(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】同期部材を有する分散線形油圧高揚力作動システム
(51)【国際特許分類】
B64C 13/36 20060101AFI20231110BHJP
B64C 9/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
B64C13/36
B64C9/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019172695
(22)【出願日】2019-09-24
【審査請求日】2022-09-20
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】グッド, マーク エス.
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-519770(JP,A)
【文献】特開平10-157698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/00
B64C 9/00
B64D 45/00
F15B 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークル(100)上の第1及び第2の飛行制御部材(101)を制御する作動システム(10)であって、
第1の飛行制御部材(101)に動作可能に接続された油圧アクチュエータ(20)の第1の対、
第2の飛行制御部材(101)に動作可能に接続された油圧アクチュエータ(20)の第2の対、
前記油圧アクチュエータ(20)の第1の対の動きを同期させるために前記油圧アクチュエータ(20)の第1の対の間に延びる第1の同期部材(40)、
前記油圧アクチュエータ(20)の第2の対の動きを同期させるために前記油圧アクチュエータ(20)の第2の対の間に延びる、前記第1の同期部材(40)から独立している第2の同期部材(40)、
前記第1の同期部材(40)の動きを防止する第1のブレーキ(50)、
前記第2の同期部材(40)の動きを防止する第2のブレーキ(50)、
前記第2の飛行制御部材(101)から独立して前記第1の飛行制御部材(101)の位置を調節するために前記油圧アクチュエータ(20)の第1の対を調節する、前記第1の同期部材(40)に動作可能に接続された第1のモータ(60)、及び
前記第1の飛行制御部材(101)から独立して前記第2の飛行制御部材(101)の位置を調節するために前記油圧アクチュエータ(20)の第2の対を調節する、前記第2の同期部材(40)に動作可能に接続された第2のモータ(60)
を備
え、
前記油圧アクチュエータ(20)の第1の対及び前記油圧アクチュエータ(20)の第2の対の各々がスレーブ油圧アクチュエータ(20a)及びペーシング油圧アクチュエータ(20b)を含み、前記スレーブ油圧アクチュエータ(20a)が、噛み合う第1及び第2のウォームギヤ(80、86)を含み、前記ペーシング油圧アクチュエータ(20b)が、噛み合う第1及び第2のギヤ(68、69)を含み、
前記ペーシング油圧アクチュエータ(20b)の前記第1及び第2のギヤ(68、69)が、前記同期部材(40)を逆駆動するように構成されており、前記スレーブ油圧アクチュエータ(20a)の前記第1及び第2のウォームギヤ(80、86)が、前記同期部材(40)の回転を防止するように構成されている、作動システム。
【請求項2】
前記油圧アクチュエータ(20)の第1の対及び前記油圧アクチュエータ(20)の第2の対の各々が、油圧流体を受け取って前記油圧アクチュエータ(20)の第1の対及び前記油圧アクチュエータ(20)の第2の対の長さを延ばす第1のチャンバ区画(83)と、前記油圧流体を受け取って前記油圧アクチュエータ(20)の第1の対及び前記油圧アクチュエータ(20)の第2の対の長さを縮める第2のチャンバ区画(84)とを含む、請求項
1に記載の作動システム。
【請求項3】
前記第1及び第2の同期部材(40)が、前記油圧アクチュエータ(20)の第1の対と前記油圧アクチュエータ(20)の第2の対の間に配置される間隙(65)により間隔を空けて配置されている、請求項1
又は2に記載の作動システム。
【請求項4】
前記油圧アクチュエータ(20)の第1の対及び前記油圧アクチュエータ(20)の第2の対の各油圧アクチュエータ(20)の間に延びる油圧流体管路(32)を更に備え、前記第1及び第2の同期部材(40)が前記油圧流体管路(32)の内部に配置されている、請求項1から
3のいずれか一項に記載の作動システム。
【請求項5】
センサ(49)から、前記第1の同期部材(40)と前記第2の同期部材(40)の角度配向を示す信号を受信し、
前記信号に応答して、前記油圧アクチュエータ(20)の第1の対及び前記油圧アクチュエータ(20)の第2の対への油圧流体の流れを制御するように弁(70)を調節する
ように構成された作動制御ユニット(90)を更に備える、請求項1から
4のいずれか一項に記載の作動システム。
【請求項6】
前記第1のブレーキ(50)及び前記第1のモータ(60)のうちの少なくとも一方が、前記油圧アクチュエータ(20)の第1の対の間の前記第1の同期部材(40)に動作可能に接続されている、請求項1から
5のいずれか一項に記載の作動システム。
【請求項7】
前記第2のブレーキ(50)が、第1の地点で前記第2の同期部材(40)に動作可能に接続されており、前記第2のモータ(60)が、異なる第2の地点で前記第2の同期部材(40)に動作可能に接続されている、請求項1から
6のいずれか一項に記載の作動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概してビークルの飛行制御部材の作動に関し、具体的には個別制御を有する飛行制御部材の作動に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機のようなビークルは、飛行中にビークルを制御する一つ又は複数の可動飛行制御部材を含む。飛行制御部材の動きは、一般に、基部(例えば翼けた)と飛行制御部材の間に機械的に連結された一つ又は複数のアクチュエータによって行われる。多くのビークルにおいて、飛行制御部材のアクチュエータは、油圧システムによって駆動される油圧リニアアクチュエータである。
