(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】充填豆腐様食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 11/45 20210101AFI20231110BHJP
A23J 3/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
A23L11/45 G
A23J3/00 511
(21)【出願番号】P 2019040445
(22)【出願日】2019-03-06
【審査請求日】2022-01-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】宮井 輝幸
(72)【発明者】
【氏名】加藤 元裕
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-102359(JP,A)
【文献】特開平11-225698(JP,A)
【文献】特開昭60-137257(JP,A)
【文献】特開平05-236899(JP,A)
【文献】特開平03-232473(JP,A)
【文献】特開2008-000135(JP,A)
【文献】特開2007-274962(JP,A)
【文献】特開昭58-005156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 11/00-11/70
A23J 3/00- 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、豆乳及び凝固剤を含む原料液が前記容器内で凝固した豆腐様組成物とを有し、前記豆腐様組成物における、タンパク質の含有量が4~10質量%であり、タンパク質1g当たりのカルシウムの含有量が5mg超であり、タンパク質1g当たりのマグネシウムの含有量が15mg以上
28mg以下であり、かつタンパク質1g当たりのマグネシウム及びカルシウムの合計の含有量が0.6ミリモル以上
1.4ミリモル以下である、充填豆腐様食品。
【請求項2】
前記豆腐様組成物の100g当たりの、カルシウムの含有量をCt(単位:mg)、タンパク質の含有量をPt(単位:mg)とするとき、下記式(1)で表されるCrが0超である、請求項1に記載の充填豆腐様食品。
Cr=(Ct-0.005×Pt)/Pt・・・ (1)
【請求項3】
前記豆腐様組成物の100g当たりの、マグネシウムの含有量をMt(単位:mg)、タンパク質の含有量をPt(単位:mg)とするとき、下記式(2)で表されるMrが0.008以上である、請求項1又は2に記載の充填豆腐様食品。
Mr=(Mt-0.007×Pt)/Pt・・・ (2)
【請求項4】
前記豆腐様組成物の100g当たりの、カルシウムの含有量をCt(単位:mg)、マグネシウムの含有量をMt(単位:mg)、タンパク質の含有量をPt(単位:mg)とするとき、下記式(3)で表されるSが0.010以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の充填豆腐様食品。
S=Mr+Cr×1.8 ・・・ (3)
式(3)中の、Crは下記式(1)で表され、Mrは下記式(2)で表される。
Cr=(Ct-0.005×Pt)/Pt・・・ (1)
Mr=(Mt-0.007×Pt)/Pt・・・ (2)
【請求項5】
前記Sが0.033以下である、請求項4に記載の充填豆腐様食品。
【請求項6】
前記豆腐様組成物が、豆乳以外のタンパク質源、油脂、食物繊維、及びミネラルからなる群より選ばれる1以上を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の充填豆腐様食品。
【請求項7】
前記充填豆腐様食品を35℃で14日間保持する保存試験において、前記豆腐様組成物中の発育し得る微生物が陰性である、請求項1~6のいずれか一項に記載の充填豆腐様食品。
【請求項8】
豆乳を含む豆乳調製液と、カルシウムを含む凝固剤とを混合して、タンパク質の含有量が4~10質量%であり、タンパク質1g当たりのカルシウムの含有量が5mg超であり、タンパク質1g当たりのマグネシウムの含有量が15mg以上
28mg以下であり、タンパク質1g当たりのマグネシウム及びカルシウムの合計の含有量が0.6ミリモル以上
1.4ミリモル以下である原料液を得て、前記原料液を容器に充填し凝固させて充填豆腐様食品を得る、充填豆腐様食品の製造方法。
【請求項9】
前記原料液における、タンパク質の含有量に対する、凝固剤由来のカルシウムの含有量の質量比が0.0001以上である、請求項8に記載の充填豆腐様食品の製造方法。
【請求項10】
前記凝固剤がさらにマグネシウムを含み、前記原料液における、タンパク質の含有量に対する、凝固剤由来のマグネシウムの含有量の質量比が0.008以上である、請求項8又は9に記載の充填豆腐様食品の製造方法。
