(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】調整可能な入力抵抗を備えたトランスインピーダンス増幅器(TIA)
(51)【国際特許分類】
H04B 1/18 20060101AFI20231109BHJP
H03F 1/42 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
H04B1/18 D
H03F1/42
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022094158
(22)【出願日】2022-06-10
【審査請求日】2022-06-17
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】サンヒョン ウー
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン ムルガラ
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-539151(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0201280(US,A1)
【文献】特開2014-036293(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0124307(US,A1)
【文献】特開2010-147988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/18
H03F 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線周波数帯域で動作可能な無線回路であって、
アンテナを介して無線周波数信号を受信するように構成された第1の増幅器と、
前記第1の増幅器の出力に結合された第1の入力、発振器回路に結合された第2の入力、及び出力を有する混合器と、
前記混合器の前記出力に結合された入力を有する第2の増幅器と、
前記第2の増幅器の前記入力に結合されており、かつ前記無線回路が前記複数の無線周波数帯域にわたって動作しているときに、前記第2の増幅器の入力インピーダンスを調節するように構成されている、調節可能な抵抗と、
前記混合器の出力インピーダンスが減少するにつれて、前記調節可能な抵抗の抵抗値を増加させ、前記混合器の前記出力インピーダンスが増加するにつれて、前記調節可能な抵抗の前記抵抗値を減少させるように構成された制御回路と、
を備える、無線回路。
【請求項2】
前記第2の増幅器の前記入力は、第1の増幅器入力端子及び第2の増幅器入力端子を備え、
前記調節可能な抵抗は、前記第1の増幅器入力端子に
直接結合された第1の端子、及び前記第2の増幅器入力端子に
直接結合された第2の端子を有する、
請求項1に記載の無線回路。
【請求項3】
前記第1の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ接地線に結合された第2の端子を有する、第1のシャントコンデンサと、
前記第2の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ前記接地線に結合された第2の端子を有する、第2のシャントコンデンサと、
を更に備える、請求項
2に記載の無線回路。
【請求項4】
前記第1の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ前記第2の増幅器の第1の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第1のフィードバックコンデンサと、
前記第2の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ前記第2の増幅器の第2の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第2のフィードバックコンデンサと、
を更に備える、請求項
3に記載の無線回路。
【請求項5】
前記第1の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ前記第1の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第1のフィードバック抵抗器と、
前記第2の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ前記第2の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第2のフィードバック抵抗器と、
を更に備える、請求項
4に記載の無線回路。
【請求項6】
前記第2の増幅器は、トランスインピーダンス増幅器を備える、請求項1に記載の無線回路。
【請求項7】
前記調節可能な抵抗は、複数の抵抗性ストリングを備え、
前記複数の抵抗性ストリング内の各抵抗性ストリングは、第1の抵抗器、第2の抵抗器、及び前記複数の抵抗性ストリング内の前記第1の抵抗器と前記第2の抵抗器との間に結合されたスイッチを備える、
請求項1に記載の無線回路。
【請求項8】
前記調節可能な抵抗は、複数の抵抗性ストリングを備え、
前記複数の抵抗性ストリング内の各抵抗性ストリングは、第1のスイッチ、第2のスイッチ、及び前記複数の抵抗性ストリング内の前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの間に結合された抵抗器を備える、
請求項1に記載の無線回路。
【請求項9】
複数の無線周波数帯域で無線回路を動作させる方法であって、
第1の増幅器において、アンテナを介して信号を受信することと、
出力インピーダンスを有する混合器において、前記第1の増幅器からの信号と発振器からの信号とを混合することと、
第2の増幅器において、前記混合器から信号を受信することと、
前記無線回路が前記複数の無線周波数帯域にわたって動作しているときに、前記混合器の前記出力インピーダンスの変化に基づいて、前記第2の増幅器の入力に結合された調節可能な抵抗器を調整することと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記調節可能な抵抗器は、各々が第1の抵抗器、第2の抵抗器、及び複数の抵抗性ストリング内の前記第1の抵抗器と前記第2の抵抗器との間に結合されたスイッチを有する、複数の抵抗性ストリングを備え、
前記調節可能な抵抗器を調整することは、前記複数の抵抗性ストリングの各々において前記スイッチを選択的にアクティブ化及び非調節可能アクティブ化させることを含む、
請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記調節可能な抵抗器は、各々が第1のスイッチ、第2のスイッチ、及び複数の抵抗性ストリング内の前記第1のスイッチと前記第2のスイッチとの間に結合された抵抗器を有する、複数の抵抗性ストリングを備え、
前記調節可能な抵抗器を調整することは、前記複数の抵抗性ストリングの各々において前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチを選択的にアクティブ化及び非アクティブ化させることを含む、
請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記調節可能な抵抗器を調整することは、
前記無線回路が、前記複数の無線周波数帯域内の第1の無線周波数帯域で動作しているときに第1の抵抗値を提供するように、前記調節可能な抵抗器を調整することと、
前記無線回路が、前記複数の無線周波数帯域内の第2の無線周波数帯域で動作しているときに前記第1の抵抗値とは異なる第2の抵抗値を提供するように、前記調節可能な抵抗器を調整することと、
を含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
前記調節可能な抵抗器を調整することは、
前記無線回路が、前記複数の無線周波数帯域内の第1の無線周波数帯域で動作しているときに第1の抵抗値を提供するように、前記調節可能な抵抗器を調整することと、
前記無線回路が、前記第1の無線周波数帯域よりも大きい前記複数の無線周波数帯域内の第2の無線周波数帯域で動作しているときに前記第1の抵抗値よりも大きい第2の抵抗値を提供するように、前記調節可能な抵抗器を調整することと、
を含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の増幅器は、100MHz超の帯域幅を有するトランスインピーダンス増幅器を備える、請求項
9に記載の方法。
【請求項15】
アンテナに結合された第1の入力、発振器に結合された第2の入力、及び出力を有する混合器と、
前記混合器の前記出力に結合された入力を有する増幅器と、
前記増幅器の前記入力に結合された調節可能な抵抗と、
前記増幅器によって出力された信号に基づいて生成されたデータを受信するように構成された処理回路と、
