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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】ポリゴン加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23C 3/04 20060101AFI20231110BHJP
   B23C 3/12 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
B23C3/04
B23C3/12 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022032205
(22)【出願日】2022-03-03
(65)【公開番号】P2023128097
(43)【公開日】2023-09-14
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】522084050
【氏名又は名称】中海鋼業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 達朗
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-300811(JP,A)
【文献】実開昭61-178613(JP,U)
【文献】特開2014-188665(JP,A)
【文献】特表2019-532829(JP,A)
【文献】特開2011-194491(JP,A)
【文献】特開2019-188488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 3/04
B23C 1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物をチャックして回転させる主軸と、
前記工作物に断続的に押し当たることで、前記工作物を切削するバイトと、
前記バイトが取り付けられる溝を複数有し、少なくとも1か所の溝に前記バイトが取り付けられて、前記主軸と同期して回転する回転式刃物台と、
前記回転式刃物台から突出するように、前記バイトが取り付けられた溝以外の溝に取り付けられ、前記回転式刃物台が回転することで、前記工作物における前記バイトが切削した部分を掃くブラシ体と
備える、ポリゴン加工装置。
【請求項2】
前記ブラシ体は、前記回転式刃物台からの突出量が調節可能である、請求項1に記載のポリゴン加工装置。
【請求項3】
前記回転式刃物台に取り付けられるアダプタをさらに備え、
前記ブラシ体は、前記アダプタからの前記回転式刃物台の径方向への突出量を調整可能である、請求項1または請求項2に記載のポリゴン加工装置。
【請求項4】
前記ブラシ体は、前記アダプタに対する位置をずらすことが可能であり、
前記アダプタに対する位置をずらすことが可能な前記ブラシ体を、前記アダプタに固定する押ねじをさらに備える、請求項3に記載のポリゴン加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリゴン加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
丸棒または長ねじボルトなどの工作物の軸部に多角形状の面を加工する工作機械の一つにポリゴン加工装置がある。(特許文献1)ポリゴン加工装置は、工作物をチャックして回転させ、その工作物の回転方向に沿う外周部分に、工作物の回転と同期し、かつ工作物の回転軸と平行な回転軸を中心に回転するバイトを、工作物とバイトとが互いに近づくように断続的に工作物に押し当てることによって、工作物を切削する。ポリゴン加工装置の作業者は、ポリゴン加工装置にバイトを取り付け、ポリゴン加工装置に工作物をチャックさせる作業を行えば、ポリゴン加工装置に時折操作を加えるだけで、複数の工作物の切削を次々と行うことができる。
【0003】
