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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】原動機付き車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20231110BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20231110BHJP
   A47C 27/10 20060101ALI20231110BHJP
   A61H 7/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/62 Z
A47C27/10 A
A61H7/00 322D
A61H7/00 322A
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019196035
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2020075712
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】10 2018 127 495.5
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597040511
【氏名又は名称】ファウレシア・アウトジッツェ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(72)【発明者】
【氏名】ピョートル・ツェグラレク
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-047016(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0187419(US,A1)
【文献】特開2005-074114(JP,A)
【文献】実開昭59-123459(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
A47C 7/62,27/08
A61H 7/00,9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート範囲(1)を有する原動機付き車両用シートであって、前記シート範囲(1)には、第1の流体給排管路(21)に接続された、流体充填可能な少なくとも1つの中空体(20)が配置されており、該少なくとも1つの中空体(20)が、シート調整装置及び/又はマッサージ装置の一部であり、前記中空体(20)が、前記原動機付き車両用シートに着座する乗員とは反対側において、同様に前記シート範囲(1)に配置された支持装置(30)で支持されている、前記原動機付き車両用シートにおいて、
前記支持装置(30)が、該支持装置側においてもまた、前記シート範囲(1)に配置され、流体充填可能な、少なくとも1つの中空体から空間的に分離された少なくとも1つの支持中空体(32)を含んでおり、シートの剛性及び/又はマッサージ用途の強さが、前記支持中空体(32)の異なる大きさの充填によって追加的に調整可能であり、前記中空体(20)が前記支持中空体(32)上に直接配置されていることを特徴とする原動機付き車両用シート。
【請求項2】
前記支持中空体(32)が、前記第1の流体給排管路(21)とは異なる第2の流体給排管路(31)に接続されており、前記少なくとも1つの中空体(20)への流体接続部を有していないことを特徴とする請求項1に記載の原動機付き車両用シート。
【請求項3】
前記シート範囲(1)がクッション(10,11)及びシートカバー(12)を含んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の原動機付き車両用シート。
【請求項4】
前記流体充填可能な少なくとも1つの中空体(20)が、前記クッション(10,11)における凹部(13)に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の原動機付き車両用シート。
【請求項5】
当該原動機付き車両用シートが、結合手段(22)によって流体を導かないように互いに結合された複数の中空体(20)を備えていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の原動機付き車両用シート。
【請求項6】
前記複数の中空体(20)が、前記結合手段(22)を用いてマット状に互いに結合されていることを特徴とする請求項5に記載の原動機付き車両用シート。
【請求項7】
1つより多くの中空体(20)の場合には、該中空体が、別々に前記第1の流体給排管路(21)によって充填可能であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の原動機付き車両用シート。
