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  • 特許-実装方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】実装方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20231110BHJP
   C09J 7/10 20180101ALI20231110BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20231110BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20231110BHJP
   C09J 11/00 20060101ALI20231110BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
H01L21/60 311Q
C09J7/10
C09J7/35
C09J7/38
C09J11/00
C09J201/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018124792
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020004909
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-20
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】杉下 芳昭
【合議体】
【審判長】瀧内 健夫
【審判官】中野 浩昌
【審判官】松永 稔
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2012-0119059(KR,A)
【文献】特開2003-282629(JP,A)
【文献】特開2013-115185(JP,A)
【文献】特開2006-261529(JP,A)
【文献】国際公開第2006/118033(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸部が形成された凸部形成面を有する被着体の当該凸部形成面に、所定のエネルギーが付与されることで膨張する膨張性粒子が添加された接着剤層を積層する積層工程と、
前記凸部を支持体に接触させ、前記接着剤層が積層された前記被着体を当該支持体に取り付ける実装工程と、
前記接着剤層に前記エネルギーを付与して前記膨張性粒子を膨張させることで、当該膨張性粒子を膨張させる前に比べ、前記支持体に対する前記接着剤層の接触領域を増大させるエネルギー付与工程とを実施する実装方法において、
前記積層工程の前段で、予め層状に成形された前記接着剤層を用意する工程をさらに実施し、
前記積層工程では、前記凸部を前記接着剤層にめり込ませて当該接着剤層を前記被着体に積層することを特徴とする実装方法。
【請求項2】
前記接着剤層の厚みは、前記凸部の高さ以下に設定され、前記エネルギー付与工程で前記接着剤層に前記エネルギーを付与する前段で、前記接着剤層が前記支持体に接触していない未接触状態、または、部分的に接触した未接触部過多状態とすることを特徴とする請求項1に記載の実装方法。
【請求項3】
前記積層工程と実装工程との間で、前記凸部が前記支持体に接触する接触部に付着している異物を除去する除去工程を実施することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の実装方法。
【請求項4】
前記実装工程の前段で、前記被着体を個片化して個片体を形成する個片化工程を実施し、前記実装工程では、前記接着剤層が積層された前記個片体を支持体に取り付けることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の実装方法。
【請求項5】
前記接着剤層の一方の面には、他のシートが仮着され、
前記積層工程では、前記接着剤層の他方の面を前記凸部形成面に接触させて当該接着剤層を前記凸部形成面に積層し、
前記実装工程の前段で、前記接着剤層が積層された前記被着体から前記他のシートを剥離する剥離工程を実施することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、凸部が形成された被着体を所定の支持体に取り付ける実装方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-103362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の半導体装置の製造方法(実装方法)では、樹脂層13(接着剤層)が基板4(支持体)に積極的に接着されないので、バンプ付チップ2a(被着体)は、バンプ22(凸部)を介した凸部接合が主となって支持体に接合されるだけなので、被着体の支持体に対する接着力が不足する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、被着体の支持体に対する接着力が不足することを防止することができる実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、膨張性粒子を膨張させ、支持体に対する接着剤層の接触領域を増大させるので、被着体の支持体に対する接着力が不足することを防止することができる。
