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特許7382763パワーコンディショニングシステム、及び、パワーコンディショニングシステムの診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】パワーコンディショニングシステム、及び、パワーコンディショニングシステムの診断方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20231110BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20231110BHJP
【FI】
H02J3/38 170
H02M7/48 R
H02M7/48 M
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019155750
(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公開番号】P2021035256
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌隆
(72)【発明者】
【氏名】南 祐輔
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-043642(JP,A)
【文献】特開2016-067080(JP,A)
【文献】特開2000-350468(JP,A)
【文献】特開2018-206480(JP,A)
【文献】特開2008-108484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電体の出力を、リレーを用いて系統負荷又は自立負荷に連系させるパワーコンディショニングシステムであって、
前記発電体が発電した発電電力に基づいた電力を出力するDC/ACインバータと、
前記DC/ACインバータの入力部に接続されたコンデンサをチャージすることで前記DC/ACインバータに電力を供給する突入電流防止回路と、
前記DC/ACインバータの出力部と前記系統負荷又は前記自立負荷とを接続し、若しくは、負荷になる補器と前記DC/ACインバータの出力部又は前記系統負荷とを接続するリレー接続回路と、
前記DC/ACインバータ、前記突入電流防止回路、及び、前記リレー接続回路の接続経路に設けられた前記リレーを制御する制御部と、を備え、
前記DC/ACインバータは、前記DC/ACインバータの過電流を検出する過電流検出回路を備え、
前記制御部は、
前記発電体の起動前に、前記DC/ACインバータの前記コンデンサをチャージした後、前記DC/ACインバータを動作させて、前記リレーに関して、前記リレーの制御状態、及び、前記リレー接続回路の前記接続経路における電流又は電圧を検出した結果に基づいて、正常、溶着故障、又は、断線故障の少なくとも何れかであるかを、診断し、
前記リレー接続回路の診断時には、前記DC/ACインバータを動作させる前に、前記過電流検出回路が過電流を検出する閾値を、通常時の第1過電流閾値よりも低い第2過電流閾値に、設定する
ことを特徴とするパワーコンディショニングシステム。
【請求項2】
前記発電体は、燃料電池であることを特徴とする請求項1に記載のパワーコンディショニングシステム。
【請求項3】
前記補器は、前記燃料電池の加熱用のヒータ、及び/又は、前記燃料電池の点火用のヒータである
ことを特徴とする請求項2に記載のパワーコンディショニングシステム。
【請求項4】
前記突入電流防止回路は、
前記DC/ACインバータの前記コンデンサをチャージするための電圧が前記系統負荷から供給される
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のパワーコンディショニングシステム。
【請求項5】
前記コンデンサをチャージするための電圧は、前記系統負荷から前記リレー接続回路を介さずに前記突入電流防止回路に供給される
ことを特徴とする請求項4に記載のパワーコンディショニングシステム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記DC/ACインバータを動作させた後、前記リレー接続回路の前記自立負荷側の接続経路にあるリレーを動作させて、前記自立負荷側の接続経路にあるリレーに関して前記診断を実行する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のパワーコンディショニングシステム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記自立負荷側のリレーの診断の後に、前記DC/ACインバータの動作を停止させた後、前記リレー接続回路の前記系統負荷側の接続経路にあるリレーを動作させて、前記系統負荷側の接続経路にあるリレーに関して前記診断を実行する
ことを特徴とする請求項に記載のパワーコンディショニングシステム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記リレー接続回路の診断において、正常であると判断した場合には、前記過電流検出回路が過電流を検出する閾値を、前記第2過電流閾値から前記第1過電流閾値に、変更するとともに、前記発電体を起動させる
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のパワーコンディショニングシステム。
【請求項9】
前記第1過電流閾値は、前記DC/ACインバータの電流耐量を超えない値に設定され、
一方、前記第2過電流閾値は、前記突入電流防止回路及び前記リレー接続回路の前記リレーの電流耐量を超えない値に設定されている
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載のパワーコンディショニングシステム。
【請求項10】
前記制御部により制御され、前記発電体が発電した発電電力を変換して直流電圧を前記DC/ACインバータに出力するDC/DCコンバータを、さらに備える
ことを特徴とする請求項1ないしのいずれか一項に記載のパワーコンディショニングシステム。
【請求項11】
前記リレー接続回路の接続経路に設けられた前記リレーは、機械式のリレーである
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載のパワーコンディショニングシステム。
