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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】仮設足場用朝顔装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/00 20060101AFI20231110BHJP
   E04G 21/32 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
E04G5/00 301C
E04G21/32 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023087456
(22)【出願日】2023-05-29
【審査請求日】2023-05-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592178303
【氏名又は名称】東阪工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100228175
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充紀
(72)【発明者】
【氏名】松本 孝則
(72)【発明者】
【氏名】松下 正文
(72)【発明者】
【氏名】内藤 賢
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特許第6397981(JP,B1)
【文献】特開平11-343742(JP,A)
【文献】実開平02-125151(JP,U)
【文献】特開2018-168688(JP,A)
【文献】特開2021-155929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/00
E04G 21/32
E04G 7/22
E04G 7/32
E04G 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の直線部分を有するとともに隣り合う直線部分どうしが一定の角度をなして連なっており、各直線部分の張り出し側端部に、複数の支柱が当該直線部分の長手方向に間隔をおいて立設されて支柱列を構成しており、互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分の前記支柱列が1つのコーナー支柱を共有している仮設足場において、前記支柱を利用して着脱自在に取り付けられる仮設足場用朝顔装置であって、
仮設足場の直線部分に配置される直線朝顔ユニットおよび仮設足場の隣り合う直線部分間のコーナー部分に配置されるコーナー朝顔ユニットを備えており、直線朝顔ユニットが、仮設足場の直線部分の前記支柱列の各支柱に取り付けられた複数の板支持部材と、隣り合う板支持部材間に設けられた面材とを備えており、直線朝顔ユニットの板支持部材が、仮設足場から張り出した棒状の主材および主材を下方から支える棒状の副材からなり、主材が、一端部において、仮設足場の各支柱に配置された連結保持部材を介して水平軸線の周りに回転自在となるように取り付けられており、同じく副材が、一端部において、主材の一端部が取り付けられた連結保持部材に水平軸線の周りに回転自在となるように取り付けられるとともに、他端部が主材の他端部寄りの部分に水平軸線の周りに回転自在となるように連結されており、主材および副材の連結保持部材に対する回転中心となる2つの水平軸線と、副材の主材に対する回転中心となる水平軸線とが平行になっている仮設足場用朝顔装置において、
連結保持部材が、板支持部材の主材の一端部が取り付けられる主材取付部および主材取付部よりも下方の部分に設けられて板支持部材の副材の一端部が取り付けられる副材取付部を有するベースと、ベースの上部に設けられて支柱に設けられたソケット金具の挿入穴に上方から挿入されるインサート部と、ソケット金具に対するインサート部の上下方向の位置決めを行う位置決め部と、インサート部および位置決め部よりも上方においてベースに設けられて支柱を把持する上クランプ部材と、インサート部および位置決め部よりも下方においてベースに設けられて支柱を把持する下クランプ部材とを備えており、
連結保持部材のベースが、鉛直状の角筒部材と、角筒部材の上部において支柱側を向いた面の幅方向の中央部に固定されて支柱側に向かって突出した鉛直板状の上ブラケット部材と、上ブラケット部材の下方において角筒部材の支柱側を向いた面の幅方向の中央部に固定されて支柱側に突出した鉛直板状の下ブラケット部材とを備えており、角筒部材に副材取付部が設けられ、上ブラケット部材に主材取付部、インサート部および位置決め部が設けられるとともに上クランプ部材が取り付けられ、下ブラケット部材に下クランプ部材が取り付けられている、仮設足場用朝顔装置。
【請求項2】
連結保持部材のベースの上ブラケット部材に設けられた主材取付部が、長手方向を板支持部材の並び方向に向けるとともに幅方向を上下方向に向けた長方形状のウェブ部およびウェブ部の長手方向両端に一体に設けられて支柱とは反対側に突出した1対のフランジ部からなる平面視コ字形の本体部と、本体部のウェブ部の支柱側とは反対側を向いた面に固定された位置決め部材とを備えており、連結保持部材のベースの副材取付部が、角筒部材の両側壁に形成された案内溝および複数の係止溝からなり、案内溝が上下方向に延びており、係止溝が、上下方向に間隔をおいた複数の高さ位置において案内溝から連結保持部材が取り付けられている支柱から板支持部材の張り出し方向に向かって斜め下方に延びており、案内溝と全ての係止溝のなす角度が異なっており、副材の一端部に、副材の長手方向と直角をなして支柱列の支柱の並び方向に延びるように設けられた係合ピンが、案内溝およびおよび係止溝に移動自在に通されている、請求項1記載の仮設足場用朝顔装置。
【請求項3】
仮設足場の互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分のうちの一方の直線部分に配置される直線朝顔ユニットの全板支持部材の主材および副材を支柱に取り付ける連結保持部材が同一の構成であり、同他方の直線部分に配置される直線朝顔ユニットの全板支持部材の主材および副材を支柱に取り付ける連結保持部材が同一の構成である、請求項1記載の仮設足場用朝顔装置。