【請求項11】
前記凝固剤がさらにマグネシウムを含み、前記原料液における、タンパク質の含有量をP、凝固剤由来のカルシウムの含有量をC、凝固剤由来のマグネシウムの含有量をMとするとき、(C×1.8+M)/Pで表される質量比が0.010以上である、請求項8~10のいずれか一項に記載の充填豆腐様食品の製造方法。
【請求項12】
前記豆乳が、大豆の浸漬工程を経ずに製造した無浸漬豆乳である、請求項8~11のいずれか一項に記載の充填豆腐様食品の製造方法。
【請求項13】
前記豆乳調製液が、豆乳以外のタンパク質源、油脂、食物繊維、及びミネラルからなる群より選ばれる1以上を含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の充填豆腐様食品の製造方法。
【請求項14】
前記豆乳調製液と前記凝固剤とを混合する前に、前記豆乳調製液を加熱処理し、かつ前記凝固剤を無菌化処理し、前記原料液を前記容器に無菌的に充填する、請求項8~13のいずれか一項に記載の充填豆腐様食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は充填豆腐様食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
豆腐は、大豆から作製した豆乳を、塩化マグネシウム、又はその他食品衛生法で認められている凝固剤によって固めた加工食品である。
豆腐製品の形態として、豆乳と凝固剤を含む原料液を容器に充填し、容器内で原料液を加熱凝固させた充填豆腐が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
豆乳は、通常、大豆を長時間(例えば5時間以上)水に浸漬して吸水させた後、水を加えながら粉砕して生呉を得て、生呉を加熱して煮呉を得て、煮呉を搾って豆乳とおからを得る方法で製造される。
近年では、大豆を水に浸漬する工程を経ないで豆乳(無浸漬豆乳)を製造する装置も開発されている(特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭62-195262号公報
【文献】特許第5793117号公報
【文献】特許第5759596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
充填豆腐にあっては、容器剥離性が悪く、豆腐を容器から取り出し難い場合がある。具体的には、容器を開封して、容器内の豆腐を取り出した後に、容器内壁に豆腐が貼り付いた状態で残る場合がある。
また本発明者らは、大豆の浸漬工程を経ないで製造した豆乳(無浸漬豆乳)を用いて充填豆腐を製造すると、容器剥離性がより悪くなりやすいことを知見した。
【0006】
本発明は、容器剥離性に優れる充填豆腐様食品、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1] 容器と、豆乳及び凝固剤を含む原料液が前記容器内で凝固した豆腐様組成物とを有し、前記豆腐様組成物における、タンパク質1g当たりのカルシウムの含有量が5mg超であり、かつタンパク質1g当たりのマグネシウム及びカルシウムの合計の含有量が0.6ミリモル以上である、充填豆腐様食品。
[2] タンパク質1g当たりのマグネシウムの含有量が15mg以上である、[1]の充填豆腐様食品。
[3] 前記豆腐様組成物の100g当たりの、カルシウムの含有量をCt(単位:mg)、タンパク質の含有量をPt(単位:mg)とするとき、下記式(1)で表されるCrが0超である、[1]又は[2]の充填豆腐様食品。
Cr=(Ct-0.005×Pt)/Pt・・・ (1)
[4] 前記豆腐様組成物の100g当たりの、マグネシウムの含有量をMt(単位:mg)、タンパク質の含有量をPt(単位:mg)とするとき、下記式(2)で表されるMrが0.008以上である、[1]~[3]のいずれかの充填豆腐様食品。
Mr=(Mt-0.007×Pt)/Pt ・・・ (2)
[5] 前記豆腐様組成物の100g当たりの、カルシウムの含有量をCt(単位:mg)、マグネシウムの含有量をMt(単位:mg)、タンパク質の含有量をPt(単位:mg)とするとき、下記式(3)で表されるSが0.010以上である、[1]~[4]のいずれかの充填豆腐様食品。式(3)中の、Crは前記式(1)で表され、Mrは前記式(2)で表される。
S=Mr+Cr×1.8 ・・・ (3)
[6] 前記Sが0.033以下である、[5]の充填豆腐様食品。
[7] 前記豆腐様組成物が、豆乳以外のタンパク質源、油脂、食物繊維、及びミネラルからなる群より選ばれる1以上を含む、[1]~[6]のいずれかの充填豆腐様食品。
