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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】カートン、及び、パッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/489 20060101AFI20231109BHJP
   B65D 85/32 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
B65D5/489
B65D85/32 100
B65D85/32 120
B65D85/32 141
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023106031
(22)【出願日】2023-06-28
【審査請求日】2023-06-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)配布による公開 令和5年2月1日に清水エコファームで配布
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523247186
【氏名又は名称】清水 勇介
(74)【代理人】
【識別番号】110003535
【氏名又は名称】スプリング弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黄 懐湘
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-157639(JP,A)
【文献】実開平6-53425(JP,U)
【文献】実公昭39-21158(JP,Y1)
【文献】欧州特許出願公開第4019420(EP,A1)
【文献】仏国特許出願公開第2521527(FR,A1)
【文献】西独国実用新案公開第8030055(DE,U)
【文献】登録実用新案第3110963(JP,U)
【文献】登録実用新案第3180498(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00 - 5/76
B65D 85/30 - 85/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収容物の複数を並べて収容可能に構成されたカートンであって、
組立状態において、
底板、前記底板の外周を取り囲むように配設される4つの側壁、及び、前記側壁上に前記底板に対向して配設される天板から構成される筒状の収容部と、
前記側壁の少なくとも1つから前記収容部に向けて伸びる第1規制板、及び、前記天板から前記収容部に向けて伸びる第2規制板からなる規制板部と、を備え、
前記第1規制板は、前記側壁の1つを切り込んで形成され、第1基端辺において前記側壁の1つに対して前記第1基端辺を折り目として回動自在に支持され、
前記第2規制板は、前記天板を切り込んで形成され、第2基端辺において前記天板に対して前記第2基端辺を折り目として回動自在に支持され、
前記第1規制板と、前記第2規制板とが前記収容部に向けて折り曲げられた状態で重なり合って前記規制板部が形成され、
前記第1規制板、及び、前記第2規制板は、いずれも前記被収容物よりも小さく形成され、
前記収容部内における隣り合う2つの前記規制板部の間、又は、前記規制板部と前記側壁と直交する他の側壁との間に前記被収容物が配置されることにより、前記規制板部によって前記被収容物の位置が規制される、カートン。
【請求項2】
前記天板、及び、前記側壁の1つからなる群より選択される少なくとも一方は、切取り用の破断線を備える、請求項1に記載のカートン。
【請求項3】
前記破断線は、前記第1基端辺、及び、前記第2基端辺からなる群より選択される少なくとも一方を延長して、前記天板、又は、前記側壁の1つの外周に到達するよう配設される、請求項2に記載のカートン。
【請求項4】
前記破断線は、前記第1基端辺、及び、前記第2基端辺からなる群より選択される少なくとも一方の端部から、外周前記天板、又は、前記側壁の1つの外周に到達するよう配設され、更に、前記外周に到達した後は、前記外周に沿って延長される、請求項2に記載のカートン。
【請求項5】
隣り合う2つの前記規制板部の間における、前記天板、及び、前記側壁の1つからなる群より選択される少なくとも一方が、前記破断線に沿って切り取られ、前記被収容物の1つが取り出される、請求項2~4のいずれか1項に記載のカートン。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載のカートンと、前記カートンに収容された前記被収容物と、を備える、パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートン、及び、パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製の梱包材等の使用量低減のために、これに代替する紙製の梱包材等の開発が進んでいる。