【請求項4】
仮設足場の互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分のうちの一方の直線部分に配置される直線朝顔ユニットの板支持部材の主材および副材を支柱に取り付ける連結保持部材を第1連結保持部材、仮設足場の互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分のうちの他方の直線部分に配置される直線朝顔ユニットの板支持部材の主材および副材を支柱に取り付ける連結保持部材を第2連結保持部材とした場合、第1連結保持部材のインサート部が挿入される支柱のソケット金具と、第2連結保持部材のインサート部が挿入される支柱のソケット金具とが同一高さ位置にあり、第1連結保持部材に対する主材の回転中心となる水平軸線と、第2連結保持部材に対する主材の回転中心となる水平軸線とが同一高さ位置にあり、第1連結保持部材の上クランプ部材と第2連結保持部材の上クランプ部材、および第1連結保持部材の下クランプ部材と第2連結保持部材の下クランプ部材とが、それぞれ異なる高さ位置にある、請求項3記載の仮設足場用朝顔装置。
【請求項5】
仮設足場の互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分のうちの一方の直線部分に配置される直線朝顔ユニットの板支持部材の主材および副材を支柱に取り付ける連結保持部材を第1連結保持部材、仮設足場の互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分のうちの他方の直線部分に配置される直線朝顔ユニットの板支持部材の主材および副材を支柱に取り付ける連結保持部材を第2連結保持部材とした場合、第1連結保持部材のインサート部が挿入される支柱のソケット金具と、第2連結保持部材のインサート部が挿入される支柱のソケット金具とが異なる高さ位置にあり、第1連結保持部材と第2連結保持部材の構成が同一である、請求項3記載の仮設足場用朝顔装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は仮設足場用朝顔装置に関し、さらに詳しくは、複数の直線部分を有するとともに隣り合う直線部分どうしが一定の角度をなして連なっており、各直線部分の張り出し側端部に、複数の支柱が当該直線部分の長手方向に間隔をおいて立設されて支柱列を構成しており、互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分の前記支柱列が1つのコーナー支柱を共有している仮設足場に、前記支柱を利用して張り出し状に設置して、仮設足場からの資材や工具等の落下による事故を防止するために用いられる仮設足場用朝顔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の仮設足場用朝顔装置として、たとえば、下記の特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1記載の仮設足場用朝顔装置は、仮設足場の直線部分に配置される直線朝顔ユニットおよび仮設足場の隣り合う直線部分間のコーナー部分に配置されるコーナー朝顔ユニットを備えており、直線朝顔ユニットが、仮設足場の直線部分の前記支柱列の各支柱に取り付けられた複数の板支持部材と、隣り合う板支持部材間に設けられた面材とを備えており、直線朝顔ユニットの板支持部材が、仮設足場から張り出す方向に向かって上方に傾斜した棒状の主材および主材を傾斜状態で保持する棒状の副材からなり、板支持部材の主材が、一端部において、仮設足場の各支柱に配置された連結保持部材を介して水平軸線の周りに回転自在となるように取り付けられるとともに、他端部に向かって上方に傾斜しており、同じく副材が、一端部において、主材の一端部が取り付けられた前記連結保持部材に水平軸線の周りに回転自在となるように取り付けられるとともに、他端部が主材の他端部寄りの部分に水平軸線の周りに回転自在となるように連結されており、主材および副材が連結保持部材に対して回転自在となる2つの水平軸線と、副材が主材に対して回転自在となる水平軸線が平行になっており、連結保持部材が、板支持部材の主材の一端部が取り付けられる主材取付部および主材取付部よりも下方の部分に設けられて副材の一端部が取り付けられる副材取付部を有するベースと、ベースの上端部に設けられて支柱を把持するクランプ部材と、ベースの上下方向の中間部に設けられて支柱に設けられたソケット金具の挿入穴に上方から挿入されるインサート部を備えており、ベースが、主材取付部、副材取付部およびインサート部が形成された1枚の板状体からなる、仮設足場用朝顔装置である。
【0003】
上述した仮設足場用朝顔装置の組立にあたって、連結保持部材は、インサート部を支柱のソケット金具の挿入穴に上方に挿入した後、クランプ部材で支柱を把持することによって支柱に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6397981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の仮設足場用朝顔装置によれば、インサート部がベースの上下方向の中間部に設けられるとともに、クランプ部材がベースの上端部に設けられているので、インサート部を支柱のソケット金具の挿入穴に挿入した状態では、連結保持部材の姿勢は不安定であり、連結保持部材を正しい姿勢に保持した状態でクランプ部材により支柱を把持する作業、ひいては連結保持部材の支柱への取付作業が面倒になるという問題がある。
【0006】
この発明の目的は、上記問題を解決し、連結保持部材の支柱への取り付け作業が容易になる仮設足場用朝顔装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0008】
