(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】整流装置、加水分解装置、及び脱硝設備
(51)【国際特許分類】
F01N 3/08 20060101AFI20231110BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20231110BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20231110BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20231110BHJP
B01D 53/90 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
F01N3/08 B ZAB
F01N3/24 N
B01D53/94 222
B01D53/94 400
B01D53/86 222
B01D53/90
(21)【出願番号】P 2019204852
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】593196849
【氏名又は名称】ボルカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】森 匠磨
(72)【発明者】
【氏名】庄野 恵美
(72)【発明者】
【氏名】田中 博仲
(72)【発明者】
【氏名】小林 正輝
(72)【発明者】
【氏名】小野 賢二
(72)【発明者】
【氏名】安田 裕文
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 賢治
(72)【発明者】
【氏名】松本 一人
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-127880(JP,A)
【文献】特開2006-289326(JP,A)
【文献】特開2010-071240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00
B01D 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンからの排ガスの脱硝処理を行う脱硝設備であって、
尿素水の加水分解反応を生じさせる加水分解容器と、
前記加水分解容器に導入するガス流を通過させる整流装置と、
前記整流装置に対し、燃料を燃焼することで加熱したガスを供給するバーナユニットと
、を備える加水分解装置
、及び、
前記排ガスと、前記加水分解容器からの処理ガスとを混合し、脱硝触媒に導入してから排出する脱硝機
構、を備え
、
前記整流装置は、
一端からガス流が、他端側に向けて流入する外筒と、
前記外筒内または前記外筒の他端に位置し、前記他端側に向けて前記一端から前記外筒に流入するガス流の少なくとも一部を反転させる制御壁と、
前記一端と前記制御壁との間の前記外筒内に少なくとも一部が配置され、前記外筒の内部から前記外筒の側壁を貫通して外部に流出するガス流の流路を構成して、前記外筒内からのガス流を前記加水分解容器に導入させる、ガス流の入口部及び出口部が設けられた筒部と、を備えることを特徴とする、脱硝設備。
【請求項2】
複数のエンジンからの排ガスの脱硝処理を行う脱硝設備であって、
尿素水の加水分解反応を生じさせる加水分解容器と、
前記加水分解容器に導入するガス流を通過させる整流装置と、
前記整流装置に対し、燃料を燃焼することで加熱したガスを供給するバーナユニットと、を備える加水分解装置、
前記複数のエンジンのそれぞれについて、前記エンジンからの排ガスと、前記加水分解容器からの処理ガスとを混合し、脱硝触媒に導入してから排出する脱硝機構
、及び、
前記複数のエンジンのそれぞれについて、前記エンジンからの排ガスを、前記脱硝機構をバイパスして排出するバイパス機
構、を備え
、
前記整流装置は、
一端からガス流が、他端側に向けて流入する外筒と、
前記外筒内または前記外筒の他端に位置し、前記他端側に向けて前記一端から前記外筒に流入するガス流の少なくとも一部を反転させる制御壁と、
前記一端と前記制御壁との間の前記外筒内に少なくとも一部が配置され、前記外筒の内部から前記外筒の側壁を貫通して外部に流出するガス流の流路を構成して、前記外筒内からのガス流を前記加水分解容器に導入させる、ガス流の入口部及び出口部が設けられた筒部と、を備えることを特徴とする、脱硝設備。
【請求項3】
複数のエンジンからの排ガスの脱硝処理を行う脱硝設備であって、
尿素水の加水分解反応を生じさせる加水分解容器と、
前記加水分解容器に導入するガス流を通過させる整流装置と、
前記整流装置に対し、燃料を燃焼することで加熱したガスを供給するバーナユニットと、を備える加水分解装
置、
前記複数のエンジンからの排ガスと、前記加水分解容器からの処理ガスとを混合し、脱硝触媒に導入してから排出する脱硝機構
、及び、
前記複数のエンジンからの排ガスを、前記脱硝機構をバイパスして排出するバイパス機
構、を備え
、
前記整流装置は、
一端からガス流が、他端側に向けて流入する外筒と、
前記外筒内または前記外筒の他端に位置し、前記他端側に向けて前記一端から前記外筒に流入するガス流の少なくとも一部を反転させる制御壁と、
前記一端と前記制御壁との間の前記外筒内に少なくとも一部が配置され、前記外筒の内部から前記外筒の側壁を貫通して外部に流出するガス流の流路を構成して、前記外筒内からのガス流を前記加水分解容器に導入させる、ガス流の入口部及び出口部が設けられた筒部と、を備えることを特徴とする、脱硝設備。
【請求項4】
前記整流装置は、
前記筒部の前記入口部が前記一端と前記制御壁との間の前記外筒内に位置し、
前記出口部が前記外筒外に位置し、
前記筒部の外周面が、前記他端側に向けて前記一端から前記外筒に流入するガス流の少なくとも一部を遮るように配置されていることを特徴とする、請求項1
から3のいずれか1項に記載の
脱硝設備。
【請求項5】
前記整流装置は、
前記筒部と前記制御壁との間の前記外筒内に配置され、前記筒部の長手方向と、前記一端から前記他端への方向とに延びる、平面状の分離板を備えることを特徴とする、請求項1
から4のいずれか1項に記載の
脱硝設備。
【請求項6】
前記筒部には、前記入口部から前記出口部に向かうにつれて、前記筒部の径方向断面積が拡大する筒部拡大部が設けられていることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか1項に記載の
脱硝設備。
【請求項7】
前記外筒の前記一端には、前記他端側に向けて前記一端から前記外筒に流入するガス流の流路断面積が拡大する流路拡大部が設けられていることを特徴とする、請求項1から
6のいずれか1項に記載の
脱硝設備。
【請求項8】
前記流路拡大部における前記流路断面積の最小部分の断面積は、前記筒部の径方向断面積の最小部分の断面積以上であることを特徴とする、請求項
7に記載の
脱硝設備。
【請求項9】
前記整流装置において、
前記筒部の前記入口部に対向する前記外筒の側壁には、メンテナンス用開口部と、前記メンテナンス用開口部を閉塞する取り外し可能な閉止板が設けられていることを特徴とする、請求項1から
8のいずれか1項に記載の
脱硝設備。
【請求項10】
前記制御壁は、前記外筒の前記他端を閉塞することを特徴とする、請求項1から
9のいずれか1項に記載の
脱硝設備。
【請求項11】
前記整流装置は、
前記筒部を複数備え、
複数の前記筒部の中心軸が、前記外筒の前記一端から前記他端への方向に略直交する平面上に位置することを特徴とする、請求項1から
10のいずれか1項に記載の
脱硝設備。
【請求項12】
前記加水分解装置は、それぞれの前記筒部を通じて流出したガス流を、それぞれ受け入れる複数の前記加水分解容
器を備えることを特徴とする、
請求項11に記載の脱硝設備。
【請求項13】
前記加水分解装置は、前記バーナユニットからの、前記外筒の前記一端を通じて前記整流装置に導入するガス流を、前記外筒の中心軸周りに旋回させてから前記整流装置に導入させる旋回装置を、更に備えることを特徴とする、請求項1
から12のいずれか1項に記載の
脱硝設備。
【請求項14】
前記加水分解容器は、軸方向に長い筒状であり、
前記バーナユニットの燃料を燃焼するための燃焼室は、軸方向に長い筒状であり、
単数または複数の前記加水分解
容器の軸方向と、前記燃焼室の軸方向とが、平行に並ぶように、単数または複数の前記加水分解
容器と、前記バーナユニットとが配置されることを特徴とする、請求項1
から13のいずれか1項に記載の
脱硝設備。
【請求項15】
尿素水の加水分解反応を生じさせる加水分解容器に導入するガス流を通過させる整流装置であって、
一端からガス流が、他端側に向けて流入する外筒と、
前記外筒内または前記外筒の他端に位置し、前記他端側に向けて前記一端から前記外筒に流入するガス流の少なくとも一部を反転させる制御壁と、
前記一端と前記制御壁との間の前記外筒内に少なくとも一部が配置され、前記外筒の内部から前記外筒の側壁を貫通して外部に流出するガス流の流路を構成して、前記外筒内からのガス流を前記加水分解容器に導入させる、ガス流の入口部及び出口部が設けられた筒部と、
