(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】トイレ用リモートコントローラー
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20231110BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
E03D9/08 A
H05K5/02 E
(21)【出願番号】P 2019188369
(22)【出願日】2019-10-15
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 龍平
(72)【発明者】
【氏名】赤▲崎▼ 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】水野 宣靖
(72)【発明者】
【氏名】中川 恵子
(72)【発明者】
【氏名】戸屋 智和
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-1718(JP,A)
【文献】特開2005-210308(JP,A)
【文献】実開平6-68255(JP,U)
【文献】実開平2-82187(JP,U)
【文献】特開2005-38795(JP,A)
【文献】特開2011-84867(JP,A)
【文献】特開2003-152344(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
H05K 5/02
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器装置に操作信号を送信するリモコン本体と、
強磁性体を有し、前記リモコン本体に対して取付けが可能なアダプターとを
備え、
前記リモコン本体の外面には、機能部が設けられており、
前記アダプターには、前記アダプターを前記リモコン本体に取り付けた状態で前記機能部を露出させる開口部が形成されているトイレ用リモートコントローラー。
【請求項2】
前記強磁性体は磁石である請求項1記載のトイレ用リモートコントローラー。
【請求項3】
前記リモコン本体に凹部が形成されており、
前記凹部内に前記アダプターが収容されている請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載のトイレ用リモートコントローラー。
【請求項4】
前記アダプターは、接着部材を介して前記リモコン本体に接着されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のトイレ用リモートコントローラー。
【請求項5】
前記アダプターの外周縁部と前記リモコン本体との隙間が、前記アダプターの外周縁部の全周に亘ってシールされている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のトイレ用リモートコントローラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トイレ用リモートコントローラーに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ装置の機能部を遠隔操作するためのリモコン装置として、特許文献1に開示されているものがある。このリモコン装置は、機能部に操作信号を無線で送信するリモコン本体と、リモコン本体を保持するためのホルダとを備えている。ホルダは、上面が開口された箱状をなし、トイレ室の壁面に固定されている。リモコン本体を操作する際には、リモコン本体をホルダから取り出し、操作後はリモコン本体をホルダ内に差し入れるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホルダは、リモコン本体をホルダ内に差し入れた状態で露出しているため、リモコン本体の意匠性を高めたとしても、ホルダの存在によってトイレ室内の美観が損なわれることになる。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、美観の低下を回避することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のトイレ用リモートコントローラーは、便器装置に操作信号を送信するリモコン本体と、強磁性体を有し、前記リモコン本体に対して取付けが可能なアダプターとを備え、前記リモコン本体の外面には、機能部が設けられており、前記アダプターには、前記アダプターを前記リモコン本体に取り付けた状態で前記機能部を露出させる開口部が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態1のリモコンの取付け状態をあらわす斜視図