1)複数の直線部分を有するとともに隣り合う直線部分どうしが一定の角度をなして連なっており、各直線部分の張り出し側端部に、複数の支柱が当該直線部分の長手方向に間隔をおいて立設されて支柱列を構成しており、互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分の前記支柱列が1つのコーナー支柱を共有している仮設足場において、前記支柱を利用して着脱自在に取り付けられる仮設足場用朝顔装置であって、
仮設足場の直線部分に配置される直線朝顔ユニットおよび仮設足場の隣り合う直線部分間のコーナー部分に配置されるコーナー朝顔ユニットを備えており、直線朝顔ユニットが、仮設足場の直線部分の前記支柱列の各支柱に取り付けられた複数の板支持部材と、隣り合う板支持部材間に設けられた面材とを備えており、直線朝顔ユニットの板支持部材が、仮設足場から張り出した棒状の主材および主材を下方から支える棒状の副材からなり、主材が、一端部において、仮設足場の各支柱に配置された連結保持部材を介して水平軸線の周りに回転自在となるように取り付けられており、同じく副材が、一端部において、主材の一端部が取り付けられた連結保持部材に水平軸線の周りに回転自在となるように取り付けられるとともに、他端部が主材の他端部寄りの部分に水平軸線の周りに回転自在となるように連結されており、主材および副材の連結保持部材に対する回転中心となる2つの水平軸線と、副材の主材に対する回転中心となる水平軸線とが平行になっている仮設足場用朝顔装置において、
連結保持部材が、板支持部材の主材の一端部が取り付けられる主材取付部および主材取付部よりも下方の部分に設けられて板支持部材の副材の一端部が取り付けられる副材取付部を有するベースと、ベースの上部に設けられて支柱に設けられたソケット金具の挿入穴に上方から挿入されるインサート部と、ソケット金具に対するインサート部の上下方向の位置決めを行う位置決め部と、インサート部および位置決め部よりも上方においてベースに設けられて支柱を把持する上クランプ部材と、インサート部および位置決め部よりも下方においてベースに設けられて支柱を把持する下クランプ部材とを備えており、
連結保持部材のベースが、鉛直状の角筒部材と、角筒部材の上部において支柱側を向いた面の幅方向の中央部に固定されて支柱側に向かって突出した鉛直板状の上ブラケット部材と、上ブラケット部材の下方において角筒部材の支柱側を向いた面の幅方向の中央部に固定されて支柱側に突出した鉛直板状の下ブラケット部材とを備えており、角筒部材に副材取付部が設けられ、上ブラケット部材に主材取付部、インサート部および位置決め部が設けられるとともに上クランプ部材が取り付けられ、下ブラケット部材に下クランプ部材が取り付けられている、仮設足場用朝顔装置。
【0009】
2)連結保持部材のベースの上ブラケット部材に設けられた主材取付部が、長手方向を板支持部材の並び方向に向けるとともに幅方向を上下方向に向けた長方形状のウェブ部およびウェブ部の長手方向両端に一体に設けられて支柱とは反対側に突出した1対のフランジ部からなる平面視コ字形の本体部と、本体部のウェブ部の支柱側とは反対側を向いた面に固定された位置決め部材とを備えており、連結保持部材のベースの副材取付部が、角筒部材の両側壁に形成された案内溝および複数の係止溝からなり、案内溝が上下方向に延びており、係止溝が、上下方向に間隔をおいた複数の高さ位置において案内溝から連結保持部材が取り付けられている支柱から板支持部材の張り出し方向に向かって斜め下方に延びており、案内溝と全ての係止溝のなす角度が異なっており、副材の一端部に、副材の長手方向と直角をなして支柱列の支柱の並び方向に延びるように設けられた係合ピンが、案内溝およびおよび係止溝に移動自在に通されている、上記1)記載の仮設足場用朝顔装置。
【0010】
3)仮設足場の互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分のうちの一方の直線部分に配置される直線朝顔ユニットの全板支持部材の主材および副材を支柱に取り付ける連結保持部材が同一の構成であり、同他方の直線部分に配置される直線朝顔ユニットの全板支持部材の主材および副材を支柱に取り付ける連結保持部材が同一の構成である、上記1)記載の仮設足場用朝顔装置。
【0011】
4)仮設足場の互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分のうちの一方の直線部分に配置される直線朝顔ユニットの板支持部材の主材および副材を支柱に取り付ける連結保持部材を第1連結保持部材、仮設足場の互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分のうちの他方の直線部分に配置される直線朝顔ユニットの板支持部材の主材および副材を支柱に取り付ける連結保持部材を第2連結保持部材とした場合、第1連結保持部材のインサート部が挿入される支柱のソケット金具と、第2連結保持部材のインサート部が挿入される支柱のソケット金具とが同一高さ位置にあり、第1連結保持部材に対する主材の回転中心となる水平軸線と、第2連結保持部材に対する主材の回転中心となる水平軸線とが同一高さ位置にあり、第1連結保持部材の上クランプ部材と第2連結保持部材の上クランプ部材、および第1連結保持部材の下クランプ部材と第2連結保持部材の下クランプ部材とが、それぞれ異なる高さ位置にある、上記3)記載の仮設足場用朝顔装置。
【0012】
5)仮設足場の互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分のうちの一方の直線部分に配置される直線朝顔ユニットの板支持部材の主材および副材を支柱に取り付ける連結保持部材を第1連結保持部材、仮設足場の互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分のうちの他方の直線部分に配置される直線朝顔ユニットの板支持部材の主材および副材を支柱に取り付ける連結保持部材を第2連結保持部材とした場合、第1連結保持部材のインサート部が挿入される支柱のソケット金具と、第2連結保持部材のインサート部が挿入される支柱のソケット金具とが異なる高さ位置にあり、第1連結保持部材と第2連結保持部材の構成が同一である、上記3)記載の仮設足場用朝顔装置。
【発明の効果】
【0013】
