(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】ストリーミング配信システム、配信サーバおよび撮影者端末
(51)【国際特許分類】
H04N 21/24 20110101AFI20231110BHJP
H04N 21/231 20110101ALI20231110BHJP
【FI】
H04N21/24
H04N21/231
(21)【出願番号】P 2023554385
(86)(22)【出願日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 JP2023021845
【審査請求日】2023-09-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522021468
【氏名又は名称】株式会社TOMODY
(74)【代理人】
【識別番号】100169591
【氏名又は名称】小島 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】冨森 健史
(72)【発明者】
【氏名】桂 ▲隆▼俊
【審査官】富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-050572(JP,A)
【文献】特開2010-045846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して互いに接続された撮影者端末と配信サーバとを含むストリーミング配信システムであって、
前記撮影者端末は、
撮像した動画から動画データを生成する動画撮像部と、
前記動画データを所定の時間帯ごとに複数の解像度で記録する動画データ記録部と、
前記配信サーバへストリーミング送信する通信回線の伝送レートを測定する測定部と、
測定された伝送レートの範囲内でストリーミング送信可能な解像度の組み合わせを所定の時間ごとに前記複数の解像度から決定するストリーミング送信決定部と、
当該決定された解像度の組み合わせの動画データを前記配信サーバへストリーミング送信するストリーミング送信部と、
前記ストリーミング送信後に、前記配信サーバからのアップロード要求を受け付けるアップロード要求受信部と、
前記アップロード要求にしたがって、前記動画データ記録部からアップロード要求で指定された時間帯および解像度の動画データを前記配信サーバへアップロード送信するアップロード送信部と、を備え、
前記配信サーバは、
前記撮影者端末からストリーミング送信された動画データを受信するストリーミング受信部と、
前記受信した動画データの少なくとも一部を視聴者端末へストリーミング配信するストリーミング配信部と、
前記受信した動画データを時間帯と解像度ごとに記録するアーカイブ記録部と、
前記ストリーミング配信後に、前記アーカイブ記録部内の動画データのうち、前記複数の解像度のぞれぞれで欠落している時間帯を検出し、当該検出された時間帯と解像度の動画データを送信するよう要求するアップロード要求を、前記撮影者端末に送信するアップロード要求部と、
前記撮影者端末からアップロード送信された動画データを受信し、前記アーカイブ記録部に記録するアップロード動画受信部と、
を備えることを特徴とするストリーミング配信システム。
【請求項2】
撮像した動画から動画データを生成する動画撮像部と、
前記動画データを所定の時間帯ごとに複数の解像度で記録する動画データ記録部と、
配信サーバへストリーミング送信する通信回線の伝送レートを測定する測定部と、
測定された伝送レートの範囲内でストリーミング送信可能な解像度の組み合わせを所定の時間ごとに前記複数の解像度から決定するストリーミング送信決定部と、
当該決定された解像度の組み合わせの動画データを前記配信サーバへストリーミング送信するストリーミング送信部と、
前記ストリーミング送信後に、前記配信サーバからのアップロード要求を受け付けるアップロード要求受信部と、
前記動画データ記録部の複数解像度の動画データのうち、前記アップロード要求によって指定された時間帯と解像度の動画データを前記配信サーバに送信するアップロード送信部と、
を備えることを特徴とする撮影者端末。
【請求項3】
撮影者端末からストリーミング送信された1または複数の解像度の動画データを受信するストリーミング受信部と、
前記受信した動画データの少なくとも一部を視聴者端末にストリーミング配信するストリーミング配信部と、
前記受信した動画データを所定の時間帯と解像度ごとに記録するアーカイブ
記録部と、
前記ストリーミング配信後に、前記アーカイブ記録部内の動画データのうち、前記複数の解像度のぞれぞれで欠落している時間帯を検出し、当該検出された時間帯および解像度の動画データを送信するよう要求するアップロード要求を、前記撮影者端末に送信するアップロード要求部と、
前記撮影者端末からアップロード送信された動画データを受信し、前記アーカイブ記録部に記録するアップロード動画受信部と、
を備えることを特徴とする配信サーバ。
【請求項4】
請求項1または3に記載の前記配信サーバであって、
前記視聴者端末との間の通信回線の伝送レートを測定し、測定された伝送レートの範囲内でストリーミング送信可能な最大の解像度を決定し、前記視聴者端末に前記アーカイブ記録部内の決定された解像度の動画データを送信するアーカイブ送信部をさらに備えることを特徴とする配信サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影者端末からの動画像を中継して、複数の視聴者端末にライブストリーミング放送を配信するストリーミング配信システム、配信サーバおよび撮影者端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話網等のネットワーク環境の充実や撮像装置の普及により、用いる端末の機種や場所を問わずに誰もが動画像によるストリーミング配信を行うことが可能になっている。特にオンラインのビデオ会議システムの発達により、オンラインのビデオ会議システムを用いて、互いに遠隔でネットワークで接続された複数の端末からの撮像動画を中継してストリーミング配信を行うオンライントーク配信やオンラインレッスンなどが行われている。また、ストリーミング配信にリアルタイムに参加できない視聴者へのオンデマンド配信あるいはストリーミング配信時の動画を利用したコンテンツ作成のためにストリーミング配信された動画データを配信サーバにてアーカイブ蓄積することが行われている。