【0003】
航空機の油圧システムは、油圧アクチュエータに油圧流体を提供し、航空機の飛行中に必要に応じて飛行制御部材を移動及び配置するように設計することができる。油圧システムは、一連の供給管路及び戻り管路を含むことができる。一つ又は複数の油圧アクチュエータが供給管路及び戻り管路に沿って配置され、飛行制御部材に取り付けられる。ポンプは油圧流体を、供給管路を通してアクチュエータへと移動させる。次いで油圧流体は、油圧アクチュエータの様々な区画に方向付けられて、油圧アクチュエータを動かし、それにより飛行制御部材を調節する。アクチュエータからの油圧流体は戻り管路へと移動させられ、戻り管路は油圧システムで再利用されるように油圧流体をポンプに戻す。
【発明の概要】
【0004】
一態様は、ビークル上の第1及び第2の飛行制御部材を制御する作動システムに関する。作動システムは、第1の飛行制御部材に動作可能に接続された油圧アクチュエータの第1の対及び第2の飛行制御部材に動作可能に連結された油圧アクチュエータの第2の対を含む。第1の同期部材は、油圧アクチュエータの第1の対の動きを同期させるために油圧アクチュエータの第1の対の間に延びる。第2の同期部材は、油圧アクチュエータの第2の対の動きを同期させるために油圧アクチュエータの第2の対の間に延びる。第2の同期部材は、第1の同期部材から独立している。第1のブレーキは第1の同期部材の動きを防止し、第2のブレーキは第2の同期部材の動きを防止する。第1のモータは、第2の飛行制御部材から独立して第1の飛行制御部材を調節するために、油圧アクチュエータの第1の対を調節する第1の同期部材に動作可能に接続される。第2のモータは、第1の飛行制御部材から独立して第2の飛行制御部材を調節するために、油圧アクチュエータの第2の対を調節する第2の同期部材に動作可能に接続される。
【0005】
別の態様では、油圧アクチュエータの第1の対及び油圧アクチュエータの第2の対の各々は、スレーブ油圧アクチュエータ及びペーシング油圧アクチュエータを含み、スレーブ油圧アクチュエータは、噛み合う第1のウォームギヤと第2のウォームギヤを含み、ペーシング油圧アクチュエータは、両方の動作方向に同じ効率で噛み合う第1のギヤと第2のギヤを含む。
【0006】
別の態様では、ペーシング油圧アクチュエータの第1及び第2の部材は、同期部材を逆駆動するように構成されており、スレーブ油圧アクチュエータの第1及び第2のウォームギヤは、同期部材の回転を防止するように構成されている。
【0007】
別の態様では、油圧アクチュエータの第1の対及び油圧アクチュエータの第2の対の各々は、油圧流体を受け取って油圧アクチュエータの第1の対及び油圧アクチュエータの第2の対の長さを延ばす第1のチャンバ区画と、油圧流体を受け取って油圧アクチュエータの第1の対及び油圧アクチュエータの第2の対の長さを縮める第2のチャンバ区画とを含む。
【0008】
別の態様では、第1の同期部材と第2の同期部材は、油圧アクチュエータの第1の対と油圧アクチュエータの第2の対との間に配置される間隙により、間隔を空けて配置されている。
【0009】
別の態様では、油圧流体管路は、油圧アクチュエータの第1の対及び油圧アクチュエータの第2の対の各油圧アクチュエータの間に延び、第1及び第2の同期部材は油圧流体管路の内部に配置される。
【0010】
別の態様では、作動制御ユニットは、第1の同期部材と第2の同期部材の角度配向を示す信号をセンサから受け取り、その信号に応答して、油圧アクチュエータの第1の対及び油圧アクチュエータの第2の対への油圧流体の流れを制御するための値を調節するように構成される。
【0011】
別の態様では、第1のブレーキ及び第1のモータのうちの少なくとも一方は、油圧アクチュエータの第1の対の間の第1の同期部材に動作可能に接続される。
【0012】
別の態様では、第2のブレーキが、第1の地点で第2の同期部材に動作可能に接続され、第2のモータが、異なる第2の地点で第2の同期部材に動作可能に接続される。
【0013】
一態様は、ビークル上の第1及び第2の飛行制御部材を制御する作動システムに関する。作動システムは、ビークルに沿って延びる二つ以上の制御セグメントを含む。制御セグメントの各々は、飛行制御部材、飛行制御部材に動作可能に接続される油圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ間に延びて油圧アクチュエータに接続され、油圧アクチュエータの動きを同期させる同期部材、同期部材に動作可能に接続されて同期部材の回転を防止するブレーキ、及び同期部材に動作可能に接続されて同期部材を回転させ、油圧アクチュエータを調節して飛行制御部材をビークルに対して配置するモータを含む。作動制御ユニットは、ビークル(100)に対して飛行制御部材を配置する処理回路を含む。同期部材はビークルに沿って間隔を空けて配置されており、互いから独立している。
【0014】
別の態様では、制御セグメントの油圧アクチュエータは、スレーブ油圧アクチュエータ及びペーシング油圧アクチュエータを含み、スレーブ油圧アクチュエータは、第1のウォームギヤと第2のウォームギヤの間に形成されるウォームギヤの噛み合いを含み、ペーシング油圧アクチュエータは、両方の動作方向に同じ効率で第1のギヤと第2のギヤの間に形成されるギヤの噛み合いを含む。
【0015】
別の態様では、各制御セグメントについて、スレーブ油圧アクチュエータはビークルの中心から間隔を空けて配置され、ペーシング油圧アクチュエータはビークルの中心の方に配置される。
【0016】
別の態様では、油圧流体管路は制御セグメントのうちの第1の制御セグメント及び制御セグメントのうちの第2の制御セグメントの内部に延び、油圧流体管路は、第1及び第2の制御セグメントの各々の油圧アクチュエータの動きを制御するために油圧流体を運ぶ。
【0017】