【請求項8】
複数の中空体(20)をグループ状にまとめることができるとともに共通に充填可能であることを特徴とする請求項5に記載の原動機付き車両用シート。
【請求項9】
前記支持中空体が前記シート範囲(1)の全ての中空体(20)を支持するように、前記支持中空体(32)が設定されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の原動機付き車両用シート。
【請求項10】
前記シート範囲(1)には少なくとも2つの支持中空体(32)が配置されており、該支持中空体が、前記シート範囲(1)の部分範囲において少なくとも1つの対応する中空体(20)を独立して支持するように設定されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の原動機付き車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分による原動機付き車両用シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体での充填がなされ得る中空体を用いてシートの調整又は精密調整がなされる原動機付き車両用シートが知られている。すなわち、特許文献1には、クッションの下方に3つのエアクッションが配置されたシート表面拡張部が開示されており、3つのエアクッションのうち2つは互いに結合されている。当該エアクッションは、それ自体支持されているとともに、シート直前の空間を満たし、これによりクッションを持ち上げる。このとき、シート面が滑らかに維持されるとともに、空気がエアクッションから排出されるときにクッションが再び引き戻されるように、クッションカバーは、シートの下方に取り付けられた巻取装置により緊張される。エアクッションはシート部分の形状形成にのみ寄与するものであり、緊張性は、クッション及び上張り材巻取装置の緊張力によって得られる。
【0003】
特許文献2には、異なるように満たされ、空にされ得る複数の調整ブロー部及びマッサージブロー部を有するマットが開示されている。調整が点状に作用しないようにするために、ブロー部と材料上張り材の間には、変化が平坦に現れるようにする圧力分配要素が配置されている。
【0004】
特許文献3には、ブローが別々に操作され得るブローシステムの空圧式の充填のためのシステムが開示されている。
【0005】
統合されたマッサージ機能を提供するこのように構成された原動機付き車両用シートは、ますます人気となっている。原動機付き車両用シートを流体充填可能なブロー部の形態で実現することが知られており、当該ブロー部は、例えば特許文献4、特許文献5又は特許文献6から公知のように、シートクッションにおける適当な凹部に設けられている。対応して、ブロー部は、シートカバーの下方に位置し、シートクッションに埋設されている。吹込み/排気及びこの過程の周期的な繰返しにより、マッサージ機能を実現することが可能である。通常、ユーザにより選択可能な異なるマッサージプログラムが実行される。選択されたマッサージプログラムに応じて、個々のブロー部又は複数の部ローブの所定のシミュレーションがなされる。車両乗員の背部へ適当な圧力をもたらすことができるように、当該部ローブは、後方で支持される必要がある。通常、このことは、クッションにおいて、又はその後ろに位置するように統合された、力を受容可能な支持プレートによってなされる。
【0006】
通常、適当な支持プレートは比較的剛直な形成物である。なぜなら、支持プレートは、ブロー部におけるマッサージ力がマッサージされるべき人へ伝達されるようになっているべきだからである。しかし、マッサージがオフされていても支持プレートは存在したままであり、その結果、車両用シートは、全体として比較的硬いままである。加えて、身体へのマッサージ圧力に関して、異なる人では好みが異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102013224197号明細書
【文献】独国特許出願公開第102011010209号明細書
【文献】独国特許出願公開第102013220563号明細書
【文献】独国特許出願公開第102012024854号明細書
【文献】欧州特許第1904338号明細書
【文献】米国特許第6916300号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、一方では高いシート快適性を提供し、他方ではマッサージ機能がオンされているときにも個別の適合を可能とする、冒頭に挙げた種類の原動機付き車両用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
当該課題は、請求項1の特徴を有する原動機付き車両用シートによって解決される。有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0010】