前記増幅器の動作周波数の関数として、前記調節可能な抵抗を調整するように構成された制御回路と、
を備える、電子デバイス。
【請求項16】
前記増幅器の前記入力は、第1の増幅器入力端子及び第2の増幅器入力端子を備え、
前記調節可能な抵抗は、前記第1の増幅器入力端子に結合された第1の抵抗器端子、及び前記第2の増幅器入力端子に結合された第2の抵抗器端子を有する、
請求項1
5に記載の電子デバイス。
【請求項17】
前記第1の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ接地線に結合された第2の端子を有する、第1のシャントコンデンサと、
前記第2の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ前記接地線に結合された第2の端子を有する、第2のシャントコンデンサと、
を更に備える、請求項1
6に記載の電子デバイス。
【請求項18】
電子デバイスであって、
前記増幅器は、第1の増幅器出力端子及び第2の増幅器出力端子を備え、前記電子デバイスは、
前記第1の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ前記第1の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第1のフィードバックコンデンサと、
前記第2の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ前記第2の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第2のフィードバックコンデンサと、
前記第1の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ前記第1の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第1のフィードバック抵抗器と、
前記第2の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ前記第2の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第2のフィードバック抵抗器と、
を更に備える、請求項1
7に記載の電子デバイス。
【請求項19】
前記混合器の前記出力インピーダンスの変化に基づいて、前記第2の増幅器の入力に結合された調節可能な抵抗器を調整することは、前記無線回路が前記複数の無線周波数帯域内の第1の無線周波数帯域で動作しているときに第1の抵抗値を提供し、前記無線回路が前記複数の無線周波数帯域内の前記第1の無線周波数帯域より大きい第2の無線周波数帯域で動作しているときに、前記第1の抵抗値より大きい第2の抵抗値を提供するように、前記調節可能な抵抗器を調整することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
前記混合器は、前記アンテナからの無線周波数信号、及び発振信号を受信するように構成され、
前記制御回路は、前記発振信号の周波数が上昇したときに前記調節可能な抵抗を増加させ、前記発振信号の周波数が下降したときに前記調節可能な抵抗を減少させるように、さらに構成されている、請求項15に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、電子デバイスに関し、より具体的には、無線通信回路を備えた電子デバイスに関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年7月14日に出願された米国特許出願第17/375,843号に対する優先権を主張するものであり、本明細書によりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスは、多くの場合、無線通信機能を備えている。無線通信能力を備えている電子デバイスは、1つ以上のアンテナを備えた無線通信回路を有する。無線通信回路内の無線受信機回路は、アンテナを使用して、無線周波数信号を受信する。
【0003】
アンテナによって受信した信号は、トランスインピーダンス増幅器に結合された混合器を含むことが多い受信機を通して供給される。電子デバイス用の満足のいく受信機を設計することは困難であり得る。
【発明の概要】
【0004】
電子デバイスは、無線通信回路を含み得る。無線通信回路は、アンテナと、アンテナから無線周波数信号を受信し、かつ対応するベースバンド信号を生成するように構成された送受信機と、送受信機からベースバンド信号を受信するように構成されたベースバンドプロセッサと、を含み得る。
【0005】
本開示の一態様は、複数の無線周波数帯域及び複数の無線周波数規格で動作可能な無線回路を提供する。無線回路は、無線周波数信号を受信するように構成されたアンテナと、アンテナに結合された入力を有し、かつ出力を有する、第1の増幅器と、発振器回路と、第1の増幅器の出力に結合された第1の入力を有し、発振器回路に結合された第2の入力を有し、かつ出力インピーダンスを備えた出力を有する、混合器と、混合器の出力に結合された入力を有する第2の増幅器と、第2の増幅器の入力に結合され、かつ無線回路が複数の無線周波数帯域にわたって動作しているときに、混合器の出力インピーダンスの変化を補償するように構成されている、調節可能な抵抗器と、を含み得る。1つ以上のシャントコンデンサは、第2の増幅器の入力に結合され得る。1つ以上のフィードバックコンデンサ及びフィードバック抵抗器は、第2の増幅器の入力及び出力にわたって結合され得る。第1の増幅器は、低雑音増幅器であり得るが、第2の増幅器は、広帯域トランスインピーダンス増幅器であり得る。調節可能な抵抗器は、各々が、少なくとも1つの抵抗器、及び無線回路の動作周波数に応じて選択的にアクティブ化及び非アクティブ化される少なくとも1つのスイッチを有する、複数の抵抗性ストリングを含み得る。
【0006】
本開示の一態様は、複数の無線周波数帯域で無線回路を動作させる方法を提供する。方法は、アンテナを使用して、無線周波数信号を受信することと、第1の増幅器を使用して、アンテナから信号を受信することと、混合器を使用して、第1の増幅器から信号を受信し、発振器から信号を受信することであって、混合器が出力インピーダンスを有する、ことと、第2の増幅器を使用して、混合器から信号を受信することと、無線回路が複数の無線周波数帯域にわたって動作しているときに、混合器の出力インピーダンスの変化を補償するように第2の増幅器の入力に結合された調節可能な抵抗器を調整することと、を含み得る。調節可能な抵抗器は、無線回路が複数の無線周波数帯域内の第1の無線周波数帯域で動作しているときに第1の抵抗値を提供するように調整することができ、かつ、無線回路が第1の無線周波数帯域よりも大きい複数の無線周波数帯域内の第2の無線周波数帯域で動作しているときに第1の抵抗値よりも大きい第2の抵抗値を提供するように調整することができる。
【0007】
本開示の一態様は、電子デバイスを提供する。電子デバイスは、無線周波数信号を受信するように構成されたアンテナと、無線周波数信号に基づいて生成されたベースバンド信号を受信するように構成されたベースバンドプロセッサと、発振器と、アンテナに結合された第1の入力を有し、発振器に結合された第2の入力を有し、かつ出力を有する、混合器と、混合器の出力に結合された入力を有する増幅器と、増幅器の入力に結合された調節可能な抵抗器と、を含み得る。電子デバイスはまた、増幅器の動作周波数の関数として、調節可能な抵抗器を調整するように構成された制御回路を含み得る。1つ以上のシャントコンデンサは、増幅器の入力に結合され得る。1つ以上のフィードバックコンデンサ及びフィードバック抵抗器は、増幅器の入力及び出力にわたって結合され得る。増幅器は、広帯域トランスインピーダンス増幅器であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】いくつかの実施形態による、無線通信回路を有する例示的な電子デバイスの図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、送受信機回路を有する例示的な無線通信回路の図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、例示的なマルチ規格受信機回路の図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、例示的なフィードバック受信機回路の図である。
【
図5】いくつかの実施形態による、混合器と増幅器との間に結合された調節可能な抵抗器を有する例示的な受信機回路の図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、発振器の周波数の関数として、混合器の出力インピーダンスをプロットした図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、発振器の周波数の関数として、混合器の出力インピーダンスの変化を補償するように構成された調節可能な抵抗器の抵抗をプロットした図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、異なる無線周波数帯域にわたって動作しているときに、混合器の出力インピーダンスの変化を補償するように構成された例示的な調節可能な抵抗器の回路図である。
