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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】半導体装置の配線形成方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/20 20060101AFI20231110BHJP
   B41M 1/10 20060101ALI20231110BHJP
   B41M 3/00 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
H05K3/20 C
B41M1/10
B41M3/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020001348
(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公開番号】P2021111668
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510018649
【氏名又は名称】コネクテックジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】小松 裕司
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-154782(JP,A)
【文献】特開2003-298214(JP,A)
【文献】国際公開第2018/105353(WO,A1)
【文献】特開2008-179034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/20
B41M 1/10
B41M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスターモールドから作製したレプリカモールドを用いたインプリント法により基板に配線を転写形成する半導体装置の配線形成方法であって、前記レプリカモールドに形成された所定パターンを呈する凹部に、導電性材料の平均粒子径が0.1μm~20μmに設定されている導電性ペーストに紫外線硬化型樹脂が含有された紫外線硬化型樹脂含有導電性ペーストを充填する導電性ペースト充填処理工程と、前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペーストが充填された前記レプリカモールド前記基板に重ね合わせるレプリカモールド重ね合わせ処理工程と、前記基板に前記レプリカモールドを重ね合わせた状態で前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペーストに紫外線を照射し、前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペーストを硬化させる導電性ペースト硬化処理工程と、前記レプリカモールドを前記基板から離脱させて前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペーストを前記基板に転写し所定パターンの配線を形成する導電性ペースト転写処理工程とを有し、前記導電性ペースト硬化処理工程は、前記紫外線を前記レプリカモールドの前記凹部の底側から照射し、前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペーストの前記凹部との接触界面部分のみを硬化させることを特徴とする半導体装置の配線形成方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の配線形成方法において、前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペーストは、前記紫外線硬化型樹脂の体積含有率が70%以下であることを特徴とする半導体装置の配線形成方法。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の半導体装置の配線形成方法において、前記基板に加圧により変形する中間層を設け、この中間層上に前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペーストが充填された前記レプリカモールドを重ね合わせ、この中間層を介して前記基板上に前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペーストを転写することを特徴とする半導体装置の配線形成方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の配線形成方法において、前記中間層は、活性光線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂により形成されることを特徴とする半導体装置の配線形成方法。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の半導体装置の配線形成方法において、前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペーストに含有される前記導電性材料の平均粒子径は、前記基板に転写形成される前記配線の最小線幅の1/5~1/10に設定されていることを特徴とする半導体装置の配線形成方法。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載の半導体装置の配線形成方法において、前記凹部は、前記配線が順テーパー形状となるテーパー状凹部に形成されていることを特徴とする半導体装置の配線形成方法。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載の半導体装置の配線形成方法において、前記凹部は、前記基板に転写形成される前記配線が、アスペクト比2~3となる形状に形成されていることを特徴とする半導体装置の配線形成方法。
【請求項8】
請求項1~7いずれか1項に記載の半導体装置の配線形成方法において、前記レプリカモールドは、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリジメチルシロキサン、ポリイミドのいずれかの樹脂材料からなることを特徴とする半導体装置の配線形成方法。