【請求項12】
発電体の出力を、リレーを用いて系統負荷又は自立負荷に連系させるパワーコンディショニングシステムであって、発電体の出力を、リレーを用いて系統負荷又は自立負荷に連系させるパワーコンディショニングシステムであって、前記発電体が発電した発電電力に基づいた電力を出力するDC/ACインバータと、前記DC/ACインバータの入力部に接続されたコンデンサをチャージすることで前記DC/ACインバータに電力を供給する突入電流防止回路と、前記DC/ACインバータの出力部と前記系統負荷又は前記自立負荷とを接続し、若しくは、負荷になる補器と前記DC/ACインバータの出力部又は前記系統負荷とを接続するリレー接続回路と、前記DC/ACインバータ、前記突入電流防止回路、及び、前記リレー接続回路の接続経路に設けられた前記リレーを制御する制御部と、を備え、前記DC/ACインバータは、前記DC/ACインバータの過電流を検出する過電流検出回路を備えた、パワーコンディショニングシステムの診断方法であって、
前記制御部は、
前記発電体の起動前に、前記DC/ACインバータの前記コンデンサをチャージした後、前記DC/ACインバータを動作させて、前記リレーに関して、前記リレーの制御状態、及び、前記リレー接続回路の前記接続経路における電流又は電圧を検出した結果に基づいて、正常、溶着故障、又は、断線故障の少なくとも何れかであるかを、診断し、前記リレー接続回路の診断時には、前記DC/ACインバータを動作させる前に、前記過電流検出回路が過電流を検出する閾値を、通常時の第1過電流閾値よりも低い第2過電流閾値に、設定する
ことを特徴とするパワーコンディショニングシステムの診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーコンディショニングシステム、及び、パワーコンディショニングシステムの診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電体(例えば、燃料電池)の出力を各系統に連系させるパワーコンディショニングシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、一般的に、パワーコンディショニングシステムのDC/ACインバータの出力部は、商用系統などに接続される「連系運転」と、非常用発電時に接続される「自立運転」がある。
【0004】
この2つの運転に使用する、連系運転用の出力ラインと、自立運転用の出力ラインを機械的に切り離す為に、リレーがライン毎に挿入してある。
【0005】
これらのリレーは、他の電子部品と比較して、溶着等の故障率が高い。
【0006】
また、設置環境の条件から、ユニットから当該ユニットの接続先である、分電盤までの距離を長くとられることがあり、この2つの出力ラインを接続する際の、人的な施工ミスも発生しやすい。一方、燃料電池は、起動、及び、停止に半日程度かかる。
【0007】
そのため、施工時、製品に問題があると、交換に多大な時間が必要となる。
【0008】
従って、燃料電池が起動されていなくても、各出力ラインを診断する手法が必要となる。
【0009】
例えば、従来のパワーコンディショニングシステムは、製品サイズ・コストの兼ね合いから、連系時はDC/ACインバータの出力を200Vとし、一方、自立時はDC/ACインバータの出力を100Vとして、制御で出力電圧を可変させる。
【0010】
しかし、このような従来のパワーコンディショニングシステムでは、系統電圧を利用し、特に、自立運転用出力ラインの診断を行う場合、自立運転用出力ラインは100V系であるため、そのままでは、負荷や部品に過電圧が印加され、故障する問題がある。
【0011】
さらに、診断の最初に系統リレーXを接続すると、DC/ACインバータDAのコンデンサFへのチャージ時に当該系統リレーXに瞬時過電流が流れる問題がある(図10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2016-158459
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、発電体(例えば、燃料電池)の起動前に、当該発電体の出力を系統負荷又は自立負荷に連系させるリレーに過電流が流れるのを抑制しつつ、当該リレーの診断を行うことが可能なパワーコンディショニングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様に係るパワーコンディショニングシステムは、
発電体の出力を、リレーを用いて系統負荷又は自立負荷に連系させるパワーコンディショニングシステムであって、
前記発電体が発電した発電電力に基づいた電力を出力するDC/ACインバータと、
前記DC/ACインバータの入力部に接続されたコンデンサをチャージすることで前記DC/ACインバータに電力を供給する突入電流防止回路と、
前記DC/ACインバータの出力部と前記系統負荷又は前記自立負荷とを接続し、若しくは、負荷になる補器と前記DC/ACインバータの出力部又は前記系統負荷とを接続するリレー接続回路と、
前記DC/ACインバータ、前記突入電流防止回路、及び、前記リレー接続回路の接続経路に設けられた前記リレーを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記発電体の起動前に、前記DC/ACインバータの前記コンデンサをチャージした後、前記DC/ACインバータを動作させて、前記リレーに関して、前記リレーの制御状態、及び、前記リレー接続回路の前記接続経路における電流又は電圧を検出した結果に基づいて、正常、溶着故障、又は、断線故障の少なくとも何れかであるかを、診断する
ことを特徴とする。
【0015】
前記パワーコンディショニングシステムにおいて、
前記発電体は、燃料電池であることを特徴とする。
【0016】
前記パワーコンディショニングシステムにおいて、
前記補器は、前記燃料電池の加熱用のヒータ、及び/又は、前記燃料電池の点火用のヒータである
ことを特徴とする。
【0017】
前記パワーコンディショニングシステムにおいて、
前記突入電流防止回路は、
前記DC/ACインバータの前記コンデンサをチャージするための電力が前記系統負荷から供給される
ことを特徴とする。
【0018】
前記パワーコンディショニングシステムにおいて、
