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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/20 20210101AFI20231110BHJP
   H01G 11/76 20130101ALI20231110BHJP
   H01G 11/82 20130101ALI20231110BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20231110BHJP
【FI】
H01M50/20
H01G11/76
H01G11/82
H01M50/50
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018033787
(22)【出願日】2018-02-27
(65)【公開番号】P2018156932
(43)【公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-01-20
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2017050607
(32)【優先日】2017-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100153224
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】岩嶋 泰行
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】増田 喜弘
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 稔
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 駿
(72)【発明者】
【氏名】小野 慎平
【合議体】
【審判長】井上 信一
【審判官】山田 正文
【審判官】篠原 功一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/155719(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M2
H01M10
H01G11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器から突出する電極端子を有する蓄電素子、前記蓄電素子の電極端子に接続されるバスバー、及び、外装体を有する第一蓄電ユニットと、
前記第一蓄電ユニットに接続される第一導電部材とを備え、
前記外装体は、
前記電極端子の突出方向において前記バスバーに対向して配置される外面が突出した凸部と、
前記凸部に隣接して配置される外面が凹んだ凹部とを有し、
前記第一導電部材は、前記凹部に配置される
蓄電装置。
【請求項2】
前記凸部は、前記蓄電素子の電極端子に対向して配置される第一凸部を有する
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記凹部は、異なる2つの蓄電素子の電極端子に対向して配置される2つの前記第一凸部の間に配置される第一凹部を有する
請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記凹部は、同一の蓄電素子の2つの電極端子に対向して配置される2つの前記第一凸部の間に配置される第二凹部を有する
請求項2または3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記バスバーは、異なる2つの蓄電素子の電極端子と接続される2つの端子接続部と、前記2つの端子接続部の間に配置される中間部とを有し、
前記凸部は、前記中間部に対向して配置される第二凸部を有する
請求項1~4のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記第一導電部材は、前記第一蓄電ユニットに接続される外部配線であり、
前記第一蓄電ユニットは、前記外部配線が接続されるコネクタをさらに有し、
前記コネクタの接続口は、前記凹部の底面に沿う方向かつ前記凹部の内方に向けて開口して配置される
請求項1~のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記コネクタは、前記外装体の中央部に配置される
請求項に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記外装体は、前記第一導電部材を前記凹部内で保持する保持部を有する
請求項1~のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項9】
さらに、
前記第一蓄電ユニットとは異なる第二蓄電ユニットと、
前記第二蓄電ユニットに接続される第二導電部材とを備え、
前記第二導電部材は、前記第一蓄電ユニットの前記凹部に配置される
請求項1~のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項10】
前記第一蓄電ユニットは、前記蓄電素子と前記外装体との間に、内部配線が配置される
ハーネスプレートをさらに有し、
前記外装体は、前記凹部が形成されていない部分に、前記ハーネスプレートに対向するリブを有する
請求項1~のいずれか一項に記載の蓄電装置。
【請求項11】
前記第一蓄電ユニットは、サーミスタをさらに有し、
前記リブは、前記サーミスタに隣り合う開口を塞ぐ位置に配置される
請求項10に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子及び外装体を有する蓄電ユニットと、蓄電ユニットに接続される導電部材とを備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電素子及び外装体を有する蓄電ユニットに、外部配線等の導電部材が接続された構成の蓄電装置が広く知られている。例えば、特許文献1には、電池セル(蓄電素子)及びカバー部材(外装体)を有する電池モジュール(蓄電ユニット)にハーネス(導電部材)が接続されており、当該ハーネスは、カバー部材の両端部に設けられた立設部の間に配置されている構成の電池パック(蓄電装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-51511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の蓄電装置では、蓄電ユニットに接続される導電部材を配置するためにスペースを設けているため、省スペース化を図ることができていないという問題がある。つまり、上記従来の蓄電装置では、導電部材としてのハーネスを配置するために、カバー部材の両端部に立設部を設けているため、立設部の高さがカバー部材の高さに加算されてカバー部材の高さが高くなり、省スペース化を図ることができていない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、蓄電ユニットに接続される導電部材を配置する構成においても、省スペース化を図ることができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電装置は、蓄電素子、前記蓄電素子の電極端子に接続されるバスバー、及び、外装体を有する第一蓄電ユニットと、前記第一蓄電ユニットに接続される第一導電部材とを備え、前記外装体は、前記バスバーに対向して配置される外面が突出した凸部と、前記凸部に隣接して配置される外面が凹んだ凹部とを有し、前記第一導電部材は、前記凹部に配置される。
