(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】電気化学セル
(51)【国際特許分類】
H01M 50/105 20210101AFI20231110BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20231110BHJP
H01M 50/166 20210101ALI20231110BHJP
H01M 50/109 20210101ALI20231110BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20231110BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20231110BHJP
【FI】
H01M50/105
H01M50/129
H01M50/166
H01M50/109
H01M50/184 C
H01M50/184 E
H01G11/78
(21)【出願番号】P 2019184458
(22)【出願日】2019-10-07
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 俊二
(72)【発明者】
【氏名】田中 和美
(72)【発明者】
【氏名】木村 長幸
(72)【発明者】
【氏名】玉地 恒昭
【審査官】儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0047756(KR,A)
【文献】特許第6284248(JP,B1)
【文献】特開2018-085214(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0250384(US,A1)
【文献】特開2005-018990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池軸方向に互いに積層された複数の電極を有する電極体と、
第1ラミネート部材及び第2ラミネート部材を有し、前記電極体を内部に収容する外装体と、を備え、
前記外装体は、
前記第1ラミネート部材及び前記第2ラミネート部材が前記電極体を挟んで前記電池軸方向に配置されることで形成され、前記電極体を内部に収容する収容部と、
前記第1ラミネート部材及び前記第2ラミネート部材が重なり合った状態で互いに接合され、前記収容部の内部を封止する封止部と、を備え、
前記収容部は、前記電極体を挟んで前記電池軸方向に向かい合う頂壁部及び底壁部と、前記電極体を径方向の外側から囲む筒状の周壁部と、を備え、
前記封止部は、前記周壁部に沿って折り曲げられると共に前記周壁部を径方向の外側から全周に亘って囲む筒状に形成され、且つ前記周壁部に対して径方向の外側から接触し
、
前記封止部には、前記封止部の全周に亘って、径方向の外側に向けた突出と径方向の内側に向けた突出とを繰り返しながら周方向に延びるしわ部が形成されていることを特徴とする
ボタン型の電気化学セル。
【請求項2】
請求項
1に記載の電気化学セルにおいて、
前記しわ部は、前記封止部における開口端側にむけてしわ深さが深くなるように形成されている、電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学セルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン、ウエアラブル機器、補聴器等の小型機器の電源として、リチウムイオン二次電池、電気化学キャパシタ等の電気化学セルが広く活用されている。
近年、この種の電気化学セルとして、電極体を内部に収容する外装体にラミネートフィルムを用いる、いわゆるラミネートタイプの電気化学セルが知られている。このラミネートタイプの電気化学セルは、小型且つ形状自由度が高く、さらに高容量化に繋がる電気化学セルとして知られている。
【0003】
例えば下記特許文献1には、電極体と、第1ラミネート部材及び第2ラミネート部材を有し、第1ラミネート部材と第2ラミネート部材との間に電極体を収容する外装体と、を備えた電気化学セルが開示されている。
外装体は、電極体を収容する収容部と、収容部の外周に沿って折り曲げられた封止部と、を備えている。封止部は、第1ラミネート部材と第2ラミネート部材との溶着部を、成形用金型を利用して、収容部の外周に沿うように折り曲げ成形されることで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のラミネートタイプの電気化学セルは、外装体の封止部が収容部の外周に沿うように折り曲げられたコイン型とされているので、平面視矩形状に形成されたラミネート電池に比べて小型化され、体積効率の向上化が図られている。
なお、体積効率とは、電池全体の体積に対する電極が占める体積の割合、すなわち「電極部分体積/電池全体体積」を言う。
【0006】
しかしながら、封止部は、成形用金型を利用した折り曲げ成形によって形成されるので、成形用金型の構造上、収容部の外周と封止部との間に環状の隙間空間が形成されてしまうものであった。そのため、隙間空間のスペース分だけ大径化してしまうので、さらなる小径化を図ることが難しく、改善の余地があった。
