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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】系統連系システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20231110BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20231110BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20231110BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20231110BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
H02J3/38 180
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J7/35 K
H02J7/34 G
H02J9/06 120
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019217243
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021087338
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】519048584
【氏名又は名称】株式会社セイブ・ザ・プラネット
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 啓文
(72)【発明者】
【氏名】相馬 英明
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-096661(JP,A)
【文献】特許第6591133(JP,B1)
【文献】国際公開第2013/046638(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02J 3/32
H02J 7/35
H02J 7/34
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電ユニットから出力される直流電力を、連系端子の電圧に応じた交流電力に変換して当該連系端子から負荷に出力し、前記連系端子への電力系統の接続時には、前記電力系統と連系する第1のパワーコンディショナと、
蓄電池に蓄えられた電力を交流電力に変換して自立端子から前記負荷に出力する放電モードと、前記自立端子に入力される交流電力を直流電力に変換して前記蓄電池に供給する充電モードとで動作可能な第2のパワーコンディショナと、
前記第1のパワーコンディショナの連系端子及び前記負荷に、前記電力系統と前記第2のパワーコンディショナの自立端子のいずれを接続するかを切り替える切替手段と、
前記電力系統の非停電状態で、前記第1のパワーコンディショナの連系端子及び前記負荷に前記電力系統を接続させる第1制御と、前記電力系統の停電状態で、前記第1のパワーコンディショナの連系端子及び前記負荷に前記第2のパワーコンディショナの自立端子を接続させる第2制御とを前記切替手段に対して実行する接続制御手段とを備え
前記第2のパワーコンディショナは、
前記放電モードにおいて、前記蓄電池の出力電圧を所定の電圧に変換して直流バスに出力する一方、前記充電モードにおいて、前記直流バスのバス電圧を変換して前記蓄電池の充電電圧を出力するDC/DCコンバータと、
前記放電モードにおいて、前記バス電圧を交流電圧に変換して前記自立端子から出力する一方、前記充電モードにおいて、前記自立端子に入力される交流電圧を直流電圧に変換して前記直流バスに出力するDC/ACインバータと、
前記DC/DCコンバータ及びDC/ACインバータの動作モードを、前記放電モードと前記充電モードとのいずれかに、前記バス電圧、前記自立端子の電圧、及び前記DC/ACインバータ内の電流のうちの少なくとも一つの測定値に応じて切り替えるモード制御手段とを備えていることを特徴とする系統連系システム。
【請求項2】
請求項に記載の系統連系システムにおいて、
前記測定値は、前記バス電圧であり、
