(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】閉塞部材
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20231110BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B3/46
(21)【出願番号】P 2019217985
(22)【出願日】2019-12-02
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 顕
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-227808(JP,A)
【文献】特開2015-140563(JP,A)
【文献】特開2016-056578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B3/46
5/00-5/20
9/00
E04H9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の開口部を開閉する引き戸式の開閉体に当接する当接部と、
前記構造物における前記開口部を囲む部分と、前記開閉体との隙間を閉塞する閉塞部と、
前記閉塞部に対して前記当接部側と反対側に接続された支持部と、
を備え、
前記閉塞部は、前記開閉体の屋外側を覆う防水シートと、前記
囲む部分との間に設置されて前記隙間を閉塞し、
前記当接部は、前記開閉体に当接して前記閉塞部を支持
し、
前記支持部は、前記囲む部分に当接して前記閉塞部を支持する
ことを特徴とする閉塞部材。
【請求項2】
前記当接部の開閉方向における大きさは、前記隙間の奥行方向における大きさよりも大きく、
前記当接部が水圧により前記隙間へ侵入することを抑制可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の閉塞部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉塞部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開閉体によって開閉される開口部からの浸水を抑制する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、シャッタの裏面には屈曲自在な防水シートが設けられていると共に、防水シートと対向するようにしてガイド部材にはシール部材が設けられ、シャッタに浸水しようとする氾濫水等の水圧がシャッタの表面に作用すると、防水シートがシール材に圧接されるようになっている、浸水防止機能を備えたシャッタ装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開口部からの浸水を抑制することについて、なお改良の余地がある。例えば、開口部を開閉する開閉体が引き戸式のものである場合に、隙間からの浸水を抑制することについて、従来十分な検討がなされていない。
【0005】
本発明の目的は、引き戸式の開閉体によって開閉される開口部の隙間からの浸水を抑制することができる閉塞部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の閉塞部材は、構造物の開口部を開閉する引き戸式の開閉体に当接する当接部と、前記開閉体よりも屋内側と前記開閉体よりも屋外側とを連通する隙間を閉塞する閉塞部と、を備え、前記閉塞部は、前記開閉体の屋外側を覆う防水シートと、前記開閉体との間に設置されて前記隙間を閉塞し、前記当接部は、前記開閉体に当接して前記閉塞部を支持することを特徴とする。
【0007】
上記閉塞部材は、閉塞部が隙間を閉塞するため、引き戸式の開閉体によって開閉される開口部の隙間からの浸水を抑制することができる。
【0008】
上記閉塞部材において、更に、床面に当接して前記当接部および前記閉塞部を支持する基部を備え、前記閉塞部は、全閉位置と全開位置との間の位置にある一対の前記開閉体の間に形成された開閉方向の隙間を閉塞することが好ましい。
【0009】
上記閉塞部材は、全閉位置と全開位置との間の位置にある一対の開閉体の間に形成された開閉方向の隙間を閉塞するため、引き戸式の開閉体によって開閉される開口部の隙間からの浸水を抑制することができる。