前記コンデンサをチャージするための電圧は、前記系統負荷から前記リレー接続回路を介さずに前記突入電流防止回路に供給される
ことを特徴とする。
【0019】
前記パワーコンディショニングシステムにおいて、
前記DC/ACインバータは、
前記DC/ACインバータの過電流を検出する過電流検出回路を備え、
前記制御部は、
前記リレー接続回路の診断時には、前記DC/ACインバータを動作させる前に、前記過電流検出回路が過電流を検出する閾値を、通常時の第1過電流閾値よりも低い第2過電流閾値に、設定する
ことを特徴とする。
【0020】
前記パワーコンディショニングシステムにおいて、
前記制御部は、
前記DC/ACインバータを動作させた後、前記リレー接続回路の前記自立負荷側の接続経路にあるリレーを動作させて、前記自立負荷側の接続経路にあるリレーに関して前記診断を実行する
ことを特徴とする。
【0021】
前記パワーコンディショニングシステムにおいて、
前記制御部は、
前記自立負荷側のリレーの診断の後に、前記DC/ACインバータの動作を停止させた後、前記リレー接続回路の前記系統負荷側の接続経路にあるリレーを動作させて、前記系統負荷側の接続経路にあるリレーに関して前記診断を実行する
ことを特徴とする。
【0022】
前記パワーコンディショニングシステムにおいて、
前記制御部は、
前記リレー接続回路の診断において、正常であると判断した場合には、前記過電流検出回路が過電流を検出する閾値を、前記第2過電流閾値から前記第1過電流閾値に、変更するとともに、前記発電体を起動させる
ことを特徴とする。
【0023】
前記パワーコンディショニングシステムにおいて、
前記第1過電流閾値は、前記DC/ACインバータの電流耐量を超えない値に設定され、
一方、前記第2過電流閾値は、前記突入電流防止回路及び前記リレー接続回路の前記リレーの電流耐量を超えない値に設定されている
ことを特徴とする。
【0024】
前記パワーコンディショニングシステムにおいて、
前記制御部により制御され、前記発電体が発電した発電電力を変換して直流電圧を前記DC/ACインバータに出力するDC/DCコンバータを、さらに備える
ことを特徴とする。
【0025】
前記パワーコンディショニングシステムにおいて、
前記リレー接続回路の接続経路に設けられた前記リレーは、機械式のリレーである
ことを特徴とする。
【0026】
本発明の一態様に係るパワーコンディショニングシステムの診断方法は、
発電体の出力を、リレーを用いて系統負荷又は自立負荷に連系させるパワーコンディショニングシステムであって、発電体の出力を、リレーを用いて系統負荷又は自立負荷に連系させるパワーコンディショニングシステムであって、前記発電体が発電した発電電力に基づいた電力を出力するDC/ACインバータと、前記DC/ACインバータの入力部に接続されたコンデンサをチャージすることで前記DC/ACインバータに電力を供給する突入電流防止回路と、前記DC/ACインバータの出力部と前記系統負荷又は前記自立負荷とを接続し、若しくは、負荷になる補器と前記DC/ACインバータの出力部又は前記系統負荷とを接続するリレー接続回路と、前記DC/ACインバータ、前記突入電流防止回路、及び、前記リレー接続回路の接続経路に設けられた前記リレーを制御する制御部と、を備えたパワーコンディショニングシステムの診断方法であって、
前記制御部は、
前記発電体の起動前に、前記DC/ACインバータの前記コンデンサをチャージした後、前記DC/ACインバータを動作させて、前記リレーに関して、前記リレーの制御状態、及び、前記リレー接続回路の前記接続経路における電流又は電圧を検出した結果に基づいて、正常、溶着故障、又は、断線故障の少なくとも何れかであるかを、診断する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様に係るパワーコンディショニングシステムは、発電体の出力を、リレーを用いて系統負荷又は自立負荷に連系させるパワーコンディショニングシステムであって、発電体が発電した発電電力に基づいた電力を出力するDC/ACインバータと、DC/ACインバータの入力部に接続されたコンデンサをチャージすることでDC/ACインバータに電力を供給する突入電流防止回路と、DC/ACインバータの出力部と系統負荷又は自立負荷とを接続し、若しくは、負荷になる補器とDC/ACインバータの出力部又は系統負荷とを接続するリレー接続回路と、DC/ACインバータ、突入電流防止回路、及び、リレー接続回路の接続経路に設けられたリレーを制御する制御部と、を備える。
【0028】
そして、制御部は、発電体の起動前に、DC/ACインバータのコンデンサをチャージした後、DC/ACインバータを動作させて、リレーに関して、リレーの制御状態、及び、リレー接続回路の接続経路における電流又は電圧を検出した結果に基づいて、正常、溶着故障、又は、断線故障の少なくとも何れかであるかを、診断する。
【0029】
これにより、本発明の一態様に係るパワーコンディショニングシステムによれば、発電体(例えば、燃料電池)の起動前に、当該発電体の出力を系統負荷又は自立負荷に連系させるリレーに過電流が流れるのを抑制しつつ、当該リレーの診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、実施例1に係るパワーコンディショニングシステム100の構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1に示すパワーコンディショニングシステム100のDC/ACインバータDAの構成の一例を示す図である。
図3図3は、図1に示すパワーコンディショニングシステム100のリレー接続回路Yの構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施例1に係るパワーコンディショニングシステム100の診断方法のシーケンスの一例を示す図である。
図5図5は、図4に示すシーケンス(1)に対応するフローの一例を示すフロー図である。
図6図6は、図4に示すシーケンス(2)、(5)に対応するフローの一例を示すフロー図である。
図7図7は、図4に示すシーケンス(3)に対応するフローの一例を示すフロー図である。
図8図8は、図4に示すシーケンス(4)に対応するフローの一例を示すフロー図である。
図9図9は、図4に示すシーケンス(6)に対応するフローの一例を示すフロー図である。
