(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】ステント伝達アセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/958 20130101AFI20231109BHJP
【FI】
A61F2/958
(21)【出願番号】P 2022538464
(86)(22)【出願日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 KR2022001350
(87)【国際公開番号】W WO2022182005
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0025497
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512317630
【氏名又は名称】ジェノス株式会社
【氏名又は名称原語表記】GENOSS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】(Iui-dong,1st Floor,Gyeonggi R&DB Center) 105, Gwanggyo-ro, Yeongtong-gu, Suwon-si, Gyeonggi-do 16229 Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】522247596
【氏名又は名称】エムディシノード カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MDSYNOD CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】(Jeongja-dong) 1019-ho, A-dong, 295, Seongnam-daero, Bundang-gu, Seongnam-si, Gyeonggi-do 13559 Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ムーン ウンジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ソンミン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン スゾ
(72)【発明者】
【氏名】タク スンジェ
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-505742(JP,A)
【文献】特表2012-500673(JP,A)
【文献】特表2020-512110(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0259288(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
A61F 2/954
A61F 2/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端と末端を備えるシャフトと、前記末端より前記先端に隣接するように前記シャフトに設置されるバルーンとを備えるカテーテル;及び
前記バルーンの外周面を包むように前記バルーンに結合される管体形状のステントを含み、
前記バルーンは、第1端部と第2端部を備えるメイン胴体を含み、
前記メイン胴体は、前記ステントが前記第1端部に偏って位置することにより、前記第2端部と前記ステントの間において外部に露出する優先膨張領域を含み、
前記メイン胴体は、前記第1端部から前記第2端部までの全区間において1つの同一の直径で単一内部空間を構成するように延長形成され、
前記ステントの一端部から他端部までの全領域は、前記バルーンの前記第1端部と前記第2端部の間の同一の直径で延長形成される全区間内に対応して位置し、
前記シャフトは、前記単一内部空間と連通する内腔を備え、
前記内腔を介して前記単一内部空間に供給される流体により前記バルーンが膨張する過程で、前記バルーンの前記優先膨張領域が前記ステントにより包まれて膨張に対する抵抗を受ける遅延膨張領域より優先的に膨張することによる力により、前記ステントの前記優先膨張領域に近い部分はテーパした形状に膨張されるように構成される、ステント伝達アセンブリ。
【請求項2】
前記第1端部は、
前記第2端部より前記シャフトの先端に近く位置する、請求項1に記載のステント伝達アセンブリ。
【請求項3】
前記優先膨張領域は、
3ないし7mmの範囲内において決定されたものである、請求項1に記載のステント伝達アセンブリ。
【請求項4】
前記優先膨張領域は、
