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  • 特許-対流実験装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】対流実験装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/12 20060101AFI20231110BHJP
   F23B 60/02 20060101ALI20231110BHJP
   F23B 50/12 20060101ALI20231110BHJP
   G09B 9/00 20060101ALI20231110BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
G09B23/12 A
F23B60/02
F23B50/12
G09B9/00 Z
G09B19/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023021190
(22)【出願日】2023-01-26
【審査請求日】2023-01-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年1月12日 福岡工業大学で開催された福岡県高等学校工業クラブ連盟、生徒研究発表専門委員会主催の「令和4年度 第32回 生徒研究発表会」において発表用資料をもって発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523051240
【氏名又は名称】山本 大遥
(73)【特許権者】
【識別番号】523051251
【氏名又は名称】政重 朋希
(73)【特許権者】
【識別番号】523051262
【氏名又は名称】浦方 太一
(73)【特許権者】
【識別番号】523051273
【氏名又は名称】結城 賢心
(73)【特許権者】
【識別番号】523051284
【氏名又は名称】岩宗 祐弥
(73)【特許権者】
【識別番号】523051295
【氏名又は名称】中峰 大智
(73)【特許権者】
【識別番号】523051309
【氏名又は名称】安河内 陽
(72)【発明者】
【氏名】山本 大遥
(72)【発明者】
【氏名】政重 朋希
(72)【発明者】
【氏名】浦方 太一
(72)【発明者】
【氏名】結城 賢心
(72)【発明者】
【氏名】岩宗 祐弥
(72)【発明者】
【氏名】中峰 大智
(72)【発明者】
【氏名】安河内 陽
【審査官】池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-058069(JP,A)
【文献】特開2006-052912(JP,A)
【文献】特開2021-004711(JP,A)
【文献】特開2021-032009(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0146002(KR,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2011-0003993(KR,U)
【文献】基本設計,飯舘村ハウス暖房実験用薪ストーブ 制作記 [online],2017年03月18日,<URL:http://takibisociety.web.fc2.com/iitate/pages/plan.html>,[2023年5月12日検索]
【文献】暖房しながら給湯もできる薪ボイラー一覧。そしてオリジナル給湯ストーブ制作へ。これまでの反省とたどり着いた答え。,ecoばか実験室 [online],2022年01月02日,<URL:https://ecobaka.com/10317-2/>,[2023年5月15日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14
F23B 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料投入口と、吸気口と、バーントンネルと、前記バーントンネルを通過した気体が排出される煙突とを備えたロケットストーブと、
前記吸気口に取り付けられる吸気口ファンと、
前記ロケットストーブに併設される水槽と、
側面視コの字状の管であり、側面視において上方端部および下方端部が前記水槽と繋がっており中央部が前記バーントンネル内を通っており、かつ前記下方端部から前記上方端部へ前記水槽内の水が循環する管とを有する対流実験装置。
【請求項2】
前記水槽は、上部が開口したものである、または/および、透明なものである請求項1に記載の対流実験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロケットストーブと水槽を利用した対流実験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、機械工学科で機械工学を学んでいる。そして、設計、製図、工作、材料、熱工学など加工から設計開発まで学んだ集大成として課題研究という授業が設定されている。課題研究の授業でSDGsを通して「エネルギーをみんなにクリーンに」を考えた際に、ロケットストーブの話題になった。対流については原動機やボイラーの勉強で学んだが、全員が理解はできておらず、熱工学系の理解が乏しかった。また、原動機や熱工学は座学では学ぶが、実態を見る機会が少なくイメージがわかないという意見が多数出ていた。
【0003】
そこで、出願人は、ロケットストーブを利用し、気体・液体の対流を確認でき、仕組みを理解することで対流を学べる実験装置の開発をしようと考えた。
