(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231110BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20231110BHJP
H05B 47/00 20200101ALI20231110BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20231110BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231110BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20231110BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20231110BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20231110BHJP
【FI】
F21S2/00 311
F21V23/00 140
H05B47/00
F21Y101:00 100
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:20
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2019073889
(22)【出願日】2019-04-09
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】阪口 知久
(72)【発明者】
【氏名】荒木 要介
(72)【発明者】
【氏名】高田 和政
【審査官】的場 眞夢
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-027224(JP,A)
【文献】特開昭63-183432(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0092623(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 23/00
H05B 47/00
F21Y 101/00
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/20
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
前記光源から出射する光が入射する入射面を備えた照射パターン形成部と、
前記照射パターン形成部を透過した光を照射面に結像するための結像部と、
前記入射面に入射する光の前記入射面内における相対的な強度分布を時間的に変調させる変調部と、を備え、
前記光源は、発光ダイオード、半導体レーザ素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び無機エレクトロルミネッセンス素子のうちのいずれかの固体発光素子から選択され、
前記変調部が、前記複数の光源の出力を時間的に変化させることで前記強度分布を時間的に変調させ、
前記複数の光源は、同一の基板に実装され、
一体の前記照射パターン形成部と、前記照射パターン形成部に形成された複数の絵柄部と、を備え、
前記基板と、前記照射パターン形成部とが、一体に統合され、
前記基板と前記照射パターン形成部との間に設置されたプライマリレンズを備え、
前記プライマリレンズは、前記複数の光源の数と同一の数であると共に前記複数の絵柄部の数とも同一の数である導光部を有し、
前記複数の光源は、複数の前記導光部に一対一に対応し、
前記複数の導光部は、前記複数の絵柄部に一対一に対応し、
前記導光部は、透明材料で構成され、前記光源の光出射側に配置される光入射面と、前記光入射面とは反対側の端部に配設される光出射面とを含む、発光装置
【請求項2】
前記変調部は、2以上の前記光源が、同時に点灯するタイミングが存在するように、前記複数の光源の点灯制御を行う、請求項
1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記変調部が、いずれかの前記光源を点灯させてから消灯させるまでに別の前記光源を点灯させ、先に点灯させた前記光源を消灯させた後に、前記別の光源を消灯させる動作を、連続的に複数回繰り返す制御を実行する、請求項
2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の光源から出射される光の出力が略一定である、請求項
1乃至
