(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
A63B 55/60 20150101AFI20231110BHJP
B60J 7/10 20060101ALI20231110BHJP
B62D 25/04 20060101ALI20231110BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20231110BHJP
【FI】
A63B55/60 B
A63B55/60 E
A63B55/60 F
B60J7/10 A
B62D25/04 Z
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2019229566
(22)【出願日】2019-12-19
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】小川 岳大
(72)【発明者】
【氏名】吉田 聡
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-325626(JP,A)
【文献】特開2012-148676(JP,A)
【文献】登録実用新案第3127230(JP,U)
【文献】特開2016-115144(JP,A)
【文献】国際公開第2011/077366(WO,A1)
【文献】特開2019-135113(JP,A)
【文献】特開昭59-84623(JP,A)
【文献】特許第5480742(JP,B2)
【文献】実公平5-17299(JP,Y2)
【文献】米国特許出願公開第2013/0001981(US,A1)
【文献】実公平6-34189(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 55/00 - 55/60
B60J 7/00 - 7/22
B62D 25/04 - 25/07
B62D 27/00 - 27/06
B62D 63/00 - 63/08
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転シートと、
前記運転シートの後方に位置する後部シートと、
前記運転シート及び前記後部シートを覆う屋根を支持
可能な屋根支持フレームと、
車幅方向における前記屋根支持フレームの第一端を支持する第1の支持フレームと、
前記屋根支持フレームの第一端とは車幅方向の反対に位置する第二端を、前記第1の支持フレームよりも下方で支持する第2の支持フレームと、
前記屋根支持フレームの第一端の下方に設けられている前記後部シートの乗降口と、
を有
し、
前記第1の支持フレームは、車体の前部において鉛直方向に延びて設けられる第1の前支柱と、車体の後部において鉛直方向に延びて設けられる第1の後支柱と、を含み、
前記第2の支持フレームは、その上端が前記第1の前支柱及び前記第1の後支柱の上端よりも下方に位置しており、
前記乗降口は、前記第1の前支柱と前記第1の後支柱との間に位置している、
車両。
【請求項2】
水平面に対して上面が傾斜するように前記屋根支持フレームに支持される
前記屋根を有する、
請求項
1に記載の車両。
【請求項3】
前記屋根は、
水平面に対してその上面が傾斜するように前記屋根支持フレームに対して取り外し可能に支持される、
請求項
1に記載の車両。
【請求項4】
前記乗降口を開閉する扉を有しており、
車体底面を基準とした前記扉の上端は、車体底面を基準とした前記屋根支持フレームの第一端の高さの半分よりも下方に位置している、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の車両。
【請求項5】
鉛直方向における前記扉の上端と前記屋根支持フレームの第一端との間に第1通気領域が形成されている、
請求項
4に記載の車両。
【請求項6】
前記屋根支持フレームの第二端の下方に設けられており、乗員の乗降を規制する側壁を有し、
車体底面を基準とした前記側壁の上端は、車体底面を基準とした前記屋根支持フレームの第二端の高さの半分よりも上方に位置している、
請求項
5に記載の車両。
【請求項7】
鉛直方向における前記側壁の上端と前記屋根支持フレームの第二端との間に第2通気領域が形成されており、
前記第2通気領域は、前記第1通気領域よりも狭い、
請求項
6に記載の車両。
【請求項8】
前記扉は、前後方向に移動するスライド扉である、
請求項
4~7のいずれか1項に記載の車両。
【請求項9】
前記スライド扉の移動を規制するロック部と、
前記ロック部を支持する第3の支柱と、
を有し、
車体底面を基準とした前記ロック部の上端は、車体底面を基準とした前記屋根支持フレームの第一端の高さの半分よりも下方に位置している、
請求項
8に記載の車両。
【請求項10】
前記スライド扉は、前記運転シートへの前記乗降口を開閉する前スライド扉と、前記後部シートへの前記乗降口を開閉する後スライド扉と、を含む、
請求項
8又は9に記載の車両。
【請求項11】
前記運転シートの前方に設けられるステアリングホイールと、
車体の前部に設けられるバンパーと、
車体の前部であって、前記バンパーの上方に設けられるノーズ部と、
を有しており、
前記ノーズ部の上面は、前記ステアリングホイールの上端よりも下方に位置している、
請求項1~
10のいずれか1項に記載の車両。
【請求項12】
前記ノーズ部の外装は、前記バンパーの外装よりも柔らかい素材からなる、
請求項
11に記載の車両。
【請求項13】
前記運転シートの前方かつ前記ノーズ部の後方に設けられており、天板を含むダッシュボードを有しており、
前記ノーズ部の上面は、前記天板の上面と略同一平面上に位置している、
請求項
11又は12に記載の車両。
【請求項14】
車体の後部に設けられており、車内の状況に関する情報に応じて駆動する尻尾部を有している、
請求項
1~13のいずれか1項に記載の車両。
【請求項15】
前記後部シートの座面の前後方向における端面は、車幅方向における中央部から端部に向かうに従い前記座面の面積が大きくなるように傾斜している、
請求項
1~14のいずれか1項に記載の車両。
【請求項16】
最高速度が時速20キロメートル未満である、
請求項
1~15のいずれか1項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、屋根を支持するフレームを有するゴルフカートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるような車両においては、例えば、乗降する際に、屋根から垂れてくる雨水等により乗員が濡れてしまう場合がある。そのため、乗員は車両への乗降をスムーズに行えることが好ましい。
