(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】樹脂水素化用触媒およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 23/755 20060101AFI20231109BHJP
B01J 35/10 20060101ALI20231109BHJP
C08F 8/04 20060101ALI20231109BHJP
B01J 37/04 20060101ALN20231109BHJP
B01J 37/03 20060101ALN20231109BHJP
【FI】
B01J23/755 M
B01J35/10 301G
C08F8/04
B01J37/04 102
B01J37/03 A
(21)【出願番号】P 2023535962
(86)(22)【出願日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2023011389
【審査請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】P 2022048397
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134119
【氏名又は名称】奥町 哲行
(72)【発明者】
【氏名】小松丸 裕輝
(72)【発明者】
【氏名】田河 勝吾
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-265647(JP,A)
【文献】米国特許第4497907(US,A)
【文献】国際公開第2021/160882(WO,A1)
【文献】米国特許第4273939(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
C08F 8/04
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
珪藻土および無機化合物の混合物からなる担体にニッケルが担持された触媒であって、
ニッケル含有量が10質量%~80質量%の範囲であり、
比表面積が100m
2/g~200m
2/gの範囲であり、
細孔径が1nm~160nmの細孔容積(PV
(1-160))が0.3mL/g~1mL/gの範囲であって、
細孔径が60nm~160nmの細孔容積(PV
(60-160))が0.045mL/g~0.5mL/gの範囲である、
樹脂水素化用触媒。
【請求項2】
前記担体の無機化合物がシリカおよびアルミナであり、
該担体が珪藻土、シリカ、およびアルミナの3種を含む、
請求項1に記載された樹脂水素化用触媒。
【請求項3】
前記PV
(1-160)に対する前記PV
(60-160)の割合が15%~70%の範囲である、
請求項1または請求項2に記載された触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂を水素化するための触媒およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、樹脂の水素化は、触媒の存在下で液状の樹脂と水素とを接触させて行う。樹脂を水素化するための触媒としては、触媒が溶解した均一系の触媒と、触媒が溶解していない不均一系の触媒とがあり、均一系の触媒としては、チーグラー型触媒、ウィルキンソン触媒等が知られており、不均一系の触媒としては、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金などの金属およびこれらの金属を担体に担持した担持触媒が知られている。一般的には、均一系の触媒は反応速度の面で優れ、不均一系の触媒は反応後の触媒の除去しやすさという面で優れている(非特許文献1)。
【0003】
例えば、特許文献1には、ニッケル、アルミナ、ジルコニアおよび珪藻土を含有する触媒組成物が開示されている。また、特許文献2には、還元された触媒の重量に対して、Niとして計算されたとき、45から85重量%のニッケル、SiO2として計算されたとき、13.75~45重量%のケイ素、Al2O3として計算されたとき、1~15重量%のアルミニウム、Coとして計算されたとき、0.25~1.5重量%のコバルトを含む、シリカおよびアルミナ担持コバルト促進ニッケル触媒が開示されている。更に、特許文献3には、担体を含む総乾燥重量100重量部に対して、ニッケル40~80重量部、銅0.01~5重量部、硫黄1~10重量部及びシリカ担体10~60重量部を含む石油樹脂の水素化反応用触媒が開示されている。
【0004】
しかし、近年は触媒を除去しやすく、反応速度に優れた不均一系の触媒の需要が高まっており、樹脂の水素化反応用として更に高活性な触媒が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平2-9445号公報