【
図9】異なる無線周波数帯域にわたって動作しているときに、混合器の出力インピーダンスの変化を補償するように構成された例示的な調節可能な抵抗器の別の実施形態を示す回路図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、
図1~
図9に関連して示されたタイプの受信機回路を動作させるための異なるモードを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
電子デバイスは、無線受信機回路を備え得る。無線受信機回路は、アンテナと、アンテナから無線周波数信号を受信するように構成された低雑音増幅器と、低雑音増幅器から信号を受信し、かつ発振器信号を受信するように構成された混合器と、混合器から信号を受信するように構成されたトランスインピーダンス増幅器と、を含み得る。無線受信機回路は、複数の規格にわたって複数の無線周波数帯域で動作することができる。混合器は、異なる無線周波数帯域にわたって変動する出力インピーダンスを有し得る。調節可能な抵抗器は、混合器の出力インピーダンスの変動を補償するために、トランスインピーダンス増幅器の入力に提供され得る。このように受信機回路を構成及び動作させることにより、異なる無線周波数帯域にわたってトランスインピーダンス増幅器の性能を維持することが可能になる。
【0010】
図1は、そのような無線受信機回路を備え得る電子デバイス10などの電子デバイスの図である。電子デバイス10は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、組み込み型コンピュータを含むコンピュータモニタ、タブレットコンピュータ、セルラ電話機、メディアプレーヤ、又は他のハンドヘルド電子デバイス若しくはポータブル電子デバイスなどのコンピューティングデバイス、腕時計デバイス、ペンダントデバイス、ヘッドホンデバイス若しくはイヤホンデバイス、眼鏡に埋め込まれたデバイス若しくはユーザの頭部に着用される他の機器、又は他の着用可能なデバイス若しくはミニチュアデバイスなどの小型デバイス、テレビ、組み込み型コンピュータを含まないコンピュータディスプレイ、ゲーミングデバイス、ナビゲーションデバイス、ディスプレイを有する電子機器がキオスク若しくは自動車に搭載されるシステムなどの組み込み型システム、インターネットに接続された音声制御式の無線スピーカ、ホームエンターテインメントデバイス、リモートコントロールデバイス、ゲーミングコントローラ、周辺ユーザ入力デバイス、無線基地局若しくはアクセスポイント、これらのデバイスのうちの2つ以上の機能を実装する機器、又は他の電子機器であり得る。
【0011】
模式図である
図1に示されるように、デバイス10は、ハウジング12などの電子デバイスハウジング上又はその内部に配置された構成要素を含み得る。ケースと呼ばれることもあるハウジング12は、プラスチック、ガラス、セラミック、繊維複合材、金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、金属合金など)、他の好適な材料、又はこれらの材料の組み合わせから形成され得る。いくつかの状況では、ハウジング12の一部又は全ては、誘電体又は他の低導電性材料(例えば、ガラス、セラミック、プラスチック、サファイアなど)から形成され得る。他の状況ではハウジング12、又はハウジング12を構成する構造体の少なくとも一部は、金属要素から形成され得る。
【0012】
デバイス10は、制御回路14を含み得る。制御回路14は、記憶回路16などの記憶装置を含み得る。記憶回路16は、ハードディスクドライブ記憶装置、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ、又はソリッドステートドライブを形成するよう構成された他の電気的にプログラムできる読み出し専用メモリ)、揮発性メモリ(例えば、静的又は動的ランダムアクセスメモリ)などを含み得る。記憶回路16は、デバイス10及び/又はリムーバブル記憶媒体内に統合された記憶装置を含み得る。
【0013】
制御回路14は、処理回路18などの処理回路を含み得る。処理回路18は、デバイス10の動作を制御するために使用され得る。処理回路18は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、ホストプロセッサ、ベースバンドプロセッサ集積回路、特定用途向け集積回路、中央処理装置(central processing units、CPU)などを含み得る。制御回路14は、ハードウェア(例えば、専用ハードウェア若しくは回路)、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを使用して、デバイス10内で動作を実行するよう構成することができる。デバイス10内で動作を実行するためのソフトウェアコードは、記憶回路16上に記憶されてもよい(例えば、記憶回路16は、ソフトウェアコードを記憶する非一時的(有形)コンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい)。ソフトウェアコードは、時に、プログラム命令、ソフトウェア、データ、命令、又はコードと呼ばれることがある。記憶回路16上に記憶されたソフトウェアコードは、処理回路18によって実行され得る。
【0014】
制御回路14は、衛星ナビゲーションアプリケーション、インターネットブラウジングアプリケーション、ボイスオーバー・インターネット・プロトコル(voice-over-internet-protocol、VOIP)通話アプリケーション、電子メールアプリケーション、メディア再生アプリケーション、オペレーティングシステム機能などのソフトウェアは、デバイス10上で走らせるために使用される場合がある。外部機器との相互作用をサポートするために、制御回路14が通信プロトコルを実装する際に使用されてもよい。制御回路14を使用して実装され得る通信プロトコルには、インターネットプロトコル、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)プロトコル(例えば、IEEE802.11プロトコル-Wi-Fi(登録商標)と呼ばれることもある)、Bluetooth(登録商標)プロトコル若しくは他の無線パーソナルエリアネットワーク(wireless personal area network、WPAN)プロトコルなどの他の短距離無線通信リンク用のプロトコル、IEEE802.11adプロトコル(例えば、超広帯域プロトコル)、セルラ電話プロトコル(例えば、3Gプロトコル、4G(LTE)プロトコル、5G新無線(New Radio、NR)プロトコルなど)、MIMOプロトコル、アンテナダイバーシティプロトコル、衛星ナビゲーションシステムプロトコル(例えば、全地球測位システム(global positioning system、GPS)プロトコル、全地球航法衛星システム(global navigation satellite system、GLONASS)プロトコルなど)、アンテナベースの空間測距プロトコル(例えば、無線検出及び測距(radio detection and ranging、RADAR)プロトコル、若しくはミリメートル及びセンチメートル波周波数で伝達される信号用の他の所望の距離検出プロトコル)、又は任意の他の所望の通信プロトコル、が含まれる。各通信プロトコルは、プロトコルを実装する際に使用される物理的接続方法論を指定する、対応する無線アクセス技術(radio access technology、RAT)と関連付けられ得る。
【0015】
デバイス10は、入出力回路20を含み得る。入出力回路20は、入出力デバイス22を含み得る。入出力デバイス22を使用して、デバイス10にデータを供給することを可能にし、デバイス10から外部デバイスにデータを提供することを可能にすることができる。入出力デバイス22は、ユーザインタフェースデバイス、データポートデバイス、及び他の入出力構成要素を含み得る。例えば、入出力デバイス22には、タッチセンサ、ディスプレイ、タッチセンサ能力なしのディスプレイ、ボタン(機械的、容量性、光学的など)、スクロールホイール、タッチパッド、キーパッド、キーボード、マイクロフォン、カメラ、ボタン、スピーカ、ステータスインジケータ、オーディオジャック、及び他のオーディオポート構成要素、デジタルデータポートデバイス、動きセンサ(動きを検出する加速度計、ジャイロスコープ、及び/若しくはコンパス)、静電容量センサ、近接センサ、磁気センサ、力センサ(例えば、ディスプレイに加えられた圧力を検出するためにディスプレイに結合された力センサ)など、が含まれ得る。いくつかの構成では、キーボード、ヘッドホン、ディスプレイ、トラックパッド、マウス、電子鉛筆(スタイラスなど)、及びジョイスティックなどのポインティングデバイス、並びに他の入出力デバイスは、有線接続又は無線接続を使用してデバイス10に結合され得る(例えば、入出力デバイス22のいくつかは、有線リンク又は無線リンクを介したメイン処理ユニット又はデバイス10の他の部分に結合された周辺機器であり得る)。
