(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】プリフォーム、繊維強化樹脂複合材料及び繊維強化樹脂複合材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29B 11/16 20060101AFI20231110BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20231110BHJP
D06M 17/00 20060101ALI20231110BHJP
D04B 1/16 20060101ALI20231110BHJP
D04B 21/16 20060101ALI20231110BHJP
D01F 8/12 20060101ALI20231110BHJP
B32B 5/02 20060101ALI20231110BHJP
B32B 27/34 20060101ALI20231110BHJP
B29K 77/00 20060101ALN20231110BHJP
B29K 101/10 20060101ALN20231110BHJP
【FI】
B29B11/16
D03D1/00 A
D06M17/00 M
D04B1/16
D04B21/16
D01F8/12 Z
B32B5/02 A
B32B27/34
B29K77:00
B29K101:10
(21)【出願番号】P 2019142637
(22)【出願日】2019-08-02
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】関根 尚之
(72)【発明者】
【氏名】濱田 圭佑
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-113802(JP,A)
【文献】特開2003-080607(JP,A)
【文献】特開平5-329838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 11/16
D03D 1/00
D03D 15/20
D03D 15/37
D06M 17/00
D04B 1/16
D04B 21/16
D01F 8/12
B32B 5/02
B32B 27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点及び引張強度が脂肪族ポリアミド繊維よりも高い強化繊維でシート状に形成された第一繊維層と、前記脂肪族ポリアミド繊維でシート状に形成されるとともに前記第一繊維層の少なくとも一方の面に設けられた第二繊維層と、を有する繊維材料が複数枚積層されてなるプリフォームであって、
前記脂肪族ポリアミド繊維は、第一ポリアミド樹脂と、融点が前記第一ポリアミド樹脂よりも7~50℃高い第二ポリアミド樹脂と、を含
み、
前記脂肪族ポリアミド繊維には、前記第二ポリアミド樹脂で形成された芯部と、前記第一ポリアミド樹脂で前記芯部を覆うように形成された外周部と、を有するものが含まれ、
前記第一ポリアミド樹脂は、ポリアミド12であり、
前記第二繊維層は、前記脂肪族ポリアミド繊維で織られた織布又は前記脂肪族ポリアミド繊維で編まれた編布であることを特徴とするプリフォーム。
【請求項2】
前記第二ポリアミド樹脂は、ポリアミド1010又はポリアミド6であることを特徴とする
請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項3】
前記脂肪族ポリアミド繊維に含まれる前記第一ポリアミド樹脂の質量と前記第二ポリアミド樹脂の質量との割合は、30:70~70:30の範囲内であることを特徴とする
請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項4】
前記第二ポリアミド樹脂は、ポリアミド1010又はポリアミド6であり、
前記脂肪族ポリアミド繊維に含まれる前記第一ポリアミド樹脂の質量と前記第二ポリアミド樹脂の質量との割合は、30:70~70:30の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載のプリフォーム。
【請求項5】
前記第二ポリアミド樹脂は、ポリアミド1010あることを特徴とする請求項4に記載のプリフォーム。
【請求項6】
前記第二繊維層の目付が3~30g/m
2の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のプリフォーム。
【請求項7】
前記第二繊維層の最大開口面積が0.2~3mm
2の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のプリフォーム。
【請求項8】
