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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/023 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
G06F3/023
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022501737
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 JP2021003183
(87)【国際公開番号】W WO2021166588
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2020028268
(32)【優先日】2020-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】松下 尚史
【審査官】石川 亮
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2009-0009005(KR,A)
【文献】特開平08-067049(JP,A)
【文献】特開2004-157712(JP,A)
【文献】特開平11-161484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/023
H03M 11/04
G06F 9/4401
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ボタンを有する電子機器であって、
プロセッサと、
前記電子機器の起動時に前記プロセッサによって実行されるファームウェア、および、前記操作ボタンの機能を決定するキーコード情報を記憶した第1記憶部と、
前記第1記憶部から前記キーコード情報を読み出すとともに書き換え可能に一時的に記憶する第2記憶部と、
前記第2記憶部に記憶された前記キーコード情報に基づいて、前記操作ボタンにキーコードを割り当てるキーボード制御部と、
を備え、
前記プロセッサは、前記ファームウェアのセットアップ中に、前記第2記憶部に記憶された前記キーコード情報の書き換えがされたか否かを判定し、
前記プロセッサは、前記キーコード情報の書き換えがされたと判定したときに、前記操作ボタンに割り当てられるキーコードを変更するキーコード変更情報を生成し、
前記キーボード制御部は、前記ファームウェアのセットアップ中に、前記キーコード変更情報に基づいて前記操作ボタンに割り当てられたキーコードを反映する、
電子機器。
【請求項2】
さらに、
前記ファームウェアのセットアップ画面を表示する表示部、を備え、
前記キーコード情報と、前記キーコード変更情報とが、それぞれ識別可能に前記表示部に表示される、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記キーコード変更情報は、前記表示部において強調表示される、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記キーコード変更情報を前記第1記憶部に記憶する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記キーコード情報は、前記ファームウェアのセットアップ中の前記操作ボタンの機能を決定する第1キーコード情報と、前記ファームウェアのセットアップ中以外の前記操作ボタンの機能を決定する第2キーコード情報とを含み、
前記キーボード制御部は、前記電子機器の起動時に、前記第2キーコード情報に基づいて前記操作ボタンに割り当てられるキーコードを変更し、
前記キーボード制御部は、前記ファームウェアのセットアップが開始されると、前記第1キーコード情報に基づいて前記操作ボタンに割り当てられるキーコードを反映する、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記キーコード変更情報は、前記第1キーコード情報が書き換えられたときに生成される第1キーコード変更情報と、前記第2キーコード情報が書き換えられたときに生成される第2キーコード変更情報と、を含み、
前記プロセッサは、前記ファームウェアのセットアップ中に前記第1キーコード変更情報を前記第1記憶部に記憶し、前記ファームウェアのセットアップ終了後に前記第2キーコード変更情報を前記第1記憶部に記憶する、
請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子機器は、タブレット型PCである、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等の表示部に操作ボタンが配置されたタブレット型の電子機器が知られている。例えば、特許文献1には、表示パネルの周囲に複数のキーボタンが配列された表示ユニットを有する情報処理装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の情報処理装置は、端末の動作モードに応じて、キーボタンに割り当てられる機能を切り替える手段を有する。すなわち、特許文献1に記載の情報処理装置は、例えば、BIOSプログラムを実行するブート動作モードと、OS起動後の動作モードとを有し、それぞれのモードでキーボタンに異なる機能を割り当てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-157712号公報
【発明の概要】
【0005】
特許文献1に記載の情報処理装置は、操作性の向上という点において未だ改善の余地がある。
【0006】
そこで、本開示は、操作性を向上した電子機器を提供することを目的とする。
【0007】
本開示にかかる電子機器は、
操作ボタンを有する電子機器であって、
プロセッサと、