本発明による対象は、シート範囲、特に背もたれ又は座部を有する原動機付き車両用シートであり、シート範囲には、第1の流体給排管路に接続された、流体充填可能な少なくとも1つの中空体が配置されている。本発明によれば、少なくとも1つの中空体は、シート調整装置及び/又はマッサージ装置の一部である。したがって、原動機付き車両の乗員にとって、支持中空体を異なる大きさで充填することで、シートの合成及び/又はマッサージ用途の強さを追加的に調整し、ひいてはシート快適性を改善することが可能となる。好ましくは、シート範囲は、クッション及びシートカバーを含んでいる。中空体は、その、原動機付き車両用シートに着座する乗員とは反対側において、同様にシート範囲に配置された支持装置において支持されている。支持装置は、当該支持装置側で、シート範囲に配置され、流体充填可能な、少なくとも1つの中空体から空間的に分離された少なくとも1つの支持中空体を含んでいる。本発明の意味合いにおける空間的な分離は、支持中空体及び少なくとも1つの中空体が、少なくとも直接的ではなく、共通の壁部における開口部を介して互いに結合されていることを意味している。ただし、特別な実施形態によれば、支持中空体も、また少なくとも1つの別の中空体も、共通の管路及び/又は共通の流体源を介して供給されることが考えられる。
【0011】
好ましくは、支持中空体は、少なくとも1つの中空体への流体接続部を備えていない。別の好ましい一実施形態によれば、支持中空体を、第1の流体給排管路とは異なる第2の流体給排管路に接続することが可能である。流体として、液体又は気体を用いることができる。好ましくは、ここでは特に空気が考慮に入れられる。
【0012】
流体充填可能な中空体による、従来技術に基づく固定された支持プレートの使用によって、支持体の剛性を調整可能である。これにより、中空体の充填の作用を、乗員の要求に応じて調整することが可能である。
【0013】
特に好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの流体充填可能な中空体は、クッションにおける凹部に配置されている。これにより、流体充填可能な中空体の不使用時には(例えばマッサージ機能がオフされている場合)、シート範囲の「通常の」支持機能が主にクッションによって担われる。
【0014】
別の好ましい一実施形態では、原動機付き車両用シートは、結合手段によって流体を導かないように結合された複数の中空体を備えている。複数の中空体が用いられれば、当該中空体は、座部に対して固定された位置において互いに重ねて配置されることとなっている。クッションが設けられる前にまず支持中空体及び中空体が配置される、まさに座部の取付時には、シート範囲の支持構造における中空体の正確な位置決めを達成することが有利である。このとき、複数の中空体が結合手段によってマット状に互いに結合されていることが特に有利であることが分かった。したがって、マッサージ装置の使用時には、マッサージ作用にとって不都合な中空体の互いの側方の変位が生じることがない。
【0015】
別の好ましい実施形態によれば、1つより多くの中空体の場合には、当該中空体が、別々に流体給排管路によって充填可能である。これにより、シート範囲の様々な範囲を別々に作動させることが可能である。シート範囲の所定の範囲は、乗員に適合されることが可能である。精緻さに応じて、乗員の体の大きさに対応することさえ可能である。したがって、マッサージ機能においては、所定の身体部分をマッサージすることが可能である。
【0016】
複数の中空体をグループ状にまとめることができるとともに共通に充填可能であることが有利であると分かった。したがって、脊椎前弯症(ロードシス)又は下方の大腿部の範囲における支持部を調整することができるか、又はより大きな背部をマッサージすることが可能である。
【0017】
特に有利な実施形態では、支持中空体がシート範囲の全ての中空体を支持するように、支持中空体が設定されている。当該実施形態では、シート範囲の剛性又はマッサージ要素の強さが均等に調整される。
【0018】
これに代えて、本発明による対象は、シート範囲には少なくとも2つの支持中空体が配置されており、当該支持中空体が、シート範囲の部分範囲において少なくとも1つの対応する中空体を独立して支持するように構成されることができる。このような配置により、シート範囲を個別に調整することが可能となり、したがって、特有の範囲を個別に調整するとともに、異なる支持硬さを設定することが可能となる。
【0019】
以下に、本発明を、図面に基づきいくつかの実施例について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来技術を部分断面として示す図である。
図2】適当な本発明による実施形態を部分断面として示す図である。
図3】本発明による支持装置の別の実施例の正面図である。
図4】複数の中空体を備えた、図3に基づく支持装置を示す図である。