前記モード制御手段は、前記バス電圧が所定の閾値を超えている場合には、前記動作モードを前記充電モードとする一方、前記バス電圧が前記閾値を下回っている場合には、前記動作モードを前記放電モードとすることを特徴とする系統連系システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統の停電時に電力を負荷に供給可能な系統連系システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発電ユニットから出力される直流電力を交流電力に変換し、連系端子又は自立端子から負荷に出力する第1のパワーコンディショナと、蓄電池に蓄えられた電力を交流電力に変換して放電用端子から前記負荷に出力する放電モードと、充電用端子に入力される交流電力を直流電力に変換して前記蓄電池に供給する充電モードとで動作可能な第2のパワーコンディショナとを備えた系統連系システムが開示されている。この系統連系システムでは、第1のパワーコンディショナが、通常運転時には、電力系統と連系して前記交流電力を前記連系端子から出力する一方、蓄電池の充電動作時には、前記交流電力を前記自立端子から出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-15855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電力系統の停電時に、発電ユニットの発電電力を蓄電池に充電したいという要請がある。特許文献1には、電力系統の非停電時における蓄電池の充電については開示されているが、電力系統の停電時における蓄電池の充電については開示されていない。
【0005】
また、特許文献1では、充電専用の第1のパワーコンディショナが必要であり負荷へ電力供給する設備の利用効率が悪いという課題を有している。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、停電時に発電ユニットの発電電力を蓄電池に充電できるようにするとともに蓄電池から負荷への放電も可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、電力系統の停電時に、第1のパワーコンディショナの連系端子に、第2のパワーコンディショナの自立端子を接続するようにしたことを特徴とする。
【0008】
具体的には、本発明の態様は、発電ユニットから出力される直流電力を、連系端子の電圧に応じた交流電力に変換して当該連系端子から負荷に出力し、前記連系端子への電力系統の接続時には、前記電力系統と連系する第1のパワーコンディショナと、蓄電池に蓄えられた電力を交流電力に変換して自立端子から前記負荷に出力する放電モードと、前記自立端子に入力される交流電力を直流電力に変換して前記蓄電池に供給する充電モードとで動作可能な第2のパワーコンディショナと、前記第1のパワーコンディショナの連系端子及び前記負荷に、前記電力系統と前記第2のパワーコンディショナの自立端子のいずれを接続するかを切り替える切替手段と、前記電力系統の非停電状態で、前記第1のパワーコンディショナの連系端子及び前記負荷に前記電力系統を接続させる第1制御と、前記電力系統の停電状態で、前記第1のパワーコンディショナの連系端子及び前記負荷に前記第2のパワーコンディショナの自立端子を接続させる第2制御とを前記切替手段に対して実行する接続制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
これにより、第1のパワーコンディショナは、第1のパワーコンディショナの出力電力と第2のパワーコンディショナの充電電力又は放電電力との合計値を必ず負荷の消費電力と等しくする制御を行うことにより、交流電圧を一定値にすることが可能となり安定制御することができる。
【0010】
また、電力系統の停電状態において、第1のパワーコンディショナの連系端子と、第2のパワーコンディショナの自立端子とが接続されるので、放電モードでは、第1のパワーコンディショナの連系端子から出力される交流電力と、第2のパワーコンディショナの自立端子から出力される交流電力とを合わせて負荷に供給できる一方、充電モードでは、第1のパワーコンディショナの連系端子から出力される交流電力を第2のパワーコンディショナの自立端子に入力することにより、蓄電池を充電できる。
【0011】
また、電力系統の停電状態において、第1のパワーコンディショナの連系端子と、第2のパワーコンディショナの自立端子とが接続されると、第1のパワーコンディショナは、第2のパワーコンディショナの自立端子の電圧と位相を合わせた交流電圧を連系端子から出力する。したがって、第1のパワーコンディショナ内に過電流が流れる非同期投入を防止できる。また、第1のパワーコンディショナに、電力系統と連系するための構成とは別に、蓄電池の充放電時に第1のパワーコンディショナ内に過電流が流れるのを防止するための構成を設ける必要がないので、製造コストを削減できる。
【0012】