【
図3】アダプターをリモコン本体から外した状態の斜視図
【
図4】アダプターをリモコン本体に取り付けた状態の斜視図
【
図7】リモコン本体をホルダから外した状態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
以下、本開示を具体化した実施形態1の磁石内蔵アダプター30を有するトイレ用リモートコントローラー10を、
図1~
図7を参照して説明する。以下の説明において、磁石内蔵アダプター30を有するトイレ用リモートコントローラー10は、リモコン10と略称する。以下の説明において、上下の方向については、
図1~5,7にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。
【0009】
本実施形態1のリモコン10は、便器装置50を遠隔操作するためのものである。
図1に示すように、便器装置50は、トイレ室R内に設置されている。便器装置50は、便器本体51と便座52と便蓋53と給水部54とを備えている。便器本体51は、便鉢部(図示省略)や排水路(図示省略)等を有する。便座52は、便器本体51の上面に取り付けられている。便蓋53は、便器本体51の上面の開口部を開閉する。給水部54は、便器本体51に洗浄水を供給する。
【0010】
リモコン10は、リモコン本体11とアダプター30とを備えて構成されている。
図6に示すように、リモコン本体11にアダプター30を取り付けておくと、トイレ室R内に設けた強磁性板57を有する取付部材55の取付面59に、リモコン10を取り付けることができる。具体的には、取付部材55は、トイレ室Rの壁Wを構成する下地材56と、強磁性を有する強磁性板57と、壁紙58とを備えて構成されている。下地材56の表面には強磁性板57が固設されている。下地材56と強磁性板57の表面は壁紙58で覆われている。
【0011】
壁紙58は薄いシート材なので、壁紙58の表面は取付面59として機能する。取付面59に磁石が近づくと、その磁石と強磁性板57との間に磁気吸引力が発生する。リモコン10は、この磁気吸引力を利用して取付面59に取り付けられる。強磁性板57としては、鋼板や鉄板などのように、磁石との間で磁気吸引力を発生させる軟磁性体を用いてもよく、磁場の発生源となる硬磁性体としての永久磁石を用いてもよい。
【0012】
リモコン本体11は、便器装置50に設けられている機能機器に無線により操作信号を送信する。リモコン本体11は、厚板状の略直方形をなしている。リモコン本体11の表面12には、比較的頻度の高い操作を行うための第1操作部13が設けられている。機能機器に対して第1操作部13で行う遠隔操作としては、便器洗浄(大、小)、局部洗浄、便座52の開閉、便蓋53の開閉、温風乾燥、洗浄強さの調整、ノズル位置の調整、各種温度の調整等がある。第1操作部13は、上記の各操作を行うための複数の操作スイッチ14を有する。操作者が所望の操作スイッチ14に指を触れると、指が触れたことを静電センサが検出し、指が触れた操作スイッチ14に対応した操作信号が機能機器へ送信される。
【0013】
リモコン本体11を、上下寸法が左右寸法に比べて大きくなる向き、即ち縦長の向きにしたときには、リモコン本体11を片手で持って第1操作部13の操作を行うことができる。リモコン本体11内には、リモコン本体11の三次元方向の向きを検出する3軸センサ(図示省略)が内蔵されている。これにより、リモコン本体11縦長の向きにした状態では、操作スイッチ14の操作に基づく操作信号が送信される。リモコン本体11を、左右寸法が上下寸法に比べて大きくなる向き、即ち横長の向きにしたときには、停止スイッチ以外の操作スイッチ14の操作に基づく操作信号は、送信されない。
【0014】
リモコン本体11には凹部16が形成されている。凹部16は、リモコン本体11の外面のうち表面12とは反対側の裏面15を浅く凹ませた形態である。リモコン本体11の裏面15は、リモコン10を取付面59に取り付けたときに取付面59と対向する面である。凹部16は、上下寸法が左右寸法よりも大きい方形をなす。凹部16の上下方向の長さ寸法は、リモコン本体11の上下方向の長さ寸法の半分よりも大きい。凹部16の左右方向の幅寸法は、リモコン本体11の左右方向の幅寸法の半分よりも大きい。凹部16は、リモコン本体11の上側略半分以上の領域に形成されている。凹部16の内周面は、上側内面17と下側内面18と左右両内側面19とによって構成されている。凹部16の内周面は、凹部16の奥面20から凹部16の開口縁に向かって拡がるように傾斜している。
【0015】