図5】1つの支持中空体がシート範囲に配置された実施形態を示す図である。
図6】2つの支持中空体がシート範囲に配置された実施形態を示す図である。
図7】3つの支持中空体がシート範囲に配置された実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1には、シート範囲1の部分断面が示されている。クッション10,11には凹部13が設けられており、当該凹部は、シートカバー12によって覆われている。凹部13には、シートカバー12に対して固定又は少なくともほぼ固定された支持装置30が配置されており、当該支持装置は、側方でクッション11に係着されている。支持装置30とシートカバー12の間には連通した空気袋の形態の中空体20が配置されている。当該中空体20には、流体給排管路21を介して流体が供給され、すなわち、中空体20は、充填され、又は空にされ、これにより、充填時には、シートカバー12によって、当該箇所に着座する乗員の身体部分を押圧する。このとき、中空体20は、例えば脊椎前弯症(ロードシス)様の調整装置又はマッサージ装置の一部を構成することができる。固定された支持装置30は、このような配置において、クッション11の可動性が損なわれ、したがって本来のシート快適性が損なわれ得ることにつながることがある。
【0022】
図2には、本発明による原動機付き車両用シートの図1に類似した部分断面が示されている。シート範囲1は、本質的に、支持装置30が剛直な部材ではなく同様に空気を入れて膨らますことが可能な支持中空体32である点で従来技術とは異なっている。図示の例では、当該支持中空体32には、好ましくは別々の流体給排管路31を介して供給される。しかし、支持中空体32及び少なくとも1つの中空体20は、共通の流体源あるいは共通の管路によっても供給されることも可能であり、当該流体源あるいは管路は、実際には、一方では中空体20に、他方では支持中空体32に分岐している。中空体20の不使用時には、当該中空体はほぼ空であり、支持中空体32も空にされる。空にされた支持中空体32は柔軟であるため、当該支持中空体は、クッション11の可動性を損なわず、シート快適性にもネガティブな影響を与えない。中空体20が動作すると、支持中空体32も流体で満たされる。これにより、支持中空体はカウンタ支持部を形成するため、中空体20の充填時に、支持中空体は、シートカバーへ上方に向けて拡張するとともに、乗員の身体部分に対して押圧する。当該押圧は、中空体20が例えばシート範囲1の調整機能である場合には永続的であるか、又は中空体20が例えばマッサージ機能を行うべき場合には周期的になされ得る。このために、支持中空体32は異なる大きさで流体を充填されることができるため、中空体20の支持作用の強さに影響を与えることが可能である。
【0023】
支持中空体32が強く充填されると、当該支持中空体は比較的硬くなり、その結果、乗員は相応に硬いシートを知覚する。支持中空体32がより弱く充填されると、乗員は、これを相応により柔らかく知覚する。なぜなら、流体、特に空気での充填時に中空体20が周囲へ及ぼす力の一部が支持中空体32の変形に用いられるためである。
【0024】
したがって、本発明による原動機付き車両用シートにより、従来技術に比してより個別に調整可能に調整機能及び/又はマッサージ機能を形成することができるようになっているとともに、原動機付き車両用シートの快適性を高めることができるようになっている。
【0025】
図3には、シート範囲1、特に背もたれについての本発明による支持装置30の一実施例が示されている。支持装置30は、予備設定に合わせて構成された支持中空体32を含んでいる。当該図面では、上側及び下側で、ブラケット33が、好ましくは上側で1つ、下側で2つ、支持中空体32につづいており、当該ブラケットには、例えば中空体20か、又は結合手段22と結合された中空体20を配置することが可能である(図4に図示)。ブラケット33は、ここではスリットとして構成されているが、押しボタン、差込みフラップ、フックその他のような可能な全ての他のブラケット33も考えられる。当該実施例では、図面において垂直な中心線に中央の2つの固定開口部34が配置されており、当該固定開口部によって、支持装置30と中空体20の複合体をシートフレームに配置することが可能である。
【0026】
支持装置30と中空体20の組合せは図4に示されている。個々の中空体20は、流体を導かない結合手段22によってマット状に互いに上下に結合されている。当該「マット」20,22は、上側及び下側において、ロックハンドル又はこれに類する形態の保持要素23を備えている。保持要素23は、支持装置30のブラケット33へ係合する。中央の固定開口部34を横切る結合手段22が支持構造部に配置されることで、部材20,22,23,30の組合せが、例えばシート範囲1の支持構造部に配置される。他の、及び/又は別の固定点も考えられる。さらに、クッション10,11は、可能な凹部13と共に配置されることが可能である。
