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特許7382728ワークピース成形用の平面上の平行な交互のパスを接続する複数の湾曲移行部の生成
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】ワークピース成形用の平面上の平行な交互のパスを接続する複数の湾曲移行部の生成
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/4093 20060101AFI20231110BHJP
   B21D 22/14 20060101ALI20231110BHJP
   B29C 53/04 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
G05B19/4093 F
B21D22/14 Z
B29C53/04
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019045721
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2019206170
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】15/923,641
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ピーターズ, ジャスティン エル.
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-084794(JP,A)
【文献】特開2003-223208(JP,A)
【文献】特開2001-255918(JP,A)
【文献】米国特許第06748780(US,B1)
【文献】特開平10-137858(JP,A)
【文献】特開平10-314855(JP,A)
【文献】特開2017-217657(JP,A)
【文献】Zhaobing LIU et al.,“Tool path strategies and deformation analysis in multi-pass incremental sheet forming process”,The International Journal of Advanced Manufacturing Technology,2014年07月23日,Vol. 75, No. 1-4,p.395-409,DOI: 10.1007/S00170-014-6143-6
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 53/04
B21D 22/14、18
G05B 19/4103
G05B 19/4099
G05B 19/4093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料(106)をワークピース(104)の形にするために成形ツール(114)を駆動するための方法であって、
前記ワークピース(104)の所望の形状(116)を、互いの上に積層された複数の層(124)に分割すること(1502)と、
前記複数の層のうちの第1の層(138)の一部(160)を周方向に横切る第1のパス(149)及び、前記複数の層のうちの第2の層(139)の一部(161)を周方向に横切る第2のパス(151)を規定すること(1504)と、
前記第1のパスを前記第2のパスに接合する湾曲移行部(164)を計算すること(1506)と、
前記材料(106)を前記ワークピースの形にするために、前記第1のパス、前記湾曲移行部、及び前記第2のパスに沿って前記成形ツール(114)を駆動すること(1508)と、
前記複数の層(124)の第3の層(140)の一部(162)を周方向に横切る第3のパス(153)を規定すること(1522)と、
前記第2のパス(151)を前記第3のパスに接合し、前記湾曲移行部(164)と反対方向に配向されている第2の湾曲移行部(166)を計算すること(1524)と、
前記材料(106)を前記ワークピースの形にするために、前記第3のパス(153)及び前記第2の湾曲移行部(166)に沿って前記成形ツール(114)を駆動すること(1528)であって、前記湾曲移行部と前記第2の湾曲移行部とは交差せず、前記成形ツールを前記湾曲移行部に沿って駆動する間と、前記成形ツールを前記第2の湾曲移行部に沿って駆動する間とで、前記成形ツールが前記材料の同じ部分(182)に接触する、成形ツールを駆動すること(1528)と、
を含み、
前記第1のパス(149)及び前記第3のパス(153)に沿って前記成形ツール(114)を駆動することが前記成形ツールを第1の方向(168)に動かすことを含み、前記第2のパス(151)に沿って前記成形ツールを駆動することが前記成形ツールを第2の方向(170)に動かすことを含み、前記第1の方向が前記第2の方向と反対である、方法。
【請求項2】
前記ワークピース(104)の前記所望の形状(116)を分割することが、
前記ワークピースの表面(130)上にある第1の位置(128)を規定することと、
前記第1の位置から垂直方向にオフセットされた第2の位置(132)を規定することと、
前記第1の位置と前記第2の位置の間の距離(134)を計算することと、
前記距離に基づいて、前記ワークピースの前記所望の形状を実質的に等しい高さに分割することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ワークピース(104)の前記所望の形状(116)を分割することが、前記成形ツール(114)のサイズ(137)に基づいて、前記ワークピースの前記所望の形状を前記実質的に等しい高さに分割することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のパス(149)及び前記第2のパス(151)を規定することが、
第1のトレース(144)及び第2のトレース(145)を形成するために、前記複数の層(124)と前記所望の形状(116)が交差する箇所間で平面上の平行な交差曲線(142)をトレースすることと、
前記第1のパス及び前記第2のパスを形成するため、前記第1のトレース及び前記第2のトレースのそれぞれの、一部分(148、150)を取り除くこととを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のトレース(144)及び前記第2のトレース(145)のそれぞれから取り除かれた部分(148、150)が、トリミング距離(158)と等しい長さを有する、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のパス(149)を前記第2のパス(151)に接合する前記湾曲移行部(164)を計算することが、
前記第1のパスの第1の端部(174)と前記第2のパスの第2の端部(176)との間の中点(172)を計算することと、
前記中点に基づいて湾曲点(180)の座標(178)を計算することと、
前記第1の端部、前記第2の端部、及び前記湾曲点を通って湾曲移行部を描画することとを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記湾曲移行部(164)は、前記第1の端部(174)から前記湾曲点(180)までの間と、前記第2の端部(176)から前記湾曲点(180)までの間とで、等しい曲率を有する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
ワークピース(104)用のモデル(108)であって、前記ワークピースの所望の形状(116)を含む、モデル(108)と、
前記ワークピースの前記所望の形状を、互いの上に積層された複数の層(124)の形に分割すること、前記複数の層のうちの各層の一部(160、161、または162)をそれぞれ周方向に横切る複数のパス(126)を規定すること、及び複数の湾曲移行部(122)を計算することを行うように構成されたツールパス生成器(110)であって、前記複数の湾曲移行部のうちの各湾曲移行部(164)が、前記複数のパスのうちの2つの各パスを接合する、ツールパス生成器(110)と、
前記ツールパス生成器と通信しているコントローラ(112)であって、材料(106)を前記ワークピースの形にするために、前記複数のパス及び前記複数の湾曲移行部に沿って、成形ツール(114)を駆動するように構成されたコントローラ(112)と、
前記コントローラと通信している前記成形ツールと、
を含
前記ツールパス生成器は、前記複数の層の第1の層(138)の一部(160)を周方向に横切る第1のパス(149)、前記複数の層の第2の層(139)の一部(161)を周方向に横切る第2のパス(151)、及び前記複数の層の第3の層(140)の一部(162)を周方向に横切る第3のパス(153)を規定し、前記第1のパスを前記第2のパスに接合する湾曲移行部(164)を計算し、前記第2のパスを前記第3のパスに接合し、前記湾曲移行部(164)と反対方向に配向されている第2の湾曲移行部(166)を計算し、
前記コントローラは、前記第1のパス、前記湾曲移行部、前記第2のパス、前記第2の湾曲移行部、及び前記第3のパスに沿って成形ツール(114)を駆動し、前記湾曲移行部と前記第2の湾曲移行部とは交差せず、前記成形ツールを前記湾曲移行部に沿って駆動する間と、前記成形ツールを前記第2の湾曲移行部に沿って駆動する間とで、前記成形ツールを前記材料の同じ部分(182)に接触させるように駆動し、
前記第1のパス(149)及び前記第3のパス(153)に沿って前記成形ツール(114)を駆動することが前記成形ツールを第1の方向(168)に動かすことを含み、前記第2のパス(151)に沿って前記成形ツールを駆動することが前記成形ツールを第2の方向(170)に動かすことを含み、前記第1の方向が前記第2の方向と反対である、システム。
【請求項9】