従来、鶏卵を収容する容器としては、ポリエチレンテレフタレート、及び、ポリスチレン等の合成樹脂製のパックが使用されている。紙製のものとしては、上記パックと類似の形状であって、モールド成形されたもの等が使用されている。
【0003】
また、紙製容器としては、厚紙、及び、段ボール等を予め配設された「けい線」に沿って折り曲げる等して組立てられるカートンも知られている。このようなカートンとして、特許文献1には、「段ボール、厚紙、合成紙のいずれかで一体的に形成され、容器本体と蓋体がヒンジ部を介して開閉自在に連結された卵パックであって、前記容器本体が、底板と、前記底板の外周を囲繞する本体周壁部と、前記底板の内側に前記底板と間隔を空けて配設され卵を保持する一つ又は複数の孔部が形成された下部支持板と、を備え、前記蓋体が、天板と、前記天板の外周を囲繞する蓋体周壁部と、前記天板の内側に前記天板と間隔を空けて配設され卵を保持する複数の孔部が形成された下部支持板と、を備えたことを特徴とする卵パック。」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3180498号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鶏卵のような破損しやすい略球状の被収容物を収容するためには、輸送時等に互いに衝突して破損しないよう、収容部における被収容物の位置を規制する構造が必要となる。特許文献1では、被収容物である鶏卵の位置を規制するために、「複数の孔部が形成された下部支持板」、「複数の孔部が形成された下部支持板」が配設され、これにより「卵を上下から挟むようにして保持することができ、卵が回転することや、卵同士がぶつかることのない」よう構成されている。
【0006】
しかし、被収容物が鶏卵等である場合、1つのパッケージに収容すべきものであっても、その形状、大きさがばらつくことがある。形状、大きさがばらつくと、上記のように被収容物の外形に合わせた窪みや孔に、被収容物を嵌め込んで保持するような形態では問題が生ずることがある。孔部の径より被収容物の径が大きければ、収容できず、逆に、被収容物の径が小さすぎれば、その位置を規制する機能が不十分になり、輸送中に被収容物が動いてしまい破損するおそれがあった。
【0007】
これに対して、特許文献1では、「大きさや形状のばらつく卵の揺れを防止したい場合は、天板又は底板の内側に1乃至複数枚の厚みの違う板紙を追加収納する」等の対策が開示されているが、部品点数が多くなったり、収容に手間がかかったりするため、好ましいものとは言えなかった。
【0008】
そこで、本発明は、形状、大きさが異なる収容物、特に、鶏卵等の略球状の収容物を、その位置を規制しながら簡単に複数収容可能なカートンを提供することを課題とする。また、本発明は、パッケージを提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決することができることを見出した。
【0010】
[1] 被収容物の複数を並べて収容可能に構成されたカートンであって、組立状態において、底板、上記底板の外周を取り囲むように配設される4つの側壁、及び、上記側壁上に上記底板に対向して配設される天板から構成される筒状の収容部と、上記側壁の少なくとも1つから上記収容部に向けて伸びる第1規制板、及び、上記天板から上記収容部に向けて伸びる第2規制板からなる規制板部と、を備え、上記第1規制板は、上記側壁の1つを切り込んで形成され、第1基端辺において上記側壁の1つに対して上記第1基端辺を折り目として回動自在に支持され、上記第2規制板は、上記天板を切り込んで形成され、第2基端辺において上記天板に対して上記第2基端辺を折り目として回動自在に支持され、上記第1規制板と、上記第2規制板とが上記収容部に向けて折り曲げられた状態で重なり合って上記規制板部が形成され、上記第1規制板、及び、上記第2規制板は、いずれも上記被収容物よりも小さく形成され、上記収容部内における隣り合う2つの上記規制板部の間、又は、上記規制板部と上記側壁と直交する他の側壁との間に上記被収容物が配置されることにより、上記規制板部によって上記被収容物の位置が規制される、カートン。
[2] 上記天板、及び、上記側壁の1つからなる群より選択される少なくとも一方は、切取り用の破断線を備える、[1]に記載のカートン。
