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特許7382648流体の粘度を分析するための分析装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】流体の粘度を分析するための分析装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20231110BHJP
   G01N 11/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
A61B8/00
G01N11/00 F
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020567785
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2019064810
(87)【国際公開番号】W WO2019234169
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】102018208945.0
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520469457
【氏名又は名称】カルディオン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】KARDION GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ストッツ, インゴ
(72)【発明者】
【氏名】シュルブッシュ, トーマス アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, トビアス
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/143272(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0064860(US,A1)
【文献】特開2008-178690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
G01N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入開口部を有する吸入インターフェースと、
排出開口部を有する排出インターフェースと、
フロー装置とを含み、
前記フロー装置は、
電気モータに連結されたインペラと、
接続ケーブルと、
前記フロー装置によって前記吸入インターフェースから前記排出インターフェースまで血流を運ぶカニューレであって、患者の大動脈弁を横切る軸に沿って延びて接続ケーブルに結合されるように構成され、該カニューレの先端が該カニューレの遠位先端に配置されているカニューレと、
前記患者の血流中の血液の粘度を分析するように構成された分析装置とを含み、
前記分析装置は、
先端部に配置され、且つ血液中に音波を生成させるように構成された超音波素子であって、前記音波が前記吸入インターフェースを通して軸に沿って前記カニューレに放射され、前記血液に反射する、超音波素子と、
前記血液から反射された前記音波のドップラースペクトルの少なくとも一つのドップラーパラメータを使用して前記血液の前記粘度を判定するように構成された検出装置と、
前記検出装置によって検出された前記血液の前記粘度を表す粘度信号を提供するように構成されたプロビジョニング装置とを含む、心臓補助システム。
【請求項2】
前記検出装置は、前記ドップラーパラメータと前記粘度との間の関数関係を使用して粘度を判定するように構成されている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項3】
前記検出装置は、ルックアップテーブルを使用して前記粘度を判定するように構成されている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項4】
前記ルックアップテーブルは、前記ドップラーパラメータと前記粘度との間の関係を特徴付ける値を含む、請求項3に記載の心臓補助システム。
【請求項5】
前記ルックアップテーブルは、第一の粘度と第二の粘度との補間を含み、
前記検出装置は、前記第一の粘度と前記第二の粘度との補間を使用して前記粘度を判定するように構成されている、請求項3に記載の心臓補助システム。
【請求項6】
前記検出装置は、前記カニューレの少なくとも一つのカニューレパラメータ(r)を使用して前記粘度を判定するように構成されている、請求項1に記載の心臓補助システム
【請求項7】
前記フロー装置は、前記排出インターフェースに配置されている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項8】
前記検出装置は、フロープロファイルの少なくとも一つのフローパラメータを使用して前記粘度を判定するように構成されている、請求項1に記載の心臓補助システム。
【請求項9】
前記少なくとも一つのフローパラメータは、前記カニューレを通る前記血液の流速(v)を含む、請求項8に記載の心臓補助システム
【請求項10】
前記検出装置は、前記ドップラーパラメータを用いて前記粘度を判定するように構成されており、
