IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 理研ビタミン株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】ソーセージ用品質改良剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 13/00 20160101AFI20231110BHJP
   A23L 13/60 20160101ALI20231110BHJP
【FI】
A23L13/00 A
A23L13/60 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019141552
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021023156
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】390010674
【氏名又は名称】理研ビタミン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉川 隆一
(72)【発明者】
【氏名】中西 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】藤井 淳
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-201964(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106174389(CN,A)
【文献】特開平08-238073(JP,A)
【文献】特開2005-318871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00 - 35/00
A23J 1/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、(b)pH調整剤、(c)トコフェロール及び/又はカテキン並びに(d)賦形剤を含有することを特徴とするソーセージ用品質改良剤。
【請求項2】
請求項1に記載のソーセージ用品質改良剤をソーセージ生地に添加することを特徴とするソーセージの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーセージ用品質改良剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ソーセージ(畜肉ソーセージ又は魚肉ソーセージ)は一般消費者に親しまれている。ソーセージに対する消費者の要望は、ますます高くなっており、特に、肉粒感と弾力性は、ソーセージにとって重要な要素である。一般的に、肉粒感は、ミキシング処理の時間を少なくすることで創出することができるが、その場合は弾力性の不十分なソーセージとなる。一方、弾力性を創出するためにミキシング処理を長い時間行えば、肉粒感が不十分なソーセージとなる。このように、肉粒感及び弾力性は、両立が難しい性質といえ、双方の性質に優れたソーセージを製造するのは難しかった。
【0003】
ソーセージの品質を改良する技術としては、例えば、コハク酸モノグリセリドあるいはコハク酸ジグリセリドを含有するハム・ソーセージ類用改質剤(特許文献1)、ソーセージエマルジヨンに対して添加脂肪は0~15重量%、加水は15~35重量%とし、脂肪酸エステル類と増粘性の気泡安定剤を添加して、強制的に空気を送り込み、攪拌混合、成形、加熱して得られることを特徴とする含気性食肉製品(特許文献2)等が提案されている。
【0004】
しかし、これらの技術には一長一短があり、肉粒感及び弾力性に優れたソーセージを製造可能な品質改良剤が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7‐203905号公報
【文献】特開平9‐207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、肉粒感及び弾力性に優れたソーセージを製造可能な品質改良剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルを特定の成分により製剤化した品質改良剤を用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、この知見に基づきさらに研究を重ね、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、
(1)(a)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、(b)pH調整剤、(c)酸化防止剤及び(d)賦形剤を含有することを特徴とするソーセージ用品質改良剤。
(2)上記(1)に記載のソーセージ用品質改良剤をソーセージ生地に添加することを特徴とするソーセージの製造方法、
からなっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のソーセージ用品質改良剤(以下、単に「品質改良剤」という)を使用することにより、肉粒感及び弾力性に優れたソーセージを製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の品質改良剤に用いられる(a)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルは、グリセリンと、ジアセチル酒石酸及び脂肪酸とのエステルであり、モノグリセリンモノ脂肪酸エステルとジアセチル酒石酸(又はジアセチル酒石酸の酸無水物)との反応、又はグリセリンとジアセチル酒石酸と脂肪酸との反応により製造される。