前記成形ツール(114)がインクリメンタルシート形成アセンブリ(184)の構成要素である、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、成形ツール及びツールパスを用いて、ワークピースを成形することに関する。具体的には、本開示は、平面上の平行な交互のパスを接続している、複数の湾曲移行部を有するツールパスを用いて、ワークピースを成形することに関する。
【背景技術】
【0002】
インクリメンタルシート成形は、ワークピースが材料のシートの増分変形を用いて作成される成形技法である。インクリメンタルシート成形は、現在、機械加工タイプの操作用に開発された、既存のツールパスアルゴリズムを利用している。しかし、インクリメンタルシート成形(ISF)と伝統的な機械加工のツールパスとを用いて成形されたワークピースでは、望ましくない品質が生じ得る。
【0003】
伝統的なツールパスアルゴリズムでは、ツールの軸に垂直である平行な水平面(複数)が、設計(design)と交差する。水平方向の通過と通過の間、または水平面(level)間には、移行領域が存在する。伝統的なツールパスアルゴリズムにおけるこれらの移行領域では、望ましくない表面品質が生じ得る。特に凸形または凹形のワークピースの場合は、移行領域によって表面品質が影響を受け得る。
【0004】
したがって、上記の問題点の少なくともいくつかと他の起こり得る問題点とを考慮に入れた、方法及び装置を有することが望ましい。例えば、インクリメンタルに成形されたワークピースの所望の品質を実現するように構成された、インクリメンタル機械加工成形アルゴリズムを有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
本開示の例示的な実施例は、方法を提供する。ワークピースの所望の形状が、互いの上に積層された複数の層に分割される。複数の層のうちの第1の層の一部を周方向に横切る第1のパス(path)と、複数の層のうちの第2の層の一部を周方向に横切る第2のパスが、規定される。第1のパスを第2のパスに接合する、湾曲移行部が計算される。成形ツールは、材料をワークピースの形にするため、第1のパス、湾曲移行部、及び第2のパスに沿って駆動される。
【0006】
本開示の別の例示的な実施例は、方法を提供する。複数の湾曲移行部によって接続された平面上の平行な交互のパスを有する、ツールパスが生成される。成形ツールは、材料をワークピースの形にするため、平面上の平行な交互のパス及び複数の湾曲移行部に沿って駆動される。
【0007】
本開示のさらなる別の例示的な実施例は、システムを提供する。このシステムは、ワークピース用のモデルと、ツールパス生成器と、コントローラと、成形ツールを含む。このモデルは、ワークピースの所望の形状を含む。ツールパス生成器は、ワークピースの所望の形状を、互いの上に積層された複数の層に分割することと、複数の層のうちの各層の一部をそれぞれ周方向に横切る複数のパスを規定することと、複数の湾曲移行部を計算することとを行うように構成されており、複数の湾曲移行部のうちの各湾曲移行部は、複数のパスのうちの2つの各パスを接合する。コントローラは、ツールパス生成器と通信しており、材料をワークピースの形にするため、複数のパス及び複数の湾曲移行部に沿って成形ツールを駆動するように構成されている。成形ツールは、コントローラと通信している。
【0008】
これらの特徴及び機能は、本開示の様々な例において個別に実現可能であるか、または、下記の説明及び図面を参照してさらなる詳細が理解され得る、さらなる別の例において組み合わされ得る。
【0009】
例示的な実施例の特性と考えられる新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に明記される。しかし、例示的な実施例及び好ましい使用モード、並びにそれらのさらなる目的及び特徴は、添付図面と併せて下記の本開示の例示的な実施例の詳細説明を参照することによって、最もよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】例示的な実施例による、材料が、平面上の平行な交互のパス(複数)を接続する複数の湾曲移行部を有するツールパスを用いてワークピースへと成形される、製造環境のブロック図である。
図2】例示的な実施例による、ワークピースの所望の形状の等角図である。
図3】例示的な実施例による、第1の位置と第2の位置との間の距離が示されている、ワークピースの所望の形状の等角図である。
図4】例示的な実施例による、複数の層に分割された距離が示された、ワークピースの所望の形状の等角図である。
図5】例示的な実施例による、平面上の平行な交差曲線(複数)がトレースされた、ワークピースの所望の形状の等角図である。
図6】例示的な実施例による、複数のトレース、及びトリミング開始点が示された、ワークピースの所望の形状の等角図である。
図7】例示的な実施例による、複数のトレース、並びに複数のトレースと直角な第1の分割面及び第2の分割面が示された、ワークピースの所望の形状の等角図である。
図8】例示的な実施例による、複数の層のうちの各層の一部をそれぞれ周方向に横切る複数のパスが示された、ワークピースの所望の形状の等角図である。
図9】例示的な実施例による、複数のパス及び、特定されたエンドポイントが示された、ワークピースの所望の形状の等角図である。
図10】例示的な実施例による、複数のパス及び、1つの湾曲移行部が示された、ワークピースの所望の形状の等角図である。
図11】例示的な実施例による、複数のパスの第1の端部と第2の端部の間の、湾曲移行部の図である。
図12】例示的な実施例による、複数の湾曲移行部によって接続された平面上の平行な交互のパスを有するツールパスが示された、ワークピースの所望の形状の等角図である。
図13】例示的な実施例による、成形ツールの側面図である。
図14A】例示的な実施例による、ワークピースを成形するための、平面上の平行な交互のパスを接続している複数の湾曲移行部を有する、ツールパスを形成する方法のフロー図である。
図14B】例示的な実施例による、ワークピースを成形するための、平面上の平行な交互のパスを接続している複数の湾曲移行部を有する、ツールパスを形成する方法のフロー図である。
図14C】例示的な実施例による、ワークピースを成形するための、平面上の平行な交互のパスを接続している複数の湾曲移行部を有する、ツールパスを形成する方法のフロー図である。
図14D】例示的な実施例による、ワークピースを成形するための、平面上の平行な交互のパスを接続している複数の湾曲移行部を有する、ツールパスを形成する方法のフロー図である。
図14E】例示的な実施例による、ワークピースを成形するための、平面上の平行な交互のパスを接続している複数の湾曲移行部を有する、ツールパスを形成する方法のフロー図である。
図15A】例示的な実施例による、成形ツールを用いて材料を形作る方法のフロー図である。
図15B】例示的な実施例による、成形ツールを用いて材料を形作る方法のフロー図である。
図16】例示的な実施例による、成形ツールを用いて材料を成形する方法のフロー図である。
図17】例示的な実施例による、ブロック図の形式によるデータ処理システムの図である。
図18】例示的な一実施例による、ブロック図の形式による航空機の製造及び保守方法の図である。
図19】例示的な一実施例が実装され得る、ブロック図の形式による航空機の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施例は、1つ以上の異なる検討事項を認識しており、考慮に入れている。例えば、例示の実施例は、車、航空機、ボート、または他のプラットフォームといったいくつかのプラットフォームが、整備及び修理中に交換部品を使用し得ることを、認識しており、考慮に入れている。例示の実施例は、より古いかまたはより一般的でないプラットフォームについては、交換部品を小ロットで製造する必要があり得ることを、認識しており、考慮に入れている。交換部品に関しては、部品の製造のために当初のツールを使えるようにする前に、当初のツールを探し出し、保管場所から取り出し、清掃し、評価し、しばしば修理することになるだろう。例示の実施例は、ある場合には、ツールを探し出すことができないか、またはツールが補修不可能であるということを、認識しており、考慮に入れている。例示の実施例は、これらの例においては、プラットフォームを元のように補修が行えるようにするのに、部品の比較的短期間の稼働のために新たなツールが製造されることで、高額の臨時支出の負担が生じることを、認識しており、考慮に入れている。
【0012】
例示的な実施例は、これらの小ロットの部品を製造するためには、金銭面のコストがかかるのと同時に、プラットフォームが準備を整えておかなければならないコストもあるという、その両面を認識しており、考慮に入れている。例示的な実施例は、交換部品の製造の遅れによって、プラットフォームを元のように補修が行えるようにする際、望ましくない遅れが生じかねないということを、認識しており、考慮に入れている。
【0013】
例示的な実施例は、インクリメンタルシート成形(ISF)用の既存のツールパスアルゴリズムが、材料を取り除く機械加工タイプの作業のために開発されてきたことを、認識しており、考慮に入れている。例示的な実施例は、伝統的なCAMワークベンチが、ISFにとって準最適なソリューションであるツールパスアルゴリズムを制作することを、認識しており、考慮に入れている。
【0014】
例示的な実施例は、双方向の機械加工作業のツールパスが、典型的に、シンプルなポイントツーポイントの動作と後退動作との2つのタイプの移行ソリューションを有していることを、認識しており、考慮に入れている。例示的な実施例は、今日のインクリメンタルシート成形(ISF)が、限定的な双方向のツールパス機能を有していることを、認識しており、考慮に入れている。
【0015】
例示的な実施例は、双方向のツールパスのために、伝統的なZレベルの機械加工用ワークベンチのツールパスアルゴリズムが使用され得ることを、認識しており、考慮に入れている。例示的な実施例は、Zレベルのツールパスアルゴリズムが、ツール軸に垂直である平行な水平面(複数)によって、設計と交差することを、認識しており、考慮に入れている。
【0016】
