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  • 特許-シート切断装置およびシート切断方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】シート切断装置およびシート切断方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20231110BHJP
【FI】
H01L21/68 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019011055
(22)【出願日】2019-01-25
(65)【公開番号】P2020120025
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【弁理士】
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【弁理士】
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】杉下 芳昭
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-158879(JP,A)
【文献】特開2019-9149(JP,A)
【文献】特開2002-134438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着シート基材の面内で当該接着シート基材を支持する内側支持面を有する内側支持手段と、
前記内側支持面に対して所定の間隔の隙間を形成するように配置され、当該内側支持面からはみ出した前記接着シート基材部分を支持する外側支持面を有する外側支持手段と、
前記所定の間隔に沿って前記接着シート基材を切断し、当該接着シート基材から所定形状の接着シートを形成するシート切断手段とを備え、
前記外側支持手段は、前記接着シートが切り抜かれた切断済み接着シート基材における当該接着シートの切り抜き縁部を、当該接着シートの外縁から遠ざけるように変位させる変位手段を有し、
前記隙間内から前記切り抜き縁部に力を付与し、前記変位手段による切り抜き縁部の変位の補助および、前記切り抜き縁部が変位した状態の維持の少なくとも一方を行う変位補助手段をさらに備えていることを特徴とするシート切断装置。
【請求項2】
前記変位手段は、前記隙間に沿って前記外側支持面に形成された凹溝と、当該凹溝に引き込み力を付与する引き込み力付与手段とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のシート切断装置。
【請求項3】
接着シート基材の面内で当該接着シート基材を内側支持面で支持する内側支持工程と、
前記内側支持面に対して所定の間隔の隙間を形成するように配置され、当該内側支持面からはみ出した前記接着シート基材部分を外側支持面で支持する外側支持工程と、
前記所定の間隔内で前記接着シート基材を切断し、当該接着シート基材から所定形状の接着シートを形成するシート切断工程とを実施し、
前記外側支持工程では、前記接着シートが切り抜かれた切断済み接着シート基材における当該接着シートの切り抜き縁部を、当該接着シートの外縁から遠ざけるように変位させる変位工程を行い、
前記隙間内から前記切り抜き縁部に力を付与し、前記変位工程における切り抜き縁部の変位の補助および、前記切り抜き縁部が変位した状態の維持の少なくとも一方を行う変位補助工程をさらに実施することを特徴とするシート切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート切断装置およびシート切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、接着シート基材を切断して所定形状の接着シートを形成する際、接着シートと当該接着シートが切り抜かれた切断済み接着シート基材とが接触しないように、切断済み接着シート基材における接着シートの切り抜き縁部を、当該接着シートの外縁から遠ざけるように変位させる変位手段を備えたシート切断装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-134438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の装置(シート切断装置)では、ダイボンドテープ3(接着シート基材)として、元の形状に戻ろうとする復元力が弱いものが採用されると、余剰ダイボンドテープ3a(切断済み接着シート基材)を吸引凹溝40(凹溝)へ引き込んでも、余剰ダイボンドテープ3aのくり貫かれた部分(切り抜き縁部)が立ち上がらない場合があり、半導体ウェーハ1に貼付されたダイボンドテープ3(接着シート)と、切断済み接着シート基材とが接触する不都合を発生する。
