(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】有用植物を飲食物に加工する方法
(51)【国際特許分類】
A23L 2/38 20210101AFI20231110BHJP
【FI】
A23L2/38 K
(21)【出願番号】P 2022165380
(22)【出願日】2022-10-14
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2022138204
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521100690
【氏名又は名称】古見 太和
(73)【特許権者】
【識別番号】521100704
【氏名又は名称】古見 用大
(73)【特許権者】
【識別番号】517340600
【氏名又は名称】古見 秀子
(74)【代理人】
【識別番号】100192496
【氏名又は名称】西平 守秀
(72)【発明者】
【氏名】古見 輝夫
【審査官】吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0011582(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第114027372(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23F
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物として大量に発生するもみ殻を原料にして
、径5ミリ以下は乾燥して焙煎後粉砕の順に加工し、5ミリ以上は乾燥粉砕してから焙煎し、
その結果得られる乾燥焙煎粉砕物および/または乾燥粉砕焙煎物をペーパーフィルタに置いた上で、当該乾燥焙煎粉砕物および/または当該乾燥粉砕焙煎物に湯を注ぐことで、当該乾燥焙煎粉砕物および/または当該乾燥粉砕焙煎物から前記もみ殻の成分を抽出して飲用とする
、
有用植物の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、稲のもみ殻や砂糖キビの絞り粕であるバガス等の有用植物の葉や落ち葉、茎や球根を飲食物に加工する方法に関する。詳しくは、果物の皮及び種子等を径5ミリ以下は乾燥して、焙煎後粉砕、5ミリ以上は乾燥粉砕後焙煎した後にレンジ等で殺菌消毒発酵止めをする外、月桃、生姜、ウコン、ラッキョウ、タマネギ、ニンニク、柑橘類等の植物をブレンドし、殺菌や香り付け等を行いコーヒーの様にペーパードリップ式等で安易に飲料を製造したり、真空パックで長期に保存し平時だけでなく非常時にも利用できるように飲食物を安価で製造する方法である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のように、もみ殻を灰に加工して、容易に経口摂取出来るようにする特殊な方法は有るが、一般的に普及する技術で容易に安価で実現できる加工方法が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術的内容は、無機質の稲のもみ殻灰を食品添加剤あるいはサプリメント用に製造し、一般に広く利用してもらうにあたり、該もみ殻灰の特有の効果をさらに向上させる目的で、該もみ殻灰の表面に任意の無機質成分を付着、担持させた該もみ殻灰の製造方法ならびに利用し易い方法を提供するべく、もみ殻を酸化燃焼させてもみ殻灰生成するにあたり、もみ殻を所定の温度以下の貧酸素状態で加熱しもみ殻炭を製造し、目的とする無機質成分の水溶液又は微細粒を水に混濁させたものに該もみ殻炭を浸漬させた後、所定の温度以下で酸化燃焼させ有機物を除くことにより、任意の無機質成分を付着、担持させた該もみ殻灰を製造し、あわせ該もみ殻灰を利用するにあたり、体内で消化するカプセルに該もみ殻灰を充填して提供することにより、容易に経口摂取ができるようにする。
【0005】