例示的な実施例は、伝統的なZレベルのツールパスアルゴリズムが、双方向の通過及び水平面の移行領域に欠点を有していることを、認識しており、考慮に入れている。例示的な実施例は、ツールパスの動きが次の水平面(level)へと双方向で移行するための接続が、部品の形状寸法の湾曲または鋳型形状線(mold line)状の特徴を辿らない、シンプルなポイントツーポイントの最短パスであることを、認識しており、考慮に入れている。例示的な実施例は、このタイプの最短のポイントツーポイントのツールパスアルゴリズムが、移行の際の急な動き、加速、及び減速を引き起こす可能性がある、機械の速度低下と方向変更を生じさせ得ることを、認識しており、考慮に入れている。例示的な実施例は、最短のポイントツーポイントのツールパスアルゴリズムが、物理的な部品上に形成されている最中に、表面欠陥を生じさせ得ることを、認識しており、考慮に入れている。
【0017】
例示的な実施例は、螺旋のツールパスアルゴリズム及び渦巻のツールパスアルゴリズムが連続的な移行を容易にすることを、認識しており、考慮に入れている。例示的な実施例は、螺旋のツールパスアルゴリズム及び渦巻のツールパスアルゴリズムが、単一の方向に限定されてもいる、即ち一方通行でもあることも、認識しており、考慮に入れている。
【0018】
例示的な実施例は、現時点では、(ISFの)製造作業に関する歪み及び表面品質を改善するために、混在している双方向のツールパスによって連続的で交互に入れ替わる湾曲した移行を作り出すように設計されたツールパスアルゴリズムは、一切存在していないことを、認識しており、考慮に入れている。
【0019】
例示的な実施例は、双方向のツールパスによって連続的で交互に入れ替わる湾曲した移行を作り出すツールパスアルゴリズムが、表面品質を改良し得ることを、認識しており、考慮に入れている。例示的な実施例は、双方向のツールパスによって連続的で交互に入れ替わる湾曲した移行を作り出すツールパスアルゴリズムが、歪みを低減し得ることを、認識しており、考慮に入れている。
【0020】
ここで図面、具体的には図1を参照すると、例示的な実施例による、平面上の平行な交互のパス(複数)を接続する複数の湾曲移行部を有するツールパスを用いて、材料がワークピースへと成形される、製造環境のブロック図が示されている。図1の製造環境100は、材料106からワークピース104を成形するためのシステム102を内包する。システム102は、ワークピース104用のモデル108と、ツールパス生成器110と、コントローラ112と、成形ツール114を含む。
【0021】
ワークピース104用のモデル108は、ワークピース104にとって所望の形状116を含む。ツールパス生成器110は、ワークピース104用の所望の形状116から、複数の湾曲移行部122によって接続された平面上の平行な交互のパス(複数)120を有するツールパス118を生成するように構成されている。
【0022】
ツールパス生成器110は、ワークピース104の所望の形状116を、互いの上に積層された複数の層124に分割することと、複数の層124の各層の一部をそれぞれ周方向に横切る複数のパス126を規定することと、複数の湾曲移行部122を計算することとを行うように構成されており、複数の湾曲移行部122のうちの各湾曲移行部は、複数のパス126のうちの2つの各パスを接合する。複数のパス126が複数の湾曲移行部122と接合してツールパス118を形成しているとき、複数のパス126の方向は、成形ツール114がツールパス118を通って前進するのにつれて、交互に入れ替わる。したがって、複数のパス126は、平面上の平行な交互のパス120とも呼ばれてよい。
【0023】
ある例示的な実施例では、ワークピース104の所望の形状116を複数の層124に分割するために、所望の形状116は、実質的に等しい高さに分割される。示されるように、ワークピース104の表面130上にある、第1の位置128が規定されている。第1の位置128はユーザによって規定されてよいか、またはツールパス生成器110によって自動的に生成されてよい。第1の位置128から垂直方向にオフセットされた第2の位置132もまた、規定される。第1の位置128と第2の位置132の間の距離134が計算される。ワークピース104の所望の形状116は、距離134に基づいて、実質的に等しい高さに分割される。
【0024】
複数の層124の数136は、距離134及び設定されたパラメータによって決定される。ある例示的な実施例では、複数の層124の数136は、成形ツール114の少なくとも1つのパラメータに基づく。例えば、複数の層124の数136は、成形ツール114のサイズ137に基づいていてよい。示されるとおり、複数の層124は、第1の層138、第2の層139、及び第3の層140を含む。しかし、複数の層124は、数136のうちの任意の所望の1つを含んでいてよい。
【0025】
平面上の平行な交差曲線142は、複数の層124と所望の形状116との間の交差部である。複数のパス126を規定するために、複数の層124と所望の形状116とが交差する箇所間の、平面上の平行な交差曲線142がトレースされ、複数のトレース143が形成される。図示されるように、複数のトレース143は、第1のトレース144、第2のトレース145、及び第3のトレース146を含む。第1のトレース144は、第1の層138と所望の形状116とが交差する箇所間をトレースすることによって、形成される。第2のトレース145は、第2の層139と所望の形状116とが交差する箇所間をトレースすることによって、形成される。第3のトレース146は、第3の層140と所望の形状116とが交差する箇所間をトレースすることによって、形成される。
【0026】
複数のトレース143のそれぞれの一部分が取り除かれて、複数のパス126が形成される。示されるように、第1のトレース144の一部分148が取り除かれて、第1のパス149が形成される。示されるように、第2のトレース145の一部分150が取り除かれて、第2のパス151が形成される。示されるように、第3のトレース146の一部分152が取り除かれて、第1のパス153が形成される。
【0027】
ある例示的な実施例では、複数のパス126を形成するために複数のトレース143のそれぞれの一部分を取り除くことは、複数のトレース143を通って複数のトレース143に直角な第1の分割面154を描画することと、複数のトレース143を通って複数のトレース143に直角な第2の分割面156を描画することと、複数のトレース143のそれぞれの一部分を取り除くため、第1の分割面154と第2の分割面156の間の、複数のトレース143のそれぞれの構成要素を取り除くことと、を含む。
【0028】
例えば、示されるように、第1のトレース144の一部分148は、第1の分割面154と第2の分割面156の間に位置している。第1の分割面154と第2の分割面156の間の第1のトレース144の構成要素を取り除くことによって、部分148が取り除かれる。
【0029】
同様に示されるように、第2のトレース145の一部分150は、第1の分割面154と第2の分割面156の間に位置している。第1の分割面154と第2の分割面156の間の第2のトレース145の構成要素を取り除くことによって、部分150が取り除かれる。
【0030】
さらに示されるように、第3のトレース146の部分152は、第1の分割面154と第2の分割面156の間に位置している。第1の分割面154と第2の分割面156の間の第3のトレース146の構成要素を取り除くことによって、部分152が取り除かれる。
【0031】
ある例示的な実施例では、第1の分割面154と第2の分割面156の間の距離は、トリミング距離158と等しい。これらの例示的な実施例では、複数のトレース143から取り除かれた部分は、それぞれ、トリミング距離158に等しい長さを有する。トリミング距離158は、複数の層124のうちの2つの連続した層間に、移行部である間隙を設ける。トリミング距離158は、成形ツール114が移行の際に複数の層124のうちの連続する2層間を移動するための、設定された長さである。ある例示的な実施例では、トリミング距離158は、オペレータが設定するパラメータである。他の例示的な実施例では、トリミング距離158は、ツールパス生成器110によって自動的に設定される。
【0032】
部分148、部分150、及び部分152といった各部分を複数のトレース143から取り除くことによって、複数のパス126が形成される。複数のパス126は、複数の層124の各層の一部を、それぞれ周方向に横切る。例えば、第1のパス149は、第1の層138の一部160を周方向に横切る。第2のパス151は、第2の層139の一部161を周方向に横切る。第3のパス153は、第3の層140の一部162を周方向に横切る。
【0033】
複数のパス126を形成した後、複数の湾曲移行部122が計算される。複数の湾曲移行部122のうちの各湾曲移行部は、複数のパス126のうちの、2つの各パスを接合する。例えば、湾曲移行部164は、第1のパス149と第2のパス151を接合する。別の例として、第2の湾曲移行部166は、第2のパス151と第3のパス153を接合する。
【0034】
湾曲移行部164は、第1のパス149と第2のパス151の間の接合部を形成する。成形ツール114は、材料106から持ち上げられることなく、これらのパスを辿って材料106を形作る。湾曲移行部164は、成形ツール114が、第1の方向168へ第1のパス149に沿って、及び第1の方向168と反対である第2の方向170へ第2のパス151に沿って、成形ツール114を材料106から持ち上げることなしに、駆動されることを可能にしている。
【0035】
ある例示的な実施例では、第1のパス149を第2のパス151に接合する湾曲移行部164を計算することは、第1のパス149の第1の端部174と第2のパス151の第2の端部176との間の中点172を計算することを含む。これらの例示的な実施例のうちのあるものでは、中点172を計算した後、中点172に基づいて湾曲点180の座標178が計算される。湾曲点180は、曲率の極値点とも呼ばれ得る。湾曲点180は、湾曲移行部164上における、湾曲移行部164の第1の端部174及び第2の端部176に対する最遠点である。これらの例示的な実施例では、第1の端部174、第2の端部176、及び湾曲点180を通って、湾曲移行部が描画される。ある例示的な実施例では、湾曲移行部164は、第1の端部174から湾曲点180までの間と、第2の端部176から湾曲点180までの間とで、等しい曲率を有する。ある例示の実施例では、湾曲移行部164は、中点172と湾曲点180を通って引かれた直線に対して対称である。