ところで、ポリゴン加工装置による工作物の切削は、その工作物にバイトを断続的に押し当てて行うため、その工作物に接触したバイトが工作物から離れる際に、工作物にバリが生じやすい。バリは、工作物に生じる鋭利な出っ張りであり、接触した人を負傷させるため、有害であり、美観の点からも工作物から出っ張っているため、好ましくない。このため、ポリゴン加工装置による切削で生じるバリは、除去する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-86010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すようなポリゴン加工装置の作業者は、ポリゴン加工装置による工作物の切削後、グラインダ装置などの別の機械で手動によりバリを除去していた。例えば、作業者がグラインダ装置の一種である卓上グラインダで工作物のバリを除去する場合、作業者は、工作物を自らの手で保持してバリを除去する必要がある。このため、バリを除去する作業中、作業者はその他の作業をすることができず、その作業に拘束されていた。そして、作業者がバリを除去するのに要する時間は、作業者がポリゴン加工装置に工作物を切削させるために行う作業に要する時間と比較しても決して短い時間ではない。すなわち、作業者は、バリの除去作業のために長時間拘束されるという問題があった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、切削後の工作物に生じるバリを除去するために作業者が拘束される時間を短縮できるポリゴン加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のポリゴン加工装置は、工作物をチャックして回転させる主軸と、前記工作物に断続的に押し当たることで、前記工作物を切削するバイトと、前記バイトが取り付けられる溝を複数有し、少なくとも1か所の溝に前記バイトが取り付けられて、前記主軸と同期して回転する回転式刃物台と、前記回転式刃物台から突出するように、前記バイトが取りつけられた溝以外の溝に取り付けられ、前記回転式刃物台が回転することで、前記工作物における前記バイトが切削した部分を掃くブラシ体とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリゴン加工装置によれば、工作物におけるバイトが切削した部分をブラシ体が掃くことで、当該切削部分に生じるバリをブラシ体が押しのけて除去する。したがって、作業者によるバリの除去作業を省略でき、切削後の工作物のバリを除去するのに作業者が拘束される時間が短縮される。結果、作業者は、バリを除去する作業以外の作業に利用できる時間が増加する。例えば、前述のように、ポリゴン加工装置は、工作物をチャックして、バイトが取り付けられた後、時折作業者に操作されることで工作物の切削を行うので、作業者は、当該増加した時間を利用して、複数台のポリゴン加工装置に同時並行でそれぞれ工作物を切削させることができる。これにより、作業者が研削盤などでバリを除去していた場合と比較して、単位時間当たりに一人の作業者が切削させることのできる工作物の数が大きく増加する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るポリゴン加工装置を示す立体図である。
図2】切削加工後の工作物を示す立体図である。
図3】実施形態に係るポリゴン加工装置の回転式刃物台を示す立体図である。
図4】実施形態に係るポリゴン加工装置の回転式刃物台の一部およびブラシ体を示す立体図であり、ブラシ体の突出量を調節することを示す図である。
図5】実施形態に係るポリゴン加工装置を示す平面図であり、バイトが工作物を切削するのを示す図である。
図6】実施形態に係るポリゴン加工装置の側面を概略的に示す図であり、バイトが工作物を切削する直前を示す図である。
図7】実施形態に係るポリゴン加工装置の側面を概略的に示す図であり、バイトが工作物を切削した直後を示す図である。
図8】実施形態に係るポリゴン加工装置の側面を概略的に示す図であり、ブラシ体がバリを除去するのを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すように、ポリゴン加工装置1は、工作物2を切削する工作機械である。工作物2は、棒状であり、丸棒、または長ねじボルトなどのねじ部を有する部品である。図1では、ポリゴン加工装置1は、長ねじボルトである工作物2をチャックして回転させ、工作物2の回転軸と平行な回転軸を中心に工作物2と同期して回転するバイト12を工作物2の回転方向に沿った外周部分に断続的に押し当てる。これにより、工作物2の回転方向に沿った外周部分に平面が形成される。ポリゴン加工装置1は、工作物2が互いに平行な二面を含む断面を有する形状、または、四角形などの多角形の断面を有する形状、または、角部に丸みを帯びた多角形の断面を有する形状などとなるように、工作物2を切削する。以降のポリゴン加工装置1による工作物2の切削の一例として、図2に示すように、工作物2の一例である長ねじボルトの端部が四角形の断面を有する形状となるように切削する場合について説明する。また、四角形の断面を有する形状以外の形状となるように工作物2を切削する場合についても、以降の説明で適宜補足する。