【文献】特表2016-531977号公報
【文献】特表2022-513180号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】「触媒活用大辞典」編集委員会編「触媒活用大辞典」工業調査会発行2004年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ニッケルを触媒活性成分とする樹脂水素化用触媒について、高活性な触媒を求める要求を解決するものであり、触媒の担体を珪藻土と無機化合物の混合物にして細孔構造をコントロールすることによって、樹脂水素化の高い活性を有する触媒にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の触媒は、下記構成によって前記課題を解決した樹脂水素化用触媒である。
〔1〕珪藻土および無機化合物の混合物からなる担体にニッケルが担持された触媒であって、ニッケル含有量が10質量%~80質量%の範囲であり、比表面積が100m2/g~200m2/gの範囲であり、細孔径が1nm~160nmの細孔容積(PV(1-160))が0.3mL/g~1mL/gの範囲であって、細孔径が60nm~160nmの細孔容積(PV(60-160))が0.045mL/g~0.5mL/gの範囲であることを特徴とする樹脂水素化用触媒。
〔2〕前記担体の無機化合物がシリカおよびアルミナであり、該担体が珪藻土、シリカ、およびアルミナの3種を含む前記(1)に記載する樹脂水素化用触媒。
〔具体的な説明〕
以下、本発明の触媒について具体的に説明する。
本発明の触媒は、珪藻土および無機化合物の混合物からなる担体にニッケルが担持された触媒であって、ニッケル含有量が10質量%~80質量%の範囲であり、比表面積が100m2/g~200m2/gの範囲であり、細孔径が1nm~160nmの細孔容積(PV(1-160))が0.3mL/g~1mL/gの範囲、および細孔径が60nm~160nmの細孔容積(PV(60-160))が0.045mL/g~0.5mL/gの範囲であることを特徴とする樹脂水素化用触媒である。
【0009】
本発明の触媒は、珪藻土および無機化合物の混合物からなる担体にニッケルが担持された触媒である。ニッケルは樹脂の水素化反応を進める活性成分である。本発明の触媒に含まれるニッケルの含有量は、触媒全量において、15質量%~75質量%の範囲が好ましく、20質量%~70質量%の範囲がより好ましい。ニッケルの含有量が前記範囲内であるものは、樹脂の水素化反応に高い活性を示すと共に、コストパフォーマンスにも優れる。
【0010】
本発明の触媒に含まれるニッケルは、金属、ニッケル酸化物、またはこれらの混合物の何れでもよい。樹脂の水素化反応に活性を示すのは金属のニッケルであるが、金属のニッケルは空気中で容易に酸化されニッケル酸化物となる。従って、ニッケル触媒に含まれるニッケルは、その一部または全部がニッケル酸化物の状態で存在し、水素化反応前に水素等で金属のニッケルに還元してから使用される。また、金属ニッケルの表面に酸化被膜を形成したり、二酸化炭素等を吸着させたりすることで、空気中でも安定して取り扱うことができる。
【0011】
本発明の触媒に含まれるニッケルの結晶子径は、1nm~10nmの範囲が好ましく、2~8nmの範囲がより好ましく、3nm~7nmの範囲が特に好ましい。樹脂の水素化反応はニッケルの表面で起こるため、ニッケルの結晶子径は小さいほうが好ましい。更に、ニッケルの結晶子径が前記範囲内であるものは、樹脂の水素化反応に高い活性を示すと共に、熱が加わってもニッケルの結晶が成長しにくくなるので、水素化反応において継続的に使用しても活性が低下しにくくなる。
【0012】
本発明の触媒は、水素吸着量が50μmol/g-cat~600μmol/g-catの範囲が好ましく、70μmol/g-cat~550μmol/g-catの範囲がより好ましく、90μmol/g-cat~500μmol/g-catの範囲が特に好ましい。この水素吸着量はニッケルの表面積を表す指標である。水素吸着量が前記範囲である本発明の触媒は、樹脂の水素化反応に高い活性を示すと共に、水素化反応において継続的に使用しても活性が低下し難くなる。なお、単位ニッケル重量当たりの水素吸着量としては、150μmol/g-cat~950μmol/g-catの範囲が好ましく、200μmol/g-cat~900μmol/g-catの範囲がより好ましく、250μmol/g-cat~850μmol/g-catの範囲が特に好ましい。
【0013】
本発明の触媒に含まれる担体(以下、「本発明の触媒担体」ともいう。)は、珪藻土および無機化合物の混合物によって形成されている。担体が珪藻土および無機化合物の混合物であることによって、粒径の異なる複数の粒子が互いに分散し、例えば、相対的に粒径の大きな粒子によって形成された空隙に、相対的に粒径の小さな粒子が入り込んだ状態が形成されることによって、担体の細孔容積を目的の細孔径に応じた細孔容積になるよう制御することが容易になる。