3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項5】
いずれかの前記光源を点灯させてから所定時間の経過後に別の光源を点灯させる制御を行い、前記所定時間が変化する、請求項
1乃至
4のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項6】
1以上の光源と、
前記光源から出射する光が入射する入射面を備えた照射パターン形成部と、
前記照射パターン形成部を透過した光を照射面に結像するための結像部と、
前記入射面に入射する光の前記入射面内における相対的な強度分布を時間的に変調させる変調部と、を備え、
複数の前記光源を備え、
前記変調部が、前記複数の光源の出力を時間的に変化させることで前記強度分布を時間的に変調させ、
前記変調部が、いずれかの前記光源を点灯させてから所定時間の経過後に別の光源を点灯させる制御を行い、
Nが4以上の自然数であって前記複数の光源の数を表し、MがNよりも2以上小さい2以上の自然数であるとき、前記別の光源は、前記複数の光源のうちで先に点灯している前記いずれかの光源の中心位置に対する中心位置の変位量が小さい方からM個の前記光源のうちから選択的に決定される、発光装置。
【請求項7】
複数の光源と、
前記光源から出射する光が入射する入射面を備えた照射パターン形成部と、
前記照射パターン形成部を透過した光を照射面に結像するための結像部と、
前記入射面に入射する光の前記入射面内における相対的な強度分布を時間的に変調させる変調部と、を備え、
前記光源は、発光ダイオード、半導体レーザ素子、有機エレクトロルミネッセンス素子、及び無機エレクトロルミネッセンス素子のうちのいずれかの固体発光素子から選択され、
前記変調部が、前記複数の光源の出力を時間的に変化させることで前記強度分布を時間的に変調させ、
前記複数の光源は、1以上の第1光源と、2以上の第2光源を含み、
前記変調部は、前記第1光源を一定出力で継続的に点灯させる一方、前記第2光源を出力が変動するように点灯させる
、発光装置。
【請求項8】
1以上の光源と、
前記光源から出射する光が入射する入射面を備えた照射パターン形成部と、
前記照射パターン形成部を透過した光を照射面に結像するための結像部と、
前記入射面に入射する光の前記入射面内における相対的な強度分布を時間的に変調させる変調部と、を備え、
複数の前記光源を備え、
前記変調部が、前記複数の光源の出力を時間的に変化させることで前記強度分布を時間的に変調させ、
前記複数の光源は、2以上の第1光源で構成される第1光源群と、2以上の第2光源で構成される第2光源群とを含み、
前記変調部が前記第1光源群に含まれる前記2以上の第1光源を点灯制御する第1モードと、前記変調部が前記第2光源群に含まれる前記2以上の第2光源を点灯制御する第2モードとを選択的に実現できる、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光を出射する発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動画を投影する場合、プロジェクタが用いられる。例えば、特許文献1に記載のプロジェクタにおいては、ランプ光源から発射された照明光を、ダイクロイックミラーを介して、赤色光、緑色光、青色光の各色光に分離した後、分離した色光を色光毎に液晶パネル面上に集光させ、各色光を、各色の映像情報に基づいて変調する。そして、変調した各色光を、ダイクロイックプリズム及び投射レンズを介して色合成した後、投影する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プロジェクタは、動画を投影できる反面、高価な素子や高価な光学部材を搭載しなければならず、製造コストが高い。また、コンテンツの入力機能を必要とし、煩雑な設定操作も必要となる。
【0005】
そこで、本開示の課題は、コンテンツの入力機能や煩雑な設定操作の必要がなく、費用もかけずに動作を再生できる発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示に係る発光装置は、1以上の光源と、光源から出射する光が入射する入射面を備えた照射パターン形成部と、照射パターン形成部を透過した光を照射面に結像するための結像部と、入射面に入射する光の入射面内における相対的な強度分布を時間的に変調させる変調部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る発光装置によれば、変調部が、入射面に入射する光の入射面内における相対的な強度分布を時間的に変調させることができ、この変調で別の画像を照射面に投影できる。よって、変調部が変調制御を行うだけで、動画を再生できるので、プロジェクタを用いる場合との比較で、費用をかけないと共に、コンテンツの入力機能や煩雑な設定操作も行わずに、動作を再生できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る発光装置の主要部の斜視図である。
