(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】リソグラフィ用工程液組成物及びこれを用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/32 20060101AFI20231109BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
G03F7/32 501
H01L21/30 569E
(21)【出願番号】P 2022500989
(86)(22)【出願日】2020-06-24
(86)【国際出願番号】 KR2020008141
(87)【国際公開番号】W WO2021010609
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】10-2019-0086818
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516210942
【氏名又は名称】ヨンチャン ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】YOUNG CHANG CHEMICAL CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】イ スジン
(72)【発明者】
【氏名】キム ギフン
(72)【発明者】
【氏名】イ スンフン
(72)【発明者】
【氏名】イ スンヒョン
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-181145(JP,A)
【文献】特表2016-504482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/32
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトレジストパターン工程においてフォトレジスト表面の水に対する接触角が70°以上の疎水性を有するフォトレジストパターンのリフティング欠陥改善及び欠陥数減少用工程液組成物であって、表面張力が40mN/m以下であり、接触角が60°以下である
ものであって、
フッ素系界面活性剤0.00001~0.1重量%と、
炭化水素系アニオン界面活性剤0.0001~0.1重量%と、
テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド又はこれらの混合物よりなる群から選択されるアルカリ物質0.0001~0.1重量%と、を含有し、
残部は水からなることを特徴とする、界面活性剤が含まれたフォトレジストパターンのリフティング欠陥改善及び欠陥数減少用工程液組成物。
【請求項2】
フッ素系界面活性剤0.0001~0.1重量%と、
炭化水素系アニオン界面活性剤0.001~0.1重量%と、
アルカリ物質0.001~0.1重量%と、
水99.7~99.9979重量%とから構成される、請求項
1に記載のフォトレジストパターンのリフティング欠陥改善及び欠陥数減少用工程液組成物。
【請求項3】
前記フッ素系界面活性剤が、フルオロアクリルカルボキシレート(Fluoroacryl carboxylate)、フルオロアルキルエーテル(Fluoroalkyl ether)、フルオロアルキレンエーテル(Fluoroalkylene ether)、フルオロアルキルサルフェート(Fluoroalkyl sulfate))、フルオロアルキルホスフェート(Fluoroalkyl phosphate)、フルオロアクリルコポリマー(Fluoroacryl co-polymer)、フルオロコポリマー(Fluoro co-polymer)、過フッ素化酸(perfluorinated acid)、過フッ素化カルボン酸塩(perfluorinated carboxylate)、過フッ素化スルホン酸塩(perfluorid sulfonate)又はこれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項
2に記載のフォトレジストパターンのリフティング欠陥改善及び欠陥数減少用工程液組成物。
【請求項4】
前記炭化水素系アニオン界面活性剤が、ポリカルボン酸アンノニウム塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩又はこれらの混合物よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項
2に記載のフォトレジストパターンのリフティング欠陥改善及び欠陥数減少用工程液組成物。
【請求項5】
(a)半導体基板にフォトレジストを塗布して膜を形成するステップと、
(b)前記フォトレジスト膜を露光させた後、現像してパターンを形成するステップと、
(c)前記フォトレジストパターンを請求項1~
4のいずれか一項に記載のフォトレジストパターンのリフティング欠陥改善及び欠陥数減少用工程液組成物で洗浄するステップと、を含んでなることを特徴とする、フォトレジストパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジストパターン工程においてフォトレジスト表面の水に対する接触角が70°以上の疎水性を有するフォトレジストパターンのリフティング欠陥改善用工程液組成物、及びこれを用いたフォトレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体は、193nm、248nm又は365nmなどの波長帯紫外線を露光光とするリソグラフィ工程によって製造され、各メーカーが最小線幅(以下、CD:Critical Dimension)を減少させるための競争が激しい。
