(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60W 30/182 20200101AFI20231110BHJP
F02D 29/02 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
B60W30/182
F02D29/02 321A
(21)【出願番号】P 2020007963
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】柳田 歩
(72)【発明者】
【氏名】守屋 史之
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-144284(JP,A)
【文献】特開2016-175497(JP,A)
【文献】国際公開第2018/189904(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-60/00
F02D 29/00-29/06
B60K 6/20- 6/547
B60L 1/00- 3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転操作に追従してトルクが変化する第1走行モードと、前記第1走行モードよりも惰性走行に近い走行を行う第2走行モードとに切り替え可能なモード制御部と、
運転操作に基づき目標トルクを算出する目標トルク算出部と、
前記第1走行モードにおいて第1変化量制限を加えて前記目標トルクに追従する指示トルクを算出する第1指示トルク算出部と、
前記第2走行モードにおいて指示トルクをゼロに近づけた後に前記第1変化量制限よりも制限が強い第2変化量制限を加えて前記目標トルクに追従する指示トルクを算出する第2指示トルク算出部と、
算出された前記指示トルクが駆動輪に出力されるように動力源又は制動部を駆動する駆動制御部と、
を備えることを特徴とする車両。
【請求項2】
運転者が操作可能な走行モード切り替え用の第1操作部を備え、
前記モード制御部は、前記第1操作部の操作に基づいて前記第1走行モードから前記第2走行モードへ切り替えることを特徴とする請求項1記載の車両。
【請求項3】
前記モード制御部は、前記第2指示トルク算出部が算出した指示トルクと前記目標トルクとの差分が閾値以下になった場合に、前記第2走行モードから前記第1走行モードへ切り替えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両。
【請求項4】
前記目標トルク算出部は、前記第1走行モードから前記第2走行モードへ切り替わる際に、ゼロのアクセル操作量に対応する目標トルクを、負で絶対値が大きくなる方へシフトするように、アクセル操作量と目標トルクとの関係を変更することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両。
【請求項5】
前記目標トルク算出部は、前記第1走行モードから前記第2走行モードへ切り替わる際に、ゼロのアクセル操作量に対応する目標トルクを、負で絶対値が大きくなる方へシフトするように、アクセル操作量と目標トルクとの関係を変更する場合と、アクセル操作量と目標トルクとの関係を変更しない場合とに、所定条件で切り替えられ、
前記関係を変更する場合の前記第2変化量制限の値の方が、前記関係を変更しない場合の前記第2変化量制限の値よりも、制限が強い値に設定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両。
【請求項6】
走行用の動力を発生するエンジンを更に備え、
前記駆動制御部は、前記エンジンがアイドリング運転されている場合にエンジンを停止するアイドリングストップ制御を発動可能であり、
前記駆動制御部は、走行モードが前記第2走行モードへ切り替わったことに基づいて、前記アイドリングストップ制御を発動することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両。
【請求項7】
運転者が操作可能な第2操作部を備え、
前記第2走行モード中に前記第2操作部の操作がなされた場合に、前記第2指示トルク算出部は、指示トルクの絶対値を再度低下させることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、惰性走行に近い走行モードを有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クラッチ装置を切断して惰性走行を行う惰性走行モードを有する車両が示されている。惰性走行モードでは、走行損失の低減により、燃費の向上を図ることができる。特許文献1の車両では、所定の走行条件が成立したときに惰性走行モードへ移行し、閾値以上のブレーキ操作があった場合あるいは閾値以上のアクセル操作があった場合に、惰性走行モードが解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
