(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】通信装置、通信システム、及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20231110BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20231110BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
H04M11/00 301
H04Q9/00 311J
H04M1/00 R
(21)【出願番号】P 2019177479
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】松崎 洸貴
(72)【発明者】
【氏名】中原 正守
(72)【発明者】
【氏名】河野 正司
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-005276(JP,A)
【文献】特開2006-033674(JP,A)
【文献】特開2014-155118(JP,A)
【文献】特開2005-057412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C13/00-25/04
H03J9/00-9/06
H04B7/24-7/26
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04Q9/00-9/16
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を介してサーバと通信可能な通信装置であって、
前記基地局に発呼信号を送信する通信部と、
前記通信部を制御する制御部と
を備え、
前記発呼信号は、前記通信装置が起動されることによって、前記通信部から送信される信号を示し、
前記制御部は、
前記通信装置を前記サーバに登録するための利用開始処理が行われたか否かを判定し、
前記通信装置が起動されてから前記利用開始処理が行われたと判定するまでは、前記通信部が前記発呼信号を送信することを規制
し、
前記利用開始処理が行われたと判定した後は、前記通信部が前記発呼信号を送信することを許容する、通信装置。
【請求項2】
前記発呼信号は、前記サーバに対して前記通信装置の存在を通知するための信号である、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記利用開始処理は、
前記通信装置と前記基地局とを通信可能に接続するための接続信号を送信する第1処理と、
前記通信部が前記接続信号に対する応答信号を受信する第2処理と、
前記サーバから前記基地局を介して送信される信号を前記通信部が受信する第3処理と、
前記通信装置に備えられる所定の第1操作部が操作される第4処理と、
前記通信装置に対して所定の外部装置が接続される第5処理と、
前記通信装置に接続された前記所定の外部装置に対し、前記通信装置が所定の通信を行う第6処理と
のうちの少なくとも1つの処理を含む、請求項1
又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記通信装置が起動してから所定期間が経過すると、前記利用開始処理が行われたと判定する、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信装置は、
前記通信部が前記発呼信号を送信することを規制する規制モードと、
前記通信部が前記発呼信号を送信することを許容する許容モードと
で動作し、
前記制御部は、前記利用開始処理が行われたと判定すると、前記通信装置の動作モードを前記規制モードから前記許容モードに変更する、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記通信装置が起動されると、前記通信装置の動作モードが前記規制モード及び前記許容モードのうちのいずれの動作モードであるかを確認する確認処理を行う、請求項
5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記確認処理により前記通信装置の動作モードが前記規制モードであることを確認すると、前記通信部が前記発呼信号を送信することを規制し、
前記確認処理により前記通信装置の動作モードが前記許容モードであることを確認すると、前記通信部に前記発呼信号を送信させる、請求項
6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記通信装置の動作モードを前記許容モードから前記規制モードに戻す第2操作部をさらに備える、請求項