特許文献1のように、無機質の稲のもみ殻灰を食品添加剤あるいはサプリメント用に製造し、一般に広く利用してもらうにあたり、該もみ殻灰の特有の効果をさらに向上させる技術は有るが、普及が困難である。本発明は、稲のもみ殻や砂糖キビの絞り粕であるバガス等の有用植物の葉や落ち葉、茎や球根を飲食物に加工するに際し、普及が期待できる通常の技術で実現する。なお、生姜、ウコン、ラッキョウ、タマネギ、ニンニク等は球根のみの利用で葉や茎は殆ど利用されていない。また、果物等の皮や種子もほとんど利用されていないので有用植物として期待できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の技術的課題は、次のような手段によって解決される。
本発明に係る第1の発明は、有用植物の枯れ葉やもみ殻、廃棄物等の未利用の部分を原料にしてそのまま又は径が5ミリ以下は乾燥焙煎粉砕の順に加工し、5ミリ以上は乾燥粉砕してから焙煎し、湯を注いで原料の成分を得て飲食物に加工することを特徴とする有用植物の加工方法である。
【0007】
本発明に係る第2の発明は、廃棄物として大量に発生するもみ殻を原料にしてそのまま又は乾燥粉砕焙煎又は、乾燥焙煎粉砕し、ペーパードリップ式等に湯を注いで、もみ殻の成分を抽出して飲用とすることを特徴とする本発明に係る第1の発明記載の有用植物の加工方法である。
【0008】
本発明に係る第3の発明は、砂糖キビの絞り粕であるバガスを原料にしてそのまま又は乾燥粉砕焙煎し、又は乾燥焙煎粉砕し、ペーパードリップ式等に湯を注いで成分を抽出した液体に調味成分又は他の任意の成分を加えて飲用とすることを特徴とする本発明に係る第1の発明記載の有用植物の加工方法である。
【0009】
本発明に係る第4の発明は、グァバの枯れ葉又は松の枯れ葉を洗浄した後に、乾燥粉砕焙煎又は乾燥焙煎粉砕してペーパードリップ式等で成分を抽出することを特徴とする本発明に係る第1の発明記載の有用植物の加工方法である。
【0010】
本発明に係る第5の発明は、月桃、生姜、ウコン、ラッキョウ、タマネギ、ニンニク、柑橘類の未利用部分すなわち葉、茎、皮、種子等を乾燥粉砕しそのまま又は焙煎し、ペーパードリップ式等に湯を注いで成分を抽出することを特徴とする本発明に係る第1の発明記載の有用植物の加工方法である。
【0011】
本発明に係る第6の発明は、マンゴー、ドラゴンフルーツ、ビワ、ライチを含む果物の皮及び種子等の未使用部分を乾燥粉砕後に焙煎してペーパードリップ式等に湯を注いで成分を抽出することを特徴とする本発明に係る第1の発明記載の有用植物の加工方法である。
【0012】
本発明に係る第7の発明は、バナナの少なくとも皮又は果柄又は果軸の未使用部分を乾燥粉砕焙煎、又は乾燥焙煎粉砕し、ペーパードリップ式等に湯を注いで又は煎じて成分を抽出して飲食品とする本発明に係る第1の発明記載の有用植物の加工方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る第1の発明のように、有用植物の枯れ葉やもみ殻、廃棄物等の未利用の部分を原料にしてそのまま又は大きさが5ミリ以下は乾燥焙煎粉砕の順に加工し、大きさが5ミリ以上は乾燥粉砕してから焙煎し、原料の成分を得て飲食物に加工するので、廃棄物として大量に発生するもみ殻や枯れ葉を原料にしてそのまま又は乾燥粉砕焙煎してから湯を注いで、もみ殻や枯れ葉の成分を抽出して飲食用にできる。
【0014】
本発明に係る第2の発明のように、廃棄物として大量に発生するもみ殻を原料にして乾燥粉砕焙煎又は、乾燥焙煎粉砕し、ペーパードリップ式等に湯を注いで、もみ殻の成分を抽出して飲用とするので、大量に発生する廃棄物を有効に利用できる。また、貧困のため、飲食物が不足している場合は、その支援にも好適である。
【0015】
本発明に係る第3の発明のように、砂糖キビの絞り粕であるバガスに湯を注いで抽出され少し甘味の残った液体成分に調味成分又は他の任意の成分たとえば、乾燥粉砕した月桃、生姜、ウコン、ラッキョウ、タマネギ、ニンニク、柑橘類等を加えて飲用とするので、砂糖を使用しなくても、甘みの有る飲用製品を実現できる。しかも、甘み以外の有用成分も摂取できる。
【0016】
本発明に係る第4の発明のように、グァバの枯れ葉又は松の枯れ葉を洗浄した後に、湯を注ぎ成分を抽出するので、成分の効能が期待できる。なお、太陽熱で枯れた葉を利用するので、わざわざ乾燥する必要もなく、自然のエネルギーで飲用製品を実現できる。
【0017】
本発明に係る第5の発明のように、月桃、生姜、ウコン、ラッキョウ、タマネギ、ニンニク、柑橘類の未利用部分すなわち葉、茎、皮、種子等に湯を注いで成分を抽出するので、未利用部分の成分を抽出して有効利用できる。
【0018】