前記電子機器の起動時に前記プロセッサによって実行されるファームウェア、および、前記操作ボタンの機能を決定するキーコード情報を記憶した第1記憶部と、
前記第1記憶部から前記キーコード情報を読み出すとともに書き換え可能に一時的に記憶する第2記憶部と、
前記第2記憶部に記憶された前記キーコード情報に基づいて、前記操作ボタンにキーコードを割り当てるキーボード制御部と、
を備え、
前記プロセッサは、前記ファームウェアのセットアップ中に、前記第2記憶部に記憶された前記キーコード情報の書き換えがされたか否かを判定し、
前記プロセッサは、前記キーコード情報の書き換えがされたと判定したときに、前記操作ボタンに割り当てられるキーコードを変更するキーコード変更情報を生成し、
前記キーボード制御部は、前記ファームウェアのセットアップ中に、前記キーコード変更情報に基づいて前記操作ボタンに割り当てられたキーコードを変更する。
【0008】
本開示によると、操作性を向上した電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施の形態1にかかる電子機器の内部構成を示すブロック図である。
図2図1の電子機器の外観およびBIOSセットアップ画面を示す模式図である。
図3図1の電子機器のキーコード情報の変更動作を示すフローチャートである。
図4図2の別のBIOSセットアップ画面においてキーコード情報を変更するときの模式図である。
図5図2の別のBIOSセットアップ画面において、変更されたキーコード情報が表示された模式図である。
図6図1の電子機器の実施の形態2にかかるキーコード情報の変更動作を示すフローチャートである。
図7図1の電子機器の実施の形態2にかかるBIOSセットアップ画面の表示例を示す模式図である。
図8図7のBIOSセットアップ画面の別の表示例を示す模式図である。
図9図1の電子機器の実施の形態3にかかるキーコード情報の変更動作を示すフローチャートである。
図10図1の電子機器の実施の形態3にかかるBIOSセットアップ画面の表示例を示す模式図である。
図11図10のBIOSセットアップ画面の別の表示例を示す模式図である。
図12図10のBIOSセットアップ画面の別の表示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示に至った経緯)
近年、タブレット型PCが普及している。タブレットPCには、1つまたは複数の操作ボタンが配置され、それぞれの操作ボタンには異なる機能が割り当てられる。例えば、タブレット型PCに配置されたボタンのそれぞれには、カーソル移動、選択肢変更、決定、設定値保存、終了、等のショートカットキーが割り当てられる。操作ボタンは、BIOSセットアップにおける操作にも使用することができる。
【0011】
しかし、このようなタブレット型PCでは、操作ボタンを使用したBIOSセットアップにおける変更操作が容易ではないという問題がある。BIOSセットアップにおいては、各種設定項目が変更されると、保存および終了して次に起動したときにはじめて変更された設定項目が有効になるのが一般的である。これは、ハードウェアのパラメータ等、CPUをリセットしないと反映できない設定項目があるためである。
【0012】
操作ボタンに対する機能の割り当ての変更においても同様に、保存および終了して次の起動時に反映される。すなわち、操作ボタンに対する機能の割り当てを変更しても、その変更は、電子機器を再起動しないと反映されない。このため、BIOS設定における操作性を向上させるために、再起動せずに、操作ボタンに対する機能の割り当てを即時に反映することが求められている。
【0013】
そこで、本発明者は、BIOS設定において、操作ボタンに対する機能の割り当てを、再起動をせずに即時に反映することを検討し、以下の発明に至った。
【0014】
本開示の一態様にかかる電子機器は、
操作ボタンを有する電子機器であって、
プロセッサと、
前記電子機器の起動時に前記プロセッサによって実行されるファームウェア、および、前記操作ボタンの機能を決定するキーコード情報を記憶した第1記憶部と、
前記第1記憶部から前記キーコード情報を読み出すとともに書き換え可能に一時的に記憶する第2記憶部と、
前記第2記憶部に記憶された前記キーコード情報に基づいて、前記操作ボタンにキーコードを割り当てるキーボード制御部と、
を備え、
前記プロセッサは、前記ファームウェアのセットアップ中に、前記第2記憶部に記憶された前記キーコード情報の書き換えがされたか否かを判定し、
前記プロセッサは、前記キーコード情報の書き換えがされたと判定したときに、前記操作ボタンに割り当てられるキーコードを変更するキーコード変更情報を生成し、
前記キーボード制御部は、前記ファームウェアのセットアップ中に、前記キーコード変更情報に基づいて前記操作ボタンに割り当てられたキーコードを変更する。
【0015】
この構成によると、操作性を向上した電子機器を提供することができる。
【0016】
さらに、
前記ファームウェアのセットアップ画面を表示する表示部、
を備え、
前記キーコード情報と、前記キーコード変更情報とが、それぞれ識別可能に前記表示部に表示されてもよい。
【0017】
この構成によると、キーコード情報とキーコード変更情報とが識別可能であるため、変更箇所を認識しやすくなり、さらに操作性が向上する。
【0018】
前記キーコード変更情報は、前記表示部において強調表示されてもよい。
【0019】
この構成によると、キーコード変更情報を強調表示することで、さらに変更箇所を認識しやすくなる。
【0020】
前記プロセッサは、前記キーコード変更情報を前記第1記憶部に記憶してもよい。
【0021】
この構成によると、キーコード変更情報を第1記憶部に記憶することにより、電子機器を次に起動したときにも、操作ボタンに対して変更したキーコードを割り当てることができる。
【0022】
前記キーコード情報は、前記ファームウェアのセットアップ中の前記操作ボタンの機能を決定する第1キーコード情報と、前記ファームウェアのセットアップ中以外の前記操作ボタンの機能を決定する第2キーコード情報とを含み、
