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特許7382639ボールねじ軸サポート構造とアクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】ボールねじ軸サポート構造とアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20231110BHJP
   F16H 25/22 20060101ALI20231110BHJP
   F16H 25/24 20060101ALI20231110BHJP
   F16C 29/06 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
F16H25/20 F
F16H25/22 K
F16H25/20 E
F16H25/24 H
F16C29/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020035178
(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公開番号】P2021139384
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【弁理士】
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】岩本 剛
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-196901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/20
F16H 25/22
F16H 25/24
F16C 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールねじ軸と、
上記ボールねじ軸の両端をそれぞれ支持する一対の端部材と、
上記ボールねじ軸に移動可能に螺合されたボールねじナットと、
上記ボールねじナットを挟んで軸方向両側に配置され上記ボールねじナットと共に移動しながら上記ボールねじ軸を支持する一対のサポートユニットと、
を具備し、
上記サポートユニットの上記ボールねじナットに対する距離を調整可能に構成し
上記ボールねじナットの軸方向両側にはガイド部材が張り出されていて、上記一対のサポートユニットはそれらガイド部材を介して上記ボールねじナットと一体化されていて、
上記サポートユニットは個々に上記ガイド部材に沿って軸方向に移動可能に取り付けられていてその固定位置を適宜調整されることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項2】
請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記ガイド部材はガイドシャフトであり、上記ガイドシャフトは上記サポートユニットに設けられた貫通孔を貫通していて、上記ガイドシャフトの外側から固定ねじをねじ込むことにより上記サポートユニットを上記ガイドシャフトに固定するようにしたことを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項3】
請求項2記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記ガイドシャフトは上記ボールねじナットの軸方向両側に複数本ずつ張り出されていることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項4】
請求項記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記ガイド部材はガイドプレートであり、上記ガイドプレートには長孔が軸方向に沿って延長して形成されていて、上記サポートユニットは上記ガイドプレートの下側に配置されていて、上記長孔の外側から固定ねじをねじ込むことにより上記サポートユニットを上記ガイドプレートに固定するようにしたことを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項5】
請求項記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記ガイド部材は上記ボールねじナットが設置されているスライダに固定されていることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れかに記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記サポートユニットは、サポートユニット本体と、上記サポートユニット本体に内装され上記ボールねじ軸が挿通されるブッシュとから構成されていることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項7】