前記第一繊維層と前記第二繊維層とは、少なくとも一部の領域において接合されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のプリフォーム。
【請求項9】
前記第一繊維層と前記第二繊維層とは、それぞれの一端部において接合されていることを特徴とする請求項8に記載のプリフォーム。
【請求項10】
所定の立体形状に賦形されていることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のプリフォーム。
【請求項11】
融点及び引張強度が脂肪族ポリアミド繊維よりも高い強化繊維でシート状に形成された第一繊維層と、シート状の第三繊維層と、が交互に積層されたものと、前記第一繊維層内及び前記第三繊維層内にそれぞれ充填されるとともに硬化したマトリクス樹脂と、を備える繊維強化樹脂複合材料であって、
前記マトリクス樹脂は、それぞれ脂肪族ポリアミド樹脂である第一ポリアミド樹脂を含み、
前記第一ポリアミド樹脂は、ポリアミド12であり、
前記第三繊維層は、前記脂肪族ポリアミド樹脂であって、融点が前記第一ポリアミド樹脂よりも7~50℃高い第二ポリアミド樹脂を含む
織布又は編布であることを特徴とする繊維強化樹脂複合材料。
【請求項12】
融点及び引張強度が脂肪族ポリアミド繊維よりも高い強化繊維でシート状に形成された第一繊維層と、
前記脂肪族ポリアミド繊維でシート状に形成されるとともに前記第一繊維層の少なくとも一方の面に設けられた第二繊維層と、を有する繊維材料が複数枚積層されてなるプリフォームを用いた繊維強化樹脂複合材料の製造方法であって、
前記脂肪族ポリアミド繊維は、第一ポリアミド樹脂と、融点が前記第一ポリアミド樹脂よりも7~50℃高い第二ポリアミド樹脂と、を含み、
前記脂肪族ポリアミド繊維には、前記第二ポリアミド樹脂で形成された芯部と、前記第一ポリアミド樹脂で前記芯部を覆うように形成された外周部と、を有するものが含まれ、
前記第一ポリアミド樹脂は、ポリアミド12であり、
前記第二繊維層は、前記脂肪族ポリアミド繊維で織られた織布又は前記脂肪族ポリアミド繊維で編まれた編布であり、
前記プリフォー
ムを準備し、
前記プリフォーム内の空隙に樹脂組成物を充填し、
前記プリフォーム及び前記樹脂組成物を、前記第一ポリアミド樹脂の融点よりも高く前記第二ポリアミド樹脂の融点よりも低い温度で加熱して前記第一ポリアミド樹脂を融解させ、
その後、前記樹脂組成物と前記第一ポリアミド樹脂とが混合されたものを硬化させることを特徴とする繊維強化樹脂複合材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリフォーム、繊維強化樹脂複合材料及び繊維強化樹脂複合材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化樹脂複合材料を製造する際、強化繊維でシート状に形成された基材と、有機繊維からなり基材の表面に設けられた不織布と、を有する繊維材料が複数枚積層されてなるプリフォームが用いられることがある。
近年、こうしたプリフォームの各繊維材料を構成する不織布に、所定の樹脂で形成された芯部と、芯部よりも融点の低い樹脂で形成された鞘部と、を有する繊維を含むものを用いる技術が提案されている(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4491968号公報
【文献】特許第4947163号公報
【文献】特許第4517483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1~3に記載されたような不織布を有する繊維材料を複数枚積層してなるプリフォームでは、プリフォーム内の空隙に樹脂組成物を充填する際、樹脂組成物が空隙内に十分に行き渡らず、製造された繊維強化樹脂複合材料内にボイドと呼ばれる空隙ができてしまう場合がある。
このボイドは、繊維強化樹脂複合材料の耐衝撃性が低下したり、耐衝撃性が製品ごとにばらついたりする原因となる。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたもので、プリフォームを用いて、高い耐衝撃性を有する繊維強化樹脂複合材料を安定的に製造できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、融点及び引張強度が脂肪族ポリアミド繊維よりも高い強化繊維でシート状に形成された第一繊維層と、前記脂肪族ポリアミド繊維でシート状に形成されるとともに前記第一繊維層の少なくとも一方の面に設けられた第二繊維層と、を有する繊維材料が複数枚積層されてなるプリフォームであって、