【0007】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、小径化を図ることができ、体積効率のさらなる向上化に繋げることができるラミネートタイプの電気化学セルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る電気化学セルは、電池軸方向に互いに積層された複数の電極を有する電極体と、第1ラミネート部材及び第2ラミネート部材を有し、前記電極体を内部に収容する外装体と、を備え、前記外装体は、前記第1ラミネート部材及び前記第2ラミネート部材が前記電極体を挟んで前記電池軸方向に配置されることで形成され、前記電極体を内部に収容する収容部と、前記第1ラミネート部材及び前記第2ラミネート部材が重なり合った状態で互いに接合され、前記収容部の内部を封止する封止部と、を備え、前記収容部は、前記電極体を挟んで前記電池軸方向に向かい合う頂壁部及び底壁部と、前記電極体を径方向の外側から囲む筒状の周壁部と、を備え、前記封止部は、前記周壁部に沿って折り曲げられると共に前記周壁部を径方向の外側から全周に亘って囲む筒状に形成され、且つ前記周壁部に対して径方向の外側から接触し、前記封止部には、前記封止部の全周に亘って、径方向の外側に向けた突出と径方向の内側に向けた突出とを繰り返しながら周方向に延びるしわ部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る電気化学セルによれば、収容部の内部を封止する封止部を、収容部における周壁部に沿って折り曲げていると共に、周壁部を径方向の外側から全周に亘って囲む筒状に形成したうえで、周壁部に対して径方向の外側から接触させている。これにより、周壁部との間に環状の隙間をあけることなく、周壁部を囲むように封止部を配置させることができる。従って、上記隙間を省略できる分、従来に比べて電気化学セル全体の小径化を図ることができる。
特に、電極体を収容する収容部のサイズを変えることなく、電気化学セル全体の小径化を図ることができるので、電気化学セル全体の体積に対する電極体が占める体積比率を向上できる。従って、体積効率の向上化に繋げることができる。
【0010】
また、厚みの薄い第1ラミネート部材及び第2ラミネート部材を利用して外装体を形成しているので、周壁部及び封止部の厚み自体を薄肉することができる。この点においても、電気化学セルの小径化を図り易い。
さらに、これら第1ラミネート部材及び第2ラミネート部材を例えば熱溶着等によって接合することで封止部を構成できるうえ、周壁部に沿って封止部を折り曲げている。従って、第1ラミネート部材と第2ラミネート部材との間を通じて、外部から収容部内に塵埃や水分等の外乱が侵入することを効果的に防止することができる。従って、作動信頼性が安定した電気化学セルとすることができる。
【0012】
さらに、しわ部を利用して、封止部の折り曲げ時に生じる応力歪み等を吸収できるので、例えば絞り成形によって封止部を形成することができる。従って、封止部の全周に亘って均等な外力を加えながら折り曲げつつ、周壁部に対して封止部の全体を一様に接触させることが可能である。従って、電気化学セルの小径化に一層繋げることができる。
【0013】
(2)前記しわ部は、前記封止部における開口端側にむけてしわ深さが深くなるように形成されても良い。
【0014】
この場合には、電池軸方向に沿った封止部の長さ(高さ)が長い場合であっても、例えば絞り成形によって封止部を適切に形成することができ、周壁部と封止部との間に隙間を生じさせることなく、周壁部に対して封止部を接触させ易い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、小径化を図ることができると共に、体積効率のさらなる向上化に繋げることができるラミネートタイプの電気化学セルとすることができる。従って、小径化、小型化、軽量化を図ることができると共に、体積容量密度が高い高性能な電気化学セルとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る二次電池(電気化学セル)の実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すA-A線に沿った二次電池の縦断面図である。
【
図3】
図2に示す仮想円Bで囲んだ部分を拡大した二次電池の縦断面図である。
【
図5】
図4に示すC-C線に沿った電極体の縦断面図である。
【
図6】
図5に示す正極電極の捲回前における展開図である。
【
図7】
図5に示す負極電極の捲回前における展開図である。
【
図8】
図1に示す二次電池の製造途中の一工程を示す図であって、封止部を折り曲げ成形する前の成形前電池の斜視図である。
【
図9】
図8に示す成形前電池を別の視点から見た斜視図である。
【
図10】
図8に示す成形前電池を成形用金型の第1金型にセットした状態を示す断面図である。
【
図11】
図10に示す状態の後、第1金型と第2金型との間で成形前電池の封止部を挟み込んで固定した状態を示す断面図である。
【
図12】
図11に示す状態の後、パンチ部を上昇させた状態を示す断面図である。
【
図13】
図12に示す状態の後、パンチ部の成形部を利用して封止部を折り曲げ成形している状態を示す断面図である。
【
図14】
図13に示す状態の後、成形用金型から封止部が折り曲げ成形された成形後電池を取り出した状態を示す断面図である。
【
図15】
図14に示す状態の後、成形後電池を絞り成形用金型にセットした状態を示す断面図である。
【
図16】
図15に示す状態の後、成形後電池の封止部を絞り成形している状態を示す断面図である。
【
図17】本発明に係る二次電池の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る電気化学セルの実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、電気化学セルとして、非水電解質二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池(以下、単に二次電池という。)を例に挙げて説明する。
【0018】
図1~