前記筒部と前記制御壁との間の前記外筒内に配置され、前記筒部の長手方向と、前記一端から前記他端への方向とに延びる、平面状の分離板と、を備えることを特徴とする整流装置。
【請求項16】
請求項
15に記載の整流装置と、
前記加水分解容器と、
前記整流装置に対し、燃料を燃焼することで加熱したガスを供給するバーナユニットと、を備えることを特徴とする、加水分解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流装置、加水分解装置、及び脱硝設備に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶等において、エンジンの排ガス中の窒素酸化物(NOX)を低減するための、脱硝設備が知られている。このような脱硝設備では、アンモニアを排ガスとともにSCR(Selective Catalytic Reduction)といった脱硝触媒に導入することで、窒素酸化物の還元反応を生じさせて、排ガスの浄化を行っている。通常アンモニアは、取扱いの容易な尿素水を、加水分解容器(気化器)において高温のガス流中で加水分解して生成して、供給される。加水分解装置は、加水分解容器に高温のガス流を供給するために、バーナユニットを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脱硝設備に適用するための加水分解装置において、エンジンからの抽気とバーナユニットとから加水分解容器に供給される高温のガス流に流速や温度に分布があると、噴霧される尿素水の加水分解が部分的に不十分となる。よって、加水分解容器に供給されるガス流の温度や流速は均一であることが好ましい。
【0005】
ガス流中の分布の均一化を図るために、一般的にはバーナユニットと、加水分解容器間の配管を十分に長くとることが検討される。しかし、配管が長くなるほど配管内での熱損失が大きくなり、システム効率が低下する。また、加水分解装置が大型化し、特に船舶等の輸送機器への応用上好ましくない。配管中に整流のための部品を設けることも検討され得るが、排気抵抗の増大につながり、そのためシステム効率の悪化を引き起こす怖れがある。
【0006】
本発明の一態様は、加水分解装置におけるシステム効率の低下の抑制、または、コンパクト化の少なくともいずれか可能となる、加水分解装置のための整流装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る整流装置は、尿素水の加水分解反応を生じさせる加水分解容器に導入するガス流を通過させる整流装置であって、一端からガス流が、他端側に向けて流入する外筒と、前記外筒内または前記外筒の他端に位置し、前記他端側に向けて前記一端から前記外筒に流入するガス流の少なくとも一部を反転させる制御壁と、前記一端と前記制御壁との間の前記外筒内に少なくとも一部が配置され、前記外筒の内部から前記外筒の側壁を貫通して外部に流出するガス流の流路を構成して、前記外筒内からのガス流を前記加水分解容器に導入させる、ガス流の入口部及び出口部が設けられた筒部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、加水分解装置のシステム効率の低下の抑制、または、コンパクト化の少なくともいずれかが可能となる、加水分解装置のための整流装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係る整流装置を備える、流路構造体を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態2に係る整流装置を備える、流路構造体を示す概略構成図である。
【
図3】本発明の実施形態3に係る整流装置が適用される、加水分解装置を示す概略構成図である。
【
図4】本発明の実施形態3に係る整流装置の構造を示す模式図である。
【
図5】本発明の変形例1に係る整流装置の構造を示す模式図である。
【
図6】本発明の変形例2に係る整流装置の構造を示す模式図である。
【
図7】本発明の変形例3に係る整流装置の構造を示す模式図である。
【
図8】本発明の構成例1に係る整流装置と、整流装置に取り付ける配管部品を示す概略図である。
【
図9】本発明の構成例2に係る整流装置を示す概略図である。
【
図10】本発明の構成例3の加水分解装置に適用される旋回装置を示す模式図である。
【
図11】本発明の実施形態4に係る整流装置が適用される、加水分解装置を示す概略構成図である。
【
図12】本発明の実施形態4に係る整流装置の構造を示す模式図である。
【
図13】本発明の変形例4に係る整流装置の構造を示す模式図である。
【
図14】本発明の変形例5に係る整流装置の構造を示す模式図である。
【
図15】本発明の変形例6に係る整流装置の構造を示す模式図である。
【
図16】本発明の変形例7に係る整流装置の構造を示す模式図である。
【
図17】本発明の実施形態5に係る脱硝設備を示す概略構成図である。
【
図18】本発明の実施形態6に係る脱硝設備を示す概略構成図である。
【
図19】本発明の実施形態7に係る脱硝設備を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ以下に説明する。本願における各図面に記載した構成の形状および寸法(長さ、幅、高さ等)は、実際の形状および寸法が必ずしも反映されたものではなく、図面の明瞭化および簡略化のために適宜変更されている。
【0011】
実施形態1では、本発明に係る整流装置の基本構成が説明される。
図1は、実施形態1の整流装置100Aを備える流路構造体100Xを示す図である。
図1は、整流装置100Aの正面側から見た断面図であるA-A断面
図1011と、左側面側から見た断面図であるB-B断面
図1012とを含む。それぞれの断面の位置が、
図1の各断面図中には示されている。
【0012】
整流装置100Aは外筒110Aと、筒部120Aとを備える。実施形態1において、筒部120Aの形状は円筒である。しかし、筒部120Aは角筒や、その他の筒状の形態であってもよい。すなわち、筒部120Aの径方向の断面は、円形や楕円形、正方形、長方形、その他の多角形状であってよい。
【0013】
外筒110Aには、軸方向の一端からガス流が内部に導入される。外筒110Aにはそのための入口側開口部102Aを有している。入口側開口部102Aは、整流装置100A内部へのガスの導入口を構成している。入口側開口部102A(外筒110Aの一端)において、流入するガス流は、外筒110Aの他端側へと向かう。つまり、入口側開口部102A(外筒110Aの一端)において、整流装置100Aに流入するガス流の向きは、外筒110Aの軸に平行である。
【0014】
外筒110Aの一端に設けられた入口側開口部102Aは、外筒110Aの内径よりも小さい。すなわち、入口側開口部102Aの面積は、外筒110Aの径方向の断面積よりも小さい。よって、外筒110Aの一端に設けられた入口側開口部102A付近は、入口側開口部102Aを通じて外筒110Aの一端から他端側へと向かうガス流の、流路断面積が拡大する流路拡大部を構成している。
【0015】
外筒110Aの側壁の一部には、出口側開口部101Aが設けられている。筒部120Aは、出口側開口部101Aで外筒110Aの側壁を貫通している。筒部120Aの一方の端は外筒110Aの内部に位置し、もう一方の端は外筒110Aの外部に位置する。筒部120Aの両端は開放しており、筒部120A自体が、外筒110Aの内部から外部に流出するガス流の流路を構成している。よって、筒部120Aの上記一方の端は当該ガス流の入口部122Aである。また筒部120Aの上記もう一方の端は当該ガス流の出口部121Aである。
【0016】
整流装置100Aは、尿素水の加水分解反応を生じさせる加水分解容器に導入するガス流を通過させるための装置である。筒部120Aは、外筒110A内部からのガス流を加水分解容器に導入させる。よって、筒部120Aの出口部121A側が、加水分解容器に接続されて使用される。出口部121Aには、図示されるように配管を接続固定するためのフランジが適宜に設けられてもよい。
【0017】
図1に示された実施形態1の具体例では、外筒110Aの内部から外部に流出するガス流の流路を構成する筒部120Aの径方向断面積は、筒部120Aの軸方向に沿って一定である。外筒110Aの上記流路拡大部における流路断面積の最小部分でもある入口側開口部102Aの面積は、筒部120Aの径方向断面積以上である。しかし、筒部120Aの径方向断面積が筒部120Aの軸方向に沿って一定で無い場合には、上記流路拡大部における流路断面積の最小部分の面積が、筒部120Aの径方向断面積の最小値以上であればよい。
【0018】
図1に示されるように、流路構造体100Xは、本発明に係る整流装置100Aが、複数縦続に接続されている構成を有している。一単位の整流装置100Aに対して外部からのガス流が流入する一端(入口側開口部102A)とは反対側である他端は、その下流側の整流装置100Aのガス流が流入する一端側に相当する。よって、実施形態1に係る整流装置100Aの他端には、他端側に向けて一端(入口側開口部102A)から外筒110Aに流入するガス流の一部を反転させる制御壁114Aが設けられていることとなる。