【0005】
本発明の目的は、接着シート基材を切断して形成した接着シートと、当該接着シートが切り抜かれた切断済み接着シート基材とが接触することを防止することができるシート切断装置およびシート切断方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項に記載した構成を採用した。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、変位補助手段(変位補助工程)を設けたので、接着シート基材を切断して形成した接着シートと、当該接着シートが切り抜かれた切断済み接着シート基材とが接触することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明のシート切断装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸およびY軸は、所定平面内の軸とし、Z軸は、前記所定平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態では、Y軸と平行な図1中手前方向から観た場合を基準とし、図を指定することなく方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸と平行な図1中手前方向で「後」がその逆方向とする。また、図1(B)~(E)は、図1(A)と同じ方向から観た図なので、方向を示す矢印は省略する。
【0010】
本発明のシート切断装置EAは、接着シート基材ABの面内で当該接着シート基材ABを支持する内側支持面11Aを有する内側支持手段10と、内側支持面11Aに対して所定の間隔DTをおき、当該内側支持面11Aからはみ出した接着シート基材AB部分を支持する外側支持面21Aを有する外側支持手段20と、所定の間隔DTに沿って接着シート基材ABを切断し、当該接着シート基材ABから所定形状の接着シートASを形成するシート切断手段30と、変位手段22による切り抜き縁部ABEの変位の補助および、切り抜き縁部ABEが変位した状態の維持の両方を行う変位補助手段40とを備え、接着シート基材ABを被着体WKに貼付するシート貼付手段50と、内側支持面11Aと外側支持面21Aとを相対移動させる移動手段60と、被着体WKを搬送する被着体搬送手段70とでシート貼付装置EA1を構成している。
なお、本実施形態では、内側支持手段10は、被着体WKを介して接着シート基材ABをその面内で支持する構成となっている。
【0011】
内側支持手段10は、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)によって吸着保持が可能な内側支持面11Aを有する内側支持テーブル11と、内側支持面11Aに形成された凹部11B内に支持された駆動機器としての直動モータ12と、その出力軸12Aに支持され、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)によって吸着保持が可能なリフト支持面13Aを有するリフト台13とを備えている。
【0012】
外側支持手段20は、上面が外側支持面21Aとされた外側支持テーブル21と、接着シートASが切り抜かれた切断済み接着シート基材ABにおける当該接着シートASの切り抜き縁部ABEを、当該接着シートASの外縁ASEから遠ざけるように変位させる変位手段22とを備えている。
変位手段22は、所定の間隔DTに沿って外側支持面21Aに形成された凹溝22Aと、当該凹溝22Aに引き込み力を付与する減圧ポンプや真空エジェクタ等の引き込み力付与手段22Bとを備えている。
なお、本実施形態の場合、所定の間隔DTは、内側支持テーブル11を囲う全域に形成されている。また、引き込み力付与手段22Bは、外側支持テーブル21の内部に形成された平面視環状の第1環状通気路21Dから、当該外側支持テーブル21の側壁21Bに連通した第1通気路21Cおよび、第1環状通気路21Dから凹溝22Aに連通した第2通気路21Eによって、当該凹溝22Aに引き込み力を付与する構成となっている。
