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特許7382646移動する粒子の3次元撮像のためのシステム、デバイス、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】移動する粒子の3次元撮像のためのシステム、デバイス、および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/14 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
G01N15/14 D
G01N15/14 B
G01N15/14 C
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020543632
(86)(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019018631
(87)【国際公開番号】W WO2019161406
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】62/710,576
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ロー, ユ-ホァ
(72)【発明者】
【氏名】ハン, ユアンユアン
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106520535(CN,A)
【文献】特開2017-058352(JP,A)
【文献】特開2014-150412(JP,A)
【文献】特表2011-512543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0071452(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0001089(US,A1)
【文献】国際公開第2017/214572(WO,A1)
【文献】特表2012-521540(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0003729(US,A1)
【文献】特開平03-146848(JP,A)
【文献】Emilio J. Gualda,Three-Dimensional Imaging Flow Cytometry Through Light-Sheet Fluorescence Microscopy,Cytometry,2017年,Part A, 91A,pp.144-151,DOI: 10.1002/cyto.a.23046
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00~15/14
G01N 33/48~33/98
G01N 21/03~21/74
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する粒子の3次元(3D)撮像のためのシステムであって、
基板と前記基板上に形成されたチャネルとを含み、粒子が進行経路としての前記チャネルを通って第1の方向に流動することを可能にす粒子運動デバイスと、
移動している間、複数の時点において前記粒子の複数の区分にわたって走査する、前記粒子の前記チャネルの領域内に光の非対称照明面積を生成する光学照明システムであって、前記光の非対称照明面積は、照明の他の寸法より薄い照明の1つの寸法を備え、照明面のような形状を形成し、前記光学照明システムは、光ビームを生成するための光源を含み、前記光ビームは、前記光ビームを異なる角度に方向転換することによって、前記光の非対称照明面積を前記チャネルに指向させるように前記光ビームを修正するための光方向転換デバイスに光学的に結合される光学照明システムと、
1つ以上の光検出器を備える光学検出システムであって、前記1つ以上の光検出器は、前記粒子運動デバイスと光学的にインターフェースをとられ、前記チャネルを通した運動の間に、前記粒子の体積に対応する前記粒子の異なる部分と関連付けられる光信号、時間信号、または位置信号を備える光学信号データを検出するように動作可能であ、光学検出システムと、
前記光学検出システムと通信するデータ処理ユニットであって、前記データ処理ユニットは、プロセッサを含み、前記プロセッサは、前記光学検出システムによって検出される前記光学信号データを処理し、前記粒子の3D特徴を示す情報を含むデータを生成するように構成される、データ処理ユニットと
を備える、システム。
【請求項2】
前記光の非対称照明面積は、前記光の非対称照明面積の第1の走査が、前記第1の方向と、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向とを備える第1の平面を形成するように、前記チャネル前記領域において、前記第2の方向に指向され、前記光学検出システムの画像面は、前記光の非対称照明面積の第2の走査が、前記第1の平面と平行な第2の平面を形成し、前記第1の方向および前記第2の方向に対して垂直な第3の方向に沿って前記第1の平面からある距離だけ変動されるように、前記第3の方向に沿って配列される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光学照明システムは、前記粒子が、前記第1の方向に移動している間、第1の時点において、前記第1の平面内の前記粒子の第1の区分を走査し、第2の時点において、前記第2の平面内の前記粒子の第2の区分を走査し、それによって、前記粒子に空間的にマッピングされる時間信号を生成するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
空間フィルタは、前記粒子運動デバイスと前記1つ以上の光検出器との間に位置付けられ、前記空間フィルタは、前記粒子の走査される区分にわたる前記光の非対称照明面積の一部が、前記空間フィルタを過し、前記1つ以上の光検出器によって検出されることを選択的に可能にするための複数の開口を含み、前記空間フィルタの前記開口は、各開口が、前記光の非対称照明面積をフィルタリングし、前記粒子のボクセルに対応するように構成されるように、前記第2の方向に沿って位置付けられる、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記光学検出システムは、検出の時点にマッピングされた3次元の個々のボクセルを備える光学信号データを取得するように動作可能であり、前記データ処理ユニットは、ボクセル毎に前記粒子の3D画像を生成するように動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記粒子の3D画像データは、3つの軸における少なくとも1μmの空間分解能と、前記3つの軸における約20μmの視野とを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記チャネル内の前記粒子の流率は、少なくとも0.2m s-1であり、前記システムは、1秒あたり500個の粒子のスループットで前記粒子の前記データを生成するように動作可能である、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記粒子は、前記基板に固定され、前記粒子運動デバイスは、前記粒子が、前記チャネルに沿って移動させられ、記光の非対称照明面積が走査される前記領域の中にもたらされるように、前記基板を前記光学照明システムおよび前記光学検出システムに対して移動させるための位置付けシステムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記粒子運動デバイスと前記1つ以上の光検出器との間に位置付けられる空間フィルタとをさらに備え、前記空間フィルタは、前記粒子の走査される区分にわたる前記光の非対称照明面積の一部が、前記空間フィルタを過し、前記1つ以上の光検出器によって検出されることを選択的に可能にするための複数の開口を含み、前記空間フィルタの前記複数の開口は、あるパターンで配列され、前記あるパターンの各開口は、前記第1の方向に沿って離間され、前記あるパターンの別の開口に対して前記第1の方向に垂直な第2の方向に沿ってその位置が変動する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記光方向転換デバイスは、音響光学偏向器(AOD)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記AODは、前記データ処理ユニットによって、少なくとも100kHzの速度で周期的角度変化を発生させるようにプログラム可能である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記光方向転換デバイスは、走査ミラーの多重化アレイおよび/または走査格子の多重化アレイを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記光方向転換デバイスは、円筒形レンズと、レンズと、プリズムと、空間フィルタとから成る群から選択された1つ以上の受動光学構成要素と光学的に結合され、前記チャネル上に前記方向転換された光を成形する、請求項10-12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上の光検出器は、光電子増倍管を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記光学検出システムはさらに、前記光方向転換デバイスと光学的に結合される対物レンズを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記光学検出システムは、空間フィルタに光学的に結合される対物レンズを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記光学検出システムはさらに、前記光を前記空間フィルタから外に、複数の光検出器に向かって指向するための1つ以上の導光体要素を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記光学検出システムはさらに、細胞によって放射または散乱される光の2つ以上の帯域またはタイプに基づいて、2つ以上の対応する信号を発生させるための2つ以上の光検出器を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記粒子は、生細胞を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
移動する粒子の3次元(3D)撮像のための方法であって、
粒子を第1の方向に沿って移動させることと、
前記粒子が、移動している間に、少なくとも100kHzの率で、個々の光の非対称照明面積を対応する領域に指向することによって、前記粒子の複数の区分を区分毎に走査することと、
前記粒子の体積に対応する光信号、時間信号、または位置信号を含む光学信号を検出し、検出の時点にマッピングされた3次元の個々のボクセルを取得することと
を含む、方法。
【請求項21】
光源から生成される光ビームを前記個々の光の非対称照明面積に修正することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記粒子の前記複数の区分を走査することは、前記光ビームを異なる角度に方向転換することと、前記方向転換された光ビームを前記光の非対称照明面積に成形することとを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
第1の個々の光の非対称照明面積は、前記第1の個々の光の非対称照明面積の第1の走査が、前記第1の方向と、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向とを備える第1の平面を形成するように、前記粒子の進行経路において、前記2の方向に指向され、前記検出することのための画像面は、第2の個々の光の非対称照明面積の第2の走査が、前記第1の平面と平行な第2の平面を形成し、前記第1の方向および前記第2の方向に対して垂直な第3の方向に沿って前記第1の平面からある距離だけ変動されるように、前記3の方向に沿って配列される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記光学信号を処理し、前記粒子の3D特徴を示す情報を含むデータを生成することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
ボクセル毎の構築に基づいて、前記生成されたデータから前記粒子の3D画像を生成することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記粒子の前記データは、3つの軸における少なくとも1μmの空間分解能と、前記3つの軸における20μmの視野とを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記粒子の前記データは、1秒あたり500個の粒子のスループットで生成される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記粒子は、粒子フローセルによって移動させられ、前記粒子フローセルは、基板上に形成されるチャネルを含み、前記粒子を含有する流体を前記第1の方向に沿って前記チャネルを通して流動させる、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記粒子は、板に固定され、前記基板は、前記粒子が、前記第1の方向に沿って前記基板上を移動するように、位置付けシステムによって移動させられる、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
運動中の前記粒子の前記走査される区分にわたって前記光の非対称照明面積の一部を空間的にフィルタリングし、空間フィルタを通した前記粒子の体積に対応する前記光学信号が検出されることを可能にすることをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許文書は、2018年2月16日に出願され、「SYSTEMS, DEVICES AND METHODS FOR THREE-DIMENSIONAL IMAGING FLOW CYTOMETRY」と題された、米国仮特許出願第62/710,576号の優先権および利益を主張する。前述の特許出願の内容全体は、参照することによって本特許文書の開示の一部として組み込まれる。
【0002】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発)
本発明は、認可番号DA045460の下で国立衛生研究所(NIH)による政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明の下である権利を有する。
【0003】
本特許文書は、フローサイトメトリのための技法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
フローサイトメトリは、生細胞等の粒子を、それらが流体を通して流動するにつれて検出および分析するための技法である。例えば、フローサイトメータデバイスが、細胞および/または生化学的分子または分子塊の物理的および生化学的性質を、それらが逐次的な様式で照会されるにつれて、それらの光学、電気、音響、および/または磁気応答に基づいて特性評価するために使用されることができる。典型的には、フローサイトメトリは、粒子を照会するために外部光源を使用し、そこから、前方散乱、側面散乱、および蛍光等の入力光と粒子との間の1つ以上の相互作用によって引き起こされる、光学信号が、検出される。フローサイトメトリによって測定される性質は、粒子の相対サイズ、粒状度、および/または蛍光強度を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