図10図10は、従来のパワーコンディショニングシステムのDC/ACインバータDAの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係るパワーコンディショニングシステムについて、図面とともに説明する。
【実施例1】
【0032】
[パワーコンディショニングシステム]
図1は、実施例1に係るパワーコンディショニングシステム100を含むシステム1000の構成の一例を示す図である。また、図2は、図1に示すパワーコンディショニングシステム100のDC/ACインバータDAの構成の一例を示す図である。また、図3は、図1に示すパワーコンディショニングシステム100のリレー接続回路Yの構成の一例を示す図である。
【0033】
パワーコンディショニングシステム100は、例えば、図1に示すように、発電体Xの出力を、リレーを用いて、第1分電盤(自立負荷)B1、又は、第2分電盤(系統負荷)B2に連系させるようになっている。
【0034】
なお、系統負荷B2は、例えば、200V系である。また、自立負荷B1は、例えば、100V系である。
【0035】
また、発電体Xは、例えば、燃料電池であるであるが、燃料電池以外の他の発電機であってもよい。
【0036】
また、ヒータ(補器)Hは、発電体Xである燃料電池の加熱用のヒータ、及び/又は、燃料電池の点火用のヒータである。
【0037】
より詳しくは、例えば、図3に示すように、この補器Hの第1補器H1は、発電体Xである燃料電池の加熱用のヒータ(第1のACヒータH1)である。
【0038】
そして、例えば、図3に示すように、この補器Hの第2補器H2は、発電体Xである燃料電池の点火用のヒータ(第2のACヒータH2)である。
【0039】
ここで、パワーコンディショニングシステム100は、例えば、図1図3に示すように、リレー接続回路Yと、制御部CNTと、突入電流防止回路TCと、DC/DCコンバータDDと、DC/ACインバータDAと、を備える。
【0040】
[DC/DCコンバータ]
DC/DCコンバータDDは、例えば、図1に示すように、制御部CNTにより制御され、発電体Xが発電した発電電力を変換して直流電圧をDC/ACインバータDAに出力するようになっている。
【0041】
[DC/ACインバータDA]
DC/ACインバータDAは、例えば、図1に示すように、DC/DCコンバータDDが出力した直流電圧を交流電圧に変換して、リレー接続回路Yに供給するようになっている。
【0042】
すなわち、DC/ACインバータDAは、発電体Xが発電した発電電力に基づいた電力を出力するようになっている。
【0043】
ここで、このDC/ACインバータDAは、例えば、図2に示すように、第1の入力端子TF1と、第2の入力端子TF2と、第1の出力端子TDA1と、第2の出力端子TDA2と、コンデンサFと、第1ノードN1と、第2ノードN2と、第1のMOSトランジスタM1と、第2のMOSトランジスタM2と、第3のMOSトランジスタM3と、第4のMOSトランジスタM4と、第1のチョークコイルL1と、第2のチョークコイルL2と、出力コンデンサCXと、過電流検出回路Dと、ゲート駆動回路Gと、を備える。
【0044】
そして、第1の入力端子TF1及び第2の入力端子TF2は、DC/DCコンバータDDの出力に接続され、DC/DCコンバータDDが出力した直流電圧が印加されるようになっている(図1)。
【0045】
さらに、この第1の入力端子TF1及び第2の入力端子TF2は、突入電流防止回路TCの出力に接続され、突入電流防止回路TCが出力した直流電圧が印加されるようになっている(図1)。
【0046】
この第1の入力端子TF1及び第2の入力端子TF2との間には、例えば、図1図2に示すように、コンデンサFが接続されている。なお、図1の例では、コンデンサFがDC/ACインバータDAの外に表記されているが、ここでは、コンデンサFはDC/ACインバータDAの構成要素として定義されているが、当該コンデンサFはDC/ACインバータDA以外の構成要素として定義されてもよい。
【0047】
そして、このコンデンサFが充電されることで、所定の電力が供給されて、当該DC/ACインバータDAが駆動して所定の電圧を出力可能な状態になるようになっている。
【0048】
また、第1の出力端子TDA1及び第2の出力端子TDA2は、例えば、図2に示すように、リレー接続回路Yに接続されている。そして、この第1の出力端子TDA1及び第2の出力端子TDA2から、DC/ACインバータDAが生成した交流電圧を、リレー接続回路Yに出力するようになっている。
【0049】
また、第1のMOSトランジスタM1は、例えば、図2に示すように、ドレインが第1の入力端子TF1に接続され、ソースが第1ノードN1に接続されている。
【0050】
そして、この第1のMOSトランジスタM1は、図2の例では、寄生ダイオードを含むnMOSトランジスタである。
【0051】
この第1のMOSトランジスタM1は、ゲート駆動回路Gが出力するゲート信号により、オン/オフが制御されるようになっている。
【0052】
また、第2のMOSトランジスタM2は、例えば、図2に示すように、ドレインが第1ノードN1に接続され、ソースが第2の入力端子TF2に接続されている。
【0053】
そして、この第2のMOSトランジスタM2は、図2の例では、寄生ダイオードを含むnMOSトランジスタである。
【0054】
この第2のMOSトランジスタM2は、ゲート駆動回路Gが出力するゲート信号により、オン/オフが制御されるようになっている。
【0055】
また、第3のMOSトランジスタM3は、例えば、図2に示すように、ドレインが第1の入力端子TF1に接続され、ソースが第2ノードN2に接続されている。
【0056】
そして、この第3のMOSトランジスタM3は、図2の例では、寄生ダイオードを含むnMOSトランジスタである。
【0057】
この第3のMOSトランジスタM3は、ゲート駆動回路Gが出力するゲート信号により、オン/オフが制御されるようになっている。
【0058】
また、第4のMOSトランジスタM4は、例えば、図2に示すように、ドレインが第2ノードN2に接続され、ソースが第2の入力端子TF2に接続されている。
【0059】
そして、この第4のMOSトランジスタM4は、図2の例では、寄生ダイオードを含むnMOSトランジスタである。
【0060】
この第4のMOSトランジスタM4は、ゲート駆動回路Gが出力するゲート信号により、オン/オフが制御されるようになっている。
【0061】