【0013】
シート切断手段30は、複数のアームによって構成され、その作業範囲内において、作業部である先端アーム31Aで支持したものを何れの位置、何れの角度にでも変位可能な駆動機器としての所謂多関節ロボット31と、ブラケット32Aを介して先端アーム31Aに着脱可能とされた切断部材としての切断刃32とを備えている。
【0014】
変位補助手段40は、所定の間隔DT内に吹出口41Aが配置されたノズル41と、変位手段22が切断済み接着シート基材AB部分を変位させる方向に、ノズル41の吹出口41Aから単体ガスや複合ガス等のガスや大気等の気体を吹き出す加圧ポンプやタービン等の吹出力付与手段42とを備えている。
なお、本実施形態の場合、吹出力付与手段42は、外側支持テーブル21の内部に形成された平面視環状の第2環状通気路21Gから、当該外側支持テーブル21の側壁21Bに連通した第3通気路21Fおよび、第2環状通気路21Gからノズル41の吹出口41Aに連通した第4通気路21Hによって、当該ノズル41から気体を吹き出す構成となっている。
【0015】
シート貼付手段50は、剥離シートRLの一方の面に接着シート基材ABが仮着された原反RSを支持する支持ローラ51と、支持ローラ51から繰り出された原反RSを案内する案内手段52と、シート切断装置EAの自動運転が行われている間、案内手段52との間に存在する剥離シートRLに常に所定の張力を付与し、当該剥離シートRLを回収する回収手段としての回収ローラ53と、被着体WKに貼付される前の接着シート基材ABが当該被着体WKの被着面WK1に対して傾斜した姿勢を維持する傾斜姿勢維持手段であって駆動機器としてのリニアモータ54と、リニアモータ54のスライダ54Aに支持され、そのスライダ55Aで案内手段52を支持し、被着体WKに貼付される接着シート基材ABの張力を所定の値に維持する張力維持手段であって駆動機器としてのリニアモータ55と、原反RSに繰出力を付与する繰出力付与手段56と、接着シート基材ABを被着体に押圧して貼付する押圧手段57とを備えている。
案内手段52は、駆動機器としての直動モータ52Aの出力軸52Bに支持され、原反RSを案内するガイドローラ52Cとの間に原反RSを挟み込む押付部材52Dと、原反RSが掛け回され、接着シートASの張力を検知可能な張力検知手段としてのロードセル52Eの検知軸52Fに回転可能に支持された張力検知ローラ52Gと、剥離縁52Hで剥離シートRLを折り返し、当該剥離シートRLから接着シートASを剥離する剥離手段としての剥離板52Jと、駆動機器としての回動モータ52Kの図示しない出力軸に支持され、ピンチローラ52Lとで剥離シートRLを挟み込む駆動ローラ52Mと、上記の各部材52A~52Mを直接的または間接的に支持する案内フレーム52Nとを備えている。
繰出力付与手段56は、駆動機器としてのリニアモータ56Aの第1スライダ56Bに支持された繰出フレーム56Cと、繰出フレーム56Cに支持された駆動機器としてのリニアモータ56Dと、そのスライダ56Eに支持された駆動機器としての回動モータ56Fと、その図示しない出力軸に支持され、ピンチローラ56Gとで接着シート基材ABを挟み込む駆動ローラ56Hと、繰出フレーム56Cに支持され、シート切断装置EAの自動運転が行われている間、ピンチローラ56Gとの間に存在する接着シート基材ABに常に所定の張力を付与し、当該接着シート基材ABを回収する回収手段としての回収ローラ56Jとを備えている。
押圧手段57は、繰出力付与手段56と共用されるリニアモータ56Aと、その第2スライダ56Kに支持された駆動機器としてのリニアモータ57Aと、そのスライダ57Bに回転自在に支持された押圧ローラ57Cとを備えている。
【0016】
移動手段60は、外側支持テーブル21の凹部21Jに支持され、その出力軸61Aで内側支持テーブル11を支持する駆動機器としての直動モータ61を備えている。
【0017】
被着体搬送手段70は、シート切断手段30と共用される多関節ロボット31と、先端アーム31Aに着脱可能とされ、減圧ポンプや真空エジェクタ等の図示しない減圧手段(保持手段)で吸着保持が可能な吸着保持面71Aを有する平面視Y形状の搬送アーム71とを備え、収容ケースCCに収容されて搬入台DS上に搬入された被着体WKを内側支持手段10に搬送する構成となっている。
【0018】
以上のシート切断装置EAが採用されたシート貼付装置EA1の動作を説明する。