【0010】
上記閉塞部材において、更に、前記閉塞部に対して前記当接部側と反対側に配置された支持部を備え、前記閉塞部は、前記構造物における前記開口部を囲む部分と、前記開閉体との隙間を閉塞し、前記支持部は、前記囲む部分に当接して前記閉塞部を支持することが好ましい。
【0011】
上記閉塞部材は、構造物における開口部を囲む部分と、開閉体との隙間を閉塞するため、引き戸式の開閉体によって開閉される開口部の隙間からの浸水を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る閉塞部材は、構造物の開口部を開閉する引き戸式の開閉体に当接する当接部と、開閉体よりも屋内側と開閉体よりも屋外側とを連通する隙間を閉塞する閉塞部と、を備える。閉塞部は、開閉体の屋外側を覆う防水シートと、開閉体との間に設置されて隙間を閉塞する。当接部は、開閉体に当接して閉塞部を支持する。本発明に係る閉塞部材によれば、引き戸式の開閉体によって開閉される開口部の隙間からの浸水を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る閉塞部材の設置状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る閉塞部材の設置状態を示す断面図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係る閉塞部材の設置方法を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る閉塞部材の設置状態を示す断面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の変形例に係る閉塞部材の設置状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態に係る閉塞部材につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
[第1実施形態]
図1および
図2を参照して、第1実施形態について説明する。本実施形態は、閉塞部材に関する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る閉塞部材の設置状態を示す斜視図、
図2は、第1実施形態に係る閉塞部材の設置状態を示す断面図である。
【0016】
図1には、開閉体5,6よりも屋外側から見た斜視図が示されている。
図1に示すように、第1実施形態に係る閉塞部材20は、開閉体5,6の屋外側を覆う防水シート10と、開閉体5,6との間に設置されて隙間G1を閉塞する部材である。閉塞部材20によって隙間G1が閉塞されることにより、防水シート10が屋内側に入り込んでしまうことが抑制される。よって、本実施形態に係る閉塞部材20によれば、防水シート10の止水性能の低下を抑制し、止水性能を維持させることができる。
【0017】
開口部2は、構造物1の屋内側と屋外側とを連通している。開口部2の幅方向の両端には、それぞれ壁部3が配置されている。すなわち、開口部2は、一対の壁部3,3によって挟まれている。開閉体5,6は、開口部2を開閉するドアである。本実施形態に係る開閉体5,6は、引き戸式(スライド式)のドアであり、開口部2の幅方向に移動する。開閉体5,6は、床面4に配置されたレールによって開閉方向に案内される。床面4における壁部3よりも屋内側には、開閉方向に延在する1本のレールが設けられている。開閉体5,6は、レールによって案内されて開閉方向に移動する。
【0018】
本実施形態の開閉体5,6は、自動ドアの開閉体であり、自動的に開閉される。開閉体5,6は、開口部2を開放する場合、モータ等の駆動源の駆動力によって、開口部2の幅方向において互いに離間する方向に移動する。一方、開閉体5,6は、開口部2を閉鎖する場合、駆動源の駆動力によって開口部2の幅方向において互いに近づく方向に移動する。開口部2の一方側に配置された第一開閉体5と、他方側に配置された第二開閉体6は、同期して開閉方向に移動する。
【0019】