【0003】
これにより、より微細なパターンを形成するためにより小さな波長帯の光源を必要とするが、現在、極紫外線(EUV、extreme ultra violet、波長13.5nm)光源を利用したリソグラフィ技術が盛んに用いられており、これを利用してより微細なパターンを実現することができるようになった。
しかし、極紫外線用フォトレジストのエッチング(etching)耐性が依然として改善されていないので、アスペクト比の大きいフォトレジストパターンが継続的に必要とされており、これにより現像中にパターンのリフティング欠陥が容易に発生し且つ欠陥数が増加することにより、製造工程における工程マージンが大幅に減少するという問題が生じている。
そのため、微細パターン形成中に発生するリフティング欠陥レベルを改善し、欠陥数を減らすための技術開発が求められている。パターンリフティング欠陥レベルを改善し且つ欠陥数を減らすために、フォトレジストの性能向上が最善であるが、すべての性能を満足させるフォトレジストの新規開発が困難な現実を無視できない状況である。
フォトレジストの新規開発の必要性はともかく、他の方法でパターンリフティングレベルを改善し且つ欠陥数を減らすための努力が続けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、フォトレジスト表面の水に対する接触角が70°以上の疎水性を有するフォトレジストを現像した後に発生するパターンのリフティング欠陥レベルを改善し且つ欠陥数を減少させるための工程液組成物、及びこれを用いたフォトレジストパターン形成方法の開発にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
現像工程中に使用する水系タイプの工程液組成物には様々な界面活性剤が使われているが、本発明では、フッ素系界面活性剤及び炭化水素系アニオン界面活性剤を用いて効果的な工程液組成物を製造した。
超純水を主に使用する水系タイプの工程液組成物に、疎水性に近い炭化水素系非イオン界面活性剤を使用する場合、フォトレジスト壁面の疎水化を誘導してパターンのメルティング(melting)及び崩壊減少を誘導することができるが、炭化水素系非イオン界面活性剤同士が凝集する傾向が強いため、工程液組成物の物性が均一にならず、使用中にむしろ凝集した炭化水素系非イオン界面活性剤によって欠陥(defect)を引き起こす可能性がある。つまり、炭化水素系非イオン界面活性剤を使用する場合、メルティング改善のために使用量を増加させなければならず、これは、フォトレジストにダメージ(Damage)が発生するおそれがある。また、毛細管力を減少させるために工程液組成物の表面張力を下げる目的で不適切な界面活性剤を過剰使用する場合、パターンのメルティングを誘導してむしろパターン崩壊をさらに誘発させる可能性がある。
また、炭化水素系カチオン界面活性剤の場合は、水溶液において活性基がカチオンに解離するものであって、メタルが保証されることが珍しい。これは、フォトリソグラフィ工程において重大な欠陥を発生させる要因となるおそれがある。
【0006】
本発明では、フッ素系界面活性剤及び炭化水素系アニオン界面活性剤を使用することにより、パターンリフティング欠陥レベルを改善し且つ欠陥数を減少させる効果に優れていることを確認した。これは、炭化水素系非イオン界面活性剤と比較して表面張力及び接触角を下げて浸透力及び広がり性の増加により微細パターンの形成に役立つ結果として把握された。
【0007】
現在、大部分のフォトリソグラフィ現像工程に使用する代表的な現像液として、純水をベースとしてテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを一定の濃度(大部分の工程では、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38重量%と水97.62重量%とを混合して使用している)で希釈して使用している。
フォトリソグラフィ工程中にフォトレジスト表面の水に対する接触角が70°以上の疎水性を有するフォトレジストパターンの現像後に連続的に純水単独で洗浄する場合、パターンリフティング欠陥を確認したとともに、純水にテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが含まれている工程液組成物を現像後に連続的に適用するか或いは純水を連続的に適用する場合でもパターン崩れを確認した。
テトラメチルアンモニウムヒドロキシドが含まれている工程液組成物の場合は、露光した微細パターンを弱め、毛細管力が大きいか不均一であってパターンを崩すものと推定することができる。
したがって、露光したパターンの崩壊を改善し、且つさらに工程で必要とされるフォトレジストパターンのLWR(Line Width Roughness)及び欠陥を改善するためには、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドよりも相対的に露光したパターンに及ぼす力が弱いアルカリ物質に対する検討が必要である。
本発明では、アルカリ物質のうち、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを用いる場合、パターン崩壊だけでなく、LWRや欠陥が改善されることを確認した。
【0008】