惰性走行モードにおいては、微妙なアクセル操作又は微妙なブレーキ操作無しで、現状の速度を維持して走行できるという利点がある。しかしながら、惰性走行モード中であっても、運転者には僅かに減速又は僅かに加速したいという要求が生じることが予見された。
【0005】
本発明は、現状の速度を維持して走行する場合に、良好な運転操作性が得られる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、
運転操作に追従してトルクが変化する第1走行モードと、前記第1走行モードよりも惰性走行に近い走行を行う第2走行モードとに切り替え可能なモード制御部と、
運転操作に基づき目標トルクを算出する目標トルク算出部と、
前記第1走行モードにおいて第1変化量制限を加えて前記目標トルクに追従する指示トルクを算出する第1指示トルク算出部と、
前記第2走行モードにおいて指示トルクをゼロに近づけた後に前記第1変化量制限よりも制限が強い第2変化量制限を加えて前記目標トルクに追従する指示トルクを算出する第2指示トルク算出部と、
算出された前記指示トルクが駆動輪に出力されるように動力源又は制動部を駆動する駆動制御部と、
を備えることを特徴とする車両である。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両において、
運転者が操作可能な走行モード切り替え用の第1操作部を備え、
前記モード制御部は、前記第1操作部の操作に基づいて前記第1走行モードから前記第2走行モードへ切り替えることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の車両において、
前記モード制御部は、前記第2指示トルク算出部が算出した指示トルクと前記目標トルクとの差分が閾値以下になった場合に、前記第2走行モードから前記第1走行モードへ切り替えることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両において、
前記目標トルク算出部は、前記第1走行モードから前記第2走行モードへ切り替わる際に、ゼロのアクセル操作量に対応する目標トルクを、負で絶対値が大きくなる方へシフトするように、アクセル操作量と目標トルクとの関係をすることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両において、
前記目標トルク算出部は、前記第1走行モードから前記第2走行モードへ切り替わる際に、ゼロのアクセル操作量に対応する目標トルクを、負で絶対値が大きくなる方へシフトするように、アクセル操作量と目標トルクとの関係を変更する場合と、アクセル操作量と目標トルクとの関係を変更しない場合とに、所定条件で切り替えられ、
前記関係を変更する場合の前記第2変化量制限の値の方が、前記関係を変更しない場合の前記第2変化量制限の値よりも、制限が強い値に設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両において、
走行用の動力を発生するエンジンを更に備え、
前記駆動制御部は、前記エンジンがアイドリング運転されている場合にエンジンを停止するアイドリングストップ制御を発動可能であり、
前記駆動制御部は、走行モードが前記第2走行モードへ切り替わったことに基づいて、前記アイドリングストップ制御を発動することを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の車両において、
運転者が操作可能な第2操作部を備え、
前記第2走行モード中に前記第2操作部の操作がなされた場合に、前記第2指示トルク算出部は、指示トルクの絶対値を再度低下させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第2走行モードに切り替わると、指示トルクがゼロに近づけられるので、現状の速度をほぼ維持した走行へ移行できる。さらに、第2指示トルク算出部が、第1変化量制限よりも制限の強い第2変化量制限を加えて目標トルクに追従する指示トルクを計算する。したがって、第2走行モードの走行中、運転者に僅かな減速要求又は僅かな加速要求が生じた場合に、比較的に大きなアクセル操作又は制動操作を行うことにより、要求に応じた減速又は加速を実現できる。すなわち、微妙な運転操作が不要なため、良好な運転操作性が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態1の車両を示すブロック図である。
【
図2】アクセル操作量と目標トルクとの関係を示す図で、(A)は通常操作モードにおける関係、(B)はワンペダル操作モードにおける関係である。
【