【0003】
特許文献1には、撮像した動画像データをストリーミング送信する記録装置において、ユーザからの動画像データの継続的な記録の指示によって動画像データを記録し、記録終了の指示によって当該継続的に記録された動画像データをストリーミング送信とは異なる転送方式にて送信することが開示されている。
【0004】
特許文献2には、撮像した動画像データを撮影中リアルタイムに受信装置へ送信する送信装置において、リアルタイム送信時には回線状態に応じて低画質のMPEGデータと高画質のMPEGデータのいずれかを選択して送信し、撮影終了後に低画質のMPEGデータが送信された箇所について高画質のMPEGデータを追加送信し、受信装置は撮影中と撮影後に受信したMPEGデータをマージして高画質の動画像データを記録し、事後的に視聴するための高画質の動画像データが記録されることが開示されている。
【0005】
なお、「ストリーミング送信」と「リアルタイム送信」は、上記先行技術である特許文献にそれぞれ記載の通りに示すもので、本明細書中では「撮影者の端末で撮影している動画を即時に、配信サーバを介して視聴者への端末へ配信すること」を意味するもので同じ意味の用語である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許6102647号公報
【文献】特開2007-274443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術では、ストリーミング送信をしながら別途指定された期間について高画質の動画データをFTP送信することができる。しかしながら、送信される高画質の動画データは、ユーザによって継続的な記録の指示による一部の時間範囲のみの動画データであり、事後的に視聴するためのアーカイブ動画を作成するには不十分である。
【0008】
特許文献2に記載の技術では、リアルタイム伝送時に通信状態に応じた品質の動画データを送信し、リアルタイム伝送後に高画質にて送信できなかったフレームについて事後的にサーバに送信する。そのため、高画質のアーカイブ蓄積動画データしかサーバ内に記録されない。
【0009】
特許文献2にあるように、ストリーミング配信サーバで蓄積された動画は、事後的な視聴に利用される。このとき視聴者の端末とストリーミング配信サーバとの間の通信回線の状態が高画質の動画データを送信するのに不十分である場合に、視聴者の端末側での視聴が停止したり、画像が乱れたりする問題が生じていた。
【0010】
これを解決する方法として、高画質の動画データから低画質の動画データを生成するコンバートの手法が知られている。サーバに蓄積された高画質の動画データから低解像度の動画データの生成、いわゆるコンバート処理によって複数解像度の蓄積動画データを生成することが行われている。
【0011】
ストリーミングの配信中において、視聴者端末と配信サーバの間の通信状態が悪く、かつ配信サーバ側に低解像度の動画データがサーバにないときに、低動画解像度の動画データを都度一定時間帯ごとに生成しながらストリーミングを送信する。コンバート処理は配信サーバの処理負荷が大きく、またバッファに一旦動画データの一部を蓄積し、それを読み込んで変換処理を行ったのちに送信するため、撮影者端末から視聴者端末までのストリーミング配信の時間に数秒程度のタイムラグが生じることが知られている。
【0012】
さらにこの課題を解決するために、配信サーバに蓄積された高画像のアーカイブ動画データから、コンバート処理によって低画像のアーカイブ動画データを作成することが行うことが考えられる。しかしながら、撮影者端末が多数存在してストリーミング配信が同時に複数行なわれた場合、コンバート処理も同時に多数発生する。動画データのコンバート処理には必要とされるメモリおよびCPUのスペックは高いものが要求されるため、コンバート処理が多数発生した場合、サーバの負荷が大きく、それに対応可能なサーバを用意するにはコストが高くなるという問題点があった。
本発明者は、ネットワーク上に分散する複数の動画像配信者が参加するようなオンライントーク配信やオンラインレッスンなどのライブストリーミング配信を、従来のシステムで行う場合、サーバにて最適なアーカイブ動画の保存を行うことについて新規の課題を見出した。
【0013】
このような課題を解決するための手段を以下に説明するが、その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施の形態によれば、下記の通りである。
【0015】
本発明に係るストリーミング配信システムは、通信回線を介して互いに接続された撮影者端末と配信サーバとを含むストリーミング配信システムであって、撮影者端末は、
撮像した動画から動画データを生成する動画撮像部と、動画データを所定の時間帯ごとに複数の解像度で記録する動画データ記録部と、配信サーバへストリーミング送信する通信回線の伝送レートを測定する測定部と、測定された伝送レートの範囲内でストリーミング送信可能な解像度の組み合わせを所定の時間ごとに複数の解像度から決定するストリーミング送信決定部と、当該決定された解像度の組み合わせの動画データを配信サーバへストリーミング送信するストリーミング送信部と、ストリーミング送信後に、配信サーバからのアップロード要求を受け付けるアップロード要求受信部と、アップロード要求にしたがって、動画データ記録部からアップロード要求で指定された時間帯および解像度の動画データを配信サーバへアップロード送信するアップロード送信部と、を備え、配信サーバは、撮影者端末からストリーミング送信された動画データを受信するストリーミング受信