(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】バイオチャ製造システム及びバイオチャ製造システムの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B09B 3/40 20220101AFI20231110BHJP
C10B 53/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
B09B3/40
C10B53/00 A
(21)【出願番号】P 2021192536
(22)【出願日】2021-11-05
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】P 2020208825
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503402574
【氏名又は名称】山地 正城
(74)【代理人】
【識別番号】100192740
【氏名又は名称】鈴木 泰彦
(73)【特許権者】
【識別番号】520349218
【氏名又は名称】高橋 昌央
(73)【特許権者】
【識別番号】522216488
【氏名又は名称】神林 正典
(73)【特許権者】
【識別番号】522217267
【氏名又は名称】北嶋 勝三
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山地 正城
(72)【発明者】
【氏名】シェド モハメド ファルルディン シャヘッド
(72)【発明者】
【氏名】エムディ ラフィクル イスラム
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-213269(JP,A)
【文献】特開2007-038144(JP,A)
【文献】特開2018-053197(JP,A)
【文献】特開2018-017494(JP,A)
【文献】特開2003-113381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
C10B 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
裁断され乾燥された有機廃棄物資源を熱分解ガス化して燃焼させ高温ガスを発生させる第一の熱分解手段と、
前記有機廃棄物資源を前記第一の熱分解手段に移送する第一の移送装置と、
前記高温ガスの熱を導入して実質的に無酸素状態でバイオマス資源を熱分解して水素含有ガスを発生させると共にバイオチャを製造する第二の熱分解手段と、
前記第一の熱分解手段内の前記高温ガスを稼働開始後に発生させ安定的に燃焼可能にするために、前記第一の熱分解手段内の前記有機廃棄物資源を所定時間加熱する点火装置と、
前記第一の熱分解手段内に燃焼制御用の空気を投入する空気投入装置と、
裁断され乾燥されたバイオマス資源を第二の熱分解手段に所望量投入するための第二の移送装置と、
前記高温ガスの熱を前記第二の熱分解手段に導入するための熱交換機と、
前記第二の熱分解手段に窒素を供給する窒素供給装置と、
前記水素含有ガスを前記第二の熱分解手段から導入して貯留する水素含有ガス貯留手段と、
前記水素含有ガス貯留手段から前記水素含有ガスを前記第一の熱分解手段に所望量導入する導入量調整手段と、
前記第一の熱分解手段と前記熱交換機とを接続する第一の配管と、
前記熱交換機から前記高温ガスを環境に排出する前に、前記熱交換機を前記高温ガスを浄化するガス浄化装置に接続するための第二の配管とを備えたバイオチャ製造システムであって、
前記第一の熱分解手段から運用開始後に排出される前記高温ガスを直接前記ガス浄化装置に直接供給するための第三の配管と、
前記第三の配管の途中にあり前記熱交換機に前記高温ガスを供給する際に閉となる第一の開閉手段と、
前記第一の熱分解手段から前記熱交換機に前記高温ガスを供給する際に共に開となる前記第一の配管の途中にある第二の開閉手段と、
前記第二の配管の途中にある第三の開閉手段と、
前記第二の熱分解手段と前記第二の移送装置との間に存在する第四の開閉手段と、
前記第二の熱分解手段内の温度を測定する第一の温度測定手段と、
前記第二の熱分解手段から前記水素含有ガス貯留手段へ前記水素含有ガスを導入するための第四の配管と、
前記水素含有ガス貯留手段から前記第一の熱分解手段へ前記水素含有ガスを導入するための第五の配管と、
前記第四の配管の途中に設置された第四の流量調節手段と、
前記第五の配管の途中に設置された第五の流量調節手段と、
前記窒素供給装置が前記第二の熱分解手段へ供給する窒素の供給量を制御可能な第一の流量調節手段と、
前記第二の熱分解手段は前記
製造したバイオチャを排出可能な第五の開閉手段と
を更に備えるとともに、
前記水素含有ガスを前記第一の熱分解手段に導入して前記有機廃棄物資源を燃焼させ、
前記第一の開閉手段乃至前記第三の開閉手段を用いて前記高温ガスの流通経路を制御し、前記第四の開閉手段を用いて前記バイオマス資源の投入を制御し、前記第五の開閉手段を用いて前記バイオチャの排出を制御し、前記第一の流量調節手段を用いて前記窒素の供給量を制御し、前記第四の流量調節手段を用いて前記水素含有ガスの前記水素含有ガス貯留手段における貯留量を制御し、前記第五の流量調節手段を用いて前記水素含有ガス貯留手段に貯留された前記水素含有ガスの前記第一の熱分解手段への導入量を制御する制御装置を更に備え
ることを特徴とするバイオチャ製造システム。
【請求項2】
前記排出したバイオチャを冷却する冷却装置を更に備え、
前記冷却装置は、冷却済のバイオチャを排出する第六の開閉手段と、冷却水の流入量を調節可能な第二の流量調節手段と、冷却水の流出量を調節可能な第三の流量調節手段とを備え、
前記制御装置は前記第二の流量調節手段を用いて前記冷却水の流入量を調節すると共に、前記第三の流量調節手段を用いて前記冷却水の流出量を調節することを特徴とする請求項
1記載のバイオチャ製造システム
【請求項4】
前記冷却装置内のバイオチャの温度を測定する第二の温度測定手段を更に備え、
前記制御装置は、
前記第一の温度測定手段と前記第二の温度測定手段が測定した温度に応じて、前記
有機廃棄物資源を乾燥させかつ燃焼を容易にすべく裁断するための第一の裁断装置の稼働/非稼働タイミングと、前記第一の移送装置の稼働/非稼働タイミング及び、前記第一乃至第四の各流量調節手段の流量を制御することを特徴とする請求項2に記載のバイオチャ製造システム。
【請求項5】
前記制御装置と通信可能に構成された学習装置を更に備え、
前記制御装置は、
前記バイオチャ製造システムの周囲の環境温度を測定可能な第三の温度測定手段と環境湿度を測定する環境湿度測定手段と、
各時刻における前記第一の温度測定手段が記録した温度乃至前記第三の温度測定手段が記録した温度と前記湿度測定手段が記録した湿度と、前記第一の開閉手段、前記第二の開閉手段、前記第三の開閉手段と前記第四の開閉手段それぞれの開閉タイミングと、前記点火装置の加熱時間と加熱開始及び加熱停止のタイミング、前記空気投入装置の空気投入量並びに空気投入開始及び空気投入停止のタイミングと、前記冷却装置の冷却水の流入量及び流出量並びに前記冷却水の流入開始及び流出開始のタイミング並びに前記冷却水の流入停止及び流出停止のタイミングと、前記
有機廃棄物資源を乾燥させかつ燃焼を容易にすべく裁断するための第一の裁断装置の稼働/非稼働タイミングと、前記第一の移送装置の稼働/非稼働タイミングを含む各種制御パラメータを記憶する制御パラメータ履歴記憶手段と、を更に備え、
前記学習装置は、前記制御装置の前記制御パラメータ履歴記憶手段の制御パラメータ履歴情報を学習データとして記憶する学習データ記憶手段と、前記学習データの少なくとも一部に正例又は負例の少なくとも一つのフラグを付加したものを学習データ記憶手段に記憶し、前記フラグを付加後の学習データに含まれる前記制御パラメータ履歴記憶手段の各種制御パラメータと前記付加されたフラグとを用いて、前記環境温度及び前記環境湿度並びに前記第二の熱分解手段内の温度と前記バイオチャの温度に応じた最適制御パラメータを決定する学習手段とを更に備え、
前記制御装置は、前記学習手段が決定した前記最適制御パラメータを記憶する最適パラメータ記憶手段を更に備え、
前記制御装置は、前記学習装置から受信した前記最適制御パラメータを用いて制御を実行することを特徴とする請求項2に記載のバイオチャ製造システム。
【請求項6】
裁断され乾燥された有機廃棄物資源を熱分解ガス化して燃焼させ高温ガスを発生させる第一の熱分解手段と熱交換機が第一の配管で接続され、前記熱交換機にはガス浄化装置と接続するための第二の配管
が接続され、第二の熱分解手段は前記熱交換機を介して伝わった前記高温ガスの熱を用いて前記第二の熱分解手段に投入されたバイオマス資源を実質的に無酸素状態で熱分解してバイオチャを製造すると共に水素含有ガスを生成し、前記水素含有ガスを前記第一の熱分解手段に導入して燃焼させるバイオチャ製造システムの制御プログラムであって、
前記バイオチャ製造システムを、
裁断され乾燥された有機廃棄物資源を前記第一の熱分解手段に移送する第一の移送装置と、
前記第一の熱分解手段内の前記高温ガスを稼働開始後に発生させ安定的に燃焼可能にするために、前記第一の熱分解手段内の前記有機廃棄物資源を所定時間加熱する点火装置と、
前記第一の熱分解手段内に燃焼制御用の空気を投入する空気投入装置と、
裁断され乾燥されたバイオマス資源を第二の熱分解手段に所望量投入するための第二の移送装置と、
前記第二の熱分解手段に窒素を供給する窒素供給装置と、
前記水素含有ガスを前記第二の熱分解手段から導入して貯留する水素含有ガス貯留手段と、
前記水素含有ガス貯留手段から前記第一の熱分解手段へ前記水素含有ガスを導入するための第五の配管と、
前記水素含有ガス貯留手段から前記水素含有ガスを前記第一の熱分解手段に所望量導入するための前記第五の配管の途中に設置された導入量調整手段と、
前記熱交換機から前記高温ガスを環境に排出する前に、前記熱交換機を前記高温ガスを浄化するガス浄化装置に接続するための第二の配管と、
前記第一の熱分解手段から運用開始後に排出される前記高温ガスを直接前記ガス浄化装置に直接供給するための第三の配管と、
前記第三の配管の途中にあり前記熱交換機に前記高温ガスを供給する際に閉となる第一の開閉手段と、
前記第一の熱分解手段から前記熱交換機に前記高温ガスを供給する際に共に開となる前記第一の配管の途中にある第二の開閉手段と、
前記第二の配管の途中にある第三の開閉手段と、
前記第二の熱分解手段と前記第二の移送装置との間に存在する第四の開閉手段と、
前記第二の熱分解手段内の温度を測定する第一の温度測定手段と、
前記第二の熱分解手段から前記水素含有ガス貯留手段へ前記水素含有ガスを導入するための第四の配管と、
前記水素含有ガス貯留手段から前記第一の熱分解手段へ前記水素含有ガスを導入するための第五の配管と、
