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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】電源装置および車両
(51)【国際特許分類】
   H01F 37/00 20060101AFI20231110BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20231110BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20231110BHJP
   H03H 7/09 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
H01F37/00 N
H01F37/00 C
H01F27/28 K
H01F27/24 E
H03H7/09 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019200591
(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公開番号】P2021077668
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳本 舎那
(72)【発明者】
【氏名】望月 賢人
【審査官】古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-030917(JP,A)
【文献】特表2015-531583(JP,A)
【文献】特表2011-526775(JP,A)
【文献】特開2012-135173(JP,A)
【文献】国際公開第2013/168491(WO,A1)
【文献】特開2007-300700(JP,A)
【文献】特開昭62-171462(JP,A)
【文献】特開2014-207373(JP,A)
【文献】特開2014-140277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00-21/12
H01F 27/00
H01F 27/02
H01F 27/06
H01F 27/08
H01F 27/23-27/30
H01F 27/32
H01F 27/36
H01F 27/42
H01F 30/00-38/12
H01F 38/16
H01F 38/42
H02J 3/00- 7/12
H02J 7/34- 7/36
H02M 1/00- 1/44
H03H 1/00- 3/00
H03H 5/00- 7/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源である単相電源または三相電源に接続可能な電源装置であって、
前記三相電源における第1電源および前記単相電源の電力をバッテリーに供給可能な第1電力線に接続される第1巻線と、
前記三相電源における第2電源の電力を前記バッテリーに供給可能な第2電力線に接続される第2巻線と、
前記三相電源における第3電源の電力を前記バッテリーに供給可能な第3電力線に接続される第3巻線と、
前記第1電源、前記第2電源、前記第3電源および前記単相電源の中性点に対応する中性線に接続される第4巻線と、
前記第1巻線、前記第2巻線、前記第3巻線および前記第4巻線が巻回される磁性体コアと、
前記三相電源が用いられる場合の第1状態と、前記単相電源が用いられる場合の第2状態とに電力線の接続状態を切り替える切替部と、
を備え、
前記第4巻線の抵抗値は、前記第2巻線の抵抗値よりも小さく、
前記第1状態は、前記第1電力線に前記第1電源からの電力を供給可能とし、かつ、前記第2電力線に前記第2電源からの電力を供給可能とした状態であり、
前記第2状態は、前記第1電力線と、前記第2電力線および前記第3電力線の少なくとも一つと、に前記単相電源からの電力を供給可能とした状態であり、
前記切替部は、前記単相電源または前記三相電源の電力供給方向において、前記磁性体コアよりも前記バッテリー側に設けられている、
電源装置。
【請求項2】
前記第4巻線の抵抗値は、前記第3巻線の抵抗値よりも小さい、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第4巻線は、前記第2巻線よりも太い、
請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第4巻線は、複数の電線により構成されている、
請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記磁性体コアは、長円状に構成されている、