部と、受信した動画データの少なくとも一部を視聴者端末へストリーミング配信するストリーミング配信部と、受信した動画データを時間帯と解像度ごとに記録するアーカイブ記録部と、ストリーミング配信後に、アーカイブ記録部内の動画データのうち、複数の解像度のぞれぞれで欠落している時間帯を検出し、当該検出された時間帯と解像度の動画データを送信するよう要求するアップロード要求を、撮影者端末に送信するアップロード要求部と、撮影者端末からアップロード送信された動画データを受信し、アーカイブ記録部に記録するアップロード動画受信部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る撮影者端末は、撮像した動画から動画データを生成する動画撮像部と、動画データを所定の時間帯ごとに複数の解像度で記録する動画データ記録部と、配信サーバへストリーミング送信する通信回線の伝送レートを測定する測定部と、測定された伝送レートの範囲内でストリーミング送信可能な解像度の組み合わせを所定の時間ごとに複数の解像度から決定するストリーミング送信決定部と、当該決定された解像度の組み合わせの動画データを配信サーバへストリーミング送信するストリーミング送信部と、ストリーミング送信後に、配信サーバからのアップロード要求を受け付けるアップロード要求受信部と、動画データ記録部の複数解像度の動画データのうち、アップロード要求によって指定された時間帯と解像度の動画データを配信サーバに送信するアップロード送信部と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る配信サーバは、撮影者端末からストリーミング送信された1または複数の解像度の動画データを受信するストリーミング受信部と、受信した動画データの少なくとも一部を視聴者端末にストリーミング配信するストリーミング配信部と、受信した動画データを所定の時間帯と解像度ごとに記録するアーカイブ記憶部と、ストリーミング配信後に、アーカイブ記録部内の動画データのうち、複数の解像度のぞれぞれで欠落している時間帯を検出し、当該検出された時間帯および解像度の動画データを送信するよう要求するアップロード要求を、撮影者端末に送信するアップロード要求部と、撮影者端末からアップロード送信された動画データを受信し、アーカイブ記録部に記録するアップロード動画受信部と、を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る配信サーバは、視聴者端末との間の通信回線の伝送レートを測定し、測定された伝送レートの範囲内でストリーミング送信可能な最大の解像度を決定し、視聴者端末にアーカイブ記録部内の決定された解像度の動画データを送信するアーカイブ送信部をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
前記一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0020】
本実施形態の配信サーバは、通信回線で接続された配信者端末からのストリーミングコンテンツ配信時に、複数解像度のアーカイブ蓄積動画データを受信、配信および記録することができる。これにより、従来配信サーバで行っていた高画質動画から低画質動画へのコンバート処理を行う必要がなく、タイムラグの少ないストリーミング送信が可能であり、またサーバへの負荷が少なく複数解像度のアーカイブ蓄積動画データを記録することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る配信サーバと、それを用いたストリーミングコンテンツ配信システムの機器構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、動画データ記録部22に記録される動画像データの構成の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、伝送レートと動画データのフレーム、GOP、解像度フラグデータの関係を示す図である。
【
図4】
図4は、ストリーミング送信部25から送信される動画データの構成の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、ストリーミング配信終了時における、アーカイブ記録部13に記録された動画データの構成の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、撮影者端末20のストリーミング配信時の動作フローチャートである。
【
図7】
図7は、配信サーバ10のストリーミング配信時およびストリーミング終了後の動作フローチャートである。
【
図8】
図8は、撮影者端末20のアーカイブ動画データ送信時の動作フローチャートである。
【
図9】
図9は、配信サーバ10のアーカイブ動画データの蓄積時の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0023】
〔1〕<アーカイブ記録部を備えたストリーミング配信システム>
本発明の代表的な実施の形態は、通信回線を介して互いに接続された撮影者端末(20)と配信サーバ(10)とを含むストリーミング配信システムであって、以下の各構成を備える。
次の構成からなる撮影者端末(20)。
撮像した動画から動画データを生成する動画撮像部(21)、
動画データを所定の時間帯ごとに複数の解像度で記録する動画データ記録部(22)、
配信サーバ(10)へストリーミング送信する通信回線の伝送レートを測定する測定部(23)、
測定された伝送レートの範囲内でストリーミング送信可能な解像度の組み合わせを所定の時間ごとに前記複数の解像度から決定するストリーミング送信決定部(24)、
当該決定された解像度の組み合わせの動画データを配信サーバ(10)へストリーミング送信するストリーミング送信部(25)、
ストリーミング送信後に、配信サーバ(10)からのアップロード要求を受け付けるアップロード要求受信部(26)、