【0016】
入出力回路24は、無線周波数信号を無線で伝達するために、無線通信回路34(本明細書では、無線回路24と呼ばれることもある)などの無線通信回路を含み得る。制御回路14は、明確にするために無線通信回路24とは別個に示されているが、無線回路24は、処理回路18の一部を形成する処理回路、及び/又は制御回路14の記憶回路16の一部を形成する記憶回路を含んでもよい(例えば、制御回路14の一部分は、無線通信回路24上に実装され得る)。一例として、制御回路14(例えば、処理回路18)は、ベースバンドプロセッサ回路、又は無線通信回路24の一部を形成する他の制御構成要素を含み得る。
【0017】
無線通信回路24には、1つ以上の集積回路から形成された無線周波数(radio-frequency、RF)送受信機回路、アップリンク無線周波数信号(例えば、デバイス10によって外部デバイスに送信された無線周波数信号)を増幅するように構成された電力増幅器回路、ダウンリンク無線周波数信号(例えば、デバイス10によって外部デバイスから受信した無線周波数信号)を増幅するように構成された低雑音増幅器、受動無線周波数構成要素、1つ以上のアンテナ、伝送線、及び無線周波数無線信号を処理するための他の回路、が含まれ得る。無線信号はまた、光を使用して(例えば、赤外線通信を使用して)送信され得る。
【0018】
無線回路24は、様々な無線周波数通信帯域での無線周波数信号の送信及び/又は受信を処理するための無線周波数送受信機回路を含み得る。例えば、無線周波数送受信機回路は、2.4GHz及び5GHzのWi-Fi(登録商標)(IEEE802.11)帯域などの無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)通信帯域、2.4GHz Bluetooth(登録商標)通信帯域などの無線パーソナルエリアネットワーク(wireless personal area network、WPAN)通信帯域、セルラ低帯域(low band、LB)(例えば、600~960MHz)、セルラ低中帯域(low-midband、LMB)(例えば、1400~1550MHz)、セルラ中帯域(midband、MB)(例えば、1700~2200MHz)、セルラ高帯域(high band、HB)(例えば、2300~2700MHz)、セルラ超高帯域(ultra-high band、UHB)(例えば、3300~5000MHz)、又は約600MHz~約5000MHzの他のセルラ通信帯域(例えば、3G帯域、4G LTE帯域、10GHz未満の5G新無線周波数範囲1(New Radio Frequency Range 1、FR1)帯域、20~60GHzのミリメートル及びセンチメートル波長での5G新無線周波数範囲2(Radio Frequency Range 2、FR2)帯域など)などのセルラ電話通信帯域、近距離通信(near-field communications、NFC)帯域(例えば、13.56MHzでの)、衛星ナビゲーション帯域(例えば、1575MHzでのL1全地球測位システム(global positioning system、GPS)帯域、1176MHzでのL5 GPS帯域、全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System、GLONASS)帯域、北斗ナビゲーション衛星システム(BeiDou Navigation Satellite System、BDS)帯域など)、IEEE802.15.4プロトコルによりサポートされる超広帯域(ultra-wideband、UWB)通信帯域、及び/若しくは他のUWB通信プロトコル(例えば、6.5GHzでの第1のUWB通信帯域及び/若しくは8.0GHzでの第2のUWB通信帯域)、並びに/又は他の任意の所望の通信帯域、を処理することができる。そのような無線周波数送受信機回路によって処理された通信帯域は、本明細書では周波数帯域又は単に「帯域」と呼ばれることがあり、周波数の対応する範囲に及び得る。一般に、無線回路24内の無線周波数送受信機回路は、対象の任意の所望の周波数帯域をカバー(処理)することができる。
【0019】
図2は、無線回路24内の例示的な構成要素を示す図である。
図2に示されるように、無線回路24は、ベースバンドプロセッサ26などのベースバンドプロセッサと、無線周波数送受信機28などの無線周波数(RF)送受信機回路と、無線周波数フロントエンドモジュール(front end module、FEM)40などの無線周波数フロントエンド回路と、アンテナ(単数又は複数)42と、を含み得る。ベースバンドプロセッサ26は、ベースバンド経路34を介して送受信機28に結合され得る。送受信機28は、無線周波数伝送線経路36を介してアンテナ42に結合され得る。無線周波数フロントエンドモジュール40は、送受信機28とアンテナ42との間の無線周波数伝送線経路36に挿入され得る。
【0020】
図2の例では、無線回路24は、明確にするために、単一のベースバンドプロセッサ26、単一の送受信機28、単一のフロントエンドモジュール40、及び単一のアンテナ42のみを含むものとして示されている。一般に、無線回路24は、任意の所望の数のベースバンドプロセッサ26と、任意の所望の数の送受信機36と、任意の所望の数のフロントエンドモジュール40と、任意の所望の数のアンテナ42と、を含み得る。各ベースバンドプロセッサ26は、それぞれのベースバンド経路34を介して1つ以上の送受信機28に結合され得る。各送受信機28は、アンテナ42にアップリンク信号を出力するように構成された1つ以上の送信機を含み得、アンテナ42からダウンリンク信号を受信するように構成された1つ以上の受信機を含み得、かつそれぞれの無線周波数伝送線経路36を介して1つ以上のアンテナ42に結合され得る。各無線周波数伝送線経路36は、その上に挿入されたそれぞれのフロントエンドモジュール40を有し得る。必要に応じて、2つ以上のフロントエンドモジュール40を、同じ無線周波数伝送線経路36に挿入することができる。必要に応じて、フロントエンドモジュールをその上に挿入することなく、無線回路24内の無線周波数伝送線経路36のうちの1つ以上を実装することができる。
【0021】
無線周波数伝送線経路36は、アンテナ42上のアンテナフィードに結合され得る。アンテナフィードは、例えば、正のアンテナフィード端子及び接地アンテナフィード端子を含み得る。無線周波数伝送線経路36は、アンテナ42上の正のアンテナフィード端子に結合されるように、正の伝送線信号経路を有し得る。無線周波数伝送線経路36は、アンテナ42上の接地アンテナフィード端子に結合される接地伝送線信号経路を有し得る。この例は単なる例示であり、一般に、アンテナ42は、任意の所望のアンテナフィード方式を使用して給電され得る。必要に応じて、アンテナ42は、1つ以上の無線周波数伝送線経路36に結合された複数のアンテナフィードを有することができる。
【0022】
無線周波数伝送線経路36は、デバイス10(
図1)内の無線周波数アンテナ信号をルーティングするために使用される伝送線を含み得る。デバイス10内の伝送線には、同軸ケーブル、マイクロストリップ伝送線、ストリップライン伝送線、エッジ結合型マイクロストリップ伝送線、エッジ結合ストリップライン伝送線、これらのタイプの伝送線の組み合わせから形成された伝送線など、が含まれ得る。無線周波数伝送線経路36内の伝送線などのデバイス10内の伝送線は、リジッドプリント回路基板及び/又はフレキシブルプリント回路基板に統合されてもよい。
【0023】
無線送信を実行する際に、ベースバンドプロセッサ26は、ベースバンド経路34を介してベースバンド信号を送受信機28に提供することができる。送受信機28は、ベースバンドプロセッサ26から受信したベースバンド信号を、対応する無線周波数信号に変換するための回路を更に含み得る。例えば、送受信機回路28は、アンテナ42を介した送信の前に、ベースバンド信号を無線周波数にアップコンバート(又は変調)するための混合器回路50を含み得る。送受信機回路28はまた、デジタルドメインとアナログドメインとの間で信号を変換するためのデジタル-アナログ変換器(digital-to-analog converter、DAC)及び/又はアナログ-デジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)回路を含み得る。送受信機28は、無線周波数伝送線経路36及びフロントエンドモジュール40を介してアンテナ42経由で無線周波数信号を伝送するための送信機構成要素を含み得る。アンテナ42は、無線周波数信号を自由空間に放射することによって、無線周波数信号を外部無線機器に送信することができる。