このため、本発明は、好ましい第1実施形態として、フッ素系界面活性剤0.00001~0.1重量%、炭化水素系アニオン界面活性剤0.0001~0.1重量%、アルカリ物質0.0001~0.1重量%、及び水99.7~99.99979重量%から構成され、表面張力が40mN/m(ミリニュートン/メートル;milinewton/meter=1/1000ニュートン/メートル)以下であり、接触角が60°以下であることを特徴とする、フォトレジスト現象中に発生するフォトレジストパターンのリフティング欠陥レベル改善及び欠陥数減少用工程液組成物を提供する。
【0009】
また、本発明は、さらに好ましい第2実施形態として、フッ素系界面活性剤0.0001~0.1重量%、炭化水素系アニオン界面活性剤0.001~0.1重量%、アルカリ物質0.001~0.1重量%、及び水99.7~99.9979重量%から構成され、表面張力が40mN/m以下であり、接触角が60°以下であることを特徴とする、フォトレジスト現象中に発生するフォトレジストパターンのリフティング欠陥レベル改善及び欠陥数減少用工程液組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、最も好ましい第3実施形態として、フッ素系界面活性剤0.001~0.1重量%、炭化水素系アニオン界面活性剤0.01~0.1重量%、アルカリ物質0.01~0.1重量%、及び水99.7~99.979重量%から構成され、表面張力が40mN/m以下であり、接触角が60°以下であることを特徴とする、フォトレジスト現象中に発生するフォトレジストパターンのリフティング欠陥レベル改善及び欠陥数減少用工程液組成物を提供する。
【0011】
前記実施形態によるフッ素系界面活性剤は、フルオロアクリルカルボキシレート(Fluoroacryl carboxylate)、フルオロアルキルエーテル(Fluoroalkyl ether)、フルオロアルキレンエーテル(Fluoroalkylene ether)、フルオロアルキルサルフェート(Fluoroalkyl sulfate)、フルオロアルキルホスフェート(Fluoroalkyl phosphate)、フルオロアクリルコポリマー(Fluoroacryl co-polymer)、フルオロコポリマー(Fluoro co-polymer)、過フッ素化酸(perfluorinated acid)、過フッ素化カルボン酸塩(perfluorinated carboxylate)、過フッ素化スルホン酸塩(perfluorid)又はこれらの混合物よりなる群から選択されるものであり得る。
前記実施形態による炭化水素系アニオン界面活性剤は、ポリカルボン酸アンモニウム塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩又はこれらの混合物よりなる群から選択されるものであり得る。
前記実施形態によるアルカリ物質は、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、又はこれらの混合物よりなる群から選択されるものであり得る。
【0012】
また、本発明は、(a)半導体基板にフォトレジストを塗布して膜を形成するステップと、(b)フォトレジスト膜を露光させた後、現像してパターンを形成するステップと、(c)前記フォトレジストパターンを前記フォトレジストパターンのリフティング欠陥改善及び欠陥数減少用工程液組成物で洗浄するステップと、を含んでなることを特徴とする、フォトレジストパターン形成方法を提供する。
パターン崩壊の原因は、現像後に純水でパターンを洗浄するときにパターン同士の間に発生する毛細管力によるものと考えられているが、毛細管力を減少させるだけではパターン崩壊を完全に改善し且つ欠陥数を減少させることができないことを経験的に分かることができた。
毛細管力を減少させるために工程液組成物の表面張力を下げる目的で不適切な界面活性剤を過剰使用する場合、パターンのメルティングを誘導してむしろパターンリフティング欠陥をさらに誘発させるか或いは欠陥数を増加させることができる。
【0013】
パターンリフティング欠陥を改善し且つ欠陥数を減少させるためには、工程液組成物の表面張力を減少させるとともにフォトレジストパターンのメルティングを防止する界面活性剤の選択が重要である。
本発明の工程液組成物は、フォトレジストに優れた効果を発揮し、特にフォトレジストの表面の水に対する接触角が70°以上の疎水性を有するフォトレジストの現像中に発生するパターンのリフティング欠陥を改善し且つ欠陥数を減少させるという効果がある。
【発明の効果】
【0014】
本発明の工程液組成物は、フォトレジストの表面の水に対する接触角が70°以上の疎水性を有するフォトレジストを用いたパターン形成の際に、フォトレジスト単独では達成できない効果である、パターンのリフティング欠陥を改善し且つ欠陥数を減少させる効果があり、特にこのような工程液組成物で洗浄するステップを含むフォトレジストパターン形成方法は、生産コストを大幅に削減することができるという効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をより詳細に説明する。