図3】惰性走行モードを信号停止時に利用した場合の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図4】実施形態2のモード制御部が実行する走行モード切替処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態2の惰性走行モードを信号停止時に利用した場合の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図6】実施形態3の指示トルク算出部が実行する惰性走行モード切替時の初期設定処理を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態4の駆動制御部が実行する走行モード切替え時処理を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態5のモード制御部及び指示トルク算出部が実行するボタン操作入力処理のフローチャートである
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1の車両を示すブロック図である。実施形態1の車両1は、HEV(Hybrid Electric Vehicle)であり、駆動輪2と、駆動輪2に走行用の動力を出力する走行モータ(動力源)3と、走行モータ3を駆動するインバータ4と、インバータ4へ走行用の電力を供給するバッテリ5と、駆動輪2に走行用の動力を出力するエンジン(内燃機関:動力源)6と、エンジン6を駆動する補機7とを有する。インバータ4は、走行モータ3を力行運転することで駆動輪2に加速トルクを出力でき、走行モータ3を回生運転することで駆動輪2に減速トルクを出力できる。さらに、車両1は、運転者により操作されるブレーキペダル11、アクセルペダル12及び操舵ハンドル13を含む運転操作部10と、運転者により操作可能な惰性走行モードボタン14と、運転者にワンペダルモードであることを表示するワンペダル表示部15と、運転者に惰性走行モードであることを表示する走行モード表示部16と、各部を制御する制御部20とを備える。惰性走行モードボタン14は、本発明に係る第1操作部及び第2操作部の一例に相当する。
【0017】
運転操作部10と惰性走行モードボタン14との操作信号は制御部20へ入力される。制御部20は、運転操作部10及び惰性走行モードボタン14の操作信号を受けて、車両1の制御を行う。例えば、制御部20は、インバータ4又は補機7を駆動して走行モータ3又はエンジン6に動力を発生させ、駆動輪2に加速トルクを出力できる。また、制御部20は、走行モータ3を回生運転することで、駆動輪2に減速トルク(制動力)を出力できる。制御部20は、図示略の制動機構を駆動して、駆動輪2に減速トルク(制動力)を出力する構成が採用れてもよい。さらに、制御部20は、ワンペダル表示部15と走行モード表示部16とに表示用の信号を出力し、これらの表示を切り替えることができる。回生運転される走行モータ3又は制動機構は、本発明に係る制動部の一例に相当する。
【0018】
制御部20は、1つのECU(Electronic Control Unit)から構成されてもよいし、複数のECUが連携して動作する構成としてもよい。ECUには、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)と、計算処理を行うCPU(Central Processing Unit)とが含まれ、CPUが制御プログラムを実行することで、制御部20において複数の機能モジュールが実現される。複数の機能モジュールには、走行モードの切り替えを行うモード制御部21と、運転操作部10の操作信号及びシステム要求に基づき目標トルクを算出する目標トルク算出部22と、目標トルクに基づき指示トルクを算出する指示トルク算出部23と、指示トルクが駆動輪2から出力されるように走行モータ3、エンジン6又は制動機構を駆動する駆動制御部24とが含まれる。通常走行モード時における指示トルク算出部23が、本発明に係る第1指示トルク算出部の一例に相当し、惰性走行モード時における指示トルク算出部23が、本発明に係る第2指示トルク算出部の一例に相当する。
【0019】
目標トルク算出部22は、目標トルクデータテーブル22aに基づき、アクセルペダル12及びブレーキペダル11の操作量に対応した目標トルクを算出する。アクセルペダル12の操作量が、本発明に係るアクセル操作量の一例に相当する。目標トルクデータテーブル22aには、通常操作モードにおけるデータと、ワンペダル操作モードにおけるデータとが格納されている。
図2(A)は、通常操作モードにおけるアクセルペダルの操作量と目標トルクとの関係を示す図、
図2(B)は、ワンペダル操作モードにおけるアクセルペダルの操作量と目標トルクとの関係を示す図である。
図2(A)に示すように、通常操作モードにおいて目標トルク算出部22が算出する目標トルクは、アクセルペダル12の操作量に応じて大きくなり、アクセルペダル12の操作量がゼロのときに目標トルクがゼロ近傍となる。図示しないが、さらに、通常操作モードにおける目標トルクは、ブレーキペダル11の操作量が大きいほど、負で絶対値が大きくなる。ワンペダル操作モードにおける目標トルクは、
図2(B)に示すように、アクセルペダル12の操作量が第1操作量A1より大きいほど大きくなり、第1操作量A1より小さいほど負で絶対値が大きくなる。負のトルクは減速トルクに相当する。