【0036】
湾曲移行部164が、第1の端部174から湾曲点180までと、第2の端部176から湾曲点180までとで等しい曲率を有しているとき、成形ツール114は、第1のパス149から第2のパス151へと円滑に移行する。湾曲移行部164が第1の端部174から湾曲点180までと、第2の端部176から湾曲点180までとで曲率が等しいと、曲率が均一でないよりも、成形ツール114の急な動きや減速がより少なくなる。
【0037】
第2の湾曲移行部166は、第2のパス151と第3のパス153とを接続しているとして示されている。動作中、成形ツール114は、第1のパス149と第3のパス153のどちらにおいても、第1の方向168に駆動される。湾曲移行部164と第2の湾曲移行部166は、反対方向に配向されている。ある例示的な実施例では、湾曲移行部164が第1の方向164へと配向されている一方、第2の湾曲移行部166は、第2の方向170へと配向されている。湾曲移行部164と第2の湾曲移行部166は、反対方向に開いているとして説明されてもよい。
【0038】
ある例示的な実施例では、湾曲移行部164と第2の湾曲移行部166とは、交差しない。例示的な実施例では、湾曲移行部164と第2の湾曲移行部166は交差しないが、成形ツール114が湾曲移行部164に沿って駆動されている間と、成形ツール114が第2の湾曲移行部166に沿って駆動されている間とで、成形ツール114は、材料106の同じ部分182に接触する。
【0039】
示されるように、システム102は、ツールパス生成器110と通信しているコントローラ112を含む。コントローラ112は、ハードウェアかソフトウェアのうちの少なくとも1つとして実装されていてよい。コントローラ112は、特定の実装に応じて、コンピュータシステム内のプロセッサユニットであるか、または専用回路であってよい。
【0040】
コントローラ112は、任意の所望の有線または無線の手段を通じて、ツールパス生成器110と通信していてよい。コントローラ112は、成形ツール114を複数のパス126及び複数の湾曲移行部122に沿って駆動して、材料106をワークピース104の形にするように構成されている。コントローラ112は、ツールパス生成器110によって形成されたツールパス118を用いて、成形ツール114の方向を決める。
【0041】
成形ツール114はコントローラ112と通信しており、任意の所望の形態を取る。ある例示的な実施例では、成形ツール114は、マンドレルまたは成形スタイラスと呼ばれてよい。ある例示的な実施例では、成形ツール114は、インクリメンタルシート成形アセンブリ184の構成要素である。成形ツール114がインクリメンタルシート形成アセンブリ184の構成要素であるときには、材料106は、シート186の形態をとる。
【0042】
ある例示的な実施例では、ツールパス生成器110は、成形ツール114のパラメータ188を考慮に入れて複数の湾曲移行部122によって接続された、平面上の平行な交互のパス(複数)120を有するツールパス118を生成する。パラメータ188は、限定しないが、呼び径、コーナー半径、全長、成形長さ、移行部付き長さ(length with transition)、または本体径のうちの少なくとも1つを含む、任意の所望のパラメータを含んでいてよい。
【0043】
本書で使用されている場合、アイテムのリストと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1つ以上の種々の組み合わせが使用されてもよく、またリスト中の各アイテムのうちの1つだけが必要とされてもよいことを意味する。言い換えると、「~のうちの少なくとも1つ」とは、アイテムの任意の組み合わせ、及び任意の数のアイテムが、列挙された中から使用され得るが、列挙されたアイテムのすべてが必要なわけではない、ということを意味する。アイテムとは、特定の対象物、物品、またはカテゴリであってよい。
【0044】
この例は、「アイテムA、アイテムB、及びアイテムC」、または「アイテムB及びアイテムC」もまた含んでいてよい。当然ながら、これらのアイテムの任意の組み合わせが存在し得る。他の例としては、「~のうちの少なくとも1つ」は、限定するものではないが、例えば「2個のアイテムA、1個のアイテムB、及び10個のアイテムC」、「4個のアイテムB及び7個のアイテムC」、または他の適切な組み合わせであってよい。
【0045】
成形ツール114を平面上の平行な交互のパス120及び複数の湾曲移行部122に沿って駆動することによって、材料106がワークピース104の形にされる。ある例示的な実施例では、成形ツール114は、ワークピース104の材料106の全体の表面に接触する。
【0046】
図1の製造環境100の図は、例示的な実施例が実装され得る態様に対して、物理的なまたは構造的な限定を課すことを意図するものではない。図示した構成要素に加えてまたは代えて、他の構成要素が使用されてもよい。いくつかの構成要素は、不要であってよい。ブロックはまた、いくつかの機能的構成要素を図示するためにも提示されている。実施例において実装される場合、これらのブロックのうちの1つ以上が、組み合わされ、分割され、または、組み合わされて異なるブロックに分割されてよい。
【0047】
例えば、複数の層124は3つの層を含んでいるが、他の例示的な実施例では、数量136は任意の所望の値を有していてよい。さらに、製造環境100内部のコンピュータシステム190上には、モデル108及びツールパス生成器110が示されているが、他の例示的な実施例では、コンピュータシステム190は、製造環境100の外部に位置していてよい。他の例示的な実施例では、ツールパス生成器110とモデル108は、異なるコンピューティングシステム内に保存されていてよい。
【0048】
ここで図2を参照すると、例示的な一実施例による、ワークピースの所望の形状の等角図が示されている。所望の形状200は、図1の所望の形状116の物理的な実装である。ある例示的な実施例では、所望の形状200は、図1のモデル108といったモデルの一部分である。所望の形状200は、図1のワークピース104といったワークピースを成形するために、図1のツールパス118といったツールパスを形成するのに使用される。
【0049】
示されるように、所望の形状200は、丸みを帯びたエッジを有する切頂四角錐である。しかし、所望の形状200は、任意の所望の形状またはサイズを有していてよい。所望の形状200は対称であることが望ましいが、ある例示的な実施例では、所望の形状200は非対称であってよい。
【0050】
ここで図3を参照すると、例示的な実施例による、第1の位置と第2の位置との間の表示された距離が示されている、ワークピースの所望の形状の等角図である。図示300では、所望の形状200の表面304上の第1の位置302が特定されている。インクリメンタルシート成形が用いられている例示的な実施例では、第1の位置302は、所望の形状200の最上部または最下部に位置していてよい。ある例示的な実施例では、第1の位置302は、規定された頂平面上に存在している。頂平面は、オペレータによって規定されるか、または図1のツールパス生成器110といったツールパス生成器によって規定されてよい。
【0051】
第1の位置302から垂直方向にオフセットされた第2の位置306もまた、図示300内で特定されている。ある例示的な実施例では、第2の位置306は、頂面の方向と直角である。ある例示的な実施例では、第2の位置306は、頂面の方向と直角な、規定された点である。第2の位置306は、オペレータによって規定されるか、または図1のツールパス生成器110といったツールパス生成器によって規定されてよい。第1の位置302と第2の位置306の間の距離308が計算される。
【0052】
ここで図4を参照すると、例示的な実施例による、複数の層に分割された距離が示された、ワークピースの所望の形状の等角図が示されている。図示400では、所望の形状200は、図3の距離308及び任意の設定されたパラメータに基づいて、複数の層402に分割されている。例えば、所望の形状200は、成形ツール(図示せず)のサイズに基づいて、複数の層402に分割され得る。別の例として、所望の形状200は、通過と通過の間の軸方向距離の入力された変数値に基づいて、複数の層402に分割され得る。ある実施例では、通過と通過の間の軸方向距離は、オペレータによって生成される。他の例示的な実施例では、通過と通過の間の軸方向距離は、図1のツールパス生成器110といったツールパス生成器によって与えられ得る。
【0053】
ここで図5を参照すると、例示的な一実施例による、トレースされた平面上の平行な交差曲線が示された、ワークピースの所望の形状の等角図が示されている。図示500では、図2の複数の層402と所望の形状200との交差部は、平面上の平行な交差曲線502である。平面上の平行な交差曲線502がトレースされ、複数のトレース504が形成される。複数のトレース504のそれぞれは、平面上にあり、複数のトレース504のうちの他の各トレースと平行である。
【0054】
ここで図6を参照すると、例示的な実施例による、複数のトレース、及び1つのトリミング開始点が示された、ワークピースの所望の形状の等角図が示されている。図示600では、所望の形状200上に複数のトレース504が見えている。図示600では、トリミング開始点602が特定されている。ある例示的な実施例では、トリミング開始点602は、ユーザによって規定される。ある例示的な実施例では、トリミング開始点602は、図1のツールパス生成器110といったツールパス生成器によって生成される。トリミング開始点602は、全ての例示的な実施例で、複数のトレース504のうちの最も上のトレース上に存在している。
【0055】