3ないし6mmの範囲内において決定されたものである、請求項1に記載のステント伝達アセンブリ。
【請求項5】
先端と末端を備えるシャフトと、前記末端より前記先端に隣接するように前記シャフトに設置されるバルーンとを備えるカテーテル;及び
前記バルーンの外周面を包むように前記バルーンに結合される管体形状のステントを含み、
前記バルーンは、第1端部と第2端部を備えるメイン胴体を含み、
前記メイン胴体は、前記ステントが前記第1端部に偏って位置することにより、前記第2端部と前記ステントの間において外部に露出する優先膨張領域を含み、
前記メイン胴体は、前記第1端部から前記第2端部まで同一の直径で単一内部空間を構成するように延長形成され、
前記バルーンの膨張過程において、前記バルーンの前記優先膨張領域が前記ステントにより包まれて膨張に対する抵抗を受ける遅延膨張領域より優先的に膨張することによる力により、前記ステントの前記優先膨張領域に近い部分はテーパした形状に膨張されるように構成される、ステント伝達アセンブリ。
【請求項6】
前記ステントの一端部から他端部までの全領域は、前記バルーンの前記第1端部と前記第2端部の間の同一の直径で延長形成される全区間内に対応して位置する、請求項5に記載のステント伝達アセンブリ。
【請求項7】
前記第1端部は、
前記第2端部より前記シャフトの先端に近く位置する、請求項5に記載のステント伝達アセンブリ。
【請求項8】
前記優先膨張領域は、
3ないし6mmの範囲内において決定されたものである、請求項5に記載のステント伝達アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管内の特定位置にステントを伝達するためのアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ステント伝達アセンブリは、バルーンの上にステントがクリンピング(Crimping)されたものであり、ステントをターゲット病変まで接近させた後、バルーンの膨張により膨張されたステントが狭くなった血管を拡大する。
【0003】
血管の入り口の起始部病変(ostial lesion)や血管が分岐する部分での分岐部病変(bifurcation lesion)がある場合、ステントは血管の起始部に正確に位置し、形状に合わせて変形される必要がある。該当部分は血管造影法において目で位置を確定しにくく、心臓血管は心臓の鼓動によって動くため、施術途中に血管の起始部にステントの近位部を施術者が正確に合わせて位置させることは非常に難しい。
【0004】
このために、様々な種類のステントとステント伝達アセンブリが開発されてきたが、まだ、製作が便利かつ効果的な技術は開発されていない。例えば、カテーテルのバルーンをテーパした形状に製作する技術もあるが、これは特殊な形態のバルーンを製作しなければならないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は、バルーンの製作を容易にするとともに、血管の開口部病変と分岐部病変に対応してバルーンを正確に位置させて拡張できるようにする、ステント伝達アセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を実現するための本発明の一側面によるステント伝達アセンブリは、先端と末端を備えるシャフトと、前記末端より前記先端に隣接するように前記のシャフトに設置されるバルーンとを備えるカテーテル;及び前記バルーンの外周面を包むように前記バルーンに結合される管体形状のステントを含み、前記バルーンは、第1端部と第2端部を備えるメイン胴体を含み、前記メイン胴体は、前記ステントが前記第1端部に偏って位置することにより、前記第2端部と前記ステントの間において外部に露出される優先膨張領域を含み、前記メイン胴体は、前記第1端部から前記第2端部まで全区間において1つの同一の直径で単一内部空間を構成するように延長形成され、前記ステントの一端部から他端部までの全領域は、前記バルーンの前記第1端部と前記第2端部の間の同一の直径で延長形成される全体区間内に対応して位置し、前記シャフトは、前記単一内部空間と連通する内腔を備え、前記内腔を介して前記単一内部空間に供給される流体により前記バルーンが膨張する過程で、前記バルーンの前記優先膨張領域が前記ステントにより包まれて膨張に対する抵抗を受ける遅延膨張領域より優先的に膨張することによる力により、前記ステントの前記優先膨張領域に近い部分はテーパした形状に膨張されるように構成される。
【0007】
ここで、前記第1端部は、前記第2端部より前記シャフトの先端に近く位置する。
【0008】
ここで、前記優先膨張領域は、3ないし7mm範囲内で決定されるものであり得る。
【0009】