【0011】
グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば、炭素数6~24の直鎖状の飽和又は不飽和脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸等)が挙げられる。これらの中でも、炭素数16~18の直鎖状の飽和又は不飽和脂肪酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等)が好ましい。これら脂肪酸は、一種類のみを単独で用いても良く、二種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0012】
本発明の品質改良剤100質量%中の(a)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルの配合量としては、通常0.01~5質量%、好ましくは0.1~3質量%である。
【0013】
本発明の品質改良剤に用いられる(b)pH調整剤としては、本発明の品質改良剤のpHを通常5.5~7.5、好ましくは6.0~7.0に調整できるものであれば特に制限はないが、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、リン酸3ナトリウム、クエン酸3ナトリウム等が挙げられ、好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸3ナトリウムである。これら(b)pH調整剤は、一種類のみを単独で用いても良く、二種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0014】
前記した「本発明の品質改良剤のpH」とは、本発明の品質改良剤の1質量%水溶液のpHを、ガラス電極式pHメーターで測定した値を採用することができる。本発明の品質改良剤のpHが5.5未満の場合は、ソーセージの肉粒感及び弾力性の観点で好ましくなく、pHが7.5を超える場合はソーセージの呈味に悪影響を与えてしまい、好ましくない。
【0015】
本発明の品質改良剤中の(b)pH調整剤の配合量は、本発明の品質改良剤のpHを前記した範囲に調整できる量であれば良く、具体的には、本発明の品質改良剤100質量%中、通常0.01~20質量%、好ましくは0.1~10質量%である。
【0016】
本発明の品質改良剤に用いられる(c)酸化防止剤としては、一般に食品に用いられる酸化防止剤であれば特に制限はないが、例えば、トコフェロール、カンゾウ油抽出物、ゴマ油不けん化物、γ-オリザノール、カテキン、没食子酸、クロロゲン酸、酵素処理ルチン、ブドウ種子抽出物、ローズマリー抽出物、ヒマワリ抽出物、クエルセチン、ヤマモモ抽出物等が挙げられ、好ましくは、トコフェロール、カテキンである。これら(c)酸化防止剤は、一種類のみを単独で用いても良く、二種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0017】
本発明の品質改良剤100質量%中の(c)酸化防止剤の配合量としては、用いる素材によっても変わるので一概には言えないが、例えば、トコフェロールを用いる場合、通常0.01~2質量%、好ましくは0.1~1質量%、カテキンを用いる場合、通常0.002~0.4質量%、好ましくは0.02~0.2質量%である。
【0018】
本発明の品質改良剤に用いられる(d)賦形剤としては、粉末状の食品素材であれば特に制限はなく、例えば、澱粉、加工澱粉等の澱粉類;デキストリン、水飴等の澱粉分解物;乳糖、トレハロース等の糖類;マルチトール、エリスリトール、キシリトール等の糖アルコール等が挙げられ、好ましくは、澱粉分解物、糖類である。これら(d)賦形剤は、一種類のみを単独で用いても良く、二種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0019】
本発明の品質改良剤100質量%中の(d)賦形剤の配合量としては、通常60~99.9質量%、好ましくは70~98質量%である。
【0020】
本発明の品質改良剤の製造方法としては、(a)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、(b)pH調整剤、(c)酸化防止剤及び(d)賦形剤を均一に混合できる方法であれば特に制限はない。好ましい混合方法の一例としては、例えば、液状の(a)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル及び(c)酸化防止剤を混合して液状の混合物とし、次に、該液状の混合物を粉末状の(d)賦形剤に添加してフードプロセッサー等で混練し、最後に、該粉末状の混合物に粉末状の(b)pH調整剤を混合する方法等が挙げられる。
【0021】
前記製造方法において、あらかじめ(a)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル及び油脂を混合し、必要であれば加熱及び溶融して調整した油脂組成物を、他の原材料と混合しても良い。このようにすることで、(a)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステルに適度な流動性が付与され、他の原材料と均一に混合することができる。
【0022】
本発明の品質改良剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、アミノ酸等を配合することができる。
【0023】
