(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9794 20170101AFI20231110BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20231110BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20231110BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
A61K8/9794
A61K8/9789
A61Q1/00
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2017191536
(22)【出願日】2017-09-29
【審査請求日】2020-08-19
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】草場 宣廷
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】野田 定文
【審判官】齊藤 真由美
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-193559(JP,A)
【文献】特開2014-24803(JP,A)
【文献】G.H.S,ヘアーコントロールオイル プレミアム/80ml,@cosme,2016年6月20日発売,[2023年6月19日検索],インターネット<URL:http://www.cosme.net/product/product_id/10129866/sku/948223/image/430729>
【文献】seek ノンシリコン[ARトリートメント](アルガンオイルトリートメント)300g,Amazon,2013年10月17日登録,[2021年3月22日検索],インターネット,<URL:https://www.amazon.co.jp/Seek-seek-%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%80%90AR%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%80%91%EF%BC%88%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%EF%BC%89-300%EF%BD%87/dp/B00FYIUQPM>
【文献】ブランドリップ 100ml,Amazon,2010年4月19日登録,[検索日2021年3月22日],インターネット<URL:https://www.amazon.co.jp/%E3%83%AA%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95-%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97-100ml/dp/B003H4NLTS>
【文献】ジューシーリップバーム,Amazon,2016年12月12日登録,[検索日2021年3月22日],インターネット<URL:https://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%84%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%84-%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%A0/dp/B01MYYX72N>
【文献】ジェリーココ バージンピュアオイル 1.2g×50粒,Amazon,2015年9月11日,[検索日2021年3月22日],インターネットト<URL:https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B3%E3%82%B3-%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%AB-1-2g%C3%9750%E7%B2%92/dp/B0157NB4PO>
【文献】フレーバライフ(Flavor Life)アロママッサージオイル Body Shape ボディシェイプ500ml,Amazon,2016年11月11日登録,[検索日2021.09.03],インターネット<URL:https://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95-Flavor-Life-%E3%82%A2%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%AB-%E3%80%90%E3%83%9C%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%97%E3%80%91/dp/B01MSK7L44>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コメ胚芽油、バラ油、並びに、