請求項1~4の何れか1項に記載の電源装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の電源装置を備える、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気部品、電源装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源装置等に搭載される回路において発生するコモンモードノイズを除去するための磁気部品(例えば、コモンモードチョークコイル)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、三相電源に接続される磁気部品においては、3つの交流電源の電力が供給される3つの電力線と、各交流電源の中性点とが1つの中性線に接続可能な三相四線式のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-208505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の磁気部品においては、世界各国の様々なインフラにおいて動作可能にすることを考慮すると、単相電源および三相電源の両方に対応可能に構成することが望まれる。
【0006】
しかしながら、従来の三相四線式の構成では、三相電源に対応した構成であるので、電力線および中性線に対応する巻線の抵抗値が全て同じである。
【0007】
そのため、単相電源の電力供給量が三相電源の1つの電源の電力供給量よりも大きい場合、三相電源の各電源に対応する各巻線を、単相電源の電力量に対応させて太くすると、磁気部品が大型化および高コスト化するおそれがあった。
【0008】
本開示の目的は、単相電源および三相電源の両方に対応しつつ、小型化および低コスト化を図ることが可能な磁気部品、電源装置および車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る磁気部品は、
交流電源である単相電源または三相電源に接続可能な電源装置に用いられる磁気部品であって、
前記三相電源における第1電源および前記単相電源の電力をバッテリーに供給可能な第1電力線に接続される第1巻線と、
前記三相電源における第2電源の電力を前記バッテリーに供給可能な第2電力線に接続される第2巻線と、
前記三相電源における第3電源の電力を前記バッテリーに供給可能な第3電力線に接続される第3巻線と、
前記第1電源、前記第2電源、前記第3電源および前記単相電源の中性点に対応する中性線に接続される第4巻線と、
前記第1巻線、前記第2巻線、前記第3巻線および前記第4巻線が巻回される磁性体コアと、
を備え、
前記第4巻線の抵抗値は、前記第2巻線の抵抗値よりも小さい。
【0010】
本開示に係る電源装置は、
交流電源である単相電源または三相電源に接続可能な電源装置であって、
前記三相電源における第1電源および前記単相電源の電力をバッテリーに供給可能な第1電力線に接続される第1巻線と、
前記三相電源における第2電源の電力を前記バッテリーに供給可能な第2電力線に接続される第2巻線と、
前記三相電源における第3電源の電力を前記バッテリーに供給可能な第3電力線に接続される第3巻線と、
前記第1電源、前記第2電源、前記第3電源および前記単相電源の中性点に対応する中性線に接続される第4巻線と、
前記第1巻線、前記第2巻線、前記第3巻線および前記第4巻線が巻回される磁性体コアと、
前記三相電源が用いられる場合の第1状態と、前記単相電源が用いられる場合の第2状態とに電力線の接続状態を切り替える切替部と、
を備え、
前記第4巻線の抵抗値は、前記第2巻線の抵抗値よりも小さく、
前記第1状態は、前記第1電力線に前記第1電源からの電力を供給可能とし、かつ、前記第2電力線に前記第2電源からの電力を供給可能とした状態であり、
前記第2状態は、前記第1電力線と、前記第2電力線および前記第3電力線の少なくとも一つと、に前記単相電源からの電力を供給可能とした状態であり、
前記切替部は、前記単相電源または前記三相電源の電力供給方向において、前記磁性体コアよりも前記バッテリー側に設けられている。
【0011】
本開示に係る車両は、
上記の電源装置を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、単相電源および三相電源の両方に対応しつつ、小型化および低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施の形態に係る電源装置が適用された車両を示す図である。
図2図1に示す電源装置において単相電源が接続された状態を示す図である。
図3】変形例に係る電源装置が適用された車両を示す図である。
図4図3に示す電源装置において単相電源が接続された状態を示す図である。
図5】変形例に係るノイズフィルタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本開示の実施の形態に係る電源装置100が適用された車両1を示す図である。
【0015】
図1に示すように、電源装置100は、例えば、車両1に搭載されるバッテリー2を充電するための充電装置であり、外部の交流電源から電力が供給されることで動作する。電源装置100は、外部電源として、単相電源および三相電源10を接続可能に構成されている。
【0016】
図1では、接地線Gに接続される中性点N1を中心にY結線された第1電源10A、第2電源10Bおよび第3電源10Cを有する三相電源10が電源装置100に接続された例を示している。中性点N1には、第1電源10A、第2電源10Bおよび第3電源10Cの各接地端部が接続されている。接地線Gは、グランドに対応する線である。
