(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-09
(45)【発行日】2023-11-17
(54)【発明の名称】調湿装置
(51)【国際特許分類】
F24F 3/14 20060101AFI20231110BHJP
F24F 6/00 20060101ALI20231110BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20231110BHJP
【FI】
F24F3/14
F24F6/00 A
B01D53/26 100
(21)【出願番号】P 2020024216
(22)【出願日】2020-02-17
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】今関 謙一
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-145022(JP,A)
【文献】特開平10-259933(JP,A)
【文献】特開平5-60341(JP,A)
【文献】特開2003-97854(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0131372(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 3/14
F24F 6/00
B01D 53/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除湿を行う除湿部と、
前記除湿部によって生じた第1水を受ける第1受水部と、
前記第1受水部の下方において、前記第1受水部の排水位置から排水された前記第1水を受けることの可能な第1容器と、
加湿を行う加湿部と、
前記加湿部に供給する第2水を収容する第2容器と、
前記除湿部と、前記第1受水部と、前記第1容器と、前記加湿部と、前記第2容器とを収容する筐体と
を備え、
前記第2容器は、前記第1容器の内部に配置され、
前記第1受水部は、前記筐体の内部に前記第1容器が押し込まれる押込み方向に沿って前記第2容器の位置決めを行う位置決め部を含み、
前記位置決め部は、前記第1容器が前記筐体の内部に位置する状態において、前記第2容器と当接して、前記第1受水部の前記排水位置と前記第2容器とが互いにずれる位置まで前記押込み方向の反対方向に向けて前記第2容器を押し戻す、調湿装置。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記第1受水部の外壁のうち前記第2容器と対向する外壁部分の一部として構成される、請求項1に記載の調湿装置。
【請求項3】
前記位置決め部は、前記反対方向に向かって突起する、請求項2に記載の調湿装置。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記反対方向に向かって突起しており、鉛直方向に沿って筋状に延びる、請求項2に記載の調湿装置。
【請求項5】
前記第1受水部は、上流受水室と、下流受水室とを更に含み、
前記上流受水室は、前記除湿部の下方に位置して前記第1水を受け、
前記下流受水室は、前記上流受水室に対して、前記第1水の移動する下流側に位置し、
前記位置決め部が構成される前記外壁部分は、前記下流受水室の外壁に含まれる、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の調湿装置。
【請求項6】
前記第1容器に対して着脱可能であり、前記第1受水部から前記第1水を受ける第2受水部を更に備え、
前記第1容器は、上部に開口を有し、
前記第2受水部は、前記第1水を前記第1容器に案内する孔部を有しており、
前記第2受水部は、前記第2受水部が前記第1容器に装着されている状態で前記第1容器が前記筐体の内部に位置する場合、前記第2容器の外面と前記第1容器の内面との間に位置して前記開口の一部を覆う、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の調湿装置。
【請求項7】
前記第1受水部は、
前記第1水を前記第2受水部に案内する第1孔部と、
前記第2受水部と当接して前記第1孔部を開放し、前記第2受水部と離隔して前記第1孔部を閉塞する栓部と、
第1底部と、
鉛直方向に沿って延びる筒状であり、前記第1底部を貫通する第2孔部と
を更に含み、
前記第1受水部は、2つの前記排水位置を有し、
前記排水位置のうち、一方には前記第1孔部が配置され、他方には前記第2孔部が配置され、
前記栓部は、前記第1容器が前記筐体の内部に位置する状態において、前記第2受水部と当接して前記第1孔部を開放し、
前記第2孔部は、上部開口と下部開口とを有し、
前記上部開口の位置は、鉛直方向において前記第1孔部の位置よりも高く、
前記下部開口は、前記第1容器を向いている、請求項6に記載の調湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
除湿機能及び加湿機能を有する除加湿装置が開発されている。例えば、特許文献1に開示されている除加湿装置は、筐体と、除湿部と、加湿部と、除湿タンクと、加湿タンクとを備える。除湿部は、筐体の内部を通過する空気を熱交換器にて冷却し、空気に含まれる水分を結露させることにより、空気に含まれる水分を取り除き、空気を除湿する。除湿部にて生じた水は、除湿タンクに送られる。加湿部は、筐体の内部を通過する空気に対して加湿フィルタにより加湿する。加湿フィルタは、加湿トレイ内に設けられ、加湿トレイから水が供給される。加湿トレイには加湿タンクから水が補給される。特許文献1に開示されている除加湿装置では、加湿タンクと除湿タンクとがそれぞれ独立して筐体に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された除加湿装置のような調湿装置では、除湿タンク及び加湿タンクの各々を独立させて筐体内に配置したため、除湿によって生じた水が加湿用の水へ混入することは避け得るものの、調湿装置が大型化する傾向があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、大型化を抑制するとともに除湿タンク及び加湿タンクを効果的に配置できる調湿装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、調湿装置は、除湿部と、第1受水部と、第1容器と、加湿部と、第2容器と、筐体とを備える。前記除湿部は、除湿を行う。前記第1受水部は、前記除湿部によって生じた第1水を受ける。前記第1容器は、前記第1受水部の下方において、前記第1受水部の排水位置から排水された前記第1水を受けることが可能である。