また、第1のチョークコイルL1は、一端が第1ノードN1に接続され、他端が第1の出力端子TDA1に接続されている。
【0062】
また、第2のチョークコイルL2は、一端が第2ノードN2に接続され、他端が第2の出力端子TDA2に接続されている。
【0063】
また、出力コンデンサCXは、第1の出力端子TDA1と第2の出力端子TDA2との間に接続されている。
【0064】
なお、これらの第1のチョークコイルL1、第2のチョークコイルL2及び出力コンデンサCXは、LCフィルタを構成しているが、同様の機能を有するフィルタ回路で代替するようにしてもよい。
【0065】
また、過電流検出回路Dは、DC/ACインバータDAの過電流(第1ないし第4のMOSトランジスタM1~M4に流れる電流)を検出するようになっている(図2)。
【0066】
また、ゲート駆動回路Gは、制御部CNTが出力する制御信号に応じて、既述のゲート信号を第1ないし第4のMOSトランジスタM1~M4のゲートに出力して、第1ないし第4のMOSトランジスタM1~M4の動作を制御するようになっている。
【0067】
[リレー接続回路]
リレー接続回路Yは、例えば、図1に示すように、DC/ACインバータDAの出力部(第1の出力端子TDA1と第2の出力端子TDA2)と系統負荷B2又は自立負荷B1とを接続し、若しくは、負荷になる補器とDC/ACインバータDAの出力部(第1の出力端子TDA1と第2の出力端子TDA2)又は系統負荷B2とを接続するようになっている。
【0068】
そして、例えば、図3に示すように、このリレー接続回路Yは、U相電圧端子TIN1と、V相電圧端子TIN2と、U相自立用端子TU1と、V相自立用端子TV1と、U相系統用端子TU2と、V相系統用端子TV2と、系統中間端子TN2と、を備える。
【0069】
U相のU相電圧端子TIN1及びV相のV相電圧端子TIN2は、図2に示すDC/ACインバータDAの第1の出力端子TDA1及び第2の出力端子TDA2に接続されている。
【0070】
これにより、U相電圧端子TIN1及びV相電圧端子TIN2は、交流電圧がDC/ACインバータDAから供給されるようになっている。
【0071】
また、U相自立用端子TU1及びV相自立用端子TV1は、例えば、図3に示すように、自立負荷B1に接続されている。
【0072】
また、U相系統用端子TU2及びV相系統用端子TV2は、例えば、図3に示すように、系統負荷B2に接続されるようになっている。
【0073】
また、系統中間端子TN2は、例えば、図3に示すように、系統負荷B2の中間電位(例えば、接地電位)に接続されるようになっている。
【0074】
さらに、リレー接続回路Yは、例えば、図3に示すように、第1の電圧検出回路DV1と、第2の電圧検出回路DV2と、第3の電圧検出回路DV3と、第4の電圧検出回路DV4と、第5の電圧検出回路DV5と、第6の電圧検出回路DV6と、電流検出回路DI1と、を備える。
【0075】
また、第1の電圧検出回路DV1は、U相電圧端子TIN1の電圧を検出し、検出結果を制御部CNTに出力するようになっている(電圧検出1)。
【0076】
また、第2の電圧検出回路DV2は、V相電圧端子TIN2の電圧を検出し、検出結果を制御部CNTに出力するようになっている(電圧検出2)。
【0077】
また、第3の電圧検出回路DV3は、U相自立用端子TU1の電圧を検出し、検出結果を制御部CNTに出力するようになっている(電圧検出3)。
【0078】
また、第4の電圧検出回路DV4は、V相自立用端子TV1の電圧を検出し、検出結果を制御部CNTに出力するようになっている(電圧検出4)。
【0079】
また、第5の電圧検出回路DV5は、V相系統用端子TV2の電圧を検出し、検出結果を制御部CNTに出力するようになっている(電圧検出5)。
【0080】
また、第6の電圧検出回路DV6は、U相系統用端子TU2の電圧を検出し、検出結果を制御部CNTに出力するようになっている(電圧検出6)。
【0081】
また、電流検出回路DI1は、補器H(第1、第2のACヒータH1、H2)に流れる電流を検出し、検出結果を制御部CNTに出力するようになっている(電流検出1)。
【0082】
さらに、リレー接続回路Yは、例えば、図3に示すように、第1の系統用リレーRY1と、第2の系統用リレーRY2と、第3の系統用リレーRY3と、第4の系統用リレーRY4と、第1の自立用リレーRY5と、第2の自立用リレーRY6と、第1の補器用リレーRY7と、第2の補器用リレーRY8と、第1の切換用リレーRY9と、第2の切換用リレーRY10と、第1接続経路(U相の接続経路)と、第2接続経路(V相の接続経路)と、第3接続経路(N相の接続経路)と、を備える。
【0083】
そして、第1の系統用リレーRY1は、一端がU相電圧端子TIN1に接続され、他端が、第2の系統用リレーRY2を介して、U相系統用端子TU2に接続されている。
【0084】
また、第2の系統用リレーRY2は、一端が第1の系統用リレーRY1の他端に接続され、他端がU相系統用端子TU2に接続されている。
【0085】
また、第3の系統用リレーRY3は、一端がV相電圧端子TIN2に接続され、他端が、第4の系統用リレーRY4を介して、V相系統用端子TV2に接続されている。
【0086】
また、第4の系統用リレーRY4は、一端が第3の系統用リレーRY3の他端に接続され、他端がV相系統用端子TV2に接続されている。
【0087】
また、第1の自立用リレーRY5は、一端がV相電圧端子TIN2に接続され、他端がV相自立用端子TV1に接続されている。
【0088】
また、第2の自立用リレーRY6は、一端がU相電圧端子TIN1に接続され、他端がU相自立用端子TU1に接続されている。
【0089】
また、第1の補器用リレーRY7は、一端が第1の切換用リレーRY9に接続され、他端が第1の補器(第1のACヒータ)H1の一端に接続されている。
【0090】
また、第2の補器用リレーRY8は、一端が第1の切換用リレーRY9に接続され、他端が第2の補器(第2のACヒータ)H2の一端に接続されている。
【0091】
また、第1の切換用リレーRY9は、第2の系統用リレーRY2の他端(U相系統用端子TU2)と第1及び第2の補器用リレーRY7、RY8の一端とが接続された状態(系統側接続の状態)と、U相電圧端子TIN1と第1及び第2の補器用リレーRY7、RY8の一端とが接続された状態(インバータ側接続の状態)と、を切り換えるようになっている。
【0092】