また、前記態様において、前記第2のパワーコンディショナが、前記放電モードにおいて、前記蓄電池の出力電圧を所定の電圧に変換して直流バスに出力する一方、前記充電モードにおいて、前記直流バスのバス電圧を変換して前記蓄電池の充電電圧を出力するDC/DCコンバータと、前記放電モードにおいて、前記バス電圧を交流電圧に変換して前記自立端子から出力する一方、前記充電モードにおいて、前記自立端子に入力される交流電圧を直流電圧に変換して前記直流バスに出力するDC/ACインバータと、前記DC/DCコンバータ及びDC/ACインバータの動作モードを、前記放電モードと前記充電モードとのいずれかに、前記バス電圧、前記自立端子の電圧、及び前記DC/ACインバータ内の電流のうちの少なくとも一つの測定値に応じて切り替えるモード制御手段とを備えてもよい。
【0013】
これにより、第2のパワーコンディショナに、放電モードと充電モードの切り替えを自動的に行わせることができる。
【0014】
また、前記態様において、前記測定値が、前記バス電圧であり、前記モード制御手段が、前記バス電圧が所定の閾値を超えている場合には、前記動作モードを前記充電モードとする一方、前記バス電圧が前記閾値を下回っている場合には、前記動作モードを前記放電モードとするようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、停電時に交流電力を一定値に制御して発電ユニットの発電電力を安定して蓄電池に充電し、蓄電池からは負荷に電力を安定して放電できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る系統連系システムの構成を示すブロック図である。
図2】第2のDC/ACインバータの詳細な構成を示す回路図である。
図3】バス電圧の遷移を例示するグラフである。
図4】非停電状態で第1のパワーコンディショナの出力電力が負荷の消費電力を上回っているときの図1相当図である。
図5】非停電状態で第1のパワーコンディショナの出力電力が負荷の消費電力以下であるときの図1相当図である。
図6】停電状態で第1のパワーコンディショナの出力電力が負荷の消費電力を上回っているときの図1相当図である。
図7】停電状態で第1のパワーコンディショナの出力電力が負荷の消費電力以下であるときの図1相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る系統連系システム1を示す。この系統連系システム1は、第1のパワーコンディショナ10と、第2のパワーコンディショナ20と、第1及び第2の接続スイッチ31,32と、接続制御手段としての接続制御部33とを備えている。
【0019】
第1のパワーコンディショナ10は、第1のDC/DCコンバータ11、第1のDC/ACインバータ12、第1のスイッチSW1、第1制御部13、単相3線の第1連系端子14及び単相2線の第1自立端子15を備えている。第1のパワーコンディショナ10は、発電ユニットとしての太陽電池パネル40から出力される直流電力を、第1連系端子14の電圧に応じた交流電力に変換して当該第1連系端子14から出力する。第1のパワーコンディショナ10は、第1連系端子14への単相3線の電力系統50の接続時には、当該電力系統50と連系して前記交流電力を第1連系端子14から負荷60に出力する。
【0020】
第1のDC/DCコンバータ11は、太陽電池パネル40の出力電圧を所定の電圧に変換して出力する。
【0021】
第1のDC/ACインバータ12は、第1のDC/DCコンバータ11の出力電圧を交流電圧に変換して出力する。第1のDC/ACインバータ12内のスイッチング素子は、第1制御部13によって出力されるPWM信号によって制御される。
【0022】
スイッチSW1は、第1制御部13からの指示に基づいて、第1のDC/ACインバータ12から出力される交流電力を第1連系端子14と第1自立端子15のいずれから出力するかを切り替える。
【0023】
第1制御部13は、第1のスイッチSW1を制御する。第1制御部13は、第1のDC/ACインバータ12から出力される交流電力を第1連系端子14から出力させる。
【0024】
また、第1制御部13は、第1のDC/ACインバータ12から出力される交流電力を第1連系端子14から出力させる間、第1連系端子14の電圧に基づいて第1のDC/ACインバータ12を制御する。詳しくは、第1制御部13は、第1連系端子14の電圧の測定値を受信し、当該第1連系端子14の電圧の位相角の正弦値に基づいて、有効成分の電流指令値を生成するとともに、当該第1連系端子14の電圧の位相角の余弦値に基づいて、無効成分の電流指令値を生成する。第1連系端子14の電圧の位相角の正弦値及び余弦値は、第1連系端子14の電圧を入力信号として受けるPLLによって得られる。次いで、第1制御部13は、これら有効成分の電流指令値と、無効成分の電流指令値とを加算することにより、出力電流指令値を取得する。出力電流指令値は、第1連系端子14の電圧と同じ位相となる。そして、第1制御部13は、第1のDC/ACインバータ12の出力電流の値が、当該出力電流指令値に追従するように、PWM信号のフィードバック制御を行う。これにより、第1連系端子14への電力系統50の接続時に、第1のパワーコンディショナ10は、電力系統50と連系できる。