【0014】
本発明の触媒担体において、珪藻土と共に含まれる無機化合物は、例えば、シリカおよびアルミナの何れかまたは両方である。この場合、担体は珪藻土とシリカとアルミナの3種によって形成されることが好ましい。また、シリカおよびアルミナ以外の無機化合物でもよく、目的の細孔径に応じた前記細孔構造を有するようになるものであれば3種以上の無機化合物を含むものでもよい。
【0015】
本発明の触媒において、担体が珪藻土と共に無機化合物として、例えば、シリカとアルミナを含む場合、シリカおよびアルミナは、その一部または全部が互いに結合した状態であることが好ましい。シリカとアルミナとが結合した状態の化合物には、例えばゼオライトのような結晶性アルミノシリケート、非晶質のアルミノシリケートが知られている。
【0016】
本発明の触媒担体に含まれるシリカおよびアルミナは、非晶質のアルミノシリケートであることが好ましい。更に、シリカとアルミナとのモル比は、Si/Alモル比として、0.01~25の範囲が好ましく、0.05~10の範囲がより好ましく、0.05~5の範囲が特に好ましい。シリカとアルミナとのモル比が前記範囲内であるものは、樹脂の水素化反応に適した細孔がより生成しやすいので、好ましい。なお、シリカとアルミナとのモル比は、珪藻土に由来する成分を除いたものである。珪藻土に由来する成分を含むときのシリカとアルミナとのモル比は、Si/Alモル比として、0.01~5の範囲が好ましく.0.05~4の範囲がより好ましく、0.1~3の範囲にあることが特に好ましい。
【0017】
本発明の触媒担体に含まれる珪藻土は、藻類の一種である珪藻の殻の化石よりなる堆積物であって、その主成分はシリカであり、その形状に由来する細孔を多く有する。珪藻土は、触媒の分野において担体として広く使用されている。本発明の触媒は、担体成分として珪藻土と無機化合物を含み、珪藻土および無機化合物によって形成された適度な細孔構造によって樹脂の水素化反応において高い活性を示す。
【0018】
本発明の触媒は、担体が珪藻土と共にシリカおよびアルミナを含む場合、触媒のケイ素含有量は、SiO2換算で、1質量%~40質量%の範囲が好ましく、5質量%~30質量%の範囲がより好ましい。また、触媒のアルミニウム含有量は、Al2O3換算で、1質量%~40質量%の範囲が好ましく、5質量%~30質量%の範囲がより好ましい。各担体成分の含有量が前記範囲内であるものは、樹脂の水素化により適した細孔構造を形成しやすく、樹脂の水素化反応が効率的に進行しやすくなる。なお、前記各担体成分の含有量は、触媒全量に対する割合である。
【0019】
本発明の触媒の比表面積は、100m2/g~200m2/gの範囲がよく、100~200m2/gの範囲がより好ましく、100m2/g~190m2/gの範囲がさらに好ましい。比表面積がこの範囲にある本発明の触媒は、樹脂の水素化反応に高い活性を示す。本発明の触媒は、後述の細孔構造を有することによって、比表面積が大きくなくても樹脂の水素化反応について高い活性を示す。
【0020】
本発明の触媒は、細孔径が1nm~160nmの細孔容積(PV(1-160))が0.3mL/g~1mL/g以下の範囲、および細孔径が60nm~160nmの細孔容積(PV(60-160))が0.045mL/g~0.5mL/gの範囲である細孔構造を有する。なお、便宜上、細孔径が1nm~160nmの細孔容積(PV(1-160))を基準細孔容積と云い、細孔径が60nm~160nmの細孔容積(PV(60-160))を粗孔部容積と云う。
【0021】
基準細孔容積(PV(1-160))は0.3mL/g~0.8mL/gの範囲でもよく、0.3mL/g~0.6mL/gの範囲でもよい。細孔径が1nm~160nmの細孔は、樹脂を取り込みやすいサイズであり、このような細孔を多く有することによって、樹脂の水素化反応が効率的に進行するものと考えられる。本発明の触媒は、このような細孔を有することによって樹脂の水素化反応に高い活性を示す。
【0022】
粗孔部容積(PV(60-160))は0.045mL/g~0.4mL/gの範囲でもよく、0.045mL/g~0.3mL/gの範囲でもよい。細孔径が60nm~160nmの細孔は、比較的大きいサイズの樹脂を取り込みやすく、このような細孔を多く有することによって、樹脂の水素化反応が効率的に進行するものと考えられる。
【0023】
粗孔部容積は、基準細孔容積に対して、15%~60%の範囲が好ましく、15%~50%の範囲がより好ましい。この割合が50%に近いほど、様々な大きさの樹脂を取り込むことができ、樹脂の水素化反応が効率的に進行するものと考えられる。一方、粗孔部容積が基準細孔容積に対して60%より多いと、細孔径1~60nmの微小細孔に吸着される微小サイズの樹脂吸着量が減少するので好ましくない。本発明の触媒は、このように基準細孔容積と粗孔部容積が一定の範囲に調整されているので、様々な大きさの樹脂の水素化反応において高い活性を示すことができる。