【請求項9】
請求項1~8いずれか1項に記載の半導体装置の配線形成方法において、前記導電性ペーストは、銀ペースト、銀ナノペースト、銅ペースト、銅ナノペースト、金ペースト、金ナノペースト、白金ペースト、白金ナノペースト、パラジウムペースト、パラジウムナノペースト、ルテニウムペースト、ルテニウムナノペースト、炭素ペースト、炭素ナノペーストのいずれかであることを特徴とする半導体装置の配線形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の配線形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体チップの配線ルールの微細化によりチップサイズの小型化が進んでいる。一方で、チップを実装する基板(半導体パッケージ基板)は、現状、バンプピッチの微細化に限界があるため、チップサイズと同じ割合で基板面積を小型化することが難しくなってきている。
【0003】
このような背景のもと、本出願人は、グレイスケールリソグラフィーとインプリント技術を利用して基板配線を狭ピッチ化する技術の開発を進め、特開2016-58664号公報に開示される導電部を有する基板の製造方法(以下、従来例という。)を提案している。
【0004】
この従来例は、基板上に形成する配線パターンと同様のパターンに形成される凹部を備える印刷版の前記凹部に導電性ペーストを充填し、この凹部に導電性ペーストが充填された印刷版を基板に重ね合わせて圧接することで、この印刷版の凹部に充填された導電性ペーストを基板に転写して、基板上に所定パターンの配線を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-58664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、本出願人は、上述した従来例において、導電性ペーストに熱硬化型樹脂が含有された熱硬化型樹脂含有導電性ペーストを用いており、印刷版の凹部に充填された導電性ペーストを基板に転写する際に、加熱処理により導電性ペーストの印刷版と接している部位の樹脂を硬化させ、導電性ペーストの印刷版に対する離型性を向上させている。
【0007】
しかしながら、この従来例においては、熱硬化型樹脂含有導電性ペーストを用いることで離型性が向上する反面、加熱処理によって熱膨張や熱収縮が生じ、これに起因したパターンの変形が生じたり、パターンが変形することで印刷版と導電性ペーストとの間に応力が生じ、この応力に起因した不完全転写が生じる可能性が高まると共に、加熱処理において一定時間加熱状態を保持する必要があるため、処理時間が長くなりスループットが低下する問題が生じる懸念がある。
【0008】
本発明はこのような現状に鑑みなされたものであり、基板上に所定の配線パターンを転写形成する際に導電性ペーストを硬化させた際のパターン変形が抑制され、導電性ペーストの完全転写を実現可能とすると共に、短時間で硬化処理を行うことができスループットの向上が図れる実用性に優れた半導体装置の配線形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
マスターモールドから作製したレプリカモールド2を用いたインプリント法により基板1に配線5を転写形成する半導体装置の配線形成方法であって、前記レプリカモールド2に形成された所定パターンを呈する凹部3に、導電性材料の平均粒子径が0.1μm~20μmに設定されている導電性ペーストに紫外線硬化型樹脂が含有された紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を充填する導電性ペースト充填処理工程と、前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4が充填された前記レプリカモールド2を前記基板1に重ね合わせるレプリカモールド重ね合わせ処理工程と、前記基板1に前記レプリカモールド2を重ね合わせた状態で前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4に紫外線を照射し、前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を硬化させる導電性ペースト硬化処理工程と、前記レプリカモールド2を前記基板1から離脱させて前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を前記基板1に転写し所定パターンの配線5を形成する導電性ペースト転写処理工程とを有し、前記導電性ペースト硬化処理工程は、前記紫外線を前記レプリカモールド2の前記凹部3の底側から照射し、前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4の前記凹部3との接触界面部分のみを硬化させることを特徴とする半導体装置の配線形成方法に係るものである。
【0011】
また、請求項1記載の半導体装置の配線形成方法において、前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4は、前記紫外線硬化型樹脂の体積含有率が70%以下であることを特徴とする半導体装置の配線形成方法に係るものである。
【0012】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の半導体装置の配線形成方法において、前記基板1に加圧により変形する中間層6を設け、この中間層6上に前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4が充填された前記レプリカモールド2を重ね合わせ、この中間層6を介して前記基板1上に前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を転写することを特徴とする半導体装置の配線形成方法に係るものである。
【0013】
また、請求項3記載の半導体装置の配線形成方法において、前記中間層6は、活性光線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂により形成されることを特徴とする半導体装置の配線形成方法に係るものである。