長期間の数多くの研究を介して開発された本発明は、「フルオロアクリルカルボキシレート(Fluoroacryl carboxylate)、フルオロアルキルエーテル(Fluoroalkyl ether)、フルオロアルキレンエーテル(Fluoroalkylene ether)、フルオロアルキルサルフェート(Fluoroalkyl sulfate)、フルオロアルキルホスフェート(Fluoroalkyl phosphate)、フルオロアクリルコポリマー(Fluoroacryl co-polymer)、フルオロコポリマー(Fluoro co-polymer)、過フッ素化酸(perfluorinated acid)、過フッ素化カルボン酸塩(perfluorinated carboxylate)、過フッ素化スルホン酸塩(perfluorid)又はこれらの混合物よりなる群から選択されるものであるフッ素系界面活性剤0.00001~0.1重量%;ポリカルボン酸アンモニウム塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩又はこれらの混合物よりなる群から選択されるものであるアニオン界面活性剤0.0001~0.1重量%;テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド又はこれらの混合物よりなる群から選択されるものであるアルカリ物質0.0001~0.1重量%;及び水99.7~99.99979重量%から構成されるフォトレジストパターンのリフティング欠陥改善及び欠陥数減少用工程液組成物」に関するものであり、このような本発明の工程液組成物の組成成分及び組成比を実施例1~実施例60として設定し、これと対比される組成成分及び組成比を比較例1~比較例12として設定した。
以下、本発明の好適な実施例及びこれと比較するための比較例について説明する。ところが、下記実施例は本発明の好適な一実施例に過ぎず、本発明は下記実施例に限定されない。
【実施例】
【0016】
[実施例1]
フルオロアクリルカルボキシレート0.001重量%、ポリカルボン酸アンモニウム塩0.01重量%及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシド0.005重量%が含まれている、フォトレジストパターンの崩壊レベルを改善するための工程液組成物を次の方法で製造した。
フルオロアクリルカルボキシレート0.001重量%、ポリカルボン酸アンモニウム塩0.01重量%及びテトラブチルアンモニウムヒドロキシド0.005重量%を残量の蒸留水に投入して5時間攪拌した後、微細固形分不純物を除去するために0.01μmのフィルターに通過させることにより、フォトレジストパターンの崩壊レベルを改善するための工程液組成物を製造した。
【0017】
[実施例2~実施例60]
表1乃至表12に記載されている組成によって、実施例1と同様のフォトレジストパターンの欠陥レベルを改善するための工程液組成物を製造した。
[比較例1]
一般に、半導体素子製造工程中に現像工程の最後の洗浄液として使用される蒸留水を用意した。
[比較例2~比較例12]
表1乃至表12に記載されている組成によって、実施例と比較するために実施例1と同様にして工程液組成物を製造した。
[実験例1~実験例60、比較実験例1~比較実験例12]
実施例1~実施例60及び比較例1~比較例12でパターンが形成されたシリコンウエーハに対してパターンリフティング欠陥及び欠陥数減少比を測定し、実験例1~実験例60、比較実験例1~比較実験例12として示し、その結果を表13に記載した。
【0018】
(1)パターンリフティング防止の確認
露光エネルギーとフォーカスをスプリットした後、測長走査型電子顕微鏡(CD-SEM、日立製作所製)を用いて、全ブロック数89個のうち、パターンが崩れないブロック(block)の数を測定した。
(2)リフティング欠陥数減少比
表面欠陥観察装置[KLA Tencor社製]を用いてそれぞれの工程液組成物試料によってリンス処理したフォトレジストパターンに対して、欠陥数(A)を計測し、純水のみでリンス処理した場合の欠陥数(B)に対する百分率(%)、すなわち(A/B)×100として示した。
純水のみで処理した後の欠陥数を100に定めて基準とし、純水のみで処理した欠陥数より減少(改善)又は増加(悪化)する程度を減少比で表示した。
(3)透明度
製造された工程液組成物の透明度を目視で確認し、透明又は不透明で表示した。
(4)表面張力と接触角
表面張力測定機[K-100、Kruss社製]、接触角測定機[DSA-100、Kruss社製]を用いて、それぞれ製造された工程液組成物の表面張力と接触角を測定した。
【0019】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0020】
[実験例1~実験例60と比較実験例1~比較実験例12]
実施例1~実施例60及び比較例1~比較例12でパターンが形成されたシリコンウエーハに対してパターンリフティング欠陥レベル、欠陥数減少比、透明度、接触角及び表面張力を測定して実験例1~実験例60、比較実験例1~比較実験例12として示し、その結果を表13(表が長いために表13A、13Bに2分割している。各表の各列の項目は同一である)に記載した。
(1)パターンリフティング防止の確認
露光エネルギーとフォーカスをスプリットした後、測長走査型電子顕微鏡(CD-SEM、日立製作所製)を用いて、全ブロック数89個のうち、パターンが崩れないブロック(block)の数を測定した。
(2)リフティング欠陥数
表面欠陥観察装置[KLA Tencor社製]を用いてそれぞれの工程液組成物試料によってリンス処理したフォトレジストパターンに対して、欠陥数(A)を計測し、純水のみでリンス処理した場合の欠陥数(B)に対する百分率(%)、すなわち(A/B)×100として示した。
(3)透明度
製造された工程液組成物の透明度を目視で確認し、透明又は不透明で表示した。
(4)接触角と表面張力
接触角測定機[DSA-100、Kruss社製]、表面張力測定機[K-100、Kruss社製]を用いて、それぞれ製造された工程液組成物の表面張力と接触角を測定した。
【0021】
【0022】