前記脂肪族ポリアミド繊維は、第一ポリアミド樹脂と、融点が前記第一ポリアミド樹脂よりも7~50℃高い第二ポリアミド樹脂と、を含み、
前記脂肪族ポリアミド繊維には、前記第二ポリアミド樹脂で形成された芯部と、前記第一ポリアミド樹脂で前記芯部を覆うように形成された外周部と、を有するものが含まれ、
前記第一ポリアミド樹脂は、ポリアミド12であり、
前記第二繊維層は、前記脂肪族ポリアミド繊維で織られた織布又は前記脂肪族ポリアミド繊維で編まれた編布であることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のプリフォームであって、
前記第二ポリアミド樹脂は、ポリアミド1010又はポリアミド6であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のプリフォームであって、
前記脂肪族ポリアミド繊維に含まれる前記第一ポリアミド樹脂の質量と前記第二ポリアミド樹脂の質量との割合は、30:70~70:30の範囲内であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のプリフォームであって、
前記第二ポリアミド樹脂は、ポリアミド1010又はポリアミド6であり、
前記脂肪族ポリアミド繊維に含まれる前記第一ポリアミド樹脂の質量と前記第二ポリアミド樹脂の質量との割合は、30:70~70:30の範囲内であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のプリフォームであって、
前記第二ポリアミド樹脂は、ポリアミド1010あることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のプリフォームであって、
前記第二繊維層の目付が3~30g/m2の範囲内であることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のプリフォームであって、
前記第二繊維層の最大開口面積が0.2~3mm2の範囲内であることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のプリフォームであって、
前記第一繊維層と前記第二繊維層とは、少なくとも一部の領域において接合されていることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のプリフォームであって、
前記第一繊維層と前記第二繊維層とは、それぞれの一端部において接合されていることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項8又は請求項9に記載のプリフォームであって、
所定の立体形状に賦形されていることを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、融点及び引張強度が脂肪族ポリアミド繊維よりも高い強化繊維でシート状に形成された第一繊維層と、シート状の第三繊維層と、が交互に積層されたものと、前記第一繊維層内及び前記第三繊維層内にそれぞれ充填されるとともに硬化したマトリクス樹脂と、を備える繊維強化樹脂複合材料であって、
前記マトリクス樹脂は、それぞれ脂肪族ポリアミド樹脂である第一ポリアミド樹脂を含み、
前記第一ポリアミド樹脂は、ポリアミド12であり、
前記第三繊維層は、前記脂肪族ポリアミド樹脂であって、融点が前記第一ポリアミド樹脂よりも7~50℃高い第二ポリアミド樹脂を含む織布又は編布であることを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、融点及び引張強度が脂肪族ポリアミド繊維よりも高い強化繊維で形成されたシート状の第一繊維層と、前記脂肪族ポリアミド繊維でシート状に形成されるとともに前記第一繊維層の少なくとも一方の面に設けられた第二繊維層と、を有する繊維材料が複数枚積層されてなるプリフォームを用いた繊維強化樹脂複合材料の製造方法であって、
前記脂肪族ポリアミド繊維は、第一ポリアミド樹脂と、融点が前記第一ポリアミド樹脂よりも7~50℃高い第二ポリアミド樹脂と、を含み、
前記脂肪族ポリアミド繊維には、前記第二ポリアミド樹脂で形成された芯部と、前記第一ポリアミド樹脂で前記芯部を覆うように形成された外周部と、を有するものが含まれ、
前記第一ポリアミド樹脂は、ポリアミド12であり、
前記第二繊維層は、前記脂肪族ポリアミド繊維で織られた織布又は前記脂肪族ポリアミド繊維で編まれた編布であり、
前記プリフォームを準備し、
前記プリフォーム内の空隙に樹脂組成物を充填し、
前記プリフォーム及び前記樹脂組成物を、前記第一ポリアミド樹脂の融点よりも高く前記第二ポリアミド樹脂の融点よりも低い温度で加熱して前記第一ポリアミド樹脂を融解させ、