[3] 上記破断線は、上記第1基端辺、及び、上記第2基端辺からなる群より選択される少なくとも一方を延長して、上記天板、又は、上記側壁の1つの外周に到達するよう配設される、[2]に記載のカートン。
[4] 上記破断線は、上記第1基端辺、及び、上記第2基端辺からなる群より選択される少なくとも一方の端部から、外周上記天板、又は、上記側壁の1つの外周に到達するよう配設され、更に、上記外周に到達した後は、上記外周に沿って延長される、[2]に記載のカートン。
[5] 隣り合う2つの上記規制板部の間における、上記天板、及び、上記側壁の1つからなる群より選択される少なくとも一方が、上記破断線に沿って切り取られ、上記被収容物の1つが取り出される、[2]~[4]のいずれかに記載のカートン。
[6] [1]~[4]のいずれかに記載のカートンと、上記カートンに収容された上記被収容物と、を備える、パッケージ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、サイズが異なる収容物、特に、鶏卵等の略球状の収容物を、その位置を規制しながら簡単に複数収容可能なカートンが提供される。また、本発明によれば、パッケージも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の一形態であるカートンと、そのカートンに収容された鶏卵(被収容物)とから構成されるパッケージの斜視図である。
図2】AA線部分切断端面図である。
図3】カートンの展開図である。
図4】鶏卵の収容方法を表す斜視図である。
図5】底板の切込みに他方の底板の差込片が挿入される直前の状態を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
【0014】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化した一例であって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、及び、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なる場合があり、また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なることがある。
【0015】
図1は、本発明の実施の一形態であるカートンと、そのカートンに収容された鶏卵(被収容物)とから構成されるパッケージの斜視図である。
パッケージ100は、カートン10と、カートン10に収容された収容物である鶏卵1から構成される。カートン10は、1枚の段ボールシートを箱型に組立たもので、図1のカートン10は、組立状態となっている。鶏卵1は、パッケージ100の1つにつき、カートン10内に5個並べて収容されている。
なお、各図には説明のための軸及びその方向が示されており、以下では、これらが適宜参照される。
【0016】
カートン10は、底板12と、底板12を取り囲むように配設される4つの側壁と、天板18とにより構成される筒状の収容部40を備える。図1では、正面側の側壁15、及び、左側の側壁16が図示されているが、上記以外に、カートン10は、側壁15、16とそれぞれ対向する背面側の側壁、右側の側壁を備え、直方体状に構成される。
【0017】
被収容物である鶏卵1は、収容部40内に、カートン10の長手方向に沿って一列に5つ収容される。収容部40内は、隣り合う2つの規制板部42により5つの個別収容室61、62、63、64、65に区分けされ、それぞれの個別収容室61、62、63、64、65には、1つの鶏卵1が収容される。最も右側(個別収容室65)に収容される鶏卵1は、規制板部42と右側の側壁(図示されず)の間に配置される。上記の結果、それぞれの鶏卵1の間には、カートン10と同じ材質(段ボール)の規制板部42が挟み込まれることとなり、鶏卵1同士が接触しないよう構成されている。更に、(詳細は後述するが)規制板部42により、それぞれの鶏卵1の位置が規制され、パッケージ100の輸送中も鶏卵1は殆ど動くことはない。
【0018】
なお、パッケージ100では、鶏卵1の5つが収容されるが、本発明のパッケージとしては、上記に限定されず、鶏卵1の2個以上が収容されればよい。カートン10が備える規制板部42の数は、収容される鶏卵1の数に基づいて調整される。具体的には、「(収容される鶏卵1の数)-1」個の規制板部42が配設される。
また、パッケージ100には、被収容物として鶏卵1が収容されているが、本実施例のカートン10は、鶏卵1以外の収容にも使用できる。特に、収容物同士が互いに接触して破損してしまうような被収容物、及び/又は、略球状の被収容物等は、カートン10を用いて効率よく収容できる。
