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特許7382557建物の立ち上がり基礎の逆U字形捨て型枠
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  • 特許-建物の立ち上がり基礎の逆U字形捨て型枠 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】建物の立ち上がり基礎の逆U字形捨て型枠
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/01 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
E02D27/01 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022208950
(22)【出願日】2022-12-26
【審査請求日】2022-12-26
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506391657
【氏名又は名称】菊川 清
(72)【発明者】
【氏名】菊川 清
(72)【発明者】
【氏名】菊川 康介
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-140548(JP,U)
【文献】特開平8-311885(JP,A)
【文献】実開昭53-71651(JP,U)
【文献】特開平9-119139(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物基礎の立ち上がり基礎に使用され、型枠内にコンクリートを打設した後はベース基礎、鉄筋ユニットと一体となる型枠で、
太さが3~10ミリメートルで一辺が10~20センチメートルの四辺形の鉄または合成樹脂製メッシュ材をU字形に成形したものを骨格とし、該U字形に成形した骨格の両側面に1.5~3.5センチメートル厚のコンクリートまたは合成樹脂を設け、底面はメッシュ状とした型枠で、
該型枠を建設現場でベース基礎上に設けられた建物の立ち上がり基礎の鉄筋ユニット上に逆U字形に配設し、前記配設された型枠上部の鉄筋メッシュの枠目からコンクリートを打設して、ベース基礎と直接結着・硬化する捨て型枠とすることを特徴とする建物の立ち上がり基礎の逆U字形捨て型枠。
【請求項2】
前記逆U字形捨て型枠をベース基礎上に配設するに於いて、前記基礎上に固定する巾止め・固定具や、隣接する型枠と接続するジョイント具を設けることを特徴とする請求項1に記載の建物の立ち上がり基礎の逆U字形捨て型枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の立ち上がり基礎の逆U字形捨て型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の建物の立ち上がり基礎の捨て型枠として、本出願人の提案に係るU字形捨て型枠が公知である(特許文献1)。そこでは、工事で使用した後は打設したコンクリートと一体となるU字形の型枠で、前記U字形の底部はメッシュ状態に置き、両側壁はコンクリートを打設し、建設現場で前記U字形の型枠をベース基礎上に配設して、コンクリートを打設、前記U字形型枠底部の鉄筋メッシュ材の枠目からコンクリートが流入してベース基礎と直接結着・硬化し、また、打設したコンクリートと前記U字形の型枠が結着・硬化するU字形の捨て型枠が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7112635号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のU字形捨て型枠は、ベース基礎上にメッシュ部を下にしたU字形の状態で配設されるため、先に鉄筋ユニットを組むことが出来ず、一部の縦筋のみを立ち上げたところで配設せざるを得なかった、その後に前記縦筋に横筋・アンカーボルトを取り付けして鉄筋ユニットを組み立てるが、該作業が型枠の両サイドとの間が10センチメートル前後と狭く、作業精度・効率が悪く問題であった。
【0005】
また、前記捨て型枠はコンクリート製で縦長で枠幅が10センチメートル前後と狭く、且つ重量物で重心が高く、工場で製作~現地への移設・搬送は逆U字形の状態で行えるが、現地でベース基礎上に配設するときは、前記型枠を上下に逆転させる必要があった。
そのため、型枠の転倒・破損等で作業者の安全確保に問題があった。
【0006】
本願発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、鉄筋ユニット組み立て作