【0020】
車両1において切替え可能な走行モードには、通常走行モードと、惰性走行モードとが含まれる。通常走行モードは、本発明に係る第1走行モードの一例に相当する。惰性走行モードは、本発明に係る第2走行モードの一例に相当する。
【0021】
通常走行モードは、ブレーキペダル11又はアクセルペダル12の各操作量に追従して、駆動輪2の加速トルク又は減速トルクが得られる走行モードである。指示トルク算出部23は、通常走行モードにおいて、第1変化量制限を加えて目標トルクに追従した指示トルクを算出する。第1変化量制限は、指示トルクの時間変化量を所定値以下に抑える傾き制限により実現されてもよいし、所定の時定数を有する一次遅れフィルタを使用し、目標トルクを一次遅れフィルタに通して指示トルクを得ることで実現されてもよい。第1変化量制限は、通常の運転操作において、指示トルクが速やかに目標トルクに追従する強さに設定される。例えば、第1変化量制限として傾き制限が適用される場合には、1秒で最大トルクの40%程度の時間変化率を傾き制限値として採用されてもよい。また、第1変化量制限として一次遅れフィルタが適用される場合には、1秒で60%程度の時定数が採用されてもよい。第1変化量制限により、アクセルペダル12の急激な操作量の変化があった場合でも、指示トルクは第1変化量制限内で変化し、指示トルクすなわち駆動輪2へ出力されるトルクの急激な変化が抑制される。
【0022】
惰性走行モードは、通常走行モードよりも惰性走行に近い走行を実現できる走行モードである。指示トルク算出部23は、惰性走行モードに切り替わると、まず、指示トルクをゼロに近づける。具体的には、指示トルクをゼロにしてもよいし、ゼロの近傍範囲の値に変更してもよい。惰性走行モードの切り替わり時に、指示トルクがゼロの近傍範囲の値である場合には、指示トルク算出部23は指示トルクの値を変更しなくてもよい。指示トルクの値がゼロに近づくことで、駆動輪2へ出力されるトルクがゼロに近づき、惰性走行に近い走行へ移行される。
【0023】
惰性走行モードにおいて、次に、指示トルク算出部23は、通常走行モードの第1変化量制限よりも強い第2変化量制限を付加して目標トルクに追従する指示トルクを算出する。目標トルクに追従する指示トルクの算出とは、目標トルクに指示トルクが近づいていくような指示トルクの計算を行うことを意味する。第2変化量制限は、例えば、標準的な惰性走行の継続時間を通して、標準的な加速又は減速の操作が継続された場合でも、指示トルクが目標トルクに追いつくことがない程度の強い値が採用される。例えば、第2変化量制限として傾き制限が適用される場合には、5秒で最大トルクの数パーセントの時間変化率を傾き制限値として採用されてもよい。また、第2変化量制限として一次遅れフィルタが適用される場合には、5秒で60%程度の時定数が採用されてもよい。第2変化量制限により、運転者が大きい加速操作又は減速操作を行った場合でも、指示トルクは緩やかに上昇又は下降する。すなわち、運転者による大きな加速操作又な大きな減速操作により微妙な加減速調整が可能となる。
【0024】
モード制御部21は、運転者による惰性走行モードボタン14の操作に基づいて、走行モードを通常走行モードから惰性走行モードへ切り替える。さらに、モード制御部21は、惰性走行モード中に、目標トルクと指示トルクとの差分が閾値以下となった場合に、惰性走行モードを解除する。閾値は、目標トルクと指示トルクとが近づいたことを示す値に設定される。なお、モード制御部21は、惰性走行モードに切り替わった際、既に目標トルクと指示トルクとの差異が閾値以下である場合には、一旦、目標トルクが指示トルクから逸脱したのち上記の差異が閾値以下となった場合に惰性走行モードが解除されるようにヒステリシス制御を行ってもよい。
【0025】
モード制御部21は、上記の条件の他、惰性走行モード中に車速がゼロ(停車)となったら惰性走行モードを解除する。さらに、モード制御部21は、惰性走行モード中に、アクセルペダル12の操作量が解除閾値以上になった場合、並びに、ブレーキペダル11の操作量が閾値以上になった場合に、惰性走行モードを解除してもよい。解除閾値は、蛇行走行モードの継続と解除とを分ける閾値として、設計者が任意に設定すればよい。ただし、解除閾値は、解除閾値未満の範囲(走行モードを継続する操作量の範囲)に、一般道及び高速道路における通常運転時の加速を実現するアクセルペダル12の操作量が含まれるように設定される。
【0026】
駆動制御部24は、指示トルクが駆動輪2から出力されるように駆動制御を行うことに加え、ISS(Idling Stop and Start)制御部24aを含み、ISS制御部24aによるアイドリングストップ制御の発動と休止とを切り替えることができる。ISS制御部24aの制御が発動されたら、ISS制御部24aは指示トルクがゼロ以下でエンジン6が動いているか否かを繰り返し判別し、指示トルクがゼロ以下でエンジン6が動いている場合に、エンジン6がアイドリング運転であると判定して、エンジン6を停止させる。通常走行モードでは、駆動制御部24は、停車から所定時間経過したとき、あるいは、エンジン走行からモータ走行へ切り替わったときなどに、ISS制御部24aのアイドリングストップ制御を発動させる。