アップロード要求にしたがって、動画データ記録部(22)からアップロード要求で指定された時間帯および解像度の動画データを配信サーバ(10)へアップロード送信するアップロード送信部。
次の構成からなる配信サーバ(10)。
撮影者端末(20)からストリーミング送信された動画データを受信するストリーミング受信部(11)、
受信した動画データの少なくとも一部を視聴者端末(30)へストリーミング配信するストリーミング配信部(12)、
受信した動画データを時間帯と解像度ごとに記録するアーカイブ記録部(13)、
ストリーミング配信後に、アーカイブ記録部(13)内の動画データのうち、複数の解像度のぞれぞれで欠落している時間帯を検出し、当該検出された時間帯と解像度の動画データを送信するよう要求するアップロード要求を、撮影者端末(20)に送信するアップロード要求部(14)、
撮影者端末(20)からアップロード送信された動画データを受信し、アーカイブ記録部(13)に記録するアップロード動画受信部(15)。
【0024】
ここで撮影者端末(20)とは、撮像装置を有する端末装置を指す。具体的にはスマートフォンや携帯電話、ノートパソコンなどの撮像装置が端末装置と一体となった機器はもちろん、ネットワーク通信機能を備えたデジタルカメラやデジタルカメラが接続されたパソコン端末を含む意味である。また、通信回線とは、撮影者端末(20)と配信サーバ(10)を相互に通信可能に接続するものであり、例えばインターネットあるいは携帯電話網などを指し、その通信は有線通信でも無線通信であってもよい。
【0025】
これにより、通信回線で接続された複数の配信者動画からストリーミング配信を行う際に、配信サーバでのコンバート処理を行うことないため、ストリーミング配信時の配信サーバから視聴者端末への配信の差異のタイムラグを少なくすることができ、また、配信サーバのCPUおよび記憶装置への負荷をすることができるため、複数解像度のアーカイブ動画データを記録する配信サーバを低コストで実現することができる。
【0026】
〔2〕<撮影者端末(20)>
以下の構成を備える撮影者端末(20)。
撮像した動画から動画データを生成する動画撮像部(21)、
動画データを所定の時間帯ごとに複数の解像度で記録する動画データ記録部(22)、
配信サーバ(10)へストリーミング送信する通信回線の伝送レートを測定する測定部(23)、
測定された伝送レートの範囲内でストリーミング送信可能な解像度の組み合わせを所定の時間ごとに複数の解像度から決定するストリーミング送信決定部(24)、
当該決定された解像度の組み合わせの動画データを配信サーバ(10)へストリーミング送信するストリーミング送信部(25)、
ストリーミング送信後に、配信サーバ(10)からのアップロード要求を受け付けるアップロード要求受信部(26)、
動画データ記録部(22)の複数解像度の動画データのうち、アップロード要求によって指定された時間帯と解像度の動画データを配信サーバ(10)に送信するアップロード送信部。
【0027】
これにより、通信回線で接続された複数の配信者動画からストリーミング配信を行う際に、配信サーバでのコンバート処理を行うことないため、ストリーミング配信時の配信サーバから視聴者端末への配信の差異のタイムラグを少なくすることができ、また、配信サーバのCPUおよび記憶装置への負荷をすることができるため、複数解像度のアーカイブ動画データを記録する配信サーバを低コストで実現することができる。
【0028】
これにより、通信回線で接続された複数の配信者動画からストリーミング配信を行う際に、サーバでのコンバート処理を行うことなく、サーバへの負荷が少なく、低コストで複数解像度のアーカイブ動画データをサーバ上に記録することができる。
【0029】
〔3〕<配信サーバ(10)>
以下の構成を備える配信サーバ(10)。
撮影者端末(20)からストリーミング送信された1または複数の解像度の動画データを受信するストリーミング受信部(11)、
受信した動画データの少なくとも一部を視聴者端末(30)にストリーミング配信するストリーミング配信部(12)、
受信した動画データを所定の時間帯と解像度ごとに 記録するアーカイブ記憶部、
ストリーミング配信後に、アーカイブ記録部(13)内の動画データのうち、複数の解像度のぞれぞれで欠落している時間帯を検出し、当該検出された時間帯および解像度の動画データを送信するよう要求するアップロード要求を、撮影者端末(20)に送信するアップロード要求部(14)、
撮影者端末(20)からアップロード送信された動画データを受信し、アーカイブ記録部(13)に記録するアップロード動画受信部(15)。
【0030】
これにより、通信回線で接続された複数の配信者動画からストリーミング配信を行う際に、サーバでのコンバート処理を行うことなく、サーバへの負荷が少なく、低コストで複数解像度のアーカイブ動画データをサーバ上に記録することができる。
【0031】
〔4〕<視聴者端末(30)への配信>
〔1〕から〔3〕に記載の配信サーバ(10)はさらに以下の構成を備える。
視聴者端末(30)との間の通信回線の伝送レートを測定し、測定された伝送レートの範囲内でストリーミング送信可能な最大の解像度を決定し、視聴者端末(30)にアーカイブ記録部(13)内の決定された解像度の動画データを送信するアーカイブ送信部(16)。
【0032】
これにより、視聴者端末が配信サーバ内のアーカイブ蓄積動画データを視聴する際に、配信サーバと視聴者端末との間の通信回線の状態に応じた最適な解像度によってアーカイブ視聴することができる配信サーバを提供できる。
­ 2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0033】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係る配信サーバを含む、ストリーミング配信システムの構成例を示すブロック図である。
【0034】