【0024】
無線受信を実行する際に、アンテナ42は、外部無線機器から無線周波数信号を受信することができる。受信した無線周波数信号は、無線周波数伝送線経路36及びフロントエンドモジュール40を介して送受信機28に伝達され得る。送受信機28は、受信した無線周波数信号を対応するベースバンド信号に変換するための回路を含み得る。例えば、送受信機28は、受信信号をベースバンド経路34を介してベースバンドプロセッサ26に伝達する前に、受信した無線周波数信号をベースバンド周波数にダウンコンバート(又は復調)するために混合器回路50を使用することができる。混合器回路50は、局部発振器52などの発振器回路を含み得る。局部発振器52は、混合器回路50が送信信号をベースバンド周波数から無線周波数に変調するため、及び/又は受信信号を無線周波数からベースバンド若しくは中間周波数に復調するために使用する、発振器信号を生成することができる。送受信機28は、混合器回路50から出力された信号をフィルタリングするように構成された増幅器54などの増幅器を更に含み得る。
【0025】
フロントエンドモジュール(FEM)40は、無線周波数伝送線経路36を介して伝達される(送信及び/又は受信される)無線周波数信号で動作する無線周波数フロントエンド回路を含み得る。フロントエンドモジュールには、例えば、フィルタ回路(例えば、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、ノッチフィルタ、バンドパスフィルタ)、無線周波数結合/スイッチング回路44(例えば、無線周波数結合器、マルチプレクサ回路、デュプレクサ回路、ダイプレクサ回路、トリプレックス回路、1つ以上の無線周波数スイッチなど)、1つ以上の電力増幅器46及び1つ以上の低雑音増幅器48などの無線周波数増幅器回路、インピーダンス整合回路(例えば、アンテナ42のインピーダンスを無線周波数伝送線36のインピーダンスに整合させるのを助ける回路)、アンテナ調整回路(例えば、アンテナ42の周波数応答を調整するコンデンサ、抵抗器、インダクタ、及び/又はスイッチのネットワーク)、チャージポンプ回路、電力管理回路、デジタル制御及びインターフェース回路、並びに/又はアンテナ42によって送受信された無線周波数信号で動作する任意の他の所望の回路、などのフロントエンドモジュール(FEM)構成要素が含まれ得る。フロントエンドモジュール構成要素の各々は、リジッドプリント回路基板又はフレキシブルプリント回路基板などの共通(共有)基板に取り付けられ得る。必要に応じて、様々なフロントエンドモジュール構成要素をまた、単一の集積回路チップに統合することができる。
【0026】
回路44、増幅器46及び48、並びに他の回路は、(例えば、アンテナ調整をサポートし、所望の周波数帯域の動作をサポートする、などのために)無線周波数伝送線経路36内に挿入されてもよく、FEM40に組み込まれてもよく、及び/又はアンテナ42に組み込まれてもよい。これらの構成要素は、本明細書では、(例えば、制御回路14を使用して)調節されて経時的にアンテナ42の周波数応答及び無線性能を調節することができる、アンテナ調整構成要素と呼ばれることがある。
【0027】
送受信機28は、フロントエンドモジュール40とは別個であり得る。例えば、送受信機28は、デバイス10のメインロジックボード、リジッドプリント回路基板、又はフロントエンドモジュール40の一部ではないフレキシブルプリント回路などの別の基板上に形成され得る。制御回路14は、明確にするために
図1の実施例では無線回路24とは別個に示されているが、無線回路24は、処理回路18の一部を形成する処理回路、及び/又は制御回路14の記憶回路16の一部を形成する記憶回路を含んでもよい(例えば、制御回路14の一部分は、無線回路24上に実装され得る)。一例として、ベースバンドプロセッサ26、及び/又は送受信機28の一部分(例えば、送受信機28上のホストプロセッサ)は、制御回路14の一部を形成し得る。制御回路14(例えば、ベースバンドプロセッサ26上に形成された制御回路14の一部分、送受信機28上に形成された制御回路14の一部分、及び/又は無線回路24とは別個の制御回路14の一部分)は、フロントエンドモジュール40の動作を制御する制御信号を(例えば、デバイス10内の1つ以上の制御経路にわたって)提供することができる。
【0028】
送受信機回路28には、2.4GHz WLAN帯域(例えば、2400~2480MHz)、5GHz WLAN帯域(例えば、5180~5825MHz)、Wi-Fi (登録商標)6E帯域(例えば、5925~7125MHz)、及び/若しくは他のWi-Fi(登録商標)帯域(例えば、1875~5160MHz)などのWLAN通信帯域(例えば、Wi-Fi(登録商標)(IEEE802.11)若しくは他のWLAN通信帯域)を処理する無線ローカルエリアネットワーク送受信機回路、2.4GHz Bluetooth(登録商標)帯域又は他のWPAN通信帯域を処理する無線パーソナルエリアネットワーク送受信機回路、セルラ電話帯域(例えば、約600MHz~約5GHzの帯域、3G帯域、4G LTE帯域、10GHz未満の5G新無線周波数範囲1(FR1)帯域、20~60GHzの5G新無線周波数範囲2(FR2)など)を処理するセルラ電話送受信機回路、近距離無線通信帯域(例えば、13.56MHz)を処理する近距離通信(NFC)送受信機回路、衛星ナビゲーション帯域(例えば、1565~1610MHzのGPS帯域、グローバルナビゲーション衛星システム(GLONASS)帯域、北斗ナビゲーション衛星システム(BDS)帯域など)を処理する衛星ナビゲーション受信機回路、IEEE802.15.4プロトコル及び/若しくは他の超広帯域通信プロトコルを使用して通信を処理する超広帯域(UWB)送受信機回路、並びに/又は任意の他の所望の対象通信帯域をカバーするための任意の他の無線周波数送受信機回路、が含まれ得る。
【0029】
無線回路24は、アンテナ42などの1つ以上のアンテナを含み得る。アンテナ42は、任意の所望のアンテナ構造体を使用して形成され得る。例えば、アンテナ42は、ループアンテナ構造体、パッチアンテナ構造体、逆Fアンテナ構造体、スロットアンテナ構造体、平面逆Fアンテナ構造体、螺旋アンテナ構造体、モノポールアンテナ、ダイポール、これらの設計のハイブリッドなどから形成されている共振要素を有するアンテナであり得る。2つ以上のアンテナ42は、(例えば、ミリメートル波周波数での無線周波数信号を伝達するために)1つ以上のフェーズドアンテナアレイに配列されてもよい。アンテナの性能を調整するために、アンテナ42に寄生要素が含まれ得る。アンテナ42は、アンテナ42のアンテナ共振要素をバックアップする導電性キャビティが提供され得る(例えば、アンテナ42は、キャビティバックスロットアンテナなどのキャビティバックアンテナであり得る)。
【0030】
無線回路24は、複数の無線周波数帯域で動作可能であり得る。
図3は、様々な無線周波数帯域からの信号を処理(受信)するための複数の受信機ブロックを有する無線回路24を示す図である。
図3に示されるように、無線回路24は、アンテナ42から第1の無線周波数帯域グループBG1内の信号を受信するように構成された第1の受信機ブロックRX1、アンテナ42から第2の無線周波数帯域グループBG2内の信号を受信するように構成された第2の受信機ブロックRX2、アンテナ42から第3の無線周波数帯域グループBG3内の信号を受信するように構成された第3の受信機ブロックRX3など、を含み得る。各無線周波数帯域グループは、一般に、複数の無線周波数帯域を含み得る。通常動作中、動作が所望される無線周波数帯域に応じて、受信機ブロックのうちの選択された1つのみがアクティブ化される。一例として、BG1は、0.6~1GHzの範囲内の通信をカバーし、BG2は、1~1.8GHzの範囲内の通信をカバーし、BG3は、1.8~2.3GHzの範囲の通信をカバーすることができる。これらの無線周波数帯域範囲は、単なる例示である。一般に、各無線周波数帯域は、400MHz、400MHz未満、400MHz超、500MHz、600MHz、700MHz、又は他の周波数範囲をカバーすることができる。局部発振器52は、発振器信号を1つ以上の受信機ブロックに供給するために使用され得る。例えば、第1の局部発振器52を使用して、帯域グループBG1及びBG2の両方をカバーすることができる。第2の局部発振器52を使用して、(一例として)単一の帯域グループBG3のみをカバーすることができる。第3の局部発振器52を使用して、3つ以上の帯域グループをカバーすることができる。
【0031】
無線回路24が異なる無線周波数帯域を処理するための3つの別個の受信機ブロックを含む
図3の例は、単なる例示である。そのようなタイプの無線受信機回路は、マルチバンド受信機又はマルチ規格受信機と呼ばれることがある。必要に応じて、受信機回路は、3つ超又は3つ未満の別個の受信機ブロックを含むことができる。そのようなマルチ規格受信機内で使用される増幅器54は、本明細書では「広帯域」増幅器と呼ばれることがある。