【0019】
外筒110Aの一端(入口側開口部102A)から、外筒110Aの軸方向に導入されたガス流は、筒部120Aの外周面に妨げられて、筒部120Aを回り込んで、開口(下流側の整流装置の入口側開口部)を有する制御壁114Aに衝突する。制御壁114Aの開口部以外に衝突したガス流は反転し、筒部120Aの入口部から筒部120A内部に入り込む。そうして、整流装置100Aに導入されたガス流の一部が、筒部120Aの出口部から流出する。このように整流装置100Aの内部で、流れの方向を大きく変えることにより、整流装置100Aに導入されたガス流の撹拌、混合が促進され、ガス流が整流化されるとともに温度が均一化される。
【0020】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0021】
図2は、実施形態2に係る整流装置100Bを備える流路構造体100Yを示す図である。
図2は、整流装置100Bの正面側から見た断面図であるA-A断面
図1021と、左側面側から見た断面図であるB-B断面
図1022とを含む。それぞれの断面の位置が、
図2の各断面図中には示されている。
【0022】
実施形態2に係る整流装置100Bでは、上流側あるいは下流側の単位整流装置との境界に、配分板242Bが配置されている点が実施形態1と異なっている。配分板242Bは、多数の穴が設けられた、いわゆるパンチング板で構成されている。配分板242により、単位整流装置間のガス流の流量比が調整される。
【0023】
外筒110Bの一端では、配分板242Bが、外筒110Bの他端側にむけて一端から外筒110Bに流入するガス流の流路断面積が拡大する流路拡大部を構成している。配分板242Bの多数の穴が、入口側開口部102Bを構成している。また外筒110Bの他端側の配分板242Bは、他端側に向けて一端から外筒110Bに流入するガス流の少なくとも一部を反転させる制御壁としての役割を果たす。実施形態2によっても、実施形態1と同様の効果が奏される。
【0024】
〔実施形態3〕
以下、本発明の実施形態について、より具体的な構成について説明する。
【0025】
<加水分解装置の構成>
図3は、実施形態3に係る整流装置100を備えた、加水分解装置10を示す概略構成図である。実施形態3に係る加水分解装置10は、アンモニアを含んだガスを脱硝触媒に対して供給するための装置である。加水分解装置10は、整流装置100に加えて、バーナユニット300と、加水分解容器400とを備えている。
【0026】
バーナユニット300は、加水分解容器400に、尿素水の加水分解反応を生じさせるのに必要な高温のガスを供給するための装置である。整流装置100は、バーナユニット300と加水分解容器400との間に接続される。好ましくは、整流装置100は、加水分解容器400の直近に配置される。
【0027】
バーナユニット300には、燃焼室301、バーナ302が設けられている。バーナ302には、燃料ライン14が接続されている。燃料ライン14を通じてバーナ302に供給される燃料は、A重油、B重油、C重油、軽油、炭化水素ガスからなるガス燃料や、その他の燃料であり得る。
【0028】
また燃焼室301にはブロワ12から外気ライン13を通じて外気が導入され、燃焼室301の内部で燃料が燃焼される。燃焼室301の形状は、具体的な例示として、軸方向に長い筒状、より好ましくは円筒状であり、その底部にバーナ302が配置される。また燃焼室301には、ディーゼルエンジン等のエンジンの排ガスの抽気が、抽気ライン11を通じて導入されて、バーナユニット300の排出する燃焼ガスとエンジンの排ガスの抽気とが燃焼室301内で混合され、さらに整流装置100を通過することで、ガス流が整流化され温度が均一化される。
【0029】
加水分解装置10の動作時に、典型的には、燃焼ガスよりも抽気の割合が多いように制御される。バーナユニット300は、加水分解容器400に対して供給するガスの流量と温度を参照して、適宜に燃焼を制御する。
【0030】
加水分解容器400は、内部で尿素水を加水分解して、アンモニアを生成する装置である。加水分解容器400にはノズル401が設けられている。ノズル401には、供給ライン15を通じて尿素水が供給される。ノズル401は、加水分解容器400に導入された高温のガスに対して尿素水を噴霧する。すると噴霧された尿素水が、高温で加水分解されてアンモニアが生成される。
【0031】
加水分解容器400の形状は、具体的な例示として、軸方向に長い筒状、径方向断面略正方形の角筒状である。しかし、角筒状に限られず、円筒状であってもよい。加水分解容器400中には、更に加水分解反応を促進するための、加水分解触媒が設置されていてもよい。加水分解容器400は、アンモニアが混合された高温の処理ガスを処理ガスライン16を通じて供給する。
【0032】
<整流装置の構造>
図4は、実施形態3に係る整流装置100の構造を示す模式図である。
図4は、整流装置100の正面側から見た断面図であるA-A断面
図1041と、左側面側から見た断面図であるB-B断面
図1042とを含む。それぞれの断面の位置が、
図4中には示されている。
【0033】
整流装置100は筐体110と、筒部120とを備える。実施形態3の具体例において、筐体110の形状は、直方体である。筐体110の内部は空洞であり、筐体110に囲われた内部空間117を有している。直方体形状の筐体110の一側面(正面側の側面)が、出口側の側面である第1側面111を構成している。
【0034】
第1側面111に直交する一側面が、ガス流の入り口側の側面である第2側面112を構成している。第1側面111に対向する側面は第3側面113である。第2側面112に対向する側面は第4側面114である。他の2側面が、第5側面115(左側面)及び第6側面116(右側面)である。第5側面115は第6側面116に対向する。
【0035】
説明上の便宜のため直方体形状の筐体110に対してxyz座標系を、次の様に定義する。第1側面111及び第3側面113がx軸に直交し、第1側面111上において筐体110の内側から外側に向かう向きをx軸正方向とする。第2側面112及び第4側面114がy軸に直交する面であり、第2側面112上において筐体110の外側から内側に向かう向きをy軸正方向とする。第5側面115及び第6側面116は、z軸に直交する面であり、第5側面115が第6側面116よりもz軸正方向に位置する。
図4のA-A断面
図1041、B-B断面
図1042それぞれに、xyz座標系を掲示した。
【0036】
第2側面112上の一部には、中央部近傍に入口側開口部102が設けられている。実施形態3の具体例では、入口側開口部102は円形である。整流装置100に接続する配管(ダクト)の断面形状が通常円形であるからである。入口側開口部102は、整流装置100内部へのガスの導入口を構成している。よって、整流装置100使用時には、整流装置100外部から入口側開口部102を通じて整流装置100内部へと、y方向にガス流が導入される。このように実施形態3の具体例において入口側開口部102から導入されたガス流の方向である第2方向はy方向である。
【0037】
筐体110の第1側面111、第5側面115、第3側面113、第6側面116が、外筒を構成する。すなわちこれらの側面は外筒の側壁である。外筒の軸方向は、y方向に平行である。入口側開口部102が設けられた第2側面112が、外筒の一端に位置する。入口側開口部102が設けられた第2側面112は、流路拡大部を構成する。
【0038】
第2側面112に対向する第4側面114が、外筒の他端に位置し、第4側面114が他端側に向けて一端から外筒に流入するガス流を反転させる制御壁を構成する。実施形態3において、制御壁である第4側面114は開口の無い壁面であり、外筒の他端を閉塞している。
【0039】
第1側面111上の一部には、中央部近傍に出口側開口部101が設けられている。筒部120は、出口側開口部101で第1側面111を貫通している。筒部120は、両端が開口し、軸方向に延びた直管形状である。実施形態3の具体例では、出口側開口部101は円形であり、筒部120は円筒形状である。また実施形態3の具体例では、筒部120の内径及び外径は軸方向において略一定である。
【0040】
第1側面111を貫通している筒部120の軸方向の一方の端部である第2端部121は、筐体110の外側に配置されている。筒部120の軸方向のもう一方の端部である第1端部122は、筐体110の内部空間117中に位置している。よって、筒部120は、第1端部122から、第1側面111に向かう第1方向に延伸するように、筐体110に対して設置されている。
【0041】
実施形態3の具体例では、筒部120の軸方向(第1方向)は、第1側面111に直交している(x軸に平行)。筒部120の第2端部121及び第1端部122は、第1側面111に平行な平面(yz平面に平行な平面)上にある。
【0042】
