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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】アジャスタ及び空間構造体
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20231110BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20231110BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20231110BHJP
   E04B 9/04 20060101ALI20231110BHJP
   E04B 9/06 20060101ALI20231110BHJP
   F16B 9/02 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
E04H1/12 A
E04B2/74 531N
E04B9/00 H
E04B9/04 A
E04B9/06 B
E04B2/74 531R
F16B9/02 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019180752
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021055442
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-09-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日 平成30年11月7日(開催期間:7日~9日) 展示会名 UCHIDA FAIR 2019 開催場所 株式会社内田洋行 新川本社(東京都中央区新川2-4-7)
(73)【特許権者】
【識別番号】000152228
【氏名又は名称】株式会社内田洋行
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 晃
(72)【発明者】
【氏名】杉本 謙二
(72)【発明者】
【氏名】河合 喜浩
(72)【発明者】
【氏名】長島 雅弥
(72)【発明者】
【氏名】立川 秀樹
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-132474(JP,A)
【文献】特開2017-214753(JP,A)
【文献】特開平11-036633(JP,A)
【文献】特開平08-135218(JP,A)
【文献】米国特許第04599829(US,A)
【文献】特開2017-101426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
E04B 2/74
E04B 9/00,9/04,9/06
F16B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱部材と梁部材とによって形成される空間構造体の前記柱部材を支持するアジャスタであって、
鉛直方向に所定の高さを有する壁面と、鉛直方向に上下し得る高さ調節機構とを有し、床面に載置されるベース部と、
前記高さ調節機構の上部に支持される被支持部と、当該被支持部よりも下方に延び、前記ベース部の前記壁面と前記支持部との間に生じる間隙の少なくとも一部を覆うための外壁面とを有する柱支持部と、
を備えるアジャスタ。
【請求項2】
前記高さ調節機構を覆うカバーをさらに備える
請求項1に記載のアジャスタ。
【請求項3】
前記高さ調節機構は、前記ベース部が備えるネジ孔と、当該ネジ孔に挿入されるネジとを含む
請求項1又は2に記載のアジャスタ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のアジャスタと、
鉛直方向に延び、前記アジャスタの上部に接続される前記柱部材と、
水平方向に延び、前記柱部材と垂直に接続される前記梁部材と、
を備える空間構造体。
【請求項5】
前記柱部材は、当該柱部材の軸心方向に沿って延びた開口部を前記柱部材の側面に有する半閉空間である柱側溝部を有し、
前記カバーは、前記ベース部と、前記柱部材とに接続され、
前記カバーは、前記柱側溝部に挿入されたナット状部材とボルトで締結されることにより接続される
請求項2を引用する請求項4に記載の空間構造体。
【請求項6】
平行に設けられる前記梁部材を少なくとも含み、
前記平行に設けられる梁部材間に架設され、電気設備、消防設備又は換気設備を設置するための設置孔を有する天井パネルをさらに備える
請求項4又は5に記載の空間構造体。
【請求項7】
前記梁部材は、当該梁部材の軸心方向に沿って延びた開口部を前記柱部材の側面に有する半閉空間である梁側溝部を有し、
前記天井パネルは、前記梁側溝部に挿入されたナット状部材とボルトで締結されることにより接続される