イランイラン花油及びウイキョウ果実油から選ばれる少なくとも1種を含む外用剤(ただし、マッサージのために使用されるものを除く。)。
【請求項2】
外用剤が化粧料又は皮膚洗浄料である、請求項1に記載の外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物油や植物精油を含む組成物は、化粧料等の外用剤として用いられている。例えば、特許文献1には、コメ胚芽油を用いた化粧料が記載されている。また特許文献2には植物精油を用いた外用剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平08-081327号公報
【文献】特開2010-132629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
植物油や植物精油を含む外用剤に対して、需要者のニーズは近年多様化しており、美容や使用感等に関する更なる効果を求める要求も高いものとなっている。また、高まる健康志向から、化学合成品よりも天然由来の成分を用いる要求も強いものとなっている。
しかしながら、特許文献1及び2の組成物は、油の含有量が多く、使用感が十分に良いと言えるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、天然由来成分について美容や使用感等の観点から更なる作用強化が得られる構成について鋭意検討した。その結果、驚くべきことに、特定の植物油及び精油の組み合わせを用いることで、皮膚における水分蒸散を効果的に低減して、皮膚水分量を高めることができるのみならず、外用剤の使用感に関して優れた効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は上記の知見に基づくものであり、コメ胚芽油及びバラ油を含む外用剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、天然物由来の植物油を使用して、保湿効果、使用感に優れた外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の外用剤(以下、単に外用剤ともいう)について、その好ましい実施形態に基づいて説明する。
【0009】
コメ胚芽油は、イネ(Oryza sativa)の胚芽より得られた油脂である。コメ胚芽油は、イネの胚芽から油分を抽出、精製することにより得られる。コメ胚芽油は、コメ油、コメヌカ油、玄米油、玄米胚芽油と呼ばれることもある。コメ胚芽油の製法としては、機械的圧搾法、n-ヘキサンなどの有機溶媒による抽出、熱水蒸煮法、亜臨界若しくは超臨界CO2による抽出法などが挙げられ、n-ヘキサンによる抽出法で製造したものを用いることが安定抽出の点で好ましい。コメ胚芽油としては、市販品も挙げられ、例えば、築野食品工業株式会社製「米胚芽油PRO-15」、築野食品工業株式会社製「米胚芽油ガンマ30N」、オリザ油化株式会社製「オリザ玄米胚芽油-オリザオイルS-1」等が挙げられる。
【0010】
本発明の外用剤中、コメ胚芽油は、保湿向上効果を高める観点から、0.000001質量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは、0.00001質量%以上、更に好ましくは、0.0001質量%以上、特に好ましくは、0.001質量%以上である。本発明の外用剤中、コメ胚芽油は、使用感向上効果を高める観点から、10質量%以下含まれることが好ましく、より好ましくは、1質量%以下、更に好ましくは、0.1質量%以下、特に好ましくは、0.01質量%以下である。
【0011】
バラ油とは、バラの花から抽出される揮発性の油である。バラ油に用いるバラとしては、いずれのバラを用いても良いが、本発明の効果を高める観点から、ダマスクバラを用いることが特に好ましい。ダマスクバラの花を用いたバラ油(ダマスクバラ油)は、バラ科バラ属の一種であるダマスクバラの花部より得られた精油である。ダマスクバラとしては学名がRosa damascenaである植物が挙げられる。バラ油の製法としては、水蒸気蒸留・超臨界抽出等が挙げられる。バラ油の構成成分としては、例えば、ゲラニオールなどが挙げられる。
【0012】
本発明の外用剤中、バラ油は、保湿向上効果を高める観点から、0.000001質量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは、0.00001質量%以上、更に好ましくは、0.0001質量%以上、特に好ましくは、0.001質量%以上である。本発明の外用剤中、コメ胚芽油は、使用感向上効果を高める観点から、10質量%以下含まれることが好ましく、より好ましくは、1質量%以下、更に好ましくは、0.1質量%以下、特に好ましくは、0.01質量%以下である。
【0013】
