(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】管路連結構造及び給水装置
(51)【国際特許分類】
F16L 21/08 20060101AFI20231110BHJP
E03B 7/00 20060101ALI20231110BHJP
E03F 3/04 20060101ALI20231110BHJP
F16L 21/00 20060101ALI20231110BHJP
F16L 37/252 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
F16L21/08 Z
E03B7/00 B
E03F3/04 Z
F16L21/00 E
F16L37/252
(21)【出願番号】P 2020017073
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591197633
【氏名又は名称】明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 恵介
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-176883(JP,A)
【文献】特開2013-024280(JP,A)
【文献】特開2015-098880(JP,A)
【文献】特開2019-100399(JP,A)
【文献】特開2006-077559(JP,A)
【文献】実開昭56-039690(JP,U)
【文献】実開昭64-014911(JP,U)
【文献】特開2005-325864(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0327195(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/08
F16L 21/00
F16L 37/252
E03B 7/00
E03F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結対象の一方の管路端に他方の連結対象の管端部分が密挿される鞘管部を設け、他方の管路端の挿入部に係止突部を設け、前記鞘管部の内周面に前記係止突部が係合する係合凹条部と、前記係合凹条部の奥方にリングシールを収納したシール収納凹条部と、鞘管部の開口端に係合凹条部が露出して係止突部が進出可能とする切欠部とを設けて、挿入部の係止突部を切欠部から差し入れて係合凹条部の延長上に位置させて、管軸方向を中心として相対的に回動することで、連結部分の抜け止めがなされる管連結構造において、係止突部より後方位置の挿入部に、前記鞘管部の開口端面に当接し、切欠部から係止凹条部に至る封止舌片部を設けて外挿した円板体と、前記円板体を係止突部方へ押圧可能に挿入部外周に螺装した押圧筒体を備えてなることを特徴とする管路連結構造。
【請求項2】
適宜な給水源との連結部を設け、開閉脚を付設して起立可能とした給水源用管路と、開閉弁及び管軸方向を中心として自由回転可能とした回転連結部を介設した操作用管路と、エルボ管路と、給水口を備えた給水管路を連繋して所定高さに給水口が位置する管路構成として、各管路の管端に請求項1記載の管路連結構造を使用してなる給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続された管が動揺するのを防止するために採用する管路連結構造と、前記管路連結構造を採用した給水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上下水道工事に際して使用される仮設配管の管路接続は、連結作業が容易であると共にその分離作業も容易である必要が求められる。この要求に対して、特許文献1に連結対象の一方の管路端に鞘管部を設け、他方の挿入管の先端所定位置に係止突部を設け、鞘管部に前記係止突部の係合機構を内設した管路連結構造が開示されている。前記の係合機構は鞘管部内周面に、係止突部が係合する係合凹条部と係合凹条部の奥方にシール収納凹条部を設けると共に、係合凹条部が開口端に露出して係止突部が進出可能とする切欠部を開口端に形成し、前記シール収納凹条部に所定のリングシールを装着して構成されている。
【0003】
前記の管路連結構造は、挿入管の係止突部を切欠部から差し入れて係合凹条部の延長上に位置させた後、挿入管を回動させて係止突部を切欠部から移動させると、挿入管の抜け止めがなされると共にリングシールで密封されるので、管接続作業が非常に容易である。
【0004】