請求項6記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記ブッシュと上記サポートユニット本体との間には弾性部材が介挿されていることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項8】
請求項1~請求項7の何れかに記載のボールねじ軸サポート構造において、
上記ボールねじナットが回転駆動されることを特徴とするボールねじ軸サポート構造。
【請求項9】
請求項1~請求項8の何れかに記載のボールねじ軸サポート構造が設置されていることを特徴とするアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールねじ軸サポート構造とアクチュエータに係り、特に、簡易な構成によりサポート部材の位置を適切に調製することで振動や騒音を抑制して高速化に対応することができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
ボールねじ軸サポート構造とアクチュエータの構成を開示するものとして、例えば、特許文献1及び特許文献2がある。
特許文献1に記載された送り装置は次のような構成をなしている。まず、テーブルがあり、このテーブルにはボールスクリュがその両端を軸受に支持されて設置されている。上記ボールスクリュにはナットが螺合されている。一方、送りサーボモータとギヤボックスが設置されていて、上記送りサーボモータの回転が上記ギヤボックス内のギヤを介して上記ナットに伝達される。上記ナットが回転されると、上記ナットひいては上記テーブルが上記ボールスクリュに沿って移動される。
上記ギヤボックスには軸受サポートが取り付けられていて、上記軸受サポートには軸受が設けられている。上記軸受によって上記ボールスクリュが上記ナットの進行方向の両側で支持されているので、上記ボールスクリュの振動が抑制される。
【0003】
また、特許文献2に記載されたボールねじ装置およびテーブル移動装置は次のような構成をなしている。まず、ベースがあり、このベース上にはボールねじ軸がその両端を上記ベースねじ軸固定フレームに支持されて設置されている。上記ベース上には移動ベースが移動可能に設置されていて、この移動ベース上にはボールナットブロックが設置されている。このボールナットブロックにはボールナットと上記ボールナットを回転させるモータと上記モータの回転軸の回転を伝達するギアが設置されている。上記ボールナットは上記ボールねじ軸に螺合されている。上記駆動モータの回転は上記ギアを介して上記ボールナットに伝達される。上記ボールナットが回転されると、上記ボールナット及び上記ボールナットブロックひいては上記移動ベースが上記ボールねじ軸に沿って移動する。
上記移動ベースの両端にはそれぞれ支持ブラケットが設置されていて、上記支持ブラケットにはスライド軸受が設置されている。上記スライド軸受によって上記ボールナットの進行方向の両側で上記ボールねじ軸が支持され上記ボールねじ軸の振動が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭63-44741号公報
【文献】特開2001-50365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では次のような問題があった。
すなわち、特許文献1の場合は、軸受サポート及び軸受の位置は変更することができず、ボールスクリュの長さや製造された装置の個体差に応じて上記ボールスクリュの固有振動数を適切に設定することができないという問題があった。
特許文献2に記載された発明の場合も同様であり、支持ブラケットの位置は変更することができず、ボールねじ軸の長さや製造された装置の個体差に応じて上記ボールねじ軸の固有振動数を適切に設定することができないという問題があった。
【0006】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、簡易な構成によりサポート部材の位置を適切に調製することで振動や騒音を抑制して高速化に対応することができるボールねじ軸サポート構造とアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するべく本願発明の請求項1によるボールねじ軸サポート構造は、ボールねじ軸と、上記ボールねじ軸の両端をそれぞれ支持する一対の端部材と、上記ボールねじ軸に移動可能に螺合されたボールねじナットと、上記ボールねじナットを挟んで軸方向両側に配置され上記ボールねじナットと共に移動しながら上記ボールねじ軸を支持する一対のサポートユニットと、を具備し、上記サポートユニットの上記ボールねじナットに対する距離を調整可能に構成し、上記ボールねじナットの軸方向両側にはガイド部材が張り出されていて、上記一対のサポートユニットはそれらガイド部材を介して上記ボールねじナットと一体化されていて、上記サポートユニットは個々に上記ガイド部材に沿って軸方向に移動可能に取り付けられていてその固定位置を適宜調整されることを特徴とするものである。