【0027】
<信号停止時の運転動作>
続いて、惰性走行モードを有益に利用できる走行例を示す。
図3は、惰性走行モードを信号停止時に利用した場合の動作例を示すタイミングチャートである。
図3の例において運転操作モードには、ワンペダル操作モードが選択されている。
【0028】
通常走行モードでの走行中、運転者が、前方に停止すべき信号を確認したら(タイミングt1)、アクセルペダル12を戻す。この操作により、目標トルク及び指示トルクが加速トルクから減速トルクまで低下し、車速が低下する。そして、維持したい車速になったら、運転者が、惰性走行モードボタン14を押下する(タイミングt2)。すると、走行モードが惰性走行モードへ移行し、指示トルクがゼロに近づけられる。
図3の例では、タイミングt2の直前において、アクセルペダル12の操作量がゼロで、目標トルクが負の値M1であるため、タイミングt2の直後には、指示トルクと目標トルクとが離間する。
【0029】
惰性走行モードの期間T1では、制限の強い第2変化量制限により、指示トルクは緩やかに目標トルクに近づいていく。
図3の例では、目標トルクが負の値M1であるため、指示トルクは負の値となって緩やかに低下していく。これに伴って、期間T1において、駆動輪2に緩やかな減速トルクが出力され、車速が緩やかに低下していく。
【0030】
なお、惰性走行モードの期間T1において、緩やかな減速トルクが不要であれば、運転者はアクセルペダル12を途中まで踏み込むことで、減速トルクを小さくすることができる。減速トルクの調整量に対してアクセルペダル12の操作量は比較的に大きくなるため、良好な運転操作性で微妙な調整を行うことができる。
【0031】
停止線に近づく前(タイミングt3)に、車速が低いと感じたときには、運転者は、アクセルペダル12を、仮に通常走行モードであれば加速トルクが得られる程度に踏み込む。この踏み込みの途中、目標トルクが上昇し、指示トルクとの差が減少することで、惰性走行モードが解除され、通常走行モードへ切り替わる(タイミングt4)。通常走行モードへ切り替わる際には、目標トルクと指示トルクとが小さい値で近接しているので、通常走行モードに切り替わる前後で、指示トルクは連続的に変化し、運転者は、違和感なく車両1を加速できる。さらに、加速の際には、通常走行モードへ切り替わっているので、もたつき感なく車速を回復できる。
【0032】
そして、車速が上がって停止線に近づいたら(タイミングt5)、運転者は、アクセルペダル12を操作量ゼロの位置まで戻すことで、減速トルクが加わって、通常のワンペダル操作のときと同様に車両1を停止することができる。
【0033】
なお、停止線に近づくまで、適度な車速が得られている場合には、運転者は、停止前まで惰性走行モードを継続する。そして、停止する前に、アクセルペダル12をワンペダル操作のニュートラルな位置まで踏み込むことで、大きな加減速を加えることなく、走行モードを通常走行モードに戻すことができる。運転者は、通常走行モードに戻ったことを、走行モード表示部16の表示から認識できる。そして、運転者は、アクセルペダル12を操作量ゼロの位置まで戻すことで、減速トルクが加わって、通常のワンペダル操作のときと同様に停車することができる。
【0034】
比較例として、仮に、停止すべき信号を確認したタイミングt1から停車するタイミングt4まで、ワンペダル操作における通常走行モードを継続した場合について説明する。この場合、仮に、運転者が、タイミングt1でアクセルペダル12を操作量ゼロの位置まで戻してしまうと、大きな減速トルクが生じてしまう。逆に、運転者が、アクセルペダル12をニュートラルな位置以上に踏み込んでしまうと、加速トルクが生じてしまう。したがって、適度な車速を維持するために、微妙なアクセルペダル12の操作が必要となる。アクセルペダル12をニュートラルな位置で静止させることは難しく、無用な加速と減速とが生じるので、例えばエンジン走行していれば燃費が悪化し、モータ走行していれば走行モータ3の力行運転と回生運転とが繰り返されて電費が悪化する。
【0035】
以上のように、実施形態1の車両1によれば、走行モードを通常走行モードと惰性走行モードとに切り替え可能である。さらに、惰性走行モードでは、一旦、指示トルクがゼロに近づいた後、通常走行モードの第1変化量制限よりも強い第2変化量制限が付加されて目標トルクに追従する指示トルクが計算される。したがって、惰性走行モードで、速度を維持した走行を行う際、僅かな減速又は僅かな加速が要求されたときに、運転者がアクセルペダル12を比較的に大きく操作して、要求に応じた緩やかなトルク調整を行うことができる。したがって、速度を維持しつつ僅かに減速又は僅かに減速したい場合に、良好な運転操作性が実現される。
【0036】