前記第四の配管の途中に設置された第四の流量調節手段と、
前記窒素供給装置が前記第二の熱分解手段へ供給する窒素の供給量を制御可能な第一の流量調節手段と、
前記第二の熱分解手段は前記
製造したバイオチャを排出可能な第五の開閉手段と
を更に備え、
前記水素含有ガスを前記第一の熱分解手段に導入して前記有機廃棄物資源を燃焼させ、
前記第一の開閉手段乃至前記第三の開閉手段を用いて前記高温ガスの流通経路を制御し、前記第四の開閉手段を用いて前記バイオマス資源の投入を制御し、前記第五の開閉手段を用いて前記バイオチャの排出を制御し、前記第一の流量調節手段を用いて前記窒素の供給量を制御し、前記第四の流量調節手段を用いて前記水素含有ガスの前記水素含有ガス貯留手段における貯留量を制御し、前記導入量調整手段を用いて前記水素含有ガス貯留手段に貯留された前記水素含有ガスの前記第一の熱分解手段への導入量を制御する制御装置として機能させることを特徴とするバイオチャ製造システムの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機質バイオマス原料を炭化処理することによりバイオチャを製造するバイオチャ製造システム、バイオチャの製造方法、及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーによって生産された電力が注目されている。この電力は、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、大気中の熱等の再生可能エネルギーである資源を利用することで生産される。再生可能エネルギーによる発電は、石油、石炭、液化天然ガス等の化石燃料による発電に比べて、地球温暖化の原因となっているCO2をほとんど排出しないため、電力の生産に利用される資源の中でも、再生可能エネルギーは環境に優しいエネルギー資源である。他方で生活の隅々までプラスチック製品が使用され、このプラスチックの破棄物から生じるいわゆるマイクロプラスチックは環境汚染にとどまらず、魚介類を通して摂取者の健康にも悪影響を与えることが懸念されおり、大量に発生する「プラゴミ」による悪影響を防ぐ事が喫緊の課題となっている。
【0003】
この点、バイオマスから水素ガスを抽出する技術は公知であり、また、木材や植物などのセルロース系バイオマスから改質により炭素の原子比が高い燃料を作り出す方法も公知となっているが、比較的大掛かりな設備が必要となり、発展途上国では利用しづらい面がある。このため特にバイオマス資源が豊富な東南アジアなどの発展途上国ではバイオマス資源を十分に活用できていない。その一方で開発途上国の都市部では大量のゴミを環境に優しいとは言えない方法で処理している場合も少なくない。先進国で使用される高性能の排気浄化装置は高価であり、発展途上国での導入は困難な面があることは否定できないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2015-534534号公報
【文献】特開2005-179379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、炭素と酸素と水素とを含む化合物から少なくとも水素ガス又は液体燃料を抽出する方法が開示されており、水を前記化合物と組み合わせて湿潤形態の化合物を生成後、湿潤形態の化合物を反応処理チャンバ内に移動し、この湿潤形態の化合物が水熱分解反応により解離して反応するように、前記湿潤形態の化合物を反応処理チャンバ内で700℃~1100℃の温度に加熱するものである。
しかし、この方法では効率的に水素ガス又は液体燃料を抽出することができるが、この製造プロセスを通じて反応処理チャンバを加熱し続ける必要があり、そのための燃料又は電力等が必要となるので二酸化炭素の排出等環境への影響がある点でなお課題がある。
【0006】
特許文献2では、セルロース系バイオマスを原料として、重油代替燃料として使用可能な酸素/炭素原子比が低い(炭素の原子比が高い)高濃度バイオマス水スラリーとし得る改質バイオマスを提供するバイオマスの改質方法が開示されている。このバイオマスの改質方法は、セルロース系バイオマス原料に対して質量比で5~15倍の水を加えて250~380℃で、かつ水の飽和蒸気圧より1~3MPa程度の高い圧力で改質処理を行い、改質工程の後分離工程にて固体成分と水が主体の液体成分を分離し、固体成分を乾燥して燃料として使用する場合には更に加熱乾燥を行っている。
しかし、この改質方法では、改質工程、分離工程、乾燥工程が必要となり設備が大掛かりでコストも高くなるという課題がある。
【0007】
本発明は、上記社会的背景を考慮し、原材料費も設備の導入コストも低廉で、かつランニングコストも低く、かつ環境にも比較的優しい方法によりバイオマス資源を原料とするバイオチャの製造システム等を提供するという課題を解決するものである。
【0008】
この点、例えば当業者であれば上記特許文献1の技術と特許文献2の技術を組み合わせて、上記特許文献1の技術で製造した水素ガスを燃焼させて、特許文献2のその熱を利用してバイオマス原料の改質処理を行うことも容易であるかに思えるかもしれない。しかし、両者を単に組合せただけでは以下の理由から課題を解決する事は困難であることは明らかと言える。
【0009】
第一に水素ガスを発生させるための熱源が必要となる。特許文献1には加熱源の具体的記載がないが、この分野の他の文献、例えば特開2019-522067号公報では、その第0013段落の後半で、例えば炭化処理ガスを原料として有機ランキンサイクルにより得た電気エネルギーを加熱源とする方法やレシプロ式エンジンで得た駆動力で発電して得た電気エネルギーを加熱源とする方法が開示されている。しかし、この方法では、水素ガスを発生させるための設備コストもランニングコストも高くなってしまう。
【0010】
第二に、上記特許文献1の有機化合物(例えば都市で排出される紙やプラスチックや植物等の混合物)も、上記特許文献2もその成分は均一ではなく、バイオチャ製造システムのインプットとして、これら2種類の物質を原料(水素発生材料とバイオチャの原材料)とした場合、均質なバイオチャを製造することは困難になり、仮に均質なバイオチャを製造しようとすれば、システムの制御は複雑となり、設備コストもランニングコストも更に高くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記従来の課題を解決するために、本発明のバイオチャ製造システムは、
裁断され乾燥された有機廃棄物資源を熱分解ガス化して燃焼させ高温ガスを発生させる第一の熱分解手段と、
前記有機廃棄物資源を前記第一の熱分解手段に移送する第一の移送装置と、
前記高温ガスの熱を導入して実質的に無酸素状態でバイオマス資源を熱分解して水素含有ガスを発生させると共にバイオチャを製造する第二の熱分解手段と、
前記第一の熱分解手段内の前記高温ガスを稼働開始後に発生させ安定的に燃焼可能にするために、前記第一の熱分解手段内の前記有機廃棄物資源を所定時間加熱する点火装置と、
前記第一の熱分解手段内に燃焼制御用の空気を投入する空気投入装置と、
裁断され乾燥されたバイオマス資源を第二の熱分解炉に所望量投入するための第二の移送装置と、
前記高温ガスの熱を前記第二の熱分解手段に導入するための熱交換機と、
前記第二の熱分解手段に窒素を供給する窒素供給装置と、
前記水素含有ガスを前記第二の熱分解炉から導入して貯留する水素含有ガス貯留手段と、
前記水素含有ガス貯留手段から前記水素含有ガスを前記第一の熱分解手段に所望量導入する導入量調整手段と、
前記第一の熱分解手段と前記熱交換機とを接続する第一の配管と、
前記熱交換機から前記高温ガスを環境に排出する前に、前記熱交換機を前記高温ガスを浄化するガス浄化装置に接続するための第二の配管とを備えたバイオチャ製造システムであって、
前記第一の熱分解手段から運用開始後に排出される前記高温ガスを直接前記ガス浄化装置に直接供給するための第三の配管と、
前記第三の配管の途中にあり前記熱交換機に前記高温ガスを供給する際に閉となる第一の開閉手段と、
前記第一の熱分解手段から前記熱交換機に前記高温ガスを供給する際に共に開となる前記第一の配管の途中にある第二の開閉手段と、
前記第二の配管の途中にある第三の開閉手段と、
前記第二の熱分解手段と前記第二の移送装置との間に存在する第四の開閉手段と、
前記第二の熱分解手段内の温度を測定する第一の温度測定手段と、
前記第二の熱分解手段から前記水素含有ガス貯留手段へ前記水素含有ガスを導入するための第四の配管と、
前記水素含有ガス貯留手段から前記第一の熱分解手段へ前記水素含有ガスを導入するための第五の配管と、
前記第四の配管の途中に設置された第四の流量調節手段と、
前記第五の配管の途中に設置された第五の流量調節手段と、
前記窒素供給装置が前記第二の熱分解手段へ供給する窒素の供給量を制御可能な第一の流量調節手段と、
前記第二の熱分解手段は前記製造したバイオチャを排出可能な第五の開閉手段と
を更に備えるとともに、
前記水素含有ガスを前記第一の熱分解手段に導入して前記有機廃棄物資源を燃焼させ、
前記第一の開閉手段乃至前記第三の開閉手段を用いて前記高温ガスの流通経路を制御し、前記第四の開閉手段を用いて前記バイオマス資源の投入を制御し、前記第五の開閉手段を用いて前記バイオチャの排出を制御し、前記第一の流量調節手段を用いて前記窒素の供給量を制御し、前記第四の流量調節手段を用いて前記水素含有ガスの前記水素含有ガス貯留手段における貯留量を制御し、前記第五の流量調節手段を用いて前記水素含有ガス貯留手段に貯留された前記水素含有ガスの前記第一の熱分解手段への導入量を制御する制御装置を更に備える事を特徴とする。
【0012】
上記従来の課題を解決するために、本発明のバイオチャ製造システムは、好ましくは、排出したバイオチャを冷却する冷却装置を更に備え、
前記冷却装置は、冷却済のバイオチャを排出する第六の開閉手段と、冷却水の流入量を調節可能な第二の流量調節手段と、冷却水の流出量を調節可能な第三の流量調節手段とを備え、
前記制御装置は前記第二の流量調節手段を用いて前記冷却水の流入量を調節すると共に、前記第三の流量調節手段を用いて前記冷却水の流出量を調節することを特徴とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明のバイオチャ製造システムは、好ましくは、冷却装置内のバイオチャの温度を測定する第二の温度測定手段を更に備え、前記制御装置は、
前記第一の温度測定手段と前記第二の温度測定手段が測定した温度に応じて、前記有機廃棄物資源を乾燥させかつ燃焼を容易にすべく裁断するための第一の裁断装置の稼働/非稼働タイミングと、前記第一の移送装置の稼働/非稼働タイミング及び、前記第一乃至第四の各流量調節手段の流量を制御することを特徴とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明のバイオチャ製造システムは、好ましくは、 前記冷却装置内のバイオチャの温度を測定する第二の温度測定手段を更に備え、
