(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-08
(45)【発行日】2023-11-16
(54)【発明の名称】カバー、記録装置、及びカバーの製造方法
(51)【国際特許分類】
G11B 33/12 20060101AFI20231109BHJP
G11B 33/02 20060101ALI20231109BHJP
G11B 33/14 20060101ALI20231109BHJP
【FI】
G11B33/12 313T
G11B33/02 D
G11B33/12 313C
G11B33/14 501J
G11B33/14 501P
(21)【出願番号】P 2023549972
(86)(22)【出願日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2023003448
【審査請求日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2022016713
(32)【優先日】2022-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】荒木 俊充
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 亘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀志
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0147917(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0232059(US,A1)
【文献】特開2008-123645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 33/12
G11B 33/02
G11B 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材によるカバーであって、
表面及び裏面を有し前記裏面側でベースとの間にガスケットを介在させ前記表面側から前記ベースに締結具により締結される外周部と、
前記外周部に前記締結を行わせる接合部とを備え、
前記接合部は、前記表面側で前記締結具に締結される締結面と前記裏面側で前記ベースに接合される接合面とを備え、前記外周部に対し前記表面側で凹状且つ前記裏面側で凸状となる段差で段付き形状に形成され、
前記段差は、前記板材の厚みを下回る寸法に設定され、
前記段付き形状は、前記締結面と前記外周部の表面との間にわたる前記段差の外面と前記接合面と前記外周部の裏面との間にわたる前記段差の内面とを備え、
前記外面と前記内面とは、前記接合面の面方向で相互に重ならない、
カバー。
【請求項2】
請求項1のカバーであって、
前記外面と前記内面は、前記接合面の面方向に交差して設定され、且つ前記接合面の面方向で前記板材の厚み未満の範囲で相互に位置する、
カバー。
【請求項3】
請求項1又は2のカバーであって、
前記外面と前記内面は、前記接合面の面方向に交差して同一面上に位置する、
カバー。
【請求項4】
請求項1又は2のカバーであって、
前記外面と前記内面は、前記接合面の面方向に直交して同一面上に位置する、
カバー。
【請求項5】
請求項1又は2のカバーであって、
前記接合部に隣接して前記ガスケットを備えた、
カバー。
【請求項6】
請求項1又は2のカバーをベースに取り付けたハウジング内に記録媒体を収容した記録装置であって、
前記カバーの外周部に備えられ前記ガスケットを前記裏面側で受けるための前記カバーの受面と、
前記ベースの外周部に備えられ前記ガスケットを受けるための前記ベースの受面と、
前記ベースの外周部に備えられ前記カバーの接合面を接合させる前記ベースの被接合面と、を備え、
前記ベースの受面は、前記ベースの被接合面が平坦に隣接する、
記録装置。
【請求項7】
請求項1又は2のカバーをベースに取り付けたハウジング内に記録媒体を収容した記録装置であって、
前記カバーの外周部に備えられ前記ガスケットを前記裏面側で受けるための前記カバーの受面と、
前記ベースの外周部に備えられ前記ガスケットを受けるための前記ベースの受面と、
前記ベースの外周部に備えられ前記カバーの接合面を接合させる前記ベースの被接合面と、を備え、
前記ベースの受面は、前記ベースの被接合面が段差状に隣接する、
記録装置。
【請求項8】
請求項7の記録装置であって、
前記ベースの受面は、前記カバーの接合面に対し前記ベースの被接合面よりも遠くに位置する、
記録装置。
【請求項9】
請求項1又は2のカバーの製造方法であって、
前記外周部を備えた板状のカバー半製品を形成する第1工程と、
前記板状のカバー半製品に対しプレスの半抜き加工により前記外周部に段付き形状の前記接合部を形成する第2工程と、
を含むカバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードディスクドライブ等の記録装置に用いられるカバー、これを用いた記録装置、及びカバーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置としてのハードディスクドライブは、記録媒体であるディスクを収容する空間部に塵埃や湿気等が侵入しないように密閉性が要求される。