請求項6に記載の空間構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アジャスタ及び空間構造体の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空間を利用する際の利便性を向上するための空間の構築方法に関する技術が提案されていた。このような目的で設置される空間構造体には、壁面を備えるものもある。壁面になる板状の面材を固定するために、例えば、特許文献1においては、垂直方向に延びる縦部材と、縦部材と接続される、水平方向に延びる横部材とを備え、板状の面材を固定する枠構造が提案されている。本技術では、縦部材は、前記面材の端部の一面を支持する第1の縦部材と、当該第1の縦部材と接続され、面材の端部の他面を支持する第2の縦部材とを有し、横部材は、面材の端部の一面を支持する第1の横部材と、当該第1の横部材と接続され、面材の端部の他面を支持する第2の横部材とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-101426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、オフィスでの働き方に多様化が進み、社員の自席が定められていないフリーアドレスが採用されることもある。一方で、例えば機密性の高い内容であるが会議室を利用するのは手間がかかるような打合せの用途においては、特許文献1に示されたような枠体のみで形成された空間やこれに面材を固定して仕切っただけの空間では、遮音性に欠ける場合がある。また、個人が仕事に集中するためであったり、電話をかけるといった目的で利用する場合にも、閉塞的な空間を使用できると便利なことがある。
【0005】
そこで、本発明は、閉塞的な空間を構築するために適した技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるアジャスタは、柱部材と梁部材とによって形成される空間構造体の柱部材を支持するアジャスタであって、鉛直方向に所定の高さを有する壁面と、鉛直方向に上下し得る高さ調節機構とを有し、床面に載置されるベース部と、高さ調節機構の上部に支持される被支持部と、当該被支持部よりも下方に延び、ベース部の壁面と前記柱支持部との間に生じる間隙の少なくとも一部を覆うための外壁面とを有する柱支持部とを備える。。
【0007】
このように、外壁面は、ベース部と柱支持部との間に生じる間隙を覆う。したがって、どのような高さにして取り付ける場合であっても、柱部材の下に間隙を生じさせることがなくなり、閉塞的な空間を構築するために好適な部材となる。
【0008】
また、アジャスタは、高さ調節機構を覆うカバーをさらに備えるようにしてもよい。このようにすれば、内部の機構を覆うことで、外観が向上する。
【0009】
高さ調節機構は、例えば、ベース部が備えるネジ孔と、ネジ孔に挿入されるネジとを含むものである。すなわち、ネジの頭に柱支持部を載せ、ネジがベース部から突出する量を変更することによりアジャスタの高さを調節できる。
【0010】
本発明の他の側面に係る空間構造体は、上述したアジャスタと、鉛直方向に延び、アジャスタの上部に接続される柱部材と、柱部材に対して垂直に接続され、水平方向に延びる梁部材とを備える。上述のアジャスタは、外壁面が、アジャスタの高さを低く設定する場合にはベース部の壁面を覆い、アジャスタの高さを高く設定する場合には、ベース部と柱支持部との間に生じる間隙を覆う。したがって、どのような高さにして取り付ける場合であっても、柱部材の下に間隙を生じさせることがなくなる。このようなアジャスタを備える空間構造体によれば、柱部材の高さを調整する場合においても間隙を生じることが抑制され、閉塞的な空間を構築し得る。
【0011】
また、柱部材は、例えば、軸心方向に沿って延びた開口部を柱部材の側面に有する半閉空間である溝部を有し、カバーは、ベース部と、柱部材とに接続され、カバーは、溝部に挿入されたナット状部材とボルトで締結されることにより接続される。
【0012】
また、空間構造体は、平行に設けられる梁部材を少なくとも含み、平行に設けられる梁部材間に架設され、電気設備、消防設備又は換気設備を設置するための設置孔を有する天井パネルをさらに備えるものであってもよい。このようにすれば、屋内に閉塞的な空間を形成する場合であっても、利便性や安全性、快適性を向上させることができる。
【0013】
また、梁部材は、軸心方向に沿って延びた開口部を柱部材の側面に有する半閉空間である溝部を有し、天井パネルは、溝部に挿入されたナット状部材とボルトで締結されることにより接続されるものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、閉塞的な空間を構築するために適した技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係る空間構造体の正面、右側面、上面を表す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る空間構造体の背面、左側面、上面を表す斜視図である。