本発明の品質改良剤が対象とするソーセージとは、畜肉又は魚肉を原料とするソーセージを指し、例えば、日本農林規格又は品質表示基準で規定される「ソーセージ」及び「魚肉ソーセージ」が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本発明の品質改良剤の使用方法に特に制限はないが、例えば、ソーセージ生地を調整する工程において、本発明の品質改良剤をソーセージ生地に添加する方法等が挙げられる。本発明の品質改良剤をソーセージ生地に添加することによるソーセージの製造方法も本発明に含まれる。
【0025】
本発明の品質改良剤の使用量としては特に制限はないが、ソーセージの原料となる畜肉又は魚肉100質量部に対し、通常0.1~3.0質量部、好ましくは0.5~2.0質量部である。
【0026】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例
【0027】
[品質改良剤の調製]
(1)原材料
1)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル1(商品名:PANODAN AB‐100VEG;主構成脂肪酸:オレイン酸;DANISCO社製)
2)グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル2(商品名:ポエムW‐60;主構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
3)モノグリセリン脂肪酸エステル1(商品名:エマルジーOL‐100H;主構成脂肪酸:オレイン酸;理研ビタミン社製)
4)モノグリセリン脂肪酸エステル2(商品名:エマルジーMS;主構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
5)ジグリセリン脂肪酸エステル1(商品名:ポエムDO‐100V;主構成脂肪酸:オレイン酸;理研ビタミン社製)
6)ジグリセリン脂肪酸エステル2(商品名:ポエムDS‐100A;主構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
7)プロピレングリコール脂肪酸エステル1(商品名:リケマールPO‐100V;主構成脂肪酸:オレイン酸;理研ビタミン社製)
8)プロピレングリコール脂肪酸エステル2(商品名:リケマールPS‐100;主構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
9)グリセリンコハク酸脂肪酸エステル1(試作品;主構成脂肪酸:オレイン酸)
10)グリセリンコハク酸脂肪酸エステル2(商品名:ポエムB‐20;主構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
11)ソルビタン脂肪酸エステル1(商品名:ポエムO‐80V;主構成脂肪酸:オレイン酸;理研ビタミン社製)
12)ソルビタン脂肪酸エステル2(商品名:ポエムS‐65V;主構成脂肪酸:ステアリン酸;理研ビタミン社製)
13)レシチン(商品名:SLPペースト;辻製油社製)
14)炭酸ナトリウム(商品名;太平化学産業社製)
15)トコフェロール(商品名:Eオイル400;理研ビタミン社製)
16)カテキン(商品名:テアビゴ;エピガロカテキンガレート;太陽化学社製)
17)デキストリン(商品名:H‐PDX;松谷化学工業社製)
18)菜種油(商品名:ナタネ白絞油;ボーソー油脂社製)
【0028】
(2)品質改良剤の配合
上記原材料を用いて調製した品質改良剤1~18の配合組成及びpHを表1に示す。このうち、品質改良剤1~4は本発明に係る実施例であり、品質改良剤5~18はそれらに対する比較例である。なお、前記pHは、各品質改良剤の1質量%水溶液のpHを、ガラス電極式pHメーターで測定した値である。
【0029】
【表1】
【0030】
(3)品質改良剤の調製方法
(3-1)品質改良剤1~3の調整
表1に示した配合割合に従って原材料の合計が100gとなるように量りとり、ビーカーに乳化剤及び酸化防止剤を入れ、スパチュラで1分間混合した。該混合物を賦形剤に添加し、フードプロセッサー(型式:MK‐K48;パナソニック社製)にて3分間混練した。該混合物にpH調整剤を添加し、ビニール袋に入れて手で持ち1分間均一に混合し、品質改良剤1~3を得た。
【0031】
(3-2)品質改良剤4、11及び12の調整
表1に示した配合割合に従って原材料の合計が100gとなるように量りとり、ビーカーに乳化剤、酸化防止剤及び油脂を入れ、60℃に加熱及び溶融しながらスパチュラで1分間混合した。該混合物を50℃まで冷ました後、賦形剤に添加し、フードプロセッサー(型式:MK‐K48;パナソニック社製)にて3分間混練した。該混合物にpH調整剤を添加し、ビニール袋に入れて手で持ち1分間均一に混合し、品質改良剤4、11及び12を得た。
【0032】
(3-3)品質改良剤7、9、13、15、16の調整
表1に示した配合割合に従って原材料の合計が100gとなるように量りとり、ビーカーに乳化剤及び酸化防止剤を入れ、スパチュラで1分間混合した。該混合物を賦形剤に添加し、フードプロセッサー(型式:MK‐K48;パナソニック社製)にて3分間混練し、品質改良剤7、9、13、15、16を得た。
【0033】
(3-4)品質改良剤5、6、8、10、14の調整
表1に示した配合割合に従って原材料の合計が100gとなるように量りとり、ビーカーに乳化剤、酸化防止剤及び油脂を入れ、60℃に加熱及び溶融しながらスパチュラで1分間混合した。該混合物を50℃まで冷ました後、賦形剤に添加し、フードプロセッサー(型式:MK‐K48;パナソニック社製)にて3分間混練し、品質改良剤5、6、8、10、14を得た。