[8] 前記充填豆腐様食品を35℃で14日間保持する保存試験において、前記豆腐様組成物中の発育し得る微生物が陰性である、[1]~[7]のいずれかの充填豆腐様食品。
[9] 豆乳を含む豆乳調製液と、カルシウムを含む凝固剤とを混合して、タンパク質1g当たりのマグネシウム及びカルシウムの合計の含有量が0.6ミリモル以上である原料液を得て、前記原料液を容器に充填し凝固させて充填豆腐様食品を得る、充填豆腐様食品の製造方法。
[10] 前記原料液における、タンパク質1g当たりのカルシウムの含有量が5mg超である、[9]の充填豆腐様食品の製造方法。
[11] 前記原料液における、タンパク質の含有量に対する、凝固剤由来のカルシウムの含有量の質量比が0.0001以上である[9]又は[10]の充填豆腐様食品の製造方法。
[12] 前記原料液における、タンパク質1g当たりのマグネシウムの含有量が15mg以上である、[9]~[11]のいずれかの充填豆腐様食品の製造方法。
[13] 前記凝固剤がさらにマグネシウムを含み、前記原料液における、タンパク質の含有量に対する、凝固剤由来のマグネシウムの含有量の質量比が0.008以上である、[9]~[12]のいずれかの充填豆腐様食品の製造方法。
[14] 前記凝固剤がさらにマグネシウムを含み、前記原料液における、タンパク質の含有量をP、凝固剤由来のカルシウムの含有量をC、凝固剤由来のマグネシウムの含有量をMとするとき、(C×1.8+M)/Pで表される質量比が0.010以上である、[9]~[13]のいずれかの充填豆腐様食品の製造方法。
[15] 前記豆乳が、大豆の浸漬工程を経ずに製造した無浸漬豆乳である、[9]~[14]のいずれかの充填豆腐様食品の製造方法。
[16] 前記豆乳調製液が、豆乳以外のタンパク質源、油脂、食物繊維、及びミネラルからなる群より選ばれる1以上を含む、[9]~[15]のいずれかの充填豆腐様食品の製造方法。
[17] 前記豆乳調製液と前記凝固剤とを混合する前に、前記豆乳調製液を加熱処理し、かつ前記凝固剤を無菌化処理し、前記原料液を前記容器に無菌的に充填する、[9]~[16]のいずれかの充填豆腐様食品の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、充填豆腐様食品の容器剥離性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
固形分は、「固形分(質量%)=100-水分(質量%)」で算出した値である。水分は、常圧加熱乾燥法により測定した値である。
タンパク質の含有量は、ケルダール法(日本食品工業学会編、「食品分析法」、第102頁、株式会社光琳、昭和59年)により試料の全窒素量を測定し、窒素たんぱく質換算係数5.71を用いてタンパク質の含有量を算出した値である。
【0010】
[充填豆腐様食品の保存試験]
(1)恒温試験
検体(充填豆腐様食品)を容器包装のまま採取し、35.0℃(上下1.0℃の余裕を認める。)で14日間保持する。この間において容器包装の膨張の有無及び内容物の漏えいの有無を観察する。容器包装の膨張の有無は約20℃に冷却して観察する。容器包装の膨張又は漏えいを認めたものは、検体中で発育し得る微生物が陽性と判定する。
容器包装の膨張及び漏えいのいずれも認められなかったものは、恒温試験において陰性と判定し、次の細菌試験を行う。
(2)細菌試験
1.試料の調製
恒温試験において陰性であった検体について、開封部の表面をアルコール綿でよくふき、滅菌した器具を用いて開封し、内容物(内容物の全部又は一部が固形状のものである場合は、滅菌ハサミ等を用いて細切する。)の全部を無菌的に混合した後、その25gを無菌的に採り、滅菌リン酸緩衝希釈水225mLを加えて細砕する。その1mLを滅菌ピペットを用いて滅菌試験管に採り、滅菌リン酸緩衝希釈水9mLを加えてよく混和し、これを試料とする。
2.試験法
チオグリコール酸塩培養基の調製方法:L-シスチン0.5g、ブドウ糖5g、酵母エキス5g、ペプトン15g、チオグリコール酸塩0.5g、食塩2.5g、レサズリン0.001g及び粉末寒天0.8gを精製水1,000mLに加えて加温溶解し、これをpH7.0~7.2に修正し、試験管に10mLずつ分注した後、121℃で15分間滅菌する。
試料を1mLずつ5本のチオグリコール酸塩培養基に接種し、35.0℃(上下1.0℃の余裕を認める。)で48時間(前後3時間の余裕を認める。)培養する。この結果、培養基のいずれかに菌の増殖を認めたものは、陽性と判定する。いずれの培養基にも菌の増殖が認められなかったものを、検体中の発育し得る微生物が陰性であると判定する。
【0011】
豆乳とは、日本農林規格で定義された「豆乳」を意味する。具体的には、大豆から熱水等によりタンパク質及びその他の成分を溶出させ、繊維質を除去して得られた、固形分8質量%以上の液である。
無浸漬豆乳とは、大豆の浸漬工程を経ずに製造した豆乳である。本明細書において、浸漬工程とは、大豆を少なくとも1時間以上水に浸漬させる工程を意味する。