前記制御装置は、前記第一の温度測定手段と前記第二の温度測定手段が測定した温度に応じて、前記有機廃棄物資源を乾燥させかつ燃焼を容易にすべく裁断するための第一の裁断装置の稼働/非稼働タイミングと、前記第一の移送装置の稼働/非稼働タイミング及び、前記第一乃至第四の各流量調節手段の流量を制御することを特徴とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明のバイオチャ製造システムは、好ましくは、前記制御装置と通信可能に構成された学習装置を更に備え、
前記制御装置は、前記バイオチャ製造システムの周囲の環境温度を測定可能な第三の温度測定手段と環境湿度を測定する環境湿度測定手段と、
各時刻における前記第一の温度測定手段が記録した温度乃至前記第三の温度測定手段が記録した温度と前記湿度測定手段が記録した湿度と、前記第一の開閉手段、前記第二の開閉手段、前記第三の開閉手段と前記第四の開閉手段それぞれの開閉タイミングと、前記点火装置の加熱時間と加熱開始及び加熱停止のタイミング、前記空気投入装置の空気投入量並びに空気投入開始及び空気投入停止のタイミングと、前記冷却装置の冷却水の流入量及び流出量並びに前記冷却水の流入開始及び流出開始のタイミング並びに前記冷却水の流入停止及び流出停止のタイミングと、前記有機廃棄物資源を乾燥させかつ燃焼を容易にすべく裁断するための第一の裁断装置の稼働/非稼働タイミングと、前記第一の移送装置の稼働/非稼働タイミングを含む各種制御パラメータを記憶する制御パラメータ履歴記憶手段と、を更に備えることを特徴とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明のバイオチャ製造システムは、好ましくは、前記学習装置は、前記制御装置の前記制御パラメータ履歴記憶手段の制御パラメータ履歴情報を学習データとして記憶する学習データ記憶手段と、前記学習データの少なくとも一部に正例又は負例の少なくとも一つのフラグを付加したものを学習データ記憶手段に記憶し、前記フラグを付加後の学習データに含まれる前記制御パラメータ履歴記憶手段の各種制御パラメータと前記付加されたフラグとを用いて、前記環境温度及び前記環境湿度並びに前記第二の熱分解手段内の温度と前記バイオチャの温度に応じた最適制御パラメータを決定する学習手段とを更に備え、
前記制御装置は、前記学習手段が決定した前記最適制御パラメータを記憶する最適パラメータ記憶手段を更に備え、前記制御装置は、前記学習装置から受信した前記最適制御パラメータを用いて制御を実行することを特徴とする。
【0013】
上記従来の課題を解決するために、本発明のバイオチャ製造システムの制御プログラムは、裁断され乾燥された有機廃棄物資源を熱分解ガス化して燃焼させ高温ガスを発生させる第一の熱分解手段と熱交換機が第一の配管で接続され、前記熱交換機にはガス浄化装置と接続するための第二の配管が接続され、第二の熱分解手段は前記熱交換機を介して伝わった前記高温ガスの熱を用いて前記第二の熱分解手段に投入されたバイオマス資源を実質的に無酸素状態で熱分解してバイオチャを製造すると共に水素含有ガスを生成し、前記水素含有ガスを前記第一の熱分解手段に導入して燃焼させるバイオチャ製造システムの制御プログラムであって、
前記バイオチャ製造システムを、
裁断され乾燥された有機廃棄物資源を前記第一の熱分解手段に移送する第一の移送装置と、
前記第一の熱分解手段内の前記高温ガスを稼働開始後に発生させ安定的に燃焼可能にするために、前記第一の熱分解手段内の前記有機廃棄物資源を所定時間加熱する点火装置と、
前記第一の熱分解手段内に燃焼制御用の空気を投入する空気投入装置と、
裁断され乾燥されたバイオマス資源を第二の熱分解炉に所望量投入するための第二の移送装置と、
前記第二の熱分解手段に窒素を供給する窒素供給装置と、
前記水素含有ガスを前記第二の熱分解炉から導入して貯留する水素含有ガス貯留手段と、
前記水素含有ガス貯留手段から前記第一の熱分解手段へ前記水素含有ガスを導入するための第五の配管と、
前記水素含有ガス貯留手段から前記水素含有ガスを前記第一の熱分解手段に所望量導入するための前記第五の配管の途中に設置された導入量調整手段と、
前記熱交換機から前記高温ガスを環境に排出する前に、前記熱交換機を前記高温ガスを浄化するガス浄化装置に接続するための第二の配管と、
前記第一の熱分解手段から運用開始後に排出される前記高温ガスを直接前記ガス浄化装置に直接供給するための第三の配管と、
前記第三の配管の途中にあり前記熱交換機に前記高温ガスを供給する際に閉となる第一の開閉手段と、
前記第一の熱分解手段から前記熱交換機に前記高温ガスを供給する際に共に開となる前記第一の配管の途中にある第二の開閉手段と、
前記第二の配管の途中にある第三の開閉手段と、
前記第二の熱分解手段と前記第二の移送装置との間に存在する第四の開閉手段と、
前記第二の熱分解手段内の温度を測定する第一の温度測定手段と、
前記第二の熱分解手段から前記水素含有ガス貯留手段へ前記水素含有ガスを導入するための第四の配管と、
前記水素含有ガス貯留手段から前記第一の熱分解手段へ前記水素含有ガスを導入するための第五の配管と、
前記第四の配管の途中に設置された第四の流量調節手段と、
前記窒素供給装置が前記第二の熱分解手段へ供給する窒素の供給量を制御可能な第一の流量調節手段と、
前記第二の熱分解手段は前記製造したバイオチャを排出可能な第五の開閉手段とを更に備え、
前記水素含有ガスを前記第一の熱分解手段に導入して前記有機廃棄物資源を燃焼させ、
前記第一の開閉手段乃至前記第三の開閉手段を用いて前記高温ガスの流通経路を制御し、前記第四の開閉手段を用いて前記バイオマス資源の投入を制御し、前記第五の開閉手段を用いて前記バイオチャの排出を制御し、前記第一の流量調節手段を用いて前記窒素の供給量を制御し、前記第四の流量調節手段を用いて前記水素含有ガスの前記水素含有ガス貯留手段における貯留量を制御し、前記導入量調整手段を用いて前記水素含有ガス貯留手段に貯留された前記水素含有ガスの前記第一の熱分解手段への導入量を制御する制御装置として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は,有機廃棄物を第1の熱分解手段により熱分解して発生した高温ガスを第1の熱分解手段の熱源としてフィードバックすると共に,この高温ガスをバイオマス資源の第2の熱分解手段の熱源としても利用することにより,燃料コストを大幅に削減することが可能になると共にCO2の発生を抑制し環境に優しいバイオチャ製造システムである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】熱分解炉B12と制御装置32と学習装置39の模式図
【
図3】熱分解炉A4と貯留チャンバ34の拡大模式図
【
図6】有機廃棄物1の熱分解処理のフローチャートを示す図
【
図7】バイオマスの熱分解処理と一次排出のフローチャートを示す図
【
図8】バイオチャの冷却処理、最終排出のフローチャートを示す図
【
図9】熱分解炉B12の昇温処理の詳細フローチャート(
図6のステップS610の詳細フロー)
【
図10】熱分解炉B12の降温処理の詳細フローチャート(
図6のステップS612の詳細フロー)
【
図11】学習処理の詳細処理のフローチャートを示す図。
【
図12】パラメータ最適化処理のフローチャートを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下
図1を用いて本発明のバイオチャ製造システムの概要を説明する。
図1はバイオチャ製造システムの全体図である。なお、
図3に示すブロア40及びその配管・バルブ類と、貯留チャンバ34及びその配管・バルブ類並びに圧力計A60並びに吸引ポンプ56と、エアタンク48その配管・バルブ類並びに圧力計B61並びに空気吸引ポンプ58と、通信回線55は、
図1では省略されている。以下に説明する各バルブ及び各電磁弁には、それぞれに同様のアクチュエータ及びアクチュエータを駆動するための電源がそれぞれ取り付けられ、制御装置32から
図1では不図示の通信回線55を介して各アクチュエータが制御信号を受信し、各バルブが目的とする気体又は液体を通過させ、各電磁弁が目的とする気体、液体、半固体、又は固体を通過、吸入又は排出等を行うものであり、各バルブ及び各電磁弁にそれぞれアクチュエータが取り付けられ制御装置32から通信回線55を介してそれぞれのアクチュエータが制御信号を受信し、それに応じて動作する。
図1の左側の投入する有機廃棄物1は、材木又はプラスチックの細断が可能なシュレッダ2に、制御装置32から不図示の通信回線55を介して接続され、制御装置32から制御可能な投入装置A63により投入され、細断された有機廃棄物1はシュレッダ2の排出口からコンベア3により搬送されて熱分解炉A4に投入される。シュレッダ2は一連のシュレッダ処理終了時点で裁断した有機廃棄物1の重量と終了時刻と機器の識別情報とを制御履歴情報として制御装置32に送信する。熱分解炉A4には点火装置5が接続され、別途燃焼制御用のブロア40が接続パイプ54を介して備え付けられている。点火装置5は、2リットル程度の重油を貯留可能な不図示の重油タンクとタンクと外部からの制御信号受信部と、電源と、この受信部が受信した信号を用いて点火/消火及び火力調節の可能なバーナーと、バーナーと重油タンクとを結ぶ耐熱ホースとを備えており、火力にもよるが30分程度の燃焼が可能となっている。点火装置5は制御装置32と通信回線を介して接続されている。通信回線55は無線通信回線であるが、有線のLANケーブルでも良く、2芯のより線(ツイステッドペアケーブル)でも良い。無線通信回線の場合は、各センサ、各バルブ、各電磁弁に電源を含む無線通信用アダプタが取付けられ、制御装置32にも無線通信用アダプタが取付けられる。また、LANケーブルの場合は各センサ、各バルブ、各電磁弁に電源を含むLANアダプタが取付けられ、制御装置32にはLANアダプタが取付けられる。ツイステッドペアケーブルの場合は、ケーブル長に応じて必要によりレベル変換回路及び電源が取付けられ、制御装置32には集線装置が取付けられる。点火装置5の電源は例えば単一電池(1.5V)を4個直列にしたものを2個並列にして接続しているが、通常のAC100Vの商用電源に接続した定電圧電源装置でも良い。
【0019】
点火装置5の火力により細断された有機廃棄物1が一部燃焼を始めるが、初期段階では点火装置5の重油の煤が出るため、この時点では熱分解炉A4で燃焼により発生した高温ガスは熱交換炉B12には導入されず、この時点では電磁弁B25が開となり、高温ガスは配管C43を通って直接遠心式の集塵装置であるサイクロン27、排煙脱硫装置28、湿式洗浄塔で汚染物質を含むガスをろ過する湿式スクラバー29、活性炭などの吸着剤フィルタに汚染物質を吸着させる乾式スクラバー30を通過して浄化された後、煙突31を通って環境に排出される。他方、