前記キーボード制御部は、前記電子機器の起動時に、前記第2キーコード情報に基づいて前記操作ボタンに割り当てられるキーコードを変更し、
前記キーボード制御部は、前記ファームウェアのセットアップが開始されると、前記第1キーコード情報に基づいて前記操作ボタンに割り当てられるキーコードを変更してもよい。
【0023】
この構成によると、セットアップ中の第1キーコード情報とセットアップ中以外の第2キーコード情報との2つのキーコード情報のそれぞれを操作ボタンに割り当てることができる。その結果、セットアップ中とそれ以外とで、操作ボタンの機能を使い分けることができ、操作性が向上する。
【0024】
前記キーコード変更情報は、前記第1キーコード情報が書き換えられたときに生成される第1キーコード変更情報と、前記第2キーコード情報が書き換えられたときに生成される第2キーコード変更情報と、を含み、
前記プロセッサは、前記ファームウェアのセットアップ中に前記第1キーコード変更情報を前記第1記憶部に記憶し、前記ファームウェアのセットアップ終了後に前記第2キーコード変更情報を前記第1記憶部に記憶してもよい。
【0025】
この構成によると、セットアップ中の操作ボタンの機能を決定する第1キーコード情報はセットアップ中に変更され、セットアップ中以外の操作ボタンの機能を決定する第2キーコード情報はセットアップ終了後に変更される。このため、例えば、セットアップ中に使用したい機能を操作ボタンに割り当て、セットアップ中以外はその他の機能を割り当てることができる。その結果、操作ボタンの数を減らすことが可能になる。
【0026】
前記電子機器は、タブレット型PCであってもよい。
【0027】
この構成によると、操作ボタンの数の少ないタブレット型PCにおいて、操作ボタンに対する機能をフレキシブルに変更することができるため、操作性が向上する。
【0028】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1にかかる電子機器1の内部構成を示すブロック図である。図2は、図1の電子機器1の外観およびBIOSセットアップ画面を示す模式図である。図3は、図1の電子機器1のキーコード情報の変更動作を示すフローチャートである。図4は、図2の別のBIOSセットアップ画面においてキーコード情報を変更するときの模式図である。図5は、図2の別のBIOSセットアップ画面において、変更されたキーコード情報が表示された模式図である。
【0029】
[全体構成]
電子機器1は、図1に示すように、CPU2と、PCH3と、第1記憶部4と、第2記憶部5と、操作ボタン6a~6fと、EC(エンベデッドコントローラ)7と、表示部8と、タブレット9と、を備える。なお、表示部8とタブレット9とは必須の構成ではない。表示部8は、例えば液晶ディスプレイ等である。CPU2が本開示の「プロセッサ」に相当する。また、エンベデッドコントローラ7には、キーボード制御部7aが含まれる。
【0030】
電子機器1は、図2に示すように、タブレット型PCである。図2に示すように、電子機器1は、表示部8と、表示部8に隣接して配置された6つの操作ボタン6a~6f、電源ボタン6gを有する。また、図示されていないが、電子機器1は、マイク、スピーカー、カメラ等を備えていてもよい。
【0031】
<CPU>
CPU(Central Processing Unit)2は、電子機器1の中央処理装置であり、電子機器1のシステム制御を司る。CPU2は、例えば、図示されていない不揮発性メモリから第2記憶部にロードされたOS(Operating System)または後述するBIOS等を実行する。
【0032】
<PCH>
PCH(Platform Controller Hub)3は、CPUの機能をサポートする役割を果たす。本実施の形態では、PCH3は、MCH(Memory Controller Hub)3aとビデオコントローラ3bとを含み、CPU2と、メモリ(第2記憶部5)または表示部8等のハードウェアとのインタフェースとして機能する。
【0033】
MCH3aは、メインメモリ(第2記憶部5)に記憶されたデータ等の読み出しまたは書き込みなどの制御を行うインタフェースとして機能する。
【0034】
ビデオコントローラ3bは、メインメモリに記憶されたデータに基づいて、表示部8における映像または画像の表示を制御する。
【0035】
<第1記憶部>
第1記憶部4は、電子機器1の起動時に、CPU2によって実行されるファームウェア、および操作ボタン6a~6fの機能を決定するキーコード情報を記憶する。第1記憶部4は、非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体であり、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。
【0036】
本実施の形態では、CPU2によって実行されるファームウェアとしてBIOS(Basic Input/Output System)が第1記憶部4に記憶されている。BIOSは、入出力ハードウェアの初期化や制御を実行するソフトウェアである。また、第1記憶部4は、書き込み可能な領域を有し、BIOSにより設定される入出力ハードウェアのパラメータ等が記憶される。また、後述するキーコード情報も第1記憶部4に記憶されている。なお、CPU2により実行されるファームウェアはBIOSに限定されず、例えば、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)等であってもよい。
【0037】
<第2記憶部>
第2記憶部5は第1記憶部4からキーコード情報を読み出すとともに書き換え可能に一時的に保存する。第2記憶部5は、一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体であり、例えばDRAM等の揮発性メモリである。CPU2は、第1記憶部4に記憶されたデータまたはプログラム等を第2記憶部5にロードして、第2記憶部5にロードされたデータ等にアクセスし、BIOSまたはその他のアプリケーション等を実行することができる。
