IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】キメラ抗原受容体を発現するT細胞
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20231110BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20231110BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20231110BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20231110BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231110BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231110BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231110BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20231110BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20231110BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231110BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20231110BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20231110BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20231110BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20231110BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20231110BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K14/705
C12N5/10
A61K35/12
A61K38/02
A61K31/7088
A61K48/00
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P35/00
A61P25/28
A61P37/02
A61P25/00
A61P7/04
A61P21/04
A61P37/06
C12N15/62 Z
C12N15/12
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2019536552
(86)(22)【出願日】2018-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 US2018013221
(87)【国際公開番号】W WO2018132513
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2021-01-04
(31)【優先権主張番号】62/444,622
(32)【優先日】2017-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/580,258
(32)【優先日】2017-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/516,279
(32)【優先日】2017-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マウス, マルセラ ヴィー.
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, ブライアン
【審査官】山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-538830(JP,A)
【文献】特表2016-508725(JP,A)
【文献】Cytokine & Growth Factor Reviews,2013年,24,p. 203-215
【文献】Nat Rev Drug Discov.,2013年,12(2), Author manuscript,p.1-39
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
C12N
A61K
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)A増殖誘導リガンド(APRIL)の部分を含む一又は複数の細胞外ドメイン、ここで、前記APRILの部分が、膜貫通型活性化因子及びカルシウムモジュレーター及びシクロフィリンリガンド相互作用物質(TACI)及びB細胞成熟抗原(BCMA)に結合する;
b)ヒンジ及び4-1BB膜貫通型ドメイン;
c)共刺激ドメイン;及び
d)細胞内シグナル伝達ドメイン
を含むキメラ抗原受容体(CAR)ポリペプチド。
【請求項2】
APRILの部分が、配列番号21のアミノ酸配列又は配列番号3の核酸配列によりコードされるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のCARポリペプチド。
【請求項3】
CD8リーダー配列をさらに含む、請求項1に記載のCARポリペプチド。
【請求項4】
CD8リーダー配列が、配列番号20の配列を含む、請求項3に記載のCARポリペプチド。
【請求項5】
APRILの部分が、APRILのリジンリッチな領域を含まない、請求項1に記載のCARポリペプチド。
【請求項6】
ヒンジ及び膜貫通型ドメインが、4-1BBのヒンジ及び膜貫通型ドメインを含む、請求項1に記載のCARポリペプチド。
【請求項7】
4-1BBヒンジ及び膜貫通型ドメイン配列が、配列番号28の配列を含む、請求項6に記載のCARポリペプチド。
【請求項8】
細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζ、CD3ε、又はCD3θのシグナル伝達ドメインを含む、請求項1に記載のCARポリペプチド。
【請求項9】
CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメイン配列が、配列番号24の配列を含む、請求項8に記載のCARポリペプチド。
【請求項10】
CD3θ細胞内シグナル伝達ドメイン配列が、配列番号36の配列を含む、請求項8に記載のCARポリペプチド。
【請求項11】
共刺激ドメインが、4-1BB ICD、CD28 ICD、CD27 ICD、ICOS ICD、及びOX40 ICDからなる群から選択される細胞内ドメインである、請求項1に記載のCARポリペプチド。
【請求項12】
共刺激ドメインが、4-1BBの細胞内ドメインである、請求項1に記載のCARポリペプチド。
【請求項13】
4-1BB配列の細胞内ドメインが、配列番号23のアミノ酸配列を含む、請求項12に記載のCARポリペプチド。
【請求項14】
CARポリペプチドが、APRILの部分を含む2個以上の細胞外ドメインを含む、請求項1に記載のCARポリペプチド。
【請求項15】
CARポリペプチドが、APRILの部分を含む3個の細胞外ドメインを含む、請求項14に記載のCARポリペプチド。
【請求項16】
配列番号25若しくは31から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を含むか、又は配列番号7若しくは13から選択される配列と少なくとも95%の同一性を含む核酸配列によりコードされる、CARポリペプチド。
【請求項17】
配列番号25若しくは31から選択されるアミノ酸配列を含むか、又は配列番号7若しくは13から選択される核酸配列によりコードされる、CARポリペプチド。
【請求項18】
2個以上の請求項1に記載のCARポリペプチドを含むポリペプチド複合体。
【請求項19】
ポリペプチド複合体が、3個の請求項1から17の何れか一項に記載のCARポリペプチドを含む、請求項18に記載のポリペプチド複合体。
【請求項20】
a)請求項1に記載のCARポリペプチド;
b)請求項1に記載のCARポリペプチドをコードする核酸;又は
c)2個以上の請求項1に記載のCARポリペプチドを含むポリペプチド複合体
を含む哺乳類細胞。
【請求項21】
細胞がT細胞である、請求項20に記載の細胞。
【請求項22】
細胞がヒト細胞である、請求項20に記載の細胞。
【請求項23】
細胞が、がん、形質細胞障害、若しくは自己免疫疾患を有するか、又は有すると診断された個体から得られ、前記個体から得られた細胞が、a)請求項1に記載のCARポリペプチド;b)請求項1に記載のCARポリペプチドをコードする核酸;又はc)2個以上の請求項1に記載のCARポリペプチドを含むポリペプチド複合体を含むように操作される、請求項20に記載の細胞。
【請求項24】
対象においてがん、形質細胞障害、アミロイドーシス、又は自己免疫疾患を処置するための医薬であって、請求項21に記載の哺乳類T細胞を含み、前記哺乳類T細胞が対象に投与される、医薬。
【請求項25】
対象においてがん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患を処置するための医薬であって、請求項21に記載の哺乳類T細胞を含み、前記哺乳類T細胞が対象に投与される、医薬。
【請求項26】
がんが、BAFF、BCMA及び/又はTACIである、請求項25に記載の医薬。
【請求項27】
対象が、抗BCMA療法剤をさらに投与される、請求項25に記載の医薬。
【請求項28】
対象が、抗BCMA療法に抵抗性である、請求項25に記載の医薬。
【請求項29】
がんが、多発性骨髄腫又はくすぶり型多発性骨髄腫である、請求項25に記載の医薬。
【請求項30】
自己免疫疾患が、凝固因子に対する抗体を有する血友病、重症筋無力症、多発性硬化症、及び慢性移植片対宿主病からなる群から選択される、請求項25に記載の医薬。
【請求項31】
がんの処置のため製剤された、請求項1に記載のCARポリペプチドを含む組成物。
【請求項32】
薬学的に許容される担体をさらに含む、請求項31に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願とのクロスリファレンス
本出願は、米国特許法第119(e)条の下、2017年1月10日に出願された米国仮出願第62/444622号、2017年6月7日に出願された第62/516279号、及び2017年11月1日に出願された第62/580258号に基づく優先権を主張し、それらの内容は、それらの全体が出典明示により本明細書に援用される。
【0002】
本明細書に記載されるテクノロジーは、免疫療法に関する。
【背景技術】
【0003】
キメラ抗原受容体(CAR)は、選択された標的抗原、ほとんどの場合、腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原を発現する標的細胞へと、細胞傷害性T細胞応答を指向化させる方法をもたらす。CARは、抗原結合ドメインが、由来標的抗原に特異的に結合する抗体の抗原結合ドメインで置き換えられている、T細胞受容体の適応である。T細胞上で発現されたCAR(「CAR T細胞」)による標的細胞の表面上での標的抗原の結合は、標的細胞の殺傷を促進する。
【発明の概要】
【0004】
CAR T細胞は、がんの処置において良好な兆候を示す最前線の治療である。この技術は、様々な非固形がん、例えば、白血病、リンパ腫及び骨髄腫に対して特に有効であると証明した。規定の疾患又は障害についてのCAR T細胞を生成するという最大の課題の1つは、サイトカイン放出症候群のような非特異的かつ全身的な作用からの副作用を克服することである。サイトカイン放出症候群は、一般に、処置可能である一方、この合併症のための処置が、CAR T細胞処置の有効性及び/又は長期持続効果を制限し得るという懸念が存在する。
【0005】
CAR T療法設計で遭遇する別の問題は、CARにより認識される標的抗原又は腫瘍関連因子の喪失を通じた腫瘍回避である。腫瘍が、標的抗原若しくは因子の細胞表面発現をダウンレギュレーションするか、又はそうでなければ喪失させるとき、それは、もはや、その抗原又は因子を標的にするよう設計されたCAR T細胞により効率的に攻撃されない。これは、例えば、B細胞悪性腫瘍、白血病、リンパ腫及び多発性骨髄腫において発現される、例えば、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的にするCAR T療法において観察されている。
【0006】
非特異的な効果を回避し、標的抗原の喪失による腫瘍回避の可能性を低減するCAR設計における改善が、本明細書に記載される。したがって、本明細書に記載される本発明の1つの態様は、腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリー受容体リガンドの部分を含む一又は複数の細胞外ドメイン;ヒンジ及び膜貫通型ドメイン;共刺激ドメイン;並びに細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)ポリペプチドに関する。1つの実施態様において、2種の異なる腫瘍関連抗原又は因子に結合する単一リガンドを使用する、BCMA関連タンパク質を腫瘍関連標的の例として使用して示されたアプローチが、本明細書に記載される。いくつかの実施態様において、単一リガンドは、本質的には、当該技術分野において公知のCARの場合と同様に、膜貫通型及びT細胞受容体細胞内エフェクタードメインに、任意選択的に共刺激ドメインを伴って、融合される。単一抗原の代わりに、2種の異なる腫瘍関連抗原又は因子に結合するリガンドを有することは、抗原若しくは因子の一方又は他方が、腫瘍細胞によりダウンレギュレーションされても、CARは有効性を喪失しないことを意味する。これは、別の腫瘍関連抗原又は因子であるBCMAとTACIの両方に高い親和性で結合する、APRIL(A増殖誘導リガンド)ポリペプチドの部分をリガンドとして使用して、本明細書において説明される。本明細書に記載される態様の何れかのいくつかの実施態様において、リガンドは、例えば、自己オリゴマー形成により、オリゴマー形成する(例えば、ダイマー形成するか、又はトリマー形成する)。例えば、いくつかの実施態様において、リガンドは、TNFスーパーファミリー受容体リガンドの部分である。いくつかの態様において、CAR設計は、1を超えるリガンド(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上のリガンド)を含む。
【0007】
したがって、本明細書に記載される本発明の1つの態様は、内在性切断部位のN末端である、TNFスーパーファミリー受容体リガンドの部分を含む細胞外ドメイン、ヒンジ及び膜貫通型ドメイン、共刺激ドメイン、並びに細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARポリペプチドに関する。1つの実施態様において、TNFスーパーファミリー受容体リガンドは、APRILである。他の実施態様において、TNFスーパーファミリー受容体リガンドは、TNF-アルファ、リンホトキシンベータ、OX40L、CD154、FasL、LIGHT、TL1A、CD70、Siva、CD153、4-1BBリガンド、TRAIL、RANKL、TWEAK、BAFF、CAMLG、LIGHT、NGF、BDNF、NT-3、NT-4、GITRリガンド、TL1A、又はEDA-A2である。
【0008】
したがって、本明細書に記載される本発明の1つの態様は、内在性切断部位のN末端である、APRILの部分を含む細胞外ドメイン、ヒンジ及び膜貫通型ドメイン、共刺激ドメイン、並びに細胞内シグナル伝達ドメインを含むCARポリペプチドに関する。
【0009】
任意の態様の1つの実施態様において、CARポリペプチドは、CD8リーダー配列をさらに含む。1つの実施態様において、CD8リーダー配列は、配列番号20、26、若しくは32から選択された配列を含むか、又は配列番号2、9、若しくは14から選択された配列を含む核酸によりコードされる。
【0010】
1つの実施態様において、APRILの部分は、配列番号21、27、若しくは33から選択された配列を含むか、又は配列番号3、9、若しくは15から選択された配列を含む核酸によりコードされる。任意の態様の1つの実施態様において、APRILの部分は、APRILのリジンリッチな領域を含まない。
【0011】
任意の態様の1つの実施態様において、ヒンジ及び膜貫通型ドメインは、CD8又は4-1BBのヒンジ及び膜貫通型ドメインを含む。1つの実施態様において、CD8ヒンジ及び膜貫通型ドメイン配列は、配列番号22の配列を含むか、又は配列番号4の配列を含む核酸によりコードされる。1つの実施態様において、4-1BBヒンジ及び膜貫通型ドメイン配列は、配列番号28若しくは34から選択されるか、又は配列番号10若しくは16の配列を含む核酸によりコードされる。
【0012】
任意の態様の1つの実施態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ、CD3エータ、又はCD3シータのシグナル伝達ドメインを含む。1つの実施態様において、CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメイン配列は、配列番号24若しくは30から選択されるか、又は配列番号6若しくは12の配列を含む核酸によりコードされる。1つの実施態様において、CD3シータ細胞内シグナル伝達ドメイン配列は、配列番号36の配列を含むか、又は配列番号18の配列を含む核酸によりコードされる。
【0013】
任意の態様の1つの実施態様において、共刺激ドメインは、4-1BB細胞内ドメイン(ICD)、CD28 ICD、CD27 ICD、ICOS ICD、又はOX40 ICDである。1つの実施態様において、共刺激ドメインは、4-1BB ICDである。1つの実施態様において、4-1BB ICD配列は、配列番号23、29、若しくは35から選択された配列を含むか、又は配列番号5、11、若しくは17の配列を含む核酸によりコードされる。
【0014】
任意の態様の1つの実施態様において、CARポリペプチドは、TNFスーパーファミリー受容体リガンドの部分を含む2種以上(例えば、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、又は10種以上)の細胞外ドメインを含む。1つの実施態様において、CARポリペプチドは、TNFスーパーファミリー受容体リガンドの部分を含む3種の細胞外ドメインを含む。
【0015】
本明細書に記載される本発明の別の態様は、配列番号19、25、若しくは31から選択された配列と少なくとも95%の同一性を含むか、又は配列番号1、7、若しくは13から選択された配列と少なくとも95%の同一性を含む配列によりコートされる、CARポリペプチドに関する。
【0016】
本明細書に記載される本発明の別の態様は、配列番号19、25、若しくは31から選択された配列を含むか、又は配列番号1、7、若しくは13から選択された配列によりコードされる、CARポリペプチドに関する。
【0017】
本明細書に記載される本発明の別の態様は、配列番号19、25、若しくは31から選択された配列に対応する配列を含むか、又は配列番号1、7、若しくは13から選択された配列によりコードされる、CARポリペプチドに関する。
【0018】
本明細書に記載される本発明の別の態様は、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかのうちの2種以上(例えば、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、又は10種以上)を含むポリペプチド複合体に関する。1つの実施態様において、ポリペプチド複合体は、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかのうち3種を含む。
【0019】
本明細書に記載される本発明の別の態様は、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れか;本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかをコードする核酸;又は本明細書に記載されるポリペプチド複合体の何れかを含む哺乳類細胞に関する。
【0020】
任意の態様の1つの実施態様において、細胞は、T細胞である。1つの実施態様において、細胞は、ヒト細胞である。1つの実施態様において、細胞は、がん、形質細胞障害、若しくは自己免疫疾患を有するか、又は有すると診断された個体から得られる。
【0021】
本明細書に記載される本発明の別の態様は、対象においてがん、形質細胞障害、アミロイドーシス、又は自己免疫疾患を処置する方法であって、T細胞を操作して、T細胞表面上に本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかを含ませること;操作されたT細胞を対象に投与することを含む方法に関する。
【0022】
本明細書に記載される本発明の別の態様は、対象においてがん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患を処置する方法であって、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れか、又は本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかをコードする核酸を含む細胞を投与することを含む方法に関する。
【0023】
任意の態様の1つの実施態様において、がんは、BAFF+、BCMA+及び/又はTACIである。1つの実施態様において、がんが、多発性骨髄腫又はくすぶり型多発性骨髄腫である。
【0024】
任意の態様の1つの実施態様において、対象は、抗BCMA療法をさらに投与される。1つの実施態様において、対象は、抗BCMA療法に抵抗性である。
【0025】
任意の態様の1つの実施態様において、自己免疫疾患は、凝固因子に対する抗体を有する血友病、重症筋無力症、多発性硬化症、及び慢性移植片対宿主病からなる群から選択される。
【0026】
本明細書に記載されるテクノロジーの別の態様は、がんの処置のため製剤された本明細書に記載されるCARポリペプチドを含む組成物に関する。1つの実施態様において、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0027】
本明細書に記載されるテクノロジーの別の態様は、がんの処置のため製剤された本明細書に記載されるタンパク質複合体を含む組成物に関する。1つの実施態様において、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0028】
本明細書に記載されるテクノロジーの別の態様は、がんの処置のため製剤された本明細書に記載されるCAR T細胞を含む組成物に関する。1つの実施態様において、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、scFvベースの抗BCMA CAR対APRIL抗BCMA/ACI CARの模式的な比較を描く。
図2図2は、本明細書に記載するCARのある特定の実施態様の模式図を描く。4-1BB膜貫通型ドメインの使用は、恐らくよりトリマー形成を促進すると予想される。
図3図3は、示した細胞種類における標的の表面発現を描く。
図4図4は、APRIL又はBCMA CARを発現する細胞についての増殖曲線を描く。
図5A図5Aは、APRIL CARのCAR-T細胞形質導入効率を描く。X軸は、mCherryであり、y軸は、側方散乱である。細胞に、生CD3+T細胞上でゲートを掛ける。
図5B図5Bは、BCMA CARのCAR-T細胞形質導入効率を描く。X軸は、mCherryであり、y軸は、側方散乱である。細胞に、生CD3+T細胞上でゲートを掛ける。
図6図6は、APRILとBCMA CARを比較する殺傷アッセイの結果を描く。
図7図7は、APRILとBCMA CARを比較する活性化アッセイの結果を描く。CAR介在性T細胞活性化を、NFATプロモーターの後にルシフェラーゼを発現するジャーカット細胞株(JNL)において試験した。JNL細胞に、示したCARをレンチウイルスにより形質導入し、x軸上に示す標的に数時間曝露した。光放出を測定した(相対的光単位、y軸)。
図8図8は、示した多発性骨髄腫細胞株におけるBCMA及びTACIの発現のレベルを描く。
図9図9は、操作した細胞株におけるBCMA及びTACIの発現を描く。
図10図10は、いくつかのAPRIL及びBCMA CARの模式図並びにそれらの形質導入効率を描く。
図11図11は、BCMA及びAPRIL CARが、RPMI8226BCMAでの繰返し刺激の際に拡大することを示すグラフを描く。
図12図12は、BCMA及びTACI発現細胞株のAPRIL-CAR殺傷のグラフを描く。
図13図13は、APRIL-CARの特異的活性化を描く。
図14図14は、BCMA及びAPRIL CARが、RPMI8226での刺激に応答して脱顆粒することを示す。
図15図15は、APRIL-CART細胞のサイトカイン特性を描く。
図15-1】図15-1は、図15の続きである。
図16図16は、典型的なTriPRILコンストラクトの模式図を描く。
図17図17は、TriPRIL CARのCAR-T細胞形質導入効率を描く。X軸は、mCherryシグナルを示し、y軸は、側方散乱である。上部のパネルは、コントロールの形質導入していない(UTD)細胞を示し、下部のパネルは、TriPRIL CARを形質導入した細胞を示す。
図18図18は、TriPRIL CAR T細胞を使用した細胞殺傷アッセイの結果を描く。
【発明を実施するための形態】