図4に示すように、本実施形態の二次電池1は、いわゆるコイン型(ボタン型)の電池とされ、電池軸O方向に沿って互いに積層された複数の電極、すなわち正極電極10及び負極電極20を有する電極体2と、ラミネートフィルムで形成され、電極体2を内部に収容する外装体3と、を主に備えている。なお、各図面では、電極体2を適宜簡略化して図示している。
【0019】
本実施形態では、電極体2の中心を通り上下方向に沿って延びる軸線を電池軸Oという。また、電池軸O方向から見た平面視で、電池軸Oに交差する方向を径方向といい、電池軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0020】
図4及び
図5に示すように、電極体2は、正極電極10及び負極電極20が図示しないセパレータを挟んで積層された、いわゆる積層型電極とされている。
電極体2は、平面視で外形が円形状となるように形成されている。ただし、電極体2の外形形状は、この場合に限定されるものではなく、その他の形状、例えば楕円状、長円形状或いは菱形状等であっても良く、適宜変更して構わない。
【0021】
本実施形態の正極電極10及び負極電極20は、セパレータを挟んで捲回されることで互い違いに積層されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば正極電極10及び負極電極20が互いに交差する方向からそれぞれつづら折り形状に折り畳まれることで、互い違いに積層されても構わない。さらには、セパレータの両面に正極電極10と負極電極20とを具備する、いわゆるペレット型の電極体としても構わない。
【0022】
電極体2の構造について簡単に説明する。
図6に示すように、正極電極10は、捲回前における展開した状態において第1方向L1に沿って延びる帯状に形成された正極集電体11と、正極集電体11の両面に形成された図示しない正極活物質層と、を備えている。
【0023】
正極集電体11は、例えばアルミニウム、ステンレス等の金属材料で厚みの薄いシート状に形成され、複数の正極本体12及び複数の正極接続片13を備えている。正極本体12は、円板状に形成され、第1方向L1に一列に並ぶように間隔をあけて配置されている。図示の例では、正極本体12の数は8個とされている。ただし、正極本体12の数は、8個に限定されるものではなく、適宜変更して構わない。
【0024】
正極接続片13は、第1方向L1に隣接する正極本体12の間に配置され、隣接する正極本体12同士を接続している。従って、図示の例では、正極接続片13の数は7個とされている。なお、正極接続片13は、平面視で第1方向L1に直交する第2方向L2に沿った幅が、正極本体12の第2方向L2に沿った幅よりも短く形成されている。
【0025】
正極接続片13の外縁は、平面視で内側に窪む円弧状に形成されていると共に、正極本体12における円弧状の外縁に滑らかに繋がるように連設されている。ただし、正極接続片13の外縁は、必ずしも円弧状である必要はなく、例えば直線状に形成されていても構わない。
特に、各正極接続片13における第1方向L1に沿った寸法は、捲回状態における電極体12において外周側に配置される正極接続片13ほど大きくなっている。これにより、展開状態で第1方向L1に隣り合う一対の正極本体12同士の間隔は、捲回状態で外周側に位置するほど大きくなっている。
【0026】
複数の正極本体12のうち、第1方向L1における一方のエンド位置に位置している正極本体12(すなわち、捲回状態において最外周に配置される正極本体12)には、第1方向L1の外側に向けてさらに延びるように正極端子タブ14が形成されている。
なお、本実施形態では、第1方向L1における他方のエンド位置に位置している正極本体12を、1段目の正極本体12と称し、正極端子タブ14が形成されている正極本体12に向けて順に2段目、3段目、4段目、5段目、6段目、7段目、8段目の正極本体12と称する。従って、正極端子タブ14が形成されている正極本体12は、8段目の正極本体12に相当する。
【0027】
正極活物質層は、正極端子タブ14を除いた正極集電体11の両面に形成されている。正極活物質層は、正極活物質、導電助剤、結着剤及び増粘剤等を含んでおり、例えばコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム等の複合金属酸化物で形成されている。
導電助剤としては、例えば、カーボンブラック類、炭素材料及び金属微粉等が挙げられる。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂材料が挙げられる。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の樹脂材料が挙げられる。
【0028】
図7に示すように、負極電極20は、捲回前における展開した状態において第1方向L1に沿って延びる帯状に形成された負極集電体21と、負極集電体21の両面に形成された図示しない負極活物質層と、を備えている。
負極集電体21は、例えば銅、ニッケル及びステンレス等の金属材料で厚みの薄いシート状に形成され、複数の負極本体22及び複数の負極接続片23を備えている。負極本体22は、正極本体12と同様に円板状に形成され、第1方向L1に一列に並ぶように間隔をあけて配置されている。図示の例では、負極本体22の数は正極本体12の数に対応して8個とされている。ただし、負極本体22の数は8個に限定されるものではなく、正極本体12の数に対応して適宜変更して構わない。
【0029】
負極接続片23は、第1方向L1に隣接する負極本体22の間に配置され、隣接する負極本体22同士を接続している。従って、図示の例では、負極接続片23の数は7個とされている。なお、負極接続片23は、平面視で第1方向L1に直交する第2方向L2に沿った幅が、負極本体22の第2方向L2に沿った幅よりも短く形成されている。