【0007】
これによれば、蓄電装置において、第一蓄電ユニットの外装体は、バスバーに対向した凸部と、当該凸部に隣接した凹部とを有しており、第一蓄電ユニットに接続される第一導電部材は、当該凹部に配置されている。つまり、第一蓄電ユニットにおいて、バスバーが配置される部分は外方へ突出しているため、当該バスバーに沿って外装体を形成すると、外装体の当該バスバーに対向する位置に凸部が形成され、当該凸部に隣接する位置に凹部が形成される。これにより、第一蓄電ユニットに接続される外部配線等の導電部材を当該凹部に配置することで、当該凹部内の空間を有効活用し、省スペース化を図ることができる。
【0008】
また、前記凸部は、前記蓄電素子の電極端子に対向して配置される第一凸部を有することにしてもよい。
【0009】
これによれば、第一蓄電ユニットの外装体において、バスバーに対向して配置される凸部は、蓄電素子の電極端子に対向して配置される第一凸部を有している。つまり、蓄電素子の電極端子は外方へ突出しているため、当該電極端子に沿って外装体を形成すると、外装体の当該電極端子に対向する位置に第一凸部が形成され、第一凸部に隣接する位置に凹部が形成される。これにより、第一蓄電ユニットに接続される外部配線等の導電部材を当該凹部に配置することで、当該凹部内の空間を有効活用し、省スペース化を図ることができる。
【0010】
また、前記凹部は、異なる2つの蓄電素子の電極端子に対向して配置される2つの前記第一凸部の間に配置される第一凹部を有することにしてもよい。
【0011】
これによれば、第一蓄電ユニットの外装体には、異なる2つの蓄電素子の電極端子に対向した2つの第一凸部の間に、第一凹部が形成されている。つまり、異なる蓄電素子の電極端子間の隙間に対向して、外装体の外面に第一凹部を形成し、当該第一凹部に導電部材を配置することで、異なる蓄電素子の電極端子間の隙間を有効活用し、省スペース化を図ることができる。
【0012】
また、前記凹部は、同一の蓄電素子の2つの電極端子に対向して配置される2つの前記第一凸部の間に配置される第二凹部を有することにしてもよい。
【0013】
これによれば、第一蓄電ユニットの外装体には、同一の蓄電素子の2つの電極端子に対向した2つの第一凸部の間に、第二凹部が形成されている。つまり、同一の蓄電素子の電極端子間の隙間に対向して、外装体の外面に第二凹部を形成し、当該第二凹部に導電部材を配置することで、同一の蓄電素子の電極端子間の隙間を有効活用し、省スペース化を図ることができる。
【0014】
また、前記バスバーは、異なる2つの蓄電素子の電極端子と接続される2つの端子接続部と、前記2つの端子接続部の間に配置される中間部とを有し、前記凸部は、前記中間部に対向して配置される第二凸部を有することにしてもよい。
【0015】
これによれば、第一蓄電ユニットの外装体は、バスバーの当該中間部に対向して配置される第二凸部を有している。つまり、第一蓄電ユニットにおいて、一般的に、バスバーのうちの当該中間部は外方へ突出しているため、当該中間部に沿って外装体を形成すると、外装体の当該中間部に対向する位置に第二凸部が形成され、第二凸部に隣接する位置に凹部が形成される。これにより、第一蓄電ユニットに接続される外部配線等の導電部材を当該凹部に配置することで、当該凹部内の空間を有効活用し、省スペース化を図ることができる。
【0016】
また、前記凹部は、前記2つの端子接続部のうちの少なくとも1つの端子接続部に対向して配置される、前記第二凸部よりも凹んだ第三凹部を有することにしてもよい。
【0017】
これによれば、第一蓄電ユニットの外装体は、バスバーの端子接続部に対向して配置される第三凹部を有している。つまり、第一蓄電ユニットにおいて、一般的に、バスバーのうちの端子接続部は中間部よりも凹んでいるため、当該バスバーに沿って外装体を形成すると、端子接続部に対向した第三凹部が形成される。これにより、第一蓄電ユニットに接続される外部配線等の導電部材を第三凹部に配置することで、第三凹部内の空間を有効活用し、省スペース化を図ることができる。
【0018】
また、前記第一導電部材は、前記第一蓄電ユニットに接続される外部配線であり、前記第一蓄電ユニットは、前記外部配線が接続されるコネクタをさらに有し、前記コネクタの接続口は、前記凹部の底面に沿う方向かつ前記凹部の内方に向けて開口して配置されることにしてもよい。
【0019】
これによれば、第一蓄電ユニットは、第一導電部材としての外部配線が接続されるコネクタを有しており、コネクタの接続口は、外装体の凹部の底面に沿う方向かつ当該凹部の内方に向けて開口して配置されている。このように、コネクタの接続口が外装体の凹部に向いて開口しているため、外部配線を凹部に配置してコネクタに接続することができる。これにより、当該凹部を、外部配線をコネクタに接続するためのスペースとして有効活用することができるため、省スペース化を図ることができる。
【0020】
また、前記コネクタは、前記外装体の中央部に配置されることにしてもよい。
【0021】
これによれば、コネクタを外装体の中央部に配置することで、外部の衝撃等から、コネクタ及びそれに接続された外部配線を保護することができる。つまり、コネクタを外装体の中央部に位置する凹部に配置することで、コネクタの外方には凸部が配置されるため、当該凸部によって、コネクタ及び外部配線が外部の部材と干渉するのが抑制され、コネクタ及び外部配線を効果的に保護することができる。例えば、外部配線が蓄電素子の電極端子に電気的に接続されていれば、外部配線同士が接触して短絡を起こすおそれがあるため、それを保護することができる。このように、コネクタを外装体の中央部に配置することで、省スペース化を図りつつ、コネクタ及び外部配線を効果的に保護することができる。
【0022】
また、前記外装体は、前記第一導電部材を前記凹部内で保持する保持部を有することにしてもよい。
【0023】
これによれば、外装体は、第一導電部材を凹部内で保持する保持部を有しているため、外装体の凹部で導電部材を保持して、導電部材が凹部から浮き上がったり外装体から外れたりするのを抑制することができる。このように、第一導電部材を凹部内で保持して凹部からはみ出さないようにすることで、省スペース化を図ることができる。
【0024】
