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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231110BHJP
   C08K 3/016 20180101ALI20231110BHJP
   C08K 3/20 20060101ALI20231110BHJP
   C08L 53/02 20060101ALI20231110BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20231110BHJP
   F21Y 103/00 20160101ALN20231110BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231110BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20231110BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20231110BHJP
【FI】
F21S2/00 432
C08K3/016
C08K3/20
C08L53/02
F21S2/00 433
F21S2/00 435
G02B6/00 326
F21Y103:00
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:15
F21Y115:30
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019139073
(22)【出願日】2019-07-29
(65)【公開番号】P2021022513
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-04-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】秋山 博紀
(72)【発明者】
【氏名】山科 大悟
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/082385(WO,A1)
【文献】特開2011-246652(JP,A)
【文献】特開2006-045389(JP,A)
【文献】特表2011-515307(JP,A)
【文献】特開2014-146551(JP,A)
【文献】特開2002-071964(JP,A)
【文献】特開2019-077148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
C08L 53/02
C08K 3/016
C08K 3/20
G02B 6/00
F21Y 103/00
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から発せられる光を導光する光透過性樹脂部材とを備え、
前記光透過性樹脂部材は、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする少なくとも2つの第1重合体ブロック、及び、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする少なくとも1つの第2重合体ブロックからなるブロック共重合体を含む樹脂組成物と、非ハロゲン系難燃剤とを有し、
前記第1重合体ブロックの全重量W1と前記第2重合体ブロックの全重量W2との比であるW1:W2が30:70から65:35までの範囲に収まり、
前記光透過性樹脂部材の形状は、長尺状の円柱形状又は角柱形状であり、
前記光透過性樹脂部材の表面における前記非ハロゲン系難燃剤の濃度は、前記光透過性樹脂部材の中心における前記非ハロゲン系難燃剤の濃度よりも高い
照明装置。
【請求項2】
前記非ハロゲン系難燃剤の形状は、粒子形状であり、
前記非ハロゲン系難燃剤の平均粒子径は、1μm以下である
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光透過性樹脂部材は、前記樹脂組成物を100重量部と、前記非ハロゲン系難燃剤を0.01重量部以上20重量部以下とを有する
請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記非ハロゲン系難燃剤は、金属水酸化物を含む
請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記金属水酸化物は、アルミニウムを含む
請求項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記金属水酸化物は、水酸化酸化アルミニウムを含む
請求項4又は5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記光透過性樹脂部材が厚み3mm以下に形成された場合に、前記光透過性樹脂部材の厚み方向への全光線透過率は、85%以上である
請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記光透過性樹脂部材には、前記光透過性樹脂部材が導光する光を前記光透過性樹脂部材から出射させる光取り出し部が設けられる
請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
前記光取り出し部は、前記光透過性樹脂部材の表面に形成された複数のプリズムである
請求項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導光部材の端面から光が入射されることで、導光部材の所望の部分から光を取り出す導光方式の照明装置が知られている(特許文献1及び2を参照)。例えば、特許文献1では、導光板の一端面からLED(Light Emitting Diode)からの光が導光板内に入射され、導光板内を全反射させて光を導き、導光板に点在させた拡散部により光を外へ出射させる発光装飾器具が開示されている。また、特許文献2では、導光方式の照明器具として、導光部材にフレキシブル性を有する部材が用いられることで、所望の照明範囲及び配光方向に変更可能とする照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-312600号公報
【文献】特開2012-64441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
導光方式の照明装置において、フレキシブル性を有する照明装置は、照明装置を設置する部位の形状に合わせることが可能であり、デザイン性等に優れる。ところで、フレキシブル性を有する導光方式の照明装置は、当該照明装置の難燃性を高めることにより、高い難燃性が求められる建物などへ適用が可能になる。
【0005】
そこで、本発明は、照明特性及びフレキシブル性が損なわれず、かつ、難燃性が高い導光方式の照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る照明装置は、光源と、前記光源から発せられる光を導光する光透過性樹脂部材とを備え、前記光透過性樹脂部材は、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする少なくとも2つの第1重合体ブロック、及び、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする少なくとも1つの第2重合体ブロックからなるブロック共重合体を含む樹脂組成物と、非ハロゲン系難燃剤とを有し、前記第1重合体ブロックの全重量W1と前記第2重合体ブロックの全重量W2との比であるW1:W2が30:70から65:35までの範囲に収まる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、照明特性及びフレキシブル性が損なわれず、かつ、難燃性が高い導光方式の照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A図1Aは、実施の形態に係る照明装置の概略構成を示す斜視図である。