図3図3は、柱部材の一例を示す斜視図である。
図4図4は、梁部材の一例を示す斜視図である。
図5図5は、ジョイントの一例を示す斜視図である。
図6図6は、柱部材、アジャスタ及び保持枠の接続を説明するための図である。
図7図7は、アジャスタを上方から見た分解斜視図である。
図8図8は、アジャスタを下方から見た分解斜視図である。
図9図9は、高さを低く設定したアジャスタの斜視図である。
図10図10は、高さを高く設定したアジャスタの斜視図である。
図11図11は、梁部材及び天井の構成を示す下方から見た分解斜視図である。
図12図12は、梁部材及び天井の構成を示す上方から見た分解斜視図である。
図13図13は、天井設備パネルと梁部材との接続部分を拡大した部分的な斜視図である。
図14図14は、変形例に係る空間構造体の一例を示す図である。
図15図15は、変形例に係る空間構造体の一例を示す図である。
図16図16は、変形例に係る空間構造体の一例を示す図である。
図17図17は、変形例に係る空間構造体の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0017】
<空間構造体の構成>
図1は、本実施形態に係る空間構造体の正面、右側面、上面を表す斜視図である。図2は、本実施形態に係る空間構造体の背面、左側面、上面を表す斜視図である。なお、便宜上、扉のある面を空間構造体の正面とする。空間構造体100は、柱部材110と、梁部材120と、ジョイント130と、アジャスタ2と、天井設備パネル3と、天井吸音パネル4と、保持枠5と、扉6と、ガラスパネル7と、壁パネル8とを備える。柱部材110は、垂直方向に延びる柱状の部材である。梁部材120は、水平方向に延び、柱部材110の上端付近に接続される。ジョイント130は、柱部材110及び梁部材120を接続する。
【0018】
アジャスタ2は、鉛直方向の高さを変更するための機構(「高さ調節機構」とも呼ぶ)を備え、空間構造体100を設置する高さを調整する。ここで、空間構造体100は、床置きされるものであってもよいし、天井スラブに設けられたアンカーボルト(図示せず)から天吊りされるものであってもよい。すなわち、アジャスタ2の各々の高さを調整することで、床面の凹凸や傾斜、複数の柱部材110に生じる長さのばらつきを調整したり、天吊りする場合に生じる床面との間隙を埋めることができる。
【0019】
天井設備パネル3は、平行に設けられる2つの梁部材120の間に架設され、空間構造体100の天井の一部を形成する。また、天井設備パネル3は、空間構造体100の天井に様々な設備を設けるための設置孔を備える。例えば、天井設備パネル3には、照明や煙感知器等のような電気設備、スプリンクラー等のような消防設備、ベンチレーター等のような換気設備の少なくともいずれかを設けることができる。天井吸音パネル4は、例えば吸音効果のあるグラスウール等で形成される面材であり、空間構造体100の天井の一部を形成する。
【0020】
保持枠5は、柱部材110及び梁部材120の間に設けられ、壁面を形成する面材を保持する枠体である。扉6は、ドアヒンジを介して柱部材110と接続され、空間構造体100の出入口を開閉するための扉である。ガラスパネル7は、例えば強化ガラスで形成され、空間構造体100の壁面の少なくとも一部を構成する面材である。壁パネル8も、空間構造体100の壁面の少なくとも一部を構成する面材である。壁パネル8も、例えばグラスウール等の吸音材を含むものであってもよい。
【0021】
<柱及び梁>
図3は、柱部材110の一例を示す斜視図である。柱部材110は、その横断面において均等に四分割された形状を有する。断面の中心部から四方に放射状に隔壁111が延び、柱部材110の断面における正方形の頂点Pを形成する。そして、一の頂点Pから隣接する頂点Pに向かって、壁面112が延びている。一の頂点Pから延びる壁面112と、それに隣接する他の頂点Pから延びる壁面112は、両頂点Pの中間手前まで延びており、両者は接触しない。従って、対向する壁面112、112(すなわち、一対の壁面112)の間には、開口部113が形成される。また、一対の壁面112と隔壁111と中心部とによって、溝部114が形成される。これらの開口部113および溝部114は、図3に示すように、柱部材110の軸心方向にその全長にわたって延びている。また、隔壁111の内部には、鉛直方向に貫通する中空部が設けられている。中空部は、断面視において、柱部材110の中心部から頂点Pへ延びる隔壁111に沿った形状であり、頂点P側の端部には、ほぼ円形の円形孔116が設けられている。また、柱部材110の中心部にも、鉛直方向に貫通する、断面がほぼ円形の貫通孔が設けられている。更に、柱部材110の断面の各頂点Pにおいて、各頂点Pから柱部材110の外方向に延出し、該頂点Pにつながる二つの壁面112にそれぞれ直交する二つの外壁面115が設けられている。その結果、一の頂点Pから延出する外壁面115と、それに隣接する他の頂点Pから延出
する外壁面115は対向する。
【0022】