また、さらに、前記第一蓄電ユニットとは異なる第二蓄電ユニットと、前記第二蓄電ユニットに接続される第二導電部材とを備え、前記第二導電部材は、前記第一蓄電ユニットの前記凹部に配置されることにしてもよい。
【0025】
これによれば、蓄電装置は、第二蓄電ユニットと、第二蓄電ユニットに接続される第二導電部材とをさらに備えており、第二導電部材は、第一蓄電ユニットの外装体の凹部に配置される。このように、第一蓄電ユニットの外装体の凹部内の空間を、第二蓄電ユニットに接続される第二導電部材を配置するスペースとしても有効活用することで、省スペース化を図ることができる。
【0026】
また、前記第一蓄電ユニットは、前記蓄電素子と前記外装体との間に、内部配線が配置されるハーネスプレートをさらに有し、前記外装体は、前記凹部が形成されていない部分に、前記ハーネスプレートに対向するリブを有することにしてもよい。
【0027】
これによれば、外装体には、凹部が形成されていない部分に、ハーネスプレートに対向するリブが設けられている。つまり、外装体の凹部が形成されていない部分には、ハーネスプレートとの間に隙間が生じているため、ハーネスプレートとの間にリブを配置する。このように、外装体に導電部材を配置するための凹部を形成したとしても、それに伴うハーネスプレートとの間の隙間をリブが埋めることができるため、ハーネスプレート、及びハーネスプレート上の内部配線やコネクタ等が、浮き上がるのを抑制することができる。
【0028】
また、前記第一蓄電ユニットは、サーミスタをさらに有し、前記リブは、前記サーミスタに隣り合う開口を塞ぐ位置に配置されることにしてもよい。
【0029】
これによれば、外装体のリブは、サーミスタに隣り合う開口を塞ぐ位置に配置されるため、サーミスタ付近の開口を外装体のリブで塞ぐことで、サーミスタが外部の温度により影響を受けるのを抑制することができる。このように、ハーネスプレートとの間の隙間を埋める外装体のリブを、サーミスタ付近の開口を塞ぐリブとしても活用することができる。
【0030】
なお、本発明は、蓄電装置として実現することができるだけでなく、当該蓄電装置が備える外装体としても実現することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明における蓄電装置によれば、蓄電ユニットに接続される導電部材を配置する構成においても、省スペース化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施の形態に係る蓄電ユニットの外観を示す斜視図である。
図2】実施の形態に係る蓄電ユニットを分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
図3】実施の形態に係る蓄電ユニットの蓋体の構成を示す斜視図である。
図4】実施の形態に係る蓄電ユニットの蓋体まわりの構成を示す断面図である。
図5】実施の形態に係る蓄電ユニットの蓋体まわりの構成を示す断面図である。
図6】実施の形態に係る蓄電装置の構成を示す平面図である。
図7】実施の形態の変形例に係る蓄電ユニットの蓋体まわりの構成を示す断面図である。
図8】実施の形態の変形例に係る蓄電装置の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
【0034】
また、以下の説明及び図面中において、1つの蓄電素子における電極端子の並び方向、蓄電素子の容器の短側面の対向方向、または、蓄電ユニットの外装体の長側面の対向方向をX軸方向と定義する。また、複数の蓄電素子の並び方向、蓄電素子の容器の長側面の対向方向、当該容器の厚さ方向、または、蓄電ユニットの外装体の短側面の対向方向をY軸方向と定義する。また、蓄電ユニットの外装体本体と外蓋との並び方向、蓄電素子と中蓋とハーネスプレートと外蓋との並び方向、蓄電素子の容器本体と蓋との並び方向、または、上下方向をZ軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。また、以下の説明において、例えば、X軸方向プラス側とは、X軸の矢印方向側を示し、X軸方向マイナス側とは、X軸方向プラス側とは反対側を示す。Y軸方向やZ軸方向についても同様である。
【0035】
(実施の形態)
まず、本実施の形態における蓄電装置1(図6参照)が備える蓄電ユニット10の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る蓄電ユニット10の外観を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る蓄電ユニット10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0036】
蓄電ユニット10は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電ユニット10は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュールである。具体的には、蓄電ユニット10は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)またはプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体の駆動用またはエンジン始動用のバッテリ等として用いられる。
【0037】
図1及び図2に示すように、蓄電ユニット10は、蓋体100及び外装体本体200からなる外装体11と、外装体11内方に収容される複数の蓄電素子20、中蓋30、複数のバスバー40、ハーネスプレート50及び内部配線60等とを備えている。
【0038】
外装体11は、蓄電ユニット10の外装体を構成する矩形状(箱状)の容器(モジュールケース)である。つまり、外装体11は、蓄電素子20やハーネスプレート50等の外方に配置され、これら蓄電素子20等を所定の位置に配置し、衝撃などから保護する。また、外装体11は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはABS樹脂等の絶縁材料により構成されている。外装体11は、これにより、蓄電素子20等が金属部材などに接触することを回避する。
【0039】
ここで、外装体11は、外装体11の蓋体(外蓋)を構成する扁平な矩形状の蓋体100と、外装体11の本体を構成する外装体本体200とを有している。外装体本体200は、開口が形成された有底矩形筒状のハウジングである。つまり、外装体本体200の開口を塞ぐように、蓋体100が配置される。なお、蓋体100及び外装体本体200は、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。また、蓋体100の中央部には、矩形状の貫通孔である開口部100aが形成され、蓋体100のX軸方向プラス側かつY軸方向両側の角部には、矩形状の切欠きである開口部100bが形成され、蓋体100のX軸方向中央かつY軸方向マイナス側には、矩形状の切欠きである開口部100cが形成されている。この蓋体100の構成の詳細な説明については、後述する。