【0003】
例えば、特許文献1には、
図14のように、空間部を区画するハウジング100のカバー101とベース103とを密閉用のガスケット106を介して接合したものが開示されている。
【0004】
この特許文献1では、カバー101の外周部101aにベース103に対する接合部113を備えている。接合部113は、カバー101の外周部101aに側壁部115を介して段付き形状に備えられ、ベース103に対してねじ等の締結具105により締結されている。
【0005】
ガスケット106は、カバー101の側壁部115に隣接して配置されている。カバー101の側壁部115は、厚み方向に沿った内面及び外面を有しており、ガスケット106を内面に近づけて配置することを可能とする。
【0006】
しかし、上記従来の構造では、ガスケット106と締結具105との間に側壁部115が介在する。そして、側壁部115の厚みを確保する必要性から、ガスケット106と締結具105とを近づけることに限界がある等、ガスケット106と締結具105との間の距離の設計の自由度が阻害されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、締結具とガスケットとの間の距離の設計の自由度が阻害されていた点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、板材によるカバーを提供する。カバーは、表面及び裏面を有し前記裏面側でベースとの間にガスケットを介在させ前記表面側から前記ベースに締結具により締結される外周部と、前記外周部に前記締結を行わせる接合部とを備える。前記接合部は、前記表面側で前記締結具に締結される締結面と前記裏面側で前記ベースに接合される接合面とを備え、前記外周部に対し前記表面側で凹状且つ前記裏面側で凸状となる段差で段付き形状に形成されている。前記段差は、前記板材の厚みを下回る寸法に設定されている。前記段付き形状は、前記締結面と前記外周部の表面との間にわたる前記段差の外面と前記接合面と前記外周部の裏面との間にわたる前記段差の内面とを備える。前記外面と前記内面とは、前記接合面の面方向で相互に重ならない。
【0010】
また、本発明は、前記カバーをベースに取り付けたハウジング内に記録媒体を収容した記録装置を提供する。記録装置は、前記カバーの外周部に備えられ前記ガスケットを受けるための前記カバーの受面と、前記ベースの外周部に備えられ前記ガスケットを受けるための前記ベースの受面と、前記ベースの外周部に備えられ前記カバーの接合面を接合させる前記ベースの被接合面とを備える。前記ベースの受面は、前記ベースの被接合面が平坦又は段差状に隣接する。
【0011】
さらに、本発明は、前記カバーの製造方法を提供する。カバーの製造方法は、前記外周部を備えた板状のカバー半製品を形成する第1工程と、前記板状のカバー半製品に対しプレスの半抜き加工により前記外周部に段付き形状の前記接合部を形成する第2工程とを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカバーは、段差の内面の位置に応じてガスケットと締結具とをより近づけることができる等、締結具とガスケットとの間の距離の設定の自由度を拡大することができる。
【0013】
本発明の記録装置は、上記カバーを用いることで、締結具とガスケットとの間の距離の設定の自由度を拡大することができる。
【0014】
本発明のカバーの製造方法は、上記カバーの製造を容易且つ確実に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1に係る記録装置に用いられるカバーの裏面図である。
【
図2】
図2(A)は、
図1のカバーのII-II線に対応する記録装置の概略断面図、
図2(B)は、変形例に係り、
図2(A)に対応する記録装置の概略断面図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線に対応する記録装置の一部を示す概略断面図である。
【
図4】
図4は、
図3のガスケットを備えたカバーの一部を示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、比較例に係り、ガスケットを備えたカバーの一部を示す概略断面図である。
【
図6】
図6は、実施例1の変形例に係り、
図1のIII-III線に対応する記録装置の一部を示す概略断面図である。
【
図7】
図7は、
図6のガスケットを備えたカバーの一部を示す概略断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施例2に係り、
図1のIII-III線に対応する記録装置の一部を示す概略断面図である。
【
図9】
図9は、
図8のガスケットを備えたカバーの一部を示す概略断面図である。
【
図10】
図10は、実施例2の変形例に係り、
図1のIII-III線に対応する記録装置の一部を示す概略断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施例3に係り、
図1のIII-III線に対応する記録装置の一部を示す概略断面図である。
【
図13】
図13は、実施例3の変形例に係り、
図1のIII-III線に対応する記録装置の一部を示す概略断面図である。
【
図14】
図14は、従来例に係り、
図1のIII-III線に対応する記録装置の一部を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