図4は梁部材120の一例を示す斜視図である。梁部材120の断面形状は、柱部材110の断面形状とほぼ同一である。梁部材120の中心部、隔壁121、壁面122(一対の壁面122)、開口部123、溝部124、外壁面125、円形孔126、頂点Qは、柱部材110の中心部、隔壁111、壁面112(一対の壁面112)、開口部113、溝部114、外壁面115、円形孔116、頂点Pにそれぞれ対応する形状である。梁部材120では、水平方向に外壁面115が形成されない。また、鉛直下方に延びる外壁面125よりも、鉛直上方に延びる外壁面127の方が長くなっている。対向する2つの外壁面127の間には、例えばケーブルを収納することができる配線用溝部が形成される。
【0023】
図5は、ジョイント130の一例を説明するための斜視図である。柱部材110と梁部材120の連結は、ジョイント130を介して行われる。ジョイント130は、柱部材110の上端に設置される際に接触する底面131を有しており、この底面131の中央には貫通孔(図示せず)が設けられている。この貫通孔は、底面131が柱部材110の上端に設置されると、柱部材110の中央部に設けられたネジ孔に対応する位置をとる。そして、ネジによってジョイント130を柱部材110に連結する。
【0024】
更に、ジョイント130は、梁部材120に設置されるときその端面と接触する設置面132を有しており、この設置面132の中央には貫通孔133が設けられている。この貫通孔133は、設置面132が梁部材120の端面に接触すると、梁部材120の中央部に設けられたネジ孔に対応する位置をとる。そして、ネジによってジョイント130を梁部材120に連結する。更に、設置面132が梁部材120の端面に接触するときに、梁部材120の配線用溝部の端部に嵌まり込むビームガイド部134が、ジョイント130に設けられている。ビームガイド部134が配線用溝部に嵌まり込むことで、梁部材120をジョイント130に連結するときの作業が容易となる。この設置面132、貫通孔133、ビームガイド部134は、ジョイント130の4つの側面の各々に設けられている。ジョイント130を梁部材120にネジで連結する場合はジョイント130の内側からネジを挿入し、連結作業を行う。
【0025】
<アジャスタ>
図6は、柱部材110、アジャスタ2及び保持枠5の接続を説明するための図である。柱部材110は、アジャスタ2の鉛直上方に載置され、接続される。また、柱部材110の側面であって、2つの外壁面115の間、及びアジャスタ2の側面であって、2つの外壁面125の間には、保持枠5の一部が挿入され、保持枠5は壁面となる面材を保持する。図6の例では、保持枠5は、ガラスパネル7を保持している。
【0026】
図7は、アジャスタ2を上方から見た分解斜視図である。図8は、アジャスタ2を下方から見た分解斜視図である。アジャスタ2は、柱支持部21と、ベース部22と、カバー23とを含む。柱支持部21は、断面の輪郭が柱部材110とほぼ同じであり、柱支持部21とアジャスタ2とを接続するとその側面はほぼ面一になる。柱支持部21は、ベース部22のネジ孔に挿入されるネジの頭の上に載置される。すなわち、ネジがネジ孔から突出する大きさによって、アジャスタ2の高さを調節することができる。カバー23は、アジャスタ2の側面を覆い、内部のネジや、柱支持部21とベース部22との隙間が見えないようにしている。
【0027】
柱支持部21は、上面211と、側面214と、平面視において側面214の端から柱支持部21の外方向に延出された外壁面215と、柱支持部21の鉛直方向中央付近であって、平行に延出する2つの外壁面215の間にほぼ水平に設けられる被支持部216と
を含む。柱支持部21の上面211の輪郭は「井」形になっている。すなわち、柱支持部21は、平行に設けられた2つの外壁面215の組を、側方の四方に向けて計4つ備えている。また、上面211の中央には、ほぼ正方形の端面を有する。端面の中央には、円形の貫通孔212を備える。なお、柱部材110の底面に設けられたネジ孔に、貫通孔212を介してネジ(図示せず)を挿入し、柱支持部21をアジャスタ2に固定するようにしてもよい。また、ほぼ正方形の端面の四隅周辺には、それぞれ円柱状の接続ガイド部213が上方に突出している。接続ガイド部213を柱部材110の円形孔116に挿入することで、使用者は、柱支持部21とアジャスタ2との接続面の位置合わせを容易に行うことができると共に、例えば回転などにより柱支持部21とアジャスタ2との接続面にずれが生じるのを防止できる。
【0028】
また、4つの側面214は、柱支持部21の上側半分程度に設けられている。一方、外壁面215は、側面214よりも下方に延び、柱支持部21の鉛直方向の全長に亘って設けられている。そして、柱支持部21は、側面214のない下側部分に、ベース部22を収容し得る。被支持部216は、ベース部22に接続されるネジの頭によって支持される。本実施形態では、被支持部216は、平面視において互いに逆方向に突出している。すなわち、四方に突出する4つの外壁面215の組のうち、平面視において互いに逆方向に突出する2つの外壁面215の組に、被支持部216が設けられている。また、被支持部216には、貫通孔217が設けられている。貫通孔217は、柱支持部21とベース部22とを組み合わせた状態において、上述したネジの頭と対応する位置に設けられている。したがって、使用者は、貫通孔217を通してドライバーやレンチ等でネジを締め、アジャスタ2の高さを変更することができる。