【0012】
豆乳調製液は、凝固剤と混合する前の液であり、少なくとも豆乳を含む。
原料液は、豆乳調製液と凝固剤とを混合した液である。
豆腐様組成物は、原料液の凝固物である。凝固の前後において質量は変化しない。
充填豆腐様食品は、原料液が容器内で凝固して豆腐様組成物となった製品である。
【0013】
<充填豆腐様食品>
本実施形態の充填豆腐様食品は、容器と、豆乳及び凝固剤を含む原料液が前記容器内で凝固した豆腐様組成物とを有する。
具体的には、豆乳調製液と凝固剤とを混合した原料液を容器に充填し、容器内で加熱凝固させて得られる「容器内凝固型」の豆腐製品である。
豆乳調製液は、豆乳以外のその他の成分を含んでもよい。
【0014】
[容器]
本実施形態において、容器の材質は、原料液を凝固させるための加熱処理温度に対して、耐熱性を有するものであればよい。例えば容量100~500mL程度の箱型で、材質はポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の樹脂単体(単層)もしくは樹脂混合物、紙、アルミニウム又はこれらの組み合わせ(複数層の積層物)が使用できる。少なくとも容器の内面の材質は、容器剥離性が得られやすい点で、ポリエチレン、紙又はアルミニウムが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。
また、容器は気密性を有することが好ましく、さらに遮光性を有するとより好ましい。
例えば、紙層及びアルミ箔層を有し、外面及び内面がポリエチレン層である積層シートを成形した容器(例えばテトラパック社製のテトラブリックアセプティック(Tetra Brik Aseptic(登録商標))を用いることができる。又は、開口部を樹脂フィルムで密閉できる樹脂製容器を用いることができる。
【0015】
[豆乳]
本実施形態で用いる豆乳は特に限定されない。無浸漬豆乳は、豆乳の製造時間を短縮できる点で好ましい。また、無浸漬豆乳は、充填豆腐を製造したときに容器剥離性が悪くなりやすく、本発明を適用することによる効果が大きい点で好ましい。
無浸漬豆乳は、公知の豆乳製造装置(例えばワイエスピー社製品名、無浸漬豆乳プラント エコスター)を用いて製造できる。前記豆乳製造装置は、大豆(乾燥豆)を投入すると、大豆を計量し、粉砕し、皮を除去し、加水して撹拌し、摩砕し、煮沸釜で加熱して煮呉を得、得られた煮呉を豆乳とおからに分離して無浸漬豆乳を製造する装置である。
【0016】
[凝固剤]
本実施形態で用いる凝固剤は、少なくともカルシウムを含む。マグネシウム及びカルシウムを含むことが好ましい。塩化マグネシウムと塩化カルシウムを混合して用いることが好ましい。さらにその他の凝固剤を併用してもよい。
塩化マグネシウムとして、塩化マグネシウム・6水和物を使用してもよく、塩化マグネシウム・無水和物を使用してもよく、粗製海水塩化マグネシウムを使用してもよく、これらを併用してもよい。
塩化カルシウムとして、塩化カルシウム・2水和物を使用してもよく、塩化カルシウム・無水和物を使用してもよくこれらを併用してもよい。
塩化マグネシウム及び塩化カルシウム以外の、その他の凝固剤は、豆腐の製造において公知の凝固剤を使用できる。例えばグルコノデルタラクトンが挙げられる。その他の凝固剤は、固形分換算で、凝固剤の総質量に対して40質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。ゼロでもよい。
【0017】
[その他の成分]
その他の成分として、豆乳以外のタンパク源、油脂、食物繊維、ミネラル、糖質、ビタミン、バイオジェネクス素材、トランスグルタミナーゼ、乳化剤、消泡剤、その他の添加剤が挙げられる。
豆乳又は無浸漬豆乳のタンパク質濃度は、通常3~6質量%程度であり、豆乳以外のタンパク源を用いることにより、豆腐様組成物のタンパク質含有量を高めることができる。
豆乳以外のタンパク源としては、タンパク質を40質量%以上含む材料が好ましい。例えば大豆タンパク質(以下、豆乳に添加する大豆タンパク質を添加大豆タンパク質という。)、脱脂粉乳、卵白等が挙げられる。これらは1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。凝固性の点で添加大豆タンパク質が好ましい。
添加大豆タンパク質は、大豆から分離されたタンパク質であれば特に制限されないが、脱脂大豆からタンパク質を抽出し、噴霧乾燥した製品が望ましい。添加大豆タンパク質は、市販の大豆タンパク質を用いることができ、例えば、粉末状大豆タンパク質、粉状大豆タンパク質が挙げられる。具体例として、ニューフジプロSEH(不二製油社製)、プロリーナ300(不二製油社製)、フジプロCL(不二製油社製)、スプロ500E(Solae社製)等が使用できる。