5から請求項
7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の通信装置と、
前記基地局と、
前記サーバと
を備える、通信システム。
【請求項10】
基地局を介してサーバと接続可能な通信装置を制御する通信制御方法であって、
前記通信装置に備えられる制御部により、前記通信装置を前記サーバに登録するための利用開始処理が行われたか否かを判定する工程と、
前記通信装置が起動されてから、前記制御部により前記利用開始処理が行われたと判定されるまでは、前記通信装置から前記基地局に発呼信号が送信されることを規制する工程と、
前記制御部により前記利用開始処理が行われたと判定されると、前記通信装置から前記基地局に前記発呼信号が送信されることを許容する工程と
を含
み、
前記発呼信号は、前記通信装置が起動されることによって、前記通信装置から送信される信号を示す、通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信システム、及び通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
監視センタと複数の端末間で通信を行うことで、複数の計測場所で計測された計測値を収集する通信システムが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の通信システムは、メータと、監視センタと、通信装置とを備える。通信装置が監視センタに対して発呼する際に、通信装置は、メータとの通信によりメータIDを取得し、取得したメータIDを含む電文を監視センタに送信する。メータに格納されているメータIDが監視センタに通知されることで、通信装置に独自のIDを与えることなく、監視センタが通信装置を識別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通信装置は、起動時に監視センタにリセット発呼信号を送信するように、設定されていることがある。理由は、停電からの復旧、電池の交換、又は通信装置のリセット処理により、通信装置が再起動したときに、監視センタにリセット発呼信号を送信することで、通信装置が正常に稼働していること(運用可能であること)を認識させるためである。
【0006】
しかし、通信装置が起動される度に、リセット発呼信号が送信されると、電波強度測定作業を行うために通信装置を起動させた場合、及び、通信装置が起動するか否かをテストするために通信装置を起動させた場合のような、リセット発呼信号を送信する必要が無い場合でも、リセット発呼信号が送信される。その結果、リセット発呼信号の送信に対する通信料の課金額が増大し、通信装置の利用に対するユーザーの負担が増大するおそれがあった。
【0007】
本発明は、通信装置の利用に対するユーザーの負担が増大することを抑制できる、通信装置、通信システム、及び通信制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面によれば、通信装置は、基地局を介してサーバと通信可能である。前記通信装置は、通信部と、制御部とを備える。前記通信部は、前記基地局に発呼信号を送信する。前記制御部は、前記通信部を制御する。前記制御部は、前記通信装置を前記サーバに登録するための利用開始処理が行われたか否かを判定し、前記利用開始処理が行われたと判定するまでは、前記通信部が前記発呼信号を送信することを規制する。
【0009】
本発明の第2の局面によれば、通信システムは、前記通信装置と、前記基地局と、前記サーバとを備える。
【0010】
本発明の第3の局面によれば、通信制御方法は、基地局を介してサーバと接続可能な通信装置を制御する。前記通信制御方法は、前記通信装置に備えられる制御部により、前記通信装置を前記サーバに登録するための利用開始処理が行われたか否かを判定する工程を備える。前記通信制御方法は、前記制御部により前記利用開始処理が行われたと判定されるまでは、前記通信装置から前記基地局に発呼信号が送信されることを規制する工程を備える。前記通信制御方法は、前記制御部により前記利用開始処理が行われたと判定されると、前記通信装置から前記基地局に前記発呼信号が送信されることを許容する工程を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通信装置の利用に対するユーザーの負担が増大することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るテレメータシステムの構成を示すブロック図である。
【