【0024】
本発明の触媒の形状は、成形体であってもよく、粉末状であってもよい。本発明の触媒は、粉末状であることが好ましい。触媒を粉末状にすることで、樹脂との接触効率を高めることができる。具体的には、100μmの篩でふるい、篩下が95質量%以上となるサイズの粉末が好ましい。
〔製造方法〕
以下、本発明の触媒の製造方法を説明する。なお、本発明の触媒を製造する方法は以下の製造方法に限定されない。
本発明の触媒を製造する方法は、例えば、担体が珪藻土とシリカおよびアルミナの混合物によって形成される場合、以下の工程(イ)~(ホ)を有する。
【0025】
(イ)ニッケルを水に溶解してニッケルの酸性水溶液を調製する工程。
(ロ)珪藻土、水溶性アルミニウム化合物、および水溶性ケイ素化合物を、塩基性水溶液に添加して塩基性懸濁液を調製する工程。
(ハ)前記ニッケル酸性水溶液を前記塩基性懸濁液に添加して原料スラリーを調製し、該原料スラリーのpHを7.5~10.0の範囲に調整する工程。
(ニ)前記原料スラリーから触媒前駆体を分離する工程、
(ホ)前記触媒前駆体を焼成する工程。
【0026】
ニッケル酸性水溶液の調製工程
ニッケルを水に溶解してニッケルの酸性水溶液を調製する。使用するニッケルは、水に溶解するものであれば、従来公知の化合物を用いることができる。例えば、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル等から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。水への溶解という観点では、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケルから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。また、水に溶解しない場合であっても、酸で水に溶解することもできる。例えば、金属ニッケルを硫酸や硝酸で溶解することもできる。
該ニッケル酸性水溶液のニッケル濃度は、1質量%~10質量%の範囲が好ましく、2質量%~8質量%の範囲がより好ましい。また、酸性水溶液のpHは1~6の範囲が好ましく、3~5の範囲がより好ましい。
【0027】
塩基性懸濁液の調製工程
珪藻土、水溶性アルミニウム化合物、および水溶性ケイ素化合物を塩基性水溶液に添加して塩基性懸濁液を調製する。水溶性のアルミニウム化合物と、水溶性のケイ素化合物は、それぞれ水に溶解する。しかし、水の中でこれらが混合されると、白色の沈殿物が生じる。これは非晶質のシリカおよび非晶質のアルミナの混合物であると考えられる。この結果、非晶質のシリカ、非晶質のアルミナおよび珪藻土が粒子状で存在している塩基性懸濁液が得られる。これらが粒子状で存在することによって、珪藻土の細孔が残され、さらにシリカやアルミナの粒子による細孔が形成される。
【0028】
水溶性のアルミニウム化合物として、例えば、アルミン酸ナトリウム、塩化アルミニウム等から選ばれる少なくとも1種を用いることができる。また、水に溶解しない場合であっても、塩基で水に溶解することもできる。例えば、酸化アルミニウムや水酸化アルミニウムを水酸化ナトリウムで溶解することもできる。塩基性懸濁液のアルミニウム濃度は、0.01質量%~10質量%の範囲が好ましく、0.1質量%~5質量%の範囲がより好ましい。
【0029】
水溶性のケイ素化合物として、例えば、ケイ酸ナトリウムを用いることができる。また、水に溶解しない場合であっても、塩基で水に溶解することもできる。例えば、二酸化ケイ素を水酸化ナトリウムで溶解することもできる。塩基性懸濁液のケイ素濃度は、0.01質量%~10質量%の範囲が好ましく、0.5質量%~5質量%の範囲がより好ましい。なお、このケイ素濃度は水溶性のケイ素化合物のケイ素濃度である。
【0030】
該塩基性懸濁液に含まれるケイ素とアルミニウムのモル比(Si/Alモル比)は0.01~5の範囲が好ましく、0.05~4の範囲がより好ましく、0.1~3の範囲が特に好ましい。このモル比を調整することによって、最終的に得られる触媒の細孔構造をある程度コントロールすることができる。担体が珪藻土とシリカおよびアルミナの混合物によって形成される場合、水溶性ケイ素化合物に由来するケイ素と水溶性アルミニウム化合物に由来するアルミニウムのモル比は、0.01~25の範囲が好ましく、0.05~10の範囲がより好ましく、0.05~5の範囲が特に好ましい。
【0031】
珪藻土は従来公知のものを用いることができる。塩基性懸濁液の珪藻土濃度は、0.01質量%~10質量%の範囲が好ましく、0.5質量%~5質量%の範囲がより好ましい。
【0032】