【0038】
<操作ボタン>
本実施の形態では、電子機器1は6つの操作ボタン6a~6fを有する。操作ボタンの数は6つに限定されず、1つまたは複数であってもよい。図2に示すように、操作ボタン6a~6fは、本実施の形態では、表示部8に隣接して配置されているが、操作ボタン6a~6fが配置される位置はこれに限定されない。例えば、電子機器1の側面に配置されていてもよい。なお、本実施の形態では、操作ボタン6a~6fに加えて、電源ボタン6gが配置されているが、電源ボタン6gは必須の構成ではなく、例えば、操作ボタン6a~6fが電源ボタン6gの機能を有していてもよい。
【0039】
図1および図2に示すように、本実施の形態では、操作ボタン6aに「A1」、操作ボタン6bに「A2」、操作ボタン6cに「-」、操作ボタン6dに「+」、操作ボタン6eに「Win」、操作ボタン6fに「RLK」のラベルが付されている。操作ボタン6a~6fに付されるラベルはこれらに限定されず、例えば、アイコン等の図形であってもよい。
【0040】
それぞれの操作ボタンには、それぞれ異なる機能を割りてることができる。本実施の形態では、操作ボタン6a、6bには、例えば、OS上で実行されるアプリケーション毎に異なる機能が割り当てられる。操作ボタン6c、6dには、例えば、音量の上げ下げまたはカーソル移動の機能が割り当てられる。操作ボタン6eには、例えば、メニュー表示の機能が割り当てられる。操作ボタン6fには、例えば、電子機器1の表示部8の回転ロック機能が割り当てられる。上述した操作ボタン6a~6fに割り当てられる機能は、単なる例示でありこれらに限定されるものではない。
【0041】
また、操作ボタン6a~6fにおいては、電子機器1の電源オンからOSが起動されるまでの間の機能、BIOSセットアップにおける機能、およびOS上で実行されるアプリケーションにおける機能が異なっていてもよい。
【0042】
操作ボタン6a~6fにはそれぞれ、起動前キーバインド(Preboot Key Bindings)が割り当てられている。起動前キーバインドは、操作ボタン6a~6fに対して、電子機器1の電源オンからOSが起動されるまでの間に割り当てられる機能と、BIOSセットアップにおいて割り当てられる機能と、を決定する。起動前キーバインドは、操作ボタン6a~6fにキーコードを割り当てている。例えば、起動前キーバインドは、操作ボタン6a~6fに対して、ファンクションキー、方向キー(ダウンキー、アップキー、レフトキー、ライトキー)、エンターキーおよびエスケープキーのいずれかのキーコードを割り当てている。
【0043】
例えば、電子機器1の電源オンからOSが起動されるまでの間におけるファンクションキーの機能としては、F2キーの「BIOSセットアップ起動」、F12キーの「ネットワークブート」が挙げられる。BIOSセットアップにおけるファンクションキーの機能としては、F1キーの「ヘルプ」、F5キーおよびF6の「ボリューム変更」、F9キーの「デフォルト設定」、F10キーの「保存して再起動」が挙げられる。
【0044】
実施の形態1では、起動前キーバインドで設定されるキーコードは、電子機器1の電源オンからOSが起動されるまでの間に操作ボタン6a~6fに割り当てられる機能を決定するときと、BIOSセットアップにおいて操作ボタン6a~6fに割り当てられる機能を決定するときと、で共用されている。このため、起動前キーバインドのキーコードを変更すると、電子機器1の電源オンからOSが起動されるまでの間で操作ボタン6a~6fに割り当てられる機能と、BIOSセットアップにおいて操作ボタン6a~6fに割り当てられる機能との両方が変更される。
【0045】
例えば、起動前キーバインドにおいて、操作ボタン6a~6fにそれぞれ、F12キー、F2キー、ダウンキー、ライトキー、エンターキー、エスケープキーのキーコードが割り当てられている場合を説明する。この場合、電子機器1の電源オンからOSが起動されるまでの間における操作ボタン6a~6fの機能は、それぞれ、「ネットワークブート」、「BIOSセットアップ起動」、「カーソルの下移動」、「カーソルの右移動」、「Enter」および「Esc」である。一方、BIOSセットアップにおける操作ボタン6aおよび6bでは、F12キー、F2キーの機能は設定されていない。このため、BIOSセットアップにおける操作ボタン6a~6fの機能は、それぞれ、「動作しない」、「動作しない」、「カーソルの下移動」、「カーソルの右移動」、「Enter」および「Esc」である。
【0046】
図2に示すように、起動前キーバインドの一覧は、表示部8に表示されるBIOSセットアップ画面のキーバインド一覧8bに表示される。なお、各操作ボタン6a~6fに割り当てられる起動前キーバインドが本開示の「キーコード情報」に相当する。
【0047】
BIOSセットアップで変更可能なキーコードは、表示部8に表示される操作ボタン構成一覧8aに表示される。本実施の形態では、BIOSセットアップにおいて、操作ボタン6a(A1 Button)、操作ボタン6b(A2 Button)、および操作ボタン6f(Rotation Lock Button)に対するキーコードを変更することができる。また、OS起動後の操作ボタン6a~6fに対する機能の割り当ても、BIOSセットアップにおいて実行可能である。
【0048】
図2に示すように、起動前キーバインドとして、操作ボタン6aには「F12」、操作ボタン6bには「F2」、操作ボタン6fには「Esc」のキーコードが割り当てられている。「F12」はネットワークブート、「F2」はBIOSセットアップ起動、「Esc」はサブメニュー終了の機能を有する。これに加えて、BIOSセットアップで使用するキーコードとして、例えば「F10(保存して終了)」、「F9(デフォルト設定の読み込み)」等のキーコードがあり、操作ボタン6a、6b、6fに対してこれらのキーコードを割り当てることができる。これにより、BIOSセットアップにおいて、操作ボタン6a、6b、6fに機能を割り当てることができる。