締結具とガスケットとの間の距離の設定の自由度を拡大するという目的を、段付き形状の接合部の段差の内面及び外面を接合面の面方向で相互に重ならないようにすることで実現した。
【0017】
図1~
図13のように、カバー17は、板材によるカバーである。
【0018】
カバー17は、表面16a及び裏面16bを有し、裏面16b側でベース15との間にガスケット25を介在させ、表面16a側からベース15に締結具23により締結される外周部17aを備える。また、カバー17は、締結を行わせる接合部29を外周部17aに備える。接合部29は、外周部17aの表面16a側で締結具23に締結される締結面29aと裏面16b側でベース15に接合される接合面29bとを備え、外周部17aに対し表面16a側で凹状且つ裏面16b側で凸状となる段差d1、d2で段付き形状に形成されている。
【0019】
段差d1、d2は、板材の厚みを下回る寸法に設定される。段付き形状は、締結面29aと外周部17aの表面16aとの間にわたる段差d1の外面33と接合面29bと外周部17aの裏面16bとの間にわたる段差d2の内面35とを備える。外面33と内面35とは、接合面29bの面方向で相互に重ならないように位置する。
【0020】
外面33と内面35は、接合面29bの面方向に交差して設定され、且つ接合面29bの面方向で板材の厚み未満の範囲で相互に位置してもよい。
【0021】
外面33と内面35を面方向に対して交差又は直交させ、平行又は同一面上に位置させてもよい。
【0022】
ベース15との間に介在するガスケット25は、接合部29に隣接してカバー17に備えられてもよい。
【0023】
カバー17を用いた記録装置1は、カバー17をベース15に取り付けたハウジング3内に記録媒体5、11を収容する。この記録装置1は、カバー17の受面17bと、ベース15の受面21aと、ベース15の被接合面19aとを備える。カバー17の受面17bは、カバー17の外周部17aに備えられ、ガスケット25を外周部17aの裏面16b側で受ける。ベース15の受面21aは、ベース15の外周部17aに備えられ、ガスケット25を受ける。ベース15の被接合面19aは、ベース15の外周部に備えられ、カバー17の接合面29bを接合させる。
【0024】
ベース15の受面21aは、ベース15の被接合面19aが平坦に隣接してもよい。これに代えて、ベース15の受面21aは、ベース15の被接合面19aが段差状に隣接してもよい。
【0025】
ベース15の受面21a及び被接合面19a相互間を段差状とする場合は、ベース15の受面21aがベース15の被接合面19aよりも凹んで、カバー17の接合面29bに対して遠くに位置してもよい。逆に、ベース15の受面21aは、被接合面19aよりも突出して、カバー17の接合面29bに対して遠くに位置することも可能である。
【0026】
カバー17の製造方法は、外周部17aを備えたカバー半製品を形成する第1工程と、板状のカバー半製品に対しプレスの半抜き加工により外周部17aに段付き形状の接合部29を形成する第2工程とを含む形態で実現できる。
【実施例1】
【0027】
[記録装置の構成]
図1は、本発明の実施例1に係る記録装置に用いられるカバーの裏面図である。
図2(A)は、
図1のカバーのII-II線に対応する記録装置の概略断面図、
図2(B)は、変形例に係り、
図2(A)に対応する記録装置の概略断面図である。
図3は、
図1のIII-III線に対応する記録装置の一部を示す概略断面図である。
図4は、
図3のガスケットを備えたカバーの一部を示す概略断面図である。
【0028】
記録装置1は、
図1及び
図2(A)のように、磁気ディスク装置としてのハードディスクドライブであり、ハウジング3内の空間部3aに記録媒体としての複数のディスク5を含めて図示しない内部機構を収容している。
【0029】
複数のディスク5は、積層され、スピンドルモーター7のスピンドルシャフト7aにより回転可能に支持された構成となっている。これらディスク5は、図示しないヘッドを通じて情報の読み書きが行われるようになっている。
【0030】
なお、記録装置1としては、磁気ディスク装置に限られず、光ディスク装置等の他のディスク装置或いはディスク装置以外の他の記録装置であってもよい。例えば、
図2(B)のように、記録装置1は、テープ埋め込み型ドライブとしてもよい。この記録装置1では、二つのテープリール9間に巻き取られた記録媒体としてのテープフィルム11及び情報の読み書き用のヘッドアッセンブリ13等がハウジング3内に収容されている。
【0031】
記録装置1のハウジング3は、
図2(A)及び
図3のように、ベース15と、カバー17とを含み、内部が密閉又は封止される。
【0032】
ベース15は、記録装置1の厚み方向の一方が開口した箱状に構成されている。なお、ベース15は、ディスク5を収容可能であればよく、その限りにおいて適宜の形状を採用可能である。本実施例のベース15は、例えば平面視で略矩形形状の箱状となっている。
【0033】
平面視とは、厚み方向から見た状態を意味し、平面及び底面を区別する意味ではない。また、単に厚み方向というときは、記録装置1の厚み方向を意味する。ベース15の材質は、アルミニウム等の金属であるが、これに限定されるものではない。
【0034】