開示されるものは、3次元撮像フローサイトメトリ(3D-IFC)に関する、方法、デバイス、システム、および用途である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの側面では、移動する粒子の3次元(3D)撮像のためのシステムは、粒子が進行経路に沿って第1の方向に移動することを可能にするための基板を含む、粒子運動デバイスと、粒子が、移動している間、複数の時点において粒子の複数の区分にわたって走査する、粒子の進行経路の領域内に光の非対称照明面積を生成するための、光学照明システムであって、光の非対称照明面積は、照明の他の寸法より薄い照明の1つの寸法を含み、照明面のような形状を形成し、光ビームを異なる角度に方向転換することによって、光の非対称照明面積を粒子運動の進行経路に指向させるように光ビームを修正するための、光方向転換デバイスに光学的に結合される、光ビームを生成するための光源を含む、光学照明システムと、粒子運動デバイスと光学的にインターフェースをとられ、進行経路内での運動の間に、粒子の体積に対応する粒子の異なる部分と関連付けられる、光学信号データを取得するように動作可能である、光学検出システムであって、1つ以上の光検出器と、粒子運動デバイスと1つ以上の光検出器との間に位置付けられる、空間フィルタとを含み、空間フィルタは、粒子の走査される区分にわたる光の非対称照明面積の一部が、空間フィルタを通して通過し、1つ以上の光検出器によって検出されることを選択的に可能にするための、複数の開口を含む、光学検出システムと、光学検出システムと通信する、データ処理ユニットであって、光学検出システムによって取得される光学信号データを処理し、粒子の3D特徴を示す情報を含むデータを生成するように構成される、プロセッサを含む、データ処理ユニットとを含む。
【0007】
いくつかの側面では、移動する粒子の3次元(3D)撮像のための方法は、粒子を第1の方向に沿って移動させるステップと、粒子が、移動している間に、個々の光の非対称照明面積を対応する領域に指向することによって、粒子の複数の区分を区分毎に走査するステップと、運動中の粒子の走査される区分にわたって光の非対称照明面積の一部を空間的にフィルタリングし、空間フィルタを通した粒子の体積に対応するある光学信号が検出されることを可能にするステップと、空間的にフィルタリングされた光学信号を検出し、検出の時点にマッピングされた3次元の個々のボクセルを取得するステップとを含む。
【0008】
本特許文書および添付の付属において説明される主題は、以下の特徴のうちの1つ以上のものを提供する、具体的な方法で実装され得る。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
移動する粒子の3次元(3D)撮像のためのシステムであって、
粒子が進行経路に沿って第1の方向に移動することを可能にするための基板を含む粒子運動デバイスと、
前記粒子が、移動している間、複数の時点において前記粒子の複数の区分にわたって走査する、粒子の前記進行経路の領域内に光の非対称照明面積を生成する光学照明システムであって、前記光の非対称照明面積は、照明の他の寸法より薄い照明の1つの寸法を備え、照明面のような形状を形成し、前記光学照明システムは、光ビームを異なる角度に方向転換することによって、前記光の非対称照明面積を粒子運動の前記進行経路に指向させるように前記光ビームを修正するための光方向転換デバイスに光学的に結合される光ビームを生成するための光源を含む、光学照明システムと、
光学検出システムであって、前記光学検出システムは、前記粒子運動デバイスと光学的にインターフェースをとられ、前記進行経路内での運動の間に、粒子の体積に対応する前記粒子の異なる部分と関連付けられる光学信号データを取得するように動作可能であり、前記光学検出システムは、1つ以上の光検出器と、前記粒子運動デバイスと前記1つ以上の光検出器との間に位置付けられる空間フィルタとを含み、前記空間フィルタは、前記粒子の走査される区分にわたる前記光の非対称照明面積の一部が、前記空間フィルタを通して通過し、前記1つ以上の光検出器によって検出されることを選択的に可能にするための複数の開口を含む、光学検出システムと、
前記光学検出システムと通信するデータ処理ユニットであって、前記データ処理ユニットは、プロセッサを含み、前記プロセッサは、光学検出システムによって取得される前記光学信号データを処理し、前記粒子の3D特徴を示す情報を含むデータを生成するように構成される、データ処理ユニットと
を備える、システム。
(項目2)
前記光の非対称照明面積は、前記光の非対称照明面積の第1の走査が、前記第1の方向と、第2の方向とを備える第1の平面を形成するように、前記進行経路の領域において、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に指向され、前記光学検出システムの画像面は、前記光の非対称照明面積の第2の走査が、前記第1の平面と平行な第2の平面を形成し、第3の方向に沿って前記第1の平面からある距離だけ変動されるように、前記第1の方向および前記第2の方向に対して垂直な第3の方向に沿って配列される、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記光学照明システムは、前記粒子が、前記第1の方向に移動している間、第1の時点において、前記第1の平面内の前記粒子の第1の区分を走査し、第2の時点において、前記第2の平面内の前記粒子の第2の区分を走査し、それによって、前記粒子に空間的にマッピングされる時間信号を生成するように構成される、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記空間フィルタの開口は、各開口が、前記光の非対称照明面積をフィルタリングし、前記粒子のボクセルに対応するように構成されるように、前記第2の方向に沿って位置付けられる、項目2に記載のシステム。
(項目5)
前記データ処理ユニットは、ボクセル毎に前記粒子の3D画像を生成するように動作可能である、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記粒子の3D画像データは、3つの軸における少なくとも1μmの空間分解能と、前記3つの軸における約20μmの視野とを含む、項目5に記載のシステム。
(項目7)
前記粒子運動デバイスは、粒子フローセルを含み、前記粒子フローセルは、前記基板上に形成されるチャネルを含み、前記粒子を含有する流体が前記進行経路として前記チャネルを通して流動することを可能にする、項目1に記載のシステム。
(項目8)
前記チャネル内の前記粒子の流率は、少なくとも0.2m s -1 であり、前記システムは、1秒あたり500個の粒子のスループットで前記粒子のデータを生成するように動作可能である、項目7に記載のシステム。
(項目9)
前記粒子は、前記基板に固定され、前記粒子運動デバイスは、前記粒子が、前記進行経路に沿って移動され、その上で前記光の非対称照明面積が走査される前記領域の中にもたらされるように、前記基板を前記光学照明システムおよび前記光学検出システムに対して移動させるための位置付けシステムを含む、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記空間フィルタの複数の開口は、あるパターンで配列され、前記あるパターンの各開口は、前記第1の方向に沿って離間され、前記あるパターンの別の開口に対して前記第1の方向に垂直な第2の方向に沿ってその位置が変動する、項目1に記載のシステム。
(項目11)
前記光方向転換デバイスは、音響光学偏向器(AOD)を含む、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記AODは、前記データ処理ユニットによって、少なくとも100kHzの速度で周期的角度変化を発生させるようにプログラム可能である、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記光方向転換デバイスは、走査ミラーの多重化アレイおよび/または走査格子の多重化アレイを含む、項目1に記載のシステム。
(項目14)
前記光方向転換デバイスは、円筒形レンズと、レンズと、プリズムと、空間フィルタとから成る群から選択された1つ以上の受動光学構成要素と光学的に結合され、前記進行経路上に前記方向転換された光を成形する、項目11-13のいずれかに記載のシステム。
(項目15)
前記1つ以上の光検出器は、光電子増倍管を含む、項目1に記載のシステム。
(項目16)
前記光学検出システムはさらに、前記光方向転換デバイスと光学的に結合される対物レンズを含む、項目1に記載のシステム。
(項目17)
前記光学検出システムは、前記空間フィルタに光学的に結合される対物レンズを含む、項目1に記載のシステム。
(項目18)
前記光学検出システムはさらに、前記光を前記空間フィルタから外に、複数の光検出器に向かって指向するための1つ以上の導光体要素を含む、項目1に記載のシステム。
(項目19)
前記光学検出システムはさらに、細胞によって放射または散乱される光の2つ以上の帯域またはタイプに基づいて、2つ以上の対応する信号を発生させるための2つ以上の光検出器を含む、項目18に記載のシステム。
(項目20)
前記粒子は、生細胞を含む、項目1に記載のシステム。
(項目21)
移動する粒子の3次元(3D)撮像のための方法であって、
粒子を第1の方向に沿って移動させることと、
前記粒子が、移動している間に、個々の光の非対称照明面積を対応する領域に指向することによって、前記粒子の複数の区分を区分毎に走査することと、
運動中の前記粒子の走査される区分にわたって前記光の非対称照明面積の一部を空間的にフィルタリングし、空間フィルタを通した前記粒子の体積に対応するある光学信号が検出されることを可能にすることと、
空間的にフィルタリングされた光学信号を検出し、検出の時点にマッピングされた3次元の個々のボクセルを取得することと
を含む、方法。
(項目22)
光源から生成される光ビームを前記個々の光の非対称照明面積に修正することを含む、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記粒子の複数の区分を走査することは、前記光ビームを異なる角度に方向転換することと、前記方向転換された光ビームを前記光の非対称照明面積に成形することとを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
第1の個々の光の非対称照明面積は、前記第1の個々の光の非対称照明面積の第1の走査が、前記第1の方向と、前記第2の方向とを備える第1の平面を形成するように、前記粒子の進行経路において、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に指向され、前記検出することのための画像面は、第2の個々の光の非対称照明面積の第2の走査が、前記第1の平面と平行な第2の平面を形成し、前記第3の方向に沿って前記第1の平面からある距離だけ変動されるように、前記第1の方向および前記第2の方向に対して垂直な第3の方向に沿って配列される、項目21に記載の方法。
(項目25)
前記光学信号を処理し、前記粒子の3D特徴を示す情報を含むデータを生成することをさらに含む、項目21に記載の方法。
(項目26)
ボクセル毎の構築に基づいて、前記生成されたデータから前記粒子の3D画像を生成することを含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記粒子のデータは、3つの軸における少なくとも1μmの空間分解能と、前記3つの軸における20μmの視野とを含む、項目25に記載の方法。
(項目28)
前記粒子のデータは、1秒あたり500個の粒子のスループットで生成される、項目25に記載の方法。
(項目29)
前記粒子は、粒子フローセルによって移動され、前記粒子フローセルは、基板上に形成されるチャネルを含み、前記粒子を含有する流体を前記第1の方向に沿って前記チャネルを通して流動させる、項目21に記載の方法。
(項目30)
前記粒子は、前記基板に固定され、前記基板は、前記粒子が、前記第1の方向に沿って前記基板上を移動するように、位置付けシステムによって移動される、項目21に記載の方法。
(項目31)
前記粒子は、生細胞を含む、項目21に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、本技術による、3次元撮像フローサイトメトリ(3D-IFC)システムの例示的実施形態のブロック図を示す。
【0010】
図1B図1Bは、図1Aに示される3D-IFCシステムのデータ処理システムの例示的実施形態のブロック図を示す。
【0011】
図1C図1Cは、本技術による、3D-IFCシステムの例示的実施形態の略図を示す。
【0012】
図1D図1Dは、図1Cの略図からの、物体面において流動する細胞、および画像面に位置付けられた空間フィルタを描写する図を示す。
【0013】
図2図2は、時間領域信号と空間光強度を含む空間情報との間の関係の原理を図示する略図を示す。
【0014】
図3A図3Aおよび3Bは、いくつかの例示的実施形態による、例示的3D-IFCシステムからの時間領域信号のデータプロットを示す。
図3B図3Aおよび3Bは、いくつかの例示的実施形態による、例示的3D-IFCシステムからの時間領域信号のデータプロットを示す。
【0015】
図4図4A-4Iは、いくつかの例示的実施形態による、例示的3D-IFCシステムによって捕捉された2Dおよび3D画像のデータプロットを図示する。
【0016】
図5A図5Aは、本技術による、3D-IFCシステムの例示的実施形態の略図を示す。
【0017】
図5B図5Bは、図5Aの略図からの、物体面に沿って流動する細胞、および画像面に位置付けられた空間フィルタを描写する図を示す。
【0018】
図5C図5Cは、例示的3D-IFCシステムのデータ処理システムによって生成された、3D再構築空間の実施例を示す。
【0019】
図5D図5D-5Fは、いくつかの例示的実施形態による、時間から3D空間へのマッピングを実証する、例示的3D-IFCシステムの例示的出力を示す。
図5E図5D-5Fは、いくつかの例示的実施形態による、時間から3D空間へのマッピングを実証する、例示的3D-IFCシステムの例示的出力を示す。
図5F図5D-5Fは、いくつかの例示的実施形態による、時間から3D空間へのマッピングを実証する、例示的3D-IFCシステムの例示的出力を示す。
【0020】
図6A図6A-6Cは、いくつかの例示的実施形態による、1μm蛍光ビーズで結合された、CFSEで染色されたHEK-293細胞を使用する、例示的3D-IFCシステムからの画像およびデータプロットを示す。
図6B図6A-6Cは、いくつかの例示的実施形態による、1μm蛍光ビーズで結合された、CFSEで染色されたHEK-293細胞を使用する、例示的3D-IFCシステムからの画像およびデータプロットを示す。
図6C図6A-6Cは、いくつかの例示的実施形態による、1μm蛍光ビーズで結合された、CFSEで染色されたHEK-293細胞を使用する、例示的3D-IFCシステムからの画像およびデータプロットを示す。
【0021】
図7A図7Aおよび7Bは、いくつかの例示的実施形態による、例示的3D-IFCシステムによって撮像された、蛍光γH2AX病巣の画像およびデータプロットを示す。
図7B図7Aおよび7Bは、いくつかの例示的実施形態による、例示的3D-IFCシステムによって撮像された、蛍光γH2AX病巣の画像およびデータプロットを示す。
【0022】
図8A図8A-8Dは、いくつかの例示的実施形態による、例示的3D-IFCシステムによって決定された白血球細胞の形態を描写する、画像およびデータプロットを図示する。
図8B図8A-8Dは、いくつかの例示的実施形態による、例示的3D-IFCシステムによって決定された白血球細胞の形態を描写する、画像およびデータプロットを図示する。
図8C図8A-8Dは、いくつかの例示的実施形態による、例示的3D-IFCシステムによって決定された白血球細胞の形態を描写する、画像およびデータプロットを図示する。
図8D図8A-8Dは、いくつかの例示的実施形態による、例示的3D-IFCシステムによって決定された白血球細胞の形態を描写する、画像およびデータプロットを図示する。
【0023】
図9図9は、いくつかの例示的実施形態による、例示的3D-IFCシステム内で使用される、微小流体システムの実施例を示す。
【0024】
図10図10は、いくつかの例示的実施形態による、空間フィルタ設計のための実施例の略図を示す。
【0025】
図11図11は、本技術による、3D-IFCシステムの例示的実施形態の略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