前記加湿部は、加湿を行う。前記第2容器は、前記加湿部に供給する第2水を収容する。前記筐体は、前記除湿部と、前記第1受水部と、前記第1容器と、前記加湿部と、前記第2容器とを収容する。前記第2容器は、前記第1容器の内部に配置される。前記第1受水部は、前記筐体の内部に前記第1容器が押し込まれる押込み方向に沿って前記第2容器の位置決めを行う位置決め部を含む。前記位置決め部は、前記第1容器が前記筐体の内部に位置する状態において、前記第2容器と当接して、前記第1受水部の前記排水位置と前記第2容器とが互いにずれる位置まで前記押込み方向の反対方向に向けて前記第2容器を押し戻す。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る調湿装置によれば、大型化を抑制するとともに除湿タンク及び加湿タンクを効果的に配置できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る調湿装置を示す斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る調湿装置を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る調湿装置の除湿タンクを示す斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る調湿装置の加湿タンクと加湿部とを示す斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る調湿装置の除湿タンクと加湿タンクと加湿部とを示す斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る調湿装置の内部を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る調湿装置の内部を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る調湿装置の内部を示す図である。
【
図9A】本実施形態に係る調湿装置の除湿タンクと加湿タンクと第2受水部とを示す斜視図である。
【
図9B】本実施形態に係る調湿装置の第2受水部を示す側面図である。
【
図10A】本実施形態に係る調湿装置の第1受水部を示す斜視図である。
【
図10B】本実施形態に係る調湿装置の第1受水部を示す斜視図である。
【
図11A】本実施形態に係る調湿装置の第1受水部を示す底面図である。
【
図12A】本実施形態に係る調湿装置の第1受水部の一部を示す斜視図である。
【
図12B】本実施形態に係る調湿装置の第1受水部の一部を示す斜視図である。
【
図12C】本実施形態に係る調湿装置の第1受水部の一部を示す斜視図である。
【
図13A】本実施形態に係る調湿装置の栓部を示す斜視図である。
【
図13B】本実施形態に係る調湿装置の栓部を示す斜視図である。
【
図14】本実施形態に係る調湿装置の第1受水部を示す斜視図である。
【
図15】本実施形態に係る調湿装置の内部を示す図である。
【
図16A】本実施形態に係る調湿装置の内部の一部を示す図である。
【
図16B】本実施形態に係る調湿装置の第1受水部と第2受水部とを示す一部拡大図である。
【
図17A】本実施形態に係る調湿装置の内部の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図面の理解を容易にするため、本実施形態において、三次元直交座標系のX軸、Y軸、及びZ軸を適宜記載する。X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0010】
図1と
図2とを参照して、本発明に係る調湿装置100の実施形態を説明する。
図1及び
図2は、本実施形態に係る調湿装置100を示す斜視図である。
【0011】
図1に示すように、調湿装置100は、例えば、空気調和機、又は除加湿装置であり、少なくとも「除湿モード」と「加湿モード」とを有する。「除湿モード」は、空気を除湿するモードを示す。「加湿モード」は、空気を加湿するモードを示す。調湿装置100は、例えば、据置型である。
【0012】
調湿装置100は、筐体10と、除湿部20と、第1受水部30と、除湿タンク50と、加湿部60と、加湿タンク70とを備える。
【0013】
筐体10は、天板11と、底板12と、一対の側板13と、前面パネル14と、後面パネル15とを有する。底板12は、「筐体10の底」の一例に相当する。前面パネル14と後面パネル15と側板13との各々は、天板11と底板12との間に配置されている。一対の側板13は、互いに対向して配置される。一対の側板13のうちの一方には、筐体10の内部10aへ除湿タンク50を挿入するための挿入口10bが設けられる。後面パネル15は、前面パネル14と対向して配置される。天板11は、底板12と対向して配置される。そして、天板11は、筐体10の上方側に配置される。以下、本明細書において、「上方」又は「下方」は、例えば、鉛直方向に沿った「上方」又は「下方」を示す。筐体10は、除湿部20と、第1受水部30と、除湿タンク50と、加湿部60と、加湿タンク70とを収容する。
【0014】
除湿部20は、除湿を行う。具体的には、除湿部20は、除湿モードにおいて空気を除湿する。除湿部20は、例えば、熱交換器である。なお、除湿部20の構成の詳細については、
図6~
図8を参照して後述する。
【0015】
第1受水部30は、除湿部20によって生じた第1水を受ける。第1受水部30は、例えば、水滴を受けるためのドレンパンのような受け皿部材である。第1水は、第1受水部30の排水位置30aから排水される。第1受水部30は、位置決め部36を含む。位置決め部36は、加湿タンク70の位置決めを行う。なお、調湿装置100は、第2受水部40を更に備えることが好ましく、第1受水部30は、第1孔部31と、栓部32とを更に含むことが好ましい。第1孔部31は、第1受水部30の排水位置30aに配置される。第1孔部31は、第1水を第2受水部40に案内する。栓部32は、第2受水部40と当接して第1孔部31を開放する。また、栓部32は、第2受水部40と離隔して第1孔部31を閉塞する。
【0016】
第2受水部40は、除湿タンク50に配置される。第2受水部40は、例えば、蓋状部材である。第2受水部40は、孔部41を有する。第2受水部40は、第1受水部30から第1水を受ける。孔部41は、第1水を除湿タンク50に案内する。
【0017】