【
図2】上記主要部の光学系の構成を説明する図である。
【
図3】
図2にRで示す一部領域から出射される光の光路について説明する図であり、1の光源から出射される光の光路について説明する図である。
【
図4】上記発光装置から出射される光の光路について説明する図である。
【
図6】上記発光装置の制御に関連する部位のブロック図である。
【
図7】上記発光装置の制御装置による具体的な制御の一例について説明するタイミングチャートである。
【
図8】上記制御装置による複数の光源の点灯制御の一例を示すタイミングチャートである。
【
図9】上記制御装置による複数の光源における変形例の点灯制御のタイミングチャートである。
【
図10】上記発光装置の出射光の光軸方向における発光装置と照射面の距離と、照射面に投影される絵柄の中心からのずれとの関係を示す図である。
【
図11】照射面に写し出される絵柄の中心の位置と、照射面の中心との距離が小さい順に光源を点灯する制御を説明するための図である。
【
図12】上記制御装置による複数の光源における他の変形例の点灯制御のタイミングチャートである。
【
図13】
図12の点灯制御で木漏れ日の動画を投影するときの具体的について説明する図である。
【
図15】制御装置による複数の光源における更なる変形例の点灯制御のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態に係る発光装置1の主要部20の斜視図であり、
図2は、上記主要部の光学系の構成を説明する図である。また、
図3は、
図2にRで示す一部領域から出射される光の光路について説明する図であり、1の光源から出射される光の光路について説明する図である。また、
図4は、発光装置1から出射される光の光路について説明する図である。
【0011】
図1に示すように、発光装置1の主要部20は、固定枠5、光源モジュール10、ヒートシンク25、プライマリレンズ30、照射パターン形成部の一例としての円板状の絵柄フィルム35、及び、結像部の一例としての円板状の投影レンズ55を備える。主要部20は、次のように統合される。詳しくは、固定枠5は、金属又は樹脂で構成される枠部材であり、円環状部6と、複数の柱部7を有する。複数の柱部7の夫々は、円環状部6の周方向に間隔をおいた状態で円環状部6の厚さ方向の一方側の端面から円環状部6の軸方向に延在する。複数の柱部7は、複数の第1柱部7aと、複数の第2柱部7bを有し、第1柱部7aの長さは、第2柱部7bの長さよりも短くなっている。また、円環状部6は、周方向に間隔をおいて配置される複数のボス部6aを含み、ボス部6aは、ねじ孔を有する。
【0012】
ねじを、ボス部6aに締め込んだ後に、光源モジュール10に含まれる基板11と、ヒートシンク25に締め込むことで、光源モジュール10とヒートシンク25が固定枠5に固定される。また、プライマリレンズ30は、円板部31と、複数の導光部32とを有し、円板部31は、柱部7を通過させる切欠部31aを縁部に有する。柱部7が切欠部31aを通過することで、プライマリレンズ30が固定枠5の円環状部6に対して周方向に位置決めされ、その後、円板部31が円環状部6の一方側の端面にねじ固定されることで、プライマリレンズ30が固定枠5に固定される。また、絵柄フィルム35は、第1柱部7aの先端面にねじ固定され、投影レンズ55は、第2柱部7bの先端面にねじ固定される。これらの固定で、固定枠5、光源モジュール10、ヒートシンク25、プライマリレンズ30、円板状の絵柄フィルム35、及び円板状の投影レンズ55が、一体に統合される。一体となった統合体は、図示しないケースに固定される。ケースは、例えば筒状の構造を有し、例えばねじをケースの外径側からケース及び柱部に締め込むことで統合体と一体になる。
【0013】
光源モジュールは、基板11と、複数の光源12を有し、複数の光源12は、基板11の表側(投影レンズ55側)に互いに間隔をおいて実装される。本実施例では、基板11は円板形状を有し、基板11の外径は、円環状部6の内径と略同じか僅かに小さくなっている。そして、基板11の外周面は、円環状部6の内周面に内嵌されている。基板11は、例えば、プリント基板で構成される。基板11は、如何なる硬さを有してもよく、リジット基板、フレキシブル基板、及びリジットフレキシブル基板のうちのいずれの基板で構成されてもよい。また、基板11は、如何なる組成を有してもよく、例えば、紙フェノール基板、紙エポキシ基板、ガラスコンポジット基板、ガラスエポキシ基板、テフロン(登録商標)基板、アルミナ(セラミックス)基板、又はコンポジット基板等で構成される。