ベース15は、厚み方向での開口にカバー17が取り付けられて閉止されている。これによってディスク5を収容するハウジング3内の空間部3aが密閉されている。この密閉状の空間部3aには、ヘリウム等の空気よりも抵抗の少ないガスを封入してもよい。
【0035】
ベース15の外周部には、側壁部15aが周回状に備えられている。ベース15の開口は、側壁部15aによって区画されている。なお、ベース15の外周部は、ディスク5を含めた内部機構を囲む外周領域であり、本実施例において側壁部15aが設けられている部分をいう。
【0036】
側壁部15aは、ベース15の板状の底部15cから一体に立設されている。ただし、側壁部15aは、ベース15の底部15cに対して別体に形成したものを結合して一体的に形成することもできる。
【0037】
この側壁部15aには、カバー受部19とガスケット受部21とが設けられている。
【0038】
ベース15のカバー受部19は、ベース15に対してカバー17を締結する部分に位置している。本実施例において、カバー受部19は、ベース15の周方向に間隔を空けて複数、例えば6カ所設けられている。なお、カバー受部19は、ベース15の外周部に沿って周回状に形成してもよい。ベース15の周方向とは、ベース15の側壁部15aに沿った周回方向を意味する。
【0039】
カバー受部19は、カバー17を厚み方向で接合させて受ける。この接合状態で、カバー17は、ベース15のカバー受部19の被接合面19aに締結されている。本実施例において、締結の方向(以下、締結方向)は、厚み方向に一致する。
【0040】
ただし、締結方向は、厚み方向に対して傾斜する等、一致しなくてもよい。カバー受け部19へのカバー17の接合方向も、締結方向と一致させるのが好ましいが、一致していなくてもよい。以下において、締結方向及び接合方向は、特に必要な場合を除き、厚み方向として示す。
【0041】
締結は、締結具、例えばボルト23により行われる。なお、カバー17は、スピンドルモーター7のスピンドルシャフト7aにもボルト24により締結されている。締結具としては、ボルト23、24以外にもリベット等を用いてもよい。
【0042】
このカバー受部19には、厚み方向の端部にカバー17を接合させるための被接合面19aが形成されている。カバー受部19の被接合面19aは、厚み方向に交差する平面により平坦に形成されている。被接合面19aを構成する平面は、本実施例において厚み方向に対して直交している。
【0043】
ただし、被接合面19aを厚み方向に対し若干傾斜して設定することもできる。また、被接合面19aは、カバー17を厚み方向で受けられればよく、平面である必要はない。
【0044】
被接合面19aに隣接して、ベース15の側壁部15aには縁壁15bが厚み方向に立設されている。縁壁15bは、側壁部15aの外縁に沿って周回状に形成されている。
【0045】
ベース15のガスケット受部21は、カバー17に取り付けられたガスケット25を受ける部分である。このガスケット受部21は、ガスケット25を受けることで、カバー17との間でガスケット25をボルト23による締結方向としての厚み方向で圧縮している。本実施例のガスケット受部21は、ベース15の側壁部15aに沿って平面視で周回状に設けられている。
【0046】
ガスケット受部21は、ガスケット25を受ける受面21aを有する。この受面21aは、ベース15の外周部に周回状に連続して備えられ、ガスケット25を厚み方向で受ける。ただし、受面21aは、ベース15の外周部に部分的に備えられてもよい。
【0047】
本実施例のベース15の受面21aは、ベース15の被接合面19aと同様に平面で形成され、ベース15の被接合面19aが平坦に隣接する。これにより、ベース15の受面21aは、ベースの被接合面19aと同一の平面として連続する。
【0048】
なお、ベース15の被接合面19aとベース15の受面21aとの間において、多少の傾斜或いは段差は平坦に含めることが可能である。なお、受面21aは、ガスケット25を受けられれば凹凸等を有してもよい。
【0049】
ベース15に取り付けられたカバー17は、ディスク5を収容するハウジング3の空間部3aを閉止する。つまり、カバー17は、ベース15の被接合面19aに、接合面29bが接合されてボルト23により締結されている。この締結により、カバー17とベース15との間にガスケット25を介在させてハウジング3としている。
【0050】
カバー17は、アルミニウム等の金属製の板材からなり、全体としてベース15の開口を覆う平板状に形成されている。本実施例のカバー17は、ベース15に対応して平面視において略矩形形状となっている。ただし、カバー17の形状等の形態は、ベース15の開口を覆うものであれば、特に限定されるものではない。また、カバー17の材質も任意である。
【0051】
カバー17の外周部17aには、接合部29が備えられている。カバー17の外周部17aは、ベース15に設置された内部機構を覆うカバー17の本体部分に対する外周領域をいう。外周部17aは、表面16a及び裏面16bを有する。外周部17aは、裏面16b側でベース15との間にガスケット25を介在させ、表面16a側からベース15にボルト23により締結される。表面16aとは、厚み方向で外部に臨む面であり、裏面16bとは、厚み方向でハウジング3内に臨む面である。
【0052】
接合部29は、ベース15の被接合面19aに接合して、ボルト23による締結を行わせる部分である。本実施例において、接合部29は、カバー17の外周部17aに6カ所形成されている。接合部29の配置箇所は、ベース15のカバー受部19に対応している。なお、接合部29は、周方向に連続的に備えてもよい。