【0017】
電源装置100は、第1端子101A、第2端子101B、第3端子101C、第4端子102、処理回路103A,103B,103Cおよびノイズフィルタ104等を有する。
【0018】
第1端子101Aは、三相電源10における第1電源10Aの第1電力供給端部L1に接続される。また、第1端子101Aは、電源装置100における第1電力線A1にノイズフィルタ104を介して接続される。また、図2に示すように、第1端子101Aは、単相電源20が電源装置100に接続される場合、単相電源20の電力供給端部Lに接続される。
【0019】
図1に示すように、第2端子101Bは、三相電源10における第2電源10Bの第2電力供給端部L2に接続される。また、第2端子101Bは、電源装置100における第2電力線B1にノイズフィルタ104を介して接続される。
【0020】
第3端子101Cは、三相電源10における第3電源10Cの第3電力供給端部L3と接続される。また、第3端子101Cは、電源装置100における第3電力線C1にノイズフィルタ104を介して接続される。
【0021】
第4端子102は、三相電源10の接地端部に対応する三相電源10の中性点N1、つまり、接地線Gに接続される。また、第4端子102は、電源装置100における中性線Dにノイズフィルタ104を介して接続される。また、中性線Dは、第1中性線A2,第2中性線B2および第3中性線C2のそれぞれに繋がっている。
【0022】
処理回路103A,103B,103Cは、三相電源10または単相電源から供給される電力をバッテリー2に充電する電力に変換するための回路であり、力率改善回路およびDC/DC変換回路等を含む。
【0023】
処理回路103Aは、第1電力線A1および第1中性線A2に対応する回路である。処理回路103Aには、三相電源10における第1電源10Aから電力が供給される。
【0024】
処理回路103Bは、第2電力線B1および第2中性線B2に対応する回路である。処理回路103Bには、三相電源10における第2電源10Bから電力が供給される。
【0025】
また、処理回路103A,103Bには、単相電源20が電源装置100に接続された場合、単相電源20から電力が供給される(図2参照)。
【0026】
処理回路103Cは、第3電力線C1および第3中性線C2に対応する回路である。処理回路103Cには、三相電源10における第3電源10Cから電力が供給される。
【0027】
ノイズフィルタ104は、電源装置100におけるコモンモードノイズを除去するための三相四線式のコモンモードチョークコイル(磁気部品)である。ノイズフィルタ104は、処理回路103A,103B,103Cの前段に設けられている。ノイズフィルタ104は、第1巻線104A、第2巻線104B、第3巻線104C、第4巻線104Dおよび磁性体コア104Eを有する。
【0028】
第1巻線104Aは、第1端子101Aと第1電力線A1との間に設けられる。第2巻線104Bは、第2端子101Bと第2電力線B1との間に設けられる。第3巻線104Cは、第3端子101Cと第3電力線C1との間に設けられる。
【0029】
第4巻線104Dは、第4端子102と中性線Dとの間に設けられる。第4巻線104Dの抵抗値は、第1巻線104A、第2巻線104Bおよび第3巻線104Cの各抵抗値よりも小さい。
【0030】
具体的には、第4巻線104Dは、第1巻線104A、第2巻線104Bおよび第3巻線104Cよりも太くなっている。これにより、第4巻線104Dには、第1巻線104A、第2巻線104Bおよび第3巻線104Cよりも多い電力(電流)を供給可能となっている。なお、本実施の形態においては、第4巻線104Dの抵抗値が第2巻線104Bの抵抗値よりも小さければ良く、必ずしも第4巻線104Dの抵抗値が、第1巻線104A、第2巻線104Bおよび第3巻線104Cの各抵抗値よりも小さくなくても良い。
【0031】
磁性体コア104Eは、円形状に構成されている。第1巻線104A、第2巻線104B、第3巻線104Cおよび第4巻線104Dは、磁性体コア104Eのそれぞれ異なる箇所に巻回されている。
【0032】
このように構成されたノイズフィルタ104では、各巻線に電流が流れると、磁性体コア104Eの各巻線の箇所で磁束が生じる。これらの磁束が互いに強め合うことにより、ノイズフィルタ104は、コモンモードノイズが生じた場合に大きなインピーダンスを得て、コモンモードノイズを抑制する。
【0033】
切替部105は、例えば、リレーであり、三相電源10が用いられる場合の第1状態と、単相電源が用いられる場合の第2状態との間で電力線の接続状態を切り替える。
【0034】
第1状態は、第1電力線A1に三相電源10の第1電源10Aからの電力を供給可能とし、かつ、第2電力線B1に三相電源10の第2電源10Bからの電力を供給可能とした状態である。第2状態は、第1電力線A1および第2電力線B1に単相電源20からの電力を供給可能とした状態である。
【0035】
