(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】ズームレンズおよびその駆動方法、撮像装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
G02B 15/16 20060101AFI20231109BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
G02B15/16
G02B13/18
(21)【出願番号】P 2022042381
(22)【出願日】2022-03-17
【審査請求日】2022-03-17
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】柿本 剛
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-142468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0215917(US,A1)
【文献】特開2009-169082(JP,A)
【文献】特開2000-122171(JP,A)
【文献】特開2020-003729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0035132(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズームレンズであって、
光軸に沿って物体側から像側へ順に、
正の屈折力を有する第1レンズ群と、
負の屈折力を有する第2レンズ群と、
正の屈折力を有する第3レンズ群と、
正の屈折力を有する第4レンズ群と、
第5レンズ群とから構成され、
ここで、前記ズームレンズは、以下の条件式(1)~(4)、即ち、
2.0<f1/fw<7.0 (1)
0.5<|f2/fw|<2.0 (2)
1.7<f4/fw<2.0 (3)
0.7<β5<1.2 (4)
を満足し、
ここで、f1:前記第1レンズ群の焦点距離、f2:前記第2レンズ群の焦点距離、f4:前記第4レンズ群の焦点距離、fw:広角端における前記ズームレンズの焦点距離、β5:前記第5レンズ群の横倍率であり、
前記第1レンズ群は、屈折率nおよび分散vが以下の条件式(5)~(6)、即ち、
1.49<G1Pn<1.57 (5)
45.0<G1Pv<83.0 (6)
を満足する少なくとも1枚の正レンズG1Pを含
み、
前記第3レンズ群は、屈折率nおよび分散vが以下の条件式(11)~(12)、即ち、
1.49<G3Pn<1.57 (11)
45.0<G3Pv<60.0 (12)
を満足する少なくとも1枚の正レンズG3Pを含む、ことを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
請求項1に記載のズームレンズであって、
広角端から望遠端への前記ズームレンズのズームおよび/またはフォーカスに際して、前記第1レンズ群、前記第3レンズ群および前記第5レンズ群は、固定され、前記第2レンズ群および前記第4レンズ群は、光軸に沿って移動することを特徴とするズームレンズ。
【請求項3】
請求項1に記載のズームレンズであって、
前記第2レンズ群は、少なくとも1枚の負レンズG2Nと、少なくとも1枚の正レンズG2Pとを含み、
前記負レンズG2Nの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足し、
1.49<G2Nn<1.57 (7)
45.0<G2Nv<60.0 (8)
前記正レンズG2Pの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足することを特徴とする、
1.62<G2Pn<1.71 (9)
15.0<G2Pv<25.0 (10)
ズームレンズ。
【請求項4】
請求項1に記載のズームレンズであって、
前記第4レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズG4Pと、少なくとも1枚の負レンズG4Nとを含み、
前記正レンズG4Pの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足し、
1.49<G4Pn<1.57 (13)
35.0<G4Pv<83.0 (14)
前記負レンズG4Nの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足することを特徴とする、
1.62<G4Nn<1.71 (15)
15.0<G4Nv<35.0 (16)
ズームレンズ。
【請求項5】
請求項1に記載のズームレンズであって、
前記第5レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズG5Pと、少なくとも1枚の負レンズG5Nとを含み、
前記正レンズG5Pの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足し、
1.51<G5Pn<1.71 (17)
15.0<G5Pv<35.0 (18)
前記負レンズG5Nの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足することを特徴とする、
1.51<G5Nn<1.57 (19)
35.0<G5Nv<60.0 (20)
ズームレンズ。
【請求項6】
請求項1に記載のズームレンズであって、
前記ズームレンズは、さらに、
光軸に沿って前記第1レンズ群の物体側に配置され、前記ズームレンズの光路を変更するための光路折り曲げ素子を含むことを特徴とするズームレンズ。
【請求項7】
請求項1に記載のズームレンズであって、
前記ズームレンズの各レンズは、非球面を採用することを特徴とするズームレンズ。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載のズームレンズの駆動方法であって、
広角端から望遠端への前記ズームレンズのズームおよび/またはフォーカスに際して、前記第1レンズ群、前記第3レンズ群および前記第5レンズ群を不動に保持し、前記第2レンズ群および前記第4レンズ群を駆動手段により光軸に沿って移動駆動することを含むことを特徴とするズームレンズ。
【請求項9】
請求項1~
7のいずれか1項に記載のズームレンズと、前記ズームレンズの像側に設けられたイメージセンサとを含むことを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
筐体と、前記筐体に設けられた請求項