【0053】
接合部29は、締結面29a及び接合面29bを備えている。締結面29aは、外周部17aの表面16a側でボルト23の締結を受けて締結される面となる。接合面29bは、外周部17aの裏面16b側でベース15の被接合面19aに接合される面となる。締結面29a及び接合面29bは、外周部17aの表裏面16a及び16bの面方向に沿った平坦面からなる。
【0054】
ただし、接合部29の締結面29aは、ボルト23による締結力を受けることができればよく、面方向に対して若干傾斜した面や平坦面に凹部又は凸部等を備えた構成であってもよい。また、接合面29bも、ベース15の被接合面19bで受けられれば、若干傾斜した面や平坦面に凹部又は凸部等を備えた構成であってもよい。
【0055】
なお、面方向とは、接合面29bに沿った方向をいう。
【0056】
接合部29は、外周部17aに対し表面16a側で凹状且つ裏面16b側で凸状となる段差d1、d2で段付き形状に設定されている。段差d1は、締結面29aが外周部17aの表面16aに対して有する段差であり、段差d2は、接合面29bが外周部17aの裏面16bに対して有する段差である。
【0057】
接合部29の段付き形状は、接合部29の接合面29b及び締結面29aがそれぞれカバー17の外周部17aの表裏面16a及び16bに対して厚み方向に外周部17aの板厚未満の範囲でオフセットされた形状である。この段付き形状は、プレスによる半抜き加工、切削、鍛造等で実現できる。
【0058】
段付き形状の段差d1、d2は、それぞれカバー17を形成する板材の厚みを下回る寸法に設定されている。本実施例において、段差d1及びd2は、同一となっている。ただし、段差d1及びd2を相互に異ならせてもよい。
【0059】
本実施例の段差d1、d2は、板厚の2/5程度の寸法となっている。ただし、段差d1の寸法は、ボルト23のヘッドの厚さ等に応じて、段差d2の寸法は、ガスケット25の圧縮量等に応じて種々変更することができる。例えば、段差d1の寸法は、ボルト23のヘッドが突出しない範囲で変更してもよい。
【0060】
この接合部29の段付き形状は、段差d1の外面33及び段差d2の内面35とを備える。外面33は、締結面29aと外周部17aの表面16aとの間にわたる面であり、内面35は、接合面29bと外周部17aの裏面16bとの間にわたる面である。
【0061】
これら外面33及び内面35は、接合面29bの面方向に交差した厚み方向に沿った面である。本実施例において、外面33及び内面35は、厚み方向で同一面上に位置している。これにより、外面33及び内面35は、接合面29bの面方向において、カバー17を構成する板材の板厚未満の範囲で相互に位置している。なお、外面33及び内面35は、一方又は双方が厚み方向に対して傾斜した面であってもよい。
【0062】
これら外面33及び内面35は、接合部29の段付き形状により厚み方向でオフセットされている。このため、外面33及び内面35は、接合面29bの面方向で相互に重ならない構成となっている。
【0063】
接合部29の平面形状は、
図1のカバー17から明らかなように、締結箇所に合わせて異なった形状に設定されているが、基本的にボルト23の周囲を囲む形状である。
【0064】
各接合部29には、ボルト23の挿通孔29cが形成されている。この挿通孔29cにボルト23が挿通されて、接合部29がボルト23によりベース15の被接合面19aに接合状態で締結されている。
【0065】
接合部29に隣接して、カバー17は、ベース15の受面21aに対向するカバー17の受面17bを備えている。
【0066】
カバー17の受面17bは、ガスケット25をボルト23による締結方向である厚み方向で受けるものである。本実施例において、カバー17の受面17bは、カバー17の外周部17aに周回状に備えられている。ただし、受面17bは、カバー17の外周部17aに部分的に備えられてもよい。
【0067】
受面17bは、ベース15の受面21aと同様に平面で形成されている。ただし、受面17bは、凹凸等を有してもよい。また、受け面17bは、厚み方向において接合部29の締結面29aよりも前方(ガスケット25側)に位置し、締結具23の締結力をガスケット25に確実に伝達する。
【0068】
このカバー17の受面17bには、ガスケット25が取り付けられている。なお、ガスケット25は、ベース15の受面21aに取り付けてもよい。また、ガスケット25は、受面17b及び21a間に取り付けずに介在させてもよい。
【0069】
ガスケット25は、カバー17とベース15との間を密封又は封止するものである。本実施例のガスケット25は、カバー17の外周部17aに沿った周回状となっている。なお、ガスケット25の平面形状は、カバー17とベース15との間を密封又は封止できれば任意である。
【0070】
本実施例のガスケット25は、カバー17の受面17bから厚み方向に突出し、先端部がベース15の受面21aに接している。そして、ガスケット25は、ベース15に対するカバー17の締結により、ベース15の受面21aとカバー17の受面17bとの間で圧縮されている。
【0071】
この状態でガスケット25は、接合部29の内面35に対して僅かな隙間を有している。ただし、ガスケット25を接合部29の内面35に密接させてもよい。接合部29の内面35にガスケット25が密接する場合は、内面35がガスケット25の障壁として機能する。