ここで、前記優先膨張領域は、3ないし6mm範囲内において決定されたものであり得る。
【0010】
本発明の他の一側面によるステント伝達アセンブリは、先端と末端を備えるシャフトと、前記末端より前記先端に隣接するように前記シャフトに設置されるバルーンとを備えるカテーテル;及び前記バルーンの外周面を包むように前記バルーンに結合される管体形状のステントを含み、前記バルーンは、第1端部と第2端部を備えるメイン胴体を含み、前記メイン胴体は、前記ステントが前記第1端部に偏って位置することにより、前記第2端部と前記ステントの間において外部に露出される優先膨張領域を含み、前記メイン胴体は、前記第1端部から前記第2端部まで同一の直径で単一内部空間を構成するように延長形成され、前記バルーンの膨張過程で、前記バルーンの前記優先膨張領域が前記ステントにより包まれて膨張に対する抵抗を受ける遅延膨張領域より優先的に膨張することによる力により、前記ステントの前記優先膨張領域に近い部分はテーパ状に膨張されるように構成される。
【0011】
ここで、前記ステントの一端部から他端部までの全領域は、前記バルーンの前記第1端部と前記第2端部の間の同一の直径で延長形成される全体区間内に対応して位置する。
【0012】
ここで、前記第1端部は、前記第2端部より前記シャフトの先端に近く位置する。
【0013】
ここで、前記優先膨張領域は、3ないし6mm範囲内において決定されたものであり得る。
【0014】
本発明のまた他の一側面によるステント伝達アセンブリは、先端と末端を備えるシャフトと、前記末端より前記先端に隣接するように前記シャフトに設置されるバルーンとを備えるカテーテル;及び前記バルーンの外周面を包むように前記バルーンに結合される管体形状のステントを含み、前記バルーンは、第1端部と第2端部を備えるメイン胴体を含み、前記メイン胴体は、前記ステントが前記第1端部に偏って位置することにより、前記第2端部と前記ステントの間において外部に露出される優先膨張領域を含み、前記メイン胴体は、前記第1端部から前記第2端部まで同一の直径で延長形成され、前記バルーンの膨張時に前記優先膨張領域の優先的膨張による力により、前記ステントの前記優先膨張領域に近い部分はテーパした形状に膨張されるように構成される。
【0015】
ここで、前記シャフトは、前記メイン胴体の内部空間と連通する内腔をさらに含み、前記内腔を介して前記内部空間に供給される流体により前記バルーンが膨張される。
【0016】
ここで、前記メイン胴体は、前記ステントにより包まれる遅延膨張領域をさらに含み、前記バルーンの膨張過程で、前記優先膨張領域は前記遅延膨張領域が前記ステントにより膨張に対する抵抗を受ける中に優先的に膨張する。
【発明の効果】
【0017】
前記のように構成される本発明によるステント伝達アセンブリによれば、カテーテルはバルーンを備え、ステントはバルーンを包むように配置されるが、バルーンはステントにより包まれる領域と包まれずに外部に露出される優先膨張領域に区分される時、優先膨張領域はバルーンのメイン胴体の第2端部側に偏って位置し、優先膨張領域を含むメイン胴体は同一の直径で延長されるので、バルーンの加工が容易でありながらもバルーンの膨張時に優先膨張領域の優先的膨張による力によりステントの優先膨張領域に近い部分はテーパした形状に膨張されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施例によるステント伝達アセンブリ100を示した概念斜視図である。
【
図2】
図1においてバルーン115とステント150が結合された部分を拡大した概念斜視図である。
【
図3】優先膨張領域117の長さが5mmである場合の実験結果を示した写真である。
【
図4】
図3のテーパ部155を中心に拡大した写真である。
【
図5】優先膨張領域117の長さが10mmである場合の実験結果を示した写真である。
【
図6】優先膨張領域117の長さ別の実験結果を総合して示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施例によるステント伝達アセンブリについて添付の図面を参照して詳しく説明する。本明細書においては相異なる実施例であっても同一・類似した構成については同一・類似した参照番号を付与し、その説明は最初の説明に代える。
【0020】
図1は、本発明の一実施例によるステント伝達アセンブリ100を示した概念斜視図である。
【0021】
本図を参照すると、ステント伝達アセンブリ100は、カテーテル110とステント150を含む。
【0022】
まず、カテーテル110は、ハブ111、シャフト113、及びバルーン115を有する。
【0023】
ハブ111は中空状の円筒体である。ハブ111は、施術者が手で握ることのできる形状に形成される。材質的な面から、ハブ111はプラスチック系の素材で形成されてもよい。