9に記載の撮像装置とを含むことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、光学素子分野に係り、特に、ズームレンズおよびその駆動方法、撮像装置および電子機器に係る。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンなどに代表される携帯情報端末における薄型化や、携帯情報端末に搭載された撮像装置には画角を変化させて撮像することを可能とするカメラシステムが採用されてきており、とりわけ撮像レンズにおいて望遠画角のズームレンズが求められている。しかしながら、従来のズームレンズは、小型化の要件を満足することが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の実施例の目的としては、ズームレンズおよびその駆動方法、撮像装置および電子機器を提供し、小型化の要件を満足することが難しいという従来のズームレンズの問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の技術問題を解決するために、本開示は、以下のように実現される。
第1の態様としては、ズームレンズを提供し、光軸に沿って物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群と、第5レンズ群とを含み、ここで、前記ズームレンズは、以下の条件式を満足する。
2.0<f1/fw<7.0 (1)
0.5<|f2/fw|<2.0 (2)
1.7<f4/fw<2.0 (3)
0.7<β5<1.2 (4)
ここで、f1:前記第1レンズ群の焦点距離、f2:前記第2レンズ群の焦点距離、f4:前記第4レンズ群の焦点距離、fw:広角端における前記ズームレンズの焦点距離、β5:前記第5レンズ群の横倍率。
【0005】
選択可能な実現方式として、広角端から望遠端への前記ズームレンズのズームおよび/またはフォーカスに際して、前記第1レンズ群、前記第3レンズ群および前記第5レンズ群は、固定され、前記第2レンズ群および前記第4レンズ群は、光軸に沿って移動する。
【0006】
選択可能な実現方式として、前記第1レンズ群は、屈折率nおよび分散vが以下の条件式を満足する少なくとも1枚の正レンズG1Pを含む。
1.49<G1Pn<1.57 (5)
45.0<G1Pv<83.0 (6)
【0007】
選択可能な実現方式として、前記第2レンズ群は、少なくとも1枚の負レンズG2Nと、少なくとも1枚の正レンズG2Pとを含み、
前記負レンズG2Nの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足し、
1.49<G2Nn<1.57 (7)
45.0<G2Nv<60.0 (8)
前記正レンズG2Pの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足する。
1.62<G2Pn<1.71 (9)
15.0<G2Pv<25.0 (10)
【0008】
選択可能な実現方式として、前記第3レンズ群は、屈折率nおよび分散vが以下の条件式を満足する少なくとも1枚の正レンズG3Pを含む。
1.49<G3Pn<1.57 (11)
45.0<G3Pv<60.0 (12)
【0009】
選択可能な実現方式として、前記第4レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズG4Pと、少なくとも1枚の負レンズG4Nとを含み、
前記正レンズG4Pの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足し、
1.49<G4Pn<1.57 (13)
35.0<G4Pv<83.0 (14)
前記負レンズG4Nの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足する。
1.62<G4Nn<1.71 (15)
15.0<G4Nv<35.0 (16)
【0010】
選択可能な実現方式として、前記第5レンズ群は、少なくとも1枚の正レンズG5Pと、少なくとも1枚の負レンズG5Nとを含み、
前記正レンズG5Pの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足し、
1.51<G5Pn<1.71 (17)
15.0<G5Pv<35.0 (18)
前記負レンズG5Nの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足する。
1.51<G5Nn<1.57 (19)
35.0<G5Nv<60.0 (20)
【0011】
選択可能な実現方式として、前記ズームレンズは、さらに、光軸に沿って前記第1レンズ群の物体側に配置され、前記ズームレンズの光路を変更するための光路折り曲げ素子を含む。
【0012】
選択可能な実現方式として、前記ズームレンズの各レンズは、非球面を採用する。
【0013】
第2の態様としては、上記のズームレンズの駆動方法を提供し、広角端から望遠端への前記ズームレンズのズームおよび/またはフォーカスに際して、前記第1レンズ群、前記第3レンズ群および前記第5レンズ群を不動に保持し、前記第2レンズ群および前記第4レンズ群を駆動手段により光軸に沿って移動駆動することを含む。
【0014】
第3の態様としては、上記のズームレンズと、前記ズームレンズの像側に設けられたイメージセンサとを含む撮像装置を提供する。
【0015】
第4の態様としては、筐体と、前記筐体に設けられた上記の撮像装置とを含む電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本開示の実施例におけるズームレンズは、光軸に沿って物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群と、正の屈折力を有する第4レンズ群と、第5レンズ群とを含み、かつ、以下の条件式を満足することにより、広角端でのFno.はF1.9程度と明るく、小型化および高性能化などの効果を達成することができる。
2.0<f1/fw<7.0
0.5<|f2/fw|<2.0
1.7<f4/fw<2.0
0.7<β5<1.2
f1:第1レンズ群の焦点距離、f2:第2レンズ群の焦点距離、f4:第4レンズ群の焦点距離、fw:広角端におけるズームレンズの焦点距離、β5:第5レンズ群の横倍率。
【0017】
本願の他の特徴、目的および利点は、以下の図面を参照してなされた非限定的な実施例の詳細な説明を読むことにより、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本開示の実施例によるズームレンズの概略構成図である。