業の効率を高め、また、型枠の工場~現地へ搬入~ベース基礎上への配設を安全
に行うことで、作業の簡素化を進め、作業効率を高め、作業者の安全の確保、更
に作業期間の短縮、コスト削減を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、建物基礎の
立ち上がり基礎に使用され、型枠内にコンクリートを打設した後はベース基礎、鉄筋ユニットと一体となる型枠で、
太さが3~10ミリメートルで一辺が10~20センチの四辺形の鉄また
は合成樹脂製メッシュ材をU字形に成形したものを骨格とし、該U字形に成形した骨格の両側面に1.5~3.5センチメートル厚のコンクリートまたは合成樹脂を設け、底面はメッシュ状とした型枠で、
該型枠を建設現場でベース基礎上に設けられた建物の立ち上がり基礎の
鉄筋ユニット上に逆U字形に配設し、前記配設された型枠上部の鉄筋メッシュの枠目からコンクリートを打設して、ベース基礎と直接結着・硬化する捨て型枠とすることを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の態様は、前記逆U字形捨て型枠をベース基礎上に配設するに
於いて、前記基礎上に前記型枠を固定するための巾止め・固定具や、隣接する型枠と接続するジョイント具を設けることを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の態様は、前記逆U字形捨て型枠は、U字形に成形したメッシュ材を骨格として側面にコンクリート等を設けているが、前記メッシュ材が前記コンクリートの中央に位置するように該メッシュ材の両端の一部に合成樹脂製のそろばん珠状のものを差し込む等で取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の逆U字形捨て型枠は、これまでのU字形捨て型枠では配設後にしか
行えなかった鉄筋ユニットの組み立てを、逆U字形で配設する方法とすることで、鉄筋ユニットの組み立てを行った後で前記型枠の配設を可能とした。
これにより、鉄筋ユニット作業の簡素化・効率化・コスト低減、更に作業期
間の短縮を図れ、重量物の配転等において型枠の破損を防げ、作業者の安全を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1-1は、メッシュ材をU字形に曲げた斜視図 図1-2は、立ち上がり基礎の逆U字形捨て型枠製造の型枠正面図図1-3は、立ち上がり基礎の逆U字形捨て型枠製造の型枠平面図
図2】は、立ち上がり基礎の逆U字形捨て型枠の製造型枠に前記U字形メッシュ材を組み入れた正面図
図3】は、立ち上がり基礎の逆U字形捨て型枠の製造型枠にコンクリートを打設した正面図
図4】は、立ち上がり基礎の逆U字形捨て型枠の製造型枠から取り出した立ち上がり基礎の逆U字形捨て型枠
図5】は、建物施工現場にて、ベース基礎に立ち上がり基礎の鉄筋ユニット・アンカーボルトが組み立てられた正面図
図6】は、建物施工現場にて、ベース基礎に立ち上がり基礎の組み立てられた鉄筋ユニット・アンカーボルトに逆U字形捨て型枠が配設された正面図
図7】は、建物施工現場にて、立ち上がり基礎上の逆U字形捨て型枠にコンクリートを打設した正面図
図8図8-1は、先行文献で、立ち上がり基礎の縦筋のみが立ち上げられたベース基礎にU字形捨て型枠が配設された正面図 図8-2は、先行文献でU字形捨て型枠配設後に、鉄筋ユニット・アンカーボルトが取り付けられ、型枠にコンクリートが打設される前の正面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施
形態は本発明の技術思想を具体化するための建物の立ち上がり基礎の逆U字形捨て型枠を例示するものであって、本発明をこれらに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【0013】
第8図は、従来のU字形捨て型枠20を例示するものであって、その概要は、
図8-1に図示しているように、ベース基礎上にU字形捨て型枠20を配設するが、図8-2に図示あるように、型枠を配設後に該型枠の狭い側壁面の間で鉄筋ユニット34やアンカーボルト35を組み立てる必要があり、作業精度・効率を悪くしていた。
また、ベース基礎上31にU字形捨て型枠を配設するとき、それまで製造~搬入まで逆U字状であったものを反転させてU字状にするが、型枠は転倒しやすく作業者の安全や破損等にも問題があった。
本願発明はこの欠点を改善するものである。
【実施例
【0014】
図1図4は、逆U字形捨て型枠20を工場での製造過程を表したもので、
図1-1は逆U字形捨て型枠20の骨格となるU字形状に成形された太さが3