【0049】
操作ボタン6c(Down Button)には「ダウンキー」、操作ボタン6d(Up Button)には「ライトキー」、操作ボタン6e(Windows Button)には「エンターキー」のキーコードがそれぞれ割り当てられている。「ダウンキー」はカーソルの下移動、「ライトキー」はカーソルの右移動、「エンターキー」は項目の決定またはサブメニューへの移動の機能を有する。本実施の形態では、これらの操作ボタン6c、6d、6eに割り当てられたキーコードは、変更できないよう設定されている。カーソル移動(ダウンキーおよびライトキー)および項目の決定(エンターキー)の機能はよく使用されるため、固定的に割り当てているためである。
【0050】
操作ボタン6a、6b、6fに対するキーコード情報が変更されると、CPU2によりキーコード変更情報が生成される。キーコード変更情報は、キーコード情報とともに、表示部8に表示されるBIOSセットアップ画面のキーバインド一覧8bに表示される。
【0051】
<エンベデッドコントローラ(EC)>
EC(Embedded Controller)7は、マイクロコントローラであり、操作ボタン6a~6fおよび電源ボタン6gの操作を受け付けて、操作情報をPCH3を介してCPU2に伝達する。EC7は、キーボード制御部7aを有する。BIOSセットアップ中に第2記憶部5にロードされているキーコード情報が変更されると、CPU2は、キーコード変更情報を生成し、キーボード制御部7aに送る。キーコード変更情報に基づいて、キーボード制御部7aは、操作ボタン6a~6fに対するキーコードの割り当てを変更する。なお、キーコード変更情報は、操作ボタン6a~6fに対するキーコードの割り当てを変更するための情報である。
【0052】
[動作]
図3を参照して、本実施の形態にかかる電子機器1のBIOSセットアップにおけるキーコード情報の変更動作を説明する。
【0053】
電子機器1の電源ボタン6g(図2参照)が押下され、電子機器1の電源が投入される(ステップS101)。電子機器1の電源がオンになると、CPU2により、第1記憶部4から第2記憶部5に、BIOSにより設定された各種パラメータ等がロードされる。ロードされたパラメータに基づいて、CPU2により電子機器1のシステム構成が実行される(ステップS102)。その後、CPU2により、キーコード情報の変更があるか否かの判定が行われる(ステップS103a)。キーコード情報の変更がある場合(ステップS103aのYes)、キーボード制御部7aにより、操作ボタン6a~6fに割り当てられたキーコードの変更が行われる(ステップS103b)。キーコード情報の変更がない場合(ステップS103aのNo)、ステップS104に進む。
【0054】
CPU2により、BIOSセットアップが起動するか否かの判定が行われる(ステップS104)。BIOSセットアップは、電子機器1の電源ボタン6gが押下された直後に、例えば「F2」キーが押下されると起動される。本実施の形態では、操作ボタン6bに「F2」のキーコードが割り当てられているため、電子機器1の電源オンの後、OSが起動する前に操作ボタン6bが押下されると、BIOSセットアップが起動する。BIOSセットアップが起動しない場合(ステップS104でNo)は、続いてOSが起動される(ステップS105)。
【0055】
BIOSセットアップが起動する場合(ステップS104でYes)、ビデオコントローラ3bにより電子機器1の表示部8にBIOSセットアップ画面が表示される(ステップS106)。BIOSセットアップ画面において、ユーザが各種パラメータの設定を変更することができる(ステップS107)。ユーザにより変更された各種パラメータの設定は、第2記憶部5において書き換えられる。
【0056】
ステップS107における各種パラメータの設定には、キーコード情報(起動前キーバインド)の変更が含まれる。例えば、図4に示すように、操作ボタン6aに対する起動前キーバインドを選択すると、ポップアップ画面8cが表示され、操作ボタン6aに割り当て可能なキーコードの一覧が表示される。ここで、例えば「F10」を選択すると、操作ボタン6aに対する起動前キーバインドが変更される。操作ボタン6aに対する起動前キーバインドが変更されると、図5に示すように、操作ボタン6aに対する起動前キーバインドの割り当ての表示が「F10」に変更される。
【0057】
CPU2は、第2記憶部5に記憶されたキーコード情報の書き換えがされたか否かを判定する(ステップS108)。CPU2がキーコード情報の書き換えがされたと判定した場合(ステップS108のYes)、操作ボタン6a~6fに割り当てられるキーコードを変更するキーコード変更情報を生成する(ステップS109)。キーコード変更情報は、例えば、第2記憶部5に記憶されてもよい。また、キーコード変更情報は、図5に示すように、表示部8に表示されるBIOSセットアップ画面におけるキーバインド一覧8bに表示される。
【0058】
CPU2は、キーボード制御部7aにキーコード変更情報を送信する。続いて、キーボード制御部7aは、キーコード変更情報に基づいて、操作ボタン6a~6fに割り当てられたキーコードを変更する(ステップS110)。このとき、BIOSセットアップ中であっても、操作ボタン6a~6fに割り当てられたキーコードが変更される。すなわち、BIOSセットアップ中に、操作ボタン6aに割り当てられたキーコードが「F12」から「F10」に変更される。これにより、BIOSセットアップ中において、操作ボタン6aを操作すると、「保存して終了」することができる。
【0059】
ユーザの操作により、BIOSセットアップが終了する(ステップS111)。ステップS108において、CPU2がキーコード情報の書き換えがされていないと判定した場合には(ステップS108のNo)、ステップS109~S110をスキップする。