図1B図1Bは、実施の形態に係る照明装置が曲げられている状態を示す斜視図である。
図2図2は、実施の形態に係る照明装置の概略構成を示す平面視図である。
図3図3は、図2のIII-III線における照明装置の切断面を示す断面図である。
図4図4は、図3の領域IVにおける光透過性樹脂部材の切断面を示す断面図である。
図5図5は、実施の形態に係る難燃性を試験するための試験システムを示す概念図である。
図6A図6Aは、変形例に係る照明装置の概略構成を示す斜視図である。
図6B図6Bは、変形例に係る照明装置が曲げられている状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本発明の実施の形態に係る照明装置について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0011】
また、本明細書において、均一などの要素間の関係性を示す用語、及び、円柱形状又は角柱形状などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0012】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る照明装置1の構成について、図面を用いて説明する。
【0013】
図1Aは、本実施の形態に係る照明装置1の概略構成を示す斜視図である。図1Bは、本実施の形態に係る照明装置1が曲げられている状態を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る照明装置1の概略構成を示す平面視図である。
【0014】
図1A図1B及び図2に示されるように、照明装置1は、光源10と、光透過性樹脂部材20とを備える。光透過性樹脂部材20には、光取り出し部30が設けられている。光源10は、光透過性樹脂部材20の長手方向の一端に配置されている。なお、1又は複数の光源10が、光透過性樹脂部材20の長手方向の両端のそれぞれに配置されていてもよい。また、照明装置1は、光源10と光透過性樹脂部材20とを所定の位置関係で支持する支持部材を備えてもよい。
【0015】
照明装置1は、図1Bに示されるように、光透過性樹脂部材20が曲がっている状態で使用することが可能である。つまり、照明装置1は、フレキシブル性を有する照明器具である。
【0016】
実施の形態に係る照明装置1の詳細な構成について、さらに、図3を用いて説明する。
【0017】
図3は、図2のIII-III線における照明装置1の切断面を示す断面図である。図3では、光源10が有する発光素子12から発せられる光の経路は、模式的に複数の矢印で表されている。具体的には、光の経路は、発光素子12を起点として延びる矢印、光透過性樹脂部材20の内部に描かれた矢印、及び、光透過性樹脂部材20の側面22から光透過性樹脂部材20の外側に向かって延びる矢印によって模式的に表されている。なお、当該光の経路を分かりやすくするため、図3においては、光透過性樹脂部材20には断面を表す平行斜線が付されていない。また、矢印によって示される光の経路は一例であり、矢印の方向にのみ光が出射されていることを意味していない。
【0018】
光源10は、図3に示されるように、基板11と、発光素子12と、筐体13とを有する光源モジュールである。基板11及び発光素子12は、例えば、図示されていない制御回路及び図示されていない電源部等と共に、筐体13に収納される。光源10は、点灯させるための駆動回路などを有する電源部等から電流が供給され、光透過性樹脂部材20の端面21に向けて光を出射する。
【0019】
基板11は、発光素子12の実装基板である。基板11は、例えばガラスエポキシ基板であるが、これに限らない。基板11は、セラミック基板、樹脂基板又はメタルベース基板などでもよい。基板11は、リジッド基板でもよく、フレキシブル基板でもよい。
【0020】
基板11は、光透過性樹脂部材20の端面21に対向して平行な姿勢で配置されている。基板11は、端面21の形状に応じた形状を有し、発光素子12の光が端面21に入射するように配置される。基板11の形状は、例えば、正方形又は円形である。また、光透過性樹脂部材20の端面21が所定方向に延びる長尺形状を有する場合、基板11は、端面21が延びる方向に長尺な形状を有していてもよい。
【0021】
発光素子12は、基板11の中央に1つ配置されている。発光素子12は、基板11に複数配置されていてもよい。また、基板11及び端面21が長尺形状である場合、発光素子12は、基板11が延びる方向に沿って一列又は複数列に並んで配置されていてもよい。
【0022】
発光素子12は、例えば、白色光を発する表面実装(Surface Mount Device:SMD)型のLED(Light Emitting Diode)素子である。SMD型のLED素子とは、樹脂成型されたキャビティの中にLEDチップが配置され、かつ、当該キャビティ内に蛍光体含有樹脂が封入されたパッケージ型のLED素子である。LEDチップは、例えば、青色光を発する青色LEDチップである。蛍光体含有樹脂には、例えば、青色光を受けて黄色光を発する蛍光体が含まれている。LEDチップが発する青色光と、蛍光体が発する黄色光とが合成されることで、発光素子12は白色光を発する。発光素子12は、発光色の異なる複数のLEDチップ又は複数の蛍光体が含まれるLED素子であってもよい。また、発光素子12は、白色以外の光を発するLED素子であってもよい。
【0023】
なお、光源10は、基板11にLEDチップが直接実装された、いわゆるCOB(Chip On Board)型のLEDモジュールであってもよい。この場合、LEDチップが発光素子12の一例であり、蛍光体含有樹脂が1つ又は複数のLEDチップを覆うように基板11上に設けられている。
【0024】
また、光源10は、LED素子の代わりに、有機EL(Electroluminescence)素子、又は、半導体レーザ素子などを発光素子12として備えてもよい。あるいは、光源10は、基板11及び発光素子12を備えなくてもよく、蛍光灯などの放電ランプであってもよい。
【0025】
筐体13は、基板11及び発光素子12を収容する、樹脂製又は金属製のケースである。筐体13の外形状は、例えば、円柱形状であるが、これに限られず、三角柱形状又は四角柱形状等の角柱形状であってもよい。
【0026】
光透過性樹脂部材20は、光源10から発せられる光を導光する導光部材である。より具体的には、光透過性樹脂部材20は、発光素子12から発せられる光を導光し、出射する。このとき、光透過性樹脂部材20から出射された光が、照明装置1が放つ照明光である。光透過性樹脂部材20は、所望の形状に曲げることが可能であり、すなわち、高いフレキシブル性を示す。光透過性樹脂部材20の形状は、例えば、細長い円柱形状である。光透過性樹脂部材20の形状は、目的に応じて設計されればよく、三角柱形状又は四角柱形状等の角柱形状、もしくは、矩形平板状等であってもよい。また、光透過性樹脂部材20は、図3が示すように、長尺状であり、棒状の導光部材である。
【0027】
光透過性樹脂部材20は、端面21と、端面21から垂直に立設する側面22とを有する。端面21の一方は、発光素子12から発せられる光が入射される光入射面である。そのため、光透過性樹脂部材20の厚み又は径は、端面21が発光素子12から発せられる光を受けることができる大きさであればよい。また、側面22は、光透過性樹脂部材20を導光された光が取り出される光取り出し面、すなわち、光出射面である。側面22には、光取り出し部30が設けられている。なお、本実施の形態においては、発光素子12から発せられる光が入射されない端面21の他方も、側面22と同様に、光出射面である。