【0027】
図5には、流体給排管路31を介して操作される支持中空体32を有する支持装置30が示されている。シート範囲1が背もたれであれば、支持装置、ひいては支持装置によって引き起こされる、背全体に対する支持作用が均等に調整される。シート範囲1が座部であれば、支持装置30は、両大腿部に均等に作用する。
【0028】
シート装置30についての図6に図示された実施形態は、2つの支持中空体32.1,32.2を示している。両支持中空体32.1,32.2は、固有の流体給排管路31.1,31.2を介して別々に充填され、及び/又は空にされることが可能である。背もたれがシート範囲1とみなされれば、支持中空体32.1は背骨範囲を支持する一方、当該範囲の他の支持中空体32.2は、背骨の両側を支持する。ここでは、支持中空体32.1が特に強く充填される一方、支持中空体32.2がより弱く充填されることで、例えば、背骨を個別に支持することが可能である。背骨が負荷解除されるべきか、又は背骨近傍の筋肉組織がマッサージされるべき場合には、支持中空体32.2が大きく充填される一方、支持中空体32.1がより小さく充填される。
【0029】
図7に図示された実施例は、3つの支持中空体32.1,32.2,32.3を有する支持装置を示している。ここでも、支持中空体32.1,32.2,32.3は、固有の流体給排管路31.1,31.2,31.3を介して別々に充填され、及び/又は空にされることが可能である。シート範囲1が背もたれであれば、ショルダ範囲及び左右の腰部を個別に支持することが可能である。
【0030】
したがって、本発明による原動機付き車両用シートは、高いシート快適性を提供するとともに、マッサージ機能がオンされる場合にも個別の適合を可能とするものである。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.シート範囲(1)、特に背もたれ又は座部を有する原動機付き車両用シートであって、前記シート範囲(1)には、第1の流体給排管路(21)に接続された、流体充填可能な少なくとも1つの中空体(20)が配置されており、該少なくとも1つの中空体(20)が、シート調整装置及び/又はマッサージ装置の一部であり、前記中空体(20)が、前記原動機付き車両用シートに着座する乗員とは反対側において、同様に前記シート範囲(1)に配置された支持装置(30)で支持されている、前記原動機付き車両用シートにおいて、
前記支持装置(30)が、該支持装置側においてもまた、前記シート範囲(1)に配置され、流体充填可能な、少なくとも1つの中空体から空間的に分離された少なくとも1つの支持中空体(32)を含んでおり、シートの剛性及び/又はマッサージ用途の強さが、前記支持中空体(32)の異なる大きさの充填によって追加的に調整可能であることを特徴とする原動機付き車両用シート。
2.前記支持中空体(32)が、前記第1の流体給排管路(21)とは異なる第2の流体給排管路(31)に接続されており、特に、前記少なくとも1つの中空体(20)への流体接続部を有していないことを特徴とする上記1.に記載の原動機付き車両用シート。
3.前記シート範囲(1)がクッション(10,11)及びシートカバー(12)を含んでいることを特徴とする上記1.又は2.に記載の原動機付き車両用シート。
4.前記流体充填可能な少なくとも1つの中空体(20)が、前記クッション(10,11)における凹部(13)に配置されていることを特徴とする上記3.に記載の原動機付き車両用シート。
5.当該原動機付き車両用シートが、結合手段(22)によって流体を導かないように互いに結合された複数の中空体(20)を備えていることを特徴とする上記1.~4.のいずれか1つに記載の原動機付き車両用シート。
6.前記複数の中空体(20)が、前記結合手段(22)を用いてマット状に互いに結合されていることを特徴とする上記5.に記載の原動機付き車両用シート。
7.1つより多くの中空体(20)の場合には、該中空体が、別々に前記流体給排管路(21)によって充填可能であることを特徴とする上記1.~6.のいずれか1つに記載の原動機付き車両用シート。
8.複数の中空体(20)をグループ状にまとめることができるとともに共通に充填可能であることを特徴とする上記5.に記載の原動機付き車両用シート。
9.前記支持中空体が前記シート範囲(1)の全ての中空体(20)を支持するように、前記支持中空体(32)が設定されていることを特徴とする上記1.~8.のいずれか1つに記載の原動機付き車両用シート。
10.前記シート範囲(1)には少なくとも2つの支持中空体(32)が配置されており、該支持中空体が、前記シート範囲(1)の部分範囲において少なくとも1つの対応する中空体(20)を独立して支持するように設定されていることを特徴とする上記1.~8.のいずれか1つに記載の原動機付き車両用シート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7