上記1)~5)の仮設足場用朝顔装置は、組立時には、連結保持部材のインサート部が支柱のソケット金具の挿入穴に上方から挿入されるとともに位置決め部によりインサート金具の上下方向の位置決めがされた後、両クランプ部材で支柱を把持することによって、連結保持部材が支柱に取り付けられる。そして、連結保持部材が、板支持部材の主材の一端部が取り付けられる主材取付部および主材取付部よりも下方の部分に設けられて板支持部材の副材の一端部が取り付けられる副材取付部を有するベースと、ベースの上部に設けられて支柱に設けられたソケット金具の挿入穴に上方から挿入されるインサート部と、ソケット金具に対するインサート部の上下方向の位置決めを行う位置決め部と、インサート部および位置決め部よりも上方においてベースに設けられて支柱を把持する上クランプ部材と、インサート部および位置決め部よりも下方においてベースに設けられて支柱を把持する下クランプ部材とを備えているので、インサート部を支柱のソケット金具の挿入穴に差し込んで位置決め部によりソケット金具に対して位置決めした状態では、連結保持部材は自重により鉛直状態の正しい姿勢に保持され、この状態で、2つのクランプ部材により支柱を把持することができる。したがって、結保持部材を正しい姿勢に保持した状態でクランプ部材により支柱を把持する作業、ひいては連結保持部材の支柱への取付作業が簡単になる。
【0014】
上記2)の仮設足場用朝顔装置によれば、連結保持部材のベースの上ブラケット部材に設けられた主材取付部の両フランジ部および位置決め部との間に主材を配置し、たとえば主材をゆるく貫通した軸を両フランジ部および位置決め部に固定することによって、2つの主材を1つの連結保持部材に取り付けることができる。しかも、ベースの角筒部材の両側壁の副材取付部を利用して、2つの副材を1つの連結保持部材に取り付けることができる。また、上記2)の仮設足場用朝顔装置によれば、上記特許文献1記載の朝顔装置と同様に、面材が張られた複数の縦枠部材を上下方向に揺動させて開閉や角度調整を行うことができる。
【0015】
上記3)の仮設足場用朝顔装置によれば、隣り合う2つの直線部分のうちの一方の直線部分に配置された直線朝顔ユニットの全板支持部材の主材および副材の一端部の連結保持部材への取付位置を同一高さにすることができるとともに、同他方の直線部分に配置された直線朝顔ユニットの全板支持部材の主材および副材の一端部の連結保持部材への取付位置を同一高さにすることができる。
【0016】
上記4)の仮設足場用朝顔装置によれば、第1連結保持部材のインサート部が挿入される支柱のソケット金具と、第2連結保持部材のインサート部が挿入される支柱のソケット金具が同一高さ位置にある場合でも、仮設足場の2つの直線部分の支柱列が共有する1つのコーナー支柱に、第1連結保持部材および第2連結保持部材の上クランプ部材と下クランプ部材を、互いに干渉することなく取り付けるとができる。しかも、第1連結保持部材への主材および副材の取付位置と、第2連結保持部材への主材および副材の取付位置とを同一高さ位置にすることができる。
【0017】
上記5)の仮設足場用朝顔装置によれば、連結保持部材の種類が1種類のみのため、部品管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】この発明の仮設足場用朝顔装置の実施形態の一部分を示す一部を省略した斜視図である。
図2図1の一部分を拡大して示す一部を省略した斜視図である。
図3図1の仮設足場用朝顔装置の第1連結保持部材の支柱への取付状態と第1連結保持部材への主材および副材の取付状態を示す側面図である。
図4図1の仮設足場用朝顔装置の第1連結保持部材を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図5図1の仮設足場用朝顔装置の第2連結保持部材の支柱への取付状態と第2連結保持部材への主材および副材の取付状態を示す側面図である。
図6図1の仮設足場用朝顔装置の第2連結保持部材を示し、(a)は側面図、(b)は平面図である。
図7】仮設足場の支柱の変形例を示す図1相当の図である。
図8図7の一部分を拡大して示す一部を省略した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
全図面を通じて同一物および同一部分には同一符号を付す。
【0021】
図1はこの発明による仮設足場用朝顔装置を示し、図2図1の要部の構成を示す。また、図3図1の仮設足場用朝顔装置の第1連結保持部材の支柱への取付状態と第1連結保持部材への主材および副材の取付状態を示し、図4は第1連結保持部材を示す。さらに、図5図1の仮設足場用朝顔装置の第2連結保持部材の支柱への取付状態と第2連結保持部材への主材および副材の取付状態を示し、図6は第2連結保持部材を示す。
【0022】
図1および図2において、仮設足場用朝顔装置(1)は、仮設足場(S)に張り出し状に着脱自在に設置されるものである。仮設足場(S)は、複数の直線部分(S1)を有するとともに隣り合う直線部分(S1)どうしが一定の角度、この実施形態では直角をなして連なったものであり、直線部分(S1)の建物側端部および張り出し側端部に、それぞれ複数の支柱(S2)が直線部分(S1)の長手方向に間隔をおいて立設されて建物側支柱列(図示略)および張り出し側支柱列(S3)が構成され、2つの直線部分(S1)の張り出し側支柱列(S3)が1つのコーナー支柱(S21)を共有している。
【0023】
図示は省略したが、仮設足場(S)の建物側支柱列と張り出し側支柱列(S3)との間には、複数の踏板が長手方向を両支柱列(S3)の支柱(S2)(S21)の並び方向に向けて配置されており、踏板の長手方向両端部に設けられたフックが、建物側支柱列の支柱(S2)と張り出し側支柱列(S3)の支柱(S2)(S21)との間に渡し止められた横桟に係合させられている。
【0024】
仮設足場(S)の互いに直角をなす2つの直線部分(S1)の張り出し側支柱列(S3)の各支柱(S2)および2つの直線部分(S1)の張り出し側支柱列(S3)が共有している1つのコーナー支柱(S21)には、それぞれ円周方向に等間隔をおいて配置された4つのソケット金具(S4)からなるソケット金具群(S5)が上下方向に間隔をおいて設けられている。上述した全支柱(S2)およびコーナ支柱(S21)の各ソケット金具群(S5)は同一高さ位置にあるとともに各ソケット金具群(S5)の4つのソケット金具(S4)は同一高さ位置にある。各ソケット金具(S4)には上方に開口した挿入穴が形成されている。