【0028】
光取り出し部30は、光透過性樹脂部材20が導光する光を光透過性樹脂部材20から出射させる部材である。具体的には、光取り出し部30は、光透過性樹脂部材20の表面に形成された複数のプリズムである。複数のプリズムの形状は、例えば、凹形状及び/又は凸形状であるが、これに限られない。図2及び図3に示されるように、複数のプリズムは、側面22から内側に向かって凹んだ凹形状であって、円錐形状である。さらに、複数のプリズムは、側面22において、それぞれが対向する位置に2列で均等間隔に配列されている。なお、複数のプリズムは、端面21の他方にも、形成されていてもよい。複数のプリズムの形状は、円錐状に限られず、半球形状、円錐台形状、角錐形状、角錐台形状及び角柱形状等であってもよい。
【0029】
図3に示されるように、端面21から光透過性樹脂部材20内に入射した光は、側面22で全反射を繰り返しながら、光透過性樹脂部材20の内部を導光される。具体的には、端面21から光透過性樹脂部材20内に入射した光は、側面22の法線と当該光とのなす角度が全反射角度以上の場合に全反射され、光透過性樹脂部材20の内部を導光される。光透過性樹脂部材20の内部を導光される光は、光取り出し部30である複数のプリズムの1つに入射した場合に、プリズムによって反射又は屈折されて側面22から出射される。すなわち、光源10から発された光は、光透過性樹脂部材20の内部を導光され、光取り出し部30により光透過性樹脂部材20から出射される。
【0030】
なお、複数のプリズムは、光源10からの距離に応じて、設けられている単位面積当たりの数が異なっていてもよい。これにより、側面22からの光の出射量が任意に調整される。
【0031】
具体的には、複数のプリズムは、光源10から離れるほど、設けられている単位面積当たりの数が多くてもよい。複数のプリズムは、導光距離が長くなる程、密に配置されていてもよい。言い換えると、複数のプリズムは、光源10に近い領域では単位面積当たりの数が少なく、光源10から離れた領域である程、単位面積当たりの数が多くてもよい。導光距離が長くなる程、光透過性樹脂部材20内を導光される光の光量が少なくなる。光量の減少の割合に応じてプリズムの密度を増やすことにより、光透過性樹脂部材20の側面22の全体から光を均等に出射させることができる。
【0032】
さらに、複数のプリズムは、側面22においてランダムに配置されていてもよい。また、複数のプリズムは、光透過性樹脂部材20のうち、光を取り出したい部分の近傍にのみ設けられていてもよい。
【0033】
複数のプリズムは、例えば、レーザ加工により形成される。具体的には、光透過性樹脂部材20が成形された後、複数のレーザ光を光透過性樹脂部材20の側面22に照射し、側面22の一部を溶融させることで複数の凹形状のプリズムを形成する。あるいは、複数のプリズムに対応した複数の凸形状を有する金型を用いて、凸形状を有する複数のプリズムと光透過性樹脂部材20とを一体的に形成してもよい。
【0034】
複数のプリズムが凸形状を有する場合、複数のプリズムは、光透過性樹脂部材20の側面22から外側に向かって突出する。例えば、複数のプリズムは、コーティング加工によって形成されてもよい。具体的には、光透過性樹脂部材20が成形された後、インクジェット法により樹脂材料をドット状に塗布することにより、複数のプリズムを形成してもよい。
【0035】
このように、光取り出し部30は、光透過性樹脂部材20の表面に形成された複数のプリズムである。複数のプリズムは、レーザ加工又はコーティング等により均一な形状で容易に形成することができる。このため、光の取り出し量及び取り出し方向などの調整が容易になるので、光透過性樹脂部材20から所望の方向に光を取り出すことができる。
【0036】
続いて、光透過性樹脂部材20が有する樹脂組成物23と非ハロゲン系難燃剤24とに用いられる材料について説明する。図4は、図3の領域IVにおける光透過性樹脂部材20の切断面を示す断面図である。
【0037】
[光透過性樹脂部材20の材料]
光透過性樹脂部材20において、樹脂組成物23と、非ハロゲン系難燃剤24とは、互いに混ざり合っている。図4に示すように、非ハロゲン系難燃剤24は、樹脂組成物23中に分散され、均一に存在している。
【0038】
まずは、樹脂組成物23について説明する。
【0039】
フレキシブル性及び透光性を有する樹脂材料として、シリコーン系樹脂及び軟質アクリル系樹脂等が知られている。シリコーン系樹脂は、可視光の短波長成分の吸収率が高いため、出射される光の色調の変化、及び、光量の低下が生じる。また、軟質アクリル系樹脂は、耐熱性が低く、光源10からの熱により変形しやすい。そこで、本実施の形態に係る樹脂組成物23の材料には、以下のブロック共重合体が用いられる。
【0040】
樹脂組成物23は、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする少なくとも2つの第1重合体ブロック、及び、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする少なくとも1つの第2重合体ブロックからなるブロック共重合体を含む。ブロック共重合体の含有量は、例えば、樹脂組成物23に対して90重量%以上である。
【0041】
ブロック共重合体において、第1重合体ブロックの全重量W1と第2重合体ブロックの全重量W2との比であるW1:W2が30:70から65:35までの範囲に収まる。W1:W2は、40:60から60:40の範囲であってもよく、45:55から55:45の範囲であってもよい。第1重合体ブロックは、耐熱性に寄与する重合体ブロックであり、第2重合体ブロックはフレキシブル性に寄与する重合体ブロックであるため、W1:W2が当該範囲であることにより、樹脂組成物23の耐熱性とフレキシブル性とが両立される。樹脂組成物23のヤング率は、例えば、1GPa以下であるが、これに限らない。樹脂組成物23のヤング率は、0.8GPa以下であってもよく、0.5GPa以下であってもよい。また、このようなブロック共重合体は、光透過性が高い。樹脂組成物23を有する光透過性樹脂部材20は、光源10が発する光を効率よく受光するために、光入射面である端面21が大きいほうがよく、すなわち、光透過性樹脂部材20の厚み又は径は、大きいほうがよい。このような場合においても、ブロック共重合体の光透過性が高いため、樹脂組成物23を有する光透過性樹脂部材20に吸収される光が少ない。
【0042】
つまり、これらの耐熱性、フレキシブル性及び光透過性などの特性を示す樹脂組成物23を有する光透過性樹脂部材20は、光源10が発する光を導光させる導光部材として、適している。
【0043】
第1重合体ブロックは、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックである。芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位の含有量は、第1重合体ブロック全体に対し、例えば、90重量%以上であるが、95重量%以上であってもよく、99重量%以上であってもよい。芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックは、芳香族ビニル化合物の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックであってもよく、芳香族ビニル化合物の繰り返し単位の水素化物を主成分とする重合体ブロックであってもよい。芳香族ビニル化合物の繰り返し単位の水素化物を主成分とする重合体ブロックは、主鎖の炭素-炭素不飽和結合及び芳香環の炭素-炭素不飽和結合が水素化された重合体ブロックである。
【0044】