除湿タンク50は、第1受水部30の下方において、第1受水部30の排水位置30aから排水された第1水を受けることが可能である。第2受水部40が除湿タンク50に配置されている場合、除湿タンク50は、第2受水部40の下方において第1水を収容する。除湿タンク50は、「第1容器」の一例に相当する。除湿タンク50は、筐体10に対して出し入れ可能である。詳細には、除湿タンク50は、筐体10の外部から内部10aに押し込まれ得る。筐体10の内部10aは、除湿タンク50のための収容空間を示す。以下、筐体10の内部10aに除湿タンク50が押し込まれる方向D1を「押込み方向D1」と記載することがある。押込み方向D1は、一対の側板13のうち挿入口10bの設けられた側板13から挿入口10bの設けられていない側板13に向かう方向を示す。押込み方向D1は、前面パネル14から後面パネル15に向かう方向D2と交差する。以下、前面パネル14から後面パネル15に向かう方向D2を「正面視方向D2」と記載することがある。図中のY軸に沿った負方向は、押込み方向D1の一例である。図中のX軸に沿った負方向は、正面視方向D2の一例である。
【0018】
第1受水部30の第1孔部31及び栓部32は、押込み方向D1において、挿入口10bよりも内部10aの奥側に近い位置に配置される。
【0019】
加湿部60は、加湿を行う。具体的には、加湿部60は、加湿モードにおいて空気を加湿する。加湿部60は、例えば、フィルタである。
【0020】
加湿タンク70は、加湿部60に供給する第2水を収容する。加湿タンク70は、「第2容器」の一例に相当する。加湿タンク70は、除湿タンク50の内部に配置され得る。なお、加湿部60及び加湿タンク70の構成の詳細については、
図4及び
図5を参照して後述する。
【0021】
図2に示すように、除湿タンク50が筐体10の内部10aに押込み方向D1に沿って押し込まれて収容されると、除湿タンク50は、筐体10の内部10aに位置する。以下、除湿タンク50が筐体10の内部10aに位置する状態を「第1収容状態」と記載することがある。
【0022】
加湿タンク70が除湿タンク50の内部に配置された状態、かつ第1収容状態において、位置決め部36は、押込み方向D1に沿って加湿タンク70の位置決めを行う。位置決め部36は、第1収容状態において、加湿タンク70と当接して、第1受水部30の排水位置30aと加湿タンク70とが互いにずれる位置まで押込み方向D1の反対方向D3に向けて加湿タンク70を押し戻す。従って、第1収容状態において、加湿タンク70は、第1受水部30の排水位置30aから排水された第1水を受け得る位置と重ならない位置まで反対方向D3に移動する。従って、加湿タンク70を収容したまま除湿タンク50が第1受水部30の下方に配置されていても、排水位置30aから排水される第1水が加湿タンク70内の第2水へ混入することを抑制できる。その結果、調湿装置100の大型化を抑制するとともに除湿タンク50及び加湿タンク70を効果的に配置できる。
【0023】
さらに、第1収容状態において、第1受水部30の栓部32は、除湿タンク50に配置されている第2受水部40と当接して第1受水部30の第1孔部31を開放する。第2受水部40は、第1孔部31から案内された第1水を受ける。そして、第1水は、第2受水部40の孔部41を介して下方の除湿タンク50に収容される。従って、筐体10へ除湿タンク50を収容する動作が第1孔部31を開放する動作を兼ねるとともに、第1受水部30から除湿タンク50の底へと落ちる第1水の勢いを第2受水部40によって緩和できる。その結果、筐体10への除湿タンク50の収容動作に連動して除湿タンク50に第1水を収容しつつ、水の音が生じることを低減できる。すなわち、除湿によって生じた第1水を回収する際に、水の音が生じることを利便性良く低減できる。
【0024】
次に、
図1を参照しつつ、
図3~
図8を更に参照して、調湿装置100の除湿モード及び加湿モードに関する構成の詳細について説明する。
図3は、除湿タンク50を示す斜視図である。除湿タンク50は、除湿モードに関する構成である。
【0025】
図3に示すように、除湿タンク50の形状は、略矩形の箱状を有する。除湿タンク50の上部は開口している。具体的には、除湿タンク50は、第2底面51と、第2壁部52と、開口50aとを有する。第2壁部52は、第1壁53と、第2壁54と、第3壁55と、第4壁56と、第5壁57とを有する。また、第2壁54と第3壁55と第4壁56と第5壁57との色は、例えば、透明である。
【0026】
第1壁53の形状と第2壁54の形状と第3壁55の形状と第5壁57の形状とは、略平面形状である。第4壁56は、内方に向かって湾曲した曲面を有する。第1壁53は、第3壁55と対向して配置される。第1壁53、及び第3壁55は、それぞれ、押込み方向D1の手前側、及び奥側に位置する。第1壁53は、取手53aと、第1窓53cと、第2窓53bとを有する。第1窓53cと第2窓53bとの色は、例えば、透明である。第1窓53cは、第2窓53bの上方に配置される。第1窓53cの形状と、第2窓53bの形状とは、異なってもよい。また、第2壁54は、第4壁56及び第5壁57と対向して配置される。開口50aは、第1壁53と、第2壁54と、第3壁55と、第4壁56と、第5壁57との上部に形成される。
【0027】
なお、除湿タンク50は、第2壁部52に配置された第2係合部59を更に有することが好ましい。詳細には、第2係合部59は、第2壁部52の上端部から内方に向かって突出する。具体的には、第2係合部59は、第1突出部59aと、第2突出部59bと、第3突出部59cと、第4突出部59dとを有する。第1突出部59aと第2突出部59bと第3突出部59cとの各々の形状は、平板形状である。また、第4突出部59dの形状は、略平板形状である。なお、第4突出部59dの形状も、第1突出部59aと第2突出部59bと第3突出部59cとの各々の形状と同じであってもよい。第1突出部59a及び第2突出部59bは、第2壁54の内周面に配置される。第3突出部59cは、第5壁57の内周面に配置される。第4突出部59dは、第4壁56の内周面に配置される。
【0028】
続いて、
図4は、加湿タンク70と加湿部60とを示す斜視図である。加湿タンク70及び加湿部60は、加湿モードのための構成である。
図4に示すように、加湿タンク70の形状は、略矩形の箱状を有する。加湿タンク70の上面は開口している。具体的には、加湿タンク70は、第1底面71と、第1壁部72と、把持部78とを有する。第1壁部72は、第1壁73と、第2壁74と、第3壁75と、第4壁76と、第5壁77とを有する。また、第1壁部72の色は、例えば、透明である。
【0029】
第1壁73の形状と第2壁74の形状と第3壁75の形状と第5壁77の形状とは、略平面形状である。第4壁76は、内方に向かって湾曲した曲面を有する。第1壁73は、第3壁75と対向して配置される。第1壁73、及び第3壁75は、それぞれ、押込み方向D1の手前側、及び奥側に位置する。また、第2壁74は、第4壁76及び第5壁77と対向して配置される。