【0014】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の半導体装置の配線形成方法において、前記紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4に含有される前記導電性材料の平均粒子径は、前記基板1に転写形成される前記配線5の最小線幅の1/5~1/10に設定されていることを特徴とする半導体装置の配線形成方法に係るものである。
【0015】
また、請求項1~5いずれか1項に記載の半導体装置の配線形成方法において、前記凹部3は、前記配線5が順テーパー形状となるテーパー状凹部に形成されていることを特徴とする半導体装置の配線形成方法に係るものである。
【0016】
また、請求項1~6いずれか1項に記載の半導体装置の配線形成方法において、前記凹部3は、前記基板1に転写形成される前記配線5が、アスペクト比2~3となる形状に形成されていることを特徴とする半導体装置の配線形成方法に係るものである。
【0017】
また、請求項1~7いずれか1項に記載の半導体装置の配線形成方法において、前記レプリカモールド2は、シクロオレフィンポリマー、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリジメチルシロキサン、ポリイミドのいずれかの樹脂材料からなることを特徴とする半導体装置の配線形成方法に係るものである。
【0018】
また、請求項1~8いずれか1項に記載の半導体装置の配線形成方法において、前記導電性ペーストは、銀ペースト、銀ナノペースト、銅ペースト、銅ナノペースト、金ペースト、金ナノペースト、白金ペースト、白金ナノペースト、パラジウムペースト、パラジウムナノペースト、ルテニウムペースト、ルテニウムナノペースト、炭素ペースト、炭素ナノペーストのいずれかであることを特徴とする半導体装置の配線形成方法に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は上述のようにしたから、基板上に所定の配線パターンを転写形成する際に導電性ペーストを硬化させた際のパターン変形が抑制され、導電性ペーストの完全転写が実現可能となり、さらに、活性光線硬化型樹脂は硬化に必要な活性光線を照射すれば短時間で(瞬時に)硬化が進むため、硬化処理に掛かる時間が短縮でき、スループットの向上を図ることができ、しかも、本発明は、導電性材料の平均粒子径が0.1μm~20μmに設定されている導電性ペーストに紫外線硬化型樹脂が含有されてなる紫外線硬化型樹脂含有導電性ペーストを用いるから、基板上に転写形成される配線パターンの形状がスムーズな形状(凹凸の少ない滑らかな形状)となり、これにより配線間の局所的な電界集中が緩和され、配線の長期的信頼性が向上する従来にない画期的な半導体装置の配線形成方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施例の工程フロー図である。
図2】本実施例における製造途中の半導体装置を示す説明模式断面図である。
図3】本実施例の別例(中間層無しの場合)における製造途中の半導体装置を示す説明模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0022】
レプリカモールド2に形成された凹部3に紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を充填し、この紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を充填したレプリカモールド2を基板1に重ね合わせ(基板1をレプリカモールド2に重ね合わせても良い)、例えばレプリカモールド2側から紫外線を照射して凹部3内に充填された紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4の凹部3との接触界面部分を硬化させた後、レプリカモールド2を基板1から離脱させる。
【0023】
これによりレプリカモールド2の凹部3に充填した紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4が基板1に転写され、基板1に所定パターンの配線5が形成される。なお、予め紫外線を照射して凹部3内に充填された紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4の凹部3との接触界面部分を硬化させた後に印刷版2を基板1に重ね合わせても良い。
【0024】
本発明は、前述のとおり、配線5を形成する導電性ペーストとして紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を用い、紫外線の照射によりこの紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を硬化させるから、紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4のレプリカモールド2に対する離型性が向上すると共に、熱硬化させた場合に生じるパターン変形や不完全転写の不具合の発生が防止され、さらに、熱硬化させた場合に比べて硬化処理に掛かる時間が短くなり(瞬時で硬化が進む)、スループットも向上する。
【0025】
しかも、本発明は、導電性材料の平均粒子径が0.1μm~20μmに設定されている導電性ペーストに紫外線硬化型樹脂が含有されてなる紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4により配線5を形成するから、基板1に形成される配線5の形状がスムーズな形状(凹凸の少ない滑らかな形状)となり、これにより配線間の局所的な電界集中が緩和され、配線の長期的信頼性が向上する。
【0026】
このように、本発明は、従来にない画期的な半導体装置の配線形成方法となる。
【実施例
【0027】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0028】
本実施例は、半導体装置の製造方法(半導体装置の配線形成方法)である。
【0029】