図3】センタ側網制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】通信システムの動作の一例を示すフロー図である。
【
図8】通信システムの動作の一例を示すフロー図である。
【
図9】通信システムの動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0014】
図1を参照して、本発明の実施形態に係るテレメータシステム100について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るテレメータシステム100の構成を示すブロック図である。
【0015】
テレメータシステム100は、サーバ10と、親機30及び子機40とがセンタ側網制御装置20を介して通信するシステムである。テレメータシステム100は、本発明の通信システムの一例である。本発明の通信システムは、テレメータシステム100に限定されない。本発明の通信システムは、サーバと通信装置とが基地局を介して通信する構成を有していればよい。
【0016】
図1に示すように、テレメータシステム100は、サーバ10と、センタ側網制御装置20と、親機30と、複数の子機40と、複数の計測装置50とを備える。
【0017】
親機30は、センタ側網制御装置20を介してサーバ10と通信可能に接続される。複数の子機40の各々は、親機30及びセンタ側網制御装置20を介してサーバ10と通信可能に接続される。複数の子機40は、それぞれ、複数の計測装置50と通信可能に接続される。
【0018】
サーバ10は、親機30、及び複数の子機40を介して、複数の計測装置50の各々が計測した計測値を収集する。
【0019】
センタ側網制御装置20は、サーバ10が親機30と通信するための通信処理を仲介する。センタ側網制御装置20と親機30とは、例えば、PHS網、FOMA網、及びLTE網のような広域無線網N1に接続される。センタ側網制御装置20と親機30とは、広域無線網N1を介して互いに無線通信を行う。
【0020】
本実施形態では、センタ側網制御装置20と親機30とを広域無線網N1により接続する。なお、広域無線網N1に複数の親機30が接続されてもよい。
【0021】
センタ側網制御装置20は、例えば、通信事業者の公衆網に設けられる。センタ側網制御装置20は、広域無線網N1を介して親機30のような端末側の装置の通信を制御する。
【0022】
センタ側網制御装置20がサーバ10から電文を受信した場合、センタ側網制御装置20は、広域無線網N1の通信規格に準拠した通信方式で端末側の装置へ電文を送信する。また、センタ側網制御装置20は、広域無線網N1を介して端末側の装置から電文を受信した場合、受信した電文をサーバ10へ送信する。
【0023】
センタ側網制御装置20は、本発明の基地局の一例である。
【0024】
親機30は、広域無線網N1を介して、センタ側網制御装置20及びサーバ10のようなセンタ側の装置に接続される。親機30は、狭域無線網を介して複数の子機40の各々に接続される。
【0025】
親機30は、複数の子機40の各々と無線接続される。親機30は、複数の子機40の各々と無線通信可能である。
【0026】
親機30は、本発明の通信装置の一例である。なお、本発明の通信装置は、親機30に限定されない。本発明の通信装置は、広域無線網を介して基地局と通信可能な装置であればよい。本発明の通信装置は、子機40でもよい。子機40は、親機30経由で、広域無線網N1を介してセンタ側網制御装置20(基地局)と通信する。
【0027】
狭域無線網、及びセンタ側網制御装置20を介して子機40がサーバ10から電文を受信した場合、子機40は、受信した電文が自機宛の電文であるか否かを判定する。子機40が受信した電文の宛先アドレスとして自機の識別子(ID番号)が指定されている場合、受信した電文が自機宛の電文であると子機40が判定する。そして、子機40は、受信した電文に含まれるデータの内容に基づいて各種の処理を実行する。
【0028】
複数の子機40は、それぞれ、複数の計測装置50と有線又は無線で接続される。本実施形態では、複数の子機40は、それぞれ、複数の計測装置50と電線1により有線接続される。
【0029】
計測装置50は、需要家毎に設置される。計測装置50は、例えば、水道の使用量、ガスの使用量、又は電気の使用量を計測する。
【0030】
複数の子機40は、それぞれ、複数の計測装置50と対応する。複数の子機40は、それぞれ、対応する計測装置50に接続され、対応する計測装置50の計測値を取得する。
【0031】
次に、
図2を参照して、サーバ10について説明する。
図2は、サーバ10の構成を示すブロック図である。