また、第2の切換用リレーRY10は、系統中間端子TN2と第1及び第2の補器H1、H2の他端とが接続された状態(系統側接続の状態)と、V相電圧端子TIN2と第1及び第2の補器H1、H2の他端とが接続された状態(インバータ側接続の状態)と、を切り換えるようになっている。
【0093】
なお、リレー接続回路Yの接続経路に設けられた既述の各リレーは、機械式のリレーである。
【0094】
[突入電流防止回路]
また、突入電流防止回路TCは、例えば、図1に示すように、DC/ACインバータDAの入力部に接続されたコンデンサFをチャージすることでDC/ACインバータDAに電力を供給するようになっている。
【0095】
したがって、DC/ACインバータDAは、例えば、突入電流防止回路TCがコンデンサFをチャージすると、起動して所定の動作が可能な状態になる。
【0096】
なお、突入電流防止回路TCは、DC/ACインバータDAのコンデンサFをチャージするための電力が系統負荷B2から供給されるようになっている。
【0097】
特に、コンデンサFをチャージするための電力は、系統負荷B2からリレー接続回路Yを介さずに突入電流防止回路TCに供給されるようになっている。
【0098】
[制御部]
制御部CNTは、例えば、図1に示すように、DC/DCコンバータDD、DC/ACインバータDA、突入電流防止回路TC、及び、リレー接続回路Yの接続経路に設けられた各リレーを制御するようになっている。
【0099】
特に、制御部CNTは、DC/ACインバータDAを駆動してU相電圧端子TIN1及びV相電圧端子TIN2への交流電圧の供給を制御する(図2)とともに、第1、第2の自立用リレーRY5、RY6、第1~第4の系統用リレーRY1~RY4、第1、第2の補器用リレーRY7、RY8、及び第1、第2の切換用リレーRY9、RY10の動作を制御信号により制御(図3)するようになっている。
【0100】
例えば、制御部CNTは、第1、第2の自立用リレーRY5、RY6をオンするとともに、第1~第4の系統用リレーRY1~RY4をオフして、自立運転を実行するようになっている(図3)。
【0101】
一方、制御部CNTは、第1、第2の自立用リレーRY5、RY6をオフするとともに、第1~第4の系統用リレーRY1~RY4をオンして、連系運転を実行するようになっている(図3)。
【0102】
また、制御部CNTは、必要に応じて、発電体Xと補器Hとを接続する場合には、第1、第2の補器用リレーRY7、RY8をオンするとともに、第1、第2の切換用リレーRY9、RY10を既述のインバータ側接続の状態にするようになっている(図3)。
【0103】
また、制御部CNTは、必要に応じて、補器Hと系統負荷B2とを接続する場合には、第1、第2の補器用リレーRY7、RY8をオンするとともに、第1、第2の切換用リレーRY9、RY10を既述の系統側接続の状態するようになっている(図3)。
【0104】
ここで、制御部CNTは、発電体Xの起動前に、DC/ACインバータDAのコンデンサFをチャージした後、DC/ACインバータDAを動作させて、各リレー(図3)に関して、リレーの制御状態、及び、リレー接続回路Yの接続経路における電流又は電圧を検出した結果に基づいて、正常、溶着故障、又は、断線故障の少なくとも何れかであるかを、診断するようになっている。
【0105】
また、制御部CNTは、リレー接続回路Yの診断時には、DC/ACインバータDAを動作させる前に、過電流検出回路Dが過電流を検出する閾値を、通常時の第1過電流閾値よりも低い第2過電流閾値に、設定するようになっている。
【0106】
また、制御部CNTは、DC/ACインバータDAを動作させた後、リレー接続回路Yの自立負荷B1側の接続経路にあるリレー(図3)を動作させて、自立負荷B1側の接続経路にある当該リレー(図3)に関して診断を実行するようになっている。
【0107】
また、制御部CNTは、自立負荷B1側のリレーの診断の後に、DC/ACインバータDAの動作を停止させた後、リレー接続回路Yの系統負荷B2側の接続経路にあるリレー(図3)を動作させて、系統負荷B2側の接続経路にある当該リレー(図3)に関して診断を実行するようになっている。
【0108】
また、制御部CNTは、リレー接続回路Yの診断において、正常であると判断した場合には、過電流検出回路Dが過電流を検出する閾値を、第2過電流閾値から第1過電流閾値に、変更するとともに、発電体Xを起動させるようになっている。
【0109】
なお、第1過電流閾値は、例えば、DC/ACインバータDAの電流耐量を超えない値に設定される。一方、第2過電流閾値は、例えば、突入電流防止回路TC及びリレー接続回路Yのリレーの電流耐量を超えない値に設定される。
【0110】
次に、以上のような構成を有するパワーコンディショニングシステム100の診断方法の例について説明する。
【0111】
既述のように、制御部CNTは、発電体Xの起動前に、DC/ACインバータDAのコンデンサFをチャージした後、DC/ACインバータDAを動作させて、各リレー(図3)に関して、リレーの制御状態、及び、リレー接続回路Yの接続経路における電流又は電圧を検出した結果に基づいて、正常、溶着故障、又は、断線故障の少なくとも何れかであるかを、診断する。
【0112】
例えば、制御部CNTは、リレー接続回路Yの診断時には、DC/ACインバータDAを動作させる前に、過電流検出回路Dが過電流を検出する閾値を、通常時の第1過電流閾値よりも低い第2過電流閾値に、設定する。
【0113】
そして、制御部CNTは、DC/ACインバータDAを動作させた後、リレー接続回路Yの自立負荷B1側の接続経路にあるリレー(図3)を動作させて、自立負荷B1側の接続経路にある当該リレー(図3)に関して診断を実行する。
【0114】
そして、制御部CNTは、自立負荷B1側のリレーの診断の後に、DC/ACインバータDAの動作を停止させた後、リレー接続回路Yの系統負荷B2側の接続経路にあるリレー(図3)を動作させて、系統負荷B2側の接続経路にある当該リレー(図3)に関して診断を実行する。
【0115】
ここで、図4は、実施例1に係るパワーコンディショニングシステム100の診断方法のシーケンスの一例を示す図である。また、図5ないし図9は、図4に示すシーケンス(1)~(6)に対応するフローの一例を示すフロー図である。
【0116】