【0019】
規制板部42は、第1規制板22と、第2規制板20とが重なり合って構成されている。このうち、第1規制板22は、側壁15を弧24a、辺24bに沿って切り込んで、第1基端辺24dを折り目として、収容部40側に折り曲げることで形成される。第1規制板22は、第1基端辺24dにおいて、側壁15に対して第1基端辺24dを折り目として回転自在に支持される。
第1規制板22は、辺24b、並びに、弧24aを切取り線とし、第1基端辺24dによって折り曲げられるため、結果として扇形をなす。
【0020】
辺24bは、側壁15と底板12(より詳細には後述する底板12b)とにより共有されるけい線4s(図3を参照)上に位置する。辺24bを切取り線として切り抜かれる第1規制板22は、第1基端辺24dにおいて回転する際、底板12(底板12a)と、その少なくとも一部が接触する。そのため、第1規制板22には、底板12(底板12a)との間に摩擦(静止摩擦力)を生ずる。
【0021】
第1規制板22は、鶏卵1より小さく形成される。具体的には、第1規制板22の切り抜きにより生ずる窓24cが、正面視において、鶏卵1の占める面積よりも小さな面積となるよう形成される。このようにすることで、窓24cから、鶏卵1が収容部40外へ脱出することが抑制される。
【0022】
なお、第1規制板22の形状は扇形に限定されない。四角形、三角形、又は、他の多角形であってもよい。第1基端辺24dが側壁16と略平行であると、鶏卵1の位置をより効率的に規制しやすい点で好ましい。また、辺24bが側壁15と底板12(底板12a)とにより共有されるけい線4s(図3参照)上に形成されると、第1規制板22と底板12(底板12a)との間に摩擦(静止摩擦力)を生じ得る点で好ましい。
第1規制板22が底板12との間に摩擦を生ずる場合、第2規制板20の第2基端辺23cでの折り曲げにより生ずる復元力により押し込まれる鶏卵1を反対側で(隣の規制板部42で)受け止めて、その位置をより規制しやすくなる。
【0023】
この点で、第1規制板22の形状としては、第1基端辺24dと、切取り線としての辺24bとを含む扇形以外に、これらを含む三角形、四角形、及び、他の多角形であってもよい。
なかでも、扇形、及び、三角形は、切抜き面積が抑制されやすく、組立状態のカートン10の剛性をより保ちやすく、かつ、摩擦力により鶏卵1の位置をより規制しやすい(底板12との間で摩擦を生ずる)点で好ましい。特に、扇形は、鶏卵1、及び、後述する第2規制板20の相互とより接触しやすい点で好ましい。第1規制板22を扇形とすることで、より多くのサイズの被収容物(鶏卵1)に対応できる。
【0024】
第2規制板20は、天板18を切込み線23aに沿って切り込んで、第2基端辺23cを折り目として、収容部40側に折り曲げることで形成される。第2規制板20は、第2基端辺23cにおいて、天板18に対して第2基端辺23cを折り目として回転自在に支持される。
第2規制板20は、第2基端辺23c、及び、切込み線23aによって区画され、略矩形をなす。切込み線23aに沿って天板18が切り込まれ、第2基端辺23cにおいて内側(収容部40側)に折り込まれている。
【0025】
第2規制板20は、鶏卵1より小さく形成される。言い換えれば、平面視において、第2規制板20の切り抜きによって生ずる窓23bが、鶏卵1の占める面積よりも小さな面積となるよう形成される。このようにすることで、窓23bから、鶏卵1が収容部40外へ脱出することが抑制される。
【0026】
第2規制板20の形状は矩形に限定されない。円形、楕円形、又は、多角形であってもよい。多くのサイズの鶏卵1の位置を規制できる観点では、第2規制板20は、左右方向により長いことが好ましい。
一方で、その面積をより小さくすることで、(切抜き面積が小さくなり)組立状態のカートン10の剛性はより高く維持されやすく、鶏卵1の脱出もより抑制されやすい。この点では、第2規制板20の形状は略矩形であることが好ましく、略長方形であることがより好ましい。なかでも、第2基端辺23cを短辺とする略長方形が好ましく、短辺の長さに対する長辺の長さの比が、1.1以上であることが好ましく、1.3以上であることがより好ましく、1.5以上であることが更に好ましい。上限は特に限定されないが、2.0以下であることが好ましい。
【0027】
図2は、AA線部分切断端面図である。鶏卵1は、収容部40内であって、第1規制板22、及び、第2規制板20からなる規制板部42と、隣り合う規制板部42との間の個別収容室61に収容される。鶏卵1は、主に第2規制板20の折り曲げ部分から生ずる復元力によって、右方向に押され、隣の規制板部42を構成する第1規制板22に押し付けられることで、その位置が規制される。