又、請求項2によるボールねじ軸サポート構造は、請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、上記ガイド部材はガイドシャフトであり、上記ガイドシャフトは上記サポートユニットに設けられた貫通孔を貫通していて、上記ガイドシャフトの外側から固定ねじをねじ込むことにより上記サポートユニットを上記ガイドシャフトに固定するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項3によるボールねじ軸サポート構造は、請求項2記載のボールねじ軸サポート構造において、上記ガイドシャフトは上記ボールねじナットの軸方向両側に複数本ずつ張り出されていることを特徴とするものである。
又、請求項4によるボールねじ軸サポート構造は、請求項記載のボールねじ軸サポート構造において、上記ガイド部材はガイドプレートであり、上記ガイドプレートには長孔が軸方向に沿って延長して形成されていて、上記サポートユニットは上記ガイドプレートの下側に配置されていて、上記長孔の外側から固定ねじをねじ込むことにより上記サポートユニットを上記ガイドプレートに固定するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項5によるボールねじ軸サポート構造は、請求項記載のボールねじ軸サポート構造において、上記ガイド部材は上記ボールねじナットが設置されているスライダに固定されていることを特徴とするものである。
又、請求項6によるボールねじ軸サポート構造は、請求項1~請求項5の何れかに記載のボールねじ軸サポート構造において、上記サポートユニットは、サポートユニット本体と、上記サポートユニット本体に内装され上記ボールねじ軸が挿通されるブッシュとから構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項7によるボールねじ軸サポート構造は、請求項6記載のボールねじ軸サポート構造において、上記ブッシュと上記サポートユニット本体との間には弾性部材が介挿されていることを特徴とするものである。
又、請求項8によるボールねじ軸サポート構造は、請求項1~請求項7の何れかに記載のボールねじ軸サポート構造において、上記ボールねじナットが回転駆動されることを特徴とするものである。
又、請求項9によるアクチュエータは、請求項1~請求項8の何れかに記載のボールねじ軸サポート構造が設置されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように、本願発明の請求項1記載のボールねじ軸サポート構造によると、ボールねじ軸と、上記ボールねじ軸の両端をそれぞれ支持する一対の端部材と、上記ボールねじ軸に移動可能に螺合されたボールねじナットと、上記ボールねじナットを挟んで軸方向両側に配置され上記ボールねじナットと共に移動しながら上記ボールねじ軸を支持する一対のサポートユニットと、を具備し、上記サポートユニットの上記ボールねじナットに対する距離を調整可能に構成したので、簡易な構成によりサポート部材の位置を適切に調製することで振動や騒音を抑制して高速化に対応することができる。
又、請求項2記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項1記載のボールねじ軸サポート構造において、上記ボールねじナットの軸方向両側にはガイド部材が張り出されていて、上記一対のサポートユニットはそれらガイド部材を介して上記ボールねじナットと一体化されていて、上記サポートユニットは上記ガイド部材に沿って軸方向に移動可能に取り付けられていてその固定位置を適宜調整されるので、より簡易な構成とすることができる。
又、請求項3記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項2記載のボールねじサポート構造において、上記ガイド部材はガイドシャフトであり、上記ガイドシャフトは上記サポートユニットに設けられた貫通孔を貫通していて、上記ガイドシャフトの外側から固定ねじをねじ込むことにより上記サポートユニットを上記ガイドシャフトに固定するようにしたので、より簡易な構成とすることができる。
又、請求項4記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項3記載のボールねじサポート構造において、上記ガイドシャフトは上記ボールねじナットの軸方向両側に複数本ずつ張り出されているので、上記サポートユニットを確実に保持して円滑に動作させることができる。