【0005】
本開示の目的の一つは、乗降が容易な車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示で提案する車両は、運転シートと、前記運転シートの後方に位置する後部シートと、前記運転シート及び前記後部シートを覆う屋根を支持する屋根支持フレームと、車幅方向における前記屋根支持フレームの第一端を支持する第1の支持フレームと、前記屋根支持フレームの第一端とは車幅方向の反対に位置する第二端を、前記第1の支持フレームよりも下方で支持する第2の支持フレームと、前記屋根支持フレームの第一端の下方に設けられている前記後部シートの乗降口と、を有する。この車両によると、乗降口を広くとることができ、乗降が容易となる。
【0007】
(2)(1)に記載の車両において、前記第1の支持フレームは、鉛直方向に延びる第1の支柱を含み、前記第2の支持フレームは、鉛直方向に延びており、その上端が前記第1の支柱の上端よりも下方に設けられる第2の支柱を含むとよい。これによると、乗降口を広くとることができ、乗降が容易となる。
【0008】
(3)(1)又は(2)に記載の車両において、水平面に対して上面が傾斜するように前記屋根支持フレームに支持される屋根を有するとよい。これによると、乗員が乗降口から乗降する際に、雨水等により濡れることが抑制される。
【0009】
(4)(3)に記載の車両において、前記屋根は、前記屋根支持フレームに対して取り外し可能に支持されるとよい。これによると、天候や、使用の用途などの応じた車両を実現することができる。
【0010】
(5)(1)~(4)のいずれかに記載の車両において、前記乗降口を開閉する扉を有しており、車体底面を基準とした前記扉の上端は、車体底面を基準とした前記屋根支持フレームの第一端の高さの半分よりも下方に位置しているとよい。これによると、通気性が向上する。
【0011】
(6)(5)に記載の車両において、鉛直方向における前記扉の上端と前記屋根支持フレームの第一端との間に第1通気領域が形成されているとよい。これによると、通気性が向上する。
【0012】
(7)(5)又は(6)に記載の車両において、前記屋根支持フレームの第二端の下方に設けられており、乗員の乗降を規制する側壁を有し、車体底面を基準とした前記側壁の上端は、車体底面を基準とした前記屋根支持フレームの第二端の高さの半分よりも上方に位置しているとよい。
【0013】
(8)(7)に記載の車両において、鉛直方向における前記側壁の上端と前記屋根支持フレームの第二端との間に第2通気領域が形成されており、前記第2通気領域は、前記第1通気領域よりも狭い。
【0014】
(9)(5)~(8)のいずれかに記載の車両において、前記扉は、前後方向に移動するスライド扉であるとよい。これによると、前後方向における乗降口を広くとることができる。
【0015】
(10)(9)に記載の車両において、前記スライド扉の移動を規制するロック部と、前記ロック部を支持する第3の支柱と、を有し、車体底面を基準とした前記ロック部の上端は、車体底面を基準とした前記屋根支持フレームの第一端の高さの半分よりも下方に位置しているとよい。これによると、通気性が向上する。
【0016】
(11)(9)又は(10)に記載の車両において、前記スライド扉は、前記運転シートへの前記乗降口を開閉する前スライド扉と、前記後部シートへの前記乗降口を開閉する後スライド扉と、を含むとよい。これによると、前後方向における乗降口の幅を広くとることができる。
【0017】
(12)(1)~(11)のいずれかに記載の車両において、前記運転シートの前方に設けられるステアリングホイールと、車体の前部に設けられるバンパーと、車体の前部であって、前記バンパーの上方に設けられるノーズ部と、を有しており、前記ノーズ部の上面は、前記ステアリングホイールの上端よりも下方に位置しているとよい。これによると、運転者から見た前方の視認性が低下することが抑制される。
【0018】
(13)(12)に記載の車両において、前記ノーズ部の外装は、前記バンパーの外装よりも柔らかい素材からなるとよい。これによると、外部からの衝撃を吸収できる。
【0019】
(14)(12)又は(13)に記載の車両において、前記運転シートの前方かつ前記ノーズ部の後方に設けられており、天板を含むダッシュボードを有しており、前記ノーズ部の上面は、前記天板の上面と略同一平面上に位置しているとよい。これによると、車両の前部において車内と車外が連続するように視認され、乗員は開放感を得られることとなる。
【0020】
(15)(1)~(14)のいずれかに記載の車両において、車体の後部に設けられており、車内の状況に関する情報に応じて駆動する尻尾部を有しているとよい。これによると、車内の状況を車外へ報知することができる。
【0021】
(16)(1)~(15)のいずれかに記載の車両において、前記後部シートの座面の前後方向における端面は、車幅方向における中央部から端部に向かうに従い前記座面の面積が大きくなるように傾斜しているとよい。これによると、後部シートに座った乗員の視線が内側に向くため、車内でのコミュニケーションがとりやすくなる。
【0022】
(17)(1)~(16)のいずれかに記載の車両において、最高速度が時速20キロメートル未満であるとよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】屋根を取り外した状態の車両を後方左斜め上から見た斜視図である。
【
図3】車両を後方左斜め上から見た斜視図であって、車体フレームを省略した図である。
【
図7】スライド扉が開いた状態の車両を左方から見た左側面図である。
【
図8】スライド扉が開いた状態の車両を後方左斜め上から見た斜視図である。
【
図9】
図8のIX-IX切断面における断面図である。
【
図12】車両を前方左斜め上から見た拡大斜視図である。
【
図14】第1変形例の車両を後方から見た後面図である。
【
図15】第2変形例の車両を前方から見た前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態(以下、本実施形態ともいう)について説明する。本実施形態は一例として理解されるべきものであり、本発明は図面及び以下で説明する実施形態に限定されない。本実施形態と同様又は類似する利点を有する他の実施形態は、本発明の範囲に包含される。
【0025】