塩基性懸濁液に用いる塩基性水溶液は、従来公知の塩基性化合物を用いて調製することができる。例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、アンモニア等を水に溶解して塩基性の水溶液を調製することができる。
【0033】
調製される塩基性懸濁液のpHは、10~14の範囲が好ましく、11~13の範囲がより好ましい。pHが高すぎると、珪藻土が全量溶解してしまうことがあるので、溶解しない範囲にpHをコントロールすることが好ましい。
【0034】
原料スラリーの調製とpH調整工程
ニッケル酸性水溶液を前記塩基性懸濁液に添加して原料スラリーを調製し、該原料スラリーのpHを7.5~10の範囲に調整する。ニッケル酸性水溶液を塩基性懸濁液に添加すると、塩基性懸濁液に含まれる塩基との中和反応によって、ニッケルが沈殿物として析出する。沈殿物に含まれるニッケルは、酸化物、水酸化物、炭酸塩等の化合物またはこれらの混合物の形態で沈殿する。このとき、沈殿物の一部または全部が担体成分の表面に析出し、触媒前駆体となる。この原料スラリーには、この触媒前駆体が固体として含まれる。
【0035】
酸性水溶液と塩基性懸濁液の温度は、50℃~90℃の範囲が好ましく、60℃~80℃の範囲がより好ましい。ニッケル酸性水溶液と塩基性懸濁液の温度がこの範囲にあると、中和反応が進行しやすい。
【0036】
この原料スラリーのpHを7.5~10の範囲に調整する。ニッケル酸性水溶液を塩基性懸濁液に全量添加してpHが前記範囲になるよう、ニッケル酸性水溶液に含まれる酸および塩基性懸濁液に含まれる塩基の量をコントロールしておくことが好ましい。ニッケル酸性水溶液を全量添加しても原料スラリーのpHが前記範囲にならない場合は、酸または塩基を加え、pHを前記範囲に含まれるよう調整すればよい。pHが前記範囲に調整された原料スラリーは、必要に応じて0.1時間~4時間、熟成させてもよい。
【0037】
触媒前駆体の分離工程
原料スラリーから触媒前駆体を分離する。従来公知の方法を用いて触媒前駆体を分離することができる。例えば、乾燥機を用いて水を除去する方法、濾過して水と分離する方法、遠心分離によって水と分離する方法等を用いることができる。
【0038】
触媒前駆体は、必要に応じて水等を用いて中和反応によって生成した不純物(例えばSO4
2-、NO3
-など)を除去する。例えば、触媒前駆体を水に懸濁し攪拌した後に、再度触媒前駆体を分離する懸濁洗浄、触媒前駆体に水等の洗浄液を流通して洗浄する流通洗浄等により、不純物を除去することができる。特に、触媒前駆体に大量の硫黄が含まれる場合は、触媒活性を低下させる恐れがあるので、洗浄により除去することが好ましい。また、硝酸イオンが含まれる場合は、後述の焼成工程でNOXが発生する原因になるので、これも洗浄して除去することが好ましい。
【0039】
触媒前駆体は、必要に応じで種々の形状に成形することができる。具体的には、打錠成形機を用いて直径3~10mm、高さ3~10mm程度の円柱状のタブレットに成形したり、押し出し成形機を用いて直径1~4mm、長さ2~10mm程度の円柱状に成形したり、ミルやクラッシャーを用いて粉末状または顆粒状にしたりすることができる。
【0040】
触媒前駆体の焼成工程
回収した触媒前駆体を焼成する。触媒前駆体を焼成することによって、前駆体に含まれる沈殿物が分解し、酸化ニッケルが生成する。また、非晶質のアルミナおよび非晶質のシリカが脱水によって収縮し、このとき、樹脂の水素化反応に適した細孔が触媒中で形成される。
【0041】
従来公知の装置を用いて触媒前駆体を焼成することができる。例えば、マッフル炉、ロータリーキルン、ガス炉などを用いて触媒前駆体を焼成することができる。また、焼成する温度は、触媒前駆体がどの程度の温度で分解するかにもよるが、300℃~500℃の温度範囲で焼成することができる。更に、焼成する時間は、触媒前駆体の量にもよるが、1時間~24時間の範囲で焼成することができる。焼成する雰囲気は、大気雰囲気であることが好ましく、大気を流通した状態で焼成してもよい。
【0042】
触媒前駆体を焼成した後に、必要によって、酸化ニッケルを水素等で還元してもよい。例えば、例えば、触媒を反応容器に充填し、水素流通下にて380℃~450℃の反応温度で、1時間~48時間保持することにより、酸化ニッケルを還元することができる。また、酸化ニッケルを還元して生成したニッケル金属は、そのまま大気中に晒すと酸化反応によって発熱が起こり、触媒が燃えてしまうことがある。そこで、酸化ニッケルを還元した後は、徐々に酸素を供給し、金属ニッケルの表面に酸化ニッケルの被膜を形成するとよい。また、二酸化炭素等を金属ニッケルの表面に吸着させることもできる。
【0043】
以上の工程によって、珪藻土とシリカおよびアルミナの混合物を担体とし、該担体にニッケルが担持された本発明の樹脂水素化用触媒が製造される。
【発明の効果】
【0044】