図3に示す貯留チャンバ34に貯留された以前の処理サイクルで生成された水素含有ガスが配管E45及びバタフライバルブ49、又は配管F46及びバタフライバルブ50を通って熱分解炉A4に注入されて燃焼し、初期燃焼の安定化及び点火装置5の重油消費量の低減に寄与する。
【0020】
熱分解炉A4内の細断されたされた有機廃棄物1が熱分解ガス化し安定して燃焼を始めると点火装置5は消火され、熱分解反応を持続しつつ燃焼して高温ガスが発生し、、電磁弁B25が閉となり、電磁弁A24と電磁弁C26が実質的に同時に開になると発生した1000℃乃至1200℃の高温ガスが、配管A41から熱交換機6に導入されて熱分解炉B12内の温度が上昇を始め350℃乃至450℃に昇温する。
熱交換機6は、
図1に示すように熱分解炉B12の中にU字状に入り込み熱分解炉Aから排出された燃焼後の高温ガスの熱を熱分解炉B12の中に伝えるように構成されている。熱交換機6の熱分解炉B12側の表面には細かい半導体用放熱器様の凹凸のフィンが取り付けられており熱交換の効率を高くしている。熱交換機6の出口側には配管B42が接続され、
図1に示すように配管C43と合流し、途中に電磁弁C26が設置されている。
【0021】
他方、処理対象であるバイオマス資源8はシュレッダ乾燥装置11に投入され細断後乾燥されたのちコンベア9にて運搬され、漏斗状の投入口の底にある電磁弁D10が開の状態で、細断され乾燥したバイオマス資源8は熱分解炉B12内に投入される。シュレッダ乾燥装置11は、一回の乾燥処理終了時点で乾燥後のバイオマス資源8の重量と終了時刻と機器の識別情報とを制御履歴情報として制御装置32に送信する。熱分解炉B12には窒素製造装置22で製造された窒素が窒素投入用バルブ23を通って投入され、熱分解炉B12内は低酸素から実質的に無酸素状態となり投入されたバイオマス資源8からは主にH
2の他、CH
4やC
2H
6等の炭化水素が含まれているガス、CO等が発生し、バイオマス資源8中の有機物が分解するので、残った固体又は半固体は炭素含有率が次第に高くなっていく。熱分解炉A4の燃焼が安定し熱交換機6を介した熱により熱交換炉B12内の温度が上昇し、水素含有ガスは
図3の説明にて後述する水素含有ガス制御用バルブ35が開になった後吸引ポンプ56により吸引され、配管D44を通って貯留チャンバ34に貯留される。この水素含有ガスが前述したように、熱分解炉A4内の有機廃棄物1の燃焼を助ける。熱分解炉B12の中央部には高温用の白金ロジウム合金の熱電対型温度センサA33が取付けられセンサA33が測定した電圧は通信回線55を介して制御装置に送られ、制御装置32内で温度に換算される。制御装置32はこの温度を用いて各バルブの開閉と流量、各電磁弁の開閉、各ポンプのオン/オフ及び回転数を制御する。制御装置32の詳細は
図2及び
図4で説明する。
【0022】
バイオマス資源8が充分炭化してバイオチャとなった後で電磁弁E13が開き、精製されたバイオチャは重力により冷却装置16に落下する。冷却装置16はバイオチャの排出用電磁弁F17を備え、その内部に温度センサB36が取付けられており通信回線55を介して制御装置32と接続されている。温度センサB36の示す温度(正確には温度に該当する電圧値)を検知すると制御装置32は排出用の電磁弁F17を開くための制御信号を、通信回線55を介して、電磁弁F17のアクチュエータに送信し、電磁弁F17が開いて、製造されたバイオチャが搬出可能になる。搬出は人手又は、制御装置32と通信回線55を介して接続され、制御装置32からの制御信号により搬出操作が可能な不図示の搬出装置によって行う。なお、
図2で説明する制御装置32と、
図3で説明するブロア40とダイレクトエアフローバルブ47は
図1では省略されている。また、窒素製造機22の外側には、環境温度を測定するための温度センサC37と環境湿度を測定するための湿度センサ53が取付けられており、それぞれ通信回線55を介して制御装置32と接続され、温度及び湿度を特定するための情報を送信する。以上で
図1の説明を終わる。
【実施例】
【0023】
以下、
図2乃至
図11を参照しつつ本発明の具体的な実施例を開示する。ただし、本発明は実施例のみに制限されない。
【0024】
次に
図2について説明する。
図1の説明で記載した内容は省略し、制御装置32の概要について説明する。制御装置32は各温度センサから温度情報、湿度センサから湿度情報、各圧力計から圧力情報を受信して、必要に応じそれぞれ温度値、湿度値、圧力値に換算し、これらに基づいて必要なタイミングで必要なバルブ、電磁弁、又はポンプを制御する。具体的には、各バルブに対しては開信号、閉信号又は流量制御信号を送信する。各電磁弁には開信号又は閉信号を送信する。各ポンプには起動信号、停止信号、回転数制御信号を送信する。これらを送信時刻と共に制御パラメータとして制御パラメータ履歴記憶部38に記憶する。制御パラメータ履歴記憶部38には、運転時開始時及び終了時の年月日時刻も記憶される。制御装置32は更に制御判定部62と最適パラメータ記憶部52とを備える。制御判定部62は、最適パラメータ記憶部52の各パラメータと、前述の現在の各温度センサからの温度情報、湿度センサからの湿度情報、各圧力計からの圧力情報とに基づいて、どのバルブ、電磁弁、又はポンプを制御する制御信号をどのタイミングで送信するかを決定する。学習装置39はディスプレイB66と接続されており、制御装置32の制御パラメータ履歴記憶部38に記憶されている制御パラメータ履歴情報を、通信回線55を介して受信して、この制御パラメータ履歴情報の一部に正例又は負例のフラグを付けたものを学習データとして学習データ記憶部67に記憶し、学習処理部68がこのフラグ付加後の学習データを用いて学習処理を実行して最適制御パラメータを決定し、決定した最適パラメータを最適パラメータ記憶部69に記憶する。この最適パラメータを制御装置32に通信回線55を介して送信する。学習処理の詳細は
図11のフローチャートで説明する。制御装置32は、通信回線55を介して受信した最適制御パラメータを
図4のハードディスク78及びRAM73の最適パラメータ記憶部52に記憶する。制御の詳細については
図6以降のフローチャートで詳細に説明する。制御装置32は振動や熱、水しぶき等に耐えるケースに収納された工業用のPLC、又は工業用のパソコンが典型例であるが、プログラムが可能なパソコンと同様のハードウェア構成を備えた専用の制御装置でも構わない。制御装置32はディスプレイ65と接続されており、制御装置32のハードウェア構成は
図4で説明する。また、学習装置39のハードウェア構成は
図5で説明する。以上で
図2の説明を終わる。
【0025】
次に
図3について説明する。
図3は熱分解炉A4と貯留チャンバ34の拡大模式図である。
ブロア40は熱分解炉A4と配管G54を介して接続されており、配管G54の中間地点にはダイレクトエアフローバルブ47が設置されており、ブロア40のファンを使用する際には、制御装置32から受信した制御信号に基づいてダイレクトエアフローバルブ47が開になり、ブロア40内蔵のファンから出た空気流は配管G54を介して熱分解炉A4に送り込まれる。ダイレクトエアフローバルブ47は、呼び径50A乃至80A程度で200℃~300℃程度の耐熱性があるものが望ましい。
ブロア40はAC100Vの電源に接続されており、200ミリ乃至250ミリ直径の炭素鋼製耐火ファンを2機乃至3機備えており、これら耐火ファンは不図示のブロア40内の電源及び制御スイッチと接続され、制御スイッチは御装置32と通信回線55を介して接続されており、制御装置32から受信した制御信号に基づいて電源のオン/オフを切り替えファンの起動/停止を行う。
【0026】
熱分解炉B12には配管D44が接続されており、配管D44は途中水素含有ガスの流量を制御する水素含有ガス制御用バルブ35及び水素含有ガスを吸引して貯留チャンバ34に加圧状態で貯留するための吸引ポンプ56を経て貯留チャンバ34に接続されている。吸引ポンプ56にはポンプ駆動用の電源が接続され、吸引ポンプ56は通信回線55を介して制御装置32と接続されている。吸引ポンプ56は制御装置32から通信回線55を介して制御信号を受信し、それに応じて吸引ポンプ56のオン/オフ及びポンプの回転数を制御する
【0027】
貯留チャンバ34は熱分解炉B12で発生した水素含有ガスを貯留するためのタンクであり、貯留チャンバ内の圧力を測定し、圧力信号を制御装置32に送信するための圧力計A60が内部に設置されている。貯留チャンバ34から水素含有ガスを熱分解炉A4に注入するための配管E45と、同じ目的の配管F46が接続されている。配管E45の途中にはバタフライバルブ49があり、バタフライバルブ49にはアクチュエータが取り付けられ制御装置32から通信回線55を介してアクチュエータが制御信号を受信し、熱分解炉A4に注入する水素含有ガスの流量を調節可能になっている。また、配管F46の途中にはバタフライバルブ50があり、バタフライバルブ50にはアクチュエータが取り付けられ制御装置32から通信回線55を介してアクチュエータが制御信号を受信し、別経路で注入する水素含有ガスの流量を調節可能になっている。
【0028】
熱分解炉A4には配管G54の一端が接続され他端はエアタンク48に接続されている。配管G54の途中には、制御装置32から受信した制御信号によりエアタンク48に蓄積させた空気を熱分解炉A4に注入して短時間で燃焼を拡大し熱分解処理の時間を短縮するためのエアタンク用バルブ51が取付けられている。エアタンク48の外側には、エアタンク48に空気を蓄積するための空気吸引用ポンプ58が取付けられている。空気吸引用ポンプ58は制御装置32から受信した制御信号により圧力計B61が示す圧力情報が所望の圧力になるまで空気を外部から取り込んで蓄積する。以上で
図3の説明を終わる。
【0029】
図4は制御装置32のハードウェア構成を示す模式図である。通信回線55としてLANを用いた場合を以下説明する。
CPU71とROM72とRAM73とビデオグラフィックアダプタ(VGA)74とLANアダプタ75とキーボード76とマウス77とHDD78とBD-R/REドライブ79はそれぞれシステムバス70を介して接続されている。
【0030】
なお、これらと各構成要素とシステムバス70との間にインタフェース部が存在する場合があるが図では省略されている。CPU71は制御装置32の全体の制御を司り、具体的には起動時にはROM72から起動プログラム(ブートローダ)を読み込んでハードウェアのチェック及び初期化を行い、その後HDD78からシステムプログラムを読み出してRAM73にロードし、オペレーティングシステム(OS)を立ち上げる。オペレーティングシステムは例えばWindows(登録商標)、Linux(登録商標)などいずれのOSでも良い。更にCPU71はユーザの操作に応じて各制御プログラムをHDD78からRAM73にロードし、実行する。
