+b2×x2+c2×x+d2…(3)
a2=-5.00×10-6、b2=-3.00×10-4、c2=2.85×10-2、d2=-6×10-3、x:経験年数
【0067】
更に、作業員特性評価データ生成部36は、実年齢スキル値S1と経験年数スキル値S2とを次のスキルスコア算出式S=S(x)(式(4))にそれぞれ代入し、各々のスキルスコアSA、SYを算出する(SA=S(S1)、SY=S(S2))。
【0068】
〔数4〕
S=a3×x5+b3×x4+c3×x3+d3×x2+e3×x…(4)
a3=-4.04×10、b3=9.74×10、c3=-7.34×10、d3=1.4979654×10、e3=1.3577875、x:スキル値
【0069】
図9は、スキルスコアのグラフの一例であり、スキルスコア算出式Sのグラフを示す。このグラフは、横軸がスキル値、縦軸がスキルスコアであり、スキルの熟達速度を表している。作業員特性評価データ生成部36は、実年齢による点A(S1,S
A)と、経験年数による点Y(S2,S
Y)との中央値Cを算出する。
図9に示す例では、特定された実年齢が45歳、経験年数が8年であり、この場合の実年齢スキル値S1は0.5992355であり、経験年数スキル値S2は0.20536である。そして、スキルスコアS
Aは、-0.15718097、S
Yは、0.43342364である。
【0070】
このスキルスコアの横軸の区間(0≦x≦1)は、「未習熟」、「習熟」、「熟練」、「熟達」の4つに区分されており、作業員特性評価データ生成部36は、算出した中央値Cがどの区分に属するかを特定し、第2の作業員のスキルフェーズについての評価データを生成する。
図9に示す例では、中央値Cは「習熟」の区間に属しているため、作業員特性評価データ生成部36は、第2の作業員のスキルフェーズを「習熟」であると特定し、スキル評価データとして0.1、0、0のデータ列を生成する。なお、スキルスコアの区間の区分は、バイオリズムと同様に、区間の23%、50%、78%の管理ポイントを区分の境界としている。
【0071】
式(2)~(4)の導出方法について説明する。式(2)及び(3)の導出方法は、(i)上記の遅れS字曲線の数式(1)をモデルとし、(ii)x、パラメータa、bに具体的に任意の数値を代入してy’を求め、実際のyの値との誤差が最小となるパラメータa、bを決定する。この手順は、最小二乗法で回帰式を求める手順と同じであり、誤差(y’-y)の総和が最小となるパラメータa、bを求める。その際、式(2)については、実年齢15歳~63歳の範囲を、0~1の範囲に対応させる。具体的には、実年齢15歳、25歳、43歳、50歳、63歳を、管理ポイントが含まれる0、0.23、0.5、0.78、1にそれぞれ対応させ、パラメータ決定の際には、これらの点を通るという制約条件を課す。これにより1つの3次関数に収束し、得られた式が式(2)である。式(3)については、経験年数0年、10年、19年、35年、43年を、管理ポイントが含まれる0、0.23、0.5、0.78、1にそれぞれ対応させ、パラメータ決定の際には、これらの点を通るという制約条件を課す。1つの3次関数に収束して得られた式が式(3)である。
【0072】
なお、実年齢15歳~63歳は、組織の構成年齢であり、制約条件を課す際に、管理ポイントに実年齢25歳、43歳、50歳、経験年数10年、19年、35年をそれぞれ対応させた理由は、これらの年齢、年数が資格取得、役職への昇格などのキャリアのターニングポイントとなり得るためであり、実年齢スキル値、経験年数スキル値が遅れS字曲線で表すことができるという発想に基づくものである。
【0073】
式(4)の導出方法は、式(2)、(3)と同様にしてS字曲線を求める。制約条件は、式(2)、(3)と異なり、年齢20歳~65歳の範囲を、0~1の範囲に対応させる。具体的には、20歳、25歳、48歳、50歳、60歳、65歳を、管理ポイントが含まれる0、0.23、0.53、0.78、0.95、1にそれぞれ対応させ、パラメータ決定の際には、これらの点を通るという制約条件を課す。これによりS字曲線を得る。横軸を年齢、縦軸を0~1の数値とする(20、0)、(25、0.23)、(48、0.53)、(50、0.78)、(60、0.95)、(65、1)の点をプロット値と称すると、プロット値とS字曲線との差を求め、当該差を5次曲線で近似したものが式(4)である。