本発明の触媒は、樹脂を水素化するための高い活性を有する。例えば、後述の比較例1~2に示すように、担体が珪藻土であり、または担体がシリカとアルミナである従来のニッケル触媒は、樹脂水素化反応速度が0.15~0.24(1/h)程度であるが、本発明の触媒は実施例1~5に示すように、樹脂水素化反応速度は0.31~0.51(1/h)であり、約3倍~5倍の高い活性を有する。
【0045】
特許文献1には、アルミナと珪藻土を含むニッケル触媒が開示されており、特許文献2には、シリカとアルミナを含むニッケル触媒が開示されており、特許文献3には、シリカを含むニッケル触媒が開示されている。
一方、本発明の触媒は、例えば、担体が珪藻土と共にシリカおよびアルミナを含む3種類の混合物によって形成され、細孔径が1nm~160nmの細孔容積(PV(1-160))が0.3mL/g~1mL/g以下の範囲、および細孔径が60nm~160nmの細孔容積(PV(60-160))が0.045mL/g~0.5mL/gの範囲である特異な細孔構造を有している。
本発明の触媒はこのような特異な細孔構造によって、樹脂の水素化反応において高い活性を発揮する。このような細孔構造は従来の触媒には無く、前記特許文献1~3の何れにも開示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】実施例1の焼成工程後に得られた触媒のX線回折パターン。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施例を比較例と共に示す。なお、本発明は下記実施例に限定されない。実施例における分析方法等を以下に示す。
【0048】
[組成分析](Ni、AlおよびSi)
試料を酸に溶解し、その濾液を水で適切な濃度に希釈した後、ICP発光分光分析装置(アジレントテクノロジー株式会社製、730ICP-OES、誘導結合プラズマ発光分光分析法)を用いてNi、Al、およびSiの含有量を測定した。なお、各含有量は、触媒の全量を基準とし、NiはNi換算、AlはAl2O3換算、SiはSiO2換算で算出した。
【0049】
[水素吸着量]
水素吸着量は、試料を静止系ガス吸着装置(自社にてガラス細工にて作成、真空ポンプ、デジタルマノメーター、ガス溜めバルーン、ガラスサンプラ―管、小型電気炉等にて構成される)を用いて測定した。具体的には、200℃に加熱した水素雰囲気下で30分間水素還元を行い、真空脱離したのち、常温で水素吸着をおこなった。水素吸着量は、平衡圧と吸着量の関係:ラングミュラー型吸着として算出した。具体的には、平衡圧4点の水素吸着量を測定し、平衡圧と水素吸着量の線形近似により求められる近似式を用いて、0mmbarの水素吸着量(外挿値)を求め、これを水素吸着量とした。
【0050】
[ニッケル結晶子径]
試料について、リガク社製のX線回折装置(リガク MultiFlex)を用いてX線回折測定を行った。まず、測定する試料を粉砕し、試料板に詰め、管電圧40kV、管電流20mA、走査範囲10~70°、発散スリット1.000°、散乱スリット1.0mm、受光スリット0.3mm、スキャンスピード4°/minの条件でX線回折(線源Cu-Kα線)測定を行った。Niの結晶子径は、X線回折測定により2θ=44°付近にピークトップを有する回折ピークを検出し、解析ソフト(JADE Version 5.0)を用いてScherrerの式により算出した。
【0051】
[比表面積]
比表面積は、窒素吸着法(BET法)により算出した。具体的には、比表面積測定装置(mountech製、Macsorb1220)を用いて、試料を約0.1g測定セルに入れ、窒素ガス気流中、250℃で40分間脱ガス処理を行った後、試料を窒素30容積%とヘリウム70容積%の混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。そして、上記混合ガスを流しながら試料の温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素量を測定し、測定後の試料重量で割ることで試料の比表面積を算出した。
【0052】
[細孔容積]
以下の方法でN2吸着測定を行った。N2吸着測定で得られた吸着等温線から、細孔径が1nm~160nm範囲の細孔容積PV(1-160)、1nm~60nm範囲の細孔容積PV(1-60)、60nm~160nm範囲の細孔容積PV(60-160)を算出した。また、PV(1-160)に対するPV(60-160)の割合を算出した。
測定方法:窒素吸着法
測定装置:BEL SORP-miniII(マイクロトラック・ベル株式会社製)
サンプル量:約0.1g
前処理:250℃、3時間(真空下)
相対圧範囲:0~1.0
算出方法:BJH法
【0053】
[活性評価:樹脂の水素化反応(1)]