【0030】
定義
便宜上、明細書、実施例、及び添付の請求の範囲において使用されるいくつかの用語並びに語句の意味が、以下で提供される。別段示されないか、又は文脈から暗に示されていない限り、次の用語及び語句は、以下で提供される意味を含む。定義は、特定の実施態様を記載するのに役立つよう提供され、テクノロジーの範囲は、請求項によってのみ制限されるので、請求されたテクノロジーを制限することは意図されない。別段定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本テクノロジーが属する当該技術分野における当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。当該技術分野における用語の使用と本明細書におけるその定義の間に明らかな食い違いが存在するなら、明細書内で提供される定義が優先する。
【0031】
免疫学及び分子生物学における一般的な用語の定義は、Merck Sharp & Dohme Corp.により2011年に出版された、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy、第19編(ISBN 978-0-911910-19-3);Blackwell Science Ltd.により1999-2012年に出版された、Robert S. Porter等(編)、The Encyclopedia of Molecular Cell Biology and Molecular Medicine(ISBN9783527600908);及びVCH Publishers,Inc.により1995年に出版された、Robert A. Meyers(編)、Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference(ISBN1-56081-569-8);Elsevierにより2006年に出版された、Werner LuttmannによるImmunology;Janeway’s Immunobiology、Kenneth Murphy、Allan Mowat、Casey Weaver(編)、Taylor & Francis Limited、2014年(ISBN 0815345305、9780815345305);Jones & Bartlett Publishersにより2014年に出版されたLewin’s Genes XI(ISBN-1449659055);Michael Richard Green及びJoseph Sambrook、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第4編、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.、USA(2012年)(ISBN1936113414);Davis等、Basic Methods in Molecular Biology、Elsevier Science Publishing,Inc.、New York、米国(2012年)(ISBN044460149X);Laboratory Methods in Enzymology:DNA、Jon Lorsch(編)Elsevier、2013年(ISBN0124199542);Current Protocols in Molecular Biology(CPMB)、Frederick M. Ausubel(編)、John Wiley and Sons、2014年(ISBN047150338X、9780471503385);Current Protocols in Protein Science(CPPS)、John E. Coligan(編)、John Wiley and Sons,Inc.、2005年;並びにCurrent Protocols in Immunology(CPI)(John E. Coligan、ADA M Kruisbeek、David H Margulies、Ethan M Shevach、Warren Strobe(編)John Wiley and Sons,Inc.、2003年(ISBN0471142735、9780471142737)において見られ、それらの内容は、それらの全体が出典明示により本明細書に全て援用される。
【0032】
用語「TNFスーパーファミリー受容体リガンド」は、TNFスーパーファミリー受容体に結合するリガンドに関する。TNFスーパーファミリー受容体リガンドは、非共有結合性オリゴマー(例えば、トリマー)として活性であり得る。いくつかの実施態様において、TNFスーパーファミリー受容体リガンドは、ホモオリゴマー(例えば、ホモトリマー)として活性である。しかしながら、いくつかのTNFスーパーファミリー受容体リガンドは、BAFFを含む、ヘテロオリゴマー(例えば、ヘテロトリマー)として活性であり得、それは、APRILを有するヘテロオリゴマーを形成し得る。いくつかの実施態様において、TNFスーパーファミリー受容体リガンドは、Aggarwal、Nat.Rev.Immunol、3:745-756、2003年又はCroft等、Nat.Rev.Immunol、9(4):271-285、2009年に記載されるものである。いくつかの実施態様において、TNFスーパーファミリー受容体リガンドは、TNF-アルファ、リンホトキシンベータ、OX40L、CD154、FasL、LIGHT、TL1A、CD70、Siva、CD153、4-1BBリガンド、TRAIL、RANKL、TWEAK、BAFF、CAMLG、LIGHT、NGF、BDNF、NT-3、NT-4、GITRリガンド、TL1A、又はEDA-A2である。いくつかの実施態様において、TNFスーパーファミリー受容体リガンドは、例えば、TNFR1、TNFR2、CD95、DCR3、DR3、DR4、DR5、DCR1、DCR2、DR6、EDAR、NGFR、OPG、RANK、LTベータR、FN14、HVEM、CD27、CD30、CD40、4-1BB、OX40、GITR、BCMA、TACI、BAFFR、XEDAR、TROY、又はRELTを含む、上記のAggarwal、又は上記のCroft等に記載されるTNFスーパーファミリー受容体に結合する。
【0033】
用語「部分」は、ポリペプチド、例えば、TNFスーパーファミリー受容体リガンド(例えば、APRIL)の一部を指す。いくつかの実施態様において、TNFスーパーファミリー受容体リガンドの部分は、内在性切断部位のN末端であり、少なくともTNF様ドメインを含む。いくつかの実施態様において、TNFスーパーファミリー受容体リガンドの部分は、オリゴマー形成(例えば、ダイマー形成又はトリマー形成)する能力がある。オリゴマー形成は、ホモオリゴマー形成又はヘテロオリゴマー形成であってもよい。
【0034】
用語「減少する」、「低減した」、「低減」、又は「阻害する」は、全て、統計上有意な量での減少を意味するために本明細書において使用される。いくつかの実施態様において、「低減する」、「低減」又は「減少する」又は「阻害する」は、典型的には、参照レベル(例えば、規定の処置又は薬剤の不存在)と比較して少なくとも10%での減少を意味し、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%以上での減少を含み得る。本明細書において使用される、「低減」又は「阻害」は、参照レベルと比較して完全な阻害又は低減を包含しない。「完全な阻害」は、参照レベルと比較して100%の阻害である。適用できる場合、減少は、好ましくは、規定の障害を有さない個体についての正常な範囲内として許容されるレベルまで下げられ得る。
【0035】
用語「増大した」、「増大させる」、「増強する」、又は「活性化する」は、全て、統計上有意な量での増大を意味するために本明細書において使用される。いくつかの実施態様において、用語「増大した」、「増大させる」、「増強する」、又は「活性化する」は、参照レベルと比較して少なくとも10%の増大、例えば、参照レベルと比較して少なくとも約20%、若しくは少なくとも約30%、若しくは少なくとも約40%、若しくは少なくとも約50%、若しくは少なくとも約60%、若しくは少なくとも約70%、若しくは少なくとも約80%、若しくは少なくとも約90%の増大、又は100%以下の増大若しくは10-100%の任意の増大、或いは参照レベルと比較して少なくとも約2倍、若しくは少なくとも約3倍、若しくは少なくとも約4倍、若しくは少なくとも約5倍、若しくは少なくとも約10倍の増大、又は2倍から10倍以上の任意の増大を意味し得る。マーカー又は症状の文脈において、「増大」は、かかるレベルにおける統計上有意な増大である。
【0036】
本明細書において使用される、「対象」は、ヒト又は動物を意味する。通常、動物は、霊長類、げっ歯類、家畜又は狩猟動物のような脊椎動物である。霊長類は、例えば、チンパンジー、カニクイザル、クモザル、及びマカク、例えば、アカゲザルを含む。げっ歯類は、例えば、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギ及びハムスターを含む。家畜又は狩猟動物は、例えば、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、バッファロー、ネコ種、例えば、飼育ネコ、イヌ種、例えば、イヌ、キツネ、オオカミ、トリ種、例えば、ニワトリ、エミュー、オーストリッチ、並びに魚、例えば、マス、ナマズ及びサケを含む。いくつかの実施態様において、対象は、哺乳類、例えば、霊長類、例えば、ヒトである。用語「個体」、「患者」及び「対象」は、本明細書において互換的に使用される。
【0037】
好ましくは、対象は、哺乳類である。哺乳類は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、又はウシであり得るが、これらの例に限定されない。ヒト以外の哺乳類は、疾患、例えば、がんの動物モデルを表す対象として有利に使用され得る。対象は、オス又はメスであり得る。
【0038】
対象は、既に、処置の必要な状態(例えば、特に、白血病若しくは別の種類のがん)又はかかる状態に関連する一若しくは複数の合併症に罹患しているか或いは有すると診断されたか、或いは同定されたもの、及び任意選択的に、状態又は状態と関連する一若しくは複数の合併症のための処置を既に経験したものであり得る。或いは、対象はまた、かかる状態又は関連する合併症を有すると以前に診断されていないものであり得る。例えば、対象は、状態又は状態と関連する一若しくは複数の合併症についての一或いは複数のリスク因子を示すもの、或いはリスク因子を示さない対象であり得る。
【0039】
特定の状態のための処置を「必要とする対象」は、その状態を有する、その状態を有すると診断された、又はその状態を発症するリスクのある対象であり得る。
【0040】
「疾患」は、動物が、ホメオスタシスを維持することができず、疾患が改善されないなら、次に、動物の健康が悪化し続ける、動物、例えば、ヒトの健康状態である。対照的に、動物における「障害」は、動物がホメオスタシスを維持できるが、動物の健康状態が、障害の非存在下にあるよりあまり好ましくない、健康状態である。未処置のままでいると、障害は、必ずしも、動物の健康状態においてさらなる減少を引き起こさない。
【0041】
本明細書において使用される、用語「腫瘍抗原」及び「がん抗原」を互換的に使用して、がん細胞により異なって発現され、それにより、がん細胞を標的にするために利用され得る抗原を指す。がん抗原は、潜在的に、腫瘍特異的な免疫応答を明らかに刺激し得る抗原である。これらの抗原のいくつかは、正常細胞により必ずしも発現されないが、正常細胞によりコードされる。これらの抗原は、正常細胞において通常サイレントである(すなわち、発現されない)もの、分化のある特定のステージでのみ発現されもの並びに胚及び胎児抗原のような、一時的に発現されるものとして特徴付けられ得る。他のがん抗原は、がん遺伝子(例えば、活性化されたrasがん遺伝子)のような変異細胞遺伝子、抑制遺伝子(例えば、変異p53)、及び内部の欠損又は染色体転座から生じる融合タンパク質によりコードされる。さらに他のがん抗原は、RNA及びDNA腫瘍ウイルス上に担持されるもののような、ウイルス遺伝子によりコードされ得る。多くの腫瘍抗原は、複数の固形腫瘍:免疫により定義されるMAGE1、2、及び3;MART-1/Melan-A、gp100、がん胎児抗原(CEA)、HER2、ムチン(すなわち、MUC-1)、前立腺特異的抗原(PSA)、並びに前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)に関して同定された。加えて、肝炎B(HBV)、エプスタイン・バー(EBV)、及びヒトパピローマ(HPV)によりコードされるいくつかのようなウイルスタンパク質は、それぞれ、肝細胞癌、リンパ腫、及び子宮頚がんの発症において重要であると示されている。
【0042】
本明細書において使用される、用語「キメラ」は、少なくとも2種以上の異なるポリヌクレオチド分子の部分の融合の産物を指す。1つの実施態様において、用語「キメラ」は、公知のエレメント又は他のポリヌクレオチド分子の操作を通じて産生される遺伝子発現エレメントを指す。
【0043】
いくつかの実施態様において、「活性化」は、検出可能な細胞増殖を誘導するために十分に刺激されたT細胞の状態を指すことができる。いくつかの実施態様において、活性化は、誘導されたサイトカイン産生を指すことができる。他の実施態様において、活性化は、検出可能なエフェクター機能を指すことができる。少なくとも、本明細書において使用される「活性化されたT細胞」は、増殖性T細胞である。
【0044】
本明細書において使用される、用語「特異的な結合」及び「特異的に結合する」は、第1の実体が、第2の、標的、実体に、標的でない第3の実体に結合するより高い特異性及び親和性で結合する、2種の分子、化合物、細胞並びに/又は粒子間の物理的相互作用を指す。いくつかの実施態様において、特異的な結合は、同じ状態下で第3の非標的実体についての親和性より少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍以上高い、第2の標的、実体についての第1の実体の親和性を指すことができる。規定の標的に特異的な試薬は、利用されるアッセイ条件下でその標的についての特異的な結合を示すものである。非限定的な例は、コグネート結合パートナー(例えば、T細胞上に存在する刺激及び/若しくは共刺激分子)タンパク質を認識し、結合する、抗体、又はリガンドを含む。
【0045】
本明細書において使用される「刺激リガンド」は、抗原提示細胞(APC、例えば、マクロファージ、樹状細胞、B細胞、人工APC等)上に存在するとき、T細胞上のコグネート結合パートナー(本明細書において「刺激分子」又は「共刺激分子」として言及される)と特異的に結合し、これにより、増殖、活性化、免疫応答の開始等を含むが、これらに限定されない、T細胞による一次応答を仲介し得るリガンドを指す。刺激リガンドは、当該技術分野において周知であり、とりわけ、ペプチド、抗CD3抗体、スーパーアゴニスト抗CD28抗体、及びスーパーアゴニスト抗CD2抗体をロードされたMHCクラスI分子を包含する。
【0046】
本明細書において使用される用語としての「刺激分子」は、抗原提示細胞上に存在するコグネート刺激リガンドと特異的に結合するT細胞上の分子を意味する。
【0047】
本明細書において使用される用語としての「共刺激リガンド」は、T細胞上のコグネート共刺激分子に特異的に結合し、これにより、例えば、TCR/CD3複合体のペプチドをロードされたMHC分子との結合によりもたらされる一次シグナルに加えて、増殖、活性化、分化等を含むが、これらに限定されない、T細胞応答を仲介する、APC上の分子を含む。共刺激リガンドは、4-1BBL、OX40L、CD7、B7-1(CD80)、B7-2(CD86)、PD-L1、PD-L2、誘導可能な共刺激リガンド(ICOS-L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA-G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンベータ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、Toll様受容体に結合するアゴニスト又は抗体、及びB7-H3と特異的に結合するリガンドを含み得るが、これらに限定されない。共刺激リガンドはまた、非限定的に、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83と特異的に結合するリガンドのような、T細胞上に存在する共刺激分子と特異的に結合する抗体を含み得るが、これに限定されない。
【0048】
「共刺激分子」は、共刺激リガンドと特異的に結合し、これにより、非限定的に増殖のような、T細胞による共刺激応答を仲介する、T細胞上のコグネート結合パートナーを指す。共刺激分子は、MHCクラスI分子、BTLA、Toll様受容体、CD27、CD28、4-1BB、OX40、CD30、CD40、PD-1、ICOS、リンパ球機能関連抗原1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83を含むが、これらに限定されない。
【0049】
1つの実施態様において、本明細書において使用される用語「操作された」及びその文法上同等なものは、核酸、例えば、生物のゲノム内の核酸の一又は複数のヒトにより設計された変化を指すことができる。別の実施態様において、操作されたは、遺伝子の変化、付加、及び/又は欠損を指すことができる。「操作された細胞」は、付加、欠損及び/又は変化した遺伝子を有する細胞を指すことができる。本明細書において使用される用語「細胞」又は「操作された細胞」及びそれらの文法上同等なものは、ヒト又は非ヒト動物起源の細胞を指すことができる。
【0050】
本明細書において使用される、用語「作動可能に結合された」は、ポリヌクレオチド分子が、第2のポリヌクレオチド分子の機能に影響するよう配置されている、目的の遺伝子のような第2の転写可能なポリヌクレオチド分子と結び付けられた、プロモーターのような第1のポリヌクレオチド分子を指す。2種のポリヌクレオチド分子は、単一の連続するポリヌクレオチド分子の一部であっても、又はなくてもよいし、隣接するものであっても、又はなくてもよい。例えば、プロモーターが、細胞において目的の遺伝子の転写を制御するか、又は仲介するなら、プロモーターは、目的の遺伝子に作動可能に結合されている。
【0051】
本明細書に記載される様々な実施態様において、記載される特定のポリペプチドの何れかのバリアント(天然に存在する又はそれ以外)、対立遺伝子、相同体、保存的に修飾されたバリアント、及び/又は保存的置換バリアントが包含されることが、さらに企図される。アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされた配列中の単一のアミノ酸若しくは低いパーセンテージのアミノ酸を変化させる、核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列に対する個々の置換、欠損或いは付加は、変化が化学的に同様のアミノ酸でのアミノ酸の置換をもたらし、ポリペプチドの所望の活性を保持する「保存的に修飾されたバリアント」であることを認識する。かかる保存的に修飾されたバリアントは、開示と一致する多型バリアント、種間相同体、及び対立遺伝子に加えるものであり、それらを排除しない。
【0052】
規定のアミノ酸は、同様の生理化学的特徴を有する残基、例えば、ある脂肪族残基を別のもの(例えば、互いにIle、Val、Leu、若しくはAla)と置換すること又はある極性残基の別のものとの置換(例えば、LysとArg;GluとAsp;若しくはGlnとAsn)により置換され得る。他のかかる保存的置換、例えば、同様の疎水性特徴を有する全領域の置換は、周知である。保存的アミノ酸置換を含むポリペプチドを、本明細書に記載されるアッセイの何れか1つにおいて試験して、天然又は参照ポリペプチドの所望の活性、例えば、リガンドにより仲介される受容体活性及び特異性を保持するのを確認し得る。
【0053】
アミノ酸は、それらの側鎖の特性における類似性に従いグループ化され得る(A. L. Lehninger、Biochemistry、第2編、p73-75、Worth Publishers、New York(1975年)における):(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M);(2)無電荷の極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q);(3)酸性:Asp(D)、Glu(E);(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)。或いは、天然に存在する残基は、一般的な側鎖特性に基づきグループに分けることができる:(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;(3)酸性:Asp、Glu;(4)塩基性:His、Lys、Arg;(5)鎖配向性に影響する残基:Gly、Pro;(6)芳香族性:Trp、Tyr、Phe。非保存的置換は、これらの種類の1つのメンバーの別の種類への交換を伴う。特定の保存的置換は、例えば;AlaからGly若しくはSer;ArgからLys;AsnからGln若しくはHis;AspからGlu;CysからSer;GlnからAsn;GluからAsp;GlyからAla若しくはPro;HisからAsn若しくはGln;IleからLeu若しくはVal;LeuからIle若しくはVal;LysからArg、Gln若しくはGlu;MetからLeu、Tyr若しくはIle;PheからMet、Leu若しくはTyr;SerからThr;ThrからSer;TrpからTyr;TyrからTrp;及び/又はPheからVal、Ile若しくはLeuを含む。
【0054】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるポリペプチド(又はかかるポリペプチドをコードする核酸)は、本明細書に記載されるアミノ酸配列の1つの機能的フラグメントであり得る。本明細書において使用される、「機能的フラグメント」は、当該技術分野において公知又は本明細書において以下で記載されるアッセイに従い、野生型参照ポリペプチドの活性の少なくとも50%を保持する、ペプチドのフラグメント又はセグメントである。機能的フラグメントは、本明細書において開示される配列の保存的置換を含み得る。
【0055】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるポリペプチドは、本明細書に記載されるポリペプチド又は分子のバリアントであり得る。いくつかの実施態様において、バリアントは、保存的に修飾されたバリアントである。保存的置換バリアントは、天然のヌクレオチド配列等の変異により得ることができる。本明細書において言及される「バリアント」は、天然又は参照ポリペプチドと実質的に相同なポリペプチドであるが、一又は複数の欠損、挿入若しくは置換のため、天然或いは参照ポリペプチドのものと異なるアミノ酸配列を有する。バリアントポリペプチドをコードするDNA配列は、天然若しくは参照DNA配列と比較したとき、ヌクレオチドの一若しくは複数の付加、欠損、又は置換を含むが、非バリアントポリペプチドの活性を保持するバリアントタンパク質又はそのフラグメントをコードする配列を包含する。多種多様なPCRベースの部位特異的変異アプローチが、当該技術分野において公知であり、当業者により適用され得る。
【0056】
バリアントアミノ酸又はDNA配列は、天然又は参照配列と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%以上同一であり得る。天然配列と変異配列の間の相同性(パーセント同一性)の程度は、例えば、ワールド・ワイド・ウェブ上のこの目的のため通常利用される無料で入手可能なコンピュータープログラム(例えば、デフォルト設定を有するBLASTp又はBLASTn)を使用して2つの配列を比較することにより、決定することができる。
【0057】
天然のアミノ酸配列の変化は、当業者に公知の多数の技術の何れかにより成し遂げることができる。変異は、例えば、特定の遺伝子座で、天然の配列のフラグメントへのライゲーションを可能にする制限酵素部位に隣接する変異体配列を含有するオリゴヌクレオチドを合成することにより導入することができる。ライゲーション後、生じた再構築された配列は、所望のアミノ酸挿入、置換、又は欠損を有するアナログをコードする。或いは、オリゴヌクレオチド定方向部位特異的変異手法を利用して、要求される置換、欠損、又は挿入により変化した特定のコドンを有する変化したヌクレオチド配列をもたらし得る。かかる変化を作る技術は、十分に確立されており、例えば、Walder等(Gene42:133、1986年);Bauer等(Gene37:73、1985年);Craik(BioTechniques、1985年1月、12-19);Smith等(Genetic Engineering:Principles and Methods、Plenum Press、1981年);並びに米国特許第4518584号及び第4737462号により開示されるものを含み、それらは、それらの全体が出典明示により本明細書に援用される。ポリペプチドの適切な立体構造を維持するのに関与しない任意のシステイン残基をまた、一般に、セリンで置換して、分子の酸化的安定性を改善し、異常な架橋結合を妨げ得る。逆に、システイン結合を、ポリペプチドに加えて、その安定性を改善するか、又はオリゴマー形成を促進し得る。
【0058】