又、請求項5記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項2記載のボールねじサポート構造において、上記ガイド部材はガイドプレートであり、上記ガイドプレートには長孔が軸方向に沿って延長して形成されていて、上記サポートユニットは上記ガイドプレートの下側に配置されていて、上記長孔の外側から固定ねじをねじ込むことにより上記サポートユニットを上記ガイドプレートに固定するようにしたので、より簡易な構成とすることができる。
又、請求項6記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項1~請求項5の何れかに記載のボールねじ軸サポート構造において、上記サポートユニットは、サポートユニット本体と、上記サポートユニット本体に内装され上記ボールねじ軸が挿通されるブッシュとから構成されているので、上記ボールねじ軸を効果的に支持しつつ円滑に動作させることができる。
又、請求項7記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項6記載のボールねじ軸サポート構造において、上記ブッシュと上記サポートユニット本体との間には弾性部材が介挿されているので、より効果的に振動や騒音を防止できる。
又、請求項8記載のボールねじ軸サポート構造によると、請求項1~請求項7の何れかに記載のボールねじ軸サポート構造において、上記ボールねじナットが回転駆動されるので、上記ボールねじ軸が回転駆動しないので、上記ボールねじ軸が回転されることによる上記ボールねじ軸の放射方向へのずれ(縄跳び現象)が生ずることがなく、上記ボールねじ軸の長さひいては上記ボールねじナットのストロークを大きく確保できる。
又、請求項9記載のアクチュエータによると、請求項1~請求項8の何れかに記載のボールねじサポート構造が設置されているので、簡易な構成によりサポート部材の位置を適切に調製することで振動や騒音を抑制して高速化に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、サポート部材をサポート部材用ガイドの端部に位置している状態のアクチュエータの斜視図である。
図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1のII-II断面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1のIII-II断面図である。
図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図4(a)は図2のIVa部の拡大図、図4(b)は図2のIVb部の拡大図である。
図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1のV部の拡大図である。
図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、サポート部材がスライダ側に位置している状態のアクチュエータの斜視図である。
図7】本発明の第2の実施の形態を示す図で、アクチュエータの斜視図である。
図8】本発明の第2の実施の形態を示す図で、図8(a)はアクチュエータのボールねじナット付近の縦断面図、図8(b)は図8(a)のVIIIb部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1乃至図6を参照しながら、本発明の第1の実施の形態について説明する。図1乃至図3に示すように、上記アクチュエータ1には略U字型の断面形状を成すベース3がある。例えば、図3に示すように、上記ベース3の左右両内側面にはガイドレール5、5が設置されている。上記ガイドレール5、5にはガイド溝7、7がそれぞれ形成されている。
【0011】
また、上記ベース3にはボールねじ軸17が設置されている。また、図1及び図2に示すように、上記ベース3の前端側(図2中右側)には端部材9があり、上記ベース3の後端側(図1中左側)には端部材11がある。上記ボールねじ軸17はこれら端部材9、11に内装された軸受13、15よって支持されている。上記ボールねじ軸17には螺旋溝19が形成されている。
【0012】
図1図2、及び、図4(a)に示すように、上記ベース3にはスライダ21が左右方向に移動可能に設置されている。上記スライダ21の図4(a)中右側にはエンドキャップ23が設置されている。また、上記スライダ21の図4(a)中左側にはエンドキャップ25が設置されている。上記エンドキャップ23、25内の幅方向(図4(a)中紙面に直交する方向)両端側には図示しないリターン路が形成されている。上記スライダ21内の幅方向(図4(a)中紙面に直交する方向)両側にはそれぞれ図示しない無負荷循環路が形成されている。また、上記スライダ21の幅方向(図4(a)中紙面に直交する方向)両側面には図示しないガイド溝が形成されている。
【0013】