本発明に係る第6の発明のように、マンゴー、ドラゴンフルーツ、ビワ、ライチを含む果物の皮及び種子等の未使用部分を乾燥粉砕後に焙煎してペーパードリップ式等に湯を注いで成分を抽出するので、未使用部分の成分を抽出して有効利用できる。
【0019】
本発明に係る第7の発明のように、バナナの少なくとも皮又は果柄又は果軸の未使用部分に湯を注いで又は煎じて成分を抽出して飲食品とするので、バナナの少なくとも皮などの未使用部分の成分を抽出して製品化できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】もみ殻の抽出工程と土地に混ぜて肥料や土壌改良材とする工程のフローチャートである。
【
図4】グァバの枯れ葉又は松の枯れ葉等の抽出方法を示すフローチャートである。
【
図5】バナナの皮、果柄、果軸等の抽出方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1のように、白米になる胚乳を覆うぬか層と胚芽は籾殻で被覆保護されている。この籾殻は分離して廃棄されることが多いが、本発明では有効利用すべく、
図2のように洗浄して湯で抽出し、茶として飲用する。しかし、籾殻をそのまま抽出すると効率が悪いので、乾燥・粉砕して焙煎し成分を抽出する。もみ殻等の小さい物は乾燥・焙煎してから粉状に粉砕し抽出するのも良い。
すなわち、廃棄物として大量に発生するもみ殻を原料にして、そのまま又は粉砕してから焙煎してペーパードリップ式で、もみ殻の成分を抽出して、飲料とする。すなわち、茶やコーヒーのように飲むのである。粉状に粉砕すると成分抽出が容易であり、又土に返るのも容易であるから、抽出後の残渣物は、瘠せた土地に混ぜると、土壌改良材や肥料として機能し有効である。
【0022】
砂糖キビを絞って汁を加工して砂糖とするが、絞った後に発生する絞り粕であるバガスは、廃棄したり燃料として燃やす程度である。本発明では、
図3のように、砂糖キビの絞り粕であるバガスをそのまま又は乾燥粉砕焙煎後に湯を注いで成分を抽出すると、淡い甘味が得られる。砂糖としては甘味が足りないが、淡い甘味を好む人や甘味を抑えている人には好適である。したがって、甘みを味付けした液体を得ることができる。この液体に好みの調味成分又は他の任意の成分、例えば生姜、ウコン、ラッキョウ、タマネギ、ニンニク、柑橘類等を加えると、独特な飲料にできる。すなわち、調味成分や他の任意の成分を選択することで、好みの味や色に出来る。抽出後の残渣物は、畑に混ぜ込むと、肥料や土壌改良材として機能する。
【0023】
廃棄物を有効利用するのであるから、安価に実現出来ることが望まれる。物価高の最近は、ガス代や電気代などのエネルギー代も安く抑えたい。そこで、
図4のように、薬効が期待されているグァバの枯れ葉又は松の枯れ葉を洗浄した後に、粉砕してペーパードリップ式で成分を抽出すると、健康飲料を実現できる。特に西表島産の松葉の枯れ葉の茶は、太陽熱で自然に実現されるので、特別のエネルギー代を要しない。
【0024】
図5は、バナナの皮、果柄、果軸を利用した加工方法である。通常廃棄されるバナナの皮やとうてい飲食できないと思われるバナナの果柄、果軸は、乾燥、粉砕、焙煎をすることによって簡単に成分を抽出することができ、爽やかな口当たりのよい美味な飲み物となる。
なお、
図2から
図5のレンジによる加熱工程は必要に応じて焙煎後にレンジ等で発酵止めや殺菌をしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
以上のように、廃棄物を原料にして有用飲料を安価に製造出来るし、最近のように失業したりして生活に困窮を来している者を支援するのにも好適である。
また、廃棄物を有効に利用する事で農業所得の向上や、処分に莫大な資金や人件費等を要する植物類の処分費の削減を図ることで我が国の産業発展に貢献することができる。
【要約】 (修正有)
【課題】稲のもみ殻や砂糖キビの絞り粕であるバガス等の有用植物の葉や落ち葉、茎や球根を飲食物に加工するに際し、普及が期待できる通常の技術で実現する。
【解決手段】大量に廃棄されるもみ殻や砂糖キビの絞り粕であるバガスやグァバの枯れ葉又は松の枯れ葉や生姜や柑橘類の未利用部分(葉、茎、皮、種子等)や果物の皮及び種子等の未使用部分を原料にしてそのまま又は乾燥粉砕してから湯通しして各成分を抽出して飲食品とする。
【選択図】
図4