凹部16の奥面20は、取付面59にリモコン10を取り付けた状態で、取付面59と平行な平面である。凹部16の奥面20には、機能部としての第2操作部21と、機能部としての表示部23が設けられている。第2操作部21は、凹部16の奥面20のうち上側の領域に配されている。表示部23は、凹部16の奥面20のうち下側の領域に配されている。第2操作部21は、第1操作部13よりも使用頻度の低い操作を行うための複数の機能スイッチ22を有している。機能スイッチ22で行う設定操作としては、リモコン本体11の電源のON,OFFや、節電や自動洗浄等のON,OFF設定、時刻の設定等がある。機能スイッチ22としては、押圧操作により動作する押圧スイッチが用いられている。表示部23は、機能スイッチ22による設定状態などを表示する。
【0016】
第2操作部21を操作する際には、機能スイッチ22を押し込む動作が必要なので、リモコン本体11を横長の向きにして両手で持つようになっている。このとき、指が、意図せずに第1操作部13の操作スイッチ14に触れても、リモコン本体11を横長の向きにした状態では、第1操作部13から操作信号は送信されないので、便器装置50の機能機器が誤動作することはない。
【0017】
リモコン本体11には、二対のリモコン側磁石24が内蔵されている。二対のリモコン側磁石24は、裏面15を正対して見たときに、凹部16の形成範囲内に配されている。上側の一対のリモコン側磁石24は、凹部16の上下方向における中間部の左右両端部に配置されている。下側の一対のリモコン側磁石24は、凹部16の下端における左右両端部に配置されている。言い換えると、4つのリモコン側磁石24は、表示部23の4つの角部の近傍に一ずつ配置されている。リモコン側磁石24は、後述するホルダ60にリモコン本体11を取り付けるためのものである。
【0018】
図5に示すように、アダプター30は、アダプター本体31と、左右一対のアダプター側磁石42と、一対の磁石用両面テープ43と、アダプター用両面テープ44とを備えて構成されている。アダプター本体31は、合成樹脂製であり、全体として凹部16と整合する大きさの方形板状をなす。アダプター30は、凹部16に収容した状態でリモコン本体11に取り付けることができる。アダプター30をリモコン本体11に取り付けた状態では、アダプター本体31の外面32が、リモコン本体11の裏面15において露出する。アダプター本体31の外周面は、凹部16の内周面に合わせた形状、即ち、アダプター本体31の内面33側から外面32側へ拡がるように傾斜している。
【0019】
アダプター本体31には、アダプター本体31の外面32から内面33に貫通した形態の操作用開口部34と表示用開口部35が形成されている。操作用開口部34は、アダプター本体31の上端側領域に配されている。操作用開口部34は、上下寸法と左右寸法が概ね同じ寸法の方形をなす。操作用開口部34は、第2操作部21を構成する複数の機能スイッチ22の全てと対応する範囲に亘って開口している。アダプター本体31のうち操作用開口部34の上縁部36は、左右方向に細長く延びた形態である。アダプター本体31のうち操作用開口部34の左右両側縁部37は、上下方向に細長く延びた形態である。
【0020】
表示用開口部35は、アダプター本体31の下端側領域に配されている。表示用開口部35は、上下寸法が左右寸法に比べて大きい縦長の方形をなす。表示用開口部35は、表示部23の全体と対応する範囲に亘って開口している。アダプター本体31のうち表示用開口部35の上縁部38は、左右方向に細長く延びた形態である。アダプター本体31のうち表示用開口部35の下縁部39も、左右方向に細長く延びた形態である。
【0021】
アダプター本体31のうち表示用開口部35を左右両側から挟む縦長方形の部位は、アダプター側磁石42を取り付けるための磁石保持部40として機能する。一対の磁石保持部40には、左右対称な一対の収容室41が形成されている。一対の収容室41は、左右両磁石保持部40の内面側を浅く凹ませた形態である。一対の収容室41は、縦長の細長い形状であり、表示用開口部35を左右両側から挟むように配されている。
【0022】
アダプター本体31の外面32には、上下一対のリブ48が形成されている。リブ48は、アダプター本体31の上縁部と下縁部に沿って左右方向に細長く延びている。上側のリブ48は、操作用開口部34の上縁部36に沿うように配されている。下側のリブ48は、表示用開口部35の下縁部39に沿うように配されている。リブ48は、アダプター本体31の外面32よりも僅かに突出している。
【0023】