【0030】
負極接続片23の外縁は、平面視で内側に窪む円弧状に形成されていると共に、負極本体22における円弧状の外縁に滑らかに繋がるように連設されている。ただし、負極接続片23の外縁は、必ずしも円弧状である必要はなく、例えば直線状に形成されていても構わない。
特に、各負極接続片23における第1方向L1に沿った寸法は、捲回状態における電極体12において外周側に配置される負極接続片23ほど大きくなっている。これにより、展開状態で第1方向L1に隣り合う一対の負極本体22同士の間隔は、捲回状態で外周側に位置するほど大きくなっている。
【0031】
複数の負極本体22のうち、第1方向L1における一方のエンド位置に位置している負極本体22(すなわち、捲回状態において最外周に配置される負極本体22)には、第1方向L1の外側に向けてさらに延びるように負極端子タブ24が形成されている。
なお、本実施形態では、第1方向L1における他方のエンド位置に位置している負極本体22を、1段目の負極本体22と称し、負極端子タブ24が形成されている負極本体22に向けて順に2段目、3段目、4段目、5段目、6段目、7段目、8段目の負極本体22と称する。従って、負極端子タブ24が形成されている負極本体22は、8段目の負極本体22に相当する。
【0032】
上述のように構成された負極電極20は、外形形状が先に述べた正極電極10の外形形状に対して同等の相似形状とされている。ただし、正極電極10の外形サイズは、負極電極20の外形サイズよりも僅かに小さく(一回り小さく)形成されている。
【0033】
負極活物質層は、負極端子タブ24を除いた負極集電体21の両面に形成されている。負極活物質層は、負極活物質、導電助剤、結着剤及び増粘剤等を含んでおり、例えば黒鉛等の炭素材料で形成されている。
導電助剤としては、例えば、カーボンブラック類、炭素材料及び金属微粉等が挙げられる。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂材料が挙げられる。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の樹脂材料が挙げられる。
【0034】
上述のように構成された正極電極10及び負極電極20は、先に述べたようにセパレータを挟んで捲回されることで、互い違いに積層されている。
具体的には、
図6に示す正極電極10及び
図7に示す負極電極20を、例えば正極端子タブ14と負極端子タブ24とが互いに逆側に配置されるように第1方向L1に沿って配置した状態で、1段目の正極本体12と1段目の負極本体22とを重ね合わせる。次いで、互いに重ね合わせた1段目の正極本体12及び負極本体22を起点として、正極電極10及び負極電極20を同じ方向に繰り返し捲回する。これにより、正極本体12と負極本体22とを交互に重ね合わせるように電池軸O方向に積層することができ、
図5に示す電極体2とすることができる。なお、
図5ではセパレータの図示を省略している。
【0035】
上述の捲回によって得られた電極体2は、
図5に示すように、正極端子タブ14が形成された8段目の正極本体12が最上段に位置し、負極端子タブ24が形成された8段目の負極本体22が最下段に位置する。従って、電極体2は、正極端子タブ14が上方を向き、負極端子タブ24が下方を向くように配置された状態で外装体3内に収容される。
【0036】
なお、
図5に示す電極体2において、正極電極10に着目すると、上方から下方に向けて第8段目、第6段目、第4段目、第2段目、第1段目、第3段目、第5段目、第7段目の順に正極本体12が電池軸O方向に互いに平行に並ぶように正極電極10は捲回される。これに対して、負極電極20に着目すると、上方から下方に向けて第7段目、第5段目、第3段目、第1段目、第2段目、第4段目、第6段目、第8段目の順に負極本体22が電池軸O方向に互いに平行に並ぶように負極電極20は捲回される。
【0037】
図1~
図4に示すように、外装体3は、ラミネートフィルムによって形成された第1ラミネート部材30及び第2ラミネート部材40を備えている。
外装体3は、第1ラミネート部材30及び第2ラミネート部材40が電極体2を間に挟んで電池軸O方向に配置されることで形成され、電極体2を内部に収容する収容部50と、第1ラミネート部材30及び第2ラミネート部材40が重なり合った状態で互いに接合され、収容部50の内部を封止する封止部51と、を備えている。これにより、外装体3は、収容部50の内部に電極体2を密封した状態で収容している。収容部50の内部には、図示しない電解質溶液が充填されている。
【0038】
収容部50は、電極体2を挟んで電池軸O方向に向かい合う頂壁部55及び底壁部56と、電極体2を径方向の外側から囲む環状の周壁部57と、を備えている。
封止部51は、周壁部57に沿って折り曲げられると共に、周壁部57を径方向の外側から全周に亘って囲む環状に形成され、且つ周壁部57に対して径方向の外側から接触している。
【0039】
収容部50及び封止部51を具備する外装体3について、以下に詳細に説明する。
図2及び
図3に示すように、第1ラミネート部材30は、電極体2を主に上方から覆う部材であって、金属層31と、金属層31の両面を被覆する内側樹脂層32及び外側樹脂層33とを有している。内側樹脂層32及び外側樹脂層33は、図示しない接合層を介して金属層31の両面に対して、例えば熱融着或いは接着等によってそれぞれ密に接合されている。なお、各図面では、これら金属層31、内側樹脂層32及び外側樹脂層33の図示を適宜省略している。
【0040】
金属層31は、外気や水蒸気の遮断に好適な金属材料、例えばステンレス、アルミニウム等によって形成されている。