【
図2A-2C】
図2A、
図2B、
図2Cは、それぞれ、本願の実施例1におけるズームレンズの広角端、中間位置、望遠端の概略図である。
【
図2D-2L】
図2D、
図2E、
図2Fは、それぞれ、本願の実施例1におけるズームレンズの広角端の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図であり、
図2G、
図2H、
図2Iは、それぞれ、本願の実施例1におけるズームレンズの中間位置の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図であり、
図2J、
図2K、
図2Lは、それぞれ、本願の実施例1におけるズームレンズの望遠端の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図である。
【
図3A-3C】
図3A、
図3B、
図3Cは、それぞれ、本願の実施例2におけるズームレンズの広角端、中間位置、望遠端の概略図である。
【
図3D-3L】
図3D、
図3E、
図3Fは、それぞれ、本願の実施例2におけるズームレンズの広角端の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図であり、
図3G、
図3H、
図3Iは、それぞれ、本願の実施例2におけるズームレンズの中間位置の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図であり、
図3J、
図3K、
図3Lは、それぞれ、本願の実施例2におけるズームレンズの望遠端の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図である。
【
図4A-4C】
図4A、
図4B、
図4Cは、それぞれ、本願の実施例3におけるズームレンズの広角端、中間位置、望遠端の概略図である。
【
図4D-4L】
図4D、
図4E、
図4Fは、それぞれ、本願の実施例3におけるズームレンズの広角端の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図であり、
図4G、
図4H、
図4Iは、それぞれ、本願の実施例3におけるズームレンズの中間位置の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図であり、
図4J、
図4K、
図4Lは、それぞれ、本願の実施例3におけるズームレンズの望遠端の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図である。
【
図5A-5C】
図5A、
図5B、
図5Cは、それぞれ、本願の実施例4におけるズームレンズの広角端、中間位置、望遠端の概略図である。
【
図5D-5L】
図5D、
図5E、
図5Fは、それぞれ、本願の実施例4におけるズームレンズの広角端の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図であり、
図5G、
図5H、
図5Iは、それぞれ、本願の実施例4におけるズームレンズの中間位置の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図であり、
図5J、
図5K、
図5Lは、それぞれ、本願の実施例4におけるズームレンズの望遠端の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図である。
【
図6A-6C】
図6A、
図6B、
図6Cは、それぞれ、本願の実施例5におけるズームレンズの広角端、中間位置、望遠端の概略図である。
【
図6D-6L】
図6D、
図6E、
図6Fは、それぞれ、本願の実施例5におけるズームレンズの広角端の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図であり、
図6G、
図6H、
図6Iは、それぞれ、本願の実施例5におけるズームレンズの中間位置の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図であり、
図6J、
図6K、
図6Lは、それぞれ、本願の実施例5におけるズームレンズの望遠端の縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願の実施例における技術的解決策は、本願の実施例における図面と併せて明確かつ完全に説明される。説明される実施例は、本願の一部の実施例であり、全ての実施例ではないことが明らかである。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をすることなく得られる全ての他の実施例は、全て本願の保護範囲に属する。
【0020】
本願の明細書および特許請求の範囲における「第1」、「第2」などの用語は、特定の順序または前後順序を記述するために使用されるのではなく、類似の対象を区別するために使用される。このように使用されるデータは、ここで図示または説明されるもの以外の順序でも本願の実施例が実施できるように、適切な場合には交換できることや、「第1」、「第2」などで区別される対象は、一般的に同類であり、対象の数が限定されず、例えば、第1対象は、1つであっても、複数であってもよいことを理解されたい。本願の教示から逸脱することなく、以下で論じられる第1レンズ群は、第2レンズ群または第3レンズ群とも呼ばれる。
【0021】
図面では、説明の便宜上、レンズの厚さ、大きさ、形状をやや誇張して示している。具体的には、図中に示す球面または非球面の形状を一例として示している。即ち、球面または非球面の形状は、図示したものに限定されない。図面は、単なる例示であり、厳密に縮尺通りに描かれていない。
【0022】
なお、特に断りのない限り、本願の実施例で使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本願が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。用語(例えば、一般的な辞書で定義された用語)は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本願の実施例において明示的に定義されない限り、理想的または過度に正式的な意味で解釈されないことを理解されたい。
【0023】
選択可能に、本願の実施例に係るレンズは、プラスチックレンズ、液体レンズ、膜レンズおよび/または液晶レンズなどから選択されてもよいが、これらに限定されない。