【0030】
把持部78は、本体部78aと、第1脚部78bと、第2脚部78cとを有する。本体部78aの形状は、直方体形状である。本体部78aは、押込み方向D1に沿って延びている。第1脚部78bは、本体部78aの一端部を支持する。本体部78aの一端部は、押込み方向D1の手前側に位置する。第1脚部78bは、第1壁73の上端部と接続される。第2脚部78cは、本体部78aの他端部を支持する。本体部78aの他端部は、押込み方向D1の奥側に位置する。第2脚部78cは、第3壁75の上端部と接続されており、鉛直方向に沿って延びる。第2脚部78cは、例えば、平板状である。
【0031】
なお、加湿タンク70は、第1壁部72の上端部から外方に向かって張り出す張出部72aを更に有することが好ましい。具体的には、張出部72aは、第1張出部72a1と、第2張出部72a2と、第3張出部72a3と、第4張出部72a4とを有する。第1張出部72a1及び第2張出部72a2は、第2壁74の上端部から外方に向かって張り出す。第3張出部72a3は、第4壁76の上端部から外方に向かって張り出す。第4張出部72a4は、第5壁77の上端部から外方に向かって張り出す。
【0032】
さらに、加湿タンク70は、第1壁部72に配置された第1係合部79を更に有することが好ましい。詳細には、第1係合部79は、第1壁部72から内方に向かって凹む凹部を有する。具体的には、第1係合部79は、第1凹部79aと、第2凹部79bと、第3凹部79cと、第4凹部79dとを有する。第1凹部79a及び第2凹部79bは、第2壁74に配置される。第3凹部79cは、第5壁77に配置される。第4凹部79dは、第4壁76に配置される。第1凹部79aの形状は、除湿タンク50の第1突出部59aの形状に対応する。第2凹部79bの形状は、除湿タンク50の第2突出部59bの形状に対応する。第3凹部79cの形状は、除湿タンク50の第3突出部59cの形状に対応する。第4凹部79dの形状は、除湿タンク50の第4突出部59dの形状に対応する。
【0033】
加湿部60は、フィルタ部61を有する。フィルタ部61は、第2水が含浸される。例えば、フィルタ部61は、矩形状のシートである。シートは、吸水性と通気性とを有する材料で形成される。シートは、例えば、レーヨンで形成される。
【0034】
加湿部60は、加湿タンク70に収容される。具体的には、加湿部60の一端部は、第1壁73と接続され、加湿部60の他端部は、第3壁75と接続されている。加湿部60の上端部は、把持部78と接触し、加湿部60の下端部は、第1底面71と接触している。その結果、加湿部60には空気が通過する。よって、加湿部60から加湿された空気が放出される。
【0035】
更に詳細には、
図5に示すように、加湿タンク70が除湿タンク50の内部に配置され得る。
図5は、除湿タンク50と加湿タンク70と加湿部60とを示す斜視図である。具体的には、加湿タンク70の形状は、除湿タンク50の形状より小さい。加湿タンク70の第1壁部72の高さは、除湿タンク50の第2壁部52の高さより低い。更に詳細には、加湿タンク70の壁部の外周面のうちの少なくとも一部は、除湿タンク50の壁部の内周面のうちの少なくとも一部に沿っている。具体的には、除湿タンク50の第4壁56の形状と、加湿タンク70の第4壁76の形状とは相似形状である。
【0036】
次に、加湿タンク70と除湿タンク50との取付け方法について詳細に説明する。使用者は、第1凹部79a内に第1突出部59aを配置し、第2凹部79b内に第2突出部59bを配置し、第3凹部79c内に第3突出部59cを配置し、第4凹部79d内に第4突出部59dを配置する。使用者は、加湿タンク70を除湿タンク50に対して下方向に移動させる。加湿タンク70が下方向に移動すると、張出部72aの下面と除湿タンク50の第2壁部52の上面とが当接する。従って、加湿タンク70の除湿タンク50に対する下方向の移動を規制できる。その結果、除湿タンク50に対する加湿タンク70のガタツキを抑制できる。
【0037】
加湿部60と加湿タンク70と除湿タンク50とは、一体となった状態で筐体10(
図1参照)に対して着脱可能である。具体的には、加湿部60と除湿タンク50と加湿タンク70とは、一体となった状態で、筐体10の内部10aに対して押込み方向D1に押し込み可能である。本実施形態によれば、筐体10は単一の収容空間のみを有すればよいため、調湿装置100をより小型化できる。加湿タンク70が除湿タンク50の内部に配置された状態で除湿タンク50が筐体10の内部10aに押し込まれる際、加湿タンク70の把持部78の第2脚部78cは、第1受水部30の位置決め部36と対向する。そして、第2脚部78cは、第1収容状態において、位置決め部36と当接する。
【0038】
続いて、筐体10と除湿部20との構成の詳細とともに、調湿装置100の除湿モード及び加湿モードにおける動作について説明する。
図6~
図8は、調湿装置100の内部を示す図である。具体的には、
図6及び
図8は、除湿モード時の調湿装置100の内部を示す。
図7は、加湿モード時の調湿装置100の内部を示す。なお、
図6~
図8では、図面が過度に複雑になることを避け、各モード時の空気の流れを見易くするため、第1受水部30の構成の詳細を省略し、第2受水部40の構成を省略して示している。
【0039】
図6に示すように、筐体10の後面パネル15は、複数の吸込口15aを有する。複数の吸込口15aの各々は、開口である。
【0040】
天板11は、吹出口11aと、カバー部材11bと、操作パネル11cとを有する。吹出口11aは、開口である。カバー部材11bは、略板状の部材である。カバー部材11bは、吹出口11aを覆っている。カバー部材11bは、吹出口11aから放出される空気の流れる方向を規定する風向板として機能する。操作パネル11cは、外部からの指示を受付ける。具体的には、操作パネル11cは、除湿モードと加湿モードとのうちのいずれかを示す情報を受付ける。
【0041】
筐体10は、空気が流通する複数の流通部90を更に有する。具体的には、複数の流通部90は、第1室91と、第2室92と、第3室93と、第4室94と、第5室95とを有する。
【0042】
第1室91は、筐体10のX軸の負方向側に配置される。第1室91は、複数の吸込口15aを介して筐体10の外部に連通する。第1室91は、フィルタ91aを有する。フィルタ91aは、例えば、脱臭フィルタ及び/又は集塵フィルタである。
【0043】
第2室92は、第1室91のX軸の正方向側に配置される。第1室91と第2室92とは連通する。第2室92の内部には、除湿部20が配置される。除湿部20は、