【0031】
ROM72は前述のように起動プログラム(Bootプログラム)を記憶しており、RAM73はいわゆるメインメモリとしてオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム及びワークエリアとして使用する。VGA74は液晶ディスプレイ又はCRTに接続して画面表示を行うためのビデオグラフィックアダプタであり、ディスプレイA65が接続されている。LANアダプタ75は無線又はLANケーブル又は外部のネットワークと接続しデータの送受信を行う。具体的にはHDD78に記憶された制御メインプログラムが起動後RAM73に読込まれ、電磁弁A24、電磁弁B25、電磁弁C26、電磁弁D10、電磁弁E13、電磁弁F17の各開閉手段の開/閉を制御する信号を送る。更に制御メインプログラムは窒素投入用バルブ23、冷却水入口バルブ19、冷却水締切バルブ15、水素含有ガス制御用バルブ35、エアフローバルブ47、バタフライバルブ49、バラフライバルブ50、エアタンク用バルブ51の各流量調節手段に開/閉または流量を調節するための制御信号を送る。更に制御メインプログラムは吸引ポンプ56と空気吸引ポンプ58に起動/停止及び回転数を制御する制御信号を送る。更に制御メインプログラムは温度センサA33と温度センサB36と温度センサC37の温度情報と、湿度センサ53からの湿度情報と、圧力計A60と圧力計B61の圧力情報とを、通信回線55経由で30秒間隔で受信して、RAM73のワークエリアに記憶し、これら各センサ又は各圧力計を識別する識別情報と共に受信した温度情報又は湿度情報又は圧力情報これら各情報の受信時刻とを、HDD78の制御パラメータ履歴記憶部38に記憶する。また制御メインプログラムは各電磁弁、各バルブ、各ポンプに送った制御指令(バルブの場合は開度情報を含む)とその送信時刻とをこれら各機器を識別する機器情報と共にRAM73とHDD78の制御パラメータ履歴記憶部38に記憶する。
学習時には制御装置32は、制御パラメータ履歴記憶部38に記憶した制御パラメータ履歴情報を、学習装置39に送信し、学習装置39はHDD88の制御パラメータ履歴記憶部69に記憶する。学習装置39は受信した制御パラメータ履歴情報を
図5のハードディスク88に記憶後、RAM83及びGPU90の内部メモリに記憶し学習処理を実行して最適パラメータを決定し、決定した最適パラメータ情報を制御装置32に送信する。キーボード76及びマウス77はユーザの操作を入力する入力手段として機能する。又HDD78には各種プログラム(オペレーティングシステム、本システムの制御メインプログラム、本発明の
図6乃至
図10に記載のフローチャートを実行する各処理プログラム及びディスプレイA65の画面に表示するためのHTMLの画面のレイアウト情報)やパラメータ履歴記憶部38の制御パラメータ履歴情報を含む各種テーブルや検索履歴情報(検索条件情報及び検索結果の詳細情報)を記憶している。本発明の
図6乃至
図10に記載のフローチャートを実行する各処理プログラムは本システムの制御メインプログラムと協働して、制御メインプログラムが外部の各機器への制御信号の送信を行い、各センサからの制御信号の受信を行いRAM73のワークエリアに記憶後実際の値に換算し、各処理プログラムはこの換算後の値を読取って処理を実行する。
【0031】
【表1】
BD-R/REドライブ79は各種プログラムを記憶したDVDやBD-Rなどの記憶メディアを読み込むためのドライブであり、各種データ類をDVD-RWやBD-RやBD-RE等に書き出すことも可能である。
以下に説明する各フローチャートの実行前に、起動後制御メインプログラムがHDD78からRAM73に読込まれて熱分解プログラム等他のアプリケーションと共に起動する。以上で
図4の説明を終わる。
【0032】
図5は学習装置39のハードウェア構成を示す模式図である。
CPU81とROM82とRAM83とビデオグラフィックアダプタ(VGA)84とLANアダプタ85とキーボード86とマウス87とHDD88とBD-R/REドライブ89はそれぞれシステムバス80を介して接続されている。
なお、これらと各構成要素とシステムバス80との間にインタフェース部が存在する場合があるが図では省略されている。CPU81は制御装置39の全体の制御を司り、具体的には起動時にはROM82から起動プログラム(ブートローダ)を読み込んでハードウェアのチェック及び初期化を行い、その後HDD88からシステムプログラムを読み出してRAM83にロードし、オペレーティングシステム(OS)を立ち上げる。オペレーティングシステムは例えばWindows(登録商標)、Linux(登録商標)などいずれのOSでも良い。更にCPU81はユーザの操作に応じて学習プログラムをHDD88からRAM83にロードし、実行する。
【0033】
ROM82は前述のように起動プログラム(Bootプログラム)を記憶しており、RAM83はいわゆるメインメモリとしてオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム及びワークエリアとして使用する。VGA84はディスプレイB66又はCRTに接続して画面表示を行うためのアダプタであり、LANアダプタ85は無線又はLANケーブルを外部のネットワークと接続し制御装置32との間でデータの送受信を行う。キーボード86及びマウス77はユーザの操作を入力する入力手段として機能する。又HDD88には各種プログラム(オペレーティングシステム、本発明の
図11に記載のフローチャートを実行するアプリケーションプログラム及び学習装置39に接続されたディスプレイB66の画面に表示するためのHTMLの画面のレイアウト情報)や各種テーブルや検索履歴情報(検索条件情報及び検索結果の詳細情報)を記憶している。BD-R/REドライブ89は各種プログラムを記憶したDVDやBD-Rなどの記憶メディアを読み込むためのドライブであり、各種データ類をDVD-RWやBD-RやBD-RE等に書き出すことも可能である。GPU90はCPU81と協働して、学習処理を並列に高速に実行するための処理装置である。制御装置32の制御パラメータ履歴記憶部38から通信回線55と接続されたLANアダプタ85を経由して制御パラメータ履歴情報を受信し、CPU81とGPU90による学習処理実行後に、成果物である最適制御パラメータをHDD88に記憶し、CPU81がLANを介して制御装置32に送信する。以上で
図5の説明を終わる。
【0034】
図6はバイオチャの熱分解の熱源となる高温ガスを生産するための、有機廃棄物1の熱分解処理のフローチャートを示す図である。熱分解処理はバイオチャ製造システムの制御プログラムの一部であり、非稼働時はHDD78に記憶されており、制御装置32のキーボードか76ら起動命令を入力することによりRAM73に読込まれて起動する。以下の説明では各ステップ間での「処理をステップSXXXに進める」との記載は省略する場合がある。
ステップS601からステップS612は制御装置32のCPU71の制御のもとでRAM73に読みだした熱分解処理プログラムを実行する処理である。他方、ステップS621からステップS628は各機器(例えばステップS621では、投入装置A63、ステップS622ではシュレッダ2とコンベア3等々以下の各ステップの説明で明示する)で実行する処理であり、或いは各バルブや各電磁弁に取付けられたアクチュエータが通信回線55を介して制御装置32から受信した制御信号に基づいて各機器で実行する処理であり、又は各センサが通信回線55を介して制御装置32に温度情報又は湿度情報を送信する処理ステップであり、又は各圧力計が圧力情報を、通信回線55を介して制御装置32に送信する処理ステップである。以上は他のフローチャートでも同様(
図7のステップS720以降、
図8のステップS820以降、
図9のステップS920以降、
図10のステップS1020以降の各右側の列のステップも同様)である。
【0034】
まず、オペレータが制御装置32を起動し、HDD78に記憶されている制御アプリケーションをRAM73に読み込み処理を開始する。まず、ステップS621では投入装置A63がシュレッダ2の大型の漏斗状の受け口に有機廃棄物1を投入する。なお、人手により有機廃棄物1を投入することも勿論可能である。次にステップS601では制御装置32がシュレッダ2及びコンベア3にそれぞれ起動信号を送信し処理をステップS602に進める。他方ステップS622では、受信した起動信号によりシュレッダ2が有機廃棄物1の裁断を開始し、ステップS623では、受信した制御信号により起動したコンベア3が細断後の有機廃棄物1を運搬し、熱分解炉A4に裁断した有機廃棄物1を投入する。
【0035】
ステップS602では、制御装置32は温度センサC37が測定した環境温度の温度情報を受信し、湿度センサ53が測定した環境湿度を受信して、それぞれRAM73のワークエリアに記憶し、実際の温度(摂氏)と実際の湿度(相対湿度)に換算してRAM73のワークエリアに記憶後、処理をステップS603に進める。
ステップS603では、制御装置32はダイレクトエアフローバルブ47に開信号を送信し、制御装置32はブロア40に起動信号を送信し、更に制御装置32は点火装置5に点火信号を送信し、する。、更に制御装置32はRAM73のワークエリアに記憶されている圧力計A60の最新の圧力値に応じて、バタフライバルブ49に、1/4開信号乃至1/2開信号の小開信号を送信し、処理をステップS604に進める。ここで「圧力計A60の最新の圧力値に応じて」とは、RAM73のワークエリアに記憶されている圧力計A60の圧力値を読込んで、所定圧力(例えば5気圧以上)の場合にはバタフライバルブ49に小開信号を送信し、所定圧力未満の場合は、熱分解炉B12が生成する水素含有ガスが、吸引ポンプ56の圧力により、水素含有ガス制御用バルブを介して貯留チャンバ34に所定圧力(例えば10気圧)以上に蓄積されるまで、バタフライバルブ49を閉のままにする意味である。また、ここで例えば1/4開信号とは、例えば貯留チャンバ34の標準圧力(通常の運用で維持するする最大圧力の標準値)を20気圧とした場合、排出先の熱分解炉A4の炉内圧力が1.2気圧の場合にバルブ全開時の送出量(例えば毎分240リットル)を1とした場合の比率を意味し、1/4開信号は毎分60リットルを意味する。
他方、ステップS624では、開信号を受信したダイレクトエアフローバルブ47は閉状態から開状態になり、起動信号を受信したブロア40は起動してやや強めの送風を開始し、点火信号を受信した点火装置5は点火して熱分解炉A4内の有機廃棄物1の燃焼を開始すべく点火を開始し、バタフライバルブ49は小開信号を受信した場合は、チャンバ34から、受信した小開信号に応じた量の貯留チャンバ34内の水素含有ガスを熱反応炉A4に注入して燃焼を助ける。