ここで図7を参照すると、例示的な実施例による、複数のトレース、並びに複数のトレースと直角な第1の分割面及び第2の分割面が示された、ワークピースの所望の形状の等角図である。図示700では、第1の分割面702と第2の分割面704が、所望の形状200上に示されている。
【0056】
第1の分割面702は、複数のトレース504と直角で、複数のトレース504を通る配向を有する。第1の分割面702は、図6のトリミング開始点602の座標もまた通って延びている。第2の分割面704は、複数のトレース504と直角で、複数のトレース504を通って延びている。第2の分割面704は、第1の分割面702から、距離706で離れている。ある例示的な実施例では、距離706は、図1のトリミング距離158といった、規定されたトリミング距離に基づいている。トリミング距離は、ユーザによって規定されるか、または図1のツールパス生成器110といったツールパス生成器によって設定されてよい。
【0057】
ここで図8を参照すると、例示的な実施例による、複数の層の各層の一部をそれぞれ周方向に横切る複数のパスが示された、ワークピースの所望の形状の等角図が示されている。図示800では、複数のトレース504のそれぞれの、一部分が取り除かれて、複数のパス802が形成される。具体的には、図7の第1の分割面702と第2の分割面704の間の複数のトレース504のそれぞれの、構成要素が取り除かれている。複数のパス802のそれぞれは、複数の層402の各層の一部を周方向に横切る。複数のパス802のそれぞれは、2つの各端部を有する。例えば、第1のパス804は、第2のパス810の第2の端部808に接続される第1の端部806を有する。
【0058】
ここで図9を参照すると、例示的な実施例による、複数のパス及び、特定されたエンドポイントが示された、ワークピースの所望の形状の等角図である。図示900では、複数のパス802に対して、終点902が加えられている。第1のパス804は、始点904と終点906を有する。第2のパス810は、始点908と終点910を有する。示されるように、終点906は、第1のパス804の第1の端部806である。示されるように、第2のパス810の始点908は、第2のパス810の第2の端部808である。終点902には4つの終点のみが示されているが、実際には、終点は、所望の形状200の全体に対して特定されている。
【0059】
ここで図10を参照すると、例示的な実施例による、複数のパス及び湾曲移行部が示された、ワークピースの所望の形状の等角図が示されている。図示1000では、湾曲移行部1002が、第1のパス804の第1の端部806と第2のパス810の第2の端部808を接続している。湾曲移行部1002は、成形ツールを材料(図示せず)の表面から取り外すことなく、成形ツール(図示せず)が、第1のパス804及び第2のパス810に沿って、交互に入れ替わる方向に移動するのを可能にしている。
【0060】
ここで図11を参照すると、例示的な実施例による、複数のパスの、第1の端部と第2の端部の間の湾曲移行部の図が示されている。図示1100は、湾曲移行部1002を作成する例示的な実施例を提供するために、図10の湾曲移行部1002をマーク付けした図である。
【0061】
第1のパス804の第1の端部806と第2のパス810の第2の端部808の中点1102が、計算される。湾曲点1104の座標は、中点1102に基づいて計算される。湾曲点1104の座標は、「オフセット点(offset point)の座標」とも呼ばれてよい。なぜならば、湾曲点1104は、中点1102からオフセットされているからである。第1の端部806、第2の端部808、及び湾曲点1104を通って、湾曲移行部1102が描画される。
【0062】
ある例示的な実施例では、中点1102は、dx=(ex+sx)/2,dy=(ey+sy)/2,dz=(ez+sz)/2として計算される。スプライン移行パラメータといった、計算用のパラメータは、オペレータ、または図1のツールパス生成器110といったツールパス生成器のどちらかによって、提供される。スプライン移行パラメータはパラメータTを含み、整数であるパラメータTは、スプラインの長さを変更する。
【0063】
示されるように、m=(d*T)/Kとして湾曲点1104の変位値1106を計算するのに、張力係数であるパーセンテージKが使用される。湾曲点1104は、曲率の極値点とも呼ばれ得る。湾曲点1104は、湾曲の始点と終点に対する、湾曲上にある最遠点である。示されるように、湾曲点1104は、湾曲移行部1002上における、第1の端部806及び第2の端部808に対する最遠点である。ベクトルの大きさvは、v=√((si1+sj1+sk1))を用いて、図7の第1の分割面702から計算される。
【0064】
方向は、(ui=((si)/v),uj=((sj)/v),uk=((sk)/v))を用いて、単位ベクトルに変換される。変位ベクトルは、vi=m*ui,vj=m*uj,vk=m*ukを用いて計算される。湾曲点1104の座標は、cx=dx+vi,cy=dy+vj,cz=dz+vkを用いて計算される。その後、第1の端部806、第2の端部808、及び湾曲点1104を通って、湾曲移行部1102が描画される。示されるように、湾曲移行部1002は、第1の端部806から湾曲点1104までの間と、第2の端部808から湾曲点1104までの間とで、等しい曲率1108を有する。示されるように、湾曲移行部1002は、中点1102と湾曲点1104を通って引かれた直線に対して対称である。
【0065】
ここで図12を参照すると、例示的な実施例による、複数の湾曲移行部によって接続された平面上の平行な交互のパスを有するツールパスが示された、ワークピースの所望の形状の等角図が示されている。図示1200では、平面上の平行な交互のパス1204及び複数の湾曲移行部1206を有するツールパス1202が、所望の形状200上に示されている。示されるように、複数のパス802は、平面上の平行な交互のパス1024であって、この平面上の平行な交互のパス1024の中で、成形ツール(図示せず)が、第1の方向1208または第2の方向1210に、交互に入れ替わる態様で移動する。複数の湾曲移行部1206は、図11に関して上記されたステップを繰り返すことによって作成され得る。
【0066】
成形ツールが材料(図示せず)から取り外されることなしに、成形ツールが交互に入れ替わる方向に移動し得るように、複数の湾曲移行部1206が、平面上の平行な交互のパス1204を接続している。複数の湾曲移行部1206は、図10の湾曲移行部1002を含む。複数の湾曲移行部1206は、第2の湾曲移行部1212もまた含む。第2の湾曲移行部1212は、第2のパス810と第3のパス1214とを接合する。
【0067】
湾曲移行部1002と第2の湾曲移行部1212は、反対方向に配向されている。湾曲移行部1002と第2の湾曲移行部1212は、反対方向に開いているとして説明されてもよい。
【0068】
示されるように、湾曲移行部1002と第2の湾曲移行部1212とは、交差しない。ある例示的な実施例では、湾曲移行部1002と第2の湾曲移行部1212は交差しないが、成形ツール(図示せず)が湾曲移行部1002に沿って駆動されている間と、成形ツールが第2の湾曲移行部1212に沿って駆動されている間とで、成形ツールは、材料の同じ部分に接触する。
【0069】
示されるように、複数の湾曲移行部1206は、交差しない。しかし、ある例示的な実施例では、成形ツール(図示せず)がパス1202に沿って駆動されるとき、成形ツールは、成形ツールのサイズのせいで、1度よりも多く、材料の部分の上を移動し得る。これらの例示的な実施例では、成形ツールがオーバーラップして通過を行うことによって、材料の全体が成形される。
【0070】
ここで図13を参照すると、例示的な実施例による成形ツールの側面図が示される。成形ツール1300は、図1の成形ツール114の物理的な実装である。成形ツール1300は、図12のツールパス1202に沿って駆動されてよい。
【0071】
成形ツール1300は、呼び径(D)1302、コーナー半径(Rc)1304、全長(L)1306、成形長さ(Lc)1308、移行部付き長さ(l)1310、本体径(db)1312を有する。ツールパス118といったツールパスを形成する際には、呼び径(D)1302、コーナー半径(Rc)1304、全長(L)1306、成形長さ(Lc)1308、移行部付き長さ(l)1310、または本体径(db)1312のうちの少なくとも1つが、考慮に入れるべきパラメータとして使用され得る。
【0072】
平面上の平行な交互のパス(複数)を接続している複数の湾曲移行部を生成した後、複数の湾曲移行部と平面上の平行な交互のパスに沿った部分の表面に成形ツール1300が接触するようにして、ツールパス118といったツールパスを形成するために、成形ツール1300のパラメータが考慮に入れられる。例えば、図14の工程1494でツールパスを生成するために、工程1484において、成形ツール1300のパラメータが考慮に入れられる。
【0073】
ここで図14A図14B図14C図14D、及び図14Eを参照すると、例示的な実施例による、ワークピースを成形するための平面上の平行な交互のパスを接続している複数の湾曲移行部を有する、ツールパスを形成する方法のフロー図が示されている。方法1400は、図1のツールパス118を作成するために使用され得る。方法1400は、図示されている、複数の層402、複数のトレース504、複数のパス802、及び図2-12の所望の形状200に沿って示された他の特徴を作成するために実施されるアクションを表す、フロー図であり得る。
【0074】
方法1400は、ユーザが規定した頂平面を、点のパラメータ及び方向のパラメータとして受信する(工程1402)。方法1400は、絶対座標(x,y,z,i,j,k)の点データを保存する(工程1404)。方法1400は、頂面の方向に直角な、ユーザが規定した底点を、パラメータとして受信する(工程1406)。方法1400は、絶対座標(x,y,z)の点データを保存する(工程1408)。
【0075】
方法1400は、最も上の絶対点と最も下の絶対点の間の法線長さを、距離
d=√((x-x+(y-y+(z-z)として計算する(工程1410)。次に、方法1400は、パラメータdを保存する(工程1412)。