以下の説明及び各図において、前方をY1、後方をY2、左方をX1、右方をX2、上方をZ1、下方をZ2で示している。なお、これら方向は車両1に乗車した運転者から見た方向である。また、右方X1及び左方X2は車幅方向である。
【0026】
[車両の全体構成の概要]
まず、本実施形態の車両1の全体構成の概要について説明する。車両1は、LSM(Low Speed Mobility)などと呼ばれる、最大速度が時速20km未満で走行する低速自動車である。車両1は、電気自動車であってもよいし、エンジン車であってもよい。また、車両1は、運転者の操作に応じて走行する車両であってもよいし、人の操作によらず自動で走行する自動運転車であってもよい。なお、車両1の最大速度は、時速20km未満に限られるものではなく、乗用車と同程度の速度で走行するものであってもよい。
【0027】
車両1は、前輪2と後輪3とを有している。前輪2は車両1の左右にそれぞれ設けられており、後輪3も車両1の左右にそれぞれ設けられている。また、車両1は、運転者が座る運転シート4Aと、運転シート4Aの後方に位置するセカンドシート(後部シート)4Bと、セカンドシート4Bの後方に位置するサードシート(後部シート)4Cとを有している。
【0028】
運転シート4Aの前方には、ステアリングホイール6、速度メータやタコメータなどの種々の計器が取り付けられるダッシュボード20などが配置されているとよい。
【0029】
[車体フレーム]
主に
図2を参照して、車体フレームFの構成について説明する。車両1は、車体フレームFを有している。車体フレームFは、少なくとも、第1の支持フレームF1と、第2の支持フレームF2と、屋根支持フレームFRと、を含んでいる。なお、以下の説明において、車両1のうち車体フレームFが取り付けられる本体部分を単に「車体」と称する。
図3においては、車体フレームFの図示を省略し、車体のみを図示している。
【0030】
[車体フレーム:第1の支持フレーム及び第2の支持フレーム]
第1の支持フレームF1は、前支柱F11と、後支柱F12と、左フレームF13とを含み、屋根支持フレームFRの左端(第一端)を支持している。前支柱F11及び後支柱F12は車体に固定されている。また、前支柱F11と後支柱F12は、鉛直方向に延びており、その高さにより屋根支持フレームFRの左端の高さを規定する。
【0031】
第2の支持フレームF2は、前支柱F21と、後支柱F22と、右フレームF23とを含み、屋根支持フレームFRの右端(左端とは車幅方向の反対に位置する第二端)を支持している。前支柱F21及び後支柱F22は車体に固定されている。また、前支柱F21と後支柱F22は、鉛直方向に延びており、その高さにより屋根支持フレームFRの右端の高さを規定する。
【0032】
なお、本明細書において、屋根支持フレームFRの左端、右端とは、車幅方向の端のみではなく、車幅方向の端を含む部分であるとの意味で用いることとする。すなわち、
図2に示すように、第1の支持フレームF1は、屋根支持フレームFRの左端部から所定距離だけ中央寄りの位置を支持していてもよい。同様に、第2の支持フレームF2は、屋根支持フレームFRの右端部から所定距離だけ中央寄りの位置を支持していてもよい。
【0033】
前支柱F11は、車体の左前部に設けられており、前支柱F21は、車体の右前部に設けられている。また、前支柱F11と前支柱F21は、前後方向において同じ位置に設けられている。
【0034】
後支柱F12は、車体の左後部に設けられており、後支柱F22は、右後部に設けられている。また、後支柱F12と後支柱F22は、前後方向において同じ位置に設けられている。
【0035】
左フレームF13は、前支柱F11の上端と後支柱F12の上端とを掛け渡すように前後方向に延びている。
【0036】
右フレームF23は、前支柱F21の上端と後支柱F22の上端とを掛け渡すように前後方向に延びている。
【0037】
なお、本明細書において、前支柱F11、前支柱F21、後支柱F21、後支柱F22の「上端」とは、鉛直方向の上端のみではなく、上端を含む部分であるとの意味で用いることとする。
【0038】
車体フレームFは、さらに、前支柱F11の上端と前支柱F21の上端とを掛け渡すように車幅方向に延びる前フレームF31と、後支柱F12の上端と後支柱F22の上端とを掛け渡すように車幅方向に延びる後フレームF32と、を含む。
【0039】
左フレームF13、右フレームF23、前フレームF31、及び後フレームF32は、互いに連結されており、上面視において矩形を形成している。
【0040】
[車体フレーム:屋根支持フレーム]
屋根支持フレームFRは、屋根10を支持するフレームである。屋根支持フレームFRは、前後方向に延びる左フレームFR1及び右フレームFR2と、車幅方向に延びると共に左フレームFR1と右フレームFR2とを連結する複数の連結フレームFR3と、を有している。
【0041】
なお、
図1等においては、左フレームFR1、右フレームFR2、及び連結フレームFR3が1つの部材で一体に構成される例について示すが、これに限られるものではなく、これら各フレームは別体であり、互いに連結されるものであってもよい。また、連結フレームFR3の数は図示の例に限られるものではなく、車両1の前後方向の長さや屋根10の重量に応じて適当な数設けられているとよい。
【0042】
屋根支持フレームFRは、左フレームF13及び右フレームF23に対して固定されている。ただし、これに限られるものではなく、屋根支持フレームFRは、前支柱F11、F12の上端及び後支柱F21、F22の上端に対して固定されていてもよい。
【0043】
なお、屋根支持フレームFRは、第1の支持フレームF1及び第2の支持フレームF2と別体であるものに限られず、第1の支持フレームF1及び第2の支持フレームF2と一体に構成されていてもよい。
【0044】
本実施形態においては、第2の支持フレームF2は、第1の支持フレームF1よりも下方で、屋根支持フレームFRを支持している。すなわち、前支柱F21及び後支柱F22の上端は、前支柱F11及び後支柱F12の上端よりも下方に位置している。なお、各支柱の上端は、屋根10が屋根支持フレームFRに支持された状態において、屋根10により覆われる。
図4、
図5においては、屋根10に覆われて隠れている支柱の上端を破線で示している。また、
図4、
図5においては、E1は前支柱F11及び後支柱F12の上端を示しており、E2は前支柱F21及び後支柱F22の上端を示している。
【0045】
屋根10は、水平面に対して上面が傾斜するように屋根支持フレームFRに支持される。具体的には、