スチレン・イソプレンブロック共重合物(ハイブラー5125、クラレ社製)を20重量%溶解したシクロヘキサン溶液150gに2.0gの試料を添加し、ステンレス製オートクレーブに仕込んだ。オートクレーブ内部を水素ガスで置換し、800rpmで攪拌しながら230℃まで昇温した。その後、オートクレーブ内の圧力が4.5MPaとなるまで水素を注入し、圧力を4.5MPaに維持した状態で水素の消費が確認されなくなるまで水素化反応を行った。水素化の過程を水素の消費で記録した。水素化反応の反応速度は、反応速度定数で表される。水素化率が50%を中央値として±20%の間で線形回帰を実施することによって反応速度定数が得られ、1/hで表される。
[活性評価:樹脂の水素化反応(2)]
試料の添加量を2.0gから4.0gに変更したこと以外は樹脂の水素化反応(1)に記載された方法と同様にして、反応速度定数を求めた。
【0054】
〔実施例1〕
ニッケル酸性水溶液調製工程
硝酸ニッケル水和物〔Ni(NO3)・6H2O〕、富士フイルム和光純薬社製)993.3gを水道水3.0Lに溶解し、70℃に調整してニッケル酸性水溶液を調製した。このニッケル酸性水溶液に含まれるNiの濃度は、酸性水溶液の全量に対して、5.02質量%であり、pHは4.5であった。
【0055】
塩基性懸濁液調製工程
15Lの攪拌槽に水道水を3.0L入れ、これに炭酸ナトリウム(Na2CO3、関東化学社製)543.3gを溶解し、70℃に調整した。その後、57.2gのアルミン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)、14.3gの珪酸ソーダ3号(ケイ酸ナトリウム、富士化学社製)、24.3gの珪藻土(Celite505,Imerys社製)を投入した。そして、60分間攪拌して沈殿物を水道水に分散させ、塩基性懸濁液を調製した。この塩基性懸濁液に含まれるケイ素の濃度(水溶性ケイ酸化合物由来)は、塩基性懸濁液の全量に対して、0.05質量%であり、アルミニウムの濃度は0.52質量%であり、珪藻土の濃度は0.67質量%であった。また、Si/Alモル比は0.10であり、pHは12.5であった。
【0056】
原料スラリー調製とpH調整工程
チューブポンプを用いて、前記ニッケル酸性水溶液を前記塩基性懸濁液に80分かけて注加した。注加中は酸性水溶液および塩基性懸濁液を70℃に保持しつつ攪拌した。そして、注加終了後も70℃に保持しつつ、2時間攪拌を継続して熟成させた。
pHは8.7であった。
【0057】
触媒前駆体分離工程
前記原料スラリーを、ヌッチェを用いて減圧濾過し、ケーキ状の触媒前駆体を得た。40℃に調整した6Lの温水に、触媒前駆体の全量を投入し、濾過することで、懸濁洗浄を行った。同工程を繰り返し行い、濾液の電気伝導度が1.5mS/cmとなったところで洗浄を終了した。箱型乾燥機を用いて、ケーキ状の前駆体を120℃で12時間乾燥した。乾燥後のケーキはハンマークラッシャーミルを用いてケーキを粉砕し粉末状の触媒前駆体を得た。
【0058】
触媒前駆体焼成工程
前記触媒前駆体を、打錠成形機を用いて直径5.6mm、高さ5.2mmの円柱状に成形した。この成型された触媒前駆体を、マッフル炉を用いて370℃で6時間焼成して触媒を得た。
【0059】
製造した触媒について、X線回折測定を行ったところ、使用した珪藻土および酸化ニッケルに由来するピークが確認された。また、結晶性のシリカおよびアルミナに由来するピークが確認されなかったことから、シリカおよびアルミナは非晶質の状態で存在していると判断した。X線回折パターンを
図1に示す。
【0060】
前述の触媒を、循環式還元機の反応容器に100g仕込んだ。ガスの流通速度をSV200hr-1となるように設定し、水素を循環しながら420℃まで昇温した後、20時間保持した。
【0061】
保持が終了した後、80℃まで冷却した。また、冷却の途中で循環するガスを水素から二酸化炭素に変更し、1時間保持した。保持が終了し、温度が80℃であることを確認した後、130℃を超えないように注意しながら空気を供給した。酸素濃度が10体積%に達した後、1時間保持し温度が80~85℃の範囲にあることを確認してから室温まで冷却を行った。
【0062】
室温まで冷却した後に触媒を大気中に取り出した。これを、ハンマークラッシャーミルで粉砕し、目開きが100μmの篩を使ってふるった。篩下を回収し、粉末状の触媒を得た。得られた触媒について、前述の測定ないし樹脂の水素化反応(1)の活性評価を行った。結果を表1、表3に示す。
【0063】
〔実施例2〕
実施例1の前駆体調製工程で用いた珪藻土(Celite505,Imerys社製)を、他社の珪藻土(Filter Cel,Imerys社製)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で触媒を得た。得られた触媒について、前述の測定ないし樹脂の水素化反応(1)の活性評価を行った。結果を表1、表3に示す。
【0064】
〔実施例3〕