【0074】
作業員特性評価データ生成部36は、第2の作業員の入力に基づいて、工事フェーズを特定し、工事フェーズの評価データを生成する。具体的には、サーバ3は、端末装置4に工事フェーズが「準備期」、「成長期」、「加速期」、「成熟期」の何れの項目に該当するかを選択させる工事フェーズ選択画面(
図10)を表示させ、第2の作業員による選択情報を作業員特性評価データ生成部36が取得し、工事フェーズを特定する。作業員特性評価データ生成部36は、例えば、該当項目を1、非該当項目を0として、0又は1のデータ列を生成する。当該データ列が工事フェーズの評価データである。1つの例では、第2の作業員がシステム利用時点の工事のフェーズを「成長期」と評価した場合、評価データは、0、1、0、0のデータ列である。
【0075】
作業員特性評価データ生成部36は、第2の作業員の入力に基づいて、嗜好テストの評価データを生成する。嗜好テストは、上記と同様であるため、適宜説明は省略する。サーバ3の記憶装置10bには、業務分類の各項目の特徴を示す画像が項目毎に複数(例えば、20)予め記憶されており、作業員特性評価データ生成部36は、各項目について画像をランダムに抽出する。サーバ3は、抽出した画像を含む、嗜好テストのための画像選択画面(
図11)を端末装置4に表示させ、第2の作業員による選択情報を作業員特性評価データ生成部36が取得し、嗜好テスト結果を特定する。作業員特性評価データ生成部36は、例えば、嗜好テスト結果のうち、選択された項目を1、選択されなかった項目を0とした場合、6つの0又は1のデータ列を生成する。当該データ列が嗜好テストの評価データである。1つの例では、第2の作業員がシステム利用時点の嗜好テストの結果、第2の作業員が「設計/積算」の画像を選択した場合、評価データは、1、0、0、0、0、0のデータ列である。
【0076】
[1-3.動作]
図13は、本実施形態に係る意思決定支援システムの動作フローチャートの一例である。まず、サーバ3は、端末装置4及びネットワークNを介して、第2の作業員の評価データに関する入力を受け付ける(S01:第2の作業員の評価データに関する入力の受付け)。この入力には、第2の作業員ID、キーワード、工事フェーズ、嗜好テストの選択についての情報が含まれる。具体的には、第2の作業員は意思決定支援システム1にログインする際に第2の作業員IDを入力すると、サーバ3は、複数のキーワードが表示されたキーワード選択画面(不図示)、工事フェーズ選択画面(
図10)、嗜好テストのための画像選択画面(
図11)を端末装置4にそれぞれ表示させて、第2の作業員により選択されたキーワード、工事フェーズ、画像の情報を取得する。
【0077】
工事属性評価データ生成部35は、この入力に基づき、第2の作業員が関わる工事の工事属性評価データを生成する(S02:工事属性評価データの生成)。具体的には、工事属性評価データ生成部35は、第2の作業員IDに対応するカテゴリ項目のワード(文字情報)を特定し、当該ワードをカテゴリの評価データとする。また、工事属性評価データ生成部35は、第2の作業員により選択されたキーワードを、キーワードの評価データとして生成する。
【0078】
次に、ベクトル生成部311、312により、第1の作業員及び第2の作業員の工事属性評価データに基づいて第1工事属性ベクトル、第2工事属性ベクトルを生成する(S03:工事属性ベクトルの生成)。具体的には、ベクトル生成部311は、データベース2を参照し、データベース2に格納された全ての工事案件に対し、各工場属性評価データに基づいて、第1工事属性ベクトルをそれぞれ生成する。ベクトル生成部312は、S02で生成した工事属性評価データから、第2工事属性ベクトルを生成する。
【0079】
そして、工事ベーススコア算出部31により、第1工事属性ベクトルと第2工事属性ベクトルとの内積を算出し、工事ベーススコアを算出する(S04:工事ベーススコアの算出)。