実施形態3では、筒部120の第2端部121は、整流装置100外部へのガス流の出口を構成している。よって、整流装置100使用時には、整流装置100内部から整流装置100外部へと、x方向にガス流が流れる。つまり、筒部120は筐体110の内部空間117から外部へと第1方向に向かって流出するガス流の流路を構成している。筒部120の第2端部121は、筒部120の出口部であり、第1端部122は入口部である。その際ガス流は、第1側面111に設けられた出口側開口部101を通じて外部に流れ出することとなる。
【0043】
出口側のガス流の流路を構成する筒部120は、第1側面111を貫通して内部空間117中に突出しており、筒部120の外側面が、入口側開口部102から導入された第2方向のガス流を遮るように配置されている。入口側開口部102を第2方向(y方向)に仮想延長した空間内(入口側開口部102を第2方向に仮想的に移動した軌跡内)に筒部120の一部が配置されている。
【0044】
特に、実施形態3においては、導入口を構成している入口側開口部102の中心軸が、筒部120に交差するように、筐体110に設置されている。そのため中央部を含んで、入口側開口部102から導入された第2方向のガス流が筒部120の外側面に衝突することとなる。
【0045】
なお、
図4に表されているように、導入口を構成している入口側開口部102や、ガス流の出口を構成している筒部120の第2端部121には、配管を接続固定するためのフランジが適宜に設けられてもよい。整流装置100の筐体110及び筒部120は、ステンレスで構成することができるが、他の材料、特にその他の金属であってもよい。
【0046】
例示として、整流装置100の筐体110のサイズは、第1側面、第2側面とも、各辺が0.5~2mの範囲とすることができる。入口側開口部102が第2側面112に対して占める面積比は、1~50%程度であることが好ましい。第1端部122付近における筒部120の断面積は、第1側面に対する面積比が1~50%程度であることが好ましい。しかし、整流装置100の各部のサイズは、適用するガス流の流量に応じて、適宜設計することができる。
【0047】
<整流装置の動作>
加水分解装置10の動作時に、整流装置100は次のように作用する。バーナユニット300の排出する燃焼ガスとエンジンの排ガスの抽気とが燃焼室301内で混合されたガス流(バーナユニット300で加熱された抽気のガス流)が、整流装置100を通過して加水分解容器400に供給される。整流装置100の入口側開口部102から内部に導入される、流れの主方向である第2方向がy方向であるガス流は、第1方向であるx軸方向に延伸する筒部120の外側面に衝突して、筒部120の後方に回り込む。
【0048】
ガス流は、入口側開口部102に対向する、筐体110の一部である第4側面114によって更にy方向には進むことはできず、その方向が変えられる。よって入口側開口部102から導入された第2方向のガス流は、第4側面114によって方向が変えられ、少なくともその一部は反転することとなる。
【0049】
実施形態3において第4側面114は、このように入口側開口部102から導入された第2方向のガス流の向きを制御する制御壁を構成している。よってこの場合、制御壁は内部空間117に面する位置に配置されている。そうして、ガス流は、全体としてx軸負方向に流れの向きを変えたうえで、筒部120の第1端部122に達する。
【0050】
更にガス流は、x軸正方向に流れの向きを変え、第1端部122から筒部120に入り込み、筒部120に導かれて出口(筒部120の第2端部121)から流出する。このように整流装置100の内部で、流れの方向を大きく変えることにより、ガス流の撹拌、混合が促進される。また、ガス流が入口側開口部102付近で筒部120に衝突するように配置されていることで、筒部120を回り込んだガス流は、筒部120の後方で渦を生成することがある。このような渦の生成によっても、ガス流の撹拌、混合が促進される。
【0051】
こうして、供給されたガス流の温度分布が小さくなるとともに、入口側開口部102から導入されるガス流が偏流であったとしても是正されて流速分布が整流化され、整流装置100から排出される。整流装置100を通過したガス流は、好ましくは直ちに加水分解容器400に導入される。すると、ガス流の温度分布や流速分布が小さいために、加水分解容器400内部で尿素水の加水分解反応が、確実に進むようになる。
【0052】
整流装置100の導入口である入口側開口部102は、第2側面112の一部に設けられているため、整流装置100に導入されるガス流の断面積は、整流装置100に導入された時点で実質的に拡大している。第2方向である第2側面112に垂直な方向に導入されるガス流の断面積は、入口側開口部102を通過する時点で、入口側開口部102の面積である。そうして、筐体110内部に導入された時点で、その流路は、筐体の第1側面111、第3側面113、第1側面111と第2側面112とに交差する2つの側面で規定されたものとなる。よってガス流の流路の断面積は、実質的に第2側面112の面積に拡大する。
【0053】
更にガス流は、整流装置100から排出される時点で、筒部120の第1端部122付近の断面積で規定される流路によって再度絞られる(第1側面111よりも面積が縮小される)。このように、整流装置100の内部では、ガス流の断面積は実質的に拡大しているから、ガス流の撹拌、混合を促進するに当たって、整流装置100が大きな排気抵抗を生じさせてしまうことが無い。
【0054】
一般には装置間での配管を十分に長くすることで、配管中でのガス流の混合を進めることができる。しかし、そのような技術を加水分解装置に適用した場合には、熱損失の原因となり、加水分解装置のシステム効率を低下させてしまう。また長い配管を要することは、加水分解装置の、コンパクト化を阻害することにもなる。加水分解装置を船舶等の輸送機器に適用する場合には、そのコンパクト化は重要項目である。
【0055】
一方、実施形態3に係る整流装置100は、加水分解容器400の直前に設置し得る全体として箱型のコンパクトな形状である。整流装置100における熱損失は小さい。また、配管で均一化を行う対応では、その長さや取り回し(ターン)など様々な要因によってガス流の分布が影響され、適用事例ごとのその場対応となってしまうが、整流装置100を適用すればそのような問題も生じない。
【0056】
ガス流の分布を改善するために、配管中に整流のための公知の部材を設けることも検討され得るが、一般にこれらは排気抵抗の増大につながり、加水分解装置のシステム効率の悪化を引き起こしてしまう。しかし、整流装置100では、大きな排気抵抗を生じさせてしまうことが無い。
【0057】
以上のように、整流装置100を適用した加水分解装置10では、ガス流の均一化による加水分解反応が不十分となることの低減、加水分解装置10でのエネルギー損失低減(排気抵抗低減、熱損失低減)、加水分解装置10のコンパクト化が、並立して実現される。
【0058】
実施形態3の整流装置100において、その筐体110は直方体形状であった。直方体形状であれば製作が容易であり、またガス流の導入口と出口との関係を直交の配置とできるため効果的にガス流の分布の均一化ができ好ましい。しかし、本発明の適用は、筐体が直方体の場合に限られるものでは無く、ある側面が平行四辺形や台形形状となっているような立体形状でもよい。あるいは、筐体が球形、卵型、円筒形、樽型等であるような立体形状であってもよい。
【0059】
実施形態3の整流装置100において、筐体110の内部空間117から外部に流出するガス流の流路の方向である第1方向と、入口側開口部102を通じて外部から筐体110の内部空間117に向かうガス流の方向である第2方向とが垂直(90°)である場合が例示された。しかし第1方向と第2方向とが厳密に垂直である場合に限られず、80°から100°の程度の範囲内の略垂直であれば、その効果に差異が生じるものではない。
【0060】
更に本発明の適用はこのような例に限られず、第1方向と第2方向とが異なる方向であり、筐体110の内部でガス流の向きが上述のように変えさせられることにより偏流の整流化が実現されるものであれば、更に異なる設計のものであってもよい。
【0061】
<その他>
上述のように、実施形態3の具体例において、バーナユニット300の燃焼室301は軸方向に長い筒状である。また加水分解容器400は、軸方向に長い筒状である。従って、加水分解装置10としては、バーナユニット300の燃焼室301と加水分解容器400とが、軸方向を平行にして並ぶように配置すると、全体がコンパクトとなる点からは好ましい。
【0062】
しかし、加水分解装置10の各機器の配置はこれに限られるものでは無い。特に、船舶等の輸送機器に設置する場合等のように、スペースに制約があると、設置場所のスペースの形状に適合させて配置を設計することが必要となる。なお、加水分解容器400の設置方向については、加水分解容器400内部のガス流の流れが鉛直方向(縦置き)であってよいし、水平方向(横置き)であってもよいし、その他の向きであってもよい。
【0063】