【0011】
前述の背景技術および課題で説明したように、ポリゴン加工装置1による切削を行うと、図2に示すように、工作物2の切削箇所にバリ21が生じる。バリ21は、工作物2を切削することによって生じる鋭利な出っ張りであり好ましくない。このため、従来、作業者は、バリ21を除去するために、グラインダ装置などの別の機械でバリ21を除去する作業をしており、この作業を行うために長い時間拘束されていた。したがって、この作業を省略して、バリ21を除去するために作業者が拘束される時間を短縮できれば、バリ21の除去作業以外で作業者が利用できる時間が増加する。結果、作業者は、例えば、その増加した時間を利用して、複数台のポリゴン加工装置1を操作し、複数の工作物2を同時並行でポリゴン加工装置1に切削させることができる。これにより、作業者一人が単位時間当たり切削させることができる工作物2の数も増加し、生産性の観点から好ましい。
【0012】
図1および図3に示すように、実施形態に係るポリゴン加工装置1は、駆動源10と、駆動源10に接続される主軸11と、工作物2を切削するバイト12と、バイト12が取り付けられ、駆動源10に接続される回転式刃物台13と、回転式刃物台13に取り付けられるブラシ体14と、ブラシ体14を回転式刃物台13に取り付けるためのアダプタ15(図3参照)とを備える。
【0013】
駆動源10は、第1回転軸101と、送り台102と、第1回転軸101の第1軸芯10Aと平行な第2軸芯10Bを有し、送り台102から突出する第2回転軸103とを有する。第2回転軸103は、第2軸芯10Bを中心に第1回転軸101と同じ方向に、第1回転軸101とは異なる速度で回転する。送り台102は、第2軸芯10Bに沿う方向に移動可能である。
【0014】
主軸11は、円筒形状の回転体であり、第1回転軸101に取り付けられて一体となり回転する。一方で、主軸11の中空部分には、工作物2をチャックする機構104が備えられる。このチャックする機構104により、丸棒などである工作物2の一方端が主軸11にチャックされる。主軸11にチャックされた工作物2は、他方端が送り台102側に向くように配置され、主軸11とともに回転する。
【0015】
図3に示すように、バイト12は、工作物2を切削する切刃121と、切刃121を保持するシャンク122とを有する。切刃121は、シャンク122の端部に接続される。
【0016】
回転式刃物台13は、回転方向に沿った外周部分の異なる位置からバイト12およびブラシ体14が突出するようにそれぞれが取り付けられる。その一例が図3に示されており、回転式刃物台13は、その回転方向に沿った外周部分の異なる位置から突出する。回転式刃物台13は、第2回転軸103に取り付けられて回転する台131と、固定板固定ねじ133で台131に締結されたときに、台131にバイト12を固定する固定板132とを有する。
【0017】
台131は、円盤形状であり、その周方向に沿う外周部の一部を切り欠き、かつその軸芯に向かって延びる溝13Aが、円周方向に沿う4か所に設けられる。台131には、2本のバイト12が取り付けられる。このようにすると、工作物2が四角形断面を有する形状となるように切削することができる。2本のバイト12のそれぞれは、台131に設けられた4か所の溝13Aのうち、台131の軸芯を挟んだ2か所に、シャンク122が、台131の径方向外側に切刃121が位置するように配置される。また、台131は、取り外しできるように第2回転軸103に接続され、第2回転軸103が回転することによって、台131はその軸芯を中心に回転する。つまり、台131は、主軸11と同じ方向で回転する。なお、本実施形態では、台131に設けられた4か所の溝13Aに、2本のバイト12を台131に取り付けると説明したが、台131に設けられる溝13Aの数は4か所に限らない。また、台131に取り付けることができるバイト12の本数も2本に限らない。例えば、台131に取り付けるバイト12の本数を1つとすることもでき、このようにすると工作物2を互いに平行な二面を有する形状となるように切削することができる。
【0018】
固定板132は、台131に設けられた溝13Aのそれぞれに挿入される板である。バイト12は、シャンク122が固定板132および台131により挟み込まれることによって、台131に取り付けられる。