具体的には、インプリント法を用いて基板1に所定パターンの導電部5(配線)を形成する方法であり、印刷版2に形成された所定パターンを呈する凹部3に導電性材料の平均粒子径が0.1μm~20μmに設定されている導電性ペーストに活性光線硬化型樹脂が含有されてなる活性光線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を充填する工程(導電性ペースト充填処理工程)と、前記活性光線硬化型樹脂含有導電性ペースト4が充填された前記印刷版2を基板1に重ね合わせる工程(印刷版重ね合わせ処理工程)と、前記印刷版2の前記凹部3に充填された前記活性光線硬化型樹脂含有導電性ペースト4に活性光線を照射して、前記活性光線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を硬化させる工程(導電性ペースト硬化処理工程)と、前記印刷版2を前記基板1から離脱させて前記活性光線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を前記基板1に転写してこの基板1上に所定パターンの導電部5を形成する工程(導電性ペースト転写処理工程)とを有するものである。
【0030】
まず、本実施例で用いる部材などについて説明する。
【0031】
基板1は、導電部5が形成される導電部形成面に中間層6が設けられている。この中間層6は、活性光線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を基板1の導電部形成面に均一に接触させるためのものであり、密着性を有し加圧により変形する材質、具体的には、活性光線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂で形成され、少なくとも導電部5が形成される位置に設けられている。
【0032】
また、印刷版2は、基板1に転写形成する所定パターンの導電部5と同様のパターンを呈する凹部3が形成されている。
【0033】
具体的には、本実施例の印刷版2は、予め作製したマスターモールド上に、CO(シクロオレフィンポリマー)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、LCP(液晶ポリマー)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、PI(ポリイミド)などの樹脂材料を滴下し、支持基板で加圧、キュアして形成されるレプリカモールドである。
【0034】
また、凹部3は、配線となる導電部5とバンプとなる導電部5を同時に転写形成し得るように深さが異なる形状に形成されている。
【0035】
具体的には、凹部3は、基板1に転写形成する導電部5がアスペクト比0.5以上、具体的には、バンプとなる導電部5のアスペクト比が2~3となる形状に形成されている。
【0036】
さらに、凹部3は、導電部5が順テーパー形状となるようなテーパー状(順テーパー状)の凹部に形成されている。凹部3をこのようなテーパー形状に形成することで、紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4が離型し易くなりスムーズに転写が行われ歩留まりが向上する。
【0037】
また、導電部5となる活性光線硬化型樹脂含有導電性ペースト4は、導電性ペーストに紫外線照射により硬化する紫外線硬化型樹脂が含有された紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4である。なお、導電部材となる導電性ペーストは、例えば、銀(Ag)ペースト/ナノペースト、銅(Cu)ペースト/ナノペースト、金(Au)ペースト/ナノペースト、白金(Pt)ペースト/ナノペースト、パラジウム(Pd)ペースト/ナノペースト、ルテニウム(Ru)ペースト/ナノペースト、炭素(C)ペースト/ナノペーストなどが採用可能である。
【0038】
この紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4は、活性光線硬化型樹脂(紫外線硬化型樹脂)の体積含有率が70%以下、具体的には、20%~40%に設定されている。すなわち、本実施例に用いる紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4は、導電性ベーストと紫外線硬化型樹脂との体積比が6:4~8:2に設定されている。
【0039】
また、この紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4は、導電性ペーストに含有される導電性材料の平均粒径が0.1μm~20μmに設定されている。なお、導電性材料の平均粒子径は、基板1に形成される導電部5(配線)の最小線幅の1/5~1/10が好ましい。すなわち、例えば、最小L/S(ライン&スペース)=5μm/5μmの導電部5のパターンを形成する場合、導電性材料の平均粒子径が0.5μm~1.0μmに設定されている導電性ペーストに紫外線硬化型樹脂が含有されてなる紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を用いると良い。
【0040】
次に、本実施例の具体的な製造方法について説明する。
【0041】
図1は本実施例の工程フロー図である。また、図2は本実施例における製造途中の半導体装置を示す説明模式断面図である。
【0042】
図1に示すように、本実施例は、まず、導電性ペースト充填処理工程において印刷版2の凹部3に選択的に紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を充填する。充填方法は適宜な手段を用いることができ、本実施例では図2に示すように充填手段としてスキージを用いている。
【0043】
次に、印刷版重ね合わせ処理工程において紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4が充填された印刷版2を基板1に重ね合わせる。
【0044】
具体的には、印刷版2を基板1に重ね合わせた後、加圧し印刷版2を基板1に圧接させる。これにより印刷版2が基板1上の中間層6を押圧し、中間層6が変形して印刷版2の凹部3に充填された紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4の表面(凹部3の開口部から露出している面)がこの中間層6を介して基板1の表面に均一に密接(密着)する。
【0045】