〔変形例1〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0064】
変形例1は、実施形態3の変形例であり、整流装置の構成が異なる他は、実施形態3と同様である。
図5は、変形例1に係る整流装置200の構造を示す模式図である。
図5は、整流装置200の正面側から(x軸負方向に)見た断面図であるA-A断面
図1051と、左側面側から(z軸負方向に)見た断面図であるB-B断面
図1052とを含む。
【0065】
整流装置200では、筐体110の内部空間117において、筒部120の延伸する方向(第1側面に垂直な方向、x軸方向)に沿って、第4側面114と、筒部120との間に亘って、平面状の分離板201が配置されている。分離板201は、第1側面111及び第2側面112に垂直(xy平面に平行)である。
【0066】
このように分離板201は、筒部120と制御壁(第4側面114)との間の外筒内に配置され、筒部120の長手方向(x軸方向)と、外筒の一端から他端への方向(y軸方向)とに延びる平面状である。分離板201は、整流装置200外部から入口側開口部102を通じて整流装置200内部へと、導入されたガス流が筒部120の外側面に衝突する、その後方に設けられている。
【0067】
分離板201は、整流装置200内部へと導入されたガス流の一部に極端な偏流があった場合の筒部120を何度も周回する流れを防止し、分離板201の両側の流量分布を均一化する。なお、分離板201は、筒部120と第4側面114との間を隙間なく塞ぐ平面板であってもよいが、ガス流を制御する目的の範囲で適宜に隙間があってもよいものである。
【0068】
〔変形例2〕
変形例
2は、実施形態3の変形例であり、整流装置の筒部の形状が異なる他は、実施形態3と同様である。
図6は、変形例2に係る整流装置210の構造を示す模式図であり、
図4におけるB-B断面
図1042に相当する。
【0069】
整流装置210では、筒部211の径が、第1端部122付近で、第1端部122に向けて拡がっているように構成されている。このようにテーパー212が付いていることで、内部空間117から筒部211内部にガス流が、よりスムーズに流れ込むようになる。すると筒部211内壁に沿ってもガス流が流れやすくなり、流れの圧力抵抗を減らし、筒部211内部での流速の分布をより抑制させることができる効果がある。従って、筒部211のこのようなテーパー形状を採用すれば、加水分解容器に提供するガス流の流速の分布をより均一化できる。
【0070】
〔変形例3〕
変形例3は、実施形態3の変形例であり、整流装置の構成が異なる他は、実施形態3と同様である。
図7は、変形例
3に係る整流装置220の構造を示す模式図であり、
図4におけるB-B断面
図1042に相当する。
【0071】
整流装置220では、筐体110の第3側面113にメンテナンス用開口部103(マンホール)が開口している。筐体110の第3側面113は、筒部120の第1端部122(入口部)に対向する外筒の側面である。メンテナンス用開口部103は、通常時は閉止板221で閉塞されている。閉止板221は取り外し可能に筐体110に固定されており、メンテナンス時に取り外して内部空間117に作業者がアクセスできるように構成されている。
【0072】
閉止板221の筐体110への固定は、筐体110に設けられるフランジへのボルトとナットによる固定で行うことができる。あるいは、第3側面113に設けられたネジ穴にボルトで固定する、第3側面113に設けられた固定レバーで固定するなど、その他の方法によってもよい。このようにメンテナンス用開口部103と閉止板221を適用すれば、メンテナンス時に容易に内部空間117にアクセスできる整流装置が実現できる。
【0073】
〔構成例1〕
構成例1では、本発明の一態様に係る加水分解装置における、整流装置と加水分解容器の接続についての構成をより詳細に説明する。
図8は、整流装置220に、加水分解容器への配管部品500を取り付けた状態を示す概略図である。配管部品500は、ガス流の出口である筒部120の第2端部121にその一方の端が接続されている。
図8においては、第2端部121に設けられたフランジにより、配管部品500が固定される。
【0074】
配管部品500のもう一方の端は、筒状の加水分解容器400の入口側に接続される。構成例1では、加水分解容器400の入口側の断面積が整流装置220の出口(筒部120の第2端部121)の断面積より大きく、ガス流が進む方向(x軸方向)に沿って、徐々に広がる形状を配管部品500が有している。このように、整流装置220の出口(筒部120の第2端部121)から、加水分解容器400の入り口にかけて、断面形状が徐々に変わる配管部品500を用いることで、加水分解容器400に供給されるガス流の流速分布を少なくし一様化の効果を発揮することができる。
【0075】
〔構成例2〕
構成例2は、構成例1に変わる、整流装置と加水分解容器の接続についての構成を示す。
図9は、構成例2に係る整流装置230の構造を示す模式図である。整流装置230では、構成例1における配管部品500の役割を、整流装置230自身に取り込んでいる。整流装置230の出口側の第1側面111は実際には取り払われており、第1側面111全体が出口側開口部101を構成している。そうして出口側開口部101が、加水分解容器に直接接続される。
【0076】
整流装置230の筒部231の第1端部122が内部空間117に位置している点は、実施形態3の整流装置100と同様である。筒部231は、第1端部122から第1側面111(出口側開口部101)の方向に向けて延伸するが、第1側面111(出口側開口部101)には至らない。筒部231の第2端部121は、整流装置230の筐体内部に位置する。
【0077】
筒部231は、第1端部122付近は直管状であるが、途中から第2端部121(出口部)に向けて徐々に広がっている。このように、構成例2では、筒部231には、第1端部122(入口部)から第2端部121(出口部)に向かうにつれて、筒部231の径方向断面積が拡大する筒部拡大部232が設けられている。構成例2では、筒部拡大部232が、構成例1における配管部品500の役割を果たす。
【0078】
構成例2によれば、整流装置と加水分解容器の接続のための配管部品の機能を、整流装置230自体が内部に取り込んでいるから、整流装置230を適用した加水分解装置をよりコンパクトに構成できる。
【0079】
〔構成例3〕
構成例3では、加水分解装置において、整流装置の入口側開口部102に接続し得る配管用の部品の例を説明する。
図4に示される整流装置100の入口側開口部102に導入されるバーナユニット300からのガス流において、z方向(筒部120の軸方向に直交する方向)に極端な温度差や流速差があると、十分に均一化がされにくい怖れがある。しかし、x方向(筒部120の軸方向)には極端な温度差があったとしても、整流装置100内部で、x方向にはガス流の向きが大きく変えられていることで、ガス流がよく撹拌、混合されて、均一化がされやすい。
【0080】
従って、整流装置100の入口側開口部102に導入されるバーナユニット300からのガス流においてある方向に極端な温度差や流速差がある場合には、それを整流装置100に配置するとよい。すなわち
図10に示すような旋回装置600を適宜、整流装置の入口側開口部102に接続することで、所要の方向の分布へと変更することができる。旋回装置600は、通過するガス流を、進むにつれて中心軸周りに旋回させるような配管部品である、
図示されるように、旋回装置600は、円筒部601と、円筒部601の内部に設けられたねじれ板602からなる。ねじれ板602は、円筒部601の内部の空間を2分割し、円筒部601の軸方向に進むにつれて中心軸まわりにねじれる板状の部材である。旋回装置600の径方向の断面を、中心軸に沿って観察すると、ねじれ板602の断面が徐々に回転するように構成されている。
【0081】
図10の旋回装置600は、ガス流の入口側と出口側で、90°ねじれる構成であるが、ねじれの角度は、整流装置100の入口側開口部102での分布の方向に応じて、適宜設定すればよい。
【0082】
〔実施形態4〕
図11は、実施形態4に係る整流装置240を備えた、加水分解装置20を示す概略構成図である。図示されるように、実施形態4に係る加水分解装置20は、実施形態3に係る加水分解装置10とは異なり、加水分解容器400を2式備えている。そのため、実施形態4に係る整流装置240は、ガス流の出口を2つ備えている。それぞれの加水分解容器400からの処理ガスは、合流して処理ガスライン16を通じて外部に供給される。
【0083】
図12は、整流装置240の構造を示す模式図であり、
図4におけるB-B断面
図1042に相当する。整流装置240では、筐体241の第1側面111に2つの出口側開口部101が、y方向(第2側面112に垂直な方向)に並んで配置されている。それぞれの出口側開口部101に筒部120が貫通しており、2つの出口(筒部120の第2端部121)を構成している。
【0084】