第1重合体ブロック中の芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位以外の成分として、鎖状共役ジエン化合物由来の繰返し単位及び/又はその他のエチレン性不飽和化合物由来の繰返し単位が含まれてもよい。芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位以外の成分の含有量は、例えば、第1重合体ブロック全体に対し、10重量%以下であるが、5重量%以下でもよく、1重量%以下でもよい。
【0045】
第2重合体ブロックは、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックである。鎖状共役ジエン化合物由来の繰返し単位の含有量は、第2重合体ブロック全体に対し、例えば、90重量%以上であるが、95重量%以上であってもよく、99重量%以上であってもよい。鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックは、鎖状共役ジエン化合物の繰り返し単位を主成分とする重合体ブロックであってもよく、鎖状共役ジエン化合物の繰り返し単位の水素化物を主成分とする重合体ブロックであってもよい。鎖状共役ジエン化合物の繰り返し単位の水素化物を主成分とする重合体ブロックは、主鎖及び側鎖の炭素-炭素不飽和結合が水素化された重合体ブロックである。
【0046】
第2重合体ブロック中の鎖状共役ジエン化合物由来の繰返し単位以外の成分として、芳香族ビニル化合物由来の繰返し単位及び/又はその他のエチレン性不飽和化合物由来の繰返し単位が含まれてもよい。鎖状共役ジエン化合物由来の繰返し単位以外の成分の含有量は、例えば、第2重合体ブロック全体に対し、10重量%以下であるが、5重量%以下でもよく、1重量%以下でもよい。
【0047】
ブロック共重合体に用いる芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、又は、置換基としてアルキル基、ハロゲン原子若しくはアルコキシ基を有するスチレン誘導体を用いることができる。スチレン誘導体が有する置換基の数は1つであってもよく、2つ以上であってもよい。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素などが挙げられる。上記アルコシキ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基等が挙げられる。これらの中でも、例えば、吸湿性を低下させる観点から、芳香族ビニル化合物として、極性基を含有しない、スチレン又は置換基としてアルキル基を有するスチレン誘導体が用いられる。また、例えば、工業的な入手し易さの観点から、芳香族ビニル化合物として、スチレンが用いられる。
【0048】
ブロック共重合体に用いる鎖状共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンなどの、極性基を含有しないものを用いることができる。これらの中でも、例えば、重合制御性に優れるために樹脂組成物23の耐熱性の低下を抑制できる観点から、鎖状共役ジエン化合物として、1,3-ブタジエン又はイソプレンが用いられる。
【0049】
その他のエチレン性不飽和化合物としては、鎖状エチレン性不飽和化合物又は環状エチレン性不飽和化合物を用いることができる。これらのエチレン性不飽和化合物は、置換基として、ニトリル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、酸無水物基又はハロゲン基を有してもよい。その他のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、4,6-ジメチル-1-ヘプテン、ビニルシクロヘキサン等が挙げられる。
【0050】
ブロック共重合体が、芳香族ビニル化合物の繰り返し単位の水素化物及び鎖状共役ジエン化合物の繰り返し単位の水素化物を含む場合、それぞれの水素化率は、例えば、90%以上であり、97%以上であってもよく、99%以上であってもよい。上記水素化率が高いほど、樹脂組成物23の耐熱性及び耐候性が向上する。上記水素化率は、ブロック共重合体のH-NMR測定データから求めることができる。
【0051】
ブロック共重合体中の第1重合体ブロックの数は、例えば、4個以下であり、3個以下であってもよく、2個であってもよい。また、第2重合体ブロックの数は、例えば、3個以下であり、2個以下であってもよく、1個であってもよい。
【0052】
ブロック共重合体のブロックの形態は、例えば、第1重合体ブロックと第2重合体ブロックとが交互に直鎖状に並ぶ、鎖状型ブロックである。鎖状型ブロックのブロック共重合体としては、例えば、第1重合体ブロック、第2重合体ブロック及び第1重合体がこの順で並ぶトリブロック共重合体である。
【0053】
ブロック共重合体の荷重たわみ温度は、例えば、70℃以上160℃以下であり、75℃以上130℃以下であってもよい。本明細書における荷重たわみ温度は、JIS K7191-1に記載の方法により、曲げ応力0.45MPaの条件で測定された値である。
【0054】
ブロック共重合体は、例えば、上述の芳香族ビニル化合物、鎖状共役ジエン化合物、及び、必要に応じてその他のエチレン性不飽和化合物を用いて、リビングアニオン重合を行う等の公知の方法で製造される。また、上述のリビングアニオン重合が完結した重合体を水素化することで、芳香族ビニル化合物の繰り返し単位の水素化物及び鎖状共役ジエン化合物の繰り返し単位の水素化物を含むブロック共重合体が製造される。水素化には、例えば、リビングアニオン重合が完了した反応溶液に水添触媒を添加し、水素ガスを加圧して加熱することにより水素化する等の公知の方法を用いることができる。
【0055】
樹脂組成物23には、樹脂組成物23のフレキシブル性、光透過性及び耐候性等を損なわない範囲でブロック共重合体以外の樹脂材料が含まれていてもよい。樹脂組成物23に他の樹脂材料が含まれる場合、光透過性を高める観点から、他の樹脂材料は、ブロック共重合体と相溶性の高い樹脂材料であるとよい。
【0056】
上述のように、樹脂組成物23を有する光透過性樹脂部材20は、導光部材として適しているが、光透過性樹脂部材20の厚み又は径が大きいと、光透過性樹脂部材20の難燃性が低下する恐れがある。樹脂組成物23は、高い耐熱性を有するが、可燃性の燃焼物質である。光透過性樹脂部材20の厚み又は径が大きいと、燃焼物質である樹脂組成物23の体積が増加することで、光透過性樹脂部材20が燃焼しやすくなる。そのため、光透過性樹脂部材20の難燃性が低下する可能性がある。
【0057】
そこで、本実施の形態においては、光透過性樹脂部材20の難燃性を高めるため、光透過性樹脂部材20は、非ハロゲン系難燃剤24を有している。
【0058】
光透過性樹脂部材20が非ハロゲン系難燃剤24を有することで、光透過性樹脂部材20の難燃性は、向上する。非ハロゲン系難燃剤24とは、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素及びヨウ素)を含まない難燃剤である。また、非ハロゲン系難燃剤24とは、例えば、無機系難燃剤又は有機系難燃剤などである。無機系難燃剤は、一例として、金属水酸化物、リン系無機化合物又は窒素系無機化合物などがある。金属水酸化物とは、金属イオンと、水酸化物イオンとを有する化合物である。金属水酸化物は、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化ランタン、水酸化スズ、水酸化クロム、水酸化バリウムだが、これに限らない。金属水酸化物は、金属水酸化酸化物であってもよい。金属水酸化酸化物は、金属イオンと、水酸化物イオンと、酸素イオンとを有する化合物である。リン系無機化合物とは、例えば、ポリリン酸アンモニウム(Ammonium Polyphosphate(APP))又は赤燐などである。窒素系無機化合物は、例えば、リン酸アンモン又は炭酸アンモンなどである。さらに、その他の無機系難燃剤としては、例えば、モリブデン化合物、ほう酸亜鉛又は錫酸亜鉛などがある。また、例えば、その他の無機系難燃剤としては、水和物を含む無機材料などがある。水和物を含む無機材料としては、例えば、アルミン酸カルシウム水和物などがある。さらに、有機系難燃剤は、一例として、リン系有機化合物、シリコーン系有機化合物又は窒素系有機化合物などがある。リン系有機化合物とは、例えば、リン酸エステル骨格を含む化合物、リンを含むポリオール化合物又はリンを含むアミン化合物である。シリコーン系有機化合物は、例えば、シリコーンポリマーなどである。窒素系有機化合物とは、トリアジン骨格を含む化合物又はグアニジンを含む化合物である。トリアジン骨格を含む化合物は、例えば、メラミンシアヌレートである。しかしながら、非ハロゲン系難燃剤24は、上記に限られず、ハロゲンを含まない難燃剤であれば、公知の難燃剤を使用することができる。