また、被着体を支持体に取り付けた際、接着剤層を未接触状態または未接触部過多状態とすることで、接着剤層の厚みが障壁となって凸部と支持体とが未接触となることを防止することができる。
さらに、除去工程を実施することで、凸部と支持体との間に異物が介在することを防止し、それらの接触を確実なものとすることができる。
また、個片化工程を実施すれば、被着体を個片化して形成した個片体を支持体に取り付けることができる。
さらに、剥離工程を実施すれば、一方の面に他のシートが仮着された接着剤層の態様のものに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(A)~(G)は、本発明の実施形態に係る実装方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1中手前方向から観た場合を基準とし、図を指定することなく方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な図1(A)中手前方向で「後」がその逆方向とする。
【0010】
本発明の実装方法は、凸部としてのバンプBPが形成された凸部形成面WF1を有する被着体としての半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」ともいう)WFの当該凸部形成面WF1に、所定のエネルギーとしての熱HTが付与されることで膨張する膨張性粒子SGが添加された接着剤層ALを積層する積層工程PC1と、バンプBPを支持体としてのリードフレームLFに接触させ、接着剤層ALが積層されたウエハWFを当該リードフレームLFに取り付ける実装工程PC4と、接着剤層ALに熱HTを付与して膨張性粒子SGを膨張させることで、当該膨張性粒子SGを膨張させる前に比べ、リードフレームLFに対する接着剤層ALの接触領域を増大させるエネルギー付与工程PC5とを実施する。
なお、本実施形態では、積層工程PC1と実装工程PC4との間で、バンプBPがリードフレームLFに接触する接触部BP1に付着している異物を除去する除去工程PC2を実施し、さらに、実装工程PC4の前段で、ウエハWFを個片化して個片体としてのチップCPを形成する個片化工程PC3を実施する。また、接着剤層ALの厚みは、バンプBPの高さ以下に設定されている。
【0011】
積層工程PC1は、図1(A)に示すように、押圧ローラ11(押圧手段)を接着剤層AL上で転動させ、当該接着剤層ALをバンプBPおよび凸部形成面WF1に押圧して貼付する。この積層工程PC1では、転動する押圧ローラ11とウエハWFとの一方の移動を規制した状態で他方を移動させたり、それら両方を移動させたりすることで、転動する押圧ローラ11とウエハWFとを相対移動させてウエハWFに接着剤層ALを貼付することができる。
なお、積層工程PC1を終えると、バンプBPは、押圧ローラ11の押圧によって接着剤層ALにめり込み、接触部BP1が接着剤層ALから表出した状態、または、接触部BP1に接着剤層ALが薄膜状態となって覆い被さった状態となる。
【0012】
除去工程PC2は、図1(B)に示すように、回転ブラシ21(除去手段)を回転させ、当該回転する回転ブラシを接触部BP1に接触させることで、例えば、当該接触部BP1上に薄膜状態となって覆い被さっている接着剤層ALを異物として除去する。この除去工程PC2では、回転する回転ブラシ21とウエハWFとの一方の移動を規制した状態で他方を移動させたり、それら両方を移動させたりすることで、回転する回転ブラシとウエハWFとを相対移動させて接触部BP1から異物を除去することができる。
【0013】
個片化工程PC3は、図1(C)に示すように、回転ブレード31(切断手段)を回転させ、当該回転する回転ブレード31をウエハWFの切断予定ラインに沿って移動させることで、当該ウエハWFを個片化してチップCPを形成する。この個片化工程PC3では、回転する回転ブレード31とウエハWFとの一方の移動を規制した状態で他方を移動させたり、それら両方を移動させたりすることで、回転する回転ブレード31とウエハWFとを相対移動させてウエハWFを個片化することができる。
【0014】
実装工程PC4は、接着剤層ALが積層されたチップCPをリードフレームLFに取り付ける。すなわち、実装工程PC4は、図1(D)に示すように、保持プレート41(保持手段)でチップCPを吸着保持し、吸着保持したチップCPの接触部BP1をリードフレームLFの所定の位置に接触させた後、図示しない超音波振動手段でチップCPを振動させ、超音波接合による接合処理を行う。これにより、チップCPは、バンプBPを介した凸部接合のみによってリードフレームLFの所定の位置に取り付けられる。