その後、前記樹脂組成物と前記第一ポリアミド樹脂とが混合されたものを硬化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高い耐衝撃性を有する繊維強化樹脂複合材料を安定的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係るプリフォームの斜視図である。
【
図2】同実施形態に係る他のプリフォームの斜視図である。
【
図3】
図1又は
図2のプリフォームを構成する繊維材料の部分破断斜視図である。
【
図4】
図1又は
図2のプリフォームを積層方向に沿って切断したときの模式断面図である。
【
図5】
図3の繊維材料を構成する脂肪族ポリアミド繊維の断面斜視図である。
【
図6】
図1又は
図2のプリフォームを用いて製造された繊維強化樹脂複合材料を積層方向に沿って切断したときの模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
(プリフォーム)
まず、本実施形態に係る繊維強化樹脂複合材料100の製造に用いられるプリフォーム10について説明する。
図1及び
図2は本実施形態に係るプリフォーム10の斜視図、
図3はプリフォーム10を構成する繊維材料1の部分破断斜視図、
図4はプリフォーム10を積層方向に沿って切断したときの模式断面図、
図5は繊維材料1を構成する脂肪族ポリアミド繊維31の断面斜視図である。
【0022】
本実施形態に係るプリフォーム10は、
図1又は
図2に示したように、繊維材料1が複数枚積層されてなる。
なお、プリフォーム10の形状は、用途に応じて決定されるものであるため、特に限定は無い。例えば、
図1に示したような平板状のものとすることもできるし、
図2に示したような所定の立体形状に賦形されている(折り曲げられた)ものとすることもできる。
また、複数の異なる形状のものを組み合わせたものとすることもできる。
【0023】
また、
図1には、平面視で矩形の繊維材料1が積層されてなるプリフォーム10を例示したが、例えば、帯状の繊維材料1が積層されたものでもよい。
また、
図2には、側面視L字状に賦形されたプリフォーム10を例示したが、例えば、側面視C(U)字状、ハット(Ω)状のもの等としてもよい。
また、このように賦形されたプリフォーム10を製造する際には、複数枚の繊維材料1を平らな状態で積層した後に曲げ加工してもよいし、予め曲げ加工しておいた繊維材料1を複数枚積層してもよい。
【0024】
プリフォーム10において隣接する繊維材料1と繊維材料1とは、少なくとも一部の領域(
図1及び
図2における符号11で示された領域。以下、接合部11と称する。)において接合されている。
本実施形態においては、各繊維材料1の一端部において融着されている。こうすることで、繊維材料1の他端部が、隣接する繊維材料1の他端部に対して移動(ずれることが)可能となる。その結果、例えば、平板状のプリフォーム10を更に加工する場合に曲げ易くなり、さらに曲げたときに内側の繊維材料1と外側に隣接する繊維材料1との間に隙間が生じてしまうのを防ぐことができる。
なお、繊維材料1と繊維材料1とを接合する方法は、融着に限られるものではなく、例えば、複数の繊維材料1に積層方向に糸を通したり、プリフォーム10を構成するものとは別の樹脂を用いて接着したりしてもよい。
【0025】
また、接合部11を設ける代わりに、プリフォーム10として、三次元織物(例えば、(株)豊田自動織機製)と呼ばれる、第一繊維層2及び第二繊維層3をこれらの積層方向に貫通する糸31A(
図6参照)を備えた(ステッチされた)ものを用いるようにしてもよい。使用する糸31Aは、有機材料からなるものでも無機材料からなるものでもよい。こうすることで、繊維強化樹脂複合材料100における繊維材料1と繊維材料1の剥離が生じにくくなり、その結果、繊維強化樹脂複合材料100の耐衝撃性が向上する。
【0026】
また、
図1には、複数の点状の接合部11を、繊維材料1の一辺に沿って並ぶように設けた例を示したが、点状の接合部11を一つだけ設けるようにしてもよいし、接合部11を、繊維材料1の一辺に沿って延びる線状、あるいは一辺に沿って延びるだけでなく当該一辺と直交する方向にも広がる(繊維材料1全体を含む)面状のものとしてもよい。
また、
図2には、形状を維持するために、一端部だけでなく他端部にも接合部11を形成したものを例示したが、賦形後に元に戻る心配が無い場合には、他端部の接合部11は不要である。
【0027】
各繊維材料1は、
図3に示したように、第一繊維層2と、第二繊維層3と、を有する。
本実施形態に係る繊維材料1は、第二繊維層3が第一繊維層2の片面にのみ設けられている。
本実施形態におけるプリフォーム10は、このような繊維材料1が向きを揃えて複数枚積層されているため、