図6に示すように、除湿モード時に駆動され、
図7に示すように、加湿モード時に駆動されない。
【0044】
第3室93は、筐体10のZ軸の負方向側に配置される。第1室91と第3室93とは連通する。第3室93の内部には、加湿部60と、除湿タンク50と、加湿タンク70とが配置される。具体的には、第3室93は、除湿タンク50と加湿タンク70とが収容される収容空間を有する。加湿タンク70は、第2水を収容する。加湿部60は、加湿タンク70内の第2水によって加湿を行う。詳細には、
図7に示すように、加湿タンク70は、加湿モード時に使用者によって第2水が予め収容される。
図6に示すように、加湿タンク70は、除湿モード時に使用者によって予め空にされる。除湿タンク50は、除湿部20によって生成された第1水を収容する。
【0045】
第4室94は、筐体10のX軸の正方向側に配置される。また、第4室94と第3室93とは連通する。調湿装置100は、送風部80を更に備える。第4室94には、送風部80が配置される。
【0046】
第5室95は、筐体10のZ軸の正方向側に配置される。第4室94と第5室95とは連通する。また、第2室92と第5室95とは連通する。また、第5室95は、吹出口11aを介して筐体10の外部に連通する。
【0047】
除湿部20は、エバポレータ21と、コンデンサ22と、コンプレッサとを備える。
【0048】
エバポレータ21及びコンデンサ22の各々は、媒体が流通する流通管を有する。媒体は、例えば、フルオロカーボンである。流通管の材質は、例えば、金属である。エバポレータ21の流通管と、コンデンサ22の流通管と、コンプレッサとは連結されている。
【0049】
コンプレッサは、低温気体の状態である媒体を圧縮して、高温気体の状態である媒体を作成する。そして、コンプレッサは、高温気体の状態である媒体をコンデンサ22の流通管に送出する。高温気体の状態である媒体は、コンデンサ22の流通管で熱を渡しながら液化して、高温液体の状態である媒体になる。更に、高温液体の状態である媒体は膨張して、低温液体の状態である媒体になる。低温液体の状態である媒体は、冷媒の一例である。低温液体の状態である媒体は、エバポレータ21の流通管で熱を受け取りながら気化して、低温気体の状態である媒体になる。その後、低温気体の状態である媒体は、コンプレッサで再び圧縮される。このようにして、媒体は、エバポレータ21の流通管と、コンデンサ22の流通管と、コンプレッサとの間で循環する。
【0050】
エバポレータ21は、空気と冷媒との間で熱交換して、空気から水蒸気を除去する。具体的には、エバポレータ21の流通管は、第2室92内で蛇行している。エバポレータ21は、流通管の間に複数の金属板を更に有する。その結果、空気は、流通管又は金属板と接触しながら、第2室92内を流通する。よって、空気は冷媒に熱を渡して、空気の温度は低下する。その結果、空気中の水蒸気の基づく水滴が、流通管又は金属板に付着する。よって、エバポレータ21は、空気から水蒸気を効果的に除去できる。
【0051】
コンデンサ22は、空気と高温気体の状態である媒体との間で熱交換して、所定温度の空気を作成する。具体的には、コンデンサ22の流通管は、第2室92内で蛇行している。コンデンサ22は、流通管の間に複数の金属板を更に有する。その結果、空気は、流通管又は金属板と接触しながら、第2室92内を流通する。よって、空気は高温気体の状態である媒体から熱を受け取って、空気の温度は上昇する。
【0052】
次に、空気の流れについて詳細に説明する。送風部80は、例えば、ファンと、モータとを有する。モータは、ファンを回転させる。ファンは、第1気流F1と第2気流F2とを発生させる。第1気流F1は、第1室91と第2室92と第5室95とをこの順に通過する。第2気流F2は、第1室91と第3室93と第4室94と第5室95とをこの順に通過する。
【0053】
更に、除湿モード時の第1気流F1と第2気流F2とについて詳細に説明する。
図6に示すように、まず、使用者は加湿タンク70を空にする。次に、使用者は操作パネル11cを用いて除湿部20を駆動させる。その結果、第1気流F1は、第2室92を通過する際に、除湿部20によって除湿される。そして、除湿タンク50は、除湿部20によって生成された第1水を収容していく。また、第2気流F2は、第3室93を通過する際に、加湿部60によって加湿されない。よって、調湿装置100から除湿された空気が放出される。
【0054】
続けて、加湿モード時の第1気流F1と第2気流F2とについて詳細に説明する。
図7に示すように、まず、使用者は加湿タンク70に所定量の第2水を収容する。なお、使用者は除湿部20を駆動させない。その結果、第1気流F1は、第2室92を通過する際に、除湿部20によって除湿されない。また、第2気流F2は、第3室93を通過する際に、加湿部60によって加湿される。よって、調湿装置100から加湿された空気が放出される。
【0055】
なお、
図3~
図5に示すように、筐体10から取外された状態で、除湿タンク50と加湿タンク70とは互いに離間可能である。すなわち、筐体10から取外された状態で、除湿タンク50と加湿タンク70とは、互いに取付けたり、取外したりすることが可能である。従って、本実施形態では、加湿タンク70が筐体10に取付けられていなくても、除湿モードにおいて除湿を行うことが可能である。
図8に示すように、第3室93の内部には、除湿タンク50が配置される。なお、第3室93の内部には、加湿タンク70と、加湿部60とが配置されない。
【0056】
次に、
図1と
図9Aと
図9Bとを参照して、第2受水部40の構成の詳細について説明する。
図9Aに示すように、第2受水部40は、除湿タンク50に対して着脱可能であることが好ましい。ユーザーが第2受水部40を容易にメンテナンスできるからである。加湿タンク70が除湿タンク50内に取り付けられていない状態のとき、第2受水部40は、例えば、除湿タンク50の第3壁55の上部と、第2壁54の上部と、第4壁56の上部とに対して着脱可能である。
【0057】
さらに、第2受水部40は、第2受水部40が除湿タンク50に装着されている状態で、加湿タンク70の外面と除湿タンク50の内面との間に位置して開口50aの一部を覆うことが好ましい。加湿タンク70の外面は、第3壁75の外側の面を示す。除湿タンク50の内面は、第3壁55の内側の面を示す。加湿タンク70が除湿タンク50内に取り付けられている状態のとき、第2受水部40は、例えば、加湿タンク70の第3壁75の上部と、除湿タンク50の第3壁55の上部と、第2壁54の上部と、第4壁56の上部とに装着される。従って、第2受水部40は、加湿タンク70が除湿タンク50に対して押込み方向D1へ移動することを規制できる。
【0058】