前記ドップラーパラメータは、ドップラー周波数または前記ドップラースペクトルの幅を含む、請求項1に記載の心臓補助システム
【請求項11】
心臓補助システムの分析装置の動作を制御する方法であって、
前記分析装置の超音波素子が、軸に沿って伸びるカニューレ内のフロー装置によって運ばれる流体中に音波を生成させる工程であって、前記音波が前記カニューレの吸入インターフェースの吸入領域を通してその軸に沿って前記カニューレに放射され、前記流体に反射する工程と、
前記分析装置の検出装置が、ドップラースペクトルの少なくとも一つのドップラーパラメータを用いて前記流体の粘度を判定する工程とを含む、方法。
【請求項12】
前記粘度を判定する工程は、前記ドップラーパラメータと前記粘度と間の関数関係を適用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記粘度を判定する工程は、前記ドップラーパラメータに基づいて前記粘度を判定するためにルックアップテーブルを使用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ルックアップテーブルは、前記ドップラーパラメータと前記粘度との関係を特徴付ける値を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ルックアップテーブルは、第一の粘度と第二の粘度の補間を含み、
前記検出装置は、前記第一の粘度と前記第二の粘度の補間を使用して前記粘度を判定するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記粘度を判定する工程は、前記カニューレの少なくとも一つのカニューレパラメータ(r)を使用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記粘度を判定する工程は、フロープロファイルの少なくとも一つのフローパラメータを使用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも一つのフローパラメータは、前記カニューレを通る前記流体の流速(v)を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも一つのドップラーパラメータは、ドップラー周波数または前記ドップラースペクトルの幅を含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の粘度を分析するための分析装置および方法に関する。本発明はまた、コンピュータプログラム、およびコンピュータプログラムが記憶される機械可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
PT(プロトロンビン時間)およびINR(国際標準比)は、血液凝固の標準尺度である。通常、血液サンプル中のINRは、トロンボプラスチンを添加し、次いで凝固までの時間を測定することによって判定される。判定は検査室で実行することができ、それと同時に、患者による自己測定のために検査ストリップ装置が現在利用可能であり、血糖測定の手順と比較し得る。心臓補助システムを有する患者にとって、凝固管理は、ポンプ血栓を最小化するために不可欠である。INR置換パラメータとしての血液粘度のモニターリングは、凝固管理に十分であり得る。
【0003】
欧州特許第2175770号明細書には、粘度を判定するためのSAWと略される表面音響波に基づく明示的な血液粘度センサが記述されている。
【0004】
米国特許第7,591,777号明細書には、心臓補助システムの駆動に対する血液粘度の機械的影響による、心臓補助システムの粘度判定について記述されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の課題は、この目的のために、流体の粘度を分析するための改善された方法および改善された分析装置を提供することである。特に、継続的かつ短い時間スケールで流体の粘度の判定が可能となる方法および装置を特定することが本発明の課題である。
【0006】
この課題は、請求項1に記載の判定装置および請求項9に記載の方法によって達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に特定される。
【0007】
流体の粘度を分析するための分析装置、および流体の粘度を分析するための本発明による方法、および最後に、対応するコンピュータプログラムが以下に提示される。独立請求項に明記された主題の有益なさらなる実施形態および改善が、従属請求項に明記された手段を用いて可能となる。
【0008】
この背景に照らして、本明細書に提示されるアプローチは、流体の粘度を分析するための分析装置、および流体の粘度を分析するための方法、および最後に、主要請求項による、対応するコンピュータプログラムを提示する。独立特許請求項に特定されたデバイスの有利なさらなる開発および改善は、従属請求項に列挙された手段を使用して可能である。
【0009】