内側樹脂層32は、例えばポリオレフィンのポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を用いて形成される。ポリオレフィンとしては、例えば高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)や低圧法高密度ポリエチレン(HDPE)、インフレーションポリプロピレン(IPP)フィルム、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(L-LDPE、メタロセン触媒仕様)の何れかの材質を用いることができる。特に、ポロプロピレン樹脂が好ましい。
外側樹脂層33は、例えば上述のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等を用いて形成される。
【0041】
第1ラミネート部材30は、電極体2を上方から覆う平面視円形状の頂壁部35と、頂壁部35の外周縁部から下方に向けて延びると共に電極体2を径方向の外側から囲む筒状の周壁部36と、周壁部36を径方向の外側から囲む筒状の第1封止部37とを備えた、有頂の二重筒状に形成されている。
図示の例では、第1封止部37の上端開口端の高さ位置は、頂壁部35の高さ位置と同等とされている。これにより、第1封止部37は、頂壁部35よりも上方に突出することなく形成されている。
【0042】
第2ラミネート部材40は、電極体2を主に下方から覆う部材であって、金属層41と、金属層41の両面を被複する内側樹脂層42及び外側樹脂層43とを有している。内側樹脂層42及び外側樹脂層43は、図示しない接合層を介して金属層41の両面に対して、例えば熱融着或いは接着等によってそれぞれ密に接合されている。
なお、金属層41、内側樹脂層42及び外側樹脂層43の材質等は、第1ラミネート部材30における金属層31、内側樹脂層32及び外側樹脂層33と同様である。また、各図面では、これら金属層41、内側樹脂層42及び外側樹脂層43の図示を適宜省略している。
【0043】
第2ラミネート部材40は、電極体2を下方から覆う底壁部45と、底壁部45の外周縁部から上方に向けて延びると共に、第1封止部37を径方向の外側からさらに囲む筒状の第2封止部46とを備えた有底筒状に形成されている。
図示の例では、第2封止部46の上端開口端の高さ位置は、第1封止部37の上端開口端の高さ位置と同等とされている。
【0044】
上述のように構成された第1ラミネート部材30及び第2ラミネート部材40によって、外装体3が構成されている。
具体的には、第1ラミネート部材30における頂壁部35及び周壁部36が、収容部50としての頂壁部55及び周壁部57としてそれぞれ機能する。また、第2ラミネート部材40における底壁部45が収容部50としての底壁部56として機能する。さらに、第1ラミネート部材30における第1封止部37及び第2ラミネート部材40における第2封止部46が、封止部51として機能する。
【0045】
封止部51として機能する第1封止部37及び第2封止部46は、互いに一体に接合され、これによって収容部50の内部を密閉状態に封止している。
具体的には、第1封止部37における内側樹脂層32及び第2封止部46における内側樹脂層42同士が、例えば超音波溶着或いは熱溶着によって一体に接合されている。ただし、接合方法としては、超音波溶着或いは熱溶着に限定されるものではなく、例えば高周波溶着や接着剤を利用した接着等でも構わない。
【0046】
特に第1封止部37及び第2封止部46は、互いに一体に接合された後、後述する成形用金型70によって折り曲げ成形され、続けて、後述する絞り成形用金型80によって縮径するように絞り成形されることで、形成されている。
これにより、第1封止部37及び第2封止部46で構成される封止部51は、周壁部57の外周面に対して全周に亘って径方向の外側から密に押し付けられた密着状態で接触している。
【0047】
なお、第1封止部37の下端部と周壁部36の下端部との接続部分は、絞り成形によって生じる内側折曲部52として機能する。また第2封止部46の下端部と底壁部45の外周縁部との接続部分は、絞り成形によって生じる外側折曲部53として機能する。
【0048】
さらに封止部51には、径方向の外側に向けた突出と径方向の内側に向けた突出とを繰り返しながら周方向に延びるしわ部58が形成されている。しわ部58は、径方向に交互に凹凸を繰り返すように、封止部51の全周に亘って形成されている。なお、しわ部58は、内側折曲部52側及び外側折曲部53側から封止部51の開口端側に向けてしわ深さが深くなるように形成されている。従って、しわ部58は、
図2に示すように、封止部51における開口端側に主に集中して形成されている。
【0049】
さらに本実施形態の二次電池1は、
図2及び
図4に示すように、第1電極板60及び第2電極板61と、第1電極端子板62及び第2電極端子板63と、第1シーラントフィルム64及び第2シーラントフィルム65と、を備えている。
これら第1電極板60、第2電極板61、第1電極端子板62、第2電極端子板63、第1シーラントフィルム64及び第2シーラントフィルム65は、外装体3における収容部50の内部に電極体2と共に収容されている。
【0050】
第1電極板60、第1電極端子板62及び第1シーラントフィルム64は、電極体2と第1ラミネート部材30における頂壁部35との間に配設されている。第2電極板61、第2電極端子板63及び第2シーラントフィルム65は、電極体2と第2ラミネート部材40における底壁部45との間に配設されている。
【0051】
第1電極板60は、平面視円形状に形成され、電極体2における正極電極10に一体に接続されている。第1電極板60は、例えばアルミニウム或いはステンレス等の金属材料によって電極体2よりも小さい直径で形成され、電池軸Oと同軸上に配置されている。