アダプター側磁石42は、アダプター本体31とは別部品である。アダプター側磁石42は、収容室41と同じく上下寸法が左右寸法よりも大きい縦長の方形をなし、収容室41内に収容されている。アダプター側磁石42は、磁石用両面テープ43により、収容室41内に保持された状態でアダプター本体31と一体化されている。したがって、アダプター30は、強磁性体としてのアダプター側磁石42を内蔵した部材である。アダプター側磁石42は、強磁性体のうち、磁場の発生源となる硬磁性体としての特性を有する永久磁石である。アダプター側磁石42としては、アルニコ磁石、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石等を用いることができる。
【0024】
アダプター用両面テープ44は、アダプター30をリモコン本体11に固定するための接着部材として機能するシート状部材である。アダプター用両面テープ44は、シート状の基材の表裏両面にゲル状の粘着材を塗布した部材である。アダプター用両面テープ44の外周形状は、アダプター本体31の内面33の外周形状と同じである。アダプター用両面テープ44には、アダプター用両面テープ44の表裏両面間に貫通する窓孔状の切欠部45が形成されている。切欠部45は、操作用開口部34と対応するように切り欠かれた操作用切欠領域46と、表示用開口部35と対応するように切り欠かれた表示用切欠領域47とを有する。操作用切欠領域46と表示用切欠領域47は連通しているので、切欠部45の切欠領域は1つだけである。
【0025】
アダプター用両面テープ44は、その一方の接着面をアダプター本体31の内面33に接着させることにより、アダプター本体31と一体化されている。アダプター用両面テープ44をアダプター本体31に接着した状態では、切欠部45が操作用開口部34及び表示用開口部35と対応するので、アダプター用両面テープ44が操作用開口部34と表示用開口部35の開口領域にはみ出すことはない。
【0026】
アダプター用両面テープ44は、左右両収容室41に収容されているアダプター側磁石42の露出面にも接着される。これにより、収容室41の内部がアダプター用両面テープ44によって液密状にシールされる。アダプター用両面テープ44の外周縁は、全周にわたって連続してアダプター本体31の内面33の外周縁に密着している。アダプター用両面テープ44をアダプター本体31に接着することにより、アダプター側磁石42を備えたアダプター30の組付けが完了する。
【0027】
リモコン本体11に対するアダプター30の取付けの要否は、リモコン10の使用形態に応じて決められる。本実施形態1では、トイレ室Rの取付面59が、強磁性板57による強磁性を有している。リモコン10を、取付面59に対して直接的に着脱する際には、アダプター側磁石42を内蔵したアダプター30がリモコン本体11に取り付けられ、リモコン本体11とアダプター30とが一体化される。かかる形態のリモコン10は、アダプター側磁石42と強磁性板57との間の磁気吸引力によって、取付面59に取り付けることができる。取付面59に取り付けられているリモコン10は、アダプター30とリモコン本体10と一体化させた状態のままで、取付面59から取り外すことが可能である。
【0028】
アダプター30をリモコン本体11に取り付ける際には、アダプター用両面テープ44の外面を覆っている剥離紙を剥がし、アダプター30を凹部16に収容する。このとき、アダプター本体31の外周面と凹部16の内周面がテーパ状に傾斜しているので、これらの傾斜によりアダプター30を凹部16内に所定位置までガイドすることができる。アダプター30が凹部16の所定位置に収容されると、アダプター用両面テープ44が凹部16の奥面20に接着することにより、アダプター30とリモコン本体11が一体化される。以上により、アダプター側磁石42を内蔵したリモコン10の組付けが完了する。
【0029】
アダプター30をリモコン本体11に取り付けた状態では、アダプター本体31の外面32が、リモコン本体11の裏面15においてリモコン10の外部に露出している。アダプター本体31の外面32の外周縁部は、リモコン本体11の裏面15における凹部16の外周縁部に対し、面一状に隣接するように配される。したがって、リモコン10の裏面15とアダプター30の外面32との間には、大きな段差が存在しない。したがって、リモコン10を持った手がリモコン10の裏面15とアダプター30の外面32に触れたときに、違和感を覚えることがなく、良好な触覚を得ることができる。
【0030】
アダプター30の操作用開口部34においては、第2操作部21の全ての機能スイッチ22が露出する。アダプター30の表示用開口部35においては、表示部23の全表示領域が露出する。したがって、アダプター30をリモコン本体11に取り付けていないときと同様、第2操作部21の操作を支障なく行うことができる。操作用開口部34と表示用開口部35は、いずれも、開口縁が全周に亘って繋がっている。したがって、第2操作部21と表示部23は、互いに独立した窓孔状の操作用開口部34と表示用開口部35とによって区画されている。