防水シート10は、開口部2を閉塞して開閉体5,6よりも屋内側への水の浸入を抑制する。防水シート10は、可撓性を有しており、好ましくは伸縮可能である。防水シート10の素材は、例えば、樹脂、ゴム、上面を樹脂などでコーティングした布等とすることができる。本実施形態の防水シート10は、透光性を有する樹脂製のシートである。防水シート10は、矩形のシートであり、一辺に複数の固定部材11が配置されている。固定部材11は、開閉体5,6に対して防水シート10を固定することができる。本実施形態の固定部材11は、吸盤を有している。
【0020】
防水シート10は、固定部材11が配置された辺12を上側にし、この辺12の対辺13を下側にして開口部2に設置される。以下、固定部材11が配置された辺を「上辺12」と称し、上辺12の対辺を「下辺13」と称する。防水シート10は、
図1に示すように、開閉体5,6を覆い、かつ下辺13側の領域(以下「裾部」と称する。)10aによって床面4を覆うように開口部2に設置される。つまり、防水シート10は、開閉体5,6と床面4とを一体に覆うように設置される。防水シート10は、更に、壁部3を覆うように設置されてもよい。すなわち、防水シート10は、開閉体5,6と壁部3とを一体に覆うように設置されてもよい。
【0021】
ユーザーは、防水シート10を開口部2に設置する場合、例えば、開閉体5,6を全閉位置PCに停止させた状態で防水シート10を設置するようにしてもよい。この場合、ユーザーは、固定部材11の吸盤を開閉体5,6に吸着させることにより、防水シート10の上辺12を開閉体5,6に固定することができる。防水シート10によって開閉体5,6と、壁部3と、床面4とを一体に覆うようにすれば、防水シート10によって、開閉体5,6と壁部3との隙間や、開閉体5,6と床面4との隙間を閉塞し、屋内側への水の浸入を抑制することが可能である。
【0022】
ここで、開閉体5,6を半開状態としたままで防水シート10を設置できると有利な場合がある。例えば、構造物1の出入口が開口部2の一箇所のみである場合に、開閉体5,6を半開状態として防水シート10を設置することができれば、開閉体5,6の間から屋内側に出入りすることが可能となる。ユーザーは、屋外側で防水シート10の設置作業を行い、防水シート10の設置が完了した後に開閉体5,6の間を通って屋内に退避することができる。
【0023】
本実施形態に係る閉塞部材20によれば、以下に説明するように、開閉体5,6を半開状態としたままで防水シート10を設置する場合の止水性能の低下を抑制することが可能となる。
図1に示すように、本実施形態の閉塞部材20は、閉塞部21と、当接部22,23と、基部24とを含んで構成されている。
【0024】
閉塞部21は、開閉体5,6よりも屋内側と開閉体5,6よりも屋外側とを連通する隙間G1を閉塞する。ユーザーは、閉塞部材20および防水シート10を設置する際には、自動ドアの自動開閉機能が働かないようにすることが望ましい。ユーザーは、例えば、自動ドアの電源をオフすることにより、開閉体5,6が自動で開閉しない状態とする。ユーザーは、手動により開閉体5,6を開閉方向の適当な位置に移動させて、隙間G1を設ける。隙間G1の開閉方向の幅は、例えば、ユーザーが出入りできる程度の幅であることが好ましい。本実施形態では、開閉体5,6が全閉位置(
図1の符号PC参照)と全開位置(
図1の符号PO参照)との間の位置(半開位置)にある状態で、閉塞部材20が設置される。こうした半開位置では、第一開閉体5と第二開閉体6との間に形成される開閉方向の隙間G1は、開閉体5,6が全閉位置PCにある場合と比べて大きな隙間となる。閉塞部材20は、隙間G1を閉塞し、閉塞部材20自身によって隙間G1を介した浸水を抑制することもでき、更に、水圧に抗して防水シート10を支持し、防水シート10の止水性能の低下を抑制することもできる。
【0025】
本実施形態の閉塞部21は、第一開閉体5と第二開閉体6との幅方向の隙間G1のうち、下端側の所定の範囲を閉塞する。当接部22,23は、開閉体5,6に当接する部分である。本実施形態の閉塞部材20では、閉塞部21と当接部22,23とが一体となっている。すなわち、矩形の板状部25の一部が閉塞部21として機能し、他の一部が当接部22,23として機能する。具体的には、板状部25の幅方向の一方の端部が第一開閉体5に当接する第一当接部22として機能し、他方の端部が第二開閉体6に当接する第二当接部23として機能する。また、板状部25における第一当接部22と第二当接部23との間の領域が、閉塞部21として機能する。
【0026】