先ず、制御部CNTは、例えば、図4に示すように、第1、第2の自立用リレーRY5、RY6、第1~第4の系統用リレーRY1~RY4、及び第1、第2の補器用リレーRY7、RY8のそれぞれをオープンに制御するとともに、第1、第2の切換用リレーRY9、RY10を既述のインバータ側接続の状態に制御する。
【0117】
そして、制御部CNTは、突入電流防止回路TCにより、DC/ACインバータDAのコンデンサFをプリチャージして、DC/ACインバータDAへ電力供給する(図4のシーケンス(1))。
【0118】
この図4のシーケンス(1)では、制御部CNTは、第1、第2の補器用リレーRY7、RY8をオープンにしたまま、第1、第2の切換用リレーRY9、RY10を既述のインバータ側接続の状態にしている。
【0119】
すなわち、例えば、図5に示すように、制御部CNTは、突入電流防止回路TCによるDC/ACインバータDAのコンデンサFの充電が成功した否か判断し(ステップS11)、成功している場合には、当該シーケンス(1)が成功したものとして、次のシーケンス(2)に進む。
【0120】
一方、制御部CNTは、ステップS11で充電が成功していないと判断した場合に、タイムアウトしたと判断したとき(ステップS12)は、当該診断が失敗したものとして、フローを終了する。
【0121】
次に、シーケンス(1)が成功した場合には、制御部CNTは、自立ラインによる第1、第2のACヒータH1、H2の確認を実行する(図4のシーケンス(2))。
【0122】
この図4のシーケンス(2)では、制御部CNTは、DC/ACインバータDAを駆動させるとともに、第1、第2の切換用リレーRY9、RY10を既述のインバータ側接続の状態にし、第1、第2の補器用リレーRY7、RY8を順次クローズにして通電している。
【0123】
そして、例えば、図6に示すように、制御部CNTは、第1のACヒータH1が通電しているか判断し(ステップS21)、第1のACヒータH1が通電している場合には、図2の電流検出1(電流検出回路DI1の検出結果)の電流値が妥当か否かを判断する(ステップS22)。
【0124】
そして、制御部CNTは、ステップS22で電流検出1が妥当であると判断すると、第2のACヒータH2が通電しているか判断し(ステップS23)、第2のACヒータH2が通電している場合には、図2の電流検出1(電流検出回路DI1の検出結果)の電流値が妥当か否かを判断する(ステップS24)。
【0125】
そして、制御部CNTは、ステップS24で電流検出1が妥当であると判断している場合には、当該シーケンス(2)が成功したものとして、次のシーケンス(3)に進む。
【0126】
一方、制御部CNTは、ステップS22、S24で電流検出1が妥当ではないと判断した場合には、当該診断が失敗したものとして、フローを終了する(ステップS24)。
【0127】
次に、シーケンス(2)が成功した場合には、制御部CNTは、自立用リレーの溶着確認を実行する(図4のシーケンス(3))。
【0128】
この図4のシーケンス(3)では、制御部CNTは、DC/ACインバータDAを駆動させるとともに、第1、第2の切換用リレーRY9、RY10を既述のインバータ側接続の状態にし、第1、第2の補器用リレーRY7、RY8をオープンにしている。
【0129】
そして、例えば、図7に示すように、制御部CNTは、図2の電圧検出3(電圧検出回路DV3の検出結果)又は電圧検出4(電圧検出回路DV4の検出結果)において電圧が検出されているか否かを判断する(ステップS31)。
【0130】
そして、制御部CNTは、ステップS31で電圧検出3、電圧検出4で電圧が検出されていない(すなわち、自立用リレーの溶着が無い)と判断している場合には、当該シーケンス(3)が成功したものとして、次のシーケンス(4)に進む。
【0131】
なお、制御部CNTは、ステップS31で電圧検出3、電圧検出4で電圧が検出されている(すなわち、自立用リレーの溶着がある)と判断した場合には、当該診断が失敗したものとして、フローを終了する。
【0132】
次に、制御部CNTは、自立ラインと分電盤の誤接続確認および自立用リレーの断線確認を実行する(図4のシーケンス(4))。
【0133】
この図4のシーケンス(4)では、制御部CNTは、DC/ACインバータDAを駆動させるとともに、第1、第2の自立用リレーRY5、RY6をクローズにしている。
【0134】
そして、例えば、図8に示すように、制御部CNTは、自立負荷B1において過負荷が発生しているか否かを判断する(ステップS41)。そして、過負荷が発生している場合には、診断が失敗であるとして、例えば、施工業者に負荷を判断してもらうこととなる。
【0135】
一方、ステップS41で過負荷が発生していないと判断した場合には、分電盤の電圧が正常か否かを施工業者により判断され、正常である場合には、当該シーケンス(4)が成功したものとして、次のシーケンス(5)に進む(ステップS42)。
【0136】
なお、このステップS42において、分電盤の電圧が正常ではないと判断された場合には、当該診断が失敗したものとして、フローを終了する。
【0137】
次に、制御部CNTは、系統ラインによるACヒータの確認を実行する(図4のシーケンス(5))。
【0138】
この図4のシーケンス(5)では、制御部CNTは、DC/ACインバータDAを停止させるとともに、第1、第2の切換用リレーRY9、RY10を既述の系統側接続の状態にし、第1、第2の補器用リレーRY7、RY8を順次クローズにして通電している。
【0139】
そして、例えば、シーケンス(2)においても用いた図6に示すように、制御部CNTは、第1のACヒータH1が通電しているか判断し(ステップS21)、第1のACヒータH1が通電している場合には、図2の電流検出1(電流検出回路DI1の検出結果)の電流値が妥当か否かを判断する(ステップS22)。
【0140】
そして、制御部CNTは、ステップS22で電流検出1が妥当であると判断すると、第2のACヒータH2が通電しているか判断し(ステップS23)、第2のACヒータH2が通電している場合には、図2の電流検出1(電流検出回路DI1の検出結果)の電流値が妥当か否かを判断する(ステップS24)。
【0141】
そして、制御部CNTは、ステップS24で電流検出1が妥当であると判断している場合には、当該シーケンス(5)が成功したものとして、次のシーケンス(6)に進む。
【0142】
一方、制御部CNTは、ステップS22、S24で電流検出1が妥当ではないと判断した場合には、当該診断が失敗したものとして、フローを終了する。