【0024】
シャフト113は、血管内に挿入される部分であり、チューブのような形状を有する。シャフト113の一端である先端114は血管内への挿入のために挿入先端になる部分であり、他端である末端はハブ111に固定される固定末端である。シャフト113には「内腔(lumen)」が形成される。シャフト113の先端114に近い部分は心臓などの屈曲が多い血管に挿入される部分であって、その屈曲に対応して曲がるように軟性度の高い物質で製造されてもよい。
【0025】
バルーン115は、シャフト113の先端114に近い位置に設置される。バルーン115は、弾性材質で形成され、前記内腔を介して供給される流体により膨張する。流体供給が中断又は回収されると、バルーン115は再び縮小される。バルーン115の単一内部空間に対してシャフト113には単一内腔のみを形成して単一流体供給を行う。従って、ステント伝達アセンブリは心血管に対する使用に適している。それは、心血管に使用されるカテーテルは深い病変まで到達するために柔軟性に優れていなければならず、狭い病変間を通らなければならない場合、断面積が小さいほど有利であるためである。また、心血管を長時間閉鎖できない施術上の理由によりバルーンを収縮/膨張させる時間は短くなければならないためである。バルーン115の単一内部空間に対してシャフト113には単一内腔のみを形成して単一流体供給を行うことができるため、施術者は1つのインフレーション/デフレーション装置のみを操作すれば良いという利点もある。
【0026】
次に、ステント150は、血管内に挿入されて血管内の血液の流動断面積を広げるための構造物である。ステント150は、ジグザグに延長するストラットが互いに連結されて、全体的に膨張可能なパイプ状になる(
図4の写真参照)。さらに、ステント150はコバルト合金材質で形成されてもよい。
【0027】
ステント150は、バルーン115の外周面を包んでいる状態で収縮して、バルーン115にクリンピング(crimping)されて結合される。ステント150は、バルーン115の長さより短い長さを有してもよい。
【0028】
以下、
図2を参照して、バルーン115とステント150の結合関係について具体的に説明する。
図2は、
図1においてバルーン115とステント150を拡大した概念斜視図である。
【0029】
本図を参照すると、バルーン115は、シャフト113の長さ方向に沿って延長するように形成される。バルーン115はメイン胴体116を有する。メイン胴体116の一端である第1端部116aは先端114に近く位置し、他端である第2端部116bは第1端部116aよりはハブ111に近く位置する。第1端部116aから第2端部116bまでバルーン115の直径は同一に維持される。メイン胴体116は、第1端部116aから第2端部116bまで単一の内部空間を有する。それにより、バルーン115に対する射出製作及び内腔を有するシャフト113に対する製作過程が単純になるという利点がある。
【0030】
メイン胴体116は、ステント150により全体が覆われるわけではない。さらに、ステント150は第1端部116aに偏って位置する。それにより、バルーン115のメイン胴体116のステント150により覆われていない領域、すなわち、ステント150と第2端部116bの間の領域は外部に露出する。この外部に露出する領域は、優先膨張領域117と呼ばれる。
【0031】
優先膨張領域117の機能については、
図3ないし
図6を参照して実験結果を説明する。
【0032】
まず、
図3は、優先膨張領域117の長さが5mmである場合の実験結果を示す写真であり、
図4は、
図3のテーパ部155を中心に拡大した写真である。
【0033】
本図を参照すると、内腔を介してバルーン115の単一内部空間に対して流体が注入されてバルーン115が膨張する場合、バルーン115の優先膨張領域117が優先的に膨張する。バルーン115のステント150により包まれた部分(遅延膨張領域)はステント150により抵抗を受けるが、優先膨張領域117はそのような制限がないためである。
【0034】
優先膨張領域117の優先的膨張による力により、ステント150の優先膨張領域117に隣接する端部領域はステント150の端部に行くほど直径が拡大するテーパ部155が形成される。これにより、ステント150の中央部の直径が1.04mmであるとき、テーパ部155の縁部の直径が1.88mmとなる。その結果、テーパ部155の初期角度は42°に達するようになる。このような初期角度により、ステント150が血管の開口部や分岐した血管の入口部分に引っ掛かる感覚が伝達されるので、施術者は伝達システムを少し押し込みながらより容易にステント150の正確な位置を選定することができる。