また、その開発を通して、脱炭素やクリーンエネルギーなど国や企業が発信している取り組みの重要性や問題点等を議論し、工業技術者としてどう考えるべきか考察をしようと思った。
【0004】
さらに、この実験装置を巨大化させることにより、学校内での温水の使用が可能となり、災害時など有事(電気・ガスの遮断)の際には地域の衛生環境の拠点としての活躍も期待ができるメリットも存在する。理論が分かっていれば生徒だけでも作成が可能であり、材料が豊富な工業高校を災害時の拠点として利用することも、近隣校に同じような施設を設置することも可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-184980号公報
【文献】実全昭57-025943号公報
【文献】実全昭60-183036号公報
【文献】実全昭63-020181号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1(発明の名称:湯流し温泉パイプ)に記載の発明は、浴槽内の「水位を一定に保つ」ことを目的としている。
また、特許文献2(考案の名称:風呂釜の強制対流装置)に記載の考案は、水の流れを「スクリューによって起こさせている」。
また、特許文献3(考案の名称:液体の対流実験用容器とその台)に記載の考案は、対流の原理的様子を観察しやすくするために使用する「容器」である。
また、特許文献4(考案の名称:空気の対流実験具)に記載の考案は、「太陽熱」を集中させることで上昇気流を発生させてファンを回すことで、気体の対流を可視化している。
【0007】
しかし、特許文献1に記載の湯流し温泉パイプは、本願発明における対流とサイフォンの原理を応用した水管とは大きく異なる。
また、特許文献2に記載の風呂釜の強制対流装置は、風呂釜と浴槽の湯水の対流を自然にまかせず熱発電素子の起電力により水中モーターを回転させ、スクリューによる強制対流に急速に沸かすなど、燃料の節約を目的とするものである。
また、特許文献3に記載の液体の対流実験用容器とその台は、ビーカーの欠点を補ったものであり、容器の形を変更することで液体の対流を見やすくしたにすぎない。
また、特許文献4に記載の空気の対流実験具は、「太陽熱」を集中させ、上昇気流を発生させてファンを回すことで気体の対流を可視化しているものである。
【0008】
よって、本発明は、ロケットストーブを利用し、気体・液体の対流を確認でき、仕組みを理解することで対流を学べる実験装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、燃料投入口と、吸気口と、バーントンネルと、前記バーントンネルを通過した気体が排出される煙突とを備えたロケットストーブと、
前記吸気口に取り付けられる吸気口ファンと、
前記ロケットストーブに併設される水槽と、
両端が前記水槽と繋がって、前記水槽内の水が循環する管であり、その一部が、前記バーントンネル内を通る管とを有する対流実験装置である。
【0010】
本発明は以上のような構成であるため、本発明によれば、
(1)熱による気体の対流を目視により確認できる。
(2)熱による液体の対流を目視により確認できる。
【0011】
また、本発明は、さらに、前記ロケットストーブ内の前記燃料投入口から投入された燃料が溜まる部分に、前記燃料の燃えカスが前記吸気口をふさがないようにするための金網を備えた構成であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
よって、本発明によれば、熱による気体の対流および熱による液体の対流が目視により確認することができるため、熱工学の導入である対流が可視化され誰にでも分かりやすくなる。また、体験入学などで中学生などに説明が難しかった熱工学の授業の説明も、本発明を見せることにより分かりやすくなる。
(1)従って、小学生理科の「水のあたたまり方」や中学生理科の「水の伝わり方」工業高校で学ぶ原動機やボイラーなどの熱工学系の授業などで学ぶことを体験できることにより学びを深めることが可能である。
(2)また、この実験装置を応用して煙突効果の学習や2次燃焼などを学んだり、ボイラーの構造の導入に活用出来たり、蒸気機関の仕組みを説明するなど小学生から高校まで幅広い対象に対して必要な熱工学の知識を提供できる。
(3)さらに、エネルギーの移動や変換を目視で確認できることにより身近に感じられ、工業が直面している課題「SDGs」や「カーボンニュートラル」などを就職試験で調べた際にも役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る対流実験装置の全体図である。
図2】上は、気体対流実験装置を説明する図であり、下は、液体対流実験装置を説明する図である。
図3】金網を取り付けた気体対流実験装置を説明する図である。
図4】気体対流実験装置の燃料投入口を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
【0015】
(1.全体の構成について)
図1に示すように、対流実験装置100は、気体対流実験装置A(図1の左側)と液体対流実験装置B(図1の右側)を組み合わせた対流実験装置である。
【0016】
(1-1.気体対流実験装置Aについて)
対流実験装置100の気体対流実験装置Aは、燃料投入口1、吸気口2、バーントンネル3、煙突4からなるロケットストーブ11に、吸気口ファン5を取り付けたものである(図1図2の上参照)。吸気口ファン5は、流れる気体(例えば、ドライヤーからの風など)を受けて回転するものであり、吸気口2に取り付けられている。そのため、吸気口ファン5が回りだすことにより、気体の対流が発生していることを目視で確認することができる。