本明細書において使用される、用語「DNA」は、デオキシリボ核酸として定義される。用語「ポリヌクレオチド」を、「核酸」と互換的に本明細書において使用して、ヌクレオシドのポリマーを示す。典型的には、ポリヌクレオチドは、ホスホジエステル結合により結び付けられたDNA又はRNAにおいて天然に見られるヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、及びデオキシシチジン)から構成される。しかしながら、用語は、天然に存在する核酸において見られるかどうかにかかわらず、化学的若しくは生物学的に修飾された塩基、修飾された骨格等を含有するヌクレオシド又はヌクレオシドアナログを含む分子を包含し、かかる分子は、ある特定の適用に好ましいことがある。この適用が、ポリヌクレオチドを指す場合、1本鎖と2本鎖形態(及びそれぞれの1本鎖分子の相補鎖)の両方の場合のDNA、RNAの両方が提供されることは理解される。本明細書において使用される「ポリヌクレオチド配列」は、ポリヌクレオチド物質自体及び/又は特定の核酸を生化学的に特徴付ける配列情報(すなわち、塩基についての略語として使用される文字の連続)を指すことができる。本明細書において提示されるポリヌクレオチド配列は、別段示されない限り、5’から3’方向で提示される。
【0059】
本明細書において使用される用語「ポリペプチド」は、アミノ酸のポリマーを指す。用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、本明細書において互換的に使用される。ペプチドは、比較的に短いポリペプチドであり、典型的には、約2から60個のアミノ酸長である。本明細書において使用されるポリペプチドは、典型的には、タンパク質において最も一般的に見られる20個のL-アミノ酸のようなアミノ酸を含有する。しかしながら、他のアミノ酸及び/又は当該技術分野において公知のアミノ酸アナログを使用することができる。ポリペプチド中のアミノ酸の一又は複数は、例えば、炭水化物群、リン酸塩群、脂肪酸群、結合、機能付与のためのリンカー等のような化学実体の付加により修飾されてもよい。共有結合又は非共有結合で結び付けられた非ポリペプチド部分を有するポリペプチドは、依然、「ポリペプチド」とみなされる。典型的な修飾は、グリコシル化及びパラミトイル化を含む。ポリペプチドは、天然の供給源から精製され、組換えDNAテクノロジーを使用して生成されるか、又は従来の固相ペプチド合成のような化学的手段を通じて合成され得る。本明細書において使用される用語「ポリペプチド配列」又は「アミノ酸配列」は、ポリペプチド物質自体及び/又はポリペプチドを生化学的に特徴付ける配列情報(すなわち、アミノ酸名についての略語として使用される文字若しくは3文字コードの連続)を指すことができる。本明細書において提示されるポリペプチド配列は、別段示されない限り、N末端からC末端方向で提示される。
【0060】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、CARポリペプチド)をコードする核酸は、ベクターにより含まれる。本明細書に記載される態様のいくつかにおいて、本明細書に記載される規定のポリペプチドをコードする核酸配列、又は任意のそのモジュールは、ベクターに作動可能に結合されている。本明細書において使用される用語「ベクター」は、宿主細胞へのデリバリー又は異なる宿主細胞間の移動のため設計された核酸コンストラクトを指す。本明細書において使用される、ベクターは、ウイルス又は非ウイルスであり得る。用語「ベクター」は、適切な制御エレメントと関連するとき、複製する能力があり、遺伝子配列を細胞に移し得る任意の遺伝子エレメントを包含する。ベクターは、クローニングベクター、発現ベクター、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、人工染色体、ウイルス、ビリオン等を含み得るが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書において使用される、用語「発現ベクター」は、ベクター上の転写制御配列に結合された配列からのRNA又はポリペプチドの発現を指示するベクターを指す。発現された配列は、しばしば細胞にとって異種性であるが、必ずしも、細胞にとって異種性でない。発現ベクターは、追加のエレメントを含んでもよく、例えば、発現ベクターは、2種の複製システムを有し、これにより、それが、2種類の生物、例えば、発現のためのヒト細胞において並びにクローニング及び増幅のため原核生物の宿主において維持されることを可能にしてもよい。用語「発現」は、RNA及びタンパク質の産生、並びに適用可能な場合、例えば、転写、転写プロセシング、翻訳及びタンパク質フォールディング、修飾並びにプロセシングを含むが、これらに限定されない、適当な分泌タンパク質として関与する細胞プロセスを指す。「発現産物」は、遺伝子から転写されたRNA、及び遺伝子から転写されたmRNAの翻訳により得られるポリペプチドを含む。用語「遺伝子」は、適当な制御配列に作動可能に結合されたとき、インビトロ又はインビボで(DNA)からRNAに転写される核酸配列を意味する。遺伝子は、コード領域前及び後の領域、例えば、5’非翻訳(5’UTR)又は「リーダー」配列及び3’UTR又は「トレーラー」配列、並びに個々のコードセグメント(エクソン)間の間にある配列(イントロン)を含んでもよいし、又は含まなくてもよい。
【0062】
本明細書において使用される、用語「ウイルスベクター」は、ウイルス起源の少なくとも1つのエレメントを含み、ウイルスベクター粒子にパッケージングされる能力を有する核酸ベクターコンストラクトを指す。ウイルスベクターは、必須でないウイルス遺伝子の代わりに、本明細書に記載されるポリペプチドをコードする核酸を含有し得る。ベクター及び/又は粒子は、インビトロ又はインビボの何れかで核酸を細胞に移動させる目的のため利用され得る。多数の形態のウイルスベクターが、当該技術分野において公知である。
【0063】
「組換えベクター」により、異種性核酸配列、又はインビボで発現する能力がある「導入遺伝子」を含むベクターを意味する。本明細書に記載されるベクターが、いくつかの実施態様において、他の適した組成物及び療法と組合すことができることは理解されるべきである。いくつかの実施態様において、ベクターは、エピソームである。適したエピソームベクターの使用は、対象において目的のヌクレオチドを大きなコピー数の染色体外DNAで維持し、それにより、染色体組込みの可能性のある作用を除去する手段をもたらす。
【0064】
本明細書において使用される、用語「処置する」、「処置」、「処置すること」又は「改善」は、目的が、疾患或いは障害、例えば、急性リンパ芽球性白血病若しくは他のがん、疾患、又は障害と関連する状態の進行或いは重症度を好転させること、緩和すること、改善すること、阻害すること、遅延させること、又は停止することである、治療処置を指す。用語「処置すること」は、少なくとも1種の副作用又は状態、疾患若しくは障害の症状を低減すること或いは緩和することを含む。一若しくは複数の症状又は臨床マーカーが、低減されるなら、処置は、一般に「有効」である。或いは、疾患の進行が低減されるか、又は停止されるなら、処置は、「有効」である。すなわち、「処置」は、症状又はマーカーの改善ばかりでなく、処置の非存在下で予測されるものと比較して症状の進行若しくは悪化の休止、又は少なくとも遅延も含む。有益又は所望の臨床結果は、検出可能若しくは検出可能でないかにかかわらず、一又は複数の症状の緩和、疾患の程度の減少、疾患の安定化した(すなわち、悪化しない)状態、疾患の進行の遅延又は遅くすること、疾患状態の改善又は緩和、寛解(部分的又は総合的の何れか)、及び/或いは減少した死亡率を含むが、これらに限定されない。用語、疾患の「処置」はまた、疾患の症状又は副作用からの解放(対症療法を含む)をもたらすことを含む。
【0065】
本明細書において使用される、用語「薬学的組成物」は、薬学的に許容される担体、例えば、医薬産業において一般に使用される担体と組み合わせた有効な剤を指す。語句「薬学的に許容される」を、本明細書において利用して、合理的な恩恵/リスクの比と釣り合った過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題若しくは合併症なく、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに、正当な医療判断の範囲内で適当である化合物、物質、組成物、並びに/或いは投薬形態を指す。態様の何れかのいくつかの実施態様において、薬学的に許容される担体は、水以外の担体であり得る。態様の何れかのいくつかの実施態様において、薬学的に許容される担体は、クリーム、エマルジョン、ジェル、リポソーム、ナノ粒子、及び/又は軟膏であり得る。態様の何れかのいくつかの実施態様において、薬学的に許容される担体は、人工又は操作された担体、例えば、有効成分が天然で生じることが見出されていない担体であり得る。
【0066】
本明細書において使用される、用語「投与すること」は、所望の部位での薬剤の少なくとも部分的なデリバリーをもたらす方法若しくは経路による、対象への本明細書において開示される治療又は薬学的組成物の配置を指す。本明細書に記載される薬剤を含む薬学的組成物は、対象において有効な処置をもたらす任意の適当な経路により投与され得る。
【0067】
用語「統計学的に有意な」又は「有意に」は、統計学的な有意を指し、一般に、2標準偏差(2SD)又はそれ以上の差を意味する。
【0068】
操作例において以外、又は別段示されない場合、本明細書において使用される成分の量又は反応条件を表す全ての数は、用語「約」により全ての場合で修飾されると理解されるべきである。パーセンテージと関連して使用されるときの用語「約」は、±1%を意味し得る。
【0069】
本明細書において使用される、用語「含むこと」は、他のエレメントがまた、提示された所望のエレメントに加えて存在し得ることを意味する。「含むこと」の使用は、制限よりむしろ包含を示す。
【0070】
用語「からなる」は、本明細書に記載される組成物、方法、及びそれらのそれぞれの構成要素を指し、それらは、実施態様のその記載において列挙されない任意のエレメントを除外する。
【0071】
本明細書において使用される、用語「本質的にからなる」は、規定の実施態様について要求されるそれらのエレメントを指す。用語は、テクノロジーのその実施態様の基本的かつ新規又は機能的特徴に物質上影響しない追加のエレメントの存在を可能にする。
【0072】
単数の用語「a」、「an」及び「the」は、文脈が別段明らかに示さない限り、複数の参照物を含む。同様に、単語「又は」は、文脈が別段明らかに示さない限り、「及び」を含むことが意図される。本明細書において記載されるものと同様又は同等の方法及び物質を、本開示の実施又は試験において使用することができるが、適した方法及び物質が以下で記載される。略語「例えば」は、ラテン語の例を挙げると、に由来し、本明細書において使用して、非限定的な例を示す。したがって、略語「例えば」は、用語「例えば」と同義である。
【0073】
態様の何れかのいくつかの実施態様において、本明細書に記載される開示は、ヒトをクローニングするプロセス、ヒトの生殖系列の遺伝的同一性を修飾するプロセス、産業上若しくは市販目的のヒト胚の使用、又はヒト若しくは動物への実質的な医薬恩恵なく恐らくそれらを罹患させる動物の遺伝的同一性を修飾するプロセス、及びかかるプロセスから得られた動物に関係しない。
【0074】
他の用語は、以下のテクノロジーの様々な態様及び実施態様の記載内で定義される。
【0075】
非特異的な効果を回避し、標的抗原の喪失による腫瘍回避の可能性を低減するCAR設計における改善が、本明細書に記載される。1つの実施態様において、2つの異なる腫瘍関連抗原又は因子に結合する単一リガンドを使用するアプローチが、本明細書に記載される。単一リガンドは、本質的には、当該技術分野において公知のCARの場合のように、膜貫通型及びT細胞受容体細胞内エフェクタードメインに、任意選択的に共刺激ドメインを伴って、融合される。抗原若しくは因子の一方又は他方が、標的細胞によりダウンレギュレーションされるなら、2つの異なる腫瘍関連抗原又は因子と結合するリガンドを有するCARは、有効性を失わない。いくつかの実施態様において、CARは、TNFスーパーファミリー受容体リガンドの部分を含むリガンドを含む。これは、多発性骨髄腫及び白血病関連BCMAポリペプチドと、多発性骨髄腫で発現される別の因子であるTACIの両方に高い親和性で結合する、APRILポリペプチドの部分をリガンドとして使用して本明細書において説明される。
【0076】
本明細書に記載されるテクノロジーの実施態様は、細胞外TNFスーパーファミリー受容体リガンドの部分(例えば、APRIL)を含むCARポリペプチドを含むT細胞が、非特異的な効果若しくは有害反応を呼び出すことなく、がん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患を処置するための効率的な治療であるという発見に関する。
【0077】
したがって、本明細書に記載される本発明の1つの態様は、a)内在性切断部位のN末端である、TNFスーパーファミリー受容体リガンド(例えば、APRIL)の部分を含む細胞外ドメインを含むCARポリペプチドに関し、少なくともTNF様ドメイン、b)ヒンジ及び膜貫通型ドメイン、並びにc)細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施態様において、TNFスーパーファミリー受容体リガンドは、APRILである。他の実施態様において、TNFスーパーファミリー受容体リガンドは、TNF-アルファ、リンホトキシンベータ、OX40L、CD154、FasL、LIGHT、TL1A、CD70、Siva、CD153、4-1BBリガンド、TRAIL、RANKL、TWEAK、BAFF、CAMLG、LIGHT、NGF、BDNF、NT-3、NT-4、GITRリガンド、TL1A、又はEDA-A2である。
【0078】
テクノロジーのこれらの及び他の態様を成し、使用するのに必要不可欠なものの考慮が、以下で記載される。
【0079】
キメラ抗原受容体
本明細書に記載されるテクノロジーは、免疫療法における使用のための改善されたCARを提供する。以下は、CAR及び様々な改善を考察する。
【0080】
本明細書において使用される用語「キメラ抗原受容体」又は「CAR」又は「CAR(複数形)」は、T細胞(例えば、ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞若しくはその組合せ)にリガンド又は抗原特異性を移植する、操作されたT細胞受容体を指す。CARは、人工T細胞受容体、キメラT細胞受容体又はキメラ免疫受容体としても知られている。
【0081】
CARは、標的に特異的に結合するキメラ細胞外標的結合ドメイン、例えば、膜貫通型ドメインを含む、コンストラクト上にT細胞応答について標的にされるべき細胞の表面上で発現されたポリペプチド、及びT細胞受容体分子の細胞内ドメイン(シグナル伝達ドメインを含む)を配置する。1つの実施態様において、キメラ細胞外標的結合ドメインは、T細胞応答のため標的にされるべき細胞上で発現された抗原に特異的に結合する抗体の抗原結合ドメインを含む。CARの細胞内シグナル伝達ドメインの特性は、当該技術分野において公知であり、本明細書において開示される通り変動し得るが、キメラ標的/抗原結合ドメインは、キメラ標的/抗原結合ドメインが、標的細胞の表面上の標的/抗原に結合するとき、シグナル伝達活性化に受容体感受性を与え得る。
【0082】
細胞内シグナル伝達ドメインに関して、いわゆる「第1世代の」CARは、抗原結合の際にCD3ゼータ(CD3ζ)をもっぱらもたらすものを含む。いわゆる「第2世代の」CARは、共刺激(例えば、CD28又はCD137)と活性化(CD3ζ)ドメインの両方を提供するものを含み、いわゆる「第3世代の」CARは、複数の共刺激(例えば、CD28及びCD137)ドメイン並びに活性化ドメイン(例えば、CD3ζ)を提供するものを含む。様々な実施態様において、標的/抗原について高い親和性又は結合活性を有するCARが選択され、例えば、抗体由来標的又は抗原結合ドメインは、一般に、天然に生じるT細胞受容体より、標的抗原について高い親和性及び/又は結合活性を有する。人が、抗体について選択し得る高い特異性と組み合わせた、この特性は、CAR T細胞による高度に特異的なT細胞標的化をもたらす。
【0083】
本明細書において使用される、「CAR T細胞」又は「CAR-T」は、CARを発現するT細胞を指す。T細胞において発現されるとき、CARは、非MHC拘束性の方法で選択された標的に向けてT細胞特異性及び反応性を再指向化させ、モノクローナル抗体の抗原結合特性を活用する能力を有する。非MHC拘束性抗原認識は、CARを発現するT細胞に、抗原プロセシングに独立して抗原を認識し、これにより、腫瘍回避の主要な機序を迂回する能力を与える。
【0084】
本明細書において使用される、用語「細胞外標的結合ドメイン」は、標的への結合を促進するのに十分な細胞の外側において見られるポリペプチドを指す。細胞外標的結合ドメインは、その結合パートナーに特異的に結合する。非限定的な例として、細胞外標的結合ドメインは、抗体の抗原結合ドメイン、又はコグネート結合パートナータンパク質を認識し、結合するリガンド(例えば、APRIL)を含み得る。この文脈において、リガンドは、タンパク質及び/又は受容体の部分に特異的に結合する分子である。本明細書に記載される方法及び組成物において有用なリガンドのコグネート結合パートナーは、一般に、細胞の表面上で見出され得る。リガンドとコグネートパートナーの結合は、リガンドにより生じる受容体の変化をもたらすか、又は生理学的応答、例えば、シグナル伝達経路若しくはカスケードを活性化し得る。1つの実施態様において、リガンドは、ゲノムに対して非天然であり得る。任意選択的に、リガンドは、少なくとも2つの種にわたり保存された機能を有する。
【0085】
抗体試薬
様々な実施態様において、本明細書に記載されるCARは、抗体試薬又は細胞外標的結合ドメインとしてのその抗原結合ドメインを含む。
【0086】
本明細書において使用される、用語「抗体試薬」は、少なくとも1個の免疫グロブリン可変ドメイン又は免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、規定の抗原に特異的に結合するポリペプチドを指す。抗体試薬は、抗体の抗原結合ドメインを含む抗体又はポリペプチドを含み得る。態様の何れかのいくつかの実施態様において、抗体試薬は、モノクローナル抗体又はモノクローナル抗体の抗原結合ドメインを含むポリペプチドを含み得る。例えば、抗体は、重(H)鎖可変領域(本明細書においてVHと略される)、及び軽(L)鎖可変領域(本明細書においてVLと略される)を含み得る。別の例では、抗体は、2つの重(H)鎖可変領域及び2つの軽(L)鎖可変領域を含む。用語「抗体試薬」は、抗体の抗原結合フラグメント(例えば、1本鎖抗体、Fab及びsFabフラグメント、F(ab’)2、Fdフラグメント、Fvフラグメント、scFv、CDR、並びにドメイン抗体(dAb)フラグメント(例えば、de Wildt等、Eur J. Immunol、1996年;26(3):629-39;それは、その全体が出典明示により本明細書に援用される))並びに完全抗体を包含する。抗体は、IgA、IgG、IgE、IgD、又はIgM(並びにそのサブタイプ及び組合せ)の構造特性を有し得る。抗体は、マウス、ウサギ、ブタ、ラット、及び霊長類(ヒト及び非ヒト霊長類)を含む、任意の供給源由来であり、霊長類化抗体であり得る。抗体はまた、ミディボディ、ヒト化抗体、キメラ抗体等を含む。完全ヒト抗体結合ドメインは、例えば、ファージディスプレイライブラリーから、当業者に公知の方法を使用して選択され得る。
【0087】
VH及びVL領域は、相補性決定領域(「CDR」)と呼ばれる、高頻度可変性の領域、フレームワーク領域(「FR」)と呼ばれる、より保存されている領域が分散する領域にさらに分けることができる。フレームワーク領域及びCDRの程度は、正確に定義されている(Kabat, E. A.等、(1991年)、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5編、U.S. Department of Health and Human Services、NIH公開番号第91-3242、及びChothia, C.等、(1987年)、J. Mol. Biol. 196:901-917を参照し、それらは、それらの全体が出典明示により本明細書に援用される)。それぞれのVH及びVLは、典型的には、アミノ末端からカルボキシ末端に以下の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置された3つのCDR及び4つのFRから構成される。
【0088】
1つの実施態様において、抗体又は抗体試薬は、ヒト抗体又は抗体試薬ではない(すなわち、抗体若しくは抗体試薬は、マウスである)が、ヒト化されている。「ヒト化抗体又は抗体試薬」は、ヒトにおいて天然で産生される抗体若しくは抗体試薬バリアントに対するその類似性を増大するためにタンパク質配列レベルで修飾されている非ヒト抗体又は抗体試薬を指す。抗体をヒト化する1つのアプローチは、マウス又は他の非ヒトCDRのヒト抗体フレームワークへの移植を利用する。
【0089】
1つの実施態様において、CARの細胞外標的結合ドメインは、可動性のリンカーペプチドを介して、抗体、一般に、モノクローナル抗体のVH及びVLドメインを融合することにより作製された、1本鎖Fv(scFv)フラグメントを含むか、又は本質的にからなる。様々な実施態様において、scFvは、膜貫通型ドメイン及びT細胞受容体細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、本明細書に記載される操作された細胞内シグナル伝達ドメインに融合される。
【0090】
抗体結合ドメイン及びそれらを選択し、クローニングする方法は、当業者に周知である。
【0091】
1つの実施態様において、CARポリペプチドの細胞外ドメインは、TNFスーパーファミリー受容体リガンドの部分を含み、TNFスーパーファミリー受容体リガンドの部分は、内在性切断部位のN末端であり、少なくともTNF様ドメインを含む。
【0092】
例えば、1つの実施態様において、CARポリペプチドの細胞外ドメインは、APRILの部分を含み、APRILの部分は、内在性切断部位のN末端であり、少なくともTNF様ドメイン(配列番号37)を含む。
VLHLVPINATSKDDSDVTEVMWQPALRRGRGLQAQGYGVRIQDAGVYLLYSQVLFQDVTFTMGQVVSREGQGRQETLFRCIRSMPSHPDRAYNSCYSAGVFHLHQGDILSVIIPRARAKLNLSPHGTFLGFV(配列番号37)
【0093】
APRILは、腫瘍壊死因子リガンド(TNF)ファミリーのメンバーであり、BCMAについてのリガンドとして機能する。APRIL配列は、多数の種について公知であり、例えば、ヒトAPRILであり、TNFSF13(NCBI遺伝子番号:8741)ポリペプチド(例えば、NCBI参照配列NP_001185551.1)及びmRNA(例えば、NCBI参照配列NM_001198622.1)としても知られている。APRILは、その天然に存在するバリアント、分子、及び対立遺伝子を含む、ヒトAPRILを指すことができる。態様の何れかのいくつかの実施態様において、例えば、獣医適用において、APRILは、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ等のAPRILを指すことができる。ヒトAPRILの相同体及び/又はオルソログは、例えば、NCBIオルソログ検索機能を使用して、又は参照APRIL配列に対する配列類似性について規定の種についての入手可能な配列データを検索して、当業者により、かかる種について容易に同定される。
【0094】
1つの実施態様において、APRILの部分は、配列番号3、8、15、21、27、若しくは33から選択される配列に対応する配列を有するか、或いは配列番号3、8、15、21、27、又は33から選択される配列を含むか、或いは配列番号3、8、15、21、27、若しくは33から選択される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を有する配列を含む。1つの実施態様において、APRILの部分は、配列番号3、8、15、21、27、若しくは33から選択される配列から本質的になるか、或いは配列番号3、8、15、21、27、若しくは33から選択される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を有する配列から本質的になる。1つの実施態様において、APRILの部分は、内在性切断部位のC末端であるAPRILの部分に由来する配列を含まない。
【0095】
1つの実施態様において、CARポリペプチドは、そのコード領域内の一又は複数の変異を含むTNFスーパーファミリー受容体リガンドの部分を含む。例えば、1つの実施態様において、CARポリペプチドは、そのコード領域内の一又は複数の変異を含むAPRILの部分を含む。典型的なアミノ酸変異は、配列番号21のアミノ酸18、61、91、92、及び117、配列番号27のアミノ酸18、63、91、92、117、並びに配列番号33のアミノ酸18、63、91、92、117に成された点変異を含む。当業者は、標準的な技術を使用して、変異を遺伝子又は遺伝子産物の核酸配列に導入する能力がある。例えば、点変異は、部位特異的点変異誘発、PCR技術を介して導入され得る。部位特異的変異誘発キットは、例えば、New England Biolabs、Ipswich、MAを通じて市販されている。点変異を遺伝子又は遺伝子産物の核酸配列に導入する代替の方法の非限定的な例は、カセット変異誘発又は全プラスミド変異誘発を含む。
【0096】
任意選択的に、TNFスーパーファミリー受容体リガンドの部分(例えば、APRIL)は、リジンリッチな領域を含まない。1つの実施態様において、「リジンリッチな領域」は、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%のリジンアミノ酸を含むアミノ酸配列の領域を指す。本明細書において使用される、「領域」は、少なくとも4個以上の連続するアミノ酸を指す。1つの実施態様において、リジンリッチな配列は、KQKKQH(配列番号38)の配列を含む。