筐体241の内部空間117には、第2側面112と平行(zx平面に平行)な、内部空間117を二分する配分板242が設けられている。配分板242は、多数の穴が設けられた、いわゆるパンチング板で構成されている。配分板242により、2つの出口からのガス流の流量比が調整される。
【0085】
また、配分板242は、入口側開口部102に近い側の筒部120を通じて流出するガス流に対しての、入口側開口部102から第2方向に導入されたガス流の少なくとも一部を反転させる制御壁としての役割を果たす。当該役割は、実施形態3に係る整流装置100の第4側面114の果たす作用に相応するものである。更に配分板242は、入口側開口部102に遠い側の筒部120を通じて流出するガス流に対しては、実施形態3に係る整流装置100の入口側開口部102に相応する役割を果たすものである。
【0086】
実施形態4によっても、実施形態3と同様の効果が奏される。また、実施形態4の構成によれば、加水分解容器400を複数用いることにより、加水分解装置の能力のスケールアップを容易に実施することができる。
【0087】
〔変形例4〕
変形例4は、実施形態4の変形例であり、整流装置の構成が異なる他は、実施形態4と同様である。
図13は、変形例4に係る整流装置250の構造を示す模式図である。
図13は、整流装置250の正面側から(x軸負方向に)見た断面図であるA-A断面
図1131と、左側面側から(z軸負方向に)見た断面図であるB-B断面
図1132とからなる。
【0088】
整流装置250では、筐体251の第1側面111に2つの出口側開口部101が、z方向(第2側面112に平行)に並んで配置されている。それぞれの出口側開口部101に筒部120が貫通しており、2つの出口(筒部120の第2端部121)を構成している。複数の筒部120の中心軸は、外筒(第1側面111、第5側面115、第3側面113、第6側面116)の一端から多端への方向(y軸方向)に直交する平面上に位置する。
【0089】
第2側面112の一部に設けられた入口側開口部102から筐体251の内部空間117へと第2方向(y方向)に導入されるガス流が、それぞれの筒部120に遮られるように構成されている。実施形態3の場合と同様に、入口側開口部102を第2方向(y方向)に仮想延長した空間内(入口側開口部102を第2方向に仮想的に移動した軌跡内)にそれぞれの筒部120の一部は配置されている。一方、変形例4においては、入口側開口部102の中心軸は、筒部120には交差しない。
【0090】
〔変形例5〕
変形例5は、整流装置に2つのガス流の導入口がある場合の例である。
図14は、変形例5に係る整流装置260の構造を示す模式図である。変形例5に係る整流装置260では、筐体261の第2側面112に加えて、第1側面111及び第2側面112に直交する側面(
図14の事例では第5側面)の一部にも入口側開口部105が設けられて、内部空間1
17への2つの導入口が構成されている。
【0091】
入口側開口部105の中心軸もまた、筒部120に交差するように配置されている。よって、入口側開口部102から内部空間117に流入するガス流は、筒部120の外周面によって遮られ、入口側開口部105から内部空間117に流入するガス流もまた、筒部120の外周面によって遮られる。
【0092】
整流装置260では、
図4に示された整流装置100と同様に、筐体261の第1側面111、第5側面115、第3側面113、第6側面116が、外筒を構成すると捉えてよい。この場合、入口側開口部102が設けられた第2側面112が、外筒の一端に位置する。入口側開口部102が設けられた第2側面112は、流路拡大部を構成する。第2側面112に対向する第4側面114が、外筒の他端に位置し、第4側面114が他端側に向けて一端から外筒に流入するガス流を反転させる制御壁を構成する。
【0093】
しかし、整流装置260では、もう一つの入口側開口部105に着目して、以下のように捉えてもよい。筐体261の第1側面111、第2側面112、第3側面113、第4側面114が、外筒を構成する。この場合、入口側開口部105が設けられた第5側面115が、外筒の一端に位置する。入口側開口部105が設けられた第5側面115は、流路拡大部を構成する。第5側面115に対向する第6側面116が、外筒の他端に位置し、第6側面116が他端側に向けて一端から外筒に流入するガス流を反転させる制御壁を構成する。制御壁である第6側面116は開口の無い壁面であり、外筒の他端を閉塞している。
【0094】
〔変形例6〕
変形例6は、整流装置に2つのガス流の導入口がある場合の別の例である。
図15は、変形例6に係る整流装置270の構造を示す模式図である。変形例6に係る整流装置270では、筐体271の第2側面112に、2つの入口側開口部102が設けられて、内部空間117への2つの導入口が構成されている。2つの入口側開口部102は、z軸方向に沿って配置されている。
【0095】
それぞれの入口側開口部102の中心軸は、筒部120に交差するように配置されている。よって、それぞれの入口側開口部102から内部空間117に流入するガス流は、筒部120の外周面によって遮られる。整流装置270では、第4側面114が、いずれの入口側開口部102から内部空間117に流入するガス流に対しても、ガス流を反転させる制御壁を構成している。なお、2つの入口側開口部102は、x軸方向に沿って並ぶように配置されてもよい。
【0096】
〔変形例7〕
変形例7は、整流装置に2つのガス流の導入口がある場合の別の例である。
図16は、変形例7に係る整流装置280の構造を示す模式図である。
図16は、整流装置280の正面側から(x軸負方向に)見た断面図であるA-A断面
図1161と、左側面側から(z軸負方向に)見た断面図であるB-B断面
図1162とからなる。
【0097】
変形例7に係る整流装置280では、筐体281の第2側面112に、2つの入口側開口部102が設けられて、内部空間117への2つの導入口が構成されている。2つの入口側開口部102は、筒部120の軸方向すなわちx軸方向に沿って配置されている。
【0098】
それぞれの入口側開口部102の中心軸は、筒部120に交差するように配置されている。よって、それぞれの入口側開口部102から内部空間117に流入するガス流は、筒部120の外周面によって遮られる。整流装置280では、第4側面114が、いずれの入口側開口部102から内部空間117に流入するガス流に対しても、ガス流を反転させる制御壁を構成している。
【0099】
変形例5の整流装置260、変形例6の整流装置270、あるいは変形例7の整流装置280を適用する加水分解装置においては、一方の入口側開口部にバーナユニット300から供給されるガス流を導入し、もう一方の入口側開口部に、抽気ライン11を接続することができる。この場合、抽気ライン11は、バーナユニット300に接続されなくともよい。すなわち、抽気と燃焼ガスとを整流装置260、270、280中で混合する構成としてもよい。
【0100】
〔実施形態5〕
実施形態5では、実施形態3の加水分解装置10が適用された脱硝設備の基本構成が説明される。
図17は、実施形態5に係る脱硝設備1の構成を示す概略図である。脱硝設備1は、加水分解装置10と脱硝触媒19とを備えている。また脱硝設備1は、抽気ライン11、処理ガスライン16、排ガスライン17、排気ライン18を備えている。
【0101】
なお、
図3に示される各ラインが実際には加水分解装置10に接続される。しかし図面の煩雑化を避けるため、
図17では、加水分解装置10に接続されるラインのうち、抽気ライン11と処理ガスライン16のみを示している。以下の実施形態においても同様である。
【0102】
加水分解装置10には、抽気ライン11より抽気が導入され、処理ガスライン16を通じて脱硝触媒19に対してアンモニアを含んだ高温のガスである処理ガスを供給する。脱硝触媒19には排ガスライン17を通じて、ディーゼルエンジン等のエンジンの排ガスが導入される。
【0103】
処理ガスライン16は、脱硝触媒19に導入される前に、排ガスラインに合流する。よって、加水分解装置10の処理ガスは、脱硝触媒19に導入される前に排ガスに混合される。アンモニアを含んだ処理ガスが排ガスに混合されて脱硝触媒19を通過することにより、排ガスの脱硝処理が行われる。こうして清浄化された排ガスが、脱硝触媒19から排気ライン18を通じて排出される。
【0104】
〔実施形態6〕
実施形態6では、実施形態3の加水分解装置10が適用された脱硝設備の構成の事例が説明される。実施形態6において、脱硝設備は複数のエンジンからの排ガスの処理に対応する。
図18は、実施形態6に係る脱硝設備2の構成を示す概略図である。
図18には、複数のエンジンの例示として、エンジン21が3機示されている。
【0105】
脱硝設備2は、加水分解装置10を1台と、各々のエンジン21に対応する3台の脱硝触媒19とを備えている。また脱硝設備2は、抽気ライン11、処理ガスライン16を備えている。更に脱硝設備2は、各々のエンジン21に対応するそれぞれ3式の、排ガスライン17、排気ライン18、バイパスライン22を備えている。
【0106】