第1電極板60は、電極体2における正極電極10の8段目の正極本体12に重なって配置されていると共に、電極体2側を向いた下面に正極端子タブ14が例えば超音波溶接等により溶着されている。これにより、第1電極板60は正極電極10に一体に接続されている。
【0052】
第1電極端子板62は、例えばニッケル等の金属材料によって第1電極板60よりも小さい直径の平面視円形状に形成され、第1電極板60のうち第1ラミネート部材30側を向いた上面に重なって配置されている。そして第1電極端子板62は、第1電極板60の上面に例えば抵抗溶接等による溶着等によって一体に固着されている。第1電極端子板62は、正極電極10の外部接続端子として機能する。
【0053】
第1ラミネート部材30の頂壁部35には、第1電極端子板62を外部に露出させる平面視円形状の第1貫通孔35aが形成されている。第1貫通孔35aは、頂壁部35における中央部を上下に貫通するように形成され、電池軸Oと同軸上に形成されている。
【0054】
第1シーラントフィルム64は、第1電極端子板62を径方向外側から囲む環状に形成され、第1電極端子板62を囲んだ状態で第1電極端子板62と第1ラミネート部材30の頂壁部35との間に電池軸Oと同軸上に配置されている。
第1シーラントフィルム64は、第1ラミネート部材30における頂壁部35の内側樹脂層32及び第1電極板60の上面に対してそれぞれ熱溶着されている。これにより、第1電極板60は、第1シーラントフィルム64を介して第1ラミネート部材30の頂壁部35に対して熱溶着されている。
なお、第1シーラントフィルム64は、例えばポレオレフィンのポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、或いは不織布で強化されたポリプロピレンで形成されている。
【0055】
上述のように第1電極板60、第1電極端子板62及び第1シーラントフィルム64が形成されているので、第1電極端子板62は第1貫通孔35aを通じて全面が上方に露出している。
【0056】
図2及び
図4に示すように、第2電極板61、第2電極端子板63及び第2シーラントフィルム65は、上述した第1電極板60、第1電極端子板62及び第1シーラントフィルム64と同様に形成、及び同様に配置されている。
【0057】
第2電極板61は、平面視円形状に形成され、電極体2における負極電極20に一体に接続されている。第2電極板61は、例えば銅等の金属材料によって電極体2よりも小さい直径で形成され、電池軸Oと同軸上に配置されている。第2電極板61は、電極体2における負極電極20の8段目の負極本体22に重なって配置されていると共に、電極体2側を向いた上面に負極端子タブ24が例えば超音波溶接等により溶着されている。これにより、第2電極板61は負極電極20に一体に接続されている。
【0058】
第2電極端子板63は、例えばニッケル等の金属材料によって第2電極板61よりも小さい直径の平面視円形状に形成され、第2電極板61のうち第2ラミネート部材40側を向いた下面上に配置されている。そして第2電極端子板63は、第2電極板61の下面に例えば抵抗溶接等による溶着等によって一体に固着されている。第2電極端子板63は、負極の外部接続端子として機能する。
【0059】
第2ラミネート部材40の底壁部45には、第2電極端子板63を外部に露出させる平面視円形状の第2貫通孔45aが形成されている。第2貫通孔45aは、底壁部45における中央部を上下に貫通するように形成され、電池軸Oと同軸上に形成されている。
【0060】
第2シーラントフィルム65は、第2電極端子板63を径方向外側から囲む環状に形成され、第2電極端子板63を囲んだ状態で第2電極端子板63と第2ラミネート部材40の底壁部45との間に電池軸Oと同軸上に配置されている。
第2シーラントフィルム65は、第2ラミネート部材40における底壁部45の内側樹脂層42及び第2電極板61の下面に対してそれぞれ熱溶着されている。これにより、第2電極板61は、第2シーラントフィルム65を介して第2ラミネート部材40の底壁部45に対して熱溶着されている。
なお、第2シーラントフィルム65は、第1シーラントフィルム64と同様に、例えばポレオレフィンのポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、或いは不織布で強化されたポリプロピレンで形成されている。
【0061】
上述のように第2電極板61、第2電極端子板63及び第2シーラントフィルム65が形成されているので、第2電極端子板63は第2貫通孔45aを通じて全面が下方に露出している。
【0062】
(二次電池の製造方法)
次に、上述のように構成された二次電池1を製造するにあたって、封止部51を折り曲げ及び絞り成形する方法について説明する。
はじめに、
図8及び
図9に示すように、外装体3における収容部50内に電極体2を収容し、且つ電解質溶液を充填した状態で、第1封止部37と第2封止部46とを超音波溶着等により一体に接合する工程を行う。
【0063】
これにより、第1封止部37と第2封止部46とが一体に接合されることで、環状に形成された封止部51を具備する成形前電池1Aを得ることができる。
なお、この段階において、第1電極端子板62は第1貫通孔35aを通じて全面が上方に露出している。また、第2電極端子板63は第2貫通孔45aを通じて全面が下方に露出している。
【0064】
次いで、
図10に示す成形用金型70を利用して、封止部51を折り曲げ成形する工程を行う。
成形用金型70としては、成形前電池1Aを支持する第1金型71と、第1金型71の上方に配置され、第1金型71に対して電池軸O方向に接近離間可能とされた第2金型72と、第1金型71及び第2金型72に対して電池軸O方向に相対移動可能に配置されたパンチ部73と、を備えている。