【0076】
方法1400は、通過と通過の間の軸方向距離のユーザ入力による変数値adを受信する(工程1414)。次に、方法1400は、パラメータadを保存する(工程1416)。
【0077】
方法1400は、整数のパラメータ値であるレベルの数N=d/adを計算する(工程1418)。次に、方法1400は、パラメータNを保存する(工程1420)。
【0078】
方法1400は、オフセットパラメータO=d/Nを計算する(工程1422)。次に、方法1400は、パラメータOを保存する(工程1424)。
【0079】
方法1400は、最も上の面/点がx,y,z,i,j,kにあり、平面の数がNで互いの距離がOであり、最も下の面/点がx,y,z,i,j,kにある、交差平面及び交差点を見つけ出す(工程1426)。方法1400は、交差平面と設計面が交差して複数のトレースを形成している箇所間で、平面上の平行な交差曲線をトレースする(工程1428)。
【0080】
方法1400は、ユーザによって規定された移行距離を、パラメータtとして受信する(工程1430)。方法1400は、ユーザによって規定された開始点移行位置を、最も上のトレース上に存在する点座標sとして受信する(工程1432)。方法1400は、s1の座標をsx,sy,sz,si,sj,skとして保存する(工程1434)。方法1400は、第1の分割面であって、その配向が複数のトレース及びsの座標を通って直角である、第1の分割面を描画する(工程1436)。方法1400は、トレースに沿った第1の分割面からの距離がtである、第2の分割面を描画する(工程1438)。
【0081】
方法1400は、第1の分割面と第2の分割面によって複数のトレースを分割して、第1の分割面と第2の分割面の間の、複数のトレースの部分を取り除く(工程1440)。
【0082】
方法1400は、sから、点位置eである終点に辿り着くまで、トレースを辿る(工程1442)。方法1400は、eの座標をex,ey,ezとして保存する(工程1444)。方法1400は、eの点位置から開始して、次のトレースの最も近い始点sを発見する(工程1446)。方法1400は、sの座標をsx,sy,szとして保存する(工程1448)。
【0083】
方法1400は、sから、点位置eである終点に辿り着くまで、トレースを辿る(工程1450)。方法1400は、eの座標をex,ey,ezとして保存する(工程1452)。方法1400は、複数のトレースのうちの最も下のトレースに到達するまで、工程1446から1452を繰り返す(工程1454)。
【0084】
方法1400は、sとeの間の絶対値または距離指数パラメータ値を、d=√((ex-sx+(ey-sy+(ez-sz)として計算する(工程1456)。方法1400は、パラメータdの座標をdx,dy,dzとして保存する(工程1458)。
【0085】
方法1400は、ユーザが規定したスプライン移行パラメータTを受信する。Tは整数であり、スプラインの長さを変更する(工程1460)。方法1400は、Tをパラメータとして保存する(工程1461)。
【0086】
方法1400は、ユーザが規定した張力係数であるパーセンテージKを受信する(工程1462)。方法1400は、Kをパラメータとして保存する(工程1464)。
【0087】
方法1400は、湾曲極値点の変位値を、m=(d*T)/Kとして計算する(工程1466)。方法1400は、mを変数として保存する(工程1468)。
【0088】
方法1400は、第1の分割面からのベクトルの大きさを、v=√((si +sj +sk ))として計算する(工程1470)。方法1400は、方向を、単位ベクトルui=(si/v),uj=(sj/v),uk=(sk/v)に変換する(工程1472)。方法1400は、変位ベクトル
vi=m*ui,vj=m*uj,vk=m*ukを計算する(工程1474)。
【0089】
方法1400は、座標x=dx+vi,cy=dy+vj,cz=dz+vkを計算する(工程1476)。方法1400は、cを点の座標(cx、cy、cz)として保存する(工程1478)。方法1400は、e、c、及びsの3点を通って接続する湾曲移行部を描画する(工程1480)。
【0090】
方法1400は、最も下の接続する曲線に到達するまで、工程1466から1480を繰り返す(工程1482)。最も下の接続する曲線に到達したときに、方法1400はツールパス誘導エレメントを生成し終わっている。ツールパスは、ツールパス誘導エレメントと同様に、成形ツール及びツール軸の物理的なパラメータも考慮に入れて、生成される。
【0091】
方法1400は、成形ツールのスタイラスのパラメータを規定する(工程1484)。成形ツールのスタイラスのパラメータは、任意の所望のパラメータ及び任意の数のパラメータを含んでいてよい。ある例示的な実施例では、成形ツールのスタイラスのパラメータは、図13のパラメータのうちの任意の所望のパラメータを含む。方法1400は、ツールパス誘導エレメントを選択する(工程1486)。方法1400は、接触部品面(contact part surface)を選択する(工程1488)。方法1400は、ツール軸を規定する(工程1490)。方法1400は、成形用の送り速度を規定する(工程1492)。成形用の送り速度は、成形ツールが部品の表面を移動する速度である。方法1400は、ツールパスを生成する(工程1494)。方法1400は、ツールパスを保存する(工程1496)。ツールパスを保存することによって、位置が示されたテキスト状の文書が、可読なファイルフォーマットで保存される。その後、方法1400は終了する。
【0092】
ここで図15A及び図15Bを参照すると、例示的な実施例による、成形ツールを用いて材料を形作る方法のフロー図が示されている。方法1500は、図1の成形ツール115で材料106を形作るために使用され得る。方法1500は、図1のツールパス生成器110、及び図1の成形ツール115を用いて実行され得る。方法1500は、図示されている、複数の層402、複数のトレース504、複数のパス802、及び図2-12の所望の形状200に沿って示された他の特徴を作成するために使われるアクションを実施するために用いられ得る。
【0093】
方法1500は、ワークピースの所望の形状を、互いの上に積層された複数の層に分割する(工程1502)。方法1500は、複数の層のうちの第1の層の一部を周方向に横切る第1のパスと、複数の層のうちの第2の層の一部を周方向に横切る第2のパスを、規定する(工程1504)。方法1500は、第1のパスを第2のパスに接合する、湾曲移行部を計算する(工程1506)。方法1500は、第1のパス、湾曲移行部、及び第2のパスに沿って成形ツールを駆動して、材料をワークピースの形にする(工程1508)。その後、方法1500は終了する。
【0094】
ある例示的な実施例では、ワークピースを所望の形状に分割する方法1500は、ワークピースの表面上にある第1の位置を規定することと、第1の位置から垂直方向にオフセットされている第2の位置を規定することと、第1の位置と第2の位置の間の距離を計算することと、この距離に基づいて、ワークピースの所望の形状を実質的に等しい高さに分割することと、を含む(工程1510)。ある例示的な実施例では、ワークピースの所望の形状を分割することは、ワークピースの所望の形状を、成形ツールのサイズに基づいて、実質的に等しい高さに分割することをさらに含む(工程1512)。
【0095】
ある例示的な実施例では、第1のパス及び第2のパスを規定することは、複数の層と所望の形状が交差する箇所間の、平面上の平行な交差曲線をトレースして第1のトレースと第2のトレースを形成することと、第1のパス及び第2のパスを形成するために、第1のトレース及び第2のトレースのそれぞれの一部分を取り除くこととを含む(工程1514)。ある例示的な実施例では、第1のトレース及び第2のトレースのそれぞれから取り除かれた部分は、トリミング距離と等しい長さを有する。
【0096】
ある例示的な実施例では、第1のパスを第2のパスに接合する湾曲移行部を計算することは、第1のパスの第1の端部と第2のパスの第2の端部の間の中点を計算することと、この中点に基づいて湾曲点の座標を計算することと、第1の端部、第2の端部、及び湾曲点を通って、湾曲移行部を描画することと、を含む(工程1516)。ある例示的な実施例では、湾曲移行部は、第1の端部から湾曲点までの間と、第2の端部から湾曲点までの間とで、等しい曲率を有する(工程1518)。
【0097】
ある例示的な実施例では、第1のパスに沿って成形ツールを駆動することは、成形ツールを第1の方向に動かすことを含み、第2のパスに沿って成形ツールを駆動することは、成形ツールを第2の方向に動かすことを含み、第1の方向は第2の方向と反対である(工程1520)。
【0098】
ある例示的な実施例では、方法1500は、複数の層のうちの第3の層の一部を周方向に横切る第3のパスを規定する(工程1522)。ある例示的な実施例では、方法1500は、第2のパスを第3のパスに接合する、第2の湾曲移行部を計算する(工程1524)。
【0099】
ある例示的な実施例では、湾曲移行部と第2の湾曲移行部は、反対方向に配向される(工程1526)。ある例示的な実施例では、方法1500は、成形ツールを第3のパス及び第2の湾曲移行部に沿って駆動して、材料をワークピースの形にする。湾曲移行部と第2の湾曲移行部は交差せず、成形ツールは、湾曲移行部に沿って成形ツールを駆動する間と、第2の湾曲移行部に沿って成形ツールを駆動する間とで、材料の同じ部分に接触する(工程1528)。
【0100】
ここで図16を参照すると、例示的な実施例による、成形ツールを用いて材料を成形する方法のフロー図が示されている。方法1600は、図1の成形ツール114で材料106を形作るために使用され得る。方法1600は、図1のツールパス生成器110、及び図1の成形ツール114を用いて実行され得る。方法1600は、図示されている、複数の層402、複数のトレース504、複数のパス802、及び図2-12の所望の形状200に沿って示された他の特徴を作成するために使われるアクションを実施するために用いられ得る。