【0080】
また、作業員特性評価データ生成部36は、第2の作業員の入力に基づき、第2の作業員の作業員特性評価データを生成する(S05:作業員特性評価データの生成)。具体的には、作業員特性評価データ生成部36は、第2の作業員IDとその入力日時からシステム利用日における第2の作業員の3つの側面、期間、状態を特定し、特定した側面、期間、状態に基づいて、第2の作業員のバイオリズムの評価データを生成する。また、作業員特性評価データ生成部36は、第2の作業員IDの入力日時、式(2)~(4)を用いてシステム利用日における当該第2の作業員のスキルフェーズを特定し、特定したスキルフェーズに基づいて、第2の作業員のスキルフェーズについての評価データを生成する。さらに、作業員特性評価データ生成部36は、第2の作業員により入力された工事フェーズから工事フェーズを特定し、工事フェーズの評価データを生成する。また、作業員特性評価データ生成部36は、第2の作業員による嗜好テストの結果入力に基づいて、嗜好テストの評価データを生成する。
【0081】
次に、ベクトル生成部321、322により、第1の作業員及び第2の作業員の作業員特性評価データに基づいて第1特性ベクトル、第2特性ベクトルを生成する(S06:特性ベクトルの生成)。具体的には、ベクトル生成部321は、データベース2を参照し、データベース2に格納された全ての工事案件に対し、各作業員特性評価データに基づいて、第1特性ベクトルをそれぞれ生成する。ベクトル生成部322は、S05で生成した作業員特性評価データから、第2特性ベクトルを生成する。
【0082】
そして、作業員ベーススコア算出部32により、第1特性ベクトルと第2特性ベクトルとの内積を算出し、作業員ベーススコアを算出する(S07:作業員ベーススコアの算出)。
【0083】
データ決定部33は、工事ベーススコアと作業員ベーススコアとに基づくスコアを算出する(S08:スコアの算出)。そして、データ決定部33は、当該スコアが高い所定数の工事記録データを、第2の作業員に提示する工事記録データとして決定する(S09:提示する工事記録データの決定)。
【0084】
表示制御部34は、S09の工事記録データをデータベース2から取得し、
図12に示すように提示画面G1を端末装置4に表示させる(S10:決定された工事記録データの提示)。
【0085】
これにより、第2の作業員は、自身が関わる工事に類似する工事記録データであって、自身と特性が類似する作業員による工事記録データを閲覧することができる。サーバ3は、閲覧された工事記録データの閲覧回数をカウントして当該閲覧数をデータベース2内の該当する工事記録データに関連付けるようにしても良い。サーバ3(表示制御部34)は、閲覧回数が上位の工事記録データのリンクを提示領域R2に表示しても良い。なお、閲覧回数のカウントは、例えば、提示された工事記録データのうち、どの工事記録データが閲覧されたかを示す情報を端末装置4からサーバ3に送信することにより行うことができる。
【0086】
[1-4.作用・効果]
(1)本実施形態の意思決定支援システム1は、生産現場に係る作業員の意思決定支援システムであって、第1の作業員に関連付けられた工事記録データを格納したデータベース2であって、工事記録データには、第1の作業員が行った工事の属性に関連する工事属性評価データと、工事を行った第1の作業員の特性を示す作業員特性評価データとが関連付けられている、データベース2と、ユーザである第2の作業員が関わる工事の属性に関連する工事属性評価データ及び第2の作業員の特性を示す作業員特性評価データと、第1の作業員の工事属性評価データ及び第1の作業員の作業員特性評価データと、に基づいて、第2の作業員に提示する工事記録データを決定するサーバ3と、を備え、サーバ3は、第1の作業員の工事属性評価データと第2の作業員が関わる工事の工事属性評価データとの類似度に関連する工事ベーススコアを算出する工事ベーススコア算出部31と、第1の作業員の作業員特性評価データと第2の作業員の作業員特性評価データとの類似度に関連する作業員ベーススコアを算出する作業員ベーススコア算出部32と、工事ベーススコアと作業員ベーススコアとに基づいて、第2の作業員に提示する工事記録データを決定するデータ決定部33と、を有するようにした。