提示されたアプローチで達成可能な利点は、本明細書に提示される分析装置が、流体のリアルタイムドップラーパラメータを用いて、流体の粘度を迅速かつ容易に判定および提供または送信するように設計されることである。ドップラーパラメータは、流体中に発信された信号の周波数から、流体から受信した信号の周波数への変化についての情報を表すパラメータを意味すると理解され得る。例えば、ドップラーパラメータは、ドップラーシフトに対応する。本事例では、ドップラースペクトルは、流体中に発信された信号から生じる周波数、ならびに流体から受信した信号から生じる周波数を含むスペクトルを意味すると理解され得る。次に、このアプローチは、例えば、流体から受信した信号から生じる周波数成分に対する、流体中に発信された信号の異なる周波数成分のドップラーシフトの分析を可能にし得る。
【0010】
流体の粘度を分析するための分析装置が提示される。分析装置は、検出装置およびプロビジョニング装置を備える。検出装置は、流体のドップラースペクトルの少なくとも一つのドップラーパラメータを使用して、流体の粘度を判定するように形成される。プロビジョニング装置は、検出装置によって判定された粘度を表す粘度信号を提供または発信するように形成される。ドップラースペクトルは、流体のフロープロファイルおよび超音波素子の方向特性の積と理解され得、流体中に音波を生成する、または生成し得る。フロープロファイルは、流体の流速に依存し得、追加的にまたは代替的に、流体がそれを通って流れる吸入装置の成形に依存し得る。
【0011】
検出装置は、超音波変換器であり得、超音波素子からドップラーパラメータを読み取るように設計され得る。超音波素子は、流体中に音波を生成し、流体中の戻ってきた反射音波のドップラーパラメータを感知するために形成され得る。生成された音波は、定義されたまたは固定された方向特性を有し得る。検出装置および/またはプロビジョニング装置は、超音波素子の一部であってもよく、または超音波素子に結合されるように形成されてもよい。例えば、検出装置は、超音波素子によって感知されたドップラーパラメータを超音波素子から読み取るように形成され得る。
【0012】
検出装置は、ドップラーパラメータと粘度の間の関数関係を使用して、および/またはルックアップテーブルを使用して粘度を決定するように形成され得、特に、ドップラーパラメータと粘度の間の関係をルックアップテーブルに格納し得る。ルックアップテーブルは、関連する全てのドップラーパラメータ、および追加的または代替的に、流体の流速などの他の関連するパラメータについて、流体の関連する全ての粘度の測定データを格納し得る、キャリブレーションテーブルであり得る。リアルタイムドップラーパラメータを使用して、それにマッピングされた粘度をルックアップテーブルから迅速かつ容易に読み取り得る。または、粘度は、リアルタイムドップラーパラメータを使用して関数関係を求解することによって、迅速かつ容易に判定し得る。ルックアップテーブルおよび/または関数関係は、検出装置に格納され得、または検出装置による使用のために読み取られ得る。
【0013】
検出装置が一実施形態に従って形成され、ルックアップテーブルに格納された第一の粘度と、ルックアップテーブルに格納された第二の(隣接する)粘度との補間を使用して粘度を判定することも有利である。これにより、計算精度が向上し得る。
【0014】
分析装置はまた、流体を受けるための吸入インターフェースを有するカニューレ、および流体を排出するための吸入インターフェースと反対側の排出インターフェースを備えることができ、特に、ドップラーパラメータは、カニューレ内のドップラーパラメータを表すことができる。こうしたカニューレは、心臓補助システム上またはその中において使用するために形成され得る。例えば、カニューレは、流体として血液を受けるように形状化または形成され得る。次いで、カニューレ内の血液のリアルタイム粘度は、分析装置を使用して有利に判定され得る。検出装置はまた、カニューレの少なくとも一つのカニューレパラメータを使用して粘度を判定するように形成され得る。カニューレパラメータは、カニューレ幅またはカニューレ径であり得る。
【0015】
さらなる有利な実施形態によれば、分析装置は、カニューレの吸入インターフェースから排出インターフェースまで流体を運ぶためのフロー装置を備え、特に、フロー装置は、排出インターフェースの領域上またはその中に、配置され得るか、または配置可能である。フロー装置は、電気モータおよび連結されたインペラの形態の駆動装置を含み得る。フロー装置の動作時、流体の体積流がカニューレを通して生じ得、体積流は、流体の粘度、流体の流速、および、例えば、カニューレ幅またはカニューレ径などのカニューレの成形の関数としてフロープロファイルを測定可能とする。フロー装置を備えたこのような分析装置は、心臓補助システムとして形成されるか、または使用可能であり得る。この心臓補助システムは、有利には、現時点の血液粘度を判定し、例えば、それを診断方法のために提供または送信し得る。
【0016】
検出装置はまた、カニューレを通る流体の、フロープロファイルの少なくとも一つのフローパラメータ、特に流速を用いて粘度を判定するように形成され得る。流速は、流体の粒子に反射した超音波信号のドップラーシフトを感知するために形成された超音波素子を使用して測定可能である。
【0017】
例示的な実施形態による分析装置が、ドップラーパラメータを検出するため、流体に音波を生成するように形成された超音波素子を含み、特に、超音波素子がカニューレの吸入インターフェースの領域に配置され得る場合、さらに有益である。超音波素子は、定義されまたは固定された方向特性を有する音波を生成するように形成され得る。この場合、方向特性は、カニューレを通る流体の予想される流体の流れの方向に整列され得る。