【0018】
油脂は、食用であればいずれも使用できるが、豆腐は大豆が原料であることから、大豆油が望ましい。
食物繊維は水溶性の食物繊維が用いられる。例えばイヌリン、難消化性デキストリン、難消化性グルカン、グアガム等が挙げられる。
ミネラルは水溶性のミネラルが用いられる。例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、鉄、亜鉛、銅等が挙げられる。
糖質は、一般的な糖類であればいずれでもよいが、キシロース、ブドウ糖及び果糖などの単糖、ショ糖、乳糖、麦芽糖などの二糖、デキストリン、水飴などのでん粉分解物等が挙げられる。
ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンEが挙げられる。
バイオジェネクス素材とは、直接、あるいは腸内フローラを介して、免疫賦活効果、コレステロール低下作用、血圧降下作用、整腸作用、抗腫瘍効果、抗血栓、造血作用等、生体調節、生体防御に効く成分を意味する。例えば乳酸菌、ビフィズス菌等が挙げられるが、加熱殺菌して効能を発揮できるものが好ましい。たとえば、ラクトバチルス・パラカゼイ・MCC1849株、ラクトバチルス・パラカゼイ・MCC1375株が挙げられる。
【0019】
栄養面での付加価値を付与するために、その他の成分として、豆乳以外のタンパク源、油脂、食物繊維及びミネラルからなる群より選ばれる1以上を用いることが好ましい。油脂を含有させることにより高エネルギーの充填豆腐様食品が得られる。
【0020】
[豆腐様組成物]
本実施形態の豆腐様組成物は、少なくとも豆乳由来のタンパク質と、凝固剤由来のカルシウムとを含む。さらに凝固剤由来のマグネシウムを含むことが好ましい。その他の成分由来のタンパク質を含んでもよい。また豆乳由来又はその他の成分由来のマグネシウム又はカルシウムを含んでもよい。
原料液中又は豆腐様組成物中のマグネシウム含有量及びカルシウム含有量は、誘導結合プラズマ発光分析法で測定できる。
【0021】
豆腐様組成物において、タンパク質1g当たりのカルシウムの含有量は5mg超であり、5.5mg以上が好ましく、6mg以上がより好ましい。前記下限値以上であると容器剥離性に優れる。上限値は、食感に優れる点で28mg以下が好ましく、 24mg以下がより好ましく、20mg以下がさらに好ましい。
【0022】
豆腐様組成物において、タンパク質1g当たりのマグネシウム及びカルシウムの合計の含有量は0.6ミリモル以上であり、0.7ミリモル以上がより好ましく、0.8ミリモル以上がさらに好ましい。前記下限値以上であると凝固性に優れる。上限値は、食感に優れる点で1.4ミリモル以下が好ましく、1.3ミリモル以下がより好ましく、1.2ミリモル以下がさらに好ましい。
【0023】
豆腐様組成物において、タンパク質1g当たりのマグネシウムの含有量は15mg以上が好ましく、16mg以上がより好ましく、17mg以上がさらに好ましい。前記下限値以上であると凝固性に優れる。上限値は、食感に優れる点で28mg以下が好ましく、25mg以下がより好ましく、23mg以下がさらに好ましい。
【0024】
豆腐様組成物の総質量に対して、豆乳と添加大豆タンパク質の合計の含有量が85質量%以上、好ましくは90質量%以上であるとき、豆腐様組成物の100g当たりの、カルシウムの含有量(Ct、単位:mg)のうち、豆乳及び添加大豆タンパク質に由来するカルシウムの含有量は0.005×Pt(Ptは豆腐様組成物の100g当たりのタンパク質の含有量、単位:mg)程度である。また、豆腐様組成物の100g当たりの、マグネシウムの含有量(Mt、単位:mg)のうち、豆乳及び添加大豆タンパク質に由来するマグネシウムの含有量は0.007×Pt(Ptは前記と同じ)程度である。
【0025】
下記式(1)中の(Ct-0.005×Pt)は、豆腐様組成物の100g当たりの、凝固剤由来のカルシウムの含有量を表し、下記式(1)で表されるCrは、タンパク質の含有量に対する、凝固剤由来のカルシウムの含有量の質量比の目安となる。
Cr=(Ct-0.005×Pt)/Pt・・・ (1)
容器剥離性に優れる点でCrは0超が好ましく、0.0001以上がより好ましく、0.0003以上がさらに好ましく、0.0005以上が特に好ましい。Crの上限は食感の点で0.023以下が好ましく、0.020以下がより好ましく、0.017以下がさらに好ましい。
【0026】
下記式(2)中の(Mt-0.007×Pt)は、豆腐様組成物の100g当たりの、凝固剤由来のマグネシウムの含有量を表し、下記式(2)で表されるMrは、タンパク質の含有量に対する、凝固剤由来のマグネシウムの含有量の質量比の目安となる。
Mr=(Mt-0.007×Pt)/Pt・・・ (2)