【0019】
ブラシ体14は、ワイヤ束141と、ワイヤ束141を保持するブラシシャンク142と、ブラシシャンク142に接続する軸143とを有する。
【0020】
ワイヤ束141は、真鍮またはステンレス製などの金属製のワイヤの束である。工作物2に生じたバリ21にワイヤ束141が工作物2の一部に覆いかぶさるように弾性変形を伴いながら接触して離れる、すなわちワイヤ束141が工作物2のバリ21が生じた部分を掃くことで、ワイヤ束141が工作物2に傷つけることなくバリ21を押しのける。これにより、バリ21は工作物2から除去される。このようにワイヤ束141は弾性変形してバリ21を除去するため、ワイヤ束141を構成するワイヤは、それらワイヤが工作物2の切削箇所に接触した際に工作物2の一部に覆いかぶさるのに十分な弾性変形できる程度の長さを有する。
【0021】
ブラシシャンク142は、一方の平面部分に窪みを有する円柱形状であり、その窪みの底面にはワイヤ束141の基端部が接続され、他方の平面部分には、円柱形状の軸143がワイヤ束141と離れる方向に延びる姿勢となるように、軸143の端部が接続される。
【0022】
図3および図4に示すように、アダプタ15は、角柱のベース151と、ベース151に取り付けられる押ねじ152とを有する。アダプタ15に設けられる軸挿入穴15Aには、ブラシ体14の軸143が挿入される。したがって、ベース151からブラシシャンク142が突出し、ワイヤ束141がベース151の外部に配置される。押ねじ152は、ベース151に挿入されたブラシ体14の軸143を、そのねじ部の先端で押しつける。これにより、ブラシ体14は、ベース151に固定されて、アダプタ15に取り付けられる。
【0023】
ブラシ体14が取り付けられたアダプタ15は、ワイヤ束141の先端部分が、台131よりも径方向外側に配置されるように、台131の溝13Aの少なくとも1か所に挿入される。台131に挿入されたアダプタ15は、アダプタ15と同じ溝13Aに挿入された固定板132および台131に挟み込まれることで、台131に取り付けられる。アダプタ15を挟み込んだ固定板132は、固定板固定ねじ133によって台131に固定される。これによりブラシ体14は、回転式刃物台13から突出するように取り付けられる。
【0024】
図4に示すように、ブラシ体14は、アダプタ15に挿入する軸143の挿入深さ方向の位置を変えることで、アダプタ15に対する位置をずらすことが可能である。これにより、回転式刃物台13からワイヤ束141の突出量を調節することができる。突出量を調節したブラシ体14は、押ねじ152によりアダプタ15に固定される。また、回転式刃物台13からのワイヤ束141の突出量は、溝13Aにおける、アダプタ15が挿入される位置を変更することによっても調節可能である。具体的には、溝13Aにおける台131の外周面寄りにアダプタ15を配置した場合、溝13Aにおける台131の軸芯寄りにアダプタ15を配置した場合と比較して、回転式刃物台13からのブラシ体14の突出量が大きくなる。
【0025】
図1および図5から図7を参照して、ポリゴン加工装置1による切削について説明する。
【0026】
図1に示すように、ポリゴン加工装置1で工作物2に対して切削加工を行うには、工作物2を主軸11にチャックし、第2回転軸103に接続した回転式刃物台13にバイト12およびブラシ体14を取り付ける。工作物2をチャックした主軸11は、第1回転軸101により回転させられる。一方で、バイト12およびブラシ体14を取り付けた回転式刃物台13は、第2回転軸103により主軸11と同期して回転させられる。第2回転軸103は、第1回転軸101と同じ方向に、第1回転軸101とは異なる速度で回転する。第1回転軸101の回転速度、および、第2回転軸103の回転速度は、切削後の工作物2において目的とする形状に合わせて設定される。
【0027】
主軸11および回転式刃物台13が回転した後、送り台102は、主軸11側に移動することにより、回転式刃物台13が、その回転軸に沿い、かつ工作物2に近づく方向に移動する。回転式刃物台13は、工作物2の回転方向に沿った外周部分に対向する位置に配置されることで、工作物2の外周部分およびバイト12の切刃121が、それぞれ互いに向き合って近づく。この後、図5から図7に示すように、回転する工作物2の回転方向に沿う外周部分に、回転するバイト12の切刃121が、断続的に押し当てられ、当該部分が切削される。このような状態の回転式刃物台13が、さらに主軸11側に移動することによって、バイト12の工作物2に押し当てられる位置が、工作物2の長手方向に沿って変化する。これにより、工作物2の長手方向に対する切削範囲が大きくなる。工作物2の切削された部分には、バリ21が生じる。バリ21は、バイト12が最後に工作物2と接触した部分に生じやすい。例えば、バリ21は、バイト12が工作物2と最後に接触したねじ山の頂部、または、バイト12が工作物2と最後に接触した縁部に生じやすい。