このとき、第1規制板22と底板との間には摩擦力(静止摩擦力)が働くため、より確実に位置が規制されやすい。
【0028】
第1規制板22、及び、第2規制板20には、それぞれ、第1基端辺24d、及び、第2基端辺23cにおいて復元力が生ずるが、第1規制板22には床板との間に摩擦力(静止摩擦力)が働くため、鶏卵1を右に押し込む力は第2規制板20の方がより強くなりやすい。また、第2規制板20によって左から押し込まれた鶏卵1を受け止める点では、摩擦力(静止摩擦力)を受ける第1規制板22の方がより適する。
従って、規制板部42は、左から右に、第1規制板22、第2規制板20の順とされることが好ましい。言い換えれば、復元力の働く方向に、第1規制板22、第2規制板20、鶏卵1の順となるよう配置されることが好ましい。なお、第1規制板22、第2規制板20の順は上記と逆であってもよく、個別収容室ごとに異なっていてもよい。
【0029】
図1に戻り、側壁15は、ミシン目状とされた、切取り用の破断線27a、27bを備える。パッケージ100の鶏卵1を所望の個数ずつ取り出して使用するために、破断線27a、27bが使用される。破断線27aは、第1基端辺24dを延長するように、側壁15の外周部であって、天板18側の外周部(けい線3s)まで到達するよう設けられている。
左端(個別収容室61)の鶏卵1を取り出す場合、破断線27aに沿って側壁15を破り、更にそれを手掛かりに天板18の狭隘部50を破ることで鶏卵1を取り出すことができる。
【0030】
元々、側壁15、及び、天板18は、第1規制板22、及び、第2規制板20が切り抜かれることで、それぞれ狭隘部を生じていることに加え、上記のとおり、破断線27aが設けられることで、この部分をより破断しやすくなり、所望の鶏卵1をより取り出しやすくなる。なお、カートン10は、側壁15部分に第1基端辺24dを延長するように破断線27aを備えるが、上記以外にも、天板18に第2基端辺23cを延長するように破断線を備えてもよい。この場合、破断線は、第2基端辺23cを、第1規制板22を備える方の側壁(カートン10においては、側壁15)に向けて延長されることが好ましい。この破断線は、けい線3sまで到達していてもよい。また、これらを両方備えてもよい。
【0031】
左から2番目の窓24cの第1基端辺24dから、側壁15の外周部(天板18と共有されるけい線3s)に向けては、第1基端辺24dから、当該基端辺が属する窓24cと反対方向に傾斜して延びる破断線27bが配設される。破断線27bは、第1基端辺24dの端部から、側壁15の外周部へと延び、外周部(けい線3s)へ到達した後は、その外周(けい線3s)に沿って、第1基端辺24dから見て、当該基端辺が属する窓24cと反対方向に延びている。
【0032】
このように構成された破断線27bを用いると、左から2番目以降の鶏卵1を取り出す際、第1規制板22に指をかけて、正面方向に引くと、破断線27bに沿って側壁15が部分的に破れ、鶏卵1を取り出すことができる。
破断線27bは、左から2番目以降の個別収容室に収容された鶏卵1を取り出す際により有用である。
【0033】
カートン10の材質は、特に限定されず、段ボール以外にも、厚紙、及び、合成紙等の紙材であってよい。カートン10は、1枚の平板状の紙材を組立てて用いる。次に、カートン10の組立て方法、及び、使用方法について説明する。
【0034】
図3は、カートン10の展開図である。天板18を中心に、各部の配置について説明する。なお、以下の説明における上下左右は、組立状態の正面、背面、左側面、右側面とは異なり、図3における上下左右を意味する。
【0035】
まず、天板18は切込み線23aを備える。切込み線23aに沿って切り込まれ、それと第2基端辺によって囲まれる部分が第2規制板20となる。
天板18の左側には、けい線2sを介して、側壁13が配置される。側壁13の左側には、けい線1sを介して底板12aが配置される。
【0036】
また、側壁13の上側には、けい線10sを介して側面フラップ14bが配置される。また、側壁13の下側には、けい線5sを介して側面フラップ16bが配置される。
【0037】
また、天板18の右側には、けい線3sを介して側壁15が配置される。側壁15には、弧24a、辺24bからなる切込み線が配置される。この切込み線に沿って側壁15が切り込まれ、第1規制板22が形成される。
【0038】
また、側壁15の右側には、けい線4sを介して底板12bが配置される。底板12bの外周には、差込片25が2つ配置される。差込片25は、組立時に、けい線1sに沿って配置される切込み26に挿し込まれる。
【0039】