図4に示すように、第一繊維層2と第二繊維層3とが交互に並んだものとなっている。
なお、第二繊維層3は、第一繊維層2の少なくとも一方の面に設けられていればよく、第一繊維層2の両面に設けられていてもよい。
また、第一繊維層2と第二繊維層3とが一枚ずつ交互に積層されている必要は無く、例えば、複数枚の第一繊維層2を束ねたものと第二繊維層3とが交互に積層されたものであってもよい。
【0028】
本実施形態における繊維材料1の平面視形状は、製造しようとするプリフォーム10の形状に応じて決定されるものであるため、特に限定は無い。
例えば、
図1又は
図2に示したようなプリフォーム10を製造する場合には、繊維材料1として矩形状のものを用いることができる。
なお、繊維材料1の平面視形状は、
図3に示したような帯状のものであってもよいし、帯状のものよりも更に細いトウの状態となっているものであってもよい。
【0029】
本実施形態に係る第一繊維層2は、複数本の強化繊維でシート状に形成されている。
強化繊維は、融点及び引張強度が脂肪族ポリアミド繊維31よりも高いものとなっている。
具体的には、炭素繊維やガラス繊維等の無機系、アラミド繊維やベクトラン繊維等の有機系のものが用いられる。その中でも、炭素繊維は、軽量で耐久性の高い繊維強化樹脂複合材料を得る観点から好ましい。
なお、強化繊維は2種以上混合して用いてもよい。
また、第一繊維層2の形成の仕方(織り方や編み方)、や強化繊維の太さ等は任意である。
【0030】
本実施形態に係る第二繊維層3は、複数本の脂肪族ポリアミド(ナイロン)繊維31でシート状に形成されている。
第二繊維層3は、脂肪族ポリアミド繊維31を用いた不織布、脂肪族ポリアミド繊維31で織られた織布、脂肪族ポリアミド繊維31で編まれた編布のいずれであってもよいが、織布又は編布とするのが繊維材料1における材料量の均一化及びそのコントロールを可能とする観点から好ましい。
第二繊維層3の目付は、3~30g/m2の範囲内であることが、靭性や耐衝撃性向上の観点から好ましい。
【0031】
また、第二繊維層3の最大開口面積の下限値は、特に制限されるものではないが、0.2mm2以上であってもよく、0.3mm2以上であってもよい。この下限値を0.2mm2以上とすれば、樹脂組成物(詳細後述)の第二繊維層3及び第一繊維層2への含浸性が向上する。
一方、第二繊維層3の最大開口面積の上限値は、特に制限されるものではないが、3mm2以下であってもよく、1.5mm2以下であってもよい。この上限値を3mm2以下とすれば、得られる繊維強化樹脂複合材料100に衝撃が付与されることで生じる損傷領域の面積を低減させるとともに、衝撃後圧縮強度(compression after impact:以下CAIと略す)を高めることができる。
【0032】
また、第二繊維層3の長手方向(たて方向)の伸び率の下限値は、特に制限されるものではないが、5%以上であってよく、10%以上であってよい。この下限値を5%以上とすれば、プリフォーム10を製造する際に繊維材料1にシワが生じにくくなるため、不要な凹凸の無いプリフォーム10を得ることができる。
一方、第二繊維層3の長手方向の伸び率の上限値は、100%以下であってよい。
【0033】
第二繊維層3を形成する脂肪族ポリアミド繊維31は、第一ポリアミド樹脂と、融点が前記第一ポリアミド樹脂よりも7~50℃高い第二ポリアミド樹脂と、を含んでいる。
本実施形態における脂肪族ポリアミド繊維31には、
図5に示したように、第二ポリアミド樹脂で形成された芯部32と、第一ポリアミド樹脂で芯部32を覆うように形成された外周部33と、を有するものが含まれる。
【0034】
芯部32を形成する第二ポリアミド樹脂は、ポリアミド1010(融点202℃、以下PA1010)又はポリアミド6(融点225℃、以下PA6)であることが好ましい。
一方、外周部33を形成する第一ポリアミド樹脂は、ポリアミド12(融点176℃、以下PA12)であることが好ましい。
脂肪族ポリアミド繊維31に含まれる第一ポリアミド樹脂(外周部33)の質量と第二ポリアミド樹脂(芯部32)の質量との比は、30:70~70:30の範囲内であることが好ましい。特に、50:50とすることが、融着性向上及び十分な空隙確保(詳細後述)の観点から好ましい。
【0035】
各繊維材料1における第一繊維層2と第二繊維層3とは、少なくとも一部の領域において接合されている。
繊維材料1と繊維材料1とが接合される接合部11の範囲と、各繊維材料1において第一繊維層2と第二繊維層3とが接合される範囲とは一致していてもよいし、異なっていてもよい。