切替部105は、三相電源10または単相電源20の電力供給方向(図1等における左から右に向かう方向)において、ノイズフィルタ104よりも上流側に設けられている。切替部105は、第1固定接点105Aと、第2固定接点105Bと、可動接点105Cとを有する。
【0036】
第1固定接点105Aは、第1端子101Aと第1巻線104Aとを接続する第4電力線A3に設けられる。第2固定接点105Bは、第2端子101Bに接続されている。
【0037】
可動接点105Cは、第2巻線104Bに接続される第5電力線B3に接続されており、第1固定接点105Aおよび第2固定接点105Bの何れかに接続される。
【0038】
切替部105が第1状態である場合は、可動接点105Cが第2固定接点105Bに接続された状態となる。この場合、第1電力線A1と第2電力線B1とが切り離された状態となり、かつ、第2端子101Bが、第5電力線B3および第2巻線104Bを介して第2電力線B1と接続された状態となる。
【0039】
こうすることで、三相電源10の第1電源10Aからの電力が第1巻線104Aを介して第1電力線A1に供給され、かつ、三相電源10の第2電源10Bからの電力が第2巻線104Bを介して第2電力線B1に供給される。
【0040】
図2に示すように、切替部105が第2状態である場合は、可動接点105Cが第1固定接点105Aに接続された状態となる。この場合、第1電力線A1が、第5電力線B3および第2巻線104Bを介して、第2電力線B1と接続された状態となり、かつ、第2端子101Bと第2電力線B1とが切り離された状態となる。
【0041】
こうすることで、単相電源20からの電力が第1巻線104Aおよび第2巻線104Bを介して第1電力線A1および第2電力線B1に供給される。この場合、単相電源20からの電力量は、第1巻線104Aおよび第2巻線104Bのそれぞれに分配されて第1電力線A1および第2電力線B1に供給される。
【0042】
例えば、第1巻線104Aと第2巻線104Bの各抵抗値が同一である場合、第1電力線A1および第2電力線B1のそれぞれには、単相電源20の電力量の半分の電力量が供給される。
【0043】
ところで、三相電源10が用いられる場合、第1電源10A、第2電源10Bおよび第3電源10Cの各電力の位相が120°ずつ、ずれており、三相の電力の和が0となるので、中性線Dの電力量は0となる。
【0044】
それに対し、単相電源20が用いられる場合、中性線Dの電力量は、単相電源20から供給される電力量と等しくなる。例えば、単相電源20から供給される電力量が、三相電源10の各電源10A,10B,10Cから供給される電力量よりも大きいとする。
【0045】
この場合、単相電源20から供給される電力は、第1巻線104Aおよび第2巻線104Bを介して、第1電力線A1および第2電力線B1の2つの電力線を通る。そのため、単相電源20を用いる場合に、三相電源10の各電源10A,10B,10Cの2倍となる電力量をノイズフィルタ104の後段に供給可能である。
【0046】
しかし、第4巻線104Dを、他の巻線と同等の太さとする場合、単相電源20を用いた際に、第1電力線A1および第2電力線B1に対応する電力が第4巻線104Dにかかるため、第4巻線104Dの電力許容量を超えてしまうおそれがある。
【0047】
本実施の形態では、上記したように第4巻線104Dが、第1巻線104A、第2巻線104Bおよび第3巻線104Cよりも抵抗値が小さいので、単相電源20を用いた場合において中性線Dを通る電力量を許容することができる。
【0048】
その結果、単相電源20および三相電源10の両方に対応したノイズフィルタ104とすることができる。
【0049】
また、従来の三相四線式の構成においては、巻線が全て同じ太さであるので、単相電源に対応させようとすると、全ての巻線を比較的太く構成することとなる。そのため、ノイズフィルタが大型化および高コスト化するおそれがある。
【0050】
それに対し、本実施の形態では、第4巻線104Dのみを太くするので、従来の構成と比較して、小型化および低コスト化を図ることができる。
【0051】
また、三相四線式の構成とすることで、ノイズフィルタ104の巻線を計4本とすることができる。そのため、各電力線に対応した中性線を有する構成であって、中性線毎に巻線を設ける構成と比較して巻線の数を少なくすることができ、ひいては小型化および低コスト化を図ることができる。
【0052】
なお、上記実施の形態では、切替部105がノイズフィルタ104の上流側に設けられていたが、本開示はこれに限定されない。例えば、図3に示すように、切替部105が、電力供給方向において、ノイズフィルタ104よりも下流側に設けられていても良い。
【0053】
この場合における切替部105の第1固定接点105Aは、第1電力線A1に設けられる。第2固定接点105Bは、第2巻線104Bに接続された第6電力線B4に設けられる。可動接点105Cは、第2電力線B1に接続されており、第1固定接点105Aおよび第2固定接点105Bの何れかに接続される。
【0054】