【0025】
第2のパワーコンディショナ20は、第2のDC/DCコンバータ21、第2のDC/ACインバータ22、第2のスイッチSW2、モード制御手段としての第2制御部23、単相3線の第2連系端子24及び単相3線の第2自立端子25を備えている。第2のパワーコンディショナ20は、蓄電池70に蓄えられた電力を交流電力に変換して第2自立端子25から前記負荷60に対して出力する放電モードと、前記第2自立端子25に入力される交流電力を直流電力に変換して前記蓄電池70に供給する充電モードとで動作可能に構成されている。蓄電池70としては、リチウムイオン電池やその他の二次電池を用いることができる。
【0026】
第2のDC/DCコンバータ21は、放電モードにおいて、前記蓄電池70の出力電圧を所定の電圧に変換して直流バス26に出力する一方、充電モードにおいて、前記直流バス26のバス電圧V図2参照)を変換して前記蓄電池70の充電電圧を出力する。
【0027】
第2のDC/ACインバータ22は、放電モードにおいて、前記バス電圧Vを交流電圧に変換して前記第2自立端子25から出力する一方、充電モードにおいて、前記第2自立端子25に入力される交流電圧を直流電圧に変換して前記直流バス26に出力する。
【0028】
第2のDC/ACインバータ22は、図2に示すように、LCフィルタ27と、4つのスイッチング素子S1~S4からなるブリッジ回路28と、2つのスイッチング素子S5,S6からなるハーフブリッジ回路29とを有している。ブリッジ回路28のスイッチング素子S1,S2は、互いに直列に接続され、ブリッジ回路28のスイッチング素子S3,S4は、互いに接続されている。スイッチング素子S1,S2の中間ノードと、スイッチング素子S3,S4の中間ノードとは、LCフィルタ27を介して第2自立端子25に接続されている。スイッチング素子S5,S6の中間ノードは、リアクトルR1を介して第2自立端子25に接続されているとともに、当該リアクトルR1及びコンデンサC1,C2を介して、直流バス26に接続されている。スイッチング素子S1,S2の中間ノードと、スイッチング素子S3,S4の中間ノードとの間には、互いにコレクタが接続された1対のスイッチング素子S7,S8が直列に接続されている。これらスイッチング素子S7,S8の中央ノードには、ダイオードD1のアノードが接続され、当該ダイオードD1のカソードは、直流バス26に接続されている。
【0029】
LCフィルタ27は、スイッチング素子S1,S2の中間ノードにその一端部が接続されたリアクトルR2と、スイッチング素子S3,S4の中間ノードにその一端部が接続されたリアクトルR3と、両リアクトルR2,R3の他端間に直列に接続された1対のコンデンサC3,C4とを有している。
【0030】
第2のスイッチSW2は、第2制御部23からの指示に基づいて、第2のDC/ACインバータ22から出力される交流電力を第2連系端子24と第2自立端子25のいずれから出力するかを切り替える。
【0031】
第2制御部23は、スイッチSW2を制御する。第2制御部23は、非停電時には、第2のDC/ACインバータ22から出力される交流電力を第2連系端子24から出力させる一方、停電時には、第2のDC/ACインバータ22から出力される交流電力を第2自立端子25から出力させる。第2制御部23による停電及び非停電の判定は、停電が発生しているか否かを示す信号を外部から受信することにより行ってもよいし、系統電圧の測定値を受信し、当該測定値を所定の閾値と比較することにより行ってもよい。また、第2制御部23は、第2のDC/DCコンバータ21及び第2のDC/ACインバータ22の動作モードを、放電モードと充電モードとに、前記バス電圧Vの測定値に応じて切り替える。詳しくは、第2制御部23は、バス電圧Vが320Vの閾値THを超えている場合には、第2のDC/DCコンバータ21及び第2のDC/ACインバータ22の動作モードを、前記充電モードとする一方、バス電圧Vが前記閾値THを下回っている場合には、第2のDC/DCコンバータ21及び第2のDC/ACインバータ22の動作モードを、前記放電モードとする。
【0032】
図3に示すようにバス電圧Vが遷移した場合、符号T1で示す期間が充電期間となり、符号T2で示す期間が放電期間となる。
【0033】
また、第2制御部23は、第1のパワーコンディショナ10から電力系統50に流れる電流I1に基づいて、逆潮流の検出を行う。そして、逆潮流の検出時には、第2のDC/DCコンバータ21及び第2のDC/ACインバータ22に、放電モードの動作を行わせない。また、第2制御部23は、電力系統50の非停電状態に逆潮流が検出されていない場合には、負荷60の消費電力に追従するように電圧を出力させる。
【0034】