【0017】
また、図4は、気体対流実験装置の燃料投入口を説明する図である。図1,4に示すように、燃料投入口1には、燃料投入口ふた10が蝶番9によって取り付けられている。そのため、気体対流実験装置Aの燃料投入口1は、燃料投入口ふた10を開けたり閉じたりすることができる。なお、燃料投入口1からバーントンネル3を繋ぐ部分は斜めになっており(バーントンネル3側の方向に向かって下がるように傾斜しており)、燃料投入口1から投入された燃料は、そこを滑ってバーントンネル3内に入る。
【0018】
また、図3に示すように、バーントンネル3内の燃料投入口1から投入された燃料が溜まる部分には、金網8が取り付けられている。金網8を取り付けることで、燃料の燃えカスが吸気口2から入ってくる気体(例えば、吸気口2から入ってくる空気)をふさがないようにすることができる。
なお、図3においては、燃料投入口1、燃料投入口ふた10やロケットストーブ11などの記載は省略している。
【0019】
(1-2.液体対流実験装置Bについて)
また、図1に示すように、液体対流実験装置Bは、気体対流実験装置Aに併設されている。図1に示す液体対流実験装置Bは、上が開口しており、そこから水が溜められた水槽7である。そして、水槽7に、コの字型の管6が繋がっている。管6の両端は、水槽7と繋がっており、水槽内の水が管6内を通過(循環)する(図2の下参照)。
以下、水槽7と繋がっている管6の両端のうち、上の方の端部を「上方端部」、下の方の端部を「下方端部」と言う。なお、管6の一部(以下、「中央部」という)は、バーントンネル3内を通っている(図1参照)。
【0020】
このように、管6の中央部は、燃料投入口1から投入された燃料が燃えることで温度が変わる(温度が上昇する)バーントンネル3内に取り付けられている。そのため、管6内を通過(循環)する水は、この中央部で加熱されて温度が上昇する。
【0021】
そうすると、水の温度差が生じる。そして、水槽7に溜められている水の高さ(水位)が、上方端部よりも低くなると、暖かい水(暖められた水)は上方端部から出て、冷たい水(暖められていない水)は下方端部から入る。
【0022】
(2.熱による気体の対流を確認するやり方)
以下、熱による気体の対流を確認するやり方について説明する。
まず、燃料投入口1から投入された燃料を燃やして、ロケットストーブ11内の燃焼室内の温度を高くし、燃料投入口1を燃料投入口ふた10でふさぐ。その後、ドライヤーなどで冷風を送り込みきっかけを与えることで、一定時間吸気口ファン5を回す。
【0023】
そして、ロケットストーブ11内では燃料が燃えているため、ロケットストーブ11内では上昇気流が発生する。ロケットストーブ11内で発生した上昇気流は、煙突4から外へ排出される。
【0024】
冷たい空気は下へ、暖かい空気は上へと移動するため、ドライヤーなどできっかけを与えた後は、ドライヤーなどで冷風を送り込むことを止めても、冷たい空気が吸気口2からロケットストーブ11内へと入り込み続ける。そして、吸気口2から入り込んだ冷たい空気はロケットストーブ11内で温められ、上昇して、煙突4から外へ排出される。
【0025】
このように、下から上へと、熱による気体の対流が発生する。この気体の対流は、吸気口ファン5が回っていることを目視で確認することで、気体の対流が発生していることを確認することができる。
【0026】
(3.熱による液体の対流を確認するやり方)
以下、熱による液体の対流を確認するやり方について説明する。
まず、水槽7の上部まで(水位が上方端部よりも上になるように)水をいれる。そして、ロケットストーブ11に燃料を入れて、バーントンネル3内を通るコの字型の管6内の水を十分に温める。その後、上方端部より温水(約70℃~)が出だしたら、上方端部より水位を下げる。そうすると、温水は上方端部から出て、冷たい水(暖められていない水)は下方端部から入る。
【0027】
このように、液体対流実験装置Bでは、熱による液体の対流、つまりサイフォンの原理を目視で確認することができる。この目視確認は、例えば水槽7を上から覗いたり、水槽を透明にしたりすることで、管6の上方端部から温水が出ていることを目視確認することができる。
【産業上の利用可能性】
本発明は、熱による気体の対流と熱による液体の対流を目視により確認することができるため、誰でも対流の仕組みを簡単に理解する(学べる)ことができる実験装置であるため、産業上有用である。
【符号の説明】
【0028】
1 燃料投入口
2 吸気口
3 バーントンネル
4 煙突
5 吸気口ファン
6 管
7 水槽
8 金網
9 蝶番
10 燃料投入口ふた
11 ロケットストーブ
100 対流実験装置
A 気体対流実験装置
B 液体対流実験装置
【要約】
【課題】ロケットストーブを利用し、気体・液体の対流を確認でき、仕組みを理解することで対流を学べる実験装置を提供する。
【解決手段】対流実験装置100は、燃料投入口1と、吸気口2と、バーントンネル3と、バーントンネル3を通過した気体が排出される煙突4とを備えたロケットストーブ11と、吸気口2に取り付けられる吸気口ファン5と、ロケットストーブ11に併設される水槽7と、両端が水槽7と繋がって、水槽7内の水が循環する管6であり、その一部が、バーントンネル11内を通る管6とを有する対流実験装置100である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4