本発明の外用剤において、コメ胚芽油に対するバラ油の配合比率は、保湿効果や使用感向上効果、特に外用剤の香りの向上効果を高める観点から、コメ胚芽油100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、より好ましくは、1質量部以上、更に好ましくは、10質量部以上、特に好ましくは、50質量部以上である。本発明の外用剤中、コメ胚芽油に対するバラ油の配合比率は、保湿効果や使用感向上効果、特に外用剤の香りの向上効果を高める観点から、コメ胚芽油100質量部に対して、500質量部以下であることが好ましく、より好ましくは、350質量部以下、更に好ましくは、250質量部以下、特に好ましくは、150質量部以下である。
【0014】
本発明の外用剤は、更にイランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油、ヒマワリ油、ザクロ抽出油、グレープフルーツ抽出油、チョウジ葉油、及び、ジャスミン油から選ばれる少なくとも1種の油を含有することで、保湿効果、香り、及び使用感の良さをより一層向上させることができる。特に、保湿感向上及び使用感向上効果を高める観点から、イランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油が好ましい。
【0015】
イランイラン花油は、バンレイシ科イランイランノキ属の植物であるイランイランの花部の精油である。イランイランとしては、学名がCananga odorataである植物が挙げられる。イランイランの花油は、イランイランの花部を水蒸気蒸留することにより得られる。イランイランの花油の構成成分としては、リナロールなどが挙げられる。
【0016】
ウイキョウ果実油は、セリ科ウイキョウ属の多年草であるフェンネルの果実部から得られる精油である。フェンネルとしては、学名がFoeniculum vulgareである植物が挙げられる。フェンネルの果実部は「茴香」、「小茴香」、「フェンネルシード」の名で流通している。ウイキョウ果実油は、フェンネルの果実部を水蒸気蒸留することにより得られる。ウイキョウ果実油の構成成分としては、アネトールなどが挙げられる。
【0017】
ニオイテンジクアオイ油は、フウロソウ科テンジクアオイ属に属する植物の全草部から得られる精油である。ニオイテンジクアオイとしては、学名がPelargonium graveolensである植物が挙げられる。ニオイテンジクアオイ油は、ニオイテンジクアオイの全草を水蒸気蒸留することにより得られる。ニオイテンジクアオイ油の構成成分としては、ゲラニオールなどが挙げられる。
【0018】
ラベンダー油は、シソ科ラヴァンドラ属(ラベンダー属、Lavandula)の半木本性植物から得られる精油である。ラベンダーの花弁、花茎部、枝等より水蒸気蒸留法等を用いて抽出することができる。ラベンダー油の構成成分としては、リナロール、酢酸リナリル、リナロールオキシド、シネオール、D-カンファーが挙げられる。
【0019】
ヒマワリ油は、キク科ヒマワリ属に属する植物から得た精油である。ヒマワリの花弁、種子等より圧搾法等を用いて抽出することができる。ヒマワリ油の構成成分としては、リノール酸やオレイン酸、ビタミンEなどがあげられる。
【0020】
ザクロ抽出油は、ミソハギ科ザクロ属に属する植物から得た精油である。ザクロの花弁、果実、果皮、種子等より低温圧搾法等を用いて抽出することができる。ザクロ油の構成成分としては、タンニン、ポリフェノール、ビタミンなどがあげられる。
【0021】
グレープフルーツ抽出油は、ミカン科ミカン属に属する植物から得た精油である。グレープフルーツの果実、果皮、種子等より水蒸気蒸留法等を用いて抽出することができる。グレープフルーツ油の構成成分としては、ビタミンC、パントテン酸などがあげられる。
【0022】
チョウジ葉油は、フトモモ科フトモモ属に属する植物から得た精油である。チョウジの葉より水蒸気蒸留法等を用いて抽出することができる。チョウジ葉油の構成成分としては、オレアール酸、タンニンなどがあげられる。
【0023】
ジャスミン油は、モクセイ科ソケイ属に属する植物から得た精油である。ジャスミンの花弁より揮発性有機溶剤抽出法等を用いて抽出することができる。ジャスミン油の構成成分としては、酢酸ベンジル、酢酸フィティル、フィトールなどがあげられる。
【0024】
本発明の外用剤が、更にイランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油、ヒマワリ油、ザクロ抽出油、グレープフルーツ抽出油、チョウジ葉油、及び、ジャスミン油から選ばれる少なくとも一種を含有する場合、コメ胚芽油及びバラ油と組み合わせることによる上記の効果をより一層高める観点から、その含有量は、コメ胚芽油及びバラ油の合計量100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましく、より好ましくは、1質量部以上、更に好ましくは、10質量部以上、特に好ましくは、50質量部以上である。本発明の外用剤が、更にイランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油、ヒマワリ油、ザクロ抽出油、グレープフルーツ抽出油、チョウジ葉油、及び、ジャスミン油から選ばれる少なくとも一種を含有する場合、コメ胚芽油及びバラ油と組み合わせることによる上記の効果をより一層高める観点から、その含有量は、コメ胚芽油及びダマスクバラ油の合計量100質量部に対して、500質量部以下であることが好ましく、より好ましくは、350質量部以下、更に好ましくは、250質量部以下、特に好ましくは、150質量部以下である。