【0059】
なお、非ハロゲン系難燃剤24は、難燃助剤と組み合わされて、使用されてもよい。難燃助剤は、一例として、金属酸化物、金属硝酸塩又は有機金属錯体である。
【0060】
また、このような非ハロゲン系難燃剤24は、光透過性樹脂部材20の光透過性を低下させにくい。非ハロゲン系難燃剤24は、ハロゲン系難燃剤に比べ、光透過性樹脂部材20において、光散乱を抑制することができるためである。ここで、光散乱とは、レイリー散乱及びミー散乱である。
【0061】
例えば、ハロゲン系難燃剤が固体(例えば粒子形状)である場合、ハロゲン系難燃剤の大きさ(例えば粒子径)は、一般的に、非ハロゲン系難燃剤24と比較すると、大きい場合が多い。具体的には、ハロゲン系難燃剤の粒子径は、2μm以上100μm以下であり、ハロゲン系難燃剤と本実施の形態に係る樹脂組成物23などの樹脂材料とを複合させると、光散乱が発生しやすい。
【0062】
また、ハロゲン系難燃剤が液体である場合においても、同様に光散乱が発生する。ハロゲン系難燃剤と本実施の形態に係る樹脂組成物23などの樹脂材料との相溶性が低い場合が多く、ハロゲン系難燃剤と当該樹脂材料とを複合させた複合体を形成すると、当該複合体中には、ハロゲン系難燃剤が凝集する領域が形成されやすい。当該凝集する領域は、光散乱を発生させる原因となる。
【0063】
導光部材において多くの光散乱が発生すると、導光部材の光透過性が低下し、光の減衰が起こる。つまり、導光部材における、光を導光する性能である導光性能が低下する。そのため、導光性能が低い導光部材を備える照明装置においては、導光部材の導光性能が低いことに起因して、発光強度が低下する、又は、所望の配光分布が得られない、など照明特性に問題が発生する。すなわち、このような照明装置は、従来の照明装置と比べて、照明特性が低い。さらに、導光部材において多くの光散乱が発生すると、導光部材が白濁するため、導光部材を備える照明装置のデザイン性が低下するなど、外観上の問題が発生する。従って、多くの光散乱が発生する導光部材は、優れた導光部材ではない。
【0064】
一方で、非ハロゲン系難燃剤24は、固体であってもよい。非ハロゲン系難燃剤24が固体である場合に、非ハロゲン系難燃剤24の大きさは、ハロゲン系難燃剤と比較すると、十分小さい場合が多い。そのため、非ハロゲン系難燃剤24は、光透過性樹脂部材20において、光散乱の発生を抑制できる。
【0065】
また、非ハロゲン系難燃剤24が液体である場合においても、同様に、光散乱の発生を抑制できる。これは、非ハロゲン系難燃剤24と樹脂組成物23との相溶性が高い場合が多く、容易に混ざり合い、非ハロゲン系難燃剤24と樹脂組成物23とを有する光透過性樹脂部材20中には、非ハロゲン系難燃剤24が凝集する領域が形成されにくいためである。
【0066】
すなわち、非ハロゲン系難燃剤24の形状によらず、非ハロゲン系難燃剤24は、ハロゲン系難燃剤に比べ、光透過性樹脂部材20の導光性能低下の原因となる光散乱の発生を抑制できる。
【0067】
また、具体的には、非ハロゲン系難燃剤24の形状は、粒子形状であり、非ハロゲン系難燃剤24の平均粒子径は、例えば、1μm以下である。なお、非ハロゲン系難燃剤24の平均粒子径は、光散乱を抑制するためには、小さければ小さいほどよい。非ハロゲン系難燃剤24の平均粒子径は、500nm以下であることがよく、100nm以下であることがよりよい。なお、平均粒子径とは、例えば、粒子径分布におけるメジアン径である。メジアン径とは、頻度の累積が50%になる粒子径である。平均粒子径は、粒子径分布における最頻度粒子径であるモード径であってもよい。また、粒子径分布は、画像解析法、コールター法、遠心沈降法又はレーザー回折散乱法などにより測定されてもよい。このように、非ハロゲン系難燃剤24の平均粒子径が可視領域の光の波長と同等以下であるため、非ハロゲン系難燃剤24は、光透過性樹脂部材20において、さらに、光散乱を発生させにくい。
【0068】
なお、非ハロゲン系難燃剤24の平均粒子径が小さいほど、光散乱は抑制されやすいが、樹脂組成物23中における非ハロゲン系難燃剤24の均一分散が難しくなる。非ハロゲン系難燃剤24の平均粒子径が小さくなりすぎると、樹脂組成物23中における非ハロゲン系難燃剤24は、凝集体を形成するため、当該凝集体による光散乱が発生する。これらが考慮されたうえで、非ハロゲン系難燃剤24の平均粒子径は、光散乱を抑制可能になるように、選択される。
【0069】
さらに、本実施の形態においては、非ハロゲン系難燃剤24は、金属水酸化物である。金属水酸化物が熱分解する際の反応は、吸熱反応であるため、冷却効果が発生する。これにより、金属水酸化物は、難燃剤として利用することができる。また、金属水酸化物は、水和物であってもよい。水和物とは、水和水として水を含む化合物である。水和物である金属水酸化物が熱分解する際の反応は、上記と同じく、吸熱反応であり、冷却効果が発生する。
【0070】
金属水酸化物の形状が固体の粒子形状である場合、金属水酸化物は、金属水酸化物以外の非ハロゲン系難燃剤24に比べ、粒子径の制御が容易である。具体的には、金属水酸化物を用いることで、平均粒子径が小さく、かつ、粒子径分布の狭い粒子を得ることが容易になる。例えば、金属水酸化物は、固相法、液相法又は気相法などにより製造される。さらには、製造された金属水酸化物は、粉砕などにより、小粒子径化されてもよい。また、液相法及び気体法は、分子レベルから成長させるビルドアップ方法であるため、より小さい粒子径を有する金属水酸化物を製造しやすい。具体的には、液相法又は気体法を用いることで、ナノメートルオーダの金属水酸化物を製造することが容易になる。このような製造方法を用いることで、平均粒子径が小さく、かつ、粒子径分布の狭い金属水酸化物を得ることが容易になる。
【0071】
また、金属水酸化物は、樹脂組成物23において、高い分散性を示す。そのため、非ハロゲン系難燃剤24として金属水酸化物を用いることで、樹脂組成物23中において、非ハロゲン系難燃剤24である金属水酸化物の凝集を抑制することが容易になる。金属水酸化物の凝集は、光散乱の原因となりうるため、抑制されることが望ましい。
【0072】
例えば、金属水酸化物と分散剤と樹脂組成物23とを複合することで、金属水酸化物は、樹脂組成物23において、高い分散性を示す。分散剤は、例えば、界面活性剤などである。例えば、界面活性剤は、陽イオン系、陰イオン系又は非イオン系などを用いることができる。また、界面活性剤の分子量は、どの程度であってもよい。さらに、界面活性剤は、粒子形状を有する金属水酸化物の表面の官能基と反応する反応性界面活性剤でもよい。例えば、粒子形状を有する金属水酸化物の表面に位置する水酸基は、反応性が高いため、反応性界面活性剤と反応しやすい。そのため、金属水酸化物の水酸基と反応性界面活性剤とを反応させることで、金属水酸化物と反応性界面活性剤との間の結合がより強固になる。これにより、樹脂組成物23における、金属水酸化物の分散性がより向上し、金属水酸化物の凝集を抑制できる。
【0073】