【0018】
検出装置は、ドップラー周波数および/またはドップラースペクトルの幅を表す、ドップラーパラメータを使用して粘度を判定するように形成され得る。
【0019】
流体の粘度を分析する方法も提示される。方法は、検出工程およびプロビジョニング工程を含む。検出工程は、流体のドップラースペクトルの少なくとも一つのドップラーパラメータを使用して、流体の粘度を判定することを含む。プロビジョニング工程は、検出工程の間に判定した粘度を表す粘度信号が提供または発信することを含む。
【0020】
この方法は、上記の分析装置を使用して実施し得る。方法は、例えば、ソフトウェアまたはハードウェアにおいて、または、例えば、制御装置においてなど、ソフトウェアとハードウェアの混合形態において実装され得る。
【0021】
半導体メモリ、ハードドライブメモリ、または光メモリなどの機械可読キャリアまたは記憶媒体に記憶することができるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムは、上記の実施形態の一つによる方法の工程を実行、実施、および/または制御するために使用され、特に、プログラム製品またはプログラムがコンピューターまたは装置上で実行される場合有利である。
【0022】
本明細書に提示されるアプローチの例示的な実施形態は、図面に示されており、以下の説明でより詳細に説明されている。図面は以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、例示的な実施形態による流体の粘度を判定するための分析装置の概略図である。
図2図2は、例示的な実施形態による分析装置の概略断面側面図である。
図3図3は、例示的な実施形態による分析装置を備えた心臓補助システムの概略図である。
図4図4は、例示的実施形態による流体のフロープロファイルの概略図である。
図5図5は、ドップラースペクトルの概略図である。
図6図6は、ドップラースペクトルの概略図である。
図7図7は、例示的実施形態によるドップラースペクトルの概略図である。
図8図8は、例示的な実施形態による流体の粘度を分析する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の好ましい例示的実施形態の以下の説明では、さまざまな図に示され、類似の効果を有する要素に対して、同一または類似した参照記号が使用され、これらの要素の反復した説明は省略される。
【0025】
例示的な実施形態が第一の特徴と第二の特徴との間に「および/または」の接続詞を含む場合、一実施形態による例示的な実施形態が第一の特徴と第二の特徴の両方を含み、別の実施形態によれば、第一の特徴のみまたは第二の特徴のみのいずれかを含むことを意味すると理解されるべきである。
【0026】
図1は、例示的な実施形態による流体の粘度105を分析するための分析装置100の概略図を示す。
【0027】
分析装置100は、検出装置110およびプロビジョニング装置115を備える。検出装置110は、流体のドップラースペクトルの少なくとも一つのドップラーパラメータ120を使用して、流体の粘度105を判定するように形成される。プロビジョニング装置115は、検出装置110によって判定される粘度105を表す粘度信号130を提供または発信するように形成される。
【0028】
この例示的な実施形態によれば、検出装置110は、流体が収容されるカニューレを通る流体のフローパラメータ135を使用して粘度105を判定するように、および/またはカニューレのカニューレパラメータ140を判定するように設計される。この例示的な実施形態によれば、検出装置110は、ドップラーパラメータ120および/またはフローパラメータ135および/またはカニューレパラメータ140をそれぞれセンサ信号の形態で読み取るように形成される。
【0029】
図2は、例示的な実施形態による分析装置100の概略断面側面図を示す。これは、図1に記載の分析装置100であり得、この例示的な実施形態による分析装置100は、カニューレ200、フロー装置205、および超音波素子210を追加的に備えるという違いがある。代替的または追加的に、分析装置100は、カニューレ200、フロー装置205、および超音波素子210が、ケーブルを使用して検出装置110およびプロビジョニング装置115から空間的に分離して動作し得るように、例えば、二つの構成要素として形成され得る。
【0030】
カニューレ200は、流体217を受けるように形成された吸入インターフェース215、および流体217を排出するために形成された吸入インターフェース215の反対側の排出インターフェース220を有する。この例示的な実施形態によれば、ドップラーパラメータは、カニューレ200内のドップラーパラメータを表す。
【0031】
フロー装置205は、流体217をカニューレ200の吸入インターフェース215から排出インターフェース220に運ぶように形成される。この目的のために、この例示的な実施形態によるフロー装置205は、排出インターフェース220の領域上、またはその中に配置され得る。この例示的な実施形態によれば、フロー装置205は、電気モータおよび/または連結されたインペラの形態の駆動装置を備え、これはカニューレ200に収容される。
【0032】