【0025】
本発明の外用剤は、例えば、任意の基材に、コメ胚芽油及びバラ油並びに必要に応じてイランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油、ヒマワリ油、ザクロ抽出油、グレープフルーツ抽出油、チョウジ葉油、及び/又は、ジャスミン油を適宜混合することで得ることができる。
【0026】
本発明の組成物は、コメ胚芽油、バラ油、イランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油、ヒマワリ油、ザクロ抽出油、グレープフルーツ抽出油、チョウジ葉油、及び、ジャスミン油以外に、その他の成分を含んでいてもよい。前記のその他の成分としては、例えば、水、収斂剤、殺菌剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、抗酸化剤、活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料等を挙げることができる。その他の成分の含有量は、外用剤の形態等に応じて適宜選択することができる。本発明において、外用剤に含まれるコメ胚芽油、バラ油、イランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油、ヒマワリ油、ザクロ抽出油、グレープフルーツ抽出油、チョウジ葉油、及び、ジャスミン油以外に含んでもよい成分は、合計で、外用剤の固形分中、99.99質量%以下であることが好ましく、99.9質量%以下であることが更に好ましく、99質量%以下であることが更に好ましく、95質量%以下であることが効果の点から特に好ましい。
【0027】
本発明における外用剤とは、身体の外部(皮膚や毛髪等)に用いる剤のことを意味し、皮膚や毛等に塗布して使用するものだけではなく、塗布後、洗い流して使用するものを含む概念である。例えば、洗顔料やボディソープ、シャンプー、コンディショナ等についても、本発明の外用剤に含まれる。また、本発明の外用剤は、化粧料、医薬部外品及び医薬品等を含む。なお、本発明における化粧料とは、薬用化粧品等の医薬部外品を含む。本発明の外用剤としては、本発明の効果が特に良く発揮される観点から、皮膚外用剤であることが特に好ましい。
【0028】
本発明の外用剤の剤形としては、化粧水、美容液、乳液、クリーム、軟膏、ローション、オイル、ジェル、パック等の基礎化粧料;石鹸、ボディソープ、クレンジングクリーム、クレンジングローション、クレンジングミルク、洗顔料等の皮膚洗浄料;シャンプー、リンス、トリートメント等の洗髪用化粧料;ヘアクリーム、ヘアスプレー、ヘアトニック、ヘアジェル、ヘアローション、ヘアオイル、ヘアエッセンス、ヘアウォーター、ヘアワックス、ヘアフォーム等の整髪料、育毛・養毛料、1剤式染毛剤や2剤式染毛剤、ヘアカラー等の染毛料、パーマネントウェーブ剤や縮毛矯正剤等のパーマ剤やウエーブ保持剤等の頭髪化粧料;ファンデーション、白粉、おしろい、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、眉墨、まつ毛等のメークアップ化粧料;美爪料等の仕上げ用化粧料;香水類、浴用剤、その他、抗炎症剤や腋臭防止剤、ふけ又はかゆみ予防用毛髪化粧料、脱毛抑制剤、除毛剤、髭剃り用剤、日焼け止め剤、にきび予防乃至改善剤、油性肌用化粧料、衛生用品、衛生綿類、ウエットティシュ等が挙げられる。これらの剤形の中でも、本発明の効果が特に良く発揮される観点から、ジェル状の化粧料又は皮膚洗浄料が好ましい。ジェル状の化粧料としては、オールインワンジェルが特に好ましく、皮膚洗浄料としては、ボディソープ又は洗顔料が特に好ましい。
【0029】