図4に示すように、屋根10は、左方から右方に向かうに従って高さが低くなるように傾斜するように屋根支持フレームFRに支持される。屋根10の上面は、平坦な面には限られず、曲面であっても良い。傾斜とは、車幅方向において全体として第一端(左方)よりも第二端(右方)が低くなるように形成されていればよく、例えば雨どいのような構成を一部に備えていても良い。
【0046】
屋根10は、屋根支持フレームFRに対して取り付け及び取り外しができるものであるとよい。屋根10を適宜交換することにより、天候や、使用の用途などに応じた車両1を実現することができる。また、車両1は、
図2に示すように、屋根10を取り付けていない状態で走行しても構わない。屋根10が取り付けられていない場合、車内の通気性が向上し、また、車内の乗員は開放感を得られることとなる。
【0047】
なお、車両1は、低速自動車であるため、屋根10に対して大きな風圧がかかる可能性は低い。そのため、屋根支持フレームFRに対して屋根10を強固に固定する必要はなく、屋根支持フレームFRに対する屋根10の固定は簡易に行えるもので構わない。例えば、屋根支持フレームFRに対する屋根10の固定は、屋根10に設けられる紐を屋根支持フレームFRに対して縛り付けることにより行うとよい。
【0048】
なお、屋根10は、外部から車内に雨風が入ることを抑制するものであればよい。例えば、屋根10は、金属等の剛体に限られず、エアマット(インフレーターマット)、布、ビニール等であってもよい。屋根支持フレームFRに支持される屋根10は重量が軽いほど、ユーザにとって取り付け及び取り外しが容易となる。
【0049】
また、屋根10は、運転シート4A、セカンドシート4B、及びサードシート4Cを覆うように、屋根支持フレームFRに支持されているとよい。なお、「覆う」とは、各シートの上方を完全に覆うものに限られない。すなわち、屋根10は部分的に開口を有しており、シートの一部が覆われていないものであってもよい。
【0050】
[乗降口]
屋根支持フレームFRの左端の下方には、乗降口Bが形成されている。すなわち、乗降口Bは、屋根支持フレームFRの高さが高い、車両1の左部に形成されている。そのため、乗降口Bの高さ方向の幅が広くなっており、乗員は乗降しやすい。
【0051】
また、
図4、
図5等に示すように、屋根10は、左方から右方に向かうに従い高さが低くなるように傾斜して屋根支持フレームFRに支持されている。そのため、雨天の場合において、雨水は屋根10の上面を伝って左方から右方に流れることとなる。本実施形態の構成においては、雨水は屋根10の上面を伝って、乗降口Bが形成される左方から、乗降口Bが形成されていない右方へ流れる。そのため、乗員が乗降口Bを通じて乗降する際に屋根10から垂れてくる雨水により濡れることが抑制される。
【0052】
また、例えば、屋根10がビニール素材などからなる場合、雨水が屋根10の上面に溜まりやすく、溜まった雨水により車両1の上部の重量が重くなってしまうおそれがある。本実施形態の構成においては、屋根10の右方から雨水が落ちるため、屋根10に雨水が溜まることが抑制される。その結果、車両1の上部の重量が重くなってしまうことが抑制される。
【0053】
[スライド扉]
以下、主に
図6~
図9を参照して、スライド扉30の構成について説明する。車両1は、乗降口Bを開閉するスライド扉30を有している。スライド扉30は、運転シート4Aへの前乗降口BFを開閉する前スライド扉30Fと、サードシート4Cへの後乗降口BRを開閉する後スライド扉30Rとを含む。
【0054】
図6は、スライド扉30により乗降口Bが閉じられた状態を示しており、
図7、
図8は、乗降口Bが開放された状態を示している。
【0055】
前スライド扉30Fは、下部31Fと、上部32Fと、下部31Fと上部32Fを連結する前連結部33F及び後連結部34Fとを含む。
【0056】
下部31Fは、前後方向に延びる複数の板31Faを含む。
図6等においては、板31Faが4本並んで設けられる例について示すが、これに限られるものではない。
【0057】
板31Faは、例えば、木材であるとよい。それにより、板31Faが金属等である場合と比較して、前スライド扉30Fを軽量化することができる。また、複数の板31Faは、鉛直方向に互いに離間して設けられている。すなわち、複数の板31Faは、互いに隙間を有するように設けられている。このように、前スライド扉30Fは、下部31Fが隙間を有する分、軽量化されている。また、下部31Fが隙間を有することより、車内の通気性を向上させることができる。
【0058】
上記のように軽量化された構成を採用することにより、乗員が前スライド扉30Fを開閉する際の負担が軽減される。また、前スライド扉30Fを自動扉とした場合、前スライド扉30Fが軽量であると、前スライド扉30Fを移動させるために必要な駆動力を低減することができる。
【0059】
また、車両1は、
図6に示すように、複数の板31Faのそれぞれと同じ高さに設けられる複数の板31Fbを有している。板31Fbは、前乗降口BFを閉じた状態の前スライド扉30Fよりも前方かつ右方で車体に固定されている。このように、板31Faに対して車幅方向においてずれた位置に板31Fbを設けることにより、車両1を左方から見た際に外観が立体的となり、デザイン性が向上する。また、板31Fa及び板31Fbを木目調にすることにより、デザイン性を向上することができる。
【0060】
上部32Fは、
図6に示すように、前後方向における長さが、板31Faよりも長いとよい。具体的には、上部32Fは、
図6に示すように、前スライド扉30Fが閉じた状態において、その前端E3が、少なくともステアリングホイール6の前端E41よりも前方に位置するとよい。また、上部32Fは、
図7に示すように、前スライド扉30Fが開いた状態において、その前端E3が、車体の前端E42(本実施形態においては、後述のバンパー70の前端)よりも前方に位置するとよい。このように、上部32Fの長さを長くすることにより、車両1を停車した状態において、車外の人が車内の人と会話等をする際に、車外の人が上部32Fを手すり代わりに用いることができる。なお、上部32Fは、その外装がウレタン等の柔らかい材料からなるとよい。
【0061】
前連結部33F及び後連結部34Fは、鉛直方向に延びており、下部31Fと上部32Fとが鉛直方向に離間するように、下部31Fと上部32Fとを連結している。すなわち、下部31Fと上部32Fとは、隙間を有するように設けられている。このように、前スライド扉30Fは、下部31Fと上部32Fとの間に隙間を有する分、軽量化されている。また、下部31Fと上部32Fとの間に隙間を有することより、車内の通気性を向上させることができる。