【0025】
仮設足場用朝顔装置(1)は、張り出し側支柱列(S3)の支柱(S2)(S21)を利用して、仮設足場(S)に着脱自在に張り出し状に設置されている。仮設足場用朝顔装置(1)は、仮設足場(S)の直線部分(S1)に配置される直線朝顔ユニット(2)および仮設足場(S)の隣り合う直線部分(S1)間のコーナー部分に配置されるコーナー朝顔ユニット(3)を備えている。
【0026】
直線朝顔ユニット(2)は、仮設足場(S)の直線部分(S1)の張り出し側支柱列(S3)の各支柱(S2)(S21)に取り付けられた複数の板支持部材(4A)(4B)と、隣り合う板支持部材(4A)(4B)間に張設された面材(5)とを備えている。板支持部材(4A)(4B)は、仮設足場(S)から張り出す方向に向かって上方に傾斜した棒状の主材(6)および主材(6)を傾斜状態で下方から支える棒状の副材(7)とからなる。主材(6)は、一端部において、仮設足場(S)の各支柱(S2)(S21)に配置された連結保持部材(8A)(8B)を介して水平軸線の周りに回転自在となるように取り付けられるとともに、他端部に向かって上方に傾斜しており、同じく副材(7)は、一端部において、主材(6)の一端部が取り付けられた連結保持部材(8A)(8B)に水平軸線の周りに回転自在となるように取り付けられるとともに、他端部が主材(6)の他端部寄りの部分に水平軸線の周りに回転自在となるように連結されている。主材(6)の連結保持部材(8A)(8B)に対する回転中心となる水平軸線と、副材(7)の連結保持部材(8A)(8B)に対する回転中心となる水平軸線と、副材(7)の主材(6)に対する回転中心となる水平軸線とは平行になっている。
【0027】
面材(5)は、直線朝顔ユニット(2)の支柱(S2)(S21)の並び方向に隣り合う板支持部材(4A)(4B)の主材(6)に着脱自在に取り付けられたメッシュシートよりなる。すなわち、支柱(S2)(S21)の並び方向に隣り合う板支持部材の主材(6)の一端部間および他端部間には横材(9)が配置されて主材(6)に固定されており、隣り合う板支持部材(4A)(4B)の主材(6)および他端部側の横材(9)の上面にはL形ピン(10)が設けられているとともに一端部側の横材(9)には折れピン(11)が設けられ、L形ピン(10)および折れピン(11)が面材(5)に形成されたハトメ(図示略)に通されることによって、面材(5)が支柱(S2)(S21)の並び方向に隣り合う板支持部材(4A)(4B)間に張設されている。
【0028】
図2図6を参照すると、連結保持部材(8A)(8B)は、板支持部材(4A)(4B)の主材(6)の一端部が取り付けられる主材取付部(12)および主材取付部(12)よりも下方の部分に設けられて板支持部材(4A)(4B)の副材(7)の一端部が取り付けられる副材取付部(13)を有するベース(14A)(14B)と、ベース(14A)(14B)の上部に設けられかつ支柱(S2)(S21)に設けられたソケット金具(S4)の挿入穴(S41)に上方から挿入されるインサート部(15)と、ソケット金具(S4)に対するインサート部(15)の上下方向の位置決めを行う位置決め部(16)と、インサート部(15)および位置決め部(16)よりも上方においてベース(14A)(14B)に設けられて支柱(S2)(S21)を把持する上クランプ部材(17)と、インサート部(15)および位置決め部(16)よりも下方においてベース(14A)(14B)に設けられて支柱(S2)(S21)を把持する下クランプ部材(18)とを備えている。
【0029】
ここで、仮設足場(S)の互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分(S1)のうちの一方の直線部分(S1)に配置される直線朝顔ユニット(2)の板支持部材(4A)を第1板支持部材(4A)、第1板支持部材(4A)の主材(6)および副材(7)を支柱(S2)(S21)に取り付ける連結保持部材(8A)を第1連結保持部材(8A)、仮設足場(S)の互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分(S1)のうちの他方の直線部分(S1)に配置される直線朝顔ユニット(2)の板支持部材(4B)を第2板支持部材(4B)、第2板支持部材(4B)の主材(6)および副材(7)を支柱(S2)(S21)に取り付ける連結保持部材(8B)を第2連結保持部材(8B)と称するものとする。
【0030】
第1連結保持部材(8A)に対する主材(6)の回転中心となる水平軸線と、第2連結保持部材(8B)に対する主材(6)の回転中心となる水平軸線とが同一高さ位置にあるとともに、第1連結保持部材(8A)に対する副材(7)の回転中心となる水平軸線と、第2連結保持部材(8B)に対する副材(7)の回転中心となる水平軸線とが同一高さ位置にある。また、両板支持部材(4A)(4B)において、主材(6)に対する副材(7)の回転中心となる水平軸線は、上述した第1連結保持部材(8A)に対する主材(6)および副材(7)の回転中心となる水平軸線、ならびに第2連結保持部材(8B)に対する第2主材(6)および副材(7)の回転中心となる水平軸線と平行になっている。さらに、第1連結保持部材(8A)の上クランプ部材(17)と第2連結保持部材(8B)の上クランプ部材(17)、および第1連結保持部材(8A)の下クランプ部材(18)と第2連結保持部材(8B)の下クランプ部材(18)とが、それぞれ同一構成であるとともに異なる高さ位置にある。
【0031】