先ず、図1(A)中実線で示す初期位置に各部材が配置されたシート貼付装置EA1に対し、当該シート貼付装置EA1の使用者(以下、単に「使用者」という)が同図のように原反RSをセットした後、操作パネルやパーソナルコンピュータ等の図示しない操作手段を介して運転開始の信号を入力する。すると、シート貼付手段50が直動モータ52Aを駆動し、図1(B)に示すように、押付部材52Dとガイドローラ52Cとで原反RSを挟み込んだ後、回動モータ56Fを駆動し、ガイドローラ52Cと駆動ローラ56Hとの間に存在する接着シート基材AB部分である貼付前シート基材AB1が弛まない程度に張力を付与する。次いで、シート貼付手段50が回動モータ56Fの駆動を停止し、駆動ローラ56Hが回転しないように当該回動モータ56Fをロック状態とした後、リニアモータ55を駆動し、案内手段52を左右方向に移動させ、ロードセル52Eの検知結果を基に、貼付前シート基材AB1に所定の張力を付与する。なお、案内手段52内で原反RSが繰り出されると、シート貼付手段50が回動モータ52Kを駆動し、剥離板52Jで接着シート基材ABから剥離された剥離シートRLに所定の張力を付与して当該剥離シートRLを回収ローラ53方向に送る(以降も同じ)。
【0019】
その後、使用者または、多関節ロボットやベルトコンベア等の図示しない運搬手段が、図1(A)に示すように、被着体WKが収容された収容ケースCCを搬入台DS上に載置すると、被着体搬送手段70が多関節ロボット31を駆動し、先端アーム31Aで搬送アーム71を支持する。次に、被着体搬送手段70が多関節ロボット31を駆動し、収容ケースCC内の被着体WKの下面に搬送アーム71の吸着保持面71Aを当接させた後、図示しない減圧手段を駆動し、当該吸着保持面71Aでの被着体WKの吸着保持を開始する。そして、内側支持手段10が直動モータ12を駆動し、リフト台13を上昇させた後、被着体搬送手段70が多関節ロボット31を駆動し、図1中二点鎖線で示すように、吸着保持面71Aで吸着保持している被着体WKの下面をリフト支持面13Aに当接させる。次いで、内側支持手段10が図示しない減圧手段を駆動し、リフト支持面13Aでの被着体WKの吸着保持を開始すると、被着体搬送手段70が図示しない減圧手段の駆動を停止し、吸着保持面71Aでの被着体WKの吸着保持を解除する。その後、被着体搬送手段70が多関節ロボット31を駆動し、搬送アーム71を初期位置に復帰させ、先端アーム31Aでの当該搬送アーム71の支持を解除すると、シート切断手段30が多関節ロボット31を駆動し、先端アーム31Aで切断刃32を支持する。次に、内側支持手段10が直動モータ12を駆動し、リフト台13を初期位置に復帰させた後、図示しない減圧手段を駆動し、内側支持面11Aでの被着体WKの吸着保持を開始する。この際、リフト支持面13Aと内側支持面11Aとが同一平面内に位置し、被着体WKの被着面WK1と外側支持面21Aとが同一平面内に位置する。
【0020】
そして、シート貼付手段50がリニアモータ56D、57Aを駆動し、図1(B)に示すように、駆動ローラ56Hおよび押圧ローラ57Cを下降させ、当該駆動ローラ56Hおよび押圧ローラ57Cで外側支持面21Aに接着シート基材ABを所定の押圧力で押圧する。次いで、シート貼付手段50がリニアモータ56Aを駆動し、押圧ローラ57Cを右方へ移動させ、被着体WKの被着面WK1および外側支持面21Aに接着シート基材ABを所定の押圧力で押圧して貼付する。この際、シート貼付手段50がリニアモータ54を駆動し、押圧ローラ57Cの移動距離と案内手段52の移動距離とが比例関係となるように、当該案内手段52を下降させるとともに、リニアモータ55を駆動し、ロードセル52Eの検知結果を基に、貼付前シート基材AB1に所定の張力が付与されるように案内手段52を左右方向に移動させる。その後、図1(B)に示すように、押圧ローラ57Cが外側支持テーブル21の右方所定位置に到達すると、シート貼付手段50がリニアモータ54、56Aの駆動を停止する。
【0021】