なお、本実施形態では、エネルギー付与工程PC5で接着剤層ALに熱HTを付与する前段で、接着剤層ALがリードフレームLFに接触していない未接触状態(図1(D)参照)、または、部分的に接触した未接触部過多状態(図1(D1)、(D2)参照)とする。
ここで、未接触部過多状態とは、チップCPに積層されてリードフレームLF側に表出している接着剤層AL全体の領域に対し、当該接着剤層ALがリードフレームLFに接触している初期接触領域の割合が50%未満の状態のことをいう。
【0015】
エネルギー付与工程PC5は、図1(E)に示すように、コイルヒータ51(加熱手段)によって熱HTを発し、当該熱HTを接着剤層ALに付与して膨張性粒子SGを膨張させる。これにより、接着剤層ALに添加されている膨張性粒子SGが膨張し、当該接着剤層ALがリードフレームLFに当接することで、膨張性粒子SGを膨張させる前に比べてその接触領域が増大する。この結果、凸部接合のみ、または、凸部接合および未接触部過多状態でリードフレームLFに取り付けられていたチップCPは、接着剤層ALの大部分によってもリードフレームLFに接着する。
【0016】
以上のような実施形態によれば、膨張性粒子SGを膨張させ、リードフレームLFに対する接着剤層ALの接触領域を増大させるので、チップCPのリードフレームLFに対する接着力が不足することを防止することができる。
【0017】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、実装工程は、凸部を支持体に接触させ、接着剤層が積層された被着体を当該支持体に取り付ける工程であれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0018】
例えば、接着剤層ALの一方の面AL1には、他のシートとしての剥離シートRLが仮着され、積層工程PC1では、接着剤層ALの他方の面AL2を凸部形成面WF1に接触させて当該接着剤層ALを凸部形成面WF1に積層し、実装工程PC4の前段で、接着剤層ALが積層されたウエハWFから剥離シートRLを剥離する剥離工程PC6を実施してもよい。
すなわち、積層工程PC1では、図1(F)に示すように、剥離シートRLを介して押圧ローラ11で接着剤層ALをウエハWFの凸部形成面WF1に押圧して貼付し、その後、剥離工程PC6を実施する。
剥離工程PC6は、図1(G)に示すように、吸着保持部材61(保持手段)で剥離シートRLを吸着保持し、接着剤層ALから剥離シートRLを剥離する。この剥離工程は、剥離シートRLを吸着保持した吸着保持部材61とウエハWFとの一方の移動を規制した状態で他方を移動させたり、それら両方を移動させたりすることで、剥離シートRLを吸着保持した吸着保持部材61とウエハWFとを相対移動させて剥離シートを接着剤層ALから剥離することができる。
【0019】
積層工程PC1は、直動モータ(駆動機器)の出力軸に支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の減圧手段によって吸着保持が可能な保持部材で接着剤層ALを吸着保持し、当該保持部材で保持した接着剤層ALを凸部形成面WF1に押圧して貼付する貼付装置の他、公知の貼付装置や人手によって接着剤層ALを凸部形成面WF1に貼付してもよい。
【0020】
除去工程PC2は、例えば、個片化工程PC3の後段で実施してもよく、積層工程PC1と実装工程PC4との間であればどの段階で実施してもよいし、例えば、プラズマ処理によって接触部BP1から異物を除去してもよいし、熱風や洗浄液を付与し、接触部BP1から異物を除去する除去装置の他、公知の除去装置や人手によって接触部BP1から異物を除去してもよいし、除去手段として、上記のもの以外に、例えば、サンドペーパや気体の吹付等が採用されてもよいし、本発明の実装方法において実施しなくてもよい。
なお、接触部BP1から除去する異物は、接着剤層ALの他、当該接触部BP1に付着した汚れや塵埃等が例示できる。
【0021】
個片化工程PC3は、例えば、積層工程PC1の前段で実施してもよいし、積層工程PC1と除去工程PC2との間で実施してもよいし、除去工程PC2を実施しない場合の積層工程PC1と実装工程PC4との間で実施してもよいしく、実装工程PC4の前段であればどの段階で実施してもよいし、例えば、改質部形成手段としてのレーザ照射器(改質部形成手段)によってレーザを発し、当該レーザを発するレーザ照射器をウエハWFの切断予定ラインに沿って移動させることで、当該ウエハWFに改質部を形成し、当該改質部が形成されたウエハWFに張力や振動等の外力を付与してチップCPを形成する個片化装置の他、公知の個片化装置や人手によってウエハWFを個片化してもよいし、本発明の実装方法において実施しなくてもよい。