【0029】
ベース部22は、平面視においてほぼ十字形状の輪郭を有し、柱支持部21の下側に収容される。ベース部22は、上面221と、平面視において十字状に突出する四方の端を形成する側面223と、上述した外壁面215の内側に沿って形成される側面225とを含む。上面221は、平面視において逆方向に突出する2箇所に設けられ、それぞれネジ孔222を有する。ネジ孔222には、ネジ226が挿入され、ネジ226の頭が上面221から突出する高さによって柱支持部21との相対的な位置が変わり、アジャスタ2の高さを変更することができる。また、側面223には、ほぼ中央にネジ孔224が設けられている。ネジ孔224には、カバー23の下方の貫通孔を介してネジ(図示せず)が挿入され、カバー23を取り付けることができる。
【0030】
カバー23は、いわゆるZ形鋼であり、第1の面231と、第1の面231に一端が接続され、ほぼ90度に屈曲して延びる第2の面235と、第2の面235の他端に接続され、さらにほぼ90度に屈曲して延びる第3の面236とを含む。第1の面231には、貫通孔232が設けられ、ボルト233を通すことができる。ボルト233は、ほぼ直方体状のナット部材234が備えるネジ孔に挿入される。ナット部材234は、短手方向の長さが、柱部材110の開口部113よりも小さく、長手方向の長さが、開口部113よりも大きい。使用者は、ナット部材234を、開口部113から柱部材110の溝部114へ挿入し、ボルト233で締結することにより、カバー23を柱部材110に接続することができる。また、第3の面236にも、貫通孔237が設けられている。貫通孔237は、アジャスタ2を組み立てた状態において、ベース部22のネジ孔224と対応する位置に設けられており、ネジによってベース部22とカバー23とを接続することができる。貫通孔237には、例えば皿ネジの頭が収まるようにテーパがつけられている。なお、図7及び図8においては六角ボルトを図示したが、ボルト233の頭は皿状であってもよく、貫通孔232には皿ボルトの頭が収まるようなテーパがつけられていても良い。また、カバー23の第2の面235の高さ(すなわち、第3の面236の端部から第2の面235までの長さ)は、ネジ226の調節によって被支持部216が上昇する最大の高さよりも高くなっている。
【0031】
図9は、高さを低く設定したアジャスタ2の斜視図である。図10は、高さを高く設定したアジャスタ2の斜視図である。なお、図9及び図10においては、カバー23を省略している。図9及び図10に示すように、ネジ226の突出量を変更することにより、アジャスタ2の高さを変更することができる。ここで、柱支持部21の外壁面215は、被支持部216よりも下方に延出し、ベース部22の側面225と柱支持部21との間に生じる間隙の少なくとも一部を覆っている。よって、アジャスタ2の高さを変更しても、柱支持部21とベース部22との間に間隙が生じない。すなわち、外壁面215は、アジャスタ2の高さを低く設定する場合にはベース部22の側面225を覆い、アジャスタ2の高さを高く設定する場合には、ベース部22と柱支持部21との間に生じる間隙を覆う。また、柱支持部21の被支持部216と、ベース部22の上面221との間の間隙や、ネジ226は、カバー23によって覆われる。したがって、アジャスタ2は、その高さを調節しても側面が覆われ、閉じられた空間のコーナー部分に間隙を生じさせない構造になっている。なお、高さ調節機構は、ネジ226に限らず一般的なアジャスターボルト等を用いるようにしても良いが、外壁面215やカバー23等によって覆うことができるものが好ましい。
【0032】
<天井>
図11は、梁部材120及び天井の構成を示す下方から見た分解斜視図である。図12は、梁部材120及び天井の構成を示す上方から見た分解斜視図である。空間構造体100の天井は、天井設備パネル3と、天井吸音パネル4とで覆われている。天井設備パネル3は、平行に設けられる2つの梁部材120の間に架設される。天井吸音パネル4は、梁部材120に沿って設けられる天井保持部材41及び天井設備パネル3の端部の上に載置される。
【0033】
天井設備パネル3は、長方形形状の天井面31に、様々な設備を設けるための設置孔を備える。図11及び図12の例では、スプリンクラー32と、照明33と、ベンチレーター34とが設けられている。また、天井設備パネル3は、天井面31の短辺でほぼ90度に屈曲し、梁部材120と接続するための接続面35が延設されている。設備機器の取り付け方法は、従来のものと同様である。
【0034】