次に、外側支持手段20および変位補助手段40が引き込み力付与手段22Bおよび吹出力付与手段42を駆動し、凹溝22Aに引き込み力を付与するとともに、ノズル41から気体を吹き出す。そして、シート切断手段30が多関節ロボット31を駆動し、図1(C)に示すように、切断刃32を接着シート基材ABに突き刺した後、当該切断刃32を所定の間隔DTに沿って移動させ、当該接着シート基材ABから被着体WKに貼付された接着シートASを形成し、被着体WKに接着シートASが貼付された一体物UPを形成する。ここで、切断刃32の移動によって接着シートASが形成されていくと、図1(C)に示すように、切り抜き縁部ABE近傍の接着シート基材AB部分が、引き込み力付与手段22Bの引き込み力によって凹溝22Aに引き込まれ、切り抜き縁部ABEが接着シートASの外縁ASEから遠ざかるように変位する。この際、接着シート基材ABとして、元の形状に戻ろうとする復元力が弱いものが採用されると、切り抜き縁部ABE近傍の接着シート基材AB部分を凹溝22Aへ引き込んでも、切り抜き縁部ABEが立ち上がらず、当該切り抜き縁部ABEが接着シートASの外縁ASEに接着してしまう場合がある。また、切り抜き縁部ABEが立ち上がったとしても、経時によって当該切り抜き縁部ABEが垂れ下がり、当該切り抜き縁部ABEが接着シートASの外縁ASEに接着してしまう場合もある。しかし、シート切断装置EAが採用されたシート貼付装置EA1の場合、変位補助手段40によってノズル41から気体を吹き出しているので、復元力が弱い接着シート基材ABが採用されていたとしても、切り抜き縁部ABEが立ち上がらず、当該切り抜き縁部ABEが接着シートASの外縁ASEに接着してしまうことはない。また、経時によって切り抜き縁部ABEが垂れ下がり、当該切り抜き縁部ABEが接着シートASの外縁ASEに接着してしまうこともない。
【0022】
次いで、シート切断手段30が多関節ロボット31を駆動し、切断刃32を初期位置に復帰させ、先端アーム31Aでの当該切断刃32の支持を解除すると、被着体搬送手段70が多関節ロボット31を駆動し、先端アーム31Aで搬送アーム71を支持する。その後、移動手段60が直動モータ61を駆動し、図1(D)に示すように、内側支持テーブル11を上昇させる。次に、被着体搬送手段70が多関節ロボット31を駆動し、図1(D)中二点鎖線で示すように、被着体WKに貼付された接着シートAS上に搬送アーム71の吸着保持面71Aを当接させた後、図示しない減圧手段を駆動し、当該吸着保持面71Aでの一体物UPの吸着保持を開始する。そして、内側支持手段10が図示しない減圧手段の駆動を停止し、内側支持面11Aおよびリフト支持面13Aでの被着体WKの吸着保持を解除すると、被着体搬送手段70が多関節ロボット31を駆動し、吸着保持面71Aで吸着保持している一体物UPを内側支持テーブル11から取り上げる。次いで、外側支持手段20および変位補助手段40が引き込み力付与手段22Bおよび吹出力付与手段42の駆動を停止し、凹溝22Aへの引き込み力の付与および、ノズル41からの気体の吹き出しを停止する。その後、被着体搬送手段70が多関節ロボット31を駆動し、吸着保持面71Aで吸着保持している一体物UPを収容ケースCCの所定の位置に載置した後、図示しない減圧手段の駆動を停止し、吸着保持面71Aでの一体物UPの吸着保持を解除する。
【0023】
次に、被着体搬送手段70が多関節ロボット31を駆動し、搬送アーム71を初期位置に復帰させると、移動手段60が直動モータ61を駆動し、内側支持テーブル11を初期位置に復帰させる。そして、シート貼付手段50がリニアモータ56Aおよび回動モータ56Fを駆動し、図1(E)に示すように、駆動ローラ56Hを転動させながら、ピンチローラ56Gおよび駆動ローラ56Hを右方へ移動させ、外側支持面21Aから切断後の接着シート基材ABを剥離する。次いで、切断後の接着シート基材ABが外側支持面21Aから剥離されると、シート貼付手段50がリニアモータ56Aおよび回動モータ56Fの駆動を停止した後、リニアモータ56D、57Aを駆動し、ピンチローラ56G、駆動ローラ56Hおよび押圧ローラ57Cを上昇させる。その後、シート貼付手段50が直動モータ52Aを駆動し、押付部材52Dとガイドローラ52Cとでの原反RSの挟み込みを解除するとともに、駆動ローラ56Hが回転しないように回動モータ56Fをロック状態とする。次に、シート貼付手段50がリニアモータ54およびリニアモータ56Aを駆動し、案内手段52を初期位置に復帰させるとともに、ピンチローラ56G、駆動ローラ56Hおよび押圧ローラ57Cを初期位置に復帰させることで、支持ローラ51から新たな原反RSを繰り出し、以降上記同様の動作が繰り返される。
【0024】
以上のような実施形態によれば、変位補助手段40(変位補助工程)を設けたので、接着シート基材ABを切断して形成した接着シートASと、当該接着シートASが切り抜かれた切断済み接着シート基材ABとが接触することを防止することができる。
【0025】