【0035】
次に、
図5は、優先膨張領域117の長さが10mmである場合の実験結果を示した写真である。
【0036】
本図を参照すると、バルーン115の膨張時に優先膨張領域117の優先的膨張により、テーパ部155の初期角度は21°となる。前述の優先膨張領域117が5mmである場合に比べてテーパ部155の初期角度は小さくなることが分かる。
【0037】
これは、優先膨張領域117の長さが長くなることにより、優先膨張領域117の膨張による力がステント150のテーパ部155に対して緩やかな力として作用するためである。
【0038】
以下、
図6を参照して、このような実験結果について総合的に説明する。
図5は、優先膨張領域117に対する実験結果を示したグラフである。
【0039】
本図(及び
図1ないし
図5)を参照すると、優先膨張領域117の長さを3mmから1mmずつ増加させて最終的に10mmになる試験片に対してのみ結果を示している。優先膨張領域117の長さ別に試験対象の試験片は6つずつである。優先膨張領域117の長さが3mm未満である場合は、ステント150に対してテーパ部155が形成されないか間欠的に発生するため、それらは結果のグラフから除外した。
【0040】
ステント150の長さは18mmであるものを使用している。ステント150は、使用されたものは半分ないし2倍の範囲に相当する長さから選択できるが、ステント150が変わっても優先膨張領域117の適合の長さは変化しない。バルーン115、具体的に、メイン領域116はステント150の長さに優先膨張領域117の長さを加えた長さを有するように製作された。
【0041】
実験方法は、バルーン115に流体を投入してそれを膨張させながらステント150のテーパ部155の角度を測定することが1番目である。バルーン115の膨張時に優先膨張領域117が優先的に膨張し、それから発生する力によりステント150の一端部領域にテーパ部155が形成されるためである。
【0042】
実験の結果、優先膨張領域117の長さに応じたテーパ部155の角度は、次の表に示すようである。
【表1】
【0043】
前記表から、テーパ部155の角度は優先膨張領域117の長さが3mmから4mmに伸びるにつれて多少増加するが、その後は優先膨張領域117の長さが大きくなるにつれて減少することが分かる。特に、優先膨張領域117の長さが7mmから8mmに伸びる区間では、テーパ部155の角度の減少幅が9°として最も大きいことが分かる。他の区間ではテーパ部155の角度は大部分2°ないし4°程度が減少しているのに対して、最大減少幅を基準に2倍程度の大きさに減少している。
【0044】
2番目の実験項目として、優先膨張領域117で発生する力によりステント150の位置が先端114側の方向にずれることにより設計した位置ではない他の部分に設置される不良試料の発生確率を実験した。これは、優先膨張領域117の各長さにおける試料が6つであることから、6つの試料のうち位置移動が発生した試料の数を把握して、移動確率を計算した。これを表に示すと、次のようである。
【表2】
【0045】
優先膨張領域117の長さが3mmないし6mmである場合、ステント150の移動確率は17%として一定である。7mmになって2倍に上昇し、7mmから8mmに増加するにつれて再び2倍に上昇する。最終的に10mmの場合は、ステント150の位置移動の確率が100%に達する。
【0046】
以上でのテーパ部155の角度とステント150の移動確率を同時に表示したグラフが
図5である。
図5を参照すると、優先膨張領域117の長さは3ないし7mmの範囲内で決定されることが好ましい。これは、テーパ部155が7mmである時の35°から8mmである時の26°に他の区間より2倍程度急減する区間を避けることができるためである。さらに、ステント150の移動確率の観点からも、33%が67%に大幅に高まる区間が避けられることもある。
【0047】
より好ましくは、優先膨張領域117の長さは3ないし6mmの範囲内で決定されることが好ましい。これは、特に、ステント150の移動確率の観点から、17%が33%に初めて2倍に大きくなる区間を避けることができるためである。優先膨張領域117が6mmである場合、テーパ部155の角度も39°として高い角度を維持できることもある。
【0048】
前記のようなステント伝達アセンブリは、前述の実施例の構成及び作動方式に限定されるものではない。前記実施例は、各実施例の全部又は一部が選択的に組み合わせられて様々な変形ができるように構成されることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、ステント伝達アセンブリ製造分野に産業上の利用可能性がある。