【0040】
蓄電素子20は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子20は、扁平な直方体形状(角型)の形状を有しており、本実施の形態では、8個の蓄電素子20(蓄電素子20A~20H)がY軸方向に配列されている。なお、蓄電素子20の形状や、配列される蓄電素子20の個数は限定されない。また、蓄電素子20は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよく、さらに、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。
【0041】
具体的には、蓄電素子20は、金属製の容器21を備え、容器21の蓋部分には、金属製の電極端子である正極端子22及び負極端子23が設けられている。なお、容器21の蓋部分には、電解液を注液する注液部や、容器21内の圧力上昇時にガスを排出して圧力を開放するガス排出弁等が設けられていてもよい。また、容器21の内方には、電極体(蓄電要素または発電要素ともいう)及び集電体(正極集電体及び負極集電体)等が配置され、電解液(非水電解質)などが封入されているが、詳細な説明は省略する。
【0042】
ここで、正極端子22及び負極端子23は、容器21の蓋部分から、蓋体100に向けて(上方、つまりZ軸方向プラス側に向けて)突出して配置された、ネジ山が形成されたボルト部を有するボルト端子である。そして、複数の蓄電素子20の最も外側の電極端子である蓄電素子20Aの負極端子23と蓄電素子20Hの正極端子22とが、蓋体100のX軸方向プラス側かつY軸方向両側の角部に形成された開口部100bから、露出して配置される。この最も外側の電極端子が外部端子(図示せず)に接続される、または、この最も外側の電極端子が外部端子として機能することにより、蓄電ユニット10が、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる。
【0043】
中蓋30は、外装体11の中蓋を構成する扁平な矩形状の部材であり、外装体本体200の補強を行う機能を有している。また、中蓋30は、ハーネスプレート50と蓄電素子20との間に配置され、ハーネスプレート50を下方から保持するとともに、蓄電素子20を上方から保持する。中蓋30は、例えば、PC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁材料により構成されている。また、中蓋30のX軸方向プラス側かつY軸方向両側の角部には、開口部31が形成されている。この開口部31は、後述のサーミスタ63と蓄電素子20の電極端子とを繋ぐ接続部材41を挿通させるための開口である。
【0044】
バスバー40は、複数の蓄電素子20上(中蓋30上)に配置され、複数の蓄電素子20の電極端子同士を電気的に接続する矩形状の板状部材である。バスバー40は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の導電部材で形成されている。具体的には、バスバー40には貫通孔が形成されており、当該貫通孔に蓄電素子20の電極端子のボルト部が挿入されて、当該ボルト部にナットが締結されることで、バスバー40と電極端子とが接続される。本実施の形態では、バスバー40は、隣り合う蓄電素子20の正極端子22と負極端子23とを接続することで、8個の蓄電素子20を直列に接続している。なお、蓄電素子20の接続の態様は上記には限定されず、直列接続及び並列接続がどのように組み合わされていてもよい。
【0045】
また、上述の通り、複数の蓄電素子20の最も外側の電極端子である蓄電素子20Aの負極端子23と蓄電素子20Hの正極端子22とに対応した位置には、接続部材41が配置されている。接続部材41は、当該最も外側の電極端子とサーミスタ63とを接続する部材である。つまり、接続部材41には貫通孔が形成されており、当該貫通孔にこれらの最も外側の電極端子のボルト部が挿入され、また、接続部材41の先端部にサーミスタ63が接続されることで、当該電極端子の温度を計測することができる構成になっている。また、接続部材41は、先端部が中蓋30の開口部31に挿入されており、当該先端部以外の当該電極端子に接続される部分は、蓋体100の角部に形成された開口部100bから露出して配置されている。
【0046】
ハーネスプレート50は、内部配線60、コネクタ61、62、及びサーミスタ63等の電装部品が配置される扁平な矩形状の部材であり、蓄電素子20と蓋体100との間に配置されている。ハーネスプレート50は、例えば、PC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁材料により構成されている。つまり、ハーネスプレート50は、中蓋30上に載置されて、内部配線60、コネクタ61、62、及びサーミスタ63等を保持し、当該内部配線60等と他の部材との絶縁、及び、当該内部配線60等の位置規制等を行う。
【0047】
内部配線60は、例えば、蓄電素子20の各電極端子とコネクタ61とを接続する配線、及び、サーミスタ63とコネクタ62とを接続する配線など、各種接続を行うための配線を含む内部ハーネスであり、ハーネスプレート50に取り付けられている。
【0048】
コネクタ61は、蓄電素子20の各電極端子と接続される高電圧用のコネクタである。コネクタ61は、ハーネスプレート50に取り付けられて、蓋体100の中央部に形成された開口部100aから、露出して配置される。コネクタ62は、サーミスタ63と接続される低電圧用のコネクタである。コネクタ62は、ハーネスプレート50に取り付けられて、蓋体100のX軸方向中央かつY軸方向マイナス側に形成された開口部100cから、露出して配置される。これにより、コネクタ61は、外装体11の中央部に配置され、コネクタ62は、外装体11の端部に配置される。また、コネクタ61、62は、接続口が外方へ向けて開口して配置され、当該接続口に外部配線が接続される。
【0049】
サーミスタ63は、ハーネスプレート50に取り付けられて、接続部材41を介して蓄電素子20の電極端子に接続され、当該電極端子の温度を計測する(つまり蓄電素子20の温度を計測する)温度センサである。本実施の形態では、2つのサーミスタ63が配置されているが、サーミスタ63の個数は特に限定されない。
【0050】
次に、蓄電ユニット10の蓋体100の構成、及び、蓋体100まわりの構成について、詳細に説明する。図3は、本実施の形態に係る蓄電ユニット10の蓋体100の構成を示す斜視図である。具体的には、図3の(a)は、図2に示された蓋体100の構成を拡大して示す斜視図であり、図3の(b)は、図3の(a)の蓋体100を斜め下方から見た場合の斜視図である。また、図4及び図5は、本実施の形態に係る蓄電ユニット10の蓋体100まわりの構成を示す断面図である。具体的には、図4は、図1に示された蓄電ユニット10をIV-IV線を含むXZ平面に平行な面で切断した場合の蓋体100まわりの構成を示す断面図である。また、図5は、図1に示された蓄電ユニット10をV-V線を含むYZ平面に平行な面で切断した場合の蓋体100まわりの構成を示す断面図である。