本発明における手段および工程は、それら手段および工程について説明した動作、機能または工程を果たすことができる限りなんら限定されることはなく、まして、前記実施形態で示した単なる一実施形態の構成物や工程に全く限定されることはない。例えば、シート切断手段は、所定の間隔に沿って接着シート基材を切断し、当該接着シート基材から所定形状の接着シートを形成可能なものであれば、出願当初の技術常識に照らし合わせ、その技術範囲内のものであればなんら限定されることはない(その他の手段および工程も同じ)。
【0026】
内側支持手段10は、平面視において、被着体WKの外縁と同じ大きさを有している内側支持面11Aで被着体WKを支持してもよいし、被着体WKの外縁よりも大きな外縁を有している内側支持面11Aで被着体WKを支持してもよいし、被着体WKの外縁よりも小さな外縁を有している内側支持面11Aで被着体WKを支持してもよいし、円形、楕円形または三角形以上の多角形等どのような形状の内側支持面11Aで被着体WKを支持してもよいし、内側支持面11Aおよびリフト支持面13Aの少なくとも一方が、吸着保持ができなくてもよいし、直動モータ12やリフト台13が備わっていなくてもよいし、被着体WKを支持した際、当該被着体WKの被着面WK1と外側支持面21Aとが同一平面内に位置しなくてもよい。
内側支持手段10は、シート貼付手段50以外の装置や人手で、外縁からはみ出すように接着シート基材ABが貼付された被着体WKを支持してもよいし、被着体WKを介することなく接着シート基材ABを直接支持してもよい。
【0027】
外側支持手段20は、例えば、断面形状がU字形や上部開放四角形等の凹溝22Aを備えた変位手段が採用されてもよいし、外側支持テーブル21の内部に形成された第1環状通気路21Dや、第1、第2通気路21C、21Eを介さずに、例えば、エアホースや配管等の繋ぎ部材を介して引き込み力付与手段22Bの引き込み力を凹溝22Aに付与する変位手段が採用されてもよいし、シャフトや気体の吹付等によって凹溝22Aの上方から接着シート基材ABを当該凹溝22A内に押し込む引き込み力付与手段を備えた変位手段が採用されてもよいし、凹溝22Aを備えることなく、例えば、切断済み接着シート基材ABを引っ張って接着シートASの切り抜き縁部ABEを、当該接着シートASの外縁ASEから遠ざけるように変位させる変位手段が採用されてもよい。
【0028】
シート切断手段30は、切断部材として接着シート基材ABを切断可能なものであればどのようなものが採用されてもよく、例えば、切断刃32の延出方向(図1(A)の状態におけるZ軸方向)に対し、峰が平行で刃先が傾斜した切断刃32が採用されてもよいし、切断刃32の延出方向に対し、刃先が平行で峰が傾斜した切断刃32が採用されてもよいし、切断刃32の延出方向に対し、刃先および峰の両方が傾斜した切断刃32が採用されてもよいし、本来峰となる側にも刃が存在する所謂両刃を備えた切断刃22が採用されてもよいし、丸刃や鋸刃等のその他の形状の切断刃32が採用されてもよいし、ニクロム線や金属線等の電熱線や、ワイヤやベルト等の線状刃物等が採用されてもよいし、ブラケット32Aに支持されていなくてもよいし、切込刃32を移動させずにまたは移動させつつ、内側支持手段10を移動させて接着シート基材ABを切断してもよいし、図1(C)に示すように、切断刃32における切先側が被着体WKから遠ざかる方向に当該切断刃32を傾斜させて接着シート基材ABを切断してもよいし、同切先側が被着体WKに接近する方向に当該切断刃32を傾斜させて接着シート基材ABを切断してもよいし、同切先側が被着体WKから遠ざかる方向にも接近する方向にも傾斜させることなく接着シートASを切断してもよいし、被着体WKの外縁と同形状となるように接着シート基材ABを切断してもよいし、被着体WKの外縁よりも被着体WKから離れた位置で接着シート基材ABを切断してもよいし、被着体WKの外縁の形状とは関係なく接着シート基材ABを切断してもよいし、接着シート基材ABのみを切断してもよいし、接着シート基材ABおよび被着体WKの両方を切断してもよいし、切断刃32を着脱可能または着脱不能な構成でもよいし、切断刃32の着脱を自動で行ったり、人手で行ったり、他の装置で行ったりしてもよいし、被着体搬送手段70としての機能がなくてもよい。
【0029】