【0087】
これにより、第2の作業員は第1の作業員の工事記録データを参照し、当該工事記録データから第1の作業員の技能、スキル、コツなどの気づきを得ることができるので、第2の作業員による生産現場における意思決定を支援することができる。例えば、生産現場(例えば、建設現場)における生産は、品質、原価、納期、安全を管理の指標として運営されており、これらの指標のうちの納期の設定のため、工事のフロー(工程)が計画される。しかし、作業環境、規制条件、社会情勢などにより、工事工程計画と実施とが乖離する場合があり、その対応には第1の作業員の技能、勘、コツなどの経験知が活かされ、当該経験知が形式知である工事記録データに反映されることとなる。この工事記録データを第2の作業員が、自身が関わる工事の際に参考にすることで、工事工程における変化への対応の気づきを与えることができ、第1の作業員の経験知を継承することができるとともに、第2の作業員の意思決定を支援することができる。さらに、本実施形態では、第1の作業員が行った工事と第2の作業員の工事との類似度だけでなく、作業員の特性同士の類似度に基づいて第2の作業員に提示する工事記録データを決定するようにした。これにより、特性が似通った第1の作業員の工事記録データを参照することができるので、特性が異なる第1の作業員の工事記録データを参照するよりも、気づきを得やすくしたり、より多くの気づきを得ることができる。
【0088】
(2)工事ベーススコア算出部31は、データベース2内の工事記録データに対応する第1の作業員の工事属性評価データに基づく第1工事属性ベクトルと、第2の作業員の工事属性評価データに基づく第2工事属性ベクトルとの内積を、第1の作業員及び第2の作業員の工事属性評価データの類似度としてそれぞれ算出し、作業員ベーススコア算出部32は、データベース2内の工事記録データに対応する第1の作業員の作業員特性評価データに基づく第1特性ベクトルと、第2の作業員の作業員特性評価データに基づく第2特性ベクトルとの内積を、第1の作業員及び第2の作業員の作業員特性評価データの類似度としてそれぞれ算出し、データ決定部33は、データベース2に格納された工事記録データのうち、工事ベーススコアと作業員ベーススコアとに基づくスコアが高い所定数の工事記録データを、第2の作業員に提示する工事記録データとして決定するようにした。
【0089】
これにより、第1の作業員及び第2の作業員の工事の類似度と、第1の作業員及び第2の作業員の特性の類似度とを定量的に測ることができる。
【0090】
(3)工事属性評価データは、予め設定された工事分類、業務分類及び工種分類と、工事に関連するキーワードを含む文字情報であり、工事ベーススコア算出部31は、工事分類、業務分類、工種分類、キーワードの文字情報をそれぞれベクトルに変換し、当該ベクトルの平均を算出することにより第1工事属性ベクトル及び第2工事属性ベクトルを生成し、第1工事属性ベクトル及び第2工事属性ベクトルの内積を算出するようにした。
【0091】
これにより、工事分類、業務分類、工種分類、工事に関するキーワードの全体的な特徴を工事属性ベクトルに反映することができるので、工事属性の全体的な特徴の類似度を得ることができ、第2の作業員の工事により適した工事記録データを提示することができる。
【0092】
(4)作業員特性評価データは、バイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストについての評価データを含み、作業員ベーススコア算出部32は、第2の作業員のバイオリズム、スキルフェーズ、工事フェーズ、嗜好テストについての評価データに基づいて、第1特性ベクトル及び第2特性ベクトルを生成し、第1特性ベクトルと第2特性ベクトルとの内積を算出するようにした。
【0093】
これにより、作業員の調子や、嗜好、スキル、工事の段階に合わせて工事記録データを提示することができるので、工事記録データのレコメンド精度を向上させることができる。