以上のように、非ハロゲン系難燃剤24としての金属水酸化物は、粒子径の制御が容易である。具体的には、金属水酸化物を用いることで、平均粒子径が小さく、かつ、粒子径分布の狭い粒子を得ることが容易になる。さらに、金属水酸化物は、樹脂組成物23中において、高い分散性を示し、金属水酸化物の凝集を抑制できる。そのため、金属水酸化物は、光透過性樹脂部材20において、さらに、光散乱を抑制することができる。
【0074】
さらに、金属水酸化物は、アルミニウムを含んでもよい。例えば、金属水酸化物は、上述のように、水酸化アルミニウムであってもよい。また、金属水酸化物は、金属水酸化酸化物の一例である、水酸化酸化アルミニウムを含んでもよい。本実施の形態においては、非ハロゲン系難燃剤24として、水酸化酸化アルミニウムが用いられる。水酸化酸化アルミニウムが可視領域の光を吸収しないため、水酸化酸化アルミニウムを有する光透過性樹脂部材20に吸収される光は、少ない。また、ナノメートルオーダ程度の十分小さい平均粒子径を示す水酸化酸化アルミニウムを容易に入手することができる。このような水酸化酸化アルミニウムを用いることにより、光透過性樹脂部材20における光散乱を、より抑制することができる。
【0075】
また、水酸化酸化アルミニウムは、水酸化アルミニウムに比べ、熱分解する温度が高い。具体的には、水酸化酸化アルミニウムの熱分解温度は、およそ400℃以上であるが、水酸化アルミニウムは、およそ200℃以上である。例えば、非ハロゲン系難燃剤24を有する光透過性樹脂部材20は、押出成形により製造されるが、この場合、製造時に加熱されることがある。水酸化酸化アルミニウムは、熱分解温度が高いため、この製造時の加熱により、熱分解を起こしにくい。
【0076】
また、アルミニウムは、地殻中に多く存在する元素であるため、水酸化酸化アルミニウムは、容易に、かつ、安定して入手することができる。
【0077】
光透過性樹脂部材20は、樹脂組成物23を100重量部と、非ハロゲン系難燃剤24を0.01重量部以上20重量部以下とを有する。また、光透過性樹脂部材20は、樹脂組成物23を100重量部と、非ハロゲン系難燃剤24を0.05重量部以上10重量部以下とを有すればよい。また、光透過性樹脂部材20は、樹脂組成物23を100重量部と、非ハロゲン系難燃剤24を0.1重量部以上1重量部以下とを有すればよりよい。非ハロゲン系難燃剤24が多いほど、光散乱が起こりやすくなり、非ハロゲン系難燃剤24が少ないほど、難燃性が低下する。そのため、樹脂組成物23と非ハロゲン系難燃剤24との割合が上記の範囲となることで、光散乱の抑制と高い難燃性とが両立される。また、光透過性樹脂部材20における樹脂組成物23と非ハロゲン系難燃剤24との比率は、光透過性樹脂部材20の形状又は厚みに応じて、適切な値をとることができる。
【0078】
上記において、種々の非ハロゲン系難燃剤24を説明したが、非ハロゲン系難燃剤24は、複数の材料種類が組み合わされて、使用されてもよい。例えば、非ハロゲン系難燃剤24は、水酸化酸化アルミニウムと、水酸化アルミニウムとが組み合わされて、使用されてもよい。
【0079】
また、光透過性樹脂部材20は、例えば、高濃度な非ハロゲン系難燃剤24を含むマスターバッチを利用して形成されてもよい。このようなマスターバッチと樹脂組成物23とを複合することで、非ハロゲン系難燃剤24は、樹脂組成物23中に分散され、均一に存在することが可能になる。しかしながら、光透過性樹脂部材20を製造する方法は、上記に限られない。
【0080】
なお、光透過性樹脂部材20は、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤及び滑剤等を有していてもよい。これらは、組み合わせて使用されてもよい。例えば、光透過性樹脂部材20が酸化防止剤、光安定剤及び紫外線吸収剤を含むことで、光透過性樹脂部材20の劣化が抑制され、耐久性が向上する。
【0081】
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、及び、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。これらは、単独で使用されてもよいが、組み合わせて使用されることで、相乗効果を発揮し、より光透過性樹脂部材20の劣化が抑制されやすい。
【0082】
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤及びヒンダードアミンエーテル系光安定剤等が挙げられる。
【0083】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外光吸収剤、サリチル酸系紫外光吸収剤、及び、ベンゾトリアゾール系紫外光吸収剤等が挙げられる。
【0084】
以上のように、光透過性樹脂部材20は、光透過性が高くフレキシブル性を有する樹脂組成物23と難燃性の向上に寄与する非ハロゲン系難燃剤24とを有する。非ハロゲン系難燃剤24は、ハロゲン系難燃剤に比べ、光透過性樹脂部材20の導光性能低下の原因となる光散乱の発生を抑制できる。そのため、光透過性樹脂部材20の厚み又は径が大きい場合でも、光透過性樹脂部材20は、フレキシブル性を有し、光透過性及び難燃性が高い。このような光透過性樹脂部材20は、光源10から発される光を導光させる導光部材として、適している。
【0085】
ここで、光透過性樹脂部材20が有する難燃性及び光学特性を評価した結果について説明する。具体的には、検討例1及び2の光透過性樹脂部材と、本実施の形態に係る実施例1及び2の光透過性樹脂部材20とが有する難燃性及び光学特性を評価した結果についても説明する。
【0086】
実施例1の光透過性樹脂部材20は、樹脂組成物23を100重量部と、非ハロゲン系難燃剤24として水酸化酸化アルミニウムを0.01重量部とを有する。実施例2の光透過性樹脂部材20は、樹脂組成物23を100重量部と、非ハロゲン系難燃剤24として水酸化酸化アルミニウムを0.01重量部とを有する。検討例1及び2に係る光透過性樹脂部材は、樹脂組成物23を有するが、非ハロゲン系難燃剤24を有さない点が、実施例1及び2の光透過性樹脂部材20とは異なる。
【0087】
なお、難燃性及び光学特性を評価するために、実施例1及び2の光透過性樹脂部材20と、検討例1及び2の光透過性樹脂部材とは、125±5mm×13±0.5mm×tmmの大きさの直方体形状の試験片に加工されている。tは、厚みであり、実施例1及び2の光透過性樹脂部材20と、検討例2の光透過性樹脂部材とのtの数値は、3であり、検討例1の光透過性樹脂部材のtの数値は、2である。
【0088】
[光透過性樹脂部材20の特性評価]
表1は、本実施の形態に係る実施例1及び2光透過性樹脂部材20の難燃性と光学特性とが記された表である。また、表1は、検討例1及び2の光透過性樹脂部材の難燃性と光学特性とが記された表でもある。
【0089】
【表1】
【0090】
まずは、難燃性について説明する。難燃性は、UL94規格によって評価される。UL94規格とは、装置及び器具部品のプラスチック材料燃焼性試験で、プラスチック材料の燃えにくさの度合いを表す規格である。ここでは、UL94規格における垂直燃焼試験が用いられる。
【0091】
図5は、本実施の形態に係る難燃性を試験するための試験システム90を示す概念図である。試験システム90は、支持ジグ91とバーナー92と綿93とを有する。支持ジグ91は、試験片を保持するジグである。また、バーナー92が放つ炎は、試験片に接炎される。綿93は、燃焼により試験片が溶融して滴下した場合に、滴下物によって炎が発生するか否かの判断に用いられる。なお、滴下物とは、燃焼により試験片が融解し、鉛直方向に向かって落下した物体である。
【0092】
試験手順は、以下の通りである。まず、実施例1及び2の光透過性樹脂部材20と、検討例1及び2の光透過性樹脂部材とは、それぞれ5つの試験片が用意される。
【0093】