【0024】
光軸:光学系において光線を導く方向であり、中心視野の主光線を参考する。
焦点距離(focal length)は、焦点の長さとも呼ばれ、光学系における光の集束または発散を測る度量方式であり、無限遠の被写体がレンズを通過して焦点面で鮮明な像を形成するときの、レンズの光学中心から焦点までの距離を指す。
正レンズ:集光レンズとも呼ばれ、中間が厚く周辺が薄いレンズであり、光を集光する役割を持つ。
負レンズ:負球レンズとも呼ばれ、中間が薄くエッジが厚いレンズであり、光に対して発散作用を持つ。
物体距離:被写体とレンズとの間の距離である。
像距離:被写体の像とレンズとの間の距離である。
レンズを境に被写体が位置する側を物体側とし、レンズの物体側に近い面を物体側の面と呼ぶ。
レンズを境に被写体の像が位置する側を像側とし、レンズの像側に近い面を像側面と呼ぶ。
【0025】
以下、本願の実施例によるズームレンズおよびその駆動方法、撮像装置および電子機器について詳細に説明する。
【0026】
図1を参照する。
図1は、本開示の実施例によるズームレンズの概略構成図である。
図1に示すように、ズームレンズ10は、光軸に沿って物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群11と、負の屈折力を有する第2レンズ群12と、正の屈折力を有する第3レンズ群13と、正の屈折力を有する第4レンズ群14と、第5レンズ群15とを含む。なお、
図1では、第1レンズ群11は、1枚のレンズを含み、第2レンズ群12は、2枚のレンズを含み、第3レンズ群13は、1枚のレンズを含み、第4レンズ群14は、3枚のレンズを含み、第5レンズ群15は、2枚のレンズを含むが、本願の実施例は、これに限定されず、実際の要望に応じて第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14および第5レンズ群15を配置することができる。
【0027】
ここで、ズームレンズ10は、以下の条件式を満足する。
2.0<f1/fw<7.0 (1)
0.5<|f2/fw|<2.0 (2)
1.7<f4/fw<2.0 (3)
0.7<β5<1.2 (4)
ここで、f1:第1レンズ群11の焦点距離、f2:第2レンズ群12の焦点距離、f4:第4レンズ群14の焦点距離、fw:広角端におけるズームレンズ10の焦点距離、β5:第5レンズ群15の横倍率。
【0028】
選択可能な実現方式として、広角端から望遠端へのズームレンズ10のズームおよび/またはフォーカスに際して、第1レンズ群11、第3レンズ群13および第5レンズ群15は、固定され、第2レンズ群12および第4レンズ群14は、光軸に沿って移動する。
【0029】
本開示の実施例におけるズームレンズ10は、光軸に沿って物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群11と、負の屈折力を有する第2レンズ群12と、正の屈折力を有する第3レンズ群13と、正の屈折力を有する第4レンズ群14と、第5レンズ群15とを含み、かつ、以下の条件式を満足することにより、広角端でのFno.はF1.9程度と明るく、小型化および高性能化などの効果を達成することができる。
2.0<f1/fw<7.0
0.5<|f2/fw|<2.0
1.7<f4/fw<2.0
0.7<β5<1.2
f1:第1レンズ群の焦点距離、f2:第2レンズ群の焦点距離、f4:第4レンズ群の焦点距離、fw:広角端におけるズームレンズの焦点距離、β5:第5レンズ群の横倍率。
【0030】
条件式(1)について、条件式(1)の下限値を下回ると、第1レンズ群11の屈折力が大きくなり、望遠状態における球面収差や全ズーム域にわたる色収差が悪化してしまう。条件式(1)の上限値を上回ると、第1レンズ群11の屈折力が小さくなり、ズーミング時のレンズ群の移動量を大きく確保する必要があるため、ズームレンズの全長が大きくなってしまう。
【0031】
条件式(2)について、条件式(2)の下限値を下回ると、第2レンズ群12の屈折力が大きくなりすぎるため、第2レンズ群12における収差の発生量が増大してしまう。条件式(2)の上限値を上回ると、所望のズーム比を得るために第2レンズ群12の移動量が増加し、第1レンズ群11と第3レンズ群13との距離が大きくなるため、第1レンズ群11の有効径が大きくなり、小型化が困難になる。
【0032】
条件式(3)について、条件式(3)の下限値を下回ると、第4レンズ群14の屈折力が大きくなり、ズーム全域にわたって球面収差とコマ収差が増大してします。条件式(3)の上限値を上回ると、所望のズーム比を得るために第4レンズ群14の移動量が大きくなり、第3レンズ群13との距離が増加するため、第4レンズ群14の有効径が大きくなり、小型化が困難になる。
【0033】
条件式(4)について、条件式(4)の下限値を下回ると、第5レンズ群15の拡大作用が弱まり、ズームレンズの小型化が困難になる。条件式(4)の上限値を上回ると、第5レンズ群15の拡大作用が強まり、小型化は達成しやすくなるものの、第1レンズ群11から第4レンズ群14までの収差を拡大することになり、光学性能の確保が困難になる。
【0034】
選択可能な実現方式として、
図1に示すように、ズームレンズ10は、光軸に沿って第1レンズ群11の物体側に配置され、ズームレンズ10の光路を変更するための光路折り曲げ素子16をさらに含んでもよい。当該光路折り曲げ素子16は、プリズムおよび/または反射部材を含み、当該反射部材が例えばミラーである。このように、第1レンズ群11の物体側に光路折り曲げ素子16を設けることにより、ズーミングを行う際の第2レンズ群12および第4レンズ群14の移動方向が、光路折り曲げ素子16で折り曲げられた後の光軸方向となり、ズームレンズの薄型化が達成される。また、第1レンズ群11から第5レンズ群15までのレンズ径の差分が少ないズームレンズが実現され、ひいては、レンズの薄型化が達成できる。
【0035】
選択可能な実現方式として、
図1に示すように、ズームレンズ10は、IRカットフィルタ17および結像面18をさらに含んでもよいが、これについて限定しない。
【0036】
選択可能な実現方式として、ズームレンズ10のレンズ群の各レンズは、非球面を採用することにより、屈折率を低くする。
【0037】
選択可能な実現方式として、第1レンズ群11、第2レンズ群12、第3レンズ群13、第4レンズ群14および第5レンズ群15の少なくとも1つは、プラスチックレンズを採用することにより、ズームレンズ10のコストを低くする。
【0038】