さらに、実施形態1の車両1によれば、運転者は、惰性走行モードボタン14の押下により、惰性走行モードに切り替えることができる。惰性走行モードへの切替え要求は、道路状況等に加えて、ペダル操作を行う脚の疲れ具合など運転者の状況によっても生じえる。上記の構成により、このような切替え要求に応じることができる。
【0037】
さらに、実施形態1の車両1によれば、モード制御部21は、指示トルクと目標トルクとの差が閾値以下となった場合に、惰性走行モードから通常走行モードへ切り替える。惰性走行モードを解除する条件が、アクセルペダル12が相当量踏み込まれたとき、あるいは、ブレーキペダル11が相当量踏み込まれたときとした場合、解除時に不要な加速又は不要な減速が生じることが多い。一方、実施形態1の条件によれば、通常走行モードへ戻る前後で、指示トルクがなだらかに連続するため、不要な減速又は不要な加速が生じ難い。したがって、通常走行モードに戻る際の運転操作性を向上でき、無駄な損失の低減により燃費又は電費を向上できる。なお、指示トルクと目標トルクとの差が閾値以下となった場合とは、差の絶対値が正値の第1閾値以下となった場合、指示トルク-目標トルクが正値の第2閾値~ゼロとなった場合、目標トルク-指示トルクが正値の第3閾値~ゼロとなった場合、目標トルク=指示トルクとなった場合、あるいは、これらのうちのいずれか2以上を組み合わせた場合が含まれる。第1閾値~第3閾値は、同値であっても、異なる値としてもよい。
【0038】
(実施形態2)
実施形態2の車両は、モード制御部21の制御処理が異なる他は、実施形態1と同様である。
【0039】
図4は、実施形態2のモード制御部が実行する走行モード切替処理の手順を示すフローチャートである。
図4は、通常走行モード中の制御内容であるステップS1より以降を示し、惰性走行モード中の制御内容であるステップS5より以降を省略している。実施形態2のモード制御部21は、通常操作モード中において、惰性走行モードボタン14が押下されたか否か判別する処理(ステップS2)を繰り返し、惰性走行モードボタン14が操作された場合に、走行モードを惰性走行モードへ切り替える(ステップS3)。この切替えにより、指示トルク算出部23は、指示トルクをゼロに近づけ、指示トルクの算出方法を惰性走行モードに対応した方法へ切り替え、惰性走行モードが実現する。
【0040】
続いて、実施形態2のモード制御部21は、目標トルク算出部22へワンペダル操作モードへの切替え要求を送る(ステップS4)。ステップS4の処理により、アクセルペダル12の操作モードが、通常操作モードからワンペダル操作モードへ切り替わる。ワンペダル操作モードへの切り替わりは、ワンペダル表示部15の表示によって運転者に通知される。そして、モード制御部21は、処理をステップS1に戻す。
【0041】
通常操作モードからワンペダル操作モードへの切り替えにより、アクセルペダル12の操作量と目標トルクとの関係が、
図2(A)から
図2(B)の関係へと切り替わる。この切り替わりは、アクセルペダル12のゼロの操作量に対応する目標トルクが、負で絶対値が大きくなる方へシフトすることに相当する。
【0042】
<信号停止時の運転動作>
続いて、実施形態2の車両の走行例を示す。
図5は、実施形態2の惰性走行モードを信号停止時に利用した場合の動作例を示すタイミングチャートである。
図5の例において当初の運転操作モードには、通常操作モードが選択されている。
【0043】
通常操作モードが選択され、かつ、通常走行モードでの走行中、運転者が、前方に停止すべき信号を確認したら(タイミングt11)、アクセルペダル12を戻し、ブレーキペダル11を操作して、車速を調整する。そして、惰性走行モードボタン14を押下する(タイミングt12)。すると、惰性走行モードに切り替わり、かつ、アクセルペダル12がワンペダル操作モードに切り替わる。そして、その後は、実施形態1の
図2と同様の運転動作が実現される。
【0044】
比較例として、通常操作モードでの走行中に通常走行モードから惰性走行モードへ切り替わった後も、通常操作モードが継続される場合について説明する。この場合においても、惰性走行モードの期間T1に、運転者が、僅かな減速トルクを発生させることを望んだ場合には、ブレーキペダル11の操作により目標トルクを減速側に低下させることで、
図5の運転動作と同様の車両の挙動を得ることができる。しかし、ブレーキペダル11の操作が、惰性走行モードを解除する条件に使用される場合には、惰性走行モードのままブレーキペダル11の操作で目標トルクを減速側に低下させる操作にやや困難性が生じる。
【0045】
一方、実施形態2のように、惰性走行モードに切り替わる際に、運転操作モードがワンペダル操作モードに切り替わることで、アクセルペダル12の操作量によって減速側の目標トルクが発生可能となる。例えば、アクセルペダル12を開放した状態で、惰性走行モードボタン14を押下することで、目標トルクが負の状態で、惰性走行モードに切り替わる。したがって、その後、ブレーキペダル11を用いずに、アクセルペダル12を比較的に大きく操作することで、惰性走行モード時に僅かに発生する減速トルクを大小に調整できる。すなわち、良好な運転操作性を持って微妙に車速を減速調整できる。そして、アクセルペダル12を加速トルクが生じる位置まで踏み込むことで、目標トルクと指示トルクとが近づいて、無駄な加速又は無駄な減速の発生を抑制しつつ、惰性走行モードを解除することができる。