容器剥離性に優れる点でMrは0.008以上が好ましく、0.009以上がより好ましく、0.010以上がさらに好ましい。Mrの上限は食感の点で0.020以下が好ましく、0.018以下がより好ましく、0.016以下がさらに好ましい。
【0027】
カルシウムはマグネシウムよりも凝固反応が速い。容器剥離性に優れる点で、下記式(3)で表されるSが0.010以上であることが好ましく、0.011以上が好ましく、0.012以上がより好ましい。
S=Mr+Cr×1.8・・・ (3)
前記Sの上限は、食感に優れる点で、0.033以下が好ましく、0.028以下がより好ましく、0.023以下がさらに好ましい。
【0028】
豆腐様組成物において、タンパク質の含有量は4~10質量%が好ましく、4.5~9質量%がより好ましく、5~8質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、風味、食感または容器剥離性の1つ以上が不充分となりやすく、本発明を適用することによる効果が大きい。製造工程適性および風味、食感の点から上限値以下が好ましい。
【0029】
豆腐様組成物に、食物繊維又は油脂の少なくとも一方を含有させる場合、豆腐様組成物の総質量に対して、食物繊維と油脂の合計が1~10質量%であることが好ましく、1~7質量%がより好ましく、1~5質量%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、添加効果に優れ、上限値以下であると、全体の成分バランスに優れる。
【0030】
容器内の豆腐様組成物は、一部が離水していることが好ましい。離水が生じている場合、離水で生じた分離液と残りの凝固物の合計が豆腐様組成物である。
容器から取り出した豆腐様組成物の全量を、ふるい上に載せ、30秒後にふるいの下に落ちた液の質量を、分離液の質量とする。
豆腐様組成物の総質量に対して、分離液が0超~10質量%であることが好ましく、0超~5質量%がより好ましく、0.2~3質量%がさらに好ましく、0.5~2質量%が特に好ましい。分離液の量が上記の範囲内であると、食感及び容器剥離性に優れる。
【0031】
充填豆腐様食品は、常温で長期保存可能なロングライフ食品であることが好ましい。具体的には、充填豆腐様食品を35℃で14日間保持する保存試験において、豆腐様組成物中の発育し得る微生物が陰性であることが好ましい。
ロングライフ食品であると、常温で保存可能であり、保存期間が長く、長距離の輸送にも耐えうるという利点がある。
【0032】
<製造方法>
本実施形態の充填豆腐様食品の製造方法は、豆乳を含む豆乳調製液と、カルシウムを含む凝固剤とを混合して、タンパク質と、マグネシウムと、カルシウムとを含む原料液を得て、前記原料液を容器に充填し凝固させて充填豆腐様食品を得る方法である。凝固剤がさらにマグネシウムを含むことが好ましい。原料液と豆腐様組成物の組成は、熱による変性を除いて同じである。
【0033】
豆腐様組成物にその他の成分を含有させる場合は、豆乳調製液に添加する。
豆乳に、必要に応じてその他の成分を添加し、撹拌して溶解させて豆乳調製液を調製することが好ましい。これらを混合した後、必要に応じて均質化処理を行ってもよい。
【0034】
凝固剤は、水溶液(以下、凝固剤溶液ともいう。)の形態で用いることが好ましい。凝固剤溶液の総質量に対して、マグネシウムとカルシウムの合計の含有量は5~30質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましい。
豆乳調製液と凝固剤溶液とを混合して原料液を調製することが好ましい。
凝固剤(凝固剤溶液)の使用量は、原料液における、タンパク質の含有量に対する、凝固剤由来のカルシウムの含有量の質量比(凝固剤由来カルシウム/タンパク質)が0.0001以上となる量が、容器剥離性に優れる点で好ましい。前記凝固剤由来カルシウム/タンパク質は0.0003以上がより好ましく、0.0005以上がさらに好ましい。上限は食感の点で0.023以下が好ましく、0.020以下がより好ましく、0.017以下がさらに好ましい。
凝固剤がさらにマグネシウムを含む場合、原料液における、タンパク質の含有量に対する、凝固剤由来のマグネシウムの含有量の質量比(凝固剤由来マグネシウム/タンパク質)は、容器剥離性に優れる点で0.008以上が好ましく、0.009以上がより好ましく、0.010以上がさらに好ましい。上限は食感の点で0.020以下が好ましく、0.018以下がより好ましく、0.016以下がさらに好ましい。
また、凝固剤がカルシウムとマグネシウムを含む場合、原料液における、タンパク質の含有量をP、凝固剤由来のカルシウムの含有量をC、凝固剤由来のマグネシウムの含有量をMとするとき、容器剥離性に優れる点で、(C×1.8+M)/Pで表される質量比が0.010以上であることが好ましく、0.011以上が好ましく、0.012以上がより好ましい。上限は、食感に優れる点で、0.033以下が好ましく、0.028以下がより好ましく、0.023以下がさらに好ましい。