【0097】
1つの実施態様において、本明細書に記載されるテクノロジーにおいて有用なCARは、細胞外ドメイン、膜貫通型ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインにおける少なくとも2個の抗原特異的標的領域を含む。かかる実施態様において、2個以上の抗原特異的標的領域は、少なくとも2個の異なる抗原を標的にし、タンデムに配置され、リンカー配列により分けられ得る。別の実施態様において、CARは、二重特異性CARである。二重特異性CARは、2個の異なる抗原に特異的である。
【0098】
任意の態様の1つの実施態様において、CARポリペプチドは、TNFスーパーファミリー受容体リガンド(例えば、APRIL)の部分を含む2種以上(例えば、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、又は10種以上)の細胞外ドメインを含む。1つの実施態様において、CARポリペプチドは、TNFスーパーファミリー受容体リガンド(例えば、APRIL)の部分を含む3種の細胞外ドメインを含む。例えば、いくつかの実施態様において、CARポリペプチドは、2種以上(例えば、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、又は10種以上)のTNFスーパーファミリー受容体リガンドの反復配列(例えば、APRILが3重の反復配列として提供される図16において示される、APRIL)を含み得る。いくつかの実施態様において、TNFスーパーファミリー受容体リガンドは、同じである。他の実施態様において、TNFスーパーファミリー受容体リガンドは、異なっていてもよい(例えば、CARは、APRILの一又は複数の部分及び第2のTNFスーパーファミリー受容体リガンド(例えば、BAFF)の一又は複数の部分を含んでもよい。
【0099】
任意の態様の1つの実施態様において、TNFスーパーファミリー受容体リガンド(例えば、APRIL)は、別のTNFスーパーファミリー受容体リガンド(例えば、APRIL)とオリゴマー形成する(例えば、ダイマー形成するか、又はトリマー形成する)。オリゴマー形成は、分子内又は分子間であってもよい。オリゴマーは、ホモオリゴマー又はヘテロオリゴマーであってもよい。
【0100】
標的/抗原
任意の細胞表面部分は、CARにより標的にされ得る。最も頻繁には、標的は、人が、T細胞応答について標的化することを望む細胞上で異なって又は優先的に発現される細胞表面ポリペプチドである。これに関して、腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、魅力的な標的をもたらし、これが、非腫瘍細胞若しくは組織への二次的な損傷を回避するか、又は少なくとも制限しながら、腫瘍細胞を標的にする手段をもたらす。腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原の非限定的な例は、CEA、未成熟ラミニン受容体、TAG-72、HPV E6及びE7、BING-4、カルシウムにより活性化されたクロライドチャネル2、サイクリンB1、9D7、Ep-CAM、EphA3、Her2/neu、テロメラーゼ、メソセリウン、SAP-1、サバイビン、BAGEファミリー、CAGEファミリー、GAGEファミリー、MAGEファミリー、SAGEファミリー、XAGEファミリー、NY-ESO-1/LAGE-1、PRAME、SSX-2、メランA/MART-1、Gp100/pmel17、チロシナーゼ、TRP-1/-2、MC1R、BRCA1/2、CDK4、MART-2、p53、Ras、MUC1、並びにTGF-βRIIを含む。
【0101】
1つの態様において、細胞表面部分は、TNFスーパーファミリー受容体、例えば、TNFR1、TNFR2、CD95、DCR3、DR3、DR4、DR5、DCR1、DCR2、DR6、EDAR、NGFR、OPG、RANK、LTベータR、FN14、HVEM、CD27、CD30、CD40、4-1BB、OX40、GITR、BCMA、TACI、BAFFR、XEDAR、TROY、又はRELTであってもよい。いくつかの実施態様において、TNFスーパーファミリー受容体は、BCMA又はTACIである。
【0102】
ヒンジ及びTMドメイン
本明細書に記載されるそれぞれのCARは、必ず、細胞外標的結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに結び付ける膜貫通型ドメインを含む。
【0103】
本明細書において使用される、「ヒンジドメイン」は、結合部分及びT細胞膜の分離並びに可動性を可能にするアミノ酸領域を指す。可動することができるヒンジの長さはまた、相対的にアクセス不可能であるエピトープへの良好な結合を可能にする、例えば、より長いヒンジ領域は、最適な結合を可能にする。当業者は、規定のCAR標的についての適当なヒンジを決定することができる。1つの実施態様において、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかの膜貫通型ドメイン又はそのフラグメントは、CD8又は4-1BBヒンジドメインを含む。
【0104】
本明細書に記載されるそれぞれのCARは、必ず、細胞外標的結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに結び付ける膜貫通型ドメインを含む。
【0105】
本明細書において使用される、「膜貫通型ドメイン」(TMドメイン)は、細胞の細胞膜にわたるCARの一般的な疎水性領域を指す。TMドメインは、膜貫通型タンパク質(例えば、I型膜貫通型タンパク質若しくは他の膜貫通型タンパク質)、人工疎水性配列、又はその組合せの膜貫通型領域或いはそのフラグメントであり得る。具体例が本明細書において提供され、実施例において使用される一方、他の膜貫通型ドメインは、当業者にとって明らかであり、代替の実施態様のテクノロジーと関連して使用され得る。選択された膜貫通型領域又はそのフラグメントは、好ましくは、CARの意図される機能と干渉しない。タンパク質又はポリペプチドの膜貫通型ドメインと関連して使用される、「そのフラグメント」は、タンパク質を細胞表面に固定するか、又は結合させるのに十分である膜貫通型ドメインの部分を指す。
【0106】
1つの実施態様において、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかの膜貫通型ドメイン又はそのフラグメントは、CD8又は4-1BBの膜貫通型ドメインから選択される膜貫通型ドメインを含む。任意の態様の代替の実施態様において、本明細書に記載されるCARの膜貫通型ドメイン又はそのフラグメントは、T細胞受容体のアルファ、ベータ若しくはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137、CD154、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CDl la、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRFl)、CD160、CD19、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Ra、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDl ld、ITGAE、CD103、ITGAL、CDl la、LFA-1、ITGAM、CDl lb、ITGAX、CDl lc、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(タクチル)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、及び/又はNKG2Cの膜貫通型ドメインから選択される膜貫通型ドメインを含む。
【0107】
4-1BBLは、TNFR/TNFリガンドスーパーファミリーに属する2型膜貫通型糖タンパク質である。4-1BBLは、T細胞上で発現される受容体4-1BB(CD137)に結合する共刺激リガンドである。4-1BBLは、樹状細胞、マクロファージ、及び活性化されたB細胞を含むプロフェッショナルAPC上で発現される。4-1BBL配列は、多数の種について公知であり、例えば、ヒト4-1BBLであり、TNFSF9(NCBI遺伝子番号:8744)ポリペプチド(例えば、NCBI参照配列NP_003802.1)及びmRNA(例えば、NCBI参照配列NM_003811.3)としても知られている。4-1BBLは、その天然に存在するバリアント、分子、及び対立遺伝子を含む、ヒト4-1BBLを指すことができる。態様の何れかのいくつかの実施態様において、例えば、獣医適用において、4-1BBLは、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ等の4-1BBLを指すことができる。ヒト4-1BBLの相同体及び/又はオルソログは、例えば、NCBIオルソログ検索機能を使用して、又は参照4-1BBL配列に対する配列類似性について規定の種についての入手可能な配列データを検索して、当業者により、かかる種について容易に同定される。
【0108】
1つの実施態様において、4-1BBLヒンジ及び膜貫通型配列は、配列番号10又は16から選択されるヌクレオチド配列に対応するか、或いは配列番号10又は16から選択される配列を含むか、或いは配列番号10若しくは16から選択される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を有する配列を含む。1つの実施態様において、4-1BBLヒンジ及び膜貫通型配列は、配列番号28又は34から選択されるアミノ酸配列に対応するか、或いは配列番号28若しくは34から選択される配列を含むか、或いは配列番号28若しくは34から選択される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0109】
CD8は、細胞傷害性Tリンパ球の細胞表面上で優先的に見られる抗原である。CD8は、免疫系内で細胞と細胞の相互作用を仲介し、T細胞共受容体として働く。CD8は、アルファ(CD8a)及びベータ(CD8b)鎖からなる。CD8a配列は、多数の種について公知であり、例えば、ヒトCD8a、(NCBI遺伝子番号:925)ポリペプチド(NCBI参照配列NP_001139345.1)及びmRNA(例えば、NCBI参照配列NM_000002.12)である。CD8は、その天然に存在するバリアント、分子、及び対立遺伝子を含む、ヒトCD8を指すことができる。態様の何れかのいくつかの実施態様において、例えば、獣医適用において、CD8は、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ等のCD8を指すことができる。ヒトCD8の相同体及び/又はオルソログは、例えば、NCBIオルソログ検索機能を使用して、又は参照CD8配列に対する配列類似性について規定の種についての入手可能な配列データを検索して、当業者により、かかる種について容易に同定される。
【0110】
1つの実施態様において、CD8ヒンジ及び膜貫通型配列は、配列番号4のヌクレオチド配列に対応するか、又は配列番号4の配列を含むか、又は配列番号4の配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは少なくとも100%の配列同一性を有する配列を含む。1つの実施態様において、CD8ヒンジ及び膜貫通型配列は、配列番号22のアミノ酸配列に対応するか、又は配列番号22の配列を含むか、又は配列番号22の配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは少なくとも100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0111】
共刺激ドメイン
本明細書に記載されるそれぞれのCARは、共刺激分子の細胞内ドメイン、又は共刺激ドメインを含む。本明細書において使用される、用語「共刺激ドメイン」は、共刺激分子の細胞内シグナル伝達ドメインを指す。共刺激分子は、抗原への結合の際にTリンパ球の効率的な活性化及び機能に要求される第2のシグナルをもたらす抗原受容体又はFc受容体以外の細胞表面分子である。かかる共刺激分子の実例は、CARD11、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CD54(ICAM)、CD83、CD134(OX40)、CD137(4-1BB)、CD150(SLAMF1)、CD152(CTLA4)、CD223(LAG3)、CD270(HVEM)、CD273(PD-L2)、CD274(PD-L1)、CD278(ICOS)、DAP10、LAT、NKD2C SLP76、TRIM、及びZAP70を含む。1つの実施態様において、細胞内ドメインは、4-1BBの細胞内ドメインである。
【0112】
1つの実施態様において、CARポリペプチドは、細胞内ドメインをさらに含む。本明細書において使用される、「細胞内ドメイン」は、細胞内に完全に含まれる核酸を指す。1つの実施態様において、細胞内ドメインは、受容体の細胞内ドメインを指す。細胞内ドメインは、細胞の内部と相互作用し得る。受容体の細胞内ドメインに関して、細胞内ドメインは、伝達されたシグナルを中継して機能し得る。受容体の細胞内ドメインは、酵素活性を含み得る。
【0113】
1つの実施態様において、細胞内ドメインは、4-1BBの細胞内ドメインである。1つの実施態様において、4-1BB細胞内ドメイン配列は、配列番号511、又は17から選択されるヌクレオチド配列に対応するか、或いは配列番号5、11、又は17から選択される配列を含むか、或いは配列番号5、11、若しくは17から選択される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を含む。1つの実施態様において、4-1BB細胞内ドメインアミノ酸配列は、配列番号23、29、又は35から選択されるアミノ酸配列に対応するか、或いは配列番号23、29、又は35から選択される配列を含むか、或いは配列番号23、29、若しくは35から選択される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を含む。
【0114】
細胞内シグナル伝達ドメイン
本明細書に記載されるCARは、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、標的抗原への有効なCAR結合のメッセージを免疫エフェクター細胞の内部に移動して、エフェクター細胞機能、例えば、CARが結合した標的細胞への細胞傷害性因子の放出を含む、活性化、サイトカイン産生、増殖及び細胞傷害性活性、又は抗原の細胞外CARドメインへの結合後に誘発された他の細胞応答を誘発する際に関与するCARポリペプチドの一部を指す。
【0115】
CD3は、適当な共刺激(例えば、共刺激分子の結合)と同時に関わるとき、Tリンパ球活性化を促進するT細胞共受容体である。CD3複合体は、4つの異なる鎖からなり、哺乳類CD3は、CD3γ鎖、CD3δ鎖、及び2つのCD3ε鎖からなる。これらの鎖は、T細胞受容体(TCR)及びCD3ζとして公知の分子と関連して、Tリンパ球において活性化シグナルを生じる。完全なTCR複合体は、TCR、CD3ζ、及び完全なCD3複合体を含む。
【0116】
任意の態様のいくつかの実施態様において、本明細書に記載されるCARポリペプチドは、CD3ゼータ(CD3ζ)由来の免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ又はITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含む。任意の態様のいくつかの実施態様において、ITAMは、CD3ζ(ITAM3)のITAMの3つのモチーフを含む。任意の態様のいくつかの実施態様において、CD3ζのITAMの3つのモチーフは、変異している。
【0117】
ITAMSは、刺激性の方法、又は阻害性の方法の何れかで、TCR複合体の一次活性化を調節する一次シグナル伝達ドメインとして知られている。刺激性の方法で作用する一次シグナル伝達ドメインは、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ又はITAMとして知られているシグナル伝達モチーフを含有してもよい。テクノロジーにおける特定の使用である細胞内シグナル伝達ドメインを含有するITAMの非限定的な例は、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3θ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD22、CD79a、CD79b、及びCD66dに由来するものを含む。
【0118】
当業者は、標準的な技術を使用して、変異を遺伝子又は遺伝子産物、例えば、ITAMの核酸配列に導入する能力がある。例えば、点変異は、部位特異的点変異誘発、PCR技術を介して導入され得る。部位特異的変異誘発キットは、例えば、New England Biolabs、Ipswich、MAを通じて市販されている。点変異を遺伝子又は遺伝子産物の核酸配列に導入する代替の方法の非限定的な例は、カセット変異誘発又は全プラスミド変異誘発を含む。
【0119】
1つの実施態様において、CARにおいて利用されるITAMは、CD3ζ(3つのITAMモチーフを含有する)由来の変異したITAMを含むCD3ζの代替物、CD3ζ、及びCD3ε、CD3θとして公知の代替のスプライスバリアントのトランケーション、並びにCD3ε又はCD3θとCD3ζ間での融合物を発現するよう操作された人工コンストラクトに基づく。
【0120】
1つの実施態様において、CD3ζ細胞内シグナル伝達配列は、配列番号6又は12から選択されるヌクレオチド配列に対応するか、或いは配列番号6又は12から選択される配列を含むか、或いは配列番号6若しくは12から選択される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を有する配列を含む。1つの実施態様において、CD3ζ細胞内シグナル伝達配列は、配列番号24又は30から選択されるアミノ酸配列、或いは配列番号24又は30から選択される配列を含むか、或いは配列番号24若しくは30から選択される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0121】
1つの実施態様において、CD3θ細胞内シグナル伝達配列は、配列番号18のヌクレオチド配列に対応するか、又は配列番号18の配列を含むか、又は配列番号18の配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは少なくとも100%の配列同一性の配列を含む。1つの実施態様において、CD3θ細胞内シグナル伝達配列は、配列番号36のアミノ酸配列に対応するか、又は配列番号36の配列を含むか、又は配列番号36の配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは少なくとも100%の配列同一性の配列を含む。
【0122】
CAR及びCAR T細胞のより詳細な記載は、Maus等、Blood、2014年、123:2624-35;Reardon等、Neuro-Oncology、2014年、16:1441-1458;Hoyos等、Haematologica、2012年、97:1622;Byrd等、J Clin Oncol、2014年、32:3039-47;Maher等、Cancer Res、2009年、69:4559-4562;及びTamada等、Clin Cancer Res、2012年、18:6436-6445において見ることができ、それらのそれぞれは、その全体が出典明示により本明細書に援用される。
【0123】
1つの実施態様において、CARポリペプチドは、CD8リーダー配列をさらに含む。本明細書において使用される、リーダーRNAとしても知られる、「リーダー配列」は、開始コドンの直ぐ上流であるmRNAの領域を指す。リーダー配列は、転写物の翻訳の制御に重要であり得る。
【0124】
1つの実施態様において、CD8リーダー配列は、配列番号2、8、又は14から選択されるヌクレオチド配列に対応するか;或いは配列番号2、8、又は14から選択される配列を含むか、或いは配列番号2、8、若しくは14から選択される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を有する配列を含む。1つの実施態様において、CD8リーダー配列は、配列番号20、26、又は32から選択されるアミノ酸配列に対応するか、或いは配列番号20、26、又は32から選択される配列を含むか、或いは配列番号20、26、若しくは32から選択される配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0125】
1つの実施態様において、CARは、リンカードメインをさらに含む。本明細書において使用される、「リンカードメイン」は、本明細書に記載されるCARのドメイン/領域のいずれと一緒に結合する、約2から100個のアミノ酸長のオリゴペプチド又はポリペプチド領域を指す。いくつかの実施態様において、リンカーは、隣接するタンパク質ドメインが、互いに関連して動くのが自由であるように、グリシン及びセリンのような可動性の残基を含むか、又はから構成される。より長いリンカーは、立体的に互いに干渉しない2つの隣接するドメインを確実にすることを望むとき、使用され得る。リンカーは、切断可能であっても、又は切断可能でなくてもよい。切断可能なリンカーの例は、2Aリンカー(例えば、T2A)、2A様リンカー又はその機能的同等物及びその組合せを含む。1つの実施態様において、リンカー領域は、ゾセア・アシグナ(Thosea asigna)ウイルス由来のT2Aである。リンカーの非限定的な例は、ゾセア・アシグナウイルス由来のリンカー、及び配列内リボソーム進入部位(IRES)配列由来のリンカーを含む。
【0126】
1つの実施態様において、本明細書に記載されるCARは、例えば、非侵襲性画像化(例えば、ポジトロン放出断層撮影PETスキャン)を可能にするためのレポーター分子をさらに含む。レポーター分子を含む二重特異性CARにおいて、第1の細胞外結合ドメイン及び第2の細胞外結合ドメインは、異なる又は同じレポーター分子を含み得る。二重特異性CAR T細胞において、第1のCAR及び第2のCARは、異なる又は同じレポーター分子を発現し得る。別の実施態様において、本明細書に記載されるCARは、単独又は基質若しくは化学物質(例えば、9-[4-[18F]フルオロ-3-(ヒドロキシメチル)ブチル]グアニン([18F]FHBG))と組み合わせて画像化され得るレポーター分子(例えば、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(hph))をさらに含む。別の実施態様において、本明細書に記載されるCARは、非侵襲性技術(例えば、64Cu2+で機能化された金ナノ粒子(GNP))を使用して容易に画像化され得るナノ粒子をさらに含む。非侵襲性の画像化のためのCAR T細胞の標識は、例えば、Bhatnagar P等、Integr Biol、(Camb)、2013年1月;5(1):231-238、及びKeu KV等、Sdci Transl Med、2017年1月、18;9(373)において概説され、それらは、それらの全体が出典明示により本明細書に援用される。
【0127】
GFP及びmCherryは、T細胞(例えば、CAR T細胞)上で発現されたCARを画像化するのに有用な蛍光タグとして本明細書において示される。当該技術分野において公知の本質的に任意の蛍光タンパク質が、この目的のための蛍光タグとして使用され得ることが予測される。臨床適用のため、CARは、蛍光タグ又は蛍光タンパク質を含む必要はない。
【0128】
本発明の別の態様は、配列番号19、25、若しくは31から選択される配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を有する配列を含むか、或いは配列番号1、7、若しくは13の配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸によりコードされる、CARポリペプチドに関する。
【0129】
本発明の別の態様は、配列番号19、25、若しくは31から選択される配列を含むか、又は配列番号1、7、若しくは13から選択されるヌクレオチド配列を含む核酸によりコードされる、CARポリペプチドに関する。
【0130】
本発明の別の態様は、配列番号19、25、若しくは31から選択される配列に対応する配列を含むか、又は配列番号1、7、若しくは13から選択されるヌクレオチド配列を含む核酸によりコードされる、CARポリペプチドに関する。
【0131】
本明細書に記載される本発明の別の態様は、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかのうち2種以上(例えば、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、6種以上、7種以上、8種以上、9種以上、又は10種以上)を含むポリペプチド複合体に関する。1つの実施態様において、ポリペプチド複合体は、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかのうち3種を含む。
【0132】