【0032】
受信機ブロックRX1、RX2、及びRX3の各々は、アンテナ42(又は無線周波数デュプレクサ)に結合された無線周波数スイッチ44などのスイッチング回路、整合回路47などの整合回路、スイッチ44から信号を受信するように構成された低雑音増幅器(low noise amplifier、LNA)48などの無線周波数増幅器、及び低雑音増幅器48からの増幅信号を受信し、かつ局部発振器52からの発振器信号を受信するように構成された無線周波数混合器51などの混合器回路、を含み得る。無線回路24は、複数の受信機ブロックの各々において混合器51に結合された増幅器54などの単一の増幅器回路を含み得る。増幅器54は、例えば、トランスインピーダンス増幅器(transimpedance amplifier、TIA)であり得る。増幅器54は、様々な無線周波数帯域グループ(例えば、BG1、BG2、BG3など)の全てにわたる通信を処理することができる広帯域増幅器であり得る。複数の無線周波数帯域(規格)にわたって通信を処理することができる一方で広い帯域幅を有するこのタイプの増幅器54は、マルチバンド(マルチ規格)広帯域増幅器と呼ばれることがある。
【0033】
無線回路24が複数の受信機ブロックを含む
図3の例は、単なる例示である。
図4は、無線回路24が様々な無線周波数帯域の無線通信を処理することができるフィードバック受信機である、別の実施形態を示している。
図4のフィードバック受信機は、電力制御及び送信信号の較正のために使用され得る。
図4に示されるように、アンテナ42は、電力増幅器46などの送信増幅器に結合されてもよく、指向性結合器44などの無線周波数結合器を介して受信機ブロックRXに結合されてもよい。受信機ブロックRXは、結合器44に接続された減衰器45などの無線周波数減衰回路、減衰器45を介して結合器44から信号を受信するように構成された低雑音増幅器(LNA)48、及び低雑音増幅器48から信号を受信し、かつ局部発振器52から発振器信号を受信するように構成された混合器51などの無線周波数混合器回路、を更に含み得る。混合器51は、増幅器54に復調信号を出力することができる。増幅器54は、(一例として)マルチバンドの広帯域トランスインピーダンス増幅器であり得る。
【0034】
受信機ブロックRXは、広範囲の無線周波数帯域を処理するように構成され得る。例えば、受信機ブロックRXは、第1のモードで動作して、約0.6~1GHzの第1の無線周波数帯域グループでの無線通信を処理し、第2のモードで動作して、約1~1.8GHzの第2の無線周波数帯域グループでの無線通信を処理し、第3のモードで動作して、約1.8~2.3GHzの第3の無線周波数帯域グループでの無線通信を処理し、第4のモードで動作して、約2.3~2.9GHzの第4の無線周波数帯域グループでの無線通信を処理し、以下同様に最大7GHzまで又は7GHz超を処理することができる。これらの無線周波数帯域は、単なる例示である。単一の受信機ブロックRXが指向性結合器44を介して送信増幅器46に結合されている
図4の配列は、フィードバック受信機アーキテクチャと呼ばれることがある。
図3のマルチ規格受信機と比較して、
図4のフィードバック受信機は、一般に、より緩和された雑音感度要件を呈する。
【0035】
図5は、
図3に関連して説明されたタイプのマルチ規格受信機、
図4に関連して説明されたタイプのフィードバック受信機、及び/又は広帯域増幅器を利用する他の無線受信機アーキテクチャに適用可能である、混合器51とトランスインピーダンス増幅器54との間のインターフェースにおける追加の詳細を示す図である。
図5に示されるように、低雑音増幅器48、混合器51、及びトランスインピーダンス増幅器54は、差動入力端子及び差動出力端子を有する差動回路であり得る。
【0036】
シャントコンデンサCmixのセットは、増幅器54の入力にも結合された、混合器51の出力に結合され得る。例えば、シャントコンデンサのセット内の第1のコンデンサCmixは、増幅器54の第1の入力に結合された第1の端子を有し、かつ接地電源線(接地線又は接地と呼ばれることもある)に結合された第2の端子を有するが、シャントコンデンサのセット内の第2のコンデンサCmixは、増幅器54の第2の入力に結合された第1の端子を有し、かつ接地線に結合された第2の端子を有する。
【0037】
フィードバックコンデンサCfのセットはまた、増幅器54の入力端子及び出力端子にわたって結合され得る。例えば、フィードバックコンデンサのセット内の第1のフィードバックコンデンサCfは、増幅器54の第1の入力に結合された第1の端子を有し、かつ増幅器54の第1の出力に結合された第2の端子を有する。フィードバックコンデンサのセット内の第2のフィードバックコンデンサCfは、増幅器54の第2の入力に結合された第1の端子を有し、かつ増幅器54の第2の出力に結合された第2の端子を有する。
【0038】
フィードバック抵抗器Rfのセットはまた、増幅器54の入力端子及び出力端子にわたって結合され得る。例えば、フィードバック抵抗器のセット内の第1のフィードバック抵抗器Rfは、増幅器54の第1の入力に結合された第1の端子を有し、かつ増幅器54の第1の出力に結合された第2の端子を有する(すなわち、第1のフィードバック抵抗器Rfは、第1のフィードバックコンデンサCfと並列に結合され得る)。フィードバック抵抗器のセット内の第2のフィードバック抵抗器Rfは、増幅器54の第2の入力に結合された第1の端子を有し、かつ増幅器54の第2の出力に結合された第2の端子を有する(すなわち、第2のフィードバック抵抗器Rfは、第2のフィードバックコンデンサCfと並列に結合され得る)。このように構成されると、トランスインピーダンス増幅器54及び関連する構成要素Cmix、Cf、及びRfを、ローパスフィルタ回路として集合的に使用してローパスフィルタリング機能を提供することができ、それらは、ベースバンドフィルタ又はベースバンドアクティブフィルタと呼ばれることがあり得る。
図5に示されるコンデンサCmix及び/又はCfの各々は、ベースバンドフィルタの帯域幅を任意選択で調整するために制御回路64によって調節され得る、切り替え可能なコンデンサのバンクを含み得る。フィードバック抵抗器Rfの各々はまた、ベースバンドフィルタのゲインを任意選択で調整するために制御回路64によって調節され得る、切り替え可能な抵抗器のバンクを含み得る。構成要素Cmix、Cf、及びRfは、フィルタの帯域幅を制御するように調節され得るが、抵抗器Rfは、フィルタのゲインを制御するように調節され得る。
【0039】
混合器51は、出力インピーダンスRoutを有し得る。混合器の出力インピーダンスRoutは、Cpar及びf
LOの積に反比例し得、ここでCparは、LNA48の出力における寄生容量を表し、f
LOは、局部発振器52によって生成された発振器信号の周波数を表す。
図6は、発振器の周波数f
LOの関数として、混合器の出力インピーダンスRoutをプロットした図である。
図6に示されるように、発振器の周波数f
LOは、広帯域動作をサポートする際に、広い周波数範囲(例えば、0.6~7.2GHz)にわたって変動し得る。混合器の出力インピーダンスRoutはf
LOに反比例するので、Routは、(曲線60によって示されるように)周波数f
LOが増加するにつれて減少する。曲線60は、発振器の広い動作周波数範囲にわたってRoutがどのように大きく(例えば、9kΩ超から3kΩ未満まで)変動し得るかを示している。これらのRout値は、単なる例示である。混合器のRout値は、受信機の意図された用途及び実際の設計に応じて大きく異なり得る。
【0040】
増幅器54の帯域幅及び安定性は、混合器の出力インピーダンスRoutの関数として変動する。したがって、混合器のRoutの大きな変動は、受信機が異なる無線周波数帯域で動作するときに、増幅器の帯域幅を潜在的に劣化させる可能性がある。混合器のRoutが変動するときに増幅器54の目標帯域幅を維持する1つの方法は、シャントコンデンサ(単数又は複数)Cmixを調整することである。しかしながら、混合器のRoutでの変化を補償するためにCmix及び/又はCfを調整すると、増幅器54の品質係数及び位相マージンを変化させ、それにより、全ての動作周波数にわたって性能基準を満たす受信機を設計することが困難になる。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、調節可能な抵抗器Rinなどの調節可能な抵抗性回路は、増幅器54の入力に結合されて、増幅器54の入力インピーダンスを調節して混合器の出力インピーダンスRoutにおける変動を補償するのを助ける(例えば、
図5を参照)。調節可能な抵抗器Rinは、増幅器54の第1の入力に結合された第1の端子と、増幅器54の第2の入力に結合された第2の端子と、を有し得る(例えば、抵抗器Rinは、増幅器54の差動入力端子にわたって結合され得る)。このように接続されると、調節可能な抵抗器Rinは、混合器の出力インピーダンスRoutと並列に効果的に結合される。