【0062】
また、スライド扉30は、屋根支持フレームFRの左端との間に通気領域V1を形成するように設けられている。通気領域V1は、鉛直方向におけるスライド扉30の上端と屋根支持フレームFRの左端との間に形成される開口である。なお、通気領域V1は、乗降口Bを含む領域である。
【0063】
図6に示すように、車体底面を基準としたスライド扉30の上端E5は、車体底面を基準とした屋根支持フレームFR(
図6においては、屋根10により隠れている)の左端E6の高さの半分よりも下方に位置している。なお、ここで、車体底面とは、車輪を除いた車体の下端面であるとする。また、スライド扉30の上端は、上部32F、32Rの上端である。
【0064】
また、
図6に示すように、車体底面を基準としたスライド扉30の上端E5は、車体底面を基準としたステアリングホイール6の上端E7よりも下方に位置している。
【0065】
このようにスライド扉30の上端E5を低い位置に設けることにより、通気領域V1を広くすることができる。それにより、車内の通気性が向上し、また、乗員は開放感を得られることとなる。また、スライド扉30の上端E5を低い位置に設けることにより、運転者から見て左方の視認性がよくなる。
【0066】
以上のように、通気領域V1等を形成することにより通気性のよい車両1を実現できる。その結果、空調機器等を使う機会を減らすことができ、消費電力を抑制することができる。
【0067】
また、車両1は、支柱F33を有する。支柱F33は、
図8等に示すように、スライド扉30よりも車幅方向の内側において、シートを支持するフレーム等に固定されているとよい。また、支柱F33の上部には、ドアストライカーを有するロック部F331が取り付けられている。また、ロック部F331は、前スライド扉30Fが閉じた状態において、前スライド扉30Fの後端に近接する位置に設けられている。また、前スライド扉30Fの後部には、不図示のドアレバー等が取り付けられているとよい。そして、乗員によるドアレバーの操作により、ロック部F331に対する前スライド扉30Fの相対移動が規制されるとよい。
【0068】
車体底面を基準としたロック部F331の上端の高さは、車体底面を基準としたスライド扉30の上端E5の高さと略同じであるとよい。すなわち、ロック部F331の上方は通気領域V1であるとよい。なお、本実施形態においては、支柱F33の上部にロック部F331が取り付けられる例について示すが、これに限られるものではない。例えば、支柱F33は前支柱F11等と同等の高さであって、ロック部F331は支柱F33の上部よりも下方で支柱F33に取り付けられていてもよい。
【0069】
なお、後スライド扉30Rは、支柱F33を中心として、前スライド扉30Fと対称の形状であるため、その構成の詳細な説明については省略する。なお、後スライド扉30Rの備える各構成においては、前スライド扉30Fが備える各構成に対して付した符号「F」を「R」に置き換えた符号を用いることとする。
【0070】
図9は、
図6に示すIXーIX切断面における断面図である。すなわち、
図9は、後スライド扉30Rの後連結部34Rを通る切断面における断面図である。なお、
図9の断面図においては、図面が複雑になることを避けるため、ハッチングを施すことを省略する。
【0071】
図9に示すように、後スライド扉30Rは、レール構造40を介して車体に移動可能に支持されている。レール構造40は、後スライド扉30Rに固定されており、前後方向に延びるインナー部41と、車体に固定されており、前後方向に延びるアウター部42とを含む。後スライド扉30Rは、アウター部42の長さに応じた領域において、前後方向に移動可能である。
【0072】
また、レール構造40は、インナー部41とアウター部42の相対移動に伴って回動するボールを含む。ボールは、前後方向に並んで複数設けられている。なお、
図9に示すように、レール構造40は、下部31Rと上部32Rのそれぞれに設けられているとよい。また、前スライド扉30Fも、同様のレール構造を介して移動可能に車体に支持されているとよい。
【0073】
本実施形態においては、スライド扉30を採用したため、前後方向における乗降口の幅を広くとることができる。ただし、乗降口Bを開閉する扉は、スライド扉に限られるものではなく、回動扉等であっても構わない。
【0074】
[車体の右側壁]
図10は、車両を右方から見た側面図である。車両1は、その右部に右側壁50を有している。右側壁50は、乗員が車両1の右部から乗降することを規制するものであり、車体に固定されている。右側壁50は、上述した前スライド扉30Fと後スライド扉30Rが乗降口Bを閉じた状態と略同じ外観を有する。
【0075】
具体的には、右側壁50は、複数の板51aを含む下部51と、上部52と、下部51と上部を連結する前連結部53及び後連結部54と、を有している。
【0076】
複数の板51aは、互いに離間して鉛直方向に並んで設けられている。すなわち、複数の板51aは、互いに隙間を有するように設けられている。また、前連結部53と後連結部54は、鉛直方向に延びており、下部51と上部52とを鉛直方向に離間するように、下部51と上部52とを連結している。すなわち、下部51と上部52とは、隙間を有するように設けられている。このように、右側壁50は、軽量であって、かつ通気性がよい構成となっている。
【0077】
また、右側壁50は、屋根支持フレームFRの右端との間に通気領域V2を形成するように設けられている。通気領域V2は、鉛直方向における右側壁50の上端と屋根支持フレームFRの右端との間に形成される開口である。
【0078】
図10に示すように、車体底面を基準とした右側壁50の上端E8は、車体底面を基準とした屋根支持フレームFRの右端E9の高さ(<
図6に示す左端E6の高さ)の半分よりも上方に位置している。このため、通気領域V2は、上述の通気領域V1よりも狭い。すなわち、車両1の左部の方が、右部と比較して、視認性がよい。例えば、日本国のように左側通行を採用する地域においては、走行する車両1の左方が歩道である。車両1においては、歩道側にある通気領域V1が比較的広いことより、車内の乗員は歩道を歩く人とコミュニケーションがとりやすい。
【0079】
また、