加水分解装置10には、抽気ライン11より抽気が導入され、処理ガスライン16を通じて各々の脱硝触媒19に対して処理ガスを供給する。各々の脱硝触媒19にはそれぞれ排ガスライン17を通じて、対応するエンジン21からの排ガスが導入される。分岐された処理ガスライン16がそれぞれの排ガスライン17に合流することで、加水分解装置10の処理ガスは、各々の脱硝触媒19に導入される前に排ガスに混合される。アンモニアを含んだ処理ガスが排ガスに混合されて脱硝触媒19を通過することにより、排ガスの脱硝処理が行われる。こうして清浄化された排ガスが、脱硝触媒19から排気ライン18を通じて排出される。
【0107】
また、それぞれの排ガスライン17からは、処理ガスライン16が合流するより上流側で、バイパスライン22が分岐する。バイパスライン22の先は、それぞれ排気ライン18に接続されている。バイパスライン22は、エンジン21からの排ガスを脱硝触媒19を通さずに直接排気ライン18に流すための配管(バイパス機構)である。
【0108】
バイパスライン22の排ガスライン17との分岐部及び排気ライン18との合流部には、バルブが設けられている。エンジン21及び脱硝設備2の運転状態に応じてバルブの開閉が調整され、エンジン21からの排ガスの脱硝触媒19(脱硝機構側)、バイパスライン22(バイパス機構側)を通す比率や、各ラインの閉止が適宜制御される。実施形態6によれば、複数のエンジンからの排ガスに対応できる脱硝設備2が実現される。
【0109】
抽気ライン11を通じて加水分解装置10に供給される抽気の取得位置は、排ガスライン17中であってもよいし、排気ライン18中であってもよい。抽気の取得位置は、公知技術に基づいて適宜選択し得る。その点について、他の実施形態、構成例においても同様である。
【0110】
〔実施形態7〕
実施形態7では、実施形態3の加水分解装置10が適用された脱硝設備の構成の別の事例が説明される。実施形態7において、脱硝設備は複数のエンジンからの排ガスの処理に対応する。
図19は、実施形態7に係る脱硝設備3の構成を示す概略図である。
図19には、複数のエンジンの例示として、エンジン21が3機示されている。
【0111】
脱硝設備3は、加水分解装置10を1台と、3機のエンジン21に対応する1台の脱硝触媒19とを備えている。また脱硝設備3は、抽気ライン11、処理ガスライン16を備えている。更に脱硝設備3は、排気ライン18、バイパスライン22と、各々のエンジン21に対応する3式の排ガスライン17を備えている。3式の排ガスライン17は合流して脱硝触媒19に接続される。
【0112】
加水分解装置10には、抽気ライン11より抽気が導入され、処理ガスライン16を通じて脱硝触媒19に対して処理ガスを供給する。処理ガスライン16が合流後の排ガスライン17に更に合流することで、加水分解装置10の処理ガスは、脱硝触媒19に導入される前に排ガスに混合される。アンモニアを含んだ処理ガスが排ガスに混合されて脱硝触媒19を通過することにより、排ガスの脱硝処理が行われる。こうして清浄化された排ガスが、脱硝触媒19から排気ライン18を通じて排出される。
【0113】
また、排ガスライン17からは、処理ガスライン16が合流するより上流側で、バイパスライン22が分岐する。バイパスライン22の先は、排気ライン18に接続されている。バイパスライン22は、エンジン21からの排ガスを脱硝触媒19を通さずに直接排気ライン18に流すための配管(バイパス機構)である。
【0114】
バイパスライン22の排ガスライン17との分岐部及び排気ライン18との合流部には、バルブが設けられている。エンジン21及び脱硝設備3の運転状態に応じてバルブの開閉が調整され、エンジン21からの排ガスの脱硝触媒19(脱硝機構側)、バイパスライン22(バイパス機構側)を通す比率や、各ラインの閉止が適宜制御される。実施形態7によれば、複数のエンジンからの排ガスに対応できる脱硝設備3が実現される。
【0115】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る整流装置は、尿素水の加水分解反応を生じさせる加水分解容器に導入するガス流を通過させる整流装置であって、一端からガス流が、他端側に向けて流入する外筒と、前記外筒内または前記外筒の他端に位置し、前記他端側に向けて前記一端から前記外筒に流入するガス流の少なくとも一部を反転させる制御壁と、前記一端と前記制御壁との間の前記外筒内に少なくとも一部が配置され、前記外筒の内部から前記外筒の側壁を貫通して外部に流出するガス流の流路を構成して、前記外筒内からのガス流を前記加水分解容器に導入させる、ガス流の入口部及び出口部が設けられた筒部と、を備える。
【0116】
本発明の態様2に係る整流装置は、上記の態様1において、前記筒部の前記入口部が前記一端と前記制御壁との間の前記外筒内に位置し、前記出口部が前記外筒外に位置し、前記筒部の外周面が、前記他端側に向けて前記一端から前記外筒に流入するガス流の少なくとも一部を遮るように配置されている構成を備えていてもよい。
【0117】
本発明の態様3に係る整流装置は、上記の態様1または2において、前記筒部と前記制御壁との間の前記外筒内に配置され、前記筒部の長手方向と、前記一端から前記他端への方向とに延びる、平面状の分離板を備えていてもよい。
【0118】
本発明の態様4に係る整流装置は、上記の態様1から3のいずれかにおいて、前記筒部には、前記入口部から前記出口部に向かうにつれて、前記筒部の径方向断面積が拡大する筒部拡大部が設けられる構成を備えていてもよい。
【0119】
本発明の態様5に係る整流装置は、上記の態様1から4のいずれかにおいて、前記外筒の前記一端には、前記他端側に向けて前記一端から前記外筒に流入するガス流の流路断面積が拡大する流路拡大部が設けられる構成を備えていてもよい。
【0120】
本発明の態様6に係る整流装置は、上記の態様5において、前記流路拡大部における前記流路断面積の最小部分の断面積は、前記筒部の径方向断面積の最小部分の断面積以上である構成を備えていてもよい。
【0121】
本発明の態様7に係る整流装置は、上記の態様1から6のいずれかにおいて、前記筒部の前記入口部に対向する前記外筒の側壁には、メンテナンス用開口部と、前記メンテナンス用開口部を閉塞する取り外し可能な閉止板が設けられている構成を備えていてもよい。
【0122】
本発明の態様8に係る整流装置は、上記の態様1から7のいずれかにおいて、前記制御壁は、前記外筒の前記他端を閉塞する構成を備えていてもよい。
【0123】
本発明の態様9に係る整流装置は、上記の態様1から8のいずれかにおいて、前記筒部を複数備え、複数の前記筒部の中心軸が、前記外筒の前記一端から前記他端への方向に略直交する平面上に位置する構成を備えていてもよい。
【0124】
本発明の態様10に係る加水分解装置は、上記の態様1から9のいずれかの整流装置と、前記加水分解容器と、前記整流装置に対し、燃料を燃焼することで加熱したガスを供給するバーナユニットと、を備える。
【0125】
本発明の態様11に係る加水分解装置は、上記の態様9の整流装置と、それぞれの前記筒部を通じて流出したガス流を、それぞれ受け入れる複数の前記加水分解容器と、前記整流装置に対し、燃料を燃焼することで加熱したガスを供給するバーナユニットと、を備える。
【0126】
本発明の態様12に係る加水分解装置は、上記の態様10または11において、前記バーナユニットからの、前記外筒の前記一端を通じて前記整流装置に導入するガス流を、前記外筒の中心軸周りに旋回させてから前記整流装置に導入させる旋回装置を、更に備えていてもよい。
【0127】
本発明の態様13に係る加水分解装置は、上記の態様10から12のいずれかにおいて、前記加水分解容器は、軸方向に長い筒状であり、前記バーナユニットの燃料を燃焼するための燃焼室は、軸方向に長い筒状であり、単数または複数の前記加水分解容器の軸方向と、前記燃焼室の軸方向とが、平行に並ぶように、単数または複数の前記加水分解容器と、前記バーナユニットとが配置される構成を備えていてもよい。
【0128】
本発明の態様14に係る脱硝設備は、エンジンからの排ガスの脱硝処理を行う脱硝設備であって、上記の態様10から13のいずれかの加水分解装置と、前記排ガスと、前記加水分解容器からの処理ガスとを混合し、脱硝触媒に導入してから排出する脱硝機構と、を備える。
【0129】
本発明の態様15に係る脱硝設備は、複数のエンジンからの排ガスの脱硝処理を行う脱硝設備であって、上記の態様10から13のいずれかの加水分解装置を備え、更に、前記複数のエンジンのそれぞれについて、前記エンジンからの排ガスと、前記加水分解容器からの処理ガスとを混合し、脱硝触媒に導入してから排出する脱硝機構と、前記エンジンからの排ガスを、前記脱硝機構をバイパスして排出するバイパス機構と、を備える。
【0130】
本発明の態様16に係る脱硝設備は、複数のエンジンからの排ガスの脱硝処理を行う脱硝設備であって、上記の態様10から13のいずれかの加水分解装置と、前記複数のエンジンからの排ガスと、前記加水分解容器からの処理ガスとを混合し、脱硝触媒に導入してから排出する脱硝機構と、前記複数のエンジンからの排ガスを、前記脱硝機構をバイパスして排出するバイパス機構と、を備える。
【0131】