【0101】
方法1600は、複数の湾曲移行部によって接続された、平面上の平行な交互のパスを有するツールパスを生成する(工程1602)。方法1600は、平面上の平行な交互のパス及び複数の湾曲移行部に沿って成形ツールを駆動して、材料をワークピースの形にする(工程1604)。ある例示的な実施例では、成形ツールは、ワークピースの材料全体の表面に接触する。その後、方法1600は終了する。
【0102】
ある例示的な実施例では、ツールパスを生成することは、ワークピースの所望の形状を、互いの上に積層された複数の層に分割することと、複数の層のうちの各層の一部をそれぞれ周方向に横切る複数のパスを規定することと、複数の湾曲移行部を計算することと、を含み、複数の湾曲移行部の各湾曲移行部は、複数のパスのうちの2つの各パスを接合する(工程1606)。ある例示的な実施例では、ワークピースの所望の形状を、互いの上に積層している複数の層に分割することは、ワークピースの所望の形状を、成形ツールの少なくとも1つのパラメータに基づいて、ある数の層に分割することを含む(工程1608)。
【0103】
方法1600は、複数の層と所望の形状が交差して複数のトレースを形成している箇所間で、平面上の平行な交差曲線をトレースする(工程1610)。ある例示的な実施例では、方法1600は、複数のパスを形成するために、複数のトレースのそれぞれの一部分を取り除く(工程1612)。ある例示的な実施例では、複数のパスを形成するために複数のトレースのそれぞれの一部分を取り除くことは、複数のトレースを通って複数のトレースに直角な第1の分割面を描画することと、複数のトレースを通って複数のトレースに直角な第2の分割面を描画することと、複数のトレースのそれぞれの一部分を取り除くため、第1の分割面と第2の分割面の間の、複数のトレースのそれぞれの構成要素を取り除くことと、を含む(工程1614)。
【0104】
図示している種々の例におけるフロー図及びブロック図は、例示的な実施例における、装置及び方法のいくつかの可能な実行形態の構造、機能、及び動作を示している。これに関して、フロー図またはブロック図内の各ブロックは、モジュール、セグメント、機能、及び/または、動作もしくはステップの一部分を表わしていてよい。
【0105】
例示的な実施例のある代替的な実施形態では、ブロック内に記載された1つ以上の機能が、図中に記載された順序を逸脱して発生することがある。例えば、ある場合には、含まれている機能に応じて、連続して示されている2つのブロックが、ほぼ同時に実行されること、また時には、逆順に実施されることがあり得る。また、フロー図またはブロック図に示されているブロックに加えて、他のブロックが追加されてもよい。
【0106】
ある例示の実施例では、方法1500または方法1600の全ブロックが実施されるのではない。例えば、図15の工程1510から1528は、オプションである。別の例として、図16の工程1606から1614は、オプションである。
【0107】
ここで図17を参照すると、例示的な実施例によるデータ処理システムの図が、ブロック図の形態で示されている。図1のコンピュータシステム190を実装するために、データ処理システム1700が使用されてよい。
【0108】
図1のコンピュータシステム190を実装するために、データ処理システム1700が使用されてよい。この例示的実施例では、データ処理システム1700は、プロセッサユニット1704、メモリ1706、固定記憶装置1708、通信ユニット1710、入出力(I/O)ユニット1712、及びディスプレイ1714の間の通信を提供する、通信フレームワーク1702を含む。この例では、通信フレームワーク1702は、バスシステムの形態をとり得る。
【0109】
プロセッサユニット1704は、メモリ1706に読み込まれ得るソフトウェア用の命令を実行する役割を果たす。プロセッサユニット1704は、特定の実装形態に応じて、いくつかのプロセッサ、マルチプロセッサコア、または何らかの他の種類のプロセッサであり得る。
【0110】
メモリ1706及び固定記憶装置1708は、記憶デバイス1716の実施例である。記憶デバイスは、例えば、限定するものではないが、データ、機能的な形態のプログラムコード、または他の適切な情報のうちの少なくとも1つを、一時的に及び/または永続的に記憶できる任意のハードウェアである。記憶デバイス1716は、これらの例示的な実施例では、コンピュータ可読記憶デバイスと呼ばれてもよい。これらの実施例では、メモリ1706は、例えば、ランダムアクセスメモリまたは任意の他の好適な揮発性もしくは不揮発性の記憶デバイスであってよい。固定記憶装置1708は、特定の実装形態に応じて、様々な形態を取り得る。
【0111】
例えば、固定記憶装置1708は、1つ以上の構成要素またはデバイスを含み得る。例えば、固定記憶装置1708は、ハードドライブ、ソリッドステートハードドライブ、フラッシュメモリ、書換え可能光学ディスク、書換え可能磁気テープ、または上記の何らかの組み合わせであってよい。固定記憶装置1708によって使用される媒体は、着脱可能でもあり得る。例えば、固定記憶装置1708には、着脱式ハードドライブが使用され得る。
【0112】
これらの例示的な実施例では、通信ユニット1710が、他のデータ処理システムまたは装置との通信を提供する。これらの例示的な実施例では、通信ユニット1710はネットワークインタフェースカードである。
【0113】
入出力ユニット1712は、データ処理システム1700に接続され得る他の装置との間のデータの入出力を可能にする。例えば、入出力ユニット1712は、キーボード、マウス、または他の何らかの適切な入力装置のうちの少なくとも1つを通じて、ユーザ入力のための接続を提供し得る。さらに、入出力ユニット1712は、プリンタに出力を送信し得る。ディスプレイ1714は、ユーザに対して情報を表示する機構を提供する。
【0114】
オペレーティングシステム、アプリケーション、またはプログラムのうちの少なくとも1つに対する命令は、通信フレームワーク1702を通じてプロセッサユニット1704と通信する、記憶デバイス1716内にあってよい。種々の実施例中の処理は、メモリ1706といったメモリの中にあってよいコンピュータ実装命令を使用して、プロセッサユニット1704によって実行されてよい。
【0115】
これらの命令は、プロセッサユニット1704内のプロセッサによって読み取られ実行され得る、プログラムコード、コンピュータ使用可能プログラムコード、またはコンピュータ可読プログラムコードと呼ばれる。プログラムコードは、種々の実施例では、メモリ1706または固定記憶域1708といった、種々の物理的記憶媒体またはコンピュータ可読記憶媒体上に具現化されていてよい。
【0116】
プログラムコード1718は、選択的に着脱可能であるコンピュータ可読媒体1720に実行可能な形態で置かれており、プロセッサユニット1704によって実行するために、データ処理システム1700に読み込ませたり、転送したりしてもよい。プログラムコード1718とコンピュータ可読媒体1720は、これらの例示的な実施例では、コンピュータプログラム製品1722を形成する。例示的な実施例では、コンピュータ可読媒体1720は、コンピュータ可読記憶媒体1724である。
【0117】
これらの例示的な実施例では、コンピュータ可読記憶媒体1724は、プログラムコード1718を伝搬または伝送する媒体というよりは、むしろプログラムコード1718を記憶するために使用される、物理的記憶デバイスまたは有形記憶デバイスである。
【0118】
代わりに、プログラムコード1718は、コンピュータ可読信号媒体を使用してデータ処理システム1700に転送されてもよい。コンピュータ可読信号媒体は、例えば、プログラムコード1718を含む伝播データ信号であってよい。例えば、コンピュータ可読信号媒体は、電磁信号、光信号、または任意の他の適切な種類の信号のうちの、少なくとも1つであってよい。これらの信号は、無線通信リンク、光ファイバケーブル、同軸ケーブル、電線、または任意の他の好適な種類の通信リンクといった、少なくとも1つの通信リンクを介して伝送され得る。
【0119】
データ処理システム1700に関して図示されている種々の構成要素は、種々の実施例が実装され得る態様に対して、構造的限定を設けることを意図していない。種々の例示的な実施例は、データ処理システム1700に関して示されている構成要素に対する追加的または代替的な構成要素を含む、データ処理システム内に実装されていてよい。図17に示されている他の構成要素は、図示された例示的な実施例と異なっていることができる。プログラムコード1718を実行し得る任意のハードウェア装置またはシステムを使用して、種々の実施例が実装されてよい。
【0120】
本開示の例示的な実施例は、図18に示した航空機の製造及び保守方法1800、並びに図19に示した航空機1900の観点で説明されてよい。まず図18を参照すると、航空機の製造及び保守方法が、例示的な実施例に従って図示されている。製造前の段階では、航空機の製造及び保守方法1800は、図19の航空機1900の、仕様及び設計1802並びに材料の調達1804を含んでいてよい。
【0121】
製造段階では、航空機1900のコンポーネント及びサブアセンブリの製造1806と、システムインテグレーション1808とが行われる。その後、航空機1900は、認可及び納品1810を経て、運航1812に供され得る。顧客による運航1812中、航空機1900には、整備及び保守1814(改造、再構成、改修、及びその他の整備または保守を含み得る)が予定される。
【0122】
航空機の製造及び保守方法1800の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/または事業者によって実行または実施され得る。これらの例では、事業者は顧客であってよい。本書の目的に関しては、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含んでいてよいが、それらに限定される訳ではなく、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含んでいてよいが、それらに限定される訳ではなく、事業者は、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などであってよい。