【0042】
図7は、発振器の周波数f
LOの関数として、調節可能な抵抗器Rinの抵抗をプロットした図である。
図7の曲線62によって示されるように、抵抗器Rinは、発振器の周波数f
LOが増加すると、抵抗の増加(すなわち、実数インピーダンス値の増加)を呈するように調整され得る。抵抗器Rinは、Rout及びRinの総並列抵抗が対象の無線周波数帯域の全てにわたって一定のままであるように調整されるべきである。このように動作させると、調節可能な抵抗器Rinを使用して、動作周波数の全範囲にわたって混合器のRoutの変化を補償することにより増幅器54の帯域幅を維持することができる(例えば、混合器のRoutが減少するとRinは増加し、逆も同様である)。混合器のRoutでの変動を補償するための調節可能な(調整可能な)抵抗器Rinを使用することにより、1つの動作周波数帯域から別の動作周波数帯域に変動するときにシャントコンデンサ(単数又は複数)Cmixを調整する必要が回避され、これが、増幅器54のQ係数及び位相マージンが動作周波数の全範囲にわたって性能基準を満たすことを保証するのに役立ち得る。
【0043】
図8は、調節可能な抵抗器Rinの1つの好適な実装形態を示している。
図8に示されるように、抵抗器Rinは、端子70と端子72との間に並列に一緒に結合された抵抗器の複数のストリングを有し得る。端子70は、増幅器54の第1の入力端子に結合され得るが、端子72は、増幅器54の第2の入力端子に結合され得る。
【0044】
調節可能な抵抗器Rin(調節可能な抵抗、調節可能な抵抗器回路、又は実数インピーダンス値を有する調節可能な抵抗性回路と呼ばれる)は、スイッチS1によって選択的にアクティブ化される抵抗器R1a及びR1bを有する第1の抵抗器ストリング(例えば、スイッチS1は抵抗器R1aとR1bとの間に直列に結合され得る)、スイッチS2によって選択的にアクティブ化される抵抗器R2a及びR2bを有する第2の抵抗器ストリング(例えば、スイッチS2は抵抗器R2aとR2bとの間に直列に結合され得る)、スイッチS3によって選択的にアクティブ化される抵抗器R3a及びR3bを有する第3の抵抗器ストリング(例えば、スイッチS3は抵抗器R3aとR3bとの間に直列に結合され得る)などの、複数の抵抗性ストリングを含み得る。スイッチS1~S6は、
図5の制御回路64などのスイッチ制御回路によって制御され得る。スイッチ制御回路64は、制御回路14の一部であってもよい(例えば、
図1を参照)。
【0045】
抵抗器Rinが6つの切り替え可能な抵抗器ストリングを有する
図8の例は、単なる例示である。一般に、抵抗器Rinは、任意の所望の数の抵抗器ストリングを有し得る。Rinの様々な抵抗器ストリングは、同じ抵抗値又は異なる抵抗値を有し得る。調節可能な抵抗器Rin内の各抵抗器ストリングのオン抵抗は、(例えば、異なるスイッチ構成が、無線受信機の動作周波数に応じて、
図7の曲線62に示されるようなRinの対応する補償値を提供することができるように)混合器のRoutの変化を補償するための所望の抵抗範囲を提供するように選択され得る。例えば、最も高い無線周波数帯域で動作する場合、Rinスイッチの全てをオフに(非アクティブ化)することができる。一方、最も低い無線周波数帯域で動作する場合、Rinスイッチの全てをオンに(アクティブ化)して、最も低い総抵抗を提供することができる。スイッチの異なるサブセットは、2つの極値間の動作周波数に対して選択的にアクティブ化され得る。制御回路64(
図5を参照)は、現在の動作周波数に応じてどのグループのスイッチをアクティブ化すべきかを判定する(一例として)ルックアップテーブルを記憶することができる。増幅器54のゲイン、帯域幅、線形性、雑音、及び位相マージンは、Rinの全ての抵抗値に対して維持され得る。
【0046】
Rin内の各抵抗器ストリングが2つの抵抗器及び1つのスイッチを有する
図8の例は、単なる例示である。
図9は、各々が単一の抵抗器及び2つのスイッチを備えた抵抗器ストリングを有する調節可能な抵抗器Rinの別の好適な実装形態を示している。
図9に示されるように、調節可能な抵抗器Rin(抵抗性回路又は実数インピーダンス値を有する抵抗器回路と呼ばれることもある)は、スイッチS1a及びS1bによって選択的にアクティブ化される抵抗器R1を有する第1の抵抗器ストリング(例えば、抵抗器R1はスイッチS1aとS1bとの間に直列に結合され得る)、スイッチS2a及びS2bによって選択的にアクティブ化される抵抗器R2を有する第2の抵抗器ストリング(例えば、抵抗器R2はスイッチS2aとS2bとの間に直列に結合され得る)、スイッチS3a及びS2bによって選択的にアクティブ化される抵抗器R3を有する第3の抵抗器ストリング(例えば、抵抗器R3はスイッチS3aとS3bとの間に直列に結合され得る)など、を含み得る。これらのスイッチは、
図5の制御回路64などのスイッチ制御回路によって制御され得る。
【0047】
抵抗器Rinが6つの切り替え可能な抵抗器ストリングを有する
図9の例は、単なる例示である。一般に、抵抗器Rinは、任意の所望の数の抵抗器ストリングを有し得る。Rinの様々な抵抗器ストリングは、同じ抵抗値又は異なる抵抗値を有し得る。調節可能な抵抗器Rin内の各抵抗器ストリングのオン抵抗は、(例えば、異なるスイッチ構成が、無線受信機の動作周波数に応じて、
図7の曲線62に示されるようなRinの対応する補償値を提供することができるように)混合器のRoutの変化を補償するための所望の抵抗範囲を提供するように選択され得る。増幅器54のゲイン、帯域幅、線形性、雑音、及び位相マージンは、Rinの全ての抵抗値に対して維持され得る。必要に応じて、各抵抗器ストリングは、1つの抵抗器及び1つのスイッチのみを有し得る(例えば、第1の抵抗器ストリングは、S1bを省略しながら、S1aと直列に結合された抵抗器R1のみを有することができ、第2の抵抗器ストリングは、S2bを省略しながら、S2aと直列に結合された抵抗器T2のみを有し得る)。
【0048】
図10は、
図1~
図9に関連して示されたタイプの受信機回路に対する異なる動作モードを示す図である。
図10に示されるように、受信機回路は、その間に受信機が第1の無線周波数帯域グループBG1内の信号を受信するモード80などの第1のモード、その間に受信機が第2の無線周波数帯域グループBG2内の信号を受信するモード82などの第2のモード、その間に受信機が第3の無線周波数帯域グループBG3内の信号を受信するモード84の第3のモード、などで動作することができる。
【0049】
BG1(例えば、最も低い周波数の動作帯域グループ)で動作する際のモード80中に、調節可能な抵抗器Rinは、その抵抗器ストリングの全て又は大部分をアクティブ化させることによって、その最小値Rlowに設定され得る。BG2(例えば、BG1を上回る次の動作帯域グループ)で動作する際のモード82中に、調節可能な抵抗器Rinは、別のモードからモード82への切り替えに起因する混合器のRoutの変化を補償するための異なる値に調節され得る。BG3(例えば、BG2を上回る次の動作帯域グループ)で動作する際のモード84中に、調節可能な抵抗器Rinは、別のモードからモード84への切り替えに起因する混合器のRoutの変化を補償するための異なる値に調節され得る。一般に、受信機回路は、n個の異なる動作モードで動作することができ、ここでnは、5以上、6~10、11~15、10超、又は他の好適な値に等しくてもよい。
【0050】
図1~
図10に関連して上述した方法及び動作は、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェア(例えば、専用回路若しくはハードウェア)を使用して、デバイス10の構成要素によって実行され得る。これらの動作を実行するためのソフトウェアコードは、デバイス10の構成要素(例えば、
図1の記憶回路16及び/又は無線通信回路24)のうちの1つ以上に格納された非一時的コンピュータ可読記憶媒体(例えば、有形コンピュータ可読記憶媒体)に記憶され得る。ソフトウェアコードは、ソフトウェア、データ、命令、プログラム命令、又はコードと呼ばれることがあり得る。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、非揮発性ランダムアクセスメモリ(non-volatile random-access memory、NVRAM)、リムーバブルフラッシュドライブ又は他のリムーバブル媒体などのドライブ、他のタイプのランダムアクセスメモリなどを含むことができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されたソフトウェアは、デバイス10の構成要素のうちの1つ以上の処理回路(例えば、無線回路24内の処理回路、