本発明の別の態様は、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れか、又は本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかをコードする核酸を含む哺乳類細胞に関する。1つの実施態様において、哺乳類細胞は、抗体、抗体試薬、その抗原結合部分、又は本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れか、又はかかる抗体、抗体試薬、その抗原結合部分をコードする核酸、又は本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかを含む。哺乳類細胞又は組織は、ヒト、霊長類、ハムスター、ウサギ、げっ歯類、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、イヌ又はネコ起源のものであり得るが、任意の他の哺乳類細胞が使用されてもよい。任意の態様の好ましい実施態様において、哺乳類細胞は、ヒトである。
【0133】
1つの実施態様において、細胞は、T細胞である。任意の態様の代替の実施態様において、細胞は、免疫細胞である。本明細書において使用される、「免疫細胞」は、免疫応答において役割を果たす細胞を指す。免疫細胞は、造血性起源のものであり、B細胞及びT細胞のようなリンパ球、ナチュラルキラー細胞、単球、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、好塩基球、並びに顆粒球のような骨髄細胞を含む。いくつかの実施態様において、細胞は、T細胞、NK細胞、NKT細胞、B細胞及びT細胞のようなリンパ球、並びに単球、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、好塩基球、及び顆粒球のような骨髄細胞である。
【0134】
1つの実施態様において、細胞は、がん、形質細胞障害、若しくは自己免疫疾患を有するか、又は有すると診断された個体から得られる。
【0135】
本明細書において使用される「がん」は、固有の形質、正常な細胞制御の喪失が、未調節の成長、分化の欠如、局所組織浸潤、及び転移をもたらす細胞の過剰増殖を指すことができ、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、又は固形腫瘍であり得る。白血病の非限定的な例は、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)、及び慢性リンパ性白血病(CLL)を含む。1つの実施態様において、がんは、ALL又はCLLである。リンパ腫の非限定的な例は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、バーキットリンパ腫、ヘアリーセル白血病(HCL)を含む。1つの実施態様において、がんは、DLBCL又は濾胞性リンパ腫である。固形腫瘍の非限定的な例は、副腎皮質腫瘍、胞状軟部肉腫、癌、軟骨肉腫、結腸直腸癌、類腱腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、内分泌腫瘍、卵黄嚢腫瘍、類上皮血管内皮腫、ユーイング肉腫、胚細胞性腫瘍(固形腫瘍)、骨及び軟組織の巨細胞腫、肝芽腫、肝細胞癌、メラノーマ、腎腫瘍、ニューロブラストーマ、非横紋筋肉腫軟部肉腫(NRSTS)、骨肉腫、傍脊柱肉腫、腎細胞癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、滑膜肉腫、及びウィルムス腫瘍を含む。固形腫瘍は、骨、筋肉、又は器官において見ることができ、肉腫又は癌であり得る。本明細書に記載される発明の任意の態様を使用して、即時適用において挙げられていないがんを含む、全ての種類のがんを処置することができることが企図される。本明細書において使用される、用語「腫瘍」は、細胞又は組織の、例えば、悪性型若しくは良性型の異常な成長を指す。
【0136】
本明細書において使用される、「自己免疫疾患又は障害」は、人の免疫系が、外来細胞と健常な細胞を区別できないことにより、特徴付けられる。これは、人の健常な細胞をプログラム細胞死に標的化する人の免疫系をもたらす。自己免疫疾患又は障害の非限定的な例は、炎症性関節炎、1型糖尿病、多発性硬化症、乾癬、炎症性腸疾患、SLE、及び脈管炎、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、及び接触過敏症のようなアレルギー性炎症、関節リウマチ、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス、グレーヴス病(甲状腺機能亢進)、橋本甲状腺炎(甲状腺機能不全)、慢性移植片対宿主病、凝固因子に対する抗体を有する血友病、セリアック病、クローン病及び潰瘍性大腸炎、ギランバレー症候群、原発性胆汁性硬化症/肝硬変、硬化性胆管炎、自己免疫性肝炎、レイノー現象、強皮症、シェーグレン症候群、グッドパスチャー症候群、ウェゲナー肉芽腫症、リウマチ性多発筋痛症、側頭動脈炎/巨細胞性動脈炎、慢性疲労性症候群CFS)、乾癬、自己免疫アジソン病、強直性脊椎炎、急性散在性脳脊髄炎、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、重症筋無力症、眼球クローヌス・ミオクローヌス運動失調、視神経炎、オード甲状腺炎、天疱瘡、悪性貧血、イヌでの多発性関節炎、ライター症候群、高安動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ウェゲナー肉芽腫症並びに線維筋痛症(FM)を含む。
【0137】
1つの実施態様において、哺乳類細胞は、外来細胞(すなわち、ウイルス若しくは細菌細胞)と闘う人の能力を障害する、異常に低い活性の免疫系をもたらす免疫系障害、又は免疫不全障害を有する患者について得られる。
【0138】
形質細胞は、感染症と闘うために必要とされる抗体を生成し、放出するために機能するBリンパ球から生じる白血球である。本明細書において使用される、「形質細胞障害又は疾患」は、形質細胞の異常な増殖により特徴付けられる。異常な形質細胞は、ウイルス又は細菌細胞のような、外来の対象と闘う減少した能力をもたらす、健常な形質細胞を「クラウディングアウト」する能力がある。形質細胞障害の非限定的な例は、アミロイドーシス、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、骨硬化性骨髄腫(POEMS症候群)、意義不明の単クローン性γグロブリン血症(MGUS)、及び形質細胞骨髄腫を含む。
【0139】
T細胞は、当該分野で公知の標準的な技術を使用して対象から得られ得る、例えば、T細胞は、患者から採取された末梢血から単離される。
【0140】
細胞、例えば、T細胞を操作して、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れか、又は本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかをコードする核酸を含ませ得る。1つの実施態様において、本明細書に記載されるCARポリペプチドは、レンチウイルスベクターにおいて含まれる。レンチウイルスベクターを使用して、感染の標準的技術を使用して、細胞においてCARポリペプチドを発現させる。
【0141】
レンチウイルスのようなレトロウイルスは、目的の遺伝子、又はキメラ遺伝子をコードする核酸配列のデリバリーのための好適なプラットフォームをもたらす。選択された核酸配列は、ベクターに挿入され、当該技術分野において公知の技術を使用してレトロウイルス粒子にパッケージングされ得る。次に、組換えウイルスは、単離され、例えば、インビトロ又はエクスビボで細胞にデリバリーされ得る。レトロウイルスシステムは、当該技術分野において周知であり、例えば、米国特許第5219740号;Kurth及びBannert、(2010年)、「Retroviruses: Molecular Biology, Genomics and Pathogenesis」、Calster Academic Press(ISBN:978-1-90455-55-4);並びにHu及びPathak、Pharmacological Reviews、2000年、52:493-512において記載され、それらは、それらの全体が出典明示により本明細書に援用される。効率的なDNAデリバリーのためのレンチウイルスシステムは、OriGene;Rockville、MDから購入することができる。代替の実施態様において、本明細書に記載されるCARの何れかのCARポリペプチドは、CARをコードする核酸を含む発現ベクターのトランスフェクション又はエレクトロポレーションを介して哺乳類細胞において発現される。トランスフェクション又はエレクトロポレーション方法は、当該技術分野において公知である。
【0142】
本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかのCARポリペプチドの効率的な発現は、CARをコードする核酸のmRNA、DNA、又は遺伝子産物を検出する標準的なアッセイを使用して評価され得る。例えば、RT-PCR、FACS、ノーザンブロッティング、ウエスタンブロッティング、ELISA、又は免疫組織化学。
【0143】
1つの実施態様において、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかのCARポリペプチドは、恒常的に発現される。1つの実施態様において、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかのCARポリペプチドは、組換え核酸配列によりコードされる。
【0144】
本明細書に記載される本発明の1つの態様は、対象においてがん、形質細胞障害、アミロイドーシス、又は自己免疫疾患を処置する方法、方法であって、T細胞を操作して、T細胞表面上に本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかを含ませること;操作されたT細胞を対象に投与することを含む方法に関する。
【0145】
本明細書に記載される本発明の別の態様は、対象においてがん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患を処置する方法であって、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れか、又は本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかをコードする核酸を含む細胞を投与することを含む方法に関する。
【0146】
1つの実施態様において、方法は、例えば、本明細書において他の所で記載される方法に従い、細胞を対象に投与する前に、CAR-Tを活性化すること、又は刺激することをさらに含む。
【0147】
1つの実施態様において、がん細胞は、腫瘍抗原BAFF+、BCMA+、及び/又はTACI+がんを含む。1つの実施態様において、がんは、多発性骨髄腫又はくすぶり型多発性骨髄腫である。
【0148】
投与
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される方法は、がん、形質細胞疾患若しくは障害、又は自己免疫疾患若しくは障害を有するか、或いは有すると診断された対象を、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れか、又は本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかをコードする核酸を含む哺乳類細胞で処置することに関する。本明細書において使用される、「本明細書に記載されるCAR T細胞」は、本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れか、又は本明細書に記載されるCARポリペプチドの何れかをコードする核酸を含む哺乳類細胞を指す。本明細書において使用される、「状態」は、がん、形質細胞疾患若しくは障害、又は自己免疫疾患若しくは障害を指す。状態を有する対象は、状態を診断する現在の方法を使用して医師により同定され得る。これらの状態を特徴付け、診断に役立つ、状態の症状及び/又は合併症は、当該技術分野において周知であり、疲労、持続感染、及び持続性出血を含むが、これらに限定されない。例えば、状態の診断に役立ち得る試験は、非限定的に、血液スクリーニング及び骨髄試験であり、規定の状態について当該技術分野において知られている。状態の家族歴、又は状態のリスク因子への曝露もまた、対象が状態を有しそうであるかどうかの決定、又は状態の診断をなすのに役立ち得る。
【0149】
本明細書に記載される組成物は、状態を有するか、又は状態を有すると診断された対象に投与され得る。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される方法は、状態の症状を緩和するために、有効量の活性化された本明細書に記載されるCAR T細胞を対象に投与することを含む。本明細書において使用される、「状態の症状を緩和すること」は、任意の状態又は状態と関連する症状を改善することである。同等の未処置のコントロールと比較して、かかる低減は、任意の標準的技術により測定された少なくとも5%、10%、20%、40%、50%、60%、80%、90%、95%、99%以上である。本明細書に記載される組成物を対象に投与する様々な手段は、当業者に知られている。1つの実施態様において、本明細書に記載される組成物は、全身又は局所投与される。好ましい実施態様において、本明細書に記載される組成物は、静脈内投与される。別の実施態様において、本明細書に記載される組成物は、腫瘍の部位で投与される。
【0150】
本明細書において使用される用語「有効量」は、疾患若しくは障害の少なくとも一又は複数の症状を緩和するために必要とされる活性化されたCAR T細胞の量を指し、所望の効果をもたらすための細胞調製物又は組成物の十分な量に関する。用語、その「治療上有効量」は、典型的な対象に投与されるとき、特定の抗状態効果をもたらすのに十分である活性化されたCAR T細胞の量を指す。様々な文脈において、本明細書において使用される有効量はまた、疾患の症状の発症を遅延させる、症状疾患の経過を変化させる(例えば、非限定的に、状態の進行を遅くすること)か、又は状態の症状を好転させるのに十分な量も含む。したがって、正確な「有効量」を特定することは、一般に、実行可能ではない。しかしながら、任意の所定の場合について、適当な「有効量」は、日常的な実験のみを使用して当業者により決定され得る。
【0151】
有効量、毒性、及び治療有効性は、細胞培養物又は実験動物において標準的な医薬手法により、評価することができる。投薬量は、利用される投薬形態及び利用される投薬経路に依存して変動し得る。毒性と治療効果の間の用量比は、治療指数であり、比LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す組成物及び方法が好ましい。治療上有効な用量は、細胞培養アッセイからまず推定され得る。また、用量は、細胞培養、又は適当な動物モデルにおいて決定されるIC50(すなわち、症状の半分の最大阻害を達成する、活性化されたCAR T細胞の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために、動物モデルにおいて処方され得る。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。任意の特定の投薬量の効果は、適したバイオアッセイ、例えば、とりわけ、骨髄試験のためのアッセイによりモニターされ得る。投薬量は、医師により決定され、必要に応じて、処置の観察された効果に合うよう調整され得る。
【0152】
本発明の1つの態様において、本明細書に記載されるテクノロジーは、活性化された本明細書に記載されるCAR T細胞、及び任意選択的に、薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物に関する。薬学的組成物の有効成分は、少なくとも、活性化された本明細書に記載されるCAR T細胞を含む。いくつかの実施態様において、薬学的組成物の有効成分は、本質的に、活性化された本明細書に記載されるCAR T細胞からなる。いくつかの実施態様において、薬学的組成物の有効成分は、活性化された本明細書に記載されるCAR T細胞からなる。細胞ベースの治療製剤のための薬学的に許容される担体は、食塩水及び水性バッファー溶液、リンゲル液、並びに血清アルブミン、HDL及びLDLのような、血清成分を含む。「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」等のような用語は、本明細書において互換的に使用される。
【0153】
いくつかの実施態様において、活性化された本明細書に記載されるCAR T細胞を含む薬学的組成物は、非経口投与形態であり得る。非経口投薬形態の投与は、典型的には、混入物に対する患者の天然の防御を迂回するので、CAR T細胞自体以外の成分は、無菌であるか、又は患者への投与に先立ち無菌化される能力がある。非経口投薬形態の例は、注射する準備が整った溶液、注射用の薬学的に許容されるビークルにおいて溶解されるか、又は懸濁される準備が整った乾燥製品、注射する準備が整った懸濁液、及びエマルジョンを含むが、これらに限定されない。これらの何れかを、投与に先立ち、活性化されたCAR T細胞調製物に加えることができる。
【0154】
ここで開示される活性化されたCAR T細胞の非経口投薬形態をもたらすために使用され得る適当なビークルは、当業者に周知である。例は、非限定的に、食塩水溶液;グルコース溶液;塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液を含むが、これらに限定されない水性ビークル;非限定的に、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコールのような水混和性ビークル;並びに非限定的に、コーン油、ココナッツ油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルのような非水性ビークルを含む。
【0155】
投薬量
本明細書において使用される用語としての「単位投薬形態」は、適当な1回の投与のための投薬量を指す。例示の目的で、単位投薬形態は、デリバリー装置、例えば、シリンジ又は静脈内ドリップバックに配置した治療剤の量であり得る。1つの実施態様において、単位投薬形態は、単一の投与において投与される。別の実施態様において、1回より多い単位投薬形態は、同時に投与することができる。
【0156】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される活性化されたCAR T細胞は、単独療法として投与される、すなわち、状態のための別の処置は、対象に同時に投与されない。
【0157】
本明細書に記載されるT細胞を含む薬学的組成物は、一般に、体重1kg当たり10から10個の細胞、ある場合では、その範囲内の全ての整数値を含む、体重1kg当たり10から10個の細胞の投薬量で投与され得る。必要なら、T細胞組成物はまた、これらの投薬量で複数回投与され得る。細胞は、免疫療法において一般に知られている注入技術を使用することにより、投与され得る(例えば、Rosenberg等、New Eng. J. of Med、319:1676、1988年を参照)。
【0158】
ある特定の態様において、活性化されたCAR T細胞を対象に投与し、次に、血液を続いて再度抜き(又は除去療法を行い)、本明細書に記載されるそれ由来のT細胞を活性化し、患者にこれらの活性化され、拡大されたT細胞を再度注入することが望ましいことがある。このプロセスは、数週間毎に複数回行われ得る。ある特定の態様において、T細胞は、l0ccから400ccの抜かれた血液から活性化され得る。ある特定の態様において、T細胞は、20cc、30cc、40cc、50cc、60cc、70cc、80cc、90cc、又はl00ccの抜かれた血液から活性化される。
【0159】
投与様式は、例えば、静脈内(i.v.)注射又は注入を含み得る。本明細書に記載される組成物は、患者に経動脈、腫瘍内、節間、又は髄内投与され得る。いくつかの実施態様において、T細胞の組成物は、腫瘍、リンパ節、又は感染の部位に直接注射されてもよい。1つの実施態様において、本明細書に記載される組成物は、体腔又は体液(例えば、腹水(ascite)、胸膜液、腹水(peritoneal fluid)、若しくは脳脊髄液)に投与される。
【0160】
特定の典型的な態様において、対象は、白血球を集めるか、濃縮するか、若しくはエクスビボで枯渇させて、目的の細胞、例えば、T細胞を選択し、及び/又は単離する、白血球除去療法を経験してもよい。これらのT細胞単離物は、本明細書に記載されるaAPC、例えば、本明細書に記載される抗CD28及び抗CD3CDRを発現するaAPCと接触させることにより拡大され、本発明の一又は複数のCARコンストラクトが、導入され得るように、処理され、これにより、CAR T細胞を生じ得る。それを必要とする対象は、続いて、高い用量の化学療法での標準的処置、続いて、末梢血幹細胞移植を経験し得る。移植後又は移植と同時に、対象は、拡大されたCAR T細胞の注入を受けることができる。1つの実施態様において、拡大された細胞は、外科手術の前又は後に投与される。
【0161】
いくつかの実施態様において、リンパ球枯渇は、本明細書に記載される一又は複数のCAR T細胞の投与に先立ち、対象において行われる。かかる実施態様において、リンパ球枯渇は、メルファラン、シトキサン、シクロホスファミド、及びフルダラビンの一又は複数を投与することを含み得る。
【0162】
患者に投与されるべき上記の処置の投薬量は、処置される状態及び処置のレシピエントの正確な性質と共に変動する。ヒト投与のための投薬量の計量は、当該技術分野で許容される習慣に従い行われ得る。
【0163】
いくつかの実施態様において、単一の処置計画が要求される。他方、一又は複数の続く用量又は処置計画の投与は、行われ得る。例えば、3か月間の隔週での処置後、処置は、1か月当たり1回、6か月又は1年以上の間繰返され得る。いくつかの実施態様において、最初の処置の後、追加の処置は投与されない。
【0164】
本明細書に記載される組成物の投薬量は、医師により決定され、必要に応じて、処置の観察された効果に合うよう調整され得る。処置の持続時間及び頻度に関して、熟練した臨床医は、処置が治療効果をもたらすときを決定するために対象をモニターするか、さらなる細胞を投与するかどうかを決定するか、処置を中止するか、処置を再開するか、又は処置計画に他の変更を加えることは、典型的である。投薬量は、サイトカイン放出症候群のような、有害な副作用を引き起こすほど多いべきではない。一般に、投薬量は、患者の年齢、状態、及び性別と共に変動し、当業者により決定され得る。投薬量はまた、任意の合併症の現象において個々の医師により調節され得る。
【0165】
併用療法
本明細書に記載される活性化されたCAR T細胞は、他の公知の薬剤及び療法と組合されて使用され得る。1つの実施態様において、対象は、抗BCMA療法をさらに投与される。1つの実施態様において、対象は、抗BCMA療法に抵抗性である。本明細書において使用される「組み合わせて」投与されるは、2種(又はそれ以上の)異なる処置が、障害に伴う対象の苦痛の経過中対象にデリバリーされること、例えば、2種以上の処置が、対象が、障害と診断された後、かつ障害が、治癒していないか、若しくは除去されていないか、又は処置が、他の理由のため中止される前に、デリバリーされることを意味する。いくつかの実施態様において、投与に関して重複が存在するように、1種の処置のデリバリーは、第2のデリバリーが始まるときに依然として生じている。これは、時に、本明細書において「同時」又は「並行デリバリー」として言及される。他の実施態様において、他方の処置のデリバリーが始まる前に、一方の処置のデリバリーが終わる。何れかの場合のいくつかの実施態様において、処置は、併用された投与のため、より有効である。例えば、第2の処置は、第1の処置の非存在下で投与されたなら観察されるものより、より有効である、例えば、同等の効果が、第2の処置を少なくして観察されるか、若しくは第2の処置は、第2の処置が、より高い程度に症状を低減するか、又は類似の状況が、第1の処置に関しても観察される。いくつかの実施態様において、デリバリーは、症状における低減、又は障害と関連する他のパラメーターが、他方の非存在下でデリバリーされた一方の処置で観察されるものより大きくなるようなデリバリーである。2種の処置の効果は、部分的に相加、全体的に相加、又は相加より大きくあり得る。デリバリーは、デリバリーされる第1の処置の効果が、第2がデリバリーされるとき、依然として検出可能であるようなデリバリーであり得る。本明細書に記載される活性化されたCAR T細胞及び少なくとも1種の追加の治療剤は、同じ組成物において、又は別々の組成物において、同時に、又は連続して投与され得る。連続投与について、本明細書に記載されるCARを発現する細胞が、最初に投与され、追加の薬剤が、2番目に投与され得るか、又は投与の順が、逆であることもできる。CAR T療法及び/又は他の治療剤、手法若しくはモダリティは、活発な障害の期間中、又は寛解若しくはあまり活発でない疾患の期間中に、投与され得る。CAR T療法は、別の処置前、処置と同時、処置後、又は障害の寛解中に、投与され得る。
【0166】