また災害時などにおいて、給水車への給水を消火栓など既存給水機構に連結した緊急給水装置が知られている(特許文献2)。前記の緊急給水装置は、既存給水機構に連結して所定の高さまで起立させる起立管部分と、前記起立管部分に連結して横方向に突出して先端に給水口を設けた腕管部分とを備え、起立管部分に給水栓と自由回転連結部を介設し、腕管部分を回動させることで給水車への給水を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-176883号公報。
【文献】特開2019-100399号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で開示されているように一方の管端を他方の管端に挿入して回動するだけで連結ができ、また逆操作で分離できる管連結構造は、仮設配管のような使用後に分離するものには最適であるが、着脱操作を容易にするために連結部分には遊びがある。このため例えば特許文献2に開示されているような緊急給水装置の組み立てに前記連結構造を採用すると、遊びのために起立管部分や腕管部分が動揺することがあり、給水作業がスムーズに行われない問題が生ずる。
【0007】
そこで本発明は、差込回動という単純な操作で連結される管路連結構造において、連結後の遊びが生じない新規な管路連結構造及び前記管路連結構造を採用した給水装置を提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る管路連結構造は、連結対象の一方の管路端に他方の連結対象の管端部分が密挿される鞘管部を設け、他方の管路端の挿入部に係止突部を設け、前記鞘管部の内周面に前記係止突部が係合する係合凹条部と、前記係合凹条部の奥方にリングシールを収納したシール収納凹条部と、鞘管部の開口端に係合凹条部が露出して係止突部が進出可能とする切欠部とを設けて、挿入部の係止突部を切欠部から差し入れて係合凹条部の延長上に位置させて、管軸方向を中心として相対的に回動することで、連結部分の抜け止めがなされる管路連結構造において、係止突部より後方位置の挿入部に、前記鞘管部の開口端面に当接し、切欠部から係止凹条部に至る封止舌片部を設けて外挿した円板体と、前記円板体を係止突部方へ押圧可能に挿入部外周に螺装した押圧筒体を備えてなることを特徴とするものである。
【0009】
而して上記の管路連結構造は、係止突部と切欠部の位置を合わせて挿入部を鞘管部内に挿入し、管軸方向を中心とした相対的回動で係止突部を係合凹条内に位置させ、封止舌片部を切欠部から差し入れて円板体を鞘管部の開口端に当接し、押圧筒体を回転して円板体を強圧すると、係止突部が係止凹条部内の開口側に強く押し付けられ、管路の連結部分は遊び状態が無く、堅牢に連結されることになる。
【0010】
本発明に係る給水装置は、適宜な給水源との連結部を設け、開閉脚(三脚又は四脚等)を付設して起立可能とした給水源用管路と、開閉弁及び管軸方向を中心として自由回転可能とした回転連結部を介設した操作用管路と、エルボ管路と、給水口を備えた給水管路を連繋して所定高さに給水口が位置する管路構成として、各管路の管端に前記した鞘管部と、円板体及び押圧筒体を付設した挿入管部を溶着したものである。
【0011】
而して適宜な給水源と連結して起立させた給水源用管路に、操作管路を繋ぎ、操作管路にエルボ管路を介して給水管路を連結すると、各連結箇所がガタツキなく堅牢に連結され、エルボ管路と給水管路を水平に回動させることで、給水装置の側方に停車する給水車のタンク上に給水口を移動させて給水を行うものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成は上記の通りで、連結作業が容易であると共に、連結後の遊び(ガタツキ・管の傾斜)状態がなく堅牢に連結されるので、管路の連結部分に傾斜・動揺が生ずると不都合な例えば給水車用の給水装置等の管路形成に最適な連結構造を提供できたものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態の連結状態の説明図(連結前)。
【
図4】本発明の管路連結構造の使用例(給水車用給水装置)の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の実施形態について説明する。実施形態に示した管路連結構造は、連結対象の管を構成する管Aの一方端に鞘管部1、他方端に挿入部2を設け、挿入部2に円板体3と押圧筒体4を付設したものである。
【0015】