【0032】
図2に示すように、サーバ10は、記憶部11と、制御部12と、通信部13とを有する。
【0033】
記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置(例えば、半導体メモリー)を含み、補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ)をさらに含んでもよい。記憶部11は、制御部12によって実行される種々のコンピュータープログラムを記憶する。
【0034】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御部12は、記憶部11に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、サーバ10の各要素を制御する。
【0035】
通信部13は、広域無線網N1に接続され、広域無線網N1を介して無線通信を行う。通信部13は、例えば、LANボードのような通信モジュールである。
【0036】
次に、
図3を参照して、センタ側網制御装置20について説明する。
図3は、センタ側網制御装置20の構成を示すブロック図である。
【0037】
図3に示すように、センタ側網制御装置20は、記憶部21と、制御部22と、通信部23とを有する。
【0038】
記憶部21は、主記憶装置を含み、補助記憶装置をさらに含んでもよい。記憶部21は、制御部22によって実行される種々のコンピュータープログラムを記憶する。
【0039】
制御部22は、プロセッサーを含む。制御部22は、記憶部21に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、センタ側網制御装置20の各要素を制御する。
【0040】
通信部23は、サーバ10に接続され、サーバ10と通信を行う。通信部23は、広域無線網N1に接続され、広域無線網N1を介して端末側の装置と通信を行う。通信部23は、例えば、LANボードのような通信モジュールである。
【0041】
次に、
図4及び
図5を参照して、親機30について説明する。
図4は、親機30の構成を示すブロック図である。
図5は、親機30の外観を示す図である。
【0042】
図4及び
図5に示すように、親機30は、記憶部31と、制御部32と、操作部33と、表示部34と、広域無線通信部35と、狭域無線通信部36と、接続部38とを有する。
【0043】
記憶部31は、主記憶装置を含み、補助記憶装置をさらに含んでもよい。記憶部31は、制御部32によって実行される種々のコンピュータープログラムを記憶する。
【0044】
制御部32は、プロセッサーを含む。制御部32は、記憶部31に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、親機30の各要素を制御する。
【0045】
操作部33は、外部からの親機30に対する指示を受け付ける。操作部33は、例えば、ディップスイッチ33aと、プッシュスイッチ33bと、リセットスイッチ33cとを含む。ディップスイッチ33aは、親機30に対する指示を受け付ける。プッシュスイッチ33bは、ディップスイッチ33aが受け付けた指示を、制御部42に実行させる。リセットスイッチ33cは、ディップスイッチ33aが受け付けた指示をリセットする。
【0046】
操作部33は、本発明の操作部の一例である。
【0047】
表示部34は、例えば、保守作業を行う作業者に通知すべき情報を表示する。表示部34は、例えば、LED(Light Emitting Diode)、及び/又は、液晶表示パネルを含む。
【0048】
広域無線通信部35は、電波を送信及び受信することによって、広域無線網N1を介した無線通信を行う。広域無線通信部35は、例えば、FOMA又はLTEのような広域通信可能な通信モジュールである。
【0049】
広域無線通信部35は、電波を受信した場合、受信した電波をデコードすることにより電文を取得する。広域無線通信部35は、デコードして得られる電文を制御部32へ出力する。制御部32は、例えば、広域無線通信部35から電文を取得した場合、取得した電文に応じた処理を行う。
【0050】
広域無線通信部35は、本発明の通信部の一例である。
【0051】
広域無線通信部35は、通信カードが装着される差込口35aを有する。通信カードは、SIMカード(Subscriber Identity Module Card)、及びUIM(User Identity Module)カードのような通信装置の契約者情報及び契約したサービス内容等の各種情報が記憶されたカードである。
【0052】