生物学の中心的課題は、個体群における不均質な個々の表現型を、それらが観察される個体群の挙動に順応する程度、または疾患に至らせる例外または健康に対する脅威となる能力として突出する程度を理解するために、その遺伝子型に相関させることである。光学顕微鏡は、生物学的試料の形態および分子組成を研究するための基礎的方法であるが、フローサイトメトリは、多数の生物医学的用途における定量的な高スループットの単一細胞特性評価のための至適基準である。従来の撮像フローサイトメトリ(IFC)は、光学撮像のいくつかの側面をフローサイトメトリと融合する技法である。例えば、IFCは、実験条件の変化に起因する摂動を伴わずに、細胞の大きな個体群における個々の細胞からアンサンブル平均測定値およびハイコンテントの空間メトリックを同時に生成することができる。さらに、既存のIFCシステムの重要な限界は、光学検出方法および算出アルゴリズムが使用されているかどうかにかかわらず、2D細胞画像のみが、取得され得ることである。3D断層撮影の不在は、物体の閉塞、焦点深度によるぶれ、z軸空間分解能の喪失、および2D画像の中への3D細胞の投影に起因するアーチファクトをもたらす。例えば、2D顕微鏡撮像の場合、蛍光プローブが、細胞の中心で観察される場合、その場所(例えば、膜、細胞基質、細胞核)は、不明瞭である。撮像面に対する細胞の配向に依存する2D撮像と比較して、内在化測定、プローブ共限局化、およびスポット計数等の用途の範囲に関して、3D画像は、より完全かつ正確な細胞および細胞小器官の形態の表現型化、および核酸およびタンパク質の局在化を提供し、生物学的洞察を支援する。したがって、流動している単一細胞に関する迅速かつ継続的な3D画像の入手の必要性が存在する。
【0027】
蛍光顕微鏡を使用する継続的なミリ秒未満の時間分解能の要求は、殆ど充足されていないままである。流動している細胞を撮像することは、細胞の大きい個体群に関する高スループットの形態、転座、および細胞シグナリング分析を迅速に実施し得る。単点フローサイトメトリと比較して、3次元撮像フローサイトメトリ(3D-IFC)は、高スループットの希少細胞検出および不均質現象の研究のために有用であり得る、蛍光および/または散乱光の3D空間分布に関するハイコンテント情報を提供する。
【0028】
開示されるものは、運動中の粒子のカメラレスで高スループットの3次元撮像のための方法、デバイス、システム、および用途である。いくつかの側面では、例えば、3次元撮像フローサイトメトリ(3D-IFC)システムが、光シート蛍光顕微鏡の構成に配列され、これは、信号が、例えば、空間フィルタを通して垂直方向に検出される間、単一平面内の試料を一度に照明する。例えば、3D-IFCシステムは、z方向に高速走査を提供する、音響光学偏向器を含むことができる。例えば、3D-IFCシステムは、各信号チャネル内の空間フィルタを通過した蛍光光学信号を検出するための単一要素光検出器を含むことができ、3D画像が、時間領域検出器の出力から再構築される。3D-IFCシステムは、検出器が、細胞内の個々の点を一度に検出することが可能であるように、走査光シート、細胞の流動運動、および空間フィルタを統合し、これは、1対1の基準における空間から時間へのマッピング、いわゆる、空間から時間への変換を可能にする。
【0029】
移動する粒子の3次元撮像のためのシステム、方法、およびデバイスの開示される実施形態のいくつかのものが、主に、撮像フローサイトメトリに関して下層概念の理解を促進するように、本明細書で説明されるが、開示される実施形態はまた、他の手段またはモダリティによる移動する粒子のための技法およびシステムも含み、他の用途のためにも使用され得ることを理解されたい。
【0030】
本開示されるシステム、方法、およびデバイスは、細胞/粒子/物体が、(例えば、流動、摺動、落下、または他の機構によって)高速で走査している「光シート」と称される光学照明面積によって画定される光学照会区域を通して進行するとき、運動中の物体(例えば、細胞、粒子、または他の物体)の3D特徴をボクセル毎に、検出器の出力において時間信号にマッピングすることが可能である。いくつかの実施形態では、開示されるシステム、方法、およびデバイスは、光学信号のみが、具体的な体積(例えば、点体積)から、かつ具体的な時間において発生され、検出器に到達することを可能にする、光学検出器の正面に設置される、空間フィルタ/マスクを含む。具体的な体積または具体的な時点から外れている信号が、空間マスクによって遮断される。
【0031】
図1Aは、本技術による、100と標識される、移動する粒子の3次元撮像のためのシステムの例示的実施形態のブロック図を示す。システム100は、粒子運動システム110と、粒子運動システム110とインターフェースをとられる、走査光シート照明システム120と、粒子運動システム110とインターフェースをとられる、光学検出システム130と、光学検出システム130および/または走査光シート照明システム130と通信する、データ処理システム140とを含む。いくつかの実装では、システム100は、空間と時間との間の流動している試料に関する光学的に検出される情報を変換し、変換された情報から3次元画像を構築することによって、単点検出器として動作する。例えば、光を試料の単一の点上に集束させる代わりに、照明システム120は、試料が、粒子運動システム110によって運動するにつれて、光を2D平面に沿って集束させる一方、光学検出システム130は、光のある部分のみが通過することを可能にし、ある点信号が検出器に進入することを制限するパターンを有する空間フィルタマップに基づいて、平面状に照明される試料の周囲の3次元空間から個々の光点を検出する。本光学機械技法は、物体が運動している間、平面状の光シートの光学的に選別された1次元の点を走査しながら、3次元の物体上に2次元の光(例えば、平面状の「光シート」)を構造化する。システム100は、粒子、細胞、または他の移動する物体の3D細胞断層撮影画像を迅速な流率(例えば、10cm/秒)で生成し、高スループット3D撮像を可能にすることが可能である。
【0032】
システム100のいくつかの実施形態では、粒子運動デバイス100は、粒子が進行経路に沿って第1の方向(例えば、運動方向)に移動することを可能にする、基板を含む。走査光シート照明システム120は、粒子が、移動している間、複数の時点において粒子の複数の区分にわたって走査する、粒子の進行経路の領域内に光シートを生成するように構成される。生成された走査光シートは、照明の他の寸法より薄い照明の1つの寸法を含み、照明面のような形状を形成する、光の非対称照明面積である。走査光シート照明システム120は、光ビームを異なる角度に方向転換することによって、光シートを粒子運動の進行経路に指向させるように光ビームを修正するための、光方向転換デバイスに光学的に結合される、光ビームを生成するための光源(例えば、レーザ)を含む。光学検出システム130は、粒子運動デバイス110と光学的にインターフェースをとられ、進行経路内での運動の間に粒子の体積に対応する粒子の異なる部分と関連付けられる、光学信号データを取得するように動作可能である。光学検出システム130は、1つ以上の光検出器と、粒子運動デバイス110と1つ以上の光検出器との間に位置付けられる、空間フィルタとを含み、空間フィルタは、粒子の走査される区分にわたる光の非対称照明面積の一部が空間フィルタを通して通過し、1つ以上の光検出器によって検出されることを選択的に可能にするための、1つ以上の開口を含む。データ処理ユニット140は、光学検出システム130と(いくつかの実施形態では、走査光シート照明システム120と)と通信し、光学検出システム130によって取得された光学信号データを処理し、粒子の3D特徴を示す情報を含むデータを生成するように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、そのような関連する実施形態では時として「フローセル」と称される、粒子運動システム110は、流動試料(例えば、粒子、生細胞、または他の物体)を含有する流体サンプルを搬送するための流体チャネルを有する、基板を含む。いくつかの実施形態では、粒子フローセルシステムは、流体チャネル内で微細流に閉じ込められたサンプル流体を生成するための、流動集束システムを含む。いくつかの実施形態では、フローセルの流体チャネルは、光透過性であり、透明な光学経路を可能にするように照会領域内に構成される。流動試料を含有する流体は、光学データが単一粒子または単一細胞を含む粒子毎に撮像システム120によって取得される、流体チャネル内の照会面積を通して流動方向に沿って流動する。
【0034】
さらに、いくつかの実施形態では、粒子運動システム110は、1つ以上の粒子、細胞(または照会のための他の物体)が固定される、基板を含み、基板は、粒子、細胞等が、その上で走査光シートが照明され、そこから粒子、細胞等における、および/またはそれを通したそのような光が検出可能である照会領域の中にもたらされるように、走査光シート照明システム120および光学検出システム130に対して移動される。そのような実施形態では、粒子運動システム110は、その上に固定された粒子が進行経路に沿って移動され、光シートが走査される領域の中にもたらされるように基板を移動させるための、移動ステージ(例えば、モータまたは他の駆動デバイスによって駆動される)を含む、デバイス位置付けシステムを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、走査光シート照明システム120は、粒子運動システム110の流体チャネル内で流動する粒子上への照明のための光シートとして構造化されるであろう光を発生させるための、光源を含む。いくつかの実施形態では、光源は、レーザを含む、および/またはいくつかの実施形態では、光源は、高輝度LEDまたはスーパールミネセントダイオードを含む。照明システム120は、光源によって発生された光ビームを異なる角度に方向転換するためのデバイスを含み、これは、高速(例えば、少なくとも100kHz~1MHzの範囲)で周期的角度変化を発生させるようにプログラムされ得る。光ビーム方向転換デバイスは、受動光学構成要素(例えば、円筒形レンズ、またはレンズ、プリズム、または空間フィルタのような他の光学構成要素等)と光学的に結合され、方向転換された光を成形し、運動している粒子の光学区画化を可能にする、構造化された光シート照明を生成することができる。例えば、照明システム120は、粒子上に粒子の薄いスライスまたは細い線、例えば、走査光シートを一度に照明するように動作可能である。
【0036】
いくつかの実施形態では、例えば、光方向転換デバイスは、音響光学偏向器(AOD)デバイスを含む。例えば、AODは、AODが、ビームの部分を喪失することなくビームのエネルギーを移動させる、高光学効率を伴う、光ビームの角度の制御可能な高速変化を提供することができる。AODは、高速および高効率で光を確実に方向転換するが、波長に敏感であり、種々の波長の複数の光ビームがシステム100の実装において採用されるべきいくつかの用途に関しては最適ではない場合がある。
【0037】
AODに加えて、またはその代替として、例えば、いくつかの実施形態では、光方向転換デバイスは、波長に限定されない走査ミラーの多重化アレイおよび/または走査格子の多重化アレイを含むことができる。例えば、走査ミラーのような個々の光学構成要素は、約20kHzの走査速度を提供するであろうが、走査ミラーの多重化アレイは、高速、例えば、200kHzを提供するように構成されることができる。
【0038】
いくつかの実装では、光学検出システム130は、粒子、細胞等の進行経路のものに対して直交する任意の角度で、例えば、光学的に透明な経路を有する粒子フローセルの流体チャネルに対して法線方向等の角度で設置されることができる。いくつかの実施形態では、光学検出システム130は、光検出器と、光検出器の画像面に位置付けられ、粒子の具体的な位置からの光が光検出器による検出のために通過することを選択的に可能にする、空間フィルタとを含む。光学検出システム130は、(a)粒子の流動運動と、(b)走査光シート照明と、(c)粒子の全ての位置から順次にタイミングが調節された様式で光強度(例えば、蛍光と、散乱とを含む)を検出するように空間的にマッピングされたフィルタとの組み合わせに基づいて、3D物体の1D光学データ点を随時検出するように動作可能である。したがって、光学検出システム130の光検出器によって記録される時間領域信号は、空間から時間への1対1の関係を有する。いくつかの実装では、光学検出システム130は、蛍光および散乱光を集光および検出するための光学フィルタを含む。例えば、光学検出システム130は、蛍光および/または散乱光の複数のチャネルを検出するための、複数の光検出器を含むことができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、空間フィルタは、表面上にあるパターンで配列される複数の開口(開口部またはスリット)を有する、表面を含む。いくつかの実施形態では、スリットは、粒子運動の第1の方向、および第1のものに対して垂直な第2の方向に沿って離間され、隣接するスリットの位置は、パターンの別のスリットに対して第2の方向に沿って変動する。いくつかの実施例では、開口は、例えば、限定ではないが、正方形、長方形、台形、三角形等を含む、他の幾何学形状および形状、または楕円形、円形等を含む、他の湾曲形状に構成されることができる。種々の実施形態では、開口のサイズは、検出可能な光学信号から構築されるべき画像データの所望の分解能に基づいて選択されることができる。例えば、開口の直径または長さは、画像面上に指向される光の拡大強度×所望の分解能から決定されることができる。一実施例では、所望の分解能が、1μmであり、検出モジュール170の対物レンズが、20倍である場合、スリットは、20μmの直径を有するように構成されるであろう。同様に、例えば、所望の分解能が、0.5μmであり、検出モジュール170の対物レンズが、50倍である場合、スリットは、25μmの直径を有するように構成されるであろう。いくつかの実装では、例えば、(粒子サイズに対して)比較的により小さい開口は、事実上、検出される光がデルタ関数として処理されることを可能にする。
【0040】
データ処理システム140は、検出される光学信号データを処理し、そこから粒子、細胞等の3D画像または密度分布が構築され得る、粒子、細胞等の3次元特徴を示すデータ(例えば、データセット)を生成するように構成される。例えば、データは、共焦点顕微鏡等の従来の3D撮像モダリティから取得される3D画像と幾分異なる、3D空間内の光学密度分布を表し得る。いくつかの実施形態では、データ処理システム140は、光学検出システム130と通信する、データ配信ユニットを含む。データ処理システム140は、光学検出システム130において捕捉された検出光学信号データから粒子毎に3D画像を再構築するための、プロセッサと、メモリと(データ処理ユニット)を含むことができる。いくつかの実装では、例えば、画像再構築アルゴリズムが、照明および検出プロトコルの仕様を含み、走査光シート照明システム120および光学検出システム130に適宜コマンドする、データ処理ユニット上に常駐する。いくつかの実施形態では、データ処理システム140は、画像データを処理し、粒子と関連付けられる性質を決定するための、画像処理ユニットを含む。
【0041】