切替部105が第1状態である場合は、可動接点105Cが第2固定接点105Bに接続された状態となる。この場合、第1電力線A1と第2電力線B1とが切り離された状態となり、かつ、第2端子101Bが、第5電力線B3、第6電力線B4および第2巻線104Bを介して、第2電力線B1に接続された状態となる。
【0055】
こうすることで、三相電源10の第1電源10Aからの電力が第1巻線104Aを介して第1電力線A1に供給され、かつ、三相電源10の第2電源10Bからの電力が第2巻線104Bを介して第2電力線B1に供給される。
【0056】
図4に示すように、切替部105が第2状態である場合は、可動接点105Cが第1固定接点105Aに接続された状態となる。この場合、第1電力線A1が第2電力線B1に接続された状態となり、かつ、第2端子101Bと第2電力線B1とが切り離された状態となる。
【0057】
こうすることで、単相電源20からの電力が第1巻線104Aを介して第1電力線A1および第2電力線B1に供給される。
【0058】
すなわち、このような構成であっても、単相電源20および三相電源10の両方に対応しつつ、ノイズフィルタ104の小型化および低コスト化を図ることができる。
【0059】
また、この構成では、ノイズフィルタ104が第1端子101A、第2端子101B、第3端子101Cおよび第4端子102に直に接続されているので、ノイズ除去の観点から有利である。
【0060】
また、この構成では、第1巻線104Aが、単相電源20から供給される電力量を許容する必要があるので、第1巻線104Aの抵抗値が、第2巻線104Bおよび第3巻線104Cの各抵抗値よりも小さい。例えば、第1巻線104Aが、第2巻線104Bおよび第3巻線104Cよりも太くなっている。そのため、小型化の観点からすれば、図1および図2に示す構成の方が第1巻線104Aが第4巻線104Dより細い分、図3および図4に示す構成よりも有利となる。また、本開示はこれに限定されず、例えば第1巻線104Aの抵抗値が、第2巻線104Bの抵抗値よりも小さくすれば、第1巻線104Aの抵抗値が、第2巻線104Bの抵抗値よりも大きくなっても良い。
【0061】
また、上記実施の形態では、磁性体コア104Eが円状に構成されていたが、本開示はこれに限定されず、例えば図5に示すように、長円状に構成されていても良い。
【0062】
この磁性体コア104Eは、一対の直線部E1と、一対の曲線部E2とを有する。
【0063】
このような構成であると、他の巻線よりも太い第4巻線104Dを、一対の直線部E1の何れかに設けることができる。そのため、比較的太い巻線を磁性体コア104Eに巻くスペースを確保しながら巻回することができるので、第4巻線104Dの巻回効率を向上させることができる。
【0064】
また、上記実施の形態では、巻線の太さを変えることで、巻線の抵抗値を調整していたが、本開示はこれに限定されず、例えば、巻線の材質を変える等、他の方法により巻線の抵抗値を調整しても良い。
【0065】
例えば、第4巻線104Dが複数の電線により構成されたものとしても良い。このような構成とすることにより、比較的細い巻線としながら、巻線の抵抗値を小さくすることができるので、第4巻線を磁性体コアに巻回しやすくすることができる。
【0066】
また、磁気部品の特性等を考慮して、第4巻線104Dの太さを変更する構成、および、第4巻線104Dを複数の電線とする構成の何れかを適宜選択しても良い。
【0067】
また、上記実施の形態では、切替部105における第2状態が、第1電力線A1と第2電力線B1とに、単相電源20からの電力を供給可能とした状態としていたが、本開示はこれに限定されない。例えば、第2状態が、第1電力線A1と第4電力線A3とに、単相電源20からの電力を供給可能とした状態であっても良いし、第1電力線A1、第2電力線B1および第4電力線A3に、単相電源20からの電力を供給可能とした状態であっても良い。
【0068】
また、図3および図4に示す構成では、切替部105を設けていたが、第1電力線A1に対応する処理回路103Aが、単相電源20の電力量を許容可能である場合、切替部を設けなくても良い。
【0069】
また、上記実施の形態では、切替部105がリレーである構成を例示したが、本開示はこれに限定されず、スイッチング素子を含む構成等、電力線の接続状態を切替可能である構成であれば、どのようなものであっても良い。
【0070】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本開示の磁気部品は、単相電源および三相電源の両方に対応しつつ、小型化および低コスト化を図ることが可能な磁気部品、電源装置および車両として有用である。
【符号の説明】
【0072】
1 車両
2 バッテリー
10 三相電源
10A 第1電源
10B 第2電源
10C 第3電源
20 単相電源
100 電源装置
101A 第1端子
101B 第2端子
101C 第3端子
102 第4端子
103A 処理回路
103B 処理回路
103C 処理回路
104 ノイズフィルタ
104A 第1巻線
104B 第2巻線
104C 第3巻線
104D 第4巻線
104E 磁性体コア
105 切替部
105A 第1固定接点
105B 第2固定接点
105C 可動接点
図1
図2
図3
図4
図5