実験例1~実験例60と比較実験例1~比較実験例12とを比較した結果、比較実験例1を基準にパターン崩壊のないブロックの数が50個以上であり、欠陥数減少比が90%以下であれば、改善された優秀な結果を示すことを確認することができた。
【0023】
実験例1~実験例60に該当する工程液組成物である、フルオロアクリルカルボキシレート(Fluoroacryl carboxylate)、フルオロアルキルエーテル(Fluoroalkyl ether)、フルオロアルキレンエーテル(Fluoroalkylene ether)、フルオロアルキルサルフェート(Fluoroalkyl sulfate)、フルオロアルキルホスフェート(Fluoroalkyl phosphate)、フルオロアクリルコポリマー(Fluoroacryl co-polymer)、フルオロコポリマー(Fluoro co-polymer)、過フッ素化酸(perfluorinated acid)、過フッ素化カルボン酸塩(perfluorinated carboxylate)、過フッ素化スルホン酸塩(perfluorid sulfonate)の中から選択されたフッ素系界面活性剤0.00001~0.1重量%;ポリカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩の中から選択されたアニオン界面活性剤0.0001~0.1重量%;テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの中から選択されたアルカリ物質0.0001~0.1重量%;及び水99.7~99.99979重量%から構成される工程液組成物の場合は、比較実験例1乃至比較実験例12と比較して、パターンリフティング欠陥が改善され且つ欠陥数も改善されたことを確認することができた。
また、実験例1乃至実験例60に該当する工程液組成物のうち、フルオロアクリルカルボキシレート(Fluoroacryl carboxylate)、フルオロアルキルエーテル(Fluoroalkyl ether)、フルオロアルキレンエーテル(Fluoroalkylene ether)、フルオロアルキルサルフェート(Fluoroalkyl sulfate)、フルオロアルキルホスフェート(Fluoroalkyl phosphate)、フルオロアクリルコポリマー(Fluoroacryl co-polymer)、フルオロコポリマー(Fluoro co-polymer)、過フッ素化酸(perfluorinated acid)、過フッ素化カルボン酸塩(perfluorinated carboxylate)、過フッ素化スルホン酸塩(perfluorid sulfonate)の中から選択されたフッ素系界面活性剤0.0001~0.1重量%;ポリカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩の中から選択された炭化水素系アニオン界面活性剤0.001~0.1重量%;テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの中から選択されたアルカリ物質0.001~0.1重量%;及び水99.7~99.9979重量%から構成される工程液組成物の場合は、比較実験例1乃至比較実験例12と比較して、パターンリフティング欠陥改善及び欠陥数改善効果が好ましく増加することを確認することができた。
【0024】
また、実験例1乃至実験例60に該当する工程液組成物のうち、フルオロアクリルカルボキシレート(Fluoroacryl carboxylate)、フルオロアルキルエーテル(Fluoroalkyl ether)、フルオロアルキレンエーテル(Fluoroalkylene ether)、フルオロアルキルサルフェート(Fluoroalkyl sulfate)、フルオロアルキルホスフェート(Fluoroalkyl phosphate)、フルオロアクリルコポリマー(Fluoroacryl co-polymer)、フルオロコポリマー(Fluoro co-polymer)、過フッ素化酸(perfluorinated acid)、過フッ素化カルボン酸塩(perfluorinated carboxylate)、過フッ素化スルホン酸塩(perfluorid sulfonate)の中から選択されたフッ素系界面活性剤0.001~0.1重量%;ポリカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩の中から選択された炭化水素系アニオン界面活性剤0.01~0.1重量%;テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの中から選択されたアルカリ物質0.01~0.1重量%;及び水99.7~99.979重量%から構成される工程液組成物の場合は、比較実験例1乃至比較実験例12と比較して、パターンリフティング欠陥改善及び欠陥数改善効果がさらに好ましく増加することを確認することができた。
実施例1によるフォトレジストパターンの崩壊レベルを評価した結果、 パターン崩壊が起こらないブロック(block)の数が80個と測定された。
比較実験例1によるフォトレジストパターンの崩壊レベルを評価した結果、 パターン崩壊が起こらないブロック(block)の数が46個と測定された。
【0025】
以上、本発明の特定の部分を詳細に説明したので、当業分野における通常の知識を有する者にとって、このような具体的技術は単に好適な実施態様に過ぎず、これにより本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は、請求の範囲とそれらの等価物によって定義されるというべきである。