図1Bは、例示的システム100のデータ処理システム140の例示的実施形態のブロック図を示す。種々の実装では、データ処理システム140は、例えば、デスクトップまたはラップトップコンピュータを含む、1つ以上のパーソナルコンピューティングデバイス、クラウド内にサーバおよび/またはデータベースを含む、インターネットを介してアクセス可能なコンピュータシステムまたは通信ネットワーク(「クラウド」と称される)内の1つ以上のコンピューティングデバイス、および/またはスマートフォン、タブレット、またはスマートウォッチまたはスマートグラスを含む、ウェアラブルコンピュータデバイス等の1つ以上のモバイルコンピューティングデバイス上で具現化される。データ処理システム140は、データを処理するための、プロセッサと、プロセッサと通信し、データを記憶および/またはバッファリングする、メモリとを含む。例えば、プロセッサは、中央処理ユニット(CPU)またはマイクロコントローラユニット(MCU)を含むことができる。いくつかの実装では、プロセッサは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはグラフィック処理ユニット(GPU)を含むことができる。例えば、メモリは、プロセッサによって実行されると、例えば、情報、コマンド、および/またはデータを受信する、システム100等からの情報およびデータを処理する、および処理された情報/データをアクチュエータまたは外部ディスプレイ等の別のデバイスに伝送または提供する等の種々の動作を実施するためのデータ処理システム140を構成する、プロセッサ実行可能コードを含み、記憶することができる。データ処理システム140の種々の機能をサポートするために、メモリは、命令、ソフトウェア、値、画像、およびプロセッサによって処理または参照される他のデータ等の情報およびデータを記憶することができる。例えば、種々のタイプのランダムアクセスメモリ(RAM)デバイス、読取専用メモリ(ROM)デバイス、フラッシュメモリデバイス、および他の好適な記憶媒体が、メモリの記憶機能を実装するために使用されることができる。いくつかの実装では、データ処理システム140は、プロセッサおよび/またはメモリを他のモジュール、ユニット、またはデバイスにインターフェースをとらせるための、入力/出力(I/O)ユニットを含む。いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス等に関して、データ処理システム140は、例えば、伝送機(Tx)または伝送機/受信機(Tx/Rx)ユニット等の無線通信ユニットを含む。例えば、そのような実施形態では、I/Oユニットは、プロセッサおよびメモリを無線通信ユニットとインターフェースをとらせ、例えば、クラウド内の1つ以上のコンピュータとユーザデバイスとの間等の、データ処理システム140と他のデバイスとの通信において使用され得る、例えば、典型的なデータ通信規格と互換性のある種々のタイプの無線インターフェースを利用することができる。データ通信規格は、限定ではないが、Bluetoorh、Bluetoorh low energy(BLE)、Zigbee(登録商標)、IEEE802.11、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)、無線広域ネットワーク(WWAN)、WiMAX、IEEE802.16(世界規模相互運用マイクロ波アクセス(WiMAX))、3G/4G/LTE/5Gセルラー通信方式、およびパラレルインターフェースを含む。いくつかの実装では、データ処理システム140は、I/Oユニットを介した有線接続を使用して他のデバイスとインターフェースをとることができる。データ処理システム140はまた、他の外部インターフェース、データ記憶装置源、および/または視覚またはオーディオ表示デバイス等とインターフェースをとり、プロセッサによって処理され得る、メモリ内に記憶され得る、またはディスプレイデバイスまたは外部デバイスの出力ユニット上に展示され得る、データおよび情報を読み出し、転送することができる。
【0042】
図1Cは、システム100のいくつかの実施形態による、3D-IFCシステム150の例示的実施形態の略図を示す。略図に示されるように、3D-IFCシステム150は、光シート照明モジュール160および検出器モジュール170にインターフェースをとられる、流動試料(例えば、粒子、生細胞等)を含有する流体サンプルを搬送するための流体チャネルを含む、粒子フローセル151を含む。光シート照明モジュール160は、光源169(例えば、488nmレーザ等のレーザ)を伴う光学照明経路内に配列される、円筒形レンズ161および対物レンズ(OL)163に光学的に結合される、音響光学偏向器(AOD)165を含む。例えば、円筒形レンズ161は、AOD165の後に設置され、光を1方向に集束させ(例えば、レーザビーム焦点を作製し)、走査光シートを形成する。AODは、周波数毎に異なる角度に偏向された1次ビームを生成し、したがって、経時的に走査を発生させる。検出器モジュール170は、流動システム151とインターフェースをとられる対物レンズ172と光学光検出器179(例えば、光電子増倍管(PMT))との間の光学検出経路内に配列される、空間フィルタ(SP)171を含み、流動物体(例えば、細胞、粒子等)から光学信号データを捕捉する。いくつかの実装では、光学信号データの特定の光スペクトル領域または複数の光スペクトル領域が、検出器モジュール170によって検出される。したがって、図1Cに示されるもののようないくつかの実施形態では、例えば、検出器モジュール170は、分割された光学経路内で帯域通過フィルタ(BP)175および光検出器179(例えば、PMT)に光学的に結合されるダイクロイックミラー(DM)173に光学的に結合される、空間フィルタ171を含む。例えば、照明は、検出に対して垂直に行われることができる。空間フィルタ171は、画像面に設置される。いくつかの実施形態では、3D-IFCシステム150は、光をシステムの別のコンポーネントの指定される場所に集束させる、および/または指向するためのレンズまたは導光体を含む。いくつかの実装では、例えば、PMT信号が、例えば、チャネルデジタル記録デバイスあたりで1秒あたり100メガサンプル(MS/秒)で収集される。
【0043】
いくつかの例示的実施形態では、3D-IFCシステム150は、信号が、垂直方向に検出される間、単一平面内の流動試料を一度に照明する、光シート蛍光顕微鏡の構成に配列される。音響光学偏向器(AOD)165は、z方向の高速走査を提供することができる。PMT 179等の単一要素光検出器が、各チャネル内の空間フィルタ171を通過した蛍光を検出し、画像が、時間領域検出器の出力から再構築される。走査光シート、細胞の流動運動、および空間フィルタを組み合わせて、検出器は、細胞内の個々の点のみを一度に検出することができ、これは、空間から時間への変換を可能にする。
【0044】
図1Dは、物体面に沿って流動する例示的流動試料(例えば、細胞)、および画像面に位置付けられる空間フィルタ171を描写する図を示す。いくつかの実施形態では、空間フィルタ171は、あるパターン、例えば、スリットに配列される複数の開口(開口部)を有する、表面を含み、パターンの各開口は、y軸に沿った各開口が、x軸に沿った異なる位置にあるように、(流動方向に対して平行な)y軸に沿って離間され、パターンの別の開口に対して(流動方向に対して垂直な)x軸に沿ってその位置が変動する。図1Dに示される例示的空間フィルタ171では、開口は、約20μmの直径を伴う丸みを帯びた形状(例えば、楕円形または円形)を有する、スリットを含む。
【0045】
略図に示されるように、平面状の光シートは、xy平面内に作成され、光の幅は、y軸(粒子の流動方向)に沿って画定され、x軸は、光の重量(照明の方向)である。本略図では、z軸は、AOD165によって制御される、走査軸である。いくつかの実装では、光シートの厚さ(z軸)は、約1μmである。細胞の光学点走査は、細胞が、チャネル内で運動している間、y軸に沿って実行され、x軸走査は、空間フィルタマップ171によって遂行される。本実施例では、光シート照明モジュール160によって生成される光シートは、0.6μmのウエスト(z方向)と、y方向の250μmの長さとを有し、z方向に走査する。空間フィルタは、1つのものが別のものの直後にあるような方法で離間されて位置付けられる、10個の20μm(x方向)×10μm(y方向)のスリットを有する。
【0046】
図2A-2Dは、時間領域信号(右)と3D空間内に立方体として描写される空間情報(左)との間の関係を図示する、略図を示し、空間光強度を示す。図2Aは、3D-IFCからの時間領域信号の実施例を示し、(実施例では球体のような)3D物体の光強度を表し、各時点は、3D空間内の具体的なボクセルに対応する。図2Bは、3D物体全体のxy平面投影を表す信号の範囲の実施例を示す。図2Cは、強調されるような各区分が、3D空間の1つのyz平面スライスの光強度を表す実施例を示す。これらの実施例では、各区分の持続時間は、物体が物体面内で20μm進行する時間であり、これは、画像が空間フィルタに沿って1つのスリットから別のものに通過する時間に等しい。図2Dは、強調されるような1つの単一ピークが、光シ-トが1つの走査周期を実施する、z方向の1行の光強度を表す、実施例を示す。
【0047】
以下の方程式は、システム100の実施形態のいくつかの側面を説明するために使用され得る。例えば、音響光学偏向器(AOD)内の音響トランスデューサに送信される音響周波数が、正弦波状に変化しているとき、光シートのz方向内の位置f(t)は、以下のように説明され得る。
【化1】
【0048】
例えば、音響周波数が、鋸歯波状に変化している場合、f(t)は、以下のように説明され得る。
【化2】
式中、Tは、走査周期であり、vは、z方向の走査速度であり、zは、光シートのz方向のウエストである。
【0049】
光シート照明I(x,y,z,t)は、以下のように記述され得る。
【化3】
【0050】
空間フィルタの特性関数F(x,y)は、以下のように設計される。
【化4】
式中、x=1,2,...,Nは、空間フィルタ上のスリットの数であり、Lは、スリットのy方向の長さである。
【0051】
測定されるPMT信号S(t)は、以下のように表現され得る。
【化5】
式中、Mは、検出システムの拡大係数であり、Cell(x,y,z)は、3D細胞蛍光強度プロファイルである。
【0052】
本例示的アプローチは、3D細胞画像を時間領域光強度に1対1の基準でマッピングする。
【0053】
システム100の例示的実施形態の実装が、生細胞等の生物学的サンプルの特徴を撮像および特性評価するために使用され得る。例えば、単一の細胞が、フローセルキュベットの内側で0.1m/秒の速度で流動する懸濁液中で撮像され得る。本明細書に説明される例示的実装では、撮像されているいくつかの単一細胞サンプルは、その細胞膜に結合される1μm蛍光ビーズを伴う、CellTrace CFSEで染色されている、HEK293T細胞を含む。
【0054】
図3Aおよび3Bは、例示的3D-IFCシステム150からの時間領域信号のデータプロットの実施例を示す。物体、すなわち、その細胞膜に結合される1μm蛍光ビーズを伴う、CellTrace CFSEで染色されているHEK293T細胞は、0.1m/秒の速度で流動している場合がある。データプロットは、図3Aの1つのチャネル(例えば、520/40nm帯域通過型)、および図3Bの別のチャネル(例えば、650nmロングパス型)のPMTからの時間領域データ出力を示す。検出される範囲は、細胞の2D画像を再構築するために使用され得る。図3Aおよび3Bのデータプロットは、3D-IFCシステム150を用いて捉えられる実施例として、細胞の時間領域信号群を示す。これらの例示的実装では、光シートは、z方向に25μmの範囲内で200kHzで走査していた。
【0055】
図4A-4Iは、例示的3D-IFCシステム150によって捕捉された、その細胞膜に結合される1μm蛍光ビーズを伴う、CellTrace CFSEで染色されているHEK293T細胞の2D画像および3D画像の例示的データプロットを示す。図4A-4Cでは、データプロットは、それぞれ、例示的3D-IFCシステム150によって捕捉および再構築された、緑色チャネル(401)、赤色チャネル(402)、およびオーバーレイ(403)の画像データを示す、2D画像を示す。これらのデータプロットでは、スケールバーは、5μmを表す。図4D-4Fでは、データプロットは、例示的3D-IFCシステム150によって生成される、緑色チャネル(404)、赤色チャネル(405)、および融合物(406)の3D再構築画像データを示す、3D再構築画像を示す。これらのデータプロットでは、立方体ケージは、20μm×20μm×20μmの空間を表す。図4G-4Iは、3D画像に関する緑色チャネル(斜視図407-411)、赤色チャネル(斜視図412-417)、およびオーバーレイ(斜視図418-423)において3Dに撮像された細胞の6つの異なる2D斜視図を示す。3D再構築画像によって示されるように、異なる視野角からの2D斜視図は、異なる特徴を保有する。
【0056】
図4A-4Iに示される3D画像は、これらが細胞膜上の4つの蛍光ビーズであることを実証するが、2D画像は、ビーズの数に関して曖昧な情報を含有する。流動システムでは、物体の配向を制御することは殆ど可能ではなく、そのため、1つのみの視点を有する2D画像を捕捉することは、特に、相対場所が重要であるとき、検出誤差を発生させ得る。生物学的試料は、本質的に3次元であるため、3D画像を捕捉することは、サンプルに関する完全な情報を提供する。
【0057】
例示的3D-IFCシステム150を実装および/または加工するための例示的方法が、説明される。上記に説明される例示的実装では、ガウスエネルギー分布を伴う楕円形ビーム形状を有する、コリメートされ、集束され、次いで、拡張され、1.2μm(z方向)×250μm(y方向)の面積を照明する、100mWの488nmレーザ(Toptica製iBeam-SMART)が、使用された。モジュール式の掃引周波数型RF電力源(Isomet製)によって駆動される、AOD(Isomet製)が、使用され、異なる時間において異なる出力角度を伴う偏向されたレーザビームを生成し、したがって、レーザビームをz方向に走査した。円筒形レンズおよび10倍/0.25対物レンズが、使用され、光シートを形成した。サンプルからの蛍光放射が、10倍/0.25対物レンズ(Mitutoyo製)を通して集光され、各チャネルにおいて1つのPMT(Hamamatsu製)によって検出された。PMTの読出値が、PCIE DAQカード(Advantech製)によって記録された。
【0058】
空間フィルタの加工は、以下の技法を含むことができる。空間フィルタの設計は、AutoCADにおいて描画され、1インチあたり20,000ドット(dpi)で透明マスクに印刷された。ネガ型フォトレジスト(NR9-1500PY、Futurrex, Inc.製)の層が、6インチガラスウエハ上で1分あたり3,000回転(rpm)で回転された。ウエハは、150℃で3分間にわたってホットプレート上で加熱され、次いで、透過性マスクを通してUV光(EVG620NT、EV Group製)に暴露された。UV暴露の後、ウエハは、RD6(Futurrex, Inc.製)内での12秒間にわたる現像の前に、100℃でさらなる3分間にわたって焼成された。300nmの厚さのアルミニウムのフィルムが、ガラスウエハ上にスパッタされた。金属リフトオフの後、空間フィルタのパターンが、形成され、ガラスウエハが、12mm×12mmの部片にダイカットされた。フローサイトメータシステム内に空間フィルタを保持することに役立つように、10個の20μm×10μmのスリットを有する空間フィルタが、3D印刷法によって加工された、サンプルホルダに搭載された。
【0059】
細胞サンプルの調製は、以下の技法を含むことができる。HEK293Tヒト胎児腎臓細胞サンプルが、培養培地(DMEM、10%のウシ胎仔血清、1%のペニシリンストレプトマイシン)を用いて、10cmのペトリ皿内で90%の密集度に培養された。1.0μm蛍光ビーズ(Ex/Em:488/645nm、T8883、Thermo Fisher製)の原液からの100倍の希釈後、100μLの希釈された溶液が、10mLの新鮮細胞培養培地と混合され、細胞培養プレートに添加された。10時間にわたる連続培養の後、HEK293T細胞は、採集され、4%のパラホルムアルデヒドによって定着され、1倍のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄および再懸濁された。定着後、細胞は、CellTrace CFSE細胞増殖キット(Ex/Em:492/517nm、Thermo Fisher製)を用いて染色された。全ての撮像実験の前に、懸濁液が、PBS中で200個の細胞/μLの濃度まで希釈された。
【0060】
開示される3D-IFCシステムおよび方法の例示的用途は、以下を含むことができる。
【0061】
DNA損傷:電離放射線または細胞毒性化学薬品が、二重鎖切断(DSB)を形成する、DNA損傷を引き起こすと、リン酸化タンパク質ガンマH2AX病巣が、1:1の様式でDSBを迅速に形成し、表す。ガンマH2AXに対して作られた抗体を用いて、フローサイトメトリおよび免疫蛍光顕微鏡によるガンマH2AXの検出および可視化は、DNA損傷、関連するDNA損傷タンパク質、およびDNA修復を評価する。2D撮像技法および手動定量化が、多くの研究者によって広く使用されるが、2D画像からの病巣の計数は、極めて多くの労力を要するだけではなく、病巣の数が大きく、重複が1つの視点内で生じるときには信頼性を欠くものでもある。高スループットで3D空間分解能を取得することは、2D技法と比較すると、ガンマH2AXの数、面積、および密度の分析に関して有意に優れている。本明細書に説明される3D-IFCシステム150の例示的実施形態は、例えば、ガンマH2AZ病巣の定量化に好適である、高スループットのサイトメトリック器具を提供することができる。
【0062】