別の態様では、第1及び第2の制御セグメントの両方の同期部材は、油圧流体管路の内部に配置される。
【0018】
別の態様では、同期部材は、油圧流体管路の内部において、第1の制御セグメントと第2の制御セグメントの間に配置された間隙によって間隔を空けて配置されている。
【0019】
別の態様では、制御セグメントのうちの少なくとも一つは、第2の飛行制御部材を含む。
【0020】
別の態様では、油圧流体が制御セグメントへ移動することを閉止弁が防止する。
【0021】
一態様は、ビークル上の第1及び第2の飛行制御部材を動かす方法に関する。この方法は、油圧流体を第1の油圧アクチュエータに供給して第1の飛行制御部材を動かすこと、及び油圧流体を第2の油圧アクチュエータに供給して第2の飛行制御部材を動かすことを含む。この方法は、第1の飛行制御部材が第1の所定の位置に位置した後、第1の油圧アクチュエータ間に延びる第1の同期部材の動きを防止し、第1の飛行制御部材の位置を維持することを含む。この方法は、第2の飛行制御部材が第2の所定の位置に位置した後、第2の油圧アクチュエータ間に延びる第2の同期部材の動きを防止し、第2の飛行制御部材の位置を維持することを含む。この方法は、第1の飛行制御部材が第1の所定の位置に留まる間に、第2の同期部材を動かして第2の油圧アクチュエータを調節すること、及び第2の飛行制御部材を第2の所定の位置から動かすことを含む。
【0022】
別の態様では、方法は、モータを起動して第2の同期部材を動かすこと、及び第2の油圧アクチュエータを調節して第2の飛行制御部材を動かすことを含む。
【0023】
別の態様では、第1の同期部材の動きを防止することは、モータ又は第1の油圧アクチュエータのうちの第1の油圧アクチュエータを用いて第1の同期部材を制動することを含む。
【0024】
上述の特徴、機能、及び利点は、様々な態様において単独で実現することができるか、又はさらに別の態様において組み合わせることができる。これらの詳細は、以下の説明及び添付図面を参照することによって確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】飛行制御部材を含むビークルの斜視図である。
【
図2】油圧流体をビークル内の油圧アクチュエータへと及び同アクチュエータから移動させる油圧システムの斜視図である。
【
図3】油圧流体を油圧アクチュエータへと及び同アクチュエータから移動させる航空機の翼内の油圧システムの斜視図である。
【
図4】油圧流体を油圧アクチュエータへと及び同アクチュエータから移動させる航空機の翼内の油圧システムの斜視図である。
【
図5】油圧流体を油圧アクチュエータへと及び同アクチュエータから移動させる航空機の翼内の油圧システムの斜視図である。
【
図7】スレーブ油圧アクチュエータの模式的断面図である。
【
図8】
図7のスレーブ油圧アクチュエータの斜視図である。
【
図9】ペーシング油圧アクチュエータの斜視図である。
【
図10】ビークル上の一つ又は複数の飛行制御部材を動かす方法のフロー図である。
【
図11】ビークル上の一つ又は複数の飛行制御部材を動かす方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示は、ビークルの飛行制御部材を制御するための作動システムを目的としている。各飛行制御部材は、二つ以上のリニア油圧アクチュエータにより制御される。同期部材は、同じ飛行制御部材上の油圧アクチュエータ間に延びて、飛行制御部材の全長にわたる一貫した動きのために油圧アクチュエータの動きを同期させる。ブレーキは、同期部材に係合し、それにより飛行制御部材の位置を維持することができる。油圧が利用できないときは、モータが同期部材を動かして油圧アクチュエータ及び飛行制御部材の配置を制御することができる。
【0027】
図1に示されるように、ビークル100(例えば航空機)は、一つ又は複数の飛行制御部材101を含むことができる。飛行制御部材101は、ビークル上の様々な位置、例えば
図1に示される航空機の翼108の各々に沿って位置させることができる。内側飛行制御部材101は、ビークル100の胴体109及び中心の近くに位置し、外側飛行制御部材101はビークル100の胴体109及び中心から離れて位置する。飛行制御部材101は翼108に可動に取り付けられて、飛行を制御するためにその配向を変化させる。
【0028】
図2に示されるように、リニア油圧アクチュエータ20は、飛行制御部材101に接続されて、翼108に対する配向を制御する。油圧管路32は、ビークル100内の油圧システムから油圧アクチュエータ20へと油圧流体を供給し、戻す。飛行制御部材101を展開又は収縮するために、油圧流体を油圧アクチュエータ20に送達することができる。
【0029】
油圧流体の動きを制御するために、油圧流体管路32に沿って一つ又は複数の弁70を配置することができる。弁70は、油圧流体管路32に沿って油圧流体の動きを制御するために、多岐にわたる機能を実行することができる。弁70は、油圧流体管路32に沿った油圧流体の流れを防止する閉止弁71を含むことができる。弁70は、油圧流体が油圧流体管路32に沿って動く流量を制御する流量調整弁72も含むことができる。弁70は、油圧流体を翼108へ及び翼108から方向付けることを含めて、油圧流体がビークル100内を移動する方向を制御する方向弁73も含むことができる。
【0030】
同期部材40は、飛行制御部材101の各々の油圧アクチュエータ20間に延びてそれらを接続する。同期部材40は、飛行制御部材101の各々を制御する油圧アクチュエータ20の動きを同期させる。
図2の設計において、各翼108について、第1の同期部材40は内側飛行制御部材101上の油圧アクチュエータ20を接続し、第2の同期部材40は外側飛行制御部材101上の油圧アクチュエータ20を接続する。同じ飛行制御部材101上の油圧アクチュエータ20が動く間に一つの油圧アクチュエータ20が他の油圧アクチュエータ20に先行して動こうとすると、同期部材40は先行する油圧アクチュエータ20に巻き付いて復元トルクをかける。この復元トルクは、先行油圧アクチュエータの動作にブレーキをかけ、遅行油圧アクチュエータ20が追いつくことを可能にする。油圧アクチュエータ20が同期したら、同期部材40は低トルク状態に戻り、先行油圧アクチュエータ20は再び動き続けることができる。