【0034】
(3-5)品質改良剤17の調整
表1に示した配合割合に従って原材料の合計が100gとなるように量りとり、乳化剤を賦形剤に添加し、フードプロセッサー(型式:MK‐K48;パナソニック社製)にて3分間混合した。該混合物にpH調整剤を添加し、ビニール袋に入れて手で持ち1分間均一に混合し、品質改良剤17を得た。
【0035】
(3-6)品質改良剤18の調整
表1に示した配合割合に従って原材料の合計が100gとなるように量りとり、乳化剤を賦形剤に添加し、フードプロセッサー(型式:MK‐K48;パナソニック社製)にて3分間混練し、品質改良剤18を得た。
【0036】
[品質改良剤の評価]
(1)ソーセージの調製
豚ウデ挽肉(デンマーク産冷凍品を解凍して9mmにミンチしたもの 脂肪分30%含有)1000g、食塩(商品名:精製塩;関東塩業社製)15g、亜硝酸ナトリウム(商品名;オルガノフードテック社製)1g、アスコルビン酸ナトリウム(商品名;BASF社製)0.5g、トリポリリン酸ナトリウム(商品名;太平化学産業社製)3g、グルタミン酸ナトリウム(商品名:MSG Fペーパー;味の素社製)1g、白コショウ(商品名:白コショウ末;カネカサンスパイス社製)1g、グラニュー糖(商品名;三井製糖社製)5g、品質改良剤1~18のうちいずれか10gを、縦型ミキサー(型式:Kitchen Aid;FMI社製)を用いて、1分間ミキシングを行った。その後、氷水150gを加え、ソーセージ生地が10℃になるまでさらにミキシングを行い、ソーセージ生地を得た。
得られたソーセージ生地を真空包装機(型式:V‐380G;東静電気社製)で脱気した。脱気後、生地を2つに分割し、一方を直径35mmの塩化ビニリデン製ケーシングに充填し、もう一方を直径18mmの塩化ビニリデン製ケーシングに充填した。充填後、直径35mmのケーシングに詰めたソーセージは75℃で90分、直径18mmのケーシングに詰めたソーセージは75℃で60分ボイルをした。ボイル後、氷水中で30分間冷却し、ソーセージ1~18(直径35mmのケーシングに詰めたもの)及びソーセージ1~18(直径18mmのケーシングに詰めたもの)を得た。
なお、対照例として、品質改良剤を使用しないこと以外は同様に調整し、ソーセージ19(直径35mmのケーシングに詰めたもの)及びソーセージ19(直径18mmのケーシングに詰めたもの)を得た。
【0037】
(2)肉粒感の評価試験
(2-1)平均粒子径による評価試験
得られたソーセージ1~19(直径35mmのケーシングに詰めたもの)について、冷蔵庫(庫内温度4℃)に12時間保存した後、厚さ20mmにスライスし、塩化ビニリデン製袋に入れて密封し、20℃の恒温器中に1時間保持し試験片とした。画像解析装置(型式:レーザ回折式粒子径分布測定装置C‐Cell Color;パーカーコーポレーション社製)を用いて、各試験片の断面の画像を撮影した。次に、画像中に確認できた肉粒の直径を定規にて測定し、直径の大きいものから順に10個を選んで直径の平均値を算出し、この値を各ソーセージの肉粒の平均粒子径とした。平均粒子径は、以下の基準に従って記号化した。
◎:平均粒子径が10mm以上
〇:平均粒子径が9.5mm以上、10mm未満
△:平均粒子径が9mm以上、9.5mm未満
×:平均粒子径が9mm未満
【0038】
(2-2)官能による評価試験
上記(2-1)で用いたソーセージ1~19の試験片を喫食し、肉粒感について官能評価試験を行った。試験では、対照例としてのソーセージ19と比較した場合の肉粒感について、表2に示す評価基準に従って10名のパネラーで評価し、評価点の平均値を求め、以下の基準に従って記号化した。
◎:平均点3.5以上
○:平均点2.5以上、3.5未満
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0039】
【表2】
【0040】
(3)弾力性の評価試験
(3-1)降伏歪による評価試験
得られたソーセージ1~19(直径18mmのケーシングに詰めたもの)について、冷蔵庫(庫内温度4℃)に12時間保存した後、厚さ20mmにスライスし、塩化ビニリデン製袋に入れて密封し、20℃の恒温器中に1時間保持し試験片とした。レオナーII(型式:RE‐3305S;YAMADEN社製)を用いて、テーブルスピード毎秒10mmで試験片を上昇させ、底部が円形で直径5mmのプランジャーが試料片に貫入する時の降伏歪を測定した。測定結果は、以下の基準に従って記号化した。なお、前記降伏歪とは、試験片の破断時におけるプランジャーの貫入距離の、試験片の厚さに対する割合を指し、数値が大きい程、弾力性が高いといえる。
[降伏歪]
◎:降伏歪が35%以上
〇:降伏歪が33%以上、35%未満
△:降伏歪が31%以上、33%未満
×:降伏歪が31%未満
【0041】
(3-2)官能による評価試験
上記(3-1)で用いたソーセージ1~19の試験片を喫食し、弾力性について官能評価試験を行った。試験では、対照例としてのソーセージ19の試験片と比較した場合の弾力性について、表3に示す評価基準に従って10名のパネラーで評価し、評価点の平均値を求め、以下の基準に従って記号化した。
◎:平均点3.5以上
○:平均点2.5以上、3.5未満
△:平均点1.5以上、2.5未満
×:平均点1.5未満
【0042】
【表3】
【0043】
(4)結果
上述した(2)及び(3)の評価試験の結果を表4に示した。
【0044】
【表4】
【0045】
本発明の品質改良剤1~4を添加した場合、肉粒感及び弾力性の双方の評価項目において「○」以上の優れた結果であった。これに対し、比較例の品質改良剤5~18を添加した場合、肉粒感及び弾力性の少なくとも一方の評価項目において「△」以下であり、本発明に比べて劣っていた。