狭域無線通信部36は、アンテナを介して電波を送信及び受信することによって、子機40との間で、所定の無線通信方式にて通信を行う。無線通信方式としては、例えば、特定小電力無線方式が採用される。特定小電力無線方式では、429MHz帯域の他、より通信速度の速い920MHz帯域が用いられる。狭域無線通信部36は、例えば、920MHz帯域通信用のRF-LSIを使用した通信モジュールである。
【0053】
接続部38は、1又は複数のポートを備える。接続部38は、電線1によって計測装置50と有線接続される。接続部38は、電線1を介して計測装置50の計測値を取得する。
【0054】
親機30の動作について説明する。
【0055】
親機30の広域無線通信部35は、センタ側網制御装置20へリセット発呼信号を送信する。リセット発呼信号は、サーバ10に対して、親機30の存在を通知するための信号である。リセット発呼信号は、例えば、親機30の識別子を示す情報を含む。リセット発呼信号は、親機30からセンタ側網制御装置20を介してサーバ10へ送信される。
【0056】
親機30の動作モードについて説明する。
【0057】
親機30は、規制モード(
図7のステップS103、及び
図8のステップS400参照)と、許容モード(
図9のステップS1000参照)とで動作する。規制モードは、広域無線通信部35からリセット発呼信号が送信されることを規制するモードである。許容モードは、広域無線通信部35からリセット発呼信号が送信されることを許容するモードである。親機30の制御部32は、親機30の動作モードを、規制モードと許容モードとの間で切り替えることで、親機30の起動時の動作を制御する。なお、本実施形態では、親機30の動作モードは、デフォルト(出荷時の状態)では、規制モードに設定される。
【0058】
親機30は、利用開始処理が行われたと判定する前は、規制モードで動作し、利用開始処理が行われたと判定した後は、許容モードで動作する。利用開始処理は、親機30をサーバ10に登録するために行われる処理である。利用開始処理の詳細な説明は後述する。
【0059】
次に、
図6を参照して、子機40について説明する。
図6は、子機40の構成を示すブロック図である。
【0060】
図6に示すように、子機40は、記憶部41と、制御部42と、操作部43と、表示部44と、狭域無線通信部45と、接続部46とを有する。
【0061】
記憶部41は、主記憶装置を含み、補助記憶装置をさらに含んでもよい。記憶部41は、制御部42によって実行される種々のコンピュータープログラムを記憶する。
【0062】
制御部42は、プロセッサーを含む。制御部42は、記憶部41に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、子機40の各要素を制御する。
【0063】
操作部43は、外部からの子機40に対する指示を受け付ける。操作部43は、例えば、ディップスイッチと、プッシュスイッチと、リセットスイッチとを含む。
【0064】
表示部44は、例えば、保守作業を行う作業者に通知すべき情報を表示する。表示部44は、例えば、LED、及び液晶表示パネルを含む。
【0065】
狭域無線通信部45は、電波を送信及び受信することによって、親機30との間で、所定の無線通信方式にて通信を行う。狭域無線通信部45は、親機30の狭域無線通信部36と同様の構成及び機能を有する。
【0066】
次に、
図1~
図9を参照して、テレメータシステム100の動作の一例について説明する。
図7~
図9は、テレメータシステム100の動作の一例を示すフロー図である。
【0067】
テレメータシステム100の動作の一例は、親機30が設置される段階から開始される。また、テレメータシステム100の動作の一例の開始時において、親機30がサーバ10に未登録であり、かつ、親機30の動作モードがデフォルトの規制モードに設定されている。
【0068】
図4、及び
図7に示すように、ステップS100において、親機30をサーバ10に登録するための準備処理が行われる。ステップS100に示す準備処理は、ステップS101~ステップS106に示す処理で構成される。以下では、準備処理について説明する。
【0069】
ステップS101において、親機30にSIMカード等の通信カードが装着されて、親機30の電源がONに操作される。その結果、親機30が起動する。
【0070】
ステップS102において、制御部32が、親機30の動作モードを確認する確認処理を行う。
【0071】
ステップS103において、制御部32は、親機30の動作モードが規制モードであることを確認する。
【0072】