また、本実施形態においては、第一繊維層2と第二繊維層3とを接合させる方法を、上記繊維材料1と繊維材料1との接合と同様に融着としたが、繊維材料1と繊維材料1との接合方法と、各繊維材料1における第一繊維層2と第二繊維層3との接合方法を異ならせてもよい。
【0036】
また、本実施形態にいては、繊維材料1と繊維材料1との融着、第一繊維層2と第二繊維層3との融着を、第一ポリアミド樹脂(外周部33)の融点よりも高く第二ポリアミド樹脂(芯部32)の融点よりも低い温度で行っている。
これにより、接合部11においては、脂肪族ポリアミド繊維31の外周部33が一旦融解し再度硬化することで繊維材料1と繊維材料1、あるいは第一繊維層2と第二繊維層3とを接合させ、芯部32が融解せずにそのままの形状を保つこととなる。
【0037】
本実施形態におけるプリフォーム10は、第一繊維層2と第二繊維層3とが交互に並ぶこととなるように繊維材料1が複数枚積層されているため、接合部11においては、隣り合う第一繊維層2と第一繊維層2との間に芯部32が介在し、隣り合う第一繊維層2と第一繊維層2とが、少なくとも芯部32の太さの分だけ離間している。
なお、プリフォーム10における接合部11以外の領域においては、隣り合う第一繊維層2と第一繊維層2との間に脂肪族ポリアミド繊維31がそのまま(外周部33が融解せずに)介在し、隣り合う第一繊維層2と第一繊維層2とが、少なくとも第二繊維層3の厚さの分だけ離間している。
【0038】
(繊維強化樹脂複合材料)
次に、本実施形態に係る繊維強化樹脂複合材料100について説明する。
図6は繊維強化樹脂複合材料100を積層方向に沿って切断したときの模式断面図である。
【0039】
繊維強化樹脂複合材料100は、
図6に示したように、複数枚の第一繊維層2と、シート状に形成された複数の第三繊維層3Aと、が交互に積層されたものと、第一繊維層2内及び第三繊維層3A内にそれぞれ充填されるとともに硬化したマトリクス樹脂4と、を有している。
なお、
図6には、第一繊維層2と第三繊維層3Aとが一枚ずつ交互に積層されたものを例示したが、例えば、複数枚の第一繊維層2を束ねたものと第三繊維層3Aとが交互に積層されたものであってもよい。
【0040】
第一繊維層2は、上記プリフォーム10における第一繊維層2に相当するものである。
第三繊維層3Aは、上記第二ポリアミド樹脂を含んでいる。
本実施形態においては、上記第二繊維層3の脂肪族ポリアミド繊維31から外周部33が除去されたもの(上記芯部32のみからなるもの)となっている。
上述したように、第一繊維層2と第三繊維層3Aとは交互に積層されているため、第三繊維層3Aは、隣り合う第一繊維層2と第一繊維層2との間に介在している。
このため、隣り合う第一繊維層2間が、少なくとも第三繊維層3Aの厚さの分だけ離間している。
【0041】
マトリクス樹脂4は、樹脂組成物と、前記脂肪族ポリアミド樹脂である第一ポリアミド樹脂を含んでいる。
マトリクス樹脂4に含まれる第一ポリアミド樹脂は、上記第二繊維層3の脂肪族ポリアミド繊維31の外周部33を形成していたものである。
上述したように、隣り合う第一繊維層2間が離間しているため、マトリクス樹脂4は、第一繊維層2内に含浸されるだけではなく、隣り合う第一繊維層2間を充填している。
【0042】
樹脂組成物は、特に限定されるものでは無く、従来公知のものを用いることができるが、分子中に下記式(1)で表されるベンゾオキサジン環を有する化合物を含むベンゾオキサジン樹脂と、エポキシ樹脂と、分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する硬化剤と、靭性向上剤と、を含有するもの(以下ベンゾオキサジン樹脂組成物)を用いるのが、難燃性や低収縮性といった観点から好ましい。
【0043】
【化1】
(式中、R
1は炭素数1~12の鎖状アルキル基、炭素数3~8の環状アルキル基、フェニル基又は炭素数1~12の鎖状アルキル基若しくはハロゲンで置換されたフェニル基を示す。また、式中の芳香環の酸素原子が結合している炭素原子のオルト位とパラ位の少なくとも一方の炭素原子には水素原子が結合している。)
【0044】
(繊維強化樹脂複合材料の製造方法)
次に、上記繊維強化樹脂複合材料100の製造方法について説明する。
【0045】
上記繊維強化樹脂複合材料100は、上記プリフォーム10を用い、例えば樹脂トランスファー成形(RTM)法等により製造される。
具体的には、まず、上記プリフォーム10を準備する。
すなわち、第二繊維層3が、第一ポリアミド樹脂と、融点が前記第一ポリアミド樹脂よりも7~50℃高い第二ポリアミド樹脂と、を含む脂肪族ポリアミド繊維31でシート状に形成されたものを準備する。
【0046】
プリフォーム10を準備した後は、プリフォーム10内の空隙に樹脂組成物を充填する。