【0143】
次に、制御部CNTは、系統用リレーの溶着断線確認を実行する(図4のシーケンス(6))。
【0144】
この図4のシーケンス(6)では、制御部CNTは、第1~第4の系統用リレーRY1~RY4を順次クローズにし、その後、第1~第4の系統用リレーRY1~RY4の全てをクローズにしている。
【0145】
そして、例えば、図9に示すように、制御部CNTは、第1~第4の系統用リレーRY1~RY4を順次クローズにしながら、電圧検出1、又は、電圧検出2において電圧が検出されていないか(すなわち、当該系統用リレーに溶着が無いか)否かを判断する(ステップS61)。
【0146】
そして、制御部CNTは、ステップS61で電圧検出1、又は電圧検出2において電圧が検出されていないと判断した場合には、第1~第4の系統用リレーRY1~RY4の全てをクローズにしたこと判断した後(ステップS62)、電圧検出1と電圧検出2において電圧が検出されているか(すなわち、当該系統用リレーに断線が無いか)否かを判断する(ステップS63)。
【0147】
そして、制御部CNTは、ステップS63で電圧検出1と電圧検出2において電圧が検出されたと判断している場合には、当該シーケンス(6)が成功したものとして、当該シーケンスを終了する。
【0148】
一方、制御部CNTは、ステップS61で電圧検出1又は電圧検出2において電圧が検出されたと判断している場合、及び、ステップS63で電圧検出1と電圧検出2において電圧が検出されていないと判断している場合には、当該診断が失敗したものとして、フローを終了する。
【0149】
以上のシーケンス(1)~(6)が完了した後、制御部CNTは、当該リレー接続回路Yの診断において、正常であると判断した場合には、過電流検出回路Dが過電流を検出する閾値を、第2過電流閾値から第1過電流閾値に、変更するとともに、発電体Xを起動させる。
【0150】
なお、図4の例では、シーケンス(2)の後にシーケンス(3)を実行しているが、シーケンス(2)とシーケンス(3)は同時タイミングで行ってよい。
【0151】
なお、図6の例において、シーケンス(2)中またはシーケンス(5)中の第1、第2のACヒータの通電順は逆でもよい。
【0152】
なお、図4の例において、シーケンス(5)とシーケンス(6)は、実行する順序が逆でもよい。
【0153】
なお、図9の例において、シーケンス(6)中の全リレークローズまでは、リレー接続順に意味はなく、いずれか一つが接続されていればよい。
【0154】
なお、図3に示す電圧検出5、電圧検出6において系統側の電圧に異常が検出された場合は、実行中のシーケンスを中断もしくは停止する。
【0155】
ここで、シーケンス(2)は、負荷に対して通電する必要がある診断であり、シーケンス(4)は無負荷を想定しているが誤って負荷が接続されている可能性がある診断となる。仮に負荷の故障や接続ミスが発生していた場合は、想定を超える電流によって、ユニット破損に至る。従って、過電流保護が可能なDC/ACインバータDAを利用して通電することが特徴である。
【0156】
しかしながら、発電体が、起動に数時間要する燃料電池の場合、DC/ACインバータDAに対して電源供給することが施工タイミングでは困難である。そこで、本発明では、DC/ACインバータDAの入力電源として突入電流防止回路TCを利用している。
【0157】
以上のように、本実施例1に係るパワーコンディショニングシステムは、発電体の出力を、リレーを用いて系統負荷又は自立負荷に連系させるパワーコンディショニングシステムであって、発電体が発電した発電電力に基づいた電力を出力するDC/ACインバータと、DC/ACインバータの入力部に接続されたコンデンサをチャージすることでDC/ACインバータに電力を供給する突入電流防止回路と、DC/ACインバータの出力部と系統負荷又は自立負荷とを接続し、若しくは、負荷になる補器とDC/ACインバータの出力部又は系統負荷とを接続するリレー接続回路と、DC/ACインバータ、突入電流防止回路、及び、リレー接続回路の接続経路に設けられたリレーを制御する制御部と、を備える。
【0158】
そして、制御部は、発電体の起動前に、DC/ACインバータのコンデンサをチャージした後、DC/ACインバータを動作させて、リレーに関して、リレーの制御状態、及び、リレー接続回路の接続経路における電流又は電圧を検出した結果に基づいて、正常、溶着故障、又は、断線故障の少なくとも何れかであるかを、診断する。
【0159】
これにより、本発明の一態様に係るパワーコンディショニングシステムによれば、発電体(例えば、燃料電池)の起動前に、当該発電体の出力を系統負荷又は自立負荷に連系させるリレーに過電流が流れるのを抑制しつつ、当該リレーの診断を行うことができる。
【0160】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0161】
100 パワーコンディショニングシステム
B1 自立負荷(第1分電盤)
B2 系統負荷(第2分電盤)
Y リレー接続回路
CNT 制御部
TC 突入電流防止回路
DD DC/DCコンバータ
DA DC/ACインバータ
F コンデンサ
TF1 第1の入力端子
TF2 第2の入力端子
TDA1 第1の出力端子
TDA2 第2の出力端子
N1 第1ノード
N2 第2ノード
M1 第1のMOSトランジスタ
M2 第2のMOSトランジスタ
M3 第3のMOSトランジスタ
M4 第4のMOSトランジスタ
L1 第1のチョークコイル
L2 第2のチョークコイル
CX 出力コンデンサ
D 過電流検出回路
G ゲート駆動回路
TIN1 U相電圧端子
TIN2 V相電圧端子
TU1 U相自立用端子
TV1 V相自立用端子
TU2 U相系統用端子
TV2 V相系統用端子
TN2 系統中間端子
DV1 第1の電圧検出回路
DV2 第2の電圧検出回路
DV3 第3の電圧検出回路
DV4 第4の電圧検出回路
DV5 第5の電圧検出回路
DV6 第6の電圧検出回路
DI1 電流検出回路
RY1 第1の系統用リレー
RY2 第2の系統用リレー
RY3 第3の系統用リレー
RY4 第4の系統用リレー
RY5 第1の自立用リレー
RY6 第2の自立用リレー
RY7 第1の補器用リレー
RY8 第2の補器用リレー
RY9 第1の切換用リレー
RY10 第2の切換用リレー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10