図1に示すように、ストリーミング配信システム1は、通信回線40を介して接続された撮影者端末20、配信サーバ10および視聴者端末30から構成される。実際には1つの配信サーバ10に対して撮影者端末20および視聴者端末30がそれぞれ複数接続されているが、ここでは説明の便宜のため配信サーバ10と視聴者端末30が1台ずつ配信サーバ10に接続された構成として説明する。通信回線40は、例えばインターネットあるいは携帯電話網などを指し、その通信は有線通信でも無線通信であってもよい。
<配信サーバの構成>
図1に示す配信サーバ10は、ストリーミング受信部11と、ストリーミング配信部12と、アーカイブ記録部13と、アップロード要求部14と、アップロード動画受信部15と、アーカイブ送信部16とを備える。より具体的には、配信サーバ10はインターネットなどの通信回線に接続するためのインターフェースをストリーミング受信部11、ストリーミング配信部12、アップロード要求部14、アップロード動画受信部15に備えたサーバであればよく、好適にはクラウドサーバーを使って実現される。このとき、ストリーミング受信部11等の各機能部はクラウドサーバーを構成するコンピュータ上でプログラム(ソフトウェア)を動作させることによって、求められる機能が実現されるとよい。
【0035】
ストリーミング受信部11は、通信回線40を介して複数の撮影者端末20からストリーミング配信動画データを受信する。ストリーミング受信部11は、複数の撮影者端末20からストリーミング配信動画を同時にかつ独立して受信することが可能に構成されている。
【0036】
ストリーミング配信部12は、ストリーミング受信部11よって受信したストリーミング配信動画データを、通信回線40を介して視聴者端末30に配信する。ストリーミング配信部12は図示しないバッファ部を備え、所定時間ごとに数秒から数十秒の長さとなるようにバッファ部内に一時記録し、バッファ部内の一時記録した動画データを随時視聴者端末30に配信する。ストリーミング配信動画データは、撮影者端末20によって既存の画像圧縮方式によって符号化されている。画像圧縮形式は、MPEG2、MPEG4、Motion JPEGなどがあるが、ここではMPEG2によるものとする。また、ストリーミング配信動画データは複数解像度の動画データからなり、含まれる動画データの解像度を示す解像度フラグデータを含む。ストリーミング配信部12は、図示しない測定部により視聴者端末30との間の通信回線の伝送レートを測定し、撮影者端末20から受信したストリーミング配信動画データに含まれる解像度のうち伝送レートに適した解像度を選択し、視聴者端末30へストリーミング配信を行う。
【0037】
アーカイブ記録部13は、ストリーミング受信部11によって受信したストリーミング配信動画データを記録媒体に記録する。ストリーミング受信部11によって受信したストリーミング配信動画データは、リアルタイムでストリーミング配信部12を介して視聴者端末30に配信され、アーカイブ記録部13によるストリーミング配信動画データの記録はストリーミング配信と並行して同時に行われる。ストリーミング配信動画データには1つあるいは複数解像度の動画データが含まれるため、解像度ごとに記録され、所定時間ごとに区切って保存される。あるいは随時追記しながら1つのファイルとして保存してもよい。アーカイブ記録部に記録される動画データには前述した解像度フラグデータを含む。
【0038】
アップロード要求部14は、アーカイブ記録部13に記録された動画データについて撮影者端末20から未送信である時間帯および解像度の動画データを判別し、当該時間帯と解像度の動画データを送信するよう要求するアップロード要求を撮影者端末20に送信する。判別にはアーカイブ記録部13に記録された解像度フラグデータを参照する。解像度フラグデータによる判別方法については後述する。
【0039】
アップロード動画受信部15は、アップロード要求にしたがって撮影者端末20からアップロード送信された動画データをアーカイブ記録部13に記録する。すでにアーカイブ記録部13に記録されている動画データとマージすることにより、すべての時間帯および所定の解像度のすべてについての動画データがアーカイブ記録部13に記録される。
【0040】
アーカイブ送信部16は、視聴者端末30からの要求に応じてアーカイブ記録部13の動画データを視聴者端末30へ配信する。配信はストリーミング配信後であり、ストリーミング配信動画データのアーカイブをいわゆるオンデマンド配信にて提供するものである。このときアーカイブ記録部13は時間帯ごとに複数の解像度の動画データを有しており、アーカイブ送信部16は視聴者端末30との間の通信回線の通信レートに応じて最適な時間帯および解像度の動画データを選択し、送信する。
<撮影者端末の構成>
図1に示す撮影者端末20は、動画撮像部21と、動画データ記録部22と、測定部23と、ストリーミング送信決定部24と、ストリーミング送信部25と、アップロード要求受信部26と、アップロード送信部27とを備える。より具体的には、撮影者端末20は、インターネットなどの通信回線に接続するためのインターフェースを測定部23、ストリーミング送信部25、アップロード要求受信部26、アップロード送信部27に備え、動画撮像部21にカメラを備えた端末であればよく、例えばスマートフォンやタブレット、通信機能を有するデジタルカメラ、ノートパソコンなどが好適である。このとき、動画撮像部21等の各機能部はスマートフォン等の端末上でプログラム(ソフトウェア)を動作させることによって、求められる機能が実現されるとよい。
【0041】
動画撮像部21は、レンズ、撮像素子を備え、動画像を撮像し、撮像した動画像をデジタルデータに変換する。動画撮像部21は、図示しないMPEGエンコーダを備え、動画像のデジタルデータを圧縮符号化して動画像データを生成する。MPEGエンコーダは、複数解像度の動画像データを出力する。複数の解像度とは具体的には、例えば低画質のSD(画素数854×480)、標準画質のHD(画素数1280×720)、高画質のフルHD(画素数1980×1080)の3段階の解像度である。これに限らず解像度の段階数は少なくても大きくてもよく、解像度は上記の規格に制限されず別の規格あるいは任意の解像度でもよい。動画撮像部21は、生成された動画像データを動画データ記録部22およびストリーミング送信部25に送信する。