【0031】
同期部材40は同じ飛行制御部材101上の油圧アクチュエータ20間に延びる。異なる飛行制御部材101を制御する同期部材40間には間隙65が存在する。この間隙により、内側及び外側飛行制御部材101は互いから分離して動き、個別に調節される。このようにして、外側飛行制御部材101は、飛行中に内側飛行制御部材101から分離して調節することができる。同期部材40は、油圧アクチュエータ20に接続された油圧流体管路32を通って延びることができる。代替的に、同期部材40は、油圧アクチュエータ20に別々に接続することができる。
【0032】
図2に示されるように、単一の同期部材40が内側飛行制御部材101の油圧アクチュエータ20間に延びてそれらアクチュエータを制御することができる。代替的に、別々の同期部材40を、同期部材40間に間隙65を有する二つの別個の飛行制御部材101の油圧アクチュエータ20上に使用することができる。
【0033】
同期部材40は、
図3に示されるように、油圧流体管路32の内部に配置することができる。
図3には、翼108に沿って位置する油圧アクチュエータ20の各々に油圧流体を供給する油圧流体管路32内部に配置された同期部材40が含まれている。間隙65が、油圧流体管路32の区画に沿って内側飛行制御部材101と外側飛行制御部材101との間に配置されている。この間隙65内に配置される同期部材40は存在しない。
【0034】
ブレーキ50が、同期部材40の動きを防止するために、同期部材40の各々に動作可能に接続されている。各同期部材40について、ブレーキ50はその動きを防止し、したがって次にそれらが接続されている油圧アクチュエータ20の動きを防止する。これは次に、接続された飛行制御部材101の動きを防止する。更に、ブレーキ50が油圧アクチュエータ20の動作を命令された位置で停止させた後、油圧システムは、油圧流体を一つ又は複数の油圧アクチュエータ20へと移動させることを止めることができる。
【0035】
モータ60は、同期部材40の各々に動作可能に接続される。モータ60は、同期部材40を回転させ、そのようにして、それらが接続されている飛行制御部材101を調節する。モータ60は、油圧システムが動作不能であるときに動作させる。モータ60は、一つ又は複数の飛行制御部材101の調節速度を低下させるために使用することもできる。例えば、内側及び外側飛行制御部材101のうちの一つ又は複数の高速調節が望ましくないビークル100の高速巡航の間に、モータ60は、配置を調節するための時間に余裕を提供する低速度調節を行うことができる。モータ60には、様々なソースにより動力供給することができる。一つの設計は電気モータ60を含む。別の設計は、分離した油圧供給源により動力供給される油圧モータ60を含む。
【0036】
ブレーキ50とモータ60は、異なる位置で同期部材40に接続することができる。これには、油圧アクチュエータ20間、外側の油圧アクチュエータ20上、及び内側の油圧アクチュエータ20上の同期部材40に沿って一方又は両方を配置することが含まれ得る。ブレーキ50及びモータ60は、同じ又は異なる位置で同期部材40に接続することができる。
図2、3、4、及び5は、同期部材40に接続するブレーキ50とモータ60の異なる相対位置のうちのいくつかを示している。
【0037】
ビークル100は、多岐にわたる数の飛行制御部材101、及び各飛行制御部材101上の多岐にわたる数の油圧アクチュエータ20を含むことができる。
図2には、翼108に沿って延びる三つの制御セグメントを形成する四つの飛行制御部材101を含むビークル100が含まれている。
図2に示されるように、第1の制御セグメント120は、左側の翼108上に外側飛行制御部材101を含んでいる。第2の制御セグメント121は、共に内側の飛行制御部材101を含んでいる。第3の制御セグメント122は、右側の翼108上に外側飛行制御部材101を含んでいる。各制御セグメント120、121、122は、それぞれの飛行制御部材101を制御するモータ60とブレーキ50を含んでいる。
図2に示されるように、第1及び第3の制御セグメント120、122の各々は、それぞれの外側飛行制御部材101に専用のブレーキ50とモータ60とを含んでいる。第2の制御セグメント121は、内側飛行制御部材101を制御するために共有されるブレーキ50とモータ60を含んでいる。
【0038】
作動制御ユニット90は、油圧アクチュエータ20及び付属の飛行制御部材101の起動及び動きを制御することができる。
図6は、適切なソフトウエア及び/又はファームウエアにより構成された、一つ又は複数のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)等を含み得る、一つ又は複数の処理回路(処理回路91として示される)を含む作動制御ユニット90を示している。コンピュータ可読記憶媒体(メモリ回路92として図示)は、データと、上述の技術を実装するように処理回路91を構成するコンピュータ可読プログラムコードとを記憶する。メモリ回路92は、非一過性のコンピュータ可読媒体であり、ランダムアクセスメモリ、リードオンリーメモリ、及びフラッシュメモリといった様々なメモリ装置を含むことができる。作動制御ユニット90は、ビークル10の一つ又は複数の機能を制御する飛行制御システム99と通信することができる。飛行制御システム99は、限定しないが飛行制御部材101の命令された動きといった、様々なデータを作動制御ユニット90に提供することができる。
【0039】
作動制御ユニット90は、飛行制御部材101を命令された位置に配置するために、油圧管路32を通して油圧流体の動きを制御する。作動制御ユニット90は、油圧アクチュエータ20を制御するために、油圧流体を必要に応じて油圧流体管路32に沿って移動させるように弁71、72、73を制御することができる。作動制御ユニット90は、一つ又は複数のセンサ49(