本発明の外用剤は、後述する実施例に記載の通り、コメ胚芽油及びバラ油を含有することにより、角層水分量の増加、保湿感やしっとり感の付与、べたつき感の改善、さっぱり感の付与、のびの良さの向上、香りの改善、弾力付与効果が得られ、これを皮膚に適用することで、角層水分量の増加、保湿感やしっとり感の付与、べたつき感の改善、さっぱり感の付与、のびの良さの向上、香りの改善、弾力性の向上等を図ることができる。よって、本発明の外用剤は、保湿剤、感触改善剤、使用感向上剤、体臭抑制剤、香りの改善剤、角層水分量増加剤、しっとり感の付与剤、べたつき感の改善剤、さっぱり感の付与剤、のびの向上剤、保湿組成物、体臭抑制組成物、芳香組成物、保湿化粧料、美容化粧料、体臭抑制化粧料、芳香化粧料として用いることができる。なお、本発明の保湿剤、感触向上剤等は、保湿、感触向上等のために用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(商品を紹介するホームページを含む)のいずれかに、保湿作用、感触の良さ等を表示したものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の保湿剤、感触向上剤等は、製品の包装等に、本発明の成分(コメ胚芽油、バラ油等)が有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよく、コメ胚芽油、バラ油以外の成分を有効成分として表示したものであってもよい。
【0030】
本発明の保湿剤、感触改善剤等としては、例えば、「みずみずしく洗浄」、「さらっと保護」、「ニオイケア」、「さっぱり洗浄」、「消臭ケア」、「ベタつきを抑える」、「かさつきを抑える」、「皮脂のべたつきを抑える」、「ニオイの原因を取り除く」等を表示したものが挙げられる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
〔実施例1~5、比較例1~6〕
下記表1に記載の配合の液状サンプルを調製した。なお表1の原料としては以下の物を用いた。
コメ胚芽油:イネ(Oryza sativa)の胚芽からn-ヘキサン抽出法により得られた脂肪油を用いた。
ダマスクバラ油:ダマスクバラ(Rosa damascena)の花部から水蒸気蒸留法にて得られた精油を用いた。
イランイラン花油:イランイラン(Cananga odorata)の花部から水蒸気蒸留法にて得られた精油を用いた。
ウイキョウ果実油:フェンネル(Foeniculum vulgare)の果実部から水蒸気蒸留法にて得られた精油を用いた。
ニオイテンジクアオイ油:ニオイテンジクアオイ(Pelargonium graveolens)の全草部から水蒸気蒸留法にて得られた精油を用いた。
ラベンダー油:ラベンダー(Lavandula vera De Candolle)の花部から水蒸気蒸留法にて得られた精油を用いた。
【0033】
【0034】
上記各液状サンプルを、下記評価例1~3に供した。
【0035】
(評価例1.使用前後の肌状態〔水分量〕測定)
下記配合に基づき、下記表1A記載の成分を混合してベースのオールインワンジェルを調製した。得られたオールインワンジェル100質量部に、実施例1~5及び比較例1~6それぞれで得られた液状サンプル0.01質量部を混合し、実施例1~5及び比較例1~6の外用剤をそれぞれ調製した。また液状サンプルの代わりに同量の水を添加した外用剤を対照例として用いた。
【0036】
【0037】
前記実施例1~5、比較例1~6、対照例のオールインワンジェルの使用前後における皮膚の水分量差を、ヤヨイ社製の測定装置SKICON-200EXで測定した。この測定装置は、皮膚のコンダクタンス(電気伝導度、単位:μS)を角層の水分量として評価するものである。
健常な成人3名(男性1名、女性2名、平均年齢37.3歳)を被験者とし、前腕内側を洗浄した上で、測定室(温度:22±2℃。湿度:50±10%)で20分間安静に過ごさせた。次にジェル塗布前における皮膚の塗布予定箇所(前腕内側の3cm×3cmの部分)における水分量を上記測定機器で測定した。次に、上記の予定箇所にジェル30μLを塗布し、2時間後にジェル塗布箇所において再度水分量測定を行った。尚、被験者は測定中、安静に過ごした。
測定結果を表2に示す。表2は、ジェル使用前と使用後に当該箇所について5回ずつ水分量を測定し、使用前、使用後それぞれ得られた測定値のうち、最大値と最小値を除いた3つの値の平均値を求めた上で、使用後の水分量の値から使用前の水分量の値を差し引いた値である(被験者3名の平均値を示す)。つまり、表2は、ジェル塗布後による角層水分量の変化を数値化したものである。数値が大きいほど肌が潤っている(ジェル塗布により角層水分量が増加した)ことを示す。
【0038】
【0039】
表2に示す結果から、各実施例のジェルを皮膚に適用することにより、各比較例のジェルを適用する場合に比べて大幅に皮膚の水分量が増加したことが判る。すなわち、角層水分量は、コメ胚芽油のみの場合(比較例1)は177.00で、ダマスクバラ油のみの場合(比較例2)は174.3であるのに対し、コメ胚芽油とダマスクバラ油を組み合わせた場合(実施例1)、角層水分量は284.8であり、顕著な角層水分量の向上が認められる。また、イランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油をそれぞれ単独で使用した場合(比較例3~6)、角層水分量は166.3~179.0であるのに対し、イランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油のそれぞれを、コメ胚芽油とダマスクバラ油と組み合わせた場合(実施例2~5)、角層水分量は334.0~386.3である。したがって、コメ胚芽油とダマスクバラ油に、イランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油又はラベンダー油を組合わせることにより、角層水分量はさらに向上することが分かった。対照品と比較例1~6、実施例1~5の各調製品における油の総量は同じであるにも関わらずこのような結果が示されることから、コメ胚芽油とダマスクバラ油を組み合わせると、角層水分量の増加において相乗効果が認められることが分かった。