【0042】
動画データ記録部22は、動画撮像部21より送信された動画像データを記録媒体に記録する。動画像データは前述の通り複数の解像度で生成されており、解像度ごとに記録され、所定時間ごとに区切って保存される。または随時追記しながら1つのファイルとして保存されてもよい。
【0043】
測定部23は、配信サーバ10との間の通信回線40の伝送レートを計測する。伝送レートの計測は、例えば配信サーバ10から所定時間ごとに送信されるACK信号に基づいて計算される。ACK信号は、配信サーバ10から動画像データを正しく受信したことへの確認応答であり、例えば撮影者端末20から動画像データを送信した時刻と、ACK信号の受信時刻の差分情報などに基づいて演算することができる。
【0044】
ストリーミング送信決定部24は、測定部23によって求めた伝送レートに基づいて配信サーバ10へ送信する動画像データの解像度の組み合わせを決定する。ストリーミング送信決定部24は、決定された解像度の組み合わせにより解像度フラグデータを生成し、ストリーミング送信部25へ送信する。解像度フラグデータの詳細については後述する。
【0045】
ストリーミング送信部25は、ストリーミング送信決定部24で決定された解像度フラグデータに基づいて動画撮像部21から受信した動画像データのうち、指定された解像度の動画像データを、解像度フラグデータを付与して配信サーバ10へ送信する。
【0046】
アップロード要求受信部26は、ストリーミング配信後に配信サーバ10から送信されるアップロード要求を受け付ける。アップロード要求は、配信サーバ10でストリーミング配信動画のアーカイブ記録をするために必要な動画データについて撮影者端末20へ送信を要求する動画像データの時間帯と解像度を指示するデータである。詳細については後述する。
【0047】
アップロード送信部27は、アップロード要求受信部26にて受信したアップロード要求にしたがって、動画データ記録部22内の動画像データの中から指定された時間帯および解像度の動画像データを配信サーバ10に送信する。
<撮影者端末で保存される動画像データ>
図2は、撮影者端末20の動画データ記録部22に記録される動画像データの構成を示す。
図2の水平方向は時間軸を示し、a~cは各解像度の動画データの構成を示す。aからcの順に、フルHD、HD、SDの動画像データを表している。各解像度の動画データは連続するフレームから構成され、フレーム番号は動画データの先頭からの時間軸におけるフレーム数を示す。各解像度動画データにおけるフレーム番号が同一のフレームは、同一画像を表す解像度が異なるフレームである。
図2の破線で囲まれた複数のフレームはMPEG2におけるフレーム間圧縮の単位であるGOPを示す。
図2で示すようにGOPは、Iフレーム、Pフレーム、Bフレームから構成される。Iフレームはフレーム内の画素データのみを使用して、他のフレームとは独立して圧縮符号化(フレーム内符号化)されるフレームである。Pフレームは、時間的に前に存在するフレームとの相関性を利用するフレーム間予測によって圧縮符号化されるフレームであ。Bフレームは、時間的に前と後のフレームとの相関性を利用するフレーム間予測によって圧縮符号化されるフレームである。本実施例では6枚を1組のGOP単位として、伝送状態の変化に対応して送信する解像度を切り替える。GOPの単位としては6枚に限られず15枚などGOP内に少なくとも先頭に1つのIフレームを含む限り任意の枚数でよい。
図2のGOP番号は、各動画内のGOPの動画データの先頭からの時間軸におけるGOP数を示す。
<解像度フラグデータ>
図3は、測定部23で測定される伝送レートおよびストリーミング送信決定部24で決定される解像度フラグデータの構成を示す。横軸は経過時間を示し、本実施例においては時間経過をフレームあるいはGOP単位で示している。測定部23による伝送レートの測定は所定の時間単位で行われ、解像度フラグデータは1GOPあるいはGOPの倍数の間隔で決定される。つまりストリーミング送信決定部24で送信される動画像データの解像度の組み合わせの変化はGOPの整数倍単位で行われる。
図3の伝送レートは測定部23で計測される伝送レートの変化を表し、aはフレーム番号、bは経過時間によって付与されるGOP番号、cは解像度フラグデータを示す。
【0048】
図3の例では伝送レートが状態A、D、C、B、Aと変化している状態を示す。状態Aは最も良い状態であり、状態Dに悪化し、状態CからBへと状態が回復している。状態Aではすべての解像度の動画像データを送信可能である。状態Bは最も悪い状態で最低解像度のSDの動画像データのみが送信可能な状態である。状態Cでは、状態Bより改善し、解像度がSDとHDの動画像データが送信可能であり、状態Dではさらに改善してフルHDとHDの解像度の動画像データが送信可能な状態である。
【0049】
解像度フラグデータは、3桁の2進数で表され、左の桁から順にフルHD、HD、SDの送信状態を示す。各桁が1の時は対応する解像度の動画像データが送信可能であることを示す。したがって状態Aにおいては、解像度フラグデータは111、状態Bでは001、状態Cでは011、状態Dでは110となる。解像度フラグデータはGOP番号と関連付けられて、つまり
図3のbとcの組み合わせでストリーミング送信部25に送信される。
<ストリーミング送信データ>
図4は、ストリーミング送信部25から送信される動画像データの構成を示す。ストリーミング送信部25は、ストリーミング送信決定部24から受信した解像度フラグデータに基づいて配信サーバ10に動画像データを送信する。ここでは