この例示的な実施形態によれば、検出装置110は、カニューレ200を通る流体のフロープロファイル225の流速vを表すフローパラメータを使用して粘度を判定するように形成される。この例示的な実施形態によれば、検出装置110はまた、カニューレ200のカニューレ幅rを表す、カニューレ200のカニューレパラメータを使用して粘度を判定するように形成される。
【0033】
超音波素子210は、流体中の粒子上の音波の反射におけるドップラーパラメータを決定するために、流体217内に音波を生成するように形成される。この例示的な実施形態によれば、超音波素子210は、カニューレ200の吸入インターフェース215の領域に配置される。超音波素子210の方向特性230もまた示されており、方向特性230は、この例示的な実施形態によって固定および/または定義される。
【0034】
この例示的な実施形態によれば、検出装置110は、ドップラー周波数および/またはドップラースペクトルの幅を表す、ドップラーパラメータを使用して粘度を判定するように形成され得る。この例示的な実施形態によれば、検出装置110は、ドップラーパラメータと粘度の間の関数関係を使用して、および/またはルックアップテーブルを使用して粘度を決定するように形成され得、ドップラーパラメータと粘度の間の関係をルックアップテーブルに格納し得る。この例示的な実施形態によれば、検出装置110はまた、ルックアップテーブルに格納された第一の粘度と、ルックアップテーブルに格納された隣接する第二の粘度の補間を使用して粘度を判定するように形成される。
【0035】
以下では、分析装置100の詳細を、より詳細に、違う言葉で、再び記述する。
【0036】
この例示的な実施形態によれば、本明細書に提示される分析装置100は、心臓補助システムとして使用され得る。VAD患者とも称される、心臓補助システムを有する患者(VADは「Ventricular Assist Device(心臓補助装置)」を表す)にとって、凝固管理はポンプ血栓を最小化するために不可欠である。この目的のために、患者は、例えば、血漿性血液凝固を阻害するための薬剤で治療され、INRは、例えば、2~2.5の範囲に調整される。
【0037】
フロープロファイル225、そして血液の粘度は、VADシステムのカニューレ200の先端に、この例示的な実施形態によって一体化された超音波素子210を用いてドップラースペクトルを分析することによって決定し得、これは入口カニューレとも称され得る。
【0038】
この例示的な実施形態によれば、血液粘度は、代替的な例示的実施形態による連続的な、または固定的な時間間隔で、分析装置100が動作中、検出装置110によって判定される。プロビジョニング装置115は、治療法管理のための一パラメータとして、医師および/または患者に判定された粘度を提供するように形成される。この目的のために、粘度信号は、粘度をディスプレイ上に表示し、および/またはそれをウェブサービスに無線通信によって伝送するように形成される。
【0039】
有利には、本明細書に提示される分析装置100では、単純ないわゆる「単一要素」の超音波変換器のみが、この例示的な実施形態による円形ディスクとして形成される超音波素子210として十分である。こうした超音波素子210は、流体217の予想される流れの方向において、ここに示す超音波素子210の特別な空間的配置によって可能である。超音波素子210は、流体217の流速vを定量化するための例示的な実施形態によって形成される。
【0040】
吸入カニューレの先端に一体化された超音波素子210は、例えば、いわゆる「パルス波ドップラー」法を用いて、カニューレ200内の流れのドップラースペクトルを測定し、この方法はパルスドップラーとも呼ばれる。
【0041】
言い換えれば、図2は、超音波変換器の形態の超音波素子210を備えたVAD吸入カニューレの例示的な実施形態を示す。図2は、吸入領域、超音波変換器の方向特性230、および吸入カニューレ内の調整フロープロファイル225を示す。
【0042】
図3は、例示的な実施形態による分析装置100を備えた心臓補助システム300の概略図を示す。これは、図2を参照して説明される分析装置100であり得る。
【0043】
一例としてここに示す心臓補助システム300は、心臓補助システムとも称され得る。図3はまた、左心室310および右心室315ならびに左心房320および右心房325を有する心臓305を示す。心臓補助システム300は、大動脈弁330の中央に位置し、その結果、血流335は左心室310の領域内の吸入開口部の形態の吸入インターフェース215を通して吸引され、排出開口部の形態の排出インターフェース220を通して心臓弁345の下流領域の大動脈355内に排出される。
【0044】
この例示的な実施形態によれば、補助システムはまた、センサを有する遠位先端360を備え、例示的な実施形態によれば、センサは、少なくとも一つの圧力センサおよび/または少なくとも一つの温度センサ、ならびに吸入インターフェース215の吸入領域を通して補助システムの軸に沿ってカニューレ200に放射される超音波素子210を含む。カニューレ200は、排出インターフェース220の領域に位置するインペラを用いて血液をフロー装置に向ける。この後、電気モータ365および接続ケーブル370が続く。
【0045】