【0060】
BIOSセットアップが終了すると、CPU2によりBIOSセットアップで編集された各種パラメータを保存するか否かが判定される(ステップS112)。各種パラメータを保存するか否かは、ユーザによりBIOSセットアップ終了時に選択可能である。ユーザが、BIOSセットアップにおいて、例えば「保存して終了」を選択した場合、CPU2は各種パラメータを保存すると判定する。
【0061】
各種パラメータを保存する場合(ステップS112のYes)、CPU2により、変更されたパラメータが第2記憶部5から読み出されて第1記憶部4に書き込まれる(ステップS113)。その後、電子機器1は再起動する。各種パラメータを保存しない場合(ステップS112のNo)、CPU2は、電子機器1の再起動を実施するか否かを判定する(ステップS114)。再起動を実施するか否かの判定は、ユーザの操作に基づいて行われる。再起動が実施される場合(ステップS114のYes)、電子機器1は再起動する。再起動が実施されない場合(ステップS114のNo)、ステップS105に移りOSの起動が開始される。各種パラメータを保存しない場合、ステップS109で生成されたキーコード変更情報は破棄され、次の起動時には変更前のキーコード情報に基づいて、操作ボタン6a~6fへのキーコードの割り当てが行われる。
【0062】
上述のように、BIOSセットアップで変更された各種パラメータは、BIOSセットアップ画面の終了後に第1記憶部4に保存(記憶)され、電子機器1の再起動により変更されたパラメータが第2記憶部5にロードされる。すなわち、BIOSセットアップで変更された各種パラメータは、電子機器1が再起動されたときに有効になる。一方、本実施の形態では、操作ボタン6a~6fに対するキーコードの割り当ての変更は、電子機器1を再起動せずにBIOSセットアップ中に有効になる。このため、BIOSセットアップ中にフレキシブルにキーコードの変更をすることができ、ユーザの操作性を向上することができる。
【0063】
[効果]
上述した実施の形態によると、操作性を向上した電子機器1を提供することができる。BIOSセットアップ中に変更された操作ボタン6a~6fに対するキーコードの割り当てを、再起動をせずに反映することができる。例えば、操作ボタン6bに割り当てられた「F2」のキーコードは、BIOSセットアップを起動する機能を有するが、BIOSセットアップ中には使用することがない。上述した実施の形態では、BIOSセットアップを起動した後に、操作ボタン6bに対するキーコードを「F10(保存して終了)」に変更し即時に反映することができる。このように、操作ボタン6bに対する機能を即時に反映することができるため、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0064】
操作ボタンに対する機能の割り当ての変更は、BIOS設定におけるハードウェアのパラメータ等の設定と異なりCPUをリセットしなくてもよいため、再起動をせず即時に反映することができユーザの操作性が向上する。
【0065】
また、上述したように、操作ボタン6a~6fに対するキーコードの割り当てをフレキシブルに変更することができると、BIOSセットアップにおいて使用していなかった操作ボタンに機能を割り当てることができる。このため、電子機器1の外観に配置する操作ボタンの数を削減することができる。特にタブレット型PCにおいては、操作ボタンの数が少ないとデザイン性に優れるため、審美性を向上させることができる。
【0066】
また、BIOSセットアップ終了後に、キーコード変更情報を第1記憶部4に記憶することにより、電子機器1を次に起動したときにも、操作ボタン6a~6fに対して変更したキーコードを割り当てることができる。
【0067】
(実施の形態2)
図6図8を参照して、実施の形態2について説明する。なお、実施の形態2においては、実施の形態1と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載を省略する。
【0068】
図6は、図1の電子機器1の実施の形態2にかかるキーコード情報の変更動作を示すフローチャートである。図7は、図1の電子機器1の実施の形態2にかかるBIOSセットアップ画面の表示例を示す模式図である。図8は、図7のBIOSセットアップ画面の別の表示例を示す模式図である。
【0069】
実施の形態2では、表示部8に表示されるBIOSセットアップ画面のキーコード一覧において、キーコード変更情報が強調表示される点が実施の形態1と異なる。
【0070】
図6を参照して、本実施の形態にかかる電子機器1のキーコード情報の変更動作を説明する。図6のステップS201~ステップS209は、実施の形態1のステップS101~ステップS109と同一である。また、図6のステップS211~ステップS215は、実施の形態1のステップS110~ステップS114と同一である。したがって、これらのステップの説明を省略する。
【0071】
CPU2によりキーコード変更情報が生成される(ステップS209)と、CPU2により、キーコード変更情報が表示部8において強調表示される(ステップS210)。すなわち、キーコード情報とキーコード変更情報とがそれぞれ識別可能に表示部8に表示される。
【0072】
図2および図7に示すように、操作ボタン6a(A1 Button)に対するキーコードの割り当てが「F12」から「F10]に変更されている。このとき、表示部8に表示されるBIOSセットアップ画面のキーバインド一覧8bにおいて、操作ボタン6aに対するキーコードの割り当てが「F10*」と表示されている。すなわち、変更箇所にアスタリスクが付され、変更されたことが強調されている。強調表示はこれに限定されず、例えば、図8に示すように、文字の色を反転させてもよい。さらに、強調表示は、文字の色を変える、文字のフォントを変える、文字を太字にする等、変更されたことが容易に認識できる方法であればよい。
【0073】
[効果]