図3に示した解像度フラグデータに基づいて決定されたストリーミング送信動画像データにおける例を示す。GOP番号1では解像度フラグデータが111であるので、すべての解像度の動画像データを送信可能であり、ストリーミング送信部25は、動画撮像部21から受信した動画像データのすべての解像度の動画像データがストリーミング送信データに含まれる。このとき解像度フラグデータおよびGOP番号を合わせて送信する。以後は状態B、C、Dについても同様に解像度フラグデータに指定された解像度の動画データの組み合わせにてストリーミング送信データを含み、解像度フラグデータおよびGOP番号と合わせてストリーミング送信データが構成される。
図5は配信サーバ10のアーカイブ記録部13に保存される動画像データの構成について示す。動画像データをストリーミング受信部11にて受信してアーカイブ記録部13に記録したものであり、
図4と同様の構成となる。
<動作>
図6ないし
図9を参照して、配信サーバ10および撮影者端末20の全体動作を説明する。
図6および
図8は撮影者端末20の動作フローチャートであり、
図6はストリーミング配信中の動作を、
図8はストリーミング配信後の動作を示す。
図7および
図9は、配信サーバ10の動作フローチャートであり、
図7はストリーミング配信中の動作を、
図9はストリーミング配信後の動作を示す。
【0050】
撮影者端末20に対してユーザがストリーミング配信を行う旨の指示を行うと、撮影者端末20から配信サーバ10に通知され、配信サーバ10はストリーミング配信開始が可能である旨の準備ができたことを撮影者端末20に通知し、ユーザは撮像ボタンを押して撮影を開始する(S10)。撮像が開始されると、動画撮像部21は、撮像した動画像をデジタルデータに変換する。動画撮像部21は、MPEGエンコーダにより動画像のデジタルデータを圧縮符号化して複数解像度の動画像データを生成し、生成した動画像データを順次動画データ記録部22およびストリーミング送信部25に送信する(S11)。複数の解像度とは具体的には、低画質のSD(画素数854×480)、標準画質のHD(画素数1280×720)、高画質のフルHD(画素数1980×1080)の3段階の解像度である。
【0051】
動画データ記録部22は、動画撮像部21から送信された動画像データを記録する(S12)。動画像データ記録部22に記録される動画像データの構成は
図2を用いて前述した説明の通りであり、解像度ごとに保存され、ストリーミング配信中に随時動画データ記録部22から送られる動画像データを記録する。
【0052】
測定部23は、配信サーバ10との間の通信回線40の伝送レートを計測し、計測した伝送レートをストリーミング送信決定部24に通知する(S13)。伝送レートの計測は、配信サーバ10から所定時間ごとに送信されるACK信号に基づいて計算される。
【0053】
ストリーミング送信決定部24は、測定部23から通知された伝送レートに基づいて、配信サーバ10にストリーミング送信可能な動画像データの解像度の組み合わせを決定し、組み合わせを表す解像度フラグデータをストリーミング送信部25に送信する(S14)。具体的な解像度フラグデータの構成は、
図3を用いた前述の説明の通りである。
【0054】
ストリーミング送信部25は、動画撮像部21から受け取った動画像データを、ストリーミング送信決定部24から受けとった解像度フラグデータに基づいて送信する解像度の組み合わせを選択して配信サーバ10に送信する(S15)。送信される動画像データの構成は、
図4を用いた前述の説明の通りである。解像度の組み合わせについては新たな解像度フラグデータを受け取るまでは現在の組み合わせを継続し、解像度フラグデータに変更があった場合に組み合わせを変更する。
【0055】
撮影者端末20は、ユーザからの撮像完了の指示があるかを判別する(S16)。完了の指示があった場合は、動画像の撮像を停止し、配信サーバ10にストリーミング配信を終了する旨の指示を送信し、ストリーミング配信を終了する(S17)。完了の指示がない場合は、動画像の撮像およびストリーミング配信を継続し、S11に戻って動作を継続する。
【0056】
図6は理解を助けるためにフローチャートで表現したが、各ステップは必ずしも順次実行されるわけではなく同時並行的に実行される。
【0057】
配信サーバ10は、S15にて撮影者端末20から送信された動画像データをストリーミング受信部11で受信する(S20)。撮影者端末20からは、ストリーミング配信中に複数GOP単位で動画像データが逐次送信される。ストリーミング受信部11は、受信した複数GOP単位にてストリーミング配信部12およびアーカイブ記録部13に動画像データを受信する。
【0058】
ストリーミング配信部12は、ストリーミング受信部11から受け取った動画像データを、通信回線を介して複数の視聴者端末30にストリーミング配信する(S21)。ストリーミング配信部12は図示しないバッファ部を備え、所定時間ごとに数秒から数十秒の長さとなるようにバッファ部内に一時記録し、バッファ部内の一時記録した動画データを随時視聴者端末30に配信する。ストリーミング配信動画データは複数解像度の動画データからなり、どの解像度の動画データを含むかについての解像度フラグデータを含む。ストリーミング配信部12は、視聴者端末30との間の通信回線の伝送レートを測定し、ストリーミング配信動画データの複数解像度のうち伝送レートに適した解像度にてストリーミング配信を行う。
【0059】
アーカイブ記録部13は、ストリーミング受信部11から受け取った動画像データを記憶手段に記録する(S22)。記録される動画像データの構成は
図5に示したとおりである。動画像データは解像度ごとに記録され、GOP番号および解像度フラグと関連付けられて保存される。記録はストリーミング受信部11から送信される複数GOP単位にてすでに記録されている動画像データに追記される。複数GOP単位ごとにファイルを作成して記録されてもよい。
【0060】
ストリーミング受信部11は、撮影者端末20からストリーミング終了の通知を受け取ったかを判断し、受け取っている場合にはストリーミング受信を停止し、S24の処理に移行する(S23)。ストリーミング終了の通知を受け取っていない場合はS20の処理に戻る。
【0061】