図3に示すように、右側壁50にはカップホルダー120が取り付けられている。具体的には、カップホルダー120は、右側壁50の上部52に固定されている。右側壁50は、スライド扉30のように移動しないため、カップホルダー120に収容される容器の姿勢が安定する。
【0080】
なお、本実施形態においては、車両1の右部には、乗降口が設けられていない例について示したが、これに限られるものではない。すなわち、右側壁50の代わりに、前スライド扉30F及び後スライド扉30Rと同様の扉を設けてもよい。また、車両1の左部に側壁を設けて、右部のみに乗降口を設けても構わない。
【0081】
[シート]
主に
図11を参照して、車内に設けられるシートの構成の詳細について説明する。
図11は、車両の車内を上方から見た上面図である。
【0082】
セカンドシート4Bは、座面を含むシートクッション41Bと、シートバック42Bとを有している。シートバック42Bは、シートクッション41Bの前端上と後端上の間を移動可能にアーム45B(
図7参照)により支持されている。
図11においては、シートバック42Bがシートクッション41Bの前端上に配置された状態を示している。一方で、
図7等においては、シートバック42Bがシートクッション41Bの後端上に配置された状態を示している。
【0083】
また、サードシート4Cは、座面を含むシートクッション41Cと、シートバック42Cとを有している。サードシート4Cの座面の前後方向における端面41Ceは、
図11に示すように、車幅方向における中央部から端部に向かうに従い当該座面の面積が広くなるように傾斜しているとよい。それにより、サードシート4Cに座った人の視線が車内の内側を向くこととなるため、車内でのコミュニケーションをとりやすくなる。また、セカンドシート4Bに座った人と、サードシート4Cに座った人が向かい合わせになる場合、対面に座っている人との視線が一致し過ぎることを回避することができる。
【0084】
なお、シートの数や配置は、図示するものに限られるものではない。例えば、セカンドシート4Bとサードシート4Cのいずれかを無くし、代わりに荷台等が設けられていてもよい。
【0085】
[ダッシュボード]
主に
図11、
図12を参照して、ダッシュボード20の詳細について説明する。本実施形態においては、運転シート4Aの前方及びその周辺に配置されており、車内の内装を構成する部分を「ダッシュボード」と称することとする。
【0086】
ダッシュボード20は、その上部に天板21を含んでいる。天板21は、その上面が水平面に対して平行であるとよい。それにより、運転者は、携帯機器等を置くための台等として天板21を使用することができる。また、本実施形態においては、
図11に示すように、天板21は、ステアリングホイール6の前方に設けられる前天板211と、ステアリングホイール6及び運転シート4Aの右方に設けられる右天板212とを含む。右天板212は、前天板211の右部から後方に延びている。すなわち、天板21は、上面視において略L字状となっている。このように、天板21の上面は面積が広いため、運転者にとって使い勝手がよい。
【0087】
また、
図12等に示すように、天板21の上面は、右側壁50の上部52の上端よりも下方に位置している。このように、天板21が比較的低い位置にあることより、運転者にとって使い勝手がよい。
【0088】
また、図示の例においては、前天板211には、モニター23が設けられている。モニター23は、前天板211の上面から突出するように設けられている。また、モニター23は、運転者が視認できるように、後方かつ斜め上方を向いて設けられている(
図1、
図12等参照)。
【0089】
[ノーズ部]
主に
図7、
図12を参照して、ノーズ部60について説明する。
図12は、車両を前方左斜め上から見た拡大斜視図である。なお、
図12においては、フロント窓FW1等、一部の図示を省略している。
【0090】
車両1は、車体の前部に設けられるバンパー70と、車体の前部であって、バンパー70の上方に設けられるノーズ部60とを有している。
【0091】
バンパー70は、車体が障害物等に衝突した際の衝撃を和らげて車体を保護するものであり、ある程度の硬さを有する材料からなるとよい。例えば、バンパー70は、その外装が金属や樹脂等からなるとよい。また、バンパー70は、衝撃検知スイッチを内蔵しており、車体が障害物等に衝突した場合、衝撃検知スイッチが衝撃を検知し、車両1が自動で停止することとしてもよい。また、バンパー70の前部にはナンバープレート71が取り付けられている。
【0092】
一方で、ノーズ部60は、デザイン性の観点から、車体の外装の一部を構成するために設けられるものである。そのため、ノーズ部60は機械的な機能を有している必要はない。車両1は、上述のように低速自動車であるため、車内の人と車外の人がコミュニケーションをとるために、車外の人が車両1の近傍に寄ってくる場合が想定される。そのため、車体の外装の一部を構成するノーズ部60は、柔らかい素材からなるとよい。ノーズ部60の外装は、少なくとも、バンパー70の外装よりも柔らかい素材からなるとよく、例えば、ウレタン等からなるとよい。
【0093】
また、ノーズ部60は、運転シート4Aの前方に位置しているため、前方への突出量が大きかったり、高さが高い位置にあったりすると、運転者の視界に入り、運転者にとって前方の視認性が低下してしまうおそれがある。
【0094】
そこで、本実施形態においては、
図6に示すように、車体底面を基準としたノーズ部60の上面E10は、ステアリングホイール6の上端E7よりも下方に位置することとした。また、ノーズ部60の前方への突出量を、バンパー70の前方への突出量よりも小さくした。
【0095】
さらに、ノーズ部60の上面E10は、ダッシュボード20の天板21の上面と略同一平面上に位置することとした。これにより、車両1の前部において車内と車外が連続するように視認され、乗員は開放感を得られることとなる。
【0096】
天板21の前端と、ノーズ部60の後端との間には、フロント窓FW1が設けられている。フロント窓FW1は、前支柱F11と前支柱F21に固定されているとよい。また、車両1は、さらに、左フロント窓FW2と右フロント窓FW3を有している。左フロント窓FW2は、左フレームF13と車体に固定されている。右フロント窓FW3は、右フレームF23と車体に固定されている。このように、運転シート4Aの前方を囲むように窓を設けることにより、雨天等においても運転者が濡れることを抑制することができる。また、各フロント窓に、電子看板などを設けてもよい。
【0097】
[屋根の例]