上述した実施の形態によると、キーコード情報とキーコード変更情報とをそれぞれ識別可能に表示部に表示し、さらにキーコード変更情報が強調表示されることで、キーコード情報の変更をユーザが容易に認識することができる。
【0074】
(実施の形態3)
図9図11を参照して、実施の形態3について説明する。なお、実施の形態3においては、実施の形態1および実施の形態2と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態3では、実施の形態1および実施の形態2と重複する記載を省略する。
【0075】
図9は、図1の電子機器1の実施の形態3にかかるキーコード情報の変更動作を示すフローチャートである。図10は、図1の電子機器1の実施の形態3にかかるBIOSセットアップ画面の表示例を示す模式図である。図11は、図10のBIOSセットアップ画面の別の表示例を示す模式図である。図12は、図10のBIOSセットアップ画面の別の表示例を示す模式図である。
【0076】
実施の形態3では、操作ボタン6a~6fの機能を決定するキーコード情報は、起動前キーバインドとセットアップキーバインド(Setup Key Bindings)とを含む点が実施の形態1および2と異なる。セットアップキーバインドが本開示の「第1キーコード情報」に相当し、起動前キーバインドが本開示の「第2キーコード情報」に相当する。
【0077】
本実施の形態のセットアップキーバインドは、BIOSセットアップにおいて操作ボタン6a~6fに割り当てられるキーコード情報のことをいう。すなわち、セットアップキーバインドは、BIOSセットアップにおいて操作ボタン6a~6fに割り当てられる機能を決定する。また、本実施の形態の起動前キーバインドは、実施の形態1および実施の形態2で説明した起動前キーバインドのうち、BIOSセットアップ以外において操作ボタン6a~6fに割り当てられるキーコード情報のことをいう。すなわち、起動前キーバインドは、電子機器1の電源オンからOSが起動されるまでの間に操作ボタン6a~6fに割り当てられる機能を決定する。起動前キーバインドは、BIOSセットアップ中には使用されない。
【0078】
このように、キーコード情報は、セットアップキーバインド(第1キーコード情報)と起動前キーバインド(第2キーコード情報)とを含む。これにより、BIOSセットアップ中とそれ以外とで、操作ボタン6a~6fに対するキーコードの割り当てを変えることができる。
【0079】
より詳細に説明すると、実施の形態1および2では、起動前キーバインドで設定されるキーコードは、電子機器1の電源オンからOSが起動されるまでの間に操作ボタン6a~6fに割り当てられる機能を決定するときと、BIOSセットアップにおいて操作ボタン6a~6fに割り当てられる機能を決定するときと、で共用されている。このため、起動前キーバインドのキーコードを変更すると、電子機器1の電源オンからOSが起動されるまでの間で操作ボタン6a~6fに割り当てられる機能と、BIOSセットアップにおいて操作ボタン6a~6fに割り当てられる機能との両方が変更される。これに対し、本実施の形態では、BIOSセットアップにおいて操作ボタン6a~6fに割り当てられるキーコードは、起動前キーバインドで割り当てられるキーコードを使用せずに、セットアップキーバインドで割り当てられるキーコードを使用する。このため、電子機器1の電源オンからOSが起動されるまでの間で操作ボタン6a~6fに割り当てられる機能と、BIOSセットアップにおいて操作ボタン6a~6fに割り当てられる機能と、を別々に設定することができる。
【0080】
図9を参照して、本実施の形態にかかる電子機器1のキーコード情報の変更動作を説明する。図9のステップS301~S302は実施の形態2のステップS201~S202と同一である。
【0081】
CPU2により、設定値のロードおよびシステム構成が実行される(ステップS302)。そして、CPU2により、キーコード情報が変更されたか否かの判定が行われる(ステップS303a)。次に、第2記憶部5にロードされた起動前キーバインド(第2キーコード情報)に基づいて、キーボード制御部7aにより、操作ボタン6a~6fに対して割り当てられたキーコードが変更される(ステップS303b)。すなわち、キーボード制御部7aは、電子機器1の起動時に、第2キーコード情報に基づいて操作ボタン6a~6fに割り当てられるキーコードを変更する。
【0082】
図9のステップS304~ステップS306は、実施の形態2のステップS204~ステップS206と同一である。BIOSセットアップ画面が表示部8に表示される(ステップS306)と、第2記憶部5にロードされたセットアップキーバインド(第1キーコード情報)に基づいて、キーボード制御部7aにより、操作ボタン6a~6fに対して割り当てられたキーコードが変更される(ステップS307)。すなわち、キーボード制御部7aは、ファームウェア(BIOS)のセットアップが開始されると、第1キーコード情報に基づいて操作ボタン6a~6fに割り当てられるキーコードを変更する。
【0083】
本実施の形態では、キーコード情報は、第1キーコード情報(セットアップキーバインド)と、第2キーコード情報(起動前キーバインド)とを含む。第1キーコード情報は、ファームウェア(BIOS)のセットアップ中の操作ボタン6a~6fの機能を決定する。第2キーコード情報は、ファームウェアのセットアップ中以外の操作ボタン6a~6fの機能を決定する。
【0084】
第1キーコード情報は、BIOSセットアップ中の操作ボタン6a~6fの機能を決定するため、BIOSセットアップの起動後(ステップS306の後)に、第1キーコード情報に基づいて、キーコードの割り当てが実行される。BIOSセットアップの起動後、ユーザが各種パラメータの編集を行うことができる(ステップS308)。各種パラメータには、第1キーコード情報および第2キーコード情報が含まれる。
【0085】