FISH:蛍光インサイツハイブリダイゼーション法(FISH)は、染色体上の具体的なDNA配列の存在または不在を効率的に検出および限局化し、疾患診断および予後の査定において高い正確度を達成することができる。FISH信号分析は、典型的には、2D顕微鏡画像上で行われる。しかしながら、2つのプローブされたFISH信号が、転座が深度方向に存在する投影画像面内で重複されるときに、検出誤差が、生じ得る。初期または微妙な疾患に関して、少数の異常細胞を検出することは、診断上の差異を作製し得、本種類の検出誤差は、重大であり得る。本明細書に説明される3D-IFCシステム150の例示的実施形態は、FISH信号の3D可視化に好適であり得、一部の臨床症例に関する分析の全体的な正確度を改良し得る。
【0063】
内在化/エンドサイトーシス:例えば、(1)食細胞の病原体および細胞破片の認識、結合、内在化、および排除、(2)細胞抗体の取り込みおよび提示、(3)細胞エキソソームおよび他のナノ粒子の取り込み、(4)細胞の薬剤取り込みおよび処理等の多くの細胞プロセスが、内在化を測定することによって評価される。2Dの広視野顕微鏡画像または撮像サイトメトリック画像のいずれも、相対的場所に関して不完全な情報を提供するにすぎない。例えば、2D顕微鏡画像からでは、粒子が、細胞のちょうど中心に着座している状態で観察される場合、粒子が細胞膜上にある(セルの上にある)かどうか、または粒子が細胞質の内側にあるかどうか、またはさらに細胞核の中にあるかどうかを区別することは殆ど可能ではない。代わりに、人々は、複数の焦点面において画像を捉え、本タイプの問題を解決する。本明細書に説明される3D-IFCシステム150の例示的実施形態は、これらの内在化研究のための継続的な高スループット分析を実施することができる。
【0064】
カメラレスで高スループットの3D-IFCシステム、方法、およびデバイスのさらなる実施形態および実装が、流動している単一細胞の3D蛍光および暗視野画像を捕捉する光学区分化顕微鏡に基づいて、細胞のような物体を撮像するために説明される。開示されるカメラレスで高スループット3D-IFCシステムおよび方法は、1秒あたり約500個の細胞のスループットで流動している単一細胞の3D蛍光および無標識側方散乱画像を共捕捉する能力を提供する。
【0065】
例えば、いくつかの例示的実装では、高スループット3D-IFCシステムは、光シート走査照明技法および空間から時間への変換検出技法を利用し、カメラを用いることなく単一要素光検出器の読出値からの蛍光および無標識3D細胞画像の再構築を可能にする。例示的実装では、光電子増倍管(PMT)の速度および感受性の利点を使用して、例示的3D-IFCシステムは、複数の走査技法を使用し、フローサイトメトリアーキテクチャ内に空間情報を追加する。3D撮像が、第1の(z)軸を横断したレーザ走査、第2の(y)軸を横断した流動による細胞の平行移動、および第3の(x)軸に沿って配列される複数のピンホールの使用によって達成され、セルあたり60,000個のボクセルから蛍光および無標識情報を生成し得る。時間から空間に精密にマッピングすることによって、1つの時点における光検出器の読出値は、3D空間内の1つのボクセルに対応する。下記に説明される例示的結果は、1秒あたり約500個の細胞のスループットに対応する、0.2m s-1の速度で流動している単一セルの蛍光および90度無標識側方散乱(SSC)撮像の3D-IFCを例証する。
【0066】
図5Aは、システム100のいくつかの実施形態による、550と標識される、3D-IFCシステムの別の例示的実施形態を示す。略図に示されるように、3D-IFCシステム550は、3D IFCシステム550の光シート照明モジュール560および検出器モジュール570にインターフェースをとられる、流動試料(例えば、粒子、生細胞等)を含有する流体サンプルを搬送するための流体チャネルを含む、流動システム551を含む。光シート照明モジュール560は、光源569(例えば、レーザ)を伴う光学照明経路内に配列される、円筒形レンズ(CL)561および照明対物レンズ(IO)563(例えば、50倍/0.55照明対物レンズ)に光学的に結合される、音響光学偏向器(AOD)565を含む。円筒形レンズ561は、AOD565の後に設置され、光を1方向に集束させ(例えば、レーザビーム焦点を作製し)、走査光シートを形成する。例えば、いくつかの実施形態では、光シート照明モジュール560は、円筒形レンズ561とAOD565との間にミラー要素564を含み、照明モジュール560の構成要素の種々の位置配列を可能にしながら、光学経路を留保し、光を流動サンプル上に送達する。いくつかの実装では、AOD565は、周波数毎に異なる角度に偏向された1次ビームを生成し、したがって、経時的に走査を発生させる。いくつかの実装では、流体サンプルは、図9に関してさらに議論される、正方形断面の石英フローセルに進入する前に、シースによって2Dで流体力学的に集束される。
【0067】
検出器モジュール570は、流動システム551とインターフェースをとられる検出器対物レンズ(DO)572(例えば、10倍/0.28検出対物レンズ)と光学光検出器579との間の光学検出経路内に配列される、空間フィルタ(SP)571を含み、流動物体(例えば、細胞、粒子等)から光学信号データを捕捉する。空間フィルタ571は、光検出器579の画像面に設置される。例えば、光検出器579は、検出器モジュール570が光学信号データの特定の光スペクトル領域または複数の光スペクトル領域を検出するように、1つ以上の光検出器(例えば、光電子増倍管(PMT)等)を含むように構成されることができる。図5Aに示されるように、いくつかの実施形態では、例えば、検出器モジュール570は、分割された光学経路内で対応する光検出器579(例えば、PMT)に光学的に結合される1つ以上のダイクロイックミラー(DM)573に光学的に結合される、空間フィルタ571を含む。いくつかの実施形態では、システム550は、1つ以上のダイクロイックミラー(DM)573が、光検出器579を伴う分割された光学経路内で対応する帯域通過フィルタ(BP)175に光学的に結合されるように構成される。図5Aの略図に示されるように、例えば、流動試料の照明は、検出配向に対して垂直であるように構成される。いくつかの実施形態では、3D-IFCシステム550は、光をシステムの別のコンポーネントの指定される場所に集束させる、および/または指向するためのレンズまたは導光体を含む。
【0068】
3D-IFCシステム550は、デジタイザ(DIG)580、例えば、検出器モジュール570の例示的PMTの出力信号をデジタル的に処理する、125MS s-1デジタイザとインターフェースをとられる処理ユニット(例えば、プロセッサと、メモリとを備える)を含む、データ処理システム140の例示的実施形態を含む。
【0069】
3D-IFCシステム550の例示的実装では、懸濁細胞が、図9にさらに詳細に示される、正方形の断面を伴う石英フローセル内に、2Dの流体力学的に集束される単一ファイルを形成し得る。図5Aの実施例では、例えば、回折限定されたビームウエストと、200~400μmの高さとを伴う、フローセル551上の光シート(xy平面)が、レーザの励起によって形成され、非常に高率(例えば、200kHz)でz方向に走査する。例えば、粒子または細胞が、0.2m s-1で光学照会全体を通して流動しているとき、ピクセル化される視野は、図5Cに示されるように、X×Y×Z個のボクセルを伴う3D空間によって表される。
【0070】
図5Bは、物体面に沿って流動する、例示的流動試料(例えば、細胞)の光学照会面積、および画像面に位置付けられる、空間フィルタ571を描写する図を示す。空間フィルタ571は、あるパターンに配列される複数の開口を有する、表面を含み、パターンの各開口は、(流動方向に対して平行な)y軸に沿って離間され、パターンの別の開口に対して(流動方向に対して垂直な)x軸に沿ってその位置が変動する。図5Bの略図に示されるように、Hは、光シートの高さを表し、θは、流動(y軸)と垂直線との間の傾斜角を表す。照明光シートは、水平に伝搬し、z軸に走査し、サンプルは、y軸に流動し、xは、直交軸である。
【0071】
画像面における空間フィルタは、ピンホールを使用し、x軸を横断してライン走査を生成する。例えば、空間フィルタ上のピンホールアレイが、流動流に対して傾斜角θに整合され、そのため、ピンホールアレイもまた、x方向に沿って進む。このように、各ピンホールは、明確に異なるx指数を伴うボクセルからの光が、PMT検出器まで通過することを可能にする(例えば、本例示的マスクの詳細が、本開示において後に議論される)。撮像プロセスは、流動する細胞が、空間フィルタの第1のピンホールに出現すると、開始する。第1の光シート走査周期の間(例えば、5μs)、x指数を伴うボクセルZ1-Zの光強度が、収集される。細胞が、下流にyにおいて次の位置xまで流動するにつれて、対応するZ1-Zボクセルが、生成される。これは、xにおける2Dのyzスライス全体が撮像されると、細胞がピンホール1を完全に通過するまで繰り返される。細胞は、y方向(例えば、流動方向)にさらに下流に進行するにつれて、続くピンホールに到達し、xからxにおけるyzスライスが、記録される。例えば、図5Cを参照されたい。
【0072】
図5Cは、3D IFCシステム550のデータ処理システムによって生成される、3D再構築空間の実施例を示す。処理するステップから、例えば、X軸上の分解能が、ピンホール(例えば、x方向のピクセル化された視野)の数によって決定され、Y軸の分解能が、2つのスリット(例えば、y方向のピクセル化された視野)の間の距離によって決定され、Z軸の分解能が、光シート走査範囲(例えば、z方向のピクセル化された視野)によって決定される。
【0073】
図5D-5Fは、3D-IFCシステム550の例示的出力を示す。システム550の例示的実装では、検出される時間領域マルチパラメトリック信号(例えば、多色蛍光FL1およびFL2および側方散乱SSCの光強度)が、AODドライバの調整電圧の基準出力と同期化され、これは、検出されたボクセルのz位置を示す。例えば、200kHzの走査率において、z軸内の1次元(1D)の強度プロファイルが、5μsの時間周期内の時間領域信号から回収される(例えば、図5D参照)。細胞のピンホール間での進行の約100μsの間に、約20周期のレーザ走査が、実施され、yz面の2D画像アレイが、PMT読出値から回収される(例えば、図5E参照)。細胞が、照会面積全体を通して進行するにつれて、多量の2Dのyz平面画像が、回収され、最終的な3D画像が、ボクセルのx位置を示す序数のピンホール番号を用いて再構築される。図5Fに示される実施例では、10個のピンホール空間フィルタが、1秒あたり500個の細胞のスループットに対応する、10個の2Dのyz平面画像および1msの信号長を生成する。例示的システム550において使用されるPMTおよびデジタイザの帯域幅は、例えば、それぞれ、150MHzおよび125MHzであり、本実装では、3D細胞画像あたり60,000個のボクセルのスループットをサポートする。20μm×20μm×20μmの3D空間内の各3D細胞画像が、3D画像分析および定量測定のために100×100×100個のピクセルに再度サイズ決めされる。
【0074】
空間から時間への変換による画像再構築のために各細胞の速度を測定するために、ピンホールの上流および下流のスリットの対が、光学空間フィルタに追加される(図10参照)。検出区域を通して移動する細胞の測定される率、および光シート走査率の既知の周波数は、3D-IFC画像内の各ボクセルが、明確に異なる時間領域値を有し、全てのボクセルが、単一要素PMTから随時慎重に捕捉され得ることを確実にする。3D細胞画像が、次いで、時間領域信号から再構築される。
【0075】
図5Dは、z軸内に1D光強度プロファイルを生成する、1つの光シート走査周期を描写する。1つの時点のPMT電圧読出値は、z軸内の1つのボクセルの光強度に対応する。
【0076】
図5Eは、物体が、y軸に沿って進行する間、複数の走査が、1つのピンホール走査周期内でyz平面内に2Dプロファイルを生成することを描写する。点線によって分離される各区分は、2D画像スタック内の1つの行の光強度に対応する。
【0077】
図5Fは、物体が、空間フィルタ網羅面積を通して完全に通過するときを描写し、時間領域信号は、xyz空間内の3Dプロファイルの完全な情報を含有する。各区分は、1つの2D画像スライスに対応する。図5Fの略図では、AODは、AODドライバの調整電圧を指し、FL1は、蛍光検出チャネル1のPMT読出値を指し、FL2は、蛍光検出チャネル2のPMT読出値を指し、SSCは、側方散乱光検出チャネルのPMT読出値を指す。
【0078】
3D-IFCシステム550の細胞撮像能力を実証するために、例えば、懸濁された単一細胞が、0.2m s-1の流動速度で撮像された。システム550の例示的実装は、2色の蛍光と、無標識の暗視野(側方散乱)の3D画像とを含む、哺乳類細胞の例示的画像データを生成した。例示的実装に関して、HEK293細胞が、細胞間カルボキシフルオセイン色素(CFSE)で染色され、無作為の数の1μm蛍光カルボキシレート修飾ポリスチレンビーズで結合された。
【0079】
図6A-6Cは、1μm蛍光ビーズで結合されたCFSEで染色されたHEK-293細胞を使用する、3D-IFCシステム550の例示的実装からの画像およびデータプロットを示す。図6Aは、回収された2Dのyz-平面画像、およびCFSE蛍光、ビーズ、およびSSCのまとめられた、3Dに表面レンダリングされた図(最下段)の実施例を描写する。図6Bは、ビーズで結合された細胞の3D画像およびヒストグラム検出事象の実施例を描写する。3D空間内の相対位置関係は、3D-IFCにおける粒子の計数が、細胞配向とは無関係であることを示す。4つのビーズで結合される細胞の実施例では、具体的な視点内の閉塞が、2D画像を用いた粒子計数に関する誤差の原因となる可能性が高い。図6Cは、3DのSSC画像の強度ベースの処理の実施例を描写する。図6Cの左の列は、図7Aに示される細胞の3DのSSC画像の強度ヒストグラムを示す。P(x,y,z)は、3D蛍光画像を使用して決定される1μmサイズのビーズの位置であり、各ビーズの位置の±1μmの面積内において、3DのSSC画像内の局所的な強度ピークが、見出され得る。図6Cでは、スケールバーは、5μmを表す。例示的実装では、流動速度は、0.2m/秒であった。CFSEは、Ex/Em:488/517の細胞間カルボキシフルオセイン色素であり、ビーズは、Ex/Em:488/645のカルボキシレート修飾蛍光ミクロスフェアであり、SSCは、90度側方散乱であった。
【0080】
図6Bを参照すると、2Dのビーズ画像が、重複していたが、3D-IFCは、再構築された3D画像から厳密な数の粒子を分解し、これは、いくつかの局在化および共局在化する特徴にとって重要であることに留意されたい。流動システムでは、細胞およびそれらの内部構造が、無作為に配向され、結果として、2D画像が、好ましくない視点からのものになり得る。さらに、開示される3D-IFCシステムを使用して、複数の視点が、3D-IFC細胞断層撮影を介して達成され得、これは、改良された相対位置関係およびスポット計数結果を提供し得、これは、機械のビジョンおよび人間の視覚化の両方にとって有利である。側方散乱暗視野撮像モードを使用して、例えば、3D-IFCシステム550は、散乱光の3D空間分布を発生させた。物体が、可視光によって照明されるとき、屈折率の変動が、光を散乱させ、散乱領域のサイズおよび屈折率分布は、散乱光の分布を決定するであろう。3DのSSC画像は、流体(PBS、nは、約1.335)、細胞(nは、約1.3~1.6)、およびポリスチレンビーズ(nは、約1.6)の間のそれらの屈折率(n)変動の空間分布を表す。図6Cに示されるように、強度ベースで低域フィルタリングされたSSC画像が、細胞体積を示し、高域フィルタリングされたSSC画像が、ビーズの蛍光画像と相関する。
【0081】
開示される3D-IFCシステムは、従来の撮像流動システムによって実践的には取得不可能な情報を取得することが可能である。例として、以下を参照されたい。電離放射線または細胞毒性化学薬品が、二重鎖切断(DSB)の形態のDNA損傷を引き起こすと、リン酸化タンパク質ガンマH2AX(γH2AX)が、1:1の様式でDSBに病巣を形成する。抗γH2AX免疫標識によって、病巣は、DNA損傷およびDNA修復のための能力を反映する。2D撮像技法および手動定量化は、今日使用されているが、2D画像からの病巣の計数は、多くの労力を要し、視点依存に起因して信頼性を欠くものである。3D-IFCシステムの病巣計数を評価するために、CMK3細胞内の免疫標識されたγH2AX病巣(例えば、多形性膠芽腫細胞株)が、6Gyのガンマ照射の後、撮像され得る。代表的な細胞画像が、図7Aおよび7Bに示される。本例示的データは、γH2AX病巣の数が、蛍光強度に関連せず、したがって、従来のフローサイトメトリのメトリックを用いた強度ベースの測定値が、DNA損傷を不十分に反映することを示す。対照的に、3D-IFCシステム550は、γH2AXの陽性の病巣の数の正確かつ迅速な分析を生成することが可能であった。