なお、個片化工程PC3が、ウエハWFに改質部を形成してチップCPを形成する場合、当該改質部が形成されたウエハWFに外力を付与し、改質層を起点とした亀裂を形成する外力付与工程を行ってもよい。
改質部形成手段としては、レーザ光の他に、電磁波、振動、熱、薬品、化学物質等を付与し、ウエハWFの特性、特質、性質、材質、組成、構成、寸法等を変更することで、ウエハWFを脆弱化、粉砕化、液化または空洞化して改質部を形成するものでもよく、このような改質部は、被着体を個片化して個片体を形成することができればどのようなものでもよい。
個片化工程PC3では、ウエハWFを2分割にしてもよいし、3分割以上にしてもよいし、個片化によって形成されるチップCPの形状は、円形、楕円形、三角形または四角形以上の多角形等、どのような形状でもよい。
【0022】
実装工程PC4は、チャックシリンダ(駆動機器)でチップCPを把持し、当該チャックシリンダで把持したチップCPの接触部BP1をリードフレームLFの所定の位置に接触させて取り付ける実装装置の他、公知の実装装置や人手によってチップCPをリードフレームLFに取り付けてもよいし、接着剤層ALとリードフレームLFとを未接触状態または、未接触部過多状態としなくてもよく、例えば、エネルギー付与工程PC5で接着剤層ALに熱HTを付与する前段で、初期接触領域の割合が、例えば、51%、75%、99%等、50%以上でもよく、エネルギー付与工程PC5で膨張性粒子SGを膨張させることで、当該膨張性粒子SGを膨張させる前に比べ、リードフレームLFに対する接着剤層ALの接触領域を増大させることができればよい。
実装工程PC4で実施される接合処理は、接着(粘着)剤、接着(粘着)シート、接着(粘着)テープ等による接合の他、溶融、焼き付き、はんだ等による接合等、どのような接合処理方法でもよい。
【0023】
エネルギー付与工程PC5は、赤外線ヒータによって熱HTを発し、当該熱HTを接着剤層ALに付与して膨張性粒子SGを膨張させるエネルギー付与装置の他、公知のエネルギー付与装置や人手によって接着剤層ALに熱HTを付与して膨張性粒子SGを膨張させてもよいし、加熱手段として、上記のもの以外に、例えば、ヒートパイプの加熱側や温水給湯器等が採用されてもよい。
エネルギー付与工程PC5は、接着剤層ALに対して全体に一括で熱HTを付与してもよいし、接着剤層ALに対して部分的に熱HTを付与してもよいし、膨張性粒子SGの特性、特質、性質、材質、組成および構成等を考慮して、接着剤層ALに熱HTを付与する時間を任意に決定することができるし、ウエハWFまたはチップCPの一端から他端に向けて徐々に熱HTを付与してもよいし、ウエハWFまたはチップCP側から接着剤層ALに熱HTを付与してもよいし、リードフレームLF側から接着剤層ALに熱HTを付与してもよいし、ウエハWFまたはチップCPやリードフレームLFの側方から接着剤層ALに熱HTを付与してもよく、何れの位置から接着剤層ALに熱HTを付与してもよい。
エネルギー付与工程PC5は、実装工程PC4で実施してもよく、この場合、例えば、実装工程PC4で、接着剤層ALが積層されたウエハWFをリードフレームLFに取り付けた際(この際、接合処理は実施してもよいし、実施しなくてもよい)、保持プレート41に内蔵した加熱手段を駆動し、接着剤層ALに熱HTを付与して膨張性粒子SGを膨張させることで、リードフレームLFに対する接着剤層ALの接触領域を増大させればよい。
【0024】
剥離工程6は、除去工程PC2を実施しない場合の個片化工程PC3と実装工程PC4との間で実施してもよく、この場合、個片化工程PC3では、剥離シートRL付の接着剤層ALが積層されたウエハWFを回転ブレード31で個片化すればよく、実装工程PC4の前段であればどの段階で実施してもよい。
また、剥離工程6は、帯状または枚葉の剥離用テープを剥離シートRLに貼付し、剥離シートRLに貼付した剥離用テープをチャックシリンダ(駆動機器)で把持し、当該チャック部材とウエハWFとを相対移動させて剥離シートRLを接着剤層ALから剥離する剥離装置の他、公知の剥離装置や人手によって剥離シートRLを接着剤層ALから剥離してもよい。
剥離工程6は、剥離の対象とする他のシートとして、所定の基材に所定の接着剤層が積層された接着シートや、接着剤層ALを保護するカバーシート等であってもよい。
【0025】
接着剤層ALは、紫外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯や熱風等の熱等、どのようなエネルギーで膨張する膨張性粒子SGが添加されているものが採用されてもよく、エネルギー付与工程PC5では、それら膨張性粒子SGの特性、特質、性質、材質、組成および構成等によって、紫外線、可視光線、音波、X線またはガンマ線等の電磁波や、熱湯や熱風等の熱等、どのようなエネルギーを所定のエネルギーとしてもよく、膨張性粒子SGを膨張させることで、当該膨張性粒子SGを膨張させる前に比べ、支持体に対する接着剤層ALの接触領域を増大させることができれば何でもよい。
【0026】