図4は、例示的実施形態による流体のフロープロファイル225の概略図を示す。これは、図2に記載されるフロープロファイル225であり得、前述の図のうちの一つに記載される分析装置の一つによって判定され得る。例示的なフロープロファイル400は、管に示されており、vは流速を示し、yは管の内壁からの半径距離を示す。速度勾配∂v/∂y、すなわち速度プロファイルは、粘度に依存する。言い換えれば、ナビエ-ストークスによる心臓補助システムのカニューレの速度プロファイルは、粘度に依存する。
【0046】
図5は、ドップラースペクトル500の概略図を示す。ドップラースペクトル500は、流体のフロープロファイル505および超音波素子210の方向特性510の積である。図5~7は、異なるフロープロファイルおよび方向特性、ならびにそれぞれ結果として生じるドップラースペクトルを比較し、図7は、図1~3のいずれかに示される分析装置を使用して、識別および/または識別可能な方法で実際のドップラースペクトルを示す。
【0047】
図5は、理想的な集束超音波素子210に対するドップラースペクトル500を示し、これは理想的な方向特性510と並流をもたらし、その結果、並流プロファイル505をもたらす。
【0048】
図6は、ドップラースペクトル600の概略図を示す。図6は、実際の集束超音波素子210に対する結果として生じるドップラースペクトル600を示し、これは、図1~3のいずれかに記載される分析装置、および図5に記載される並流プロファイル505と共に使用するために記載される方向特性230を引き起こす。図5に示すドップラースペクトルと比較して、図6でもたらされるドップラースペクトル600の幅が広がる。
【0049】
図7は、例示的実施形態によるドップラースペクトル700の概略図を示す。これは、図1~3のいずれかに示される分析装置を使用してカニューレ内で生じる、および/または認識可能なドップラースペクトル700であり得る。
【0050】
図7は、カニューレ内で生成されるような、実際の方向特性230および実際のフロープロファイル225を有する、実際の集束超音波素子210に対する流体の結果として生じるドップラースペクトル700を示す。
【0051】
流体の所与の体積流に対して流れが中央でより速く、周縁部でより遅く、遅い流れの領域が超音波素子210の焦点領域においてより多くの断面積を占有するため、より高い粘度がドップラースペクトル700のさらなる拡大を引き起こす。
【0052】
フロープロファイル225で発生し、ドップラースペクトルに示される全ての速度Vのドップラー周波数シフトは以下のとおりである。
【数1】
【0053】
ドップラースペクトル700のピークは、主速度、またはヒストグラムに類似した最も頻繁に発生する速度を表す。しかしながら、この値はまだ超音波素子210の方向特性230でバイアスされており、これは全方向に等しい感度で動作しない。
【0054】
最も頻繁に発生するドップラー周波数は、最も頻繁に発生する速度を表すが、それは後者が、超音波素子210の放射の主方向における特別な機械的設計のために予想されるためであり、なぜなら:
【数2】
である。
【0055】
固定的方向特性230を有する所与の超音波素子210について、ドップラースペクトル700の幅は、観察空間内の速度分布と相関する。ドップラースペクトル700ならびに/またはドップラースペクトル700の幅の最大振幅の半分でのパラメータドップラー周波数に基づく例示的な実施形態によって、ピーク値の例示的90%および/またはドップラースペクトル700の最大振幅の周波数およびドップラースペクトル700の最大ドップラー周波数での例示的実施形態によって、検出装置は、計算メトリックとしてドップラースペクトル700の特性値に依存する。
【0056】
粘度の計算または判定は、全ての関連する流速での全ての関連する粘度の測定データを格納する、LUTと略される、ルックアップテーブルまたはキャリブレーションテーブルを使用して、検出装置によって例示的な実施形態に従って計算効率良く実行される。主ドップラー周波数に基づいて、主流速の列が例示的な実施形態に従って選択され、粘度がドップラースペクトル700の幅に基づいて例示的な実施形態に従って前述の列から読み取られる。例示的な実施形態によれば、計算精度は、隣接するテーブルエントリ間で補間することによってさらに向上する。
【0057】
粘度判定のために本明細書に提示される分析装置のフロープロファイル225の使用を、異なるフロープロファイルを実験的に生成することによって実証する。超音波素子210を用いた例示的な実施形態では、超音波素子210は、視覚的に検出可能である。
【0058】
図8は、例示的な実施形態による流体の粘度を分析するための方法800のフローチャートを示す。これは、上の図に記載される分析装置のいずれかによって実行可能な方法800であり得る。
【0059】
方法800は、工程805としての検出、および工程810としてのプロビジョニングを含む。検出工程805は、流体のドップラースペクトルの少なくとも一つのドップラーパラメータを使用して、流体の粘度を判定することを含む。プロビジョニング工程810は、検出工程805の間に判定した粘度を表す粘度信号を提供または発信することを含む。
【0060】
本明細書に提示される方法の工程805、810は、繰り返すことができ、記載した以外の順序で実行され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8