図3および図4を参照すると、第1連結保持部材(8A)のベース(14A)は、鉛直状の角筒部材(141)と、角筒部材(141)の支柱(S2)(S21)側を向いた面における幅方向の中央部に固定されて支柱側(S2)(S21)に向かって斜め上方に突出した鉛直板状の上ブラケット部材(142A)と、角筒部材(141)の支柱(S2)(S21)側を向いた面の幅方向の中央部に固定されて支柱(S2)(S21)側に突出した鉛直板状の下ブラケット部材(143A)とを備えている。上ブラケット部材(142A)の支柱(S2)(S21)側部分には上方突出部(144A)が一体に設けられており、上ブラケット部材(142A)および上方突出部(144A)の支柱(S2)(S21)側縁部は同一直線状に位置する鉛直縁部となっている。上ブラケット部材(142A)の上方突出部(144A)における支柱(S2)(S21)とは反対側の縁部に主材取付部(12)が設けられている。また、上ブラケット部材(142A)の支柱(S2)(S21)側部分には支柱(S2)(S21)側に向かって斜め下方に突出した下方突出部(145A)が一体に設けられている。
【0032】
ベース(14A)の主材取付部(12)は、長手方向を第1板支持部材(4A)の並び方向に向けるとともに幅方向を上下方向に向けた長方形状のウェブ部(121)およびウェブ部(121)の長手方向両端に一体に設けられて支柱(S2)(S21)とは反対側に突出した1対のフランジ部(122)からなる平面視コ字形の本体部(123)と、本体部(123)の両フランジ部(122)間に配置されてウェブ部(121)の上端部に固定されたストッパ部(124)と、本体部(123)のウェブ部(121)の支柱(S2)(S21)側とは反対側を向いた面におけるストッパ部(124)よりも下側に固定された平面視コ字形の位置決め部材(125)とにより構成されている。本体部(123)の両フランジ部(122)および位置決め部材(125)には、それぞれ主材(6)の第1連結保持部材(8A)に対する回転中心である水平軸線上に位置する貫通穴(126)が形成されている。
【0033】
ベース(14A)の副材取付部(13)は、角筒部材(141)における隣り合う第1連結保持部材(8A)側を向いた側壁に形成された上下方向に延びる貫通状の案内溝(131)と、上下方向に間隔をおいた複数の高さ位置において、案内溝(131)から副材(7)の張り出し方向に向かって斜め下方に延びる貫通状の係止溝(132)とを備えている。案内溝(131)の上端部は、上端の係止溝(132)よりも上方に形成された円形貫通穴(133)に通じている。円形貫通穴(133)の内径は案内溝(131)および係止溝(132)の幅よりも大きくなっている。係止溝(132)の案内溝(131)の幅方向中心線に対する傾斜角度は、下端の係止溝(132)から上の係止溝(132)に向かって順に小さくなっている。なお、この実施形態においては、副材取付部(13)は、角筒部材(141)における第1板支持部材(4A)の並び方向の両側壁に設けられている。
【0034】
第1連結保持部材(8A)のインサート部(15)は、上ブラケット部材(142A)の下方突出部(145A)の下端縁における支柱(S2)(S21)側の半部に下方突出状に設けられている。第1連結保持部材(8A)の位置決め部(16)は、上ブラケット部材(142A)の下方突出部(145A)の下端縁におけるインサート部(15)よりも角筒部材(141)側に水平状に設けられている。インサート部(15)がソケット金具(S4)の挿入穴に挿入された際には、水平状の位置決め部(16)がソケット金具(S4)の挿入穴の上端開口の周縁部に係合し、インサート部(15)がソケット金具(S4)に対して上下方向に位置決めされる。
【0035】
第1連結保持部材(8A)の上クランプ部材(17)は、上ブラケット部材(142A)の支柱(S2)(S21)側の鉛直縁部の上部に取り付けられている。同じく下クランプ部材(18)は、下ブラケット部材(143A)の支柱(S2)(S21)側の鉛直縁部に取り付けられている。第1連結保持部材(8A)は、上下両クランプ材(17)(18)により支柱(S2)(S21)を把持することによって支柱(S2)(S21)に取り付けられている。
【0036】
コーナ支柱(S21)に取り付けられた第1板支持部材(4A)を除いた第1板支持部材(4A)にはそれぞれ2つの主材(6)が取り付けられ、コーナ支柱(S21)に取り付けられた第1板支持部材(4A)には1つの主材(6)が取り付けられている。
【0037】
図3を参照すると、第1板支持部材(4A)の主材(6)は、角筒状の主材本体(61)と、主材本体(61)の支柱(S2)側端部に嵌め被せられた角筒状の端部部材(62)とを備えている。主材(6)の端部部材(62)は、第1連結保持部材(8A)の主材取付部(12)の本体部(123)のフランジ部(122)と位置決め部材(127)との間に配置されてフランジ部(122)に沿わされており、本体部(123)の両フランジ部(122)に固定された軸(128)が主材(6)の端部部材(62)をゆるく貫通することによって、主材(6)が水平軸線の回りに回転自在となるように主材取付部(12)に取り付けられている。主材(6)の下方(図3時計方向)への回動は、主材(6)の支柱(S2)(S21)側端部がストッパ部(124)に当たることによって規制されている。すなわち、コーナ支柱(S21)に取り付けられた第1板支持部材(4A)を除いた第1板支持部材(4A)においては、主材(6)の端部部材(62)は、第1連結保持部材(8A)の主材取付部(12)の本体部(123)の両フランジ部(122)と位置決め部材(127)との間にそれぞれ配置されて主材取付部(12)に取り付けられ、コーナ支柱(S21)に取り付けられた第1板支持部材(4A)においては、主材(6)の端部部材(62)は、第1連結保持部材(8A)の主材取付部(12)の本体部(123)の一方(隣り合う第1連結保持部材(8A)側)のフランジ部(122)と位置決め部材(127)との間に配置されて主材取付部(12)に取り付けられている。
【0038】
コーナ支柱(S21)に取り付けられた第1板支持部材(4A)を除いた第1板支持部材(4A)にはそれぞれ2つの副材(7)が取り付けられ、コーナ支柱(S21)に取り付けられた第1板支持部材(4A)には1つの副材(7)が取り付けられている。
【0039】