基部24は、床面4に当接して当接部22,23および閉塞部21を床面から起立した状態に支持する。基部24は、矩形の板状であり、板状部25と交差している。本実施形態の閉塞部材20は、板状部25と基部24とが直交して断面形状が略L字形状をなしている。板状部25と基部24とは別部材であっても、一体成形されていてもよい。
【0027】
閉塞部材20は、板状部25によって隙間G1を閉塞するように床面4上に載置される。より具体的には、閉塞部材20は、以下(1)乃至(4)の条件を満たすように、床面4上に設置される。
(1)板状部25の幅方向の一端部が第一開閉体5と互いに対向する。
(2)板状部25の幅方向の他端部が第二開閉体6と互いに対向する。
(3)基部24が、奥行方向において板状部25よりも開閉体5,6側と反対側(屋外側)に位置する。
(4)基部24における板状部25側と反対側の面が、床面4と互いに対向する。
【0028】
なお、閉塞部材20は、板状部25をできる限り開閉体5,6に接近させて設置されることが好ましく、開閉体5,6に接した状態で設置されることが好ましい。また、閉塞部材20は、第一開閉体5と板状部25の重なり幅と、第二開閉体6と板状部25の重なり幅とが等しくなるように設置されることが好ましい。
【0029】
ユーザーは、閉塞部材20を設置した後に、防水シート10を開口部2に設置する。ユーザーは、防水シート10によって開閉体5,6と閉塞部材20とを屋外側から一体に覆い、固定部材11によって防水シート10の上辺12を開閉体5,6に固定する。また、ユーザーは、閉塞部材20の基部24と床面4とを一体に覆うように防水シート10を設置することが好ましい。また、ユーザーは、開閉体5,6と壁部3とを一体に覆うように防水シート10を設置することが好ましい。
【0030】
図2に示すように、閉塞部材20は、隙間G1を閉塞するように設置される。防水シート10が開閉体5,6の屋外側を覆うように設置されると、閉塞部21は、奥行方向において防水シート10と、開閉体5,6との間に設置された状態となり、隙間G1を閉塞する。また、当接部22,23は、開閉体5,6に当接して、閉塞部21を支持する。
【0031】
これにより、防水シート10に対して屋外側から水圧がかかったとしても、防水シート10が閉塞部材20の板状部25によって支持される。当接部22,23は、水圧に抗して閉塞部21を支持し、閉塞部21が防水シート10を支持する。よって、防水シート10が隙間G1から屋内に入り込んでしまうことが抑制される。従って、本実施形態の閉塞部材20は、防水シート10の止水性能の低下を抑制することができる。板状部25は、水圧に抗して防水シート10を支持できるだけの剛性を有することが好ましい。板状部25の材質は、例えば、アルミ等の金属とすることができる。あるいは、板状部25の材質は、例えば、樹脂とすることができる。樹脂製の板状部25は、リブ等により強度が確保されてもよい。
【0032】
防水シート10に水圧がかかると、水圧によって板状部25が開閉体5,6に向けて押圧される。これにより、当接部22,23と開閉体5,6との密着性が高まり、開閉体5,6と当接部22,23との間からの水の浸入が抑制される。また、防水シート10に水圧がかかると、水圧によって基部24が床面4に向けて押圧される。これにより、基部24と床面4との密着性が高まり、床面4と基部24との間からの浸水が抑制される。なお、本実施形態の板状部25は、吸盤を吸着させることが可能となっている。このため、
図2に示すように、固定部材11が板状部25に対して固定されている。
【0033】
本実施形態では、防水シート10が開閉体5,6と壁部3とを一体に覆っている。従って、開閉体5,6と壁部3との隙間が防水シート10によって閉塞される。これにより、開閉体5,6と壁部3との隙間からの浸水が抑制される。また、防水シート10が開閉体5,6と床面4とを一体に覆っている。従って、開閉体5,6と床面4との隙間からの浸水が抑制される。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の閉塞部材20は、2枚の開閉体5,6の間の隙間G1を閉塞する。従って、閉塞部材20は、防水シート10が水圧によって撓むことや、防水シート10が隙間G1から屋内側へ入り込んでしまうことを抑制することができる。よって、閉塞部材20は、防水シート10の止水性能の低下を抑制することができる。また、閉塞部材20は、開閉体5,6が全閉位置PCと全開位置POとの間の位置にある場合の隙間G1を閉塞することができる。ユーザーは、開閉体5,6を半開状態にしたままで防水シート10および閉塞部材20によって隙間G1からの浸水を抑制することができる。ユーザーは、防水シート10を設置した状態で隙間G1から屋内側に出入りすることができ、利便性が増す。隙間G1からの出入りを容易とするために、閉塞部材20の高さは、ユーザーが跨ぐことができる程度の高さ、例えば30cmから100cm程度、好ましくは35cm~60cm程度とされてもよい。