さらに、
図9A及び
図9Bに示すように、第2受水部40は、第2底部42と、第3底部43と、第1壁部44と、第2壁部45と、第3壁部46と、突起部47とを更に有することが好ましい。第2受水部40は、例えば、漏斗状である。第2底部42と第3底部43とは、互いに隣接しており、第2受水部40の底部を構成する。第2底部42と第3底部43とは、除湿部20によって生成された第1水を受ける。第2底部42、及び第3底部43は、正面視方向D2において、それぞれ、奥側、及び手前側に位置する。第3底部43は、水平方向に延びる。第2底部42は、第3底部43に対して傾斜しており、第3底部43に近づくにつれて下る。従って、第1水は、第2底部42から第3底部43へ流れ易い。第1壁部44、第2壁部45、及び第3壁部46は、第3底部43から立設する。第1壁部44及び第2壁部45は、互いに対向する。第2底部42と、第1壁部44と、第2壁部45と、第3壁部46との上端部は、外側に張り出している。突起部47は、例えば、第2壁部45から上方に向けて突起する。突起部47は、例えば、リブである。突起部47は、正面視方向D2に沿った面を有することが好ましい。さらに、突起部47は、断面視L字状であることが好ましい。突起部47の強度が向上するとともに、突起部47が第2受水部40と当接し易くなるからである。
【0059】
さらに、孔部41は、第3壁部46の基端に形成されることが好ましい。第1受水部30の第1孔部31から案内された第1水は、第2受水部40の第2底部42又は第3底部43に流れ落ちる。その後に、第1水は、孔部41から除湿タンク50内に落ちる。従って、第1受水部30の第1孔部31から案内された第1水が直接除湿タンク50内に落ちることを抑制できる。その結果、水の音の発生を更に低減できる。
【0060】
さらに、
図5を参照して説明したように、加湿タンク70の除湿タンク50への配置状態において加湿タンク70が押込み方向D1の反対方向D3へスライドされることにより、
図9Aに示すように、加湿タンク70は、除湿タンク50に固定される。すなわち、加湿タンク70は、除湿タンク50に対する適正な位置で固定される。具体的には、除湿タンク50の第1突出部59aと第2突出部59bと第3突出部59cと第4突出部59dとの各々は、加湿タンク70の上方への移動を規制する。加湿タンク70が除湿タンク50に固定される。その結果、除湿タンク50に対する加湿タンク70のガタツキを更に抑制できる。
【0061】
【0062】
図10A及び
図10Bに示すように、第1受水部30は、第1孔部31と、栓部32と、位置決め部36とに加えて、上流受水室33と、下流受水室34とを更に含む。なお、
図10A、
図11A及び
図11Bでは、第1孔部31の形態を見易くするため、栓部32の記載を省略している。
【0063】
上流受水室33は、除湿部20の下方に位置し、好ましくは、除湿部20の直下に位置する。例えば、上流受水室33は、エバポレータ21の下方に位置する。上流受水室33は、上方が開放されており、除湿部20によって生じた第1水を受ける。上流受水室33が受けた第1水は、上流受水室33内を下流受水室34に向かって流れる。すなわち、上流受水室33は、下流受水室34に対して、第1水の移動する上流側に位置する。例えば、上流受水室33は、下流受水室34に対して押込み方向D1の手前側に位置する。
【0064】
上流受水室33の形状は、除湿部20の下端の形状に対応している。例えば、上流受水室33は、エバポレータ21の下端の形状に対応している。上流受水室33は、例えば、押込み方向D1に沿って延びる溝状である。
【0065】
上流受水室33は、底部33aと、複数の壁部とを有する。複数の壁部は、底部33aから立設する。複数の壁部は、例えば、第1壁部33b、第2壁部33c、第3壁部33d、及び第4壁部33eであり、上流受水室33の四方の側面を構成する。第1壁部33b及び第2壁部33cは、互いに対向しており、上流受水室33の押込み方向D1に沿って延びる。第1壁部33b、及び第2壁部33cは、それぞれ、正面視方向D2の奥側、及び手前側に位置する。第3壁部33d及び第4壁部33eは、互いに対向しており、正面視方向D2に沿って延びる。第3壁部33d、及び第4壁部33eは、それぞれ、押込み方向D1の手前側、及び奥側に位置する。第4壁部33eの基端には、貫通孔33fが形成される。
【0066】
底部33aは、押込み方向D1に向かうにつれて下る斜面を含む。従って、第1水は、下流受水室34に向かって流れ易い。その結果、第1水が上流受水室33に滞留することを低減できる。
【0067】
下流受水室34は、上流受水室33に対して、第1水の移動する下流側に位置する。例えば、下流受水室34は、上流受水室33の第4壁部33eと隣接しており、上流受水室33に対して押込み方向D1の奥側に位置する。下流受水室34は、例えば、上方の開放された箱状である。
【0068】
下流受水室34は、底部34aと、複数の壁部とを有する。底部34aは、「第1底部」の一例に相当する。複数の壁部は、底部34aから立設する。底部34aの位置は、鉛直方向において上流受水室33の底部33aの位置よりも低い。複数の壁部は、例えば、第1壁部34b、第2壁部34c、第3壁部34d、及び第4壁部34eであり、下流受水室34の四方の側面を構成する。第1壁部34b、及び第2壁部34cは、互いに対向しており、正面視方向D2に沿って延びる。第1壁部34b、及び第2壁部34cは、それぞれ、押込み方向D1の手前側、及び奥側に位置する。第1壁部34bは、上流受水室33の貫通孔33fに対して第2壁部34cよりも近い。第1壁部34bの高さは、上流受水室33の貫通孔33fの位置よりも低い。第3壁部34d及び第4壁部34eは、互いに対向しており、押込み方向D1に沿って延びる。第3壁部34d、及び第4壁部34eは、それぞれ、正面視方向D2の手前側、及び奥側に位置する。
【0069】
下流受水室34は、上流受水室33から貫通孔33fを通って流れてくる第1水を受ける。
【0070】
第1孔部31は、第4壁部34eの基端に配置される。具体的には、第1孔部31は、例えば、水平方向に沿って延びる筒状である。第1孔部31は、例えば、正面視方向D2に沿って延びる。第1孔部31は、筒31aと外部開口31bと内部開口31cとを有する。第1孔部31は、下流受水室34の第4壁部34eを貫通する。下流受水室34が受けた第1水は、内部開口31cから外部開口31bに向けて筒31aを流れる。
【0071】
さらに、第1受水部30は、第2孔部35を更に含むことが好ましい。具体的には、第1受水部30は、2つの排水位置30aを有する。2つの排水位置30aのうち、一方の排水位置30aには第1孔部31が配置され、他方の排水位置30aには第2孔部35が配置される。第2孔部35は、鉛直方向に沿って延びる筒状である。