選択可能な実現方式として、第1レンズ群11は、屈折率nおよび分散vが以下の条件式を満足する少なくとも1枚の正レンズG1Pを含む。
1.49<G1Pn<1.57 (5)
45.0<G1Pv<83.0 (6)
【0039】
条件式(5)について、条件式(5)の上限を超えると、正レンズG1Pの屈折率が高くなり、低分散にできなくなるので、色収差が悪化する。条件式(5)の下限を超えると、正レンズG1Pの屈折率が低くなり、レンズ面の曲率がきつくなるので、球面収差が悪化する。
【0040】
条件式(6)について、条件式(6)の上限を超えると、正レンズG1Pは、超低分散になり、高価なガラスになるので好ましくない。条件式(6)の下限を超えると、正レンズG1Pは、低分散にできなくなるので、色収差が悪化する。
【0041】
一部の実施例において、第1レンズ群11は、少なくとも1枚の負レンズG1Nを含む。当該負レンズG1Nの屈折率nは、1.62<G1Nn<1.71の条件式を満足し、当該負レンズG1Nの分散vは、15.0<G1Nv<25.0の条件式を満足する。負レンズG1Nに低分散のプラスチックレンズを使用し、正レンズG1Pに高分散のプラスチックレンズを使用することにより、色収差を良好に補正する。この条件式の範囲を超えると、第1レンズ群11は、安価のレンズで色収差を良好に補正することが困難になる。
【0042】
選択可能な実現方式として、第2レンズ群12は、少なくとも1枚の負レンズG2Nと、少なくとも1枚の正レンズG2Pとを含み、当該負レンズG2Nの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足し、
1.49<G2Nn<1.57 (7)
45.0<G2Nv<60.0 (8)
当該正レンズG2Pの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足する。
1.62<G2Pn<1.71 (9)
15.0<G2Pv<25.0 (10)
【0043】
条件式(7)~条件式(10)は、負レンズG2Nに低分散のプラスチックレンズを使用し、正レンズG2Pに高分散のプラスチックレンズを使用することにより、色収差を良好に補正するものである。この条件式範囲を超えると、第2レンズ群12は、安価なレンズで色収差を良好に補正することが困難になる。
【0044】
選択可能な実現方式として、第3レンズ群13は、屈折率nおよび分散vが以下の条件式を満足する少なくとも1枚の正レンズG3Pを含む。
1.49<G3Pn<1.57 (11)
45.0<G3Pv<60.0 (12)
【0045】
条件式(11)と条件式(12)は、正レンズG3Pを低分散プラスチックレンズに限定するものであり、これにより、第3レンズ群13は、少ないレンズ枚数で良好に色収差を補正するものである。
【0046】
一部の実施例において、第3レンズ群13は、少なくとも1枚の負レンズG3Nをさらに含んでもよい。例えば、第3レンズ群13は、2枚の正レンズG3Pと2枚の負レンズG3Nを含む。また、例えば、第3レンズ群13は、3枚の正レンズG3Pと2枚の負レンズG3Nを含む。
【0047】
一部の実施例において、第3レンズ群13は、1枚の正レンズG3Pを含むことにより、コストを低くする。
【0048】
選択可能な実現方式として、第4レンズ群14は、少なくとも1枚の正レンズG4Pと、少なくとも1枚の負レンズG4Nとを含み、当該正レンズG4Pの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足し、
1.49<G4Pn<1.57 (13)
35.0<G4Pv<83.0 (14)
当該負レンズG4Nの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足する。
1.62<G4Nn<1.71 (15)
15.0<G4Nv<35.0 (16)
【0049】
条件式(13)について、条件式(13)の上限を超えると、正レンズG4Pの屈折率が高くなり、低分散にできなくなるので、色収差が悪化する。条件式(13)の下限を超えると、正レンズG4Pの屈折率が低くなり、レンズ面の曲率がきつくなるので、球面収差とコマ収差が悪化する。
【0050】
条件式(14)について、条件式(14)の上限を超えると、正レンズG4Pは、超低分散になり、高価なガラスになるので好ましくない。条件式(14)の下限を超えると、正レンズG4Pは、低分散にできなくなるので、色収差が悪化する。
【0051】
条件式(15)と条件式(16)は、負レンズG4Nを高分散プラスチックレンズに限定するものであり、これにより第4レンズ群14内で良好に色収差を補正するものである。
【0052】
選択可能な実現方式として、第5レンズ群15は、少なくとも1枚の正レンズG5Pと、少なくとも1枚の負レンズG5Nとを含み、当該正レンズG5Pの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足し、
1.51<G5Pn<1.71 (17)
15.0<G5Pv<35.0 (18)
当該負レンズG5Nの屈折率nおよび分散vは、以下の条件式を満足する。
1.51<G5Nn<1.57 (19)
35.0<G5Nv<60.0 (20)
【0053】
条件式(17)~条件式(20)は、正レンズG5Pに低分散のプラスチックレンズを使用し、負レンズG5Nに高分散のプラスチックレンズを使用することにより、色収差を良好に補正するものである。
【0054】
一部の実施例において、正レンズG5Pと負レンズG5Nは、非球面を採用して屈折率を低くする。
【0055】
一部の実施例において、第5レンズ群15は、1枚の正レンズG5Pと1枚の負レンズG5Nを含む。この際に、レンズの性能を確保するために、負レンズG5Nが正レンズG5Pの像側に位置することが好ましい。
【0056】
なお、ズームレンズを具体的に構成する際に、上記の条件式(5)~条件式(20)のすべてを満足する必要はなく、一部を満足するだけでも、安価で高性能のズームレンズを構成することが可能である。
【0057】
本願の実施例は、上記のズームレンズ10の駆動方法をさらに提供する。この駆動方法は、広角端から望遠端へのズームレンズ10のズームおよび/またはフォーカスに際して、第1レンズ群11、第3レンズ群13および第5レンズ群15を不動に保持し、第2レンズ群12および第4レンズ群14を駆動手段により光軸に沿って移動駆動することを含む。
【0058】
本願の具体的な実施例では、必要に応じて各レンズのレンズ面を非球面で形成している。これらレンズ面に採用する非球面形状は、光軸方向の軸をZ、光軸Xに直行する方向の高さをH、円錐係数をK、非球面係数をA,B,C,Dとしたとき次式によりあらわされる。