【0014】
光源12は、発光ダイオード(以下、LEDという)で好適に構成される。しかし、光源12は、LED以外の発光素子で構成されてもよく、例えば、半導体レーザ素子、有機EL(Electro Luminescence)素子若しくは無機EL素子等の固体発光素子、又は白熱電球で構成されてもよい。光源モジュール10には、各光源12に電力を供給するためのケーブル(図示せず)が電気的に接続される。ケーブルは、後述する駆動回路60(
図6参照)に接続され、駆動回路60には、ケース内に配置される変調部の一例としての制御装置40(
図6参照)から制御信号が出力される。また、ヒートシンク25は、放熱性に優れる金属、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金で構成される。ヒートシンク25は、光源12で生成される熱を放熱することで、光源12等の部品が熱劣化することを抑制する。ヒートシンク25に放熱リブ25aを設けると、放熱性を向上させることができて好ましい。
【0015】
プライマリレンズ30は、透明材料で構成され、例えば、ガラス、アクリル系の樹脂、ポリカーボネート系の樹脂、又はシリコン系の樹脂等で構成される。プライマリレンズ30は、複数の光源12の光出射側に配設される。
図4に示すように、プライマリレンズ30は、光源12の数と同一の数の複数の導光部32を有し、複数の導光部32は、複数の光源12に一対一に対応する。各導光部32は、光源12の光出射側に配置される光入射面32aと、光入射面32aとは反対側の端部に配設される光出射面32bを含む。光入射面32aは、凹面となっており、対応する光源12の光出射部を取り囲むように位置する。各導光部32は、対応する光源12からの光を光入射面32aから光出射面32bまで導光する。
図2に示すように、各導光部32の周囲部は、隣り合う導光部32の周囲部と一体に形成されている。その結果、複数の導光部32が連結され、一体のプライマリレンズ30が構成される。
【0016】
図3に示すように、プライマリレンズ30の各導光部32は、第1全反射部32cと、第2全反射部32dを含む。第1全反射部32cは、対応する光源12から出射される光の光軸方向の投影レンズ55側に行くにしたがって末広がりとなっており、対応する光源12からの光を全反射させる。また、第2全反射部32dは、第1全反射部32cよりも光軸方向の投影レンズ55側に配置され、光軸方向の投影レンズ55側に行くにしたがって先細りとなっており、到達した光を全反射させる。
【0017】
詳しくは、
図4に示すように、絵柄フィルム35には、光源12の数と同じ数の複数の絵柄部35aが形成されている。絵柄フィルム35に形成される複数の絵柄部35aは、互いに間隔をおいて配置され、各絵柄部35aは、例えば、本体としての透明フィルムに印刷により形成されることができる。絵柄印刷が実行される透明フィルムとしては、例えば、PP(ポリプロピレン)フォルムやPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを好適に採用できるが、それ以外の印刷が可能な如何なる透明フィルムを採用してもよい。
【0018】
複数の導光部32は、複数の絵柄部35aに一対一に対応する。プライマリレンズ30を、光源モジュール10と絵柄フィルム35の間に配置することで、光源モジュール10の各光源12から出射された光を、対応する導光部32を経由させて、絵柄フィルム35の対応する絵柄部35aに効率的に導くことができ、光源モジュール10の各光源12から出射された光が、対応する絵柄部35a以外の絵柄部35aに到達することを効果的に抑制できる。なお、プライマリレンズ30は、省略されてもよく、各光源12から出射された光が、対応する絵柄部35aに直接入射する構成でもよい。
【0019】
図2に示すように、投影レンズ55は、複数の投影レンズ部55aを有し、複数の投影レンズ部55aは、複数の絵柄部35aに一対一に対応する。
図4に示すように、各絵柄部35aを透過した光は、対応する投影レンズ部55aで出射方向が調整され、その結果、絵柄部35aの絵柄に基づく画像、例えば、
図5に示す木漏れ日の画像等が照射面80に投影される。