図2参照)から、油圧アクチュエータ20の回転の位置を示す信号を受信することができる。これについては後述で説明する。作動制御ユニット90は、モータ60及びブレーキ50を制御することもできる。
【0040】
異なる種類の油圧アクチュエータ20を、異なる飛行制御部材101に取り付けることができる。異なる油圧アクチュエータ20は、ビークル100の様々な動作条件の間に飛行制御部材101の配置及び/又は制御を支援する。
【0041】
図7は、ハウジング22を含む第1のターミナル21とロッド24を含む第2のターミナル23とを含むスレーブ油圧アクチュエータ20aを示している。第1及び第2のターミナル21、23は、異なるオブジェクトに取り付けられるように構成されている。第1及び第2のターミナル21、23の一方は、翼108内部の支持部に接続することができ、他方のターミナル21、23は飛行制御部材101の一つに取り付けることができる。第1及び第2のターミナル21、23の各々は、接続を提供するためのファスナを受ける開口部を含むことができる。
【0042】
ハウジング22は、第1の末端壁26aと第2の末端壁26bの間に延びるチャンバ25を取り囲んで封入する。第1のポート27は、第1の末端壁26a側でチャンバ25と連通し、第2のポート28は第2の末端壁26b側でチャンバ25と連通する。第1及び第2のポート27、28は、チャンバ25に出入りする加圧された油圧流体を提供する。ネジ29(例えばアクメネジ)は、第1の末端壁26aから外側にチャンバ25内へと延びる。ネジ29は、ウォームギヤ80に、チャンバ25に対して回転可能に取り付けられる。細長いウォームギヤ86がハウジング22に装着され、ウォームギヤ80と係合する。
【0043】
ピストン81はチャンバ25内に位置し、ネジ29上に螺合する。ピストン81は、チャンバ25の内径と実質的に一致する外形を有する。Oリング等のシール(図示しない)をピストン81の外周全体に延在させて、チャンバ25の壁に対してシールし、油圧流体の通過を防止することができる。ロッド24は、ネジ29の周りに延びる中空の内端82を含む。内端82は更に、ピストン81に装着される。
【0044】
ピストン81はチャンバ25内部で軸方向に摺動可能であり、ピストン81と第1の末端壁26aの間に配置される第1のチャンバ区画83と、ピストン81と第2の末端壁26bの間に配置される第2のチャンバ区画84とにチャンバ25を分割する。第1のポート27は第1のチャンバ区画83内へ続き、第2のポート28は第2のチャンバ区画84内へ続く。ピストン81は、第1の面85aと反対側の第2の面85bとを含む。ピストン81は、ピストンの面85a、85bのうちの一方が反対側のピストンの面b85a、85bより大きな断面積を有するような不均衡な設定とすることができる。ピストン85は、各面85a、85bが同じ断面積を有するように構成することもできる。
【0045】
使用時、油圧流体は、油圧流体管路32から第1のポート27を通して第1のチャンバ区画83の中へと導入される。油圧流体の導入は、チャンバ25内部でピストン81を第2の末端壁26bに向かって移動させる。これによりロッド24もハウジング22に対して長手方向に移動し、油圧アクチュエータ20の長さを展開位置へと延ばす。ピストン81の動作は、ピストン81に取り付けられているナットをネジ29に対して長手方向に移動させ、それにより、アクチュエータが動作するとネジ29が回転する。ネジ29の回転は、ウォームギヤ80、86それぞれを介して、回転動作を同期部材40に伝えるために同期部材40に伝達される。
【0046】
油圧流体を、第2のポート28において油圧流体管路32を通して第2のチャンバ84の中へと導入することで、油圧アクチュエータ20aを後退位置へと移動させることもできる。導入された油圧流体は、チャンバ25内部でピストン81を第1の末端壁26aに向かって強制的に移動させる。これは次に、ロッド24をハウジング22の内部へと後退させる。ピストン81の動きは再びネジ29の回転を引き起こし、この回転は同期部材40に伝わる。
【0047】
油圧流体がチャンバ83、84の一方に導入されると、反対側のチャンバ83、84内の油圧流体は、油圧流体管路32の中へと強制的に外に出される。一方のチャンバ83、84が油圧源に接続されているとき、他方のチャンバ83、84は戻り管路に接続され、それにより油圧アクチュエータ20が油圧ロックされることが確実に防止される。
【0048】
図8は、翼108の支持部110と飛行制御部材101の間に装着されたスレーブ油圧アクチュエータ20aを模式的に示している。同期部材40は、第1のポート27に接続された油圧流体管路32内部に組み込まれている。同期部材40及び油圧流体管路32は、油圧式回り継ぎ手77に接続されている。同期部材40は、ベアリング87により支持部110に装着された長形のウォームギヤ86に接続されている。油圧流体管路32から分離されたコイル管88は、翼108に対する油圧アクチュエータ20aの回転を収容する。一つ又は複数のセンサ49は、長形のウォームギヤ86及び/又は同期部材40の回転を感知するように構成することができる。
【0049】
一つ又は複数の油圧アクチュエータ20は、
図9に模式的に示されるペーシング油圧アクチュエータ20bを含むことができる。油圧アクチュエータ20bは、両方の動作方向に高い効率を有するギヤの噛み合いを含む。ギヤの噛み合いの一種は傘歯車の噛み合いである。別の種類のギヤの噛み合いは直歯の噛み合いである。
図9には、ネジ29に装着された傘歯車69(スレーブ油圧アクチュエータ20aのウォームギヤ80の代わりに)を含むペーシング油圧アクチュエータ20bが含まれている。油圧アクチュエータ20bは、支持部110に取り付けられた傘歯車68及びシャフト67(スレーブ油圧アクチュエータ20aの長形のウォームギヤ86の代わりに)も含む。傘歯車69は傘歯車68と係合する。油圧流体管路32は、第1のポート27に接続されて、油圧流体を第1のチャンバ区画83に供給する。油圧流体管路32は更に、油圧アクチュエータ20bの下流に延びて、一つ又は複数の下流の油圧アクチュエータ20に油圧流体を供給する。更に、同期部材40はシャフト67に接続されて下流に延び、下流のスレーブ油圧アクチュエータ20aに接続される。ペーシング油圧アクチュエータ20bのギヤ68、69間のギヤの噛み合い(例えば傘歯車の噛み合い)は、前方及び後方にほぼ同じ効率とすることができる。