挿入部2は、管端近傍外周に適宜な円周角の範囲で係止突部21を設けると共に、外周面の適宜範囲に、押圧筒体4を螺装するための螺条22を設けており、螺条22を形成して管の強度が低下しないように、挿入部2は管路を構成する管Aの厚さより厚い部材を使用して管Aの端部に溶着して形成する。
【0016】
鞘管部1は、前記の挿入部2が略密挿され、内周面に前記係止突部21が係合する係合凹条部11を形成すると共に、前記係合凹条部11の奥方にシール収納凹条部12を形成し、鞘管部1の開口端には係合凹条部11が露出して係止突部21が進出可能とする切欠部13を設けたものである。また前記シール収納凹条部12には、挿入部2の外周面と鞘管部1内周面の間を水封するリングシール5を装着したものである。
【0017】
円板体3は、鞘管部1の開口端面に当接する大きさの板状リングで、係止突部21より後方の挿入部2に外挿したもので、切欠部13と対応する位置(係止突部21とも対応する位置)に、鞘管部1の開口端から係合凹条部11に至る長さの封止舌片部31を設けたものである。
【0018】
押圧筒体4は、挿入部2に外挿した円板体3より管軸方向で後方側に位置するもので、前記した螺条22に螺装したものである。
【0019】
而して鞘管部1と挿入部2を各管端に備えた管Aの連結は、係止突部21を切欠部13の位置に合わせて挿入部2を鞘管部1内に挿入する。前記の挿入によってリングシール5が挿入部2の外周面に密着して挿入部2の外周面と鞘管部1の内周面の間が水封される(
図2イ)。
【0020】
次に管軸方向を中心として管Aを相対的に回動して係止突部21を係合凹条部11内に位置させ、挿入部2の鞘管部1からの抜け止めを実現する(
図2ロ)。
【0021】
挿入部2の回動後に、円板体3の封止舌片部31を切欠部13の位置に合わせて、封止舌片部31を切欠部13内に差し入れて、円板体3を鞘管部1の開口端に当接させる(
図3イ)。
【0022】
次に押圧筒体4を回転させて緊締すると、押圧筒体4で円板体3を強圧し挿入部2が引き抜き方向に力が加えられることになって、係止突部21が係止凹条部11内で開口側に強く押し付けられ、ガタツキ(遊び)が全くない状態で連結されることになる(
図3ロ)。
【0023】
上記した本発明の管路連結構造は、例えば
図4に示した給水車のタンクへの給水を行う給水装置(緊急給水装置)に適用される。
【0024】
給水車用の給水装置は、災害時等に既存の地下消火栓を利用して給水車のタンクに給水を行うもので、給水車のタンク受入口が地上高より高い位置にあるので、給水装置は、所定の高さまで起立させ、且つ給水装置の側方に停車する給水車への給水のために、回動可能とした腕管が必要となる。而もこれらの装置(管路)は嵩張るので、分解組立が必要であるが、本発明の管路連結構造を採用すると組立容易な給水装置を提供できる。
【0025】
図示した本発明の実施形態となる給水装置は、給水源用管路6と、操作用管路7と、エルボ管路8と、給水管路9で構成されると共に、各管路6,7,8,9の管端に前記した鞘管部1と、円板体3及び押圧筒体4を付設した挿入部2を溶着したものである。また各管路の長さは、給水装置の側方に停車する給水車への給水を可能とする所定の起立管部分と回動可能とした腕管部分が形成されるようにすれば良い。
【0026】
給水源用管路6は、地下消火栓(図示せず)に連結する適宜な給水源連結部61と、起立可能とする開閉四脚62を付設し、上端に鞘管部1を溶着したものである。
【0027】
操作用管路7は、開閉弁71及び接続した管が自由に管軸方向で回転可能とした回転連結部72を介設し、下端に挿入部2を、上端に鞘管部1を溶着したものである。
【0028】
エルボ管路8は、下端に挿入部2を設け横管端に鞘管部1を溶着したものである。また給水管路9は、先端に給水口91を設け、基端に挿入部2を設けたものである。
【0029】
而して各管路を順次連結し、開閉四脚62を開脚して装置全体を起立させると共に、給水源と連結することで、装置の側方に停車する給水車のタンクの受入口の位置に給水口91を位置させることで給水可能となる。従って前記給水装置は、特に管路の連結箇所がガタツキなく堅牢に連結されており、回動する管路部分全体をスムーズに動作させることができたものである。
【符号の説明】
【0030】
1 鞘管部
11 係合凹条部
12 シール収納凹条部
13 切欠部
2 挿入部
21 係止突部
22 螺条
3 円板体
31 封止舌片部
4 押圧筒体
5 リングシール
6 給水源用管路
61 給水源連結部
62 開閉脚(開閉四脚)
7 操作用管路
71 開閉弁
72 回転連結部
8 エルボ管路
9 給水管路
91 給水口