組合せで投与されるとき、活性化されたCAR T細胞及び追加の薬剤(例えば、第2若しくは第3の薬剤)、又は全てが、例えば、単独療法として、個々に使用されるそれぞれの薬剤の量若しくは投薬量より多い、少ない、又は同じである量又は用量で投与され得る。ある特定の実施態様において、活性化されたCAR T細胞、追加の薬剤(例えば、第2若しくは第3の薬剤)、又は全ての投与される量或いは投薬量は、個々に使用されるそれぞれの薬剤の量又は投薬量より少ない(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、若しくは少なくとも50%)。他の実施態様において、所望の効果(例えば、がんの処置)をもたらす、活性化されたCAR T細胞、追加の薬剤(例えば、第2若しくは第3の薬剤)、若しくは全ての量又は投薬量は、同じ治療効果を達成するために個々に要求されるそれぞれの薬剤の量又は投薬量より少ない(例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%少ない)。さらなる実施態様において、活性化された本明細書に記載されるCAR T細胞は、外科手術、化学療法、放射線、及びmTOR経路阻害剤、サイクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、ミコフェノール酸塩、及びFK506のような免疫抑制剤、抗体、又はCAMPATH、抗CD3抗体若しくは他の抗体療法のような他の免疫除去剤、サイトキシン、フルダラビン、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン、又はIzumoto等、2008年、J Neurosurg、108:963-971に記載されるもののようなペプチドワクチンと組み合わせた処置計画において使用され得る。
【0167】
1つの実施態様において、活性化された本明細書に記載されるCAR T細胞は、チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用され得る。典型的なチェックポイント阻害剤は、抗PD-1阻害剤(ニボルマブ、MK-3475、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、AMP-224、AMP-514)、抗CTLA4阻害剤(イピリムマブ及びトレメリムマブ)、抗PDL1阻害剤(アテゾリズマブ、アベロマブ、MSB0010718C、MEDI4736、及びMPDL3280A)、並びに抗TIM3阻害剤を含む。
【0168】
1つの実施態様において、活性化された本明細書に記載されるCAR T細胞は、化学療法剤と組み合わせて使用され得る。典型的な化学療法剤は、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン(例えば、リポソーマルドキソルビシンン))、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、デカルバジン、メルファラン、イホスファミド、テモゾロミド)、免疫細胞抗体(例えば、アレムツザマブ、ゲムツズマブ、リツキシマブ、トシツモマブ)、代謝拮抗物質(例えば、葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアナログ、プリンアナログ及びアデノシンデアミナーゼ阻害剤(例えば、フルダラビン)を含む)、mTOR阻害剤、TNFRグルココルチコイド誘導性TNFR関連タンパク質(GITR)アゴニスト、プロテアソーム阻害剤(例えば、アクラシノマイシンA、グリオトキシン又はボルテゾミブ)、サリドマイド又はサリドマイド誘導体(例えば、レナリドミド)のような免疫調節物質を含む。併用療法での使用が考慮される一般的な化学療法剤は、アナストロゾール(Arimidex(登録商標))、ビカルタミド(Casodex(登録商標))、硫酸ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標))、ブスルファン(Myleran(登録商標))、ブスルファン注射液(Busulfex(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、クロラムブチル(Leukeran(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)又はNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar-U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射液(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD、コスメガン)、ダウノルビシン塩酸塩(Cerubidine(登録商標))、ダウノルビシンクエン酸塩リポソーム注射液(DaunoXome(登録商標))、デキサメタゾン、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、ドキソルビシン塩酸塩(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標))、エトポシド(Vepesid(登録商標))、フルダラビンリン酸塩(Fludara(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、フルタミド(Eulexin(登録商標))、テザシチジビン、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、ヒドロキシウレア(Hydrea(登録商標))、イダルビシン(Idamycin(登録商標))、イホスファミド(IFEX(登録商標))、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、ロイコボリンカルシウム、メルファラン(Alkeran(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ミトキサントロン(Novantrone(登録商標))、マイロターグ、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、フェニックス(Yttrium90/MX-DTPA)、ペントスタチン、カルムスチンインプラントを含むポリフェプロザン20(Gliadel(登録商標))、タモキシフェンクエン酸塩(Nolvadex(登録商標))、テニポシド(Vumon(登録商標))、6-チオグアニン、チオテパ、チラパザミン(Tirazone(登録商標))、注射用塩酸トポテカン(Hycamptin(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、及びビノレルビン(Navelbine(登録商標))を含む。典型的なアルキル化剤は、ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、スルホン酸アルキル、ニトロソウレア及びトリアゼン):ウラシルマスタード(Aminouracil Mustard(登録商標)、Chlorethaminacil(登録商標)、Demethyldopan(登録商標)、Desmethyldopan(登録商標)、Haemanthamine(登録商標)、Nordopan(登録商標)、Uracil nitrogen mustard(登録商標)、Uracillost(登録商標)、Uracilmostaza(登録商標)、Uramustin(登録商標)、Uramustine(登録商標))、クロルメチン(Mustargen(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Clafen(登録商標)、Endoxan(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(商標))、イホスファミド(Mitoxana(登録商標))、メルファラン(Alkeran(登録商標))、クロラムブチル(Leukeran(登録商標))、ピポブロマン(Amedel(登録商標)、Vercyte(登録商標))、トリエチレンメラミン(Hemel(登録商標)、Hexalen(登録商標)、Hexastat(登録商標))、トリエチレンチオホスホルアミン、テモゾロミド(Temodar(登録商標))、チオテパ(Thioplex(登録商標))、ブスルファン(Busilvex(登録商標)、Myleran(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CeeNU(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))、並びにダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))を含むが、これらに限定されない。追加の典型的なアルキル化剤は、オキサリプラチン(Eloxatin(登録商標));テモゾロミド(Temodar(登録商標)及びTemodal(登録商標));ダクチノマイシン(アクチノマイシン-Dとしても知られる、Cosmegen(登録商標));メルファラン(L-PAMとしても知られる、L-サルコリシン、及びフェニルアラニンマスタード、Alkeran(登録商標));アルトレタミン(ヘキサメチルメラミン(HMM)としても知られる、Hexalen(登録商標));カルムスチン(BiCNU(登録商標));ベンダムスチン(Treanda(登録商標));ブスルファン(Busulfex(登録商標)及びMyleran(登録商標));カルボプラチン(Paraplatin(登録商標));ロムスチン(CCNUとしても知られる、CeeNU(登録商標));シスプラチン(CDDPとしても知られる、Platinol(登録商標)及びPlatinol(登録商標)-AQ);クロラムブチル(Leukeran(登録商標));シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)及びNeosar(登録商標));ダカルバジン(DTIC、DIC及びイミダゾールカルボキサミドとしても知られる、DTIC-Dome(登録商標));アルトレタミン(ヘキサメチラミン(HMM)としても知られる、Hexalen(登録商標));イホスファミド(Ifex(登録商標));プレドヌマスチン;プロカルバジン(Matulane(登録商標));メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード、ムスチン及び塩酸メクロエタミンとしても知られる、Mustargen(登録商標));ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標));チオテパ(チオホスホアミド、TESPA及びTSPAとしても知られる、Thioplex(登録商標));シクロホスファミド(Endoxan(登録商標)、Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(登録商標));並びにベンダムスチンHC1(Treanda(登録商標))を含むが、これらに限定されない。典型的なmTOR阻害剤は、例えば、テムシロリムス;リダフォロリムス(公式には、デフェロリムスとして知られる、AP23573及びMK8669としても知られ、PCT公開第03/064383号に記載される(lR,2R,45)-4-[(2R)-2[(1R,95,125,15R,16E,18R,19R,21R,235,24E,26E,28Z,305,325,35R)-l,18-ジヒドロキシ-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23、29,35-ヘキサメチル-2,3,10,14,20-ペンタオキソ-ll,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.04’9]ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-12-イル]プロピル]-2-メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネート);エベロリムス(Afinitor(登録商標)又はRADOOl);ラパマイシン(AY22989、Sirolimus(登録商標));シマピモド(CAS164301-51-3);エムシロリムス、(5-{2,4-ビス[(35,)-3-メチルモルホリン-4-イル]ピリド[2,3-(i]ピリミジン-7-イル}-2-メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2-アミノ-8-[イラウ5,-4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]-6-(6-メトキシ-3-ピリジニル)-4-メチル-ピリド[2,3-JJピリミジン-7(8H)-オン(PF04691502、CAS1013101-36-4);並びにN2-[l,4-ジオキソ-4-[[4-(4-オキソ-8-フェニル-4H-l-ベンゾピラン-2-イル)モルホリニウム-4-イル]メトキシ]ブチル]-L-アルギニルグリシル-L-a-アスパルチルL-セリン-(配列番号84)、分子内塩(SF1126、CAS936487-67-1)、並びにXL765を含む。典型的な免疫調節物質は、例えば、アフツズマブ(Roche(登録商標)から入手可能);ペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標));レナリドミド(CC-5013、Revlimid(登録商標));サリドマイド(Thalomid(登録商標))、アクチミド(CC4047);並びにIRX-2(インターロイキン1、インターロイキン2、及びインターフェロンγを含むヒトサイトカインの混合物、CAS951209-71-5、IRX Therapeuticsから入手可能)を含む。典型的なアントラサイクリンは、例えば、ドキソルビシン(Adriamycin(登録商標)及びRubex(登録商標));ブレオマイシン(lenoxane(登録商標));ダウノルビシン(ダウノルビシン塩酸塩、ダウノマイシン、及びルビドマイシン塩酸塩、Cerubidine(登録商標));ダウノルビシンリポソーム(ダウノルビシンクエン酸リポソーム、DaunoXome(登録商標));ミトキサントロン(DHAD、Novantrone(登録商標));エピルビシン(Ellence(商標));イダルビシン(Idamycin(登録商標)、
Idamycin PFS(登録商標));マイトマイシンC(Mutamycin(登録商標));ゲルダナマイシン;ハービマイシン;ラビドマイシン;並びにデスアセチルラビドマイシンを含む。典型的なビンカアルカロイドは、例えば、ビノレルビン酒石酸塩(Navelbine(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、及びビンデシン(Eldisine(登録商標)));ビンブラスチン(ビンブラスチン硫酸塩、ビンカロイコブラスチン及びVLBとしても知られる、Alkaban-AQ(登録商標)及びVelban(登録商標));並びにビノレルビン(Navelbine(登録商標))を含む。典型的なプロテオソーム阻害剤は、ボルテゾミブ(Velcade(登録商標));カルフィルゾミブ(PX-171-007、(5)-4-メチル-N-((5)-l-(((5)-4-メチル-l-((R)-2-メチルオキシラン-2-イル)-l-オキソペンタン-2-イル)アミノ)-l-オキソ-3-フェニルプロパン-2-イル)-2-((5,)-2-(2-モルホリノアセタミド)-4-フェニルブタンアミド)-ペンタンアミド);マリゾミブ(NPT0052);イキサゾミブクエン酸エステル(MLN-9708);デランゾミブ(CEP-18770);並びにO-メチル-N-[(2-メチル-5-チアゾリル)カルボニル]-L-セリル-O-メチル-N-[(llS’)-2-[(2R)-2-メチル-2-オキシラニル]-2-オキソ-l-(フェニルメチル)エチル]-L-セリンアミド(ONX-0912)を含む。
【0169】
当業者は、使用の化学療法剤を容易に同定することができる(例えば、Physicians' Cancer Chemotherapy Drug Manual、2014年、Edward Chu、Vincent T. DeVita Jr.、Jones & Bartlett Learning;Principles of Cancer Therapy、Harrison's Principles of Internal Medicine、第18編の第85章;Therapeutic Targeting of Cancer Cells:Era of Molecularly Targeted Agents and Cancer Pharmacology、Abeloff's Clinical Oncology、2013年、ElsevierのChs.28-29;及びFischer D S(編):The Cancer Chemotherapy Handbook、第4編、St.Louis、Mosby-Year Book、2003年を参照)。
【0170】
実施態様において、活性化された本明細書に記載されるCAR T細胞は、GITRを標的とする分子及び/若しくはGITR機能を調節する分子の活性並びに/又はレベルを減少する分子、制御性T細胞集団を減少する分子、mTOR阻害剤、GITRアゴニスト、キナーゼ阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ阻害剤、CDK4阻害剤、並びに/或いはBTK阻害剤と組み合わせて対象に投与される。
【0171】
有効性
例えば、本明細書に記載される状態の処置における、又は本明細書に記載される応答(例えば、がん細胞における低減)を誘導するための活性化されたCAR T細胞の有効性は、熟練した臨床医により決定され得る。しかしながら、本明細書に記載される状態の徴候若しくは症状の一又は複数が、有益な様式で変更されるか、他の臨床上許容される症状が、改善されるか、若しくは向上されるか、又は所望の応答が、本明細書に記載される方法による処置後、例えば、少なくとも10%誘導されるなら、処置は、本明細書において使用される用語「有効な処置」であるとみなされる。有効性は、例えば、本明細書に記載される方法に従い処置される状態のマーカー、指標、症状、及び/若しくは発生率、又は任意の他の適当な測定可能なパラメーターを測定することにより、評価され得る。本明細書に記載される方法は、マーカーのレベル若しくは状態の症状を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%又は少なくとも90%以上減少し得る。
【0172】
有効性はまた、入院により評価される、又は医療行為に必要とされる、悪化するという個体の失敗により測定され得る(すなわち、疾患の進行が、停止される)。これらの指標を測定する方法は、当業者に公知であり、及び/又は本明細書に記載される。
【0173】
処置は、個体又は動物における疾患の任意の処置を含み(いくつかの非限定的な例は、ヒト若しくは動物を含む)、(1)疾患を阻害すること、例えば、症状(例えば、疼痛若しくは炎症)の悪化を予防すること;又は(2)疾患の重症度を軽減すること、例えば、症状の後退を引き起こすことを含む。疾患の処置についての有効量は、それを必要とする対象に投与されたとき、その疾患について、その用語が、本明細書において定義された有効な処置をもたらすのに十分である量を意味する。薬剤の有効性は、状態の身体的指標又は所望の応答を評価することにより、決定され得る。かかるパラメーターの任意の1つ、若しくはパラメーターの任意の組合せを測定することにより、投与及び/又は処置の有効性をモニターすることは、十分に、当業者の能力内である。規定のアプローチの有効性は、本明細書に記載される状態の動物モデル、例えば、ALLの処置において評価され得る。実験動物モデルを使用するとき、マーカーにおける統計上有意な変化が観察されるとき、処置の有効性が証明される。
【0174】
本出願を通じて引用される、参照文献、取得された特許、公開された特許出願、及び係属中の特許出願を含む全ての特許及び他の刊行物は、例えば、本明細書に記載されるテクノロジーと関連して使用され得るかかる刊行物において記載される方法論を記載し、開示する目的で、出典明示により本明細書に明白に援用される。これらの刊行物は、本出願の出願日より前の開示について、もっぱら提供される。これに関していずれも、本発明者らが、先行発明の理由で、又は任意の他の理由のため、かかる開示に先行する権利がないという承認とみなされるべきではない。日付についての全ての宣誓、又はこれらの文書の内容についての表明は、出願人が入手可能な情報に基づき、日付の正確性又はこれらの文書の内容についての承認を構成しない。
【0175】
本開示の実施態様の説明は、包括的であるか、又は開示を開示される正確な形態に制限することを意図されない。開示の特定の実施態様、及び開示についての実施例は、説明の目的で本明細書において記載される一方、当業者は、容易に認識するので、開示の範囲内で様々な同等の修飾が可能である。例えば、方法の工程又は機能は、規定の順で提示される一方、代替の実施態様は、異なる順で機能してもよいか、又は機能は、実質的に同時に行われてもよい。本明細書において提供される開示の教示は、必要に応じて他の手法又は方法に適用され得る。本明細書に記載される様々な実施態様を組み合わせて、さらなる実施態様を提供し得る。開示の態様を、必要なら、修飾して、上記の参考文献及び出願の組成物、機能及び概念を利用して、開示のなおさらなる実施態様を提供し得る。さらに、生物学的な機能等価の考慮に起因し、いくつかの変更が、種類若しくは量において生物学的又は化学的作用に影響することなく、タンパク質構造において、なされ得る。これら及び他の変更は、詳細な説明に照らして、開示になされ得る。かかる修飾の全ては、添付の請求の範囲内に含まれることが意図される。
【0176】
前述の実施態様の何れかの特定の構成要素は、他の実施態様における構成要素のため組合されるか、又は置き換えられ得る。さらに、開示のある特定の実施態様と関連する利点が、これらの実施態様の文脈で記載される一方、他の実施態様はまた、かかる利点を示してもよく、全ての実施態様が、開示の範囲内にあるかかる利点を必ずしも示す必要がない。
【0177】
本明細書に記載されるテクノロジーは、以下の実施例によりさらに説明され、それらは、決して、さらなる制限と解釈されるべきではない。
【0178】
本明細書に記載されるテクノロジーのいくつかの実施態様は、次の番号を付けられたパラグラフの何れかに従い定義され得る。
1.
a)腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリー受容体リガンドの部分を含む一又は複数の細胞外ドメイン;
b)ヒンジ及び膜貫通型ドメイン;
c)共刺激ドメイン;及び
d)細胞内シグナル伝達ドメイン
を含むキメラ抗原受容体(CAR)ポリペプチド。
2.TNFスーパーファミリー受容体リガンドが、A増殖誘導リガンド(APRIL)である、パラグラフ1のCARポリペプチド。
3.TNFスーパーファミリー受容体リガンドが、TNF-アルファ、リンホトキシンベータ、OX40L、CD154、FasL、LIGHT、TL1A、CD70、Siva、CD153、4-1BBリガンド、TRAIL、RANKL、TWEAK、BAFF、CAMLG、LIGHT、NGF、BDNF、NT-3、NT-4、GITRリガンド、TL1A、又はEDA-A2である、パラグラフ1のCARポリペプチド。
4.CD8リーダー配列をさらに含む、パラグラフ1から3の何れか1つのCARポリペプチド。
5.CD8リーダー配列が、配列番号20、26、又は32から選択される配列を含む、パラグラフ4のCARポリペプチド。
6.APRILの部分が、APRILのリジンリッチな領域を含まない、パラグラフ2、4、又は5の何れかのCARポリペプチド。
7.APRILの部分が、配列番号21、27、又は33から選択される配列を含む、パラグラフ2又は4から6の何れかのCARポリペプチド。
8.ヒンジ及び膜貫通型ドメインが、CD8又は4-1BBのヒンジ及び膜貫通型ドメインを含む、パラグラフ1から7の何れかのCARポリペプチド。
9.CD8ヒンジ及び膜貫通型ドメイン配列が、配列番号22の配列を含む、パラグラフ1から8の何れかのCARポリペプチド。
10.4-1BBヒンジ及び膜貫通型ドメイン配列が、配列番号28又は34から選択される配列を含む、パラグラフ1から9の何れかのCARポリペプチド。
11.細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ζ、CD3ε、又はCD3θのシグナル伝達ドメインを含む、パラグラフ1から10の何れかのCARポリペプチド。
12.CD3ζ細胞内シグナル伝達ドメイン配列が、配列番号24又は30から選択される配列を含む、パラグラフ1から11の何れかのCARポリペプチド。
13.CD3θ細胞内シグナル伝達ドメイン配列が、配列番号36の配列を含む、パラグラフ1から12の何れかのCARポリペプチド。
14.共刺激ドメインが、4-1BB ICD、CD28 ICD、CD27 ICD、ICOS ICD、及びOX40 ICDからなる群から選択される細胞内ドメインである、パラグラフ1から13の何れかのCAR。
15.共刺激ドメインが、4-1BBの細胞内ドメインである、パラグラフ1から14の何れかのCARポリペプチド。
16.4-1BB配列の細胞内ドメインが、配列番号23、29、又は35から選択される配列を含む、パラグラフ15のCARポリペプチド。
17.CARポリペプチドが、TNFスーパーファミリー受容体リガンドの部分を含む2個以上の細胞外ドメインを含む、パラグラフ1から16の何れか1つのCARポリペプチド。
18.CARポリペプチドが、TNFスーパーファミリー受容体リガンドの部分を含む3個の細胞外ドメインを含む、パラグラフ17のCARポリペプチド。
19.配列番号19、25、若しくは31から選択される配列と少なくとも95%の同一性を含むか、又は配列番号1、7、若しくは13から選択される配列と少なくとも95%の同一性を含む配列によりコードされるCARポリペプチド。
20.配列番号19、25、若しくは31から選択される配列を含むか、又は配列番号1、7、若しくは13から選択される配列によりコードされるCARポリペプチド。
21.配列番号19、25、若しくは31から選択される配列に対応する配列を含むか、又は配列番号1、7、若しくは13から選択される配列によりコードされるCARポリペプチド。
22.パラグラフ1から21の何れか1つのCARポリペプチドの2種以上を含むポリペプチド複合体。
23.ポリペプチド複合体が、パラグラフ1から21の何れか1つの3種のCARポリペプチドを含む、パラグラフ22のポリペプチド複合体。
24.