上述のように、屋根10は水平面に対して傾斜して支持されるため、車両1を右方から見た際に、屋根10の上面が視認されることとなる。屋根10の上面には、例えば、広告やオブジェ等を設けるとよい。車両1を右方から見た人は、それら広告やオブジェを視認することとなる。屋根10の上面は、車両1を構成する外装面の中で面積が比較的大きい面であるため、広告やオブジェ等を設けると宣伝効果や美観の向上の観点において有効である。
【0098】
また、屋根10の上面には、例えば、ソーラパネルを設けてもよい。この場合、例えば、ソーラパネルの発電面が太陽光を受けやすい南向きになるように、車両1を駐車場に駐車するとよい。なお、ソーラパネルは、車両1が電気自動車である場合、車両1の走行に必要な電力を供給するものであるとよい。または、ソーラパネルは、車内で用いられる各種携帯機器等の充電に必要な電力を供給するものであってもよい。
【0099】
図13においては、一例として、屋根10の上面に、ソーラパネル101と、広告看板102が設けられる車両1を示している。
図13に示すように、広告看板102の文字は、右方から見た際に読める向きに配置されているとよい。
【0100】
[第1変形例:尻尾部]
次に、
図14を参照して、本実施形態の第1変形例について説明する。第1変形例の車両1は、尻尾部80を有している。なお、他の構成は
図5等で示すものと同様であるため、その説明は省略する。
【0101】
第1変形例の車両1は、車体の後部に設けられており、車内の状況に関する情報に応じて駆動する尻尾部80を有している。尻尾部80は、例えば、屈折可能な複数の軸と、軸を覆う布生地等で構成されているとよい。また、尻尾部80は、車内の状況に関する情報を受信する受信回路等を含むとよい。
【0102】
車内の状況は、例えば、運転者による運転の状況であるとよい。車両1は、ウィンカーレバーと、ウィンカーレバーの操作に応じて点滅する方向指示器とを有しており、運転者によるウィンカーレバーの操作による出力に応じて、尻尾部80が駆動するとよい。すなわち、尻尾部80が、方向指示器の点滅と連動するとよい。具体的には、方向指示器が点滅により右折することを示すのに連動して、尻尾部80がその先端が右方を向くように駆動するとよい。
図14においては、駆動前の尻尾部80を実線で示しており、方向指示器の点滅と連動することで先端が右方を向いた尻尾部80を破線で示している。
【0103】
または、車両1は、後続車に対して追い越しを奨める際に用いる操作部を有しており、運転者による操作部の操作による出力に応じて、尻尾部80が駆動するとよい。
【0104】
また、車内の状況は、例えば、車内で急病人がでるなど、緊急事態が発生した状況であるとよい。車両1は、例えば、運転者が操作可能な操作部を有しており、操作部の操作による出力に応じて、尻尾部80が駆動するとよい。それにより、車両1の後部を見た人が、車内で緊急事態が生じたことを認識することができる。
【0105】
また、車内の状況は、例えば、車内での会話の弾み度であるとよい。車両1は、例えば、車内に声量計測センサを有するとよい。車内の乗員同士の会話が弾んでいる場合において、声量計測センサは所定以上の声量を計測することとなる。そのような場合、声量計測センサからの出力に応じて、尻尾部80が駆動するとよい。
【0106】
また、車内の状況は、例えば、乗員の表情であるとよい。車両1は、例えば、車内に乗員の表情を画像として認識する画像認識装置を有するとよい。そして、画像認識装置が乗員の表情が笑顔であることを認識した場合、画像認識装置の出力に応じて、尻尾部80が駆動するとよい。
【0107】
なお、
図14においては、尻尾部80が、車両1の後部に設けられる荷台の後端に取り付けられる例について示すが、これに限られるものではない。尻尾部80は、後続車から視認できる位置に設けられているとよい。
【0108】
[第2変形例]
図15は、第2変形例の車両を前方から見た前面図である。
図4等においては、屋根10が左方から右方に向かうに従って高さが低くなるように傾斜して屋根支持フレームFRに支持される例について説明したが、これに限られない。
図15においては、屋根10が右方から左方に向かうに従って高さが低くなるように傾斜して屋根支持フレームに支持される例について示す。第2変形例においては、車両1の左部に設けられる支持フレームF1が、車両1の右部に設けられる支持フレームF2よりも下方で、屋根支持フレームを支持している。すなわち、車両1の左部に設けられる前支柱F21の上端E1は、車両1の右部に設けられる前支柱F12の上端E2よりも下方に位置している。また、スライド扉30や乗降口は、車両1の右部に設けられている。
【0109】
第2変形例の構成によると、右側通行を採用する地域において、スライド扉30や乗降口は歩道側に位置する。そのため、乗降が容易になる等、
図4等を参照して説明した上記本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0110】
[その他]
さらに、車両1が有する各種構成について説明する。
【0111】
車両1は、リア窓RWを有している。リア窓RWは、後支柱F12及び後支柱F22に取り付けられているとよい。また、リア窓RWは、鉛直方向にスライド可能に、後支柱F12及び後支柱F22に取り付けられていてもよい。
【0112】
また、車両1の前部にはフロントライトが設けられている。具体的には、
図4等に示すように、前支柱F11に左フロントライト105が取り付けられている。また、前支柱F12に右フロントライト106が取り付けられている。
【0113】
また、車両1の後部にはランプが設けられている。具体的には、後支柱F12に左ランプ111が取り付けられており、後支柱F22に右ランプ112が取り付けられている。
図2等に示すように、左ランプ111及び右ランプ112は、鉛直方向に延びる形状である。
【0114】
このように、車両1の前後左右にライト類が設けられていることより、車両1の被視認性を向上できる。
【0115】
また、車両1の前部には各種ミラーが設けられている。具体的には、
図4等に示すように、左サイドミラー115が前支柱F11に取り付けられており、右サイドミラー116が前支柱F21に取り付けられている。また、
図2等に示すように、運転シート4Aの前方において、前ルームミラー117が前支柱F11及び前支柱F21に取り付けられている。前ルームミラー117は、車幅方向に延びる形状であり、車内に配置されている。このように、前ルームミラー117が設けられることにより、運転者と後部シートに座る乗員とのコミュニケーションがとりやすくなる。また、図示は省略するが、後支柱F12及び前支柱F22に後ルームミラーを取り付けてもよい。