【0051】
これらの図に示すように、蓋体100は、バスバー40に対向して配置される外面が突出した凸部110と、凸部110に隣接して配置される外面が凹んだ凹部120とを有している。本実施の形態では、凸部110は、蓄電素子20の電極端子に対向して配置される凸部である。なお、凸部110は、第一凸部の一例である。
【0052】
具体的には、凸部110は、蓄電素子20Bの負極端子23及び正極端子22に対向する位置に、凸部111及び112を有している。つまり、凸部110は、蓄電素子20Bの負極端子23に接続されたバスバー40、及び、蓄電素子20Bの正極端子22に接続されたバスバー40に対向する位置に、凸部111及び112を有している。また、凸部110は、蓄電素子20Cの正極端子22及び負極端子23に対向する位置に、凸部113及び114を有している。つまり、凸部110は、蓄電素子20Cの正極端子22に接続されたバスバー40、及び、蓄電素子20Cの負極端子23に接続されたバスバー40に対向する位置に、凸部113及び114を有している。
【0053】
同様に、凸部110は、蓄電素子20Dの負極端子23及び正極端子22、並びに、蓄電素子20Eの正極端子22及び負極端子23のぞれぞれの電極端子に対向する位置に、凸部115~118を有している。つまり、凸部110は、蓄電素子20Dの負極端子23に接続されたバスバー40、蓄電素子20Dの正極端子22に接続されたバスバー40、蓄電素子20Eの正極端子22に接続されたバスバー40、及び、蓄電素子20Eの負極端子23に接続されたバスバー40に対向する位置に、凸部115~118を有している。
【0054】
なお、凸部111及び112は、蓄電素子20Aの正極端子22に対向する凸部とともに接続されて、1つの大きな凸部101を形成している。この凸部101の、蓄電素子20Aの負極端子23に対向する位置には、開口部100bが形成されている。また、凸部117及び118は、蓄電素子20F及び20Gの正極端子22及び負極端子23と蓄電素子20Hの負極端子23とに対向する凸部とともに接続されて、1つの大きな凸部102を形成している。この凸部102の、蓄電素子20Hの正極端子22に対向する位置には、開口部100bが形成されている。
【0055】
ここで、凸部110(凸部111~118)は、蓋体100の外面が突出し、かつ内面が凹んで形成された凹凸構造の部位であり、内面の凹んだ部分に、蓄電素子20の電極端子のボルト部及びナットが配置される。つまり、凸部110は、蓄電素子20の電極端子の上部の周囲及び上方を覆うように配置されている。
【0056】
また、凹部120は、異なる2つの蓄電素子20の電極端子に対向して配置される2つの凸部110の間に配置される第一凹部121~126を有している。具体的には、第一凹部121は、隣り合う2つの蓄電素子20の電極端子である蓄電素子20Bの負極端子23及び蓄電素子20Cの正極端子22に対向した2つの凸部110である凸部111及び113の間に配置される凹部である。同様に、第一凹部122は、蓄電素子20Bの正極端子22及び蓄電素子20Cの負極端子23に対向した凸部112及び114の間に配置される凹部である。第一凹部123~126についても、同様である。
【0057】
また、凹部120は、同一の蓄電素子20の2つの電極端子に対向して配置される2つの凸部110の間に配置される第二凹部127~129を有している。具体的には、第二凹部127は、蓄電素子20Bの負極端子23及び正極端子22に対向した2つの凸部110である凸部111及び112の間に配置される凹部である。同様に、第二凹部128は、蓄電素子20Cの正極端子22及び負極端子23に対向した凸部113及び114の間、第二凹部129は、蓄電素子20Dの負極端子23及び正極端子22に対向した凸部115及び116の間に配置される凹部である。
【0058】
このように、凹部120は、第一凹部121~126及び第二凹部127~129が接続されて形成された1つの大きな凹部であり、底面103を有している。そして、この凹部120の底面103と凸部102との境界位置に、開口部100aが形成されている。そして、開口部100aに、コネクタ61が配置される。これにより、図4に示すように、コネクタ61の接続口61aは、凹部120の底面103に沿う方向かつ凹部120の内方に向けて開口して配置される。
【0059】
また、外装体11は、凹部120が形成されていない部分に、ハーネスプレート50に対向するリブ130、131を有している。つまり、蓋体100の凸部110(凸部101及び102)の内面(Z軸方向マイナス側の面)に、下方(Z軸方向マイナス側)に突出する矩形状のリブ130、131が配置されている。具体的には、図5に示すように、リブ130は、ハーネスプレート50に向けて突出し、先端がハーネスプレート50の上面に当接する位置に配置されている。
【0060】
また、リブ131は、中蓋30に向けて突出し、中蓋30の開口部31を塞ぐ位置に配置されている。つまり、リブ131は、サーミスタ63に隣り合う開口である開口部31を塞ぐ位置に配置されている。本実施の形態では、リブ131は、サーミスタ63に接続された接続部材41の先端部の上面に当接するように配置されて、サーミスタ63を上方から押さえるとともに、サーミスタ63近傍の開口部31の少なくとも一部を塞いでいる。
【0061】
また、蓋体100には、外部配線を凹部120内で保持する保持部113a、114aが設けられている。保持部113a、114aは、凸部113と凸部114との間に、凸部113、114と連続して形成された凸部であり、先端部分に貫通孔が形成されている。つまり、蓄電ユニット10に外部配線が接続され、当該外部配線が凹部120に配置されて、保持部113a、114aによって凹部120内で保持される。これらのことについて、以下に詳細に説明する。図6は、本実施の形態に係る蓄電装置1の構成を示す平面図である。
【0062】
同図に示すように、蓄電装置1は、3つの蓄電ユニット10である第一蓄電ユニット10A、第二蓄電ユニット10B及び第三蓄電ユニット10Cと、3つの導電部材12である第一導電部材12A、第二導電部材12B及び第三導電部材12Cとを備えている。第一導電部材12Aは、第一蓄電ユニット10Aに接続される外部配線(外部ハーネス)である。同様に、第二導電部材12B及び第三導電部材12Cは、第二蓄電ユニット10B及び第三蓄電ユニット10Cに接続される外部配線(外部ハーネス)である。
【0063】