なお、第2制御部23は、第2のDC/ACインバータ22から出力される交流電力を第2連系端子24から出力させている間、蓄電池70の充電率(SOC:State Of Charge)を100%未満の所定値以下となるように、第2のDC/DCコンバータ21及び第2のDC/ACインバータ22を制御する。例えば、蓄電池70の充電率が30~80%となるように制御する。これにより、停電時の充電を確実に可能にできる。
【0035】
第1の接続スイッチ31は、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14及び負荷60と、第2のパワーコンディショナ20の第2連系端子24及び電力系統50との接続をオンオフする。
【0036】
第2の接続スイッチ32は、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14及び負荷60と、第2のパワーコンディショナ20の第2自立端子25との接続をオンオフする。
【0037】
第1及び第2の接続スイッチ31,32で、第1のパワーコンディショナの第1連系端子14及び負荷60に、電力系統50と第2のパワーコンディショナ20の第2自立端子25のいずれを接続するかを切り替える切替手段が構成されている。
【0038】
接続制御部33は、第1及び第2の接続スイッチ31,32のオンオフを制御する。接続制御部33は、基本的には、電力系統50の非停電状態において、第1の接続スイッチ31をオンし、第2の接続スイッチ32をオフする一方、電力系統50の停電状態において、第1の接続スイッチ31をオフし、第2の接続スイッチ32をオンする。つまり、接続制御部33は、電力系統50の非停電状態で、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14及び負荷60に電力系統50を接続させる第1制御と、電力系統50の停電状態で、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14及び負荷60に第2のパワーコンディショナ20の第2自立端子25を接続させる第2制御とを第1及び第2の接続スイッチ31,32に対して実行する。なお、接続制御部33は、電力系統50が非停電状態から停電状態に遷移するときには、停電状態になってから5.7秒後に第1の接続スイッチ31をオフするとともに第2の接続スイッチ32をオンする。
【0039】
次に、上述のように構成された系統連系システム1の動作について図4図7を参照して説明する。まず、電力系統50の非停電状態においては、図4及び図5に示すように、接続制御部33が、第1の接続スイッチ31をオンし、第2の接続スイッチ32をオフしている。したがって、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14及び負荷60と、第2のパワーコンディショナ20の第2連系端子24及び電力系統50とが接続される。第1制御部13は、第1のDC/ACインバータ12から出力される交流電力を第1連系端子14から出力させるように第1のスイッチSW1を制御している。また、第2のパワーコンディショナ20の第2制御部23が、第2のDC/ACインバータ22から出力される交流電力を第2連系端子24から出力するように第2のスイッチSW2を制御している。このとき、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14が電力系統50に接続されているので、第1のパワーコンディショナ10の第1制御部13は、第1連系端子14の電圧の測定値、すなわち系統電圧を受信し、当該系統電圧の位相角の正弦値に基づいて、有効成分の電流指令値を生成するとともに、当該系統電圧の位相角の余弦値に基づいて、無効成分の電流指令値を生成する。系統電圧の位相角の正弦値及び余弦値は、第1連系端子14の電圧を入力信号として受けるPLLによって得られる。次いで、第1制御部13は、これら有効成分の電流指令値と、無効成分の電流指令値とを加算することにより、出力電流指令値を取得する。したがって、出力電流指令値は、系統電圧と同じ位相となる。そして、第1制御部13は、第1のDC/ACインバータ12の出力電流の値が、当該出力電流指令値に追従するように、PWM信号のフィードバック制御を行う。これにより、第1のパワーコンディショナ10は、電力系統50と連系できる。そして、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14から出力される電力が、負荷60の消費電力を上回っている場合には、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14から出力される電力が、負荷60に送られるとともに、第1のパワーコンディショナ10からの余剰電力が、電力系統50に送られる。図4図7中、第1のパワーコンディショナ10から送られる電力の向きを符号X1、第2のパワーコンディショナ20から送られる電力の向きを符号X2、電力系統50から送られる電力の向きを符号X3で示す。このとき、第2のパワーコンディショナ20の第2制御部23が逆潮流を検出し、第2のDC/DCコンバータ21及び第2のDC/ACインバータ22に、放電モードの動作を行わせない。したがって、蓄電池70からの放電は行われない。