次に、1つの試験片の上端が支持ジグ91に取り付けられる。このとき試験片の長手方向と鉛直方向が一致するように、試験片が取り付けられる。さらに、試験片の下端に1回目の20mm炎が10秒間接炎される。20mm炎が試験片の下端から離された後に、30秒以内に炎が消えた場合は、続けて、試験片の下端に2回目の20mm炎が10秒間接炎される。この試験が5つの試験片全てに対して実施される。
【0094】
なお、本明細書においては、V-2規格が達成されたか否かが判定される。以下の5要件(要件A、B、C、D及びE)が全て満たされると、V-2規格が達成されたと判定される。(要件A)5つの試験片における最長の燃焼時間が30秒以内である。(要件B)2回目の20mm炎の接炎後の燃焼時間と残濾時間との合計時間(2回目接炎後の燃焼と残濾との合計時間)が60秒以内である。(要件C)5つの試験片の全ての燃焼時間の合計が250秒以内である。(要件D)試験片の上端までの燃焼が無い。(要件E)滴下物による綿の燃焼が有ってもよい。
【0095】
残濾時間とは、試験片が赤熱している時間である。なお、(要件B)については、5つの試験片に対する試験のうち、2回目接炎後の燃焼と残濾との合計時間が最も長い時間が、表1に記されている。また、表1において、検討例2の(要件B)には、数値が記載されていない。これは、検討例2において、測定限界を超えて燃焼し続けた試験片が確認されたためである。
【0096】
次に、光学特性について説明する。光学特性は、試験片の厚み方向への全光線透過率によって評価される。全光線透過率とは、可視領域の全ての光の透過率の平均値である。
【0097】
表1が示すように、検討例1の光透過性樹脂部材は、難燃性に関する5要件をすべて満たし、V-2規格が達成されている。一方で、検討例2の光透過性樹脂部材は、検討例1の光透過性樹脂部材に比べ、難燃性が低下し、V-2規格が達成されていない。これは、検討例1の光透過性樹脂部材に比べ、検討例2の光透過性樹脂部材においては、可燃性の燃焼材料である樹脂組成物23の厚みが増すため、すなわち、体積が増したためと考えられる。
【0098】
次に、実施例1の光透過性樹脂部材20は、検討例2の光透過性樹脂部材とは異なり、非ハロゲン系難燃剤24を含む。そのため、実施例1の光透過性樹脂部材20は、検討例2の光透過性樹脂部材と比べ、(要件A)と(要件C)における燃焼時間が減少し、(要件D)における燃焼が無くなっている。従って、実施例1の光透過性樹脂部材20は、V-2規格を満たさないものの、実施例1の光透過性樹脂部材20の難燃性は、向上していることがわかる。
【0099】
さらに、実施例2の光透過性樹脂部材20は、実施例1の光透過性樹脂部材20に比べ、より多くの非ハロゲン系難燃剤24を含む。表1が示すように、難燃性に関する5要件をすべて満たし、V-2規格が達成されている。実施例1及び2が示すように、本実施の形態に係る光透過性樹脂部材20は、難燃性が高い。
【0100】
また、本実施の形態に係る実施例1及び2の光透過性樹脂部材20の全光線透過率は、検討例1及び2の光透過性樹脂部材と同様に、85%以上であり、高い値を示す。言い換えると、本実施の形態に係る光透過性樹脂部材20が厚み3mm以下に形成された場合に、光透過性樹脂部材20の厚み方向への全光線透過率は、85%以上である。すなわち、光透過性樹脂部材20は、光透過性が高いため、導光部材として、適している。
【0101】
以上まとめると、光透過性樹脂部材20の厚み又は径が大きい場合でも、光透過性樹脂部材20の光透過性及び難燃性が高いことが示された。
【0102】
また、上述の検討例1及び2の光透過性樹脂部材が示すように、光透過性樹脂部材の厚みが増すことで、難燃性は大きく低下する。つまり、本実施の形態に係る難燃性に関する技術は、光透過性樹脂部材の厚み又は径が大きいほど、重要性が増す技術である。このため、当該技術の有用性を生かすためには、光透過性樹脂部材20の厚み又は径は、大きい方がよい。例えば、光透過性樹脂部材20の厚み又は径は、1mm以上であることがよい。また、光透過性樹脂部材20の厚み又は径は、5mm以上であることがよりよく、10mm以上であることがさらによい。さらに、本実施の形態においては、光透過性樹脂部材20は、導光部材として利用されるため、光透過性樹脂部材20の厚み又は径は、50mm以下であることがよい。また、光透過性樹脂部材20の厚み又は径は、30mm以下であることがよりよく、20mm以下であることがさらによい。
【0103】
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る照明装置1は、光源10と、光源10から発せられる光を導光する光透過性樹脂部材20とを備える。光透過性樹脂部材20は、樹脂組成物23と、非ハロゲン系難燃剤24とを有する。樹脂組成物23は、芳香族ビニル化合物由来の繰り返し単位を主成分とする少なくとも2つの第1重合体ブロック、及び、鎖状共役ジエン化合物由来の繰り返し単位を主成分とする少なくとも1つの第2重合体ブロックからなるブロック共重合体を含む。第1重合体ブロックの全重量W1と第2重合体ブロックの全重量W2との比であるW1:W2が30:70から65:35までの範囲に収まる。
【0104】
これにより、光源10から発せられる光が、光透過性樹脂部材20の内部を導光される。光透過性樹脂部材20は、光透過性が高くフレキシブル性を有する樹脂組成物23と難燃性の向上に寄与する非ハロゲン系難燃剤24とを有する。非ハロゲン系難燃剤24は、ハロゲン系難燃剤に比べ、光透過性樹脂部材20の導光性能低下の原因となる光散乱の発生を抑制できる。そのため、光透過性樹脂部材20の厚み又は径が大きい場合でも、光透過性樹脂部材20は、フレキシブル性を有し、光透過性及び難燃性が高い。このような光透過性樹脂部材20は、光源10から発される光を導光させる導光部材として、適している。これにより、照明装置1が光透過性樹脂部材20を備えることで、照明特性及びフレキシブル性が損なわれず、かつ、難燃性が高い導光方式の照明装置1が実現される。
【0105】
また、本実施の形態においては、非ハロゲン系難燃剤24の形状は、粒子形状であり、非ハロゲン系難燃剤24の平均粒子径は、1μm以下である。
【0106】
これにより、非ハロゲン系難燃剤24の平均粒子径が可視領域の光波長と同等以下であるため、非ハロゲン系難燃剤24は、光透過性樹脂部材20において、さらに、光散乱を発生させにくい。これにより、照明特性及びフレキシブル性が損なわれず、かつ、難燃性が高い導光方式の照明装置1が実現される。
【0107】
また、本実施の形態においては、光透過性樹脂部材20は、樹脂組成物23を100重量部と、非ハロゲン系難燃剤24を0.01重量部以上20重量部以下とを有する。
【0108】
非ハロゲン系難燃剤24が多いほど、光散乱が起こりやすくなり、非ハロゲン系難燃剤24が少ないほど、難燃性が低下する。そのため、樹脂組成物23と非ハロゲン系難燃剤24との割合が上記の範囲となることで、光散乱の抑制と高い難燃性とが両立される。これにより、照明特性及びフレキシブル性が損なわれず、かつ、難燃性が高い導光方式の照明装置1が実現される。
【0109】
また、本実施の形態においては、非ハロゲン系難燃剤24は、金属水酸化物を含む。
【0110】
これにより、非ハロゲン系難燃剤24としての金属水酸化物は、粒子径の制御が容易である。具体的には、金属水酸化物を用いることで、平均粒子径が小さく、かつ、粒子径分布の狭い粒子を得ることが容易になる。さらに、金属水酸化物は、樹脂組成物23中において、高い分散性を示し、金属水酸化物の凝集を抑制できる。そのため、金属水酸化物は、光透過性樹脂部材20において、さらに、光散乱を抑制することができる。これにより、照明特性及びフレキシブル性が損なわれず、かつ、難燃性が高い導光方式の照明装置1が実現される。
【0111】
また、本実施の形態においては、金属水酸化物は、アルミニウムを含む。また、本実施の形態においては、金属水酸化物は、水酸化酸化アルミニウムを含む。