図11A及び
図11Bに示すように、第2孔部35は、底部34aを貫通する。第2孔部35は、上部開口35aと筒35bと下部開口35cとを有する。上部開口35aの位置は、鉛直方向において第1孔部31の位置よりも高い。第1孔部31の位置は、例えば、第1孔部31の筒31aの底31a1の位置を示す。下部開口35cは、除湿タンク50を向いている。すなわち、下部開口35cの下方に除湿タンク50が位置する。
【0072】
この好ましい例によれば、第2孔部35の下部開口35cが除湿タンク50を向いているため、ユーザーが除湿タンク50への第2受水部40の装着を失念したまま筐体10に除湿タンク50を押し込んで除湿運転を開始した場合であっても、除湿タンク50の外側に第1水が落ちることを抑制できる。従って、筐体10内で第1水が漏れることを抑制するとともに、第2受水部40の装着忘れに対するユーザーの安心感を向上させることができる。
【0073】
また、
図12Aに示すように、位置決め部36は、第1受水部30の外壁30bのうち加湿タンク70と対向する外壁部分の一部として構成されることが好ましい。位置決め部36は、平面状である。この好ましい例によれば、位置決め部36は、加湿タンク70に面として当接するため、加湿タンク70と当接し易い。従って、位置決め部36は、加湿タンク70を押込み方向D1の反対方向D3に容易に押し戻すことができる。
【0074】
さらに、位置決め部36が構成される外壁部分は、下流受水室34の外壁34wに含まれることが好ましい。外壁34wは、例えば、下流受水室34の底部34a、第1壁部34b、第2壁部34c、第3壁部34d、及び第4壁部34eによって構成される。加湿タンク70が除湿タンク50の内部に配置された状態(
図1参照)、かつ第1収容状態(
図2参照)において、加湿タンク70と対向する外壁部分は、第1壁部34bである。この好ましい例によれば、下流受水室34の外壁34wが位置決め部36を兼ね得る。従って、部品点数を増やすことなく加湿タンク70を位置決めできる。
【0075】
さらに、
図12Bに示すように、位置決め部36は、加湿タンク70と対向する外壁部分から押込み方向D1の反対方向D3に向かって突起することが好ましい。位置決め部36は、例えば、錐台状である。この好ましい例によれば、加湿タンク70を更に長い距離押し戻すことができる。従って、加湿タンク70を反対方向D3に効果的に押し戻すことができる。
【0076】
さらに、
図12Cに示すように、位置決め部36は、加湿タンク70と対向する外壁部分から押込み方向D1の反対方向D3に向かって突起しており、鉛直方向に沿って筋状に延びることが好ましい。この好ましい例によれば、加湿タンク70の位置が上下方向に変動しても位置決め部36が加湿タンク70と当接し易い。従って、位置決め部36は、加湿タンク70を反対方向D3に効果的かつ容易に押し戻すことができる。
【0077】
【0078】
図13Aに示すように、栓部32は、当接片32aと、栓本体32bとを有する。当接片32aは、栓本体32bから筐体10の底板12に向かって突出する。例えば、当接片32aは、鉛直下向きに突出する。当接片32aは、例えば、リブである。当接片32aは、例えば、板状である。当接片32aは、第2受水部40の突起部47と当接する。具体的には、押込み方向D1に沿った当接片32aの両端部のうち、押込み方向D1の手前側の端部32a1は、突起部47と当接する。当接片32aは、断面視L字状であることが好ましい。すなわち、端部32a1は、正面視方向D2と平行な面を有することが好ましい。当接片32aの強度が向上するとともに、当接片32aが第2受水部40の突起部47と当接し易くなるからである。
【0079】
図13A及び
図13Bに示すように、栓本体32bは、アーム部32cと、軸部32dと、栓部材32eとを含む。アーム部32cは、第1アーム部32c1と第2アーム部32c2とを有する。第1アーム部32c1は、正面視方向D2に沿って延びる。第2アーム部32c2は、押込み方向D1に沿って延びる。第2アーム部32c2は、当接片32aと接続する。アーム部32cは、例えば、水平方向に回動する。水平方向は、第1回動方向R1及び第2回動方向R2を含む。詳細には、アーム部32cは、軸部32dを中心に第1回動方向R1又は第2回動方向R2に回動する。第1回動方向R1及び第2回動方向R2は、それぞれ、平面視における反時計回りの方向及び時計回りの方向を示す。第2回動方向R2は、「回動方向」の一例に相当する。
【0080】
軸部32dは、アーム部32cの一方の端部、すなわち第1アーム部32c1側に位置する。軸部32dは、例えば、軸線AXに沿って貫通する孔を有する。軸線AXは、例えば、鉛直方向に沿って延びる。軸部32dは、付勢部材32d1を有する。付勢部材32d1は、例えば、ねじりコイルばねである。付勢部材32d1は、アーム部32cを第2回動方向R2に付勢する。
【0081】
栓部材32eは、アーム部32cの他方の端部、すなわち第2アーム部32c2側に位置する。栓部材32eは、例えば、円板状である。栓部材32eは、例えば、ゴム製のパッキンである。栓部材32eは、第1孔部31の外部開口31bと対向し、外部開口31bを密閉可能である。
【0082】
図10A及び
図14に示すように、栓本体32bは、第1孔部31を閉塞する。栓本体32bは、例えば、下流受水室34の外側面に取り付けられる。詳細には、軸部32dの孔は、下流受水室34の外側面に設けられた鉛直方向に延びる円柱体に嵌まっている。
【0083】
図14及び
図15に示すように、付勢部材32d1は、第2受水部40の突起部47が当接片32aを押していない状態において、アーム部32cを付勢する。栓部材32eは、付勢部材32d1によるアーム部32cへの付勢に応じて外部開口31bを閉塞する。本実施形態によれば、付勢部材32d1がアーム部32cを第2回動方向R2に付勢するため、第1孔部31の外部開口31bをより強く閉塞できる。従って、意図せず第1水が第1孔部31から漏れ出ることを低減できる。
【0084】
さらに、本実施形態によれば、栓部32は、除湿タンク50が筐体10の内部10aに位置しない場合、第2受水部40と離隔して第1孔部31を閉塞する。第1受水部30の第2孔部35の上部開口35aの位置が第1孔部31の位置よりも鉛直方向に沿って高いため、ユーザーが筐体10に除湿タンク50を収容していない間に除湿部20で第1水が生じた場合であっても、第1水が下流受水室34の底部34aに一定量以上溜まらない限り、第1水は上部開口35aに流れ込まない。従って、ユーザーが除湿タンク50を筐体10から取り出した後に、第1水が第1受水部30から筐体10の底に落ちることを遅らせることができる。