ステップS104において、制御部32は、広域無線通信部35がリセット発呼信号を送信することを規制する。その結果、親機30が起動されたにも関わらず、親機30が規制モードで動作しているので、親機30からリセット発呼信号が送信されない。
【0073】
ステップS105において、作業者は、親機30とセンタ側網制御装置20とを通信可能に接続するための準備作業を行う。準備作業は、親機30とセンタ側網制御装置20とを通信可能に接続する作業(
図8のステップS601参照)の前段階で行われる作業である。準備作業は、例えば、電波強度測定作業を含む。電波強度測定作業は、センタ側網制御装置20から所定の周期で送信される信号の電界強度を、親機30により測定する作業である。
【0074】
ステップS106において、親機30の電源がOFFに操作される。その結果、準備処理が終了する。準備処理が終了すると、処理がステップS200に移行する。
【0075】
ステップS200において、後述する利用開始処理を行うために、親機30の電源がONに操作される。その結果、親機30が起動する。
【0076】
ステップS300において、制御部32が、親機30の動作モードを確認する確認処理を行う。
【0077】
ステップS400において、制御部32は、親機30の動作モードが規制モードであることを確認する。
【0078】
図2~
図4、及び
図8に示すように、ステップS500において、制御部32は、広域無線通信部35がリセット発呼信号を送信することを規制する。
【0079】
ステップS600において、利用開始処理が行われる。利用開始処理は、親機30の利用を開始するために、親機30をサーバ10に登録する処理である。ステップS600に示す利用開始処理は、ステップS601~ステップS613に示す処理で構成される。以下では、利用開始処理について説明する。
【0080】
ステップS601において、親機30の広域無線通信部35がセンタ側網制御装置20に対し、自機と通信可能に接続することを要求する接続信号(アタッチリクエスト)を送信する。
【0081】
ステップS602において、センタ側網制御装置20の通信部23が親機30に対し、接続信号に対する第1応答信号を送信する。親機30の広域無線通信部35が第1応答信号を受信すると、親機30とセンタ側網制御装置20とが通信可能に接続される。
【0082】
ステップS603において、親機30の広域無線通信部35がセンタ側網制御装置20に対し、自機をサーバ10に登録することを要求する利用開始信号を送信する。利用開始信号には、例えば、親機30の識別子を含む情報と、親機30に装着中の通信カード(SIMカード等)に記憶された各種情報とが含まれる。
【0083】
ステップS604において、センタ側網制御装置20の通信部23がサーバ10に対し、親機30からの利用開始信号を送信する。
【0084】
ステップS605において、サーバ10の通信部13が利用開始信号を受信すると、サーバ10の制御部12が記憶部11に親機30を登録する登録処理を行う。
【0085】
ステップS606において、サーバ10の通信部13がセンタ側網制御装置20に対し、親機30の登録が完了したことを示す第2応答信号を送信する。第2応答信号は、言い換えれば、親機30が利用可能となったことを通知する信号である。
【0086】
ステップS607において、センタ側網制御装置20の通信部23が親機30に対し、サーバ10からの第2応答信号を送信する。
【0087】
ステップS608において、親機30の広域無線通信部35が第2応答信号を受信すると、親機30の制御部32は利用開始処理が行われたと判定する。
【0088】
ステップS609において、親機30の制御部32は、利用開始処理が行われたと判定すると、親機30の動作モードを規制モードから許容モードに変更する。
【0089】
ステップS610において、親機30の広域無線通信部35がセンタ側網制御装置20に対し、サーバ10からの所定の指示に対する第3応答信号を送信する。所定の指示は、利用開始処理中にサーバ10から親機30宛になされる応答が必要な指示である。
【0090】
ステップS611において、センタ側網制御装置20の通信部23がサーバ10に対し、親機30からの第3応答信号を送信する。
【0091】
ステップS612において、サーバ10の通信部13がセンタ側網制御装置20に対し、利用開始処理が終了したことを示す終了信号を送信する。
【0092】
ステップS613において、センタ側網制御装置20の通信部23が親機30に対し、サーバ10からの終了信号を送信する。親機30の広域無線通信部35が終了信号を受信すると、利用開始処理が終了する。利用開始処理が終了すると、処理が
図9に示すステップS700に移行する。
【0093】
図2~
図4、及び