アップロード要求部14は、アーカイブ記録部13に記録された動画像データを参照して、撮影者端末20に対して所定の解像度および時間帯の動画像データをアップロードするようにアップロード要求を作成し、送信する(S24)。
【0062】
アップロード要求の生成方法及び構成について
図5を参照しながら説明する。
図5はアーカイブ記憶部13に保存されている動画像データを示す。動画像データは解像度ごとにストリーミング開始から終了までがファイルとして保存されている。各動画像データのファイルは複数GOPごとに1つのファイルあるいはストリーミング時間全体を通して1つのファイルとしてまとめられている。ただし本実施例の説明ではファイルの保存単位に関わらず、動画像データを構成するフレーム及びGOPを動画像データの区切り単位として説明する。各解像度の動画像データでは、GOP単位で欠損している箇所が存在する。例えばフルHDの動画像データでは、GOP番号が2、3にてデータが欠損していることがわかる。同様にHDではGOP番号2が欠損し、SDではGOP番号4にて欠損していることがわかる。このことは各GOPにおける解像度フラグを参照することによって判別することができる。具体的に
図5の例では、解像度フラグデータはGOP番号1から4においては順に111、001、011、110となっており、GOP番号と解像度フラグデータの0となっている桁を参照することによって判別できる。
【0063】
アップロード要求の生成においては、参照した0になっている箇所のデータの要求をすれば良いので、解像度フラグデータの0と1を反転したデータを生成すれば良い。具体的に
図5の動画像データに対するアップロード要求は、GOP番号1から4において順に000、110、100、001となる。これによってフルHDではGOP番号2、3、HDではGOP番号2、SDではGOP番号4にてアップロードを要求することがわかる。従ってGOP番号とこの3桁の符号を関連づけたデータがアップロード要求となる。アップロード要求は、これ以外の形式でもよく、GOPごとに欠損している解像度が示せれば任意の形式でよい。
【0064】
撮影者端末20において、アップロード要求受信部26で配信サーバ10から送信されたアップロード要求を受け付け、アップロード送信部へアップロード要求を送信する(S31)。
【0065】
アップロード送信部27は、受信したアップロード要求にしたがって動画データ記憶部22から動画像データを読み込む(S32)。本実施例ではアップロード要求は前述の通りであり、これに従ってフルHDではGOP番号2、3、HDではGOP番号2、SDではGOP番号4のデータを読み込む。
【0066】
アップロード送信部27は、動画データ記憶部22から読み込んだ動画画像データを配信サーバ10に送信する(S33)。送信にあたっては、リアルタイム性は必要ないためストリーミングとは別のプロトコル、例えばFTPが好適である。FTPを採用した場合には、通信のオーバヘッドが少なく、送信時にエラーが発生した場合も再送信などの処理が行われるためである。また、セキュリティを考慮して暗号化されたSFTPを利用しても良いし、これら以外の既知のプロトコルを用いてもよい。
【0067】
配信サーバ10のアップロード動画受信部15は、アップロード送信部27から送信された動画像データを受信する(S41)。アップロード動画受信部15は、アーカイブ記憶部13内の動画像データとS41にて受信した動画像データをマージする(S42)。これによってアーカイブ記憶部13には、全ての解像度の動画像データについて全GOP番号のデータが揃った状態で記録される。
【0068】
ストリーミング配信部12は、視聴者端末30からの要求に応じてアーカイブ記録部13に記録された動画像データを視聴者端末30に送信する(S43)。いわゆるオンデマンド配信であり、視聴者端末30はストリーミング配信の終了後任意の時間に視聴を要求で
きる。ストリーミング配信部12は、視聴者端末30との通信回線の伝送レートを測定し、アーカイブ記録部13に記録された動画像データのうち最適な解像度の動画像データを送信する。
【0069】
本実施形態によれば、撮影者端末20からのストリーミングコンテンツ配信時に、配信サーバ10での高画質動画から低画質動画へのコンバート処理を行うことことがないので、ストリーミング配信時にタイムラグの少ない配信ができ、また、複数解像度のアーカイブ動画データの蓄積においても、配信サーバ10の負荷を低減することができる。さらに配信サーバ10と撮影者端末20との間の通信回線の状態が悪い場合にも、事後的に複数解像度の動画像データを蓄積することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 ストリーミング配信システム
10 配信サーバ
11 ストリーミング受信部
12 ストリーミング配信部
13 アーカイブ記録部
14 アップロード要求部
15 アップロード動画受信部
16 アーカイブ送信部
20 撮影者端末
21 動画撮像部
22 動画データ記録部
23 測定部
24 ストリーミング送信決定部
25 ストリーミング送信部
26 アップロード要求受信部
27 アップロード送信部
30 視聴者端末
【要約】
ストリーミング配信を行う際のアーカイブ記録を、通信環境の悪い環境下でも高品質で行うことが可能な配信サーバ、撮影者端末およびストリーミング配信システムを提供する。撮影者端末は、撮像した動画を複数解像度にて動画データ記録部に記録し、ストリーミング配信サーバとの通信速度に応じて最適な解像度の動画データをストリーミング送信する。配信サーバは受信した動画データを視聴者端末にストリーミング配信しながら動画データをアーカイブ記録部に保存する。ストリーミング配信終了後に、ストリーミング配信サーバあるいは撮影者端末にてストリーミング送信した動画データの解像度が最大でなかった時間帯を検出し、撮影者端末に当該時間帯についての最大解像度のデータを送信するよう要求する。撮影者端末は要求された時間帯および解像度の動画データをアップロード送信し、配信サーバはアップロード送信された動画データをアーカイブ記録部に保存する。