【0112】
アルミニウムは、地殻中に多く存在する元素であるため、水酸化酸化アルミニウムは、容易に、かつ、安定して入手することができる。また、さらに、水酸化酸化アルミニウムは、熱分解温度が高いため、製造時の加熱により、熱分解を起こしにくい。すなわち、水酸化酸化アルミニウムを非ハロゲン系難燃剤24として有する光透過性樹脂部材20は、量産性に優れ、製造が容易である。よって、このような光透過性樹脂部材20を備える照明装置1は、量産性に優れ、製造が容易である。
【0113】
また、本実施の形態においては、光透過性樹脂部材20が厚み3mm以下に形成された場合に、光透過性樹脂部材20の厚み方向への全光線透過率は、85%以上である。
【0114】
これにより、光透過性樹脂部材20は、光透過性が高いため、導光部材として、適している。
【0115】
また、本実施の形態においては、光透過性樹脂部材20には、光透過性樹脂部材20が導光する光を光透過性樹脂部材20から出射させる光取り出し部30が設けられる。
【0116】
これにより、光源10から発された光は、光透過性樹脂部材20の内部を導光され、光取り出し部30により光透過性樹脂部材20から出射される。そのため、照明特性の1つである配光特性を制御することが容易になる。
【0117】
また、本実施の形態においては、光取り出し部30は、光透過性樹脂部材20の表面に形成された複数のプリズムである。
【0118】
これにより、光の取り出し量及び取り出し方向などの調整が容易になるので、光透過性樹脂部材20から所望の方向に光を取り出すことができる。そのため、照明特性の1つである配光特性を制御することが容易になる。
【0119】
(変形例)
以下では、実施の形態の変形例について、図6A及び図6Bを用いて説明する。
【0120】
図6Aは、本変形例に係る照明装置1aの概略構成を示す斜視図である。図6Bは、本変形例に係る照明装置1aが曲げられている状態を示す斜視図である。図6A及び図6Bに示されるように、照明装置1aは、実施の形態に係る照明装置1と比較して、光透過性樹脂部材20の代わりに光透過性樹脂部材20aを備える点が相違する。以下では、実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点の説明を省略又は簡略化する。
【0121】
図6A及び図6Bに示されるように、本変形例に係る照明装置1aは、光源10と光透過性樹脂部材20aとを備える。光透過性樹脂部材20aには、光を光透過性樹脂部材20aから出射させるための光取り出し部30が設けられている。
【0122】
光源10は、光透過性樹脂部材20aの端面21aに向けて光を出射する。光源10が有する複数の発光素子(不図示)は、端面21aが所定方向に延びる長尺形状を有するのに応じて、端面21aが延びる方向に沿って一列に並んで複数配置される。発光素子は、複数列に並んで、各列に複数配置されていてもよい。
【0123】
図6Bに示すように、光透過性樹脂部材20aは、所望の形状に曲げることが可能な柔軟性の矩形平板状の部材である。つまり、照明装置1aは、光透過性樹脂部材20aが曲がっている状態で使用することが可能である。光透過性樹脂部材20aは、端面21aと、端面21aから垂直に立設する2つの主面である第1側面221a及び第2側面222aとを備える。端面21aの一方は、光源10が発する光が入射する光入射面である。また、第1側面221aには、光取り出し部30が設けられている。第2側面222aは、第1側面221aに対向する面である。第2側面222aは、光透過性樹脂部材20aを導光された光が取り出される光取り出し面、すなわち、光出射面である。端面21aの他方も、第2側面222aと同じく、光出射面である。
【0124】
光透過性樹脂部材20aは、樹脂組成物23と非ハロゲン系難燃剤24とを有する。樹脂組成物23及び非ハロゲン系難燃剤24に用いられる材料については、実施の形態に係る樹脂組成物23及び非ハロゲン系難燃剤24と同じであるため、説明は省略する。
【0125】
光取り出し部30は、光透過性樹脂部材20aに設けられている。具体的には、光取り出し部30は、光透過性樹脂部材20aの第1側面221aに設けられた複数のプリズムである。複数のプリズムは、第1側面221aから第2側面222aに向かって凹むように設けられている。複数のプリズムは、例えば、第1側面221aにおいて行列状に規則的に配置されていてもよい。
【0126】
実施の形態と同じように、端面21aから光透過性樹脂部材20a内に入射した光は、第1側面221aと第2側面222aとで全反射を繰り返しながら、光透過性樹脂部材20aの内部を導光される。光透過性樹脂部材20aの内部を導光される光は、光取り出し部30を構成する複数のプリズムの1つに入射した場合に、プリズムによって反射又は屈折されて光透過性樹脂部材20aから出射される。
【0127】
また、図示されていないが、照明装置1aは、第1側面221aに沿って設けられた反射部材を備えていてもよい。反射部材は、例えば、白色の樹脂カバー、又は、金属製のカバーである。反射部材が設けられることで、第1側面221aから漏れ出る光を抑えることができる。これにより、光出射面である第2側面222a及び端面21aの他方から出射される光の量を増やすことができるので、照明装置1aの光の取り出し効率を高めることができる。
【0128】
このように、本実施の形態に係る照明装置の導光部材の形状は、照明装置1の光透過性樹脂部材20のような細長い円柱形状であってもよく、照明装置1aの光透過性樹脂部材20aのような矩形平板状であってもよい。
【0129】
(その他)
以上、本発明に係る照明装置について、上記の実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0130】
実施の形態では、非ハロゲン系難燃剤24は、樹脂組成物23中に分散され、均一に存在しているが、これに限られない。例えば、非ハロゲン系難燃剤24は、光透過性樹脂部材20の表面に多く偏在してもよい。これにより、光透過性樹脂部材20の表面における難燃剤の濃度が高くなるため、光透過性樹脂部材20の難燃性をさらに高めることができる。例えば、光透過性樹脂部材20の中心付近における非ハロゲン系難燃剤24は、低濃度で存在し、光透過性樹脂部材20の中心付近から表面付近に向かって、非ハロゲン系難燃剤24の濃度が上昇してもよい。
【0131】
また、例えば、光透過性樹脂部材20の表面にのみ、非ハロゲン系難燃剤24が存在してもよい。この場合、非ハロゲン系難燃剤24が含まれていない樹脂組成物23の表面に、非ハロゲン系難燃剤24が多く含まれた層が形成されることで、非ハロゲン系難燃剤24が表面に多く偏在する光透過性樹脂部材20としてもよい。この場合、非ハロゲン系難燃剤24が多く含まれた層は、コーティングにより形成されてもよい。
【0132】
なお、光取り出し部30は、複数のプリズムでなくてもよい。例えば、光取り出し部30は、光散乱を起こす構造体であってもよい。当該構造体は、例えば、光散乱を起こす散乱体(例えば、粒子など)と当該散乱体を固定化する樹脂材料とが含まれる混合液をコーティングすることにより形成されてもよい。
【0133】
なお、図1A図1B図2及び図3においては、光透過性樹脂部材20には、光取り出し部30が設けられているが、これに限らない。光透過性樹脂部材20に、光取り出し部30が設けられていない場合、入射面である端面21の一方から入射された光は、主に端面21の他方から放たれる。
【0134】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0135】
1 照明装置
10 光源
20 光透過性樹脂部材
23 樹脂組成物
24 非ハロゲン系難燃剤
30 光取り出し部
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B