膨張性粒子SGは、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタンなどの加熱によって容易にガス化して膨張する物質が弾性を有する殻内に内包された微粒子等が例示でき、特願2017-73236、特開2013-159743、特開2012-167151、特開2001-123002等で開示されている熱発泡性微粒子や、特開2013-47321、特開2007-254580、特開2011-212528、特開2003-261842等で開示されている膨張性粒子等、何ら限定されるものではなく、例えば、熱分解して、水、炭酸ガス、窒素を発生させて膨張性粒子と類似の効果を奏する発泡剤を採用してもよいし、特開2016-53115、特開平7-278333で開示されている紫外線により気体を発生するアゾ化合物等の気体発生剤で殻を膨張させるものでもよいし、例えば、加熱によって膨張するゴムや樹脂等でもよいし、その他、重曹、炭酸水素ナトリウム、ベーキングパウダ等でもよい。
【0027】
本発明の実装方法では、積層工程PC1、除去工程PC2、個片化工程PC3、実装工程PC4、エネルギー付与工程PC5または剥離工程PC6の前段や後段等で、ウエハWFまたはチップCPを所定の厚みにまで研削(研磨)する研削(研磨)工程を実施してもよい。
【0028】
接着剤層ALは、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の接着剤層ALが採用された場合、当該接着剤層ALを加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着すればよい。また、接着剤層ALは、例えば、接着剤層だけの単層のもの、単数または複数の中間層を有する両面接着型のものや、中間層のない単層又は複層のものであってよいし、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他どのような形状であってもよい。なお、接着剤層ALが中間層を有する場合、膨張性粒子SGは、接着剤層ALのみに添加されていてもよいし、中間層のみに添加されていてもよいし、接着剤層ALと中間層との両方に添加されていてもよい。
被着体および支持体は、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、ガラス器具、鋼板、金属製品、陶器、木板、木製品または樹脂等の単体物であってもよいし、それら2つ以上で形成された複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができるし、その材質、種別、形状等は、特に限定されることはないし、そのような被着体に形成された凸部は、例えば、ボルトやナット等の留め具によるものや、樹脂成型された突出部等、どのようなものでもよいし、被着体、支持体および凸部の形状は、例えば、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、立方体、直方体、球形、円柱形、角柱形、円錐形、角錐形等、その他どのような形状であってもよい。
【0029】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
前記実施形態において、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、ローラの代わりに回転するまたは回転しないシャフトやブレード等の他の部材を採用してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ゴム、樹脂、スポンジ等の部材を採用したり、大気やガス等の気体の吹き付けにより押圧する構成を採用したりしてもよいし、押圧するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材を支持または保持するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよいし、切断手段や切断部材等の被切断部材を切断または、被切断部材に切込や切断線を形成するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、カッター刃、レーザカッタ、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等で切断するものを採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断するものを移動させて切断するようにしたりしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
AL…接着剤層
BP…バンプ(凸部)
BP1…接触部
PC1…積層工程
PC2…除去工程
PC3…個片化工程
PC4…実装工程
PC5…エネルギー付与工程
PC6…剥離工程
LF…支持体(リードフレーム)
SG…膨張性粒子
WF…半導体ウエハ(被着体)
WF1…凸部形成面
図1