【0031】
アダプター30の外周縁と凹部16の奥面20の外周縁との隙間が、全周に亘り、アダプター用両面テープ44により液密状にシールされる。したがって、リモコン本体11の裏面15に水分が付着しても、その水分がアダプター30と奥面20との隙間を通って凹部16の中央部に配されている操作用開口部34や表示用開口部35にまで浸入する虞はない。
【0032】
リモコン10は、取付面59のうち強磁性板57が配置されている領域内であれば、どのような位置でも保持しておくことができる。リモコン10を取付面59に取り付ける際には、リモコン本体11の裏面15、即ちアダプター30の外面32を取付面59と対向させ、リモコン10を取付面59に接近させればよい。リモコン10が取付面59に接近するのに伴い、アダプター側磁石42と強磁性板57との間の磁気吸引力が増大するので、リモコン10が取付面59に吸着される。
【0033】
リモコン10が取付面59に保持された状態では、
図6に示すように、アダプター30の外面32から突出しているリブ48が直接的に取付面59に当接するので、リモコン本体11の裏面15とアダプター30の外面32は、取付面59に対して直接的に接触はしない。したがって、取付面59に不陸による突起があっても、リモコン本体11の裏面15やアダプター30の外面32が突起によって傷付けられることはない。
【0034】
リモコン10を取付面59から外すときは、リモコン10を掴んで取付面59から遠ざける方向へ引っ張るだけで、リモコン10を取付面59から取り外すことができる。取り付ける向きについては、縦長の向きや横長の向きや斜めの向きなど、任意の向きに保持することができる。リモコン10を取付面59に保持させた状態では、リモコン本体11の表面12が取付面59上に露出する。したがって、リモコン10を取付面59に保持した状態のままで、第1操作部13の操作を行うことが可能である。
【0035】
取付面59が強磁性を有しない場合、本実施形態1のリモコン10は、アダプター30を用いない形態で取付面59に保持しておくことが可能である。この場合、予め、取付面59にホルダ60を固定しておく。ホルダ60はボルト(図示省略)等により取付面59に固定することができる。ホルダ60は、リモコン本体11の凹部16に嵌合される大きさと形状を有する。
図7に示すように、ホルダ60の内部には4つのホルダ側磁石61が内蔵されている。4つのホルダ側磁石61は、リモコン本体11の4つのリモコン側磁石24と対応する位置に配されている。
【0036】
リモコン本体11を取付面59に保持する際には、リモコン本体11の凹部16をホルダ60に嵌合する。ホルダ60が凹部16に嵌合した状態では、4つのリモコン側磁石24と4つのホルダ側磁石61との間の磁気吸引力により、リモコン本体11がホルダ60と嵌合した状態に保持される。リモコン本体11が縦向きとなるように、ホルダ60を固定しておけば、リモコン本体11を取付面59に保持した状態のままで、第1操作部13の操作を行うことが可能である。このように、本実施形態のリモコン10は、リモコン本体11にアダプター30を取り付けない形態で使用することが可能である。この場合、アダプター30を用いず、リモコン本体11単体で使用する。
【0037】
本実施形態のリモコン10は、リモコン本体11と、リモコン本体11とは別体部材として製造されたアダプター30とを備えている。リモコン本体11は、第1操作部13や第2操作部21を操作することより、便器装置50の機能機器に操作信号を送信する。アダプター30は、強磁性体としてのアダプター側磁石42を内蔵する形態で有しており、リモコン本体11に対して取付けが可能である。
【0038】
強磁性体としてのアダプター側磁石42は、磁石との間、又は磁石以外の強磁性体との間で磁力吸引力を発生させ得る。したがって、アダプター側磁石42が内蔵されたアダプター30をリモコン本体11に取り付けておけば、強磁性体を有する取付部材55の取付面59に、アダプター30を介してリモコン本体11を取り付けることが可能である。アダプター30を用いたことにより、取付面59には、リモコン本体11を保持するための箱形等の突起形状を成形する必要がない。したがって、リモコン本体11を外した状態でも取付面59の美観が損なわれることはない。
【0039】
アダプター30に内蔵される強磁性体は、永久磁石からなるアダプター側磁石42である。磁極を有するアダプター側磁石42は、磁場の発生源であるから、鋼板や鉄板等、磁石以外の強磁性体との間でも磁気吸引力を発生させる。したがって、取付部材55を構成する強磁性材料の選択の幅が拡がる。