【0040】
一方、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14から出力される電力が、負荷60の消費電力以下である場合には、図5に示すように、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14から出力される電力と、第2のパワーコンディショナ20の第2連系端子24から出力される電力と、電力系統50から送られる電力とが、負荷60に供給される。なお、このとき、第2のパワーコンディショナ20は負荷60の消費電力に追従するように電力を出力する。
【0041】
電力系統50が非停電状態から停電状態に遷移すると、停電状態になってから5秒以内に、第2制御部23が、図6及び図7に示すように、第2のスイッチSW2を第2自立端子25側に切り替える。また、停電状態になってから5.7秒後に、接続制御部33が、第1の接続スイッチ31をオフするとともに第2の接続スイッチ32をオンする。これにより、第2のパワーコンディショナ20の第2自立端子25と、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14及び負荷60とが接続される。このように、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14が第2のパワーコンディショナ20の第2自立端子25に接続されるので、第1のパワーコンディショナ10の第1制御部13は、第1連系端子14の電圧の測定値、すなわち第2のパワーコンディショナ20の第2自立端子25の電圧を受信し、当該第2自立端子25の電圧の位相角の正弦値に基づいて、有効成分の電流指令値を生成するとともに、当該第2自立端子25の電圧の位相角の余弦値に基づいて、無効成分の電流指令値を生成する。これら第2自立端子25の電圧の位相角の正弦値及び余弦値は、第1連系端子14の電圧を入力信号として受けるPLLによって得られる。次いで、第1制御部13は、これら有効成分の電流指令値と、無効成分の電流指令値とを加算することにより、出力電流指令値を取得する。したがって、出力電流指令値は、第2自立端子25の電圧と同じ位相となる。そして、第1制御部13は、第1のDC/ACインバータ12の出力電流の値が、当該出力電流指令値に追従するように、PWM信号のフィードバック制御を行う。このような制御により、第1のパワーコンディショナ10は、第2のパワーコンディショナ20の第2自立端子25の電圧と位相を合わせた交流電圧を第1連系端子14から出力する。そして、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14から出力される電力が、負荷60の消費電力を上回る場合には、第2のパワーコンディショナ20の第2自立端子25と、負荷60及び第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14とを接続する配線Lの電圧VACが上昇する。これにより、リアクトルR2からスイッチング素子S8及びダイオードD1に電流I2が流れ、バス電圧Vが上昇する。バス電圧Vが320Vの閾値THを超えると、第2制御部23が、第2のDC/DCコンバータ21及び第2のDC/ACインバータ22に充電モードの動作を開始させる。これにより、図6に示すように、第1のパワーコンディショナ10からの余剰電力が、第2自立端子25に入力され、第2のパワーコンディショナ20で直流電力に変換されて蓄電池70に供給される。第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14から出力される電力をPV、負荷60の消費電力をPL、蓄電池70に充電される電力をPBとすると、以下の式1が成り立つ。
【0042】
PB=PV-PL ・・・(式1)
このような充電動作により、バス電圧Vが320Vの閾値THまで下がると、第2制御部23が、第2のDC/DCコンバータ21及び第2のDC/ACインバータ22に充電モードの動作を停止させる。
【0043】