図3に示すように、各光源12から出射された光は、プライマリレンズ30で集光された後、対応する絵柄部35aを透過して広がる。また、絵柄部35aを透過した光は、対応する投影レンズ部55aで進行方向が調整される。投影レンズ部55aは、絵柄部35aを透過した光を照射面80に照射し、絵柄部35aの絵柄を照射面80に結像する。
図4に示すように、各光源12からの光が、同一の照射面80上の中心位置81に投影されるように、径方向外側に位置している投影レンズ部55aは、投影レンズ55の軸方向に対して所定角度傾斜している。
【0020】
図6は、発光装置1の制御に関連する部位のブロック図である。次に
図6を用いて、発光装置1における制御について簡単に説明する。
図6に示すように、発光装置1は、光源モジュール10および制御装置40に加えて、電源回路65と、駆動回路60を備える。
【0021】
制御装置40は、制御部41と、記憶部42を含む。制御部41は、例えば、マイクロコンピュータによって好適に構成され、CPU(Central Processing Unit)を含む。また、記憶部42は、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリや、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成される。CPUは、記憶部に予め記憶されたプログラム等を読み出して実行する。また、不揮発性メモリは、制御プロラムや所定の閾値等を予め記憶する。また、揮発性メモリは、読み出したプログラムや処理データを一時的に記憶する。制御プログラムには、複数の光源12の点灯制御の関するプログラムが含まれる。
【0022】
電源回路65には、交流電力が商用電源56から供給される。電源回路65は、例えば、供給された交流電力に整流処理や平滑化を施すことで交流電力を直流電力に変換し、変換後の直流電力を、駆動回路60を介して光源12に供給する。駆動回路60は、例えば、複数のスイッチング部61を有し、複数の光源12と複数のスイッチング部61は、一対一に対応し、各スイッチング部61は、1つの光源12に対応する。制御装置40は、駆動回路60をパルス幅変調(PWM;pulse width modulation)制御し、各スイッチング部61は、制御装置40からの信号に基づいて独立してオンオフ制御され、オンオフ制御の際のデューティ比、すなわち、一定の周期で連続するパルス列における、パルスのオンオフの継続時間の比率が制御される。なお、スイッチング部61は、光源12の数と同一の数だけ存在するが、
図6には、1つのみのスイッチング部61しか記載していない。
【0023】
各スイッチング部61は、例えば、トランジスタ等で構成される。制御装置40にオン制御されたスイッチング部61に対応する光源12は、電源回路65から電力が供給されて点灯し、制御装置40にオフ制御されたスイッチング部61に対応する光源12は、電源回路65からの電力が遮断されて消灯する。各光源12は、制御装置40による制御で個別に(他の光源とは無関係に)電力供給されて点灯状態が制御される。
【0024】
図7は、制御装置による具体的な制御の一例について説明するタイミングチャートである。なお、
図7の下側に示す絵柄フィルム35の正面図に示す14個の絵柄部35aのうち白くなっている絵柄部35aは、対応する光源12から光が照射されていることを表している。
【0025】
図7に示すように、この制御では、開始から期間t1において、光が絵柄部aのみに照射され、続く、期間t2において、光が絵柄部aと絵柄部bに照射され、次の期間t3において、光が絵柄部bのみに照射される。その後の期間t4においては、光が絵柄部bと絵柄部cに照射され、次の期間t5において、光が絵柄部cのみに照射される。また、続く、期間t6においては、光が絵柄部cと絵柄部dに照射され、次の期間t7において、光が絵柄部dのみに照射される。
【0026】
本制御では、このように、複数の光源12の出力を個別に変化させることで、絵柄フィルム35の光入射面における光強度分布を変化させて、照射面80に投影されるパターンを切り替えている。より具体的には、個々の光源12をオンオフ制御することで、照射する静止画を時間変化させている。よって、照射面80に投影される絵柄を複雑に変化させることができ、絵柄が動いているように見せることができる。更には、複数の光源12が同時点灯する期間があるので、絵柄の滑らかな変化も実現できる。
【0027】
以上、発光装置1は、1以上の光源12と、光源12から出射する光が入射する入射面を備えた絵柄フィルム(照射パターン形成部)35とを備える。また、発光装置1は、絵柄フィルム35を透過した光を照射面80に結像するための投影レンズ(結像部)55と、入射面に入射する光の入射面内における相対的な強度分布を時間的に変調させる制御装置(変調部)40と、を備える。