本実施形態においては、プリフォーム10を型に入れ、型に樹脂組成物を圧入する。こうすることで、プリフォーム10内の空隙、すなわちプリフォーム10を構成する第一繊維層2内の空隙及び第二繊維層3内の空隙に樹脂組成物がそれぞれ充填される。
上述したように、本実施形態に係るプリフォーム10は、接合部11以外の箇所は勿論、接合部11においても隣り合う第一繊維層2と第一繊維層2との間が離間しているため、第一繊維層2と第一繊維層2との間(第二繊維層3内の空隙)が圧入された樹脂組成物の流路となり、樹脂組成物がプリフォーム10に容易に含浸されるようになる。このため、従来のような樹脂組成物を拡散し易くするための網状のフローメディアの取り付け・取り外し工程が不要となる。
なお、樹脂組成物を充填する際には、型内を真空引きしてもよい。
【0047】
プリフォーム10に樹脂組成物を含浸させた後は、プリフォーム10及び樹脂組成物を、第一ポリアミド樹脂の融点よりも高く第二ポリアミド樹脂の融点よりも低い温度(加熱温度)で加熱して、脂肪族ポリアミド繊維31の外周部33を形成している第一ポリアミド樹脂を融解させる。
本実施形態においては、室温から所定の昇温速度で加熱温度まで昇温させ、その後、加熱温度で所定時間加圧しながら加熱して、第一ポリアミド樹脂を融解させる。
その際、芯部32が融解せずに残り、隣り合う第一繊維層2間の離間状態が維持される。このため、隣り合う第一繊維層2間に存在する樹脂組成物が隣接する第一繊維層2によって押し出されずに残る。
また、融解した第一ポリアミド樹脂は、樹脂組成物と混合されマトリクス樹脂4となる。
【0048】
その後、樹脂組成物と第一ポリアミド樹脂とが混合されたものを硬化させる。
樹脂組成物に熱可塑性樹脂が含まれるものを用いる場合には、マトリクス樹脂4を冷却して硬化させる。一方、樹脂組成物に熱硬化性樹脂が含まれるもの(上記ベンゾオキサジン樹脂組成物を含む)を用いる場合には、加圧及び加熱を継続して硬化させる。
樹脂組成物と融解した第一ポリアミド樹脂とが混合されたものが硬化するとマトリクス樹脂4になる。こうして、繊維強化樹脂複合材料100が製造される。
【0049】
このように、本実施形態に係るプリフォーム10は、隣り合う第一繊維層2と第一繊維層2との間に、第二繊維層3(接合部11においては芯部32)が介在し、隣り合う第一繊維層2と第一繊維層2とが離間している。このため、第一繊維層2と第一繊維層2との間(第二繊維層3内の空隙)が圧入された樹脂組成物の流路となり、樹脂組成物がプリフォーム10に容易に含浸されるようになり、製造された繊維強化樹脂複合材料100の内部にボイド(樹脂の未充填領域)が生じにくくなる。その結果、高い耐衝撃性を有する繊維強化樹脂複合材料100を安定的に製造することができる。
【実施例】
【0050】
次に、上記繊維強化樹脂複合材料100の特性を、具体的な実施例を挙げて示す。
【0051】
まず、マトリクス樹脂4の一部となるベンゾオキサジン樹脂組成物を製造した。ベンゾオキサジン樹脂組成物は、下記表1に示す割合で原料を加熱混合することにより得た。なお、ここで用いた原料は以下に示す通りである。
【0052】
(A)成分:ベンゾオキサジン樹脂組成物
・F-a:ビスフェノールF-アニリン型(F-a型固形ベンゾオキサジン、四国化成(株)製)
・P-a:フェノール-アニリン型(P-a型固形ベンゾオキサジン、四国化成(株)製)
(B)成分:エポキシ樹脂
・2021P:液状エポキシ「セロキサイド」(登録商標)2021P(ダイセル化学工業(株)製)
(C)成分:硬化剤
・BPF:9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製)
(D)成分:靭性向上剤
・YP70:フェノキシ樹脂(YP-70、新日鐵住金化学株式会社製)
【0053】
【0054】
また、上記ベンゾオキサジン樹脂組成物の一部に、下記ポリアミド樹脂粒子(E1成分及びE2成分もしくはE1成分及びE3成分)を混合することにより他のベンゾオキサジン樹脂組成物も得た。
以下、ベンゾオキサジン樹脂組成物のうち、ポリアミド樹脂粒子を含有しないものを第一樹脂組成物、E1成分及びE2成分を含有するものを第二樹脂組成物、E1成分及びE3成分を含有するものを第三樹脂組成物と称する。
【0055】
(E)成分:ポリアミド樹脂粒子
(E1)成分:ポリアミド12樹脂粒子(以下PA12粒子)
・ベストジント2158、平均粒子径20μm、ダイセル・エボニック株式会社製
・ベストジント2159、平均粒子径10μm、ダイセル・エボニック株式会社製
(E2)成分:ポリアミド1010樹脂粒子(以下PA1010粒子)
・ベストジント9158、平均粒子径20μm、ダイセル・エボニック株式会社製
(E3)成分:ポリアミド6樹脂粒子(以下PA6粒子)
【0056】