一方、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14から出力される電力が、負荷60の消費電力以下であり、配線Lの電圧VACが下がり、バス電圧Vが320Vの閾値THを下回ると、第2制御部23が、第2のDC/DCコンバータ21及び第2のDC/ACインバータ22に放電モードの動作を開始させる。これにより、図7に示すように、第2のパワーコンディショナ20は、蓄電池70に蓄えられた電力を交流電力に変換して第2自立端子25から負荷60に対して出力する。これにより、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14から出力される電力と、第2のパワーコンディショナ20の第2自立端子25から出力される電力とが合わせて負荷60に供給される。第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14から出力される電力をPV、第2のパワーコンディショナ20の第2自立端子25から出力される電力をPB、負荷60の消費電力をPLとすると、以下の式2が成り立つ。
【0044】
PL=PV+PB・・・(式2)
このような放電動作により、バス電圧Vが閾値THまで上昇すると、第2制御部23が、第2のDC/DCコンバータ21及び第2のDC/ACインバータ22に放電モードの動作を停止させる。これにより、配線L上でのエネルギーバランスが保たれ、第2のDC/ACインバータ22の出力電圧、すなわち配線Lの電圧は、安定した一定の電圧に保たれる。
【0045】
また、電力系統50の停電状態において、仮に第1のパワーコンディショナ10の第1自立端子15と第2のパワーコンディショナ20の第2自立端子25とを接続すると、出力電圧の位相が合わないので、第1のパワーコンディショナ10の内部回路に過電流が流れて回路の破壊を招く虞がある。これに対し、本実施形態では、電力系統50の停電状態において、第1のパワーコンディショナ10の第1連系端子14と、第2のパワーコンディショナ20の第2自立端子25とが接続されるので、第1のパワーコンディショナ10は、第2のパワーコンディショナ20の第2自立端子25の電圧を系統電圧と見なし、当該第2自立端子25の電圧と位相を合わせた交流電圧を第1連系端子14から出力する。したがって、第1のパワーコンディショナ10内に過電流が流れる非同期投入を防止できる。また、第1のパワーコンディショナ10に、電力系統50と連系するための構成とは別に、蓄電池70の充放電時に第1のパワーコンディショナ10内に過電流が流れるのを防止するための構成を設ける必要がないので、製造コストを削減できる。
【0046】
なお、上記実施形態では、第2制御部23が、第2のDC/DCコンバータ21及び第2のDC/ACインバータ22の動作モードを、放電モードと充電モードとに、バス電圧Vの測定値に応じて切り替えた。しかし、上記動作モードを、第2自立端子25とリアクトルR1~R3との間を流れる電流、すなわち第2のDC/ACインバータ22内における図2中符号P1~P3で示す箇所を流れる電流に応じて切り替えるようにしてもよい。つまり、符号P1~P3で示す箇所において、第2自立端子25側から第2のDC/ACインバータ22内側、すなわちブリッジ回路28及びハーフブリッジ回路29側(図2中左方向)に向かって電流が流れた場合には、充電モードとし、その反対方向に電流が流れた場合には、放電モードとするようにしてもよい。
【0047】
また、第2制御部23が、上記動作モードを、コンデンサC2の電圧VB’、又は第2自立端子25における電圧VACに応じて切り替えるようにしてもよい。また、上記動作モードを、バス電圧V、コンデンサC2の電圧VB’ 、第2自立端子25における電圧VAC、及び第2自立端子25とリアクトルR1~R3との間を流れる電流のうちの2つ以上の測定値に応じて切り替えるようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、太陽電池パネル40を発電ユニットとして用いたが、風力等の太陽光以外の再生可能エネルギーを利用する発電機や、コージェネレーションシステムを発電ユニットとして用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、電力系統の停電時に負荷に電力を供給可能な系統連系システムとして有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 系統連系システム
10 第1のパワーコンディショナ
14 第1連系端子
20 第2のパワーコンディショナ
21 第2のDC/DCコンバータ
22 第2のDC/ACインバータ
23 第2制御部(モード制御手段)
25 第2自立端子
26 直流バス
31 第1の接続スイッチ(切替手段)
32 第2の接続スイッチ(切替手段)
33 接続制御部(接続制御手段)
40 太陽電池パネル(発電ユニット)
50 電力系統
60 負荷
70 蓄電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7