第1板支持部材(4A)の副材(7)は角筒状であって、支柱(S2)(S21)側端部に、副材取付部(13)の支柱(S2)(S21)の並び方向に突出するように設けられた係合ピン(134)を利用して副材取付部(13)に取り付けられている。係合ピン(134)は、副材取付部(13)の案内溝(131)および係合溝(132)の幅よりも小さい直径を有する軸部(135)、および軸部(135)の先端に設けられるとともに案内溝(131)および係合溝(132)の幅よりも大きくかつ円形貫通穴(133)の内径よりも小さい直径を有する頭部(136)からなり、係合ピン(134)は、頭部(136)が円形貫通穴(133)に通された状態で軸部(135)が案内溝(131)に移動させられることによって副材取付部(13)に取り付けられている。すなわち、コーナ支柱(S21)に取り付けられた第1板支持部材(4A)を除いた第1板支持部材(4A)においては、副材(7)は角筒部材(141)の両側壁の副材取付部(13)に取り付けられ、コーナ支柱(S21)に取り付けられた第1板支持部材(4A)においては、副材(7)は、角筒部材(141)の一方(隣り合う第1連結保持部材(8A)側)の側壁の副材取付部(13)に取り付けられている。また、副材(7)の先端部は、主材(6)の長手方向中央よりも先端側に設けられたブラケット部(図示略)に水平軸線の回りに回転自在に取り付けられている。そして、係合ピン(134)の軸部(135)をいずれかの係止溝(132)内の最奥部に移動させることによって、主材(6)および副材(7)が一定の角度に傾斜した状態で保持されるようになっている。
【0040】
図5および図6を参照すると、第2連結保持部材(8B)のベース(14B)は、第1連結保持部材(8A)のベース(14A)の角筒部材(141)と同一構成を有する鉛直状の角筒部材(141)と、角筒部材(141)の支柱(S2)(S21)側を向いた面における幅方向の中央部に固定されて支柱(S2)(S21)側に向かって斜め上方に突出した鉛直板状の上ブラケット部材(142B)と、角筒部材(141)の支柱(S2)(S21)側を向いた面の幅方向の中央部に固定されて支柱(S2)(S21)側に向かって斜め下方に突出した鉛直板状の下ブラケット部材(143B)とを備えている。上ブラケット部材(142B)の支柱(S2)(S21)側部分には上方突出部(144B)が一体に設けられており、上ブラケット部材(142B)および上方突出部(144B)の支柱(S2)(S21)側縁部は同一直線状に位置する鉛直縁部となっている。上ブラケット部材(142B)の上方突出部(144B)における支柱(S2)(S21)とは反対側の縁部に主材取付部(12)が設けられている。また、上ブラケット部材(142B)の支柱(S2)(S21)側部分には支柱(S2)(S21)側に向かって斜め下方に突出した下方突出部(145B)が一体に設けられている。
【0041】
第2連結保持部材(8B)のベース(14B)の主材取付部(12)および副材取付部(13)は、第1連結保持部材(8A)のベース(14A)の主材取付部(12)および副材取付部(13)と同様な構成であり、同一部分には同一符号を付す。
【0042】
第2連結保持部材(8B)のベース(14B)のインサート部(15)および位置決め部(16)は下方突出部(145B)に設けられ、第2連結保持部材(8B)の上クランプ部材(17)は上ブラケット部材(142B)の鉛直縁部の上部に取り付けられ、同じく下クランプ部材(18)は下ブラケット部材(143B)の支柱(S2)(S21)側の鉛直縁部に取り付けられている。第2連結保持部材(8B)は、上下両クランプ材(142B)(143B)により支柱(S2)(S21)を把持することによって支柱(S2)(S21)に取り付けられている。
【0043】
コーナ支柱(S2)(S21)に取り付けられた第2板支持部材(4B)および他の第2板支持部材(4B)の主材取付部(12)への主材(6)の取り付け、および副材取付部(13)への副材(7)の取り付けは、第1板支持部材(4A)の場合と同様に行われる。
【0044】
ここで、第1連結保持部材(8A)の主材取付部(12)に取り付けられた主材(6)の回転中心と位置決め部(16)との上下方向の距離は、第2連結保持部材(8B)の主材取付部(12)に取り付けられた主材(6)の回転中心と位置決め部(16)との上下方向の距離と等しくなっている。また、第1連結保持部材(8A)の上下両クランプ部材(17)(18)間の上下方向の距離は、第2連結保持部材(8B)の上下両クランプ部材(17)(18)間の上下方向の距離と等しくなっている。第2連結保持部材(8B)の上クランプ部材(17)と位置決め部(16)との上下方向の距離は、第1連結保持部材(8A)の上クランプ部材(17)と位置決め部(16)との上下方向の距離よりも短くなっている。さらに、第2連結保持部材(8B)の下クランプ部材(18)と位置決め部(16)との上下方向の距離は、第1連結保持部材(8A)の下クランプ部材(18)と位置決め部(16)との上下方向の距離よりも長くなっている。これにより、第1連結保持部材(8A)の上クランプ部材(17)と第2連結保持部材(8B)の上クランプ部材(17)、および第1連結保持部材(8A)の下クランプ部材(18)と第2連結保持部材(8B)の下クランプ部材(18)が、それぞれ異なる高さ位置にある。
【0045】
図1を参照すると、コーナー朝顔ユニット(3)は、コーナー支柱(S21)に取り付けられた第1板支持部材(4A)と、当該第1板支持部材(4A)に隣り合う第1板支持部材(4A)との間に設けられた面材(5)、およびコーナー支柱(S21)に取り付けられた第2板支持部材(4B)と、当該第2板支持部材(4B)に隣り合う第2板支持部材(4B)との間に設けられた面材(5)が、それぞれコーナー支柱(S21)に取り付けられた2つの板支持部材(4A)(4B)間のコーナー部分を覆うように延ばされて互いに重ね合わされた延長部(51)と、延長部(51)の下方に配置され、かつコーナー支柱(S21)に取り付けられた両板支持部材(4A)(4B)の主材(6)間の角度を2分するようにコーナー支柱(S21)から放射状に延びた支持部材(31)と、面材(5)の延長部(51)を上方から貫通して支持部材(31)にねじ嵌められたねじ(図示略)とを備えている。
【0046】
上述した仮設足場用朝顔装置(1)は、たとえば以下に述べる方法で仮設足場に設置される。
【0047】