【0046】
また、実施形態2においては、通常操作モードでアクセルペダル12を大きく踏み込んだ走行中に、惰性走行モードボタン14を押下することで、目標トルクが正値の状態で、惰性走行モードに切り替わり指示トルクがゼロに近づく。したがって、その後、アクセルペダル12を比較的に大きく操作することで、惰性走行モード時に僅かに発生する加速トルクを大小に調整できる。すなわち、良好な運転操作性を持って微妙に車速を加速調整できる。そして、アクセルペダル12を減速トルクが生じる位置まで踏み戻すことで、目標トルクと指示トルクとが近づいて、無駄な加速又は無駄な減速の発生を抑制しつつ、惰性走行モードを解除することができる。
【0047】
以上のように、実施形態2の車両によれば、惰性走行モードへ切り替わる際に、運転操作モードがワンペダル操作モードへ切り替わるので、惰性走行モードの走行中に僅かな減速要求又は僅かな加速要求が生じた場合に、アクセルペダル12の操作でこれらの要求に応じることができる。
【0048】
(実施形態3)
実施形態3の車両は、指示トルク算出部23の制御処理の一部が異なる他は、実施形態2と同様である。
【0049】
図6は、実施形態3の指示トルク算出部が実行する惰性走行モード切替え時の初期設定処理を示すフローチャートである。
図6の初期設定処理は、惰性走行モードにおける指示トルクの算出処理に使用される制御パラメータを設定する処理であり、モード制御部21が走行モードを通常走行モードから惰性走行モードへ切り替えた際に実行される。
【0050】
実施形態3の指示トルク算出部23は、惰性走行モードへ切り替わった際、運転操作モードが通常操作モードからワンペダル操作モードへ切り替わったか判別する(ステップS11)。実施形態3の車両においても、実施形態2で示したように、走行モードが惰性走行モードへ切り替わった際、通常であれば、運転操作モードがワンペダル操作モードへ切り替わる。一方、実施形態3の車両においては、システムの設定条件、あるいは、車両状態、運転状況、その他、種々の条件によって、走行モードが惰性走行モードへ切り替わった場合でも、運転操作モードが通常操作モードのまま維持される場合がある。したがって、ステップS11では、上記の条件によってどちらの場合が選択されたか判別している。
【0051】
ステップS11の判別の結果、ワンペダル操作モードへの切り替わりが無いと判別されたら、指示トルク算出部23は、第2変化量制限の値として、第1の値を設定する(ステップS12)。一方、ステップS11の判別の結果、ワンペダル操作モードへの切り替わりが有ると判別されたら、指示トルク算出部23は、第2変化量制限の値として、第1の値よりも強い制限を示す第2の値を設定する(ステップS13)。なお、第1の値と第2の値とは、両方とも第1変化量制限の値より強い制限を示す値である。
【0052】
初期設定処理が終了すると、指示トルク算出部23は、初期設定処理で設定された第2変化量制限の値を用いて、惰性走行モードにおける指示トルクの算出処理を実行する。
【0053】
以上のように、実施形態3の車両によれば、惰性走行モードへ切り替わる際に、目標トルク算出部22が運転操作モードを通常操作モードからワンペダル操作モードへ切り替える場合と、通常操作モードを維持する場合とのいずれかが選択される。そして、これらの場合に応じて、指示トルク算出部23が、惰性走行モードにおいて指示トルクを算出する際に使用する制御パラメータを切り替える。すなわち、第2変化量制限の値を、前者の場合の方を、後者の場合の方よりも、制限の強い値にする。惰性走行モードに切り替えられる際、アクセルペダル12は開放された状態にされることが多い。惰性走行モードに切り替えられた際、通常操作モードでアクセルペダル12が開放されると、目標トルクは小さな値となる。一方、惰性走行モードに切り替えられた際、ワンペダル操作モードでアクセルペダル12が開放されると、目標トルクは負で絶対値が比較的に大きい値となる。
【0054】
仮に、目標トルクの絶対値が大きい値で惰性走行モードが長く続くと、第2変化量制限が加えられていても、指示トルクはゼロから離れて目標トルクの大きい値に近づいていく。この場合、惰性走行からかけ離れた走行になってしまう。一方、目標トルクが小さい値であれば、惰性走行モードが長く続いても、第2変化量制限が加えられていることもあり、指示トルクはゼロの近傍に留まる。
【0055】
そこで、上記の2つの場合で、第2変化量制限の値を異ならせることで、ワンペダル操作モードでの惰性走行モードにおいて、指示トルクがゼロから大きく離れてしまうことを抑制できる。すなわち、運転操作モードによって第2変化量制限を異なる値とすることで、異なる運転操作モードにそれぞれ適した惰性走行モードの指示トルクの算出方法が選択され、異なる運転操作モードに適した惰性走行モードの走行を実現できる。