【0028】
したがって、制御装置40が、入射面に入射する光の入射面内における相対的な強度分布を時間的に変調させることができ、この変調で別の画像を照射面80に投影できる。よって、制御装置40が変調制御を行うだけで、動画を再生できるので、コンテンツの入力機能や煩雑な設定操作の必要がなく費用もかけずに動作を再生できる。
【0029】
なお、制御装置40が、複数の光源12の夫々をオンオフ制御することで、絵柄フィルム35の入射面内における相対的な強度分布を時間的に変調させる場合について説明した。しかし、それ以外の構造で、光の入射面内における相対的な強度分布を時間的に変調させてもよい。例えば、液晶ディスプレイ、すなわち、電圧を加えると分子の配列が変わる液晶分子を利用して表示装置を用いての入射面内における相対的な強度分布を時間的に変調させてもよい。詳しくは、液晶分子自体は、発光するものではないが、バックライトを使って光を供給した状態で液晶分子の向きを変えて、光の透過率を制御してもよく、変調部を構成する制御装置が、電圧を適切に変化させることで照射面に動画を投影してもよい。
【0030】
また、発光装置1は、複数の光源12を備えてもよい。そして、制御装置40が、複数の光源12の出力を時間的に変化させることで強度分布を時間的に変調させてもよい。本構成によれば、簡単な制御で照射面80に動画を投影できる。
【0031】
また、制御装置40は、2以上の光源12が、同時に点灯するタイミングが存在するように、複数の光源12の点灯制御を行ってもよい。本構成によれば、動画の動きを滑らかで自然なものにできる。
【0032】
また、
図7を用いて説明したように、制御装置40が、いずれかの光源12を点灯させてから消灯させるまでに別の光源12を点灯させ、先に点灯させた光源12を消灯させた後に、別の光源12を消灯させる動作を、連続的に複数回繰り返す時間差点灯制御を実行してもよい。本構成によれば、照射面に滑らかな動画を継続的に投影することができる。
【0033】
更には、動画を投影する制御を行う場合、特に上記時間差点灯制御を行う場合に次の追加の制御を合わせて実行してもよい。なお、
図8以下の説明では、光源12がLEDである場合を例に説明を行うが、上述のように、光源12は、LEDでなくてもよい。
【0034】
詳しくは、
図8、すなわち、制御装置40による複数のLEDの点灯制御に示すように、LEDのオンオフ制御を、LED1→LED2→LED3→・・・と、予め定められた順番に切り替えて行ってもよく、この場合において、点灯するLEDの順番は、ランダムでも良い。更には、
図8に示すように、制御装置40が、LEDの電流値を0から最大値まで単調に増大させて最大値から0まで単調に減少させる動作を、2つのLEDに関して時間差を設けて実行する制御において、先に点灯させたLEDの電流値が減少するタイミングの少なくとも一部が、後で点灯させたLEDの電流値が増大するタイミングの少なくとも一部と重なると共に、先に点灯させたLEDの電流値が0になった後に、後で点灯させたLEDの電流値が0になる条件で、連続的に複数回繰り返してもよい。更には、上述の時間差点灯制御を行っている最中において、LEDが、複数同時に点灯するときに、複数のLEDから出射される光の光出力が略一定になるように全LEDをオンオフ制御してもよく、例えば、全LEDに供給する電流の合計が略一定となるように全LEDをオンオフ制御してもよい。このように制御すれば、照射面80の明るさを略一定にできるので、絵柄が自然に変化しているように見せることができて好ましい。
【0035】
また、
図9、すなわち、制御装置40による複数のLEDにおける変形例の点灯制御に示すように、複数のLEDの切替速度を変えることで、動きを速くしたり遅くしたりしてもよい。詳しくは、動きを遅くする場合、t1<t2として、先のLEDが点灯してから、次のLEDが点灯するまでの時間を時間の経過と共に長くしてもよい。また、動きを速くする場合、t1>t3として、先のLEDが点灯してから、次のLEDが点灯するまでの時間を時間の経過と共に短くしてもよい。すなわち、いずれかのLEDを点灯させてから所定時間の経過後に別のLEDを点灯させる制御を行い、当該所定時間が変化するようにしてもよい。
【0036】
更には、
図9に示すように、各LEDが点灯してから消灯するまでの時間を、適宜変化させてもよい。このような制御を、組み合わせることで、動画の動きの速さをランダムにできて、繰り返し感を抑制でき、動きの単調さを低減することができる。なお、この速度調整は、発光装置に設けられた操作部を用いたユーザの操作に基づく制御装置の制御により実現してもよく、記憶部に予め記憶されたプログラムに基づく制御装置の制御により実現してもよい。又は、その速度調整は、電流センサ等からの信号を受けた制御装置の制御により実現してもよい。