【0035】
また、本実施形態の閉塞部材20を利用して防水シート10を設置することにより、防水シート10を設置したままで、隙間G1を介して屋内側と屋外側とで換気することが可能となるという利点がある。
【0036】
[第2実施形態]
図3および
図4を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態については、上記第1実施形態で説明したものと同様の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図3は、第2実施形態に係る閉塞部材の設置方法を示す斜視図、
図4は、第2実施形態に係る閉塞部材の設置状態を示す断面図である。本実施形態に係る閉塞部材30は、開閉体5,6と壁部3との隙間G2を閉塞する点で、上記第1実施形態の閉塞部材20と異なる。
【0037】
構造物1における開口部2を囲む部分と、開閉体5,6との間には、隙間が存在する。例えば、
図3に示すように、開閉体5,6と壁部3との間には、隙間G2が存在する。開閉体5,6は、壁部3に対して屋内側に配置されており、壁部3よりも屋内側の位置を移動する。壁部3が開閉体5,6と干渉しないように、開閉体5,6と壁部3との間には、一定の隙間を確保する必要がある。
【0038】
ここで、開口部2を閉塞するように設置された防水シート10に対して水圧がかかった場合に、防水シート10が隙間G2に入り込んでしまう可能性がある。防水シート10が隙間G2に入り込んでしまった場合、防水シート10の止水性能が低下してしまう可能性がある。
【0039】
本実施形態の閉塞部材30は、壁部3と開閉体5,6との隙間G2を閉塞する。閉塞部材30によって隙間G2を閉塞した状態で防水シート10が設置されることにより、防水シート10が隙間G2に入り込んでしまうことが抑制される。よって、本実施形態に係る閉塞部材30は、防水シート10の止水性能の低下を抑制することができる。
【0040】
閉塞部材30は、開口部2における幅方向の端部に設置される。本実施形態では、第一開閉体5と壁部3との隙間G2、および第二開閉体6と壁部3との隙間G2のそれぞれに閉塞部材30が設置される。閉塞部材30の長さは、防水シート10のうち開閉体5,6に設置される部分の長さに対応している。
【0041】
図4に示すように、閉塞部材30は、閉塞部31と、当接部32と、支持部33とを含んで構成されている。閉塞部31、当接部32および支持部33は、それぞれ矩形の板状である。閉塞部31の一端に当接部32が接続されており、他端に支持部33が接続されている。言い換えると、支持部33は、閉塞部31に対して当接部32側とは反対側に接続されている。閉塞部材30の断面形状において、閉塞部31と当接部32とが直交して略L字形状をなしており、閉塞部31と支持部33とが直交して略L字形状をなしている。閉塞部31に対して、当接部32は一方側に向けて突出しており、支持部33は他方側に向けて突出している。言い換えると、閉塞部材30は、一枚の矩形の板状部材において、幅方向の一端側の縁部と他端側の縁部を互いに逆方向に屈曲させた形状を有する。
【0042】
図4を参照して、第一開閉体5と壁部3との隙間G2を閉塞部材30によって閉塞する方法を説明する。
図4に示すように、閉塞部材30は、以下の(1)乃至(3)の条件を満たすように設置される。
(1)閉塞部31によって隙間G2を屋外側から閉塞する。
(2)当接部32を第一開閉体5の屋外側の面5aと対向させる。当接部32を屋外側の面5aに当接させるようにしてもよい。
(3)支持部33を壁部3の屋外側の面3aと対向させる。支持部33を屋外側の面3aに当接させるようにしてもよい。
【0043】