変位補助手段40は、切り抜き縁部ABEが立ち上がった時点で吹出力付与手段42の駆動を停止することで、切り抜き縁部ABEの変位の補助のみを行う構成でもよいし、変位手段22の作用のみで切り抜き縁部ABEが立ち上がった後、吹出力付与手段42を駆動することで、切り抜き縁部ABEが変位した状態の維持のみを行う構成でもよいし、外側支持テーブル21の内部に形成された第2環状通気路21Gや、第3、第4通気路21F、21Hを介さずに、例えば、エアホースや配管等の繋ぎ部材を介して吹出力付与手段42から送られた気体をノズル41の吹出口41Aから吹き出してもよいし、内側支持テーブル11側にノズル41を配置してもよいし、外側支持テーブル21の凹部21Jの底面から気体を吹き出してもよいし、駆動機器によりシャフトやブレードを移動させて切り抜き縁部ABEを立ち上げてもよい。
【0030】
シート貼付手段50は、剥離シートRLに所定間隔をおき複数の接着シート基材が仮着された原反を採用し、当該接着シート基材を被着体WKに貼付する構成でもよいし、支持ローラ51やガイドローラ52C等の各ローラの代わりに板状部材やシャフト部材等で原反RSを支持したり案内したりしてもよいし、原反RSを巻回することなく例えばファンフォールド折りにして支持してもよいし、剥離シートRLを巻回することなく例えばファンフォールド折りにしたり、シュレッダ等で切り刻んだりして回収してもよいし、巻回したりファンフォールド折りにしたりすることなく単に集積して剥離シートRLを回収してもよいし、剥離シートRLを回収しなくてもよいし、ピンチローラ56Gおよび駆動ローラ56Hを移動させずにまたは移動させつつ、支持ローラ51、案内手段52、回収ローラ53等を適宜移動させて接着シート基材ABを繰り出してもよいし、チャックシリンダや吸着パッド等の保持手段で接着シートASを保持して繰り出してもよいし、リニアモータ56A以外の駆動機器で押圧ローラ57Cを左右方向に移動させてもよいし、押圧ローラ57Cを移動させずにまたは移動させつつ、被着体WKおよび接着シート基材ABを移動させ、当該被着体WKに接着シート基材ABを押圧して貼付してもよいし、押圧ローラ57Cを昇降させない構成としてもよいし、ピンチローラ56Gおよび駆動ローラ56Hを移動させずにまたは移動させつつ、内側支持手段10を移動させて外側支持面21Aから切断後の接着シート基材ABを剥離してもよいし、ピンチローラ56Gおよび駆動ローラ56Hを昇降させない構成としてもよいし、例えば、チャックシリンダや吸着パッド等の保持手段で切断後の接着シート基材ABを保持し、当該保持手段と内側支持手段10とを相対移動させて外側支持面21Aから切断後の接着シート基材ABを剥離する構成としてもよいし、本発明のシート切断装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0031】
移動手段60は、接着シートASを移動させずにまたは移動させつつ、切断後の接着シート基材ABを移動させてもよいし、内側支持面11Aから被着体WKに向かう方向に接着シートASと切断後の接着シート基材ABとを相対移動させる際、それら接着シートASと切断後の接着シート基材ABとを相対回転させてもよいし、本発明のシート切断装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0032】
被着体搬送手段70は、シート切断手段30と共用されることのない駆動機器で搬送アーム71を支持し、被着体WKを搬送してもよいし、搬送アーム71を着脱可能または着脱不能な構成でもよいし、搬送アーム71の着脱を自動で行ったり、人手で行ったり、他の装置で行ったりしてもよいし、本発明のシート切断装置EAに備わっていてもよいし、備わっていなくてもよい。
【0033】
シート切断装置EAは、接着シート基材ABを介して被着体WKを支持する内側支持面11Aを有する内側支持手段10が採用されてもよく、この場合、当該シート切断装置EAにシート貼付手段50が備わっていなくてもよく、例えば、シート貼付手段50以外の装置や人手で、外縁からはみ出すように接着シート基材ABが貼付された被着体WKが、当該接着シート基材ABが内側支持面11A側となるように内側支持手段10上に載置されればよい。
シート切断装置EAは、シート貼付装置EA1以外に、例えば、接着シートASを積層するシート積層装置や接着シートASに印字や塗布を行う印刷装置等の他の装置に用いられてもよいし、シート貼付装置EA1や他の装置等に用いられることなく、単独で用いられてもよい。
接着シート基材ABは、剥離シートRLが仮着されていなくてもよい。
【0034】