そして、第一導電部材12Aは、第一蓄電ユニット10Aのコネクタ61に接続され、第二導電部材12Bは、第二蓄電ユニット10Bのコネクタ61に接続され、第三導電部材12Cは、第三蓄電ユニット10Cのコネクタ61に接続される。この際、第一導電部材12Aは、第一蓄電ユニット10Aの凹部120に配置され、第二導電部材12Bは、第一蓄電ユニット10Aの凹部120及び第二蓄電ユニット10Bの凹部120に配置される。同様に、第三導電部材12Cは、第一蓄電ユニット10Aの凹部120、第二蓄電ユニット10Bの凹部120及び第三蓄電ユニット10Cの凹部120に配置される。
【0064】
具体的には、第一導電部材12Aは、第一蓄電ユニット10Aの第一凹部125に配置される。また、第二導電部材12Bは、第一蓄電ユニット10Aの第一凹部123及び124、並びに、第二蓄電ユニット10Bの第一凹部123及び第二凹部129に配置される。同様に、第三導電部材12Cは、第一蓄電ユニット10Aの第一凹部121及び122、第二蓄電ユニット10Bの第一凹部121及び122、並びに、第三蓄電ユニット10Cの第一凹部121、第二凹部128及び129に配置される。なお、これらの導電部材12(外部配線)は、基板等に接続され、蓄電装置1内の蓄電素子20の充放電等についての制御等が行われる。
【0065】
また、それぞれの蓄電ユニット10は、導電部材12を覆うハーネスカバー70を備えている。つまり、それぞれの蓄電ユニット10の外装体11の蓋体100には、保持部113a、114aが設けられている。そして、この保持部113a、114aにハーネスカバー70が載置されて固定されることで、導電部材12が凹部120内で保持される。例えば、ハーネスカバー70に設けられた突起が、保持部113a、114aに形成された貫通孔に挿入(嵌合)される等によって、ハーネスカバー70が蓋体100に固定される。
【0066】
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1によれば、蓄電ユニット10の外装体11は、バスバー40に対向した凸部110と、凸部110に隣接した凹部120とを有しており、蓄電ユニット10に接続される導電部材12は、凹部120に配置されている。つまり、蓄電ユニット10において、バスバー40が配置される部分は外方へ突出しているため、バスバー40に沿って外装体11を形成すると、外装体11のバスバー40に対向する位置に凸部110が形成され、当該凸部110に隣接する位置に凹部120が形成される。これにより、蓄電ユニット10に接続される外部配線等の導電部材12を凹部120に配置することで、凹部120内の空間を有効活用し、省スペース化を図ることができる。
【0067】
また、蓄電素子20の電極端子は外方へ突出しているため、当該電極端子に沿って外装体11を形成すると、外装体11の当該電極端子に対向する位置に凸部110が形成され、凸部110に隣接する位置に凹部120が形成される。これにより、蓄電ユニット10に接続される外部配線等の導電部材12を凹部120に配置することで、凹部120内の空間を有効活用し、省スペース化を図ることができる。
【0068】
また、蓄電ユニット10の外装体11には、異なる2つの蓄電素子20の電極端子に対向した2つの凸部110の間に、第一凹部121~126が形成されている。つまり、異なる蓄電素子20の電極端子間の隙間に対向して、外装体11の外面に第一凹部121~126を形成し、第一凹部121~126のいずれかの凹部に導電部材12を配置することで、異なる蓄電素子20の電極端子間の隙間を有効活用し、省スペース化を図ることができる。
【0069】
また、蓄電ユニット10の外装体11には、同一の蓄電素子20の2つの電極端子に対向した2つの凸部110の間に、第二凹部127~129が形成されている。つまり、同一の蓄電素子20の電極端子間の隙間に対向して、外装体11の外面に第二凹部127~129を形成し、第二凹部127~129のいずれかの凹部に導電部材12を配置することで、同一の蓄電素子20の電極端子間の隙間を有効活用し、省スペース化を図ることができる。
【0070】
また、蓄電ユニット10は、導電部材12としての外部配線が接続されるコネクタ61を有しており、コネクタ61の接続口61aは、外装体11の凹部120の底面103に沿う方向かつ凹部120の内方に向けて開口して配置されている。このように、コネクタ61の接続口61aが外装体11の凹部120に向いて開口しているため、外部配線を凹部120に配置してコネクタ61に接続することができる。これにより、凹部120を、外部配線をコネクタ61に接続するためのスペースとして有効活用することができるため、省スペース化を図ることができる。
【0071】
また、コネクタ61を外装体11の中央部に配置することで、外部の衝撃等から、コネクタ61及びそれに接続された外部配線(導電部材12)を保護することができる。つまり、コネクタ61を外装体11の中央部に位置する凹部に配置することで、コネクタ61の外方には凸部110が配置されるため、凸部110によって、コネクタ61及び外部配線が外部の部材と干渉するのが抑制され、コネクタ61及び外部配線を効果的に保護することができる。例えば、外部配線が蓄電素子20の電極端子に電気的に接続されていれば、外部配線同士が接触して短絡を起こすおそれがあるため、それを保護することができる。このように、コネクタ61を外装体11の中央部に配置することで、省スペース化を図りつつ、コネクタ61及び外部配線を効果的に保護することができる。
【0072】
また、外装体11は、導電部材12を凹部120内で保持する保持部113a、114aを有している。つまり、ハーネスカバー70が蓋体100の保持部113a、114aに保持されることで、導電部材12が凹部120内で保持されている。このため、外装体11の凹部120で導電部材12を保持して、導電部材12が凹部120から浮き上がったり外装体11から外れたりするのを抑制することができる。このように、導電部材12を凹部120内で保持して凹部120からはみ出さないようにすることで、省スペース化を図ることができる。
【0073】
また、蓄電装置1は、蓄電ユニット10である第一蓄電ユニット10A及び第二蓄電ユニット10B等と、導電部材12である第一導電部材12A及び第二導電部材12B等とを備えており、第二導電部材12Bは、第一蓄電ユニット10Aの外装体11の凹部120に配置される。このように、第一蓄電ユニット10Aの外装体11の凹部120内の空間を、第二蓄電ユニット10Bに接続される第二導電部材12Bを配置するスペースとしても有効活用することで、省スペース化を図ることができる。
【0074】
また、外装体11には、凹部120が形成されていない部分に、ハーネスプレート50に対向するリブ130、131が設けられている。つまり、外装体11の凹部120が形成されていない部分には、ハーネスプレート50との間に隙間が生じているため、ハーネスプレート50との間にリブ130、131を配置する。このように、外装体11に導電部材12を配置するための凹部120を形成したとしても、それに伴うハーネスプレート50との間の隙間をリブ130、131が埋めることができるため、ハーネスプレート50、及びハーネスプレート50上の内部配線60やコネクタ61、62等が、浮き上がるのを抑制することができる。