【0056】
(実施形態4)
実施形態4の車両は、駆動制御部24の制御処理が異なる他は、実施形態1~3と同様である。
【0057】
図7は、実施形態4の駆動制御部が実行する走行モード切替え時処理を示すフローチャートである。
図7の走行モード切替え時処理は、モード制御部21から走行モードの切替えの通知があった場合に、駆動制御部24が実行する処理である。走行モード切替え時処理では、駆動制御部24は、走行モードが通常時走行モードから惰性走行モードへ切り替わったのか(ステップS21)、あるいは、その逆に切り替わったのか判別する(ステップS22)。
図7では、通常操作モードへ切り替わったときの処理を省略している。
【0058】
ステップS21の判別の結果、惰性走行モードへの切り替わりと判別したら、駆動制御部24は、ISS制御部24aにアイドリングストップ制御を発動させる(ステップS23)。そして、走行モード切替え時処理を終了する。
【0059】
仮に、エンジン走行中、アイドリングストップ制御の発動なく、惰性走行モードへ切り替わった場合、惰性走行に近い走行を経て停車するまで、エンジン6の駆動が継続されて燃費の悪化を招いてしまう。一方、実施形態4の車両によれば、惰性走行モードへ切り替わった際に、アイドリングストップ制御が発動されるので、エンジン走行中に惰性走行モードへ切り替わった場合に、指示トルクがゼロ近傍になったときに、速やかにアイドリングストップが実施される。その後、僅かな加速トルク又は僅かな減速トルクが出力される場合には、走行モータ3の駆動により実現される。したがって、惰性走行に近い走行中に、エンジン6がアイドリング運転に近い状態が継続して、燃費の悪化を招くことを回避できる。
【0060】
(実施形態5)
実施形態5の車両は、指示トルク算出部23の制御処理の一部が異なる他は、実施形態1~4と同様である。
【0061】
図8は、実施形態5のモード制御部及び指示トルク算出部が実行するボタン操作入力処理のフローチャートである。
図8の処理は、惰性走行モードボタン14が押下された場合にモード制御部21により開始される。ボタン押下処理が開始されると、モード制御部21は、現在、惰性走行モード中であるか判別し(ステップS31)、NOであれば、走行モードを惰性走行モードへ切り替えて(ステップS32)、この処理を終了する。
【0062】
一方、ステップS31に判別結果がYESであれば、モード制御部21から指示トルク算出部23へ、ボタン押下の通知を行う(ステップS33)。指示トルク算出部23は、この通知に基づき、指示トルクを初期化してゼロに近づける(ステップS34)。そして、ボタン押下処理が終了する。
【0063】
仮に、惰性走行モードが長く続き、その間、アクセルペダル12の操作があって、指示トルクが第2変化量制限の範囲で次第に変化し、指示トルクの絶対値が大きくなる場合がある。このような場合でも、実施形態5の車両によれば、惰性走行モードボタン14を再度押下することで、惰性走行モード切替え時のように、指示トルクを再度ゼロに近づけることができる。そして、惰性走行に近い走行に戻すことができる。このように、惰性走行モード中、再度、指示トルクをゼロへ近づけたいという要求が生じたときに、惰性走行モードボタン14の押下によって要求に応じることができるので、惰性走行モードの利便性をより向上できる。
【0064】
なお、実施形態5では、惰性走行モードボタン14を、惰性走行モードへ切り替える操作部と、惰性走行モード中に指示トルクを初期化する操作部とに兼用される構成を示したが、両者の操作部が別々に設けられていてもよい。
【0065】
以上、本発明の各実施形態について説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限られない。例えば、上記実施形態では、車両がHEVである例を示したが、車両はエンジン車又はエンジンを有さない電動自動車であってもよい。また、上記実施形態では、走行モータ又はエンジンの駆動により指示トルクが駆動輪に出力される構成例を示したが、駆動輪とエンジン又は駆動輪と走行モータとをクラッチを介して切断する制御が併用されて、駆動輪のトルクが制御される構成が併用されてもよい。また、上記実施形態では、アクセルペダルの操作モードにワンペダル操作モードが含まれる構成を示したが、アクセルペダルの操作モードは通常操作モードのみであってもよい。その他、実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 車両
2 駆動輪
3 走行モータ
4 インバータ
6 エンジン
7 補機
10 運転操作部
11 ブレーキペダル
12 アクセルペダル
14 惰性走行モードボタン
15 ワンペダル表示部
16 走行モード表示部
20 制御部
21 モード制御部
22 目標トルク算出部
22a 目標トルクデータテーブル
23 指示トルク算出部(第1指示トルク算出部、第2指示トルク算出部)
24 駆動制御部
24a ISS制御部