【0035】
原料液を容器に充填し、容器内の原料液を加熱して凝固させることが好ましい。加熱方法としては、熱湯に浸漬させる方法、スチーミング加熱槽を通過させる方法等が挙げられる。加熱槽内の温度をより均一にし易い点で熱湯に浸漬させる方法が好ましい。
原料液の加熱温度は、充分に凝固させるには、品温として70℃以上にすることが好ましく、80℃以上がより好ましい。また該加熱温度が高すぎると組織を悪化させるので95℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。
加熱時間は、原料液が完全に凝固するのに足りる時間であればよく、加熱温度に応じて設定することができる。必要以上に加熱することは外観、風味を悪化させるので好ましくない。したがって加熱時間は、加熱温度にもよるが、一般的には10~120分程度が好ましく、20~60分程度がより好ましい。
加熱により原料液が凝固した後は、水冷などにより速やかに冷却することが好ましい。冷却は、容器内の豆腐様組成物の温度が均一で、2~25℃の範囲内となるように行うことが好ましい。
【0036】
充填豆腐様食品の保存性を向上させて、常温で長期保存可能なロングライフ食品とするには、豆乳調製液と凝固剤とを混合する前に、豆乳調製液を加熱処理し、凝固剤を無菌化処理し、原料液を無菌的に容器に充填することが好ましい。容器は、無菌充填技術に適用可能な容器を用いる。
【0037】
豆乳調製液の加熱殺菌方法は特に限定されず、直接加熱法又は間接加熱法のいずれでもよい。タンパク質の加熱によるダメージを軽減する点からは直接加熱法が好ましい。直接加熱法としてはインジェクション殺菌あるいはインフュージョン殺菌を使用することができ、100℃から160℃で1秒から10秒程度殺菌することが好ましい。加熱殺菌は滅菌処理であることが好ましい。
豆乳調製液がその他の成分を含む場合、豆乳とその他の成分を別々に加熱殺菌した後に混合してもよく、これらを混合した後に加熱殺菌してもよい。
加熱殺菌処理の後、好ましくは均質化処理を行い、2~25℃に冷却することが好ましい。
【0038】
凝固剤の無菌化処理は非加熱処理が好ましい。例えば、凝固剤溶液をろ過滅菌法で無菌化処理すること好ましい。
加熱殺菌した豆乳調製液と、無菌化処理した凝固剤溶液とを混合して原料液を調製し、この原料液を、公知の手法により無菌的に容器に充填して密封し、容器ごと加熱して原料液を凝固させることにより、常温で長期保存可能な充填豆腐様食品が得られる。
【0039】
本発明によれば、後述の実施例にも示されるように、容器剥離性に優れる充填豆腐様食品が得られる。凝固剤として、凝固反応が速いカルシウムを用いることにより、離水(分離液)を伴った凝固物が形成され、容器剥離性が向上したと考えられる。
【0040】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において「%」は特に断りの無い限り「質量%」である。
以下の原料、容器を使用した。
<原料>
豆乳(1):豆乳製造装置(ワイエスピー社製品名:無浸漬豆乳プラント エコスター)を用いて製造した全固形分12.0%の無浸漬豆乳、タンパク質含有量5.2%。
添加大豆タンパク質(1):不二製油株式会社製、商品名「プロリーナ300」、タンパク質含有量83%。
塩化マグネシウム・6水和物(1):富田製薬株式会社製、塩化マグネシウム・6水和物含有量100%。
塩化カルシウム・2水和物(1):富田製薬株式会社製、塩化カルシウム・2水和物含有量100%。
食物繊維(1):フジ日本精糖株式会社製、商品名「Fuji FF」、イヌリン含有量92%。
油脂(1):太陽油脂株式会社製、商品名「大豆白絞油」、大豆油。
<容器>
紙層及びアルミ箔層を有し、外面及び内面がポリエチレン層である積層シートを直方体に成形した容器、容量300mL、テトラブリックアセプティック(登録商標)、日本テトラパック社製。
【0041】
以下の評価方法を用いた。
<評価方法>
[容器剥離性]
充填豆腐様食品を品温10℃に温度調整し、容器の上面を開口させ、容器の側面が外側に湾曲するように、側面の角を押して各側面の内面と内容物(豆腐様組成物)との間に空気を入れ、開口が下向きになるまで徐々に傾け、内容物(豆腐様組成物)を落下させて取り出した。取り出した後の容器内面に付着している残留物の質量を測定し、下記の評価基準で評価した。残留物が少ない方が容器剥離性に優れる。
(容器剥離性の評価基準)
A:残留物が0.5g未満。
B:残留物が0.5g以上、3.0g以下。
C:残留物が3.0g以上。
【0042】
[食感(官能評価)]
充填豆腐様食品を品温10℃に温度調整し、専門パネラー10名が試食し、食感及び風味について下記の評価基準で評価した。10名の平均値を評価結果とする。食感及び風味のいずれも平均値が高いほど良い。