【0065】
第1金型71には、該第1金型71を電池軸O方向に貫通する第1成形孔71aが形成されている。第1成形孔71aは、平面視円形状に形成され、電池軸Oと同軸に配置されている。第1金型71における上面は封止部51が支持される載置面75とされている。
第2金型72には、該第2金型72を電池軸O方向に貫通する第2成形孔72aが形成されている。第2成形孔72aは、第1金型71と同径の平面視円形状に形成され、電池軸Oと同軸に配置されている。第2金型72における下面は、載置面75との間で封止部51を上方から押え込むことが可能な押圧面76とされている。
【0066】
パンチ部73は、第1金型71よりも下方に配置されると共に、第1金型71及び第2金型72に対して上昇することで、第1成形孔71a内及び第2成形孔72a内に下方から入り込むことが可能とされている。
パンチ部73は、第1成形孔71a及び第2成形孔72aの内径よりも小さい外径を有する円柱状のパンチ部本体77と、パンチ部本体77の上面から上方に向かって突出するように形成された環状の成形部78と、を備えている。成形部78は、内径が収容部50の外径と同等とされ、外径がパンチ部本体77の外径よりも小さく形成されている。また、成形部78の突出長さ(電池軸O方向に沿った長さ)は、収容部50の高さと同等とされている。
【0067】
上述のように構成された成形用金型70を利用して、封止部51の折り曲げ成形を行う場合には、まず
図10に示すように、収容部50をパンチ部73側に向けた状態で、成形前電池1Aを第1金型71に載置する。これにより、第1成形孔71a内に収容部50が配置され、環状の封止部51が載置面75上に載置される。
【0068】
次いで、
図11に示すように、第1金型71に対して第2金型72を上方から接近移動させて、封止部51を間にして第1金型71に対して第2金型72を電池軸O方向に重ね合わせる。これにより、第1金型71の載置面75と第2金型72の押圧面76との間で、封止部51を挟み込んで固定することができる。
【0069】
次いで、
図12に示すように、互いに組み合わされた第1金型71及び第2金型72に対して、パンチ部73を第1金型71の下方から上昇移動させる。これにより、パンチ部73を第1成形孔71a内に入り込ませた後、さらに上昇移動させることができ、成形部78を封止部51に対して下方から接触させることができる。
そして、パンチ部73のさらなる上昇移動によって、
図13に示すように、成形部78を利用して封止部51を持ち上げることができ、第2成形孔72aの内面と成形部78の外面とを利用して、封止部51を円筒状に折り曲げ成形することができる。
【0070】
また、パンチ部本体77の上端縁が、第2成形孔72aの下端縁よりも上方に移動することで、上端縁と下端縁との間で封止部51を切断することができ、封止部51のうち載置面75と押圧面76との間に挟まれている部分を切り離すことができる。
【0071】
これにより、
図14に示すように、収容部50を囲むように封止部51が円筒状に折り曲げられた成形後電池1Bを得ることができる。
ただし、この成形後電池1Bは、パンチ部73の成形部78を利用して封止部51を折り曲げ成形している関係上、収容部50と封止部51との間に環状の隙間部Sが画成されている。
【0072】
次いで、
図15に示す絞り成形用金型80を利用して、封止部51を径方向の内側に絞り成形して、上述の環状の隙間部Sを埋める工程を行う。
絞り成形用金型80は、第1絞り金型81と、第1絞り金型81に対して電池軸O方向に相対移動可能な第2絞り金型82と、第2絞り金型82との間で成形後電池1Bを電池軸O方向に挟み込んで固定すると共に、第2絞り金型82と共に電池軸O方向に移動可能とされた可動治具83と、を備えている。
【0073】
第1絞り金型81には、該第1絞り金型81を電池軸O方向に沿って貫通する絞り孔81aが形成されている。絞り孔81aは、平面視円形状に形成され、電池軸Oと同軸に配置されている。絞り孔81aの内径は、収容部50の外径に封止部51の厚みの2倍を加えた大きさに相当する。
【0074】
第2絞り金型82は、絞り孔81aの内径よりも小さい外径を有する円柱状に形成され、電池軸Oと同軸に配置されている。第2絞り金型82の上面は、成形後電池1Bが載置される載置面82aとされている。
可動治具83は、絞り孔81aの内側に上方から挿入可能とされ、例えばコイルばね等の付勢部材84による付勢力によって、載置面82aに載置された成形後電池1Bを第2絞り金型82との間で所定の応力で挟み込んで固定することが可能とされている。
なお、可動治具83は、成形後電池1Bを固定した状態を維持しながら、第2絞り金型82と共に電池軸O方向に移動可能とされている。
【0075】
上述のように構成された絞り成形用金型80を利用して、封止部51の絞り成形を行う場合には、
図15に示すように、成形後電池1Bを第2絞り金型82の載置面82aに載置した後、可動治具83によって成形後電池1Bを第2絞り金型82との間で挟み込んで固定する。
次いで、
図16に示すように、第1絞り金型81に対して第2絞り金型82及び可動治具83を上昇移動させる。これにより、絞り孔81a内に成形後電池1Bを入り込ませることができ、絞り孔81aの内面を利用して封止部51を絞り成形しながら、絞り孔81aの内側を通過するように成形後電池1Bを移動させることができる。
【0076】
その結果、封止部51に対して、該封止部51の全体が径方向の内側に縮径するような外力を付与することができ、封止部51の全体を絞り成形することができる。従って、上述した環状の隙間部Sを埋めることができ、収容部50における周壁部57に対して封止部51を径方向の外側から密に接触させることができ、