図1の処理回路18など)によって実行され得る。処理回路には、マイクロプロセッサ、アプリケーションプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、中央処理ユニット(CPU)、処理回路を有する特定用途向け集積回路、又は他の処理回路が含まれ得る。
【0051】
一実施形態によれば、複数の無線周波数帯域で動作可能な無線回路であって、アンテナを介して無線周波数信号を受信するように構成された第1の増幅器と、第1の増幅器の出力に結合された第1の入力、発振器回路に結合された第2の入力、及び出力を有する混合器と、混合器の出力に結合された入力を有する第2の増幅器と、第2の増幅器の入力に結合されており、かつ無線回路が複数の無線周波数帯域にわたって動作しているときに、第2の増幅器の入力インピーダンスを調節するように構成されている、調節可能な抵抗と、を含む、無線回路が提供される。
【0052】
別の実施形態によれば、無線回路は、混合器の出力インピーダンスが減少するにつれて、調節可能な抵抗の抵抗値を増加させ、混合器の出力インピーダンスが増加するにつれて、調節可能な抵抗の抵抗値を減少させるように構成された制御回路を含む。
【0053】
別の実施形態によれば、第2の増幅器の入力は、第1の増幅器入力端子及び第2の増幅器入力端子を含み、調節可能な抵抗は、第1の増幅器入力端子に結合された第1の端子、及び第2の増幅器入力端子に結合された第2の端子を有する。
【0054】
別の実施形態によれば、無線回路は、第1の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ接地線に結合された第2の端子を有する、第1のシャントコンデンサと、第2の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ接地線に結合された第2の端子を有する、第2のシャントコンデンサと、を含む。
【0055】
別の実施形態によれば、無線回路は、第1の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ第2の増幅器の第1の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第1のフィードバックコンデンサと、第2の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ第2の増幅器の第2の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第2のフィードバックコンデンサと、を含む。
【0056】
別の実施形態によれば、無線回路は、第1の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ第1の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第1のフィードバック抵抗器と、第2の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ第2の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第2のフィードバック抵抗器と、を含む。
【0057】
別の実施形態によれば、第2の増幅器は、トランスインピーダンス増幅器を含む。
【0058】
別の実施形態によれば、調節可能な抵抗は、複数の抵抗性ストリングを含み、複数の抵抗性ストリング内の各抵抗性ストリングは、第1の抵抗器、第2の抵抗器、及びその抵抗性ストリング内の第1の抵抗器と第2の抵抗器との間に結合されたスイッチを含む。
【0059】
別の実施形態によれば、調節可能な抵抗は、複数の抵抗性ストリングを含み、複数の抵抗性ストリング内の各抵抗性ストリングは、第1のスイッチ、第2のスイッチ、及びその抵抗性ストリング内の第1のスイッチと第2のスイッチとの間に結合された抵抗器を含む。
【0060】
一実施形態によれば、複数の無線周波数帯域で無線回路を動作させる方法であって、第1の増幅器において、アンテナを介して信号を受信することと、出力インピーダンスを有する混合器において、第1の増幅器からの信号と発振器からの信号とを混合することと、第2の増幅器において、混合器から信号を受信することと、無線回路が複数の無線周波数帯域にわたって動作しているときに、混合器の出力インピーダンスの変化に基づいて、第2の増幅器の入力に結合された調節可能な抵抗器を調整することと、を含む、方法が提供される。
【0061】
別の実施形態によれば、調節可能な抵抗器は、各々が第1の抵抗器、第2の抵抗器、及びその抵抗性ストリング内の第1の抵抗器と第2の抵抗器との間に結合されたスイッチを有する、複数の抵抗性ストリングを含み、調節可能な抵抗器を調整することは、複数の抵抗性ストリングの各々においてスイッチを選択的にアクティブ化及び非アクティブ化させることを含む。
【0062】
別の実施形態によれば、調節可能な抵抗器は、各々が第1のスイッチ、第2のスイッチ、及びその抵抗性ストリング内の第1のスイッチと第2のスイッチとの間に結合された抵抗器を有する、複数の抵抗性ストリングを含み、調節可能な抵抗器を調整することは、複数の抵抗性ストリングの各々において第1のスイッチ及び第2のスイッチを選択的にアクティブ化及び非アクティブ化させることを含む。
【0063】
別の実施形態によれば、調節可能な抵抗器を調整することは、無線回路が複数の無線周波数帯域内の第1の無線周波数帯域で動作しているときに第1の抵抗値を提供するように、調整可能な抵抗器を調整することと、無線回路が複数の無線周波数帯域内の第2の無線周波数帯域で動作しているときに第1の抵抗とは異なる第2の抵抗値を提供するように、調節可能な抵抗器を調整することと、を含む。
【0064】
別の実施形態によれば、調節可能な抵抗器を調整することは、無線回路が複数の無線周波数帯域内の第1の無線周波数帯域で動作しているときに第1の抵抗値を提供するように、調節可能な抵抗器を調整することと、無線回路が第1の無線周波数帯域よりも大きい複数の無線周波数帯域内の第2の無線周波数帯域で動作しているときに、第1の抵抗値よりも大きい第2の抵抗値を提供するように調節可能な抵抗器を調整することと、を含む。
【0065】
別の実施形態によれば、第2の増幅器は、100MHz超の帯域幅を有するトランスインピーダンス増幅器を含む。
【0066】
一実施形態によれば、電子デバイスであって、アンテナに結合された第1の入力、発振器に結合された第2の入力、及び出力を有する混合器と、混合器の出力に結合された入力を有する増幅器と、増幅器の入力に結合された調節可能な抵抗と、増幅器によって出力された信号に基づいて生成されたデータを受信するように構成された処理回路と、を含む、電子デバイスが提供される。
【0067】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、増幅器の動作周波数の関数として、調節可能な抵抗を調整するように構成された制御回路を含む。
【0068】
別の実施形態によれば、増幅器の入力は、第1の増幅器入力端子及び第2の増幅器入力端子を含み、調節可能な抵抗は、第1の増幅器入力端子に結合された第1の抵抗器端子、及び第2の増幅器入力端子に結合された第2の抵抗器端子を有する。
【0069】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、第1の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ接地線に結合された第2の端子を有する、第1のシャントコンデンサと、第2の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ接地線に結合された第2の端子を有する、第2のシャントコンデンサと、を含む。
【0070】
別の実施形態によれば、増幅器は、第1の増幅器出力端子及び第2の増幅器出力端子を含み、電子デバイスは、第1の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ第1の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第1のフィードバックコンデンサと、第2の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ第2の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第2のフィードバックコンデンサと、第1の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ第1の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第1のフィードバック抵抗器と、第2の増幅器入力端子に結合された第1の端子を有し、かつ第2の増幅器出力端子に結合された第2の端子を有する、第2のフィードバック抵抗器と、を含む。
【0071】
前述は、単なる例示であり、様々な修正が、記載の実施形態になされてもよい。前述の実施形態は、個々に又は任意の組み合わせで実装されてもよい。