【0040】
(評価例2.香りを含む使用感の評価)
【0041】
健常な成人3名(男性1名、女性2名、平均年齢35歳)を被験者とし、前腕内側を洗浄した上で、前腕内側の3cm×3cmに上述したジェル3mLを塗り、1分間安静に過ごさせた後に、各評価項目(保湿感、べたつき感の無さ、のびの良さ、香り)について評価した。評価は、対照例を基準として行った。具体的には、「-3」を「対照例と比べて極めて悪い」、「-2」を「対照例と比べて悪い」、「-1」を「対照例と比べてやや悪い」、「0」を「対照例と変わらない」、「1」を「対照例と比べてやや良い」、「2」を「対照例と比べて良い」、「3」を「対照例と比べて極めて良い」として、-3から3までの7段階で行い、各評価項目について点数化した。
測定結果を表3に示す。なお、下記の結果は、被験者3名の評価点の平均値である。
【0042】
【0043】
表3に示されるように、実施例1~5では、比較例1~6及び対照品に比べ、使用感が優れていることが分かる。すなわち、コメ胚芽油のみの場合(比較例1)、保湿感(しっとり感)、べたつき感の無さ(さっぱり感)、のびの良さ、香りの合計点数は0で、ダマスクバラ油のみの場合(比較例2)、合計点数は0.7であるのに対し、コメ胚芽油とダマスクバラ油を組み合わせた場合(実施例1)、合計点数は4.7であり、比較例1及び2に比べて顕著な差が認められる。また、イランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油をそれぞれ単独で使用した場合(比較例3~6)、保湿感(しっとり感)、べたつき感の無さ(さっぱり感)、のびの良さ、香りの合計点数は1.0~1.7であるのに対し、イランイラン花油、ウイキョウ果実油、ニオイテンジクアオイ油、ラベンダー油のそれぞれを、コメ胚芽油とダマスクバラ油と組み合わせた場合(実施例2~5)、合計点は8.3~9.3であり、比較例3~6に比べて顕著な差が認められる。対照品と比較例1~6、実施例1~5の各調製品における油の総量は同じであるにも関わらずこのような結果が生じることから、コメ胚芽油とダマスクバラ油を組み合わせると、使用感の良さの向上において相乗効果が生じることが分かる。
【0044】
[配合実施例1-1~1-5](オールインワンジェルの製造)
表4の割合となるように各成分を配合し、常法によってベースのオールインワンジェル(1-1~1-5)を調製した(表4)。得られた各ベースのオールインワンジェル100質量部に、表5に示す液状サンプル0.01質量部をそれぞれ混合し、オールインワンジェルを作成した(ベース1-1に対して表5の液状サンプルA~Qをそれぞれ添加し、17個のオールインワンジェルを作成した。1-2~1-5についても同様)。得られたオールインワンジェルは、いずれも、保湿感があり、べたつき感が少なく、香りも良いものであった。
【0045】
【0046】
【0047】
[配合実施例2-1~2-5](洗顔料の製造)
表6の割合となるように各成分を配合し、常法によってベースの洗顔料を調製した。得られた各ベースの洗顔料100質量部に、表5に示す液状サンプル0.01質量部をそれぞれ混合し、洗顔料を作成した(ベース2-1に対して表5の液状サンプルA~Qをそれぞれ添加し、17個の洗顔料を作成した。2-2~2-5についても同様)。得られた洗顔料は、いずれも、汚れがよく落ち、ツッパリ感がなく、すっきりとした洗いあがりであり、香りも良いものであった。
【0048】
【0049】
[配合実施例3-1~3-5](ボディソープの製造)
表7の割合となるように各成分を配合し、常法によってベースのボディソープを調製した。得られた各ベースのボディソープ100質量部に、表5に示す液状サンプル0.01質量部をそれぞれ混合し、ボディソープを作成した(ベース3-1に対して表5の液状サンプルA~Qをそれぞれ添加し、17個のボディソープを作成した。3-2~3-5についても同様)。得られたボディソープは、いずれも、ニオイの原因となる汚れをよく落とすことができ、さっぱりとして引き締め感のある洗いあがりであり、香りも良いものであった。
【0050】
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、皮膚の水分蒸散を抑制するとともに皮膚水分量を高める効果に優れ、使用感に優れた外用剤を得ることができる。本発明の外用剤は、保湿等の効果があり、化粧品、医薬部外品、医薬品として非常に有用である。