【0075】
また、外装体11のリブ131は、サーミスタ63に隣り合う開口部31を塞ぐ位置に配置されるため、サーミスタ63付近の開口部31を外装体11のリブ131で塞ぐことで、サーミスタ63が外部の温度により影響を受けるのを抑制することができる。このように、ハーネスプレート50との間の隙間を埋める外装体11のリブ131を、サーミスタ63付近の開口部31を塞ぐリブとしても活用することができる。
【0076】
(変形例)
次に、上記実施の形態の変形例について、説明する。上記実施の形態では、蓄電素子20の電極端子はボルト部を有するボルト端子であり、当該ボルト部がバスバー40の貫通孔に挿入されて当該ボルト部にナットが締結されることで、蓄電素子20の電極端子とバスバー40とが接続されることとした。しかし、本変形例では、蓄電素子の電極端子は、ボルト部を有しておらず、溶接にてバスバーと接続(接合)される溶接端子である。
【0077】
図7は、本実施の形態の変形例に係る蓄電ユニットの蓋体300まわりの構成を示す断面図である。また、図8は、本実施の形態の変形例に係る蓄電ユニットの構成を示す平面図である。なお、図7は、図5の一部に対応する図であり、図8は、図6の一部に対応する図である。
【0078】
図7及び図8に示すように、本変形例における蓄電素子20(同図では、蓄電素子20I~20K)は、上記実施の形態における蓄電素子20の正極端子22及び負極端子23に代えて、正極端子24及び負極端子25を有している。また、本変形例におけるバスバー42は、端子接続部42aと中間部42bとを有している。
【0079】
正極端子24及び負極端子25は、バスバー42と溶接によって接続(接合)される溶接端子である。具体的には、正極端子24及び負極端子25は、バスバー42の端子接続部42aと溶接によって接合される。例えば、蓄電素子20Iの正極端子24が、バスバー42のうちの一方の端子接続部42aと溶接接合され、蓄電素子20Jの負極端子25が、バスバー42のうちの他方の端子接続部42aと溶接接合される。
【0080】
つまり、端子接続部42aは、バスバー42のうちの、蓄電素子20の電極端子と接続される部位であり、1つのバスバー42に対して、異なる2つの蓄電素子20の電極端子と接続される2つの端子接続部42aが配置されている。また、中間部42bは、2つの端子接続部42aの間に配置される部位である。なお、中間部42bは、バスバー42がY軸方向およびZ軸方向に伸縮可能なように設けられた湾曲部分(ヒンジ部)であり、2つの端子接続部42aからZ軸方向プラス側に突出して設けられている。
【0081】
また、本変形例における蓋体300は、上記実施の形態における蓋体100の凸部110及び凹部120に代えて、凸部310及び凹部320を有している。つまり、凸部310は、バスバー42に対向して配置される外面が突出した凸部であり、凹部320は、凸部310に隣接して配置される外面が凹んだ凹部である。
【0082】
ここで、凸部310は、蓄電素子20の電極端子(同図では、蓄電素子20I~20Kの正極端子24及び負極端子25)に対向して配置される第一凸部311を有している。つまり、第一凸部311は、バスバー42の端子接続部42aに対向して配置されている。具体的には、第一凸部311は、蓄電素子20の電極端子及び端子接続部42aの上方(Z軸方向プラス側)を覆うように配置されており、上面視で(Z軸方向から見て)、当該電極端子及び端子接続部42aに対応した形状(同図では、矩形状)を有している。また、第一凸部311は、後述する凹部320の第一凹部321や第二凹部322よりも突出して配置されている。
【0083】
また、凸部310は、バスバー42の中間部42bに対向して配置される第二凸部312を有している。具体的には、第二凸部312は、中間部42bの上方(Z軸方向プラス側)を覆うように配置されており、上面視で(Z軸方向から見て)、中間部42bに対応した形状(同図では、矩形状)を有している。また、第二凸部312は、第一凸部311よりも突出して形成されている。
【0084】
凹部320は、異なる2つの蓄電素子20の電極端子(例えば、蓄電素子20Jの負極端子25及び蓄電素子20Kの正極端子24)に対向して配置される2つの第一凸部311の間に配置される第一凹部321を有している。具体的には、第一凹部321は、隣り合う2つのバスバー42の間において、蓄電素子20の容器21の蓋部分に対向して配置されており、上面視で(Z軸方向から見て)、当該2つのバスバー42の間の空間に対応した形状(同図では、矩形状)を有している。なお、第一凹部321は、上記実施の形態における第一凹部121~126と同様の構成を有している。
【0085】
また、凹部320は、同一の蓄電素子20の2つの電極端子(例えば、蓄電素子20Iの正極端子24及び負極端子25)に対向して配置される2つの第一凸部311の間に配置される第二凹部322を有している。なお、第二凹部322は、上記実施の形態における第二凹部127~129と同様の構成を有している。
【0086】
さらに、凹部320は、2つの端子接続部42aのうちの少なくとも1つの端子接続部42aに対向して配置される、第二凸部312よりも凹んだ第三凹部323を有している。本変形例では、第三凹部323は、上述の第一凸部311である。つまり、第一凸部311は、第一凹部321や第二凹部322に対しては凸部であるが、第二凸部312に対しては凹部であるため、第三凹部323と言い換えることもできる。
【0087】
以上のような構成において、図6で説明したように、導電部材12は、凹部320に配置される。つまり、導電部材12は、第一凹部321、第二凹部322及び第三凹部323のいずれかの凹部に配置される。
【0088】
ここで、例えば、X軸方向に導電部材12を延設して配置する場合(図6における第二導電部材12Bや第三導電部材12Cのような場合)には、導電部材12を第一凹部321に配置してX軸方向に延設すれば、導電部材12が第二凸部312と干渉してしまう。
【0089】
具体的には、蓄電素子20Jの負極端子25と蓄電素子20Kの正極端子24との間に対向して配置される第一凹部321および第二凹部322によって形成された溝形状の部分に、導電部材12を配置することは可能である。しかし、隣接する蓄電ユニット10に亘って、X軸方向に向けて真っ直ぐに延設して配置される導電部材12(図6における第二導電部材12Bや第三導電部材12C)については、蓄電素子20Jの正極端子24と蓄電素子20Kの負極端子25との間に対向して配置される第二凸部312と導電部材12とが、Z軸方向に重なるように配置されることになるため、ユニット全体の高さ方向の寸法が大きくなってしまう。
【0090】
このような場合には、導電部材12をX軸方向両側の第三凹部323(及び第二凹部322)に配置することで、X軸方向に平行に導電部材12を配置することができる。また、図6に示したように、導電部材12をコネクタ61に接続する場合には、導電部材12を第一凹部321にも配置することができる。例えば、図6における第一導電部材12Aについては、第一凹部321にも問題なく配置できる。