【0123】
ここで図19を参照すると、例示的な実施例が実装され得る、航空機の図が示されている。この実施例では、航空機1900は、図18の航空機の製造及び保守方法1800によって製造されており、複数のシステム1904及び内装1906を有する機体1902を含んでいてよい。システム1904の例は、推進システム1908、電気システム1910、油圧システム1912、及び環境システム1914のうちの1つ以上を含む。任意の数の他のシステムが含まれていてもよい。航空宇宙産業の例が示されているが、種々の例示的な実施例は、自動車産業といった他の産業にも応用可能である。
【0124】
本明細書で実施される装置及び方法は、航空機の製造及び保守方法1800のうちの少なくとも1つの段階で用いられてよい。1つ以上の例示的な実施例が、図18のコンポーネント及びサブアセンブリの製造1806、システムインテグレーション1808、または整備及び保守1814中に使用されてよい。例えば、ツールパス生成器110によって形成されたツールパス118を用いて、コンポーネント及びサブアセンブリの製造1806中に、ワークピース104を成形してよい。別の例として、ワークピース104は、交換部品118であってよく、ツールパス生成器110によって形成されたツールパス119は、図18の整備及び保守1814中に、ワークピース104を成形するために用いられてよい。
【0125】
本明細書で実施される装置及び方法は、航空機1900の少なくとも1つの構成要素を製造するために用いられてよい。例えば、ツールパス118を用いて成形されたワークピース104は、機体1902と内装1906のうちの1つの構成要素であってよい。
【0126】
例示的な実施例は、双方向機能を持つ連続したツールパスの動きのための、システム及び方法を提供する。例示的な実施例は、ツールパス製造ワークベンチ、コンピュータ支援設計(CAD)、コンピュータ支援製造(CAM)、及びコンピュータ支援エンジニアリング(CAE)といったコンピュータソフトウェアユーティリティプログラムに対する、普遍的な解決法を提示する。
【0127】
例示的な実施例では、直線的にというよりはむしろ湾曲して移行する、平滑な交互の移行領域が設けられる。例示的な実施例を用いて作成されたツールパスは、成形中に、複数の係合(engage)を取り除き、収縮する。例示的な実施例を用いて作成されたツールパスは、平滑で連続した、接触した(contacted)ツールパスの動きを含む。
【0128】
例示的な実施例は、従来型の機械加工アルゴリズムと比べて、ワークピース内の歪みを改善する。例示的な実施例は、ISFの作業中に、高品質の表面を生成する。例示的な実施例は、複雑な寸法形状にもまた適合している。
【0129】
例示的な実施例は、双方向のツールパスが混在する、連続した交互の湾曲移行部を生成するための方法を提示する。このツールパスの方法は、高品質の表面と、改良された歪み特性と、効率を上昇させる、ISF作業中の交互の移行領域とを生成する。このツールパスの方法は、双方向の機能によって複雑な設計の寸法形状に適合することができ、単一のアルゴリズムにおける最適な移行方法を提供することができる。基礎的なユーザは、複雑な問題を解決するために、ソフトウェアの開発や、リードタイムや、費用を追加することなく、提示された方法を迅速に実施することができる。
【0130】
さらに、本開示は、以下の条項に係る実施形態を含む。
【0131】
1.ワークピースの所望の形状を、互いの上に積層された複数の層に分割することと、
複数の層のうちの第1の層の一部を周方向に横切る第1のパス、及び複数の層のうちの第2の層の一部を周方向に横切る第2のパスを規定することと、
第1のパスを第2のパスに接合している湾曲移行部を計算することと、材料をワークピースの形にするために、第1のパス、湾曲移行部、及び第2のパスに沿って、成形ツールを駆動することと、
を含む方法。
【0132】
2.ワークピースの所望の形状を分割することが、
ワークピースの表面上にある第1の位置を規定することと、
第1の位置から垂直方向にオフセットされた第2の位置を規定することと、
第1の位置と第2の位置の間の距離を計算することと、この距離に基づいて、ワークピースの所望の形状を実質的に等しい高さに分割することとを含む、条項1に記載の方法。
【0133】
3.ワークピースの所望の形状を分割することは、ワークピースの所望の形状を、成形ツールのサイズに基づいてほぼ均しい高さに分割することをさらに含む、条項2に記載の方法。
【0134】
4.第1のパスに沿って成形ツールを駆動することが成形ツールを第1の方向に動かすことを含み、第2のパスに沿って成形ツールを駆動することが成形ツールを第2の方向に動かすことを含み、第1の方向が第2の方向と反対である、条項1に記載の方法。
【0135】
5.第1のパス及び第2のパスを規定することが、
複数の層と所望の形状が交差する箇所間で平面上の平行な交差曲線をトレースして第1のトレース及び第2のトレースを形成することと、
第1のパス及び第2のパスを形成するために、第1のトレース及び第2のトレースのそれぞれの一部分を取り除くこととを含む、条項1に記載の方法。
【0136】
6.第1のトレース及び第2のトレースのそれぞれから取り除かれた部分が、トリミング距離に等しい長さを有する、条項5に記載の方法。
【0137】
7.複数の層のうちの第3の層の一部を周方向に横切る第3のパスを規定することと、
第2のパスを第3のパスに接合する第2の湾曲移行部を計算することと
をさらに含む、条項1に記載の方法。
【0138】
8.湾曲移行部と第2の湾曲移行部が反対方向に配向されている、条項7に記載の方法。
【0139】
9.材料をワークピースの形にするために、第3のパス及び第2の湾曲移行部に沿って成形ツールを駆動することであって、湾曲移行部と第2の湾曲移行部とは交差せず、成形ツールを湾曲移行部に沿って駆動する間と、成形ツールを第2の湾曲駆動部に沿って駆動する間とで成形ツールが材料の同じ部分に接触する、成形ツールを駆動すること
をさらに含む、条項8に記載の方法。
【0140】
10.第1のパスを第2のパスに接合する湾曲移行部を計算することが、
第1のパスの第1の端部と第2のパスの第2の端部との間の中点を計算することと、
中点に基づいて湾曲点の座標を計算することと、
第1の端部、第2の端部、及び湾曲点を通って湾曲移行部を描画することとを含む、条項1に記載の方法。
【0141】
11.湾曲移行部が、第1の端部から湾曲点までと第2の端部から湾曲点までとで等しい曲率を有する、条項10に記載の方法。
【0142】
12.複数の湾曲移行部によって接続された平面上の並行な交互のパスを有するツールパスを生成することと、
材料をワークピースの形にするため、平面上の平行な交互のパス及び複数の湾曲移行部に沿って、成形ツールを駆動することと、
を含む方法。
【0143】
13.ツールパスを生成することが、
ワークピースの所望の形状を、互いの上に積層された複数の層に分割することと、
複数の層のうちの各層の一部をそれぞれ周方向に横切る複数のパスを規定することと、
複数の湾曲移行部を計算することであって、複数の湾曲移行部の各湾曲移行部が、複数のパスのうちの2つの各パスを接合する、複数の湾曲移行部を計算することとを含む、条項12に記載の方法。
【0144】
14.複数の層と所望の形状が交差して複数のトレースを形成している箇所間で、平面上の平行な交差曲線をトレースすることと、
複数のパスを形成するため、複数のトレースのそれぞれの一部分を取り除くことと、
をさらに含む、条項13に記載の方法。
【0145】
15.複数のパスを形成するために複数のトレースのそれぞれの一部分を取り除くことが、
複数のトレースを通って複数のトレースに直角な第1の分割面を描画することと、
複数のトレースを通って複数のトレースに直角な第2の分割面を描画することと、
複数のトレースのそれぞれの一部分を取り除くため、第1の分割面と第2の分割面の間の、複数のトレースのそれぞれの構成要素を取り除くこととを含む、条項14に記載の方法。
【0146】
16.ワークピースの所望の形状を、互いの上に積層された複数の層に分割することが、ワークピースの所望の形状を、成形ツールの少なくとも1つのパラメータに基づいてある数の層に分割することを含む、条項13に記載の方法。
【0147】
17.成形ツールが、ワークピースの材料の全体の表面に接触する、条項12に記載の方法。
【0148】
18.ワークピースの所望の形状を含むワークピース用のモデルと、
ワークピースの所望の形状を互いの上に積層された複数の層に分割すること、複数の層のうちの各層の一部をそれぞれ周方向に横切る複数のパスを規定すること、及び複数の湾曲移行部を計算することであって、複数の湾曲移行部のうちの各湾曲移行部が複数のパスのうちの2つの各パスを接合する、複数の湾曲移行部を計算することを行うように構成されたツールパス生成器と、
ツールパス生成器と通信しているコントローラであって、材料をワークピースの形にするために、複数のパス及び複数の湾曲移行部に沿って成形ツールを駆動するように構成されたコントローラと、
コントローラと通信している成形ツールとを含むシステム。
【0149】
19.成形ツールがインクリメンタルシート成形アセンブリの構成要素である、条項18に記載のシステム。
【0150】
種々の例示的な実施例の説明は、例示及び説明を目的として提示されており、網羅的であること、または開示されている形態における実施例に限定することを意図しているわけではない。当業者には、多くの修正例及び変形例が自明となろう。さらに、異なる実施例によって、他の例示的な実施例とは異なる特徴が提供されてよい。選択された1つ以上の実施例が選ばれ、説明されているのは、実施例の原理及び実際的な用途を最もよく説明するため、並びに、他の当業者に対し、様々な実施例、及び考慮される特定の用途に適した様々な修正例の開示内容の理解を促すためである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19