【0072】
本実施例のガスケット25は、カバー17の受面17bに沿って定着されている。ガスケット25は、FIPG(Foamed In Place Gasket)等の液体ガスケットが用いられている。すなわち、ガスケット25は、予めカバー17の受面17bに、塗布して硬化されて定着している。
【0073】
なお、ガスケット25は、液状ガスケットや成形ガスケット等の適宜のものを用いることが可能である。成形ガスケットの場合は、カバー17に事前に貼り付ければよい。また、ガスケット25としては、Oリング、パッキン等を用いてもよい。
【0074】
ガスケット25の断面形状は、自由状態で全体として半円弧状断面となっている。これにより、ガスケット25は、自由状態で厚み方向の途中から先端にわたって漸次幅が小さくなっており、圧縮状態においてカバー17とベース15との間で断面樽型を呈している。
【0075】
[カバー及び記録装置の製造方法等]
本実施例のカバー17は、第1工程及び第2工程を含む製造方法により製造することができる。
【0076】
第1工程では、外周部17aを備えた板状のカバー半製品を形成する。本実施例の第1工程では、プレス成型及び外郭の打抜きが行われる。プレス成型では、アルミニウム等の金属製の板材にカバー17の本体部に応じた断面形状を形成する。外郭の打抜きでは、カバー17の外周部17aに応じた外郭の打抜きを行う。
【0077】
このとき、外周部17aに接合部29が形成されておらず、概ねフラットなカバー半製品となる。なお、第1工程のカバー半製品は、接合部29が形成できる外周部17aを備えた形態であれば、概ねフラットな形態とする必要はない。また、カバー半製品の打抜きは、カバー半製品の全周ではなく、一部を板材との接続部として残存させてもよい。また、第1工程のカバー半製品の打抜きをカバー17に対応した外郭よりも大きくしてもよい。この場合、打ち抜かれた外郭を他の工程でカバー17に対応した外郭とすればよい。第1工程では、カバー17の外周部17aに応じた外郭の打ち抜きのみを行ってカバー半製品を形成し、このカバー半製品に対する断面形状のプレス成型は他の工程で行ってもよい。
【0078】
第2工程では、カバー半製品の外周部17aに接合部29をプレスの半抜き加工により段付き形状の接合部29を形成する。
【0079】
かかる製造方法により、締結面29a及び接合面29bを備えた段付き形状の接合部29を外周部17aに備えたカバー17を得ることができる。なお、カバー半製品の打抜きにおいて、一部を板材との接続部として残存させた場合、第2工程後に残存した部分を打ち抜けばよい。
【0080】
半抜き加工時には、段付き形状の外面33及び内面35を、厚み方向に沿った面として同時に形成し、且つ厚み方向でオフセットさせて同一面上に位置させることができる。
【0081】
このとき、外面33及び内面35の形成による接合部29の段差d1及びd2を同時に設定することができる。従って、本実施例では、接合部29をボルト23のヘッドの高さ分以上に低くすることと、ガスケット25の圧縮高さの設定を同時に行うことができる。
【0082】
カバー17の外周部17aと接合部29との間には、ボルト23による締結方向である厚み方向で外面33及び内面35間に設定した厚みd3が残される。従って、外面33及び内面35がカバー17の板厚未満で相互に位置し、本実施例において同一面上に位置しても、カバー17の外周部17aに対する接合部29の結合強度は維持される。
【0083】
このため、本実施例では、内面35の位置の設定が接合面29bの面方向において板厚との関係で制限されることが無くなり、設計の自由度を拡大することができる。
【0084】
特に、本実施例では、外面33及び内面35が同一面上に位置するから、ボルト23とガスケット25との間の距離を近接させることができる。結果として、ボルト23による締結力をガスケット25に伝達し易く、確実なシールに寄与する。
【0085】
また、ボルト23とガスケット25との間の距離をより近接させることで、ハウジング3内の空間部3aの拡大を図ることができる。結果として、ハウジング3内の限られたスペースにおいてガスケットの受部21を確保できる。従って、受部21からのガスケット25の脱落を抑制する設計も可能となる。
【0086】
また、同一面上に設定された外面33及び内面35は、半抜き加工で成形することで、外面33及び内面35を容易に同一面上に位置させることができる。
【0087】
成形されたカバー17には、
図4のように、カバー17の受面17bに沿って塗布し硬化させたガスケット25を定着させる。これにより、カバー17は、ガスケット25が接合部29の内面35に隣接して受面17bに取り付けられた構造となる。
【0088】
記録装置の製造は、カバー17の製造方法を含み、ガスケット25が取り付けられたカバー17をベース15に対して取り付けてディスク5を収容するハウジング3の空間部3aを閉止する。
【0089】
さらに説明すると、ベース15には、ディスク5を含む内部機構を設置しておく。このベース15の開口にガスケット25が取り付けられたカバー17を厚み方向で対向させる。このとき、カバー17及びベース15間の位置決めにより、ガスケット25の先端部をベース15の受面21aに対向させる。
【0090】