図13は、天井設備パネル3と梁部材120との接続部分を拡大した部分的な斜視図である。接続面35には、複数の貫通孔36が設けられている。使用者は、ボルト(図示せず)を貫通孔36に通して梁部材120の溝部124に挿入されたナット部材(図示せず)と接続し、天井設備パネル3を梁部材120の間に架設することができる。なお、ナット部材は、例えばアジャスタ2のカバー23を柱部材110に接続するために用いたもの(図7及び図8)と同様である。図12に示すように、天井面31の長辺の上部(すなわち天井裏側)の両側には、断面がコ字状のパネル保持溝が形成される。
【0035】
天井保持部材41は、梁部材120と接続するための接続面42を有し、接続面42には複数の貫通孔43が設けられている。接続面42、貫通孔43は、天井設備パネル3の接続面35、貫通孔36と、それぞれ対応する構成である。また、天井保持部材41は、接続面42の上端がほぼ90度に屈曲し、水平に設けられる水平面44が延設されている。また、天井吸音パネル4を載置する位置を囲うためのパネル位置決め壁45が、天井保持部材41の延在方向に沿って水平面44の中央に垂直に立設されている。水平面44と、パネル位置決め壁45とによって形成される断面がL字状のパネル保持部が形成される。
【0036】
施工時は、まず天井吸音パネル4の一端を天井設備パネル3側のパネル保持溝に差し込み、その後天井吸音パネル4の全体をパネル保持部に載置する。このような天井部分を設
けることで、空間の遮音性を向上させることができる。また、天井設備パネル3を設けることにより、オフィス等の室内に空間構造体100を設定する場合であっても、火災検知や消火のための機能を持たせることができるようになる。
【0037】
<変形例>
図14図17は、変形例に係る空間構造体100の一例を示す図である。図14の例では、空間構造体100は、3つのブースに区切られている。隣接するブースは、柱部材110、梁部材120及び壁面を共有する。
【0038】
図15の例でも空間構造体100は3つのブースに区切られているが、隣接するブースは柱部材110を共有するが、梁部材120及び壁面は共有していない。すなわち、平面視において正方形状のブースが頂点を共有して連結されている。上述した部材を組み合わせることにより、このような構成を実現することもできる。なお、梁部材120の長さ(すなわち、各ブースの幅及び奥行)についても、例えば1200mmや1600mm等、任意の長さを採用できる。
【0039】
図16の例では、空間構造体100は、天井から吊下げられた梁部材120によって形成される格子状の区画を複数使用して、広めの空間を形成している。このように、想定される利用人数に応じて、所望の広さの空間を構築することができる。広めの空間においては、複数の天井設備パネル3を配置し、照明や煙感知器等のような電気設備、スプリンクラー等のような消防設備、ベンチレーター等のような換気設備等を分散させて設置するようにしても良い。
【0040】
図17の例では、直方体状のブースの側面の一面が開放され、内部にテーブルと向かい合わせのソファを配置している。図17の例では、空間は完全に閉じられていないが、使用者の視界は壁面によって遮られ、閉塞的な空間を構築することができる。
【0041】
いずれの変形例においても、アジャスタ2や、天井設備パネル3、天井吸音パネル4等が利用されている。上述の通り、アジャスタ2によれば、柱部材110と床面との間に間隙が生じるのを防ぐことができる。また、図16に示したような、予め天井から吊られた梁部材の下に追加で空間構造体100を設置する場合に、柱部材110の高さを望ましい位置に調節することが可能となる。したがって、アジャスタ2によれば、空間構造体100の遮音性や外観を向上させることができる。特に、図14図16のような密閉空間を形成すれば、遮音性を向上させることができる。また、天井設備パネル3及び天井吸音パネル4によれば、空間構造体100の天井を閉塞させることができ、遮音性を向上させることができる。また、天井設備パネル3に電気設備、消防設備、換気設備等を設置することにより、屋内に閉塞的な空間を形成する場合であっても、利便性や安全性、快適性を向上させることができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は本発明を実施するための例示であり、本発明に係る枠構造、及び空間構造体はこれらに限らず、可能な限りこれらの組合せを含むことができる。
【符号の説明】
【0043】
100 空間構造体
110 柱部材
120 梁部材
130 ジョイント
2 アジャスタ
21 柱支持部
214 側面
215 外壁面
216 被支持部
217 貫通孔
22 ベース部
221 上面
222 ネジ孔
223 側面
224 側面
224 ネジ孔
225 側面
226 ネジ
23 カバー
3 天井設備パネル
32 スプリンクラー
33 照明
34 ベンチレーター
4 天井吸音パネル
5 保持枠
6 扉
7 ガラスパネル
8 壁パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17