次に、下記表2に示す仕様で実施例1,2及び比較例1~3に係る平板状の繊維強化樹脂複合材料(以下サンプル)を作製した。
ここでは、各サンプルを6枚ずつ作製した。
【0057】
実施例1に係るサンプルは、繊維材料1を複数枚積層してなる上記実施形態に係るプリフォーム10を用いて製造した。
各繊維材料1を構成する第一繊維層2はHiTape(登録商標:Hexcel社製、強化繊維目付210g/m2)とし、第二繊維層3は、芯部32がPA1010、外周部33がPA12で、両者の重量比率が50:50の脂肪族ポリアミド繊維31の編布とした。
また、プリフォーム10内の空隙に充填するベンゾオキサジン樹脂組成物は、上記第一樹脂組成物とした。
また、硬化条件は、1℃/分の昇温速度で185℃まで昇温した後、その温度のまま2時間加熱及び加圧して硬化させることとした。
【0058】
実施例2に係るサンプルは、実施例1と同様、繊維材料1を複数枚積層してなる上記実施形態に係るプリフォーム10を用いて製造した。
各繊維材料1を構成する第一繊維層2は、実施例1と同じHiTapeとし、第二繊維層3は、芯部32が実施例1と異なるPA6、外周部33がPA12で、両者の重量比率が50:50の脂肪族ポリアミド繊維31の編布とした。
充填したベンゾオキサジン樹脂組成物及び硬化条件は実施例1と同様である。
【0059】
比較例1に係るサンプルは、実施例1,2と同様の第一繊維層2(HiTape)のみを複数枚積層してなる(HiTapeとHiTapeとの間に第二繊維層3が存在しない)プリフォームを用いて製造した。
充填したベンゾオキサジン樹脂組成物及び硬化条件は実施例1,2と同様である。
【0060】
比較例2に係るサンプルは、シート状に形成された強化繊維に第二樹脂組成物を含浸させてなるプリプレグのみを複数枚積層した(強化繊維と強化繊維との間に第二繊維層3が存在しない)ものを用いて製造した。
硬化条件は実施例1,2や比較例1と同様である。
【0061】
比較例3に係るサンプルは、比較例2と同様の強化繊維に第三樹脂組成物を含浸させてなるプリプレグのみを複数枚積層した(強化繊維と強化繊維との間に第二繊維層3が存在しない)ものを用いて製造した。
硬化条件は実施例1,2や比較例1,2と同様である。
【0062】
【0063】
次に、各サンプルの中央部に衝撃を加え、各サンプルのCAIを測定した。試験はASTM D7136及びASTM D7137に準拠し、RTD(室温吸湿なし)の環境下で行った。また、各サンプルに与える衝撃のエネルギーは6.7J/m2とした。
なお、試験は、同条件で作製した各6枚のサンプルに対し、同条件の衝撃をそれぞれ加え、得られた複数の測定値からその平均値及び変動率(サンプル毎のCAIのばらつき)をそれぞれ算出した。
【0064】
各サンプルのCAIの平均を比較した結果、表2に示したように、比較例1に係るサンプルのCAIは平均が200MPaを下回った。
これに対し、実施例1,2及び比較例2,3に係るサンプルのCAIは、いずれも比較例1を大きく上回り、平均が290MPaを超えた。
特に、実施例1,2及び比較例2に係るサンプルのCAIは、310MPaを上回る結果となり、実用に十分耐えることのできるものであることが明らかとなった。
【0065】
また、各サンプルCAIの変動率を比較したところ、表2に示したように、比較例1,2に係るサンプルは、複数の測定値の変動率、すなわち、各CAIのばらつきが5.5%以上と比較的大きかったのに対し、実施例1及び比較例3に係るサンプルは4.1%以下と小さかった。
【0066】
以上の結果から、本実施形態に係る繊維強化樹脂複合材料100は、PA1010粒子及びPA12粒子又はPA6粒子及びPA12粒子を含むベンゾオキサジン樹脂組成物を含浸させたプリプレグを用いて製造した従来の繊維強化樹脂複合材料と同程度の高い耐衝撃性を有することが分かった。
本実施形態に係る第二繊維層3は、PA1010粒子やPA12粒子、PA6粒子に比べて安価で製造することができるため、これらの粒子を用いない本実施形態に係る繊維強化樹脂複合材料100は、従来と同程度の耐衝撃性を従来よりも少ないコストで実現することができることになる。
【0067】
特に、芯部32がPA1010、外周部33がPA12で形成された脂肪族ポリアミド繊維31を含む第二繊維層3を用いることにより、高い耐衝撃性を有する繊維強化樹脂複合材料100をより安定的に(少ない品質の変動で)に製造できることが分かった。
【符号の説明】
【0068】
100 繊維強化樹脂複合材料
110 第一材料層
120 第二材料層
10 プリフォーム
1 繊維材料
11 接合部
2 第一繊維層
3 第二繊維層
3A 第三繊維層
31 脂肪族ポリアミド繊維
32 芯部
33 外周部
4 マトリクス樹脂