【0050】
ペーシング油圧アクチュエータ20bは、スレーブ油圧アクチュエータ20aと同じように動作する。油圧流体は、チャンバ83、84のうちの一方の中へ移動し、チャンバ25内部でピストン81を動かす。ピストン81の動きは次にネジ29を回転させ、ギヤ68、69を回転させる。同期部材40及び油圧流体管路32は、油圧式回り継ぎ手77に接続されている。油圧流体管路32から分離されたコイル管88は、翼108に対する油圧アクチュエータ20bの回転を収容する。
【0051】
飛行制御部材101にスレーブ油圧アクチュエータ20a及びペーシング油圧アクチュエータ20bの両方を使用することで、飛行制御部材101の偶発的な動きが防止される。ペーシング油圧アクチュエータ20bは、噛み合うギヤ68、69を含む。飛行制御部材101上に応力を掛けると、ピストン81はギヤ68、69に力を加える。ピストン81はかみ合ったギヤ68、69を逆駆動することができ、それにより同期部材40を駆動することができる。しかしながら、スレーブ油圧アクチュエータ20aは、ウォームギヤ89、86間のウォームギヤの噛み合いのために、ピストン81により逆駆動することができない。
【0052】
図9は、同期部材40に接続されたブレーキ50及びモータ60も示している。上記に説明したように、ブレーキ50とモータ60は異なる位置で同期部材40に接続することができる。
【0053】
図10は、飛行制御部材101を制御するために油圧アクチュエータ20を動作させる方法を示している。作動制御ユニット90は、油圧流体が油圧流体管路32に沿って移動するように閉止弁71を開放する(ブロック200)。方向制御弁73を調節し(ブロック202)、油圧アクチュエータ20を延長又は収縮させる。油圧アクチュエータ20の移動を可能にするために、調節すべき各制御セグメント120、121、122のブレーキ50を開放する(ブロック204)。
【0054】
油圧流体を、油圧流体管路32を通して油圧アクチュエータ20へと移動させる(ブロック206)。これにより油圧アクチュエータ20が展開又は収縮し、それにより適切な制御セグメント120、121、122内で一つ又は複数の飛行制御部材101を動かす。ペーシング油圧アクチュエータ20bの移動は同期部材40に回転力を適用する。というのは、チャンバ25内部でピストン81が動き、それによりネジ29が逆駆動され、ウォームギヤ80、86が回転し、同期部材40が回転するためである。スレーブ油圧アクチュエータ20aは同期部材40を駆動しない。というのは、噛み合うウォームギヤ80、86は、ピストン81がネジ29に沿って移動することでは逆駆動できないためである。
【0055】
移動中、スレーブ油圧アクチュエータ20aがより低い抵抗空気荷重を有し、より速く動こうとする場合、スレーブ油圧アクチュエータ20aの噛み合うウォームギヤ80、86は逆駆動されずに抵抗し、油圧アクチュエータ20aの展開又は収縮の速度を制御する。ペーシング油圧アクチュエータ20bがより低い抵抗空気荷重を有する場合には、噛み合うギヤ68、69は同期部材40を回転させる。同期部材40は巻き上げられて、ペーシング油圧アクチュエータ20bに対し、その動作にブレーキをかけてスレーブ油圧アクチュエータ20aが追いつくことを可能にする復元トルクを掛ける。スレーブ油圧アクチュエータ20aとペーシング油圧アクチュエータ20bが同期したら、同期部材40は低トルク状態に戻り、先行油圧アクチュエータ20は再び動き続けることができる。
【0056】
同期部材40の回転は、一つ又は複数のセンサ49によって感知される。センサ49は、
図2に示される端部を含め、同期部材40に沿った様々な位置に配置することができる。一つ又は複数のセンサ49は、作動制御ユニット90に対し、油圧アクチュエータ20a、20b及び飛行制御部材101が命令された位置に近づいているかどうかを示すフィードバックを提供する(ブロック208)。作動制御ユニット90は、油圧アクチュエータ20が命令された位置に近づいているかどうかを決定する(ブロック210)。近付いている場合、油圧アクチュエータ20の停止位置の精度を向上させるために、油圧流体の速度を落とすように流量調整弁72を調節することができる(ブロック212)。油圧アクチュエータ20が命令された位置に近づいていない場合、油圧流体は残りを供給し、位置モニタリングが継続される。
【0057】
油圧アクチュエータ20a、20bが飛行制御部材101を命令された位置へと移動させたら、ブレーキ50が適用される(ブロック214)。これにより、油圧アクチュエータ20a、20bの更なる移動が防止され、飛行制御部材101の位置が維持される。
【0058】
油圧アクチュエータ20及び油圧システム30の構成は、飛行中に各翼108の飛行制御部材101の差動動作を実現するために、翼108の各々に後縁可変キャンバを提供する。内側及び外側飛行制御部材101は、マッハ数、高度、及び重量を含むビークルの変数に基づいて翼面荷重を最適化するために、異なる偏向量に配置することができる。
【0059】
図11は、油圧流体を動かす油圧システムが欠失している場合の一つ又は複数のセグメント120、121、122の調節を示している。欠失は、流体管路32に沿った一つ又は複数の圧力センサ47の読み取りに基づいて、作動制御ユニット90により検出することができる。作動制御ユニット90は、飛行制御システム99から指標を受信することもできる。
【0060】