実施例1の前駆体調製工程において、28.2gのアルミン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)、および114.5gの珪酸ソーダ3号(富士化学社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で触媒を得た。得られた触媒について、前述の測定ないし樹脂の水素化反応(1)の活性評価を行った。結果を表1、表3に示す。
【0065】
〔実施例4〕
実施例1の前駆体調製工程において、68.6gのアルミン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)、17.1gの珪酸ソーダ3号(富士化学社製)、および12.2gの珪藻土(Celite505,Imerys社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で触媒を得た。得られた触媒について、前述の測定ないし樹脂の水素化反応(1)の活性評価を行った。結果を表1、表3に示す。
【0066】
〔実施例5〕
実施例1の前駆体調製工程において、52.0gのアルミン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)、40.0gの珪酸ソーダ3号(富士化学社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で触媒を得た。得られた触媒について、前述の測定ないし樹脂の水素化反応(1)の活性評価を行った。結果を表1、表3に示す。
【0067】
〔比較例1〕
実施例1の前駆体調製工程において、アルミン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)、珪酸ソーダ3号(富士化学社製)を使用せず、85.7gの珪藻土(Celite505,Imerys社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で触媒を得た。得られた触媒について、前述の測定ないし樹脂の水素化反応(1)の活性評価を行った。結果を表2、表4に示す。
【0068】
〔比較例2〕
実施例1の前駆体調製工程において、珪藻土(Celite505,Imerys社製)を使用せず、69.6gのアルミン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)、70.9gの珪酸ソーダ3号(富士化学社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で触媒を得た。得られ触媒について、前述の測定ないし樹脂の水素化反応(1)の活性評価を行った。結果を表2、表4に示す。
【0069】
〔実施例6〕
実施例1の前駆体調製工程において、500.0gの硝酸ニッケル水和物(〔Ni(NO
3)・6H
2O〕、富士フイルム和光純薬社製)、273.5gの炭酸ナトリウム(Na
2CO
3、関東化学社製)、168.5gのアルミン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)、
42.0gの珪酸ソーダ3号(ケイ酸ナトリウム、富士化学社製)、71.7gの珪藻土(Celite505,Imerys社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で触媒を得た。得られた触媒について、前述の測定ないし樹脂の水素化反応(2)の活性評価を行った。結果を表1、表3に示す。
〔比較例3〕
実施例1の前駆体調製工程において、アルミン酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬社製)、珪酸ソーダ3号(富士化学社製)を使用せず、500.0gの硝酸ニッケル水和物(〔Ni(NO
3)・6H
2O〕、富士フイルム和光純薬社製)、273.5gの炭酸ナトリウム(Na
2CO
3、関東化学社製)、188.9gの珪藻土(Celite505,Imerys社製)を使用したこと以外は、実施例1と同様の方法で触媒を得た。得られた触媒について、前述の測定ないし樹脂の水素化反応(2)の活性評価を行った。結果を表2、表4に示す。
【表1】
【0070】
【0071】
【0072】
【要約】
高活性な触媒を求める要求を解決した樹脂水素化用触媒を提供する。
珪藻土および無機化合物の混合物からなる担体にニッケルが担持された触媒であって、ニッケル含有量が10質量%~80質量%の範囲であり、比表面積が100m2/g~200m2/gの範囲であり、細孔径が1nm~160nmの細孔容積(PV(1-160))が0.3mL/g~1mL/gの範囲であって、細孔径が60nm~160nmの細孔容積(PV(60-160))が0.045mL/g~0.5mL/gの範囲であることを特徴とする樹脂水素化用触媒。