ステップS604では、制御装置32は電磁弁B25に開信号を、電磁弁A24と電磁弁C26の両方に閉信号をそれぞれ送信し、処理をステップS605に進める。他方、ステップS625では、開信号を受信した電磁弁B25は閉状態から開状態になり、実質的に同じタイミング閉信号を受信した電磁弁A24と電磁弁C26は両方とも閉状態になる。その結果、初期燃焼状態の排気ガスは、サイクロン27、排煙脱硫装置28、湿式スクラバー29、乾式スクラバー30と煙突31を通って排出される。制御装置32は、
ステップS605では、ステップS602で取得してRAM73のワークエリアに記憶した換算後の環境温度と環境湿度を用いて、更にステップS604で水素含有ガス制御用バルブ35に開信号を送信した場合には、圧力計A60の圧力値も加味して、初期加熱に必要な所定時間を計算し、制御パラメータ履歴記憶部の点火装置5の点火開始時刻からこの所定時間が経過しているかを判定し、経過していないと判定した場合(ステップS605でNo)、この所定時間経過迄同じ状態を維持し、所定時間を経過したと判定した場合(ステップS605でYes)は、処理をステップS606に進める。初期加熱に必要な「所定時間」は環境温度が低いほど長く、環境湿度が高いほど長くなり、また、圧力計A60の圧力値が高い場合は、初期加熱段階で多めに水素含有ガスを放出するため短くなる。この所定時間経過後は、多くの場合有機廃棄物1が安定的に燃焼し続ける状態になる。
【0036】
ステップS606では、制御装置32は点火装置5に消火信号を送信し、更にブロア40の送風をやや強い風から中程度の風に変更する制御信号をブロア40に送信し、処理をステップS607に進める。他方、ステップS626では、点火装置5は受信した消火信号により消火し、ブロア40は送風が中程度の風に変更される。
ステップS607では、制御装置32は電磁弁B25に閉信号を、電磁弁A24と電磁弁C26の両方に開信号を、それぞれ送信し、更にバタフライバルブ49に小開信号(1/8開信号乃至1/4開信号)を送信し、処理をステップS608に進める。圧力計A60の最新の圧力値による制約はステップS603と同様である。他方、ステップS627では、閉信号を受信した電磁弁B25は開状態から閉状態になり、実質的に同じタイミング開信号を受信した電磁弁A24と電磁弁C26は両方とも開状態になる。この結果熱分解炉A4で生じた高温ガスは配管A42から熱交換機6に導入され、熱分解炉B12の温度が上昇を始める。ステップS627では、熱分解炉A4及び熱分解炉B12の両方で熱分解処理がそれぞれ進行する。ステップS608では、制御装置32はステップS629熱分解炉B12に取付けられている温度センサA33の温度を温度センサA33から受信した温度信号が変換されてRAM73のワークエリアに記憶されている最新の温度センサA33の換算後の温度を読取り、そこから推定される熱分解炉B12の炉内温度と、RAM73のワークエリアに記憶されている最新の圧力計A60の圧力値(貯留チャンバ34の圧力値)に応じてバタフライバルブ49及びバタフライバルブ50の開度を調整するための制御信号をバタフライバルブ49及びバタフライバルブ50に送信する。具体的には標準運転温度を下回った場合は、開度はより開いて熱分解炉B12の炉内温度を上昇させようとし、標準運転温度を上回った場合は、開度はより閉じて熱分解炉B12の炉内温度を下降させようとする。ステップS630では、この調整により熱分解炉B12の炉内温度も安定し、配管D及び水素含有ガス制御用バルブ35を通って貯留チャンバ34に貯留する水素含有ガスの流量も安定する。
ただし、貯留チャンバ34の圧力が所定圧力値以下(例えば5気圧)に低下した場合は、知投入装置A63から新しい有機廃棄物1を投入し、処理をステップS601に戻す例外処理を実行する。人手により有機廃棄物1を行う場合は、制御装置32のディスプレイ65の画面に新たに有機廃棄物1を投入するよう促すメッセージと警報音を鳴らし人手による投入を促し、処理をステップS609に進める。ステップS609では、温度センサA33の換算後の温度を用いて熱分解炉B12の炉内温度が運転最低温度未満であるかを判定し、運転最低温度未満であると判定した場合は、処理をステップS610に進め熱分解炉B12の昇温処理を実行後ステップS608に戻す。熱分解炉B12の昇温処理の詳細は
図9のフローチャートで説明する。ステップS609で運転最低温度未満ではないと判定した場合は、処理をステップS611に進め、熱分解炉B12の炉内温度が運転最高温度を超えているかを判定する。運転最高温度を超えていない場合は処理をステップS608に戻し、運転最高温度を超えている場合は処理をステップS612の熱分解炉B12の降温処理に進める。熱分解炉B12の降温処理の詳細は
図10のフローチャートで説明する。以上で
図6の説明を終わる。
【0037】
図7はバイオチャの原料となるバイオマスの熱分解処理と一次排出のフローチャートを示す図である。以下の説明では各ステップ間での「処理をステップSXXXに進める」との記載は省略する場合がある。
ステップS701からステップS712は制御装置32のCPU71の制御のもとで実行する処理である。他方、ステップS720からステップS733は各機器(ステップS720では、投入装置B64、ステップS721ではシュレッダ乾燥装置11等々以下の各ステップの説明で明示する)又は各機器に取付けられたアクチュエータが通信回線55を介して制御装置32から受信した制御信号に基づいて実行する処理である。又は各センサが通信回線55を介して制御装置32に温度情報又は湿度情報を所定の時間間隔で送信する処理ステップであり、又は各圧力計が圧力情報を所定の時間間隔で制御装置32に送信する処理ステップである。
【0038】
まず、オペレータの操作により、
図7に示すバイオマスの熱分解処理と一次排出処理用プログラムを起動し、HDD78記憶されているこのアプリケーションをRAM73に読み込み処理を開始する。まず、ステップS720では投入装置B64がシュレッダ乾燥装置11の大型の漏斗状の受け口にバイオマス資源8を投入する。なお、人手によりバイオマス資源8を投入することも勿論可能である。次にステップS700では制御装置32が温度センサC37と湿度センサ53から取得してRAM83のワークエリアに記憶している換算後の環境温度値と環境湿度値を取得してプログラムの変数エリアに保存して処理をステップS701に進める。ステップS701では制御装置32がシュレッダ乾燥装置11に起動信号を送信し処理をステップS702に進める。他方ステップS721では、受信した起動信号によりシュレッダ乾燥装置11がバイオマス資源8の裁断と乾燥を開始する。他方ステップS702では制御装置32が窒素製造機22に起動信号を送信し、処理をステップS703に進める。ステップS722では、窒素製造機22が起動し、空気を取り入れて窒素の製造を開始し、製造した窒素を窒素製造機22内の不図示のタンクに蓄積する。
【0039】
ステップS703では、ステップS700で取得した環境温度値と環境湿度値による乾燥完了の推定時刻の経過後コンベア9の起動信号を送信し、処理をステップS704に進める。ステップS723では、コンベア9が起動信号し、シュレッダ乾燥装置11から裁断・乾燥されたバイオマス資源8を熱分解炉B12への投入口である電磁弁D10まで運搬する。ステップS704では、制御装置32が電磁弁D10の開信号を送信し、処理をステップS705に進める。ステップS724では、受信した開信号により電磁弁D10が開き、熱分解炉A4にバイオマス資源8が重力により投入される。ステップS705では、制御装置32が窒素製造機22に窒素投入用バルブ23の開信号を送信し、処理をステップS706に進める。
ステップS725では、窒素製造機22の窒素投入用バルブ23が受信した開信号によって開となり、製造された窒素が熱分解炉B12内に注入され、元々あった空気が電磁弁D10等を通って排出される。ステップS706では、制御装置32が電磁弁D10の閉信号を送信し、処理をステップS707に進める。ステップS726では、受信した閉信号により電磁弁D10が閉じ、ステップS727では、熱交換機6から伝搬した熱により熱分解炉B12の温度が350℃乃至450℃程度に昇温し、バイオマス資源8が実質的に無酸素状態で熱分解処理される。次にステップS707では、制御装置32がRAM73のワークエリアに記憶されている換算後の環境温度と環境湿度、温度センサA33から送信された熱分解炉B12の温度を用いて算出される熱分解処理時間が経過したかを判定し、経過したと判定した場合は、処理をステップS708に進める。経過していないと判定した場合は、処理をステップS707のまま経過するまで待機する。
【0040】
次にステップS708では、制御装置32がバイオチャ冷却装置16のバイオチャの出口となる電磁弁F17を閉じるための閉信号を送信し、処理をステップS709に進める。他方、ステップS728で電磁弁F17が閉じられ、ステップS729で温度センサA33の温度情報が制御装置32に送信される。次にステップS709では、制御装置32が受信した温度情報に基づき熱分解炉B12温度の温度を算出し、処理をS710に進める。ステップS710では、制御装置32が電磁弁E13の開信号を送信し、処理をステップS711に進める。他方、ステップS730で開信号を受信した電磁弁E13が開き、ステップS731では重力でバイオチャが冷却装置16に落下する。ステップS711では、制御装置32が窒素投入用バルブ23の閉信号を送信し、処理をステップS712に進める。ステップS712では、制御装置32が電磁弁E13の閉信号を送信する。他方、ステップS732では窒素投入用バルブ23が閉じられ、ステップS733では電磁弁E13が閉じられ、バイオチャ製造及び一次排出処理が完了する。以上で
図7の説明を終わる。
【0041】
図8はバイオチャの冷却処理、二次排出のフローチャートを示す図である。以下の説明では各ステップ間での「処理をステップSXXXに進める」との記載は省略する場合がある。
ステップS801からステップS811は制御装置32のCPU81の制御のもとで実行する処理である。他方、ステップS820からステップS831は各機器(ステップS820では、冷却水温度センサB36、ステップS821では冷却水締切バルブ15等々以下の各ステップの説明で明示する)又は各機器に取付けられたアクチュエータが通信回線55を介して制御装置32から受信した制御信号に基づいて実行する処理である。又は各センサが通信回線55を介して制御装置32に温度情報又は湿度情報を所定の時間間隔で送信する処理ステップであり、又は各圧力計が圧力情報を所定の時間間隔で制御装置32に送信する処理ステップである。
【0042】