本発明の態様17に係る整流装置は、尿素水の加水分解反応を生じさせる加水分解容器に導入するガス流を、通過させる整流装置であって、筐体と、筒部と、制御壁とを備え、前記筒部は、第1端部が前記筐体の内部空間内に位置し、前記第1端部から第1方向に向かって延伸するように配置されて、前記筐体の一部に、前記第1端部からの前記第1方向に設けられた出口側開口部を通じて前記筐体の内部空間から外部に流出するガス流の流路を構成し、前記筐体の一部には、外部から前記筐体の内部空間に向かう第2方向のガス流を導入するための入口側開口部が設けられ、前記制御壁は、前記入口側開口部に対向する、前記内部空間に面する位置かまたは前記内部空間内に位置するとともに、前記筒部に対して前記入口側開口部とは、前記第2方向に沿って反対の側に配置され、前記入口側開口部から導入された前記第2方向のガス流は、前記制御壁によって、少なくともその一部が反転させられ、前記第1方向と、前記第2方向とが、互いに異なる方向である構成を備える。
【0132】
本発明の態様18に係る整流装置は、尿素水の加水分解反応を生じさせる加水分解容器に導入するガス流を、通過させる整流装置であって、筐体と、筒部とを備え、前記筒部は、第1端部が前記筐体の内部空間内に位置し、前記第1端部から第1方向に向かって延伸するように配置されて、前記筐体の一部に、前記第1端部からの前記第1方向に設けられた出口側開口部を通じて前記筐体の内部空間から外部に流出するガス流の流路を構成し、前記筐体の一部には、外部から前記筐体の内部空間に向かう第2方向のガス流を導入するための入口側開口部が設けられ、前記第1方向と、前記第2方向とが、互いに異なる方向である構成を備える。
【0133】
本発明の態様19に係る整流装置は、上記の態様18において、前記入口側開口部から導入された前記第2方向のガス流は、前記入口側開口部と対向する前記筐体の一部によって、少なくともその一部が反転させられる構成としてもよい。
【0134】
本発明の態様20に係る整流装置は、上記の態様17から19のいずれかにおいて、前記筒部の外側面が、前記入口側開口部から導入された前記第2方向のガス流を遮るように配置されている構成としてもよい。
【0135】
本発明の態様21に係る整流装置は、上記の態様17から20のいずれかにおいて、前記入口側開口部の前記第2方向への仮想延長空間内に前記筒部の少なくとも一部が配置される構成としてもよい。
【0136】
本発明の態様22に係る整流装置は、上記の態様17から21のいずれかにおいて、前記入口側開口部の中心軸は、前記筒部に交差する構成としてもよい。
【0137】
本発明の態様23に係る整流装置は、上記の態様17から22のいずれかにおいて、前記入口側開口部から導入された前記第2方向のガス流の断面積は、前記入口側開口部から前記筐体の内部空間に導入される際に拡大される構成としてもよい。
【0138】
本発明の態様24に係る整流装置は、上記の態様17から23のいずれかにおいて、前記第1方向と前記第2方向とは、略垂直の関係にある構成としてもよい。
【0139】
本発明の態様25に係る整流装置は、上記の態様17から24のいずれかにおいて、前記筐体の内部空間において、前記筒部に対して前記入口側開口部とは反対側に、前記第1方向及び前記第2方向に略平行な平面状の分離板を、更に備える構成としてもよい。
【0140】
本発明の態様26に係る整流装置は、上記の態様17から25のいずれかにおいて、前記筒部の径は、前記第1端部付近において前記第1端部に向かうにつれて拡がっている構成としてもよい。
【0141】
本発明の態様27に係る整流装置は、上記の態様17から26のいずれかにおいて、前記出口側開口部に対向する前記筐体の一部には、メンテナンス用開口部と、前記メンテナンス用開口部を閉塞する取り外し可能な閉止板が設けられている構成としてもよい。
【0142】
本発明の態様28に係る整流装置は、上記の態様17から27のいずれかにおいて前記筒部を複数備える構成としてもよい。
【0143】
本発明の態様29に係る加水分解装置は、上記の態様17から28のいずれかの整流装置と、前記加水分解容器と、前記整流装置に対し、燃料を燃焼することで加熱したガスを供給するバーナユニットと、を備える。
【0144】
本発明の態様30に係る加水分解装置は、上記の態様28の整流装置と、それぞれの前記筒部を通じて流出したガス流を、それぞれ受け入れる複数の前記加水分解容器と、前記整流装置に対し、燃料を燃焼することで加熱したガスを供給するバーナユニットと、を備える。
【0145】
本発明の態様31に係る加水分解装置は、上記の態様29または30において、前記バーナユニットからの、前記入口側開口部を通じて前記整流装置に導入するガス流を、前記入口側開口部の中心軸周りに旋回させてから前記整流装置に導入させる旋回装置を、更に備える構成としてもよい。
【0146】
本発明の態様32に係る加水分解装置は、上記の態様29から31のいずれかにおいて、前記加水分解容器は、軸方向に長い筒状であり、前記バーナユニットの燃料を燃焼するための燃焼室は、軸方向に長い筒状であり、単数または複数の前記加水分解容器の軸方向と、前記燃焼室の軸方向とが、平行に並ぶように、単数または複数の前記加水分解容器と、前記バーナユニットとが配置される構成としてもよい。
【0147】
本発明の態様33に係る脱硝設備は、エンジンからの排ガスの脱硝処理を行う脱硝設備であって、上記の態様29から32のいずれかの加水分解装置と、前記排ガスと、前記加水分解容器からの処理ガスとを混合し、脱硝触媒に導入してから排出する脱硝機構と、を備える。
【0148】
本発明の態様34に係る脱硝設備は、複数のエンジンからの排ガスの脱硝処理を行う脱硝設備であって、上記の態様29から32のいずれかの加水分解装置を備え、更に、前記複数のエンジンのそれぞれについて、前記エンジンからの排ガスと、前記加水分解容器からの処理ガスとを混合し、脱硝触媒に導入してから排出する脱硝機構と、前記エンジンからの排ガスを、前記脱硝機構をバイパスして排出するバイパス機構と、を備える。
【0149】
本発明の態様35に係る脱硝設備は、複数のエンジンからの排ガスの脱硝処理を行う脱硝設備であって、上記の態様29から32のいずれかの加水分解装置と、前記複数のエンジンからの排ガスと、前記加水分解容器からの処理ガスとを混合し、脱硝触媒に導入してから排出する脱硝機構と、前記複数のエンジンからの排ガスを、前記脱硝機構をバイパスして排出するバイパス機構と、を備える。
【0150】
本発明は上述した各実施形態、変形例、構成例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態、変形例、構成例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0151】
例えば、上述した各実施形態、変形例、構成例に示された加水分解装置は互いに置換し得る。例えば、上述した各実施形態、変形例、構成例に示された整流装置は互いに置換し得る。例えば、上述した各実施形態、変形例、構成例の整流装置の特徴的な付加的な構成は、更に別の実施形態、変形例、構成例の整流装置において適用し得、また併せて適用し得る。
【0152】
このような整流装置の特徴的な付加的な構成としては、例えば、分離板201、筒部のテーパー212、メンテナンス用開口部103と閉止板221、
図9のような筒部が第1側面111からはみ出ない構成、筒部が複数ある構成、入口側開口部が複数ある構成が該当し得る。
【0153】
上述した各実施形態、構成例の加水分解装置の特徴的な付加的な構成は、更に別の実施形態、構成例の加水分解装置にも適用し得、また併せて適用し得る。このような加水分解装置の特徴的な付加的な構成としては、例えば、配管部品500、旋回装置600、加水分解容器400を複数備える構成が該当し得る。
【符号の説明】
【0154】
1、2、3 脱硝設備
11 抽気ライン
12 ブロワ
13 外気ライン
14 燃料ライン
15 供給ライン
16 処理ガスライン
17 排ガスライン
18 排気ライン
19 脱硝触媒
21 エンジン
22 バイパスライン
10、20 加水分解装置
300 バーナユニット
301 燃焼室
302 バーナ
400 加水分解容器
401 ノズル
500 配管部品
600 旋回装置
601 円筒部
602 ねじれ板
100、100A、100B、200、210、220、230、240、250、260、270、280 整流装置
110、241、251、261、271、281 筐体
110A、110B 外筒
111 第1側面
112 第2側面
113 第3側面
114 第4側面(制御壁)
115 第5側面
116 第6側面
114A 制御壁
117 内部空間
101、101A 出口側開口部
102、102A、102B、105 入口側開口部
103 メンテナンス用開口部
120、120A、120B、211、231 筒部
121 第2端部(出口部)
121A、121B 出口部
122 第1端部(入口部)
122A、122B 入口部
212 テーパー
232 筒部拡大部
201 分離板
221 閉止板
242、242B 配分板(制御壁)