この状態で、カバー17及びベース15を相互に近接させ、ガスケット25の先端部をベース15の受面21aに当接させる。
【0091】
カバー17及びベース15相互をさらに近接させると、カバー17の受面17bのガスケット25がベース15の受面21aとの間で圧縮される。
【0092】
そして、カバー17の接合面29bがベース15の被接合面19aに接合される。この状態では、カバー17の外周縁がベース15の縁壁15bの内側に嵌合する。
【0093】
この接合状態で、接合部29の挿通孔29cにボルト23を挿通させてベース15のカバー受部19に締結する。
【0094】
こうして、本実施例のカバー17を用いることで、情報の記録及び読出し用のディスク5を含む内部機構をベース15に設置した記録装置1を得ることができる。
【0095】
本実施例では、カバー17にガスケット25が取り付けられているので、カバー17をベース15に締結することでガスケット25の先端部をベース15の受面21aに当接させることができる。従って、記録装置1の製造を容易に行わせることができる。
【0096】
また、記録装置1は、カバー17の受面17bと、ベース15の受面21aとを含み、ベース15の受面21aは、ベース15の被接合面19aが相互間の平坦形状として隣接する。
【0097】
従って、段差d1及びd2の設定がそのままガスケット25の圧縮高さを設定することになる。このため、カバー17をベース15に締結するだけでガスケット25を所望の圧縮高さで圧縮することができる。
【0098】
[比較例]
図5は、比較例に係り、ガスケットを備えたカバーの一部を示す概略断面図である。なお、
図5において
図4と対応する構成部分には同符号を付して説明する。
【0099】
図5は、カバー17を、アルミニウム等の金属製の板材のプレスにより折り曲げ加工したものである。
【0100】
図5のように、接合部29は、カバー17の外周部17aに対して板厚を上回る寸法の段差で設定されている。接合部29とカバー17の外周部17aとの間には、板厚寸法の側壁18が存在することになる。
【0101】
このため、挿通孔29cに挿通してベースとの締結を行うボルトとガスケット25との距離が相対的に遠くなる。かかる構造では、ハウジング内の空間部が制限されるか、ベース側のガスケット25の受面のスペース上の制約によりガスケット25が脱落し易くなる。また、ガスケット25に伝達するボルトの締結力が相対的に低くなり、シール機能が相対的に弱くなる恐れがある。
【0102】
しかも、接合部29がカバー17の外周部17aに対して板厚を上回る寸法の段差であるため、接合部29とカバー17の外周部17aとの間の側壁18の板厚寸法を必要以上に薄くすることもできない。
【0103】
これに対し、実施例のカバー17は、比較例のような不具合がなく、比較例に対して作用効果上大きな相違がある。
【0104】
[変形例]
図6は、実施例1の変形例に係り、
図1のIII-III線に対応する記録装置の一部を示す概略断面図である。
図7は、
図6のガスケットを備えたカバーの一部を示す概略断面図である。なお、基本的な構成は上記実施例と同様であり、同一又は対応する構成には同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0105】
本変形例は、ベース15及びカバー17の構造を上記実施例と同一とし、ガスケット25を複数層、例えば2層にしたものである。
【0106】
ガスケット25は、基端部25a及び先端部25bがそれぞれ異なる曲率の円弧状断面を有する。基端部25aは、先端部25bよりも大きな幅に設定されている。先端部25bは、基端部25aに対し接合部29の内面35寄りにオフセットされている。
【0107】
なお、同様にしてガスケット25を3層以上に設定することもでき、加えて接合面29bに沿った方向で複数層に設定することもできる。
【0108】
カバー17をベース15に締結した状態では、ガスケット25の先端部25bがベース15の受面21aから圧縮力を受ける。圧縮状態のガスケット25は、基端部25a及び先端部25bが共に内面35に近接するか接触する。これにより、ガスケット25は倒れが防止される。先端部25bは、圧縮による横変位が基端部25aよりも相対的に大きく、結果的に内面35に対する距離又は接触状態が基端部25aとほぼ同等に設定される。
【0109】
本変形例においても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例2】
【0110】
図8は、本発明の実施例2に係り、
図1のIII-III線に対応する記録装置の一部を示す概略断面図である。
図9は、
図8のガスケットを備えたカバーの一部を示す概略断面図である。なお、基本的な構成は上記実施例と同様であり、同一又は対応する構成には同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0111】
本実施例のカバー17は、段付き形状の外面33及び内面35が、接合面29bの面方向へ相互に位置がずれて設定されている。その他は、実施例1と同一である。
【0112】
具体的には、段付き形状の内面35が、接合面29aに沿った方向で外面33よりも接合部29側にオフセットした位置に配置されている。オフセットの程度は、内面35が外面33に対し板材の厚み未満の範囲で位置する程度である。
【0113】
カバー17の製造は、アルミニウム等の金属板材を用いた接合部29の半抜き加工及び内面35の切削加工の組み合わせ等で実現できる。