まず、ステップS820では、冷却水温度センサB36が制御装置32に温度情報を送信する。ステップS801では、制御装置32が温度情報を受信してRAM73のワークエリアに記憶し、処理をステップS802に進める。ステップS802では、制御装置32は冷却水締切バルブ15(冷却器の水の出口側のバルブ)の開情報を送信し、処理をステップS803に進める。ステップS821では、冷却水締切バルブ15が開き、ステップS822で残っていた冷却水を排出する。ステップS803では、制御装置32は水を排出できる時間の経過後冷却水締切バルブ15の閉信号を送信し、次いでステップS804で冷却水入口バルブ19の開信号を送信し、処理をステップS805に進め、ステップS805で冷却水の充填に必要な時間の待機後、処理をステップS806に進める。他方、ステップS823で冷却水締切バルブ15が閉じ、ステップS824で冷却水入口バルブ19が開き、ステップS825で新しい冷却水が冷却装置16に充填される。ステップS806では、制御装置32は冷却水入口バルブ19の閉信号を送信し、処理をステップS807に進める。ステップS826で閉信号を受信した冷却水入口バルブ19が閉じて、ステップS827でバイオチャの冷却処理が進む。ステップS828で冷却水温度センサB36の温度情報を制御装置32に送信する。
【0042】
ステップS807では、制御装置32はステップS801における冷却水温度(冷却装置16の温度に概ね等しい)、RAM73のワークエリアに記憶されている最新の温度センサA33の温度、冷却装置16の冷却能力によって決まる冷却時間が経過したかを判定し、冷却時間が経過したかを判定し、経過したと判定した場合は、処理をステップS808に進める。経過していないと判定した場合は、処理をステップS807のまま冷却時間が経過するまで待機する。ステップS808では、制御装置32は冷却装置の温度を計測する温度センサB36の最新情報をRAM73のワークエリアから取得し、ステップS809で冷却装置の温度に基づいて、冷却終了の可否が判定され、冷却終了不可の場合はステップS802に戻って冷却水を入替えて冷却処理のやり直しをする。冷却終了可の場合はステップS810に処理を進める。ステップS810では、制御装置32は電磁弁F17の開信号を送信し、ステップS829では開信号に基づいてバイオチャの取出用の電磁弁F17が開き、ステップS830バイオチャ取出用の機械又は人手でバイオチャを取出し処理を終える。以上で
図8の説明を終わる。
【0043】
次に
図9は熱分解炉B12の昇温処理のフローチャートであり、
図6のステップS610の詳細フローチャートである。以下
図6の処理と同一のステップは説明を省略する。また、以下の説明では各ステップ間での「処理をステップSXXXに進める」との記載は省略する場合がある。
ステップS900からステップS904は燃料としての新たな有機廃棄物1を追加して燃焼させて水素含有ガスの量を増やして熱分解炉B12の温度を上昇させる処理である。ステップS920は
図6のステップS621と同様なので説明を省略する。
ステップS900は
図6のステップS602と同様なので説明を省略する。
ステップS901とステップS902は、
図6のステップS601に該当するので説明を省略する。ステップS920は有機廃棄物1をシュレッダ2の投入口に投入する処理であり、
図6のステップS621に該当する。ステップS921は
図6のステップS622に該当し、ステップS922は、コンベア3が起動し熱分解炉A4に有機廃棄物1を投入する処理であり
図6のステップS622の後半とステップS623に該当する。
ステップS903は
図6のステップS603と同様であるが、ブロア40の風力を強にする制御信号をブロア40に送信する点が異なる。ステップS923ではブロア40の風力が強に変更される。ステップS904では、制御装置32からシュレッダ2の停止信号とコンベア3の停止信号が送信され、処理をステップS905に進める。ステップS924ではシュレッダ2とコンベア3が停止する。ステップS925では温度センサA33の温度情報が制御装置32に送信される。ステップS905では温度センサA33の温度情報が熱分解炉A4の実際の摂氏温度に変換されてRAM73のワークエリアに記憶され、
図6のステップS609と同様に熱分解炉B12の温度が運転最低温度未満であるかを判定し、運転最低温度未満の場合は処理をステップS906に進め、運転最低温度未満でない場合は待機する。
【0044】
ステップS906ではバタフライバルブ49又はバタフライバルブ50の少なくとも1つを開にする開信号を送信し、ステップS927でバタフライバルブ49又はバタフライバルブ50の少なくとも1つを開にすることにより、貯留チャンバ34に貯留してある水素含有ガスを熱分解炉A4に導入してその火勢を強くし、処理をステップS907に進める。ステップS907はエアタンク用バルブ51の開信号を送信して、ステップS927でエアタンク用バルブ51を開に開信号を送信し、ステップすることで熱分解炉A4の火勢を強くする処理であり、処理をステップS908に進める。ステップS928では温度センサA33の温度情報が制御装置32に送信される。
ステップS908はステップS905と同様に熱分解炉B12の温度が運転最低温度未満であるかを判定し、運転最低温度未満の場合は処理をステップS909に進め、運転最低温度未満でない場合は待機する。ステップS909では、最後の昇温手段として、通常は運転立上げ時に用いる点火装置5の点火信号を送信し、ステップS929では、点火装置5が点火して加熱を開始し、ステップS930では温度センサA33の温度情報が再度制御装置32に送信され、ステップS910では、制御装置32は熱分解炉B12の温度が運転標準温度1を超えているかを判定し、運転標準温度1を超えている場合は処理をステップS911に進め、運転標準1温度を超えていない場合は処理を終了する。運転標準温度1とは、通常の運転時における熱分解炉B12の想定される温度範囲の中央値を意味し、例えば摂氏500前後を意味する。ステップS911では、制御装置32は点火装置5に消火信号を送信し、エアタンク用バルブ51に閉信号を送信し、バタフライバルブ49に閉信号を送信し、ブロア40に風量弱の各制御信号を送信する。ステップS931では、受信したそれぞれの制御信号に基づき点火装置5は消火し、エアタンク用バルブ51は閉となり、バタフライバルブ49は閉となり、ブロア40の風量が弱に変更され、処理を終了する。以上で
図9の説明を終わる。
【0045】
図10は熱分解炉B12の降温処理プログラムのフローチャートを示す図であり、
図6のステップS612の詳細フローチャートである。有機廃棄物1の品質は一定していないため、熱分解炉A4の有機廃棄物1の燃焼後の高温ガスが想定以上の高温になることがありうる。その場合、熱交換機6から熱分解炉B12に伝わる熱量が増加して、温度センサA33により計測される熱分解炉B12の炉内温度が想定以上になる場合がある。このような場合に熱エネルギーを極力無駄にしないで、より頻繁に発生しうる熱分解炉B12の昇温処理に活用するための処理プログラムが降温処理プログラムである。以下の説明では各ステップ間での「処理をステップSXXXに進める」との記載は省略する場合がある。なお、XXXはアラビア数字である。
【0046】
まず、ステップS1000では制御装置32は、湿度センサ53から受信して実際の相対湿度に換算後RAM73のワークエリアに保存している環境湿度と、温度センサC37から受信して実際の摂氏温度換算後RAM73のワークエリアに保存している環境温度とを、それぞれ変数領域に保存する。ステップS1001では制御装置32が、バタフライバルブ49及びバタフライバルブ50に閉信号を送信する。ステップS1021では貯留チャンバ34から熱分解炉A4に水素含有ガスを供給するバタフライバルブ49及びバタフライバルブ50が両方閉となり、熱分解炉A4に水素含有ガスが供給されなくなる。ステップS1002では制御装置32が、ブロア40の風量を弱にする制御信号を送信し、ステップS1022ではブロア40の風量が弱に変更される。ステップS1003では制御装置32が、エアタンク用バルブ51を閉にする閉信号を送信し、ステップS1023ではエアタンク用バルブ51が閉になる。ステップS1004では制御装置32がコンベア3の停止信号を送信し、ステップS1024ではコンベア3が停止する。ステップS1025では温度センサA33の温度情報が制御装置32に送信され、制御装置32は温度センサA33から受信した温度情報を実際の摂氏温度に換算後RAM73のワークエリアに最新の熱分解炉B12の温度として保存する。ステップS1005では、制御装置32がRAM73のワークエリアの最新の熱分解炉B12の温度が運転最高温度(例えば430℃)を超えているかを判定し、運転最高温度を超えている場合は処理をステップS1006に進め、運転最高温度を超えていない場合は処理を終了する。運転最高温度とは製造されるバイオチャの品質に悪影響がなく、かつ熱反応炉B12や温度センサA33等の寿命に悪影響を与えない最高温度から20℃程度低い温度を意味する。ステップS1006では制御装置32が電磁弁B25に開信号を送信し、ステップS1026では電磁弁B25が開となる。ステップS1007では制御装置32が電磁弁A24と電磁弁C26に閉信号を送信し、ステップS1027では電磁弁A24と電磁弁C26が閉となり、有機廃棄物1の燃焼後の高温ガスが直接サイクロン27から排煙脱硫装置28等を経て煙突31から排出される。ステップS1028では、ステップS1025と同様にRAM73のワークエリアに最新の熱分解炉B12の温度が保存される。ステップS1008では、制御装置32がRAM73のワークエリアの最新の熱分解炉B12の温度が運転標準温度(例えば410℃)を超えているかを判定し、運転標準温度を超えている場合は所定時間待機し、運転標準温度を超えていない場合は処理をステップS1009に進める。ステップS1009では制御装置32はバタフライバルブ49に1/4開信号(全開の1/6から1/8程度の開度で全開の1/4量程度の量の水素含有ガスを供給する角度)送信し、処理を直ちにステップS1010に進める。バタフライバルブ49に半開信号を送信するのではなく、バタフライバルブ50に送信しても良い。ステップS1029では、バタフライバルブ49が1/4開となり、熱分解炉A4に再び水素含有ガスが提供される。ステップS1030では、ステップS1025と同様に温度センサA33の温度情報が制御装置32に送信され、制御装置32は温度センサA33から受信した温度情報を実際の摂氏温度に換算後RAM73のワークエリアに最新の熱分解炉B12の温度として保存する。ステップS1010では、制御装置32がRAM73のワークエリアの最新の熱分解炉B12の温度が運転最高温度を超えているかを再び判定し、運転最高温度を超えている場合はバタフライバルブ49に閉信号を送信して所定時間待機しバタフライバルブ49は全閉となる。ステップS1010で運転最高温度を超えていない場合は処理を直ちにステップS1011に進める。ステップS1011では、制御装置32は電磁弁B25に閉信号を送信し、電磁弁A24に開信号を送信し、電磁弁C26に開信号を送信し、エアタンク用バルブ51に閉信号を送信する。ステップS1031では、電磁弁B25が閉となり、電磁弁A24と電磁弁C26が両方開となり、エアタンク用バルブ51が閉になり、通常の運転状態に復帰する。以上で