上記スライダ21内の図示しない一方の無負荷循環路と、上記エンドキャップ23の一方のリターン路、上記エンドキャップ25の一方のリターン路、及び、上記一方のガイドレール5のガイド溝7と上記スライダ21の図示しない一方のガイド溝の間の空間には、図示しない複数の鋼球が転動・循環されている。また、上記スライダ21内の図示しない他方の無負荷循環路と、上記エンドキャップ23の他方のリターン路、上記エンドキャップ25の他方のリターン路、及び、上記他方のガイドレール5のガイド溝7と上記スライダ21の図示しない他方のガイド溝の間の空間にも、図示しない複数の鋼球が転動・循環されている。このような構成により、上記スライダ21は上記ベース3に対して移動可能となっている。
【0014】
また、図4(a)に示すように、上記スライダ21には、図4(a)中左右方向に開口されたボールねじナット収容部27があり、このボールねじナット収容部27内には軸受収容部材28が設置されていて、上記軸受収容部材28には軸受29、29が設置されている。上記ボールねじナット収容部27内にはボールねじナット取付部材31が上記軸受29、29を介して回転可能に設置されている。上記ボールねじナット取付部材31には貫通孔32が形成されていて、この貫通孔32の図4(a)中右端側は拡径されてボールねじナット取付用凹部33が形成されている。
【0015】
上記ボールねじナット取付用凹部33にはボールねじナット35が設置されている。上記ボールねじナット35は、円筒形状のボールねじナット本体36と上記ボールねじナット本体36の前後(図4(a)中左右)に設置されたエンドキャップ37、39から構成される。上記ボールねじ軸17は上記ボールねじナット取付部材31と上記ボールねじナット35を貫通している。上記ボールねじナット本体36の内周面には螺旋溝41が形成されている。また、上記エンドキャップ37、39内には図示しないリターン路が形成されている。また、上記ボールねじナット本体36内には図示しない無負荷循環路が形成されている。
【0016】
上記ボールねじナット本体36の図示しない無負荷循環路内、上記エンドキャップ37、39の図示しないリターン路、及び、上記ボールねじナット本体36の螺旋溝41と上記ボールねじ軸17の螺旋溝19の間の空間には複数の鋼球43が転動・循環されている。また、図1に示すように、上記スライダ21の側面(図1中右上側)にはモータユニット45が設置されている。このモータユニット45内には図示しないモータが内装されている。
【0017】
上記ボールねじナット取付部材31の図4(a)中左端にはプーリー47が固着されている。上記モータユニット45の図示しないモータの出力軸にもプーリーが固着されていて、上記プーリー47と上記図示しないモータの出力軸のプーリーにはベルト49が巻回されている。上記プーリー47と上記図示しないモータの出力軸のプーリーと上記ベルト49によって、上記モータユニット45の図示しないモータの出力軸の回転が上記ボールねじナット取付部材31ひいては上記ボールねじナット35に伝達される。上記ボールねじナット35が回転されると、上記スライダ21が前後方向(図4(a)中左右方向)に移動される。
【0018】
また、上記アクチュエータ1には、上記ボールねじ軸17を支持するサポートユニット51、53が設置されている。上記サポートユニット51には図4(b)、図5に示すように、サポート保持部材55がある。上記サポート保持部材55の図3中上側の幅方向(図3中左右方向)両側にはガイド用貫通孔57、57が形成されている。
また、図3図4(b)、及び、図5に示すように、サポート保持部材55の図3中下側の幅方向(図3中左右方向)両側にはローラ取付部材59a、59bがある。上記ローラ取付部材59aには2個のローラ61、61がローラ用軸63、63を介して回転可能に設置されており、上記ローラ取付部材59bには1個のローラ61がローラ用軸63を介して回転可能に設置されている。上記ローラ61は上記ガイドレール5のガイド溝7に係合されている。
【0019】
図4(b)に示すように、上記サポート保持部材55にはブッシュ用貫通孔65が形成されており、上記ブッシュ用貫通孔65の図4(b)中右側にはブッシュ固定用凹部67が形成されている。上記ブッシュ固定用凹部67にはサポート部材としてのブッシュ69が上記ブッシュ用貫通孔65を貫通した状態で配置されている。上記ブッシュ69のフランジ部71は弾性部材73、75に挟持されている。上記弾性部材75の反フランジ部側(図4(b)中右側)にはさらに別のブッシュ固定部材77が設置されている。上記ブッシュ69は、ブッシュ固定用ねじ79を上記ブッシュ固定部材77、上記弾性部材75、上記フランジ部71、及び、上記弾性部材73の貫通孔を通して上記サポート保持部材55に螺合させることで固定されている。
【0020】
また、上記サポートユニット53も上記サポートユニット51と同じ構成の部材であり、図4(a)に示すように、上記スライダ21に対して上記サポートユニット51の反対側(図4(a)中左側)に設置されている。また、上記サポートユニット53は上記サポートユニット51に対して図4(a)中左右方向反対側に指向された状態で設置されている。