屋外からの水により防水シート10に水圧がかかると、当接部32は第一開閉体5に向けて押圧されて第一開閉体5に当接する。第一開閉体5の屋外側の面5aに当接した当接部32は、水圧に抗して閉塞部31を支持する。また、防水シート10に水圧がかかると、支持部33は、壁部3に向けて押圧されて壁部3に当接する。壁部3の屋外側の面3aに当接した支持部33は、水圧に抗して閉塞部31を支持する。
【0044】
当接部32が第一開閉体5に当接し、支持部33が壁面3に当接していることで、閉塞部31の両側が支持された状態となる。従って、閉塞部材30が鉛直軸回りに回転してしまうことが抑制される。また、以下に説明するように、本実施形態の閉塞部材30の形状は、閉塞部材30が隙間G2に入り込んでしまうことを抑制可能なものである。
【0045】
図4に示すように、当接部32の幅L2は、隙間G2の奥行方向の幅L1よりも大きい。当接部32の幅L2とは、閉塞部31と直交する方向の幅である。つまり、当接部32の幅L2は、閉塞部材30が設置された状態において開閉体5,6に当接する部分の、開閉方向における幅である。屋外側から水圧が作用した場合、矢印Y1に示すように、壁部3の端部3bを回転中心として閉塞部材30を鉛直軸回りに回転させる力が作用する可能性がある。本実施形態の閉塞部材30は、当接部32の幅L2が隙間G2の奥行方向の幅L1よりも大きいことで、上記の回転させる力Y1が作用したとしても、当接部32が隙間G2に入り込んでしまうことが抑制される。
【0046】
第二開閉体6と壁部3との隙間G2を閉塞する閉塞部材30の形状は、第一開閉体5と壁部3との隙間G2を閉塞する閉塞部材30の形状と同様である。また、第二開閉体6と壁部3との隙間G2に対する閉塞部材30の設置方法は、上述した第一開閉体5と壁部3との隙間G2に対する閉塞部材30の設置方法と同様とすることができる。
【0047】
[第2実施形態の変形例]
第2実施形態の変形例について説明する。
図5は、第2実施形態の変形例に係る閉塞部材の設置状態を示す断面図である。
図5に示すように、本変形例に係る閉塞部材30は、保持部34を有する点が上記第2実施形態の閉塞部材30と異なる。
【0048】
図5に示すように、保持部34は、断面C字形状である。保持部34は、支持部33における閉塞部31側と反対側の端部に配置されている。保持部34は、防水シート10の端部に配置されたビード14を保持する。ビード14は、剛性を有する棒状部材である。ビード14は、防水シート10の幅方向の両端の辺にそれぞれ配置されている。保持部34の内径は、ビード14の外径よりもわずかに大きい。ユーザーは、保持部34に対して上端側からビード14を挿入する。本変形例の閉塞部材30によれば、防水シート10の端部を保持して防水シート10の止水性能の低下を抑制することができる。なお、保持部34を有する閉塞部材30は、壁部3や開閉体5,6に対して固定されることが好ましい。ユーザーは、例えば、粘着テープ等により閉塞部材30を壁部3や開閉体5,6に対して固定するようにすればよい。
【0049】
[上記各実施形態の第1変形例]
上記第1実施形態および第2実施形態では、閉塞部材20,30の設置対象が、自動ドアの開閉体5,6であったが、これには限定されない。開閉体5,6は、手動で開閉されるドアであってもよい。
【0050】
開閉体は、両開きに限定されるものではなく、片開きのものであってもよい。また、引き違い戸の開閉体に対して閉塞部材20,30が設置されてもよい。例えば、上記第2実施形態の閉塞部材30は、引き違い戸の2枚の開閉体の隙間を閉塞するように設置されてもよい。
【0051】
[上記各実施形態の第2変形例]
上記第1実施形態および第2実施形態では、固定部材11が吸盤を有していた。これに代えて、固定部材11は、両面に粘着層を有する粘着テープや、片面に粘着層を有する粘着テープであってもよい。また、開閉体5,6の材質が磁性体である場合、固定部材11は、マグネットであってもよい。
【0052】
上記の各実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 構造物
2 開口部
3 壁部
4 床面
5 第一開閉体
6 第二開閉体
10 防水シート
20,30 閉塞部材
21,31 閉塞部
22 第一当接部
23 第二当接部
24 基部
25 板状部
32 当接部
33 支持部
G1,G2 隙間