本発明における接着シート基材AB、接着シートASおよび被着体WKの材質、種別、形状等は、特に限定されることはない。例えば、接着シート基材ABや接着シートASは、円形、楕円形、三角形や四角形等の多角形、その他の形状であってもよいし、感圧接着性、感熱接着性等の接着形態のものであってもよく、感熱接着性の接着シート基材ABや接着シートASが採用された場合は、当該接着シート基材ABや接着シートASを加熱する適宜なコイルヒータやヒートパイプの加熱側等の加熱手段を設けるといった適宜な方法で接着されればよい。また、このような接着シート基材ABや接着シートASは、例えば、接着剤層だけの単層のもの、基材と接着剤層との間に中間層を有するもの、基材の上面にカバー層を有する等3層以上のもの、更には、基材を接着剤層から剥離することのできる所謂両面接着シートのようなものであってもよく、両面接着シートは、単層又は複層の中間層を有するものや、中間層のない単層又は複層のものであってよい。また、被着体WKとしては、例えば、食品、樹脂容器、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハ等の半導体ウエハ、回路基板、光ディスク等の情報記録基板、ガラス板、鋼板、陶器、木板または樹脂等の単体物であってもよいし、それら2つ以上で形成された複合物であってもよく、任意の形態の部材や物品なども対象とすることができる。なお、接着シート基材ABや接着シートASは、機能的、用途的な読み方に換え、例えば、情報記載用ラベル、装飾用ラベル、保護シート、ダイシングテープ、ダイアタッチフィルム、ダイボンディングテープ、記録層形成樹脂シート等の任意のシート、フィルム、テープ等でもよい。
【0035】
前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、2軸または3軸以上の関節を備えた多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる。
前記実施形態において、ローラ等の回転部材が採用されている場合、当該回転部材を回転駆動させる駆動機器を備えてもよいし、回転部材の表面や回転部材自体をゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、回転部材の表面や回転部材自体を変形しない部材で構成してもよいし、ローラの代わりに回転するまたは回転しないシャフトやブレード等の他の部材を採用してもよいし、押圧ローラや押圧ヘッド等の押圧手段や押圧部材といった被押圧物を押圧するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、ローラ、丸棒、ブレード材、ゴム、樹脂、スポンジ等の部材を採用したり、大気やガス等の気体の吹き付けにより押圧する構成を採用したりしてもよいし、押圧するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、剥離板や剥離ローラ等の剥離手段や剥離部材といった被剥離物を剥離するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、板状部材、丸棒、ローラ等の部材を採用してもよいし、剥離するものをゴムや樹脂等の変形可能な部材で構成してもよいし、変形しない部材で構成してもよいし、支持(保持)手段や支持(保持)部材等の被支持部材(被保持部材)を支持(保持)するものが採用されている場合、メカチャックやチャックシリンダ等の把持手段、クーロン力、接着剤(接着シート、接着テープ)、粘着剤(粘着シート、粘着テープ)、磁力、ベルヌーイ吸着、吸引吸着、駆動機器等で被支持部材を支持(保持)する構成を採用してもよいし、切断手段や切断部材等の被切断部材を切断または、被切断部材に切込や切断線を形成するものが採用されている場合、上記で例示したものに代えてまたは併用して、カッター刃、レーザカッタ、イオンビーム、火力、熱、水圧、電熱線、気体や液体等の吹付け等で切断するものを採用したり、適宜な駆動機器を組み合わせたもので切断するものを移動させて切断するようにしたりしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
EA シート切断装置
10 内側支持手段
11A 内側支持面
20 外側支持手段
21A 外側支持面
22 変位手段
22A 凹溝
22B 引き込み力付与手段
30 シート切断手段
40 変位補助手段
AB 接着シート基材
ABE 切り抜き縁部
AS 接着シート
ASE (接着シートの)外縁
DT 所定の間隔
図1