【0028】
図6から図8を参照して、工作物2に対する切削と、切削により工作物2に生じるバリ21の除去について順を追って説明する。図6から図8は、図1の紙面奥側から表側の方向に見た図である。
【0029】
図6に示すように、バイト12ならびにブラシ体14の取り付けられた回転式刃物台13、および、工作物2のそれぞれが回転する。これにより、工作物2とバイト12とが、切削部分において互いに向き合う方向に移動する。したがって、バイト12は、効率良く工作物2を切削することができる。
【0030】
そうすると、図7に示すように、回転するバイト12の切刃121が回転する工作物2の回転方向に沿う外周部分に押し当たって、工作物2を切削する。これにより、工作物2の回転方向に沿う外周部分に平面部分が形成される。工作物2を切削した後、バイト12は、工作物2から離れ、この際、工作物2の切削された部分には、バリ21が生じる。
【0031】
次に、図8に示すように、ブラシ体14のワイヤ束141は、工作物2におけるバイト12が切削した部分に接触する。ブラシ体14は回転しているため、バリ21に接触したワイヤ束141は、バリ21を押しのけて除去する。つまり、回転式刃物台13が一回転する間に、工作物2への切削、および当該切削により生じるバリ21の除去が行われる。この後、送り台102は、主軸11側に移動して、同様に、工作物2の切削およびバリ21の除去を繰り返して、工作物2の切削範囲を工作物2の軸芯方向に沿って広げていく。したがって、工作物2の切削が完了するとほぼ同時にバリ21の除去も完了する。結果、作業者によるバリ21の除去作業を省略することができ、この作業時間程度、作業者の拘束される時間を短縮することができる。
【0032】
ワイヤ束141は、工作物2からバリ21を除去することによって、工作物2との間の摩擦により擦り減って、図4に示すように短くなる。ワイヤ束141が短くなることで、弾性変形を伴いながら工作物2に接触することができなくなる。このため、バリ21を押しのけて除去することができなくなる。ここで、前述のように、ブラシ体14の回転式刃物台13からの突出量は調節できるため、ワイヤ束141の長さがバリ21の接触が不十分となる前に、回転式刃物台13からのブラシ体14の突出量が大きくなるように調節することができる。ワイヤ束141の突出量は、前述のようにアダプタ15に挿入する軸143の深さ方向の位置を変える方が、溝13Aにおける、アダプタ15が挿入される位置を変更する場合よりも、移動させる部品点数が少ないため、容易に調節することができる。このようにワイヤ束141の突出量が調節できる結果、ワイヤ束141が短くなっても、ワイヤ束141は、バリ21に対して、バリ21を押しのけるのに十分な接触を行うことができる。さらに、このようなブラシ体14の突出量の調節は、ワイヤ束141を構成するワイヤの長さが、工作物2に覆いかぶさるように弾性変形できなくなる程度に短くなるまで行うことができる。結果として、ワイヤ束141が工作物2に覆いかぶさるような弾性変形ができなくなる程度までブラシ体14を使用することができ、ブラシ体14の交換頻度を抑えることができる。
【0033】
以上にて説明した本発明のポリゴン加工装置1によれば、作業者によるバリ21の除去作業を省略でき、切削後の工作物2のバリ21を除去するのに作業者が拘束される時間が短縮される。結果、作業者は、増加した時間を利用して、複数台のポリゴン加工装置1に同時並行でそれぞれ工作物2を切削させることができる。これにより、作業者が研削盤などでバリ21を除去していた場合と比較して、単位時間当たりに一人の作業者が切削させることのできる工作物2の数が大きく増加する。
【符号の説明】
【0034】
1 :ポリゴン加工装置
2 :工作物
10 :駆動源
11 :主軸
12 :バイト
13 :回転式刃物台
14 :ブラシ体
15 :アダプタ
21 :バリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8