【0091】
図6における第二導電部材12Bや第三導電部材12Cについては、上述したZ軸方向の干渉の課題に対する他の解決方法として、例えば、第二凹部322または隣接する蓄電ユニット10の間において導電部材12を屈曲させて、第二凸部312を回避して第一凹部321に導電部材12を配置することが可能である。
【0092】
なお、本変形例におけるその他の構成については、上記実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0093】
以上のように、本変形例に係る蓄電装置によれば、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。特に、蓄電ユニットの外装体(蓋体300)は、バスバー42の中間部42bに対向して配置される第二凸部312を有している。つまり、バスバー42の中間部42bが外方へ突出している場合には、中間部42bに沿って外装体を形成すると、外装体の中間部42bに対向する位置に第二凸部312が形成され、第二凸部312に隣接する位置に凹部320が形成される。これにより、蓄電ユニットに接続される外部配線等の導電部材を凹部320に配置することで、凹部320内の空間を有効活用し、省スペース化を図ることができる。
【0094】
また、蓄電ユニットの外装体(蓋体300)は、バスバー42の端子接続部42aに対向して配置される第三凹部323を有している。つまり、バスバー42のうちの端子接続部42aは中間部42bよりも凹んでいるため、バスバー42に沿って外装体を形成すると、端子接続部42aに対向した第三凹部323が形成される。これにより、蓄電ユニットに接続される外部配線等の導電部材を第三凹部323に配置することで、第三凹部323内の空間を有効活用し、省スペース化を図ることができる。
【0095】
なお、バスバー42において、中間部42bは、端子接続部42aからZ軸方向プラス側に突出して設けられた湾曲状の部位であることとした。しかし、中間部42bが上述のような湾曲状ではない平板状等の場合でも、中間部42bに電圧や温度計測用のハーネス等が接続されることで、当該ハーネス等との接続部分が端子接続部42aから突出する場合には、蓋体300は、上記構成と同様の凸部を有することとなる。この場合、上記変形例と同様のことが言え、上記変形例と同様の効果を奏することができる。
【0096】
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0097】
例えば、上記実施の形態では、蓄電ユニット10として、複数の蓄電素子20を備えた電池モジュールを例示したが、複数の電池モジュールを備えた電池パックを蓄電ユニット10としてもよい。上記変形例についても同様である(以下についても同様)。
【0098】
また、上記実施の形態では、蓋体100に形成される凹部120は、2つの凸部110の間に形成されているものとしたが、1つの凸部110に隣接した凹部(蓋体100の外面が階段状に凹んだ凹部)を凹部120としてもよい。
【0099】
また、上記実施の形態では、導電部材12は、外部配線であることとしたが、導電部材12は、外部配線以外の導電部材であってもよい。例えば、基板、ヒューズ、リレー、サーミスタ、その他の電気部品等を導電部材12としてもよい。
【0100】
また、上記実施の形態では、蓄電装置1は、3つの蓄電ユニット10が一列に並んで配置されていることとしたが、蓄電装置1が備える蓄電ユニット10の個数及び並べ方は、上記には限定されない。例えば、蓄電ユニット10は1つしか配置されていなくてもよいし、蓄電ユニット10が複数配置される場合には、いくつの蓄電ユニット10がどのような位置に配置されてもかまわない。
【0101】
また、上記実施の形態では、導電部材12は、図6に示すような位置に配置されることとしたが、それぞれの導電部材12は、それぞれの蓄電ユニット10が有する蓋体100の凹部120のうちのどの凹部に配置されてもかまわない。
【0102】
また、上記実施の形態では、蓋体100に保持部113a、114aが設けられて、ハーネスカバー70が配置されることとした。しかし、蓋体100に保持部113a、114aが設けられることなくハーネスカバー70が配置される構成でもよいし、ハーネスカバー70が配置されない構成でもかまわない。
【0103】
また、上記実施の形態では、蓄電ユニット10は、凹部120に向いて開口した接続口61aを有するコネクタ61を蓋体100の中央部に備えており、コネクタ61に外部配線が接続されることとした。しかし、コネクタ61は、蓋体100のどの位置に配置されていてもよいし、コネクタ61の接続口61aは、どの方向に向いて開口していてもよい。または、蓄電ユニット10は、コネクタ61を有しておらず、開口部100aから延びる配線等が凹部120に配置されることにしてもよい。
【0104】
また、上記実施の形態では、蓋体100には、ハーネスプレート50に当接するリブ130と、接続部材41に当接しサーミスタ63近傍の開口部31の一部を塞ぐリブ131とが設けられていることとした。しかし、リブ130は、ハーネスプレート50に当接していなくてもよく、また、リブ131は、接続部材41に当接していなくてもよいし、開口部31の全部を塞いでいてもよい。または、蓋体100には、リブ130、131が設けられていない構成でもかまわない。または、ハーネスプレート50やサーミスタ63が配置されていない構成でもかまわない。
【0105】
また、上記実施の形態及びその変形例に含まれる構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0106】
なお、本発明は、蓄電装置として実現することができるだけでなく、当該蓄電装置が備える外装体(蓋体100または300)としても実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子を備えた蓄電装置に適用できる。
【符号の説明】
【0108】
1 蓄電装置
10 蓄電ユニット
10A 第一蓄電ユニット
10B 第二蓄電ユニット
11 外装体
12 導電部材
12A 第一導電部材
12B 第二導電部材
20、20A~20K 蓄電素子
22、24 正極端子
23、25 負極端子
31 開口部
40、42 バスバー
42a 端子接続部
42b 中間部
50 ハーネスプレート
60 内部配線
61、62 コネクタ
61a 接続口
63 サーミスタ
100、300 蓋体
101、102、110~118、310 凸部
103 底面
113a、114a 保持部
120、320 凹部
121~126、321 第一凹部
127~129、322 第二凹部
130、131 リブ
311 第一凸部
312 第二凸部
323 第三凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8