まず、第1連結保持部材(8A)および第2連結保持部材(8B)のインサート部(15)を支柱(S2)(S21)のソケット金具(S4)の挿入穴に差し込み、位置決め部(16)によって両連結保持部材(8A)(8B)の高さ位置を決める。インサート部(15)が両連結保持部材(8A)(8B)の上部に設けられているので、インサート部(15)をソケット金具(S4)の挿入穴に差し込んだ状態では、両連結保持部材(8A)(8B)は自重により鉛直状の姿勢に保たれる。
【0048】
ついで、両板支持部材(4A)(4B)の副材(7)の他端部を水平軸線の周りに回転自在となるように主材(6)のブラケット部に取り付けておいた状態で、第1板支持部材(4A)の主材(6)を第1連結保持部材(8A)の主材取付部(12)に取り付けるとともに第1副材(7)を第1連結保持部材(8A)の副材取付部(13)に取り付け、さらに第2板支持部材(4B)の第2主材(6)を第2連結保持部材(8B)の主材取付部(12)に取り付けるとともに副材(7)を第2連結保持部材(8B)の副材取付部(13)に取り付ける。
【0049】
ついで、隣り合う2つの第1板支持部材(4A)および第2連結保持部材(4B)の主材(6)における基端部間および先端部間にそれぞれ横材(9)を取り付けた後、面材(5)を取り付けることによって直線朝顔ユニット(2)を形成する。また、コーナー側端部に位置する面材(5)の延長部(51)の下方に支持部材(31)を配置し、面材(5)の延長部(51)を上方から貫通したねじを支持部材(31)にねじ嵌めることによってコーナー部朝顔ユニット(3)を形成する。
【0050】
こうして、仮設足場用朝顔装置(1)が仮設足場(S)に設置される。
【0051】
図7および図8は仮設足場の支柱の変形例を示す。
【0052】
図7および図8を参照すると、仮設足場(S)の互いに直角をなす2つの直線部分(S1)の張り出し側支柱列(S3)の各支柱(S2)および2つの直線部分(S1)の張り出し側支柱列(S3)が共有している1つのコーナー支柱(S21)には、それぞれ円周方向に等間隔をおいて配置された4つのソケット金具(S4)からなるソケット金具群(S6)が上下方向に間隔をおいて設けられている。
【0053】
上述した全支柱(S2)およびコーナ支柱(S21)の各ソケット金具群(S6)は同一高さ位置にある。また、各ソケット金具群(S6)の4つのソケット金具(S4)のうちの支柱(S2)(S21)の1つの直径上に位置する2つのソケット金具(S4)は同一高さ位置にあり、同じく他の1つの直径上にある2つのソケット金具(S4)は、上記2つのソケット金具(S4)とは異なる同一高さ位置にある。各ソケット金具(S4)には上方に開口した挿入穴が形成されている。
【0054】
そして、仮設足場(S)の互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分(S1)に配置される2つの直線朝顔ユニット(2)の板支持部材(4A)(4B)の主材(6)および副材(7)は、たとえば上述した第1連結保持部材(8A)を介して支柱(S2)(S21)に取り付けられる。すなわち、一方の直線朝顔ユニット(2)の第1板支持部材(4A)の主材(6)および副材(7)を支柱(S2)(S21)に取り付ける第1連結保持部材(8A)のインサート部(15)が、支柱(S2)(S21)のソケット金具群(S6)の上方に位置するいずれか1つのソケット金具(S4)に挿入され、同じく他方の直線朝顔ユニット(2)の第1板支持部材(4B)の主材(6)および副材(7)を支柱(S2)(S21)に取り付ける第1連結保持部材(8A)のインサート部(15)が、支柱(S2)(S21)のソケット金具群(S6)の下方に位置するいずれか1つのソケット金具(S4)に挿入されている。
【0055】
なお、この変形例において、仮設足場(S)の互いに一定の角度をなして連なった2つの直線部分(S1)に配置される2つの直線朝顔ユニット(2)の板支持部材(4A)の主材(6)および副材(7)は、たとえば上述した第1連結保持部材(8A)に代えて、上述した第2連結保持部材(8B)を介して支柱(S2)(S21)に取り付けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
この発明による仮設足場用朝顔装置は、仮設足場に張り出し状に設置して、仮設足場からの資材や工具等の落下による事故を防止する朝顔装置として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0057】
(1):仮設足場用朝顔装置、(2):直線朝顔ユニット、(3):コーナー朝顔ユニット、(4A)(4B):板支持部材、(5):面材、(6):主材、(7):副材、(8A)(8B):連結保持部材、(12):主材取付部、(13):副材取付部、(131):案内溝、(132):係止溝、(14A)(14B):ベース、(141):角筒部材、(142A)(142B):上ブラケット部材、(143A)(143B):下ブラケット部材、(15):インサート部、(16):位置決め部、(17):上クランプ部材、(18):下クランプ部材、(S):仮設足場、(S1):直線部分、(S2):支柱、(S21):コーナー支柱、(S3):張り出し側支柱列、(S4):ソケット金具、(S5)(S6):ソケット金具群。
【要約】
【課題】板支持部材の主材および副材を支柱に取り付ける連結保持部材の支柱への取り付け作業が容易になる仮設足場用朝顔装置を提供する。
【解決手段】連結保持部材8Aが、主材6の一端部が取り付けられる主材取付部12および主材取付部12よりも下方の部分に設けられて副材7の一端部が取り付けられる副材取付部13を有するベース14Aと、ベース14Aの上部に設けられて支柱S21に設けられたソケット金具S4の挿入穴に上方から挿入されるインサート部15と、ソケット金具S4に対するインサート部15の上下方向の位置決めを行う位置決め部16とを備えている。ベース14のインサート部15および位置決め部16よりも上方部分に支柱S21を把持する上クランプ部材17が設けられ、ベース14のインサート部15および位置決め部16よりも下方部分に支柱S21を把持する下クランプ部材18が設けられている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8