【0094】
(5)本実施形態の意思決定支援システム1は、ネットワークNを介してサーバ3と接続され、第2の作業員が用いる端末装置4を更に備え、端末装置4は、第2の作業員が関わる工事の工事属性評価データ及び第2の作業員の作業員特性評価データに関する入力を受け付ける入力装置と、入力をネットワークNを介してサーバ3に送信する通信装置と、通信装置を介してデータ決定部33により決定された工事記録データを提示する表示装置と、を備えるようにした。
【0095】
これにより、生産現場において、端末装置4を介して第1の作業員の工事記録データの提示を閲覧することができる。そのため、第2の作業員は、例えば、施工中に変化が生じたとしても、自らで意思決定を行い、迅速に対応することができる。
【0096】
[2.他の実施形態]
本発明の他の実施形態では、上記で説明した本発明の実施形態の機能やフローチャートに示す情報処理を実現するプログラムや該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体とすることもできる。また他の実施形態では、上記で説明した本発明の実施形態の機能やフローチャートに示す情報処理を実現する方法とすることもできる。また他の実施形態では、上記で説明した本発明の実施形態の機能やフローチャートに示す情報処理を実現するプログラムをコンピュータに供給することができるサーバとすることもできる。また他の実施形態では、上記で説明した本発明の実施形態の機能やフローチャートに示す情報処理を実現する仮想マシンとすることもできる。
【0097】
以上に説明した処理又は動作において、あるステップにおいて、そのステップではまだ利用することができないはずのデータを利用しているなどの処理又は動作上の矛盾が生じない限りにおいて、処理又は動作を自由に変更することができる。また以上に説明してきた各実施例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【0098】
(1)上記実施形態では、サーバ3が工事属性評価データ生成部35、作業員特性評価データ生成部36を備えたが、これらの生成部35、36は必ずしも備えてなくても良い。第2の作業員に対する工事属性評価データ、作業員特性評価データは、システム外部から取得しても良い。これらの評価データは、例えば、第2の作業員と工事属性評価データ及び/又は作業員特性評価データと関連付けられたデータベースから取得しても良い。1つの例では、第2の作業員特性評価データ(例えばスキルフェーズの評価データ)は、ユーザが直接入力しても良いし、所属会社の人事部などにより作業員の特性が予め評価された作業員特性評価データベースから取得しても良い。
【0099】
(2)上記実施形態では、第1の作業員の第1工事属性ベクトル、第1特性ベクトルをサーバ3のベクトル生成部311、321により生成したが、第1の工事案件IDと関連付けて予めデータベース2に格納されていても良い。
【0100】
(3)第2の作業員の工事が行われた後、サーバ3は、第2の作業員の工事記録データと、当該第2の作業員の工事属性評価データ及び作業員特性評価データとを関連付けれてデータベース2に格納しても良い。これにより、閲覧可能な工事記録データを追加することができる。
【0101】
(4)上記実施形態では、データベース2とサーバ3は別の構成としたが、サーバ3がデータベース2を備えるようにしても良い。
【符号の説明】
【0102】
1 意思決定支援システム
2 データベース
3 サーバ
4 端末装置
10a プロセッサ
10b 記憶装置
10b-1 RAM
10b-2 ROM
10b-3 外部メモリ
10c 入力装置
10d 出力装置
10e 通信装置
10f バス
31 工事ベーススコア算出部
311 ベクトル生成部
312 ベクトル生成部
32 作業員ベーススコア算出部
321 ベクトル生成部
322 ベクトル生成部
33 データ決定部
34 表示制御部
35 工事属性評価データ生成部
36 作業員特性評価データ生成部
N ネットワーク