図10の説明を終わる。
【0047】
図11は学習装置39における学習処理の詳細処理のフローチャートを示す図である。
以下の説明では各ステップ間での「処理をステップSXXXに進める」との記載は省略する場合がある。
ステップS1101からステップS1106は学習装置39のCPU81の制御のもとで実行する処理である。ステップS1121は制御装置32のCPU71の制御のもとで実行する処理である。ステップS1121では、制御装置32が制御パラメータ履歴情報を送信し、ステップS1101では、学習装置39は制御装置32から制御パラメータ履歴情報を受信し、
図5のハードディスク88の制御パラメータ履歴記憶部69に記憶する。ステップS1102乃至ステップS1103では、RAM83に読み込み、制御パラメータ履歴情報から学習用データを生成して
図5のハードディスク88の学習データ記憶部67に記憶する。具体的には、ステップS1102では、制御パラメータ履歴情報の点火加熱装置の点火から消火までの時間が所定時間を超える場合、又は電磁弁A24の開時刻から電磁弁D10の開時刻迄の時間が所定時間を超える場合は、その処理サイクルの負例の学習データのフラグがオンになる。ステップS1103では、ステップS1102の分析結果に基づいて学習処理を実行する。
ステップS1104では、学習終了判定処理を実行する。
【0048】
具体的には、第一の簡易的な方法として、実際の制御パラメータ履歴情報と学習後の最適パラメータを2つの点で比較して学習終了を判定する。第1は学習前の過去の運用時の1サイクルのバイオチャ製造プロセスの実行時間と、同じ又は類似の環境温度・環境湿度条件と同じバイオマス資源8の投入量での学習後の1サイクルのバイオチャ製造プロセスの実行時間の比較である。第2は学習前の過去の運用時の1サイクルの有機廃棄物1の投入量及び点火装置5の点火時間と、同じ又は類似の環境温度・環境湿度条件と同じバイオマス資源8の投入量での学習後の1サイクルの有機廃棄物1の投入量及び点火装置5の加熱時間との比較である。例えばこれらの比較数値が学習前と比べて処理時間が30%程度短縮する、又は1サイクルの有機廃棄物1の投入量及び点火装置5の点火時間が20%程度削減できると見込める場合には学習を終了する。なお、学習プロセスを複数回繰り返した結果前回のパラメータよりも判定結果が悪くなった場合は、過学習(オーバーフィッティング)が発生したと判定し、1つ前のパラメータを最適パラメータとする。学習終了可と判定した場合は処理をステップS1105に進め、学習終了不可と判定した場合は処理をステップS1103に戻す。
ステップS1105では、作成した最適パラメータをハードディスク88の最適パラメータ記憶部69に記憶する。
ステップS1106では、通信回線55を介して、作成した最適パラメータを制御装置32に送信する。ステップS1122では、制御装置32は受信した最適パラメータをHDD78の最適パラメータ記憶部52に記憶する。
【0049】
第二の方法として、以下を実行することが可能である。
図12にパラメータ最適化処理のフローチャートを示す。ステップS1221乃至ステップS1223は学習装置39のCPU81の制御のもとに実行される処理であり、ステップS1221は制御装置32のCPU71の制御のもとに実行される処理である。
ステップS1221では制御装置32の制御パラメータ履歴記憶部38から通信回線55を介して制御パラメータ履歴情報が学習装置39に送信され、学習装置39は受信した制御パラメータ履歴情報を学習データ記憶部67に記憶する。
ステップ1201では学習データ記憶部67から実際の制御パラメータ履歴情報を読出して、処理サイクル毎の有機廃棄物資源1の燃料としての品質クラスを5段階に分類する。有機廃棄物資源1の燃料としての品質を分類する目的は、有機廃棄物資源1の品質は各処理サイクル毎に異なることが予想されるため、有機廃棄物資源1の品質クラスと貯留チャンバ34に貯留した水素含有ガスの量に応じた最適パラメータを決定する必要がある。
具体的には、以下の方法で分類を決定する。
1)有機廃棄物資源1の投入重量
有機廃棄物資源1の投入重量が多いほど、有機廃棄物1を品質熱分解ガス化して燃焼したことによる熱量の発生が増える
2)圧力計A60の圧力の時間的推移とバタフライバルブ49及びバタフライバルブ50のバルブ開度から計算した貯留チャンバ34からの水素含有ガスの放出量
水素含有ガスの放出量が多いほど熱量の発生が増える。熱分解炉A4での発生熱量が増えるが、
3)熱分解炉B12の温度センサA33の温度の時間的推移
温度の立ち上がりが早く、処理プロセス中の温度が高温側を維持している割合が多いか少ないか
4)環境温度を計測する温度センサC37の温度の時間的推移
環境温度が低いほど、熱分解炉B12から環境への放熱量が増え不利な要素となる
5)環境湿度を計測する湿度センサ53の湿度の時間的推移
環境湿度が高いほど投入する有機廃棄物資源1の水分含有量が高くなることが予想され、水分含有量が多いほど、熱分解炉A4で発生した総熱量のうち、水分の気化の潜熱で奪われる熱量が増えて不利な要因となる
上記1)2)4)5)の条件と上記3)の処理サイクル開始からの熱分解炉B12の温度の立上りから、過去の処理サイクル毎の有機廃棄物資源1の燃料としての品質クラス毎の投入重量別環境温度別環境湿度別の立上りの平均温度上昇率の上限と下限を決定して学習装置39のハードディスク88に記憶する。
【0050】
ステップ1202では処理プロセス開始時の貯留チャンバ34に貯留した水素含有ガスの量に応じた水素含有ガスの供給量の最適パラメータの決定
1) 処理プロセス開始時の貯留チャンバ34に貯留した水素含有ガスの量が少ない場合は、有機廃棄物資源1の投入重量を最大投入可能量まで多くして、有機廃棄物資源1を熱分解ガス化して燃焼させて高温ガスを発生させて、熱分解炉B12の温度を早く立ち上げ、貯留チャンバ34に貯留する水素含有ガスの量多くする必要がある。全体の処理時間はやや長くなる。
2) 処理プロセス開始時の貯留チャンバ34に貯留した水素含有ガスの量が多い場合は、有機廃棄物資源1の投入重量は、熱分解炉B12に投入するバイオマス資源8の乾燥重量に見合った量で良く、貯留チャンバ34に貯留した水素含有ガスを多めに投入して、熱分解炉B12の温度を早く立ち上げ、全体の処理時間を短縮することが可能になる。
3) 処理プロセス開始時の貯留チャンバ34に貯留した水素含有ガスの量が中程度の場合は、有機廃棄物資源1の投入重量は、熱分解炉B12に投入するバイオマス資源8の乾燥重量に見合った量で良く、貯留チャンバ34に貯留した水素含有ガスを処理サイクルの投入タイミングの開始時点から少しの間は多めに投入して、その後はやや減らすことで、熱分解炉B12の温度を早く立ち上げ、全体の処理時間を短縮し、かつ水素含有ガスの放出量を抑制することが可能になる。
4) 制御パラメータ履歴情報から吸引ポンプ57の起動/停止時刻及びポンプ回転数の推移を読みだして、処理サイクル毎の水素含有ガスの合計蓄積量と熱分解炉B12の温度に応じた処理サイクル開始からの経過時間に応じた単位時間当たりの水素含有ガスの蓄積量を集計する。
【0051】
ステップ1203ではステップ1とステップ2からの最適パラメータを決定する。
上記ステップ1とステップ2の結果から全体の最適パラメータを決定する。ステップ2で決定された処理サイクル開始時の水素含有ガスの蓄積量と熱分解炉B12の温度に応じた処理サイクル開始からの経過時間に応じた単位時間当たりの水素含有ガスの蓄積量に基づいて、品質クラス別処理サイクル開始時の水素含有ガス蓄積量別の、処理サイクル開始時からの経過時間別の水素含有ガスの供給可能量を算出して、学習装置39のハードディスク88に記憶する。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、有機質バイオマス原料を炭化処理することによりバイオチャを製造する環境に優しくゴミを削減可能なバイオチャ製造システムとして有用である。
【符号の説明】
【0053】
符号の説明
1 投入する有機廃棄物(都市ゴミ)
2 シュレッダ
3 (有機廃棄物用)コンベア
4 熱分解炉A
5 点火装置
6 熱交換機
7 熱分解炉Aで発生する水素含有ガス
8 バイオマス資源
9 (バイオマス資源用)コンベア
10 電磁弁D
11 シュレッダ乾燥装置
12 熱分解炉B
13 電磁弁E
14 冷却水出口
15 締切バルブ
16 冷却装置
17 電磁弁F
18 排出されたバイオチャ
19 入口バルブ
20 冷却水
21 空気
22 窒素製造機
23 窒素投入バルブ
24 電磁弁B
25 電磁弁A
26 電磁弁C
27 遠心式集塵装置(サイクロン)
28 排煙脱硫装置
29 湿式スクラバー
30 乾式スクラバー
31 煙突
32 制御装置
33 温度センサA(熱分解炉B)
34 貯留チャンバ
35 水素含有ガス制御用バルブ
36 冷却水温度センサB
37 温度センサC(環境温度)
38 制御パラメータ履歴記憶部
39 学習装置
40 ブロア
41 配管A
42 配管B
43 配管C
44 配管D
45 配管E
46 配管F
47 エアフローバルブ
48 エアタンク
49 バタフライバルブA
50 バタフライバルブB
51 エアタンク用バルブ(配管H59の途中)
52 最適パラメータ記憶部
53 湿度センサ
54 配管G(ブロア40と熱分解炉A4)
55 通信回線
56 吸引ポンプ(水素含有ガス用)
58 空気吸引ポンプ(エアタンク48用)
59 配管H(熱分解炉A4とエアタンク間)
60 圧力計A(貯留チャンバ34内の圧力測定用)
61 圧力計B(エアタンク48内の圧力測定用)
62 制御判定部
63 投入装置A(有機廃棄物1投入用)
64 投入装置B(バイオマス資源8投入用)
65 ディスプレイA(制御装置32用)
66 ディスプレイB(学習装置39用)
67 学習データ記憶部(学習装置39内)
68 学習処理部(学習装置39内)
69 最適パラメータ記憶部(学習装置39内)
70 システムバス
71 CPU
72 ROM
73 RAM
74 VGA
75 LANアダプタ
76 キーボード
77 マウス
78 HDD
79 BD-R/REドライブ
80 システムバス
81 CPU
82 ROM
83 RAM
84 VGA
85 LANアダプタ
86 キーボード
87 マウス
88 HDD
89 BD-R/REドライブ
90 GPU