a)パラグラフ1から21の何れかのCARポリペプチド;
b)パラグラフ1から21の何れかのCARポリペプチドをコードする核酸;又は
c)パラグラフ22若しくは23のポリペプチド複合体
を含む哺乳類細胞。
25.細胞がT細胞である、パラグラフ24の細胞。
26.細胞がヒト細胞である、パラグラフ24又は25の細胞。
27.細胞が、がん、形質細胞障害、若しくは自己免疫疾患を有するか、又は有すると診断された個体から得られる、パラグラフ24から26の何れかの細胞。
28.対象においてがん、形質細胞障害、アミロイドーシス、又は自己免疫疾患を処置する方法であって、
a)T細胞表面上にパラグラフ1から21の何れかのCARを含むようにT細胞を操作すること;
b)操作されたT細胞を対象に投与すること
を含む方法。
29.対象においてがん、形質細胞障害、又は自己免疫疾患を処置する方法であって、パラグラフ24から27の何れかの細胞を対象に投与することを含む方法。
30.がんが、BAFF+、BCMA+及び/又はTACIである、パラグラフ28又は29の方法。
31.対象が、抗BCMA療法をさらに投与される、パラグラフ28から30の何れかの方法。
32.対象が、抗BCMA療法に抵抗性である、パラグラフ28から31の何れかの方法。
33.がんが、多発性骨髄腫又はくすぶり型多発性骨髄腫である、パラグラフ28から32の何れかの方法。
34.自己免疫疾患が、凝固因子に対する抗体を有する血友病、重症筋無力症、多発性硬化症、及び慢性移植片対宿主病からなる群から選択される、パラグラフ28から32の何れかの方法。
35.がんの処置のため製剤された、パラグラフ1から21の何れか1つのCARポリペプチド、パラグラフ22若しくは23のポリペプチド複合体、又はパラグラフ24から27の何れか1つの細胞を含む組成物。
36.薬学的に許容される担体をさらに含む、パラグラフ35の組成物。
【実施例
【0179】
実施例1
CD8又は4-1BBの膜貫通型ドメインに融合したAPRIL(A増殖誘導リガンド)の細胞外ドメイン及びT細胞活性化受容体CD3ゼータ、CD3エータ、又はCD3シータのシグナル伝達ドメインに基づくキメラ抗原受容体を、本明細書に記載する。これらのCARは、抗BCMA標的化療法に対する抵抗性を克服し、最適な機能のため膜貫通型ドメインのダイマー形成及びトリマー形成を利用する。これらのCARは、がん、例えば、多発性骨髄腫、形質細胞障害、及び/又は重篤な自己免疫疾患の処置のために企図される。
【0180】
本発明は、BCMAについての天然のリガンドを使用して、抗原結合部分を操作して、抗骨髄腫CAR T細胞を生成し得ることを企図する。scFv及び天然のリガンド(APRIL)に基づくCAR T細胞を、BCMA、TACI、及び/又はBAFF受容体を発現する骨髄腫細胞株において、細胞傷害活性、抗原特異的増殖、並びにサイトカイン産生について比較した。
【0181】
BCMAは、低親和性でBAFF及び高い親和性でAPRILに結合する小さいIII型膜貫通型タンパク質であり48、BCMAシグナル伝達は、骨髄腫細胞をアポトーシスから守る49。BCMAは、2種の近いファミリーメンバー:TACI及びBAFF受容体を有する。TACIは、B細胞発生の類似のレベル及びステージで発現し、一方、BAFF受容体は、B細胞発生の早期ステージにおいて発現し、APRILよりBAFFへの結合についてより高い親和性を有する。BCMAとTACIの両方の細胞内ドメインが、TRAFと相互作用し、恐らく形質細胞生存の促進において冗長機能を有する50。BCMAに対して特異的に生じた抗体及びscFvは、逆よりも、BCMAのエピトープ結合領域が小さいので、TACIと交差反応しそうにない。事実、文献は、臨床設定における抗BCMA産物(抗体、scFv、又は二重特異的T細胞エンゲイジャー)が、BAFF受容体又はTACIと交差反応しないことを示している51
【0182】
新規の特異性を有するCAR T細胞の設計における最大の課題の1つは、標的の腫瘍外発現を決定することである。頼もしいことに、抗BCMA産物は、腫瘍外反応性の証拠はなく、様々な臨床設定において安全であるとみなされている51。BCMAに指向化されたCAR T細胞産物は、サイトカイン放出症候群と関連している。しかしながら、TCGA、ENCODE、BLUEPRINT、並びにGTEXから公的に入手可能なデータは、BCMA及びTACIの発現特性は、CAR T細胞を介した標的化に安全であるように思われること(データは示されていない);どちらの分子も、形質細胞及びB細胞以外の健常な成人組織により発現されず、両方が、複数の骨髄腫及び慢性リンパ性白血病において高いレベルで発現されることを示す。さらに、抗CD19により指向化されたCAR T細胞を投与した急性リンパ芽球性白血病を有する患者における抗原回避バリアントに関する新たなデータ33、52、53を考慮すると、同様の発現特性及びシグナル伝達重複性で2種の抗原に結合する再指向化T細胞を開発することによって、回避バリアントを回避する機序がもたらされ得る。
【0183】
2種類の抗原に対して反応するよう設計された1つのCARを生成する3種の推定上の方法が存在する。(1)両方の標的と交差反応するscFvを生成すること。このストラテジーに伴う危険は、乱雑なscFvがまた、前臨床設定において推定することが困難であり得る腫瘍外反応性を有し得ることである。(2)タンデムで2種の異なる特異性を有するscFvから構成されるCARを生成すること。このストラテジーは、CD19及びCD2254並びにCD19及びCD2055等について追跡されている。しかしながら、2種のscFv間の最適なスペーシングは、経験的に決定されなければならず、交差反応する二重特異性抗体scFvの形成はまた、非特異的な結合をもたらし得る。特に、scFvが、生成され、個々に試験され、次に合わされなければならないので、この方法は、実現可能であるが、困難かつ高価である56。(3)両方の受容体に結合し、それをキメラ抗原受容体の残る成分(膜貫通型及びシグナル伝達ドメイン)に融合させる高親和性リガンドを開発すること。この場合において、本発明者らは、APRILでの第3のアプローチを利用する独自の機会があることを理解した(図1)。
【0184】
APRILをCAR T細胞についての細胞外結合ドメインとして使用することに関して、4つの可能性のある問題点が存在する:(1)APRILは、ホモトリマーを天然で形成し、一方、scFvベースのCARは、ホモダイマー形成すると考えられる43、57、58。APRILホモダイマーが、BCMA/TACIに結合するかどうか、又はCARが、トリマーを形成する場合にシグナル伝達し得るかは、明確でない。注目すべきは、4-1BBも、天然で、トリマーを形成し、依然、4-1BB共刺激ドメインを含むCARコンストラクトは、非常に活性であり、これは、ホモダイマー形成とホモトリマー形成TNF関連タンパク質の間の機能の可動性を示している。BCMA/TACIへの適当な結合を伴う活性なCARの形成は、可溶性BCMA及びTACIでのフローサイトメトリーを介して、並びにBCMA及びTACIを発現する標的細胞に対する細胞傷害性アッセイを介してインビトロで容易に試験される。(2)APRILはまた、シンデカンファミリー(CD138、シンデカン-1を含む)と関連するヘパラン硫酸鎖に結合し、TACI及びBCMAより散在した発現を有し、したがって、腫瘍外活性について増大した可能性が存在する。具体的には、ヘパラン硫酸鎖へのAPRILの結合は、そのN末端においてリジンリッチな領域を介して生じ、一方、TNF様領域は、BCMA及びTACI受容体と反応する59。骨髄腫細胞において、CD138への結合は、TACIへのAPRIL結合について共受容体として働き得る60。APRIL CARの推定される結合とヘパラン硫酸プロテオグリカン分子との間の距離から、この相互作用は、細胞傷害性をもたらすとは予測されないが54、この予想は、TACI又はBCMAなしでCD138を発現する細胞株において系統的に試験され得る。加えて、ヘパラン硫酸鎖への結合を回避するためのN末端のリジンリッチな領域を欠くAPRILの形態が、生成され得る。(3)確認されていないが、上皮組織上で発現されると仮定される、APRILについての推定上の受容体が存在し61;この相互作用は、上皮細胞に対するAPRIL-CARにより指向化された活性の試験及びモデリングを必要とする。(4)天然のAPRIL配列は、その内在性膜貫通型ドメインから切断され、骨髄腫細胞において生存シグナルを促進し得る;それ故、CAR T細胞からのAPRILのシェディングを回避するために、CARの膜貫通型及び細胞内ドメインにAPRILのN末端ドメイン(切断部位に遠い)のみを固定することが提案される。
【0185】
実験設計
本発明者らのCAR骨格の文脈におけるマウス及びファージディスプレイ由来抗BCMA コンストラクトの公開された配列に基づくBCMAに特異的なscFv配列の小さなパネルの試験を、本明細書に記載する。加えて、BCMA及びTACIに結合するAPRILドメインの大部分の細胞外部分のみを利用する、APRILベースのCARを、特徴付ける。ヘパラン硫酸鎖に結合するリジンリッチな領域を除去するためのAPRILのN末端の切断バージョンも記載する。次に、2つのscFv及び2つのAPRILベースのCARを有するレンチウイルスベクターを使用して、ビオチン化可溶性BCMA-Ig及びTACI-Ig(市販されている)での染色後、フローサイトメトリーを介してCARの発現について初代T細胞を試験する。最終的に、APRILベースのCARが、T細胞培養物から上清を回収し、ELISAを介して可溶性APRILを測定することにより、可溶性タンパク質としてAPRILを分泌し、切断しないことを、検証する。
【0186】
K562細胞に基づく標的細胞株を操作して、レンチウイルス伝達を介してBAFF受容体、BCMA、及びTACIを個別に及び組合せで発現させた。CD138(シンデカン-1)を発現するK562細胞を操作して、このヘパラン硫酸プロテオグリカンへのAPRILベースのCARの結合について試験する。これらの株は、抗BCMA scFv-CAR及びAPRIL-CARを、BCMA及びTACI発現標的を溶解するそれらの能力について試験し、抗原特異的増殖を起こす、標的並びに抗原提示細胞をもたらす。標的を生じるCD138を、ヘパラン(APRILとヘパラン硫酸との間の結合を除去する60)の存在下及び非存在下で、APRIL-CAR介在性結合並びに毒性に対する感受性について試験する。様々な(E:T)比でエフェクター細胞を標的細胞と共培養することにより特異的溶解(specific lysis)を測定し、また、発光を測定することにより生存可能な標的細胞を定量することができるように、標的細胞を遺伝子的に修飾してルシフェラーゼを発現させる。
【0187】
可溶性BCMA及び可溶性TACIを、フローサイトメトリーにより評価すべきCAR T細胞についての染色試薬として使用することにより、CARへの結合の交差反応性をまた測定する。BCMA、TACI、又は両方を提示する標的に応答した抗原特異的な方法で、抗BCMA scFv-CAR T細胞及びAPRIL-CAR T細胞を、増殖するそれらの能力について試験する。蛍光色素CFSEの希釈、及び抗原刺激後1から2週間の経過にわたり、T細胞をカウントすることにより、増殖を測定する。
【0188】
最終的に、多発性骨髄腫を有する患者由来の初代ヒト形質細胞を、標準的フローサイトメトリーにより、BCMA、TACI、及びBAFF受容体のそれらの発現について調べる。MGH骨髄腫群は、非特定化した試料を調べ得る、多発性骨髄腫を有する患者由来の骨髄標本のバイオバンクを有する。測定可能な形質細胞負荷を有する30人の患者由来の形質細胞におけるBCMA、TACI、及びBAFF-Rのレベルを、定量することができる。実現可能な場合、抗BCMA及びAPRILベースのCAR T細胞を、生存可能な初代骨髄腫形質細胞と共培養し、共培養物を、骨髄腫細胞の生存能及びCAR T細胞の増殖について評価する。加えて、抗BCMA scFvベースのCAR T細胞を受けた患者の骨髄形質細胞におけるBCMA及びTACI発現のレベルを調べることができる。この場合において、ベースラインの骨髄試料において、本発明者らのサイトで処置した患者において、処置の1-3か月後、又は再発時に集める骨髄試料において、BCMA及びTACI発現を定量することができる。
【0189】
scFvベース及びAPRILベースのCARを形質導入した初代T細胞が、細胞傷害活性を発揮し、K562形質導入細胞株、U266及びRPMI-8226のような骨髄腫細胞株、又は初代患者骨髄腫細胞である、BCMAを発現する標的細胞に応答して増殖することが予想される。対照的に、APRILベースのCARのみが、TACIのみを発現する細胞株に対して細胞傷害効果を発揮する。APRILベースのCARは、TACIとBCMAの両方の可溶性バージョンに結合し、一方、scFvベースの抗BCMA CARは、可溶性BCMAのみに結合する。
【0190】
形質導入したT細胞及びCD19-CARを形質導入したT細胞は、BCMAを発現する標的細胞又は多発性骨髄腫細胞株に応答して細胞傷害活性を提示すると予測されず、これらの細胞は、陰性コントロールとして作用する。APRILベースのCARは、可溶性APRILを培養培地に分泌すると予測されず、上清のELISA又はLuminex解析により測定して、検出可能な分泌が生じるなら、CARは、代替フォーマット(TACIとBCMAの間で交差反応性であるscFvに基づく)に再設計し得、又は可能性のある切断部位をさらに除去するためにAPRILの細胞外遠位(C末端)部分のより少ないアミノ酸ドメインを含めることによって再設計し得る。APRILベース及びscFvベースの抗BCMA CARは、BCMAを発現する標的に応答して同様のレベルのサイトカイン産生を生じ、同様に増殖すると予測されるが、APRILベースのCARのみが、TACIを発現する標的に応答してIFNγ及びIL-2を生じると予想される。
【0191】
APRILベースのCARは、結合部位の間の距離から、TACI又はBCMAの非存在下でCD138を発現する標的の細胞溶解を仲介するとは予測されず、骨髄腫細胞株をインビトロ及びインビボで除去することが既に示されている、抗CD138-scFvベースのCARと比較する。しかしながら、CD138指向化細胞傷害性を、APRILベースのCARで観察しないなら、この相互作用を抑止するためにヘパリンを加えることにより、ヘパラン硫酸機序を検証することができる。リジンリッチな領域を除去するが、CARの細胞外結合ドメインとしてTNF様領域のみを維持するようなAPRILのN末端切断バージョンも、本明細書に記載する。ヘパラン硫酸プロテオグリカン又は上皮組織に対するAPRILベースのCARの可能性のある毒性についての何れかの残る問題が存在するなら、初代培養したケラチノサイトに対して、及び本発明者らの皮膚移植片インビボモデルにおいて、細胞傷害性を試験することができる。このモデルにおいて、免疫不全マウスに、ヒト皮膚(形成手術又は環状切除からの廃棄組織)を移植し、治癒させる。生検又は移植片切除から、CAR T細胞の皮膚毒性を組織病理学的にモニターし、移植片対宿主病の特徴的な徴候である、表皮/真皮結合の破壊及びケラチノサイトのアポトーシスを伴うリンパ球浸潤として皮膚毒性が現れる。APRILベースのCAR T細胞の可能性のある上皮毒性についての残る懸念が存在するなら、このモデルにおいて、APRILベースのCARの安全性を評価することができる。
【0192】
多発性骨髄腫を有する患者から得た骨髄試料において、フローサイトメトリー及び適当なコントロール(fluorescence minus one)により決定する場合、形質細胞における高いレベルのTACI及びBCMAの発現を、より低いレベルのBAFF受容体と共に確認することが予測される。
【0193】
実施例2: 二重抗原標的による多発性骨髄腫における抗原回避の制限
処置での最近の利点にもかかわらず、多発性骨髄腫は、依然、治癒不可能な疾患のままである。B細胞成熟抗原(BCMA)に対して指向化させたCAR T細胞のいくつかの最近の臨床試験は、多発性骨髄腫を有する患者において完全寛解を含む臨床応答を導いた。しかしながら、BCMAの抗原喪失に起因した処置の失敗が、幾人かの患者において記載されている。膜貫通型活性化因子及びカルシウムモジュレーター及びシクロフィリンリガンド相互作用物質(TACI)は、形質細胞生存の維持においてBCMAに対する重複する役割を有すると考えられ、多発性骨髄腫細胞上でも高度に発現する。本明細書に記載する仕事において、BCMA及びTACIについての天然のリガンドであるAPRILを、CAR結合部分として利用した。アプローチは、多発性骨髄腫において、複数の表面抗原の二重標的化により、抗原回避に起因する、疾患の再発を予防する(図3)。
【0194】
材料及び方法
scFvベースの抗BCMA、並びに全て4-1BB及びCD3ゼータに融合した、異なるヒンジ並びに膜貫通型ドメイン(CD8又は4-1BB)を生じるAPRILベースのCARで、CARコンストラクトを生成した(図2)。ヒト初代T細胞に、抗BCMA-CAR又はAPRILベースのCARの何れかをレンチウイルスにより形質導入した。変動する発現レベルのBCMA及びTACIを有する細胞株のパネルに対してインビトロで、並びに多発性骨髄腫の異種移植片モデルにおいてインビボで、細胞毒性、増殖及びサイトカイン産生を評価した。
【0195】
結果
APRILベースのCARについて、BCMA+又はTACI+標的細胞に応答した増大した活性化を観察した。BCMA+標的細胞に応答して、抗BCMA-CARのみを活性化した。BCMAとAPRIL-CD8ヒンジ/膜貫通型CARの両方が、抗原特異的細胞傷害性を示した。興味深いことに、抗BCMA-CARと比較して、APRIL-CD8ヒンジ/膜貫通型CARについてのサイトカイン産生において、より低いレベルを見出した。この知見は、恐らく、APRILをCAR結合部分として使用するか、又はscFvをCAR結合部分として使用するかの間の、結合親和性における差を反映する。APRIL-CARにおける4-1BBにヒンジ/膜貫通型ドメインを変えることは、細胞傷害性における低減及び制限されたサイトカイン産生を導く。異種移植片モデルを使用した、進行中の研究は、抗BCMA-CAR又はAPRIL-CD8ヒンジ/膜貫通型CARで処置したいくつかのマウスにおいて、完全な腫瘍寛解を示した。
【0196】
考察
多発性骨髄腫における可能性のある抗原回避を制限するためにBCMAとTACIの両方を認識することができる、天然のリガンドAPRILに基づく、CARの設計を本明細書に記載する。CD8ヒンジ及び膜貫通型領域の包含は、APRIL CAR機能に最適であった。腫瘍細胞に対するAPRIL CARの細胞傷害有効性にもかかわらず、より低いレベルの効果又はサイトカイン産生を観察した。CAR T細胞療法は、サイトカイン放出症候群を導き得るので、これは、重要な知見である。
【0197】
実施例3
ヒトT細胞を、0日目にCD3/28ビーズで刺激し、APRIL-CD8TM-4-1BBζCARを発現したAPRIL-CD8TM-4-1BBzCAR又はBCMA-CD8TM-4-1BBζARをコードするレンチウイルスベクターを形質導入した。0日目の開始時に、細胞をカウントし、それらの成長を集団倍加としてプロットした(図4)。mCherry(レポーター)陽性により、形質導入効率を測定した(図5A-5B)。
【0198】
CARを形質導入したT細胞を、18時間、ルシフェラーゼを発現するよう形質導入した標的BCMA+TACI+複数細胞(RMPI-8226)と共にインキュベーションした。示したエフェクター:標的比で、標的細胞の特異的溶解を計算した(図6)。
【0199】
CAR介在性T細胞活性化を、NFATプロモーターの後にルシフェラーゼを発現するジャーカット細胞株において試験した(図7)。
【0200】
実施例4
BCMA及びTACIの表面発現を、多発性骨髄腫細胞株において測定し(図8)、RPMI8226を操作して、様々なレベルのBCMAを発現させた(図9)。TACIをRPMI-BCMA KOに形質導入した。
【0201】
多数のAPRIL及びBCMA CARコンストラクトを設計し、これらのコンストラクトはT細胞に対して有効に形質導入を起こすことを示した(図10)。CARを発現するT細胞は、BCMAを発現する細胞での刺激の際に拡大した(図11)。APRIL-CARを発現するT細胞は、BCMA及びTACIを発現する細胞の特異的な殺傷を示し(図12)、活性化は、同様に特異的であった(図13)。
【0202】
BCMA及びAPRIL CARは、RPMI8226での刺激に応答して脱顆粒する(図14)。APRIL CARのサイトカイン特性を、図15において描く。
【0203】
実施例5-コンストラクト配列
pMGH71-APRIL/CD8TM/4-1BB/CD3ζ(配列番号1)は、CD8リーダー(ヌクレオチド1-63(配列番号2));APRIL配列(ヌクレオチド64-471(配列番号3));CD8ヒンジ及びTM配列(ヌクレオチド472-678(配列番号4));4-1BB ICD配列(ヌクレオチド679-804(配列番号5));並びにCD3ゼータ配列(ヌクレオチド805-1140(配列番号6))を含む。
ATGGCCCTCCCTGTCACCGCCCTGCTGCTTCCGCTGGCTCTTCTGCTCCACGCCGCTCGGCCCCACTCTGTCCTGCACCTGGTTCCCATTAACGCCACCTCCAAGGATGACTCCGATGTGACAGAGGTGATGTGGCAACCAGCTCTTAGGCGTGGGAGAGGCCTACAGGCCCAAGGATATGGTGTCCGAATCCAGGATGCTGGAGTTTATCTGCTGTATAGCCAGGTCCTGTTTCAAGACGTGACTTTCACCATGGGTCAGGTGGTGTCTCGAGAAGGCCAAGGAAGGCAGGAGACTCTATTCCGATGTATAAGAAGTATGCCCTCCCACCCGGACCGGGCCTACAACAGCTGCTATAGCGCAGGTGTCTTCCATTTACACCAAGGGGATATTCTGAGTGTCATAATTCCCCGGGCAAGGGCGAAACTTAACCTCTCTCCACATGGAACCTTCCTGGGGTTTGTGAAACTGACCACTACCCCAGCACCGAGGCCACCCACCCCGGCTCCTACCATCGCCTCCCAGCCTCTGTCCCTGCGTCCGGAGGCATGTAGACCCGCAGCTGGTGGGGCCGTGCATACCCGGGGTCTTGACTTCGCCTGCGATATCTACATTTGGGCCCCTCTGGCTGGTACTTGCGGGGTCCTGCTGCTTTCACTCGTGATCACTCTTTACTGTAAGCGCGGTCGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTTAAGCAACCCTTCATGAGGCCTGTGCAGACTACTCAAGAGGAGGACGGCTGTTCATGCCGGTTCCCAGAGGAGGAGGAAGGCGGCTGCGAACTGCGCGTGAAATTCAGCCGCAGCGCAGATGCTCCAGCCTACCAACAGGGGCAGAACCAGCTCTACAACGAACTCAATCTTGGTCGGAGAGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGACGGGACCCAGAAATGGGCGGGAAGCCGCGCAGAAAGAATCCCCAAGAGGGCCTGTACAACGAGCTCCAAAAGGATAAGATGGCAGAAGCCTATAGCGAGATTGGTATGAAAGGGGAACGCAGAAGAGGCAAAGGCCACGACGGACTGTACCAGGGACTCAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCTCTTCACATGCAGGCCCTGCCGCCTCGG(配列番号1)
【0204】
CD8リーダー(配列番号2(配列番号1のヌクレオチド1-63))
ATGGCCCTCCCTGTCACCGCCCTGCTGCTTCCGCTGGCTCTTCTGCTCCACGCCGCTCGGCCC(配列番号2)
【0205】
APRIL配列 配列番号3(配列番号1のヌクレオチド64-471)
CACTCTGTCCTGCACCTGGTTCCCATTAACGCCACCTCCAAGGATGACTCCGATGTGACAGAGGTGATGTGGCAACCAGCTCTTAGGCGTGGGAGAGGCCTACAGGCCCAAGGATATGGTGTCCGAATCCAGGATGCTGGAGTTTATCTGCTGTATAGCCAGGTCCTGTTTCAAGACGTGACTTTCACCATGGGTCAGGTGGTGTCTCGAGAAGGCCAAGGAAGGCAGGAGACTCTATTCCGATGTATAAGAAGTATGCCCTCCCACCCGGACCGGGCCTACAACAGCTGCTATAGCGCAGGTGTCTTCCATTTACACCAAGGGGATATTCTGAGTGTCATAATTCCCCGGGCAAGGGCGAAACTTAACCTCTCTCCACATGGAACCTTCCTGGGGTTTGTGAAACTG(配列番号3)
【0206】
CD8ヒンジ及びTM配列(配列番号4(配列番号1のヌクレオチド472-678))