図8に示すように、ステップS700において、停電、又は親機30の電池交換が行われることで、親機30への電力供給が遮断される。その結果、親機30の電源がOFFとなる。
【0094】
ステップS800において、停電の復旧、又は電池交換作業の完了により、親機30への電力供給が復旧する。その結果、親機30の電源がONとなり、親機30が起動(再起動)する。
【0095】
ステップS900において、親機30が起動すると、親機30の制御部32が、親機30の動作モードを確認する確認処理を行う。
【0096】
ステップS1000において、制御部32は、親機30の動作モードが許容モードであることを確認する。
【0097】
ステップS1100において、親機30の動作モードが許容モードであることが確認されると、信号送信処理が行われる。信号送信処理は、親機30からリセット発呼信号が送信される処理であり、ステップS1101~ステップS1104に示す処理で構成される。以下では、信号送信処理について説明する。
【0098】
ステップS1101において、親機30の広域無線通信部35がセンタ側網制御装置20に対し、リセット発呼信号を送信する。
【0099】
ステップS1102において、センタ側網制御装置20の通信部23がサーバ10に対し、親機30からのリセット発呼信号を送信する。
【0100】
サーバ10の通信部13がリセット発呼信号を受信すると、サーバ10の制御部12は、親機30が正常に稼働していること(運用可能であること)を認識する。
【0101】
ステップS1103において、サーバ10の通信部13がセンタ側網制御装置20に対し、リセット発呼信号を受信したことを示す第4応答信号を送信する。
【0102】
ステップS1104において、センタ側網制御装置20の通信部23が親機30に対し、サーバ10からの第4応答信号を送信する。親機30の広域無線通信部35が第4応答信号を受信すると、信号送信処理が終了する。その結果、テレメータシステム100の動作が終了する。
【0103】
以上、
図1~
図9を参照して説明したように、制御部32は、親機30をサーバ10に登録するための利用開始処理が行われたか否かを判定し、利用開始処理が行われたと判定するまでは、広域無線通信部35がリセット発呼信号を送信することを規制する。その結果、準備作業(電界強度測定作業等)が行われる場合(
図7のステップS105参照)、及び、利用開始処理(
図8のステップS600参照)のために親機30の電源がONに操作される場合(
図7のステップS200参照)のように、利用開始処理が行われる前(親機30の利用が開始される前)には、親機30が起動されても、リセット発呼信号が送信されない(
図7のステップS104、及び
図8のステップS500参照)。その結果、リセット発呼信号の送信に対する通信料の課金を抑制できるので、親機30の利用に対するユーザー(需要家)の負担が増大することを抑制できる。
【0104】
また、親機30の制御部32が単一の事象事に処理するマイクロコンピュータで構成される場合、リセット発呼信号の送信中において、親機30が他の操作を受け付けない状態となる。しかし、本実施形態では、準備作業が行われる際に、リセット発呼信号が送信されることを規制できる(
図7のステップS104、ステップS105参照)ので、リセット発呼信号による待機時間が発生しない。その結果、作業者は、準備作業を円滑に行うことができ、作業効率を向上させることができる。
【0105】
また、リセット発呼信号の送信を抑制できるので、親機30の電池の寿命を向上させることができる。
【0106】
以上、図面(
図1~
図9)を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、(1)~(4))。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0107】
(1)本発明の発呼信号(規制モード時に送信が規制される信号)は、本実施形態のリセット発呼信号に限定されない。発呼信号は、広域無線網N1を利用することで通信料の課金の対象となる信号である。
【0108】
発呼信号は、通信装置(親機30)から基地局(センタ側網制御装置20)へ送信される信号であればよい。例えば、発呼信号は、通信装置の電圧が所定値よりも低下したことを通知する信号のように、通信装置の状態を通知する信号でもよい。また、通信装置から基地局へ送信される信号が複数種類ある場合は、複数種類の信号のうちの一部の信号を発呼信号としてもよく、又は、複数種類の信号のうちの全部の信号を発呼信号としてもよい。
【0109】
(2)
図8に示すように、本実施形態では、親機30が第2応答信号を受信すると、制御部32により利用開始処理が行われたと判定される(