【0114】
かかる構造においてもボルト23による締結方向である厚み方向で外面33及び内面35間には設定した厚みが残され、カバー17の外周部17aに対する接合部29の結合強度は維持されている。
【0115】
しかも、段差の内面35が接合部29側に食い込んでいるため、ガスケット25をボルト23側へ相対的により近づけることができる。
【0116】
その他、本実施例においても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0117】
[変形例]
図10は、実施例2の変形例に係り、
図1のIII-III線に対応する記録装置の一部を示す概略断面図である。
図11は、
図10のガスケットを備えたカバーの一部を示す概略断面図である。なお、基本的な構成は上記実施例と同様であり、同一又は対応する構成には同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0118】
変形例のカバー17は、段付き形状の内面35が外面33に対して、接合面29aに沿った方向で接合部29から離れるようにオフセットして配置されている。このオフセットの程度は、段差の内面35が外面33に対し板材の厚み未満の範囲で位置する程度である。
【0119】
カバー17の製造は、アルミニウム等の金属板材を用いた接合部29の段曲げ加工及び内面35の切削加工の組み合わせ等で実現できる。段曲げ加工は、専用の金型を用いるなどして実現できる。
【0120】
かかる構造では、ボルト23による締結方向である厚み方向で外面33及び内面35間に、実施例1及び2に対して相対的に大きく設定できる厚みが残される。このため、本変形例では、実施例1及び2に比較してカバー17の外周部17aに対する接合部29の相対的に大きな結合強度が維持できる。
【0121】
その他、本変形例においても、実施例2と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例3】
【0122】
図12は、本発明の実施例3に係り、
図1のIII-III線に対応する記録装置の一部を示す概略断面図である。なお、基本的な構成は上記実施例と同様であり、同一又は対応する構成には同符号を付し、重複した説明は省略する。
図12は、
図3に対応する断面図である。
【0123】
図12のように、本実施例では、カバー17の構造を実施例1と同一とした。一方、ベース15の受面21aは、ベース15の被接合面19aが段差状に隣接する構造とした。
【0124】
具体的には、カバー17の接合面29bに対しベース15の受面21aが被接合面19aよりも厚み方向で凹んで遠くに位置している。
【0125】
ベース15の被接合面19aと受面21aとの間にわたる段差面37は、カバー17の段差d2の内面35に対し同一面上で厚み方向に連続している。ベース15の段差面37は、カバー17の段差d2の内面35を厚み方向で拡大する構造となっている。
【0126】
ガスケット25は、実施例1の変形例と同様に2層であり、受面17b、21a間の間隔の拡大に対応させることができる。段差面37との協働により段差の内面35の段差寸法が小さくても複数層のガスケット25に応じることができる。
【0127】
すなわち、本実施例では、段差d1、d2を同一としても、段差d1、d2に制約されることなくガスケット25の圧縮高さを変更できる。その他、実施例1又は2と同様の作用効果を奏することができる。
【0128】
[変形例]
図13は、実施例3の変形例に係り、
図1のIII-III線に対応する記録装置の一部を示す概略断面図である。なお、基本的な構成は上記実施例と同様であり、同一又は対応する構成には同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0129】
本変形例は、ベース15の受面21aを、被接合面19aよりもカバー17の受面17b側に突出して形成されている。
【0130】
なお、ガスケット25は、上記実施例1等と同様に1層である。
【0131】
本変形例では、ベース15の段差面37にカバー17の段差の内面35が嵌合する構造となり、ベース15に対するカバー17の位置決めを容易とする。
【0132】
その他、本変形例においても、実施例3と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0133】
1 記録装置
3 ハウジング
5 ディスク(記録媒体)
11 テープフィルム(記録媒体)
15 ベース
17 カバー
17a カバーの外周部
17b カバーの受面
19a ベースの被接合面
21a ベースの受面
23 ボルト(締結具)
25 ガスケット
29 接合部
29a 締結面
29b 接合面
33 外面
35 内面
【要約】
締結具とガスケットとの間の距離の設定の自由度を拡大することが可能なカバーを提供する。カバー17は、外周部17aに、締結を行わせる接合部29を備える。接合部29は、表面16a側でボルト23に締結される締結面29aと裏面16b側でベース15に接合される接合面29bとを備え、外周部17aに対し表面16a側で凹状且つ裏面16b側で凸状となる段差d1、d2で段付き形状に形成される。段差d1、d2は、板材の厚みを下回る寸法に設定される。段付き形状は、接合面29bの面方向で相互に重ならない段差d1の外面33と段差d2の内面35とを備える。