ACCACTACCCCAGCACCGAGGCCACCCACCCCGGCTCCTACCATCGCCTCCCAGCCTCTGTCCCTGCGTCCGGAGGCATGTAGACCCGCAGCTGGTGGGGCCGTGCATACCCGGGGTCTTGACTTCGCCTGCGATATCTACATTTGGGCCCCTCTGGCTGGTACTTGCGGGGTCCTGCTGCTTTCACTCGTGATCACTCTTTACTGT(配列番号4)
【0207】
4-1BB ICD配列(配列番号5(配列番号1のヌクレオチド679-804))
AAGCGCGGTCGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTTAAGCAACCCTTCATGAGGCCTGTGCAGACTACTCAAGAGGAGGACGGCTGTTCATGCCGGTTCCCAGAGGAGGAGGAAGGCGGCTGCGAACTG(配列番号5)
【0208】
CD3ゼータ配列(配列番号6(配列番号1のヌクレオチド805-1140))
CGCGTGAAATTCAGCCGCAGCGCAGATGCTCCAGCCTACCAACAGGGGCAGAACCAGCTCTACAACGAACTCAATCTTGGTCGGAGAGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGACGGGACCCAGAAATGGGCGGGAAGCCGCGCAGAAAGAATCCCCAAGAGGGCCTGTACAACGAGCTCCAAAAGGATAAGATGGCAGAAGCCTATAGCGAGATTGGTATGAAAGGGGAACGCAGAAGAGGCAAAGGCCACGACGGACTGTACCAGGGACTCAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCTCTTCACATGCAGGCCCTGCCGCCTCGG(配列番号6)
【0209】
pMGH76-APRIL/4-1BBTM/4-1BB/CD3ζ(配列番号7)は、CD8リーダー(ヌクレオチド1-63(配列番号8));APRIL配列(ヌクレオチド64-471(配列番号9));4-1BBヒンジ及びTM配列(ヌクレオチド472-633(配列番号10));4-1BB ICD配列(ヌクレオチド634-759(配列番号11));CD3ゼータ配列(ヌクレオチド760-1095(配列番号12))を含む。
ATGGCCCTCCCTGTCACCGCCCTGCTGCTTCCGCTGGCTCTTCTGCTCCACGCCGCTCGGCCCCACTCTGTCCTGCACCTGGTTCCCATTAACGCCACCTCCAAGGATGACTCCGATGTGACAGAGGTGATGTGGCAACCAGCTCTTAGGCGTGGGAGAGGCCTACAGGCCCAAGGATATGGTGTCCGAATCCAGGATGCTGGAGTTTATCTGCTGTATAGCCAGGTCCTGTTTCAAGACGTGACTTTCACCATGGGTCAGGTGGTGTCTCGAGAAGGCCAAGGAAGGCAGGAGACTCTATTCCGATGTATAAGAAGTATGCCCTCCCACCCGGACCGGGCCTACAACAGCTGCTATAGCGCAGGTGTCTTCCATTTACACCAAGGGGATATTCTGAGTGTCATAATTCCCCGGGCAAGGGCGAAACTTAACCTCTCTCCACATGGAACCTTCCTGGGGTTTGTGAAACTGCCATCTCCAGCCGACCTCTCTCCGGGAGCATCCTCTGTGACCCCGCCTGCCCCTGCGAGAGAGCCAGGACACTCTCCGCAGATCATCTCCTTCTTTCTTGCGCTGACGTCGACTGCGTTGCTCTTCCTGCTGTTCTTCCTCACGCTCCGTTTCTCTGTTGTTAAGCGCGGTCGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTTAAGCAACCCTTCATGAGGCCTGTGCAGACTACTCAAGAGGAGGACGGCTGTTCATGCCGGTTCCCAGAGGAGGAGGAAGGCGGCTGCGAACTGCGCGTGAAATTCAGCCGCAGCGCAGATGCTCCAGCCTACCAACAGGGGCAGAACCAGCTCTACAACGAACTCAATCTTGGTCGGAGAGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGACGGGACCCAGAAATGGGCGGGAAGCCGCGCAGAAAGAATCCCCAAGAGGGCCTGTACAACGAGCTCCAAAAGGATAAGATGGCAGAAGCCTATAGCGAGATTGGTATGAAAGGGGAACGCAGAAGAGGCAAAGGCCACGACGGACTGTACCAGGGACTCAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCTCTTCACATGCAGGCCCTGCCGCCTCGG(配列番号7)
【0210】
CD8リーダー配列(配列番号8(配列番号7のヌクレオチド1-63))
ATGGCCCTCCCTGTCACCGCCCTGCTGCTTCCGCTGGCTCTTCTGCTCCACGCCGCTCGGCCC(配列番号8)
【0211】
APRIL配列(配列番号9(配列番号7のヌクレオチド64-471))
CACTCTGTCCTGCACCTGGTTCCCATTAACGCCACCTCCAAGGATGACTCCGATGTGACAGAGGTGATGTGGCAACCAGCTCTTAGGCGTGGGAGAGGCCTACAGGCCCAAGGATATGGTGTCCGAATCCAGGATGCTGGAGTTTATCTGCTGTATAGCCAGGTCCTGTTTCAAGACGTGACTTTCACCATGGGTCAGGTGGTGTCTCGAGAAGGCCAAGGAAGGCAGGAGACTCTATTCCGATGTATAAGAAGTATGCCCTCCCACCCGGACCGGGCCTACAACAGCTGCTATAGCGCAGGTGTCTTCCATTTACACCAAGGGGATATTCTGAGTGTCATAATTCCCCGGGCAAGGGCGAAACTTAACCTCTCTCCACATGGAACCTTCCTGGGGTTTGTGAAACTG(配列番号9)
【0212】
4-1BBヒンジ及びTM配列(配列番号10(配列番号7のヌクレオチド472-633))
CCATCTCCAGCCGACCTCTCTCCGGGAGCATCCTCTGTGACCCCGCCTGCCCCTGCGAGAGAGCCAGGACACTCTCCGCAGATCATCTCCTTCTTTCTTGCGCTGACGTCGACTGCGTTGCTCTTCCTGCTGTTCTTCCTCACGCTCCGTTTCTCTGTTGTT(配列番号10)
【0213】
4-1BB ICD配列(配列番号11(配列番号7のヌクレオチド634-759))
AAGCGCGGTCGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTTAAGCAACCCTTCATGAGGCCTGTGCAGACTACTCAAGAGGAGGACGGCTGTTCATGCCGGTTCCCAGAGGAGGAGGAAGGCGGCTGCGAACTG(配列番号11)
【0214】
CD3ゼータ配列(配列番号12(配列番号7のヌクレオチド760-1095))
CGCGTGAAATTCAGCCGCAGCGCAGATGCTCCAGCCTACCAACAGGGGCAGAACCAGCTCTACAACGAACTCAATCTTGGTCGGAGAGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGACGGGACCCAGAAATGGGCGGGAAGCCGCGCAGAAAGAATCCCCAAGAGGGCCTGTACAACGAGCTCCAAAAGGATAAGATGGCAGAAGCCTATAGCGAGATTGGTATGAAAGGGGAACGCAGAAGAGGCAAAGGCCACGACGGACTGTACCAGGGACTCAGCACCGCCACCAAGGACACCTATGACGCTCTTCACATGCAGGCCCTGCCGCCTCGG(配列番号12)
【0215】
CD8リーダー(ヌクレオチド1-63(配列番号14));APRIL配列(ヌクレオチド64-471(配列番号15));4-1BBヒンジ及びTM配列(ヌクレオチド472-633(配列番号16));4-1BB ICD配列(ヌクレオチド634-759(配列番号17));CD3シータ配列(ヌクレオチド760-1200)(配列番号18))を含む、pMGH77-APRIL/4-1BBTM/4-1BB/CD3シータ(配列番号13)。
ATGGCCCTCCCTGTCACCGCCCTGCTGCTTCCGCTGGCTCTTCTGCTCCACGCCGCTCGGCCCCACTCTGTCCTGCACCTGGTTCCCATTAACGCCACCTCCAAGGATGACTCCGATGTGACAGAGGTGATGTGGCAACCAGCTCTTAGGCGTGGGAGAGGCCTACAGGCCCAAGGATATGGTGTCCGAATCCAGGATGCTGGAGTTTATCTGCTGTATAGCCAGGTCCTGTTTCAAGACGTGACTTTCACCATGGGTCAGGTGGTGTCTCGAGAAGGCCAAGGAAGGCAGGAGACTCTATTCCGATGTATAAGAAGTATGCCCTCCCACCCGGACCGGGCCTACAACAGCTGCTATAGCGCAGGTGTCTTCCATTTACACCAAGGGGATATTCTGAGTGTCATAATTCCCCGGGCAAGGGCGAAACTTAACCTCTCTCCACATGGAACCTTCCTGGGGTTTGTGAAACTGCCATCTCCAGCCGACCTCTCTCCGGGAGCATCCTCTGTGACCCCGCCTGCCCCTGCGAGAGAGCCAGGACACTCTCCGCAGATCATCTCCTTCTTTCTTGCGCTGACGTCGACTGCGTTGCTCTTCCTGCTGTTCTTCCTCACGCTCCGTTTCTCTGTTGTTAAGCGCGGTCGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTTAAGCAACCCTTCATGAGGCCTGTGCAGACTACTCAAGAGGAGGACGGCTGTTCATGCCGGTTCCCAGAGGAGGAGGAAGGCGGCTGCGAACTGCGCGTGAAATTCAGCCGCAGCGCAGATGCTCCAGCCTACCAACAGGGGCAGAACCAGCTCTACAACGAACTCAATCTTGGTCGGAGAGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGACGGGACCCAGAAATGGGCGGGAAGCCGCGCAGAAAGAATCCCCAAGAGGGCCTGTACAACGAGCTCCAAAAGGATAAGATGGCAGAAGCCTATAGCGAGATTGGTATGAAAGGGGAACGCAGAAGAGGCAAAGGCCACGACGGACTGTACCAGGACAGCCACTTCCAAGCAGTTCCAGTACAGGAAAAGAAAAAAAGGCTCAGAAGGGCACCGTGGCGTGCATTCGCCCAGCCCCAGAGGTTAAAGCACCGAAACAATGAACTACCTGACTCCCTAGAGCCCATATATAAAAACATTTGGAACAAAACATTTATAGGAGAG(配列番号13)
【0216】
CD8リーダー配列(配列番号14(配列番号13のヌクレオチド1-63))
ATGGCCCTCCCTGTCACCGCCCTGCTGCTTCCGCTGGCTCTTCTGCTCCACGCCGCTCGGCCC(配列番号14)
【0217】
APRIL配列(配列番号15(配列番号13のヌクレオチド64-471))
CACTCTGTCCTGCACCTGGTTCCCATTAACGCCACCTCCAAGGATGACTCCGATGTGACAGAGGTGATGTGGCAACCAGCTCTTAGGCGTGGGAGAGGCCTACAGGCCCAAGGATATGGTGTCCGAATCCAGGATGCTGGAGTTTATCTGCTGTATAGCCAGGTCCTGTTTCAAGACGTGACTTTCACCATGGGTCAGGTGGTGTCTCGAGAAGGCCAAGGAAGGCAGGAGACTCTATTCCGATGTATAAGAAGTATGCCCTCCCACCCGGACCGGGCCTACAACAGCTGCTATAGCGCAGGTGTCTTCCATTTACACCAAGGGGATATTCTGAGTGTCATAATTCCCCGGGCAAGGGCGAAACTTAACCTCTCTCCACATGGAACCTTCCTGGGGTTTGTGAAACTG(配列番号15)
【0218】
4-1BBヒンジ及びTM配列(配列番号16(配列番号13のヌクレオチド472-633))
CCATCTCCAGCCGACCTCTCTCCGGGAGCATCCTCTGTGACCCCGCCTGCCCCTGCGAGAGAGCCAGGACACTCTCCGCAGATCATCTCCTTCTTTCTTGCGCTGACGTCGACTGCGTTGCTCTTCCTGCTGTTCTTCCTCACGCTCCGTTTCTCTGTTGTT(配列番号16)
【0219】
4-1BB ICD配列(配列番号17(ヌクレオチド634-759 配列番号13))
AAGCGCGGTCGGAAGAAGCTGCTGTACATCTTTAAGCAACCCTTCATGAGGCCTGTGCAGACTACTCAAGAGGAGGACGGCTGTTCATGCCGGTTCCCAGAGGAGGAGGAAGGCGGCTGCGAACTG(配列番号17)
【0220】
CD3シータ配列(配列番号18(配列番号13のヌクレオチド760-1200))
CGCGTGAAATTCAGCCGCAGCGCAGATGCTCCAGCCTACCAACAGGGGCAGAACCAGCTCTACAACGAACTCAATCTTGGTCGGAGAGAGGAGTACGACGTGCTGGACAAGCGGAGAGGACGGGACCCAGAAATGGGCGGGAAGCCGCGCAGAAAGAATCCCCAAGAGGGCCTGTACAACGAGCTCCAAAAGGATAAGATGGCAGAAGCCTATAGCGAGATTGGTATGAAAGGGGAACGCAGAAGAGGCAAAGGCCACGACGGACTGTACCAGGACAGCCACTTCCAAGCAGTTCCAGTACAGGAAAAGAAAAAAAGGCTCAGAAGGGCACCGTGGCGTGCATTCGCCCAGCCCCAGAGGTTAAAGCACCGAAACAATGAACTACCTGACTCCCTAGAGCCCATATATAAAAACATTTGGAACAAAACATTTATAGGAGAG(配列番号18)
【0221】
実施例6
本明細書において他の場所で記載した通り、特定の残基が、BCMA/TACI、すなわち、APRILのD132、T175、D205、R206、R231への結合に関与する。これらの残基の位置を、以下で太字で描く。
【0222】
CD8リーダー(アミノ酸1-21(配列番号20));APRIL配列(アミノ酸22-157(配列番号21));CD8ヒンジ及びTM配列(アミノ酸158-226(配列番号22));4-1BB ICD配列(アミノ酸227-268(配列番号23));CD3ゼータ配列(アミノ酸269-380)(配列番号24))を含む、pMGH71-CD8リーダー/APRIL/CD8ヒンジ+TM/4-1BB/CD3z(配列番号19)。
MALPVTALLLPLALLLHAARPHSVLHLVPINATSKDDSDVTEVMWQPALRRGRGLQAQGYGVRIQDAGVYLLYSQVLFQDVTFTMGQVVSREGQGRQETLFRCIRSMPSHPDRAYNSCYSAGVFHLHQGDILSVIIPRARAKLNLSPHGTFLGFVKLTTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号19)
【0223】
CD8リーダー配列(配列番号20(配列番号19のアミノ酸1-21))
MALPVTALLLPLALLLHAARP(配列番号20)
【0224】
APRIL配列(配列番号21(配列番号19のアミノ酸22-157))
HSVLHLVPINATSKDDSDVTEVMWQPALRRGRGLQAQGYGVRIQDAGVYLLYSQVLFQDVTFTMGQVVSREGQGRQETLFRCIRSMPSHPDRAYNSCYSAGVFHLHQGDILSVIIPRARAKLNLSPHGTFLGFVKL(配列番号21)
【0225】
CD8ヒンジ及びTM配列(配列番号22(配列番号19のアミノ酸158-226))
TTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYC(配列番号22)
【0226】
4-1BB ICD配列(配列番号23(配列番号19のアミノ酸227-268))
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号23)
【0227】
CD3ゼータ配列(配列番号24(配列番号19のアミノ酸269-380))
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号24)
【0228】
pMGH76-CD8リーダー/APRIL/4-1BBヒンジ+TM/4-1BB/CD3z(配列番号25)は、CD8リーダー(アミノ酸1-21(配列番号26));APRIL配列(アミノ酸22-157(配列番号27));4-1BBヒンジ及びTM配列(アミノ酸158-211(配列番号28));4-1BB ICD配列(アミノ酸212-253(配列番号29));CD3ゼータ配列(アミノ酸254-365(配列番号30))を含む。
MALPVTALLLPLALLLHAARPHSVLHLVPINATSKDDSDVTEVMWQPALRRGRGLQAQGYGVRIQDAGVYLLYSQVLFQDVTFTMGQVVSREGQGRQETLFRCIRSMPSHPDRAYNSCYSAGVFHLHQGDILSVIIPRARAKLNLSPHGTFLGFVKLPSPADLSPGASSVTPPAPAREPGHSPQIISFFLALTSTALLFLLFFLTLRFSVVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号25)
【0229】
CD8リーダー配列(配列番号26(配列番号25のアミノ酸1-21))
MALPVTALLLPLALLLHAARP(配列番号26)
【0230】
APRIL配列(配列番号27(配列番号25のアミノ酸22-157))
HSVLHLVPINATSKDDSDVTEVMWQPALRRGRGLQAQGYGVRIQDAGVYLLYSQVLFQDVTFTMGQVVSREGQGRQETLFRCIRSMPSHPDRAYNSCYSAGVFHLHQGDILSVIIPRARAKLNLSPHGTFLGFVKL(配列番号27)
4-1BBヒンジ及びTM配列(配列番号28(配列番号25のアミノ酸158-211))
PSPADLSPGASSVTPPAPAREPGHSPQIISFFLALTSTALLFLLFFLTLRFSVV(配列番号28)
【0231】
4-1BB ICD配列(配列番号29(配列番号25のアミノ酸212-253))
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号29)
【0232】
CD3ゼータ配列(配列番号30(配列番号25のアミノ酸254-365)
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR(配列番号30)
【0233】
pMGH77-CD8リーダー/APRIL/4-1BBヒンジ+TM/4-1BB/CD3シータ(配列番号31)は、CD8リーダー(アミノ酸1-21(配列番号32));APRIL配列(アミノ酸22-157(配列番号33));4-1BBヒンジ及びTM配列(アミノ酸158-211(配列番号34));4-1BB ICD配列(アミノ酸212-253(配列番号35));CD3シータ配列(アミノ酸254-400)(配列番号36))を含む。
MALPVTALLLPLALLLHAARPHSVLHLVPINATSKDDSDVTEVMWQPALRRGRGLQAQGYGVRIQDAGVYLLYSQVLFQDVTFTMGQVVSREGQGRQETLFRCIRSMPSHPDRAYNSCYSAGVFHLHQGDILSVIIPRARAKLNLSPHGTFLGFVKLPSPADLSPGASSVTPPAPAREPGHSPQIISFFLALTSTALLFLLFFLTLRFSVVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQDSHFQAVPVQEKKKRLRRAPWRAFAQPQRLKHRNNELPDSLEPIYKNIWNKTFIGE(配列番号31)
【0234】
CD8リーダー配列(配列番号32(配列番号31のアミノ酸1-21))
MALPVTALLLPLALLLHAARP(配列番号32)
【0235】
APRIL配列(配列番号33(配列番号31のアミノ酸22-157))
HSVLHLVPINATSKDDSDVTEVMWQPALRRGRGLQAQGYGVRIQDAGVYLLYSQVLFQDVTFTMGQVVSREGQGRQETLFRCIRSMPSHPDRAYNSCYSAGVFHLHQGDILSVIIPRARAKLNLSPHGTFLGFVKL(配列番号33)
【0236】
4-1BBヒンジ及びTM配列(配列番号34(配列番号31のアミノ酸158-211))
PSPADLSPGASSVTPPAPAREPGHSPQIISFFLALTSTALLFLLFFLTLRFSVV(配列番号34)
【0237】
4-1BB ICD配列(配列番号35(配列番号31のアミノ酸212-253))
KRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL(配列番号35)
【0238】
CD3シータ配列(配列番号36(配列番号31のアミノ酸254-400))
RVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQDSHFQAVPVQEKKKRLRRAPWRAFAQPQRLKHRNNELPDSLEPIYKNIWNKTFIGE(配列番号36)
【0239】
実施例7
多量体抗原を標的にするCARを増強するためのリガンドオリゴマー形成
本研究において記載する仕事において、天然のオリゴマー形成(例えば、ホモトリマー形成)を使用して、それらのコグネート受容体を発現する細胞に対して増大した活性を有するリガンドベースのCARを開発した。TNFスーパーファミリーのリガンドを含む、細胞表面受容体についてのある特定のリガンドは、オリゴマー形成して(例えば、トリマー形成して)、それらのコグネート受容体に結合することが知られている。例えば、上で記載した通り、ヒト骨髄腫は、有効な抗腫瘍抗原:BCMA及びTACIについて標的化し得る2種の表面抗原を発現することが知られている。BCMI及びTACIは、TACI及びBCMAに対するナノモルの親和性で結合する小型の自己形成トリマーである、一般的なリガンド、APRILを共有する。
【0240】
ホモトリマーAPRIL CARコンストラクトを設計し、構築した(図16)。このコンストラクトを、本明細書において「TriPRIL CAR」として言及し、リンカーを通じて結び付けられた3個のタンデムAPRILポリペプチド、CD8ヒンジ/膜貫通型ドメイン(CD8TM)、4-1BB細胞内ドメイン(4-1BB)、及びCD3ζ細胞内ドメイン(CD3ζ)を含む。このコンストラクトを、プロモーター(例えば、EF1αプロモーター)に作動可能に結合する。
【0241】
初代ヒトT細胞へのTriPRIL CARコンストラクトの伝達効率を、評価した(図17)。形質導入していないコントロールについてのおよそ0.46%と比較して、細胞のおよそ22.6%が、mCherry陽性であった。それ故、TriPRIL CARコンストラクトを、初代ヒトT細胞に導入することができる。
【0242】
TriPRIL CARを発現するT細胞は、BCMA及びTACIを発現する細胞の特異的殺傷を示した(図18)。それ故、TriPRIL CARは、BCMA、TACI、及び/又はBAFF受容体を発現する腫瘍、例えば、骨髄腫の処置のための有用な治療剤である。
【0243】
他の自己オリゴマー形成リガンド(例えば、TNFスーパーファミリーリガンド(例えば、TNF-アルファ、リンホトキシンベータ、OX40L、CD154、FasL、LIGHT、TL1A、CD70、Siva、CD153、4-1BBリガンド、TRAIL、RANKL、TWEAK、BAFF、CAMLG、LIGHT、NGF、BDNF、NT-3、NT-4、GITRリガンド、TL1A、又はEDA-A2))を使用した類似のCARコンストラクトを使用して、コグネート受容体を発現する非所望の細胞、例えば、腫瘍細胞の殺傷を標的にすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図15-1】
図16
図17
図18
【配列表】
0007382829000001.app