【0082】
図7Aおよび7Bは、3D-IFCシステム550によって撮像された蛍光γH2AX病巣の例示的結果を描写する、画像およびデータプロットを示す。図7Aは、CFSEで染色された照射によって損傷された神経膠芽腫CMK3細胞およびγH2AX抗体結合PerCP/Cy5.5の代表的な3D画像を示し、それらの2色蛍光の2Dのyz平面は、x=10μmにおける画像スライスを融合した。3D画像の高品質は、3D-IFCが、DNA損傷病巣関連の研究に好適であることを示す。図7Bは、散乱プロット内のマーキングされた領域(i)-(iv)内の細胞の画像とともに、γH2AX強度および病巣数における917の検出事象の散乱プロットの実施例を示す。データは、病巣数が、標識されたγH2AXからの蛍光強度とは無関係であり、したがって、従来のフローサイトメトリのメトリックを用いた強度ベースの測定値が、DNA損傷の程度を評価することは不可能であることを示す。画像では、スケールバーは、5μmを表す。例示的実装の間の流動速度は、0.2m/秒であった。CFSE、すなわち、細胞間カルボキシフルオセイン色素に関して、Ex/Emは、488/517であり、PerCP-Cy5.5、すなわち、DNA損傷抗体結合色素に関して、Ex/Emは、490/677であった。
【0083】
末梢血白血球の形態は、急性および長期的な評価のための重要な臨床診断および予後測定である。3D-IFCシステム550の例示的実装が、そのような末梢血白血球の形態を実証するために行われた。
【0084】
図8A-8Dは、3D-IFCシステム550によって決定される白血球細胞の形態を描写する画像およびデータプロットを示す。図8Aは、白血球の代表的な2D透過画像(左の列)および3D画像を示す。図8Bは、図8Aに示される第1の細胞のSSC信号の強度ヒストグラム、およびオルソスライスビューおよびボリュームビューにおけるその3Dプロファイルの実施例を示す。3DのSSC画像に基づく細胞体積推定が、蛍光体積に合致する。図8Cは、CFSE(FL1)体積およびSSCベースの推定される細胞体積における589の検出事象の散乱プロットを示す。図8Dは、SSCベースの推定される細胞体積およびSSC強度から計算される細胞直径の散乱プロットを示す。これらの図では、スケールバーは、5μmを表す。例示的実装のための流動速度は、0.2m/秒であった。
【0085】
図8Aは、3つの撮像モード、すなわち、2D透過画像(例えば、3D-IFCパラメータ)、3D蛍光、側方散乱画像における、白血球の代表的な3D-IFC撮像を示す。白血球SSC信号は、細胞核の粒状度を示すだけではなく、低強度(低屈折率)でのSSC撮像から取得される細胞容積測定を提供することも行う。ここで、従来の流動SSC強度信号が、細胞核の寄与によって支配されるのに対し、3DのSSC信号の2つ以上の強度帯域は、細胞基質および細胞核等の、それらの対応する屈折率を反映する2つ以上の画像を発生させるために使用され得る。図8Bおよび8Cに示されるように、3DのSSC画像が、透過および蛍光の結果と合致する、細胞体積を生成するために使用されることができる。
【0086】
3D-IFCシステム550の例示的実装において使用され、結果を取得および生成するための材料および方法に関するさらなる情報が、下記に説明される。
【0087】
いくつかの実施形態では、粒子運動システム110(例えば、粒子フローセル実施形態)は、懸濁細胞を光学照会面積に継続的に導入し得る、図9に示されるもののような微小流体システムを含むことができる。マイクロチャネルの断面内の細胞の位置が、x、y、およびz方向全ての光学視野と整合されるため、細胞に関する再現可能かつ安定した流動速度が、細胞を正方形の断面の中心に厳密に集束させることによって取得される。シリンジポンプによって注入されるサンプル中の懸濁細胞が、単一流の中に流体力学的に集束される。シース流動が、流動する細胞をxおよびz方向の両方に閉じ込めるために使用される。液体流量計とともに空気圧ポンプが、使用され、安定したシース流動を提供する。シース流動とサンプル流動との接合部において、管類端部が、対称的な流動を保つために特にテーパ状になっている。サンプルとシースとの間の流率比は、100:1になるように厳密に制御され、高速および光学視野内での粒子流動を確実にする。
【0088】
図9は、例示的3D-IFCシステム550の例示的粒子フローセル551のために使用される、微小流体システム900の実施例を示す。図9は、テーパ状の管類とインターフェースをとられる例示的微小流体システム900の略図と、写真とを含む。略図に示されるように、流体中に懸濁される粒子または細胞が、チャネルを通して、本実施例では、250μm×250μmの断面寸法と、20mmの長さとを有する、例示的石英フローセルに流動することができる。
【0089】
システム100のいくつかの例示的実施形態では、光学システムは、単一の平面内の試料を一度に照明する一方、信号が、垂直の(z)方向に検出される、(図1Cまたは図5Aに示されるもののような)光シート蛍光顕微鏡の構成に配列される。3D-IFCシステム550の例示的実装では、ガウスエネルギー分布を伴う円形ビーム形状を有し、コリメートされ、拡張され、次いで、集束され、0.6μm(z方向)×250μm(y方向)の面積を照明する、1,000mWの488nmレーザ(Coherent製)が、使用された。円筒形レンズおよび50倍/0.55対物レンズ(Mitutoyo製)が、使用され、光シートを形成した。音響光学偏向器(AOD)が、光学システム内に構成され、z方向に高速走査(例えば、本実装では、200kHz)を生成する。
【0090】
単一ピクセル光検出器が、各チャネル内の空間フィルタを通過した蛍光または散乱光を検出することができ、画像が、時間領域の出力から再構築される。例えば、空間フィルタ579に関して、ピンホールが、垂直に配列された。図5Bに示されるように、流動(y)方向は、傾斜され、角度θを作成し、これは、x方向の視野D、y方向の視野D、およびピンホールの数Xによって決定され、
【化6】
である。また、z方向の照明光シートが、細胞サイズより大きい範囲にわたって、かつはるかにより高い、典型的には、y方向の細胞進行速度より20倍を超える高い速度で走査するため、細胞が1つのピンホールを通過すると、1つのyz平面画像スライスの光強度が、記録され、細胞が、次のピンホールを通過すると、別のyz平面画像スタックが、入手される。例えば、走査光シート、細胞の流動運動、および空間フィルタを組み合わせて、検出器は、細胞内の個々のボクセルの蛍光のみを一度に検出し、これは、1対1の時間から空間へのマッピングを可能にする。本概念は、以下の方程式によって数学的にモデル化されることができる。測定されるPMT信号S(t)は、以下のように表現されることができる。
【化7】
式中、C(x,y,z)は、3D細胞蛍光または散乱光強度プロファイルであり、I(z,t)は、光シート照明であり、F(x,y)は、空間フィルタの特性関数であり、vは、細胞流動速度であり、Mは、検出システムの拡大係数である。
【0091】
AOD内の音響トランスデューサに送信される音響周波数は、ビームを偏向させ、異なるz位置に照明を作成するように変動され得る。音響周波数の継続的な変化を生成する調整電圧は、正弦波、三角形等の波形の種々のタイプによって発生されることができる。効率的な大部分のレーザ出力に関して、調整電圧は、鋸歯状に変化しているように設定され、そのため、光シートのz方向の位置z(t)は、以下のように説明されることができる。
【化8】
式中、Tは、光シート照明走査周期であり、vは、z方向の走査速度である。
【0092】
円筒形レンズを使用することによって、レーザは、発散され、200~400μmのy方向の高さを伴う光シートを形成する。走査光シート照明I(z,t)は、ガウスビームとして以下のように説明されることができる。
【化9】
【0093】
PMT信号読出値をオーバーサンプリングするステップを用いて、z方向の空間分解能が、回折限定される。ガウスビームウエストが、0.73μmと測定され、より単純な計算のためにデルタ関数として以下のように近似された。
【化10】
【0094】
空間フィルタの2つの実施例が、図10に示される。
【0095】
図10は、空間フィルタ設計に関する実施例の略図を示す。空間フィルタの2つの実施例が、画像面に設置された。10μm×200μmの寸法を伴う上部の2つおよび底部の2つの長いスリットは、速度検出のためのものである。空間フィルタ上の他のピンホールは、それぞれ、x方向の2μmおよび1μmのボクセルサイズを伴う3D画像捕捉のための、10μm×20μm(左)および10μm×10μm(右)である。ピンホールの配列は、レーザビームウエストに整合する。
【0096】
速度検出のために使用されるスリットの問題はさておき、空間フィルタの特性関数F(x,y)は、以下のように設計される。
【化11】
式中、q=1,2,…,Nは、空間フィルタ上のピンホールの数である。検出対物レンズのNA、細胞流動速度、および信号のサンプリングレートとともに、ピンホールのサイズは、xおよびy方向の空間分解能を決定する。
【0097】
例示的実装では、空間フィルタは、電子ビームリソグラフィを使用して加工され、暗転面積は、250nmの厚さを伴うクロムから作製される。
【0098】
上記の近似を用いて、yq+1-yが、細胞サイズ(直径)より大きいとき、細胞突出部が、j番目のピンホールと重複される。
【化12】
【0099】
10倍/0.28検出対物レンズを使用し、細胞が、被写界深度内に存在すると想定して、複数のzにおける例示的システムPSFは、考慮されなかった。PMT(Hamamatsu製)によって検出された光強度信号は、初めに、DC~150MHzの帯域幅を伴う増幅器(Hamamatsu製)によって増幅され、次いで、チャネルあたり125MS/秒の最大サンプリングレートを伴うデジタイザ(ADVANTECH製)によってデジタル化された。
【0100】
その結果、本例示的アプローチは、3D細胞画像を時間領域光強度に1対1の基準でマッピングする。3D画像構築アルゴリズムは、上記の方程式に従ってMATLAB(登録商標)で記述された。細胞の流動速度vのわずかな相違に起因して、各細胞の3D画像の原サイズは、わずかに異なり得る。例示的実装では、原3D画像は、次いで、100×100×100個のピクセルに再度サイズ決めされた。3D画像バッチ処理が、画像J内で実施された。
【0101】
図11は、3D-IFCシステム550のいくつかの実施形態による、1150と標識される、3D-IFCシステムの別の例示的実施形態を示す。3D-IFCシステム1150は、例えば、2D透過撮像モードを提供する、付加的な検出経路を含む。略図に示されるように、陰影を付けられた部分(略図の右下部分)は、透過画像検出の構成要素を描写し、これは、(例えば、50μm×2mmの寸法を伴う)単一のスリットを有する、透過検出のための空間フィルタ1171、および検出対物レンズ(DO)572(例えば、50倍/0.55検出対物レンズ)、およびデータ処理システム(例えば、DIG580)とデータ通信する、光検出器1172(例えば、PMT、すなわち、光電子増倍管)を含む。
【0102】
細胞を調製するための例示的方法が、下記に説明される。
【0103】
蛍光ビーズを伴う細胞。いくつかの例示的実装では、ヒト胎児腎臓293(HEK-293)細胞が、完全培養培地(DMEM、10%のウシ胎仔血清、1%のペニシリンストレプトマイシン)を用いて、10cmのペトリ皿内で90%の密集度に培養された。1.0μm蛍光ビーズ(Ex/Em:488/645nm、例えば、T8883、ThermoFisher製)の原液(固形分2%)からの100倍の希釈後、100μLの希釈された溶液が、10mLの新鮮細胞培養培地と混合され、細胞培養プレートに添加された。10時間にわたる連続培養の後、HEK-293細胞は、採集され、20μMの作用濃度におけるCellTrace CFSE細胞増殖キット(Ex/Em:492/517nm、例えば、C34554、ThermoFisher製)で染色された。染色プロセス後、細胞は、4%のパラホルムアルデヒドによって定着され、1倍のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄および再懸濁された。全ての撮像実験の前に、細胞懸濁液が、PBS中で1,000個の細胞/μLの濃度まで希釈された。
【0104】
CFSE染色。いくつかの例示的実装では、HEK-293細胞は、完全培養培地を用いて、10cmのペトリ皿内で98%の密集度に培養され得、次いで、採集され、1倍のPBS中で1×10個の細胞/mLの濃度まで再懸濁された。CFSE細胞増殖キット(Ex/Em492/517nm、例えば、C34554、Thermo Fisher製)が、20μMの作用濃度における細胞懸濁液に添加された。37℃で30分間にわたって細胞をインキュベートするステップの後、新鮮培養培地(DMEM)が、使用され、染色プロセスを急冷し、HEK-293細胞は、1倍のPBSによって洗浄され、4%のパラホルムアルデヒドによって定着された。定着された細胞は、1倍のPSS中で洗浄され、再懸濁された。プロトコルもまた、適用され、CMK3細胞およびヒトの血液白血球を染色した。
【0105】
CMK3細胞照射治療および免疫染色。いくつかの例示的実装では、ヒト神経膠芽腫CMK3細胞が、培養プレート内で完全培養培地(DMEM-F12、2%のB27サンプリメント、1%のペニシリンストレプトマイシン、1%のGlutamax、100μg/LのEGF、100μg/LのFGF、0.24%のヘパリン)を用いて培養された。細胞は、採集され、1倍のPSB中で1×10個の細胞/mLの濃度まで再懸濁され、次いで、CFSEで染色された。DNA二重鎖切断(DSB)を誘発するために、CMK3細胞は、セシウム源照射器による6Gyの照射で処置される。処置された細胞は、1倍のPSBで一度洗浄され、照射後30分で1%のパラホルムアルデヒドを用いて定着された。定着された細胞は、PBSで2回洗浄された。次いで、70%のエタノールが、細胞に添加され、細胞は、1時間にわたって氷の上でインキュベートされた。エタノール処置の後、細胞は、PBSで2回洗浄され、1%のTritonX-100の中で室温において10分間にわたってインキュベートされた。次いで、細胞は、PBSで一度洗浄され、PBS中で、5%のウシ血清アルブミン(BSA)の中で30分間にわたって室温において振動器上でインキュベートされた。細胞は、次いで、PBSで一度洗浄され、抗ホスホヒストンH2A中でインキュベートされた。X(Ser139)抗体、すなわち、1:300に希釈されたクローンJBW301が、氷の上で振動器上で1時間にわたってインキュベートされた。一次抗体処置後、細胞は、5%のBSAで2回洗浄され、1:100に希釈されたPerCP/Cy5.5抗マウスIgG1抗体中で氷の上で振動器の上で1時間にわたってインキュベートされた。最後に、染色された細胞は、5%のBSAで2回洗浄され、MilliQ水中で1:3に希釈された安定化定着緩衝液中で再懸濁された。全ての撮像実験の前に、細胞は、PSB中で500個の細胞/μLの濃度まで希釈された。
【0106】
白血球の分離および染色。いくつかの例示的実装では、新鮮なヒトの全血が、San Diego Blood BankからEDTA管内に採集された。全血中の赤血球が、初めに、RBC溶解バッファ(00-4300-54、Invitrogen製)によって溶解され、白血球群が、溶解プロセスの後、ソフト遠心分離機によって採集された。採集された白血球は、次いで、1倍のPBS中で洗浄され、1x10個の細胞/mLの濃度まで再懸濁された。再懸濁された白血球は、CFSEで染色された。染色プロセスの後、細胞は、4%のパラホルムアルデヒドによって定着され、1倍のPBS中で洗浄され、再懸濁された。全ての撮像実験前に、細胞懸濁液は、PBS中で500個の細胞/μLの濃度まで希釈された。
【0107】
例示的データによって実証されるように、開示される3D-IFCシステムは、高スループットの3D画像捕捉および分析への先例のないアクセスを提供することが可能である。3D-IFCシステム550の例示的実装は、0.2m s-1の細胞流動速度、3軸における1μmの空間分解能、全軸における20μmの視野、および1秒あたり500個の細胞のスループットを特徴とした。いくつかの実施形態は、空間分解能、空間フィルタの変更を通した視野および3D画像捕捉率、およびより高い流率の使用を直接向上させるような柔軟性を有する。2Dの透過画像と結合される、その情報に富む3D暗視野(側方散乱)画像検出は、無標識アッセイの可能性をもたらす。