図8のステップS607、及びステップS608参照)。しかし、本発明はこれに限定されない。
【0110】
制御部32により利用開始処理が行われたと判定される処理は、親機30が接続信号を送信する処理(ステップS601参照)、親機30が第1応答信号を受信する処理(ステップS602参照)、親機30が利用開始信号を送信する処理(ステップS603参照)、親機30が第2応答信号を受信する処理(ステップS607参照)、親機30が第3応答信号を送信する処理(ステップS610参照)、及び親機30が終了信号を受信する処理(ステップS613参照)のうちのいずれかの処理でもよい。すなわち、ステップS601、ステップS602、ステップS603、ステップS607、ステップS610、及びステップS613に示す処理のうちのいずれかの処理が行われると、制御部32により利用開始処理が行われたと判定されてもよい。
【0111】
また、親機30の操作部33に、親機30の動作モードを規制モードから許容モードに変更する第1操作部を設けてもよい。この場合、作業者により第1操作部が操作されると、制御部32により利用開始処理が行われたと判定されて、親機30の動作モードが規制モードから許容モードに変更される。第1操作部は、例えば、ディップスイッチ33aと、プッシュスイッチ33bとで構成され(
図5参照)、ディップスイッチ33aが所定の第1状態に操作された状態で、プッシュスイッチ33bが押下されることによって、制御部32により利用開始処理が行われたと判定される。なお、第1操作部を、専用に設けられたプッシュスイッチ等の操作具で構成してもよい。
【0112】
また、親機30の制御部32は、親機30に所定の外部装置が接続されたことを認識すると、利用開始処理が行われたと判定してもよい。所定の外部装置は、例えば、計測装置50である。
【0113】
なお、所定の外部装置は、計測装置50による計測対象物の供給を停止するか否かを判定する際に用いられるセンサ(例えば、振動センサ)であってもよい。振動センサの使用例について説明する。例えば、計測装置50の計測対象物がガスの場合、振動センサにより地震等の振動が検知されると、親機30の制御部32は、カス供給管に設けられる遮断弁を遮断操作して、需要家へのガスの供給を停止する。
【0114】
また、親機30に接続された所定の外部装置に対し、親機30が所定の通信を行うと、親機30の制御部32は、利用開始処理が行われたと判定してもよい。この場合、例えば、親機30の設置時において、親機30に対しガス供給管に設けられる遮断弁が接続され、親機30が遮断弁を操作(テスト操作)するための信号を送信すると、親機30の制御部32は、利用開始処理が行われたと判定する。
【0115】
また、親機30が起動してから所定期間が経過すると、制御部32は、利用開始処理が行われたと判定してもよい。また、上記した制御部32により利用開始処理が行われたと判定される複数の処理(要件)のうちの少なくとも1つの処理が行われると、利用開始処理が行われたと制御部32により判定されるように構成してもよい。
【0116】
(3)親機30の操作部33に、親機30の動作モードを許容モードから規制モードに戻す第2操作部を設けてもよい。第2操作部は、例えば、ディップスイッチ33aと、プッシュスイッチ33bとで構成され(
図5参照)、ディップスイッチ33aが所定の第2状態に操作された状態で、プッシュスイッチ33bが押下されることによって、親機30の動作モードが許容モードから規制モードに戻される。なお、第2操作部を、専用に設けられたプッシュスイッチ等の操作具で構成してもよい。
【0117】
(4)本実施形態では、許容モード時において、親機30が起動すると、リセット発呼信号が送信されるように設定されている。しかし、親機30が起動(起動には、再起動も含まれる)される場合以外にも、リセット発呼信号が送信されるように構成してもよい。例えば、振動センサにより地震の振動が検知された場合(振動センサの検出値が所定の閾値よりも大きくなった場合)のように、緊急事態が発生した場合には、緊急事態の発生中に親機30が再起動されなくても、緊急事態の終了後(例えば、振動センサの検出値が所定の閾値以下になったとき)に親機30からリセット発呼信号が送信されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、通信装置、通信システム、及び通信制御方法の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0119】
10 サーバ
20 センタ側網制御装置
30 親機
32 制御部
35 広域無線通信部
100 テレメータシステム