また、側壁15の上側には、けい線12sを介して側面フラップ14cが配置される。また、側壁15の下側には、けい線7sを介して側面フラップ16cが配置される。
【0040】
また、天板18の上側には、けい線11sを介して第1ヘッダー板14a、更にけい線13sを介してマチ部14e、更にけい線14sを介して第2ヘッダー板14dが配置される。
また、天板18の下側には、けい線6sを介して第1ヘッダー板16a、更にけい線8sを介してマチ部14e、更にけい線14sを介して第2ヘッダー板14dが配置される。
また、第2ヘッダー板14d、及び、16dには、それぞれ差込片29が配置される。差込片29は、組立時に、けい線11s、6sに沿って配置される差込孔30に挿し込まれる。
【0041】
次に、カートン10の組立て方法について説明する。
まず、天板18の周囲のけい線2s、6s、3s、及び、11sに沿って、側壁13、第1ヘッダー板14a、側壁15、及び、第1ヘッダー板16aを山折りする。
次に、けい線10s、5sに沿って、側面フラップ14b、16bをそれぞれ山折りする。また、けい線12s、7sに沿って、側面フラップ14c、16cを山折りする。
【0042】
第1ヘッダー板14a、側面フラップ14b、14cを重なり合わせた状態で、けい線13s、14sで山折りして、マチ部14eを上から重ね、さらに、第2ヘッダー板14dの差込片29を差込孔30に挿入する。これにより、右側の側壁が形成される。同様に、左側の側壁16も形成される。
【0043】
次に、第1基端辺24dで第1規制板22が収容部40に向けて折り込まれる。また、同様にして、第2基端辺23cで第2規制板20が収容部40に向けて折り込まれる。この状態となったら、被収容物(鶏卵1)が収容される。
【0044】
図4は、鶏卵1の収容方法を表す斜視図である。
カートン10の底部分を組立てる前に、第1規制板22と第2規制板20とによって構成される規制板部42の間に鶏卵1が挿入される。この段階では、底板12が完成していないため、鶏卵1は簡単に挿入できる。
また、それぞれの個別収容室は、基端辺において回転自在に支持される2つの規制板によって区画されているため、鶏卵1のサイズに応じてフレキシブルにサイズが変更され得る。
【0045】
図4の状態で、すべての鶏卵1(カートン10にあっては5個)が収容された後、底板12a、底板12b閉じられる。
図5は、底板12aの切込み26に底板12bの差込片25が挿入される直前の状態を表す斜視図である。このときすでに収容部40内には、すべての鶏卵1が収容されている。
差込片25が切込み26に挿入されると、底板12a、及び、底板12bが重なり、底板12が完成する。
【0046】
なお、パッケージ100においては、被収容物は鶏卵1であるが、カートン10に収容され得る被収容物は上記に限定されない。被収容物としては、略球状、又は、略楕円球状であることが好ましい。略球状、又は、略楕円球状の被収容物は、収容部40内における位置を規制するために、従来技術のような孔部が形成された板や、その形状に対応した凹部等を必要とするため、簡単な構造で、しかも、複数のサイズを混在させながら1つのパッケージとすることは難しかった。
【0047】
カートン10は、2枚の規制板により構成される規制板部42により、被収容物の位置を規制する。この規制板はそれぞれ、側壁15、及び、天板18を切り込んで、基端辺で折り曲げて形成されるため、折り曲げ部分に生ずる復元力により、様々なサイズの鶏卵1が混在しても、これらの位置を規制できる。
【符号の説明】
【0048】
1 鶏卵
1s-14s けい線
10 カートン
12 底板
13-16 側壁
18 天板
22 第1規制板
20 第2規制板
24d 第1基端辺
23c 第2基端辺
27a 破断線
27b 破断線
40 収容部
42 規制板部
50 狭隘部
61-65 個別収容室
100 パッケージ
【要約】
【課題】 形状、大きさが異なる収容物、特に、鶏卵等の略球状の収容物を、その位置を規制しながら簡単に複数収容可能なカートンを提供すること。
【解決手段】 組立状態において、底板12、底板の外周を取り囲むように配設される4つの側壁13-16、及び、側壁上に底板に対向して配設される天板18から構成される筒状の収容部40と、側壁15から収容部に向けて伸びる第1規制板22と、天板から収容部に向けて伸びる第2規制板20と、を備え、収容部内における隣り合う2つの規制板部42の間、又は、規制板部42と他の側壁との間に被収容物が配置されることにより、規制板部によって被収容物の位置が規制される、カートン。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5