【0108】
開示されるシステム、方法、およびデバイスの例示的用途は、限定ではないが、T細胞のエフェクタ細胞および記憶細胞への非対称分割、B細胞の分泌経路、表現型創薬、タンパク質または受容体の転座、細胞小器官の形成または輸送の追跡、および3D配向および極性が重要である、染色体構造異常、および他の用途を含む。いくつかの実装では、開示されるシステム、方法、およびデバイスは、画像ベースのソート機能性と統合されることができる。
【0109】
実施例
【0110】
本技術によるいくつかの実施形態(実施例A1)では、3次元撮像フローサイトメトリシステムは、粒子流動システムと、粒子流動システムとインターフェースをとられる、走査光シート照明システムと、粒子流動システムとインターフェースをとられる、光学検出システムと、光学検出システムおよび/または走査光シート照明システムと通信する、データ処理システムとを含む。粒子流動システムは、粒子を含有する流体サンプルを搬送する、透明な光学経路を伴う、流体チャネルと、流体チャネル内の微細流に閉じ込められたサンプル流体を生成するための、流動集束システムとを含む。走査光シート照明システムは、流体チャネル内を流動する粒子を照明するための、光源と、高速で周期的な角度変化を発生させるようにプログラム可能である、照明ビームを異なる角度に方向転換するためのデバイスと、粒子の薄いスライスまたは細い線等の粒子の照明される区分の一度の光学走査を可能にする、構造化された光シート照明を生成するための、円筒形レンズおよび/または他の光学構成要素とを含む。光学検出システムは、1つ以上の光検出器と、1つ以上の光検出器の画像面に位置付けられ、粒子の具体的な位置からの光が1つ以上の光検出器を通して通過し、それによって検出されることを選択的に可能にする、空間フィルタとを含む。データ処理システムは、検出されるデータを処理し、粒子の3次元の構築された画像を生成するように構成される。
【0111】
実施例A2は、光学検出システムが、蛍光および/または散乱光を集光および検出するように動作可能である、実施例A1またはA3-A7のいずれかに記載のシステムを含む。
【0112】
実施例A3は、光学検出システムが、流体チャネルが光学的に透明な経路を有する任意の角度に設置されるように構成される、実施例A1-A2またはA4-A7のいずれかに記載のシステムを含む。
【0113】
実施例A4は、光学検出システムが、1つ以上の光検出器によって記録される時間領域信号が、空間から時間への1対1の関係を有するように、(a)粒子の流動運動と、(b)走査光シート照明と、(c)粒子の全ての位置から順次にタイミングが調節された様式で光強度(例えば、蛍光と、散乱とを含む)を検出するように空間的にマッピングされたフィルタとの組み合わせに基づいて、3D物体の1D光学データ点を随時検出するように動作可能である、実施例A1-A3またはA5-A7のいずれかに記載のシステムを含む。
【0114】
実施例A5は、データ処理システムが、光学検出システムと通信するデータ配信ユニットを含む、実施例A1-A4またはA6-A7のいずれかに記載のシステムを含む。
【0115】
実施例A6は、データ処理システムが、照明および検出プロトコルの仕様を含み、走査光シート照明システムおよび光学検出システムに適宜コマンドする、画像再構築アルゴリズムを含む、実施例A1-A5またはA7のいずれかに記載のシステムを含む。
【0116】
実施例A7は、データ処理システムが、画像データを処理し、粒子と関連付けられる性質を決定するための、画像処理ユニットを含む、実施例A1-A6のいずれかに記載のシステムを含む。
【0117】
本技術によるいくつかの実施形態(実施例B1)では、フローサイトメトリシステムにおける3次元撮像のための光学撮像システムは、流動チャネル内で流動する粒子を照明するための、光源と、流動チャネルの領域の上方に構成される、1つ以上のレンズと、光学光検出器および光源の光学経路内に構成され、z方向の高速走査を提供する、音響光学偏向器と、光源が、信号が垂直方向に検出される間、単一平面内の流動チャネル内で流動する粒子を一度に照明するように構成される、各チャネル内の空間フィルタを通過した蛍光を検出するための、単一要素光検出器とを含む。
【0118】
実施例B2は、システムが、光検出器が粒子内の個々の点を一度に検出し、それによって、空間から時間への変換を可能にするように、光学信号データを取得し、走査された光シートと、粒子の流動運動と、空間フィルタとの組み合わせに基づいて、時間領域検出器の出力から画像を再構築するように構成される、実施例B1に記載の光学撮像システムを含む。
【0119】
実施例B3は、光源が、レーザを含む、実施例B1に記載の光学撮像システムを含む。
【0120】
本技術によるいくつかの実施形態(実施例B4)では、3次元撮像フローサイトメトリシステムは、基板と、生細胞を含む粒子をチャネルの流動方向に沿って流動させるように動作可能である、基板上に形成されるチャネルと、粒子流動デバイスとインターフェースをとられ、チャネルを通した流動の間に粒子と関連付けられる画像データを3次元で取得するように動作可能である、撮像システムと、撮像システムと通信する、データ処理および制御ユニットであって、撮像システムによって取得された画像データを処理し、処理された画像データから細胞と関連付けられる1つ以上の性質を決定するように構成される、プロセッサを含み、その中の撮像システムは、信号が、垂直方向に検出される間、単一平面内の試料を一度に照明する、光シート蛍光顕微鏡の構成に構成される、データ処理および制御ユニットとを含むように構造化される、粒子流動デバイスを含む。
【0121】
実施例B5は、撮像システムが、実施例B1-B3のいずれかに記載の光学撮像システムを含む、実施例B4に記載の3次元撮像フローサイトメトリシステムを含む。
【0122】
実施例B6は、撮像システムが、粒子流動デバイスの領域に入力光を提供するための、1つ以上の光源と、入力光によって照明された粒子から画像データを捕捉するための、光学光検出器とを含む、実施例B4に記載の3次元撮像フローサイトメトリシステムを含む。
【0123】
実施例B7は、光学光検出器が、空間フィルタ、放射フィルタ、および光電子増倍管に光学的に結合される、顕微鏡の対物レンズを含む、実施例B6に記載の3次元撮像フローサイトメトリシステムを含む。
【0124】
実施例B8は、光学光検出器がさらに、入力光を第1の領域に指向する、細胞によって放射または散乱される光を光学光検出器の光学要素に指向する、または両方を行うための、1つ以上の導光体要素を含む、実施例B7に記載の3次元撮像フローサイトメトリシステムを含む。
【0125】
実施例B9は、導光体要素が、ダイクロイックミラーを含む、実施例B8に記載の3次元撮像フローサイトメトリシステムを含む。
【0126】
実施例B10は、光学光検出器が、2つ以上の光電子増倍管を含み、細胞によって放射または散乱される光の2つ以上の帯域またはタイプに基づいて2つ以上の対応する信号を発生させる、実施例B8に記載の3次元撮像フローサイトメトリシステムを含む。
【0127】
本技術によるいくつかの実施形態(実施例C1)では、3次元(3D)撮像フローサイトメトリシステムは、基板と、流体中の粒子がチャネルの流動方向に沿って流動することを可能にするための基板上に形成される、チャネルとを含む、粒子流動デバイスと、粒子が、チャネル内で流動方向に沿って流動している間、流体中の粒子の複数の区分にわたって1つの区分を一度に走査する、光の2次元(2D)シートを生成するための、光学照明システムであって、光源を含み、光シート発生ユニットに光学的に結合され、光ビームをチャネルに指向される光の2Dシートに修正する、光ビームを生成し、光シート発生ユニットは、光ビームを異なる角度に方向転換するための、光方向転換デバイスと、チャネルを伴う光学経路内の光方向転換デバイスの後に設置される、円筒形レンズとを含む、光学照明システムと、粒子流動デバイスとインターフェースをとられ、チャネルを通した流動の間に粒子と関連付けられる、3次元の光学信号データを取得するように動作可能である、光学検出システムであって、1つ以上の光検出器と、1つ以上の光検出器の画像面に位置付けられる、空間フィルタとを含み、空間フィルタは、粒子の走査される区分にわたる、光の2Dシートの一部が、空間フィルタを通して通過し、1つ以上の光検出器によって検出されることを選択的に可能にするための、複数の開口を含む、光学検出システムと、光学検出システムおよび光学照明システムと通信する、データ処理ユニットであって、光学検出システムによって取得される光学信号データを処理し、それから粒子の3D画像が構築され得る画像データを生成するように構成される、プロセッサを含む、データ処理ユニットとを含む。
【0128】
実施例C2は、光の2Dシートが、光の2Dシートの第1の走査が、流動方向と、第2の方向とを備える、第1の平面を形成するように、チャネルにおいて、流動方向に対して垂直な第2の方向に指向され、光学検出システムの画像面が、光の2Dシートの第2の走査が、第1の平面と平行な第2の平面を形成し、第3の方向に沿って第1の平面からある距離だけ変動されるように、流動方向および第2の方向に対して垂直な第3の方向に沿って配列される、実施例C1またはC3-C15のいずれかに記載のシステムを含む。
【0129】
実施例C3は、光学照明システムが、粒子が、流動方向に流動している間、第1の時点において、第1の平面内の粒子の第1の区分を走査し、第2の時点において、第2の平面内の粒子の第2の区分を走査するように構成され、それによって、粒子に空間的にマッピングされる時間信号を生成する、実施例C2に記載のシステムを含む。
【0130】
実施例C4は、空間フィルタの開口が、各開口が、光の2Dシートをフィルタリングし、粒子のボクセルに対応するように構成されるように、第2の方向に沿って位置付けられる、実施例C2に記載のシステムを含む。
【0131】
実施例C5は、データ処理ユニットが、ボクセル毎に粒子の3D画像を生成するように動作可能である、実施例C1-C4またはC6-C15のいずれかに記載のシステムを含む。
【0132】
実施例C6は、粒子の画像データが、3つの軸における、少なくとも1μmの空間分解能と、3つの軸における約20μmの視野とを含む、実施例C1-C5またはC7-C15のいずれかに記載のシステムを含む。
【0133】
実施例C7は、チャネル内の粒子の流率が、少なくとも0.2m s-1であり、システムが、1秒あたり500個の粒子のスループットで粒子の画像データを生成するように動作可能である、実施例C1-C6またはC8-C15のいずれかに記載のシステムを含む。
【0134】
実施例C8は、空間フィルタの複数の開口が、あるパターンで配列され、パターンの各開口は、流動方向に沿って均一に離間され、パターンの別の開口に対して流動方向に対して垂直な第2の方向に沿ってその位置が変動する、実施例C1-C7またはC9-C15のいずれかに記載のシステムを含む。
【0135】
実施例C9は、光方向転換デバイスが、音響光学偏向器(AOD)を含む、実施例C1-C8またはC10-C15のいずれかに記載のシステムを含む。
【0136】
実施例C10は、光シート発生ユニットが、データ処理ユニットによって、少なくとも200kHzの速度の周期的角度変化を発生させるようにプログラム可能である、実施例C1-C9またはC11-C15のいずれかに記載のシステムを含む。
【0137】
実施例C11は、1つ以上の光検出器が、光電子増倍管を含む、実施例C1-C10またはC12-C15のいずれかに記載のシステムを含む。
【0138】
実施例C12は、光学検出システムが、空間フィルタ、および空間フィルタと光検出器との間に光学的に結合される、放射フィルタに光学的に結合される、対物レンズを含む、実施例C1-C11またはC13-C15のいずれかに記載のシステムを含む。
【0139】
実施例C13は、光学検出システムがさらに、光を空間フィルタから外に、複数の光検出器に向かって指向するための、1つ以上の導光体要素を含む、実施例C12に記載のシステムを含む。
【0140】
実施例C14は、光学検出システムが、2つ以上の光電子増倍管を含み、細胞によって放射または散乱される光の2つ以上の帯域またはタイプに基づいて2つ以上の対応する信号を発生させる、実施例C13に記載のシステムを含む。
【0141】
実施例C15は、粒子が、生細胞を含む、実施例C1-C14のいずれかに記載のシステムを含む。
【0142】
本技術によるいくつかの実施形態(実施例C16)では、移動する粒子の3次元(3D)撮像のための方法は、粒子をチャネルを通して第1の方向に沿って移動させるステップと、粒子が、チャネルを通して移動している間に、個々の光の2次元の(2D)シートをチャネルの対応する領域に指向することによって、粒子の複数の区分を区分毎に走査するステップと、粒子の走査される区分にわたって光の2Dシートの一部を空間的にフィルタリングし、空間フィルタを通したある光学点信号が検出されることを可能にするステップと、検出の時点にマッピングされた3次元の個々のボクセルに対応する、空間的にフィルタリングされた光学点信号を検出するステップと、光学点信号を処理し、粒子の画像データを生成するステップとを含む。
【0143】
実施例C17は、光源から生成される光ビームを個々の光の2Dシートに修正するステップを含む、実施例C16またはC18-C24のいずれかに記載の方法を含む。
【0144】
実施例C18は、粒子の複数の区分を走査するステップが、方向転換された光ビームを光の2Dシートに修正する円筒形レンズを通して光ビームを異なる角度に方向転換するステップを含む、実施例C17の方法を含む。
【0145】
実施例C19は、第1の個々の光の2Dシートが、光の2Dシートの第1の走査が、第1の方向と、第2の方向とを備える、第1の平面を形成するように、チャネルにおいて、第1の方向に対して垂直な第2の方向に指向され、検出するステップのための画像面が、第2の個々の光の2Dシートの第2の走査が、第1の平面と平行な第2の平面を形成し、第3の方向に沿って第1の平面からある距離だけ変動されるように、第1の方向および第2の方向に対して垂直な第3の方向に沿って配列される、実施例C16-C18またはC20-C24のいずれかに記載の方法を含む。
【0146】
実施例C20は、ボクセル毎の構築に基づいて、生成された画像データから粒子の3D画像を生成するステップを含む、実施例C16-C19またはC21-C24のいずれかに記載の方法を含む。
【0147】
実施例C21は、粒子の画像データが、3つの軸における少なくとも1μmの空間分解能と、3つの軸における20μmの視野とを含む、実施例C16-C20またはC22-C24のいずれかに記載の方法を含む。
【0148】
実施例C22は、粒子の画像データが、1秒あたり500個の粒子のスループットで生成される、実施例C16-C21またはC22-C24のいずれかに記載の方法を含む。
【0149】
実施例C23は、粒子が、生細胞を含む、実施例C16-C22またはC24のいずれかに記載の方法を含む。
【0150】
実施例C24は、実施例C1-C15のいずれかに記載のシステム上に実装される、実施例C16-C23のいずれかに記載の方法を含む。
【0151】
本技術によるいくつかの実施形態(実施例D1)では、移動する粒子の3次元(3D)撮像のためのシステムは、粒子が進行経路に沿って第1の方向に移動することを可能にするための基板を含む、粒子運動デバイスと、粒子が、移動している間、複数の時点において粒子の複数の区分にわたって走査する、粒子の進行経路の領域内に光の非対称照明面積を生成するための、光学照明システムであって、光の非対称照明面積は、照明の他の寸法より薄い照明の1つの寸法を備え、照明面のような形状を形成し、光ビームを異なる角度に方向転換することによって、光の非対称照明面積を粒子運動の進行経路に指向させるように光ビームを修正するための、光方向転換デバイスに光学的に結合される、光ビームを生成するための光源を含む、光学照明システムと、粒子運動デバイスと光学的にインターフェースをとられ、進行経路内での運動の間に、粒子の体積に対応する粒子の異なる部分と関連付けられる、光学信号データを取得するように動作可能である、光学検出システムであって、1つ以上の光検出器と、粒子運動デバイスと1つ以上の光検出器との間に位置付けられる、空間フィルタとを含み、空間フィルタは、粒子の走査される区分にわたる光の非対称照明面積の一部が、空間フィルタを通して通過し、1つ以上の光検出器によって検出されることを選択的に可能にするための、複数の開口を含む、光学検出システムと、光学検出システムと通信する、データ処理ユニットであって、光学検出システムによって取得される光学信号データを処理し、粒子の3D特徴を示す情報を含むデータを生成するように構成される、プロセッサを含む、データ処理ユニットとを含む。