【数1】
【0059】
以下、本願の具体的な実施例に係るズームレンズについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0060】
実施例1
以下、
図2A~
図2Lを参照して、本願の実施例1におけるズームレンズに関する内容を説明する。
図2A、
図2B、
図2Cは、それぞれ、本願の実施例1におけるズームレンズの広角端、中間位置、望遠端の概略図である。
【0061】
図2Aに示すように、ズームレンズは、光軸に沿って物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群E1と、負の屈折力を有する第2レンズ群E2と、正の屈折力を有する第3レンズ群E3と、正の屈折力を有する第4レンズ群E4と、第5レンズ群E5と、IRカットフィルタE0とを含む。第1レンズ群は、1枚の正レンズG1Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表1の1~2である。第2レンズ群E2は、1枚の負レンズG2Nと1枚の正レンズG2Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表1の3~5である。第3レンズ群E3は、1枚の正レンズG3Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表1の6~7である。第4レンズ群E4は、2枚の正レンズG4Pと1枚の負レンズG4Nを含み、物体側面と像側面の番号は、表1の8~12である。第5レンズ群E5は、1枚の正レンズG5Pと1枚の負レンズG5Nを含み、物体側面と像側面の番号は、表1の13~16である。IRカットフィルタE0の物体側面および像側面の番号は、表1の17~18である。物体からの光は、各レンズ群、IRカットフィルタを順に通過し、最終的に結合面に結像される。
【0062】
図2A、
図2B、
図2Cに示すように、広角端から望遠端へのズームレンズのズームおよび/またはフォーカスに際して第1レンズ群E1、第3レンズ群E3および第5レンズ群E5は、固定され、第2レンズ群E2および第4レンズ群E4は、光軸に沿って移動する。
【0063】
以下の表1に、本願の実施例1におけるズームレンズのレンズデータを示す。ただし、Rは、曲率半径、Thは、面間隔、Ndは、屈折率、Vdは、アッベ数、infinityは、無限大を示す。*は、非球面を示す。
【0064】
【0065】
以下の表2に、本願の実施例1におけるズームレンズの非球面データを示す。
【0066】
【0067】
本願の実施例1に係るズームレンズの広角端、中間位置および望遠端における有効焦点距離EFL、絞りFno、各ズーム位置でのTh(即ち表1に示すZ1、Z2、Z3、Z4)は、表3に示されている。
【0068】
【0069】
本願の実施例1において、ズームレンズの広角端における縦球面収差図(LONGITUDINAL SPHERICAL ABER)、非点収差曲線(ASTIGMATIC FIELD CURVES)、歪曲収差図(DISTORTION)は、それぞれ
図2D、
図2E、
図2Fに示されている。ズームレンズの中間位置における縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図は、それぞれ
図2G、
図2H、
図2Iに示されている。ズームレンズの望遠端における縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図は、それぞれ
図2J、
図2K、
図2Lに示されている。FOCUS(MILLMETERS)は、フォーカス調整を示し、フォーカス調整単位は、mmである。これらの図から明らかなように、本願の実施例1のズームレンズは、広角端、中間位置および望遠端において、収差、像面湾曲および歪曲収差を共に小さく抑えることができる。
【0070】
実施例2
以下、
図3A~
図3Lを参照して、本願の実施例2におけるズームレンズに関する内容を説明する。
図3A、
図3B、
図3Cは、それぞれ、本願の実施例2におけるズームレンズの広角端、中間位置、望遠端の概略図である。
【0071】
図3Aに示すように、ズームレンズは、光軸に沿って物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群E1と、負の屈折力を有する第2レンズ群E2と、正の屈折力を有する第3レンズ群E3と、正の屈折力を有する第4レンズ群E4と、第5レンズ群E5と、IRカットフィルタE0とを含む。第1レンズ群は、1枚の正レンズG1Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表4の1~2である。第2レンズ群E2は、1枚の負レンズG2Nと1枚の正レンズG2Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表4の3~6である。第3レンズ群E3は、1枚の正レンズG3Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表4の7~8である。第4レンズ群E4は、2枚の正レンズG4Pと1枚の負レンズG4Nを含み、物体側面と像側面の番号は、表4の9~13である。第5レンズ群E5は、1枚の正レンズG5Pと1枚の負レンズG5Nを含み、物体側面と像側面の番号は、表4の14~17である。IRカットフィルタE0の物体側面および像側面の番号は、表4の18~19である。物体からの光は、各レンズ群、IRカットフィルタを順に通過し、最終的に結合面に結像される。
【0072】
図3A、
図3B、
図3Cに示すように、広角端から望遠端へのズームレンズのズームおよび/またはフォーカスに際して、第1レンズ群E1、第3レンズ群E3および第5レンズ群E5は、固定され、第2レンズ群E2および第4レンズ群E4は、光軸に沿って移動する。
【0073】
以下の表4に、本願の実施例2におけるズームレンズのレンズデータを示す。
【0074】
【0075】
以下の表5に、本願の実施例2におけるズームレンズの非球面データを示す。
【0076】
【0077】
本願の実施例2に係るズームレンズの広角端、中間位置および望遠端における有効焦点距離EFL、絞りFno、各ズーム位置でのTh(即ち表4に示すZ1、Z2、Z3、Z4)は、表6に示されている。
【0078】
【0079】
本願の実施例2において、ズームレンズの広角端における縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図は、それぞれ