図4に示すように、上記ボールねじ軸17は上記サポートユニット51の上記ブッシュ69と上記サポートユニット53の上記ブッシュ69を貫通する状態で配置され、上記ボールねじ軸17は上記ブッシュ69、69を介して上記サポートユニット51、53によって支持されている。
なお、上記ブッシュ69は上記ボールねじ軸17に対して摺動性のよい材料(例えば、POM(polyoxymethylene)樹脂(ポリアセタール樹脂))で構成されている。また、上記弾性部材73、75はゴムで構成されている。
【0021】
また、図1に示すように、上記スライダ21の幅方向(図1中左下から右上に向かう方向)両側に、上記スライダ21の進行方向(図1中左上から右下に向かう方向)に突出されたガイド部材としてのガイドシャフト81、81が固着されている。
上記サポートユニット51、53のサポート保持部材55、55の幅方向(図1中左下から右上に向かう方向)にはガイド用貫通孔57、57が形成されている。上記ガイド用貫通孔57、57の一方には上記ガイドシャフト81、81の一方が貫通していて、上記ガイド用貫通孔57、57の他方には上記ガイドシャフト81、81の他方が貫通している。
【0022】
また、上記サポートユニット51は、図5に示すように、上記サポート保持部材55の左右両側において、サポート保持部材固定用ねじ83、83を上記サポート保持部材55の上側からねじ込んで上記ガイドシャフト81、81に当接させることで固定されている。上記4本のサポート保持部材固定用ねじ83、83、83、83を緩めることにより、上記サポートユニット51を上記ガイドシャフト81、81に沿って移動させることができ、それによって、上記サポートユニット51の位置を調整することができる。例えば、図6に示すように、上記サポートユニット51を上記スライダ21側に移動させて固定することができる。
上記サポートユニット53も同様の構成によりその位置を調整することができる。
上記ガイドシャフト81、81、上記ガイド用貫通孔57、57が形成されたサポート保持部材55、及び、上記サポート保持部材固定用ねじ83、83、83、83によってサポート位置調整機構91が構成されている。
【0023】
次に、この第1の実施の形態による作用について説明する。
モータユニット45のモータを駆動させて、上記スライダ21を移動させると、サポートユニット51、53もともに移動される。
上記サポートユニット51、53によって上記ボールねじ軸17が支持されているので、上記ボールねじ軸17の固有振動数が高くなり、上記スライダ21の移動に伴って生ずる振動が低減される。
【0024】
また、上記サポートユニット51、53の軸方向位置は、例えば、ボールねじ軸17の長さが変更された場合、等、装置の個体差に応じて適宜調整される。調整は上記サポートユニット51、53をガイドシャフト81、81に固定している4本のサポート保持部材固定用ねじ83、83、83、83を緩めることにより行われる。
【0025】
次に、この第1の実施の形態による効果について説明する。
アクチュエータ1にはガイドシャフト81、81、サポート保持部材55、及び、サポート保持部材固定用ねじ83によって構成され、サポートユニット51、53の位置を調製できるサポート位置調整機構91が設けられているため、簡易な構成によりサポート部材の位置を適切に調製することで振動や騒音を抑制して高速化に対応することができる。
また、複数のガイドシャフト81、81が設置されているので、上記サポートユニット51、53を確実に保持して円滑に動作させることができる。
また、サポート部材としてのブッシュ69が設置されていて、ボールねじ軸17は上記ブッシュ69を貫通しているので、上記ボールねじ軸17を効果的に支持しつつ円滑に動作させることができる。
また、上記ブッシュ69は、上記ブッシュ69のフランジ部71が弾性部材73、75に挟まれるように上記サポート保持部材55に固定されているので、上記ブッシュ69と上記ボールねじ軸17の摺動時の微小な振動を吸収させることができる。
また、モータユニット45がスライダ21側すなわちボールねじナット35側に設置されているので、上記ボールねじ軸17が回転される構成にはなっておらず、上記ボールねじ軸17が回転されることによる上記ボールねじ軸の放射方向へのずれ(縄跳び現象)が生ずることがないため、上記ボールねじ軸17の長さを確保することができ、上記スライダ21の移動距離を大きくすることができる。
【0026】
次に、図7及び図8を参照しながら、本発明の第2の実施の形態について説明する。
この第2の実施の形態によるアクチュエータ101は、前記第1の実施の形態におけるアクチュエータ1と略同様の構成であるが、図7に示すように、サポートユニット103、105が設けられている。
【0027】