(食感の評価基準)
5:なめらか感が強い。
4:なめらか感がやや強い。
3:どちらでもない。
2:ぼそぼそ感がやや強い。
1:ぼそぼそ感が強い。
【0043】
[分離液の割合]
容器の内容物(豆腐様組成物)の全量を、ふるい上に載せ、30秒後にふるいの下に落ちた液の質量を測定し、分離液の質量とした。豆腐様組成物の全質量に対する分離液の割合を求めた。
【0044】
以下の例1、2、4、5は実施例、例3、6は比較例である。
【0045】
(例1)
豆乳(1)97.0kgを145℃で2秒間保持して加熱殺菌し、3MPaの圧力で均質化後、10℃に冷却して豆乳調製液を得た。
一方、塩化マグネシウム・6水和物(1)0.5kg(マグネシウム約0.0598kg)、塩化カルシウム・2水和物0.04kg(カルシウム約0.0109kg)を水2.46kgに溶解し、ミリポアフィルターで無菌化して、凝固剤溶液を得た。
このようにして得られた豆乳調製液と、凝固剤溶液とを混合して原料液とし、ただちに原料液を容器に充填・密封した。その後、90℃の熱水槽に40分間浸漬することにより、密封容器内の原料液を加熱して凝固させ、充填豆腐様食品を得た。
【0046】
以下は、表1、2において共通である。
原料液及び豆腐様組成物におけるタンパク質の含有量を、原料組成と仕込み比率から求めた。なお、原料液及び豆腐様組成物中の、豆乳及び添加大豆タンパク質に由来する大豆タンパク質の合計(仕込み量)を、原料液及び豆腐様組成物中のタンパク質含有量とした。
得られた充填豆腐様食品の内容物(豆腐様組成物)におけるマグネシウム含有量(単位:mg/100g)、カルシウム含有量(単位:mg/100g)を誘導結合プラズマ発光分析法で測定した。
タンパク質1g当たりの、カルシウムの含有量、マグネシウムの含有量、マグネシウム及びカルシウムの合計の含有量を計算により求めた。
前記式(1)で表されるCr、前記式(2)で表されるMr、前記式(3)で表されるSを計算により求めた。
得られた充填豆腐様食品について、上記の方法で容器剥離性及び食感を評価した。また上記の方法で分離液の量を測定した。
これらの結果を表1、2に示す。
【0047】
(例2)
例1と同様にして豆乳調製液を得た。
一方、塩化マグネシウム・6水和物(1)0.5kg、塩化カルシウム・2水和物0.2kg(カルシウム約0.0545kg)を水2.3kgに溶解し、ミリポアフィルターで無菌化して、凝固剤溶液を得た。
このようにして得られた豆乳調製液と、凝固剤溶液とを用い、例1と同様にして充填豆腐様食品を得た。
【0048】
(例3)
例1と同様にして豆乳調製液を得た。
一方、塩化マグネシウム・6水和物(1)0.5kgを水2.5kgに溶解し、ミリポアフィルターで無菌化して、凝固剤溶液を得た。
このようにして得られた豆乳調製液と、凝固剤溶液とを用い、例1と同様にして充填豆腐様食品を得た。
【0049】
【0050】
表1の結果に示されるように、例1、2の充填豆腐様食品は、容器剥離性に優れ、豆腐様組成物を容器からきれいに取り出すことができた。例1は食感も良好であった。
例3では、容器剥離性が低下し、豆腐様組成物が容器にはりつき、きれいに取り出すことができなかった。
【0051】
(例4)
豆乳(1)89.8kgに添加大豆タンパク質(1)2.2kgと、食物繊維(1)1.5kgを溶解後、油脂(1)3.5kgと混合し、145℃で2秒間保持して加熱殺菌し、3MPaの圧力で均質化後、10℃に冷却して豆乳調製液を得た。
一方、塩化マグネシウム・6水和物(1)0.6kg(マグネシウム約0.0718kg)、塩化カルシウム・2水和物(1)0.05kg(カルシウム約0.0136kg)を水2.35kgに溶解し、ミリポアフィルターで無菌化して、凝固剤溶液を得た。
このようにして得られた豆乳調製液と、凝固剤溶液とを用い、例1と同様にして充填豆腐様食品を得た。
【0052】
(例5)
例4と同様にして豆乳調製液を得た。
一方、塩化マグネシウム・6水和物(1)0.6kg、塩化カルシウム・2水和物(1)0.2kgを水2.2kgに溶解し、ミリポアフィルターで無菌化して、凝固剤溶液を得た。
このようにして得られた豆乳調製液と、凝固剤溶液とを用い、例1と同様にして充填豆腐様食品を得た。
【0053】
(例6)
例4と同様にして豆乳調製液を得た。
一方、塩化マグネシウム・6水和物(1)0.6kgを水2.4kgに溶解し、ミリポアフィルターで無菌化して、凝固剤溶液を得た。
このようにして得られた豆乳調製液と、凝固剤溶液とを用い、例1と同様にして充填豆腐様食品を得た。
【0054】
【0055】
表2の結果に示されるように、例4、5の充填豆腐様食品は、容器剥離性に優れ、豆腐様組成物を容器からきれいに取り出すことができた。例4は食感も良好であった。
例6は、容器剥離性が不充分であった。