図3D、
図3E、
図3Fに示されている。ズームレンズの中間位置における縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図は、それぞれ
図3G、
図3H、
図3Iに示されている。ズームレンズの望遠端における縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図は、それぞれ
図3J、
図3K、
図3Lに示されている。これらの図から明らかなように、本願の実施例2のズームレンズは、広角端、中間位置および望遠端において、収差、像面湾曲および歪曲収差を共に小さく抑えることができる。
【0080】
実施例3
以下、
図4A~
図4Lを参照して、本願の実施例3におけるズームレンズに関する内容を説明する。
図4A、
図4B、
図4Cは、それぞれ、本願の実施例3におけるズームレンズの広角端、中間位置、望遠端の概略図である。
【0081】
図4Aに示すように、ズームレンズは、光軸に沿って物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群E1と、負の屈折力を有する第2レンズ群E2と、正の屈折力を有する第3レンズ群E3と、正の屈折力を有する第4レンズ群E4と、第5レンズ群E5と、IRカットフィルタE0とを含む。第1レンズ群は、1枚の正レンズG1Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表7の1~2である。第2レンズ群E2は、1枚の負レンズG2Nと1枚の正レンズG2Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表7の3~5である。第3レンズ群E3は、1枚の正レンズG3Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表7の6~7である。第4レンズ群E4は、2枚の正レンズG4Pと1枚の負レンズG4Nを含み、物体側面と像側面の番号は、表7の8~12である。第5レンズ群E5は、1枚の正レンズG5Pと1枚の負レンズG5Nを含み、物体側面と像側面の番号は、表7の13~16である。IRカットフィルタE0の物体側面および像側面の番号は、表7の17~18である。物体からの光は、各レンズ群、IRカットフィルタを順に通過し、最終的に結合面に結像される。
【0082】
図4A、
図4B、
図4Cに示すように、広角端から望遠端へのズームレンズのズームおよび/またはフォーカスに際して、第1レンズ群E1、第3レンズ群E3および第5レンズ群E5は、固定され、第2レンズ群E2および第4レンズ群E4は、光軸に沿って移動する。
【0083】
以下の表7に、本願の実施例3におけるズームレンズのレンズデータを示す。
【0084】
【0085】
以下の表8に、本願の実施例3におけるズームレンズの非球面データを示す。
【0086】
【0087】
本願の実施例3に係るズームレンズの広角端、中間位置および望遠端における有効焦点距離EFL、絞りFno、各ズーム位置でのTh(即ち表7に示すZ1、Z2、Z3、Z4)は、表9に示されている。
【0088】
【0089】
本願の実施例3において、ズームレンズの広角端における縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図は、それぞれ
図4D、
図4E、
図4Fに示されている。ズームレンズの中間位置における縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図は、それぞれ
図4G、
図4H、
図4Iに示されている。ズームレンズの望遠端における縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図は、それぞれ
図4J、
図4K、
図4Lに示されている。これらの図から明らかなように、本願の実施例3のズームレンズは、広角端、中間位置および望遠端において、収差、像面湾曲および歪曲収差を共に小さく抑えることができる。
【0090】
実施例4
以下、
図5A~
図5Lを参照して、本願の実施例4におけるズームレンズに関する内容を説明する。
図5A、
図5B、
図5Cは、それぞれ、本願の実施例4におけるズームレンズの広角端、中間位置、望遠端の概略図である。
【0091】
図5Aに示すように、ズームレンズは、光軸に沿って物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群E1と、負の屈折力を有する第2レンズ群E2と、正の屈折力を有する第3レンズ群E3と、正の屈折力を有する第4レンズ群E4と、第5レンズ群E5と、IRカットフィルタE0とを含む。第1レンズ群は、2枚の正レンズG1Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表10の1~4である。第2レンズ群E2は、2枚の負レンズG2Nと1枚の正レンズG2Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表10の5~9である。第3レンズ群E3は、1枚の正レンズG3Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表10の10~11である。第4レンズ群E4は、2枚の正レンズG4Pと1枚の負レンズG4Nを含み、物体側面と像側面の番号は、表10の12~16である。第5レンズ群E5は、1枚の正レンズG5Pと1枚の負レンズG5Nを含み、物体側面と像側面の番号は、表10の17~20である。IRカットフィルタE0の物体側面および像側面の番号は、表10の21~22である。物体からの光は、各レンズ群、IRカットフィルタを順に通過し、最終的に結合面に結像される。
【0092】
図5A、
図5B、
図5Cに示すように、広角端から望遠端へのズームレンズのズームおよび/またはフォーカスに際して、第1レンズ群E1、第3レンズ群E3および第5レンズ群E5は、固定され、第2レンズ群E2および第4レンズ群E4は、光軸に沿って移動する。
【0093】
以下の表10に、本願の実施例4におけるズームレンズのレンズデータを示す。
【0094】
【0095】
以下の表11に、本願の実施例4におけるズームレンズの非球面データを示す。
【0096】
【0097】
本願の実施例4に係るズームレンズの広角端、中間位置および望遠端における有効焦点距離EFL、絞りFno、各ズーム位置でのTh(即ち表10に示すZ1、Z2、Z3、Z4)は、表12に示されている。