~10ミリメートルで、網目が10~20センチメートルの鉄筋または合成樹
脂製のワイヤメッシュ材21である。
図1-2はU字形の両側壁面に1.5~3.5センチメートル厚のコンクリ
ートまたは合成樹脂を打設するための逆U字形捨て型枠の型枠10である。このとき、U字形の上部はメッシュ状態に置かれる。
図1-3は、前記逆U字形捨て型枠の型枠10の平面図で、該型枠中央部
に型枠の長手方向直角に逆U字形捨て型枠の上部メッシュ材23の溝が設けられている。該溝の深さは、逆U字形捨て型枠20の上部メッシュ部23と、立ち上がり基礎の天端24の間を形成するもので、1~4センチメートルである。
また、逆U字形捨て型枠20をベース基礎上31に配設するとき鉄筋ユニ
ット34に設けたアンカーボルト35に通しやすくする為、メッシュ材21は
鉄筋の本数を少なく、且つ、U字形捨て型枠の両サイドに打設されるコンクリー
ト60を移動・搬送等で持ち上げてもU字形状を維持する強度を必要とする。
ついては、ワイヤーメッシュ材21の強度としては、鉄筋の場合太さが3~
10ミリメートル、網目が10~20センチメートルが必要である。(実験で、鉄筋のワイヤーメッシュで太さが6ミリメートル、網目が15センチメートルのメッシュ材で変形が生じないことを確認している。)
【0015】
図2は、前記メッシュ材21を逆U字形捨て型枠の型枠10へ挿入した状態
である。
このとき、前記型枠の側壁部22の厚さは1.5~3.5センチメートルと狭く、前記メッシュ材21を前記側壁部22の中央に位置させるため、メッシュ材21の両端の一部に合成樹脂製のそろばん珠状の位置決め具25等を取り付けると良い。
【0016】
図3図4は、前記逆U字形捨て型枠10へコンクリート60を打設、コン
クリート60の養生期間経過後、前記逆U字形捨て型枠の型枠10から逆U字形捨て型枠20を取り出し、製品としたもので、この後建設現場へ搬入する。
【0017】
図5は、建設現場でベース基礎30に縦筋32、鉄筋ユニット34、アンカ
ーボルト35が立設、組み立てられた状態を示している。
先行文献では、U字形捨て型枠を設置する前には縦筋32が立設されている
だけで、それ以外は前記型枠を配設後に組み立てせざるを得なかった。
【0018】
次に図6は、建設現場に搬入された逆U字形捨て型枠20を、前記アンカー
ボルト35を通してベース基礎30上に据え付けられ、その後鉄筋ユニット34、アンカーボルト35を組み立てた状態を示している。
この時、前記型枠20を正確な位置に設置するため、ベース基礎30に巾止め・固定具36を設け、該巾止め・固定具36に前記型枠20の側壁部22を嵌め込むように配設する。
また、同様に、前記型枠側壁部22上部の内側にジョイント具37を取り付け、隣接する型枠20と緊張固定すると良い。
【0019】
次に図7は、ベース基礎30上に据え付けられた逆U字形捨て型枠20にコ
ンクリート60を打設した状態を示している。
立ち上がり基礎00の逆U字形捨て型枠20上部のメッシュ材23の枠目
を通してコンクリート60を打設し、ベース基礎30と縦筋32、鉄筋ユニット34、アンカーボルト35および逆U字形捨て型枠20が直接結着・硬化して一体となる。
逆U字形捨て型枠20は取り外さないので後処理が不要で、工期短縮、コス
ト低減になる。
【0020】
立ち上がり基礎00には直線部・直角コーナー部・T部・十字部等があり、
いずれにも逆U字形捨て型枠20の接続部が生じる。
こうした接続部の処置としては、前記型枠20を直接接続することも可能であるが、両側壁面22の接続部に3~5ミリメートル程度の間隙を設け、内側にアスファルト系接着テープなど接着し、外側から目地材などを詰め込む方法など適宜工作を施すと良い。
【符号の説明】
【0021】
00 立ち上がり基礎
10 逆U字形捨て型枠の型枠
20 逆U字形捨て型枠
21 メッシュ材
22 逆U字形捨て型枠の側壁部
23 逆U字形捨て型枠の上部メッシュ材
24 逆U字形捨て型枠の天端部(=立ち上がり基礎の天端部)
25 メッシュ材の位置決め具
31 ベース基礎
32 縦筋
33 横筋(主筋)
34 鉄筋ユニット
35 アンカーボルト
36 巾止め・固定具
37 ジョイント具
60 コンクリート
【要約】
【課題】建物の立ち上がり基礎の逆U字形捨て型枠。
【解決手段】建物基礎の立ち上がり基礎に使用され、型枠内にコンクリートを打設した後はベース基礎、鉄筋ユニットと一体となる型枠で、該型枠を建設現場でベース基礎上に設けられた建物等の立ち上がり基礎の鉄筋ユニット上に逆U字形に配設し、前記配設された型枠上部のメッシュ部の枠目からコンクリートを打設して、ベース基礎と直接結着・硬化する捨て型枠とする。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8