次に、導電性ペースト硬化処理工程において基板1に重ね合わせた印刷版2に対してこの印刷版2側から、すなわち印刷版2の凹部3の底側から紫外線を照射し、この印刷版2の凹部3に充填された紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4の凹部3との接触界面部分を硬化させる。これにより活性光線硬化型樹脂含有導電性ペースト4の印刷版2に対する離型性が向上する。
【0046】
紫外線硬化型樹脂は紫外線照射により瞬時に硬化が進むため加熱処理に比べて処理時間が大幅に短くなる。しかも、本実施例では、凹部3と接触する接触界面近傍の紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4のみを硬化させれば良いので、紫外線照射時間を極短い時間とすることができる。
【0047】
最後に、導電性ペースト転写処理工程において印刷版2を基板1から離脱させて紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を基板1に転写してこの基板1上に所定パターンの導電部5を形成する。
【0048】
なお、導電性ペースト硬化処理工程は、印刷版重ね合わせ処理工程の前に行っても良い。すなわち、印刷版2の凹部3に紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を充填した後、先に紫外線照射により凹部3内の紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4の凹部界面付近を硬化させ、その後、印刷版2を基板1に重ね合わせても良い。
【0049】
また、本実施例は、中間層6がある場合について説明したが、本発明の基板にパターン形成する導電部の形成方法は、図3に示すように中間層6が基板上や図示は省略するが既に配線(配線層)が形成されている基板上に配線やバンプなどの導電部を形成する場合にも採用可能である。
【0050】
本実施例は以上のようにしたから、基板1上に所定パターンの導電部5を転写形成する際に紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を硬化させた際のパターン変形が抑制され、紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4の完全転写を実現可能とすると共に、短時間で硬化処理を行うことができスループットの向上が図れる実用性に優れた基板にパターン形成する導電部の形成方法となる。
【0051】
すなわち、加熱処理により硬化する熱硬化型樹脂含有導電性ペーストを用いた場合、凹部を有する印刷版と導電性ペーストとの熱膨張率の差により、硬化温度に依存して硬化後のパターンが変形したり、このパターンの変形により印刷版と導電性ペーストとの間に応力が生じ完全転写しにくくなる不具合が発生する可能性が高くなる。これに対して、本実施例は、導電部5を形成する導電性ペーストとして紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を用い、紫外線の照射によりこの紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を硬化させるから、熱硬化型樹脂含有導電性ペーストを用いて加熱処理により硬化させる場合に比べてパターン変形が低減され、応力の発生も抑制され、100%完全転写が可能となり、さらに硬化時間が大幅に短縮されスループットが向上するものとなる。
【0052】
また、本実施例は、導電性ペーストに含有される導電性材料の平均粒子径が0.1μm~20μmに設定されている紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を用いるから、基板1に形成される導電部5(配線及びバンプ)の形状がスムーズな形状(凹凸の少ない滑らかな形状)となり、これにより導電部5間の局所的な電界集中が緩和され、導電部5の長期的信頼性が向上するものとなり、さらに本実施例は、印刷版2の凹部3の接触界面近傍の紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4のみを硬化させれば良いから、導電性材料の粒子径を自由に設計することも可能となる。
【0053】
また、本実施例は、導電性ベーストと紫外線硬化型樹脂との体積比が6:4~8:2に設定されている紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を用いるから、紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4によって形成される導電部5(配線)の最終的な抵抗値を下げることが可能となる。
【0054】
また、本実施例は、基板1に加圧により変形する中間層6を設け、この中間層6を介して基板1上に紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を転写するから、印刷版2を基板1に重ね合わせて加圧した際に中間層6が変形して印刷版2が基板1の転写面に均一に密着するので、より一層確実に紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4を完全転写することが可能となる。
【0055】
また、本実施例は、印刷版2の凹部3の形状をテーパー状(順テーパー状)に形成しているから、導電部5が順テーパー形状となり、転写時の紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト4の印刷版2の凹部3からの離型性が向上し離脱がスムーズに行われ、導電性ペースト転写処理工程における歩留りが向上する。
【0056】
このように、本実施例は、上述したような画期的な作用効果を発揮し、さらに高アスペクト比の配線及びバンプを良好に且つ容易に形成することができる従来にない画期的な基板にパターン形成する導電部の形成方法となる。
【0057】
なお、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0058】
1 基板
レプリカモールド、印刷版
3 凹部
紫外線硬化型樹脂含有導電性ペースト、活性光線硬化型樹脂含有導電性ペースト
配線、導電部
6 中間層
図1
図2
図3