【0098】
【0099】
本願の実施例4において、ズームレンズの広角端における縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図は、それぞれ
図5D、
図5E、
図5Fに示されている。ズームレンズの中間位置における縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図は、それぞれ
図5G、
図5H、
図5Iに示されている。ズームレンズの望遠端における縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図は、それぞれ
図5J、
図5K、
図5Lに示されている。これらの図から明らかなように、本願の実施例4のズームレンズは、広角端、中間位置および望遠端において、収差、像面湾曲および歪曲収差を共に小さく抑えることができる。
【0100】
実施例5
以下、
図6A~
図6Lを参照して、本願の実施例5におけるズームレンズに関する内容を説明する。
図6A、
図6B、
図6Cは、それぞれ、本願の実施例5におけるズームレンズの広角端、中間位置、望遠端の概略図である。
【0101】
図6Aに示すように、ズームレンズは、光軸に沿って物体側から像側へ順に、正の屈折力を有する第1レンズ群E1と、負の屈折力を有する第2レンズ群E2と、正の屈折力を有する第3レンズ群E3と、正の屈折力を有する第4レンズ群E4と、第5レンズ群E5と、IRカットフィルタE0とを含む。第1レンズ群は、1枚の負レンズG1Nと1枚の正レンズG1Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表13の1~4である。第2レンズ群E2は、2枚の負レンズG2Nと1枚の正レンズG2Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表13の5~9である。第3レンズ群E3は、1枚の正レンズG3Pを含み、物体側面と像側面の番号は、表13の10~11である。第4レンズ群E4は、2枚の正レンズG4Pと1枚の負レンズG4Nを含み、物体側面と像側面の番号は、表13の12~16である。第5レンズ群E5は、1枚の正レンズG5Pと1枚の負レンズG5Nを含み、物体側面と像側面の番号は、表13の17~20である。IRカットフィルタE0の物体側面および像側面の番号は、表13の21~22である。物体からの光は、各レンズ群、IRカットフィルタを順に通過し、最終的に結合面に結像される。
【0102】
図6A、
図6B、
図6Cに示すように、広角端から望遠端へのズームレンズのズームおよび/またはフォーカスに際して、第1レンズ群E1、第3レンズ群E3および第5レンズ群E5は、固定され、第2レンズ群E2および第4レンズ群E4は、光軸に沿って移動する。
【0103】
以下の表13に、本願の実施例5におけるズームレンズのレンズデータを示す。
【0104】
【0105】
以下の表14に、本願の実施例5におけるズームレンズの非球面データを示す。
【0106】
【0107】
本願の実施例5に係るズームレンズの広角端、中間位置および望遠端における有効焦点距離EFL、絞りFno、各ズーム位置でのTh(即ち表13に示すZ1、Z2、Z3、Z4)は、表15に示されている。
【0108】
【0109】
本願の実施例5において、ズームレンズの広角端における縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図は、それぞれ
図6D、
図6E、
図6Fに示されている。ズームレンズの中間位置における縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図は、それぞれ
図6G、
図6H、
図6Iに示されている。ズームレンズの望遠端における縦球面収差図、非点収差曲線、歪曲収差図は、それぞれ
図6J、
図6K、
図6Lに示されている。これらの図から明らかなように、本願の実施例5のズームレンズは、広角端、中間位置および望遠端において、収差、像面湾曲および歪曲収差を共に小さく抑えることができる。
【0110】
本願の実施例1~5におけるズームレンズの関連パラメータおよび満足する条件式は、以下の表16~表18に示されている。
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
本願の実施例は、画像センサと、上記のズームレンズ10とを含む撮像装置をさらに提供し、該画像センサがズームレンズ10の像側に設けられる。該ズームレンズ10は、被写体の光信号を受光してイメージセンサに投光するために用いられ、該イメージセンサは、被写体に対応する光信号を画像信号に変換するために用いられるが、ここではその説明を省略する。
【0115】
本願の実施例は、筐体と、上記の撮像装置とを含む電子機器をさらに提供し、該撮像装置は、画像情報を取得するために筐体に設けられる。ここで、電子機器は、ハンドヘルドデバイス、車載デバイス、ウェアラブルデバイス、コンピューティングデバイス、またはワイヤレスモデムに接続された他の処理デバイスを含み、セルラー電話、スマートフォン(smart phone)、携帯情報端末PDA(personal digital assistant)コンピュータ、タブレット型コンピュータ、ラップトップコンピュータ(laptop computer)、ビデオカメラ、ビデオレコーダ、カメラ、スマートウォッチ(smart watch)、スマートブレスレット(smart wristband)、車載型コンピュータ、および結像機能を有する他の電子デバイスも含む。本願の実施例は、上記電子機器の具体的な形態を特に限定するものではない。スマートフォン/デジタルカメラを例として場合、本願のズームレンズを搭載することによって、小型化、薄型化、優れた収差補正力などの効果を奏することができる。
【0116】
以上の説明は、本願の好適な実施例および用いられる技術原理の説明にすぎない。本願に係る保護範囲として、上記の技術的構成の特定の組合せによる技術的解決策に限られず、対応する発明の思想を逸脱することなく、例えば、上記構成と本願に開示される(それに限られない)類似機能を有する技術的構成の相互の置換による技術的解決策のような、上記の技術的構成およびその同等な構成の任意の組み合わせによる他の技術的解決策もカバーすることは、当業者が理解するべきである。
【符号の説明】
【0117】
10:ズームレンズ
11:第1レンズ群
12:第2レンズ群
13:第3レンズ群
14:第4レンズ群
15:第5レンズ群
16:光路折り曲げ素子
17:IRカットフィルタ
18:結像面