上記サポートユニット103には、図8(b)に示すように、サポート保持部材111がある。上記サポート保持部材111にはブッシュ用貫通孔113が形成されており、上記ブッシュ用貫通孔113の図8(b)中右側にはブッシュ固定用凹部112が形成されている。上記ブッシュ固定用凹部112にはサポート部材としてのブッシュ117が上記ブッシュ用貫通孔113を貫通した状態で配置されている。上記ブッシュ117のフランジ部118は弾性部材114、115に挟持されている。上記弾性部材115の反フランジ部側(図8(b)中右側)にはさらに別のブッシュ固定部材116が設置されている。上記ブッシュ117は、ブッシュ固定用ねじ119を上記ブッシュ固定部材116、上記弾性部材115、上記フランジ部118、及び、上記弾性部材114の貫通孔を通して上記サポート保持部材111に螺合させることで固定されている。
【0028】
上記サポート保持部材111の図8中下側の幅方向(図8中紙面に直交する方向)両側にはローラ取付部材121a、121bがある。それぞれの上記ローラ取付部材121aには2個ずつのローラ123、123がローラ用軸126、126を介して回転可能に設置されており、上記ローラ取付部材121bには1個のローラ123が回転可能に設置されている。上記ローラ123は上記ガイドレール5のガイド溝7に係合されている。また、上記サポート保持部材111の図8中上側にはサポート固定部材125が固着されている。
上記サポートユニット105も上記サポートユニット103と同様の構成であり、図8(a)に示すように、上記サポートユニット103に対してスライダ21の図8(a)中左右方向反対側に180度回転させた状態で設置されている。
【0029】
スライダ21の進行方向(図7中左上から右下に向かう方向)両側には、ガイド部材としてのガイドプレート131、131が設置されている。上記ガイドプレート131には、上記スライダ21の進行方向(図7中左上から右下に向かう方向)に延長された位置調整用長孔133が形成されている。
上記サポートユニット103は、サポート保持部材固定用ねじ135、135を一方の上記ガイドプレート131の位置調整用長孔133を通して、上記サポートユニット103のサポート固定部材125に螺合させることで固定されている。また、上記サポートユニット105は、サポート保持部材固定用ねじ135、135を他方の上記ガイドプレート131の位置調整用長孔133を通して、上記サポートユニット105のサポート固定部材125に螺合させることで固定されている。
【0030】
この第2の実施の形態の場合によるアクチュエータ101では、位置調整用長孔133と上記サポート保持部材固定用ねじ135によってサポート位置調整機構141が構成されている。
上記サポート保持部材固定用ねじ135を緩めることで、上記サポートユニット103、105を上記位置調整用長孔133に沿って移動させることができるようになっている。よって、上記サポートユニット103、105の位置を上記位置調整用長孔133、133に沿った任意の位置に設定することで、上記ボールねじ軸17の長さ等のアクチュエータ101のスペックに応じて、上記サポートユニット103、105の位置、ひいては、上記ボールねじ軸17の固有振動数を適切に調製することができるようになっている。
なお、その他の構成は前記第1の実施の形態の場合と同じであり図中同一部分には同一符号を付して示しその説明を省略する。
【0031】
この第2の実施の形態の場合も、前記第1の実施の形態の場合と略同様の作用と効果を奏する。
位置調整用長孔133が形成されたガイドプレート131があり、サポート保持部材固定用ねじ135を緩めることでサポートユニット103、105を上記位置調整用長孔133に沿って移動させることができるので、簡易な構成によりボールねじ軸17の固有振動数を適切に調製することができる。
【0032】
なお、本発明は前記第1及び第2の実施の形態に限定されない。
サポート部材の数と配置には様々な場合が考えられる。
その他、図示した構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、ボールねじ軸サポート構造とアクチュエータに係り、特に、簡易な構成によりサポート部材の位置を適切に調製することで振動や騒音を抑制し高速に動作できるように工夫したものに関し、例えば、産業用ロボットに好適である。
【符号の説明】
【0034】
1 アクチュエータ
17 ボールねじ軸
35 ボールねじナット
51 サポートユニット
53 サポートユニット
69 ブッシュ(サポート部材)
81 ガイドシャフト
55 サポート保持部材
57 ガイド用貫通孔
73 弾性部材
75 弾性部材
83 サポート保持部材固定用ねじ
91 サポート位置調整機構
101 アクチュエータ
103 サポートユニット
105 サポートユニット
111 サポート保持部材(サポートユニット本体)
114 弾性部材
115 弾性部材
117 ブッシュ(サポート部材)
131 ガイドプレート
133 位置調整用長孔
135 サポート保持部材固定用ねじ
141 サポート位置調整機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8