【0152】
実施例D2は、光の非対称照明面積が、光の非対称照明面積の第1の走査が、第1の方向と、第2の方向とを備える、第1の平面を形成するように、進行経路の領域において、第1の方向に対して垂直な第2の方向に指向され、光学検出システムの画像面は、光の非対称照明面積の第2の走査が、第1の平面と平行な第2の平面を形成し、第3の方向に沿って第1の平面からある距離だけ変動されるように、第1の方向および第2の方向に対して垂直な第3の方向に沿って配列される、実施例D1またはD3-D20のいずれかに記載のシステムを含む。
【0153】
実施例D3は、光学照明システムが、粒子が、第1の方向に移動している間、第1の時点において、第1の平面内の粒子の第1の区分を走査し、第2の時点において、第2の平面内の粒子の第2の区分を走査し、それによって、粒子に空間的にマッピングされる時間信号を生成するように構成される、実施例D2またはD4に記載のシステムを含む。
【0154】
実施例D4は、空間フィルタの開口が、各開口が、光の非対称照明面積をフィルタリングし、粒子のボクセルに対応するように構成されるように、第2の方向に沿って位置付けられる、実施例D2またはD3に記載のシステムを含む。
【0155】
実施例D5は、データ処理ユニットが、ボクセル毎に粒子の3D画像を生成するように動作可能である、実施例D1-D4またはD6-D20のいずれかに記載のシステムを含む。
【0156】
実施例D6は、粒子の3D画像データが、3つの軸における、少なくとも1μmの空間分解能と、3つの軸における約20μmの視野とを含む、実施例D5に記載のシステムを含む。
【0157】
実施例D7は、粒子運動デバイスが、基板上に形成される、チャネルを含み、粒子を含有する流体が、進行経路としてチャネルを通して流動することを可能にする、粒子フローセルを含む、実施例D1-D6またはD8-D20のいずれかに記載のシステムを含む。
【0158】
実施例D8は、チャネル内の粒子の流率が、少なくとも0.2m s-1であり、システムは、1秒あたり500個の粒子のスループットで粒子のデータを生成するように動作可能である、実施例D7に記載のシステムを含む。
【0159】
実施例D9は、粒子が、基板に固定され、粒子運動デバイスは、粒子が、進行経路に沿って移動され、その上で光の非対称照明面積が走査される領域の中にもたらされるように、基板を光学照明システムおよび光学検出システムに対して移動させるための、位置付けシステムを含む、実施例D1-D8またはD10-D20のいずれかに記載のシステムを含む。
【0160】
実施例D10は、空間フィルタの複数の開口が、あるパターンで配列され、パターンの各開口は、第1の方向に沿って離間され、パターンの別の開口に対して第1の方向に垂直な第2の方向に沿ってその位置が変動する、実施例D1-D9またはD11-D20実施例のいずれかに記載のシステムを含む。
【0161】
実施例D11は、光方向転換デバイスが、音響光学偏向器(AOD)を含む、実施例D1-D10またはD12-D20のいずれかに記載のシステムを含む。
【0162】
実施例D12は、AODが、データ処理ユニットによって、少なくとも100kHzの速度で周期的角度変化を発生させるようにプログラム可能である、実施例D11に記載のシステムを含む。
【0163】
実施例D13は、光方向転換デバイスが、走査ミラーの多重化アレイおよび/または走査格子の多重化アレイを含む、実施例D1-D12またはD14-D20のいずれかに記載のシステムを含む。
【0164】
実施例D14は、光方向転換デバイスが、円筒形レンズと、レンズと、プリズムと、空間フィルタとから成る群から選択され、進行経路上に方向転換された光を成形する、1つ以上の受動光学構成要素と光学的に結合される、実施例D1-D13またはD15-D20のいずれかに記載のシステムを含む。
【0165】
実施例D15は、1つ以上の光検出器が、光電子増倍管を含む、実施例D1-D14またはD16-D20のいずれかに記載のシステムを含む。
【0166】
実施例D16は、光学検出システムがさらに、光方向転換デバイスと光学的に結合される、対物レンズを含む、実施例D1-D15またはD17-D20のいずれかに記載のシステムを含む。
【0167】
実施例D17は、光学検出システムが、空間フィルタに光学的に結合される、対物レンズを含む、実施例D1-D16またはD18-D20のいずれかに記載のシステムを含む。
【0168】
実施例D18は、光学検出システムがさらに、光を空間フィルタから外に、複数の光検出器に向かって指向するための、1つ以上の導光体要素を含む、実施例D1-D17またはD19-D20のいずれかに記載のシステムを含む。
【0169】
実施例D19は、光学検出システムがさらに、細胞によって放射または散乱される光の2つ以上の帯域またはタイプに基づいて、2つ以上の対応する信号を発生させるための、2つ以上の光検出器を含む、実施例D18に記載のシステムを含む。
【0170】
実施例D20は、粒子が、生細胞を含む、実施例D1-D19のいずれかに記載のシステムを含む。
【0171】
本技術によるいくつかの実施形態(実施例D21)では、移動する粒子の3次元(3D)撮像のための方法は、粒子を第1の方向に沿って移動させるステップと、粒子が、移動している間に、個々の光の非対称照明面積を対応する領域に指向することによって、粒子の複数の区分を区分毎に走査するステップと、運動中の粒子の走査される区分にわたって光の非対称照明面積の一部を空間的にフィルタリングし、空間フィルタを通した粒子の体積に対応するある光学信号が検出されることを可能にするステップと、空間的にフィルタリングされた光学信号を検出し、検出の時点にマッピングされた3次元の個々のボクセルを取得するステップとを含む。
【0172】
実施例D22は、光源から生成される光ビームを個々の光の非対称照明面積に修正するステップを含む、実施例D21またはD23-D32のいずれかに記載の方法を含む。
【0173】
実施例D23は、粒子の複数の区分を走査するステップが、光ビームを異なる角度に方向転換するステップと、方向転換された光ビームを光の非対称照明面積に成形するステップとを含む、実施例D21-D22またはD24-D32のいずれかに記載の方法を含む。
【0174】
実施例D24は、第1の個々の光の非対称照明面積が、第1の個々の光の非対称照明面積の第1の走査が、第1の方向と、第2の方向とを備える、第1の平面を形成するように、粒子の進行経路において、第1の方向に対して垂直な第2の方向に指向され、検出するステップのための画像面が、第2の個々の光の非対称照明面積の第2の走査が、第1の平面と平行な第2の平面を形成し、第3の方向に沿って第1の平面からある距離だけ変動されるように、第1の方向および第2の方向に対して垂直な第3の方向に沿って配列される、実施例D21-D23またはD25-D32のいずれかに記載の方法を含む。
【0175】
実施例D25は、光学信号を処理し、粒子の3D特徴を示す情報を含むデータを生成するステップをさらに含む、実施例D21-D24またはD26-D32のいずれかに記載の方法を含む。
【0176】
実施例D26は、ボクセル毎の構築に基づいて、生成されたデータから粒子の3D画像を生成するステップを含む、実施例D21-D25またはD27-D32のいずれかに記載の方法を含む。
【0177】
実施例D27は、粒子のデータが、3つの軸における少なくとも1μmの空間分解能と、3つの軸における20μmの視野とを含む、実施例D21-D26またはD28-D32のいずれかに記載の方法を含む。
【0178】
実施例D28は、粒子のデータが、1秒あたり500個の粒子のスループットで生成される、実施例D21-D27またはD29-D32のいずれかに記載の方法を含む。
【0179】
実施例D29は、粒子が、基板上に形成されるチャネルを含み、粒子を含有する流体を、第1の方向に沿ってチャネルを通して流動させる、粒子フローセルによって移動される、実施例D21-D28またはD30-D32のいずれかに記載の方法を含む。
【0180】
実施例D30は、粒子が、基板に固定され、基板は、粒子が、第1の方向に沿って基板上を移動するように、位置付けシステムによって移動される、実施例D21-D29またはD31-D32のいずれかに記載の方法を含む。
【0181】
実施例D31は、粒子が、生細胞を含む、実施例D21-D30またはD32のいずれかに記載の方法を含む。
【0182】
実施例D32は、実施例D1-D20のいずれかのシステム上に実装される、実施例D21-D31のいずれかに記載の方法を含む。
【0183】
本特許文書および添付の付属において説明される主題および機能動作の実装は、本明細書およびそれらの構造的均等物において、またはそれらのうちの1つ以上のものの組み合わせにおいて開示される構造を含む、種々のシステム、デジタル電子回路内、またはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェア内に実装されることができる。本明細書内に説明される主題の実装は、1つ以上のコンピュータプログラム製品、すなわち、データ処理装置の動作による実行のための、またはそれを制御するための有形かつ非一過性のコンピュータ可読媒体上にエンコードされるコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実装されることができる。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読ストレージ基板、メモリデバイス、機械可読伝搬信号に影響を及ぼす物質の組成、またはそれらのうちの1つ以上のものの組み合わせであり得る。用語「データ処理ユニット」または「データ処理装置」は、実施例として、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサまたはコンピュータを含む、データを処理するための装置、デバイス、および機械の全てを包含する。装置は、ハードウェアに加えて、当該コンピュータプログラムのための実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、またはそれらのうちの1つ以上のものの組み合わせを成す、コードを含むことができる。
【0184】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプトまたはコードとしても公知である)は、コンパイル型またはインタープリタ型言語を含む、任意の形態のプログラム言語で記述され得、これは、独立型プログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピューティング環境内での使用に好適な他のユニットとしてを含む、任意の形態で展開されることができる。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内のファイルに対応するわけではない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部(例えば、マークアップ言語文書内に記憶される1つ以上のスクリプト)の中、当該プログラム専用の単一ファイルの中、または複数の連携ファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部を記憶するファイル)の中に記憶されることができる。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータ上、または1カ所に位置する、または複数の敷地に横断して分散され、通信ネットワークによって相互接続される、複数台のコンピュータ上で実行されるように展開されることができる。
【0185】
本明細書に説明されるプロセスおよび論理フローは、入力データを動作させ、出力を発生させることによって1つ以上のコンピュータプログラムを実行し、機能を実施する、1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実施されることができる。プロセスおよび論理フローはまた、特殊目的論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実施されることができ、装置もまた、それらとして実装されることができる。
【0186】
コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサは、実施例として、汎用マイクロプロセッサおよび特殊目的マイクロプロセッサの両方と、任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサとを含む。概して、プロセッサは、読取専用メモリまたはランダムアクセスメモリまたは両方から命令およびデータを受信するであろう。コンピュータの不可欠な要素は、命令を実施するためのプロセッサ、および命令およびデータを記憶するための、1つ以上のメモリデバイスである。概して、コンピュータはまた、データを受信する、またはデータを伝達する、または両方のために、データを記憶するための1つ以上の大容量記憶デバイス、例えば、磁気、光磁気ディスク、または光ディスクを含む、またはそれに動作可能に結合されるであろう。しかしながら、コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するために好適なコンピュータ可読媒体は、実施例として、半導体メモリデバイス、例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスを含む、あらゆる形態の不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスを含む。プロセッサおよびメモリは、特殊目的論理回路によって補完される、またはその中に組み込まれることができる。
【0187】
本明細書で使用されるような用語「約」は、量または濃度および同等物等の測定可能な値を指すとき、規定される量の20%、10%、5%、1%、0.5%、またはさらに0.1%の変動を包含することを意味する。
【0188】
図面とともに、本明細書は、「例示的な(exemplary)」が、「実施例(example)」を意味する場合、例示的にすぎないものとして見なされることが意図される。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別様に示さない限り、同様に、複数形を含むことを意図する。加えて、「または(or)」の使用は、文脈が明確に別様に示さない限り、「および/または(and/or)」を含むことを意図する。
【0189】
本特許文書および添付の付属は、多くの詳細を含有するが、これらは、請求され得るもののいかなる発明の範囲上の限定としてではなく、むしろ、特定の発明の特定の実施形態に特有であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。本特許文書および添付の付属において、別個の実施形態の文脈で説明されるある特徴もまた、単一の実施形態に組み合わせて実装されることができる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明される種々の特徴もまた、複数の実施形態において別個に、または任意の好適な部分的組み合わせで実装されることができる。また、特徴が、ある組み合わせにおいて作用するものとして上記に説明され、さらに、そのようなものとして最初に請求され得るが、請求される組み合わせからの1つ以上の特徴が、ある場合では、その組み合わせから削除されることができ、請求される組み合わせは、副次的組み合わせまたは副次的組み合わせの変形例を対象とし得る。
【0190】
同様に、動作は、図面内に特定の順序に描写されるが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示される特定の順序または順次順序で実施されること、または図示される動作の全てが実施されることを要求するものとして理解されるべきではない。また、本特許文書および添付の付属に説明される実施形態における種々のシステムコンポーネントの分離は、全ての実施形態においてそのような分離を要求するものとして理解されるべきではない。
【0191】
いくつかの実装および実施例のみが、説明され、他の実装、拡張、および変形例が、本特許文書および添付の付属に説明および図示されるものに基づいて成され得る。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10
図11