【0085】
引き続き、
図13A及び
図13Bを参照しつつ、
図16A~
図17Bを更に参照して、栓部32による第1孔部31に対する開閉動作の詳細と、位置決め部36による加湿タンク70に対する押し戻し動作の詳細とについて説明する。
図16A及び
図17Bは、調湿装置100の内部の一部を示す図である。
図16Bは、第1受水部30と第2受水部40とを示す一部拡大図である。
図17Bは、
図17AのXVIIB部分を示す拡大図である。
【0086】
図16Aに示すように、栓部32の当接片32aは、第2受水部40が除湿タンク50に装着されている状態で除湿タンク50が筐体10の内部10aに位置する場合、第2受水部40の突起部47と当接して第1孔部31を開放する。
【0087】
詳細には、
図16Bに示すように、突起部47は、除湿タンク50が筐体10の内部10aに位置する状態において、筐体10の内部10aに押込み方向D1へ当接片32aを押す。当接片32aが押されることに従い、アーム部32cは、第1回動方向R1に回動する。栓本体32bは、突起部47が当接片32aを押している状態において、第1孔部31の外部開口31bを開放する。従って、除湿動作によって生成された第1水を、筐体10への除湿タンク50の収容動作に連動して除湿タンク50に簡素な構成で回収しつつ、水の音の発生を低減できる。
【0088】
さらに、
図9A及び
図16Aに示すように、本実施形態によれば、第2受水部40は、加湿タンク70の外面と除湿タンク50の内面との間に位置して開口50aの一部を覆うため、除湿タンク50に対して加湿タンク70が押込み方向D1へ移動することを規制できる。従って、筐体10に除湿タンク50が押し込まれたとき、加湿タンク70内に第1水が落ちない位置に除湿タンク50を位置決めできる。その結果、加湿タンク70内の第2水に第1水が混入することを少ない部品点数で抑制できる。
【0089】
さらに、本実施形態によれば、第1収容状態において位置決め部36が加湿タンク70と当接することにより、位置決め部36が押込み方向D1の反対方向D3に向けて加湿タンク70を押し戻す。従って、加湿タンク70を除湿タンク50に対して適正な位置に更に確実に配置できる。適正な位置は、例えば、加湿タンク70が除湿タンク50へ固定される位置(
図9A参照)、及び、加湿タンク70内の第2水の量を検知する不図示の検知部(例えば、磁気センサ)によって加湿タンク70内の被検知体(例えば、フロート)が検知される位置である。その結果、ユーザーが加湿タンク70を除湿タンク50に取り付ける際に加湿タンク70を反対方向D3へスライドすることを失念した場合であっても、ユーザーの手を煩わせることなく適正な位置に加湿タンク70を配置できる。
【0090】
さらに、
図11A及び
図11Bを参照しつつ、
図17A及び
図17Bを参照して、位置決め部36による加湿タンク70に対する押し戻し動作の更なる詳細について説明する。
図17Aは、第2受水部40が除湿タンク50に装着されていない状態、かつ第1収容状態を示す。
図17Aに示すように、位置決め部36は、例えば、第2受水部40が除湿タンク50に装着されずに除湿タンク50が筐体10の内部10aに位置する状態において、加湿タンク70と当接する。
【0091】
具体的には、
図17A及び
図17Bに示すように、位置決め部36は、加湿タンク70の把持部78の第2脚部78cの上端部78c1と当接する。位置決め部36が上端部78c1と当接するとき、排水位置30aに配置された第2孔部35(
図11A及び
図11B参照)は、平面視において加湿タンク70と重ならず、除湿タンク50と重なる。すなわち、位置決め部36は、加湿タンク70と当接して、第2孔部35と加湿タンク70とが互いにずれる位置まで押込み方向D1の反対方向D3に向けて加湿タンク70を押し戻す。従って、ユーザーが第2受水部40の装着を失念したまま筐体10に除湿タンク50が押し込まれた場合であっても、加湿タンク70内に第2孔部35から第1水が落ちない位置、すなわち加湿タンク70の適正な位置に加湿タンク70を位置決めできる。その結果、第2受水部40の装着忘れに対するユーザーの安心感を向上させるとともに、加湿タンク70内の第2水に第1水が混入することを少ない部品点数で抑制できる。
【0092】
さらに、
図9A及び
図17Aに示すように、本実施形態によれば、第2受水部40は、除湿タンク50に対して着脱可能であることが好ましい。栓部32は、第2受水部40が除湿タンク50に装着されていない場合、第2受水部40と離隔して第1孔部31を閉塞する。従って、第2受水部40を取り外して掃除するようなメンテナンス作業の際に、意図しない水漏れを抑制できる。
【0093】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、複数の実施形態の複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0094】
(1)
図10A及び
図10Bを参照して説明したように、上流受水室33は、1つであったが、本発明はこれに限られない。上流受水室33は、除湿タンク50で生じた水を受けられさえすればよい。例えば、上流受水室33は、複数であってもよい。また、下流受水室34は、上流受水室33と同様に除湿タンク50で生じた水を直接受けてもよい。
【0095】
(2)
図1~
図17Bを参照して説明したように、調湿装置100は、「除湿モード」及び「加湿モード」を有したが、本発明はこれに限定されない。例えば、調湿装置100が空気調和機である場合、「空気清浄モード」及び/又は「衣類乾燥モード」を更に有してもよい。
【0096】
(3)
図4~
図7等を参照して説明したように、加湿部60は加湿タンク70に収容されたが、本発明はこれに限定されない。加湿部60は加湿タンク70に収容されていなくてもよい。
【0097】
(4)
図6~
図8を参照して説明したように、ファンは第1気流F1と第2気流F2とを発生させたが、本発明はこれに限定されない。ファンは、遠心ファンであり、除湿部20と加湿部60との両方を通過する1種類の気流を発生させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、調湿装置を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0099】
10 筐体
10a 内部
20 除湿部
30 第1受水部
30a 排水位置
31 第1孔部
32 栓部
36 位置決め部
40 第2受水部
41 孔部
50 除湿タンク(第1容器)
60 加湿部
70 加湿タンク(第2容器)
D1 押込み方向
D3 反対方向