【0040】
リモコン本体11には凹部16が形成されており、凹部16内にアダプター30が収容されるようになっている。この構成によれば、アダプター30をリモコン本体11に取り付けた状態では、アダプター30がリモコン本体11から大きく突出しない。したがって、トイレ用リモートコントローラー10全体として意匠性が損なわれることがない。
【0041】
リモコン本体11の外面には、機能部としての第1操作部13と第2操作部21と表示部23が設けられている。アダプター30には操作用開口部34と表示用開口部35が形成されている。アダプター30をリモコン本体11に取り付けた状態では、操作用開口部34は第2操作部21を露出させ、表示用開口部35は表示部23を露出させる。この構成によれば、アダプター30をリモコン本体11に取り付けた状態でも、第2操作部21と表示部23の機能が損なわれることがない。
【0042】
アダプター30は、接着部材としてのアダプター用両面テープ44を介してリモコン本体11に固着されている。アダプター用両面テープ44を用いたことにより、リモコン本体11とアダプター30との取付部分には、機械的な引っ掛かり形状を成形する必要がない。したがって、リモコン本体11とアダプター30の製造コストを低減できる。
【0043】
アダプター30とリモコン本体11との隙間は、アダプター30の外周縁部の全周に亘り、アダプター用両面テープ44によって液密状にシールされている。この構成によれば、リモコン本体11の外面に付着している水分が、アダプター30の外周縁との隙間を通ってアダプター30の内側へ浸入する虞がない。
【0044】
アダプター本体31の内面33、即ちアダプター30におけるリモコン本体11との対向面には、アダプター側磁石42を収容する収容室41が形成されている。収容室41は、アダプター用両面テープ44によって液密状に閉塞されている。この構成によれば、収容室41内への浸水を防止し、アダプター側磁石42への被水を防止できる。
【0045】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
アダプターは、マグネットシートのような強磁性体のみからなる単一部品であってもよい。
アダプターの強磁性体は、磁極を有せず磁場の発生源とならない軟磁性体であってもよい。この場合、取付部材側に硬磁性体である永久磁石を設けておけばよい。
アダプターは、リモコン本体の外面に露出させず、リモコン本体の内部に収容された状態で取り付けるようになっていてもよい。
アダプターは、リモコン本体のうち凹部以外の部位に取り付けるようしてもよい。
機能部は、凹部とは異なる部位に配されていてもよい。
接着部材は、両面テープにかぎらず、時間経過に伴って硬化するゲル状の接着剤を、リモコン本体又はアダプター本体に塗布したものでもよい。
アダプター本体と磁石は、両面テープを用いず、機械的な引っ掛かり形状によって一体化してもよく、インサート成形によって磁石をアダプター本体内に埋設してもよい。
リモコン本体とアダプターのうち少なくとも一方に形成した機械的な引っ掛かり形状により、アダプターをリモコン本体に対して取り付け状態に保持するようにしていてもよい。
アダプターの収容室は、アダプター用両面テープ以外の部材によって液密状に閉塞してもよい。
収容室は、アダプター用両面テープによって液密状に閉塞せず、開放された状態にしてもよい。
アダプターの外周縁部とリモコン本体との隙間は、アダプター用両面テープ以外の部材によって液密状にシールしてもよい。
取付部材は、強磁性体(軟磁性体又は硬磁性体)を含むものであればよい。具体的には、強磁性体(例えば、鋼板、鉄板、マグネットシート)の表面を取付面としてもよい。
取付面は、トイレ室の壁面に限らず、トイレ室内に設けたキャビネットや棚板、トイレ室の入口のドア等に設定してもよい。
機能部をアダプターの外部に露出させるための開口部は、開口縁が全周に亘って繋がった窓孔状のものにかぎらず、開口縁の一部がアダプターの外周縁に開放された切り欠き形態であってもよい。
リモコン本体の外面とアダプターの外面との境界が、リモコン本体の側面に存在する場合、リモコン本体の外面とアダプターの外面との境界に段差がないようにすることが好ましい。
【符号の説明】
【0046】
10…リモコン(トイレ用リモートコントローラー) 11…リモコン本体 16…凹部 22…第2操作部(機能部) 23…表示部(機能部) 30…アダプター 34…操作用開口部(開口部) 35…表示用開口部(開口部) 41…収容室 42…アダプター側磁石(強磁性体、磁石) 44…アダプター用両面テープ(接着部材) 50…便器装置