【0116】
また、車両1を構成する外装の一部は、チョークなどにより文字等を繰り返し書いたり消したりできるような材質であるとよい。そのような材質は、例えば、塗料を塗布することにより実現されるとよい。また、そのような材質とする部分としては、例えば、上述のスライド扉30の下部31F、31Rや、右側壁50の下部51や、バンパー70など、車両1の外装のうち比較的面積が大きく、低い位置にある部分が適している。
【0117】
[まとめ]
(1)以上説明したように、車両1は、運転シート4Aと、運転シート4Aの後方に位置するサードシート4Cと、運転シート4A及びサードシート4Cを覆う屋根10を支持する屋根支持フレームFRと、車幅方向における屋根支持フレームFRの左端を支持する第1の支持フレームF1と、屋根支持フレームFRの右端を、第1の支持フレームF1よりも下方で支持する第2の支持フレームF2と、屋根支持フレームFRの左端の下方に設けられているサードシート4Cの後乗降口BRと、を有する。この車両によると、後乗降口BRを広くとることができ、乗降が容易となる。
【0118】
(2)第1の支持フレームF1は、鉛直方向に延びる前支柱F11、後支柱F12を含み、第2の支持フレームF2は、鉛直方向に延びており、その上端が前支柱F11、後支柱F12の上端よりも下方に設けられる前支柱F21、後支柱F22を含む。これによると、後乗降口BRを広くとることができ、乗降が容易となる。
【0119】
(3)水平面に対して上面が傾斜するように屋根支持フレームFRに支持される屋根10を有する。これによると、乗員が後乗降口BRから乗降する際に、雨水等により濡れることが抑制される。
【0120】
(4)屋根10は、屋根支持フレームFRに対して取り外し可能に支持される。これによると、天候や、使用の用途などの応じた車両1を実現することができる。
【0121】
(5)乗降口Bを開閉するスライド扉30を有しており、車体底面を基準としたスライド扉30の上端は、車体底面を基準とした屋根支持フレームFRの左端の高さの半分よりも下方に位置している。これによると、通気性が向上する。
【0122】
(6)鉛直方向におけるスライド扉30の上端と屋根支持フレームFRの左端との間に通気領域V1が形成されている。これによると、通気性が向上する。
【0123】
(7)屋根支持フレームFRの右端の下方に設けられており、乗員の乗降を規制する右側壁50を有し、車体底面を基準とした右側壁50の上端は、車体底面を基準とした屋根支持フレームFRの右端の高さの半分よりも上方に位置している。
【0124】
(8)鉛直方向における右側壁50の上端と屋根支持フレームFRの右端との間に通気領域V2が形成されており、通気領域V2は、通気領域V2よりも狭い。
【0125】
(9)スライド扉30は、前後方向に移動する。これによると、前後方向における乗降口Bを広くとることができる。
【0126】
(10)スライド扉30の移動を規制するロック部F331と、ロック部F331を支持する支柱F33と、を有し、車体底面を基準としたロック部F331の上端は、車体底面を基準とした屋根支持フレームFRの右端の高さの半分よりも下方に位置している。これによると、通気性が向上する。
【0127】
(11)スライド扉30は、運転シート4Aへの前乗降口BFを開閉する前スライド扉30Fと、サードシート4Cへの後乗降口BRを開閉する後スライド扉30Rと、を含む。これによると、前後方向における乗降口Bの幅を広くとることができる。
【0128】
(12)運転シート4Aの前方に設けられるステアリングホイール6と、車体の前部に設けられるバンパー70と、車体の前部であって、バンパー70の上方に設けられるノーズ部60と、を有しており、ノーズ部60の上面は、ステアリングホイール6の上端よりも下方に位置している。これによると、運転者から見た前方の視認性が低下することが抑制される。
【0129】
(13)ノーズ部60の外装は、バンパー70の外装よりも柔らかい素材からなる。これによると、外部からの衝撃を吸収できる。
【0130】
(14)運転シート4Aの前方かつノーズ部60の後方に設けられており、天板21を含むダッシュボード20を有しており、ノーズ部60の上面は、天板21の上面と略同一平面上に位置している。これによると、車両1の前部において車内と車外が連続するように視認され、乗員は開放感を得られることとなる。
【0131】
(15)車体の後部に設けられており、車内の状況に関する情報に応じて駆動する尻尾部80を有している。これによると、車内の状況を車外へ報知することができる。
【0132】
(16)サードシート4Cの座面の前後方向における端面41Ceは、車幅方向における中央部から端部に向かうに従い座面の面積が大きくなるように傾斜している。これによると、サードシート4Cに座った乗員の視線が内側に向くため、車内でのコミュニケーションがとりやすくなる。
【0133】
(17)最高速度が時速20キロメートル未満である。
【符号の説明】
【0134】
1 車両、2 前輪、3 後輪、4A 運転シート、4B セカンドシート、41B シートボトム、42B シートバック、45B アーム、4C サードシート、41C シートボトム、42C シートバック、6 ステアリングホイール、10 屋根、20 ダッシュボード、21 天板、211 前天板、212 右天板、23 モニター、30 スライド扉、30F 前スライド扉、31F 下部、31Fa 板、32F 上部、33F 前連結部、34F 後連結部、30R 後スライド扉、31R 下部、31Ra 板、32R 上部、33R 前連結部、34R 後連結部、40 レール構造、41 インナー部、42 アウター部、50 右側壁、51 下部、51a 板、52 上部、53 前連結部、54 後連結部、60 ノーズ部、70 バンパー、71 ナンバープレート、80 尻尾部、101 ソーラパネル、102 広告看板、111 左ランプ、112 右ランプ、115 左サイドミラー、116 右サイドミラー、117 ルームミラー、B 乗降口、BF 前乗降口、BR 後乗降口、F 車体フレーム、F1 第1の支持フレーム、F11 前支柱、後支柱 F12、F13 左フレーム、F2 第2の支持フレーム、F21 前支柱、F22 後支柱、F23 右フレーム、F31 前フレーム、F32 後フレーム、F33 支柱、F331 ロック部、FR 屋根支持フレーム、FW1 フロント窓、FW2 左フロント窓、FW3 右フロント窓、RW リア窓、V1,V2 通気領域。