【0037】
また、絵柄を切り替えるとき、中心からの変位量が、同じか又は差が小さい絵柄に遷移するように絵柄を切替えることで、光学系に起因する照射面上の絵柄のずれを気づきにくくしてもよい。
【0038】
詳しくは、
図10、すなわち、発光装置1の出射光の光軸方向における発光装置1と照射面の距離と、照射面80に投影される絵柄の中心からのずれとの関係を示す図に示すように、当該距離が規定距離(基準距離)となっている場合、すなわち、照射面80が
図10にx
0に示す位置に存在している場合、いずれの絵柄部35aを透過した光も、絵柄部35aの中心が照射面80の中心81に一致するように照射面80に投影される。
【0039】
しかし、照射面80までの距離が規定距離よりも短かった場合、すなわち、照射面80が
図10にx
1に示す位置に存在している場合、
図10において紙面の上側に配置されるLEDの光で投影される絵柄の中心は、照射面80の中心81よりも上側に変位することになる。また、照射面80までの距離が規定距離よりも短かった場合、
図10において紙面の下側に配置されるLEDの光で投影される絵柄の中心は、照射面80の中心81よりも下側に変位することになる。
【0040】
また、逆に、照射面80までの距離が規定の距離よりも長かった場合、すなわち、照射面80が
図10にx
2に示す位置に存在している場合、
図10において紙面の上側に配置されるLEDの光で投影される絵柄の中心は、照射面80の中心81よりも下側に変位することになる。また、照射面80までの距離が規定距離よりも長かった場合、
図10において紙面の下側に配置されるLEDの光で投影される絵柄の中心は、照射面80の中心81よりも上側に変位することになる。すなわち、発光装置1から照射面80までの光軸方向の距離が規定距離からずれると、絵柄フィルム35の中央に位置する絵柄部35aに基づく絵柄以外の絵柄は、照射面80の中央からずれることになり、ずれ量は、各絵柄35aと絵柄フィルム35の中心との距離に比例する。
【0041】
このような背景において、先に点灯しているLEDの次に点灯するLEDを、中心からの変位量が、同じか又は差が小さい絵柄に遷移するように切替えて、絵柄のずれに気づきにくくしてもよい。例えば、
図11に示すように、照射面80に写し出される絵柄の中心の位置と、照射面の中心との距離が小さい順に、各絵柄に対応するLEDを、LED1~LED14と名付けた場合、時間差点灯制御を、LED1~LED14の順に行った後で、LED14~LED1と反対の順次で行ってもよく、このLED1からLED14の往復切替の時間差点灯制御を、繰り返してもよい。
【0042】
更には、より一般的な制御を行ってもよい。例えば、変調部としての制御装置が、いずれかのLEDを点灯させてから所定時間の経過後に別のLEDを点灯させる制御を行い、Nが4以上の自然数であって複数のLEDの数を表し、MがNよりも2以上小さい2以上の自然数であるとき、上記別のLEDは、複数のLEDのうちで先に点灯している上記いずれかのLEDの中心位置に対する中心位置の変位量が小さい方からM個のLEDのうちから選択的に決定されてもよい。なお、M個のLEDのうちから1つのLEDを決定する際に、乱数を用いたモンテカルロ法を用いてもよい。なお、ここで、上記Mの数は、絵柄部毎に異なってもよい。
【0043】
また、発光装置1がα個のLEDを有し、αは3以上の自然数とするとき、
図12、すなわち、制御装置による複数のLEDにおける他の変形例の点灯制御に示すように、1つのLED1のみを常に一定出力で点灯させ、LED2~LEDα(
図12に示す例では、α=4)は、上記時間差点灯制御で順次点灯させるようにしてもよい。この場合、出力を変動させるLEDの電流値を小さくできるので、電源回路65(
図6参照)での電力ロスやノイズを低減することができる。更には、動きを静止させたい部分を、光学系に起因するずれの影響を受けず、安定して静止させることができる。
【0044】
より具体的に説明すると、この制御を用いて木漏れ日の動画を照射する場合、例えば、常に一定出力で点灯するLED1からの光で照らされる絵柄は、
図13にβで示す、幹と枝の絵柄にする。また、LED2~LEDαからの光で照らされる絵柄は、
図13にγで示す、多数の葉の絵柄とし、少しずつ異なる絵柄とする。このようにすれば、
図13にδに示すように、照射面での合成画像で、枝が動かず、葉の部分のみが動く動画を安定的に投影することができる。
【0045】