CPU2は、第2記憶部5に記憶された第1キーコード情報および第2キーコード情報の書き換えがされたか否かを判定する(ステップS309)。CPU2が第1キーコード情報および第2キーコード情報の書き換えがされたと判定した場合(ステップS309のYes)、第1キーコード変更情報および第2キーコード変更情報を生成し、第2記憶部5に記憶する(ステップS310)。第1キーコード変更情報は、第1キーコード情報が書き換えられたときに生成され、第2キーコード変更情報は、第2キーコードが書き換えられたときに生成される。
【0086】
続いて、CPU2により、第1キーコード変更情報が表示部8のBIOSセットアップ画面のキーバインド一覧8bにおいて強調表示される(ステップS312)。図10に示すように、変更箇所にアスタリスクを付すことで強調表示を行うことができる。図10の例では、操作ボタン6a(A1 Button)、操作ボタン6b(A2 Button)、および操作ボタン6f(Rotation Lock Button)が変更されたため強調表示されている。なお、図10の例では、操作ボタン6a、6b、6fの第1キーコード情報がそれぞれ「Esc」、「F5」、「F9」に変更されたことを示している。
【0087】
CPU2は、第1キーコード情報を保存するか否かを判定する(ステップS313)。図11に示すように、本実施の形態では、表示部8に表示されるBIOSセットアップ画面のキーバインド一覧8bに「セットアップキーバインド保存(Save Setup Key Bindings)」という項目が表示されている。図11の例において、「セットアップキーバインド保存」の表示色が反転しており、この項目が選択されていることを示す。
【0088】
この項目を選択すると(ステップS313のYes)、BIOSセットアップ中に、CPU2が第1キーコード変更情報を第1記憶部4に記憶する(ステップS314)。第1キーコード変更情報が第1記憶部4に記憶されると、図12に示すように、第1キーコード変更情報に付されていたアスタリスクが表示されなくなる。すなわち、第1キーコード変更情報の強調表示が解除される。第1キーコード変更情報が、第1記憶部4に記憶されることにより、新たな第1キーコード情報として次に電子機器1が起動されたときに使用される。また、「セットアップキーバインド保存」を選択しない場合には(ステップS313のNo)、BIOSセットアップ中には、第1キーコード変更情報は第1記憶部4に記憶されないでBIOSセットアップが終了する(ステップS315)。また、ステップS309において、CPU2が第1キーコード情報および第2キーコード情報の書き換えがされていないと判定した場合(ステップS309のNo)も、BIOSセットアップが終了する(ステップS315)。
【0089】
BIOSセットアップが終了する(ステップS315)と、CPU2によりBIOSセットアップで編集された各種パラメータを保存するか否かが判定される(ステップS316)。各種パラメータを保存する場合(ステップS316のYes)、CPU2により、変更された設定値が第2記憶部から読み出されて第1記憶部4に書き込まれる(ステップS317)。このとき、第1キーコード変更情報がすでに第1記憶部4に記憶されている場合には、それ以外の各種パラメータを第1記憶部4に記憶する。BIOSセットアップ中に、第1キーコード変更情報が第1記憶部4に記憶されていない場合には、ステップS317において第1キーコード変更情報が第1記憶部4に書き込まれてもよい。各種パラメータが第1記憶部4に書き込まれると、電子機器1は再起動する。
【0090】
また、各種パラメータを保存しない場合(ステップS316のNo)、CPU2は、電子機器1の再起動を実施するか否かを判定する(ステップS318)。電子機器1が再起動しない場合(ステップS318のNo)、ステップS305に移り、OSの起動が開始される。
【0091】
[効果]
上述した実施の形態によると、電子機器1は、セットアップ中の第1キーコード情報とセットアップ中以外の第2キーコード情報との2つのキーコード情報を持つことができる。その結果、BIOSセットアップ中とそれ以外とで操作ボタンに異なる機能を割り当てることができる。
【0092】
例えば、第1キーコード情報として操作ボタン6aに「F10」を割り当て、第2キーコード情報として操作ボタン6aに「F12」を割り当てる。この場合、BIOSセットアップが起動する前に操作ボタン6aを使用すると、「F12」の機能の「ネットワークブート」が可能である。また、BIOSセットアップ中に操作ボタン6aを使用すると、「F10」の機能の「保存して終了」が可能である。BIOSセットアップ中には、「F12」の機能は使用しないため、このようなキーコードの割り当てにより、ユーザの操作性を向上することができる。
【0093】
また、1つの操作ボタンに複数の機能を割り当てることができるため、操作性を向上させつつ、操作ボタンの数を減らすことができる。
【0094】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示の発明を説明したが、本開示の発明は上述の実施形態に限定されない。
【0095】
例えば、上述した実施の形態では、電子機器1が6つの操作ボタン6a~6fを有する構成について説明したが、操作ボタンの数はこれに限定されず、1つまたは複数であってもよい。
【0096】
また、上述した実施の形態では、電子機器1がタブレット型PCである構成について説明したが、電子機器1は、例えば、ラップトップ型PCまたはスマートフォン等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本開示は、操作ボタンを有する電子機器に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 電子機器
2 CPU
4 第1記憶部
5 第2記憶部
6a~6f 操作ボタン
7a キーボード制御部
8 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12