油圧流体管路32に沿った油圧流体の流れを可能にするために、閉止弁71を開放する(ブロック230)。油圧アクチュエータ20の展開又は収縮を可能にするために、方向制御弁73も調節する(ブロック231)。調節すべき制御セグメント120、121、122の各々のために、ブレーキ50を解放する(ブロック232)。同期部材40を駆動して油圧アクチュエータ20の長さを調節するために、各制御セグメントのモータ60を起動する(ブロック234)。同期部材40の回転は各油圧アクチュエータ20内のネジ29を回転させる(ブロック236)。油圧アクチュエータ20a、20bの長さを調節するために、回転によりピストン81を駆動する。一つ又は複数のセンサ49から、同期部材40の回転位置を示す位置データを受信することができる(ブロック238)。作動制御ユニット90は、このデータを使用して、飛行制御部材101が命令された位置にある時を決定し、次いでモータ60を停止させることができる(ブロック239)。
【0061】
ネジ29の回転は次にピストン81をチャンバ25内部で移動させる。展開の間、ピストン81の移動により油圧流体は油圧流体管路32から第1のチャンバ区画83内へ、第2のチャンバ区画84から移動することができる。収縮の間には、ピストン81の移動は、油圧流体を第1のチャンバ区画83から第2のチャンバ区画84内へ移動させる。第1及び第2のチャンバ83、84に出入りする油圧流体の量の差は、油圧流体管路32に沿って位置する一つ又は複数のリザーバ33に収容することができる。余分な油圧流体を一つ又は複数のリザーバ33内に保持しておくことで、油圧システムに漏れが生じた際に油圧流体が失われた結果油圧動力が失われることを防止できる。
【0062】
モータ60を用いた動作の間に、同期部材40がスレーブ油圧アクチュエータ20aとペーシング油圧アクチュエータ20bとの間の地点で故障した場合には、ウォームギヤ80、86間に形成されたウォームギヤの噛み合いがスレーブ油圧アクチュエータ20aの位置を維持するであろう。同期部材40がブレーキ50とペーシング油圧アクチュエータ20bとの間の地点で故障した場合には、スレーブ油圧アクチュエータ20a内のウォームギヤ80、86間に形成されたウォームギヤの噛み合いが、スレーブ及びペーシング油圧アクチュエータ20a、20bの両方において同期部材40の、したがってピストン81の位置を維持するであろう。
【0063】
飛行制御部材101の位置を制御する作動システム10及び方法は、様々なビークル100に使用することができる。一つのビークル100は、各々が乗客を収容するように構成された複数列のシートを含む民間航空機を含む。他のビークル100には、限定されないが、有人航空機、無人航空機、有人宇宙船、無人宇宙船、有人回転翼航空機、無人回転翼航空機、衛星、ロケット、ミサイル、有人陸上輸送航空機、無人陸上輸送航空機、有人地表水輸送航空機、無人地表水輸送航空機、有人水面下輸送航空機、無人水面下輸送航空機、及びこれらの組み合わせが含まれる。飛行制御部材101は、飛行を制御するために、ビークル100の様々な位置に位置させることができる。
【0064】
更に、本開示は、以下の条項による実施形態を含む。
条項1.ビークル(100)上の第1及び第2の飛行制御部材(101)を制御する作動システム(10)であって、
第1の飛行制御部材(101)に動作可能に接続された油圧アクチュエータ(20)の第1の対、
第2の飛行制御部材(101)に動作可能に接続された油圧アクチュエータ(20)の第2の対、
油圧アクチュエータ(20)の第1の対の動きを同期させるために油圧アクチュエータ(20)の第1の対の間に延びる第1の同期部材(40)、
油圧アクチュエータ(20)の第2の対の動きを同期させるために油圧アクチュエータ(20)の第2の対の間に延びる、第1の同期部材(40)から独立している第2の同期部材(40)、
第1の同期部材(40)の動きを防止する第1のブレーキ(50)、
第2の同期部材(40)の動きを防止する第2のブレーキ(50)、
第2の飛行制御部材(101)から独立して第1の飛行制御部材(101)の位置を調節するために油圧アクチュエータ(20)の第1の対を調節する、第1の同期部材(40)に動作可能に接続された第1のモータ(60)、及び
第1の飛行制御部材(101)から独立して第2の飛行制御部材(101)の位置を調節するために油圧アクチュエータ(20)の第2の対を調節する、第2の同期部材(40)に動作可能に接続された第2のモータ(60)
を備える作動システム。
条項2.油圧アクチュエータ(20)の第1の対及び油圧アクチュエータ(20)の第2の対の各々が、スレーブ油圧アクチュエータ(20a)及びペーシング油圧アクチュエータ(20b)を含み、スレーブ油圧アクチュエータ(20a)が、噛み合う第1及び第2のウォームギヤ(80、86)を含み、ペーシング油圧アクチュエータ(20b)が、噛み合う第1及び第2のギヤ(68、69)を含む、条項1の作動システム。
条項3.ペーシング油圧アクチュエータ(20a)の第1及び第2のギヤ(68、69)が、同期部材(40)を逆駆動するように構成されており、スレーブ油圧アクチュエータ(20b)の第1及び第2のウォームギヤ(80、86)が、同期部材(40)の回転を防止するように構成されている、条項2の作動システム。
条項4.油圧アクチュエータ(20)の第1の対及び油圧アクチュエータ(20)の第2の対の各々が、油圧流体を受け取って油圧アクチュエータ(20)の第1の対及び油圧アクチュエータ(20)の第2の対の長さを延ばす第1のチャンバ区画(83)と、油圧流体を受け取って油圧アクチュエータ(20)の第1の対及び油圧アクチュエータ(20)の第2の対の長さを縮める第2のチャンバ区画(84)とを含む、条項2の作動システム。
条項5.第1の同期部材(40)と第2の同期部材(40)が、油圧アクチュエータ(20)の第1の対と油圧アクチュエータ(20)の第2の対の間に配置される間隙(65)により間隔を空けて配置されている、条項1の作動システム。
条項6.油圧アクチュエータ(20)の第1の対及び油圧アクチュエータ(20)の第2の対の各油圧アクチュエータ(20)の間に延びる油圧流体管路(32)を更に備え、第1及び第2の同期部材(40)が油圧流体管路(32)の内部に配置されている、条項1の作動システム。
条項7.