図1に示す二次電池1を得ることができる。
【0077】
なお、上述した絞り成形によって、封止部51には全周に亘ってしわ部58が形成される。また絞り成形時、封止部51の開口端側に向かうほど深く絞り成形されるので、開口端側に向けてしわ深さが深くなるようにしわ部58が形成される。また、電池軸O方向に沿った封止部51の長さ(高さ)が長い場合であっても、絞り成形によって封止部51を適切に形成することができ、周壁部57と封止部51との間に隙間を生じさせることなく、周壁部57に対して封止部51を接触させ易い。
【0078】
(二次電池の作用)
上述のように構成された二次電池1によれば、
図2に示すように、第1電極板60に固着されている第1電極端子板62が外部に露出し、第2電極板61に固着されている第2電極端子板63が外部に露出しているので、これら第1電極端子板62及び第2電極端子板63をそれぞれ外部接続端子として機能させることができる。これにより、第1電極端子板62及び第2電極端子板63を利用して、二次電池1を使用することが可能となる。
【0079】
特に、本実施形態の二次電池1では、収容部50の内部を封止する封止部51を、収容部50における周壁部57に沿って折り曲げていると共に、周壁部57に対して径方向の外側から接触させている。これにより、周壁部57との間に環状の隙間部S(
図15参照)をあけることなく、周壁部57を囲むように封止部51を配置させることができる。従って、上記隙間部Sを省略できる分、従来に比べて二次電池1全体の小径化を図ることができる。
【0080】
しかも、電極体2を収容する収容部50のサイズを変えることなく、二次電池1全体の小径化を図ることができるので、二次電池1全体の体積に対する電極体2が占める体積比率を向上できる。従って、体積効率の向上化に繋げることができる。
それに加え、厚みの薄い第1ラミネート部材30及び第2ラミネート部材40を利用して外装体3を形成しているので、周壁部57及び封止部51の厚み自体を薄肉することができる。この点においても、二次電池1の小径化を図り易い。
【0081】
以上説明したように、本実施形態の二次電池1によれば、小径化を図ることができると共に、体積効率のさらなる向上化に繋げることができるラミネートタイプの二次電池とすることができる。従って、小径化、小型化、軽量化を図ることができると共に、体積容量密度が高い高性能な二次電池1とすることができる。
【0082】
さらに、第1ラミネート部材30及び第2ラミネート部材40を例えば熱溶着等によって接合することで封止部51を構成しているうえ、周壁部57に沿って封止部51を折り曲げているので、第1ラミネート部材30と第2ラミネート部材40との間を通じて、外部から収容部50内に塵埃や水分等の外乱が侵入することを効果的に防止することができる。従って、作動信頼性が安定した二次電池1とすることができる。
【0083】
さらに、しわ部58を利用して、封止部51の折り曲げ時に生じる応力歪み等を吸収できるので、絞り成形によって封止部51を形成することができる。従って、封止部51の全周に亘って均等な外力を加えながら折り曲げることができると共に、周壁部57に対して封止部51の全体を一様に接触させることが可能である。従って、二次電池1の小径化に一層繋げることができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0085】
例えば上記実施形態では、電気化学セルの一例として二次電池1を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えばキャパシタ(例えばリチウムイオンキャパシタ等)或いは一次電池であっても構わない。
【0086】
さらに、上記実施形態において、第2電極板61を銅製としたが、例えばニッケル製としても構わない。この場合には、第2電極端子板63を省略することも可能である。つまり、負極側については、必ずしも電極端子板が必須なものではなく、具備しなくても構わない。この場合には、第2電極板61自体を負極側の外部接続端子として機能させることができる。
さらに、外装体3の全体がラミネートフィルムで形成されている必要はなく、少なくとも封止部51がラミネートフィルムで形成されていれば良い。
【0087】
さらに上記実施形態では、平面視円形状の二次電池1を例に挙げて説明したが、二次電池1の形状は適宜変更して構わない。例えば、平面視で直線部と半円部とが組み合わさった長円形状の二次電池としても構わない。なお、この場合には、電極体2の形状を、二次電池の外形に対応して平面視で長円形状に構成すれば良い。
【0088】
さらに上記実施形態では、第1ラミネート部材30の周壁部36を、収容部50として周壁部57として機能させたが、この場合に限定されるものではない。
例えば、
図17に示すように、周壁部47を有するように第2ラミネート部材40を形成し、該周壁部47と第1ラミネート部材30の周壁部36とで収容部50の周壁部57を構成するように二次電池90を構成しても構わない。
この場合には、第1封止部37及び第2封止部46で構成される封止部51を、第1ラミネート部材30の周壁部36を径方向の外側から全周に亘って囲むように形成し、且つ周壁部36に対して径方向の外側から接触させれば良い。このように構成した二次電池90の場合であっても、同様の作用効果を奏功することができる。
【符号の説明】
【0089】
O…電池軸
1、90…二次電池(電気化学セル)
2…電極体
3…外装体
10…正極電極(電極)
20…負極電極(電極)
30…第1ラミネート部材
40…第2ラミネート部材
50…収容部
51…封止部
55…頂壁部
56…底壁部
57…周壁部
58…しわ部