なお、一定出力で点灯させるLEDの数が、一つのみの場合について説明した。しかし、一定出力で点灯させるLEDの数は、2以上でもよい。すなわち、発光装置が複数の光源を備え、その複数の光源が、1以上の第1光源と、2以上の第2光源を含んでもよい。そして、制御装置(変調部)が、上記第1光源を一定出力で継続的に点灯させる一方、上記第2光源を出力が変動するように点灯させてもよい。
【0046】
また、
図14、すなわち、変形例の絵柄フィルムの正面図に示すように、絵柄フィルムに存在する複数の絵柄が、第1の絵柄群aと、第1の絵柄群aに関連がない第2の絵柄群bを備え、モード切替によって、異なる絵柄群a,bの投影が出来るようにしてもよい。より詳しくは、例えば、
図14に示すように、第1の絵柄群aが、木漏れ日の絵柄であり、第2の絵柄群bが、水面の絵柄群でもよい。このようにすれば、1つの発光装置で、複数の毛色が違う動画を投影できて、投影する動画の自由度を高くできる。
【0047】
換言すると、複数の光源が、2以上の第1光源で構成される第1光源群と、2以上の第2光源で構成される第2光源群とを含んでもよい。そして、制御装置(変調部)が第1光源群に含まれる2以上の第1光源を点灯制御する第1モードと、制御装置が第2光源群に含まれる2以上の第2光源を点灯制御する第2モードとを選択的に実現してもよい。このような制御は、制御装置が、第1光源群に含まれる第1光源のみに電力を供給する制御と、第2光源群に含まれる第2光源のみに電力を供給する制御とを選択的に行うことで容易に実現できる。
【0048】
なお、この場合において、異なる絵柄群a,bの切替は、次のように行ってもよい。詳しくは、発光装置が、絵柄の切り替えのための操作部を有するか、又は、ユーザが操作したリモコン等の信号発信部からの絵柄群切替信号を受信する受信部を有してもよい。そして、変調部としての制御装置が、操作部又は信号発信部からの信号に基づいて絵柄群の切替を実行してもよい。
【0049】
又は、発光装置が、タイマを内蔵しており、複数の絵柄群a,bの切替を、予め記憶部に記憶されたタイムスケジュールにより実行してもよい。例えば、発光装置が、木漏れ日の絵柄群aと、水面の絵柄群bを有する場合、発光装置が、午前中に駆動されると、水面の絵柄が投影され、午後以降は、木漏れ日の絵柄が投影されるようにしてもよい。また、この変形例では、発光装置が、2つの絵柄群を有する場合について説明したが、発光装置は、3以上の絵柄群を有してもよい。
【0050】
また、複数のLEDを、パルス幅変調(PWM;pulse width modulation)制御を用いて点灯制御し、各LEDの単位時間あたりのデューティ比を遷移させることで、複数のLEDの切り替えを行ってもよい。
【0051】
例えば、
図15、すなわち、制御装置による複数のLEDにおける更なる変形例の点灯制御に示すように、発光装置が、第1LEDと、第2LEDとを含み、第1LEDと第2LEDに供給する電流の合計が略一定の条件で、第1LEDのPWM制御のデューティ比を減少させる一方、第2LEDのPWM制御のデューティ比を増加させてもよい。
【0052】
このようにして、第1LEDによる光の照度を徐々に弱める一方、第2LEDによる光の照度を徐々に高めてもよく、デューティ比調整で第1LEDから第2LEDに少しずつ遷移させてもよい。この変形例の制御によれば、電源を定電流制御とできるので、動画の照度を略一定にできるだけでなく、電源を安価に構成することができる。
【0053】
なお、この変形例では、第1LEDと第2LEDに供給する電流の合計が略一定の条件で、第1LEDのPWM制御のデューティ比を減少させる一方、第2LEDのPWM制御のデューティ比を増加させる場合について説明した。しかし、第1LEDと第2LEDに供給する電流の合計が変動する条件で、第1LEDのPWM制御のデューティ比を減少させる一方、第2LEDのPWM制御のデューティ比を増加させるようにしてもよい。
【0054】
また、本開示の発光装置1は、連続的に静止画を写しだすことで物又は現象の動きを表す画像を照射面に照射できるが、例えば次の用途で使用されることができる。すなわち、静止画の光では、演出効果が小さく、人は疲れやすい。このような背景において、昨今の大都会の住宅事情として、自然光を取り入れたいのだけど適切な方向に窓がない場合がある。このような場合、本開示の発光装置1が出射する照明光で自然光をつくる陰を室内で再現できる。更には、本開示の発光装置1が照射する光を用いれば、プロジェクタ等の高価な投影装置を用いなくても、店舗等で手軽におしゃれな空間を演出できる。
【符号の説明】
【0055】
1 発光装置、 35 絵柄フィルム、 40 制御装置、 55 投影レンズ、 80 照射面。