センサ(49)から、第1の同期部材(40)と第2の同期部材(40)の角度配向を示す信号を受信し、
前記信号に応答して、油圧アクチュエータ(20)の第1の対及び油圧アクチュエータ(20)の第2の対への油圧流体の流れを制御するように弁(70)を調節する
ように構成された作動制御ユニット(90)を更に備える条項1の作動システム。
条項8.第1のブレーキ(50)及び第1のモータ(60)のうちの少なくとも一方が、油圧アクチュエータ(20)の第1の対の間の第1の同期部材(40)に動作可能に接続される、条項1の作動システム。
条項9.第2のブレーキ(50)が、第1の地点で第2の同期部材(40)に動作可能に接続されており、第2のモータ(60)が、異なる第2の地点で第2の同期部材(40)に動作可能に接続されている、条項1の作動システム。
条項10.ビークル(100)上の第1及び第2の飛行制御部材(101)を制御する作動システム(10)であって、
ビークル(100)に沿って延びる二つ以上の制御セグメント(120、121、122)を備え、制御セグメント(120、121、122)の各々が、
飛行制御部材(101)、
飛行制御部材(101)に動作可能に接続される油圧アクチュエータ(20)、
油圧アクチュエータ(20)の動きを同期させるために油圧アクチュエータ(20)間に延びて同油圧アクチュエータ(20)に接続される同期部材(40)、
同期部材(40)の回転を防止するために同期部材(40)に動作可能に接続されるブレーキ(50)、
同期部材(40)を回転させて、油圧アクチュエータ(20)を調節し、ビークル(100)に対して飛行制御部材(101)を配置するために、同期部材(40)に動作可能に接続されるモータ(60)、
ビークル(100)に対して飛行制御部材(101)を配置するための処理回路(91)を含む作動制御ユニット(90)、
ビークル(100)に沿って間隔を空けて配置され、互いから独立している同期部材(40)
を備える、作動システム。
条項11.制御セグメント(120、121、122)の油圧アクチュエータ(20)がスレーブ油圧アクチュエータ(20a)及びペーシング油圧アクチュエータ(20b)を含み、スレーブ油圧アクチュエータが第1及び第2のウォームギヤ(80、86)間に形成されたウォームギヤの噛み合いを含み、ペーシング油圧アクチュエータ(20b)が第1及び第2のギヤの間(68、69)に形成されたギヤの噛み合いを含む、条項10の作動システム。
条項12.各制御セグメント(120、121、122)について、スレーブ油圧アクチュエータ(20a)がビークル(100)の中心から間隔を空けて配置されており、ペーシング油圧アクチュエータ(20b)がビークル(100)の中心の方に配置されている、条項11の作動システム。
条項13.制御セグメント(120、121、122)のうちの第1の制御セグメント及び制御セグメント(120、121、122)のうちの第2の制御セグメントの内部に延び、第1及び第2の制御セグメント(120、121、122)の各々の油圧アクチュエータ(20)の動きを制御するために油圧流体を運ぶ油圧流体管路(32)を更に備える、条項10の作動システム。
条項14.第1及び第2の制御セグメント(120、121、122)の両方の同期部材(40)が、油圧流体管路(32)の内部に配置されている、条項13の作動システム。
条項15.同期部材(40)が、油圧流体管路(32)の内部において、第1の制御セグメントと第2の制御セグメント(120、121、122)の間に配置された間隙(65)により間隔を空けて配置されている、条項14の作動システム。
条項16.制御セグメント(120、121、122)のうちの少なくとも一つが第2の飛行制御部材(101)を含む、条項10の作動システム。
条項17.油圧流体が制御セグメント(120、121、122)へ移動することを防止する閉止弁を更に備える、条項10の作動システム。
条項18.ビークル(100)上の第1及び第2の飛行制御部材(101)を動かす方法であって、
油圧流体を第1の油圧アクチュエータ(20)に供給して第1の飛行制御部材(101)を動かし、油圧流体を第2の油圧アクチュエータ(20)に供給して第2の飛行制御部材(101)を動かすこと;
第1の飛行制御部材(101)が第1の所定の位置に位置した後、第1の油圧アクチュエータ(20)間に延びる第1の同期部材(40)の動きを防止し、第1の飛行制御部材(101)を第1の所定の位置に維持すること、
第2の飛行制御部材(101)が第2の所定の位置に位置した後、第2の油圧アクチュエータ(20)間に延びる第2の同期部材(40)の動きを防止し、第2の飛行制御部材(101)を第2の所定の位置に維持すること、
第1の飛行制御部材(101)が第1の所定の位置に留まる間に、第2の同期部材(40)を動かして第2の油圧アクチュエータ(20)を調節し、第2の飛行制御部材(101)を第2の所定の位置から動かすこと
を含む方法。
条項19.モータ(60)を起動して第2の同期部材(40)を動かし、第2の油圧アクチュエータ(20)を調節して第2の飛行制御部材(101)を動かすことを更に含む、条項18の方法。
条項20.第1の同期部材(40)の動きを防止することが、モータ(60)又は第1の油圧アクチュエータ(20)のうちの第1の油圧アクチュエータを用いて、第1の同期部材(40)にブレーキをかけることを含む、条項18の方法。
【0065】
本発明は、当然ながら、本発明の本質的な特徴から逸脱しない限り、ここに具体的に提示された方法以外の方法で実施することが可能である。本明細書の実施形態は、あらゆる点で、説明的なものであって限定的なものではないと考慮されるべきであり、特許請求の範囲の意味及び等価物の範囲に含まれるすべての変更は、本明細書に包含されることが意図される。